JP2001332254A - リチウム二次電池用電極材の製造方法、リチウム二次電池用電極構造体及びリチウム二次電池及びそれらの製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用電極材の製造方法、リチウム二次電池用電極構造体及びリチウム二次電池及びそれらの製造方法

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JP2001332254A JP2001068918A JP2001068918A JP2001332254A JP 2001332254 A JP2001332254 A JP 2001332254A JP 2001068918 A JP2001068918 A JP 2001068918A JP 2001068918 A JP2001068918 A JP 2001068918A JP 2001332254 A JP2001332254 A JP 2001332254A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リチウム二次電池の負極構成材料として至適
な、粒子形状が揃っていて均一であり、不純物が少な
く、優れた特性を有する電極材を高収率で、安定的に製
造する方法を提供する。 【構成】電気化学的にリチウムと合金を形成する金属の
金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種の
金属化合物と、遷移金属の金属塩及び金属錯体の中から
選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物と、錯化剤と
を溶媒に混合して混合液を得る工程、該混合液と還元剤
を混合する工程、該還元剤を酸化し、前記リチウムと合
金を形成する金属の金属イオン及び前記遷移金属イオン
を還元して、金属を析出させる工程、を少なくとも有す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池用電極材、電
極構造体、リチウムの酸化反応及びリチウムイオンの還
元反応を利用したリチウム二次電池の製造方法に関す
る。より詳細には、本発明は高容量でサイクル寿命の長
い、二次電池用電極材の製造方法、該電極材を用いた電
極構造体及びリチウム二次電池及びそれらの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】最近、大気中に含まれるCO2ガス量が
増加しつつある為、室温効果により地球の温暖化が生じ
る可能性が指摘されている。火力発電所は化石燃料など
を燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに
変換しているが、燃焼によりCO2ガスを多量に排出す
るためあらたな火力発電所は、建設することが難しくな
って来ている。したがって、火力発電所などの発電機に
て作られた電力の有効利用として、余剰電力である夜間
電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電
力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、所謂
ロードレベリングが提案されされている。
【0003】また、COx、NOx、炭化水素などを含む
大気汚染にかかわる物質を排出しないという特徴とを有
する電気自動車用途では、高エネルギー密度の二次電池
の開発が期待されている。さらに、ブック型パーソナル
コンピュータ、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び
携帯電話等のポータブル機器の電源用途では、小型・軽
量で高性能な二次電池の開発が急務になっている。この
ような小型・軽量で高性能な二次電池としては、充電時
の反応で、リチウムイオンを層間からデインターカレー
トするリチウムインターカレーション化合物を正極物質
に、リチウムイオンを炭素原子で形成される六員環網状
平面の層間にインターカレートできるグラファイトに代
表されるカーボン材料を負極物質に用いたロッキングチ
ェアー型のいわゆる“リチウムイオン電池”の開発が進
み、一部実用化されつつある。
【0004】しかし、この“リチウムイオン電池”で
は、カーボン材料で構成される負極は理論的には炭素原
子当たり最大1/6のリチウム原子しかインターカレー
トできないため、金属リチウムを負極物質に使用したと
きのリチウム一次電池に匹敵する高エネルギー密度の二
次電池は実現できない。もし、充電時に“リチウムイオ
ン電池”のカーボンからなる負極に理論量以上のリチウ
ム量をインターカレートしようとした場合あるいは高電
流密度の条件で充電した場合には、カーボン負極表面に
リチウム金属がデンドライト(樹枝)状に成長し、最終
的に充放電サイクルの繰り返しで負極と正極間の内部短
絡に至る可能性がありグラファイト負極の理論容量を越
える“リチウムイオン電池”では十分なサイクル寿命が
得られていない。
【0005】一方、金属リチウムを負極に用いる高容量
のリチウム二次電池が高エネルギー密度を示す二次電池
として注目されているが、実用化に至っていない。その
理由は、充放電のサイクル寿命が極めて短いためであ
る。充放電のサイクル寿命が極めて短い主原因として
は、金属リチウムが電解液中の水分などの不純物や有機
溶媒と反応して絶縁膜が形成されていたり、金属リチウ
ム箔表面が平坦でなく電界が集中する箇所があり、これ
が原因で充放電の繰り返しによってリチウム金属がデン
ドライト状に成長し、負極と正極間の内部短絡を引き起
こし寿命に至ることにあると、考えられている。また、
上述のリチウムのデンドライトが成長して負極と正極が
短絡状態となった場合、電池の持つエネルギーがその短
絡部において短時間に消費されるため、電池が発熱した
り、電解液の溶媒が熱により分解してガスを発生し、電
池内の内圧が高まったりすることがある。いずれにして
も、デンドライトの成長により、短絡による電池の損傷
や寿命低下が引き起こされ易くなる。上述の金属リチウ
ム負極を用いた二次電池の問題点である、金属リチウム
と電解液中の水分や有機溶媒との反応進行を抑えるため
に、負極にリチウムとアルミニウムなどからなるリチウ
ム合金を用いる方法が提案されている。しかしながら、
この場合、リチウム合金が硬いためにスパイラル状に巻
くことができないのでスパイラル円筒形電池の作製がで
きないこと、サイクル寿命が充分に延びないこと、金属
リチウムを負極に用いた電池に匹敵するエネルギー密度
は充分に得られないこと、などの理由から、広範囲な実
用化には至っていないのが現状である。
【0006】この他、充電時にリチウムと合金を形成す
る金属として、前記のアルミニウムや、カドミウム、イ
ンジウム、スズ、アンチモン、鉛、ビスマス等が挙げら
れており、これら金属や、これら金属からなる合金、及
び、これら金属とリチウムの合金を負極に用いた二次電
池が、特開平8−64239号公報、特開平3−624
64号公報、特開平2−12768号公報、特開昭62
−113366号公報、特開昭62−15761号公
報、特開昭62−93866号公報、特開昭54−78
434号公報に開示されている。しかし、これらの公報
に記載の二次電池では負極の形状を明示しておらず、ま
た上記合金材料を一般的な形状である箔状を含む板状部
材として二次電池(リチウムを活物質とした二次電池)
の負極として用いた場合、電極材料層における電池反応
に寄与する部分の表面積が小さく、大電流での充放電が
困難である。更に、上記合金材料を負極として用いた二
次電池では、充電時のリチウムとの合金化による体積膨
張、放出時に収縮が起こり、この体積変化が大きく、電
極が歪みを受けて亀裂が入る。そして、充放電サイクル
を繰り返すと微粉化が起こり、電極のインピーダンスが
上昇し、電池サイクル寿命の低下を招くという問題があ
るために実用化には至っていないのが現状である。
【0007】一方、8TH INTERNATIONAL MEETING ON LIT
HIUM BATTERIES EXTENED ABSTRACTSWED-2(P69〜72)
において、直径0.07mmの銅ワイヤーに、電気化学
的に、スズ、もしくは合金を堆積させることで、粒子サ
イズの細かい(200〜400nm)層を形成すること
ができ、堆積層の厚みを薄く(約3μm)した電極とリ
チウムを対極にした電池で、充放電サイクル寿命が向上
すると報告されている。上記文献では、0.25mA/cm2
電流密度で、1.7Li/Sn(スズ1原子当たり1.7個のLiと合
金化する)まで充電し、0.9Vvs Li/Li+ までの放電を
繰り返した評価において、直径1.0mmの銅線の集電体
上に同様にスズ合金を堆積させて得られた粒子サイズ
(粒径)が2000〜4000nmの電極に対して、200〜400n
mのスズ粒子の電極が約4倍、Sn0.91Ag0.09合金電
極が約9倍、Sn0.72Sb0.28合金電極が約11倍寿命
が向上すると報告されている。
【0008】しかし、上記文献は、対極にリチウムを用
いて評価されたもので、実際の電池形態での結果は報告
されておらず、また、前記のようなサイズの粒子からな
る電極は、直径0.07mmの銅線の集電体上に堆積させて
作製したものであり、実用的な電極形状のものではな
い。また、上述したように、直径1.0mmといった広い
面積の領域上に同様の方法でスズ合金を堆積させた場合
粒子サイズ(粒径)が2000〜4000nmである層が形成さ
れるが電池としての寿命が著しく低下している。
【0009】特開平5−190171号公報、特開平5
−47381号公報、特開昭63−114057号公
報、及び特開昭63−13264号公報には、各種リチ
ウム合金を負極に使用したリチウム二次電池が開示され
ていて、これらの二次電池はデンドライトの析出を抑制
し、充電効率を高めサイクル寿命を向上させたものであ
る旨記載されている。また特開平5−234585号公
報には、リチウム表面にリチウムと金属間化合物を生成
しにくい金属粉を一様に付着せしめたものからなる負極
を有するリチウム二次電池が開示されていて、該二次電
池はデンドライトの析出を抑制し、充電効率を高めサイ
クル寿命を向上させたものである旨記載されている。し
かし、いずれもリチウム二次電池の寿命を飛躍的に伸ば
す決定的もたり得ないものである。更に、特開昭63−
13267号公報には、板状のアルミニウム合金を主な
例とした非晶質合金とリチウムとを電気化学的に合金化
したリチウム合金を負極に用いたリチウム二次電池が開
示されており、該二次電池は充放電特性の優れたもので
ある旨記載されている。しかしながら、当該公報に記載
された技術内容からでは、高容量で且つ維持し実用領域
のサイクル寿命のリチウム二次電池の実現は困難であ
る。この他、 特開平10−223221号公報には、A
l, Ge, Pb, Si, Sn, Znの元素の低結晶または非晶質の
金属間化合物を負極に用いたリチウム二次電池が開示さ
れており、該二次電池は高容量でサイクル特性に優れた
ものである旨記載されている。また、金属間化合物を、
還元拡散法を用いて酸化物から得ることができる旨の記
載はあるが、単なる記載に留まり、具体的説明はない。
当該公報に記載された技術内容では、 そうした金属間
化合物の低結晶化または非晶質化は困難であり、高容量
で且つ長サイクル寿命のリチウム二次電池は実現は困難
であるのが実情である。
【0010】特開平10−317021号公報には、還
元剤を使用し化学的にコバルトとニッケルの非晶質合金
を製造する方法が開示されているが、リチウムと合金を
形成する金属を含有していないこの合金はリチウム二次
電池の電極材として使用することはできない。特開平5
−78716号公報には、還元剤として三塩化チタンを
使用し化学的に金属粉末を製造する方法が開示されてい
る。本発明者らが当該公報に記載された方法で金属粉末
を作製し、該金属粉末をリチウム二次電池に使用する検
討を行ったところ、サイクル寿命に問題があり、実用領
域のサイクル寿命のリチウム二次電池の実現は困難であ
ることが判明した。この他、特開平11−329442
号公報には、正極、負極の少なくとも一方が導電剤を含
有し、該導電剤が導電性物質の表面に金属を析出させた
ものである二次電池が記載されている。該公報には、導
電性物質の表面への金属の析出法として、金属イオンを
還元させる方法が記載されている。そして該公報には、
該公報に記載の二次電池は、ハイレート放電特性及びサ
イクル性に優れたものである旨記載されている。しかし
ながら、該公報には、該二次電池の電極を構成する電極
材の非晶質度については、具体的開示はなく、また検討
するところもない。また、当該二次電池がサイクル性に
優れたものであるとしているものの、この点を裏付ける
具体的根拠はない。したがって、該公報の記載からは、
当該二次電池がサイクル性について十分に満足のいくも
のであるとは認識できない。
【0011】以上述べたように、リチウム二次電池(以
後充放電によるリチウムの酸化反応及びリチウムイオン
の還元反応を利用した二次電池を、カーボン材料を負極
に用いる“リチウムイオン電池”も含めて、リチウム二
次電池と呼ぶことにする)に係わる従来技術において
は、特に、リチウム二次電池についてのエネルギー密度
の増大及びサイクル寿命の長寿命化について、必ずしも
十分満足のいくものが得られていないのが実情である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リチウム二
次電池についての上述した従来技術の状況及び上述した
課題に鑑みてなされたものであり、特にリチウムの酸化
反応及びリチウムイオンの還元反応(以下、“リチウム
の酸化―還元反応”と略称する)を利用した二次電池
(以下、これを“リチウム二次電池”と云う)に有用な
電極材の製造方法、該電極材を用いたリチウム二次電池
用電極構造体及びその製造方法、及び該電極構造体を用
いた高エネルギー密度で且つサイクル寿命が長いリチウ
ム二次電池及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池用電極材の製造方法は、(1)電気化学的にリチウム
と合金を形成する金属の金属塩及び金属錯体の中から選
ばれる少なくとも1種以上の金属化合物と、遷移金属の
金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種以
上の遷移金属化合物と、錯化剤とを溶媒に混合する工
程、(2)該混合液に還元剤を混合して混合物を得る工
程、(3)該混合物中の前記還元剤を酸化し、前記リチ
ウムと合金を形成する金属の金属イオン及び前記遷移金
属の金属イオンを還元して、金属を析出させる工程、の
少なくとも前記(1)乃至(3)の工程を順次行うこと
を特徴とする電気化学的にリチウムと合金を形成できる
非晶質合金材料からなる電極材の製造方法である。
【0014】本発明の電極構造体は、前記電極材の製造
方法で得られた電極材と、電気化学反応でリチウムと合
金化しない材料から成る集電体とを有することを特徴と
するものである。本発明の電極構造体の製造方法は、前
記電極材の製造方法で得られた電極材を電気化学反応で
リチウムと合金化しない材料から成る集電体上に配する
工程を有することを特徴とするものである。本発明のリ
チウム二次電池は、負極、電解質及び正極を具備し、前
記負極が前記電極構造体を用いて構成されていることを
特徴とする。本発明のリチウム二次電池の製造方法は、
負極、電解質及び正極を具備しリチウムの酸化―還元反
応を利用する二次電池の製造方法であって、前記負極を
前記電極材の製造方法で得られた電極材を集電体上に配
した電極構造体を用いて形成する工程、及び該負極と前
記正極とを前記電解質を介して対向配置する工程を有す
ることを特徴とするものである。
【0015】以下、本発明を具体的に説明する。上述し
たように、本発明のリチウム二次電池用電極材(以下、
“電極材”と略称する)の製造方法は、(1)電気化学
的にリチウムと合金を形成する金属の金属塩及び金属錯
体の中から選ばれる少なくとも1種以上の金属化合物
と、遷移金属の金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少
なくとも1種以上の遷移金属化合物と、錯化剤とを溶媒
に混合して混合液を得る工程、(2)該混合液と還元剤
を混合して混合物を得る工程、(3)該混合物中の前記
還元剤を酸化し、前記リチウムと合金を形成する金属の
金属イオン及び前記遷移金属の金属イオンを還元して、
金属を析出させる工程、の少なくとも前記(1)乃至
(3)の工程順次行うことにより電気化学的にリチウム
と合金を形成できる非晶質合金材料からなる電極材を製
造する方法である。
【0016】前記合金材料は、非晶質金属を含有する合
金材料であることが好ましい。また、前記合金材料は、
CuKα線のX線回折において現れるメインピークの半
値幅が0.2°以上、好ましくは0.5°以上であることが望
ましく、更には、CuKα線のX線回折において2θ=25
°〜50°の範囲に現れるヒ゜ークの半値幅が0.2°以上、好
ましくは0.5°以上であることが望ましい。また、前記
合金材料は、X線回折分析から計算される結晶子の大き
さが50nm以下、好ましくは20nm以下である粒子
からなるものであることが望ましい。
【0017】前記リチウムと合金を形成する金属は、B
i,In,Pb,Si,Ag,Sr,Ge,Zn,S
n、Cd、Sb、Tl、およびHgからなる群から選ば
れる少なくとも一種以上の金属、好ましくはBi,I
n,Pb,Zn,Sn、Sb、およびTlからなる群か
ら選ばれる少なくとも一種以上の金属、より好ましくは
Snであることが望ましい。また前記遷移金属は、C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Tc,R
u,Rh,Pd,Ag,Os,Ir,Pt,Au,T
i,V,Y,Sc,Zr,Nb,Hf,Ta,およびW
からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の金属、好
ましくはCr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ru,
Rh,Pd,Ag,Os,Ir,Pt,およびAuから
なる群から選ばれる少なくとも一種以上の金属、より好
ましくはCr,Mn,Fe,Co,Ni,及びCuから
なる群から選ばれる少なくとも一種以上の金属であるこ
とが望ましい。
【0018】好ましい態様においては、前記合金材料
は、非化学量論比組成の非晶質Sn・A・X合金を含有
する非晶質合金材料からなるものである。該非晶質Sn
・A・X合金について、Aは、遷移金属の少なくとも一
種を示し、Xは、 B,C,N,O,Sから成る群から
選ばれた少なくとも一種を示す。但し、Xは含有されて
いても、あるいは含有されていなくてもよい。また、上
記式Sn・A・Xの各原子の原子数について、合金中の
全元素(スズ原子のとA原子とX原子の合計)の原子の
数に対するスズ原子の数の割合がSn/(Sn+A+X
)=20〜80原子%の関係を持つのが好ましい。前
記非晶質Sn・A・X合金は、CuKα線のX線回折に
おいて2θ=20°〜50°の範囲に現れるピークの半
値幅が0.2°以上、好ましくは0.5°以上であるこ
とが望ましい。
【0019】本発明における前記合金材料は、X線回折
分析から計算される結晶子の大きさが50nm以下、好
ましくは20nm以下である粒子からなるものであるこ
とが望ましい。該合金材料は、0.1μm〜2μmの範
囲、好ましくは0.1μm〜1μmの範囲の平均粒径を
有するものであることが望ましい。また、該合金材料
は、10m2/g以上、好ましくは30m2/g以上の比
表面積を有するものであることが望ましい。
【0020】前記リチウムと合金を形成する金属の金属
化合物は、前記溶媒に可溶であることが好ましい。ま
た、該金属化合物は、リチウムと合金を形成する金属の
塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩の中から選ばれる少なくと
も一種以上の塩、好ましくはSnの塩化物、硫酸塩、及
び硝酸塩の中から選ばれる少なくとも一種以上の塩であ
ることが望ましい。前記遷移金属の遷移金属化合物は、
前記溶媒に可溶であることが好ましい。また、該遷移金
属化合物は、リチウムと合金を形成する遷移金属の塩化
物、硫酸塩、及び硝酸塩の中から選ばれる少なくとも一
種以上の塩であることが好ましい。前記錯化剤は、有機
カルボン酸類及びアミン類の中から選ばれる少なくとも
一種以上の化合物からなるものであることが好ましい。
より好ましくは、該錯化剤は、クエン酸、エチレンジア
ミン四酢酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも一
種以上の化合物からなるものであることが望ましい。
【0021】前記還元剤は、前記工程(1)で使用する
リチウムと合金を形成する金属及び遷移金属の中で最も
電極電位の低い金属より0.1V以上、好ましくは0.
2V以上卑(低い)な電極電位を有するものであること
が好ましい。 更に、前記還元剤の25℃における水溶
液の標準電極電位が−0.2V以下、好ましくは−0.
5V以下であることが好ましい。該還元剤は、次亜リン
酸、亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、亜二チオン酸の低級
酸素化物及びそれらの塩類、鉄(2)、チタン(3)、クロ
ム(2)の低原子価状態にある金属塩類、ホルムアルデヒ
ド、蟻酸、蓚酸の有機化合物及びそれらの塩類からなる
群から選ばれる少なくとも一種以上の化合物からなるも
のであることが好ましい。更に、該還元剤は、前記溶媒
に可溶であることが好ましい。
【0022】前記溶媒は、水及び極性溶媒の中から選ば
れる少なくとも一種以上の物質からなるものであること
ができる。該溶媒は、水、アルコール、エステル化合
物、アミド化合物、ニトリル化合物、アミン化合物、ハ
ロゲン化合物、硫黄化合物、液体アンモニウム及び氷酢
酸からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の物質か
らなるものであることが好ましい。より好ましい態様に
おいては、該溶媒は、水、アルコール類の中から選ばれ
る少なくとも一種以上の物質からなるものであることが
望ましい。
【0023】前記混合溶液と前記還元剤を混合する前記
(2)の工程は、−10〜100℃、好ましくは10〜
90℃の温度条件下で行うのが望ましい。また、該
(2)の工程は、水素、窒素、およびアルゴン・ヘリウ
ム等の不活性ガスからなる群から選ばれる少なくとも一
種以上の雰囲気下で行うことが望ましい。
【0024】前記混合物中の前記還元剤を酸化する前記
(3)の工程は、−10〜100℃、好ましくは10〜
90℃の温度条件下で行うのが望ましい。また、該
(3)の工程は、前記混合物のpH値を3〜12の範
囲、好ましくは5〜10の範囲に調整して行うのが望ま
しい。該混合物のpH値を前記範囲に調整する工程は、
アルカリを添加することにより行うことができる。ま
た、該アルカリを添加する工程は、該混合物のpH値が
2以下から3〜12の範囲、好ましくは5〜10の範囲
に変化するように行うのが望ましい。該アルカリは、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、アミン類及
びアンモニアからなる群から選ばれる少なくとも1種以
上の化合物であることが好ましい。前記混合物中の前記
還元剤を酸化する工程は、前記混合溶液と前記還元剤を
混合する工程で、該混合溶液を該還元剤と混合するのと
同時並行的に行うことができる。前記混合物中の前記還
元剤を酸化する前記(3)の工程は、水素、窒素、及び
不活性ガス(アルゴン、ヘリウム等)からなる群から選
ばれる少なくとも一種以上の雰囲気下で行うのが望まし
い。
【0025】前記リチウムと合金を形成する金属の金属
化合物(イ)と前記遷移金属化合物(ロ)の添加量は、
前記金属化合物(イ)中の金属のモル数/前記遷移金属
化合物(ロ)中の金属のモル数 = 0.1〜10、好まし
くは0.2〜5であることが望ましい。また、前記錯化
剤の添加量は、該錯化剤のモル数/(前記リチウムと合
金を形成する金属の金属化合物のモル数+前記遷移金属
化合物のモル数)=1〜5、好ましくは2〜5であるこ
とが望ましい。また、前記還元剤の添加量は、前記リチ
ウムと合金を形成する金属の金属化合物および前記遷移
金属化合物の酸化還元の当量点の合計量に対して当量比
で1〜3倍、好ましくは1〜2倍であることが望まし
い。
【0026】前記電極材を製造する方法は、前記合金材
料を洗浄する工程を有することができる。また、前記電
極材を製造する方法は、洗浄した該合金材料を乾燥する
工程を有することができる。更にまた、前記電極材を製
造する方法は、乾燥した該合金材料を粉砕する工程を有
することができる。
【0027】上述したように、本発明の電極構造体は、
前記電極材の製造方法で得られた電極材と、電気化学反
応でリチウムと合金化しない材料から成る集電体とを有
することを特徴とする。該電極構造体は、前記電極材を
前記集電体上に層状に形成した構造体であることができ
る。また、該電極構造体は、前記電極材と結着剤から成
る電極材層と前記集電体からなる構造体であることがで
きる。この場合の前記結着剤は、水溶性有機高分子材料
からなるものであることができる。更に、該電極構造体
は、前記電極材と導電補助材と前記結着剤から成る電極
材層と前記集電体からなる構造体であることができる。
【0028】上述したように、本発明の電極構造体の製
造方法は、前記電極材の製造方法で得られた電極材を電
気化学反応でリチウムと合金化しない材料から成る集電
体上に配する工程を有することを特徴とする。該電極構
造体の製造方法は、プレス成形法によって、前記電極材
を前記集電体上に層状に形成する工程を有することがで
きる。また、該電極構造体の製造方法は、前記電極材に
結着剤を混合し、必要に応じて溶媒を添加してペースト
状物を調製した後、該ペースト状物を前記集電体上に配
する工程を有することができる。
【0029】上述したように、本発明のリチウム二次電
池は、負極、電解質及び正極を具備し、前記負極が前記
電極構造体を用いて構成されていることを特徴とする。
前記正極は、リチウムを含有する電極材から主としてな
ることが好ましい。
【0030】上述したように、本発明のリチウム二次電
池の製造方法は、負極、電解質、正極を具備しリチウム
の酸化―還元反応を利用するリチウム二次電池の製造方
法であって、前記負極を前記電極材の製造方法で得られ
た電極材を集電体上に配した電極構造体を用いて形成す
る工程、及び該負極と前記正極とを前記電解質を介して
対向配置する工程を有することを特徴とする。該リチウ
ム二次電池の製造方法は、プレス成形法によって、前記
電極材を前記集電体上に層状に形成する工程を有するこ
とができる。或いは、前記電極材に結着剤を混合し、必
要に応じて溶媒を添加してペースト状物を調製した後、
該ペースト状物を前記集電体上に配する工程を有するこ
とができる。前記正極は、リチウムを含有する電極材か
ら主としてなることが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明者らは、電気化学反応での
リチウムの酸化―還元反応を利用するリチウム二次電池
において、電気化学的にリチウムと合金を形成する金属
の金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種
以上の金属化合物、遷移金属の金属塩及び金属錯体の中
から選ばれる少なくとも1種以上の遷移金属化合物及び
錯化剤を溶媒に混合して混合液を得る工程、該混合液と
還元剤を混合して混合物を得る工程、該混合物中の前記
還元剤を酸化する工程を少なくとも有する方法で作製し
た電気化学的にリチウムと合金を形成できる非晶質合金
材料からなる電極材を用いた電極構造体を負極に使用す
ることで、高容量で長寿命のリチウム二次電池を達成で
きることを見出した。
【0032】前記電気化学的にリチウムと合金を形成で
きる非晶質合金材料からなる電極材を用いた電極構造体
を負極に使用することで、高容量で長寿命のリチウム二
次電池を達成できることは、以下の理由によると考えら
れる。電気化学的にリチウムと合金を形成する金属化合
物と遷移金属化合物を併有する系で還元剤により還元す
る(金属イオンの酸化数を減少させる)ことで、リチウ
ムと合金を形成する金属と遷移金属の合金が得られる。
即ち、次式に示した様に、酸化状態にあるリチウムと合
金を形成する金属イオンM+と遷移金属イオンA+が還元
剤Rで還元されて(還元剤自体は酸化されて)合金MA
が形成される。 M+ + A+ + R → MA + R2++ + A+ + R+ → MA + R3+ (M+はリチウムと合金を形成する金属の金属イオン、
+は遷移金属の金属イオン、R及びR+は還元剤。式中
+ は酸化数を示す。) 例えば、 Sn2+ + Ni2+ + Ti → SnNi
+ Ti4+ Sn2+ + Ni2+ + 4 Ti3+ → SnNi
+ 4 Ti4+ のように、SnイオンとNiイオンが還元されてSnと
Niの合金が形成される。この際合金の形成を溶媒中で
行うと、各金属イオンが溶媒中に均一に混合された状態
から金属に還元されるため、形成される合金の均一性が
向上する。この合金は、原子半径が異なる(好ましくは
10%以上より好ましくは12%以上)金属元素から短
時間に形成されるため、合金結晶の形成に歪みが起こり
やすく、非晶質部が形成されやすくなると考えられる。
また、還元された金属元素同士が結合して結晶形成する
際、溶媒分子が結晶形成を阻害することにより、合金結
晶の形成に歪みが起こりやすく、非晶質部が形成されや
すくなるとも考えられる。
【0033】上述した方法によって得られる電気化学反
応でリチウムとの合金を形成する非晶質合金粒子は、短
距離秩序性はあるが長距離秩序性はない非晶質相を含有
することで、リチウムとの合金化時に大きな結晶構造の
変化を伴わないので、体積膨張は小さくなる。そのた
め、この非晶質合金粒子をリチウム二次電池の負極材料
に用いた場合は充放電での負極の電極材層の膨張収縮が
少なく、充放電サイクルの繰り返しによっても負極のク
ラックや破壊が起きにくく性能低下が少ないリチウム二
次電池の達成が可能になると考えられる。また、反応系
内に錯化剤を用いることで、各金属化合物が錯体を形成
し凝集することなく溶媒中で安定にかつ均一に存在する
ことができるため、より合金の均一性が向上し、さらな
る非晶質化が可能になると考えられる。
【0034】次に、本発明の電極材の製造方法の実施態
様について説明する。
【0035】(製造工程)本発明の電極材の製造方法
は、基本的には、リチウムと合金を形成する金属を含有
する所定の金属化合物と、所定の遷移金属化合物、及び
所定の錯化剤を含有する混合液と所定の還元剤を混合
し、該還元剤を酸化し、リチウムと合金を形成する金属
の金属イオン及び遷移金属イオンを還元して、非晶質合
金を合成するものである。以下、該製造工程の好ましい
態様について図1〜図3を参照して詳細に説明する。
【0036】図1は、本発明の電極材の製造方法のフロ
ーチャートを示したものであり、図2及び3は該製造方
法で使用する好ましい製造装置を示したものである。図
2は原材料投入から反応終了まで同一の反応容器で製造
するバッチ式の装置であり、添加装置202、還流装置
203、ガス導入管204及び攪拌装置205をつけた
反応容器201と温度調節装置206から構成される。
【0037】図3は各工程を別の容器で行う連続製造装
置であり、原料添加装置(容器)302、還元剤添加装
置(容器)303、混合槽(容器)304、添加装置
(容器)308、反応槽(容器)301及び生成物回収
容器309から構成される。各容器間は流量調節弁30
7を有する管で連結され、原料添加装置と還元剤添加装
置から混合層へ、添加装置と混合槽304から反応槽3
01へ、反応槽301から生成物回収容器へと流れる構
成である。さらに各添加装置、混合槽304及び反応槽
301には攪拌装置305と温度制御装置306が、ま
た生成物回収容器309には温度制御装置306が付け
られている。
【0038】図2に示す装置では、図1に徴して説明す
るに、まず、反応容器201中に、窒素等の不活性ガス
をガス導入管より導入し、余分のガスのみを還流装置2
03から系外へ放出する。次いで、電気化学的にリチウ
ムと合金を形成する金属の金属塩及び金属錯体の中から
選ばれる少なくとも1種以上の金属化合物、遷移金属の
金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種以
上の遷移金属化合物、錯化剤、及び溶媒を該反応容器2
01内に導入して攪拌し(工程A)、還元剤を添加装置
202から添加し(工程C)、温度制御装置206で反
応容器201内の混合溶液の温度をコントロールする。
その後、前記還元剤を酸化するためにpH調整が必要な
場合にはアルカリ等のpH調整剤を添加して、該還元剤
を酸化し(工程D)、前記リチウムと合金を形成する金
属化合物と前記遷移金属化合物の還元反応を進行させ
る。また上記反応後は、常法により合成物を洗浄、乾燥
し(工程E、F)、電極材を得る。
【0039】図3に示す連続製造装置では、図1に徴し
て説明するに、装置全体を窒素等の不活性ガスで置換
し、各添加装置には図2に示す装置におけると同様のガ
スを導入する。原材料の電気化学的にリチウムと合金を
形成する金属の金属塩及び金属錯体の中から選ばれる少
なくとも1種以上の金属化合物、遷移金属の金属塩およ
び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種以上の遷移
金属化合物、錯化剤、及び溶媒を原料添加装置内302
に導入して攪拌し(工程A)、次いで流量調節弁307
で添加量を調節しながら混合槽304に導入する。ま
た、同様に還元剤添加装置303から還元剤を混合槽3
04に導入して攪拌装置305で良く混合し(工程
C)、温度制御装置306で混合槽304中の混合溶液
の温度をコントロールする。混合槽304内の混合溶液
は、流量調節弁307で添加量を調節しながら反応槽3
01に導入し、還元剤を酸化するためにpH調整が必要
な場合にはアルカリ等のpH調整剤を添加装置308か
ら反応槽301に導入して、還元剤を酸化し(工程
D)、前記リチウムと合金を形成する金属化合物と前記
遷移金属化合物の還元反応を進行させる。反応槽301
内の反応溶液は温度制御装置で所定の温度にコントロー
ルし、流量調節弁307で反応時間を調整して生成物回
収容器309に取り出し、該反応溶液を生成物回収容器
309の温度制御装置で冷却して生成物を得る。反応後
は、生成物回収容器309から生成物を取り出し、常法
により生成物を洗浄、乾燥し(工程E、F)、電極材を
得る。上記工程で得られた電極材は、ボールミル等の粉
砕装置にて粉砕することも可能である。
【0040】図3の連続製造装置を使用した場合は、図
2のバッチ式の製造装置に比べ、(イ)未反応原料と生
成物の分離が容易で不純物の少ない生成物が得られる
点、(ロ)流量調節弁で反応時間を容易に調製できる
点、及び(ハ)各原料、生成物の温度、反応温度を個別
に制御できる点、で好ましく、(ニ)特に大量に電極材
を製造する場合には、安定して均一な生成物を連続的に
合成できるのでより好ましい。
【0041】上記還元剤を添加する際(工程C)及び該
還元剤を酸化する際(工程D)、反応容器を加温または
冷却し温度を一定に保つと、混合熱や反応熱による還元
剤の分解反応や副反応が起りにくくなるため好ましく、
反応容器内の混合溶液の温度を−10〜100℃、より
好ましくは10〜90℃でコントロールすることが好ま
しい。 該温度が−10℃より低いと得られる電極材の
非晶質部が減少し、100℃より高いと不純物の生成が
多くなる傾向が見られる。さらに還元剤を添加する際
(工程C)、該還元剤の温度を反応容器内の混合溶液の
温度と同じ温度に調整しておくと、該還元剤を該混合溶
液に添加混合した際の温度変化を低減できるため好まし
い。
【0042】上記反応容器内に注入するガスとしては、
窒素以外に、水素及びアルゴン、ヘリウム等の不活性ガ
スを使用すると、還元剤が該ガスと反応して酸化するの
を抑制することができるため好ましい。また、これらの
ガスは上記二者の金属化合物を反応容器内に導入する際
(工程A)から前記還元剤を酸化する際(工程D)まで
絶えず注入し続けると、反応で発生したガス等が系外に
排出されるため、不純物の生成が低減されるので好まし
い。ところが、還元剤としてホルムアルデヒドや蟻酸を
使用した場合は炭酸ガスが、チオ硫酸ナトリウムを使用
した場合は二酸化硫黄が発生し、発生したガスによって
炭酸化物や硫酸物等の不純物が生成しやすくなる。ま
た、還元剤を添加する際(工程C)、還元剤が固体また
は気体ならば反応に使用する溶媒に溶かし(工程B)、
還元剤が液体ならばそのままで、添加することが好まし
い。
【0043】上記還元剤の添加量については、使用する
還元剤のモル当たりの酸化数変化(電子を放出する個数)
と還元される金属のモル当たりの酸化数変化(電子を放
出する個数;この場合は電子を取り込む個数)で当量点
に相当するだけの量を添加すればよいが、還元剤を過剰
量使用すると収率が良好で好ましい。ここで云う当量点
に相当する量というのは、例えば、還元剤が酸化数+3
から+4に酸化され、還元される金属化合物中の金属が
酸化数+2から0に還元される場合、還元剤を金属化合
物に対してモル比で2倍量添加することである。リチウ
ムと合金を形成する金属の金属化合物と遷移金属化合物
の酸化数が異なる場合でも、それぞれの金属化合物の当
量点に相当する合計量の還元剤を添加すればよい。好ま
しい還元剤の添加量としては、収率と不純物の生成の面
から、還元剤を添加する金属化合物の当量点の合計量に
対して、1〜3倍量、より好ましくは1〜2倍量であ
る。また、還元剤の酸化力が大きく金属化合物と混合す
るだけで反応する場合は、還元剤を添加する際(工程
C)の添加速度を速くすることによって、混合溶液中で
急激に反応が起こるため、合金の結晶形成が起こりにく
くなり非晶質化が進むので好ましい。すなわち合金の生
成反応は短時間で完了するのが望ましく、好ましい前記
添加速度としては、還元剤全量の添加時間を2分間以
内、より好ましくは1分間以内に行うことである。
【0044】上記リチウムと合金を形成する金属の金属
化合物及び上記遷移金属化合物の使用量は、該リチウム
と合金を形成する金属の金属化合物中の金属のモル数/
該遷移金属化合物中の金属のモル数 = 0.1〜10が
好ましく、0.2〜5がより好ましい。これら金属化合
物の夫々の使用量がこの範囲外の場合は、得られる電極
材の非晶質部が減少する傾向がみられる。さらに、これ
ら金属化合物以外に別の化合物等も添加し電極材に複合
化することもできる。この場合、前記二者の金属化合物
を反応容器内に導入する際(工程A)に前記化合物等添
加することが工程が簡便になり好ましい。
【0045】上記錯化剤の添加量としては、好ましくは
錯化剤のモル数/(リチウムと合金を形成する金属の化
合物のモル数+遷移金属化合物のモル数)=1〜5、よ
り好ましくは2〜5である。この量の錯化剤を使用する
と、各金属化合物中の金属イオンが安定かつ均一に溶媒
中に溶解されるため、不純物の低減ができ更に非晶質化
の良好な電極材を得ることができる。
【0046】上記溶媒の使用量については、該溶媒に混
合する各金属化合物および還元剤等が均一になる量又は
それ以上を使用するのが好ましいが、溶媒の多い希薄な
混合液系では還元反応が温和になり合成物の収率が低減
する。該溶媒好ましい使用量としては、前記還元剤の重
量モル濃度が0.1〜5モル/kg、より好ましくは
0.5〜4モル/kgなるように調整することが望まし
い。また、上記各化合物と溶媒を混合する際(工程A)
には、各化合物を同時に添加混合する方法以外に、各化
合物を複数回に分けて添加混合することもできる。この
際、各化合物を使用する溶媒とそれぞれ混合して添加す
ることが好ましい。さらに、前記各化合物と溶媒を混合
する際(工程A)、アニオン性、カチオン性及びノニオ
ン性界面活性剤の中から選ばれる界面活性剤からなる分
散剤を添加すると、混合溶液の均一性が向上し好まし
い。
【0047】上記還元剤を添加し酸化する際(工程C、
D)、反応溶液のpHを一定に保つと錯化剤と金属イオ
ンで形成される錯体が安定化されるため好ましく、混合
溶液のpH値を3〜12、より好ましくは5〜10の範
囲に制御することが望ましい。該pH値が3より低いと
収率が低下し、該pH値が12より高いと不純物が多く
なる傾向が見られる。当該pH値を制御する方法として
は、酸又はアルカリを添加する方法、pH緩衝剤を使用
する方法が挙げられる。しかし、該還元剤がこのpH値
の範囲で反応性が高く不安定になりやすい場合は、例え
ば該還元剤として三塩化チタンを使用するような場合
は、還元剤が安定するpH値の領域で還元剤を添加し
(工程C)、アルカリ又は酸を添加することによって還
元剤を酸化すると同時に反応溶液のpH値を上記範囲に
制御する(工程D)ことが考えられるが、高pH値(ア
ルカリ性)領域では各金属化合物の金属イオンが水酸化
物を形成して沈殿し易くなるため、低pH値(酸性)領
域からアルカリを添加して上記pH値の範囲に制御する
ことが好ましい。この場合、工程Cでの還元剤の安定性
からpH値を2以下にすることが好ましい。また、アル
カリを添加する速度を速くすることによって、混合溶液
中で急激に反応が起こるため合金の結晶形成が起こりに
くくなり非晶質化が進むので好ましい。
【0048】この点は、図8のX線回折のプロファイル
から判断できる。図8(1)は後述する実施例1の合金
材料のX線回折図であり、図8(2)はアルカリの添加
速度だけをゆっくりと行いその他は同様の方法で作製し
た合金材料のX線回折図である。図8に示すように、図
8(2)のアルカリの添加する速度を15分間かけてゆ
っくりと行った場合は、図8(1)のアルカリを30秒
間で添加した場合より非晶質化が進みにくくなる。即
ち、合金の生成反応は短時間で完了するのが望ましく、
アルカリ全量の添加時間を2分間以内、より好ましくは
1分間以内に行うことである。添加する好ましいアルカ
リとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化
物、アミン類、及びアンモニアが挙げられる。
【0049】上記還元剤を酸化する方法としては、後の
還元剤の項に記載する還元剤の酸化力(還元剤と還元さ
れる金属イオンの電極電位の差)によって異なるが、還
元剤、リチウムと合金を形成する金属イオン及び遷移金
属イオンを含有する混合溶液に上記のアルカリを添加し
該混合溶液のpH値を調整することによって還元剤を酸
化する方法;還元剤と、リチウムと合金を形成する金属
イオン及び遷移金属イオンを含有する溶液とを混合して
加熱する方法;還元剤と、リチウムと合金を形成する金
属イオン及び遷移金属イオンを含有する溶液とをそれぞ
れ加熱しておいて混合する方法;及び還元剤の酸化力が
強くて反応が急激におこるような場合はそれぞれを冷却
しておいて混合する方法が挙げられる。
【0050】上記反応容器内の混合溶液を加熱または冷
却する温度を好ましくは−10〜100℃、より好まし
くは10〜90℃でコントロールすることが好ましい。
該混合溶液の温度が−10℃より低いと得られる電極材
の非晶質部が減少し、100℃より高いと不純物の生成
が多くなる傾向が見られる。
【0051】次に、上述した工程において使用する各材
料について説明する。
【0052】(リチウムと合金を形成する金属の金属塩
・金属錯体)本発明で使用するリチウムと合金を形成す
る金属の金属塩及び金属錯体は、いずれも電気化学反応
でリチウムと合金を形成する金属を主として含有するも
のである。これらの好ましい例として、リチウムと合金
を形成する金属の塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩などの金
属塩、リチウムと合金を形成する金属のアミン錯体、フ
ルオロ錯体、ポリアミン錯体、及びポリフィリン錯体な
どの金属錯体(即ち、金属錯塩)が挙げられる。この
他、リチウムと合金を形成する金属のアルキル化合物、
及びフェニル化合物などの有機金属化合物も使用でき
る。これらの中、リチウムと合金を形成する金属の塩化
物、硫酸塩、及び硝酸塩は溶媒に溶解し金属イオンにな
り易いため特に好ましい。好ましい具体例として、B
i,In,Pb,Si,Ag,Sr,Ge,Zn,S
n、Cd、Sb、Tl、及びHgの中からえらばれる元
素の塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩が挙げられる。これら
の中、Bi,In,Pb,Zn,Sn、Sb、及びTl
の中からえらばれる元素の塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩
は、溶媒中で安定に金属イオンが形成されるためより好
ましい。中でも、Snの塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩
は、Snが遷移金属と均一な合金を形成し非晶質部を形
成しやすいため特に好ましい。なお、これらの化合物は
単独でも2種以上の混合して使用することが可能であ
る。
【0053】(遷移金属の金属塩・金属錯体)本発明で
使用する遷移金属の金属塩及び金属錯体はいずれも遷移
金属を主として含有するものである。これらの好ましい
例として、遷移金属の塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩など
の遷移金属塩、遷移金属のアミン錯体、フルオロ錯体、
ポリアミン錯体、及びポリフィリン錯体などの金属錯体
(即ち、遷移金属錯塩)が挙げられる。この他、遷移金
属のアルキル化合物、及びフェニル化合物などの有機金
属化合物も使用できる。これらの中、遷移金属の塩化
物、硫酸塩、及び硝酸塩は溶媒に溶解し金属イオンにな
り易いため特に好ましい。好ましい具体例として、C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Tc,R
u,Rh,Pd,Ag,Os,Ir,Pt,Au,T
i,V,Y,Sc,Zr,Nb,Hf,Ta,及びWの
中から選ばれる元素の塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩が挙
げられる。これらの中、Cr,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Ru,Rh,Pd,Ag,Os,Ir,P
t,及びAuの中から選ばれる元素の塩化物、硫酸塩、
及び硝酸塩は、溶媒中で安定に金属イオンが形成される
ためより好ましい。中でも、Cr,Mn,Fe,Co,
Ni,及びCuの中から選ばれる元素の塩化物、硫酸
塩、及び硝酸塩は、リチウムと合金を形成する金属と均
一な合金を形成し非晶質部を形成しやすいため特に好ま
しい。なお、これらの化合物は単独でも2種以上の混合
して使用することが可能である。
【0054】(錯化剤)本発明で使用する錯化剤として
は、溶媒中で上記金属イオンと錯体を形成できる化合物
が好ましく使用されるが、得られる混合液が、上記電気
化学的にリチウムと合金を形成する金属と錯化剤で形成
される錯体や上記遷移金属と錯化剤で形成される錯体を
含有するところとなるような錯化剤を使用するのがより
好ましい。このような錯化剤を添加することで、上記金
属イオンが所望の錯体を形成し、反応操作中の温度変化
やpH変化等によっても溶媒中で安定にイオンとして存
在することができ、更に効率的に還元反応が起ることで
収率の向上と不純物の低減が可能になる。このように金
属イオンと錯化剤で形成された錯体を測定する方法とし
ては、可視―紫外吸収スペクトル分析や赤外スペクトル
分析でのスペクトル位置やスペクトルシフトから分析す
る方法が挙げられる。錯化剤としての好ましい具体例と
しては、シアン化物、チオシアン酸及びその塩類、亜硝
酸及びその塩類、アンモニア及びその塩類、ピリジン、
ビピリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン
等のアミン類及びその塩類、アセチルアセトン等のケト
ン類、尿素、蓚酸、クエン酸、酒石酸、エチレンジアミ
ン四酢酸等の有機カルボン酸及びその塩類、アルギニ
ン、アラニン等のアミノ酸類、エチレングリコール、ポ
リオチレングリコール等のポリオール等が挙げられる。
これらの中、アミン類、有機カルボン酸類は反応中での
錯体形成が安定で均一な合金が生成できるためより好ま
しく、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸及びその塩類
はとくに好ましい。なお、これらの化合物は単独でも2
種以上の混合して使用することが可能である。
【0055】(溶媒)本発明で使用する溶媒としては、
上記金属化合物と錯化剤の錯体が均一に溶解または分散
できる溶媒であればいずれの溶媒も使用できるが、上記
金属化合物と錯化剤の錯体が溶解できる溶媒であれば、
より均一に合金形成が可能になり好ましい。このような
溶媒としては、水及び極性溶媒が挙げられる。該極性溶
媒の具体例としては、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルカーボネ
ート等のエステル類、ホルムアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、 N,N−ジメチルアセトアミド、1,
3−ジメチル−2イミダゾリジノン、N−メチルピロリ
ドン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、スリシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル
類、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、アニリ
ン、ピリジン、ピペリジン等のアミン類、塩化メチレ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン、1−ブロモ−2−クロロエタン等のハロゲン化
合物類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化
合物類、液体アンモニウム、氷酢酸等が挙げられる。中
でも、水およびアルコール類は、金属化合物と錯化剤の
錯体の溶解性が高いのでより好ましい。なお、これらの
溶媒は単独溶液でも2種以上の混合溶液でも使用するこ
とが可能である。
【0056】(還元剤)本発明で使用する還元剤は、上
記金属イオンを還元でき、還元剤が含有するイオンまた
は元素の電極電位が前記リチウムと合金を形成する金属
及び遷移金属の電極電位(E)より卑(低い)である化
合物からなるものである。即ち、リチウムと合金を形成
する金属イオンと遷移金属イオンに還元剤を共存させた
とき、該金属イオンが還元されやすく、還元剤自身は酸
化されやすいものを本発明では用いる。ここで云う電極
電位(E)とは、金属を標準水素電極と組み合わせてそ
の金属イオンを含む溶液中に浸したときの、標準水素電
極と金属の間の電位で示さる。通常、溶液の温度やpH
値等によってイオンの解離度が変化するため、電極電位
も同様に変化する。即ち、本発明で使用する還元剤とし
ては、還元反応時の溶液状態での電極電位が、使用する
リチウムと合金を形成する金属及び遷移金属で最も電極
電位の低い物より卑(低い)である化合物を使用する。
この場合の還元剤の電極電位が、使用するリチウムと合
金を形成する金属及び遷移金属で最も電極電位の低いも
のより0.1V好ましくは0.2V以上卑(低い)な電
極電位であると、還元反応が効率的に起こるため望まし
い。
【0057】上述したように混合溶液の温度やpH値等
によって還元剤の電極電位は変化するので、好適な還元
剤を選択するのに不便であるが、標準電極電位(E0
を目安として、前記各金属を含有する化合物より低い標
準電極電位を持つ還元剤を選択することが可能である。
ここで云う標準電極電位 (E0)とは、電極電位
(E)から、E0=E−(RT/nF)lnaで示され
る。ここで、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラ
デー、nはイオン価、aは溶液中の金属イオンの活量で
ある。即ち、標準電極電位 (E0)は、a=1のときの
電極電位であり、単極を構成する溶液中の溶質の濃度が
標準状態(a=1)、気体では1気圧、固体や液体では
最も安定な状態(pH値、温度等)にあるときに示す電
極電位で示され、物質によって固有の値を持つ。
【0058】上記リチウムと合金を形成する金属の金属
化合物として、Snの塩化物、硫酸塩、及び硝酸塩の中
から選ばれる少なくとも一種以上の塩を使用する場合、
25℃における水溶液の標準電極電位がこれらの塩より
低い還元剤であれば使用できるが、−0.2V以下、よ
り好ましくは−0.5V以下であるとSnの還元が効率
的に起こるため望ましい。また、還元剤が前記溶媒に溶
解するものであれば、還元反応が均一に起るため好まし
く、更に還元剤が酸化された後も該溶媒に溶解するもの
であれば、反応で析出沈殿する合金粒子への不純物の混
入が低減できるためより好ましい。この様な還元剤とし
ては、次亜リン酸、亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、亜二
チオン酸の低級酸素化物及びそれらの塩類、鉄(2)、チ
タン(3)、クロム(2)の低原子価状態にある金属塩類、
ホルムアルデヒド、蟻酸、蓚酸の有機化合物及びそれら
の塩類が挙げられる。なお、これらの化合物は単独でも
2種以上の混合して使用することが可能である。
【0059】以下に、上記本発明の電極材の製造方法で
製造される電極材について説明する。本発明の製造方法
で製造される電極材は、リチウムと合金を形成する金属
と遷移金属から主としてなる非晶質合金材料からなるも
のである。該リチウムと合金を形成する金属としては、
Bi,In,Pb,Si,Ag,Sr,Ge,Zn,S
n、Cd、Sb、Tl、及びHgが挙げられ、Bi,I
n,Pb,Zn,Sn、Sb、及びTlが好ましく、S
nがより好ましい。これらの金属は単独でも2種以上の
含有されていてもよい。また、遷移金属としては、C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Tc,R
u,Rh,Pd,Ag,Os,Ir,Pt,Au,T
i,V,Y,Sc,Zr,Nb,Hf,Ta,及びWが
挙げられ、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,R
u,Rh,Pd,Ag,Os,Ir,Pt,及びAuが
好ましく、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,及びCuが
より好ましい。これらの遷移金属は単独でも2種以上の
含有されていてもよい。
【0060】更に、本発明の製造方法で製造される電極
材は、上記リチウムと合金を形成する金属と遷移金属以
外に、B、C、N、O、P及びSの中から選択される少
なくとも一種以上の元素を含有する非晶質合金粒子から
なるものであってもよい。これは、本発明の反応系内に
リチウムと合金を形成する金属イオンと遷移金属イオン
以外に、B、C、N、O、P及びSの中から選択される
少なくとも一種以上の元素を有する化合物を共存させて
調製することで得られるが、B、C、N、O、P、およ
びSの元素は上記金属元素よりも原子半径が小さいため
非晶質化を容易にし、特にB、C、N、Pはより原子半
径が小さく非晶質化に好ましい元素である。
【0061】また、本発明の製造方法で製造される電極
材の好ましいものは、非化学量論組成の非晶質Sn・A
・X合金を主成分とする非晶質合金からなるものであ
る。該式Sn・A・X中、Aは、上記遷移金属の少なく
とも一種を示し、XはB、C、N、O、P及びSからな
る群から選ばれる少なくとも一種を示す。但し、Xは含
有されていなくてもよい。また、上記式の各原子の原子
数について、Sn/(Sn+A+X)=20〜80原子
%の関係を持つ。本発明における非化学量論組成の非晶
質合金とは、二種以上の金属元素が簡単な整数比で結合
していない非晶質合金を意味する。因みに、二種以上の
金属元素が簡単な整数比で結合、規則的な原子配列を有
し構成金属とは全く異なる結晶構造をとるものは金属間
化合物として知られているが、本発明の製造方法で作製
した非化学量論組成の非晶質合金は該金属間化合物とは
異なるものである。 例えば、Sn−Co合金では、S
nとCoの原子比が簡単な整数比で表される。Sn2
3、SnCo、Sn2Coの組成が金属間化合物である
ことが一般的に広く知られているが、本発明の製造方法
で作製した非化学量論組成のSn−Co非晶質合金の組
成比は、後述の実施例に示す様にこれらの金属間化合物
の組成比とはずれている。
【0062】非晶質合金粒子が非晶質相を含むかもしく
は非晶質であるかは、以下の分析方法により確認するこ
とができる。CuKα線源によるX線回折分析による回
折角に対するピーク強度をとったX線回折チャートで
は、本来、結晶質のピークはシャープであるのに対し、
非晶質相を含有して来るとピークの半価幅が広がりブロ
ードなピークとなり、完全に非晶質になるとX線回折ピ
ークは全く認められなくなる。また、X線回折分析の結
果から計算される、ある原子からどれだけ隔たった点に
他の原子がどれだけ存在しているかを示す関数である動
径分布関数では、原子間距離が一定の結晶に見られる特
定の距離の点に鋭いピークが現われるものとは異なり、
非晶質では原子の大きさ付近の短距離での密度は大きい
が離れた長距離での密度は小さくなる。電子線回折分析
によって得られる電子線回折パターンでは、結晶のスポ
ットパターンから非晶質に移っていくとリングパターン
→ディフューズドリングパターン→ハローパターンへと
変化していく。ディフューズドリングパターンだと非晶
質相を有し、ハローパターンだと非晶質だと判断するこ
とができる。さらに、示差走査熱量測定DSC(dif
ferential scanning calori
meter)分析では、非晶質相を有した金属粉の加熱
(例えばスズ合金であれば200℃から600℃程度の
範囲)で結晶化による発熱ピークが観測される。非晶質
相の割合が多くなると、結晶質であったシャープなX線
回折チャートのピークはピークの半価幅が広がり、より
ブロードとなる。
【0063】本発明の製造方法で得られる非晶質合金
は、CuKα線のX線回折に現れるメインピークの半値
幅が、0.2°以上であり、好ましくは0.5°以上で
ある。また、本発明の製造方法で作製した非晶質合金
は、CuKα線のX線回折2θ=20°〜50°の範囲
に現れるピークの半値幅が、0.2°以上であり、好ま
しくは0.5°以上である。また、非晶質合金粒子の結
晶子、特に電極構造体に対して充放電を行う以前(未使
用の状態)での合金粒子のX線回折分析から計算される
結晶子の大きさが、好ましくは50nm以下の範囲、よ
り好ましくは20nm以下の範囲である。尚、本発明に
おいて、粒子の結晶子の大きさとは、線源にCuKαを
用いたX線回折曲線のピークの半値幅と回折角から次の
Scherrerの式を用いて決定したものである。 Lc=0.94λ/(βcosθ)(Scherrer
の式) Lc:結晶子の大きさ λ:X線ビームの波長(nm) β:ピークの半価幅(rad) θ:回折線のブラッグ角(rad) 前記非晶質相を有する合金粒子を不活性ガス雰囲気下も
しくは水素ガス雰囲気下で、600℃以上の温度で熱処
理して結晶化したものから得られるX線回折ピーク強度
を結晶質100%(強度Ic)とすることで、非晶質相
の割合いを簡便に求めることができる。前記非晶質相を
有する合金粒子のX線回折ピーク強度をIaとすると非
晶質相の割合いは(1−Ia/Ic)×100%であ
る。本発明では上記式から計算される非晶質の割合は3
0%以上あることが好ましく、50%以上あることがよ
り好ましい。
【0064】本発明の製造方法で得られる非晶質Sn・
A・X合金の具体的な代表例としては、以下に示すもの
が挙げられる。即ち、X元素は含有せずに、Sn元素と
遷移金属元素Aとを含有し、該遷移金属元素Aが、C
o,Ni,Fe,Cu,Cr,およびMnの中から選ば
れるものである場合の非晶質合金の具体的代表例とし
て、Sn−Co非晶質合金、Sn−Ni非晶質合金、S
n−Fe非晶質合金、Sn−Cu非晶質合金、Sn−C
r非晶質合金,Sn−Co−Ni非晶質合金,Sn−C
o−Cu非晶質合金,Sn−Co−Fe非晶質合金,S
n−Ni―Cu非晶質合金,Sn−Ni―Fe非晶質合
金,Sn−Co−Fe―Ni−Cr非晶質合金,Sn−
Co−Fe―Ni−Cr―Mn非晶質合金,Sn−Co
−Cu―Fe−Ni−Cr非晶質合金,及びSn−Co
−Cu―Fe−Ni−Cr―Mn非晶質合金が挙げられ
る。Sn元素、遷移金属元素A、及び元素Xを含有し、
前記遷移金属元素Aが、Co,Ni,Fe,Cu,C
r,およびMnの中から選ばれるものであり、前記元素
XがB、C、N、O、P及びSの中から選ばれる少なく
とも一種の元素である場合の非晶質合金の具体的代表例
として、Sn−Co―C非晶質合金、Sn−Ni−C非
晶質合金、Sn−Fe―C非晶質合金、Sn−Cu―C
非晶質合金、Sn−Fe―Ni−Cr−C非晶質合金、
Sn−Co−Fe―Ni−Cr−C非晶質合金、Sn−
Cu−Fe―Ni−Cr−C非晶質合金、Sn−Co−
Fe―Ni−Cr−Mn−C非晶質合金、Sn−Co−
Cu−Fe―Ni−Cr−Mn−C非晶質合金、Sn−
Co−P非晶質合金,Sn−Ni―P非晶質合金,Sn
−Fe−P非晶質合金、Sn−Cu―P非晶質合金、S
n−Co―B非晶質合金、Sn−Ni―B非晶質合金、
Sn−Fe―B非晶質合金、Sn−Cu―B非晶質合
金、Sn−Co−P非晶質合金,Sn−Cu―B非晶質
合金,Sn−Co−N非晶質合金,Sn−Ni―N非晶
質合金,Sn−Fe−N非晶質合金、Sn−Cu―N非
晶質合金、Sn−Co―S非晶質合金、Sn−Ni―S
非晶質合金、Sn−Fe―S非晶質合金、及びSn−C
u―S非晶質合金が挙げられる。
【0065】本発明の製造方法で得られる電極材は、好
ましくは、平均粒径が、0.1μm乃至2μmの範囲で
あり、好ましくは0.1μm乃至1μmの範囲である非
晶質合金粒子からなるものである。 該非晶質合金粒子
は、粒度分布が、好ましくは0.01乃至20μmの範
囲であり、より好ましくは0.05乃至5μmの範囲で
あり、最適には0.05乃至1μmの範囲である。また
該非晶質合金粒子の形状は、球状であるのが好ましく、
真球に近い形状であるのがより好ましい。該粒子の球状
の度合としては、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小
の長さ)が、平均値で、好ましくは1.0乃至2.0の
範囲、より好ましくは1.0乃至1.5の範囲である。
本発明においていう「粒子の最大の長さ」及び「粒子の
最小の長さ」は、該非晶質合金粒子の一つの粒子の走査
型電子顕微鏡等による観察において、該粒子の見かけ上
の平面について、その中心を通る最も長くなる方向での
直線の長さを「粒子の最大の長さ」として表し、該中心
を通る最も短くなる方向での直線の長さを「粒子の最小
の長さ」として表す。即ち、粒子の最大の長さ/粒子の
最小の長さが1.0に近いと真球に近い形状であること
を示し、1.0より大きくなるにつれて真球からずれた
形状であることを示す。(粒子の最大の長さ)/(粒子
の最小の長さ)の平均値は、該非晶質合金粒子の複数の
粒子、例えば、20個の粒子を上述したように走査型電
子顕微鏡等で直接観察して、夫々の粒子の(粒子の最大
の長さ)/(粒子の最小の長さ)の値を測定し、該20
個の粒子の(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長
さ)の値の平均値を算出することにより得られる。とこ
ろで、化学的に還元して合金を作製する際、溶媒中でこ
の還元反応を行うので、反応系全体で均一に還元が起る
ため生成する合金粒子の形状と粒径が均一になり易く、
還元反応の際に攪拌することでさらに効果が大きくなり
真球に近い形状の粒子が形成され易くなる。ここでの平
均粒径及び粒度分布の測定方法としては、レーザー散乱
法で測定する方法、走査型電子顕微鏡で測定する方法が
挙げられる。また、粒子形状の測定方法としては、走査
型電子顕微鏡で測定する方法が挙げられる。また、本発
明の製造方法で得られる電極材の比表面積は、10m2
/g以上であり、好ましくは30m2/g以上である。
この比表面積は、ガス吸着を用いたBET(Bruna
uer−Emmett−Teller)法で計測され
る。
【0066】本発明の電極構造体およびその製造方法に
ついて説明する。図4は、本発明の製造方法で作製した
電極材からなる電極構造体405の一実施態様例の断面
を模式的に示す概念図である。集電体400上に非晶質
合金材料401に導電補助材403と結着剤402を加
えて成形した層(活物質層)404から構成されてい
る。
【0067】以下では、電極構造体405の作製方法の
一例について説明する。先ず、上述した非晶質合金材料
401、結着剤402、導電補助材403を混合し、溶
媒を添加して粘度を調整して、ペースト状物を調製す
る。該ペースト状物を集電体400上に塗布し、乾燥し
て電極構造体405を形成する。ここで形成される電極
構造体は、必要に応じてロールプレス等でその厚みを調
整することができる。上記の塗布方法としては、例え
ば、コーター塗布方法、スクリーン印刷法が適用でき
る。また、溶剤を添加することなく上記主材と導電補助
材と結着剤を、或いは結着剤を混合せずに上記主材と導
電補助材のみを、集電体上に加圧成形して、電極材層を
形成することも可能である。
【0068】(集電体)集電体400は、充電時の電極
反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは放電時
の発生する電流を集電する役目を担っている。特に電極
構造体400をリチウム二次電池の負極に適用する場
合、集電体400を形成する材料としては、電気伝導度
が高く、かつ、電池反応に不活性な材質の材料が望まし
い。そうした材料の好ましい例としては、電気化学反応
でリチウムと合金化しない材料である、銅、ニッケル、
鉄、ステンレススチール、チタンから選択される一種類
以上の金属材料から成るものが挙げられる。また、集電
体の形状としては、板状であるが、この“板状”とは、
厚みについては実用の範囲上で特定されず、厚み約10
0μm程度もしくはそれ以下のいわゆる“箔”と称され
る形態をも包含する。また、板状であって、例えばメッ
シュ状、スポンジ状、繊維状をなす部材、パンチングメ
タル、エキスパンドメタル等を採用することもできる。
【0069】(結着剤)結着剤402としては、高分子
材料が好ましく、高分子材料としては非水溶性有機高分
子材料も使用可能であるが、水溶性有機高分子材料がよ
り好ましい。上記非水溶性有機高分子材料の例として
は、ポリビニルフルオライド、ポリビリニデンフルオラ
イド、4フッ化エチレンポリマー、3フッ化エチレンポ
リマー、2フッ化エチレンポリマー、エチレン-4フッ
化エチレン共重合ポリマー、4フッ化エチレン-6フッ化
プロピレン共重合ポリマー、4フッ化エチレン-パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合ポリマーや3フッ化
塩化エチレンポリマーなどのフッ素含有ポリマー、ポリ
エチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチ
レン-プロピレン-ジエンターポリマー、シリコン樹脂、
ポリ塩化ビニル、またはポリビニルブチラールが挙げら
れる。特に好ましい結着剤としての水溶性高分子材料の
具体例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、イソプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、シアノエチルセルロース、エチル
-ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん、デキストラ
ン、プルラン、ポリサルコシン、ポリオキシエチレン、
ポリN-ビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガカント
ゴム、またはポリビニルアセテートなどが挙げられる。
こうした結着剤の上記電極材層を占める割合は、充電時
により多くの活物質量を保持するために、1〜20重量
%の範囲とすることが好ましく、2〜10重量%の範囲
とすることがより好ましい。
【0070】(導電補助材)導電補助材403として
は、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの非
晶質炭素や黒鉛構造炭素などの炭素材、ニッケル、銅、
銀、チタン、白金、アルミニウム、コバルト、鉄、クロ
ム、などが用いられる。当該導電補助材としては、例え
ば炭素材料や金属材料を、好ましくは電極材料層の0〜
30重量%の範囲で配合して用いる。上記導電補助材の
形状として好ましくは、球状、フレーク状、フィラメン
ト状、繊維状、スパイク状、針状、などが挙げられ、よ
り好ましくは、これらの形状から選択される異なる二種
類以上の形状を採用することにより、電極材料層形成時
のパッキング密度を上げて電極構造体のインピーダンス
を低減することができる。
【0071】本発明の製造方法で得られる電極材は、従
来の黒鉛等の炭素材料に比べて、充電時に体積膨張があ
るために、非晶質合金粒子を主に用いて集電体上に形成
した活物質層(電極材層)の密度は、高すぎると充電時
の体積膨張で集電体との剥がれを引き起こし、低すぎる
と粒子間の接触抵抗が増し集電能が低下するので、好ま
しくは2.0〜3.5g/cm3の範囲、より好ましく
は2.3〜3.0g/cm3の範囲であることがよい。
【0072】本発明のリチウム二次電池およびその製造
方法について説明する。 (リチウム二次電池)図5は、本発明のリチウム二次電
池500の断面を模式的に示す概念図であり、本発明の
電極構造体である負極501と正極502が、イオン伝
導体(電解質)504を介して対向し電池ハウジング
(ケース)507内に収容され、負極501、正極50
2は、夫々負極端子505、正極端子506に接続して
いる。尚、503は電解液を示す。
【0073】(負極)前記負極501としては、上述し
た本発明の電極構造体405が使用できる。
【0074】(正極)前記本発明の電極構造体を用いた
負極501の対極となる正極502は、少なくともリチ
ウムイオンのホスト材となる正極活物質から成り、好ま
しくはリチウムイオンのホスト材となる正極活物質から
形成された層と集電体から成る。さらに該正極活物質か
ら形成された層は、リチウムイオンのホスト材となる正
極活物質と結着剤、場合によってはこれらに導電補助材
を加えた材料から成るのが好ましい。
【0075】リチウム二次電池に用いるリチウムイオン
のホスト材となる正極活物質としては、遷移金属酸化
物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム−遷移
金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化物、リチウム−遷
移金属窒化物が用いられる。本発明の二次電池の正極活
物質としては、より好ましくはリチウム元素を含有する
リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属硫化
物、リチウム−遷移金属窒化物を使用する。遷移金属酸
化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物の遷移金属元素
としては、例えば、d殻あるいはf殻を有する金属元素
であり、Sc,Y,ランタノイド,アクチノイド,T
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,M
n,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,I
r,Ni,Pb,Pt,Cu,Ag,Auが好適に用い
られる。上記正極活物質(正極材料)もインターカレー
トするリチウムイオンの量(すなわち蓄電容量)を多く
するために、非晶質相を有した材料を使用するのがより
好ましい。非晶質相を有する正極活物質は負極材料の非
晶質合金粒子同様(回折角2θに対するX線回折強度
の)X線回折チャートの2θに対する主ピークの半価幅
が0.2°以上であることが好ましく、0.5°以上で
あることがより好ましい。
【0076】上記正極活物質の形状が粉末である場合に
は、結着剤を用いるか、焼結させて正極活物質層を集電
体上に形成して正極を作製する。また、上記正極活性物
質粉の導電性が低い場合には、前記電極構造体の活物質
層の形成と同様に、導電補助材を混合することが適宜必
要になる。上記導電補助材並びに結着材としては、前述
した本発明の電極構造体(405)に用いられるものが
同様に使用できる。上記集電体の材料としてはアルミニ
ウム、チタン、白金、ニッケル、ステンレススチールな
どが挙げられる。集電体の形状としては電極構造体(4
05)に用いる集電体の形状と同様なものが使用でき
る。
【0077】(イオン伝導体)本発明のリチウム二次電
池のイオン伝導体には、電解液(支持電解質を溶媒に溶
解させて調製した支持電解質溶液)を保持させたセパレ
ータ、固体電解質、電解液を高分子ゲルなどでゲル化し
た固形化電解質、などのリチウムイオンの伝導体が使用
できる。本発明の二次電池に用いるイオン伝導体の導電
率は、25℃における値として、好ましくは1×10
-3 S/cm以上、より好ましくは5×10-3 S/cm
以上であることが必要である。支持電解質としては、例
えば、H2SO4,HCl,HNO3等の酸、リチウムイ
オン(Li+)とルイス酸イオン(BF4 -,PF6 -,AsF
6 -,ClO4 -,CF3SO3 -,BPh4 -(Ph:フェニル
基))からなる塩、及びこれらの混合塩、が挙げられ
る。また、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラ
アルキルアンモニウムイオン、等の陽イオンとルイス酸
イオンからなる塩も使用できる。上記塩は、減圧下で加
熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行っておくことが
望ましい。
【0078】上記支持電解質の溶媒としては、例えば、
アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネ
ート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラ
ヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエ
トキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベン
ゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラ
ン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサ
ルオキシド、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキザゾリ
ジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピル
シドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニ
ル、塩化スルフリル、又は、これらの混合液が使用でき
る。上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレキューラ
シーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水する
か、溶媒によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存
下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのがよい。
【0079】電解液の漏洩を防止するために、固体電解
質もしくは固形化電解質を使用するのが好ましい。固体
電解質としては、リチウム元素とケイ素元素とリン元素
と酸素元素から成る酸化物などのガラス、エーテル構造
を有する有機高分子の高分子錯体、などが挙げられる。
固形化電解質としては、前記電解液をゲル化剤でゲル化
して固形化したものが好ましい。ゲル化剤としては電解
液の溶媒を吸液するようなポリマー、シリカゲルなどの
吸液量の多い多孔質材料を用いるのが望ましい。上記ポ
リマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニル
アルコール、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリ
レート、ポリアクリロニトリルなどが用いられる。さら
に、上記ポリマーは架橋構造のものがより好ましい。
【0080】(セパレータ)上記セパレータは、二次電
池内で負極502と正極503の短絡を防ぐ役割があ
る。また、電解液を保持する役割を有する場合もある。
電解液を保持したセパレータは、イオン伝導体として機
能する。該セパレータとしては、リチウムイオンが移動
できる細孔を有し、かつ、電解液に不溶で安定である必
要がある。したがって、該セパレータとしては、例え
ば、ガラス、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリ
オレフィン、フッ素樹脂、などの不織布あるいはミクロ
ポア構造の材料が好適に用いられる。また、微細孔を有
する金属酸化物フィルム、又は、金属酸化物を複合化し
た樹脂フィルムも使用できる。特に、多層化した構造を
有する金属酸化物フィルムを使用した場合には、デンド
ライトが貫通しにくいため、短絡防止に効果がある。難
燃材であるフッ素樹脂フィルム、又は、不燃材であるガ
ラス、若しくは金属酸化物フィルムを用いた場合には、
より安全性を高めることができる。
【0081】(電池の形状と構造)本発明のリチウム二
次電池の具体的な形状としては、例えば、扁平形、円筒
形、直方体形、シート形などがある。又、該電池の構造
としては、例えば、単層式、多層式スパイラル式などが
ある。その中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極
と正極の間にセパレータを挟んで巻くことによって、電
極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流
すことができるという特徴を有する。また、直方体やシ
ート形の電池は複数の電池を収納して構成する機器の収
納スペースを有効に利用することができる特徴を有す
る。
【0082】以下では、図6、図7を参照して、電池の
形状と構造についてより詳細な説明を行う。図6は単層
式扁平形(コイン形)電池の断面図であり、図7はスパ
イラル式円筒型電池の断面図を表している。これらのリ
チウム電池は、基本的には図5と同様な構成で、負極、
正極、イオン伝導体(電解質・セパレータ)、電池ハウ
ジング、出力端子を有する。図6、図7において、60
1と703は負極、603と706は正極、604と7
08は負極端子(負極キャップまたは負極缶)、605
と709は正極端子(正極缶又は正極キャップ)、60
2と707はイオン伝導体、606と710はガスケッ
ト、701は負極集電体、704は正極集電体、711
は絶縁板、712は負極リード、713は正極リード、
714は安全弁である。
【0083】図6に示す扁平型(コイン型)の二次電池
では、正極材料層を含む正極603と負極材料層を備え
た負極601が少なくとも電解液を保持したセパレータ
のイオン伝導体602を介して積層されており、この積
層体が正極端子としての正極缶605内に正極側から収
容され、負極側が負極端子としての負極キャップ604
により被覆されている。そして正極缶内の他の部分には
ガスケット606が配置されている。
【0084】図7に示すスパイラル式円筒型の二次電池
では、正極集電体704上に形成された正極(材料)層
705を有する正極と、負極集電体701上に形成され
た負極(材料)層702を有した負極703が、少なく
とも電解液を保持したセパレータのイオン伝導体707
を介して対向し、多重に巻回された円筒状構造の積層体
を形成している。当該円筒状構造の積層体が、負極端子
としての負極706内に収容されている。また、当該負
極缶706の開口部側には正極端子としての正極キャッ
プ709が設けられており、負極缶内の他の部分におい
てガスケット710が配置されている。円筒状構造の電
極の積層体は絶縁板711を介して正極キャップ側と隔
てられている。正極706については正極リード713
を介して正極キャップ709に接続されている。又負極
703については負極リード712を介して負極缶70
8と接続されている。正極キャップ側には電池内部の内
圧を調整するための安全弁714が設けられている。前
記負極601の活物質層、及び前記負極703の活物質
層702は、上述した本発明の製造方法で作製した非晶
質合金材料粒子を用いて形成されたものである。
【0085】以下では、図6や図7に示した電池の組み
立て方法の一例を説明する。 (1)先ず、負極(601,703)と成形した正極
(603,706)の間に、セパレータ(602,70
7)を挟んで、正極缶(605)または負極缶(70
8)に組み込む。 (2)次いで、電解質を注入した後、負極キャップ(6
04)または正極キャップ(709)とガスケット(6
06,710)を組み立てる。 (3)上記(2)で得られたものを、かしめることによ
って、電池を完成する。 尚、上述したリチウム電池の材料調製、及び電池の組立
は、水分が十分除去された乾燥空気中、又は乾燥不活性
ガス中で行うのが望ましい。
【0086】上述のような二次電池を構成する部材につ
いて説明する。 (絶縁パッキング)ガスケット(606,710)の材
料としては、例えば、フッ素樹脂,ポリアミド樹脂,ポ
リオレフィン樹脂,ポリスルフォン樹脂,各種ゴムが使
用できる。電池の封口方法としては、図6と図7のよう
に絶縁パッキングを用いた「かしめ」以外にも、ガラス
封管,接着剤,溶接,半田付けなどの方法が用いられ
る。また、図5の絶縁板の材料としては、各種有機樹脂
材料やセラミックスが用いられる。
【0087】(外缶)電池の外缶として、電池の正極缶
または負極缶(605,708)、及び負極キャップま
たは正極キャップ(604,709)から構成される。
外缶の材料としては、ステンレススチールが好適に用い
られる。特に、チタンクラッドステンレス板や銅クラッ
ドステンレス板、ニッケルメッキ鋼板などが多用され
る。図6では正極缶(605)が、図7では負極缶(7
08)が電池ハウジング(ケース)を兼ねているため、
上記のステンレススチールが好ましい。ただし、正極缶
または負極缶が電池ハウジングを兼用しない場合には、
電池ケースの材質としては、ステンレススチール以外に
も鉄、亜鉛などの金属、ポリプロピレンなどのプラスチ
ック、又は、金属若しくはガラス繊維とプラスチックの
複合材が挙げられる。
【0088】(安全弁)リチウム二次電池には、電池の
内圧が高まった時の安全対策として、安全弁が備えられ
ている。該安全弁としては、例えば、ゴム、スプリン
グ、金属ボール、破裂箔などが使用できる。
【0089】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、以下の記載における、部及び%はそれぞれ重
量部、重量%を意味する。
【0090】(実施例1)本実施例では、図6に示した
断面構造のリチウム二次電池を作製した。正極にはコバ
ルト酸リチウムを使用し、負極には以下の本発明の方法
で調製したスズ−ニッケル(Sn−Ni)非晶質合金材
料を使用た。以下では図6を参照して、電池の各構成物
の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
【0091】(1)負極601の作製 リチウムと合金を形成する金属を含有する金属化合物と
しての塩化スズ(4)・5水和物5.3部、遷移金属を含
有する遷移金属化合物としての塩化ニッケル(2)・6水
和物10.7部、錯化剤としてのクエン酸3ナトリウム
・2水和物75.0部、エチレンジアミン四酢酸8.8
部、及び酢酸カリウム8.8部を、水100部に加え、
良く攪拌し混合液を得た。該混合液を、図2に記載の攪
拌装置、還流装置、添加ロート及びガス導入管を有する
反応容器内に入れ、該反応容器内を窒素ガス雰囲気に保
つためガス導入管より窒素ガスを導入し、余剰の窒素ガ
スは還流装置から系外に放出した。この反応容器をウォ
ーターバスで70℃に加熱し、内容物を攪拌装置にて良
く攪拌した。この混合液を可視―紫外吸収スペクトル分
析装置で測定したところ、600nmの位置にピークが出
現し、390nmから380nmへのピークシフトが観察さ
れ、この結果から該混合液には前記各金属と前記錯化剤
とで形成された金属錯体が含有されていることが判っ
た。次いで、還元剤としての塩化チタン(3)23.1部
を水73.3部に溶かした溶液を70℃に加温した後、
添加ロートから反応容器内に添加し良く攪拌した。なお
この添加混合の工程は1分以内で行った。この時点の溶
液のpH値を測定したところ、pH0.1であった。さ
らに、添加ロートに8Nの水酸化カリウム水溶液を入
れ、反応容器内の水溶液を攪拌しながらpHが8.0に
なるように水酸化カリウム水溶液を一気に添加し、30
分間70℃で加熱を続けた。なおこの添加混合の工程は
1分以内で行った。その後、反応容器から内容物を取り
出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−ニッケル合
金粉末からなる生成物を得た。
【0092】得られた合金粉末を、まずX線マイクロア
ナリシスで分析したところ、スズ(Sn)及びニッケル
(Ni)のみでその他の元素は検出されなかった。次い
で誘導結合プラズマ発光分光計で分析したところ、スズ
元素、ニッケル元素の該合金粉末中の含有量はそれぞれ
原子数濃度で61、39%であった。さらに、該合金粉
末を株式会社リガク製:X線回折装置RINT2000
にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析を
行ったところ、図8の(1)に示した様に半価幅が広が
ったピークが2θ=25〜50°に発現していることが
わかった。またX線回析チャートの主ピーク(2θ=3
0.9°と43.8°)の半価幅はそれぞれ0.8°と
0.6°であった。該X線回折チャートのピークの半価
幅と回折角からScherrerの式に基づいて算出さ
れる結晶子サイズはそれぞれ11nm、15nmであっ
た。この結果から、得られた上記合金粉末は非晶質もの
であることが判明した。また、得られた上記スズ−ニッ
ケル合金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計
で測定したところ、該合金粉末の平均粒子径は0.23
μmであり、粒度分布は0.06〜0.9μmであっ
た。更に、得られた該スズ−ニッケル合金粉末を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、(粒子の最大の長さ)/
(粒子の最小の長さ)の平均値が1.3であり、球状粒
子からなるものであることが判った。更にまた、窒素ガ
スを使用したBET法で測定した比表面積は80m2
gであった。次いで、得られた当該スズ−ニッケル合金
粉末90部に、グラファイト5部、ポリビニルアルコー
ル2部及びカルボキシメチルセルロース3部を混合した
後、水100部に添加してペースト状物を調整した。得
られたペースト状物を、集電体としての銅箔の表面に塗
布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極601
を作製した。
【0093】(2)正極603の作製 コバルト酸リチウム粉末90部に、アセチレンブラック
5部及びポリフッ化ビニリデン5部を混合した後、N−
メチル−2−ピロリドン100部を添加してペースト状
物を調整した。得られたペースト状物を、集電体として
のアルミニウム箔のひょうめんに塗布し、乾燥した後、
150℃で減圧乾燥して正極603を作製した。
【0094】(3)電解液607の作製 充分に水分を除去したエチレンカーボネート(EC)と
ジメチルカーボネート(DMC)とを等量混合した混合
溶媒を調整した。得られた溶媒に、四フッ化ホウ酸リチ
ウム塩を1M(mol/l)溶解し、電解液を得た。
【0095】(4)セパレーター607 ポリエチレンの微孔性フィルムをセパレーターとして準
備した。
【0096】(5)電池の組み立て 前記負極601と前記正極603の間に、前記電解液を
保持した前記セパレーター607を挟み、チタンクラッ
ドのステンレススチール材からなる正極缶606に挿入
した。次いで、該正極缶606に、ポリプロピレンから
なる絶縁パッキング610とチタンクラッドのステンレ
ススチール材からなる負極キャップ605をかぶせ、か
しめてリチウム二次電池を得た。ここでの組立工程は全
て乾燥アルゴンガス雰囲気下で行った。尚、該リチウム
二次電池は正極の容量を負極に比べて大きくした負極容
量規制の電池とした。
【0097】(電池の性能評価)実施例1で作製したリ
チウム二次電池について、充放電サイクル試験を介し
て、電池容量、充放電クーロン効率及びサイクル寿命の
評価を行った。充放電サイクル試験は、以下のようにし
て行った。即ち、充電は正極活物質から計算される電気
容量を基準として得た0.1C(容量/時間の0.1倍
の電流)値の定電流にて行い、電池電圧が4.2Vに達
した時点で4.2Vの定電圧充電に切り換えて計10時
間充電し、10分間休止の後、0.1C(容量/時間の
0.1倍の電流)値の定電流で電池電圧が2.8Vに到
達するまで放電し、10分間休止する、サイクルを1サ
イクルとして、充放電サイクル試験を3サイクルまで行
った。電池容量は、3サイクル目の放電電気量から求め
た単位重量当たりの値にて評価した。
【0098】充放電クーロン効率は、次のようにして求
めた。即ち、上記充放電サイクル試験を施した時の充電
電気量に対する放電電気量の割合を計算し、充放電クー
ロン効率として評価した。また、サイクル寿命は、上記
充放電サイクル試験で得られた3サイクル目の放電電気
容量を基準として、0.5C(容量/時間の0.5倍の
電流)の充放電と、10分間の休憩時間からなるサイク
ルを1サイクルとして充放電サイクル試験を行い、電池
容量の60%を下回ったサイクル回数により評価した。
得られた評価結果を表1にまとめてに示す。
【0099】(実施例2)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0100】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての塩化スズ(4)
・5水和物5.3部、遷移金属を含有する遷移金属化合
物としての塩化コバルト(2)・6水和物10.7部、錯
化剤としてのクエン酸3ナトリウム・2水和物75.0
部、エチレンジアミン四酢酸8.8部、及び酢酸カリウ
ム8.8部を、水100部に加え、良く攪拌して混合液
を得た。該混合液を、図2記載の攪拌装置、還流装置、
添加ロートおよびガス導入管を有する反応容器内に入
れ、該反応容器内を窒素ガス雰囲気に保つためガス導入
管より窒素ガスを導入し、余剰の窒素ガスは還流装置か
ら系外に放出した。 該反応容器をウォーターバスで7
0℃に加熱し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。こ
の混合液を可視―紫外吸収スペクトル分析装置で測定し
たところ、実施例1と同様に、該混合液には前記各金属
と前記錯化剤とで形成された金属錯体が含有されている
ことが判った。次いで、還元剤としての塩化チタン(3)
23.1部を水73.3部に溶かした溶液を70℃に加
温した後、添加ロートから反応容器内に添加し良く攪拌
した。なおこの添加混合の工程は1分以内で行った。こ
の時点の溶液のpH値を測定したところ、pH0.1で
あった。さらに、添加ロートに8Nの水酸化カリウム水
溶液を入れ、反応容器内の水溶液を攪拌しながらpHが
8.0になるように水酸化カリウム水溶液を一気に添加
し、30分間70℃で加熱を続けた。なおこの添加混合
の工程は1分以内で行った。その後、反応容器から内容
物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−コ
バルト合金粉末を得た。
【0101】得られたスズ−コバルト合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、該合金粉末
はスズおよびコバルトのみでその他の元素は検出されな
かった。次いで誘導結合プラズマ発光分光計で分析した
ところ、該合金粉末中のスズ元素及びコバルト元素の含
有量はそれぞれ原子数濃度で75、25%であった。さ
らに、該合金粉末を株式会社リガク製:X線回折装置R
INT2000にて、線源にCuのKα線を用いた広角
X線回析分析を行ったところ、半価幅が広がったピーク
が2θ=25〜50°に発現していることが判った。ま
たX線回析チャートの主ピーク(2θ=30.4°と4
3.0°)の半価幅はそれぞれ0.6°と0.8°であ
った。このX線回折チャートのピークの半価幅と回折角
からScherrerの式に基づいて算出される結晶子
サイズは、それぞれ14nmと11nmであった。この
結果から、得られた該合金粉末は非晶質のものであるこ
とが判明した。また、該スズ−コバルト合金粉末を、レ
ーザー散乱法を利用した粒度分布計で測定したところ、
平均粒子径は0.4μmであり、粒度分布は0.06〜
0.9μmであった。更に、得られた該スズ−コバルト
合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、(粒子
の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の平均値が1.
4であり、球状粒子からなるものであることが判った。
更にまた、また窒素ガスを使用したBET法で測定した
比表面積は75m2/gであった。次いで、上記スズ−
コバルト合金粉末90部に、アセチレンブラックの炭素
粉5部とポリフッ化ビニリデン粉5部を混合した後、N
−メチル−2−ピロリドン100部に添加してペースト
状物を調整した。得られたペースト状物を、集電体とし
ての銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧
乾燥して負極601を作製した。
【0102】(実施例3)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様にして性能評価を行った。得られた
評価結果を表1に示す。
【0103】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての塩化スズ(4)
・5水和物11.0部、遷移金属を含有する遷移金属化
合物としての塩化ニッケル(2)・6水和物7.1部、錯
化剤としてのクエン酸3ナトリウム・2水和物75.0
部、エチレンジアミン四酢酸8.8部、及び酢酸カリウ
ム8.8部を、水100部に加え、良く攪拌して混合液
を得た。この混合液を、図2記載の攪拌装置、還流装
置、添加ロートおよびガス導入管を有する反応容器内に
入れ、該反応容器内を不活性ガス雰囲気に保つためガス
導入管よりアルゴンガスを導入し、余剰のアルゴンガス
は還流装置から系外に放出した。該反応容器をウォータ
ーバスで70℃に加熱し、内容物を攪拌装置にて良く攪
拌した。この混合液を可視―紫外吸収スペクトル分析装
置で測定したところ、実施例1と同様で、該混合液には
前記各金属と前記錯化剤とで形成された金属錯体が含有
されていることが判った。次いで、還元剤としての塩化
チタン(3)27.8部を水87.9部に溶かした溶液を
70℃に加温した後、添加ロートから該反応容器内に添
加し良く攪拌した。なおこの添加混合の工程は1分以内
で行った。この時点の溶液のpH値を測定したところ、
pH0.05であった。さらに、添加ロートに8Nの水
酸化カリウム水溶液を入れ、反応容器内の水溶液を攪拌
しながらpHが7.0になるように水酸化カリウム水溶
液を一気に添加し、2時間90℃で加熱を続けた。なお
この添加混合の工程は1分以内で行った。その後、該反
応容器から内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾
燥し、スズ−ニッケル合金粉末を得た。
【00104】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、ま
ずX線マイクロアナリシスで分析したところ、該合金粉
末はスズ、ニッケル、チタン及び酸素が検出され、その
他の元素は検出されなかった。次いで該合金粉末のつい
て、誘導結合プラズマ発光分光計およびX線光電子分光
計で分析したところ、該合金粉末中のスズ元素、ニッケ
ル元素、チタン元素及び酸素元素の含有量はそれぞれ原
子数濃度で48、39、5、8%であった。さらに、該
合金粉末を株式会社リガク製:X線回折装置RINT2
000にて、線元にCuのKα線を用いた広角X線回析
分析を行ったところ、半価幅が広がったピークが2θ=
25〜50°に発現していることが判った。またX線回
析チャートの主ピーク(2θ=30.6°と43.7
°)の半価幅はそれぞれ0.8°と0.9°であった。
このX線回折チャートのピークの半価幅と回折角からS
cherrerの式に基づいて算出される結晶子サイズ
は、それぞれ11nmと10nmであった。この得られ
た結果から、該合金粉末は非晶質のものであることが判
明した。また、該スズ−ニッケル合金粉末を、レーザー
散乱法を利用した粒度分布計で測定したところ、平均粒
子径は0.49μmであり、粒度分布は0.10〜1.
0μmであった。更に、得られた該スズ−ニッケル合金
粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、(粒子の最
大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の平均値が1.5で
あり、球状粒子からなるものであることが判った。更に
また、窒素ガスを使用したBET法で測定した比表面積
は52m2/gであった。次いで、上記スズ−ニッケル
合金粉末90部を遊星ボールミル装置で1時間粉砕した
後、得られたものに、グラファイト5部、ポリビニルア
ルコール2部及びカルボキシメチルセルロース3部を混
合し、水100部に添加してペースト状物を調整した。
得られたペースト状物を、集電体としての銅箔の表面に
塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極60
1を作製した。
【0105】(実施例4)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0106】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての塩化スズ(4)
・5水和物5.3部、遷移金属を含有する遷移金属化合
物としての塩化ニッケル(2)・6水和物10.7部、錯
化剤としてのクエン酸3ナトリウム・2水和物75.0
部、及びエチレンジアミン四酢酸8.8部を、水100
部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、図
2に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス
導入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を窒素
ガス雰囲気に保つためガス導入管より窒素ガスを導入
し、余剰の窒素ガスは還流装置から系外に放出した。該
反応容器をウォーターバスで36℃に加熱し、内容物を
攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視―紫外吸
収スペクトル分析装置で測定したところ、実施例1と同
様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤とで形成さ
れた金属錯体が含有されていることが判った。次いで、
還元剤としての塩化チタン(3)23.1部を水73.3
部に溶かした溶液を36℃に調整した後、添加ロートか
ら該反応容器内に添加し良く攪拌した。なおこの添加混
合の工程は1分以内で行った。この時点の該反応容器内
の溶液のpH値を測定したところ、pH0.1であっ
た。さらに、添加ロートに8Nの水酸化カリウム水溶液
を入れ、該反応容器内の内容物を攪拌しながらそのpH
値が10.0になるように水酸化カリウム水溶液を一気
に添加し、15分間36℃で加熱を続けた。なおこの添
加混合の工程は1分以内で行った。その後、該反応容器
から内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、
スズ−ニッケル合金粉末を得た。
【0107】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、該合金粉末
はスズおよびニッケルのみでその他の元素は検出されな
かった。次いで誘導結合プラズマ発光分光計で分析した
ところ、該合金粉末中のスズ元素及びニッケル元素の含
有量はそれぞれ原子数濃度で75、25%であった。さ
らに、該合金粉末について、株式会社リガク製:X線回
折装置RINT2000にて、線源にCuのKα線を用
いた広角X線回析分析を行ったところ、半価幅が広がっ
たピークが2θ=25〜50°に発現していることが判
った。またX線チャートの主ピーク(2θ=30.6°
と43.7°)の半価幅はそれぞれ0.6°と0.7°
であった。このX線回折チャートのピークの半価幅と回
折角からScherrerの式に基づいて算出される結
晶子サイズはそれぞれ14nmと13nmであった。こ
の結果から、得られた合金粉は非晶質のものであること
が判明した。また、該スズ−ニッケル合金粉末を、レー
ザー散乱法を利用した粒度分布計で測定したところ、平
均粒子径は0.24μmであり、粒度分布は0.05〜
0.8μmであった。更に、得られた該スズ−ニッケル
合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、(粒子
の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の平均値が1.
2であり、球状粒子からなるものであることが判った。
更にまた、窒素ガスを使用したBET法で測定した比表
面積は95m2/gであった。次いで、上記スズ−ニッ
ケル合金粉末90部を遊星ボールミル装置で1時間粉砕
した後、得られたものに、アセチレンブラックの炭素粉
5部とポリフッ化ビニリデン粉5部を混合した後、N−
メチル−2−ピロリドン100部に添加してペースト状
物を調整した。得られたペースト状物を、集電体として
の銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾
燥して負極601を作製した。
【0108】(実施例5)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0109】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての塩化スズ(4)
・5水和物11.0部、遷移金属を含有する遷移金属化
合物としての塩化ニッケル(2)・6水和物7.1部、錯
化剤としてのクエン酸3ナトリウム・2水和物50.0
部と、及びリン酸水素ナトリウム2.0部を、水100
部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、図
2に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス
導入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を窒素
ガス雰囲気に保つためガス導入管より窒素ガスを導入
し、余剰の窒素ガスは還流装置から系外に放出した。該
反応容器をウォーターバスで70℃に加熱し、内容物を
攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視―紫外吸
収スペクトル分析装置で測定したところ、実施例1と同
様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤とで形成さ
れた金属錯体が含有されていることが判った。次いで、
還元剤としての亜硫酸ナトリウム45.0部を水16
8.9部に溶かした溶液を70℃に加温した後、該反応
容器内の内容物を攪拌しながら添加ロートから該反応容
器内に添加し、30分間70℃で加熱を続けた。なおこ
の添加混合の工程は1分以内で行った。この時点の該反
応容器内の内容物のpH値を測定したところ、pH5.
7であった。その後、該反応容器から内容物を取り出
し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−ニッケル合金
粉末を得た。
【0110】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、スズ元素、
ニッケル元素及び硫黄元素のみが検出され、その他の元
素は検出されなかった。次いで誘導結合プラズマ発光分
光計で分析したところ、該合金粉末中のスズ元素、ニッ
ケル元素及び硫黄元素の含有量はそれぞれ原子数濃度で
58、40、2%であった。さらに、該合金粉末を株式
会社リガク製:X線回折装置RINT2000にて、線
源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析を行ったと
ころ、半価幅が広がったピークが2θ=25〜50°に
発現していることが判った。またX線回析チャートの主
ピーク(2θ=30.4°と43.6°)の半価幅はそ
れぞれ0.5°と0.6°であった。このX線回折チャ
ートのピークの半価幅と回折角からScherrerの
式に基づいて算出される結晶子サイズはそれぞれ17n
mと15nmであった。この得られた結果から、該合金
粉末は非晶質のものであることが判明した。また、該合
金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測定
したところ、平均粒子径は0.4μmであり、粒度分布
は0.11〜1.1μmであった。更に、得られた該ス
ズ−ニッケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の
平均値が1.3であり、球状粒子からなるものであるこ
とが判った。更にまた、窒素ガスを使用したBET法で
測定した比表面積は32m2/gであった。次いで、上
記スズ−ニッケル合金粉末90部に、アセチレンブラッ
クの炭素粉5部、ポリビニルアルコール2部及びカルボ
キシメチルセルロース3部を混合した後、水100部を
添加してペースト状物を調整した。得られたペースト状
物を、集電体としての銅箔の表面に塗布し、乾燥した
後、150℃で減圧乾燥して負極601を作製した。
【0111】(実施例6)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0112】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての塩化スズ(4)
・5水和物11.2部、遷移金属を含有する遷移金属化
合物としての塩化ニッケル(2)・6水和物2.5部、錯
化剤としてのクエン酸3ナトリウム・2水和物37.5
部、及びラウリル酸ナトリウム2部を、水50部及びエ
タノール50部の混合溶媒に加え、良く攪拌して混合液
を得た。該混合液を、図2に記載の攪拌装置、還流装
置、添加ロートおよびガス導入管を有する反応容器内に
入れ、該反応容器内を不活性ガス雰囲気に保つためガス
導入管よりアルゴンガスを導入し、余剰のアルゴンガス
は還流装置から系外に放出した。該反応容器をウォータ
ーバスで25℃にし、内容物を攪拌装置にて良く攪拌し
た。この混合液を可視―紫外吸収スペクトル分析装置で
測定したところ、実施例1と同様で、該混合液には前記
各金属と前記錯化剤とで形成された金属錯体が含有され
ていることが判った。次いで、還元剤としての塩化チタ
ン(3)46.3部を水103.7部に溶かした溶液を2
5℃にした後、添加ロートから該反応容器内に添加し良
く攪拌した。なおこの添加混合の工程は1分以内で行っ
た。この時点の該反応容器内の内容物のpH値を測定し
たところ、pH0.03であった。さらに、添加ロート
に8Nの水酸化カリウム水溶液を入れ、該反応容器内の
内容物を攪拌しながらそのpH値が7.0になるように
該水酸化カリウム水溶液を一気に添加し、25℃で2時
間反応を続けた。なおこの添加混合の工程は1分以内で
行った。その後、該反応容器から内容物を取り出し、水
洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−ニッケル合金粉末を
得た。
【0113】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、スズ元素、
ニッケル元素、チタン元素及び酸素元素が検出され、そ
の他の元素は検出されなかった。次いで誘導結合プラズ
マ発光分光計およびX線光電子分光計で分析したとこ
ろ、該合金粉末中のスズ元素、ニッケル元素、チタン元
素及び酸素元素の含有量はそれぞれ原子数濃度で68、
18、15、9%であった。さらに、該合金粉末につい
て、株式会社リガク製:X線回折装置RINT2000
にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析を
行ったところ、半価幅が広がったピークが2θ=25〜
50°に発現していることが判った。またX線回析チャ
ートの主ピーク(2θ=30.6°と43.7°)の半
価幅はそれぞれ0.4°と0.5°であった。このX線
回折チャートのピークの半価幅と回折角からScher
rerの式に基づいて算出される結晶子サイズはそれぞ
れ21nmと18nmであった。この結果から、該合金
粉末は非晶質のものであることが判明した。また、該合
金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測定
したところ、平均粒子径は0.33μmであり、粒度分
布は0.05〜2.1μmであった。更に、得られた該
スズ−ニッケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察した
ところ、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)
の平均値が1.3であり、球状粒子からなるものである
ことが判った。更にまた、窒素ガスを使用したBET法
で測定した比表面積は31m2/gであった。上記スズ
−ニッケル合金粉末90部に、グラファイト5部、ポリ
ビニルアルコール2部及びカルボキシメチルセルロース
3部を混合した後、水100部に添加してペースト状物
を調整した。得られたペースト状物を、集電体としての
銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥
して負極601を作製した。
【0114】(実施例7)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0115】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物としての硝酸スズ(2)
3.6部、遷移金属を含有する遷移金属化合物としての
硝酸ニッケル(2)13.7部、及び錯化剤としてのクエ
ン酸3ナトリウム・2水和物26.5部を、水100部
に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、図2
に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス導
入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を不活性
ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴンガスを導
入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外に放出し
た。該反応容器をウォーターバスで40℃に加熱し、内
容物を攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視―
紫外吸収スペクトル分析装置で測定したところ、実施例
1と同様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤とで
形成された金属錯体が含有されていることが判った。次
いで、還元剤としての塩化チタン(3)83.4部を水2
64部に溶かした溶液を25℃にした後の添加混合の工
程は1分以内で行った。この時点の該反応容器内の内容
物のpH値を測定したところ、pH0.02であった。
さらに、添加ロートに8Nの水酸化カリウム水溶液を入
れ、該反応容器内の内容物を攪拌しながらそのpH値が
7.0になるように該水酸化カリウム水溶液を一気に添
加し、40℃で2時間反応を続けた。なおこの添加混合
の工程は1分以内で行った。その後、該反応容器から内
容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−
ニッケル合金粉末を得た。
【0116】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、スズ元素、
ニッケル元素、チタン元素及び酸素元素が検出され、そ
の他の元素は検出されなかった。次いで誘導結合プラズ
マ発光分光計およびX線光電子分光計で分析したとこ
ろ、該合金粉末中のスズ元素、ニッケル元素、チタン元
素及び酸素元素の含有量はそれぞれ原子数濃度で47、
30、23、10%であった。さらに、該合金粉末につ
いて、株式会社リガク製:X線回折装置RINT200
0にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析
を行ったところ、半価幅が広がったピークが2θ=25
〜50°に発現していることが判った。またX線回析チ
ャートの主ピーク(2θ=30.6°と43.7°)の
半価幅はそれぞれ0.2°と0.3°であった。このX
線回折チャートのピークの半価幅と回折角からSche
rrerの式に基づいて算出される結晶子サイズはそれ
ぞれ43nmと30nmであった。この結果から、該合
金粉末は非晶質のものであることが判明した。また、該
合金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測
定したところ、平均粒子径は1.12μmであり、粒度
分布は0.20〜19.0μmであった。更に、得られ
た該スズ−ニッケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長
さ)の平均値が1.8であり、球状粒子からなるもので
あることが判った。更にまた、窒素ガスを使用したBE
T法で測定した比表面積は11m2/gであった。次い
で、上記スズ−ニッケル合金粉末90部に、グラファイ
ト5部、ポリビニルアルコール2部、及びカルボキシメ
チルセルロース3部を混合した後、水100部に添加し
てペースト状物を調整した。得られたペースト状物を、
集電体としての銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、15
0℃で減圧乾燥して負極601を作製した。
【0117】(実施例8)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0118】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物として塩化スズ(4)・
5水和物11.0部、 遷移金属を含有する遷移金属化
合物として塩化ニッケル(2)・6水和物3.6部及び塩
化コバルト(2)・6水和物3.5部、錯化剤としてクエ
ン酸3ナトリウム・2水和物75.0部及びエチレンジ
アミン四酢酸8.8部、及び酢酸カリウム8.8部を、
水100部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合
液を、図2記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよ
びガス導入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内
を不活性ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴン
ガスを導入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外
に放出した。該反応容器をウォーターバスで70℃に加
熱し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液
を可視―紫外吸収スペクトル分析装置で測定したとこ
ろ、実施例1と同様で、該混合液には前記各金属と前記
錯化剤とで形成された金属錯体が含有されていることが
判った。次いで、還元剤として塩化チタン(3)27.8
部を水87.9部に溶かした溶液を70℃に加温した
後、添加ロートから該反応容器内に添加し良く攪拌し
た。なおこの添加混合の工程は1分以内で行った。この
時点の該反応容器内の内容物のpH値を測定したとこ
ろ、pH0.05であった。さらに、添加ロートに8N
の水酸化カリウム水溶液を入れ、該反応容器内の内容物
を攪拌しながらそのpH値が7.0になるように該水酸
化カリウム水溶液を一気に添加し、90℃で2時間反応
を続けた。なおこの添加混合の工程は1分以内で行っ
た。その後、該反応容器から内容物を取り出し、水洗
し、50℃で真空乾燥し、スズ−ニッケル−コバルト合
金粉末を得た。
【0119】得られたスズ−ニッケル−コバルト合金粉
末を、まずX線マイクロアナリシスで分析したところ、
スズ元素、ニッケル元素及びコバルト元素が検出され、
その他の元素は検出されなかった。次いで誘導結合プラ
ズマ発光分光計で分析したところ、該合金粉末中のスズ
元素、ニッケル元素及びコバルト元素の含有量はそれぞ
れ原子数濃度で61、14、25%であった。さらに、
該合金粉末について、株式会社リガク製:X線回折装置
RINT2000にて、線源にCuのKα線を用いた広
角X線回析分析を行ったところ、半価幅が広がったピー
クが2θ=25〜50°に発現していることが判った。
またX線回析チャートの主ピーク(2θ=30.6°と
43.5°)の半価幅はそれぞれ0.8°と1.0°で
あった。このX線回折チャートのピークの半価幅と回折
角からScherrerの式に基づいて算出される結晶
子サイズはそれぞれ11nmと9nmであった。この結
果から、該合金粉末は非晶質のものであることが判明し
た。また、該合金粉末をレーザー散乱法を利用した粒度
分布計で測定したところ、平均粒子径は0.35μmで
あり、粒度分布は0.08〜0.9μmであった。更
に、得られた該スズ−ニッケル-コバルト合金粉末を走
査型電子顕微鏡で観察したところ、(粒子の最大の長
さ)/(粒子の最小の長さ)の平均値が1.3であり、
球状粒子からなるものであることが判った。更にまた、
窒素ガスを使用したBET法で測定した比表面積は77
2/gであった。次いで、上記スズ−ニッケル−コバ
ルト合金の粉末90部に、グラファイト5部、ポリビニ
ルアルコール2部、及びカルボキシメチルセルロース3
部を混合した後、水100部に添加してペースト状物を
調整した。得られたペースト状物を、集電体としての銅
箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥し
て負極601を作製した。
【0120】(実施例9)本実施例では、以下のように
して調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、実
施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二
次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0121】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物として塩化スズ(4)・
5水和物5.3部及び塩化インジウム(3)4.5部、
遷移金属を含有する遷移金属化合物として塩化ニッケル
(2)・6水和物10.7部、錯化剤としてクエン酸3ナ
トリウム・2水和物75.0部及びエチレンジアミン四
酢酸8.8部、及び酢酸カリウム8.8部を、水100
部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、図
2に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス
導入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を不活
性ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴンガスを
導入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外に放出
した。該反応容器をウォーターバスで70℃に加熱し、
内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視
―紫外吸収スペクトル分析装置で測定したところ、実施
例1と同様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤と
で形成された金属錯体が含有されていることが判った。
次いで、還元剤として塩化チタン(3)33.0部を水1
04.7部に溶かした溶液を70℃に加温した後、添加
ロートから該反応容器内に添加し良く攪拌した。なおこ
の添加混合の工程は1分以内で行った。この時点の該反
応容器内の内容物のpH値を測定したところ、pH0.
05であった。さらに、添加ロートに8Nの水酸化カリ
ウム水溶液を入れ、該反応容器内の内容物を攪拌しなが
らそのpH値が7.0になるように該水酸化カリウム水
溶液を一気に添加し、70℃で1時間反応を続けた。な
おこの添加混合の工程は1分以内で行った。その後、該
反応容器から内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空
乾燥し、スズ−インジウム−ニッケル合金粉末を得た。
【0122】得られたスズ−インジウム−ニッケル合金
粉末を、まずX線マイクロアナリシスで分析したとこ
ろ、スズ元素、インジウム元素及びニッケル元素が検出
され、その他の元素は検出されなかった。次いで誘導結
合プラズマ発光分光計で分析したところ、該合金粉末中
のスズ元素、インジウム元素及びニッケル元素の含有量
はそれぞれ原子数濃度で65、10、25%であった。
さらに、該合金粉末について、株式会社リガク製:X線
回折装置RINT2000にて、線源にCuのKα線を
用いた広角X線回析分析を行ったところ、半価幅が広が
ったピークが2θ=25〜50°に発現していることが
判った。またX線回析チャートの主ピーク(2θ=3
0.7°と43.7°)の半価幅はそれぞれ0.8°と
0.8°であった。このX線回折チャートのピークの半
価幅と回折角からScherrerの式に基づいて算出
される結晶子サイズはそれぞれ11nmと11nmであ
った。この結果から、該合金粉末は非晶質のものである
ことが判明した。また、該スズ−インジウム−ニッケル
合金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測
定したところ、平均粒子径は0.31μmであり、粒度
分布は0.08〜1.0μmであった。更に、得られた
該スズ−インジウム−ニッケル合金粉末を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、(粒子の最大の長さ)/(粒子
の最小の長さ)の平均値が1.4であり、球状粒子から
なるものであることが判った。更にまた、窒素ガスを使
用したBET法で測定した比表面積は62m2/gであ
った。次いで、上記スズ−インジウム−ニッケル合金粉
末90部に、グラファイト5部、ポリビニルアルコール
2部、及びカルボキシメチルセルロース3部を混合した
後、水100部に添加してペースト状物を調整した。得
られたペースト状物を、集電体としての銅箔の表面に塗
布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極601
を作製した。
【0123】(実施例10)本実施例では、以下のよう
にして調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、
実施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウ
ム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につ
いて、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評
価結果を表1に示す。
【0124】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物として塩化亜鉛(2)
6.1部、遷移金属を含有する遷移金属化合物として塩
化ニッケル(2)・6水和物10.7部と、錯化剤として
クエン酸3ナトリウム・2水和物40.0部及びエチレ
ンジアミン四酢酸2ナトリウム4.2部を、水100部
に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、図2
に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス導
入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を不活性
ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴンガスを導
入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外に放出し
た。該反応容器をウォーターバスで70℃に加熱し、内
容物を攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視―
紫外吸収スペクトル分析装置で測定したところ、実施例
1と同様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤とで
形成された金属錯体が含有されていることが判った。次
いで、還元剤として次亜リン酸ナトリウム25.0部を
水75部に溶かした溶液を70℃に加温した後、該反応
容器内の内容物を攪拌しながら添加ロートから該溶液を
該反応容器内に添加し、70℃で1時間反応を続けた。
なおこの添加混合の工程は1分以内で行った。この時点
の該反応容器内の内容物のpH値を測定したところ、p
H6.5であった。その後、該反応容器から内容物を取
り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、亜鉛−ニッケル
合金粉末を得た。
【0125】得られた亜鉛−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、亜鉛元素、
ニッケル元素及びリン元素が検出され、その他の元素は
検出されなかった。次いで誘導結合プラズマ発光分光計
で分析したところ、該合金粉末中の亜鉛元素、ニッケル
元素及びリン元素の含有量はそれぞれ原子数濃度で7
3、23、4%であった。さらに、該合金粉末につい
て、株式会社リガク製:X線回折装置RINT2000
にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析を
行ったところ、X線回析チャートの主ピーク(2θ=
43.2°)の半価幅は 0.5°であった。このX線
回折チャートのピークの半価幅と回折角からScher
rerの式に基づいて算出される結晶子サイズは18n
mであった。この結果から、該合金粉末は非晶質のもの
であることが判明した。また、該亜鉛−ニッケル合金粉
末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測定した
ところ、平均粒子径は0.9μmであり、粒度分布は
0.20〜16.5μmであった。更に、得られた該亜
鉛−ニッケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の
平均値が1.7であり、球状粒子からなるものであるこ
とが判った。更にまた、窒素ガスを使用したBET法で
測定した比表面積は17m2/gであった。次いで、上
記亜鉛−ニッケル合金粉末90部に、アセチレンブラッ
クの炭素粉5部及びポリフッ化ビニリデン粉5部を混合
した後、N−メチル−2−ピロリドン100部に添加し
てペースト状物を調整した。得られたペースト状物を、
集電体としての銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、15
0℃で減圧乾燥して負極601を作製した。
【0126】(実施例11)本実施例では、以下のよう
にして調製した合金材料からなる負極を用いた以外は、
実施例1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム
二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池につい
て、実施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価
結果を表1に示す。
【0127】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物として塩化インジウム
(3)4.5部、遷移金属を含有する遷移金属化合物とし
て塩化ニッケル(2)・6水和物10.7部、錯化剤とし
てクエン酸3ナトリウム・2水和物40.0部及びエチ
レンジアミン四酢酸2ナトリウム4.2部を、水100
部に加え、良く攪拌し混合液を得た。該混合液を、図2
に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス導
入管を有する反応容器内に入れ、該反応容器内を不活性
ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴンガスを導
入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外に放出し
た。該反応容器をウォーターバスで70℃に加熱し、内
容物を攪拌装置にて良く攪拌した。この混合液を可視―
紫外吸収スペクトル分析装置で測定したところ、実施例
1と同様で、該混合液には前記各金属と前記錯化剤とで
形成された金属錯体が含有されていることが判った。次
いで、還元剤としてチオ硫酸ナトリウム7.5部を水2
5部に溶かした溶液を70℃に加温した後、該反応容器
内の内容物を攪拌しながら該溶液を添加ロートから該反
応容器内に添加し、70℃で1時間反応を続けた。なお
この添加混合の工程は1分以内で行った。この時点の該
反応容器内の内容物のpH値を測定したところ、pH
6.5であった。その後、該反応容器から内容物を取り
出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、インジウム−ニッ
ケル合金粉末を得た。
【0128】得られたインジウム−ニッケル合金粉末
を、まずX線マイクロアナリシスで分析したところ、イ
ンジウム元素、ニッケル元素及び硫黄元素が検出され、
その他の元素は検出されなかった。次いで誘導結合プラ
ズマ発光分光計で分析したところ、該合金粉末中のイン
ジウム元素、ニッケル元素及び硫黄元素の含有量はそれ
ぞれ原子数濃度で48、44、8%であった。さらに、
該合金粉末について、株式会社リガク製:X線回折装置
RINT2000にて、線源にCuのKα線を用いた広
角X線回析分析を行ったところ、X線回折チャートの主
ピーク(2θ=32.8°、 43.5°)の半価幅は
0.5°と0.6°であった。このX線回折チャートの
ピークの半価幅と回折角からScherrerの式に基
づいて算出される結晶子サイズはそれぞれ17nmと1
5nmであった。この結果から該合金粉末は非晶質のも
であることが判明した。また、該インジウム−ニッケル
合金粉末を、レーザー散乱法を利用した粒度分布計で測
定したところ、平均粒子径は0.8μmであり、粒度分
布は0.18〜14.2μmであった。更に、得られた
該インジウム−ニッケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小
の長さ)の平均値が1.5であり、球状粒子からなるも
のであることが判った。更にまた、窒素ガスを使用した
BET法で測定した比表面積は26m2/gであった。
次いで、上記インジウム−ニッケル合金粉末90部に、
アセチレンブラックの炭素粉5部とポリフッ化ビニリデ
ン粉5部を混合した後、N−メチル−2−ピロリドン1
00部に添加してペースト状物を調整した。得られたペ
ースト状物を、集電体としての銅箔の表面に塗布し、乾
燥した後、150℃で減圧乾燥して負極601を作製し
た。
【0129】(実施例12)本実施例では、以下のよう
に図3に記載の連続製造装置を使用して調製した合金材
料からなる負極を用いた以外は、実施例1と同様にして
図6に示した断面構造のリチウム二次電池を作製した。
得られたリチウム二次電池について、実施例1と同様に
性能評価を行った。得られた評価結果を表1に示す。
【0130】(負極601の作製)リチウムと合金を形
成する金属を含有する金属化合物として塩化スズ(4)・
5水和物53部、遷移金属を含有する遷移金属化合物と
して塩化ニッケル(2)・6水和物107部、錯化剤とし
てクエン酸3ナトリウム・2水和物750部及びエチレ
ンジアミン四酢酸88部、及び酢酸カリウム88部、及
び水914部を、図3に記載の窒素ガスを導入した連続
製造装置の原料添加装置302に導入し、良く攪拌し、
得られた混合溶液を温度制御装置で70℃に加熱した。
この混合液を可視―紫外吸収スペクトル分析装置で測定
したところ、実施例1と同様で、該混合液には前記各金
属と前記錯化剤とで形成された金属錯体が含有されてい
ることが判った。次いで、還元剤として塩化チタン(3)
231部と、水769部を窒素ガスを導入した還元剤添
加装置303に加え良く攪拌して70℃に加温し、8N
の水酸化カリウム水溶液を窒素ガスを導入した添加装置
308に入れ良く攪拌して70℃に加温した。その後、
各添加装置及び混合槽304と反応槽301の流量調節
弁を開き所定流量に調節し、生成物回収容器309に回
収した。各流量調節弁の流量は、原料添加装置302:
還元剤添加装置303:アルカリ添加装置308:混合
槽304:反応槽301=2:1:1.5:3:4.5
となるようにし、反応槽301を15分間で溶液が通過
するように調節した。この際、混合槽304及び反応槽
301は70℃に、生成物回収容器は25℃に調節し
た。なお、混合槽304と反応槽301中の各溶液のp
H値を測定したところ、前者のpH値は0.1であり、
後者のpH値は7.4であった。その後、生成物回収容
器309から生成物を取り出し、水洗し、50℃で真空
乾燥し、スズ−ニッケル合金粉末を得た。
【0131】得られたスズ−ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、スズ元素お
よびニッケル元素が検出され、その他の元素は検出され
なかった。次いで誘導結合プラズマ発光分光計で分析し
たところ、該合金粉末中のスズ元素及びニッケル元素の
含有量はそれぞれ原子数濃度で63、37%であった。
さらに、該合金粉末について、株式会社リガク製:X線
回折装置RINT2000にて、線源にCuのKα線を
用いた広角X線回析分析を行ったところ、半価幅が広が
ったピークが2θ=25〜50°に発現していることが
判った。またX線回析チャートの主ピーク(2θ=3
0.9°と43.8°)の半価幅はそれぞれ0.7°と
0.7°であった。このX線回折チャートのピークの半
価幅と回折角からScherrerの式に基づいて算出
される結晶子サイズはそれぞれ12nmと13nmであ
った。この結果から該合金粉末は非晶質のものであるこ
とが判明した。また、該スズ−ニッケル合金粉末を、レ
ーザー散乱法を利用した粒度分布計で測定したところ、
平均粒子径は0.24μmであり、粒度分布は0.05
〜0.75μmであった。更に、得られた該スズ−ニッ
ケル合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、
(粒子の最大の長さ)/(粒子の最小の長さ)の平均値
が1.2であり、球状粒子からなるものであることが判
った。更にまた、窒素ガスを使用したBET法で測定し
た比表面積は78m2/gであった。次いで、上記スズ
−ニッケル合金粉末90部に、グラファイト5部、ポリ
ビニルアルコール2部、及びカルボキシメチルセルロー
ス3部を混合した後、水100部に添加してペースト状
物を調整した。得られたペースト状物を、集電体として
の銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾
燥して負極601を作製した。
【0132】(比較例1)本比較例では、以下のように
して調製した材料からなる負極を用いた以外は、実施例
1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二次電
池を作製した。得られたリチウム二次電池について、実
施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価結果を
表1に示す。
【0133】(負極601の作製)塩化スズ(4)・5水
和物21.0部、クエン酸3ナトリウム・2水和物7
5.0部、エチレンジアミン四酢酸8.8部、及び酢酸
カリウム8.8部を、水100部に加え、良く攪拌して
混合液を得た。該混合液を、図2に記載の攪拌装置、還
流装置、添加ロートおよびガス導入管を有する反応容器
内に入れ、該反応容器内を窒素ガス雰囲気に保つためガ
ス導入管より窒素ガスを導入し、余剰の窒素ガスは還流
装置から系外に放出した。該反応容器をウォーターバス
で70℃に加熱し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌し
た。次いで、塩化チタン(3)23.1部を水73.3部
に溶かした溶液を70℃に調整した後、添加ロートから
反応容器内に添加し良く攪拌した。なおこの添加混合の
工程は1分以内で行った。この時点該反応容器内の内容
物のpH値を測定したところ、pH0.1であった。さ
らに、添加ロートに8Nの水酸化カリウム水溶液を入
れ、該反応容器内の内容物を攪拌しながらそのpH値が
8.0になるように該水酸化カリウム水溶液を一気に添
加し、70℃で30分間加熱処理した。なおこの添加混
合の工程は1分以内で行った。その後、該反応容器から
内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ
粉末を得た。
【0134】得られたスズ粉末を、まずX線マイクロア
ナリシスで分析したところ、スズ元素のみが検出され、
その他の元素は検出されなかった。また、該粉末につい
て、株式会社リガク製:X線回折装置RINT2000
にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析を
行ったところ、X線回折チャートのピークの半価幅と回
折角からScherrerの式に基づいて算出される結
晶子サイズは52nmであった。次いで、このスズ粉末
90部に、アセチレンブラックの炭素粉5部、ポリビニ
ルアルコール2部、及びカルボキシメチルセルロース3
部を混合した後、水100部に添加してペースト状物を
調整した。得られたペースト状物を、集電体としての銅
箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥し
て負極601を作製した。
【0135】(比較例2)本比較例では、以下のように
して調製した材料からなる負極を用いた以外は、実施例
1と同様にして図6に示した断面構造のリチウム二次電
池を作製した。得られたリチウム二次電池について、実
施例1と同様に性能評価を行った。得られた評価結果を
表1に示す。
【0136】(負極601の作製)塩化スズ(4)・5水
和物5.3部と、塩化ニッケル(2)・6水和物10.7
部を、水100部に加え、良く攪拌して混合液を得た。
該混合液を、図2に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロ
ートおよびガス導入管を有する反応容器内に導入し、該
反応容器内を窒素雰囲気に保つためガス導入管より窒素
ガスを導入し、余剰の窒素ガスは還流装置から系外に放
出した。該反応容器をウォーターバスで70℃に加熱
し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。次いで、塩化
チタン(3)23.1部を水73.3部に溶かした溶液を
70℃に調整した後、添加ロートから該反応容器内に添
加し良く攪拌した。なおこの添加混合の工程は1分以内
で行った。この時点の該反応容器内の内容物のpH値を
測定したところ、pH0.1であった。さらに、添加ロ
ートに8Nの水酸化カリウム水溶液を入れ、該反応容器
内の内容物を攪拌しながらそのpH値が8.0になるよ
うに該水酸化カリウム水溶液を一気に添加し、70℃で
30分間加熱処理した。なおこの添加混合の工程は1分
以内で行った。その後、該反応容器から内容物を取り出
し、水洗し、50℃で真空乾燥し、スズ−ニッケル合金
粉末を得た。
【0137】得られたスズ-ニッケル合金粉末を、まず
X線マイクロアナリシスで分析したところ、スズ元素、
ニッケル元素、及び酸素元素が検出せれ、その他の元素
は検出されなかった。次いで誘導結合プラズマ発光分光
計およびX線光電子分光計で分析したところ、該合金粉
末中のスズ元素、ニッケル及び酸素元素の含有量はそれ
ぞれ原子数濃度で30、5、65%であり、X線回折装
置で定性分析したところ、ほとんどが酸化スズと思われ
る結果となった。また、当該粉末について、株式会社リ
ガク製:X線回折装置RINT2000にて、線源にC
uのKα線を用いた広角X線回析分析を行ったところ、
X線回折チャートの主ピーク(2θ=26.7°と5
1.9°)の半価幅はそれぞれ0.3°と0.4°であ
った。このX線回折チャートのピークの半価幅と回折角
からScherrerの式に基づいて算出される結晶子
サイズはそれぞれ28nmと23nmであった。次い
で、前記合金粉末90部に、アセチレンブラックの炭素
粉5部、ポリビニルアルコール2部、及びカルボキシメ
チルセルロース3部を混合した後、水100部に添加し
てペースト状物を調整した。得られたペースト状物を、
集電体としての銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、15
0℃で減圧乾燥して負極601を作製した。
【0138】(比較例3)本比較例では合金材料を実施
例1とは異なる下記の方法で調製した以外は、実施例1
と同様にして図6に示す構造のリチウム二次電池を作製
した。得られたリチウム二次電池について、実施例1と
同様に性能評価を行った。得られた評価結果を表1に示
す。
【0139】(負極601の作製)アセトンとイソプロ
ピルアルコールで脱脂洗浄し乾燥した厚み18μmの銅
箔をカソード、スズ板をアノードとし、該カソードと該
アノード間を6cmとし、硫酸銅を含まない下記組成の
電解液中、液温25℃で、攪拌を行いながら、該カソー
ドと該アノード間に直流電界を印加して、カソード電流
密度を、10mA/cm2とし、20C/cm2通電し
て、金属スズから構成される層を形成した。なお、この
時の前記カソードと前記アノード間の電圧は1Vであっ
た。 (電解液組成) 硫酸第1スズ 40g/l 硫酸 60g/l ゼラチン 2g/l 溶媒は水を用いた。
【0140】水洗した後に、60g/lのNa3PO4・
12H2Oを溶解した水溶液中で、60℃の液温で、6
0秒間、処理した後に、水洗し、150℃で減圧乾燥し
負極601を作製した。また、この電極を株式会社リガ
ク製:X線回折装置RINT2000にて、線源にCu
のKα線を用いた広角X線回析分析を行ったところ、X
線回折チャートのピークの半価幅と回折角からSche
rrerの式に基づいて算出される結晶子サイズは57
nmであった。
【0141】(比較例4)本比較例では負極を実施例1
とは異なる下記の方法で調製した以外は、実施例1と同
様にして図6に示す構造のリチウム二次電池を作製し
た。得られたリチウム二次電池について、実施例1と同
様に性能評価を行った。得られた評価結果を表1に示
す。
【0142】(負極601の作製)市販のスズ粉末90
部に、アセチレンブラックの炭素粉5部とポリフッ化ビ
ニリデン粉5部を混合した後、N−メチル−2−ピロリ
ドン100部に添加してペースト状物を調整した。得ら
れたペースト状物を、集電体としての銅箔の表面に塗布
し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極601を
作製した。尚、使用した市販のスズ粉末を株式会社リガ
ク製:X線回折装置RINT2000にて、線源にCu
のKα線を用いた広角X線回析分析を行ったところ、X
線回折チャートのピークの半価幅と回折角からSche
rrerの式に基づいて算出される結晶子サイズはそれ
ぞれ80nmであった。
【0143】(比較例5)本比較例では、負極形成用の
粉末材料を下記の方法で調製した以外は、実施例1と同
様にして図6に示す構造のリチウム二次電池を作製し
た。得られたリチウム二次電池について、実施例1と同
様に性能評価を行った。得られた評価結果を表1に示
す。
【0144】(負極601の作製)塩化亜鉛(2)6.1
部、クエン酸3ナトリウム・2水和物40.0部及びエ
チレンジアミン四酢酸2ナトリウム4.2部を、水10
0部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合液を、
図2記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートおよびガス
導入管を有する反応容器内に導入し、該反応容器内を不
活性ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアルゴンガス
を導入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から系外に放
出した。該反応容器をウォーターバスで70℃に加熱
し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。次いで、還元
剤としての次亜リン酸ナトリウム25.0部を水75部
に溶かした溶液を70℃に加温した後、該反応容器内の
内容物を攪拌しながら添加ロートから該次亜リン酸ナト
リウムの溶液を該反応容器内に添加し、70℃で1時間
加熱処理した。なおこの添加混合の工程は1分以内で行
った。この時点の該反応容器内の内容物のpH値を測定
したところ、pH6.5であった。その後、該反応容器
から内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥し、
亜鉛粉末を得た。
【0145】得られた亜鉛の粉末を、まずX線マイクロ
アナリシスで分析したところ、亜鉛元素のみ検出され、
その他の元素は検出されなかった。また、この粉末につ
いて、株式会社リガク製:X線回折装置RINT200
0にて、線源にCuのKα線を用いた広角X線回析分析
を行ったところ、X線回折チャートのピークの半価幅と
回折角からScherrerの式に基づいて算出される
結晶子サイズは51nmであった。次いで、この粉末9
0部に、アセチレンブラックの炭素粉5部とポリフッ化
ビニリデン粉5部を混合した後、N−メチル−2−ピロ
リドン100部に添加してペースト状物を調整した。得
られたペースト状物を、集電体としての銅箔の表面に塗
布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥して負極601
を作製した。
【0146】(比較例6)本比較例では負極形成用の材
料を実施例1とは異なる下記方法で調製した以外は、実
施例1と同様にして図6に示す構造のリチウム二次電池
を作製した。得られたリチウム二次電池について、実施
例1と同様に性能評価を行った。得られた評価結果を表
1に示す。
【0147】(負極601の作製)塩化インジウム(3)
4.5部、クエン酸3ナトリウム・2水和物40.0部
及びエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム4.2部を、
水100部に加え、良く攪拌して混合液を得た。該混合
液を、図2に記載の攪拌装置、還流装置、添加ロートお
よびガス導入管を有する反応容器内に導入し、該反応容
器内を不活性ガス雰囲気に保つためガス導入管よりアル
ゴンガスを導入し、余剰のアルゴンガスは還流装置から
系外に放出した。該反応容器をウォーターバスで70℃
に加熱し、内容物を攪拌装置にて良く攪拌した。次い
で、還元剤としてのチオ硫酸ナトリウム7.5部を水2
5部に溶かした溶液を70℃に加温した後、該反応容器
内の内容物を攪拌しながら添加ロートから該チオ硫酸ナ
トリウムの溶液を該反応容器内に添加し、1時間70℃
で1時間処理した。尚、この添加混合の工程は1分以内
で行った。この時点の該反応容器内の内容物のpH値を
測定したところ、pH6.5であった。その後、該反応
容器から内容物を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥
し、インジウム粉末を得た。
【0148】得られたインジウムの粉末を、まずX線マ
イクロアナリシスで分析したところ、インジウム元素の
み検出され、その他の元素は検出されなかった。また、
この粉末について、株式会社リガク製:X線回折装置R
INT2000にて、線源にCuのKα線を用いた広角
X線回析分析を行ったところ、X線回折チャートのピー
クの半価幅と回折角からScherrerの式に基づい
て算出される結晶子サイズは53nmであった。次い
で、この粉末90部に、アセチレンブラックの炭素粉5
部とポリフッ化ビニリデン粉5部を混合した後、N−メ
チル−2−ピロリドン100部に添加してペースト状物
を調整した。得られたペースト状物を、集電体としての
銅箔の表面に塗布し、乾燥した後、150℃で減圧乾燥
して負極601を作製した。
【0149】表1は、実施例1乃至12及び比較例1乃
至6で得られたリチウム二次電池の夫々についての充放
電性能の評価結果を示すものである。表1は、実施例
1、10及び11の結果を基準として各実施例および比
較例を比較した値として記載したもので、実施例2〜9
と12及び比較例1〜4は実施例1を基準とし、比較例
5は実施例10を基準とし、比較例6は実施例11を基
準としたものである。表1に示した結果から明らかなよ
うに、実施例1乃至12に記載の何れの方法で作製した
合金材料も、それをリチウム二次電池の負極の構成材料
として使用すると、電池容量、充放電クーロン効率及び
サイクル寿命の良好な、特にサイクル寿命が格段に良好
なリチウム二次電池が達成できることが理解される。
【0150】
【表1】
【0151】*1: 充放電サイクル試験において3サ
イクル目の放電電気量から求めた単位重量あたりの値を
相対値で示す。即ち、実施例2〜9と12及び比較例1
〜4の夫々の値は、実施例1の測定値を基準(100)
とし、比較例5の値は実施例10の測定値を基準(10
0)とし、比較例6の値は実施例11の測定値を基準
(100)とした相対値である。 *2:容量試験において充電電気量に対する放電電気量
の割合を計算し、得られた値を充放電クーロン効率と
し、該該充放電クーロン効率の値を相対値で示す。即
ち、実施例2〜9と12及び比較例1〜4夫々の値は、
実施例1を測定値を基準(100)とし、比較例5の値
は実施例10の測定値を基準(100)とし、比較例6
の値は実施例11測定値を基準(100)とした相対値
である。 *3:容量試験で得られた3サイクル目の放電電気容量
を基準として、0.5C(容量/時間の0.5倍の電
流)の充放電と、10分の休憩時間からなるサイクルを
1サイクルとして行い、電池容量の60%を下回ったサ
イクル回数をサイクル寿命として評価したものであり、
相対値で示す。即ち、実施例2〜9と12及び比較例1
〜4夫々の値は、実施例1を測定値を基準(100)と
し、比較例5の値は実施例10の測定値を基準(10
0)とし、比較例6の値は実施例11測定値を基準(1
00)とした相対値である。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
粒子形状が揃っていて均一であり、不純物が少なく、優
れた特性を有するリチウム二次電池用の電極材を高収率
で、安定的に、そして低コストで製造することができ
る。そして、該電極材の使用は、優れた電池特性を有
し、サイクル寿命の長いリチウム二次電池を低コストで
提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一態様を説明する図であ
る。
【図2】本発明の電極材の製造方法を実施するに際して
使用する製造装置の一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の電極材の製造方法を実施するに際して
使用する製造装置の他の一例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の電極構造体の一例の断面を示す概念図
である。
【図5】本発明のリチウム二次電池の構造の一態様を示
す略断面図である。
【図6】単層式扁平形電池の一例の略断面図である。
【図7】スパイラル式円筒形電池の一例の略断面図であ
る。
【図8】本発明の製造方法で得られる電極材をX線回折
装置で測定したプロファイル図である。
【符号の説明】
201 反応容器 202、308 添加装置 203 還流装置 1 ガス注入管 205、305 攪拌装置 206、306 温度制御装置 301 反応槽 1 原料添加装置 2 還元剤添加装置 3 混合槽 307 流量調節弁 309 生成物回収容器 400 集電体 401 合金材料 402 結着剤 403 導電補助材 404 活物質層 405 電極構造体 501、601、703 負極 502、603、706 正極 503 電解質(電解液) 504 セパレーター 505、605、708 負極端子 506、606、709 正極端子 507 電池ケース 607、707 セパレーター・電解液 610、710 ガスケット 701 負極集電体 702 負極活物質層 704 正極集電体 705 正極活物質層 711 絶縁板 712 負極リード 713 正極リード 714 安全弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 24/00 C22C 24/00

Claims (80)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムの酸化反応及びリチウムイオンの
    還元反応を利用する二次電池用の電極材の製造方法であ
    って、 (1)電気化学的にリチウムと合金を形成する金属の金
    属塩及び金属錯体の中から選ばれる少なくとも1種以上
    の金属化合物と、遷移金属の金属塩及び金属錯体の中か
    ら選ばれる少なくとも1種以上の遷移金属化合物と、錯
    化剤とを溶媒に混合して混合液を得る工程、 (2)該混合液に還元剤を混合して混合物を得る工程、
    及び (3)該混合物中の前記還元剤を酸化し、前記リチウム
    と合金を形成する金属の金属イオン及び前記遷移金属イ
    オンを還元して、リチウムと合金を形成できる非晶質金
    属を析出させる工程、 の少なくとも前記(1)乃至(3)の工程を順次行うこ
    とを特徴とするリチウムと合金を形成できる非晶質合金
    材料からなる前記電極材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記合金材料が、非晶質金属を含有する
    粉末状のものである請求項1に記載の電極材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、メインピークの半値幅が0.2°以上のもので
    ある請求項2に記載の電極材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、メインピークの半値幅が0.5°以上のもので
    ある請求項2に記載の電極材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、2θ=25°〜50°の範囲に現れるヒ゜ークの半値幅
    が0.2°以上のものである請求項2及至4のいずれかに
    記載の電極材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、2θ=25°〜50°の範囲に現れるヒ゜ークの半値幅
    が0.5°以上のものである請求項2及至4のいずれかに
    記載の電極材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記合金材料は、X線回折分析から計算
    される結晶子の大きさが50nm以下である粒子を含有
    するものである請求項2に記載の電極材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記非晶質金属を含有する前記合金材料
    は、X線回折分析から計算される結晶子の大きさが20
    nm以下である粒子を含有するものである請求項2に記
    載の電極材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記リチウムと合金を形成する金属は、
    Bi,In,Pb,Si,Ag,Sr,Ge,Zn,S
    n、Cd、Sb、Tl、及びHgからなる群から選ばれ
    る少なくとも一種以上の金属からなるものである請求項
    1又は2に記載の電極材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記リチウムと合金を形成する金属
    が、Bi,In,Pb,Zn,Sn、Sb、及びTlか
    らなる群から選ばれる少なくとも一種以上の金属からな
    るものである請求項1又は2に記載の電極材の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記リチウムと合金を形成する金属
    は、実質的にSnからなるものである請求項1又は2に
    記載の電極材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記合金材料は、非化学量論組成の非
    晶質Sn・A・X合金を含有するものである請求項11
    記載の電極材の製造方法。(該式Sn・A・Xの中、A
    は遷移金属の少なくとも一種を示し、XはB、C、N、
    O、P及びSからなる群から選ばれる少なくとも一種を
    示す。但し、Xは含有されていなくてもよい。また、前
    記式の各原子の原子数について、Sn/(Sn+A+
    X)=20〜80原子%の関係を持つ。)
  13. 【請求項13】 前記遷移金属は、Cr,Mn,Fe,
    Co,Ni,Cu,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,A
    g,Os,Ir,Pt,Au,Ti,V,Y,Sc,Z
    r,Nb,Hf,Ta,及びWからなる群から選ばれる
    少なくとも一種以上の金属からなるものである請求項1
    及至12のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記遷移金属は、Cr,Mn,Fe,
    Co,Ni,Cu,Ru,Rh,Pd,Ag,Os,I
    r,Pt,及びAuからなる群から選ばれる少なくとも
    一種以上の金属からなるものである請求項1及至12の
    いずれかに記載の電極材の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記遷移金属は、Cr,Mn,Fe,
    Co,Ni,及びCuからなる群から選ばれる少なくと
    も一種以上の金属からなるものである請求項1及至12
    のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  16. 【請求項16】前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、2θ=25°〜50°の範囲に現れるヒ゜ークの半値幅
    が0.2°以上のものである請求項12に記載の電極材の
    製造方法。
  17. 【請求項17】前記合金材料は、CuKα線のX線回折
    において、2θ=25°〜50°の範囲に現れるヒ゜ークの半値幅
    が0.5°以上のものである請求項12に記載の電極材の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 前記合金材料は、X線回折分析から計
    算される結晶子の大きさが50nm以下である粒子を含
    有するものである請求項12に記載の電極材の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記合金材料は、X線回折分析から計
    算される結晶子の大きさが20nm以下である粒子を含
    有するものである請求項12に記載の電極材の製造方
    法。
  20. 【請求項20】前記合金材料は、平均粒径が0.1μm
    〜2μmの範囲である粒子を含有するものである請求項
    1及至19のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  21. 【請求項21】前記合金材料は、平均粒径が0.1μm
    〜1μmの範囲である粒子を含有するものである請求項
    1及至19のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  22. 【請求項22】前記粒子は、粒度分布が0.01μm〜
    20μmの範囲である請求項20または21に記載の電
    極材の製造方法。
  23. 【請求項23】前記粒子は、粒度分布が0.05μm〜
    1μmの範囲である請求項20または21に記載の電極
    材の製造方法。
  24. 【請求項24】前記粒子は、粒子の最大の長さ/粒子の
    最小の長さが平均で1.0〜2.0の範囲の球状粒子で
    ある請求項20または21に記載の電極材の製造方法。
  25. 【請求項25】前記粒子は、粒子の最大の長さ/粒子の
    最小の長さが平均で1.0〜1.5の範囲の球状粒子で
    ある請求項20または21に記載の電極材の製造方法。
  26. 【請求項26】前記合金材料は、10m2/g以上の比
    表面積を有するものである請求項1及至19記載のいず
    れかに記載の電極材の製造方法。
  27. 【請求項27】前記合金材料は、30m2/g以上の比
    表面積を有するものであるである請求項1及至19のい
    ずれかに記載の電極材の製造方法。
  28. 【請求項28】前記リチウムと合金を形成する金属の化
    合物は、前記溶媒に可溶なものである請求項1及至27
    のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  29. 【請求項29】前記リチウムと合金を形成する金属の金
    属化合物は、該金属の塩化物、硫酸塩 及び硝酸塩の中
    から選ばれる少なくとも一種以上の塩である請求項1及
    至27のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  30. 【請求項30】前記リチウムと合金を形成する金属の金
    属化合物は、Snの塩化物、硫酸塩及び硝酸塩の中から
    選ばれる少なくとも一種以上の塩である請求項11及至
    27のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  31. 【請求項31】前記遷移金属の遷移金属化合物は、前記
    溶媒に可溶なものである請求項1及至27のいずれかに
    記載の電極材の製造方法。
  32. 【請求項32】前記遷移金属の遷移金属化合物は、該遷
    移金属の塩化物、硫酸塩及び硝酸塩の中から選ばれる少
    なくとも一種以上の塩である請求項1及至27のいずれ
    かに記載の電極材の製造方法。
  33. 【請求項33】前記錯化剤は、有機カルボン酸及びアミ
    ン化合物の中から選ばれる少なくとも一種以上の物質で
    ある請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造
    方法。
  34. 【請求項34】前記錯化剤は、クエン酸、エチレンジア
    ミン四酢酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種
    以上の物質である請求項33に記載の電極材の製造方
    法。
  35. 【請求項35】前記還元剤は、前記工程(1)で使用す
    るリチウムと合金を形成する金属及び遷移金属の中で最
    も電極電位の低い金属より0.1V以上卑(低い)な電
    極電位を有するものである請求項1及至27のいずれか
    に記載の電極材の製造方法。
  36. 【請求項36】前記還元剤は、前記工程(1)で使用す
    るリチウムと合金を形成する金属及び遷移金属の中で最
    も電極電位の低い金属より0.2V以上卑(低い)な電
    極電位を有するものである請求項1及至27のいずれか
    に記載の電極材の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記還元剤は、25℃におけるその水
    溶液の標準電極電位が−0.2V以下である請求項30
    に記載の電極材の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記還元剤は、25℃におけるその水
    溶液の標準電極電位が−0.5V以下である請求項30
    に記載の電極材の製造方法。
  39. 【請求項39】前記還元剤は、次亜リン酸、亜リン酸、
    亜硫酸、チオ硫酸、亜二チオン酸の低級酸素化物及びそ
    れらの塩、鉄(2)、チタン(3)、クロム(2)の低原子価
    状態にある金属塩、ホルムアルデヒド、蟻酸、蓚酸の有
    機化合物及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なく
    とも一種以上の化合物からなるものである請求項35及
    至39のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  40. 【請求項40】前記還元剤は、前記溶媒に可溶なもので
    ある請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造
    方法。
  41. 【請求項41】前記溶媒は、水および極性溶媒の中から
    選ばれる少なくとも一種以上の溶媒である請求項1及至
    27のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  42. 【請求項42】前記極性溶媒は、アルコール、エステル
    化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、アミン化合
    物、ハロゲン化合物、硫黄化合物、液体アンモニウム及
    び氷酢酸からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の
    溶媒である請求項41に記載の電極材の製造方法。
  43. 【請求項43】前記溶媒は、水及びアルコールの中から
    選ばれる少なくとも一種以上の溶媒である請求項41に
    記載の電極材の製造方法。
  44. 【請求項44】前記(1)の工程で得られる前記混合液
    が、前記リチウムと合金を形成する金属と前記錯化剤で
    形成される錯体を含有する請求項1及至27のいずれか
    に記載の電極材の製造方法。
  45. 【請求項45】前記(1)の工程で得られる前記混合液
    が、前記遷移金属と前記錯化剤で形成される錯体を含有
    する請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造
    方法。
  46. 【請求項46】前記混合液と前記還元剤とを混合する前
    記(2)の工程を、−10〜100℃ の範囲の温度条
    件下で行う請求項1及至27のいずれかに記載の電極材
    の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記混合液と前記還元剤とを混合する
    前記(2)の工程を、10〜90℃の範囲の温度条件下
    で行う請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製
    造方法。
  48. 【請求項48】 前記混合物中の前記還元剤を酸化する
    前記(3)の工程を、−10〜100℃の範囲の温度条
    件下で行う請求項1及至27のいずれかに記載の電極材
    の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記混合物中の前記還元剤を酸化する
    前記(3)の工程を、10〜90℃の範囲の温度条件下
    で行う請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製
    造方法。
  50. 【請求項50】前記(3)の工程における前記混合物中
    の前記還元剤の酸化を、該混合物の溶液のpH値を3〜
    12の範囲に調整して行う請求項1及至27のいずれか
    に記載の電極材の製造方法。
  51. 【請求項51】前記(3)の工程における前記混合物中
    の前記還元剤の酸化を、該混合物の溶液のpH値を5〜
    10の範囲に調整して行う請求項1及至27のいずれか
    に記載の電極材の製造方法。
  52. 【請求項52】前記混合物中の前記還元剤を酸化する前
    記(3)の工程を、アルカリを添加して行う請求項1及
    至27のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  53. 【請求項53】前記(3)の工程におけるアルカリの添
    加は、前記混合物のpH値が2以下から3〜12の範囲
    に変化するように行う請求項52に記載の電極材の製造
    方法。
  54. 【請求項54】前記(3)の工程におけるアルカリの添
    加は、前記混合物のpH値が2以下から5〜10の範囲
    に変化するように行う請求項52に記載の電極材の製造
    方法。
  55. 【請求項55】前記アルカリは、アルカリ金属の水酸化
    物、アルカリ土類金属の水酸化物、アミン化合物及びア
    ンモニアからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の
    化合物である請求項52に記載の電極材の製造方法。
  56. 【請求項56】前記(2)の工程を、水素、窒素、及び
    アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスから選ばれる少なく
    とも一種以上の雰囲気下で行う請求項1及至27のいず
    れかに記載の電極材の製造方法。
  57. 【請求項57】前記(3)の工程を、水素、窒素、及び
    アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスからなる群から選ば
    れる少なくとも一種以上の雰囲気下で行う請求項1及至
    27のいずれかに記載の電極材の製造方法。
  58. 【請求項58】前記リチウムと合金を形成する金属の金
    属化合物(イ)と前記遷移金属化合物(ロ)の添加量
    が、前記金属化合物(イ)中の金属のモル数/前記遷移
    金属化合物(ロ)中の金属のモル数 = 0.1〜10で
    ある請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造
    方法。
  59. 【請求項59】前記リチウムと合金を形成する金属の金
    属化合物(イ)と前記遷移金属化合物(ロ)の添加量
    が、前記金属化合物(イ)中の金属のモル数/前記遷移
    金属化合物(ロ)中の金属のモル数 = 0.2〜5であ
    る請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造方
    法。
  60. 【請求項60】前記錯化剤の添加量が、該錯化剤のモル
    数/(前記リチウムと合金を形成する金属の金属化合物
    のモル数 + 前記遷移金属化合物のモル数)=1〜5で
    ある請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造
    方法。
  61. 【請求項61】前記錯化剤の添加量が、該錯化剤のモル
    数/(前記リチウムと合金を形成する金属の金属化合物
    のモル数+前記遷移金属化合物のモル数)=2〜5であ
    る請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造方
    法。
  62. 【請求項62】前記還元剤の添加量が、前記リチウムと
    合金を形成する金属の金属化合物及び前記遷移金属化合
    物の酸化還元の当量点の合計量に対して当量比で1〜3
    倍である請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の
    製造方法。
  63. 【請求項63】前記還元剤の添加量が、前記リチウムと
    合金を形成する金属の金属化合物及び前記遷移金属化合
    物の酸化還元の当量点の合計量に対して当量比で1〜2
    倍である請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の
    製造方法。
  64. 【請求項64】前記合金材料を洗浄する工程を更に有す
    る請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造方
    法。
  65. 【請求項65】前記合金材料を乾燥する工程を更に有す
    る請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造方
    法。
  66. 【請求項66】前記合金材料を粉砕する工程を更に有す
    る請求項1及至27のいずれかに記載の電極材の製造方
    法。
  67. 【請求項67】請求項1及至66いずれかに記載の電極
    材の製造方法で得られた電極材と、電気化学反応でリチ
    ウムと合金化しない材料から成る集電体とを有すること
    を特徴とする電極構造体。
  68. 【請求項68】前記電極材からなる層が前記集電体上に
    形成されている請求項67に記載の電極構造体。
  69. 【請求項69】前記電極材と結着剤から成る電極材層
    と、前記集電体とで構成された請求項67記載の電極構
    造体。
  70. 【請求項70】前記電極材、導電補助材及び結着剤から
    成る電極材層と、前記集電体とで構成された請求項67
    に記載の電極構造体。
  71. 【請求項71】前記結着剤が水溶性有機高分子材料から
    なるものである請求項69又は70に記載の電極構造
    体。
  72. 【請求項72】リチウム二次電池用の電極構造体の製造
    方法であって、前記請求項1及至66のいずれかに記載
    の電極材の製造方法で得られた電極材を集電体上に配す
    る工程を有することを特徴とする電極構造体の製造方
    法。
  73. 【請求項73】プレス成形処理を用いて、前記電極材を
    前記集電体上に配する請求項72に記載の電極構造体の
    製造方法。
  74. 【請求項74】前記電極材に結着剤、必要に応じて溶媒
    を混合してペースト状物を調製した後、該ペースト状物
    を前記集電体上に配する工程を有する請求項72に記載
    の電極構造体の製造方法。
  75. 【請求項75】負極、電解質、及び正極を具備し、リチ
    ウムの酸化反応及びリチウムイオンの還元反応を利用す
    る二次電池であって、前記負極が、請求項67及至71
    のいずれかに記載の電極構造体を用いて構成されている
    ことを特徴とする前記二次電池。
  76. 【請求項76】前記正極が、リチウムを含有する電極材
    から主としてなる請求項75に記載の二次電池。
  77. 【請求項77】負極、電解質、正極を具備し、リチウム
    の酸化反応及びリチウムイオンの還元反応を利用する二
    次電池の製造方法であって、前記負極を請求項1及至6
    6のいずれかに記載の電極材の製造方法で得られた電極
    材を集電体上に配した電極構造体を用いて形成する工
    程、及び該負極と前記正極とを前記電解質を介して対向
    配置する工程を有することを特徴とする前記二次電池の
    製造方法。
  78. 【請求項78】プレス成形法によって、前記電極材を前
    記集電体上に形成配置する工程を有する請求項77に記
    載の二次電池の製造方法。
  79. 【請求項79】前記電極材に結着剤、必要に応じて溶媒
    を混合してペースト状物調製した後、該ペースト状物を
    前記集電体上に配する工程を有する請求項77に記載の
    二次電池の製造方法。
  80. 【請求項80】前記正極が、リチウムを含有する電極材
    から主としてなる請求項77に記載の二次電池の製造方
    法。
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