JP6872845B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池は、携帯用端末、電気自動車、ハイブリッド自動車等に広く用いられており、今後もエネルギー密度の向上が期待されている。なかでも、電気自動車については、電気自動車が普及する障壁として航続距離の問題が挙げられる。航続距離の向上には内装する非水電解質二次電池の充放電容量の向上が不可欠である。現在、実用化されている非水電解質二次電池の負極活物質には炭素材料が、正極活物質にはリチウム遷移金属酸化物が主に用いられている。
充放電容量をさらに向上させるため、炭素材料の理論容量を超えるエネルギー密度を有する負極材料が求められており、Siを構成元素とする金属、合金、又は化合物を負極活物質として用いることが検討されている。
Siを構成元素に含む負極活物質は、Liイオンと固溶体や金属間化合物を形成することにより、Liイオンを多量に貯蔵することができる。
この負極活物質は、初回充放電時に不可逆容量が生じるため、初期充放電効率が低いことが知られている。また、充放電サイクルに伴う体積膨張・収縮が大きいため、充放電サイクル性能が低下することも知られている。
特許文献1には、「非水溶媒と、電解質と、環状硫酸エステルもしくは環状スルホン酸エステルと、‥チオール[‥]を含有し、前記チオールはカルボキシ基、前記カルボキシレート基、前記アミノ基のいずれかを一つ以上有する化合物から成る非水電解液。」(請求項1)、及び「正極と、負極と、セパレータと、前記請求項1ないし7のいずれかに記載の非水電解液を備え、前記負極は、シリコンを含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。」(請求項8)の発明が記載されている。
この発明について、(0003)〜(0005)には、リチウムイオン二次電池における放電容量低下の原因について、「SEI(surface electronic interphase)と呼ばれる皮膜が負極活物質上に生成されるが、この皮膜が過剰に生成されて抵抗が増大することが容量低下の一員となりやすい。」、特に、「高容量を持つことで注目されているシリコンやスズを含有する負極に対しては、不十分であった。」と記載されている。
そして、実施例には、上記の「環状硫酸エステル」として、「1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド」を含む非水電解液と、シリコン/酸化シリコン=1/2(重量比)の混合物を負極活物質とするリチウムイオン二次電池が記載され、400サイクル後の容量維持率が優れ、サイクル特性が良好であったと記載されている。
特許文献2には、「層状構造のリチウム含有複合酸化物を活物質とする正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備え、満充電時の正極の電位がLi基準で4.35V以上となる非水電解液二次電池であって、上記非水電解液が、ビニルエチレンカーボネートまたはその誘導体と、下記一般式(1)で表される環状硫酸エステル誘導体または下記一般式(2)で表される環状スルホン酸エステル誘導体とを含有することを特徴とする非水電解液二次電池。」(請求項1)の発明が記載されている。
環状硫酸エステル誘導体としては、(0033)に「1,2−プロパンジオール硫酸エステル」が例示され、負極活物質としては、(0044)に「黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;Si、Snなどのリチウムと合金化可能な元素で構成される金属または該元素を含有する合金あるいは酸化物」が例示されている。実施例4には、「1,2−プロパンジオール硫酸エステル」を含有する非水電解液と、人造黒鉛である負極活物質とを有する非水電解質二次電池が記載され、200サイクル目の容量維持率が向上したことが記載されている。
特許文献3には、「リチウムを活物質とする負極、正極、溶質および有機溶媒からなる非水系電解液、セパレータおよび外缶を備えた非水系電解液電池において、前記有機溶媒として、式(1)で表される化合物を少なくとも一種類含み、前記正極に用いた集電体の材質および前記外缶の正極側における電解液との接液部分の材質が弁金属またはその合金であることを特徴とする非水系電解液電池。
[化1]R1−A−R2(1)
(式中、‥R1とR2は互いに結合して−A−とともに不飽和結合を含んでいてもよい環状構造を形成し、Aは式(2)〜(5)のいずれかで表される構造を有する)」の発明が記載されており、Aが式(5)である場合の具体例として、(0019)には、「硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸エチルメチル、硫酸メチルプロピル、硫酸エチルプロピル、硫酸メチルフェニル、硫酸エチルフェニル、硫酸フェニルプロピル、硫酸ベンジルメチル、硫酸ベンジルエチル等の鎖状硫酸エステル;エチレングリコール硫酸エステル、1,2−プロパンジオール硫酸エステル、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、1,2−ブタンジオール硫酸エステル、1,3−ブタンジオール硫酸エステル、2,3−ブタンジオール硫酸エステル、フェニルエチレングリコール硫酸エステル、メチルフェニルエチレングリコール硫酸エステル、エチルフェニルエチレングリコール硫酸エステル等の環状硫酸エステル;および上記鎖状硫酸エステルや環状硫酸エステルのハロゲン化物を挙げることができる。」と記載されている。
また、負極を構成する材料として、(0023)には、炭素質材料と並んで、「酸化錫、酸化珪素等のリチウムを吸蔵・放出可能な金属酸化物材料」が例示されている。
実施例には、エチレンサルファイト(ES)、ジメチルサルファイト(DMS)、スルフォラン(SLA)、スルフォレン(SLE)、1,3−プロパンスルトン(PSL)、環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)、鎖状カーボネートであるジエチルカーボネート(DEC)、環状エステルであるγ−ブチロラクトン(GBL)、鎖状エステルであるプロピオン酸メチル(MP)、環状エーテルであるテトラヒドロフラン(THF)、鎖状エーテルであるジメトキシエタン(DME)を表1に示す組成で混合した溶媒を用いた電解液と人造黒鉛を負極材料とする非水電解液電池が記載されており、サイクル特性に優れた二次電池を提供できることが記載されている。
特許文献4には、「リチウムを吸蔵・放出可能な正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、非水電解液とを含む非水電解液二次電池であって、前記非水電解液は、下記化学式(1)で表される1,2−プロパンジオール硫酸エステルを含み、前記1,2−プロパンジオール硫酸エステルの含有量は、前記非水電解液の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする非水電解液二次電池。」(請求項1)の発明が記載されている。
この発明は、サイクル特性と高温貯蔵特性の向上を解決しようとするものであり、負極活物質については、(0021)に、「黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、Si、Snなどのリチウムと合金化可能な金属又はその合金」が例示され、実施例として、「人造黒鉛」が用いられている。
特開2014−222624号公報 特開2009−104838号公報 特開平11−162511号公報 特開2006−140115号公報
特許文献1には、シリコン酸化物を活物質として含む負極を有する電池の電解液溶媒に環状硫酸エステルを添加して、良好な低温サイクル特性と低温特性を得ることが記載されている。ここで、具体的に提示されている環状硫酸エステルは、1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドのみである。また、チオールを共に添加することが必須である。
特許文献2、3の実施例において用いられている負極活物質は黒鉛のみであって、シリコン酸化物を負極活物質とする負極の初期を除く充放電サイクル中の不可逆容量について、示唆するものでない。
特許文献4には、非水電解液に1,2−プロパンジオール硫酸エステルを添加することは記載されているが、負極活物質として、シリコン酸化物は例示されていないし、実施例は黒鉛負極のみであって、やはり、シリコン酸化物を負極活物質とする負極の初期を除く充放電サイクル中の不可逆容量について、知見を提供するものでない。
上記したように、Siを含む負極活物質は、初回充放電時に不可逆容量が生じるため、初期充放電効率が低いという特徴が知られている。しかし、この特徴は、電池設計上有効に利用できる。例えば、「リチウム過剰型」の正極活物質を用いた正極を備えた電池では、最初の充電で使用時よりも貴な正極電位に至ってリチウムを引き抜く充電方法が採用される。このような電池に用いる負極として、上記のような初期充放電効率が低い負極を組み合わせることによって、正負極の容量バランスが調整された電池を提供できる。
一方、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量については、これが大きければ大きいほど、同じ放電容量を得るために必要な充電電気量が嵩むという問題が生じる。そこで、本発明者は、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量に着目した。
本発明者は、Siを含む負極活物質の中でも、Si金属又はSi合金より充放電効率が優れるSiとOとを構成元素に含む材料に着目し、この材料を活物質として含む負極を有する非水電解質二次電池において、高い放電容量を保持したまま、初期を除く充放電サイクル中の不可逆容量を抑制することを本発明の課題とする。
本発明は上記の課題を解決するために、以下の手段を採用するものである。
1.正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、 前記負極に含まれる負極活物質が、SiO(0.5≦x≦1.5)を有し、前記非水電解質が下記式(1)で表される化合物を10質量%以下含有し、該化合物によって充放電サイクル中に前記SiO上に保護被膜が形成されることを特徴とする非水電解質二次電池。
Figure 0006872845
(但し、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であ。)
2.正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、前記負極に含まれる負極活物質が、SiO(0.5≦x≦1.5)を有し、上記式(1)で表される化合物を0.1質量%以上10質量%以下添加した非水電解質を注液することを含む、非水電解質二次電池の製造方法。
ここで、上記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される1,2-プロパンジオール硫酸エステルであることが好ましい。
Figure 0006872845
本発明により、高い放電容量を保持したまま、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量を抑制された非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態を示す外観斜視図 本発明に係る非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置を示す概略図
本発明は、非水電解質二次電池の負極に含まれる負極活物質が、SiとOとを含む材料を有し、非水電解質が下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするものである。
Figure 0006872845
SiとOとを構成元素に含む材料は、一般式SiO(0.5≦x≦1.5)で表されるシリコン酸化物に代表される。前記xは0.7以上が好ましい。また、前記xは1.3以下が好ましい。
SiOを負極活物質として用いた場合、負極にリチウムが吸蔵された充電状態において、SiO粒子の表面に、SiLi4.4及びLiOが点在して形成されていると推定される。一方、Si又はSi合金を負極活物質として用いた場合、Si又はSi合金粒子の表面に、SiLi4.4が形成されていると推定される。LiOは、SiLi4.4に比べて、電解液との界面においてより安定して存在できることが、SiOは、Si又はSi合金よりも、フロート充電性能若しくは充放電効率が優れる理由と考えられる。
本発明者は、SiOを活物質とする負極を備える電池において、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量が大きいと、放電容量を維持するために必要な充電電気量が増大することから、この不可逆容量が生じるメカニズムについて検討したところ、次の知見を得た。
初回充電時には、SiO活物質由来の不可逆容量に加えて、固−液界面の反応によりSiOの表面に安定な保護被膜が形成されることに伴い、一定の電気量が消費される。一方、初期を除く充放電サイクル中においては、充放電時のLi挿入・脱離による体積膨張・収縮がSiO粒子の表面に割れを生じさせ、新たな固−液界面が生じるため、不可逆容量が生じる。
上記の知見に基づき、SiOを活物質とする負極と組み合わせて、より速やかに安定な被膜を形成し得る非水電解質について、種々検討した。その結果、非水電解質に上記式(1)で表される化合物を添加することにより、充放電サイクル中に安定な保護機能を有する被膜を形成することができ、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量が抑制されることを見出し、本発明をなすに至った。
以下、本発明の非水電解質二次電池について詳述する。
(負極)
本発明は、負極活物質としてSiとOとを構成元素に含む材料を用いることにより、放電容量の大きい、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を得ることができる。
SiとOとを構成元素に含む材料は、粒子表面の少なくとも一部を導電性物質で被覆して負極活物質とすることが好ましい。SiとOとを構成元素に含む材料を導電性物質で被覆した負極活物質を用いることにより、充放電サイクル性能に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
SiとOとを構成元素に含む材料を被覆する導電性物質としては、Cu、Ni、Ti、Sn、Al、Co、Fe、Zn、Ag若しくはこれらの二種以上の合金又は炭素材料が挙げられる。なかでも、炭素材料を用いて、炭素材料(カーボン)で被覆されたSiOとすることが好ましい。
SiとOとを構成元素に含む材料を、炭素材料で被覆する方法としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタンなどを炭素源として気相中で分解し、粒子の表面に化学的に蒸着させるCVD方法、ピッチ、タールあるいはフルフリルアルコールなどの熱可塑性樹脂を粒子の表面に塗布した後に焼成する方法、あるいは粒子と炭素材料との間に機械的エネルギーを作用させて複合体を形成するメカノケミカル反応を用いた方法を用いることができる。なかでも、均一に炭素材料を被覆できることからCVD法を用いることが好ましい。
また、SiとOとを構成元素に含む材料が導電性物質で被覆された活物質において、活物質に対する導電性物質の割合は、1〜20質量%であることが好ましい。導電性物質の被覆量は、導電性を充分に確保し、充放電サイクル性能を向上させるためには2質量%以上であることが好ましく、また、高い放電容量を得るためには20質量%以下であることが好ましい。
SiとOとを構成元素に含む活物質、又は、SiとOとを構成元素に含み、導電性物質で被覆された活物質に、炭素材料を混合して負極とすることが好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維などが挙げられる。なかでも、導電性を充分に確保できることから、黒鉛、例えば、平均粒径(D50)が1〜15μmの鱗片状黒鉛を含有することがより好ましい。SiとOとを構成元素に含み、導電性物質で被覆された活物質:炭素材料の比は、質量比で20:80〜90:10とすることが好ましく、40:60〜80:20とすることがより好ましい。
本発明において、負極バインダーは、ポリイミド、ポリアミド、及びポリアミドイミドよりなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
弾性率の高いポリイミド等で活物質同士を強固に結着することができる。
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドの弾性率は、3GPa以上が好ましい。また、伸び率は、25%以下が好ましい。
前述した負極活物質と負極バインダーを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン等の有機溶媒と混練して負極合剤ペーストを得る。
得られた負極合剤ペーストを銅箔等の集電体の上に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、プレスして目標の多孔度に調整することができる。
負極合剤層の塗布質量は、1〜20mg/cmとすることが好ましく、負極の多孔度は、10〜65%とすることが好ましい。
前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
以上のようにして、本発明に係る負極を作製することができる。
(正極)
正極活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウムのような遷移金属化合物や、硫化鉄、硫化チタンのような遷移金属カルコゲン化合物、Li1+XMeO(1≦x、MeはCo、Ni及びMnから選択される一種以上の遷移金属)で表されるα−NaFeO型、又はLiMn等のスピネル型のリチウム遷移金属複合酸化物、これらの複合酸化物の遷移金属サイト又はリチウムサイトをAl、V、Fe、Cr、Ti、Zn、Sr、Mo、W、Mgなどの金属元素、若しくはP、Bなどの非金属元素で置換した化合物、LiFePO等のオリビン型のリン酸化合物を用いることができる。
この中では、Li(NiCoMn)O(x+y+z=1)で表されるいわゆるNCM型や、Li1+αMe1−α(0<α、MeはCo、Ni及びMnから選択される一種以上の遷移金属)で表されるリチウムが過剰なα−NaFeO型の正極活物質が、負極活物質の高容量性を活かす組み合わせとして好ましい。
正極のバインダーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。負極と同じ樹脂材料を用いてもよい。また、バインダーの添加量は、正極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
正極活物質及びバインダーに、必要に応じて導電剤、増粘剤、フィラー等の他の構成成分を混練する。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極活物質とバインダー、及び導電材等を溶媒と混合した後、負極と同様の手段を用いてアルミニウム箔等の集電体の上に塗布又は圧着し、80〜200℃の温度で加熱乾燥処理して正極を作製することができる。
(非水電解質)
本発明に係る非水電解質は、電解質塩を非水溶媒に溶解した電解質に、下記式(1)で表される化合物を添加したものである。
Figure 0006872845
(但し、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であり、水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。)
この化合物は、Rの炭素数が1〜3であるので、非水電解質の主溶媒に対する溶解度が高い。また、Rの炭素鎖が長すぎないので、緻密な保護膜形成を妨げる立体障害を起こすことがない。Rは炭素数が2以下であることが好ましい。
具体的な化合物には、1,2−プロパンジオール硫酸エステル、1,2−ブタンジオール硫酸エステル、1,2−ペンタジオール硫酸エステル、及びこれらのフッ素置換体が含まれる。以下、この化合物を「式(1)の環状硫酸エステル」という場合がある。
式(1)の環状硫酸エステルの添加量は、本発明の効果が十分に奏されるものとするため、非水電解質に対して0.1質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、非水電解質のイオン伝導度を十分なものとするため、非水電解質に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
非水電解質に用いる非水溶媒は、非水電解質二次電池に通常使用されるものから選択することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、通常、誘電率、粘度、作動温度域等を調整するために2種以上混合して用いられる。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF6,LiPF,LiB(C,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CH)4NBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができる。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質二次電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/Lである。
(セパレータ)
セパレータとしては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等を用いることができ、特に、合成樹脂微多孔膜が好適に用いることができる。その材質としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、およびポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィンが例示される。なかでもポリエチレンおよびポリプロビレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などのポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
(非水電解質二次電池の構成)
その他の電池の構成要素としては、端子、絶縁板、電池ケース等があるが、これらの部品は従来用いられてきたものをそのまま用いて差し支えない。
図1に、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態である矩形状の非水電解質二次電池1の外観斜視図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
本発明に係る非水電解質二次電池の形状については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数のリチウム二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下に、実施例を例示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
上記したように、Siを含む負極活物質は、初期充放電効率が低いという特徴を生かして、「リチウム過剰型」正極活物質を用いた正極を備える非水電解質電池の負極に用いることで、正負極の容量バランスを調整することができる。このことからわかるように、以下の実施例において、仮にそのような「リチウム過剰型」正極活物質を対極に用いると、負極の不可逆容量が、対極で生じる不可逆容量によって相殺されるため、負極の不可逆容量を正しく評価することができない。従って、以下の実施例では、対極に、充放電サイクルが進行しても負極制限の容量バランスを維持できる正極活物質であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を用いた。
<実施例1>
(負極の作製)
活物質として、カーボンで被覆されたSiO、及び、鱗片状黒鉛(TIMCAL社製、品名:SFG−15)を用いた。前記カーボンで被覆されたSiO(以下、「SiO」ともいう。)は、xは約1、カーボン含有率6質量%、D50=5μmである。前記鱗片状黒鉛は、流動法窒素ガス吸着法により測定されたBET比表面積が7.7m/gであり、粒径(D50)が10μmである。
まず、質量比で、SiO:鱗片状黒鉛=4:6となるように混合した。
次いで、SiOと鱗片状黒鉛との混合物と、芳香族ポリアミド酸の17.5%N―メチルピロリドン(NMP)溶液とを混合し、さらにNMPを適量追加して混練分散し、スラリーを調製した。前記スラリー中の、前記SiOと鱗片状黒鉛との混合物と、前記芳香族ポリアミド酸との質量比率は、94:6である。前記スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥工程及びプレス工程を経て、350 ℃で5時間、減圧下で加熱することにより、乾燥・硬化させた。前記加熱により、前記芳香族ポリアミド酸はポリイミド(PI)に変化し、合剤中でバインダーとして機能する。乾燥・硬化後の片面合剤塗布質量は3.7mg/cmであり、負極集電体及び両面に形成された負極合剤層を含む負極板の厚みは80μmである。負極合剤層の多孔度は50%である。
(正極の作製)
組成式LiCo1/3Ni1/3Mn1/3で表される正極活物質、導電材であるアセチレンブラック及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を93:3:4の質量比率で含有し、NMPを分散媒とする正極ペーストを作製した。正極集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、前記正極ペーストを塗布後、乾燥工程及びプレス工程を経て、正極合剤層が正極集電体の両面に形成されてなる正極板を作製した。正極集電体の片方の面に形成された正極合剤層の質量は22.7mg/cm2であり、正極集電体及び両面に形成された正極合剤層を含む正極板の厚みは175μmである。正極合剤層の多孔度は32%である。
(発電要素の作成)
前記の正極板と負極板の間に、空隙率50%、厚さ27μmのポリエチレン製微多孔膜を用いたセパレータを介して巻回し、発電要素を作製した。
(非水電解質)
非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比3:7の混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解したものに、さらに下記式(2)で表される1,2−プロパンジオール硫酸エステル(PGLST)2質量%を添加したものを用いた。
Figure 0006872845
(電池の組立)
前記発電要素をアルミニウム製電槽に収納し、前記電槽内に前記非水電解質を注液し、最後に注液口を封止した。このようにして、実施例1に係る非水電解質二次電池を組み立てた。
<実施例2>
非水電解質に、1,2−プロパンジオール硫酸エステルに代えて、下記式(3)で表される1,2−ペンタジオール硫酸エステル(PEGLST)を2質量%添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
Figure 0006872845
<比較例1>
非水電解質に、1,2−プロパンジオール硫酸エステルを添加しない以外は実施例と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
非水電解質に、1,2−プロパンジオール硫酸エステルに代えて、下記式(4)で表される1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド(DTD)を2質量%添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
Figure 0006872845
<比較例3>
非水電解質に、1,2−プロパンジオール硫酸エステルに代えて、ビニレンカーボネート(VC)を2質量%添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
<比較例4>
(負極の作製)
活物質としての人造黒鉛(Gr)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を質量比96.7:2.1:1.2で含有し、水を分散媒とするスラリーを調製した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、ロールプレスを行い、多孔度34%の負極板を得た。
(非水電解質)
非水電解質には、1,2−プロパンジオール硫酸エステルを添加しない以外は実施例と同様のもの(EC:EMC=3:7(体積比))の混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解したもの)を用いた。
前記負極板と、前記非水電解質を用いる以外は、実施例と同様にして比較例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
<比較例5>
負極を比較例4と同様に作成した以外は、実施例と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
次の手順で、実施例及び比較例の電池に対して、以下の試験を行った。なお、全ての試験において、充電は、充電電圧4.2Vの定電流定電圧充電である。放電は、定電流放電であり、放電終止電圧は、SiO負極を用いた実施例1、2及び比較例1〜3については2.0Vであり、Gr負極を用いた比較例4、5については2.75Vである。なお、実施例及び比較例1〜4の電池の1CmAは約900mAhに相当する。比較例5,6の電池の1CmAは約700mAhに相当する。
(1)初回不可逆容量の測定
温度25℃の環境下で、充電電流0.1CmA、充電時間16h、放電電流0.2CmAにて1サイクルの初回充放電を行った。このときの充電容量(mAh)から放電容量(mAh)を差し引いたものを「初回不可逆容量(mAh)」として記録した。
(2)初期放電容量の測定
続いて、温度25℃の環境下で、充電電流0.2CmA、充電時間8h、放電電流0.2CmAにて、1サイクルの充放電を行った。このときの放電容量を「初期放電容量(Ah)」として記録した。
(3)初期を除く不可逆容量の測定
続いて、温度45℃の環境下で、充電電流1CmA、充電時間3h、放電電流1CmAにて、40サイクルの充放電を行った。この充放電サイクル試験における計40回の充電電気量を積算した総充電電気量(mAh)から、この充放電サイクル試験における計40回の放電電気量を積算した総放電電気量(mAh)を差しい引いた値を「初期を除く不可逆容量(mAh)」として記録した。
(4)サイクル後放電容量の測定
さらに、温度45℃の環境下で、充電電流1CmA、充電時間3h、放電電流1CmAにて、10サイクルの充放電を行った。続いて、温度25℃の環境下で、充電電流0.2CmA、充電時間8h、放電電流0.2CmAにて、1サイクルの充放電を行った。このときの放電容量を「サイクル後放電容量(Ah)」として記録した。
実施例1及び比較例1〜6の非水電解質二次電池について、上記の試験結果を表1に示す。
Figure 0006872845
SiOを負極活物質とする実施例1、2及び比較例1〜3の電池の間では、添加剤の有無、添加剤の種類によらず、初回不可逆容量の値に格別の差異がない。これは、初回充電によって活物質の表面に保護被膜が形成される際、ほぼ一定の量のLiが消費されたことを示している。また、サイクル後放電容量にも、格別の差異がない。
一方、初期を除く不可逆容量について見ると、式(1)の環状硫酸エステルを添加した非水電解質を用いた実施例1,2では、比較例1〜3に対してこの値が小さい。
これは、充放電サイクル中に負極活物質の割れが進行し、新たな固−液界面が継続的に生成する事象に対して、PGLSTやPEGLSTによって負極活物質上に緻密な保護被膜を速やかに形成され、活物質と非水電解質との副反応に消費されるLiの消費が抑制されたためと推察される。特に、PGLSTを添加した実施例1では、初期を除く不可逆容量が殆ど発生していない。
このように、実施例1,2においては、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量が抑制されているから、比較例1〜3と同程度のサイクル後放電容量を得るために必要な充電電気量を抑制することができる。したがって、効率の優れた充放電を行うことができる。
比較例1は、非水電解質に添加剤を含まない電池であるから、充放電サイクル中に継続的に生成する活物質と電解質との反応面を保護する被覆効果が高い膜が形成されず、そのため、初期を除く充放電サイクル中の不可逆容量を生じる原因となる非水電解質との副反応が抑制されなかったと考えられる。
比較例2は、非水電解質にDTDを添加した電池である。比較例1の電池と比べると、初期を除く不可逆容量の増大が抑えられる効果が見られるものの、その効果は実施例1,2と比較して小さい。その理由は、DTD分子の対称性が保護膜の形成に不利に働くためではないかと推察される。
比較例3は非水電解質にVCを添加した電池である。比較例2の電池と比べても、初期を除く不可逆容量の低減が改善されていない。VCは還元分解電位が環状硫酸エステル類より低く、主溶媒の還元分解電位と近いため、保護膜形成と主溶媒の分解反応が競合的に起こり、主溶媒の分解を十分に抑制できないためと考えられる。
比較例4は、黒鉛を負極材料とし、通常の非水電解質を用いた従来の非水電解質二次電池に相当する。この電池では、初回充放電時に、黒鉛負極に保護膜が形成されることに伴って不可逆容量が発生するが、初期を除く充放電サイクルでは不可逆容量が殆ど発生せず、充放電効率に優れている。
これは、黒鉛負極では充放電サイクルに伴う体積変化が殆どないため、新たな電解質との反応面が生成しがたいことによるものと考えられる。
しかし、黒鉛の理論容量はSiを構成元素に含む活物質の理論容量に及ばないから、放電容量が実施例の電池に及ばない。
比較例5は、黒鉛負極とPGLSTを添加した非水電解質とを組み合わせた電池である。PGLSTを添加すると、非水電解質が添加剤を含まない比較例5の電池よりも初期を除く不可逆容量が増加してしまうことが見て取れる。したがって、PGLSTの添加は、黒鉛負極に対して効果を有していない。
以上の結果から、式(1)の環状硫酸エステルの添加効果は、負極活物質が、SiとOとを構成元素に含む材料である電池において、特有のものであり、この組み合わせにおいて、顕著な効果を奏することが実証された。
本発明に係る非水電解質二次電池は、負極に含まれる負極活物質が、SiとOとを構成元素に含む材料を有し、非水電解質が式(1)の環状硫酸エステルを含有し、放電容量が大きく、初期を除く充放電サイクル中に生じる不可逆容量が抑制されているから、携帯機器用はもちろん、ハイブリッド自動車用、電気自動車用の非水電解質二次電池として有用である。
1 リチウム二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (2)

  1. 正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
    前記負極に含まれる負極活物質が、SiO(0.5≦x≦1.5)を有し、
    前記非水電解質が下記式(1)で表される化合物を10質量%以下含有し、該化合物によって充放電サイクル中に前記SiO上に保護被膜が形成されることを特徴とする非水電解質二次電池。
    Figure 0006872845
    (但し、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であ。)
  2. 正極、負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、
    前記負極に含まれる負極活物質が、SiO(0.5≦x≦1.5)を有し、
    下記式(1)で表される化合物を0.1質量%以上10質量%以下添加した非水電解質を注液することを含む、非水電解質二次電池の製造方法。
    Figure 0006872845
    (但し、Rは炭素数1〜3の炭化水素基であ。)
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