JP4227581B2 - 電極構造体及び二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池に関し、より詳細には充放電の繰り返しによって発生するリチウム又は亜鉛のデンドライトを抑えた二次電池に関する。
最近、大気中に含まれるCOガス量が増加しつつある為、室温効果により地球の温暖化が生じる可能性が指摘されている。火力発電所は化石燃料などを燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換しているが、燃焼によりCOガスを多量に排出するため新たな火力発電所は、建設することが難しくなって来ている。したがって、火力発電所などの発電機にて作られた電力の有効利用として、余剰電力である夜間電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、いわゆるロードレベリングが提案されつつある。
また、CO、NO、CHなどを含む大気汚染にかかわる物質を排出しないという特徴を有する電気自動車用途では、高エネルギー密度の二次電池の開発が期待されている。さらに、ブック型パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話等のポータブル機器の電源用途では、小型・軽量で高性能な二次電池の開発が急務になっている。
このような小型・軽量で高性能な二次電池としては、充電時の反応で、リチウムイオンを層間からデインターカレートするリチウムインターカレーション化合物を正極物質に、リチウムイオンを炭素原子で形成される六員環網状平面の層間にインターカレートできるグラファイトに代表されるカーボン材料を負極物質に用いたロッキングチェアー型のいわゆる“リチムイオン電池”の開発が進み、一部実用化されつつある。
しかし、この“リチウムイオン電池”では、カーボン材料で構成される負極は理論的には炭素原子当たり最大1/6のリチウム原子しかインターカレートできないため、金属リチウムを負極物質に使用したときのリチウム一次電池に匹敵する高エネルギー密度の二次電池は実現できない。もし、充電時に“リチウムイオン電池”のカーボンからなる負極に理論量以上のリチウム量をインターカレートしようとした場合あるいは高電流密度の条件で充電した場合には、カーボン負極表面にリチウム金属がデンドライト(樹枝)状に成長し、最終的に充放電サイクルの繰り返しで負極と正極間の内部短絡に至る可能性がありグラファイト負極の理論容量を越える“リチウムイオン電池”では十分なサイクル寿命が得られていない。また、既知の水溶液系の電解液を使用した二次電池ほどは高電流密度での充電はできない。
一方、金属リチウムを負極に用いる高容量のリチウム二次電池が高エネルギー密度を示す二次電池として注目されているが、実用化に至っていない。その理由は、充放電のサイクル寿命が極めて短いためである。充放電のサイクル寿命が極めて短い主原因としては、金属リチウムが電解液中の水分などの不純物や有機溶媒と反応して絶縁膜が形成されていたり、金属リチウム箔表面が平坦でなく電界が集中する箇所があり、これが原因で充放電の繰り返しによってリチウム金属がデンドライト状に成長し、負極と正極間の内部短絡を引き起こし寿命に至ることにあると、考えられている。
また、上述のリチウムのデンドライトが成長して負極と正極が短絡状態となった場合、電池の持つエネルギーがその短絡部において短時間に消費されるため、電池が発熱したり、電解液の溶媒が熱により分解してガスを発生し、電池内の内圧が高まったりすることがある。いずれにしても、デンドライトの成長により、短絡による電池の損傷や寿命低下が引き起こされ易くなる。
上述の金属リチウム負極を用いた二次電池の問題点である、金属リチウムと電解液中の水分や有機溶媒との反応進行を抑えるために、負極にリチウムとアルミニウムなどからなるリチウム合金を用いる方法が提案されている。しかしながら、この場合、リチウム合金が硬いためにスパイラル状に巻くことができないのでスパイラル円筒形電池の作製ができないこと、サイクル寿命が充分に延びないこと、金属リチウムを負極に用いた電池に匹敵するエネルギー密度は充分に得られないこと、などの理由から、広範囲な実用化には至っていないのが現状である。
この他、充電時にリチウムと合金を形成する金属として、前記のアルミニウムや、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、鉛、ビスマス等が挙げられており、これら金属や、これら金属からなる合金、及び、これら金属とリチウムの合金を負極に用いた二次電池が、特許文献1〜7に開示されている。
しかし、これら公開公報に記載の二次電池では負極の形状を明示しておらず、また上記合金材料を一般的な形状である箔状を含む板状部材とし二次電池(リチウムを活物質とした二次電池)の負極として用いた場合、電極材料層における電池反応に寄与する部分の表面積が小さく、大電流での充放電が困難である。更に、上記合金材料を負極として用いた二次電池では、充電時のリチウムとの合金化による体積膨張、放出時に収縮が起こり、この体積変化が大きく、電極が歪みを受けて亀裂が入る。そして、充放電サイクルを繰り返すと微粉化が起こり、電極のインピーダンスが上昇し、電池サイクル寿命の低下を招くという問題があるために実用化には至っていないのが現状である。
特許文献8においては、金属や合金粉末、結着剤、及び溶媒に可溶性の充填剤からなる合剤を圧縮成形した後に、溶媒中に浸漬し、前記充填剤を溶解させることで多孔率を向上させた、非水電解質二次電池用の負極が提案され、かかる方法で多孔率を向上させた電極を用いたリチウム二次電池で、2mA/cm以上の比較的高い電流密度において、充放電容量が向上することが示されている。しかしながら、上記二次電池のサイクル寿命については未知数である。
一方、非特許文献1において、直径0.07mmの銅ワイヤーに、電気化学的に、スズ、もしくはスズ合金を堆積させることで、粒子サイズの細かい(200〜400nm)層を形成することができ、堆積層の厚みを薄く(約3μm)した電極とリチウムを対極にした電池で、充放電サイクル寿命が向上すると報告されている。
上記非特許文献文献1では、0.25mA/cmの電流密度で、1.7Li/Snまで充電し、0.9V vs Li/Liまでの放電を繰り返した評価において、直径1.0mmの銅線の集電体上に同様にスズ合金を堆積させて得られた粒子サイズ(粒径)が2000〜4000nmの電極に対して、200〜400nmのスズ粒子の電極が約4倍、Sn0.91Ag0.09合金電極が約9倍、Sn0.72Sb0.28合金電極が約11倍寿命が向上すると報告されている。
しかし、上記非特許文献1は、対極にリチウムを用いて評価されたもので、実際の電池形態での結果は報告されておらず、また、前記のようなサイズの粒子からなる電極は、直径0.07mmの銅線の集電体上に堆積させて作製したものであり、実用的な電極形状のものではない。また、上述したように、直径1.0mmといった広い面積の領域上に同様の方法でスズ合金を堆積させた場合粒子サイズ(粒径)が2000〜4000nmである層が形成されるが電池としての寿命が著しく低下している。
特許文献9〜12では、各種リチウム合金を使用した電池において、及び特許文献13ではリチウム表面にリチウムと金属間化合物を生成しにくい金属粉を一様に負極に付着させデンドライトの析出を抑制し、充電効率を高めサイクル寿命を向上させた電池が開示されている。しかし、いずれも負極の寿命を飛躍的に伸ばす決定的な方法となり得ていない。
非特許文献2には、表面がエッチングされたアルミニウム箔を負極として用いたリチウム二次電池の報告が掲載されている。しかし、充放電サイクルを実用域まで繰り返した場合、アルミニウム箔が膨張収縮を繰り返し、亀裂が入ってしまい、集電性が低下するとともにデンドライトの成長が起こり、この場合でも実用レベルで使用可能なサイクル寿命を得ることはできない。加えて、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池からなる二次電池においても、充放電の繰り返しによって、負極材料である亜鉛のデンドライトが発生し、セパレータを貫通して、亜鉛負極と正極が短絡してしまうため、サイクル寿命が短いという問題があった。
このように、リチウム二次電池(以後充放電によるリチウムイオンの酸化還元反応によるインターカレーションとデインターカレーション反応を電極における充放電反応に利用した二次電池を、カーボン材料を負極に用いる“リチウムイオン電池”も含めて、リチウム二次電池と呼ぶことにする)や亜鉛二次電池(以後亜鉛を負極物質に用いた二次電池を亜鉛二次電池と呼ぶことにする)では、エネルギー密度の増大やサイクル寿命の長寿命化が大きな課題となっている。
特開平8−64239号公報 特開平3−62464号公報 特開平2−12768号公報 特開昭62−113366号公報 特開昭62−15761号公報 特開昭62−93866号公報 特開昭54−78434号公報 特開昭60−202675号公報 特開平5−190171号公報 特開平5−47381号公報 特開昭63−114057号公報 特開昭63−13264号公報 特開平5−234585号公報 8TH INTERNATIONAL MEETING ON LITHIUM BATTERIESノEXTENDED ABSTRACTS WED−02(P69〜72) 「JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY」22(1992年)620〜627頁
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特にリチウム又は亜鉛からなる負極活物質を用いた二次電池に有用な電極構造体、サイクル寿命が長い、高エネルギー密度の二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、前記主材が銅、ニッケル、銀、スズから選択される一種類以上の金属で部分的に表面が覆われている珪素粒子からなることを特徴とするリチウムの酸化還元反応を利用した二次電池の負極に用いられる電極構造体を提供するものである。
また、本発明は、少なくとも負極、正極、及び電解質を有し、リチウムの酸化還元を利用して充放電を行う二次電池であって、負極が、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、前記主材が銅、ニッケル、銀、スズから選択される一種類以上の金属で表面が覆われている珪素粒子からなることを特徴とする二次電池を提供するものである。
本発明によれば、リチウムの酸化還元反応を利用した二次電池又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電池において、負極が充放電サイクルを繰り返すと微粉化するという問題を解決でき、更に、充電時に発生し、性能劣化の原因となるリチウム金属または亜鉛金属のデンドライト析出の成長による内部短絡が抑制できる電極構造体が提供される。ひいては、サイクル寿命の長い、高容量、高エネルギー密度のリチウムイオンの酸化還元反応を利用した二次電池を提供することができる。
本発明者は、前述した従来のリチウム又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電池における負極の性能に起因した欠点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、板状の集電体一方の面又は両面に、粒子形状を制御し平均粒径を0.5〜60μmとした主材の粒子からなり、該主材35重量%以上含有する層(電極材料層)を有する電極構造体を作製し、該電極構造体を、特にリチウム又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電池の負極として用い、高容量、高エネルギー密度、及びサイクル寿命の長い二次電池が実現できることを見出した。
尚、本発明における粒子における“平均粒径”とは、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し直接的に測定した値である。
前述した非特許文献1においても、銅ワイヤー上に、スズ、もしくはスズ合金の微細な粒子層を電気化学的に堆積させ、該堆積層を電極とした電池、充放電サイクル寿命が向上することが報告されているが、当該報告に記載の技術ではでは、非常に細い銅ワイヤー(直径0.07mm)を電極集電体として用いており、銅ワイヤーの直径が1mmとした場合では、スズ粒子サイズが2000〜4000nmになり且つこの場合電池としての寿命を低減させることを考慮すると、一般的な電極形状を供する板状、即ち広い面積を持ったの集電体上に、200〜400nmの粒子サイズのものを作製し電池における優れた寿命を実現していない。当該文献に記載の技術では、良好な寿命を提供するスズ、もしくはスズ合金層の厚さは200〜400nmの粒子サイズの場合非常に薄く(約3μm)、スズ、もしくはスズ合金層に貯えられるリチウム量から計算した電極単位面積当たりの充電容量も小さくなり、実用域に至ったものではない。
本発明の電極構造体は、上記のように平板状の集電体上に粒径の制御のなされた粒子からなる層(電極材料層)を形成したものであり、該層は広い面積に亘って相対的に凹凸の少ない均一な層となり、且つ二次電池と電極として用いた際に電極材料層内で電池反応の生じる主材部分の表面積が大きくなる。こうして、特に当該電池構造体をリチウム又は亜鉛の酸化還元反応を利用した二次電池の負極に適用し、充電時に負極活物質を上記粒子からなる層内に保持し、放電時に負極活物質を上記粒子からなる層から放出させるような電池反応を行なった場合、負極の電極材料層の表面積あたりの電流密度を低下させることができ、負極における表面積あたりの電気化学反応がゆるやかに且つ、均一に進行させることが可能となる。ひいては、充放電反応での電極材料層における活物質の出入りによる体積膨張収縮の割合を小さくできるので、充放電効率も向上し電池容量が増し、負極の寿命すなわち電池全体の寿命が延びることになる。
更に、上述のような粒子の粒径の制御に加えて、該粒子からなる層の空隙率を最適化し、例えば後述するように少なくとも初期の1〜3サイクルの充放電において、充放電の繰り返しによる該負極層(電極材料層)での活物質イオンの出入りに起因した体積膨張及び収縮による、該負極層表面での亀裂は生じない(尚、本発明においては、“活物質”とは電池における充電及び放電の電気化学的反応(該反応の繰り返し)に関与する物質を総称するものであり、更に自身で上記反応に関与する物質である限りに、上記反応に関与する他の物質をも包含する。リチウム二次電池においては、負極活物質であるリチウムが充電時に負極側に保持され、放電時に電解液中に溶解してリチウムイオンとなる。また、亜鉛二次電池では、負極活物質である亜鉛が放電時に水酸化物イオンと反応して水酸化亜鉛又は酸化亜鉛に変化する)。
本発明によれば、板状集電体上に設ける上記平均粒径の主材からなる層の空隙率(集電体上に設けられた電極材料層のトップの面と集電体面とで形成される電極材料層の空間において電極材料構成材で占められない空間(空隙)の割合であり、具体的には上記電極材料層の容積(厚み×面積)をV′とし、電極材料構成材の重量と比重(真密度)をそれぞれwiとdiとする時、電極材料層の電極構成材の占める真の容積V(V=Σ(wi/di)となり、この時空隙率を(V′−V)/V′となる。尚、電極材料層の重量W=Σwi(電極構成材が一種類の場合にはW=w)で、電極材料層のかさ密度d′=W/V′である。))を0.10〜0.86の範囲に制御し、かかる特性を持った電極構造体を用いた二次電池に適用し、容量、エネルギー密度、サイクル寿命に関する性能を更に向上させる。尚、具体的には空隙率は、層の密度が、主材の密度(ag/cm)の時を0とし、(a−層の密度)/aより求めることができる。合金が主材の場合、あるいは複数種の金属材料粉末を用いる場合、合金組成によってあるいは複数種の金属の比率によって主材の密度とし、上記式より空隙率を求める。
より好ましくは、上記層の表面には放電の際に直径を0.10〜10μmの範囲に(直径の最大値と最小値がこの範囲内となるように)制御された細孔が形成されるようにし、あるいは層厚を5〜500μmの範囲とする。また、充放電が全くなされていない状態又は放電後で、層の表面凹凸が1〜60μmの範囲内となるように制御することが好ましい。
以下、本発明の電極構造体の具体的な構造、これを構成する各部材の材料、その調製等について、その態様に沿って具体的に説明する。
図1に本発明の電極構造体の断面構造の一例を模式的に示す。
同図に示す電極構造体10では、集電体100の片側の面に、平均粒径0.5〜60μmの主材粒子101から構成される層(電極材料層)102が設けられている。尚、同図では、集電体100の片面のみに電極材料層102が設けられているが、電池の形態によっては集電体100の両面に設けることができる。
〔集電体100〕
集電体100は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは放電時の発生する電流を集電する役目を担っている。特に電極構造体10を二次電池の負極に適用する場合、集電体100を形成する材料としては、電気伝導度が高く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタンから選択される一種類以上の金属材料から成るものが挙げられる。また、集電体の形状としては、板状であるが、この“板状”とは、厚みについては実用の範囲上で特定されず、厚み約100μm程度もしくはそれ以下のいわゆる“箔”といわれる形態をも包含する。また、板状であって、例えばメッシュ状、スポンジ状、繊維状をなす部材、パンチングメタル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
集電体100の表面において、集電体の製造プロセス、例えば圧延などのプロセスの条件により、ひっかき傷やミクロな突起等の突起部が発現することがあるが、この場合、該突起部が、少なくとも、上記集電体材料より高い比抵抗を有する材料、例えばニッケル、亜鉛、スズ、インジウムから選択される一種類以上の元素の酸化物で覆われていることが好ましい。特に、表面積の大きい微粒子を層102の主材に使用したり、例えば電着(メッキ)やコーティングにより層102を形成する場合では、集電体100の層102側に導電性の突起部が生じていればこれを少なくとも、上記集電体材より高比抵抗の材料で覆われていることが好ましい。かかる酸化物による突起部の被覆によって、電極構造体10を二次電池に適用した際に、充電時に集電体100の突起部に電界が集中することに起因した活物質の析出が抑えられ、結果的に充放電の繰り返しによっても活物質のデンドライト成長が抑制され、二次電池の内部短絡が防止でき、寿命を伸ばすことが可能になる。
図2(a)及び(b)に、図1に示す集電体100の表面に突起部が存在する場合において、該突起部を処理した後に上記粒径の制御をなした電極材料層を形成する場合の一例を模式的に示す。まず集電体100表面の生じた突起部103に金属酸化物104を付着させ(図2(a))、続いてその上に電極材料層の主材となる粒子101を堆積させる(図2(b))。このように集電体表面に意図せず生じた突起部を高抵抗化した上で電極としての層102を形成して作製された電極構造体を、特に負極に用いて成る電池では、充電時に負極表面に電界が集中する箇所が低減される。従って、リチウムあるいは亜鉛の酸化還元を利用した二次電池では、充電放電の繰り返しでリチウムあるいは亜鉛のデンドライト析出が抑制されることになる。
上記金属酸化物での集電体突起部の被覆は、集電体材をカソード、対向電極をアノードとして、電解液として例えば硝酸ニッケル、硝酸亜鉛、硝酸インジウム、硝酸スズから選択される一種類以上の硝酸塩の水溶液を使用して、電解反応を起こし、集電体材の突起部に、電解反応の電気量を制御して金属酸化物を析出させることによって行うことができる。
〔主材粒子101及び層102〕
電極構造体10において実際の電気化学反応が生じる層(電極材料層)102は、前述したように平均粒径が0.5μm〜60μmの範囲の粒子を該層の35重量%以上を占める主材として含有するものである。かかる主材粒子(101)の平均粒径は、より好ましくは0.5〜20μmの範囲とする。上記層102を構成する主材としては、バルクの20℃の比抵抗(電気抵抗率)が好ましくは1×10−6〜1×10Ω・cmの範囲である材料、特に好ましくは、1×10−5〜1×10−1Ω・cmの範囲にある材料を用いる。当該主材は層102中は、50重量%以上配合することがより好ましい。
主材粒子101に用いる具体的な材料としては、例えばリチウムもしくは亜鉛の酸化還元反応を利用した充放電反応を有効に行う二次電池用の負極を構成する材料として、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、インジウム、マグネシウム、亜鉛、から選択される一種類以上の元素から構成される材料(それらの合金、複合材料を含む)を使用する。特に、リチウム二次電池用の電極構造体の主材としては、珪素、スズ、インジウムから選択される一種類以上の材料がより好ましく、亜鉛二次電池用の電極構造体の主材としては、酸化亜鉛、亜鉛合金から選択される一種類以上の材料がより好ましい。
上記電極構造体の主材粒子(101)を他の金属を含む層で被覆することが好ましい。図3に この場合の、図1に示す電極構造体の粒子状の主材(図1に示す粒子101)の断面構造の一例を模式的に示す。この構造では、主材粒子101は、コア部105とコア表面を被覆した金属106から構成されている。被覆金属106は、粒子101間の電子伝導を助ける役割を担うことになる。
上記電極構造体の主材粒子(101)の材料として、スズを使用する場合には、金属スズ粒子(粉)、銅、銀、から選択される一種類以上の金属で部分的に表面が覆われたスズ粒子(粉)、もしくは金属スズで表面が覆われたニッケル粒子(粉)、もしくは銅、ニッケル、銀、アンチモン、亜鉛、ビスマスから選択される一種類以上の金属とスズとの合金粒子(粉)、の形態が好ましい。当該金属スズ又はスズ合金粒子、スズにより被覆されたニッケル粒子によれば、二次電池でのインピーダンスの増加を抑え、充放電効率の低下を抑制することができる。
上述した銅や銀等により被覆された金属スズ又はスズ合金粒子(粉)、スズにより被覆されたニッケル粒子(粉)は、還元反応を用いるか、イオン化傾向の差を利用した置換反応を用いて、例えばスズ粒子(粉)を無電解メッキ液に浸漬して反応させ、あるいはスズ又はスズ合金粒子(粉)を銅の塩や銀の塩の水溶液に浸漬せしめ、置換反応を生じさせ、銅や銀で被覆したスズ粒子(粉)、もしくは同様の手法によりスズにより被覆されたニッケル粒子(粉)を得ることができる。
上記電極構造体の主材粒子(101)の材料として、珪素を使用する場合には、銅、ニッケル、銀、スズ、から選択される一種類以上の金属で部分的に表面が覆われた珪素粒子(粉)という形態が好ましい。上記珪素が純度99%以下であることが好ましい。即ち、純度の低い安価な材料を適用して上記第一の層の主材を得ることができ、結果的に安価な二次電池を得ることが可能になる。さらに、上記珪素が、アルミニウム、カルシウム、クロム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、から選択される元素を不純物として含有しているのが好ましい。当該珪素粉によれば、層102の抵抗をより低くすることができ、二次電池でのインピーダンスの増加を抑え、充放電効率の低下を抑制することができる。
上述した銅や銀等で被覆された珪素粒子(粉)は、珪素粒子(粉)の表面を荒らし、スズイオンを含むスズコロイドを付着させた後スズをパラジウムと置換せしめ、珪素表面のパラジウムを触媒とし還元反応によって無電解で珪素粒子表面に銅や銀を被覆することで得ることができる。
上述したような水溶液を用いた反応により得られる粒子(ズス又はスズ合金、ニッケル、珪素、インジウム)、あるいは融点の低いスズ、鉛、亜鉛等を成分とした粒子の表面は薄い酸化膜が形成され易く、これら粒子からなる層を形成する前又は後に、水素等を用いて当該酸化被膜を還元処理することにより、又は酸で除去することにより、層の電極材料層としての性能、特に負極としての性能を向上させる点で好ましい。
尚、負極活物質が亜鉛である場合、上記電極構造体の主材粒子(101)の材料として、銅、ニッケル、銀、から選択される一種類以上の金属と亜鉛との合金、酸化亜鉛を使用することがより好ましい。
層102は、主材となる粒子101に必要に応じて他の無機材料を加えた無機材料のみの層とすることができる。この場合、低抵抗の第一の層を形成することができ、その結果、二次電池の内部インピーダンスを低減でき充放電効率を高めることが可能になる。
特に電極材料層102を粉末状の上記主材(粒子101)を用いて形成する際に、上記主材間及び主材と集電体間の電子伝導を補助して高めるために、導電補助材を上記主材に混合した上で層102を形成を行うこともできる。
当該導電補助材としては、例えば炭素材料や金属材料を、好ましくは層102の1〜30重量%の範囲で配合して用いる。
上記導電補助材として用いる炭素材料としては、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの非晶質炭素や黒鉛などを含めた炭素材料が挙げられる。当該炭素材料は、主材(粒子101)の電子伝導を補助する機能の他に、層102の機械強度を増す効果、層102の形成過程で例えばスズや鉛や亜鉛などの低融点金属を主材として用いこれらの粉末を金属材料の導電補助材とボールミルなどの機械混合する場合に低融点金属粉が溶融して塊状になるのを防ぐ効果がある。
上記導電補助材として用いる金属材料のより具体的例としてな材料としては、銅、ニッケル、銀、チタン、鉄、などが挙げられる。
上記導電補助材の形状として好ましくは、球状、フレーク状、フィラメント状、繊維状、スパイク状、針状、など、から選択される異なる二種類以上の形状を採用することにより、層102形成時のパッキング密度を上げて層102のインピーダンスを低減することができる。
また、層102は、有機高分子材を加えた複合材からなる層とすることもできる。この場合、電極構造体10全体の柔軟性が高まり、電極をスパイラル状に巻く場合も剥離が生ずることがなく、充放電の繰り返しで負極が膨張収縮を繰り返す場合でも上記有機高分子材が伸縮して層102が剥離するのを抑制でき、二次電池の性能の低下が抑えられる。特に層102に上述した導電補助材を加える場合においては、主材の粒子101と導電補助材の結着剤として、当該有機高分子材を用いることが好ましい。
上記有機高分子材の層102を占める割合は、充電時により多くの活物質量を保持するために、2重量%以上20重量%以下の範囲とすることが好ましい。
上記有機高分子材としては、電極構造体を使用する二次電池の電解液に溶解分解反応することなく安定であることが必要である。使用可能な有機高分子材の具体例としては、リチウム二次電池に用いる電極構造体の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリフッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレンポリマーなどのフッ素樹脂が挙げられ、亜鉛電池に用いる電極構造体の場合には、リチウム二次電池用に挙げた高分子材に加えて、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニールが挙げられる。
図4に、図1に示す電極構造体10の層102において、主材となる粒子101に加えて導電補助剤及び有機高分子材を用いた場合の例を模式的に示す。この場合、層102は、主材となる粒子101に加えて、結着剤としての有機高分子材107、導電補助材としての球状炭素材108、導電補助材としての球状金属材109、導電補助材としてのフレーク状金属材110から形成されている。
電極構造体10における電極材料層102の表面は、電極構造体をリチウム電池又亜鉛電池の負極に用いる場合、放電状態(放電後)において細孔が形成することが好ましく、特に直径0.10〜10μmの範囲の細孔が形成することが好ましい。細孔が形成されることにより、次の充電の際に、層内での活物質との反応面積が大きくなり、またこの細孔が空間確保の役割となり、リチウム挿入(充電)時の体積膨張が緩和でき、更なる高容量化と長寿命化を実現できる。
電極構造体10における電極材料層102の厚さは、5μm以上500μm以下の範囲とすることが好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。ここで、層の厚さは、マイクロメーターで測定した値とした。厚102の厚さが、5μm以上500μm以下、特に、10μm以上100μm以下にすることで、電極としての利用率を大きくでき、高容量化できる。層102の厚さが5μm以下では、電極構造体をリチウム電池又は亜鉛電池の負極に用いた場合、負極単位面積当たりの充電量が小さくなり、結果的に、電池容量は小さくなる。また、500μm以上では、層内部へリチウム等の活物質が移動しづらくなり、利用率が低下する。更には、電極インピーダンスが高くなり、電池性能が低下する。
電極構造体10における電極材料層102の表面の粗さは、凹凸の山と谷の高さが1μm以上60μm以下となるようにすることが好ましく、5μm以上30μm以下とすることがより好ましい。本発明における表面粗さとは、触針法で測定した値とした。すなわち、直径5μmの針をL=400μmの間隔スイープさせたときの最大の高さから最小高さを差し引いた値とした。電極構造体をリチウム電池又は亜鉛電池の負極に用い場合、層102の表面粗さを上記範囲とすることで、負極の利用率を大きくでき、高容量化と、長寿命化できる。1μmよりも小さい場合、リチウム等の活物質との反応面積が小さくなり、利用率が低下する。また、60μmよりも大きい場合では、突起部へ電解が集中し易くなり、均一にリチウムと反応せず、寿命は低下する。
電極構造体10における集電体100上への電極材料層102を形成方法の一例としては、層102の主材となる粒子101に、必要に応じて上述した主材間及び主材と集電体間の電子伝導を補助するための導電補助材、又は結着剤として有機高分子材を混合し、有機高分子材の溶剤を添加して、ペースト状混合物を調製し、このペーストを集電体100上に塗布する方法が挙げられる。上記の塗布方法としては、例えば、コーター塗布方法、スクリーン印刷法が適用できる。また、有機高分子材の溶剤を添加することなく上記主材と導電補助材と有機高分子を、あるいは結着剤の有機高分子材を混合せずに上記主材と導電補助材のみを、集電体上に加圧成形して、層102を形成することも可能である。
層102の形成方法の他の例としては、集電体100上に層102の主材を、気相法、メッキ法などによって直接堆積させる方法が挙げられる。気相法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング法、などが挙げられる。メッキ法としては、電気化学反応を利用した電解メッキ、還元反応を利用した無電解メッキ、などが挙げられる。
以上の方法での条件を最適に制御して、板状の集電体100上の層102を構成する粒子101の平均粒径を上述の0.5〜60μmの範囲内に制御する。
本発明の電極構造体では、スズ又はスズ合金、珪素及びその合金(粒子)を主材として用いた場合、平板状の集電体上に平均粒径がより良好に制御された粒子からなる電極材料層を形成することができ、当該電極構造体を二次電池、特にリチウム二次電池に用いた際の電池容量、エネルギー密度、及びサイクル寿命に関してより顕著な効果が得られる。特に、金属スズ、もしくはスズ合金をリチウム電池の負極に用いた場合、スズ1原子当たり最大4.4のリチウム原子を取り込ますことが知られており、単位重量当たりの理論容量は、790Ah/kgであり、グラファイトの372Ah/kgよりも、2倍以上理論的に高容量化できるが、本発明では金属スズ、もしくはスズ合金の粒子からなる電極材料層を最適に調製することで、このような理論的に高い容量を実用化し、更に他の性能についても共に向上させることができる。
以下に、これら本発明の電極構造体において、主材として特に好適である、スズ及びその合金を用いた場合の態様をより詳細に説明する。
〔スズ、スズ合金〕
電極構造体における電極材料層の主材としてスズを用いる場合、金属スズ単体からなる粒子、あるいはスズ合金からなる粒子の形で用いる。スズ合金としては、例えばスズ元素と、アンチモン、ビスマス、鉛、ニッケル、銅、銀、亜鉛、から選択される少なくとも一種類以上の元素とからなる合金で、その比率は、スズ元素が50%以上100%未満であることが好ましく、70%以上100%未満であることがより好ましい。スズ元素が50%以下である場合、充電時に取り込むリチウム量が少なくなり、その結果、電池容量が小さくなることがある。
〔電極材料層の平均粒径〕
前述したように主材としての粒子の平均粒径を、0.5μm以上60μm以下の範囲内に制御することが好ましい。特に金属スズ、もしくはスズ合金を用いて、このような平均粒径の粒子からなる層を板状集電体上に良好に形成することができる。また、金属スズ、もしくはスズ合金の粒子の場合、特に平均粒径を5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
集電体上に後述の実施例に示すような電解メッキにより、種々の平均粒径を有する金属スズ粒子又はスズ合金からなる層を形成した電極構造体を負極として用い、正極としてリチウムマンガン酸を用いたリチウム二次電池を作製し、当該粒子の平均粒径と、充放電サイクル下での、電池寿命(サイクル寿命)、電池の充放電クーロン効率の関係を、スズ箔を負極とし、正極としてリチウムマンガン酸を用いたAAサイズのリチウム二次電池の性能を基準として評価した。結果を図5に示す。
図5に示す結果より、平均粒径が0.5μmよりも小さい場合には、充放電サイクル寿命が著しく低下する。これは、粒子径が小さいと、金属スズ、或いはスズ合金の密度が大きくなり、層中の空隙が小さくなり、充放電サイクル時に、亀裂の発生して、集電体からの剥がれが起こるからと推定される。
一方、平均粒径が60μmよりも大きい場合には、充放電クーロン効率が低下し、寿命も低下する。これは、粒子径が大きくなると、表面の凹凸が大きくなり、凸部への電解が集中し、充電時にリチウムのデンドライト成長が生じ易くなるためと推定される。
〔結晶子の大きさ〕
金属スズ、もしくはスズ合金粒子の結晶子、特に電極構造体に対して充放電を全く行う以前(未使用の状態)での結晶子の大きさを、好ましくは10nm以上50nm以下の範囲に、より好ましくは10nm以上30nm以下の範囲に制御することがより好ましい。このように微細な結晶粒のものを用いることによって、充放電時の電気化学反応をより円滑にすることができ、充電容量を向上できる、また、充放電時のリチウムの出入りによって生じる歪みを小さく抑えて、サイクル寿命を伸ばすことが可能になる。
尚、本発明において、粒子の結晶子の大きさとは、線源にCuKαを用いたX線回折曲線のピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定したものである。
Lc=0.94λ/(βcosθ) (Scherrerの式)
Lc:結晶子の大きさ
λ:X線ビームの波長
β:ピークの半価幅
θ:回折角
〔電極材料層の密度と空隙率〕
金属スズ、もしくはスズ合金粒子から構成される層の密度を、1.00g/cm以上6.56g/cm以下に制御することが好ましく、2.00g/cm以上6.00g/cm以下に制御することがより好ましい。このように層の密度を制御することにより、集電体上に設ける層の空隙率を0.10〜0.86の範囲内、好ましくは0.31〜0.73の範囲内とすることができる。金属スズ、もしくはスズ合金粒子から構成される層の密度は、単位面積当たりの重量と厚さにより計算で求めた値とした。金属スズ、もしくはスズ合金といったスズを含むが主材から構成される層の空隙率は、前述のように電極材料層の容積V′と電極材料層中の電極構成材の占める真の容積Vを用いて(V′−V)/V′により求めるが具体的に主材の密度a(g/cm)として、層の密度が主材密度と同様になるとき0とし、(a−層の密度)/aにより求める。金属スズからなる層の場合、層の密度が金属スズの密度(a=7.29g/cm)となる時を0とし、(7.29−層の密度)/7.29より求めた値とした。又、スズ合金の場合、合金組成より主材の密度aを求め、上記式より層の空隙率を求める。
集電体上に、後述の実施例で示すように、電解メッキで電解条件を調整して種々の空隙率を有する金属スズ又はスズ合金の粒子からなる層を形成した電極構造体を負極として用い、正極としてリチウムマンガン酸を用いたAAサイズのリチウム二次電池における、電極材料層(負極層)の密度、空隙率と、充放電サイクル試験下での、電池寿命(サイクル寿命)関係を、スズ箔を負極とし、正極としてリチウムマンガン酸を用いたリチウム二次電池の場合の性能を基準に評価し、又、上記リチウム二次電池の空隙率と電池容量の関係を、炭素材料を負極としリチウムマンガン酸を正極として用いたリチウム二次電池の場合を基準に評価した。また、充放電サイクルを3回施した段階での各電池の電極材料層の表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。結果を図6に示す。
同図に示すように、電池寿命は、電極材料層の密度が、6.56g/cmよりも大きい、空隙率が0.10よりも小さい場合には、電極材料層表面に亀裂が観察され、寿命が著しく低下する。また、電極材料層の密度が1.00g/cmよりも小さい、空隙率が0.86よりも小さい場合には、スズ箔又は炭素を負極として用いたリチウム二次電池と同等のサイクル寿命及び電池容量の性能となる。更に空隙率が0.31〜0.73(層の密度2〜68/cm)の範囲の場合、最も良好なサイクル寿命及び電池容量が得られる。
この結果からも明らかなように、層の密度が、1.00g/cm以上6.56g/cm以下のもの、空隙率が、0.10以上0.86以下のもの、より好ましくは空隙率が、0.31以上0.73以下のものを用いることで、高容量、且つ長寿命の電池が実現できる。
〔電極材料層の細孔〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層の表面は、当該電極構造体をリチウム電池の負極に用いる場合、放電後において細孔が形成されることが好ましく、特に直径0.10〜10μmの範囲の細孔が形成されることが好ましい。細孔が形成されることにより、次の充電の際に、層内でのリチウムとの反応面積が大きくなり、またこの細孔が空間確保の役割となり、リチウム挿入(充電)時の体積膨張が緩和でき、更なる高容量化と長寿命化を実現できる。
〔電極材料層の厚さ〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層の厚さは、5μm以上500μm以下の範囲とすることが好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。ここで、層の厚さは、マイクロメーターで測定した値とした。厚102の厚さが、5μm以上500μm以下、特に、10μm以上100μm以下にすることで、電極としての利用率を大きくでき、高容量化できる。層の厚さが5μm以下では、電極構造体をリチウム電池の負極に用い場合、負極単位面積当たりの充電量が小さくなり、結果的に、電池容量は小さくなる。また、500μm以上では、層内部へリチウム等の活物質が移動しづらくなり、利用率が低下する。更には、電極インピーダンスが高くなり、電池性能が低下する。
〔電極材料層の表面粗さ〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層の表面の粗さは、充放電前(未使用)の状態で凹凸の山と谷の高さが1μm以上60μm以下となるようにすることが好ましく、5μm以上30μm以下とすることがより好ましい。本発明における表面粗さとは、触針法で測定した値とした。すなわち、直径5μmの針をL=400μmの間隔スイープさせたときの最大の高さから最小高さを差し引いた値とした。電極構造体をリチウム電池の負極に用い場合、層の表面粗さを上記範囲とすることで、負極の利用率を大きくでき、高容量化と、長寿命化できる。1μmよりも小さい場合、リチウムとの反応面積が小さくなり、利用率が低下する。また、60μmよりも大きい場合では、突起部へ電解が集中し易くなり、均一にリチウムと反応せず、寿命は低下する。
〔電極材料層の組成〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層において、主成分である金属スズ、もしくはスズ合金の割合が、50重量%以上100重量%以下であることが好ましい。50重量%以下では、電極構造体をリチウム電池の負極に用い場合、充電時に負極に取り込むリチウム量が少なくなり、その結果、電池容量が小さくなる。
〔微量元素の混合〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層において、スズ元素もしくはスズ合金の主成分元素以外に、メッキ等の形成段階での使用する添加剤に起因した、炭素元素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素、から選択される元素を含有していることが好ましく、これら元素の存在比率が層表面側で最も高いことを特徴とする。
これら不純物のうち、酸素元素はスズ元素と化学結合していることを特徴とし、特に、スズ酸化物として、金属スズ、もしくはスズ合金粒子中、もしくは粒子表面に存在することを特徴とする。
このような金属スズ又はスズ合金粒子における上記元素の存在は、X線光電子分光法(XPS:X−ray photoelectron spectroscopy)により分析を行うことができ、組成比については、XPSで測定した各元素のピーク面積の強度比から求める。
例えば、スズ元素と炭素元素の場合には、Sn 3d5/2とC1sピーク面積から下記の式により求める。
n(C)/n(Sn)={N(C)・σ(Sn)・λ(Sn)・S(Sn)}/{N(Sn)・σ(C)・λ(C)・S(C)}={N(C)/N(Sn)}・K(Sn/C)
n:単位体積当たりの原子数、
N:各元素のピーク面積の測定値、
σ:光イオン化断面積、
λ:電子の平均自由化行程λ、
S:分光器関数Sを考慮した値
K:感度係数
本測定においては、C.O.Wagnerによる元素の感度係数を用いて計算した。また、電極材料層内部の元素濃度は、表面をアルゴンエッチングした後に測定した結果より求める。元素の結合状態は、各元素のピーク位置より求める。
〔有機化合物,炭素材料の混合〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層において、スズ元素もしく金属スズ粒子、もしくはスズ合金粒子以外に、有機化合物を混合することが好ましい。かかる有機化合物としては、例えば前述したような結着剤として機能する有機高分子を用いることができる。当該有機化合物は、層内でクッション材として機能し、また粒子間の接着効果により、金属スズ或いは、スズ合金粒子を含む電極材料層の体積変化を抑制することができる。
また、金属スズ、もしくはスズ合金粒子以外に、炭素材料を混合することが好ましい。かかる炭素材料についても、電極材料層内でクッション材として機能し層の体積変化を抑制することができる。
〔配向性〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層において、未充電状態(未使用)における金属スズの結晶格子の向きが、ある特定の格子面が優先方位配列(配向性)を有していることが好ましく、配向している格子面は、1以上3以下であることが好ましい。本明細書において、配向性を有するとは、線源にCuKαを用いたX線回折ピークで、格子面の強度比が、他の(配向外の)ピークの強度比に対して、2倍以上であることとする。このような強度比の大きい格子面が、3つ以下であることとする。
特に、金属スズ、もしくはスズ合金粒子から構成される層において、ミラー指数が(200)面(2θ=30.6°±1.0°)に最も強度の強い第一ピークが観察され、第二ピークに対する強度比が、2倍以上であること、もしくは(101)面(2θ=32.0°±1.0°)に最も強度の強い第一ピークが観察され、第二ピークに対する強度比が、2倍以上であることが好ましい。上記の配向性を有した負極を採用することで、充放電サイクル寿命が向上することが確認されている。これは、配向性を有することで、スズの結晶格子中へのリチウムの拡散がスムーズに行われ、スズ中のリチウムの分布が均一になり、体積変化が分散し、歪みが生じにくくなるためと考えられる。
〔層の形成方法〕
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした電極材料層の形成方法としては、具体的には、電気化学反応を利用した堆積反応(電解メッキ)、還元反応を利用した堆積反応(化学メッキ)、蒸着法、もしくは、粉末と高分子化合物と溶剤からなるペーストを塗布する方法が挙げられる。本発明においては、特に電解メッキ法、あるいは化学メッキ法を採用することにより、粒子の粒径や空隙率(密度)を最適に制御している。
1.電解メッキ
金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした層の製造装置としての電解メッキ槽の一例の概略を図7に示す。
電解メッキ槽は、電解槽300、電解液301、金属スズ又はスズ合金粒子を主材とした層を形成するための基材となる集電体(図1に示す構造の集電体100に相当)であるカソード302、対向電極(アノード)303、電源304、攪拌部材305から基本的に構成されている。
電解メッキは、電解液301中で、集電体(カソード)302と対向電極(アノード)303間に、電源304を用いて、直流電界、交流電界、パルス電界、あるいは、これらの組み合わせた電界、から選択される電界を印加して処理し、集電体302表面に被メッキ物を堆積させ、平均粒径0.1μm以上60μm以下の金属スズ、もしくはスズ合金からなる粒子を主材とし、好ましくは密度が1.00g/cm以上6.56g/cm以下である層を形成することで作製できる。
この電解メッキ法により、比較的短時間で、粒子径の揃った、均一な厚さ、かつ配向性を有した層を作製することができる。
特に電解メッキ方において、集電体に堆積させる金属スズ、もしくはスズ合金の粒子の平均粒径、層密度、空隙率、結晶子の大きさ、配向性の有無は、用いる電解液の種類、電解液中のスズイオンの濃度、電解液中に添加する物質の種類と添加量、メッキ時の温度、印加する電界の種類、カソードの電流密度、カソードとアノード間の印加電圧を調整することで制御する。
(電解液301)
電解液301としては、少なくとも、スズイオンを0.001mol/l以上5mol/l以下含有した溶液を用いることが好ましい。具体的な電解液として、塩化物溶液、ふっ化物溶液、硫酸塩溶液、シアン化塩溶液、ピロリン酸塩溶液、過塩素酸溶液、シュウ酸塩溶液、すず酸カリウム溶液、すず酸ナトリウム溶液、有機カルボン酸塩溶液、から選択されるスズ塩の溶液を用いることができる。
また、電解液中に、炭素元素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、硫黄元素、及び水素元素、から選択される少なくとも、一つ以上の元素で構成された物質を分散させることが好ましい。これら物質を分散させることで、電解メッキ時に、結果的に、金属スズ、或いはスズ合金粒子中に、あるいは粒子間にこれら元素を含有せしめることができる。
電解液中に分散させる物質としては、好ましくは有機化合物が用いられる。具体的には、アミノ酸(例えば、ゼラチン、にかわ等、たん白質等)、糖類(例えば、ブドウ糖、果糖、しょ糖、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、糖ミツ、甘草、セルロース等)、その他にクレゾールスルホン酸、β−ナフトール、ホルマリン、ハイドロキノン、アンストキノングリセリン、ポリエチレングリコール、ビニル化合物等を採用することができる。
また、電解液中に、電解重合反応を引き起こすモノマーを分散させ、集電体(カソード)上で、電気化学的に酸化または還元して、重合反応を起こし、金属スズ、或いはスズ合金粒子中に含有せしめることができる。還元側で重合が起こるモノマーを採用する場合は、金属スズ、或いはスズ合金の電析と同時にこれら粒子中に含有せしめることができ、酸化側で重合が起こるモノマーを採用する場合は、交流電界やパルス電界を用いることで、集電体側に含有せしめることができる。
電解酸化重合するモノマーとしては、例えば、ベンゼン環にアミノ基やヒドロキシル基を有する芳香族化合物(例えば、アニリンやフェノール等)、複素環式化合物(例えば、ピロール、フラン、チオフェン等)、2個あるいはそれ以上の縮合芳香環をもつ多環式炭化水素(例えば、アズレンやピレン等)、ジベンゾクラウンエーテル類やベンゼンなどが採用できる。
電解還元重合するモノマーとしては、例えば、ビニル基を有する化合物(例えば、ビニルピリジンやビニル−4−tertブチルベンゾエート、4−ビニル,1,シクロヘキサン、4−ビニル,1,シクロヘキサン1,2エポキシド、ビニルデカノエード、2−ビニル1,3ジオキソラン、1,ビニルイミダゾール、ビニルエオデカノエート、1,ビニル,2,2ピロリジノン、ビニルステアレート等)、アセチレンやアセチレン誘導体などが採用できる。
上記手法により、特に、O、S、Nを有する有機化合物をスズ、又はスズ合金を主材とした層内に含有せしめた場合、負極に用いた際の充放電効率をあげることができる。これは、上記の元素には、電子吸引性があるために、充電時のLiを安定化して、電解液との反応を抑制効果によると思われる。
また、電解液中に炭素材料を分散させることが好ましく、電解メッキ時に、金属スズ、或いはスズ合金粒子中、粒子間に含有せしめることができる。
その他、電解液中に、界面活性剤を分散させておくことが好ましく、特に、カチオン系の界面活性剤を添加することで、より効率的に炭素材料を金属スズ、或いはスズ合金粒子中、粒子間に含有せしめることができる。
当該カチオン系の界面活性剤としては、例えばペルフルオロヘキサン酸、デカン酸ナトリウム、硫酸デシルナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、硫酸ドデシル銅(II)、ドデシルスルホン酸ナトリウム、硫酸ヘキサデシルナトリウム、などを用いることができる。
電解メッキ時の電解液の温度は、0℃以上85℃以下が好ましい。
(アノード303)
電解反応中の対向電極となるアノード303の材質としては、金属スズ、もしくはスズ合金が好ましく、面積は、カソード面積に対して、0.1〜1の範囲とすることが好ましく、0.5〜1の範囲とすることがより好ましい。
アノード303とカソード302間距離は、2cm以上50cm以下とすることが好ましく、5cm以上30cm以下とすることがより好ましい。
(電源304)
電源は、アノードとカソード間に、直流電界、交流電界、パルス電界、あるいは、これらの組み合わせた電界、から選択される電界を印加できるものを用い、カソードの電流密度を、1mA/cm以上50mA/cm以下で処理できるものを好適に用いる。また、カソードとアノード間に印加する電圧は、0.05V以上10V以下で処理できるものが好ましい。
(攪拌)
電解メッキ時に、電解槽内の電解液を攪拌することで、均一な厚さ、且つピンホールの少ないスズ又はスズ合金からなる層を作製できる。
攪拌法としては、機械的方法とガスのバブリングによる方法がある。
機械的方法は、攪拌機(攪拌部材305)などによる直接電解液を攪拌する方法、もしくは、カソードやアノード自体を動かすことで行うことができる。
バブリングによる方法には、空気、窒素、水素、アルゴンなどを用いることができ、窒素や、アルゴンなど電解液の酸化を抑制できるものがより好適に用いられる。
2.化学メッキ
金属スズ、もしくはスズ合金から構成される層を、還元反応を利用した堆積反応(化学メッキ)工程により形成することもできる。化学メッキは、化学メッキ溶液中で被処理体である集電体を処理するものである。
当該化学メッキとしては、還元剤による還元析出を利用した還元形メッキが好ましく採用される。
還元形メッキは、還元性の強い三塩化チタン、次亜りん酸塩、ほう水素化物等を還元剤とするスズメッキであり、集電体である銅、ニッケル、鉄、スチール等の基材上に、上記の層を形成することができる。また、クエン酸、EDTA、二トリル三酢酸等を錯化剤として添加することで、メッキ液の安定性を改善することができる。
また、電気メッキと同様に、化学メッキ溶液中に、炭素元素、窒素元素、酸素元素、弗素元素、及び、硫黄元素、から選択される元素から構成された物質を分散させることで、化学メッキ時に、結果的に、金属スズ、或いはスズ合金粒子中、粒子間にこれら元素を含有せしめることができる。
3.蒸着法
集電体上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング法、などを利用して、金属スズ、もしくはスズ合金から構成される層を形成することもできる。
4.ペーストを塗布する方法
所定の粒径を有する金属スズ、もしくはスズ合金粒子をペースト化し、集電体上に金属スズ、もしくはスズ合金粒子により構成される層を形成することができる。少なくとも、平均粒径が0.5μm以上60μm以下の金属スズ、もしくはスズ合金粉末と、樹脂材料と、樹脂材料が可溶な溶媒を混合して、ペーストを調整し、そのペーストを集電体の片面もしくは両面に塗布した後に、乾燥することで、所望の層を得ることができる。
〔金属スズ、もしくはスズ合金粒子により構成される電極材料層を有する電極構造体を製造する系〕
図8に上述したような本発明の金属スズ、もしくはスズ合金粒子により構成される電極材料層を有する電極構造体を作製する系(装置)の概略図の一例を示す。同図に示す装置は、メッキ浴槽401、酸化物除去槽402、乾燥機403、水洗槽404、集電体送りロール407、から基本的には構成され、帯状の集電体406がロール407により各槽内を連続的に移動し、各槽で処理がされて、集電体406上に金属スズ、もしくはスズ合金粒子により構成される層が形成される。
メッキ浴槽401には、液循環装置405を設けて、メッキ液中に生じる沈殿物等を除去することが好ましい。
メッキ浴槽401には、電源409と対向電極408が設けられているが、図7に示したものから構成され、本槽において、集電体406上に金属スズ、もしくはスズ合金粒子から構成される層が形成される。
図8に示す装置では、集電体406上に上記の層を形成した後に、酸化物除去槽402内で上記の金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層を処理し、その表面の酸化物を除去する。酸化物は、アルカリ性或いは酸性の水溶液中で処理することで除去できる。処理溶液として、例えば、第三りん酸ナトリウム溶液が用いられる。
メッキ浴槽401と酸化物除去槽402の各工程後に水洗槽404が設けられ、金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層を十分に洗浄して、メッキ液や酸化物除去に用いる溶液を取り除くことが好ましい。
また、最終工程として、集電体406を乾燥機407内で処理する。この工程は、乾燥工程での集電体やメッキ層の酸化を防ぐために、真空下、或いはアルゴンガス、窒素ガスなど、酸化し難い雰囲気下で行うことが好ましい。
更には、金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層をプレスする工程を設けることが好ましい(図示せず)。プレス工程により、主成分が金属スズ、もしくはスズ合金から構成される層の厚さの均一化、密度、空隙率、表面の凹凸をより精度良く制御することができる。
〔金属スズ、もしくはスズ合金を主材とした層の性能〕
以上のようにして得られた金属スズ、もしくはスズ合金粒子を主材とした層(電極材料層)を有する電極構造体を、二次電池、特にリチウム二次電池の負極して用いた場合、初期充放電、少なくとも1〜3サイクルの充放電反応を経ても電極材料層には亀裂が生じない。
尚、本発明では、電極材料層における“亀裂”として、走査型電子顕微鏡(SEM)での層表面の観察において、溝の幅が1μm以上である亀の甲状に生じたものとする。
図9(a)と(b)に、充放電時に、電極構造体(負極)において電極材料層に亀裂が発生しない場合と、発生する場合の想定したメカニズムを模式的に示す。図9において、電極構造体10は、図1に示すものと基本的には同様の構造であり、同図では、主材となる粒子101は、金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる。ここで、当該電極構造体は、リチウム二次電池の負極として用いられ、リチウムをインターカレートした正極(図示せず)と対向している。
図9(a)及び(b)は、主材の金属スズ、もしくはスズ合金粒子101の平均粒径が比較的大きく層102内で最適な大きさで空隙111が形成されている場合の例であり、同図(c)及び(d)は主材の金属スズ、もしくはスズ合金粒子101の平均粒径が比較的小さく且つ粒子101が緻密に充填されており層102内での空隙112の領域が極めて小さい場合の例であり、(a)及び(c)が充電前の電極の状態、(b)及び(d)が充電後の状態を示す。
充電時には、電解質もしくは電解液中からリチウムイオンが、層102内の粒子101に取り込まれ、粒子101の体積が大きくなり、層102の体積が膨張する。
ここで、(a)の場合には、空隙111により充電による粒子101の体積変化が充分に緩和され、層102全体での歪みは低減でき、亀裂は発生しない。一方、(b)の場合では、粒子101が緻密に詰まっており、層102内の空隙111が小さく、空隙率が小さくなり、充電による粒子101の体積変化に伴って層102に歪みが生じ、亀裂112が生じる。亀裂が発生すると、金属スズ、もしくはスズ合金粒子からなる層が、集電体から剥がれたり、更に充放電サイクルを繰り返すと微粉化するために、電極のインピーダンスが上昇し、電池サイクル寿命の低下を招く。
本発明の電極構造体では、集電体上の平均粒径が0.5μm〜60μmの範囲の粒子を該層の35重量%以上を占める主材として含有する層(第一の層)上に、更に無機材料80〜98重量%及び有機高分子材料2〜20重量%からなる第二の層を設けることが好ましい。
図10に、上述した第一及び第二の層を有する電極構造体の断面構造を模式的に示す。同図に示す電極構造体11によれば、集電体100上に、前述した図1に示す層102と同様の構成の平均粒径が0.5μm〜60μmの範囲の主材粒子の35重量%以上を含有する第一の層102’上に、更に無機材料113(80〜98重量%)及び有機高分子材料114(2〜20重量%)からなる第二の層112が設けられている。
上記電極構造体11では、より好ましくは、第一の層102’の主材の20℃におけるバルク状態の比抵抗を集電体100の材料の比抵抗より高くし、且つ第二の層112の無機材料113の20℃におけるバルク状態の比抵抗を、上記第一の層102’の主材の20℃におけるバルク状態の比抵抗より高く設定、特に好ましくは電極構造体を二次電池の負極に用いた際の充電前の初期状態又は実質的な放電時(具体的には容量の95%以上の電気量が放電された状態を設定したとき)において、上記比抵抗の関係となるような第一層102’及び第二層112を設ける。
この場合、当該電極構造体11を、負極の活物質がリチウムまたは亜鉛であるリチウム二次電池又は亜鉛二次電池(リチウムまたは亜鉛の酸化還元反応を利用した電池)の負極に用いた際、充電時には、上記第二の層112を浸透するリチウムイオンまたは亜鉛イオンが集電体に近い上記第一の層102’で還元され析出が起き、さらに上記第二の層112の比抵抗が高いので、上記第一の層102’の活物質保持量を越えるまでは、上記第二の層112に析出は起こらない。上記第二の層112の比抵抗が低いとすると、充電時において第一の層102’で活物質が析出し第二の層112に到達した後、上記第二の層112に析出し始め、充放電の繰り返しによって、上記第二の層112から充電時に析出する活物質がデンドライト状に成長し、条件によっては負極と正極間の内部短絡を引き起こす可能性が考えられる。このような理由から、上記電極構造体では、特に負極活物質がリチウムまたは亜鉛の二次電池の負極とした場合、充電時の活物質のデンドライト状の成長が抑制される。また、充電時に負極活物質が第一の層102’に保持され、放電時に第一の層102’から負極活物質が放出され、充放電の繰り返しで上記第一の層102’が膨張収縮が繰り返され疲労のため破壊が起きたとしても、第二層112が第一層102’の脱落を阻止することができる。その結果、サイクル寿命の長いリチウム二次電池または亜鉛二次電池を実現することができる。
上記第一102’及び第二の層112を有する電極構造体では、第二の層112を無機材料80〜98重量%と有機高分子材料2〜20重量%からなる点でも特徴的である、こうして、電極構造体を二次電池の負極に適用した際の充放電時の負極の膨張収縮にも追随でき、充放電の繰り返しによる材料疲労で第二の層112は破壊されることなく負極の第一の層102’を被覆し続けることができる。
上記第二の層112の無機材料のバルクの20℃の比抵抗は1×10−4〜1×10Ω・cmの範囲とすることが好ましく、1×10−4〜1×10Ω・cmの範囲とすることがより好ましい。前述の第一の層の主材のバルクの20℃の比抵抗(電気抵抗率)の好ましい範囲(1×10−6〜1×10Ω・cm)を考慮して、第二の層の比抵抗を第一の層より高めることで、充電時に活物質が負極第二層表面に析出するのが有効に抑えられる。
当該第二の層112の厚みを好ましくは、1μm以上30μm以下にすることによって、第一の層102’の表面の凹凸を第二の層112で均一に被覆し、充電時に上記負極における第一の層102’に保持される活物質量を多くできるように確保し、体積当たりの電池容量の大きな二次電池を作製することが可能になる。電池の容量をさらに増すためには、上記第二の層112の厚みを5μm以上20μm以下することがより好ましい。
上記電極構造体では、リチウム二次電池もしくは亜鉛二次電池の負極として適用された際に、特に充電前において、上記第一の層102’の比抵抗が、集電体100の材料の比抵抗の10倍以上であることが好ましく、上記第二の層112の比抵抗が、上記第一の層102’の比抵抗の10倍以上であることが好ましい。この設定により、特にリチウム二次電池では、充放電に伴うリチウムもしくは亜鉛のデンドライト析出が抑えられ、電池の寿命が向上する。
上記電極構造体の第二の層112を構成する無機材料としては、例えば、非晶質炭素や黒鉛などを含めた炭素材料、金属酸化物、金属ホウ化物、金属窒化物、金属炭化物、から選択される一種類以上の材料を用いることができる。上記金属酸化物の例としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、から選択される一種類以上の金属酸化物が挙げられる。
上記電極構造体の第二の層112を構成する有機高分子材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデンや手取れフルオロエチレンポリマー等のフッ素樹脂、ポリオレフィン、セルロース等を用いることができる。
上記電極構造体の第二の層112は、例えば主材となる無機材料の主材80重量%以上98重量%以下と結着剤となる有機高分子材2重量%以上20重量%以下とを混合し上記有機高分子材の溶剤を添加した後、ペースト状混合物を調製して前記集電体100上に形成された第一の層102’の上にこのペーストを塗布することで得ることができる。また、有機高分子材の溶剤を添加することなく上記主材と第一の層102’で用いたような導電補助材と有機高分子材を、集電体上に加圧成形して、第一の層102’を形成することも可能である。
以上述べてきたような電極構造体を電極として用い二次電池が形成される。特に本発明の二次電池では、前述した電極構造体を、充電時にリチウムあるいは亜鉛のようなデンドライト状に析出し易い材料の酸化還元反応を利用する、高エネルギー密度の二次電池、すなわちリチウム二次電池、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、臭素亜鉛電池、などの負極に適用することによって、長寿命化を実現することが可能に成る。
本発明の二次電池の具体例を、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の二次電池の断面構成の一例を示す模式図である。負極411及び正極412がセパレータ及び電解質(電解液)413を介して対向配置され、これら部材が電槽(電池ハウジング)414内に収容されている。負極411及び正極412のいずれかにおいて、特にリチウム二次電池又は亜鉛二次電池では負極411に、前述した図1又は図10に示す構造の電極構造体が適用される。負極端子415は負極411に接続して外部に突出しており正極端子416は正極412に接続して外部に引き出されている。
次に、リチウム二次電池、亜鉛二次電池の場合を例として、負極(図11の401)以外の部材の態様について説明する。
〔正極〕
本発明の二次電池における正極(図11に示す412)は、集電体、正極活物質、導電補助材、結着剤、などから構成されたものである。この正極は、例えば、正極活物質、導電補助材、及び結着剤などを混合したものを、集電体の表面上に成形して作製される。
正極に使用する導電補助剤としては、黒鉛、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどのカーボンブラックと呼ばれる非晶質炭素、ニッケルなどの金属微粉末などが挙げられる。正極に使用する結着剤としては、例えば、リチウム二次電池のように電解液が非水溶媒系の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、又はポリフッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレンポリマーのようなフッ素樹脂が挙げられる。亜鉛二次電池のように電解液が水溶液系の場合には、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニールが挙げられる。
負極活物質としてリチウムを用いるリチウム二次電池では、正極活物質をして、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウム−遷移金属酸化物、又はリチウム−遷移金属硫化物が用いられる。かかる遷移金属酸化物や遷移金属硫化物の遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y,ランタノイド,アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属であるTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuが好適に用いられる。
負極活物質として亜鉛を用いるニッケル亜鉛電池では、正極活物質として、好ましくは水酸化ニッケルを用いる。
負極活物質として亜鉛を用いる空気亜鉛電池では、正極活物質としては酸素を用いるが、正極部材としては集電体と触媒と撥水材から構成されている。触媒としては、例えば、多孔質炭素、多孔質ニッケル、酸化銅、酸化ニッケルが用いられる。撥水材としては、多孔質のテトラフルオロエチレンポリマーやポリフッ化ビニリデンのようなフッ素樹脂が用いられる。
負極活物質として亜鉛を用いる亜鉛臭素電池では、正極活物質としては臭素を用いる。
〔正極の集電体〕
本発明における正極の集電体(図11では明示せず)は、充電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは放電時の発生する電流を集電する役目を担っている。したがって、正極の集電体を形成する材料としては、電導度が高く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質としては、ニッケル、鉄、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、白金、金、パラジウムから選択される一種類以上の材料から成るが挙げられる。ただし、亜鉛負極の二次電池では上記材料の内、アルミニウムがアルカリの電解液に溶解するのでそのままでは使用できないので、他の金属で被覆するか合金にして使用するのが好ましい。集電体の形状としては、例えば、板状、箔状、メッシュ状、スポンジ状、繊維状、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどの形状が採用できる。
〔セパレータ/図11に示す413〕
本発明の二次電池において用いるセパレータは、負極と正極の短絡を防ぐ役割がある。また、電解液の保持する役割を有する場合もある。
セパレータは、二次電池でのリチウムイオンまたは水素イオンと水酸イオンが移動できる細孔を有し、かつ、電解液に不溶で安定である必要がある。したがって、セパレータとしては、例えば、ガラス、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリアミドなどの材料であって、好ましくは不織布あるいはミクロポア構造の形態で好適に用いられる。また、微細孔を有する金属酸化物フィルム、又は金属酸化物を複合化した樹脂フィルムも使用できる。特に、多層化した構造を有する金属酸化物フィルムを使用した場合には、デンドライトが貫通しにくいため、短絡防止に効果がある。難燃材であるフッ素樹脂フィルム、又は、不燃材であるガラス、若しくは金属酸化物フィルムを用いた場合には、より安全性を高めることができる。
〔電解質/図11に示す413〕
本発明における電解質の使用法としては、次の3通りが挙げられる。
(1)そのままの状態で用いる方法。
(2)溶媒に溶解した溶液として用いる方法。
(3)溶液にポリマーなどのゲル化剤を添加することによって、固定化したものとして用いる方法。
一般的には、溶媒に電解質を溶かした電解液を、多孔性のセパレータに保液させて使用する。
本発明で用いる電解質の導電率(イオン伝導率)は、25℃における値として、好ましくは1×10−3S/cm以上、5×10−3S/cm以上であることが必要である。
負極活物質がリチウムであるリチウム電池では、電解質としては、例えば、HSO、HCl、HNOなどの酸、リチウムイオン(Li)とルイス酸イオン(BF 、PF 、ClO 、CFSO (Ph:フェニル基))から成る塩、およびこれらの混合塩、が用いれられる。また、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、などの陽イオンとルイス酸イオンからなる塩も使用できる。上記塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行っておくことが望ましい。
上記電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、又は、これらの混合液が使用できる。
上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水するか、溶媒によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのがよい。
負極活物質が亜鉛であるニッケル亜鉛電池や空気亜鉛電池では、例えば、アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)が使用される。負極活物質が亜鉛である臭素亜鉛電池では、臭化亜鉛などの塩が使用される。亜鉛二次電池の上記電解質の溶媒には、水を使用する。
電解液の漏洩を防止するために、電解質をゲル化することが好ましい。ゲル化剤としては電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどのポリマーや、デンプンが用いられる。
〔電池の形状と構造〕
本発明の二次電池の具体的な形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方体形、シート形などがある。又、電池の構造としては、例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。その中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極と正極の間にセパレータを挟んで巻くことによって、電極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことができるという特徴を有する。また、直方体形やシート形の電池は、複数の電池を収納して構成する機器の収納スペースを有効に利用することができる特徴を有する。
以下では、図12、図13、図14を参照して、電池の形状と構造についてより詳細な説明を行う。図12は単層式扁平形(コイン形)電池の断面図であり、図13はスパイラル式円筒型電池の断面図を、図14は直方体形電池の断面構造を表している。これらのリチウム電池の基本的には図11と同様な構成で、負極、正極、電解質・セパレータ、電池ハウジング、出力端子を有する。
図12、図13、図14において、501と603と701は負極、503と606と703は正極、505と608と705は負極端子(負極キャップまたは負極缶)、506と609と706は正極端子(正極缶または正極キャップ)、507と607と707はセパレータ・電解液、510と610はガスケット、601と700は負極集電体、604は正極集電体、611は絶縁板、612は負極リード、613は正極リード、614と714は安全弁で、709は電池ハウジング(電槽)である。
図12に示す扁平型(コイン型)の二次電池では、正極材料層を含む正極503と負極材料層を備えた負極501が少なくとも電解液を保持したセパレータ507を介して積層されており、この積層体が正極端子としての正極缶506内に正極側から収容され、負極側が負極端子としての負極キャップ505により被覆されている。そして正極缶内の他の部分にはガスケット510が配置されている。
図13に示すスパイラル式円筒型の二次電池では、正極集電体604上に形成された正極(材料)層605を有する正極と、負極集電体601上に形成された負極(材料)層602を有した負極603が、少なくとも電解液を保持したセパレーター607を介して対向し、多重に巻回された円筒状構造の積層体を形成している。当該円筒状構造の積層体が、負極端子としての負極606内に収容されている。また、当該負極缶606の開口部側には正極端子としての正極キャップ609が設けられており、負極缶内の他の部分においてガスケット610が配置されている。円筒状構造の電極の積層体は絶縁板611を介して正極キャップ側と隔てられている。正極606については正極リード613を介して正極キャップ609に接続されている。又負極603については負極リード612を介して負極缶608と接続されている。正極キャップ側には電池内部の内圧を調整するための安全弁614が設けられている。
以下では、図12や図13に示した電池の組み立て方法の一例を説明する。
(1)負極層(501、601)と成形した正極層(503、603)の間に、セパレータ(507、607)を挟んで、正極缶(506)又は負極缶(608)に組み込む。
(2)電解質を注入した後、負極キャップ(505)、正極キャップ(609)とガスケット(510、610)を組み立てる。
(3)上記(2)を、かしめることによって、電池は完成する。
尚、上述した二次電池の材料調製、および電池の組立は、リチウム二次電池の場合、水分が十分除去された乾燥空気中、又は乾燥不活性ガス中で行うのが望ましい。
図14の直方体電池の例では、負極701/電解液を含有したセパレーター707/正極703からなる単位セルをセパレーターを介して複数個重ね、並列接続されており、これらが電池ケース709(電槽)内に収容されている、負極701は負極端子705に、正極703は正極端子706に接続されている、また当該二次電池には後述するような安全弁714が設けられている。
以下では、図14に示した電池の組み立て方法の一例を説明する。
(1)負極701とセパレーター707と正極703からなる単位セルをセパレーターを介して複数個重ね集電体を通じて並列接続した後、電槽709に組み込む。
(2)負極端子705、正極端子706、集電体402を接続した後、電解質を注入する。
(3)電槽709の蓋を施し密閉することで電池を完成する。
上述した二次電池の例における部材の態様について説明する。
(ガスケット)
ガスケット(510、610)の材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、各種ゴムが使用できる。電池の封口方法としては、図12と図13のようにガスケットを用いた「かしめ」以外にも、ガラス封管、接着剤、溶接、半田付けなどの方法が用いられる。
また、図13の絶縁板(611)の材料としては、各種有機樹脂材料やセラミックスが用いられる。
(電池ハウジング/正極缶、負極缶、正極キャップ、負極キャップ)
本発明の二次電池で各部材を収容する電池ハウジングは、図12及び図13に示す例では、電池の各電極端子と正極缶及び負極キャップ、負極缶及び正極キャップ等を兼用する。
図12に示す例では正極缶506及び負極キャップ505が、図13に示す例では、負極缶608及び正極キャップ609が、夫々出入力端子を兼ねる電池ハウジングとなる。出入力端子を兼ねる電池ハウジングの材料としては、ステンレススチールが好適に用いられる。特に、チタンクラッドステンレス板や銅クラッドステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが多用される。
特に図12に示す例では正極缶506、図13に示す例では負極缶608が電池ハウジングを兼ねているため、上記のステンレススチールが好ましい。
一方、図14に示す例のように電池ハウジングが正極缶ないし負極缶を兼用しない場合(電極端子を兼用しない場合)には、電池ハウジングの材質としては、ステンレススチール以外にも亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチック、又は金属若しくはガラス繊維とプラスチックの複合材が挙げられる。
(安全弁)
本発明の二次電池には、電池の内圧が高まった時の安全対策として、安全弁(図13に示す例では614、図14に示す例では714)が設けられることが好ましい。安全弁としては、例えば、ゴム、スプリング、金属ボール、破裂箔などが使用できる。
尚、上述してきたような電極構造体及び電池の材料、部材について、リチウム二次電池に用いるものについては、脱水を充分に行なったものを使用することが好ましい。これら部材により電極構造体、電池を作製する段階についても十分に水分を除去した雰囲気下で行うことが好ましい。また、各種材料の取り扱いに使用する溶媒の脱水は重要である。使用する溶媒の脱水反応としては、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウム等を用いて脱水する方法を採用することができる。また、溶媒の種類によっては、不活性ガス中で、アルカリ金属共存下で蒸留することにより、不純物除去とともに脱水を行うことも可能である。
一方、亜鉛二次電池の作製の場合では、上記材料、部材の脱水については、特に必要はない。
以下、参考例及び実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1〕
図1に示す断面構造の電極構造体を、以下の手順で作製した。
集電体100として厚み18μmの銅箔をとし、アセトン、及びイソプロピルアルコール中で脱脂洗浄した後に、乾燥した。
上記の集電体100をカソード、スズ板をアノードとし、カソードとアノード間を6cmとし、下記組成の電解液中、液温25℃で、攪拌を行いながら、カソードとアノード間に直流電界を印加して、カソード電流密度を、10mA/cmとし、20C/cm通電して、金属スズから構成される層102を形成した。なお、この時のカソードとアノード間の電圧は1Vであった。
電解液組成
硫酸第1スズ 40g/l
硫酸 60g/l
ゼラチン 2g/l
溶媒は水を用いた。
水洗した後に、60g/l、NaPO・12HOを溶解した水溶液中で、60℃の液温で、60秒間、処理した後に、水洗し、150℃で減圧乾燥し電極構造体を完成した。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、30μmであった。
図17〜20は、作製した電極構造体表面、即ち金属スズから構成される層102のSEM写真である(図17は倍率200倍、図18は倍率1000倍、図19は倍率3000倍、図20は倍率20000倍)。これらの顕微鏡写真によれば、本参考例の電極構造体では、平均粒径25μm程度のスズ粒子が均一に形成されていることがわかった。
参考例2〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液中のゼラチン量を2g/lから20g/lに変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、20μmであった。
参考例3〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液を、下記組成の市販の無光沢スズメッキ液(商品名:リードSB)に変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
電解液組成
リードSコンク 55ml/l
リードSB 30ml/l
リードアシッド 180ml/l
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、18μmであった。
参考例4〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液を、下記組成のピロリン酸すず電解液を用いて、カソード電流密度を、5mA/cmとして電解メッキを行い、これらを変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
ピロリン酸すず電解液組成
硫酸第1スズ 10g/l
ピロリン酸カリウム 40g/l
ポリエチレングリコール4000 1g/l
ホルマリン 0.3ml/l
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、15μmであった。
参考例5〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液を、下記組成の電解還元重合するモノマーである4−ビニルピリジンを含む電解液に変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
電解液組成
硫酸第1スズ 40g/l
硫酸 60g/l
4−ビニルピリジン 10ml/l
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、50μmであった。
参考例6〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液を、下記組成の電解酸化重合するモノマーであるアニリンとフランを含む電解液に変更し、交流パルス電界を用いて、金属スズから構成される層102を形成した。
尚、パルス電界は、集電体100側の電流密度が10mA/cm、交流パルス幅がt(還元)/t(酸化)=1/3(t:集電体上での時間)の条件で、集電体側のカソード電気量が20C/cmまで通電して、金属スズから構成される層102を形成した。他の条件は、参考例1と同様にした。
電解液組成
硫酸第1スズ 40g/l
硫酸 60g/l
アニリン 5ml/l
フラン 5ml/l
溶媒は、水とエタノールの1:1(体積比)混合液
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、30μmであった。
参考例7〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液を、下記組成のカーボン粉末(グラファイト化メソフェーズ小球体)と界面活性剤(ペルフルオロヘキサン酸)を含む電解液に変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
電解液組成
硫酸第1スズ 40g/l
硫酸 60g/l
ゼラチン 2g/l
カーボン粉末 20g/l
界面活性剤 0.5ml/l
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、40μmであった。
参考例8〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液として下記組成の電解液を用いて液温45℃で、電解メッキを行ってスズ−銀合金から構成される層102を形成した。その他の条件は参考例1と同様にした。
電解液組成
0.54mol/l
KI 2.0mol/l
SnCl・2HO 0.195mol/l
AgCl 0.005mol/l
溶媒は水を用いた。
マイクロメーターで測定したスズ合金から構成される層102の厚みは、28μmであった。また、X線マイクロアナライザー(XMA)で測定したSnとAgの元素比率は、Sn:Ag=7:3であった。
参考例9〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順において、下記組成の電解液を用いて電解メッキを行って、スズ−アンチモン合金から構成される層102を形成した。その他の点は参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
電解液組成
ほうふっ化第1すず(%) 100/l
ほうふっ化アンチモン(%) 30/l
ほうふっ化水素酸(%) 50/l
ほう酸 25g/l
ハイドロキノン 0.2g/l
溶媒は水を用いた。
得られたスズ合金から構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、17μmであった。また、X線マイクロアナライザー(XMA)で測定したSnとSbの元素比率は、Sn:Sb=8:2であった。
参考例10〕
本例では、図1に示す構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順において、下記組成の溶液中で、液温70℃で、10分間処理して、集電体100上に、金属スズから構成される層102を形成した。その他の点は参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
化学すずメッキ溶液組成
クエン酸ナトリウム 0.34mol/l
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム 0.04mol/l
塩化スズ 0.04mol/l
三塩化チタン 0.029mol/l
酢酸ナトリウム 0.12mol/l
ベンゼンスルフォン酸 0.32g/l
pH 9
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ、15μmであった。
参考例11〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順における電解液中の硫酸量を60g/lから20g/lに変更した以外は参考例1と同様にして電極構造体を作製した。マイクロメーターで測定した金属スズから構成される層102の厚みは、33μmであった。
参考例12〕
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順において、下記組成の電解液を用いて電解めっきを行って、スズ−インジウム合金から構成される層102を形成した。
その他の点は参考例1と同様にして電極構造体を作製した。マイクロメーターで測定したスズ−インジウムから構成される層102の厚みは、28μmであった。また、X線マイクロアナライザー(XMA)で測定したSnとInの元素比率は、Sn:In=9:1であった。
電解液組成
硫酸スズ 40g/l
硫酸インジウム(III)(n水和物) 20g/l
硫酸 60g/l
ゼラチン 2g/l
溶媒は水を用いた。
参考例13〕
本例では、スズ粉末を用いて、以下の手順で図1に示す構造の電極構造体を作製した。
スズ粉末(600メッシュ以下、純度99.7%)とアセチレンブラック3重量%と結着剤のカルボキシメチルセルロース2重量%を混合し、水と共に混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、スズ粉末から構成される電極材料層102を50μmの厚みに形成し、150℃で減圧乾燥して電極構造体を完成した。
参考例14〕
本例では、スズ粉末を用いて、以下の手順で図1に示す構造の電極構造体を作製した。
スズ粉末(600メッシュ以下、純度99.7%)75重量%とグラファイト20重量%アセチレンブラック3重量%と結着剤のカルボキシメチルセルロース2重量%を混合し、水と共に混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、スズ粉末から構成される電極材料層を50μmの厚みに形成し、150℃で減圧乾燥して電極構造体を完成した。
〔実施例
本例では、シリコン粉末とスズ粉末とインジウム粉末を用いて、以下の手順で図1に示す構造の電極構造体を作製した。
シリコン粉末とスズ粉末とインジウム粉末を用いて、以下の手順で作製した。
ふっ酸により表面の酸化物除去したシリコン粉末(平均粒径5μm、純度98%)30重量%とスズ粉末(600メッシュ以下、純度99.7%)50重量%とインジウム粉末(325メッシュ以下、純度99.9%)15重量%とアセチレンブラック3重量%と結着剤のカルボキシメチルセルロース2重量%を混合し、水と共に混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、シリコン、スズ、インジウムからなる電極材料層を50μmの厚みに形成し、150℃で減圧乾燥して電極構造体を完成した。
参考例15
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の電極構造体の作製手順において、下記組成の電解液を用い電解めっきを行うことを除いて参考例1と同様にして、インジウムから構成される電極材料層102を形成した。
マイクロメーターで測定した金属インジウムから構成される層102の厚みは、30μmであった。
電解液組成
硫酸インジウム(III)(n水和物) 20g/l
硫酸 60g/l
ゼラチン 2g/l
溶媒は水を用いた。
〔参考例16
金属スズ箔(高純度化学製:厚さ100μm)を電極構造体とした。
〔参考例17
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の負極の作製手順において、ゼラチンを添加しなかった点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ80μmであった。
〔参考例18
本例では、図1に示す断面構造の電極構造体を作製した。
参考例1の負極の作製手順において、電解液を、下記組成の市販の光沢剤(ティングローコーモスターターコンク)を加えた電解液に変更した点を除いて、参考例1と同様にして電極構造体を作製した。
電解液組成
硫酸第1すず 40g/l
硫酸 60g/l
ティングローコーモスターターコンク 40ml/l
溶媒は水を用いた。
得られた金属スズから構成される層102の厚みをマイクロメーターで測定したところ15μmであった。
〔参考例19
スズ粉末を用いて、以下の手順で電極構造体を作製した。
スズ粉末(高純度化学研究所製アトマイズ粉)と結着剤のポリフッ化ビニリデン10重量%を混合し、N−メチル−2−ピロリドンと共に混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、スズ粉末層を80μmの厚み形成し、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
〔電極構造体の分析〕
以下の分析を行った。
密度
実施例、及び参考例1〜19で作製した電極構造体のマイクロメーターで測定した電極材料の層の厚みと、測定した重量からスズ、或いはスズ合金層の密度を計算した。
空隙率
実施例及び参考例1〜19で作製した電極構造体の層102の空隙率を求めた。空隙率は、層の密度が、主材金属の密度(ag/cm)の時を0とし、(a−層の密度)/aより求めた値とした。例えば、スズが主材の場合は、金属スズの密度(7.29g/cm)の時を0とし、(7.29−層の密度)/7.29より求めた値とした。また、合金が主材の場合合金組成によって、あるいは複数種の金属材料粉末を用いる場合複数種の金属粉末の比率によって主材密度を決定し、上記式より空隙率を求める。
平均粒子径
実施例、及び参考例1〜15、16〜19で作製した電極構造体の層102について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果からスズ、或いはスズ合金の平均粒子径を調べた。
表面の凹凸の山と谷の高さ
実施例、及び参考例1〜19で作製した電極構造体の層102の表面を、α−STEPで測定して(直径5μmの針をL=400μmの間隔スイープ)、当該表面の凹凸の山と谷の高さ(表面粗さ)を求めた。ここで、表面粗さは、その時の最大の高さから最小高さを差し引いた値とした。
X線回折
実施例、及び参考例1〜4、11、16、17、19で作製した電極構造体においては、線源にCuKαを用いたX線回折(XRD)測定を行った。
図16は、実施例、及び参考例1〜4、11、16〜18で作製した電極材料層のXRD回折ピークである。図16より、参考例1〜3は、ミラー指数が(200)面(2θ=30.6°±1.0°)に配向性を有しており、参考例4は、ミラー指数が(101)面(2θ=32.0°±1.0°)とミラー指数が(112)面(2θ=62.5°±1.0°)に配向性を有しており、参考例11は、ミラー指数が(200)面とミラー指数(101)面とミラー指数(211)面(2θ=44.9°±1.0°)に配向性を有しているが、参考例16、17、19は配向性を有していないことがわかった。
また、前述したScherrerの式を用いて、参考例1〜4、16、17で作製した電極構造体の層102における材料の結晶子の大きさを求めた。
下記表1は、上述したような実施例、及び参考例1〜19で作製した電極構造体における上記分析結果についてまとめたものである。
Figure 0004227581
表1より、実施例1、及び参考例1〜15で作製した電極構造体の層102では、本発明において好ましい範囲として規定した空隙率(0.10〜0.86)、密度(1.00g/cm〜6.56g/cm)を有しており、且つ、本発明において好ましい範囲として規定した平均粒径(0.5μm〜60μm)を有しており、且つ、本発明において好ましい範囲として規定した表面粗さ(1μm〜60μm)を有していることがわかった。
また、特に参考例1〜4、11の電極構造体の層102では、結晶子の大きさが10〜50nmの範囲であることがわかった。
更に、参考例1〜4の電極構造体の層102では、配向性に関してXRDピークにおける最も強度の強い第一ピークと第二ピークの強度比I(第一ピーク)/I(第二ピーク)が2倍以上であった。
元素分析
参考例1〜2、5〜7、17で作製した電極構造体の層102について、X線光電子分光法(XPS:X−ray photoelectron spectroscopy)により、各元素比率を求めた。
下記表2は、参考例1〜2、5〜7、17で作製した電極構造体における層102の各元素比率をまとめたものである。
Figure 0004227581
表2より、メッキ電解液中に、ゼラチン(参考例1と2)や電解重合可能な有機物(参考例5と6)と参考例17で作製した電極構造体の分析結果より、Sn元素以外に、CとN元素の割合が増加していることが認められる。これらの元素は、添加した有機物の構造に含まれるており、メッキ時に取り込まれたと思われる。
また、参考例5〜7の電極構造体の分析結果から、電解重合可能な4−ビニルピリジンやアニリンとフラン、もしくはカーボンを添加することで、Cの割合が増加することがわかった。
更に、表3は、参考例1〜2で作製した電極構造体表面をアルゴンガスで30分間エッチングした後のXPS測定より求めた各元素比率をまとめたものである。
Figure 0004227581
表2と3より、参考例1〜2で作製した電極構造体表面をアルゴンで30分間エッチングすることでSn元素に対するC、O、N元素の比率が低減することがわかった。従って、参考例1〜2で作製した負極においては、C、O、N元素が負極表面に多く存在することがわかった。
〔二次電池の作製〕
参考例20
本例では、図13に示した断面構造のAAサイズ(13.9mmφ×50mm)のリチウム二次電池を作製した。以下では、図13を参照して、電池の各構成物の作製手順と、電池の組み立てについて負極の作製から説明する。
(1)負極603の作製手順
参考例1で作製した電極構造体を、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
(2)正極606の作製手順
〔1〕電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−マンガン酸化物85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%とポリフッ化ビリニデン粉10wt%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを添加した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔(集電体604)に塗布乾燥した後、ロールプレスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層の厚み90μmの電極構造体を作製した。
〔4〕次いで、〔3〕で得られた電極構造体を所定の大きさに切断し、アルミニウム線のリードをスポット溶接で上記集電体に接続し、正極606を得た。
(3)電解液607の調製手順
〔1〕十分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合した溶媒を調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用いた。
(4)セパレータ607
〔1〕ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。
(5)電池の組み立て
組み立ては、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰囲気下で全て行った。〔1〕負極603と正極606の間にセパレータ607を挟み、セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレータの構成になるようにうず巻き状に巻いて、チタンクラッドのステンレススチール材の負極缶608に挿入した。
〔2〕次いで、負極リード612を負極缶608の底部にスポット溶接で接続した。負極缶の上部にネッキング装置でくびれを形成し、ポリプロピレン製のガスケット610付の正極キャップ609に正極リード613をスポット溶接機で溶接した。
〔3〕次に、電解液を注入した後、正極キャップをかぶせ、かしめ機で正極キャップと負極缶をかしめて密閉し電池を作製した。
尚、この電池は正極の容量を負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とした。
参考例21
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例2で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例22
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例3で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例23
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例4で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例24
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例5で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例25
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例6で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例26
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例7で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例27
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例8で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例28
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例9で作製した電極構造体ものを用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例29
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例10で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例30
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例11で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例31
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例12で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例32
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例13で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例33
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例14で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例21と同様の手順で二次電池を作製した。
〔実施例
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に実施例で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例22と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例34
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例15で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例23と同様の手順で二次電池を作製した。
参考例35
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
参考例1の手順に加えて、更に以下の工程を加えて作製した図10に示すような構造の電極構造体を負極として用いた点を除いて参考例20と同様の手順で電池を作製した。
球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビリニデン粉10重量%を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加し調製したペーストを、金属スズから構成される層102の上に、塗布、乾燥し、図10に示すように第一の層102’上に第二の層112を10μmの厚み形成し、150℃で減圧乾燥して作製した。
参考例36
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
参考例1の手順に加えて、更に以下の工程を加えて作製した図10に示すような構造の電極構造体を負極として用いた点を除いて参考例20と同様の手順で電池を作製した。
γ−ブチロラクトンにポリフッ化ビリニデンを10重量%の濃度溶解し、オートクレーブ中、90℃に加熱して、冷却することでゲル化した。このゲル中に球状黒鉛粉をポリフッ化ビニリデン重量に対して9倍量添加して調製したペーストを、金属スズから構成される層101の上に、塗布、乾燥後、プレスを行い第二の層103を10μmの厚み形成し、150℃で減圧乾燥して作製した。
〔参考例37
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例16で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
〔参考例38
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例17で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
〔参考例39
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例18で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
〔参考例40
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
負極に参考例19で作製した電極構造体を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で二次電池を作製した。
〔参考例41
本例では、図6に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。
以下のように作製した負極を用いた点を除いて参考例20と同様の手順で電池を作製した。すなわち、負極以外は参考例20と同じものを用いた。
(負極の製造方法)
カーボン(グラファイト化メソフェーズ小球体、平均粒径6μm)90重量%と結着剤のポリフッ化ビニリデン10重量%を混合し、N−メチル−2−ピロリドンと共に混練して得たペーストを、コーターを用いて厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥して、カーボン層を80μmの厚み形成し、150℃で減圧乾燥して負極を作製した。
〔二次電池の性能評価〕
実施例および参考例20〜41で作製した二次電池の性能について、下記条件の充放電サイクル試験にて評価した。
また、実施例および参考例20〜41で作製した二次電池については、3サイクル放電状態で試験を止めて、電池を解体して、負極を取り出し、負極表面をSEMにより観察して、表面の亀裂の有無および、細孔の有無も調べた。尚、負極の表面(電極材料層の表面)における“亀裂”として、走査型電子顕微鏡(SEM)での層表面の観察において、溝の幅が1μm以上である亀の甲状に生じたものとする。
(充放電サイクル試験条件)
充放電サイクル試験は、北斗電工製HJ−106Mを用い、その条件としては、正極活物質量から計算される電気容量を基準に0.5C(容量/時間の0.5倍の電流)の充放電、20分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとて行なった。この試験では、充電より開始し、3回目の放電量を電池の容量とし、電池容量の60%を下回ったサイクル回数をサイクル寿命とした。充放電クーロン効率については3サイクル目の放電量から計算した。実施例、参考例20〜40の電池の場合は充電のカットオフ電圧4.5V、放電のカットオフ電圧2.8Vに設定した。また、参考例41の電池の場合は充電のカットオフ電圧4.5V、放電のカットオフ電圧2.5Vに設定した。
図21〜24に、参考例20で作製した電池(参考例1の電極構造体を用いた電池)について3サイクル放電状態で試験を止めたものを解体し、負極の表面(金属スズから構成される層の表面)を観察した電子顕微鏡(SEM)写真を示す(図21は倍率200倍、図22は倍率1000倍、図23は倍率3000倍、図24は倍率20000倍)。これら図21〜24の顕微鏡写真に示す負極表面の状態を、図17〜20の顕微鏡写真に示される、充放電サイクル試験前で且つ未充電の状態の同一の電極構造体の金属スズから構成される層の表面状態と比較すると、充放電によっても、負極(電極構造体)の表面に亀裂は観察されず、微細な細孔が形成されているのが確認された。
一方、図25〜26に、夫々参考例18の電極構造体を使用した参考例39の二次電池について、充放電サイクル試験前で且つ未充電の状態の電極構造体の金属スズから構成される層の表面状態(即ち参考例18での電極構造体作製時の表面状態)3サイクル放電状態で試験を止めたものを解体し、負極の表面(金属スズから構成される層の表面)を観察した電子顕微鏡(SEM)写真(いずれも倍率200倍)を示す。これら図25及び26の顕微鏡写真によれば、充放電によっても、負極(電極構造体)の表面に亀裂が生じ金属スズの一部が剥離している(図26の領域B)ことが認められる。同倍率の図17及び21の顕微鏡写真と比較してもこの亀裂発生及び剥離状態は顕著である。
下記表4は、実施例、及び参考例20〜41の電池の電池容量とサイクル寿命に関する性能の評価結果、及び、実施例と参考例20〜39の電池の3サイクル放電状態における負極表面の亀裂の有無と細孔の有無をまとめて示したものである。
尚、電池容量とサイクル寿命に関する性能の評価結果は、参考例41の電池の容量を1.0、また参考例37のサイクル寿命を1として規格化した値とした。
Figure 0004227581
表4に示す結果より、実施例2、及び参考例20〜36で作製した電池においては、3サイクル放電状態で、負極表面に亀裂が発生せず、細孔を有していることがわかった。これら電池における充放電サイクル寿命が、スズ箔を用いた参考例37の電池よりも、22〜33倍長寿命化できた。しかし、亀裂が発生した参考例39の電池のサイクル寿命は2倍程度であった。また、ゼラチンを使用しないで作製した参考例17の電極構造体を用いた参考例37では亀裂の発生はなかったが電池容量が小さかった。
参考例20参考例35の比較より、第二の層を形成することで、寿命は、28から35へ向上した。
実施例2、及び参考例20〜36の電池は、カーボンを負極に用いた参考例41の電池よりも、1.5〜2.0倍の高容量化が実現できた。しかし、参考例38の電池では、容量は小さくなった。
図5に、上記実施例及び参考例20〜41のいくつかに評価結果を基にした、負極(電極構造体)の金属スズ粒子又はスズ合金粒子の平均粒径(表1参照)と、充放電サイクル下での、電池寿命(サイクル寿命)、電池の充放電クーロン効率との関係を示す。同図に示すように、平均粒径が0.5μmよりも小さい場合には、充放電サイクル寿命が著しく低下する。これは、粒子径が小さいと、金属スズ、或いはスズ合金の密度が大きくなり、層中の空隙が小さくなり、充放電サイクル時に、亀裂の発生して、集電体からの剥がれが起こるからと推定される。一方、平均粒径が60μmよりも大きい場合にも、充放電クーロン効率が低下し寿命も低下する。これは、粒子径が大きくなると、表面の凹凸が大きくなり、凸部への電解が集中し、充電時にリチウムのデンドライト成長が生じ易くなるためと推定される。
図6に、上記実施例及び参考例20〜41のいくつかの評価結果を基にした、負極(電極構造体)の金属スズ粒子又はスズ合金粒子からなる層の密度及び空隙率(表1参照)と、充放電サイクル下での、電池寿命(サイクル寿命)、電池容量との関係を示す。同図に示すように電池寿命は、電極材料層の密度が、6.56g/cmよりも大きい、空隙率が0.10よりも小さい場合には、電極材料層表面に亀裂が観察され、寿命が著しく低下する。また、電極材料層の密度が1.00g/cmよりも小さい、空隙率が0.86よりも小さい場合には、炭素を負極として用いたリチウム二次電池と同等のサイクル寿命及び電池容量の性能となる。更に空隙率が0.31〜0.73の範囲の場合、最も良好なサイクル寿命及び電池容量が得られる。
この結果からも明らかなように、層の密度が、1.00g/cm以上6.56g/cm以下のもの、空隙率が、0.10以上0.86以下のもの、より好ましくは空隙率が、0.31以上0.73以下のものを用いることで、高容量、且つ長寿命の電池が実現できる。
(実施例
本例では、図13に示した断面構造のAAサイズのリチウム二次電池を作製した。以下では、図13を参照して、電池の各構成物の作製手順と、電池の組み立てについて負極の作製から説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、幅10μm厚み1μmのフレーク状銅粉を25:50:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した集電体となる厚み18μmの銅箔(集電体601)の両面に30μmの厚みに塗布し乾燥し、第一の層を30μmの厚みで得た。
〔3〕球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔4〕上記〔3〕で得られたペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、塗布し乾燥し第二の層(厚さ10μm)を形成した後、150℃で減圧乾燥した。
〔5〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
尚、上記〔2〕で得られた集電体上の第一の層と、第二の層について単独の比抵抗(体積抵抗)の値を測定した。具体的には、図15に示すようにガラス基板上800に、Cr/Ag/Crの3層構造(厚み:100ナノメートル/200ナノメートル/100ナノメートル程度)のギャップが250μm程度の電極(ギャップ電極)801を形成し、その上に、集電体層、第一の層あるいは第二の層802を単独で形成し(層厚は実施例と同様)た。この層に対し上記電極間に印加電圧と電流の関係がオーミックと成る(電流が印加電圧に比例する関係)の領域で直流電源803を用いて直流電流を流し、電流計804での測定値をもとに抵抗を計測し、層の厚みと電極ギャップの値から計算して比抵抗を算出した。この結果、第一の層に対比して第二の層の比抵抗が大きくなり、またいずれの層も集電体より大きな比抵抗となった。
(2)正極606の作製手順
〔1〕電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−マンガン酸化物85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%とポリフッ化ビニリデン粉10wt%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを添加した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔(集電体604)に塗布乾燥した後、ロールプレスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層の厚みを90μmとした。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断し、アルミニウム線のリードをスポット溶接で上記集電体に接続し、正極606を得た。
(3)電解液607の調製
〔1〕十分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合した溶媒を調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用いた。
(4)セパレータ607
ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。
(5)電池の組み立て
組み立ては、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰囲気下で全て行った。〔1〕負極603と正極606の間にセパレータ607を挟み、セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレータの構成になるようにうず巻き状に巻いて、チタンクラッドのステンレススチール材の負極缶608に挿入した。
〔2〕次いで、負極リード612を負極缶608の底部にスポット溶接で接続した。負極缶の上部にネッキング装置でくびれを形成し、ポリプロピレン製のガスケット610付の正極キャップ609に正極リード613をスポット溶接機で溶接した。
〔3〕次に、負極缶に電解液を注入した後、正極キャップをかぶせ、かしめ機で正極キャップと負極缶をかしめて密閉し電池を得た。
なお、この電池は正極の容量を負極に比べて大きくした電池とした。
(実施例
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。実施例の(1)負極402の作製手順の〔1〕において、幅10μm厚み1μmのフレーク状銅粉に替えて平均粒径10μmの球状銅粉を使用して負極を作製した点を除いて実施例と同様の手順で電池を得た。
尚、本実施例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
参考例42
本例では、図13に示した断面構図のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて、実施例と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径20μmのスズ粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、水素ガス気流中150℃で還元処理を行い、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に塗布し乾燥した後、第一の層を厚さ30μmで得た。
〔3〕球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔4〕上記〔3〕で得られたペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、塗布し乾燥し第二の層を10μmの厚みで形成した後、減圧乾燥した。
〔5〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は参考例25と同様にして、二次電池を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体(銅箔)、第一の層、第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を求めたところ、集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
(実施例
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて、実施例と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの水溶液に浸漬し、珪素粉の表面酸化膜を除去した平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に、塗布し乾燥して30μmの厚みの負極第一層を形成した。
〔3〕さらに90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポリフッ化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリドンを添加し調製したペーストを、上記〔2〕で得られた第一の層の上に10μmの厚みに成るように塗布し乾燥して第二層を形成した後、150℃で減圧乾燥した。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本実施例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
参考例43
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて実施例と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径20μmのスズ粉を三塩化ビスマスと塩化銅の水溶液に浸漬して、イオン化傾向の違いを利用してスズ粉のスズの一部を銅とビスマスに置換した。なお、得られたスズ粉を酸に溶解してプラズマ発光分析で分析した結果、ビスマスと銅の含有量は10原子%程度であった。
〔2〕上記〔1〕で得られた置換処理を施したスズ粉、球状黒鉛粉、フィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、水素ガス気流中150℃で還元処理を行い、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に塗布し乾燥し、第一の層を30μmの厚みで形成した。
〔4〕球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔5〕上記〔4〕で得られたペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第二の層を形成した後、減圧乾燥した。
〔6〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
(実施例
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて参考例25と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径3μmの純度98%の珪素粉をフッ化水素酸とフッ化アンモニウムの水溶液に浸漬し、珪素粉の表面酸化膜を除去した後、スズイオンを含むスズコロイドを付着させた後スズをパラジウムと置換し、珪素表面のパラジウムを触媒に還元反応により無電解で珪素表面に銅や銀を被覆することができる。化学還元反応を利用した無電解メッキ、酒石酸カリウム・ナトリウム銅錯体と還元剤のホルムアルデヒドを含有したアルカリ性溶液に浸漬し、加温し銅での被覆処理を施した。さらに、150℃で水素気流中で熱処理して、銅表面の酸化物を還元して、銅で被覆された珪素粉を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製した銅被覆珪素粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmフィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)に、30μmの厚みに塗布し乾燥し負極の第一の層を得た。
〔4〕さらに90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポリフッ化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリドンを添加し調製したペーストを塗布し乾燥して厚み10μmの第二の層を得て、150℃で減圧乾燥した。
〔5〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本実施例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について実施例と同様に単層で比抵抗を測定したところ、集電体に比較して第一層の比抵抗が大きく、第一の層と比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
参考例44
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて実施例と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は参考例25と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径40μmのアルミニウム7%含有のラネーニッケル粉を塩化第二スズの水溶液に浸漬して、80℃に加温してイオン化傾向の違いを利用してニッケル粉のニッケルの一部をスズに置換した。なお、得られたスズ粉を酸に溶解してプラズマ発光分析で分析した結果、スズの含有量は50原子%程度であった。
〔2〕上記〔1〕で得られた置換処理を施したスズ粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル粉を75:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、水素ガス気流中150℃で還元処理を行い、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に塗布し、第一の層を30μmの厚みで形成した。
〔4〕球状黒鉛粉50重量%に球状酸化インジウム粉40重量%とポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔5〕上記〔4〕で得られたペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第二の層を形成した後、減圧乾燥した。
〔6〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
参考例45
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて参考例25と同様の手順で電池を作製した。即ち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cmの電流を流し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10μm以下のスズの層(第一の層)を厚さ30μm、メッキで形成した。
〔2〕平均粒径5μmの球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、上記〔1〕において調製したスズ層の上に、銅箔に10μmの厚みに塗布し乾燥した後、150℃で減圧乾燥し第二の層を得た。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
参考例46
本例では、図13に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。負極に以下の手順で作製したものを用いた点を除いて実施例と同様の手順で電池を作製した。すなわち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
以下では、図13を参照して、電池の負極作製手順について説明する。
(1)負極603の作製手順
〔1〕厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、硝酸ニッケル0.1M(mol/l)水溶液を使用して、2.5mA/cm2の電流を流し、電気流を制御して銅箔の両面の突起部に酸化ニッケルを析出させた後、150℃で減圧乾燥した。
〔2〕〔1〕で得られた銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cmの電流を流し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10μm以下のスズの層(第一の層)を厚さ30μm形成し、100℃で減圧乾燥した。なお、スズの粒径は電子顕微鏡観察にて決定した。
〔3〕〔2〕で得られた金属スズ層の突起部に、〔1〕と同様な操作で電気量を制御して酸化ニッケルを析出し、100℃で減圧乾燥した。
〔4〕球状黒鉛粉90重量%にポリフッ化ビニリデン粉10重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔5〕上記〔4〕で得られたペーストを、上記〔3〕で突起部を部分的に酸化ニッケルで被覆したスズ層(第一の層)の上に塗布し乾燥した後、150℃で減圧乾燥し厚み10μmで第二の層を得た。
〔6〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は実施例と同様にして二次電池を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
(実施例
本発明では、図12に示した断面構造のコイン形のリチウム二次電池を作製した。以下では、図12を参照して、電池の各構成部材の作製手順を説明する。
(1)負極501の作製手順
〔1〕平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ粉、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み1μmのフレーク状銅粉を25:50:15:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に30μmの厚みに塗布し乾燥し第一の層を30μmの厚みで形成した。
〔3〕球状酸化亜鉛粉85重量%にポリフッ化ビニリデン粉15重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔4〕上記〔3〕で得られたペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、10μmの厚みに塗布し乾燥し第二の層を形成した後、150℃で減圧乾燥した。
〔5〕次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得た。
尚、本実施例で作製する負極の集電体、第一の層、及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きい関係となった。
(2)正極503の作製手順
〔1〕電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−マンガン酸化物85wt%に、アセチレンブラックの炭素粉5wt%とポリフッ化ビニリデン粉10wt%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンを添加した。
〔3〕上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔(集電体504)に塗布乾燥した後、ロールプレスで加圧して150℃で減圧乾燥して正極活物質層の厚みを90μmの正極を作製した。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断し、正極503を得た。
(3)電解液507の作製手順
〔1〕十分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、等量混合した溶媒を調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチウム塩を1M(mol/l)溶解したものを電解液として用いた。
(4)セパレータ507
ポリエチレンの微孔セパレータを用いた。
(5)電池の組み立て
組み立ては、露点−50℃以下の水分を管理した乾燥雰囲気下で全て行った。〔1〕正極缶506に正極503とセパレータ507を挿入し、ポリプロピレン製のガスケット510を装着し、電解液を注入し、負極501セパレータ507の上に積層し、正極503と負極501間に圧力がかかるように図12には不図示のステンレススチール製のスペーサを挟み、負極キャップ505をかぶせ、かしめ機で正極缶と負極キャップをかしめて密閉して電池を得た。この電池は正極の容量を負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とした。
尚、実施例3〜7および参考例42〜46では、正極活物質として、負極の性能を評価するために、リチウム−マンガン酸化物を使用した。しかし、これに限定されるものでなく、リチウム−ニッケル酸化物、リチウム−コバルト酸化物、リチウム−パナジウム酸化物、など各種の正極活物質も採用できる。
また、電解液に関しても、実施例3〜7および参考例42〜46まで1種類のものを使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(参考例47
本例では負極として以下の操作で作製したものを使用した点が実施例と異なり、実施例における二層形成の負極の採用はしなかった。
(1)負極603の作製手順
〔1〕90wt(重量)%の黒鉛粉と10wt%ポリフッ化ビニリデン粉を混合しN−メチル−2−ピロリドンを添加ペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔の両面に塗布し乾燥した後その表面にロールプレス機で黒鉛から成る層を90μmの厚みに調製して形成し、150℃で減圧乾燥した。
〔3〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は参考例25と同様にして二次電池を得た。
(参考例48
本例では、参考例42の(1)負極603の作製手順の〔1〕において、球状黒鉛粉の混合を行わなかった点を除いて、参考例42と同様の手順で電池の作製を試みた。
(1)負極603の作製手順〔1〕で、平均粒径20μmのスズ粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル粉を75:20の重量比で遊星ボールミルにて混合したところ、混合時に発生した熱でスズ粉が溶融して、塊状のスズ−ニッケルが形成され、以降の負極の作製に至らなかった。
(参考例49
本例では、実施例において、(1)負極603の作製手順〔1〕の平均粒径3μmの珪素粉に替えて、平均粒径60μmの珪素粉を使用して負極を作製した点を除いて実施例と同様の手順により電池を作製した。すなわち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
(参考例50
本例では、参考例45において、(1)負極603の作製手順〔1〕の電解メッキによりスズ層を厚み40μm形成し、手順〔2〕と〔3〕で第二層を形成しないで負極を作製した点を除いて参考例45と同様の手順により電池を作成した。
(参考例51
本例では、参考例45において、(1)負極603の作製手順〔1〕の電解メッキによりスズ層を厚み40μm形成し、手順〔2〕と〔3〕で第二層の形成手順の代わりに黒鉛をスパッタリングして第二層として単一材のカーボン層を厚み1μm形成して負極を作製した点を除いて参考例45と同様の手順により電池を作成した。すなわち、負極以外は参考例45と同じものを用いた。
(参考例52
本例では、参考例45において、(1)負極603の作製手順〔1〕で形成したスズ層被覆の銅箔を水素気流中で300℃で熱処理を施した後、徐冷してスズ層のスズ粒径を100μm以上に高めて負極を作製した点を除いて参考例45と同様の手順により電池を作成した。
(参考例53
本例では、参考例45において、(1)負極603の作製手順〔1〕の電解メッキによりスズ層を厚み5μm形成し、手順〔2〕と〔3〕で第二層を厚み35μm形成して負極を作製した点を除いて参考例45と同様の手順により電池を作成した。
(参考例54
本例では、実施例において、(1)負極501の作成手順〔1〕の第二層を形成しないで負極を作製した点が、実施例とは異なる。すなわち、負極以外は実施例と同じものを用いた。
(電池の性能評価)
実施例3〜7および参考例42〜54で作製した電池の、充放電サイクル試験を行い、電池の単位体積当たりのエネルギー密度と、サイクル寿命についての評価を行った。
充放電サイクル試験の条件は、正極活物質から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験には、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験として、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量とし、またサイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数により評価した。単位体積あたりのエネルギー密度(Wh/e)については〔平均作動電圧(V)×放電電気量(Ah)〕/電池体積(l)の値にて評価した。尚、電池体積については負極/セパレーター/正極からなるユニットのセルの外形の体積として計算した。リチウム電池の場合として、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.5Vに設定した。
下記に、実施例3〜7で作製した電池と参考例42〜47で作製したリチウム二次電池の体積当たりのエネルギー密度を参考例47で作製した電池のエネルギー密度を1.0として規格化した値について示す。
作製した二次電池 体積当りのエネルギー密度の規格値
実施例 1.6
実施例 1.4
参考例42 1.5
実施例 1.3
参考例43 1.6
実施例 1.4
参考例44 1.6
参考例45 1.5
参考例46 1.5
実施例 1.4
参考例47 1.0
以上に示す結果から、実施例から実施例の二次電池は、負極に充電時にリチウムイオンがインターカレートする黒鉛を用いた電池に対比して、より高エネルギー密度を有することがわかった。また、実施例からの二次電池の充放電のサイクル寿命に関しては、実施例の電池が参考例47のサイクル寿命を多少下回るのを除き、ほぼ参考例37の電池と同等のサイクル寿命が得られることがわかった。
二次電池における負極の第二層の有無の効果を評価するために、参考例の電池のサイクル寿命に対する実施例のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。以下の数値は第二層を有する負極を用いた電池の寿命が何倍長いかを示したものである。
(サイクル寿命の比較)
参考例45/参考例50 1.9
実施例 /参考例54 1.8
上記結果から、第二層を有した負極を使用した電池の方が、サイクル寿命が長いことがわかった。
本発明の二次電池における負極の第一層の主材の粒径の効果を評価するために、参考例49、参考例52の電池のサイクル寿命に対する実施例5、参考例45のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。以下の数値は第一層の主材に粒径の小さなものを用いた電池の寿命が何倍長いかを示したものである。
(サイクル寿命の比較)
実施例 /参考例49 1.9
参考例45/参考例52 2.7
上記結果から、負極の第一層には粒径の小さな主材を用いた方が寿命が長くなることがわかった。
本発明の二次電池における負極の第二層の有機高分子材との複合化の効果を評価するために、参考例51の電池のサイクル寿命に対する参考例45の電池のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。
(サイクル寿命の比較)
参考例45/参考例51 1.2
上記結果から、負極の第二層には有機高分子材との複合材層を用いた方が寿命が長くなることがわかった。
本発明の二次電池における負極の第二層の厚みの影響を評価するために、負極の厚みを同じにした参考例53の電池の性能を1.0として参考例45電池の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。
(性能の比較) エネルギー密度の規格値 サイクル寿命の規格値
参考例45/参考例53 1.3 1.1
上記結果から、負極の第二層の厚みが厚すぎた場合には、本発明の特徴である高エネルギー密度が損なわれることがわかった。
本発明の二次電池において負極の第一の層の主材の元素置換の効果を検証する為、参考例43及び42の電池のサイクル寿命の対比を行なった、具体的には、参考例42の電池の性能を1.0として、参考例43電池のサイクル寿命を規格化したところ、サイクル寿命の規格値は1.2となった。この結果から、主材のスズの一部を銅やビスマスの元素で置換することにより、寿命が延びることがわかった。
本発明の二次電池において負極の第一の層の主材の粉末の表面を導電体の高い材料で被覆した場合の効果を実施例及びの電池のエネルギー密度、サイクル寿命を対比することで検証した。具体的には、実施例の電池の性能を1.0として、実施例の電池の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を規格化した値を評価した。この結果、エネルギー密度の規格値は1.1であり、サイクル寿命の規格値は1.3であった。この結果より、主材の珪素粉の表面を銅で被覆することにより、集電性が向上し、エネルギー密度が向上し、寿命が延びることがわかった。
本発明の負極の第一の層の導電補助材の形状の効果を実施例及びの電池のサイクル寿命を対比することで検証した。具体的には、実施例の電池の性能を1.0として、実施例の電池のサイクル寿命を規格化した値を評価した。この結果、サイクル寿命の規格値は1.2であった。この結果より負極の第一の層に形状の異なる導電補助材を使用することで、パッキング密度が向上して集電能が向上し、寿命が延びることがわかった。
以上の実施例の3〜7、参考例42〜54の二次電池の性能評価の結果から、本発明の二次電池では、サイクル寿命が長く、かつ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が得られることがわかった。
次に、負極活物質が亜鉛である二次電池の例として、ニッケル亜鉛電池と空気亜鉛電池に、本発明を適用させた場合に関して説明する。
参考例54
本例では、図12に示した断面構造のニッケル亜鉛二次電池を作製した。
以下では、図12を参照して、電池の各構造物の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
(1)亜鉛負極501の作製手順
〔1〕平均粒径20μmの酸化亜鉛粉に、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み1μmのフレーク状銅粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポリ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混合し、ペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、銅のエキスパンドメタルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整し第一の層(厚み125μm)を形成した。
〔3〕スズ−インジウム酸化物(ITO)粉と黒鉛粉とカルボキシメチルセルロース粉を重量比で45:45:10の比利率で混合し、水を添加してペーストを調製した。
〔4〕上記〔2〕で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、上記〔3〕で得られたペーストを塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整し第二の層(厚み25μm)を得た。
〔5〕次に所定の大きさに切断して負極を作製した。
尚、本参考例で作製する負極の集電体(銅のエキスパンドメタル)、第一の層、第二の層について実施例と同様に単層での比抵抗を測定評価したところ、集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きくなるような関係となっていた。
(2)正極503の作製手順
〔1〕水酸化ニッケルに、ニッケル粉を加えて、結着剤としてカルボキシメチルセルロース、及び水を加えて、ペーストを調製し、ニッケルの発泡体(住友電工社製セルメット)に充填した後、乾燥、プレスして作製した。
〔2〕次いで、所定の大きさに切断して正極503を作製した。
(3)電解液507の作製手順
水酸化リチウムを添加した30wt%水酸化カリウム水溶液を使用した。
(4)セパレータ507
浸水処理したポリプロピレン不織布を浸水処理した微孔性のポリプロピレンフィルムでサンドイッチした100μm厚のものを用いた。
(5)電池の組み立て
チタンクラッドのステンレススチール材の正極缶506に正極503とセパレータ507を挿入し、ポリプロピレン製のガスケット510を装着し、電解液を注入し、負極501セパレータ507の上に積層し、正極503と負極501間に圧力がかかるように図12には不図示のステンレススチール製のスペーサを挟み、チタンクラッドのステンレススチール材の負極キャップ505をかぶせ、かしめ機で正極缶と負極キャップをかしめて密閉して電池を得た。
尚、このニッケル亜鉛二次電池は正極の容量を負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とした。
(参考例55
本例では、参考例54において、(1)負極601の作製手順〔4〕の第二層を形成しないで負極を作製した点を除いて参考例54とは異なる。即ち、負極以外は参考例54と同じものを用い電池を作製した。
〔ニッケル亜鉛電池の評価〕
以下では、作製した電池の性能評価について説明する。性能評価は、充放電サイクル試験において得られる、サイクル寿命について行った。
充放電サイクル試験の条件は、正極活物質から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験は、北斗電工製HJ−106Mを使用した。尚、充放電試験としては、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数により評価した。ニッケル亜鉛電池の場合としては、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定した。
参考例54と参考例55の二次電池のサイクル寿命を比較して、二次電池での負極の第二の層の効果を検証した。具体的には、参考例55の電池の性能を1.0として、参考例54の電池のサイクル寿命を規格化した値により評価した。この結果、サイクル寿命の規格値は1.7となった。この結果より本発明の負極の第二層を採用することで、寿命がより延びることがわかった。
参考例56
本例では、図12に示す断面構造の空気亜鉛二次電池を作製した。
以下では、図12を参照して、電池の各構成物の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
(1)亜鉛負極501の作製手順
〔1〕平均粒径20μm酸化亜鉛粉に、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、平均粒径0.8μmのフィラメント状ニッケル粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポリ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混合し、ペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、銅のエキスパンドメタルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整し第一の層を形成した(厚み125μm)。
〔3〕炭化タングステン粉とカルボキシメチルセルロース粉を重量比で95:10の比利率で混合し、水を添加してペーストを調製した。
〔4〕上記〔2〕で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、上記〔3〕で得られたペーストを塗布し乾燥し第二の層を形成した後、ロールプレス機で厚みを調整した(厚み25μm)。
〔5〕次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得た。
尚、本参考例で作製する負極の集電体(銅のエキスパンドメタル)、第一の層、第二の層について実施例と同様に単層での比抵抗を測定評価したところ、集電体に比較して第一の層の比抵抗が大きく、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が大きくなるような関係となっていた。
(2)正極503の作製手順
〔1〕アセチレンブラックに二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、を混合し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を添加してペースト化したものをニッケルメッシュに塗布し乾燥後、ローラープレス機で厚みを調整した。
〔2〕次いで、所定の大きさに切断し、正極503を得た。
(3)電解液507
水酸化リチウムを添加した30wt%水酸化カリウム水溶液を使用した。
(4)セパレータ507
浸水処理したポリプロピレン不織布を浸水処理した微孔性のポリプロピレンフィルムでサンドイッチした100μm厚のものを用いた。
(5)電池の組み立て
チタンクラッドのステンレススチール材の空気取り込み孔付き正極缶506に、空気拡散紙と撥水膜のポリテトラフルオロエチレンフィルムを挿入し、正極503とセパレータ507を挿入し、ポリプロピレン製のガスケット510を装着し、電解液を注入し、負極501をセパレータ507の上に積層し、正極503と負極501間に圧力がかかるように図12には不図示のステンレススチール製のスペーサを挟み、チタンクラッドのステンレススチール材の負極キャップ505をかぶせ、かしめ機で正極缶と負極キャップをかしめて密閉して電池を得た。
尚、この空気亜鉛二次電池は正極の容量を負極に比べて大きくした正極容量規制の電池とした。
(参考例57
本例では、参考例56において、(1)亜鉛負極401の作製手順〔1〕では球状黒鉛粉、フィラメント状ニッケル粉を混合しないで、酸化亜鉛粉に、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を添加し、酸化亜鉛とポリ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混合し、ペーストを調製して負極を作製した点を除いて参考例56と同様に電池を作成した。
(電池性能の評価)
以下では、作製した電池の性能評価について説明する。性能評価は、充放電サイクル試験において得られる、電池の単位堆積当たりのエネルギー密度と、サイクル寿命について行った。
充放電サイクル試験の条件は、正極活物質から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験には、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験は、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。単位体積当たりのエネルギー密度(Wh/l)については〔平均作動電圧(V)×放電電気量(Ah)〕/電池体積(l)の値にて評価した。尚、電池体積については負極/セパレーター/正極からなるユニットセルの外形の体積として計算した。ニッケル亜鉛電池の場合としては、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定した。
本発明の二次電池における負極の第二の層と第一層に添加した導電補助材の効果を検証する為、参考例57の電池の性能を1.0として、参考例56の電池の体積当たりのエネルギー密度とサイクル寿命を規格化した値を評価したところ、エネルギー密度の規格値が1.2、サイクル寿命の規格値が2.3であり、参考例56の構成を採用することにより、集電性が向上に、エネルギー密度が向上し、寿命が延びることがわかった。こうして、本発明では、サイクル寿命が長く、且つ高エネルギー密度を有する空気亜鉛二次電池が得られることがわかった。
(参考例58
本例では負極として以下の操作で作製したものを使用した点が実施例と異なる。具体的には、実施例における負極の第二層の形成に使用する材料が異なった。
(1)負極603の作製手順
〔1〕平均粒径3μmの珪素粉、平均粒径20μmのスズ粉、球状黒鉛粉、フレーク状銅粉を25:50:15:5:5の重量比で遊星ボールミルにて混合した後、得られた混合粉にポリフッ化ビニリデン粉を重量比で95:5の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加しペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、アセトンとイソプロピルアルコールで洗浄した厚み18μmの銅箔(集電体501)の両面に塗布し乾燥し30μmの厚みの第一の層を形成した。
〔3〕上記〔2〕で得られた第一の層より比抵抗の低い(1×10−5Ω・cm)市販の銀ペーストを、上記〔2〕において調製した第一の層の上に、塗布し乾燥し160℃で熱処理を施した第二の層を10μmの厚みに形成した後、150℃で減圧乾燥した。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断し、負極501を得た。
尚、確認の為本参考例で作製した負極の集電体(銅箔)上の第一の層及び第二の層について、参考例54と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
(参考例59
本例では、(1)負極603の作製手順〔1〕で形成した第一層のスズ層の上に比抵抗の低いアルミニウム層を形成して負極を作製した点を除いて、参考例45と同様の手順で電池を作製した。
(1)負極603の作製手順
〔1〕厚さ18μmの銅箔をアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cmの電流を流し、銅箔(集電体501)の両面に粒径10μm以下のスズの層(第一の層)を厚さ39μm、メッキで形成した。
〔2〕上記〔1〕で得られた第一の層スズ層より明らかに比抵抗の低いアルミニウムの第二層を、上記〔1〕において調製した第一の層の上に、1μmの厚みに電子ビーム蒸着法で形成した。
〔3〕次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極603を得た。
他の点は参考例45と同様にして二次電池を得た。
尚、確認の為本参考例で作製した負極の集電体(銅箔)上の第一の層及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
参考例60
本例では、参考例54において、(1)負極601の作製手順〔1〕の第二層に比抵抗の低い材料を用いて負極を作製した点を除いて、参考例54と同様の手順で電池を作成した。
(1)亜鉛負極501の作製手順
〔1〕平均粒径20μmの酸化亜鉛粉に、平均粒径5μmの球状黒鉛粉、長さ10μm、厚み1μmのフレーク状銅粉を重量比85:5:5で遊星ボールミルにて混合し、ポリ4フッ化エチレン分散水溶液を上記混合物とポリ4フッ化エチレンの重量比が95:5になるように混合し、ペーストを調製した。
〔2〕上記〔1〕で得られたペーストを、銅のエキスパンドメタルに塗布し乾燥した後、ロールプレス機で厚みを調整し第一の層を形成した(厚み125μm)。
〔3〕上記〔2〕で得られた酸化亜鉛の第一の層の上に、第一の層より比抵抗の低い2×10−4Ω・cmの市販の銅ペーストを塗布し乾燥し第二の層を形成した後、ロールプレス機で厚みを調整した(厚み25μm)。
〔4〕次いで、所定の大きさに切断して負極を作製した。
他の点は参考例54と同様にして二次電池を得た。尚、確認の為本参考例で作製した負極の集電体上の第一の層及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
(参考例61
本例では、参考例54において、参考例60と同じ負極を用いて、参考例54と同様にして電池を作製した。
尚、確認の為本参考例で作製した負極の集電体上の第一の層及び第二の層について、実施例と同様に単層での比抵抗を測定したところ、第一の層に比較して第二の層の比抵抗が小さい関係となっていた。
<評価>
二次電池における負極の第一層及び第二層の比抵抗の効果を対比するために、参考例58〜61の電池に対して充放電サイクル試験を行い、サイクル寿命を測定した。
充放電サイクル試験の条件は、正極活物質から計算される電気容量を基準として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとした。充放電試験には、北斗電工製HJ−106Mを使用した。充放電試験としては、充電より開始し、電池容量は3サイクル目の放電量とし、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数により評価した。リチウム電池(参考例20及び21)の場合では、充電時のカットオフ電圧を4.5V、放電時のカットオフ電圧を2.8Vに設定した。ニッケル亜鉛電池(参考例22及び23)の場合は、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定した。
二次電池における負極の第一の層及び第二の層の比抵抗の関係を対比するために、参考例58〜61の電池のサイクル寿命に対する参考例25、30、34、35)の電池のサイクル寿命を評価した。結果を以下に示す。
(サイクル寿命の比較)
実施例 /参考例58 2.6
実施例 /参考例59 2.1
参考例54/参考例60 3.4
参考例56/参考例61 3.7
上記結果から、第一層より比抵抗の高い第二層を有した負極を使用した電池の方が、サイクル寿命が長いことがわかった。
本発明の電極構造体の構造の一例を模式的に示す断面図。 (a)(b):本発明で用いる集電体の構造及び処理について模式的に示す図。 本発明の電極構造体を構成する主材粒子の構造を模式的に示す図。 本発明の電極構造体の構造の他の例を模式的に示す断面図。 金属スズ又はスズ合金粒子の平均粒径と、これら粒子を用いた二次電池の寿命及び充放電クーロン効率の関係を示す線図。 金属スズ等から構成される層の密度、空隙率と、これら層を有する電極構造体を用いた寿命及び電池容量の関係を示す線図。 電解メッキ槽の構造を模式的に示す図。 電解メッキによる集電体上への層形成を行う装置を模式的に示す図。 (a),(b)は本発明の電極構造体を二次電池に用いた際における亀裂発生のメカニズムを示す図。(c),(d)は比較となる電極構造体に用いた際における亀裂発生のメカニズムを示す図。 本発明の電極構造体の構造の更に別の例を模式的に示す断面図。 本発明の二次電池の一例を示す断面図。 単層式偏平型電池の構造を示す断面図。 スパイラル式円筒型電池の構造を示す断面図。 角形電池の構造を示す断面図。 本発明の実施例、参考例において二次電池の負極の各層の電気抵抗を測定するための装置の構造を模式的に示す図。 本発明の実施例及び参考例の電極構造体のXRD回折チャートを示す図。 本発明の一実施例による電極構造体(充電前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充電前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(1000倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充電前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(3000倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充電前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(20000倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充放電サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充放電サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(1000倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充放電サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(3000倍)。 本発明の一実施例による電極構造体(充放電サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(20000倍)。 本発明の一参考例による電極構造体(充電前)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。 本発明の一参考例による電極構造体(充放電サイクル後)の表面状態を示す電子顕微鏡写真(200倍)。
符号の説明
10 電極構造体
100 集電体
101 主材粒子
102、102’ 電極材料層
103 突起部
104 被覆層
105 コア部
106 被覆層
107 有機高分子材
108、109、110 導電補助材

Claims (12)

  1. 板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記主材が銅、ニッケル、銀、スズから選択される一種類以上の金属で部分的に表面が覆われている珪素粒子からなることを特徴とするリチウムの酸化還元反応を利用した二次電池の負極に用いられる電極構造体
  2. 板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記電極材料層上に、無機材料80〜98重量%および有機高分子材料2〜20重量%からなる層を有することを特徴とするリチウムの酸化還元反応を利用した二次電池の負極に用いられる電極構造体。
  3. 前記電極材料層の主材を構成する材料のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記集電体の材料の比抵抗より高く、且つ前記無機材料80〜98重量%を含有する層の無機材料のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記電極材料層の主材を構成する材料のバルク状態での20℃における比抵抗より高い請求項2に記載の電極構造体。
  4. 前記無機材料のバルク状態での20℃における比抵抗は、1×10−4〜1×10Ω・cmである請求項3に記載の電極構造体。
  5. 少なくとも負極、正極、及び電解質を有し、リチウムの酸化還元を利用して充放電を行う二次電池であって、
    負極が、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記主材が銅、ニッケル、銀、スズから選択される一種類以上の金属で表面が覆われている珪素粒子からなることを特徴とする二次電池。
  6. 少なくとも負極、正極、及び電解質を有し、リチウムの酸化還元を利用して充放電を行う二次電池であって、
    負極が、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記電極材料層上に、無機材料80〜98重量%および有機高分子材料2〜20重量%からなる層を有することを特徴とする二次電池。
  7. 前記電極材料層の主材を構成する材料のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記集電体の材料の比抵抗より高く、且つ前記無機材料80〜98重量%を含有する層の無機材料のバルク状態での20℃における比抵抗が、前記電極材料層の主材を構成する材料のバルク状態での20℃における比抵抗より高い請求項6に記載の二次電池。
  8. 前記無機材料のバルク状態での20℃における比抵抗は、1×10−4〜1×10Ω・cmである請求項7に記載の二次電池。
  9. 板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記電極材料層が有機高分子材を2重量%以上20重量%以下含有することを特徴とするリチウムの酸化還元反応を利用した二次電池の負極に用いられる電極構造体。
  10. 前記電極材料層が、前記主材となる粒子に加えて炭素材料又は金属材料からなる導電補助材を含有する請求項1、2又は9に記載の電極構造体。
  11. 少なくとも負極、正極、及び電解質を有し、リチウムの酸化還元を利用して充放電を行う二次電池であって、
    負極が、板状の集電体と、該板状の集電体の片面もしくは両面に平均粒径0.5〜60μmの粒子からなる主材35重量%以上を含有する電極材料層を有し、
    前記主材が珪素から構成されており、前記電極材料層の空隙率の範囲が0.10〜0.86であり、
    前記電極材料層が有機高分子材を2重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする二次電池。
  12. 前記電極材料層が、前記主材となる粒子に加えて炭素材料又は金属材料からなる導電補助材を含有する請求項5、6又は11に記載の二次電池。
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