JP5030369B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

この発明はリチウム二次電池に関し、特にサイクル特性の向上を図ることができるリチウム二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。充放電に伴い、リチウムイオンが正、負極間を移動することにより充放電を行うリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
ここで、このようなリチウム二次電池においては、負極の1つとして、負極活物質にケイ素を含む材料を用いたものが検討されている。しかしながら、ケイ素を含む材料を負極活物質として用いた電極は、リチウムの吸蔵、放出の際に負極活物質の体積が膨張、収縮することによって負極活物質が微粉化したり、負極集電体から負極活物質が剥離したりするため、電極内の集電性が低下し、充放電サイクル特性が悪くなるという問題がある。また、リチウムの吸蔵、放出の際に負極活物質の体積が膨張、収縮することにより、負極活物質粒子表面に割れが起こって活性な新生面が生じるため、この部分で非水電解質の分解や、リチウムイオンと非水電解質との反応が起こり、新たな被膜が形成されるために充放電効率が低下するという問題とがある。
そこで、本出願人は、凹凸を有する導電性金属箔から成る負極集電体の表面上に、ケイ素材料とバインダーとを含む負極活物質含有層を焼結して配置したリチウム二次電池用負極を提案した(下記特許文献1参照)。このような負極を用いた電池では、負極活物質含有層と負極集電体との密着性が向上し、電極内に高い集電性が発現するため、良好な充放電サイクル特性を示す。
特開2002−260637号公報
しかしながら、このようなリチウム二次電池用負極においても、リチウムの吸蔵、放出時に体積の膨張、収縮を伴うため、充放電を行うたびに負極活物質表面に割れを生じ新生面が出現することには変わりない。このため、この新生面において、新生面と非水電解質とが反応してリチウムイオンが消費されるため、充放電効率が低下して、サイクル特性の飛躍的な向上が図れないという問題がある。したがって、改良の余地がある。
そこで、本発明の目的は、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質のように、リチウムの吸蔵、放出時の体積の膨張、収縮に伴って負極活物質粒子に割れを生じるような負極活物質を用いたリチウム二次電池の充放電サイクル特性を飛躍的に向上させることにある。

上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質粒子とバインダーとを含む負極活物質含有層が負極集電体の表面上に形成された負極と、正極と、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、 前記バインダーはポリイミドであり、前記負極活物質含有層が前記負極集電体の表面上に焼結することにより配置され、前記非水電解質には硫黄化合物が含有されていることを特徴とする。
上記構成の如く、非水電解質に硫黄化合物が含有されていれば、リチウムの吸蔵、放出時における体積の膨張、収縮に伴って、負極活物質表面に新生面が出現したときに、新生面における負極活物質と硫黄化合物とが反応して、負極活物質粒子表面にリチウムイオン導電性に優れた被膜を形成する。したがって、負極活物質内での充放電反応分布の均一性が向上し、負極活物質は全体的に均一に体積変化が生じるため、負極活物質全体に均等に応力が加わる。このため、リチウムの吸蔵、放出に伴う体積変化量の偏りによって発生する歪みに起因する負極活物質表面の割れが抑制されるので、新生面の発生も抑えられる。よって、新生面と非水電解質とが反応してリチウムイオンが消費されるということを抑制できるので、充放電効率が向上して、サイクル特性が飛躍的に向上する。
ここで、本発明において用いる硫黄化合物としては、鎖状サルファイト、環状サルファイト、鎖状スルホン、環状スルホン、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステルが例示される。
上記鎖状サルファイトとしては、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、エチルメチルサルファイト、エチルプロピルサルファイト、ジフェニルサルファイト、エチルサルファイト等が挙げられ、上記環状サルファイトとしては、エチレンサルファイト、ビニレンサルファイト、フェニルエチレンサルファイト等が挙げられる。
上記鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジフェニルスルホン、ベンジルメチルスルホン、メチルフェニルスルホン、エチルフェニルスルホン等が挙げられ、上記環状スルホンとしては、スルフォラン、2-メチルスルフォラン、3−メチルスルフォラン、2-エチルスルフォラン、スルフォレン、3−メチルスルフォレン等が挙げられる。
上記鎖状スルホン酸エステルとしては、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸プロピル、エタンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル等が挙げられ、上記環状スルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンスルトン、3−フェニル−1,3−プロパンスルトン等が挙げられる。
上記鎖状硫酸エステルとしては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸エチルメチル、硫酸メチルフェニル等が挙げられ、上記環状硫酸エステルとしては、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド、1,2−プロパンジオール硫酸エステル、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、23−ブタンジオール硫酸エステル、メチルフェニルエチレングリコール硫酸エステル等を挙げることができる。本発明に用いられる硫黄化合物は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
尚、リチウムイオン電池における充放電サイクル特性を向上させる手法として、特開平10−189042号公報等において、硫黄化合物である1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを含有した非水電解質が提案されている。しかしながら、これらはすべて負極活物質として炭素を用いた場合についての効果を確認したものであり、負極活物質としてケイ素を含むような場合について想定されたものではない。即ち、負極活物質としてケイ素を含むような場合には、上述の如く充放電によりその表面に新生面が生じるが、本発明では、硫黄化合物を含有した非水電解質を用いることにより、このような不都合を回避して充放電サイクル特性の低下を顕著に改善するものであるが、上記公報等では、このようなことについては何ら示唆されていない。
さらに、本発明では、後述の如く、負極活物質とバインダーを含む負極活物質含有層を導電性金属箔から成る負極集電体の表面上に配置した状態で焼結した負極を用いた二次電池についても提案しているが、この場合にも硫黄化合物を含有した非水電解質を用いると、充放電サイクル特性が飛躍的に向上する。このことについても、上記公報等では何ら示唆されていない。
上記の如く、硫黄化合物を含有した非水電解質であるという点については、本発明と上記公報等とは同じくするが、負極活物質としてケイ素を含むような場合か、炭素を含むような場合かで全く作用効果が異なるということを付言しておく。
記硫黄化合物として硫酸エステル化合物が用いられる。
上述の如く、硫黄化合物としては、鎖状サルファイト、環状サルファイト、鎖状スルホン、環状スルホン、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル等があるが、これらの中でも硫酸エステル化合物を用いれば、上記作用効果が一層発揮される。
請求項3記載の発明は請求項2記載の発明において、前記硫酸エステル化合物として、下記化2に示す1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドが用いられることを特徴とする。
硫酸エステル化合物として、上記化2に示す1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを用いれば、上記作用効果がより一層発揮される。
記非水電解質の総量に対する前記硫黄化合物の割合が、0.1質量%以上、20質量%以下に規制されることを特徴とする
このように規制するのは、以下に示す理由による。即ち、硫黄化合物の割合が非水電解質の総量の20質量%を超える場合には、負極活物質表面で形成される被膜が厚くなりすぎてリチウムイオン透過性が悪くなるために、負極の反応抵抗が増大し、サイクル特性が低下する。一方、硫黄化合物の割合が非水電解質の総量の0.1%未満の場合には、負極活物質の表面において、硫黄化合物を含有した非水電解質による良質な被膜が形成さない部分が生じるため、充放電特性が低下するという理由による。
請求項1の発明は、前記負極活物質含有層が負極集電体の表面上に焼結することにより配置されることを特徴とする。
上記構成の如く、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質粒子とバインダーとを含む負極活物質含有層を負極集電体表面に配置し、それらを焼結した負極は、負極活物質と負極集電体との密着性が高くなるため、リチウムの吸蔵、放出時に負極活物質の体積が膨張、収縮しても、負極活物質が負極集電体から剥離するのを抑制できる。したがって、高い集電性が長期に亘って持続される。
さらに、詳細は明らかではないが、上記のように焼結法にて負極活物質含有層が配置されると、変質したバインダー及び負極活物質と前記非水電解質中の硫黄化合物とが反応し、焼結した負極に特有のリチウムイオン伝導性の高い被膜が形成されると考えられるため、充放電サイクル特性をより向上させることができる。
請求項記載の発明は請求項記載の発明において、前記焼結時の雰囲気が非酸化性雰囲気であることを特徴とする。
このように、焼結時の雰囲気が非酸化性雰囲気であるのが好ましいのは、以下に示す理由による。
即ち、電極を焼結する際にはバインダーの一部が分解されるが、その焼結時の雰囲気が酸化性雰囲気の場合には、雰囲気が非酸化性雰囲気である場合とは異なった生成物が得られるため、結着力の低下を招来するものと考えられる。実際、本発明者らが実験したところ、酸化性雰囲気下で焼結した場合には非酸化性雰囲気下で焼結した場合と比べて、充放電サイクル特性が低下するということを確認している。
加えて、酸化性雰囲気下で焼結した場合には、負極集電体である銅が酸化して酸化銅となるため、負極集電体の強度が低下する。このようなことが生じると、充放電時における負極活物質の体積変化に耐えることができず、負極集電体に皺が発生するため、体積エネルギー密度が低下する。
これに対して、焼結時の雰囲気が非酸化性雰囲気の場合には、焼結によってバインダーの結着力が低下するのが抑制されるため、充放電サイクル特性が低下することもなく、且つ、負極集電体である銅が酸化するのを阻止できるので、負極集電体に皺が発生することに起因する体積エネルギー密度の低下という問題も発生しないという理由による。
記負極活物質粒子の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする。
上記の如く、負極活物質粒子の平均粒径を10μm以下に規制するのは、以下に示す理由による。
即ち、粒径の小さい負極活物質粒子を用いた場合、充放電反応でのリチウムの吸蔵、放出に伴う負極活物質粒子の体積の膨張、収縮の絶対量が小さくなるため、充放電反応時において電極内での負極活物質粒子間の歪みの絶対量が小さくなる。したがって、バインダーの破壊が抑制されるので、電極内における集電性の低下が抑えられ、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。また、粒径の小さい負極活物質粒子を用いた場合、負極活物質表面に形成される硫黄化合物を含有した非水電解質によって形成されるリチウムイオン伝導性に優れる良質な被膜により、負極活物質含有層中に緻密なリチウムイオン伝導経路が形成されるため、電極内の充放電反応分布の均一性が更に向上される。この結果、負極活物質内でのリチウムの吸蔵、放出に伴う体積変化量の偏りによって発生する歪みに起因する負極活物質表面の割れが更に抑制されるので、新生面の発生も抑えられ、充放電特性を更に向上させることができる。
尚、負極活物質粒子の平均粒径は、上記の範囲に限定するものではないが、効果的な焼結が生じるためには、100μm以下、好ましくは50μm以下、最も好ましくは上記の如く10μm以下に規制するのが望ましい。
また、負極活物質粒子の粒度分布としては、できる限り狭い範囲であることが好ましい。なぜなら、幅広い粒度分布である場合には、粒度が大きく異なる負極活物質粒子間において、リチウムの吸蔵、放出に伴う体積の膨張、収縮の絶対量に大きな差が存在することになるため、負極活物質含有層内で歪みが生じる。このため、バインダーの破壊が生じ、電極内の集電性が低下するために、充放電サイクル特性が低下するからである。
加えて、本発明の如く、非水電解質に硫黄化合物を含有していれば、負極活物質表面にリチウムイオン伝導性に優れる良質の被膜が形成されるが、負極活物質粒子の粒度分布が狭ければ、負極活物質含有層中の緻密なリチウムイオン伝導経路の均一性がより向上し、電極内の充放電反応分布の均一性が更に向上すると考えられるため、充放電サイクル特性がより一層向上する。
記負極集電体における前記負極活物質含有層が配置されている面の表面粗さRaが0.2μm以上であることを特徴とする。
上記構成の如く、負極集電体における前記負極活物質含有層が配置されている面の表面粗さRaを0.2μm以上に規制するのは、以下に示す理由による。尚、負極集電体の表面粗さRaとは、図3に示すように、負極集電体11の凹凸における平均線から絶対値偏差の平均値をいう。
即ち、負極集電体の表面粗さRaが上記の如く規制されていれば、負極活物質粒子と金属箔表面との接触面積が大きくなるため、負極活物質粒子と負極集電体との密着性が向上する。加えて、負極集電体の表面凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体との間にアンカー効果が発現するため、更に高い密着性が得られる。したがって、リチウム吸蔵、放出に伴う負極活物質粒子の体積の膨張、収縮によって負極活物質が負極集電体から剥離するのを抑制できる。尚、負極集電体の両面に負極活物質含有層を配置する場合には、負極集電体の両面の表面粗さRaが、それぞれ、0.2μm以上であることが好ましい。
ここで、負極集電体表面の表面粗さRaを0.2μm以上とするためには、粗面化処理を施してもよい。このような粗面化処理としては、めっき法、気相成長法、エッチング法、及び研磨法などが挙げられる。上記めっき法及び上記気相成長法は、負極集電体の上に凹凸を有する薄膜層を形成することにより表面を粗面化する方法であり、めっき法としては、電解めっき法及び無電解めっき法が挙げられ、気相成長法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などが挙げられる。また、上記エッチング法としては、物理的エッチングや化学的エッチングによる方法が挙げられ、上記研磨法としては、サンドペーパーによる研磨やブラスト法による研磨などが挙げられる。
また、上記の表面粗さRaと局部山頂の平均間隔Sは、100Ra≧Sの関係を有することが好ましい。表面粗さRa及び局部山頂の平均間隔Sは、日本工業規格(JIS B0601−1994)に定められており、例えば、表面粗さ計により測定することができる。
本発明のリチウム二次電池に用いる負極集電体としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属またはこれらの組み合わせからなる合金のものを挙げることができる。特に、負極活物質中に拡散し易い金属元素を含有するものが好ましい。このようなものとして、銅元素を含む金属箔、特に銅箔または銅合金箔が挙げられる。なぜなら、銅は熱処理によって負極活物質中に拡散し易いため、焼結により負極集電体と負極活物質との密着性を向上させることができるからである。
加えて、焼結による負極集電体と負極活物質との密着性の向上を目的とするならば、負極活物質と接する負極集電体表面に銅元素を含む層が存在する金属箔を負極集電体として用いれば良い。したがって、銅以外の金属元素から成る金属箔を負極集電体として用いる場合には、金属箔の表面上に銅または銅合金層を形成するのが望ましい。このような金属箔表面上に銅または銅合金層を有し、その表面粗さRaが0.2μm以上であるものを得る方法としては、電解めっき法により銅や銅合金のめっき膜を金属箔上に形成する方法が挙げられる。このようなものとして、銅箔上に電解めっき法により銅めっき膜を形成した電解銅箔や、ニッケル箔の表面に銅めっき膜を形成させたものなどが挙げられる。
尚、負極集電体の厚みは特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。また、負極集電体の表面粗さRaの上限は、特に限定されるものではないが、負極集電体の厚みが10〜100μmの範囲にあることが好ましいので、実質的には表面粗さRaの上限は10μm以下であると考えられる。
また、本発明のリチウム二次電池の負極では、図3に示すように、負極活物質含有層12の厚みをX、負極集電体11の厚みがY及び表面粗さがRaとした場合に、5Y≧X、250Ra≧Xの関係を有することが好ましい。なぜなら、負極活物質含有層の厚みXが5Yまたは250Ra以上の場合、充放電反応時において、負極活物質含有層の体積の膨張収縮が大きくなるために、負極集電体表面上の凹凸によっては負極活物質含有層と負極集電体との密着性が保てなくなり、負極活物質含有層が負極集電体から剥離するからである。
尚、負極集電体上に配置された負極活物質含有層の厚みXは、特に限定されるものではないが、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは10μm〜100μmである。
請求項記載の発明は、前記バインダーが前記焼結後にも残存していることを特徴とする。
上記構成の如く、熱処理後もバインダーが分解せずに残存していれば、焼結による負極活物質粒子と負極集電体間及び負極活物質粒子同士間の密着性の向上に加え、バインダーによる結着力も加わり、密着性を更に高めることができる。特に、上述の如く、表面粗さRaが0.2μm以上の負極集電体を用いる場合、負極集電体の表面凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体との間にアンカー効果が発現し、更なる密着性の向上が得られる。これらのことから、リチウム吸蔵、放出の際の負極活物質の体積の膨張、収縮による負極活物質の負極集電体からの剥離が抑制され、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
尚、バインダーの量は、負極活物質含有層の総重量の5質量%以上50質量%以下、バインダーの占める体積が負極活物質含有層の総体積の5%以上50%以下であることが好ましい。なぜなら、バインダー量が負極活物質含有層の総重量の5質量%未満、バインダーの占める体積が負極活物質含有層の総体積の5%未満である場合には、負極活物質粒子に対するバインダー量が少なすぎるために、バインダーによる電極内の密着性が不十分となる一方、バインダー量が負極活物質含有層の総重量の50質量%を超えたり、バインダーの占める体積が負極活物質含有層の総体積の50%を超える場合には、電極内の抵抗が増加するため、初期の充電が困難になるからである。
請求項1の発明では、バインダーがポリイミドであることを特徴とする。
ポリイミドは、ポリアミド酸を熱処理することによっても得ることができる。この熱処理によりポリアミド酸が脱水縮合して、ポリイミドが生成する。本発明においては、ポリイミドのイミド化率が80%以上のものが好ましい。なぜなら、ポリイミドのイミド化率が80%以下の場合は、負極活物質粒子及び負極集電体との密着性が良くないからである。ここで、イミド化率とは、ポリイミド前駆体に対する生成したポリイミドのモル比(%)である。イミド化率80%以上のものは、例えば、ポリアミド酸のNMP溶液を100℃〜400℃の温度で1時間以上熱処理することにより得ることができる。因みに、350℃で熱処理する場合、熱処理時間が約1時間でイミド化率が80%となり、約3時間でイミド化率は100%となる。本発明では、上述の如く、焼結のための熱処理後もバインダーは完全に分解せずに残存しているものが好ましいので、バインダーとしてポリイミドを用いる場合は、ポリイミドが完全に分解しない600℃以下で焼結を行うのが好ましい。
記負極活物質粒子がケイ素粒子であることを特徴とする。
上記構成の如く、負極活物質粒子としてケイ素粒子を用いると、負極容量を大きくすることができる。
但し、負極活物質粒子としては上記ケイ素粒子に限定するものではなく、ケイ素合金等を用いても良い。ケイ素合金としては、ケイ素と他の1種以上の元素との固溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げられる。合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、及びガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。
また、負極活物質粒子としては、ケイ素及び/またはケイ素合金の粒子表面を金属等で被覆したものを用いてもよい。被覆方法としては、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などが挙げられる。粒子表面を被覆する金属としては、負極集電体として用いる導電性金属箔と同じ金属であることが好ましい。なぜなら、導電性金属箔と同じ金属を被覆することにより、焼結の際に負極集電体との結合性が大きく向上し、更に優れた充放電サイクル特性を得ることができるからである。
記負極活物質含有層には導電性粉末が混合されていることを特徴とする。
上記構成の如く、負極活物質含有層には導電性粉末が混合されていれば、負極活物質粒子の周囲に導電性粉末による導電性ネットワークが形成されるので、電極内での集電性を更に向上させることができる。
尚、導電性粉末としては、上記導電性金属箔から成る負極集電体と同様の材質のものを好ましく用いることができる。具体的には、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属またはこれらの組み合わせからなる合金または混合物である。特に、金属粉末としては銅粉末が好ましく用いられる。また、導電性カーボン粉末も好ましく用いることができる。
また、導電性粉末の添加量は、負極活物質との総重量の50質量%以下であることが好ましい。なぜなら、導電性粉末の添加量が多過ぎると負極活物質の混合比率が相対的に少なくなるので、電極の充放電容量が小さくなるからである。
更に、導電性粉末の平均粒径は特に限定されるものではないが、100μm以下、好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下であることが望ましい。
(その他の関連事項)
(1)本発明において用いる非水電解質中の溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートが挙げられるが、環状カーボネートの方が好ましい。なぜなら、非水電解質中の溶媒中に環状カーボネートが存在する場合、非水電解質中の硫黄化合物と共に、負極活物質表面においてリチウムイオン伝導性に優れた良質な被膜が形成されるため、優れた充放電特性が得られるからである。尚、環状カーボネートの中でも、特にエチレンカーボネートが好ましい。
また、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を好ましく用いることができる。このような混合溶媒としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを含んでいることが特に好ましい。また、前記環状カーボネートと、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル等の鎖状エステル等との混合溶媒も例示される。
また、非水電解質の溶質としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。特に、LiXF(式中、XはP、As、Sb、B、Bi、Al、GaまたはInであり、XがP、AsまたはSbのときYは6であり、XがB、Bi、Al、GaまたはInのときYは4である)と、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(C2m+1SO)(C2n+1SO)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)またはリチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(C2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(式中、p、q、及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)との混合物が好ましく用いられる。これらの中でも、LiPFとLiN(CSOとの混合溶質が特に好ましく用いられる。本発明のリチウム二次電池の非水電解質は、リチウムイオン導電性を発現させる溶質としてのリチウム化合物とこれを溶解・保持する溶媒と硫黄化合物が電池の充放電反応時あるいは保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
(2)本発明のリチウム二次電池の正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiCo0.5Ni0.5、LiNi0.7Co0.2Mn0.1などのリチウム含有遷移金属酸化物や、MnOなどのリチウムを含有していない金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入、脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
(3)本発明のリチウム二次電池の負極の製造方法は、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質粒子をバインダーの溶液中に均一に混合、分散させたスラリーを負極集電体の表面上に塗布することにより、該負極活物質粒子及び該バインダーを含む負極活物質含有層を該負極集電体の表面上に配置する工程と、該負極活物質含有層を該負極集電体の表面上に配置した状態で焼結する工程を備えることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の負極における焼結は、例えば、真空下または窒素雰囲気下またはアルゴンなどの非酸化性雰囲気下で行うことが好ましいが、水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行ってもよい。焼結する際の熱処理の温度は、負極集電体及び負極活物質粒子の融点以下の温度であることが好ましい。例えば、負極集電体として銅箔を用いた場合には、融点1083℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは200〜500℃以下であり、さらに好ましくは300〜450℃以下である。焼結する方法としては、放電プラズマ焼結法やホットプレス法を用いてもよい。
また、本発明のリチウム二次電池の負極において、負極集電体上に負極活物質含有層を形成した後、焼結する前に、この負極活物質含有層を負極集電体と共に圧延することが好ましい。なぜなら、このような圧延により、負極活物質含有層における充填密度を高めることができ、負極活物質粒子間の密着性及び負極活物質粒子と負極集電体との密着性を高めることができるので、良好な充放電サイクル特性を得ることができるからである。
本発明によれば、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質のように、リチウムの吸蔵、放出時の体積の膨張、収縮に伴って負極活物質粒子に割れを生じるような負極活物質を用いたリチウム二次電池の、充放電サイクル特性を飛躍的に向上させることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔負極の作製〕
先ず、負極活物質としての平均粒径3μmのケイ素粉末(純度99.9%)81.8質量部を、バインダーとしてのポリイミド18.2質量部を含むN−メチルピロリドン溶液と混合し、負極スラリーを調製した。
次いで、この負極スラリーを、負極集電体である表面粗さRaが0.5μmの電解銅箔(厚み35μm)の片面(粗面)に塗布、乾燥した。得られたものを25×30mmの長方形状に切り抜いて圧延した後、アルゴン雰囲気下において400℃で1時間熱処理することにより焼結を行い、負極集電体の一方の面に負極活物質含有層が形成された負極を作製した。
ここで、焼結体の厚み(負極集電体も含む)は50μmであった。したがって、負極活物質含有層の厚みは15μmと見積もられ、負極活物質含有層の厚み/銅箔表面粗さの割合は30となり、負極活物質含有層の厚み/銅箔厚みの割合は0.43となった。
また、この負極においては、ポリイミドの密度は1.1g/cm3であり、ポリイミドの占める体積は負極活物質含有層の総体積の31.8%となっていた。
〔正極の作製〕
先ず、出発原料としてLi2CO3とCoCO3 とを用い、Li:Coの原子比が1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを直径17mmの金型でプレスして加圧成形した後、空気中において、800℃で24時間焼成することにより、LiCoO2 の焼成体を得た。次に、この焼成体を乳鉢で粉砕することにより、平均粒径20μmに調製した。
次いで、得られたLiCoO2粉末90質量部と、導電剤として人造黒鉛粉末5質量部とを、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン5質量部を含むN−メチルピロリドン溶液に混合することにより、正極スラリーを調製した。
この後、この正極スラリーを、正極集電体であるアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥した後、圧延した。最後に、得られたものを20mm×20mmに切り抜くことにより、正極を作製した。
〔非水電解質の作製〕
アルゴン雰囲気中において、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:7の割合で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解し、非水電解質を作製した。さらに、この非水電解質に、下記化3で表される1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを全体の2質量%となるように添加した。
〔電池の作製〕
常温、常圧のアルゴンガス雰囲気下において、上記の正極、負極、及び非水電解質を表1に示す構成でアルミニウムラミネートの外装体内に挿入したリチウム二次電池を作製した。
上記リチウム二次電池の具体的な構造は、図1及び図2に示すように、正極1と負極2とがセパレータ3を介して対向配置されており、これら正極1と負極2とセパレータ3とにより、発電要素を構成している。上記正極1と負極2は、それぞれ、アルミニウム金属製の正極タブ4とニッケル金属製の負極タブ5とに接続され、二次電池としての充電及び放電が可能な構造となっている。尚、上記正極1と負極2とセパレータ3とから成る発電要素は、周縁同士がヒートシールされた閉口部7を備えるアルミニウムラミネートの外装体6の収納空間内に配置されている。
〔第1実施例〕
(実施例1)
実施例1の試験セルとしては、上記発明を実施するための最良の形態で説明した電池と同様にして作製したものを用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(実施例2〜7)
1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドの添加量を、それぞれ、0.05質量%、0.1質量%、5質量%、10質量%、20質量%、及び25質量%とした他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、本発明電池A2〜A7と称する。
(比較例)
1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを添加しない他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Xと称する。
(実験1)
上記本発明電池A1〜A7及び比較電池Xについて、下記の条件で充放電し、充放電サイクル特性を調べたので、その結果を表1に示す。尚、1サイクル目の放電容量の80%に達するまでのサイクル数を測定し、それをサイクル寿命とした。また、各電池のサイクル寿命は、本発明電池A1のサイクル寿命を100とした指数で表示している。
・充放電条件
充電電流14mAで、充電終止電位4.2Vまで充電するという条件(温度:25℃)
放電電流14mAで、放電終止電位2.75Vまで放電するという条件(温度:25℃)
表1から明らかなように、硫黄化合物である1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを含有する非水電解質を用いた本発明電池A1〜A7は、硫黄化合物を含有していない非水電解質を用いた比較電池Xに比べて、サイクル寿命が長くなっていることが認められる。
このような結果となったのは、以下に示す理由によるものと考えられる。即ち、硫黄化合物を含有していない非水電解質を用いた比較電池Xでは、リチウムの吸蔵、放出の際に負極活物質の体積が膨張、収縮することにより、負極活物質粒子表面に割れが起こり、活性な新生面が生じた場合に、この部分で非水電解質の分解や、リチウムイオンと非水電解質との反応が起こって、新たな被膜が形成されるために充放電効率が低下する。
これに対して、硫黄化合物である1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを含有する非水電解質を用いた本発明電池A1〜A7では、負極活物質表面に新生面が現れたときに、硫黄化合物が効果的に働き、負極活物質粒子の表面にリチウムイオン導電性に優れた被膜を形成するために、充放電効率の低下が抑制されるという理由によるものと考えられる。
また、表1から明らかなように、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドの添加量が0.1質量%〜20質量%の本発明電池A1、A3〜A6は、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドの添加量が各0.05質量%、25質量%の本発明電池A2、A7に比べて、サイクル寿命が長いことが認められる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
即ち、添加量が25質量%の本発明電池A7では、負極活物質表面に形成される被膜が厚くなり過ぎるため、リチウムイオンの透過性が低下し、負極板における反応抵抗が増大する。また、添加量が0.05質量%の本発明電池A2では、添加量が少なすぎるため、負極活物質の全ての部分に良質な被膜が形成されないため、活性な新生面が生じた場合に、この部分で非水電解質の分解や、リチウムイオンと非水電解質の反応が生じる。
これに対して、添加量が0.1質量%〜20質量%の本発明電池A1、A3〜A6では、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドが多すぎたり、少なすぎたりということがないので、上記不都合が抑制されるという理由によるものと考えられる。
〔第2実施例〕
本実施例では、負極活物質種の違いにより硫黄化合物が充放電サイクル特性に与える効果について検討するため、負極活物質としてケイ素粉末を使用した電池と、黒鉛を使用した電池について比較検討を行った。尚、負極活物質としてケイ素粉末を使用した電池については、上記第1実施例と同じ電池を用いるため、本実施例では、黒鉛を使用した電池の作製方法について述べる。
(比較例1)
下記のようにして負極を作製した他は、上記第1実施例の実施例1と同様にして電池を作製した。
先ず、負極活物質としての平均粒径18μmの天然黒鉛粉末90質量部と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部を含むN−メチル−2−ピロリドン溶液に混合し、負極スラリーを調製した。
次に、この負極スラリーを、負極集電体としての厚み35μmの圧延銅箔の両面に塗布、乾燥した。得られたものを25×30mmに切り抜き、圧延して、負極とした。負極の厚み(負極集電体は含む)は161μmであった。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y1と称する。
(比較例2)
1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを添加しない他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Y2と称する。
(実験)
これらの電池について上記と同様に充放電サイクル特性を評価した。それぞれの電池のサイクル寿命を表2に示す。なお、充放電条件は、上記第1実施例の実験と同様の条件である。また、表2には、前記本発明電池A1及び前記比較電池Xのサイクル寿命も併せて示している。更に、表2におけるサイクル寿命は、比較電池Xについては本発明電池A1のサイクル寿命を100とした場合の指数で表示しており、比較電池Y2については比較電池Y1のサイクル寿命を100とした場合の指数で表示している。
表2から明らかなように、硫黄化合物である1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを非水電解質に添加した場合、負極活物質に炭素粉末を用いた場合(比較電池Y1と比較電池Y2との対比)よりも、負極活物質にケイ素を用いた場合(本発明電池A1と比較電池Xとの対比)の方が充放電サイクル特性の向上の度合いが大きいことがわかる。これは、負極活物質にケイ素粉末を用いた電極は、リチウムの吸蔵、放出の際に著しく負極活物質の体積が膨張、収縮するため、負極活物質表面の割れが起こりやすいことが原因であると考えられる。具体的には、以下の通りである。
・本発明電池A1と比較電池Xとの対比
1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを含まない非水電解質を用いた比較電池Xでは、負極活物質の微粉化が生じるため、電極内の集電性が低下し、充放電サイクル特性が低くなるが、非水電解質に1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドを含有させた本発明電池A1では、充放電反応により負極活物質表面に形成される良質の被膜が、リチウム伝導性に優れた被膜となるため、負極活物質内での充放電反応分布の均一性が向上される。したがって、負極活物質内での体積変化量の偏りにより発生する歪みに起因する負極活物質表面の割れが抑制されるので、新生面の発生も抑えられ、さらに充放電効率を向上させることができると考えられる。
また、非水電解質に硫黄化合物を用いると、負極活物質表面で形成される被膜が良質なため、充放電反応に伴う負極活物質表面の割れにより生じる新生面上での被膜の形成に消費されるリチウムイオン量が減り、充放電効率の低下を抑制することができるとも考えられる。
さらに、負極活物質にケイ素粉末を用いた負極は、負極活物質とバインダーとを含む負極活物質含有層を負極集電体の表面上に配置した状態で焼結しているため、変質したバインダー及び負極活物質と前記非水電解質中の硫黄化合物が反応し、焼結した負極に特有のリチウムイオン伝導性の高い被膜が形成されると考えられ、充放電サイクル特性が飛躍的に向上したと考えられる。
・比較電池Y1と比較電池Y2との対比
負極活物質に炭素粉末を用いた場合には、リチウムの吸蔵、放出による負極活物質表面の割れが殆ど発生しないため、非水電解質に硫黄化合物を含有させたことによる良質な被膜形成によって得られる充放電サイクル特性向上の効果は小さい。さらに、負極活物質に炭素粉末を用いた場合、負極活物質とバインダーを負極集電体の表面上に配置した状態で焼結していないため、非水電解中の硫黄化合物と、焼結により変質した負極活物質及びバインダーとの特有な反応が起こらず、充放電特性がほとんど向上しなかったと考えられる。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源のみならず、電気自動車やハイブリッド自動車の車載用電源等の大型電池に適用することもできる。
本発明の最良の形態に係る電池の正面図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 X、Y、Raについての説明図である。
符号の説明
1:正極
2:負極
3:セパレータ

Claims (9)

  1. ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質粒子とバインダーとを含む負極活物質含有層が負極集電体の表面上に形成された負極と、正極と、非水電解質と、を備えたリチウム二次電池において、
    前記バインダーはポリイミドであり、
    前記負極活物質含有層は前記負極集電体の表面上に焼結することにより配置され、
    前記非水電解質には、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド、1,2−プロパンジオール硫酸エステル、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、2,3−ブタンジオール硫酸エステル、メチルフェニルエチレングリコール硫酸エステルのうちの少なくとも一種類の硫酸エステルが含有され、
    前記バインダーは前記焼結後にも残存し、
    前記負極活物質粒子として、前記ケイ素及び/またはケイ素合金の表面に、前記焼結により熱処理されたポリイミドと前記ケイ素及び/またはケイ素合金と前記硫酸エステル化合物とが反応して得られる被膜が形成された負極活物質粒子を用いることを特徴とするリチウム二次電池
  2. 記硫酸エステル化合物として、下記化1に示す1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドが用いられる、請求項に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記非水電解質の総量に対する前記硫酸エステル化合物の割合が、0.1質量%以上、20質量%以下に規制される、請求項1又は請求項2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記焼結時の雰囲気が非酸化性雰囲気である、請求項に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記負極活物質粒子の平均粒径が10μm以下である、請求項1〜のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  6. 前記負極集電体における前記負極活物質含有層が配置されている面の表面粗さRaが0.2μm以上である、請求項1〜のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  7. 前記負極活物質粒子がケイ素粒子である、請求項1〜のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  8. 前記負極活物質含有層には導電性粉末が混合されている、請求項1〜のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  9. 前記ポリイミドは、ポリイミド前駆体を熱処理することにより得られ、前記ポリイミドのイミド化率は80%越であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のリチウム二次電池。
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