JP6517233B2 - エレベータシステム - Google Patents

Description

本発明は、エレベータシステムに関し、少なくとも２つの垂直エレベータシャフトを有し、かつ少なくとも１つのエレベータかごを有するエレベータシステムであって、各エレベータシャフト内に、少なくとも１つの垂直に延在するレールが配置され、少なくとも１つの垂直に延在するレールに沿って、エレベータかごが移動され得るエレベータシステムを動作させるための方法に関する。

エレベータシステムにおいて、エレベータかごは、通常、特定のエレベータシャフトに制限されており、普通は、そのエレベータシャフト内でのみ移動され得る。エレベータかごが異なるエレベータシャフト間で移送され得るエレベータシステムは十分に知られているが、このような移送は、通常、相当な労力を伴う。

通常、エレベータかごを移動させるための様々な要素（駆動装置、サポートケーブル（ｓｕｐｐｏｒｔｉｎｇ ｃａｂｌｅ）、またはガイドレールなど）が、１つのエレベータシャフト内に配置される。第１のエレベータシャフトから第２のエレベータシャフトにエレベータかごを移送することが求められる場合、エレベータかごは、最初に、第１のエレベータシャフト内のそのような要素のすべてから分離され、第１のエレベータシャフトから第２のエレベータシャフトに輸送され、第２のエレベータシャフト内の対応する要素に連結される。この場合、エレベータかごの、エレベータシャフト間の輸送は、通常、複雑な機構を用いることによってのみ可能である。

このように、エレベータかごのこのような移送は、大きな労力を伴うものであり、時間のかかるものである。移送工程の間にわたってエレベータシステム全体の動作を停止させなければならない場合もあり得る。

したがって、少しの労力しか伴わない、エレベータかごの、エレベータシャフト間の柔軟な移送を可能にすることが望ましい。

本発明は、エレベータシステムおよび独立請求項の特徴を有するエレベータシステムを動作させるための方法を提案する。従属請求項および以下の説明は、好適な改良例に関する。

本発明に係るエレベータシステムは、少なくとも２つの垂直エレベータシャフトおよび少なくとも１つのエレベータかごを備える。各エレベータシャフトには、それぞれ、少なくとも１つのレールが配置され、少なくとも１つのレールに沿って、エレベータかごは移動され得る。レールのそれぞれは、回転可能なように設計された少なくとも１つの部分を有する。前記回転可能部分は、エレベータかごが部分に沿ってエレベータシャフト間で移動され得るように互いに並べられ得る。このようにして、エレベータかごは、エレベータシャフト内の２つのレールの回転された部分に沿って、隣り合うエレベータシャフト間で移動され得る。

この目的のために、これらの部分は、互いに並べられて、水平に延びるレールを一緒に形成するように水平車軸（ａｘｌｅ）を中心に回転される。

詳細には、エレベータかごは、隣り合う２つのエレベータシャフト間で移動される。詳細には、隣り合う２つのエレベータシャフトであって、これらの間でエレベータかごが移動される隣り合う２つのエレベータシャフト内の２つのレールの各部分が回転される。前記２つの回転された部分は、回転された状態で、（実質的に）隙間のない（実質的に）閉じたレールを形成し、これに沿って、エレベータかごは、前記２つのエレベータシャフト間で移動される。

詳細には、これらの部分は、９０°回転される。このように、これらの部分の回転によって、水平レールが形成され、水平レールに沿って、エレベータかごは水平に移動される。さらに、詳細には、これらの部分が、適当な角度だけ回転されることも可能である。このようにして、斜めのレール（すなわち、エレベータシャフトに対して適当な角度だけ傾けられたレール）が形成される。エレベータかごは、前記斜めのレールに沿ってエレベータシャフトに対して斜めに移動される。例えば、エレベータかごは、異なるエレベータシャフトだけでなく、同時に異なる階層に移動される場合もあり得る。

エレベータかごの、回転された部分に沿った、２つのエレベータシャフト間の移動は、以下の説明では、エレベータかごの「水平移動」と呼ばれる。これは、エレベータかごが必ず正確に水平方向に移動されることを意味するのではなく、エレベータかごの運動が少なくとも水平方向の成分を有することを意味すると理解されるべきである。

本発明に係る、エレベータかごの、２つのエレベータシャフト間の移送のために、付加的な要素は必要とされない。詳細には、一方のエレベータシャフトからもう一方のエレベータシャフトにエレベータかごを輸送するために、付加的な機構は必要とされない。エレベータシステムの通常運転中にエレベータシャフト内でエレベータかごを垂直移動させるために使用される要素のすべて（または要素の少なくとも実質的にすべて）は、エレベータかごを水平移動させるためにも使用される。

エレベータかごは、別のエレベータシャフトに移送される前に何らかの要素から分離される必要はない。さらに、エレベータかごは、他方のエレベータシャフトに移送された後に何らかの要素に連結される必要はない。本発明に係る、エレベータかごの移送は、大きな時間の消費なしに実行され得る。

さらに、水平移動のために、付加的なブレーキは必要とされない。エレベータかごの垂直移動用のブレーキは、エレベータかごの水平移動用のブレーキに比べてより高い負荷を受けるため、より大きな力に耐えなければならない。それゆえ、エレベータかごの通常運転のために使用されるブレーキは、エレベータかごの水平移動のためにも使用され得る。

本発明に係る移送は、エレベータシステムの通常運転中に実行されてもよい。移送工程のためにエレベータシステムの運転を停止させる必要はない。本発明に係る、エレベータかごの移送は、詳細には自動でまたは完全に自動で行われる。移送は、乗客がエレベータかご内にいる場合であっても実行され得る。詳細には、エレベータかごの移送は、乗客を輸送する工程で実行されてもよい。

本発明の好ましい改良例において、エレベータかごは、最初は、第１のレールを有する第１のエレベータシャフト内に配置される。エレベータシステムの通常運転中、エレベータかごは、第１のレールに沿って前記第１のエレベータシャフト内で垂直に動かされてもよい。本発明によれば、エレベータかごは、第１のエレベータシャフトから第２のエレベータシャフトに移送される。エレベータかごは、最初に第１のエレベータシャフト内の第１のレールの第１の回転可能部分に移動される。第１のレールの前記第１の部分は、その当初の垂直方向から回転される。さらに、第２のエレベータシャフト内の第２のレールの第２の部分が、その当初の垂直方向から回転される。前記回転された第１の部分および前記回転された第２の部分は、レールを形成し、該レールに沿って、エレベータかごは水平に移動される。このようにして、エレベータかごは、回転された第１の部分および回転された第２の部分に沿って第１のエレベータシャフトから第２のエレベータシャフトに移動される。その後、第１の部分および第２の部分は、再びそれらの当初の垂直方向に回転される。エレベータかごは、このとき第２のエレベータシャフト内に配置されており、その後、エレベータシステムの通常運転において第２のレールに沿って第２のエレベータシャフト内で垂直に移動され得る。

第１の部分および第２の部分はそれぞれ、この場合、同じ階層に配置されてもよい。この点で、詳細には、第１の部分および第２の部分はそれぞれ、９０°回転され、エレベータかごは、対応する階層において第１のエレベータシャフトと第２のエレベータシャフトとの間で移送される場合もある。しかしながら、エレベータかごの、異なる階層間の移送も考えられる。この場合、第１の部分は、第１の階層に配置され、第２の部分は、第２の階層に配置される。これらの部分は、特定の角度だけ回転され、エレベータかごは、第１の階層から第２の階層に移送される。

本発明の好適な改良例において、エレベータかごは、直線駆動装置を用いることによってまたは多数の直線駆動装置を用いることによってエレベータシャフト内のレールに沿って移動されてもよい。それゆえ、エレベータシステムは、機械室なしのエレベータシステムとして構成される。この場合、エレベータかごは、詳細にはケーブルなしに（詳細にはサポートケーブルなしに）移動される。それゆえ、エレベータシャフト内には、エレベータかごの、エレベータシャフト間の移送を妨げるであろうサポートケーブルは存在しない。直線駆動装置の使用によって、詳細には、カウンタウェイトなしにエレベータかごを移動させることが可能である。

エレベータかごの、ケーブルなしの移動は、さらなる利点をもたらし得る。サポートケーブルによって移動されるエレベータかご（すなわち、サポートケーブルに吊り下げられるエレベータかご）は、サポートケーブルの長さが約５００ｍの場合に設計限界に達する。このような長さにおいて、サポートケーブルは、振動または動揺し、これにより、エレベータシャフトまたは建物を打ち得る。このことは、建物の静力学に関して問題をもたらし得る。これらの欠点は、直線駆動装置の使用によって克服され得る。このようにして、エレベータかごは、問題なく、５００ｍ超の建物の高さにわたって移動され得る。

直線駆動装置の第１の要素が、エレベータシャフトのレールによって形成されることが好ましい場合もある。直線駆動装置の第２の要素は、エレベータかごに配置される。直線駆動装置の前記第１の要素および前記第２の要素は互いに相互作用し、これにより、エレベータかごは移動され得る。直線駆動装置は、詳細には、長いステータのリニアモータ（ｌｏｎｇ−ｓｔａｔｏｒ ｌｉｎｅａｒ ｍｏｔｏｒ）の形態をとる。この場合、第１の要素は、ステータまたは主部品の形態をとる。この点で、詳細には、電流が流されるコイルがステータとしてレールに配置される場合もある。エレベータかごに配置される第２の要素は、この場合、反応部品または副部品の形態をとる。この点で、詳細には、少なくとも１つの永久磁石および／または少なくとも１つの電磁石が、反応部品としてエレベータかごに配置される場合もある。これに対して、直線駆動装置はまた、短いステータのリニアモータ（ｓｈｏｒｔ−ｓｔａｔｏｒ ｌｉｎｅａｒ ｍｏｔｏｒ）の形態をとってもよい。この場合、エレベータかごに配置される第２の要素は、ステータの形態をとり、第１の要素は、反応部品の形態をとる。さらに、非同期直線駆動装置としての直線駆動装置の構成も考えられる。非同期直線駆動装置は、この場合、永久磁石または電磁石なしに形成される。

直線駆動装置の第２の要素が、エレベータかごに回転可能に取り付けられることがさらに好ましい場合もある。詳細には、第２の要素は、レールの部分と共に回転されてもよい。このように、直線駆動装置の第２の要素は、直線駆動装置の第１の要素と同様に回転され、エレベータかごを水平移動させるために利用されてもよい。このように、エレベータシステムの通常運転中はエレベータかごを垂直移動させるために使用される、直線駆動装置の第１の要素および第２の要素は、エレベータかごの、２つのエレベータシャフト間の移送のためにも使用される。それゆえ、エレベータかごの移送のために、付加的な駆動装置は必要とされない。

また、エレベータかごは、キャビンおよびシャーシーユニットを備えることが好ましい。直線駆動装置の第２の要素は、エレベータかごの前記シャーシーユニットに配置される。シャーシーユニットは、エレベータかごのキャビンに回転可能に取り付けられる。詳細には、シャーシーユニットは、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）によってキャビンに連結され、前記サスペンション車軸（ａｘｌｅ）に回転可能に取り付けられる。この場合、シャーシーユニットは、詳細には、エレベータかごのエレベータかごサスペンションとして機能する。エレベータかごは、詳細には、軽量な構造体となるように製造される。このようにして、エレベータかごのエレベータかごサスペンションに作用する負荷は、可能な限り低く保たれ得る。

さらに、シャーシーユニットは、詳細には、駆動装置のためのブラケットとしてまたは直線駆動装置の第２の要素のためのブラケットとして機能する。さらに、詳細には、エレベータかごの落下を防止するための安全装置またはキャッチ機構（ｃａｔｃｈ ｍｅｃｈａｎｉｓｍ）が、シャーシーユニットに配置される。前記安全装置は、例えば速度リミッタによって、エレベータかごの速度が閾値を超えた場合に作動される。前記タイプの速度リミッタは、この場合、詳細には電子システムとして形成される。この点で、詳細には、速度リミッタは、エレベータかごの速度を求めるためにセンサデータを評価する。エレベータかごの速度が、閾値を超えた場合、速度リミッタは、安全装置またはキャッチ機構を作動させるためにアクチュエータを駆動する。

エレベータかごのエレベータかごサスペンションは、リュックサック型のサスペンションの形態をとることが好ましい。それゆえ、エレベータかごサスペンションは、エレベータかごの１つの側面のみに配置される。詳細には、シャーシーユニットは、この場合、エレベータかごの同じ側面に配置される。このように、エレベータかごを移動させるための要素のすべてが、エレベータかごの１つの側面に配置される。

レールは、ガイドレールの形態をとることが好適である。詳細には、対応するガイドローラが、エレベータかごに配置される。詳細には、前記ガイドローラは、シャーシーユニットに配置される。このように、レールは、駆動装置およびエレベータかごのためのガイドの両方として機能する。それゆえ、エレベータかごの前記ガイドもまた、レールの部分と一緒に回転される。エレベータかごの移送のために、付加的なガイドまたは付加的なガイド要素は必要とされない。

本発明の好ましい改良例において、エレベータかごは、エレベータシャフトに対してまたはシャーシーユニットにエレベータかごのキャビンを拘束するように設計される拘束装置を備える。キャビンが、エレベータシャフトに対して拘束されるとき、キャビンは、詳細にはシャーシーユニットから切り離される。この場合、シャーシーユニットは、キャビンとは独立にまたはキャビンに対して回転されてもよい。詳細には、この場合、キャビンは、キャビンが回転される回転方向においてのみシャーシーユニットから切り離される。キャビンが、シャーシーユニットに拘束されているとき、キャビンに対するシャーシーユニットの回転は不可能である。

この点で、キャビンが、部分または第１の部分が回転されている間、第１のエレベータシャフトに対して拘束されることが好ましい場合もある。このようにして、キャビンが、部分または第１の部分（したがって、シャーシーユニット）が回転されている間、垂直方向に配置され続けることが保証される。このように、キャビンは、シャーシーユニットと一緒に回転されない。このことは、詳細には、乗客が移送工程中にキャビン内にいる場合に重要性を持つ。

エレベータかごのキャビンが、部分が回転されて例えばその水平方向に配置された後にシャーシーユニットに拘束されることがさらに好ましい場合もある。この点で、エレベータかごのキャビンは、詳細には、回転された部分に対してまたは回転された第１の部分に対して拘束される。詳細には、キャビンは、この場合、シャーシーユニットに拘束される。このようにして、キャビンは、水平移動工程の間にわたって一定の方向を維持し続け、例えば慣性力によって回動されない。

キャビンは、詳細には、エレベータシステムの通常運転中、すなわち、エレベータかごがレールに沿って垂直に移動されるとき、シャーシーユニットに同じように拘束される。

エレベータかごのキャビンが、エレベータかごが２つのレールの回転された部分に沿って２つのエレベータシャフト間で移動されている間、水平軸線を中心にエレベータシャフトに対してわずかに揺動または回動されることが好ましい場合もある。この場合、例えば１、２、３、４、５、または６°の揺動角度が考えられる。対応する揺動は、エレベータかごがエレベータかごの水平移動の最中に任意に加速される場合に、対応する加速力（これは、以下では水平加速力と呼ばれる）がキャビンに加えられる原因となる。前記水平加速力のせいで、キャビン内の乗客がそのバランスを失い、その足場を失い得る危険性がある。揺動角度は、重力および水平加速力から生じる合力がエレベータかごの床に対して垂直になるように設定される。水平加速の一般的なレベルに対して、６°以下の揺動角度が考えられ得る。

揺動角度は、不可避的に一定である必要はなく、水平加速工程に応じて経時的に変化するように構成されてもよい。

説明した揺動工程は、回転された部分に沿ってだけでなく、固定された水平部分に沿っても実施され得る。

エレベータシャフトに対するまたはレールに対するまたはシャーシーユニットに対するキャビンの回動に起因して、エレベータかごの床は、乗客にかかる重力および水平加速力から生じる合力がエレベータかごの床に対して垂直になるように水平線に対して傾けられる。したがって、エレベータかご内の乗客に関して、全体の力が下方に作用しているという印象は維持される。乗客にとって、「下方に」は、エレベータかごの床に向かう方向を意味する。

言及したように、キャビンは、比較的小さい角度しか回動されない。キャビンの前記回動の最中、キャビンは、エレベータシャフトに対しても、シャーシーユニットにも拘束されない。詳細には、拘束装置は、この場合は無効にされる。

補助レール要素が、２つのエレベータシャフトの２つのレールの回転された部分間に配置されることが好適な場合もある。前記タイプの補助レール要素は、回転された部分間の自由空間を埋める。このようにして、エレベータシャフトの部品公差を補うことが可能である。補助レール要素は、レールと同様の設計を有し、詳細には、直線駆動装置の第１の部品およびエレベータかごのためのガイドレールを形成する。回転された部分および補助レール要素は、（実質的に）隙間のない（実質的に）閉じたレールを形成し、これに沿って、エレベータかごは水平に移動される。

また、本発明は、エレベータシステムを動作させるための方法に関する。本発明に係るこの方法の改良例は、本発明に係るエレベータシステムに関する上記の説明から類比的に明らかになる。適当な処理ユニット（詳細には、エレベータシステムの制御ユニット）は、詳細にはプログラミング技術の観点から、本発明に係る方法を実行するようにセットアップされる。

本発明のさらなる利点および改良例は、説明および添付図面から明らかになる。

上で言及した特徴およびこれから以下で述べられる特徴が、それぞれに指定された組み合わせにおいてだけでなく、本発明の範囲から逸脱せずに他の組み合わせにおいてもまたは単独でも使用され得ることは自明である。

本発明は、例示的な実施形態に基づいて図面に概略的に示され、図面を参照して以下で詳細に説明される。

一動作状態にある、本発明に係るエレベータシステムの好ましい改良例を概略的に示している。 別の動作状態にある、本発明に係るエレベータシステムの好ましい改良例を概略的に示している。 さらに別の動作状態にある、本発明に係るエレベータシステムの好ましい改良例を概略的に示している。 さらに別の動作状態にある、本発明に係るエレベータシステムの好ましい改良例を概略的に示している。

本発明に係るエレベータシステムの好ましい改良例が、図１〜図４において概略的に示され、１００によって表示されている。

エレベータシステム１００は、２つのエレベータシャフト１０１ａおよび１０１ｂを備える。物的障壁１０２（例えば、仕切りまたは壁）が、少なくとも部分的にエレベータシャフト１０１ａとエレベータシャフト１０１ｂとの間に形成されていてもよい。しかしながら、エレベータシャフト１０１ａとエレベータシャフト１０１ｂとの間の物的障壁１０２を省略することも可能である。

第１のレール１１０ａは、第１のエレベータシャフト１０１ａ内に配置されており、第２のレール１１０ｂは、第２のエレベータシャフト１０１ｂ内に配置されている。エレベータかご２００は、前記レール１１０ａおよび１１０ｂに沿って移動されてもよく、その場合、前記エレベータかごは、エレベータシャフト１０１ａまたは１０１ｂのそれぞれに配置される。

エレベータかご２００は、キャビン２１０およびフレームまたはシャーシーユニット２２０を備える。シャーシーユニット２２０は、キャビン２１０のためのサスペンションとして機能する。シャーシーユニット２２０は、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１によってキャビン２１０に連結されている。この場合、シャーシーユニット２２０は、前記サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１を中心に回転可能なように取り付けられている。拘束装置２３０を用いることによって、キャビン２１０は、シャーシーユニット２２０に拘束されてもよく、その場合、前記拘束状態において、シャーシーユニット２２０がサスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１を中心に回転することは不可能である。

エレベータかご２００は、直線駆動装置３００を用いることによってレール１１０ａおよび１１０ｂに沿って移動されてもよい。この場合、レール１１０ａおよび１１０ｂは、前記直線駆動装置３００の第１の要素３１０を成す。この場合、前記第１の要素３１０は、詳細には直線駆動装置３００の主部品またはステータ３１０、より詳細には長いステータの形態をとっている。

直線駆動装置３００の第２の要素３２０は、エレベータかご２００のシャーシーユニット２２０に配置されている。前記第２の要素３２０は、詳細には、直線駆動装置３００の副部品または反応部品３１０の形態をとっている。第２の要素３２０は、例えば、永久磁石の形態をとる。

レール１１０ａおよび１１０ｂは、直線駆動装置３００の第１の要素３１０としてだけでなく、同時に、エレベータかご２００のためのガイドレールとしても形成されている。この目的のために、レール１１０ａおよび１１０ｂは、詳細には、適切なガイド要素４１０を有する。前記ガイド要素４１０は、エレベータかご２００のシャーシーユニット２２０に形成されたガイドローラ４２０によって係合される。

エレベータかご２００は、リュックサック型のサスペンションを有する。詳細には、シャーシーユニット２２０ならびにレール１１０ａおよび１１０ｂは、エレベータかご２００の後側に配置されている。この場合、後側は、エレベータかご２００の入口側の反対に配置されている。エレベータかご２００の入口側は、ドア２１１を有する。レール１１０ａおよび１１０ｂが、ガイドレールおよび直線駆動装置３００の一部の両方として機能するため、エレベータシャフト１１０ａまたは１１０ｂ内には、エレベータかご２００を移動させるために、実質的に付加的な要素は必要とされない。

本発明によれば、エレベータかご２００は、エレベータシャフト１１０ａまたは１１０ｂの一方の中でのみ移動されるように制限されず、２つのエレベータシャフト１１０ａおよび１１０ｂ間で移動され得る。

制御ユニット６００（図では純粋に概略的に示されている）は、詳細にはプログラミング技術の観点から、エレベータシステム１００を動作させるための、本発明に係る方法の好ましい実施形態を実行するようにセットアップされている。この点で、詳細には、制御ユニット６００が、直線駆動装置３００を作動させ、エレベータかご２００を移動させる場合もある。

さらに、制御ユニット６００は、エレベータかご２００の、エレベータシャフト１１０ａおよび１１０ｂ間の切り替えまたは移動を制御する。

以下では、図１〜図４に基づいて、例として、エレベータかご２００が、最初は第１のエレベータシャフト１０１ａ内で移動され、次に、第１のエレベータシャフト１０１ａから第２のエレベータシャフト１０１ｂに移送される状況の説明が与えられる。

この点で、エレベータシャフト１０１ａおよびエレベータシャフト１０１ｂ間の切り替えは、詳細には移送平面５００において行われる。この移送平面５００の領域に、障壁１０２は、開口１０３を有する。エレベータかご２００は、前記開口１０３を通ってエレベータシャフト１０１ａとエレベータシャフト１０１ｂとの間で移動されてもよい。

前記移送平面５００の領域に、第１のレール１１０ａは、第１の回転可能部分１２０ａを有し、第２のレール１１０ｂは、第２の回転可能部分１２０ｂを有する。第１の部分１２０ａおよび第２の部分１２０ｂは、それぞれ第１の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ａおよび第２の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ｂを中心に回転可能なように取り付けられている。図１において、第１の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ａは、単なる例として、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１と一致するものとして示されているが、不可避的にサスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１と一致しなければならないわけではない。回転可能部分１２０ａおよび１２０ｂは、同じように制御ユニット６００によって作動される。

図において、回転可能部分１２０ａおよび１２０ｂは、単なる例として、矩形形状のものとして示されている。また、部分１２０ａおよび１２０ｂは、それらの端部に円弧形状の湾曲を有してもよく、これらの端部において、部分１２０ａおよび１２０ｂは、レール１１０ａおよび１１０ｂの他の部分に隣接する。これに応じて、レール１１０ａおよび１１０ｂは、同じように、部分１２０ａおよび１２０ｂに隣接する位置に同等かつ逆の円弧形状の湾曲を有してもよい。このようにして、部分１２０ａおよび１２０ｂが、回転の最中にレール１１０ａおよび１１０ｂの他の部分に当接しない、または引っ掛からないことが保証される。

第１のエレベータシャフト１０１ａから第２のエレベータシャフト１０１ｂへのエレベータかご２００の移送のために、部分１２０ａおよび１２０ｂは、図１に示されているような垂直方向から、図２に示され、以下でさらに詳細に説明されるような水平方向に回転される。

さらに、移送平面５００の領域には、補助レール要素１２５が、レール１１０ａとレール１１０ｂとの間に配置されている。前記補助レール要素１２５は、水平方向に回転された部分１２０ａおよび１２０ｂ間の自由空間または隙間を埋めるのに役立つ。補助レール要素１２５は、レール１１０ａおよび１１０ｂと同様に、直線駆動装置３００の第１の要素３１０として機能し、エレベータかご２００のための水平ガイドレールとしての役割を同時に果たすためにガイド要素４１０を有する。

レール１１０ａおよび１１０ｂと同様に、補助レール要素１２５もまた、その端部に円弧形状の湾曲を有してもよい（詳細には、部分１２０ａおよび１２０ｂの対応する端部との関係で同等かつ逆の湾曲を有してもよい）。

エレベータかご２００は、最初に第１のレール１１０ａに沿って移送平面５００に移動される。図１は、エレベータかご２００が既に前記移送平面５００に配置されている状況を示している。

このときに、エレベータかご２００のキャビン２１０は、拘束装置２３０を用いることによって第１のエレベータシャフト１０１ａに対して拘束される。この場合、キャビン２１０は、例えば、エレベータシャフト１０１ａの適切なシャフト要素に固定されてもよい。同時に、シャーシーユニット２２０が、第１の部分１２０ａに拘束され、キャビン２１０は、シャーシーユニット２２０から切り離される。このとき、シャーシーユニット２２０は回転され得るが、キャビン２１０は同じように回転しない。

第１のレール１１０ａの第１の部分１２０ａは、第１の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ａを中心に９０°回転される。さらに、第２のレール１１０ｂの第２の部分１２０ｂが、第２の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ｂを中心に９０°回転される。第１の部分１２０ａの回転と共に、エレベータかご２２０のシャーシーユニット２２０も、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１を中心に９０°回転される。キャビン２２１は、第１のエレベータシャフト１０１ａに対して拘束されているため、キャビンは、この場合、エレベータシャフト１０１ａに対してその方向を維持し続ける。

図２は、図１と同様の、エレベータシステム１００の概略図であり、第１の部分１２０ａおよび第２の部分１２０ｂはそれぞれ、９０°回転されて水平方向に向けられている。

図２から分かるように、水平方向に回転された第１の部分１２０ａ、水平方向に回転された第２の部分１２０ｂ、および補助レール要素１２５は、このとき、水平レール１１５を形成している。水平レール１１５は、（実質的に）閉じたレールであり、（実質的に）隙間なく形成されている。

その後、エレベータかご２００のキャビン２１０は、エレベータシャフトに対する拘束作用または固定作用から解放され、拘束装置２３０を用いることによって再びシャーシーユニット２２０に拘束される。

次に、エレベータかご２００は、水平レール１１５に沿って移動される。この場合、エレベータかご２００の直線駆動装置３００の第２の要素３２０は、直線駆動装置の第１の要素３１０、すなわち、この場合は水平レール１１５と相互作用する。

このようにして、エレベータかご２００は、第１のエレベータシャフト１０１ａから第２のエレベータシャフト１０１ｂに移動され、こうして、エレベータシャフト１０１ａおよび１０１ｂ間で切り替えられる。

図３は、図２と同様の、エレベータシステム１００の概略図であり、エレベータかご２００は、第２のエレベータシャフト１０１ｂの第２のレール１１０ｂの回転された第２の部分１２０ｂに移動されている。

このときに、エレベータかご２００のキャビン２１０は、拘束装置２３０を用いることによって第２のエレベータシャフト１０１ｂに対して（例えば、エレベータシャフト１０１ｂの対応するシャフト要素に）拘束される。同時に、シャーシーユニット２２０は、キャビン２１０から切り離され、回転された第２の部分１２０ｂに拘束される。

その後、回転された第１の部分１２０ａおよび第２の部分１２０ｂは、それぞれの回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ａおよび１２１ｂを中心に９０°回転されて垂直方向に向けられる。第２の部分１２０ｂの回転と共に、シャーシーユニット２２０も、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１を中心に９０°回転される。図３において、第２の回転車軸（ａｘｌｅ）１２１ｂは、単なる例として、サスペンション車軸（ａｘｌｅ）２２１と一致するものとして示されている。キャビン２１０は、第２のエレベータシャフト１０１ｂに対して拘束されているため、キャビン２１０は、この場合、エレベータシャフト１０１ｂに対してその方向を維持し続ける。

図４は、図１と同様の、エレベータシステム１００の概略図であり、第１の部分１２０ａおよび第２の部分１２０ｂは、再び垂直方向にある。

このとき、エレベータかご２００は、第２のエレベータシャフト１０１ｂ内に配置されており、直線駆動装置３００を用いることによって、第２のエレベータシャフト１０１ｂ内の第２のレール１１０ｂに沿って移動され得る。エレベータかご２００の直線駆動装置３００の第２の要素３２０は、この場合、第２のレール１１０ｂの第１の要素３１０と相互作用する。

１００ エレベータシステム
１０１ａ 第１のエレベータシャフト
１０１ｂ 第２のエレベータシャフト
１０２ 障壁
１０３ 障壁の開口
１１０ａ 第１のレール
１１０ｂ 第２のレール
１１５ 水平レール
１２０ａ 第１の部分
１２０ｂ 第２の部分
１２１ａ 第１の回転車軸（ａｘｌｅ）
１２１ｂ 第２の回転車軸（ａｘｌｅ）
１２５ 補助レール要素
２００ エレベータかご
２１０ キャビン
２１１ ドア
２２０ シャーシーユニット
２２１ サスペンション車軸（ａｘｌｅ）
２３０ 拘束装置
３００ 直線駆動装置
３１０ 直線駆動装置の第１の要素（主部品）
３２０ 直線駆動装置の第２の要素（反応部品）
４１０ ガイド要素
４２０ ガイドローラ
５００ 移送設備（移送平面）
６００ 制御ユニット

Claims (9)

1. 少なくとも２つのエレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）を有し、かつ少なくとも１つのエレベータかご（２００）を有するエレベータシステム（１００）であって、前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）のそれぞれに、垂直に延在するレール（１１０ａ、１１０ｂ）が設けられており、該垂直に延在するレール（１１０ａ、１１０ｂ）に沿って、前記エレベータかご（２００）を移動させることができ、
   前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）のそれぞれに、回転可能部分（１２０ａ、１２０ｂ）が形成されており、前記エレベータかごが前記部分に沿って前記エレベータシャフト間で移動され得るように前記回転可能部分を互いに並べることができ、
   前記エレベータかご（２００）を、直線駆動装置（３００）を用いることによって前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）内の前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）に沿って移動させることができ、
   前記直線駆動装置（３００）の第１の要素（３１０）が、前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）の前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）によって形成されており、
   前記直線駆動装置（３００）の第２の要素（３２０）が、前記エレベータかご（２００）に配置されている
   エレベータシステム（１００）において、
   前記直線駆動装置（３００）の前記第２の要素（３２０）が、前記エレベータかご（２００）のシャーシーユニット（２２０）に配置され、該シャーシーユニット（２２０）が、前記エレベータかご（２００）のキャビン（２１０）に回転可能に取り付けられ、
   前記エレベータかご（２００）の落下を防止するための安全装置またはキャッチ機構が、前記シャーシーユニット（２２０）に配置される
   ことを特徴とするエレベータシステム（１００）。
2. 前記エレベータかご（２００）のエレベータかごサスペンションが、リュックサック型のサスペンションの形態をとる、請求項１に記載のエレベータシステム（１００）。
3. 前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）が、ガイドレールの形態をとる、請求項１または２に記載のエレベータシステム（１００）。
4. 前記エレベータかご（２００）が、前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）に対して前記エレベータかご（２００）の前記キャビン（２１０）を拘束するように、または、前記シャーシーユニット（２２０）に前記エレベータかご（２００）の前記キャビン（２１０）を拘束するように設計された拘束装置（２３０）を備える、請求項１〜３のいずれか一項に記載のエレベータシステム（１００）。
5. 補助レール要素（１２５）が、２つのエレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）の２つのレール（１１０ａ、１１０ｂ）の回転された部分（１２０ａ、１２０ｂ）間に配置されている、請求項１〜４のいずれか一項に記載のエレベータシステム（１００）。
6. エレベータシステム（１００）を動作させるための方法であって、前記エレベータシステム（１００）が、少なくとも２つのエレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）、少なくとも１つのエレベータかご（２００）、前記エレベータかご（２００）のキャビン（２１０）に回転可能に取り付けられるシャーシーユニット（２２０）、および、前記シャーシーユニット（２２０）に配置される、前記エレベータかご（２００）の落下を防止するための安全装置またはキャッチ機構を有し、前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）のそれぞれに、それぞれのレール（１１０ａ、１１０ｂ）が配置されており、該レール（１１０ａ、１１０ｂ）に沿って、前記エレベータかご（２００）が移動される方法において、
   前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）のそれぞれに、回転可能部分（１２０ａ、１２０ｂ）が形成され、
   異なる、詳細には、隣り合う前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）内の２つの前記レール（１１０ａ、１１０ｂ）の前記部分（１２０ａ、１２０ｂ）が回転され、
   前記エレベータかご（２００）が、前記回転された部分（１２０ａ、１２０ｂ）に沿って前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）間で移動され、および
   前記エレベータかご（２００）の速度が、閾値を超えた場合、前記安全装置または前記キャッチ機構が作動される
   ことを特徴とする方法。
7. 前記エレベータかご（２００）が、第１のエレベータシャフト（１０１ａ）内の第１のレール（１１０ａ）の第１の回転可能部分（１２０ａ）に移動され、
   前記第１のレール（１１０ａ）の前記第１の部分（１２０ａ）が回転され、
   第２のエレベータシャフト（１０１ｂ）内の第２のレール（１１０ｂ）の第２の部分（１２０ｂ）が回転され、
   前記エレベータかご（２００）が、前記回転された第１の部分（１２０ａ）および前記回転された第２の部分（１２０ｂ）に沿って前記第１のエレベータシャフト（１０１ａ）から前記第２のエレベータシャフト（１０１ｂ）に移動される、
   請求項６に記載の方法。
8. 前記エレベータかご（２００）のキャビン（２１０）が、前記第１の部分（１２０ａ）が回転されている間、前記第１のエレベータシャフト（１０１ａ）に対して拘束され、および／または、前記エレベータかご（２００）の前記キャビン（２１０）が、前記第１の部分（１２０ａ）が回転された後、前記回転された第１の部分（１２０ａ）に対して拘束される、請求項６に記載の方法。
9. 前記エレベータかご（２００）が前記２つのレール（１１０ａ、１１０ｂ）の前記回転された部分（１２０ａ、１２０ｂ）に沿って前記２つのエレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）間で動かされている間、前記エレベータかご（２００）の前記キャビン（２１０）が、前記エレベータシャフト（１０１ａ、１０１ｂ）に対して揺動される、請求項６〜８のいずれか一項に記載の方法。

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