JP2004311307A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極21と負極22とが高分子電解質23介して対向して位置し、巻回されている。負極22は、負極集電体22Aと負極活物質層22Bとを有している。負極活物質層22Bは、SiあるいはSnなどのLiと合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、気相法,液相法または焼結法で形成されたものであることが好ましく、また、負極集電体22Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体22Aと合金化していることが好ましい。高分子電解質23は、電解液と、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物とを含んでいる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性化合物を重合することにより得られる高分子電解質を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder)、携帯電話あるいは携帯用コンピューターなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池の開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現できるものとして注目されている。
【0003】
従来より、このリチウムイオン二次電池の負極活物質としては、主に黒鉛などの炭素材料が用いられている。しかし、炭素材料の理論容量は372mAh/gであり、これ以上に容量を向上させるには、新たな技術開発が必要であるという問題があった。
【0004】
そこで、最近、炭素材料に代えて、ケイ素(Si)やスズ(Sn)を含む合金を負極活物質として用いる研究が活発化している。ところが、合金を電池の負極に用いた場合、負極の電位が上昇したり、充放電を繰り返した際に負極活物質の激しい膨張および収縮により負極が微細化してしまい、サイクル特性が悪いという問題があった。
【0005】
この問題を解決するものとして、電解質に重合性化合物(モノマー)を重合させることにより得られたポリエチレンオキサイド骨格を含むポリマーを用いた電池がある(特許文献1および特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−21449号公報
【特許文献2】
特開2000−173607号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の電池では、充放電を繰り返したのち保存すると、自己放電し、放電容量が低下する確率が高くなるという問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性および保存特性を向上させることができる電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による電池は、正極および負極と共に高分子電解質を備えたものであって、負極は、リチウム(Li)と合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、高分子電解質は、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有するものである。
【0010】
本発明による電池では、高分子電解質が、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有しているので、優れたサイクル特性および高温保存特性が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態に係る二次電池を分解して表すものである。この二次電池は、正極端子11および負極端子12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30A,30Bの内部に封入したものである。正極端子11および負極端子12は、外装部材30A,30Bの内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極端子11および負極端子12は、例えば、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されている。
【0013】
外装部材30A,30Bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30A,30Bは、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材30A,30Bと正極端子11および負極端子12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、正極端子11および負極端子12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極端子11および負極端子12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
【0014】
なお、外装部材30A,30Bは、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムなどにより構成するようにしてもよい。
【0015】
図2は、図1に示した電池素子20のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電池素子20は、正極21と負極22とが高分子電解質23およびセパレータ24を介して対向して位置し、巻回されているものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
【0016】
正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aには、長手方向における一方の端部に正極活物質層21Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に正極端子11が取り付けられている。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0017】
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lim MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることが可能だからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co)およびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。mは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦m≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0018】
負極22は、例えば、正極21と同様に、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。負極集電体22Aは、例えば、銅,ステンレス,ニッケル,チタン(Ti),タングステン(W),モリブデン(Mo)あるいはアルミニウムなどにより構成することが好ましく、中でも、負極活物質層22Bとの合金化を起こしやすい金属により構成した方がより好ましい場合もある。例えば、後述するように負極活物質層22Bがケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む場合には、銅,チタン,アルミニウムあるいはニッケルなどが合金化しやすい材料として挙げられる。なお、負極集電体22Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層22Bと接する層を負極活物質層22Bと合金化しやすい金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。
【0019】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、リチウムと合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。高いエネルギー密度を得ることができるからである。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0020】
リチウムと合金を形成可能な元素としては、パラジウム(Pd),白金(Pt),亜鉛(Zn),カドミウム(Cd),水銀(Hg),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ヒ素(As),アンチモン(Sb)あるいはビスマス(Bi)が挙げられる。これらの化合物としては、例えば化学式Maj Mbk で表されるものが挙げられる。この化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはMa以外の元素のうちの少なくとも1種を表す。jおよびkの値はそれぞれj>0、k≧0である。
【0021】
中でも、ケイ素,ゲルマニウム,スズあるいは鉛の単体、またはこれらの化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズの単体、またはこれらの化合物である。ケイ素またはスズの単体および化合物は、リチウムを吸蔵・離脱する能力が大きく、組み合わせによっては、負極22のエネルギー密度を高くすることができるからである。なお、ケイ素およびスズの化合物は、結晶質でも非晶質でもよいが、好ましくは非晶質、または微結晶の集合体である。ここでいう非晶質あるいは微結晶とは、特性X線としてCuKαを用いたX線回折分析で得られる回折パターンのピークの半値幅が2θで0.5°以上であり、かつ、2θで30°から60°にブロードなパターンを有するものである。
【0022】
ケイ素およびスズの化合物としては、例えば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOが挙げられる。
【0023】
この負極活物質層22Bは、例えば、塗布により形成され、負極活物質に加えて、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。この場合、ケイ素またはスズの化合物の粉末は、1次粒径が、0.1μm以上35μm以下であることが好ましく、0.1μm以上25μm以下であればより好ましい。粒径がこの範囲よりも小さいと、粒子表面と後述の電解液との望ましくない反応が顕著になり、容量または効率が悪化する恐れがあり、一方、粒径がこの範囲よりも大きいとリチウムとの反応が粒子内部で進みにくくなり、容量が低下する恐れがあるからである。なお、粒径測定法としては、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡による観察法またはレーザー回折法などがあり、粒径域に応じて使い分けることが好ましい。また、所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩いあるいは風力分級機などを乾式法あるいは湿式法で用いることができる。
【0024】
なお、ケイ素あるいはスズの単体および化合物の粉末は、例えば、粉末冶金などで用いられている従来の方法により得られる。従来の方法としては、例えば、アーク溶解炉あるいは高周波誘導加熱炉などの溶解炉で原料を溶融し冷却した後粉砕する方法、または、単ロール急冷法,双ロール急冷法,ガスアトマイズ法,水アトマイズ法あるいは遠心アトマイズ法などのように原料の溶融金属を急速冷却する方法、または、単ロール急冷法あるいは双ロール急冷法などの冷却法により原料の溶融金属を固化したのちメカニカルアロイング法などの方法で粉砕する方法が挙げられる。特に、ガスアトマイズ法あるいはメカニカルアロイング法が好ましい。これらの合成および粉砕は、空気中の酸素による酸化を防ぐために、アルゴン(Ar)、窒素あるいはヘリウム(He)などの不活性ガス雰囲気中もしくは真空雰囲気中で行うことが好ましい。
【0025】
負極活物質層22Bは、また、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであってもよい。この場合、充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極集電体22Aと負極活物質層22Bとを一体化することができ、負極活物質層22Bにおける電子伝導性を向上させることができるので好ましい。また、結着剤および空隙などを低減または排除でき、負極22を薄膜化することもできるので好ましい。
【0026】
この負極活物質層22Bは、負極集電体22Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体22Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体22Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。この合金化は、負極活物質層22Bを気相法,液相法あるいは焼結法により形成する際に同時に起こることが多いが、更に熱処理が施されることにより起こったものでもよい。
【0027】
この負極22の厚みは、負極集電体22Aの厚みも含め、10μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であればより好ましい。薄すぎると、負極22の全体に占める負極集電体22Aの割合が増えるため、電池容量の低下が見られ、厚すぎると負極活物質の充放電に伴う膨張収縮によって、負極活物質層22Bの破壊が起きる場合があるからである。
【0028】
高分子電解質23は、電解液と高分子化合物とを含有している。電解液は、溶媒に電解質塩を溶解したものであり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトンなどのラクトン系溶媒、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニレンカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、1,2−ジメトキシエタン,1−エトキシ−2−メトキシエタン,1,2−ジエトキシエタン,テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類などの非水溶媒が挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
電解質塩は、溶媒に溶解してイオンを生ずるものであればいずれを用いてもよく、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。例えばリチウム塩であれば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ),四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 ),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO2 CF3 )2 ),トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC(SO2 CF3 )3 ),四フッ化アルミン酸リチウム(LiAlCl4 )あるいは六フッ化ケイ酸リチウム(LiSiF6 )などが挙げられ、特に六フッ化リン酸リチウムあるいは四フッ化ホウ酸リチウムが酸化安定性の点から好ましい。電解質塩の濃度は、溶媒1リットル(l)に対して0.1mol〜3.0molが好ましく、より好ましくは0.5mol〜2.0molである。
【0030】
高分子化合物は、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有している。この高分子化合物は、このような構造を有することにより、負極22の全体を覆い、充放電により脱落する負極活物質が負極22から離脱するのを防止することができるものと考えられる。
【0031】
重合性化合物としては、特に、エーテル結合を有する基を側鎖に有している化合物が好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、化10で表される構造と、化11で表される構造と、化12で表される構造とを有する化合物を用いることが好ましい。極めて優れた電池特性を得ることができるからである。この化合物1つにおける各構造部のモル比は、化10の構造部をx、化11の構造部をy、化12の構造部をzとすると、例えば0.1≦x≦98、0≦y≦98、0.1≦z≦98であり、好ましくは10≦x≦90、0≦y≦80、10≦z≦80であり、更に好ましくは40≦x≦90、10≦y≦80、10≦z≦70である。各構造部の結合関係は任意であり、例えば、各構造部は、一定の順番で繰り返し結合していてもよく、順不同に結合していてもよい。
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
化10ないし化12において、X1,X2およびX3はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、R1は重合性基を有する構造部を表し、R2はエーテル結合を有する基を有する構造部を表し、R3は炭素を含む構造部を表す。
【0036】
このような重合性化合物としては、例えば、化13で表される構造と、化14で表される構造と、化15で表される構造とを有する化合物が好ましい。
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
化13ないし化15において、X1,X11,X2およびX3はそれぞれ水素原子またはメチル基を表す。R11は水素原子または炭素数5以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。R21は水素原子またはメチル基を表す。R22は炭素数10以下のアルキル基または芳香環を有する炭素数12以下の基を表し、好ましくは炭素数5以下のアルキル基、あるいは芳香環を有する炭素数8以下の基であり、更に好ましくは炭素数3以下のアルキル基である。sは1以上30以下の整数であり、好ましくは1以上15以下であり、更に好ましくは1以上10以下である。R31は化16で表される基、炭素数20以下のアルキル基、芳香環を有する炭素数12以下の基、化17で表される基、あるいは化18で表される基であり、アルキル基の場合、より好ましくは、炭素数10以下のアルキル基であり、更に好ましくは8以下のアルキル基であり、また、芳香環を有する基の場合、より好ましくは、芳香環を有する炭素数8以下の基である。
【0041】
【化16】
【0042】
化16において、R32は水素原子またはメチル基を表す。R33は炭素数10以下のアルキル基または芳香環を有する炭素数12以下の基を表し、好ましくは炭素数5以下のアルキル基、あるいは芳香環を有する炭素数8以下の基であり、更に好ましくは炭素数3以下のアルキル基である。tは0以上30以下の整数であり、好ましくは1以上15以下の整数であり、更に好ましくは1以上10以下の整数である。
【0043】
【化17】
【0044】
化17において、R34は水素原子、フッ素原子、あるいはフッ化メチル(CF3 )基を表す。aは0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上6以下の整数である。bは0以上30以下の整数であり、好ましくは1以上16以下の整数である。cは1または2、dは1または2である。
【0045】
【化18】
【0046】
化18において、R35は2価の連結基を表し、好ましくは炭素数10以下のアルキレン基であり、更に好ましくは炭素数3以下のアルキレン基である。R36は環状カーボネート基または環状エーテル基を表し、好ましくは化19で表される基または化20で表される基である。
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
なお、このような重合性化合物を形成する際には、共重合できる単量体を用いてもよい。単量体としては、例えば、単官能アクリレート,単官能メタクリレート,多官能アクリレートあるいは多官能メタクリレートが挙げられる。具体的には、アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,ジアクリル酸エステル,トリアクリル酸エステル,ジメタクリル酸エステルあるいはトリメタクリル酸エステルなどがこれに該当する。
【0050】
重合性化合物はいずれか1種を単独で用いてもよいが、単官能体と多官能体を混合するか、または、多官能体を単独あるいは2種類以上混合して用いることが望ましい。このように構成することにより、重合した高分子電解質の機械的強度と電解液保持性とが両立させやすくなるからである。
【0051】
電解液に対する高分子化合物の割合は、電解液100質量部に対して、高分子化合物が3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。高分子化合物が少ないと十分な機械的強度を得ることができず、高分子化合物が多いとイオン伝導率が低くなってしまうからである。
【0052】
セパレータ24は、例えば、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜など、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0053】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが離脱し、高分子電解質23を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが離脱し、高分子電解質23を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。本実施の形態では、高分子電解質23が、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有しているので、優れたサイクル特性および高温保存特性が得られる。
【0054】
この二次電池は例えば次のようにして製造することができる。
【0055】
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、正極活物質の粉末と必要に応じて導電剤および結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを調製したのち、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
【0056】
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質の粉末と必要に応じて結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを調製したのち、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
【0057】
負極活物質層22Bは、また、例えば、負極集電体22Aに、気相法または液相法により、負極活物質を堆積させることにより形成するようにしてもよい。更に、粒子状の負極活物質を含む前駆層を負極集電体22Aに形成したのち、これを焼結させる焼結法により形成するようにしてもよいし、気相法,液相法および焼結法のうちの2つまたは3つの方法を組み合わせて形成するようにしてもよい。このように気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により負極活物質層22Bを形成することにより、場合によっては、負極集電体22Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体22Aと合金化した負極活物質層22Bが形成される。
【0058】
なお、負極集電体22Aと負極活物質層22Bとの界面をより合金化させるために、更に真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うようにしてもよい。特に、負極活物質層22Bを後述する鍍金により形成する場合、負極活物質層22Bは負極集電体22Aとの界面においても合金化しにくい場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。また、気相法により形成する場合においても、負極集電体22Aと負極活物質層22Bとの界面をより合金化させることにより特性を向上させることができる場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。
【0059】
なお、気相法としては、負極活物質の種類によって物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼結法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼結法,反応焼結法あるいはホットプレス焼結法が利用可能である。但し、真空蒸着法、スパッタ法,CVD法,電解鍍金または無電解鍍金が好ましい。
【0060】
次いで、正極21に正極端子11を取り付けると共に、負極22に負極端子12を取り付けたのち、セパレータ24,正極21,セパレータ24および負極22を順次積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体を形成する。続いて、この巻回電極体を外装部材30A,30Bで挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とする。
【0061】
そののち、上述した電解液と重合性化合物と必要に応じて重合開始剤とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材30A,30Bの開口部から巻回電極体の内部に注入して、外装部材30A,30Bの開口部を熱融着し封入する。重合開始剤としては公知のものを用いることができる。たとえば、アゾビス化合物,パーオキサイド,ハイドロパーオキサイド,パーオキシエステルあるいはレドックス触媒などであり、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’ −アゾビス( 2− アミノジプロパン) ハイドロクロライド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、あるいはt−ブチルパーオキシアセテートが挙げられる。
【0062】
中でも、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、あるいはt−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル系重合開始剤を用いることが好ましい。ゲル化時における気体の発生を抑制することができると共に、重合性化合物の割合を少なくしても十分にゲル化させることができ、十分な機械的強度を得ることができるからである。
【0063】
次いで、電解質用組成物を注入した巻回電極体を外装部材30A,30Bの外部から加熱して重合性化合物を重合させることにより、ゲル状の高分子電解質23を形成する。その際、加熱温度は90℃以下、更には75℃以下とすることが好ましい。これにより図1および図2に示した二次電池が完成する。
【0064】
なお、この二次電池は次のようにして製造してもよい。例えば、巻回電極体を作製してから電解質用組成物を注入するのではなく、正極21および負極22の上に電解質用組成物を塗布したのちに巻回し、外装部材30A,30Bの内部に封入して加熱するようにしてもよい。また、正極21および負極22の上に電解質用組成物を塗布し、加熱して高分子電解質23を形成したのちに巻回し、外装部材30A,30Bの内部に封入するようにしてもよい。但し、外装部材30A,30Bの内部に封入してから加熱するようにした方が好ましい。加熱して高分子電解質23を形成したのちに巻回すると、高分子電解質23とセパレータ24との界面接合が不十分となり、内部抵抗が高くなってしまう場合があるからである。
【0065】
このように本実施の形態では、高分子電解質23が、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有するようにしたので、負極22が、リチウムと合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有するようにしても、優れたサイクル特性および高温保存特性を得ることができる。
【0066】
特に、高分子化合物が、化10,化11および化12で表される各構造を有する重合性化合物が重合された構造を有するようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0067】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。本実施例では、図3に示したいわゆる平型(あるいはペーパー型,カード型)の二次電池を作製した。この二次電池は、電解質用組成物を染み込ませた正極41と負極42とをセパレータ44を介して積層し、外装部材45に封入したのち、加熱することにより高分子電解質43を形成したものである。
【0068】
(実施例1〜15)
まず、正極41を次のようにして作製した。炭酸リチウム(Li2 CO3 )0.5molに対して炭酸コバルト(CoCO3 )1molの割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成することにより、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、得られたリチウムコバルト複合酸化物85質量部と、導電剤である黒鉛5質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して正極合剤を調製し、さらにこれを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。続いて、この正極合剤スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体41Aに均一に塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層41Bを形成した。そののち、正極41に正極端子46を取り付けた。
【0069】
また、負極42を次のようにして作製した。実施例1,6,9,12,14では、まず、電子ビーム蒸着法により厚み18μmの電解銅箔よりなる負極集電体42Aにスズよりなる厚み3μmの層を形成したのち、真空度1×10−5Torr(約1.33×10−3Pa)にて200℃で24時間熱処理し、負極活物質層42Bを形成した。
【0070】
また、実施例2では、まず、表面を清浄にした圧延銅箔よりなる負極集電体42Aをスズ−ニッケル(Sn−Ni)合金鍍金浴中に浸漬して、負極集電体42Aをカソードとして通電することによりスズ−ニッケル合金よりなる厚み約3μmの層を析出させた。次いで、これを水洗して乾燥させた後、200℃で24時間熱処理することにより、負極活物質層42Bを形成した。
【0071】
更に、実施例3では、負極活物質の原料として、スズ粉末とコバルト粉末と亜鉛粉末とを用意し、スズ粉末とコバルト粉末と亜鉛粉末とを、スズ:コバルト:亜鉛=2.0:2.2:0.80の原子比で合計50gとなるように秤量したのち、遊星ボールミルを用いてアルゴン雰囲気下において40時間メカニカルアロイング処理を行い、スズ−コバルト−亜鉛(Sn−Co−Zn)合金である黒色粉末を得た。その際、粉砕メディアと原料との質量比は25:1とした。次いで、得られた黒色粉末を、篩いにかけ、粗大粒子を取り除き負極活物質とした。
【0072】
スズ−コバルト−亜鉛合金を作製したのち、このスズ−コバルト−亜鉛合金85質量%と、負極活物質および導電剤である針状人造黒鉛5質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合して負極合剤を調製し、さらにこれを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。続いて、この負極合剤スラリーを厚み18μmの電解銅箔よりなる負極集電体42Aに塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層42Bを形成した。
【0073】
加えて、実施例4,7,10では、まず、負極活物質である平均粒径1μmのケイ素粉末90質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合して負極合剤を調製し、さらにこれを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。続いて、この負極合剤スラリーを厚み18μmの電解銅箔よりなる負極集電体42Aに塗布し、乾燥させ加圧したのち、真空雰囲気下において400℃で12時間熱処理し、負極活物質層42Bを形成した。
【0074】
更にまた、実施例5,8,11,13,15では、電子ビーム蒸着法により厚み18μmの電解銅箔よりなる負極集電体42Aに非晶質ケイ素よりなる負極活物質層42Bを形成した。
【0075】
負極42を作製したのち、負極42に負極端子47を取り付けた。
【0076】
更に、電解液100質量部に対して、重合性化合物溶液を5質量部、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシネオデカノエートを0.1質量部の割合で混合し、電解質用組成物を作製した。その際、電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとをエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7の質量比で混合した溶媒に1mol/lの割合で六フッ化リン酸リチウムを溶解させたものを用いた。
【0077】
また、重合性化合物には、実施例1〜5では、化21に示した3つの構造部をa:b:c=50:30:20のモル比で有する化合物を用い、実施例6〜8では、化22に示した3つの構造部をa:b:c=30:60:10のモル比で有する化合物を用い、実施例9〜11では、化23に示した3つの構造部をa:b:c=20:80:10のモル比で有する化合物を用い、実施例12,13では、化24に示した3つの構造部をa:b:c=10:60:20のモル比で有する化合物を用い、実施例14,15では、化25に示した化合物を用いた。
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】
【化23】
【0081】
【化24】
【0082】
【化25】
【0083】
次いで、作製した正極41および負極42に電解質用組成物を染み込ませたのち、厚み25μmの微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ44を介して密着させ、外装部材45の内部に減圧下で封入した。外装部材45には最外層から順に25μm厚のナイロンフィルムと40μm厚のアルミニウム箔と30μm厚のポリプロピレンフィルムとが積層されてなる防湿性のアルミラミネートフィルムを用いた。そののち、これをガラス板に挟んで75℃で30分間加熱し、重合性化合物を重合させることにより電解質用組成物をゲル化させて高分子電解質43とした。これにより、図3に示した二次電池を得た。
【0084】
また、本実施例に対する比較例1,2として、重合性化合物として、化26に示した化合物と、化27に示した化合物と、化28に示した化合物とを30:20:50のモル比で混合したものを用いたことを除き、他は実施例1,5とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。また、本実施例に対する比較例3として、スズ−コバルト−亜鉛合金に代えて人造黒鉛を用いたことを除き、他は実施例3と同様にして負極42を作製し、二次電池を作製した。
【0085】
【化26】
【0086】
【化27】
【0087】
【化28】
【0088】
得られた実施例1〜15および比較例1〜3の各二次電池に対して、25℃で100mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで15時間行い、次に100mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行った。そののち、各二次電池に対して、25℃で1000mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで2時間行い、次に500mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行うという充放電を200サイクル行い、1サイクル目の放電容量を100%としたときの200サイクル目の容量維持率を求めた。その結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
また、最初の充放電後、25℃で100mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで15時間行ったのち、80℃の恒温槽中で2日間放置し、その後100mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行い、1サイクル目の放電容量を100%としたときの高温保存後の容量維持率を求めた。その結果も表1に示す。
【0091】
表1に示したように、実施例1〜15によれば、200サイクル目の容量維持率が75%以上、高温保存後の容量維持率が88%以上と高い値が得られた。これは、実施例1〜15では、高分子化合物のネットワークが負極42の全体を覆っているため、充放電により脱落した微小の負極活物質が負極42から離脱するのが防止されたためと考えられる。これに対して、比較例1,2では、200サイクル目の容量維持率は高いものの、高温保存後の容量維持率は62%以下と低かった。また、比較例3では、高温保存後の容量維持率は高いものの、200サイクル目の容量維持率は70%と低かった。
【0092】
すなわち、高分子電解質43が、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有するようにすれば、優れたサイクル特性および高温保存特性を得ることができることが分かった。
【0093】
なお、上記実施例では、電解液、重合性化合物およびパーオキシエステル系重合開始剤についていくつかの例を挙げて具体的に説明したが、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する他の重合性化合物、または他の重合開始剤を用いても、同様の結果を得ることができる。
【0094】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、高分子電解質23が、電解液と、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含む場合について説明したが、これ以外の他の材料、添加剤などを含んでいてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態および実施例では、電解質組成物を加熱して高分子電解質23,43を作製するようにしたが、加圧しつつ加熱するようにしてもよく、加熱したのち加圧するようにしてもよい。
【0096】
更に、上記実施の形態および実施例では、二次電池の構成について一例を挙げて説明したが、他の構成を有する電池についても適用することができる。例えば、上記実施の形態では巻回ラミネート型の二次電池、上記実施例では単層ラミネート型の二次電池について説明したが、積層ラミネート型についても同様に適用することができる。また、いわゆる円筒型、角型、コイン型、ボタン型などについても適用することができる。更に、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0097】
加えて、上記実施の形態および実施例では、電解質塩としてリチウム塩を用いる場合について説明したが、ナトリウム塩あるいはカリウム塩などの他のアルカリ金属塩、またはマグネシウム塩あるいはカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、またはアルミニウム塩などの他の軽金属塩を用いる場合についても本発明を適用することができる。その際、正極活物質、負極活物質および非水溶媒などは、その電解質塩に応じて選択される。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電池によれば、高分子電解質が、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有するようにしたので、負極が、リチウムと合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有するようにしても、優れたサイクル特性および高温保存特性を得ることができる。
【0099】
特に、請求項3記載の電池によれば、高分子化合物が、化1で表される構造と、化2で表される構造と、化3で表される構造とを有する重合性化合物が重合された構造を有するようにしたので、より高い効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図2】図1に示した電池素子のI−I線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施例で作製した二次電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11,46…正極端子、12,47…負極端子、20…電池素子、21,41…正極、21A,41A…正極集電体、21B,41B…正極活物質層、22,42…負極、22A,42A…負極集電体、22B,42B…負極活物質層、23,43…高分子電解質、24,44…セパレータ、25…保護テープ、30A,30B,45…外装部材、31…密着フィルム。
Claims (8)
- 正極および負極と共に高分子電解質を備えた電池であって、前記負極は、リチウム(Li)と合金を形成可能な元素の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
前記高分子電解質は、エーテル結合を有する基と重合性基とを有する重合性化合物が重合された構造を有する高分子化合物を含有する
ことを特徴とする電池。 - 前記高分子化合物は、前記エーテル結合を有する基を側鎖に有する重合性化合物が重合された構造を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記高分子化合物は、化4で表される構造と、化5で表される構造と、化6で表される構造とを有する重合性化合物が重合された構造を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記負極は、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層とを有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層とを有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記正極,負極および高分子電解質は外装部材の内部に収納されており、前記高分子化合物は外装部材の内部において重合されたことを特徴とする請求項1記載の電池。
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