明細書 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー及びその用途 技 万野
本発明は、 文献未記載の新規ゲイ素含有有機含フッ素ボリマー及びそ の用途に関し、 更に詳しくは、 本発明は、 耐溶剤性、 耐薬品性に優れ、 各種基材の表面の汚染防止に有効なゲイ素含有有機含フッ素ポリマー及 びその用途に関する。 背景技術
パーフルォロポリエーテル鎖からなる各種有機含フッ素ポリマーは、 耐熱性、 耐薬品性に便れるほか、 撥水撥油性や低屈折率等の特異な機能 を示すことが知られ、 応用範囲の広い極めて付加価値の高いポリマーと して知られている。
—方、 一般式: B S i (R)3-r D, [式中、 Bは高分子等の有機化合 物と反応することができる有機残基、 Dはハロゲン、 アルコキシル基等, Rはアルキル基、 rは 1、 '2又は 3を表す。 ] で表されるシラン系化合 物は、 これを有す.る化合物が一般に.シランカップリング剤と称されて基 材の表面処理剤として適用されており、 またこれを末端に有するポリマ 一は室温下に水分によつて加水分解して縮合重合したり、 更にまた架橋 反応を起こして硬化することが知られている 〔エンサイクロペディア , ォブ ' ケミカル ' アンド ' テクノロジー (E n c y c 1 o e d i a o f C h em i c a l a n d T e c h n o l o g y) 1 2卷、 4 6 4〜 5 6 9頁、 1 9 7 0年〕 。
このようなシラン系化合物を有機含フッ素ポリマーに適用しょうとす
る試みもまた知られており、 例えば、 フルォロシリコーン、 フルォロォ レフイ ン類とビニルシランとの共重合体、 α, ω—ビス (ジアルキルク ロロシリル) ポリフルォロアルカン等を挙げることができる 〔ジャーナ ル ' ォブ ' ポリマーサイエンス, パー ト ' エイ (J . P o l y m. S c i . , P a r t - A) 1 0卷、 3号、 9 4 7〜 9 5 3頁〕 。
特開平 1 一 2 9 4 7 0 9号公報には、 このようなビニルシラン化合物 を含有する有機含フッ素ポリマーが開示されている。 このものは、 撥水 性とともに防汚性を有していることから、 例えば、 自動車外装塗膜等に 有効に適用できるとされている。
特開平 5 - 3 3 9 0 0 7号公報には、 このようなシラン系化合物を有 機含フッ素ポリマーに適用した例として含フッ素有機ゲイ素化合物が開 示されている。 このものは、 有機含フッ素ポリマーのパーフルォロポリ エーテル鎖に上記シラン系化合物を含有させるとともに、 該シラン系化 合物に結合する炭素にヨウ素を含有せしめた構造を有することを特徴と するものである。 このものは、 低表面エネルギーを有していることから, 繊維処理剤、 離型剤、 剝離.剤、 防汚コーティ ング剤等の原料として適用 することができるとされている。
しかしながら、 これまで知られているシラン系化合物含有有機含フッ 素ポリマーは、 その含有される反応性ゲイ素原子がパーフルォロポリェ 一テル鎖の末端に存在する存在数は 1であり、 得られる防汚性も充分な ものではなかった。 なお、 ここに防汚性とは、 汚れが付着しにくい性質 をいうとともに、 付着した汚れが洗浄により落ちやすい性質をもいう。 ところで、 金属やガラス、 樹脂等の基材は、 自動車部品、 OA機器、 家電製品等として汎用されている。 これらの基材表面は、 車内、 オフィ ス内、 室内等に浮遊するゴミが付着したり、 食品、 機器用オイル等に混
合されている拭き取りが困難な油状物質が付着したり、 使用中に人の手 により指紋が付着して汚れるため、 これらの汚れを付着しにく く し、 更 には、 いったん付着した汚れが容易に除去できるような防汚のためのェ 夫が必要となる。
ガラス表面の防汚処理手段としては、 特開平 1 — 1 2 6 2 4 4号公報 等に、 ガラス表面にポリジメチルシロキサン等の高分子物質を直接塗布 するか、 又は処理剤に浸潰することによって塗膜を形成する技術が開示 されている。 また、 化学吸着法によってフッ素を含む化学吸着単分子膜 をガラス表面に形成させる技術も知られている。
金属表面の防汚処理手段としては、 特公平 7 - 5 3 9 1 3号公報に、 亜鉛系メ ッキ被覆の上層にシリ力ゾルシランカツプリ ング剤を配合した クロメート被覆を形成せしめ、 その上層にィソシァネー ト系塗料組成物 を用いて薄膜塗装をした有機複合メ ツキ鋼板に関する技術が開示されて いる。
しかしながら、 このような従来の処理手段では、 油状の汚染物質に対 する防汚性が充分ではなかった。 また、 特に直接手を触れる基材表面で は、 指紋が付着しやすく、 その除去が困難になるという問題点があった c また、 例えば、 屋外暴露等の過酷な条件においてはその効果が著しく 減じられ、 耐候性の点で満足のゆく ものではなかった。 更に、 高価な含 フッ素有機溶剤を多量に使用しなければならないので、 生産コス トの点 でも問題があった。
—方、 自動車、 列車等の車両、 航空機、 船舶等の移動物、 住宅等の建 造物等に使用される基材の表面は、 使用時に風雨に晒されるが、 豪雪地 方、 寒冷地等においては、 特に冬季には、 雪や氷に長時間接することと
なる。 また、 氷冷実験設備等の特殊施設、 冷蔵庫等の家電製品等におい ても、 部材の一部分が極めて低い温度に晒され、 水滴や空気中の水分が 氷として付着することとなる。
車両等の基材の表面に氷が付着すると、 その機能を阻害し、 例えば、 風防ガラス等の場合には視界を遮ることとなつて事故の原因となる。 ま た、 冷蔵庫等の一部部材に氷が付着すると、 その冷却効率が低下して無 駄な電力の消費を招く こととなる。
特開平 3 — 1 5 8 7 9 4号公報には、 親水性被膜を形成することによ り防曇性処理を施す技術が開示されている。
特開平 1 — 1 2 6 2 4 4号公報には、 ポリ ジメチルシロキサン等の有 機シリコーン化合物をガラス表面に直接塗布し又は処理剤に浸漬するこ とにより塗膜を形成して撥水性を付与する技術が開示されている。
特開平 4 - 3 3 8 1 4 7号公報、 特公昭 6 3 - 2 4 5 5 4号公報には, フルォロアルキルシラン化合物を用いて、 化学吸着法又はゾルゲル法に よりフルォロアルキル基含有酸化ゲイ素膜をガラス表面に形成させて撥 水性を得る技術が開示されている。
しかしながら、 親水性被膜を形成することによる防曇性処理では、 氷 の付着を効果的に防止することはできない。 また、 有機シリ コーン化合 物の塗膜をガラス表面に形成する方法では、 当該塗膜がガラスと化学的 に結合していないので、 使用中に当該塗膜が剝がれたりする可能性が高 く、 耐久性が充分でない。 更に、 フルォロアルキル基含有酸化ゲイ素膜 をガラス表面に形成する方法は、 耐久性は充分となるが、 潤滑性が不充 分である。 また、 これらの技術を単独で又は組み合わせて用いたとして も、 水をはじく性質を得ることはできても、 氷の付着を効果的に防止す ることはできなかった。
着氷を防止しょうとする場合、 目的とする基材表面に氷が形成されな
いか、 又は、 形成され難いことがまず必要である。 し力、し、 氷がいった ん形成された後であっても、 これを小さな力で除去することは一般に非 常に困難なことが多いのが事実であることを考えると、 このようにいつ たん形成された氷を除去しやすくすることも重要である。 従って、 氷が 付着すること自体を防止する作用に加えて、 いったん付着した氷を極め て簡単に除去することができる作用をも含んだ着氷防止作用を有する着 氷防止剤が望まれている。 ところで、 ガラスは、 その光透過性、 断熱性、 装飾性等を利用して、 住宅窓等の建築部材; 自動車、 列車等の車両用部材;船舶、 航空機等の 風防用等として広い範囲に使用されている。 このようなガラスは、 通常 は、 屋外に接する箇所に用いられており、 雨に晒されたり、 海水、 汚濁 水等に接する状況で使用されることが多い。 自動車フロ ントガラス等の ように視界を確保することが重大な機能として必要不可欠な場合もあり, ガラスの光通過性を維持するために、 雨等により付 した水をガラス自 体がはじく性質 (本明細書において 「撥水性」 という) がその機能とし て重要視されるようになってきた。
しかしながら、 有機シリコーン化合物の塗膜をガラス表面に形成する 方法では、 当該塗膜がガラスと化学的に結合していないので、 使用中に 当該塗膜が剥がれたりする可能性が高く、 耐久性が充分でない。 また、 フルォロアルキル基含有酸化ゲイ素膜をガラス表面に形成する方法は、 耐久性は充分となるが、 潤滑性及び非粘着性が充分ではなく、 例えば、 自動車のフ口ントガラスに用いた場合にはワイパーのビビリ音の発生等 の問題が生じる不都合がある。 発明の要約
第一の本発明は、 上記の現状に鑑み、 適用しうる基材が広範囲であり, しかも優れた防汚性を有する新規なゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを 提供することを目的とするものである。
すなわち第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーは、 一般式
( I ) :
Rf
[式中、 Rf は、 パーフルォロアルキル基を表す。 Zは、 フッ素又はト リフルォロメチル基を表す。 a、 b、 c、 d、 eは、 それぞれ独立して. 0又は 1以上の整数を表し、 a + b + c + d + eは、 少なく とも 1以上 であり、 a、 b、 c、 d、 eでく く られた各操り返し単位の存在順序は, 式中において限定されない。 Yは、 水素又は炭素数 1〜 4のアルキル基 を表す。 Xは、 水素、 臭素又はヨウ素を表す。 R ' は、 水酸基又は加水 分解可能な置換基を表す。 R2 は、 水素又は 1価の炭化水素基を表す。 £は、 0、 1又は 2を表す。 mは、 1、 2又は 3を表す。 nは、 2以上 の整数を表す。 ] で表され、 数平均分子量が 5 X 1 0 2 〜 1 X 1 0 5 の ものである。
第二の本発明は、 上記の現状に鑑み、 油状の汚染物質に対する防汚性 に優れ、 特に指紋に対する防汚性に優れた防汚性基材を提供することを 目的とするものである。
すなわち第二の本発明は、 基材の表面に、 下記一般式 ( I X ) で表さ れ、 数平均分子量が 5 X 1 0 2 〜 1 X 1 0 5 であるゲイ素含有有機含フ ッ索ポリマーの層を形成した防汚性基材である。
Rf
式中、 R f は、 パーフルォロアルキル基を表す。 Zは、 フッ素又はト リフルォロメチル基を表す。 a、 b、 c、 d、 eは、 それぞれ独立して. 0又は 1以上の整数を表し、 a + b + c + d丄 eは、 少なくとも 1以上 であり、 a、 b、 c . d、 eでく く られた各繰り返し単位の存在順序は, 式中において限定されない。 Yは、 水素又は炭素数 1〜 4のアルキル基 を表す。 Xは、 水素、 臭素又はヨウ素を表す。 R
1 は、 水酸基又は加水 分解可能な置換基を表す。 は、 水素又は 1価の炭化水素基を表す。 £は、 0、 1又は 2を表す。 mは、 1、 2又は 3を表す。 n x は、 1以 上の整数を表す。
第三の本発明は、 上記の現状に鑑み、 充分な汚染防止作用を有すると ともにその作用が永続し、 更に充分な耐候性を併せもつ基材の表面処理 方法を提供することを目的とするものである。
すなわち第三の本発明は、 上記一般式 (I X) で表されるゲイ素含有 有機含フッ素ポリマー ( 1 ) 、 含フッ素有機溶剤 (2) 、 及び、 シラ ン 化合物 [ただし、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (1 ) を除く ]
( 3 ) を含有してなる処理液を基材表面に塗布する基材の表面処理方法 である。 第四の本発明は、 上記の現状に鑑み、 充分な汚染防止作用を有すると ともにその作用が永続し、 更に充分な耐候性を併せもつ基材の表面処理 組成物であって、 かつ、 経済性にも優れたものを提供することを目的と するものである。
すなわち第四の本発明は、 上記一般式 (I X) で表されるゲイ素含有 有機含フッ素ポリマー (1 ) 、 含フッ素有機溶剤 (2) 、 及び、 有機溶 剤 [ただし、 含フッ素有機溶剤 (2) を除く ] (4) を含有してなる表 面処理組成物である。 第五の本発明は、 上記の現状に鑑み、 氷の付着を効果的に防止するこ とができる着氷防止剤を提供することを目的とするものである。
すなわち第五の本発明は、 上記一般式 ( I X) で表されるケィ素含有 有機含フッ素ポリマーを含有してなる着氷防止剤である。 第六の本発明は、 上記の現状に鑑み、 耐久性、 表面潤滑性、 表面非粘 着性が充分であり、 かつ、 撥水性に優れたガラスを提供することを目的
とするものである。
すなわち第六の本発明は、 ガラスの表面に、 上記一般式 ( I X ) で表 されるゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの眉を形成した撥水性ガラスで める。 発明の詳細な開示
以下、 第一の本発明を詳述する。
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを構成する上記一般 式 ( I ) で表される式中、 Rf としては、 通常、 有機含フッ素ポリマー を構成するパーフルォロアルキル基であれば特に限定されず、 例えば、 素数 1〜 1 6の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができる。 好ま しく は、 C F 3 —、 C Z F 5 一、 C3 FT —である。
上記一般式 ( I ) 中の Zは、 フッ素でもよいし トリフルォロメチル基 でもよい。
上記一般式 ( I ) 中の a、 b、 c、 d、 eは、 第一の本発明のゲイ素 含有有機含フッ素ポリマーの主骨格を構成するパーフルォロポリエーテ ル鎖の各繰り返し単位数を表し、 それぞれ独立して、 0又は 1以上の整 数であり a + b + c + d + e力く 1以上であれば特に限定されないが、 そ れぞれ独立して、 0〜 2 0 0が好ましく、 後述する第一の本発明のゲイ 素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、 より好まし くは、 それぞれ独立して、 0〜5 0である。 a + b+ c + d+ eは、 好 ましくは、 1〜 1 0 0である。
また、 a、 b、 c、 d、 eでく く られた各繰り返し単位の存在順序は, 便宜上一般式 ( I ) 中においてはこの順に記載したが、 通常のパーフル ォロポリエーテル鎖の構成に鑑み、 これらの各操り返し単位の結合順序 は、 この順に限定されるものではない。
上記一般式 ( I ) 中の Yは、 水素又は炭素数 1〜4のアルキル基を表 す。 上記炭素数 1〜4のアルキル基としては特に限定されず、 例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル等を挙げることができ、 直鎖状であ つても分岐状であってもよい。 上記一般式 ( I ) の Xは、 水素、 臭素又 はヨウ素を表す。 Xが臭素又はヨウ素である場合には、 ゲイ素含有有機 含フッ索ポリマーはラジカル反応性が高くなるので、 化学結合により他 の化合物と結合させるのには好都合である。
上記一般式 ( I ) 中の £は、 パーフルォロポリエーテル鎖の末端の炭 素とこれに結合するゲイ素との間に存在するアルキレン基の炭素数を表 し、 0、 1又は 2であるが、 より好ましくは、 0である。
上記一般式 ( I ) 中の mは、 第一の本発明のゲイ索含有有機含フッ素 ポリマー中に存在するゲイ素に結合する置換基 R1 の結合数を表し、 1, 2又は 3である。 置換基 R' が結合していない部分には、 当該ゲイ素に は R2 が結合する。
上記 R1 は、 水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。 上記加水分解 可能な置換基としては特に限定されず、 好ましいものとしては、 例えば, ハロゲン、 一 OR3 、 一 O C OR3 、 一 OC (R3 ) = C (R4 ) 2 、 -ON = C (R3 ) 2 、 一 ON = CR5 [式中、 R3 は、 脂肪族炭化水 素基又は芳香族炭化水素基を表し、 R4 は、 水素又は炭素数 1〜4の脂 肪族炭化水素基を表し、 R5 は、 炭素数 3〜6の 2価の脂肪族炭化水素 基を表す。 ] 等を挙げることができる。 より好ま し く は、 塩素、 一 O CH3 、 - 0 C z Hs である。
上記 R2 は、 水素又は 1価の炭化水素基を表す。 上記 1価の炭化水素 基としては特に限定されず、 好ましいものとしては、 例えば、 1価の脂 肪族飽和炭化水素基、 例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル等を 挙げることができ、 直鎖状であっても分岐状であってもよい。
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量は、
5 X 1 02 〜 1 X 1 0 S である。 5 X 1 0 2 未満では、 ポリマーとして の性質を有しないので利用価値がなく、 1 X 1 05 を超えると加工性に 乏しくなるので、 上記範囲に限定される。 好ましくは、 1 X 1 03 〜 1 1 04 である。
第一の本発明の要旨は、 上記一般式 (I ) 中の nの数にある。 一般式 ( I ) 中の nは、 第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーに含 有される反応性ゲイ素原子の存在数を表す。 第一の本発明においては、 nは、 2以上の整数である。 nが 1以下であると、 第一の本発明の特有 の効果である防汚効果が充分なものではなくなるので、 2以上に限定さ れる。 上記 nは 2以上であれば特に限定されないが、 好ましくは 2〜 1 0の整数である。
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーは、 通常の製造方法 によれば、 混合物として得られる。 下記一般式 ( I a) 中の gは、 混合 物である第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーに含有される 反応性ゲイ素原子の存在欸を表す。 第一の本発明のケィ素含有有機含フ ッ素ポリマーの混合物においては、 gは、 0又は 1以上の整数であり、 混合物における gの平均値は、 1を超える。 gの平均値が 1以下である と、 防汚処理剤として使用したときの防汚効果が劣るものとなるので、 1を超える必要がある。 より好ましくは、 gの平均値は、 1. 3〜3で あり、 特に好ましくは、 1. 5〜2. 5である。
Rf一
(
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの好ましいものとし て、 例えば、 下記一般式 (Π ) で表されるもの等を挙げることができる,
CgF7—— (OCF2CF2CF2)p——
[式中、 pは、 1以上の整数を表す。 Y、 X、 R 1 、 R 2 、 i、 m、 n は、 前記と同じ。 ]
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ボリマーの混合物の好ましい ものとして、 例えば、 下記一般式 (Π a ) で表されるもの等を挙げるこ
とができる
CjF7— (OCF2CF2CF2)p一
[式中、 pは、 1以上の整数を表す。 Y、 X、 R ' 、 R 2 、 ί、 m、 g は、 前記と同じ。 ]
上記一般式 (Π ) 中、 及び、 上記一般式 (Π a ) 中の pは、 1以上の 整数であれば特に限定されないが、 1〜 2 0 0が好ましく、 第一の本発 明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、 よ り好ましくは、 1〜 5 0である。
第一の本発明に係るゲイ素含有有機含フッ素ポリマーは、 通常市販さ れているパーフルォロポリエーテルを原料として用い、 末端に、 例えば, ヨウ素を導入した後、 これに、 例えば、 下記一般式 [式中、 Y、 R 1 、 R 2 、 、 mは、 前記と同じ。 ] で表されるビニルシラ ン化合物を反応 させること等により得ることができる。
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第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーは、 一般的なシーラ ン ト、 封止剤、 塗料、 カップリ ング剤等として、 住宅建材、 自動車部品 等に使用することができる。 また、 表面防汚の目的のために、 光学レン ズ、 メガネレンズ、 ガラス、 金属、 セラミ ック、 有機材料等の基材に好 適に用いることができる。
第一の本発明のゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを適用するにあたつ ては、 例えば、 シリ力、 アルミナ、 酸化チタン、 カーボン、 セメ ン ト等 の微粉末充塡剤、 チタン、 アルミニウム、 ケィ素等のアルコキシド、 そ の他の低分子量ポリテ トラフルォロエチレン、 テ卜ラフルォロエチレン zへキサフルォロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬 度調整剤又は増量剤等として添加することができる。 また、 通常の架橋 剤を更に加えて、 硬度調整を行うこともできる。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの層を形成するためには、 基材 の表面に、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布する方法を採る ことができる。 上記塗布方法としては、 例えば、 スプレー塗装、 スピン 塗装、 浸漬塗装、 ロールコート塗装、 グラビアコート塗装、 カーテンフ ロー塗装等を挙げることができる。
また、 ^布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。 このような溶 剤としては特に限定されず、 例えば、 パーフルォ口へキサン、 パーフル
ォロメチルシクロへキサン、 パーフルオロー 1 , 3—ジメチルンクロへ キサン、 ジクロロペンタフルォロプロパン (H C F C 2 2 5 ) 等を挙げ ることができる。 以下、 第二の本発明について詳述する。
第二の本発明の防汚性基材の対象となる基材としては、 例えば、 ガラ ス、 樹脂、 金属、 セラミ ック、 木材、 陶磁器、 石材、 皮革等を挙げるこ とができる。
上記ガラス基材としては各種ガラスで形成されたものであれば特に限 定されず、 例えば、 ショーウィ ンドウ、 鏡、 水槽、 窓ガラス、 食器棚、 ガラスケース等の表面に使用されるガラス等を挙げることができる。 上記樹脂基材としては特に限定されず、 天然樹脂ばかりでなく合成樹 脂等を挙げることができる。 上記天然樹脂としては、 例えば、 セルロー ス、 うるし等を挙げることができる。 上記合成樹脂としては、 例えば、 ポリアミ ド樹脂、 ポリアク リ レート樹脂、 ポリアミ ドイ ミ ド榭脂、 ポリ 酢酸ビニル樹脂、 ポリ塩化ビニル樹脂、 フ Xノール樹脂、 尿素樹脂、 メ ラ ミ ン樹脂、 エポキシ樹脂、 ポリエステル樹脂等を挙げることができる c 上記金属としては特に限定されず、 例えば、 鉄、 亜鉛、 鉛、 銅、 アル ミニゥム等を挙げることができる。
第二の本発明では、 上記基材の表面に、 上記一般式 ( I X ) で表され, 数平均分子量が 5 X 1 0 2 〜 1 X 1 0 5 であるゲイ素含有有機含フッ素 ポリマーの層を形成する。
上記一般式 ( I X ) で表される式中、 R f としては、 通常、 有機含フ ッ素ポリマーを構成するパーフルォロアルキル基であれば特に限定され ず、 例えば、 炭素数 1〜 1 6の直鎖状又は分岐状のものを挙げることが できる。 好ましくは、 C F 3 —、 C 2 F 5 一、 C 3 F 7 一である。
上記一般式 ( I X ) 中の Zは、 フッ素でもよいしトリフルォロメチル 基でもよい。
上記一般式 ( Ι χ) 中の a、 b、 c、 d、 eは、 第二の本発明のゲイ 素含有有機含フッ素ポリマーの主骨格を構成するパーフルォロボリエー テル鎖の各操り返し単位数を表し、 それぞれ独立して、 0又は 1以上の 整数であり a + b + c + d+ eが 1以上であれば特に限定されないが、 それぞれ独立して、 0〜 2 0 0が好ましく、 後述する第二の本発明のケ ィ素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、 より好ま しくは、 それぞれ独立して、 0〜 5 0である。 a + b + c + d + eは、 好ましくは、 1〜 1 0 0である。
また、 a、 b、 c、 d eでく く られた各繰り返し単位の存在順序は- 便宜上一般式 ( I X) 中においてはこの順に記載したが、 通常のパーフ ルォロポリエーテル鎖の構成に鑑み、 これらの各繰り返し単位の結合順 序は、 この順に限定されるものではない。
上記一般式 ( I x) 中の Yは、 水素又は炭素数 1〜 4のアルキル基を 表す。 上記炭素数 1〜 4のアルキル基としては特に限定されず、 例えば. メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル等を挙げることができ、 直鎖状であ つても分岐状であってもよい。 上記一般式 ( I X) の Xは、 水素、 臭素 又はヨウ素を表す。 Xが臭素又はヨウ素である場合には、 ゲイ素含有有 機含フッ素ポリマーはラジカル反応性が高くなるので、 化学結合により 他の化合物と結合させるのには好都合である。
上記一般式 ( I X ) 中の £は、 パーフルォロポリエーテル鎖の末端の 炭素とこれに結合するゲイ素との間に存在するアルキレン基の炭素数を 表し、 0、 1又は 2であるが、 より好ましくは、 0である。
上記一般式 ( I x) 中の mは、 第二の本発明のゲイ素含有有機含フッ 素ポリマー中に存在するゲイ素に桔合する置換基 R' の結合数を表し、
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1、 2又は 3である。 置換基 R1 が結合していない部分には、 当該ゲイ 素には R2 が結合する。
上記 R1 は、 水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。 上記加水分解 可能な置換基としては特に限定されず、 好ましいものとしては、 例えば, ハロゲン、 一 OR3 、 一 OCOR3 、 -OC (R3 ) =C (R< ) 2 、 -ON = C (R3 ) 2 、 -ON=CR5 [式中、 R3 は、 脂肪族炭化水 素基又は芳香族炭化水素基を表し、 R4 は、 水素又は炭素数 1〜 4の脂 肪族炭化水素基を表し、 R5 は、 炭素数 3〜6の 2価の脂肪族炭化水素 基を表す。 ] 等を挙げることができる。 より好ま し く は、 塩素、 — OCH3 、 -OC2 H5 である。
上記 R2 は、 水素又は 1価の崁化水素基を表す。 上記 1価の 化水素 基としては特に限定されず、 好ましいものとしては、 例えば、 1価の脂 肪族飽和炭化水素基、 例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル等を 挙げることができ、 直鎖状であっても分岐状であってもよい。
上記一般式 ( I x) 中の nx は、 1以上の整数を表し、 特に上限はな いが、 第二の本発明の目的を達するためには、 1〜1 0の整数であるこ とが好ましい。
上記 nx は、 一般式 ( I x) 中においては整数を表すが、 このような 整数 n x を有する一般式 ( I X) で表されるポリマーの混合物として第 二の本発明に係るゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが存在していてもよ い。 このように混合物としてゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが存在す る場合には、 上記 nx は、 当該混合物中において平均値として表すこと ができ、 当該ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが混合物として存在する 場合には、 第二の本発明の目的を考慮すれば、 nx の平均値は、 1. 3 〜 3が好ましく、 1. 5〜2. 5が特に好ましい。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量は、 5 X 1 02
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〜 1 x 1 05 である。 5 x 1 02 未満では、 ポリマーとしての性質を有 しないので利用価値がなく、 1 X 1 05 を超えると加工性に乏しくなる ので、 上記範囲に限定される。 好ましくは、 1 X 1 03 〜 1 X 1 04 で ある o
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの好ましいものとして、 例えば, 下記一般式 (Π χ) で表されるもの等を挙げることができる。
[式中、 pは、 1以上の整数を表す。 Y、 X、 R1 、 R2 、 ί m、 n x は、 前記と同じ。 ]
上記一般式 (Π χ) 中の ρは、 1以上の整数であれば特に限定されな いが、 1〜 2 0 0が好ましく、 第二の本発明のゲイ素含有有機含フッ素 ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、 より好ましくは、 1〜 5 0であ る ο
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーは、 通常市販されているパーフ ルォロポリエーテルを原料として用い、 末端に、 例えば、 ヨウ素を導人 した後、 これに、 例えば、 下記一般式 [式中、 Y、 R
1 、 R
2 、 £、 m は、 前記と同じ。 で表されるビニルシラン化合物を反応させること等 により得ることができる。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを適用するにあたっては、 例え ば、 シリ力、 アルミナ、 酸化チタン、 カーボン、 セメ ン ト等の微粉末充 填剤、 チタン、 アルミニウム、 ゲイ素等のアルコキシ ド、 その他の低分 子量ポリテ トラフルォロエチレン、 テ トラフルォロェチレン zへキサフ ルォロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬度調整剤又 は増量剤等として添加することができる。 また、 通常の架橋剤を更に加 えて、 硬度調整を行うこともできる。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの眉を形成するためには、 基材 の表面に、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布する方法を採る ことができる。 上記塗布方法としては特に限定されず、 例えば、 第一の 本発明で説明したもの等を挙げることができる。
また、 塗布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。 このような溶 剤としては特に限定されず、 例えば、 第一の本発明で説明したもの等を 挙げることができる。
第二の本発明の防汚性基材におけるケィ素含有有機含フッ素ポリマー 層の厚みは特に限定されるものではないが、 0 . 0 0 1〜 0 . 0 3 m が好ましい。 0 . 0 0 1 z m未満であると汚染防止効果が乏しくなり、 0 . 0 3 c/ mを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ましく ない。
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2 0 第二の本発明によって構成されたガラス製品、 樹脂製品、 金属製品、 セラミ ック製品等は、 例えば、 以下に掲げるもの等の汚染されやすい部 分に使用することができる。
扇風機の羽根、 電子レンジの扉、 冷蔵庫の表面等の家電製品; コピー 機のコンタク トガラス、 O H P本体のミラー、 O H Pシー ト、 キーボー ド、 電話機、 事務机等の事務関連用品: グラス、 食器棚の罪、 鏡、 窓ガ ラス、 電灯の傘、 シャンデリァ等の家庭用品; ショーウィン ド、 電話ボ ックス、 水槽のガラス等の建築材料;車両ガラス、 車体の塗装面等の車 両部品; メガネフレーム、 水中メガネのガラス、 ゴーグル、 ヘルメ ッ ト, 時計の文字盤のカバーガラス等の装身具;パチンコ台のガラス、 トラン プ、 麻雀パイ等の遊具;家具、 ピアノ等の塗装面。
ネクタイピン、 ネックレス、 ピアス等の装飾品;水道蛇口、 金管楽器, 木管楽器、 ゴルフクラブ、 扉の取っ手、 ダンベル、 刃物等の金属又はメ ツキ製品;碍子、 タイル、 衛生陶器、 食器、 屋根瓦等のセラ ミ ック材料 墓石、 碁石、 大理石等の石材;壁紙、 ふすま紙、 書籍、 ポスター、 写真 等の紙製品;財布、 靴、 飽、 時計バン ド、 野球用グローブ等の皮革製品 ( 以下、 第三の本発明について詳述する。
第三の本発明の表面処理方法は、 第二の本発明で説明した上記一般式 ( I X ) で表されるゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) 、 含フッ素 有機溶剤 ( 2 ) 、 及び、 シラン化合物 (3 ) を含有してなる処理液を基 材表面に塗布することを特徴とする。
上記処理液の第一の成分は、 上記一般式 ( I X ) で表されるゲイ素含 有有機含フッ素ポリマ一 ( 1 ) である。 上記一般式 ( I X ) において、 n は、 1以上の整数を表し、 特に上限はないが、 第三の本発明の目的 を達するためには、 1〜 1 0の整数であることが好ましい。
第三の本発明において、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) としては、 上記一般式 ( I X) で表されるポリマーが混合物として存在 しているものであってもよい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが 混合物として存在する場合には、 上記 n x は、 当該混合物中において平 均値として表すことができ、 第三の本発明の目的を考慮すれば、 n x の 平均値は、 1. 3〜 3が好ましく、 1. 5〜 2. 5が特に好ましい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) の数平均分子量は、 5 X 1 02 〜 1 X 1 05 が好ましい。 5 X 1 02 未満では、 第三の本発明の 効果を発揮せず、 1 X 1 05 を超えると、 加工性に乏しくなる。 より好 ましくは、 1 X 1 0 3 〜 1 X 1 0 4 である。
第三の本発明の表面処理方法に使用する上記処理液を構成する第二の 成分は、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) である。
上記含フッ素有機溶剤 ( 2 ) としては特に限定されず、 例えば、 パー フルォ口へキサン、 パーフルォロメチルシクロへキサン、 パーフルォロ 一 1, 3—ジメチルシクロへキサン、 H C F C 2 2 5等を挙げることが できる。 なかでも、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) を容易 に溶解することができ、 また、 入手しやすいことから、 H C F C 2 2 5 が好ましい。
第三の本発明の表面処理方法に使用する上記処理液を構成する第三の 成分は、 シラン化合物 ( 3 ) である。
上記シラン化合物 ( 3 ) としては、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリ マー ( 1 ) を除く ものであれば特に限定されず、 例えば、 下記一般式
(m)
S i (OR") 4 (Π)
[式中、 R' 1は、 脂肪族炭化水素基を表し、 その炭素数は特に限定され ない。 ] で表されるゲイ素のアルコキシド化合物、 一般式 (m) で表さ
れる化合物の部分加水分解縮合生成物等を挙げることができる。 なかで も、 入手容易であることから、 テトラエトキンシランが好ましい。
第三の本発明の表面処理方法に使用する上記処理液を構成する ( 1 ) 、
( 2 ) 及び (3 ) の各成分の構成量比は特に限定されないが、 ( 1 ) : ( 2 ) は、 重量比 1 : 1〜 1 : 1 0 0 0 0であることが好ましい。 ( 1 ) 成分が多すぎると、 液粘度が上昇するため作業性を損ない、 少なすぎる と、 汚染防止効果が不充分なものとなる。 より好ましくは、 1 : 4〜 1 : 1 0 0 0である。 また、 ( 1 ) : ( 3 ) は、 重量比 1 0 : 1 〜 1 : 1 0 0であることが好ましい。 ( 1 ) 成分が多すぎると、 耐候性向上の ^果が不充分なものとなり、 少なすぎると、 汚染防止効果が不充分なも のとなる。 より好ましくは、 5 : 1〜 1 : 1 0である。
第三の本発明の上記処理液を適用するにあたっては、 例えば、 シリカ、 アルミ ナ、 酸化チタ ン、 カーボン、 セメ ント等の微粉末充填剤、 チタ ン、 アルミニゥム等のアルコキシド、 その他の低分子量ポリテトラフルォロ エチレン、 テ トラフルォロエチレン//へキサフルォロプロピレン共重合 体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬度調整剤又は増量剤等として添加す ることができる。 また、 通常の架橋剤や水、 塩酸、 硫酸、 カルボン酸、 スルホン酸等の硬化触媒を更に加えて、 硬度調整を行うこともできる。 第三の本発明の上記処理液を適用するにあたっては、 対象となる基材 の表面に、 上記処理液を塗布する方法を採ることができる。 上記塗布方 法としては、 例えば、 刷毛塗り、 スプレー塗装、 スピン塗装、 浸漬塗装、 ロールコー ト塗装、 グラビアコート塗装、 カーテンフロー塗装等を挙げ ることができる。
第三の本発明の表面処理方法においては、 上記処理液により形成され る層の厚みは特に限定されるものではないが、 0 . 0 0 1 〜 0 . 0 3 mが好ましい。 0 . 0 0 1 // m未満であると汚染防止作用が乏しくな
り、 0. 0 3 mを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ま しくない。
第三の本発明の表面処理方法としては、 上記方法のほか、 以下に記載 する方法を挙げることができる。
上記一般式 ( I x ) で表されるゲイ素含有有機含フ ッ素ポリマー ( 1 ) 、 及び、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) を含有してなる処理液 (M) を、 シラン化合物 [ただし、 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) を除く ] (3 ) を含有してなる処理液 (N) を用いて表面に下地層を形成させた 基材表面に塗布することよりなる。
上記シラン化合物 ( 3 ) は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 イソプロピルアルコール、 酢酸ェチル、 アセ トン等の有機溶媒又は水に よって所定濃度の処理液 (N) とする。 この濃度は特に限定されないが、 2〜 8 0重量%の範囲内にあることが好ましい。 2重量%未満であると、 シリカゾルの形成に長時間を要し、 8 0重量%を超えると、 液粘度が高 くなりすぎて作業性を損なうので好ましくない。
上記処理液 (N) に通常の触媒、 例えば、 塩酸を加えて所定時間静置 してシリカゾルとなした後、 塗布作業に適した濃度まで上記溶媒を用い て希釈する。 静置時間は特に限定されないが、 例えば、 2〜 1 0日であ る。 希釈濃度は所望する下地層の厚さによって異なるが、 例えば、 0. 2〜 2重量%の範囲内である。
次に、 希釈した処理液 (N) を基材表面に塗布する。 塗布方法として は、 例えば、 刷毛塗り、 スプレー塗装、 スピン塗装、 浸漬塗装、 ロール コート塗装、 グラビアコート塗装、 カーテンフロー塗装等を挙げること ができる。 上記操作によって、 基材表面にシラノールポリマーのゲル層 が形成される。
次に、 上記基材を加熱することにより、 酸化ゲイ素を主成分とする下
地層を形成することができる。 加熱温度は基材によって異なるが、 例え ば、 1 0 0〜 3 0 0ての範囲である。 加熱時間は特に限定されないが、 例えば、 1 0分〜 3時間の範囲内である。 形成される下地層の厚さは特 に限定されないが、 通常、 0. 0 5〜 0. 1 mの範囲内である。
しかる後、 上記処理液 (M) を上記の表面に下地層を形成させた基材 表面に塗布する。 塗布方法としては、 例えば、 刷毛塗り、 スプレー塗装, スピン塗装、 浸漬塗装、 ロールコート塗装、 グラビアコート塗装、 カー テンフロー塗装等を挙げることができる。
上記処理液 (M) により形成される層の厚みは特に限定されるもので はないが、 0. 0 0 1〜 0. 0 3 / mが好ましい。 0. 0 0 1 m未満 であると汚染防止作用が乏しくなり、 0. 0 3 zmを超えると眉が厚す ぎて使用に障害が生じるので好ましくない。
第三の本発明の表面処理方法を適用することができる基材としては、 例えば、 以下に掲げるもの等の汚染されやすい部分等を挙げることがで きる。
ネクタイ ピン、 ネッ ク レス、 ピアス等の装飾品;水道蛇口、 金管楽器、 木管楽器、 ゴルフクラブ、 扉の取っ手、 ダンベル、 刃物等の金属又はメ ツキ製品;碍子、 タイル、 衛生陶器、 食器、 屋根瓦等のセラミ ック材料 墓石、 碁石、 大理石等の石材;壁紙、 ふすま紙、 書籍、 ポスター、 写真 等の紙製品 ;財布、 靴、 飽、 時計バンド、 野球用グローブ等の皮革製品 t 扇風機の羽根、 電子レンジの扉、 冷蔵庫の表面等の家電製品; コピー 機のコンタク トガラス、 0 HP本体のミ ラー、 OHPシー ト、 キーボー ド、 電話機、 事務机等の事務関連用品; グラス、 食器棚の扉、 鏡、 窓ガ ラス、 電灯の傘、 シャ ンデリァ等の家庭用品 : ショーウィ ン ド、 電話ボ ックス、 水槽のガラス等の建築材料;車両ガラス、 車体の塗装面等の車 両部品 ; メガネフ レーム、 水中メガネのガラス、 ゴーグル、 ヘルメ ッ ト.
時計の文字盤のカバーガラス等の装身具: パチンコ台のガラス、 トラン プ、 麻雀パイ等の遊具;家具、 ピアノ等の塗装面。
第三の本発明の表面処理方法は、 汚染防止作用が永続すること、 及び、 充分の耐候性を有すること、 が特徴であるので、 第三の本発明の表面処 理方法を適用するのに適したものとしては、 上記各種の基材のなかでも、 例えば、 以下に掲げるものが好ましい。
扉の取っ手;屋根瓦等のセラミ ック材料;基石、 碁石、 大理石等の石 材 ; コピー機のコンタク トガラス ;窓ガラス ;車両ガラス、 車体の塗装 面等の車両部品 : パチンコ台のガラス、 トランプ、 麻雀パイ等の遊具。 以下、 第四の本発明について詳述する。
第四の本発明の表面処理組成物は、 第二の本発明で説明した上記一般 式 ( I X ) で表されるゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) 、 含フッ 素有機溶剤 (2) 、 及び、 有機溶剤 [ただし、 含フッ素有機溶剤 (2) を除く ] (4) を含有してなる。
第四の本発明の第一の成分は、 上記一般式 ( I X ) で表されるゲイ素 含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) である。 上記一般式 ( I x) において、 n は、 1以上の整数を表し、 特に上限はないが、 第四の本発明の目的 を達するためには、 1〜 1 0の整数であることが好ましい。
第四の本発明において、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) としては、 上記一般式 ( I X ) で表されるポリマーが混合物として存在 しているものであってもよい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが 混合物として存在する場合には、 上記 nx は、 当該混合物中において平 均値として表すことができ、 第四の本発明の目的を考慮すれば、 nx の 平均値は、 1. 3〜3が好ましく、 1. 5〜2. 5が特に好ましい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1) の数平均分子量は、 5 x
1 02 〜 1 x 1 05 が好ましい。 5 X 1 02 未満では、 第四の本発明の 効果を発揮せず、 1 X 1 05 を超えると、 加工性に乏しくなる。 より好 ましくは、 ι χ ΐ ο 3 〜 ΐ χ ι ο < である。
第四の本発明の表面処理組成物の第二の成分は、 含フッ素有機溶剤
(2 ) である。
上記含フッ素有機溶剤 (2 ) としては特に限定されず、 例えば、 第三 の本発明で説明したもの等を挙げることができる。 なかでも、 上記ゲイ 素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) を容易に溶解することができ、 また, 入手しやすいことから、 H C F C 2 2 5が好ましい。
第四の本発明の表面処理組成物の第三の成分は、 有機溶剤 [ただし、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) を除く ] (4 ) である。 上記有機溶剤 (4 ) と しては特に限定されず、 例えば、 アルコール類、 ケトン類、 エステル類, フッ素を除くハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。 なかでも, アルコール類が好ましい。
上記アルコール類としては特に限定されず、 例えば、 炭素数 1〜 8の —価のアルコール、 エチレングリコール、 グリセリ ン等の多価アルコー ル等を挙げることができる。 なかでも、 入手容易でかつ上記ゲイ素含有 有機含フッ素ポリマー ( 1 ) を溶解するのに好適であることから、 炭索 数 1〜 4の一価のアルコールが好ましく、 より好ましくは、 イソプロパ ノールである。
第四の本発明の表面処理組成物の各成分中、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) 及び有機溶剤 ( 4 ) は、 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) の溶媒 として機能する。 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) 及び有機溶剤 ( 4) のうち、 含フッ素有機溶剤 (2 ) は高価であるが、 有機溶剤 (4 ) は一般に安価 であり、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) に比較して有機溶剤 (4 ) の配合比率 を高めることにより、 第四の本発明の表面処理組成物を安価に調製する
ことができる。
第四の本発明の表面処理組成物において、 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) と 有機溶剤 ( 4 ) との重量配合比率は、 (2 ) : ( 4 ) が 1 : 9 9〜 9 9 : 1の範囲であることが好ましい。 含フッ素有機溶剤 ( 2 ) が 1重量% 未満であるとゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) の溶解性が低下し て表面処理組成物としての機能が果たせなくなり、 9 9重量%を超える と、 本発明の表面処理組成物の実用的なコストを達成することができな い。 より好ましくは、 1 : 9 9〜 5 0 : 5 0である。
第四の本発明の表面処理組成物を適用するにあたっては、 例えば、 シ リカ、 アルミナ、 酸化チタン、 カーボン、 セメント等の微粉末充塡剤、 チタン、 アルミニウム、 ゲイ素等のアルコキシ ド、 その他の低分子量ポ リテ トラフルォロエチレン、 テ トラフルォロエチレン Zへキサフルォロ プロビレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬度調整剤又は増量 剤等として添加することができる。 また、 通常の架橋剤や水、 塩酸、 硫 酸、 カルボン酸、 スルホン酸等の硬化'触媒を更に加えて、 硬度調整を行 うこともできる。
第四の本発明の表面処理組成物を適用するにあたっては、 対象となる 基材の表面に、 上記表面処理組成物を塗布する方法を採ることができる t 上記塗布方法としては特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で説明し たもの等を挙げることができる。
第四の本発明においては、 溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポ リマ一を、 あらかじめシラン化合物を含有してなる処理液で表面に下地 層を形成させた基材表面に塗布する方法を用いてもよい。
上記シラン化合物としては特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で 説明したシラン化合物 ( 3 ) で掲げたもの等を挙げることができる。 な かでも、 入手容易であることから、 テトラエトキンシランが好ましい。
上記シラン化合物は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 イソプ 口ピルアルコール、 酢酸ェチル、 アセトン等の有機溶媒又は水によって 所定濃度の溶液とする。 この濃度は特に限定されないが、 2〜 8 0重量 %の範囲内にあることが好ましい。 2重量%未満であると、 シリカゾル の形成に長時間を要し、 8 0重量%を超えると、 液粘度が高くなりすぎ て作業性を損なうので好ましくない。
上記溶液に通常の触媒、 例えば、 塩酸を加えて所定時間静置してシリ カゾルとなした後、 塗布作業に適した濃度まで上記溶媒を用いて希釈す る。 静置時間は特に限定されないが、 例えば、 2〜 1 0 日である。 希釈 濃度は所望する下地層の厚さによって異なるが、 例えば、 0 . 2〜 2重 量%の範囲内である。
次に、 希釈した溶液を基材表面に塗布する。 塗布方法としては特に限 定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げることができ る。 上記操作によって、 基材表面にシラノールポリマーのゲル層が形成 される。
次に、 上記基材を加熱することにより、 酸化ゲイ素を主成分とする下 地層を形成することができる。 加熱温度は基材によって異なるが、 例え ば、 1 0 0 ~ 3 0 (TCの範囲内である。 加熱時間は特に限定されないが. 例えば、 1 0分〜 3時間の範囲内である。 形成される下地層の厚さは特 に限定されないが、 通常、 0 . 0 5〜 0 . 1 mの範囲内である。
しかる後、 上記溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを上 記の表面に下地層を形成させた基材表面に塗布する。 塗布方法としては 特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げること ができる。
第四の本発明の表面処理組成物により形成される層の厚みは特に限定 されるものではない力く、 0 . 0 0 1 〜 0 . 0 3 // mが好ま しい。
2 g
0 . 0 0 1 /z m未満であると汚染防止作用が乏しくなり、 0 . 0 3 〃m を超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ましくない。
第四の本発明の表面処理方法を適用することができる基材としては、 例えば、 以下に掲げるもの等の汚染されやすい部分等を挙げることがで きる。
ネクタイピン、 ネック レス、 ピアス等の装飾品 ;水道蛇口、 金管楽器、 木管楽器、 ゴルフクラブ、 扉の取っ手、 ダンベル、 刃物等の金厲又はメ ツキ製品 :碍子、 タイル、 衛生陶器、 食器、 屋根瓦等のセラミ ック材料 墓石、 碁石、 大理石等の石材;壁紙、 ふすま紙、 書籍、 ポスター、 写真 等の紙製品;財布、 靴、 飽、 時計バン ド、 野球用グローブ等の皮革製品 C 扇風機の羽根、 電子レンジの扉、 冷蔵庫の表面等の家電製品; コピー 機のコンタク トガラス、 O H P本体のミラー、 O H Pシート、 キーボー ド、 電話機、 事務机等の事務関連用品 : グラス、 食器棚の扉、 鏡、 窓ガ ラス、 電灯の傘、 シャンデリァ等の家庭用品 : ショーウィンド、 電話ボ ックス、 水槽のガラス等の建築材料;車両ガラス、 車体の塗装面等の車 両部品 ; メガネフレーム、 .水中メガネのガラス、 ゴーグル、 ヘルメ ッ ト、 時計の文字盤のカバーガラス等の装身具; パチンコ台のガラス、 トラン プ、 麻雀パイ等の遊具;家具、 ピアノ等の塗装面。
第四の本発明の表面処理方法は、 汚染防止作用が永続すること、 及び, 表面処理組成物を容易に調製することができること、 が特徴であるので- 第四の本発明の表面処理方法を適用するのに適したものとしては、 上記 各種の基材のなかでも、 例えば、 以下に掲げるものが好ましい。
グラス、 食器棚の扉、 鏡、 窓ガラス、 電灯の傘、 シャンデリア等の家 庭用品 ; ショーウィ ン ド、 電話ボックス、 水槽のガラス等の建築材料; 車両ガラス、 車体の塗装面等の車両部品。
以下、 第五の本発明について詳述する。
第五の本発明の着氷防止剤は、 第二の本発明で説明した上記一般式 ( I X) で表されるゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを含有してなる。 上記一般式 ( I X ) において、 n x は、 1以上の整数を表し、 特に上 限はないが、 第五の本発明の目的を達するためには、 1〜 1 0の整数で あることが好ましい。
第五の本発明において、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) としては、 上記一般式 ( I X ) で表されるポリマーが混合物として存在 しているものであってもよい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが 混合物として存在する場合には、 上記 nx は、 当該混合物中において平 均値として表すことができ、 第五の本発明の目的を考慮すれば、 nx の 平均値は、 1. 3〜 3が好ましく、 1. 5〜2. 5が特に好ましい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) の数平均分子量は、 5 X 1 0 2 〜 1 X 1 0 5 が好ましい。 5 X 1 0 2 未満では、 第五の本発明の 効果を発揮せず、 1 X 1 0 5 を超えると、 加工性に乏しくなる。 より好 ましくは、 1 X 1 0 3 〜 1 X 1 0 < である。
第五の本発明の着氷防止剤を適用するにあたっては、 例えば、 シリカ, アルミナ、 酸化チタン、 力.一ボン、 セメ ン 卜等の微粉末充塡剤、 チタン、 アルミニウム、 ゲイ素等のアルコキシド、 その他の低分子量ポリテトラ フルォロエチレン、 テ トラフルォロエチレン/へキサフルォロプロピレ ン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬度調整剤又は増量剤等とし て添加することができる。 また、 通常の架橋剤や水、 塩酸、 硫酸、 カル ボン酸、 スルホン酸等の硬化触媒を更に加えて、 硬度調整を行うことも できる。
第五の本発明の着氷防止剤を適用するにあたっては、 対象となる基材 の表面に、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布する方法を採る
ことができる。 上記塗布方法としては特に限定されず、 例えば、 第三の 本発明で説明したもの等を挙げることができる。
また、 塗布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。 このような溶 剤としては特に限定されず、 例えば、 パーフルォ口へキサン、 パーフル ォロメチルシクロへキサン、 ノ 一フルオロー 1 , 3—ジメチルシクロへ キサン、 H C F C 2 2 5等を挙げることができる。
第五の本発明においては、 溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポ リマーを、 あらかじめシラン化合物を含有してなる処理液で表面に下地 層を形成させた基材表面に塗布する方法を用いてもよい。
上記シラン化合物としては特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で 説明したシラン化合物 ( 3 ) で掲げたもの等を挙げることができる。 な かでも、 入手容易であることから、 テトラエトキシシランが好ましい。 上記シラン化合物は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 イソプ 口ピルアルコール、 酢酸ェチル、 アセトン等の有機溶媒又は水によって 所定濃度の溶液とする。 この濃度は特に限定されないが、 2 〜 8 0重量 %の範囲内にあることが好ましい。 2重量%未満であると、 シリカゾル の形成に長時間を要し、 8 0重量%を超えると、 液粘度が高くなりすぎ て作業性を損なうので好ましくない。
上記溶液に通常の触媒、 例えば、 塩酸を加えて所定時間静置してシリ 力ゾルとなした後、 塗布作業に適した濃度まで上記溶媒を用いて希釈す る。 静置時間は特に限定されないが、 例えば、 2 〜 1 0曰である。 希釈 濃度は所望する下地層の厚さによって異なるが、 例えば、 0 . 2 〜 2重 量%の範囲内である。
次に、 希釈した溶液を基材表面に塗布する。 塗布方法としては特に限 定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げることができ る。 上記操作によって、 基材表面にシラノールポリマーのゲル層が形成
7
3 2 される。
次に、 上記基材を加熱することにより、 酸化ゲイ素を主成分とする下 地層を形成することができる。 加熱温度は基材によって異なるが、 例え ば、 1 0 0〜 3 0 0 °Cの範囲内である。 加熱時間は特に限定されないが、 例えば、 1 0分〜 3時間の範囲内である。 形成される下地層の厚さは特 に限定されないが、 通常、 0. 0 5〜 0. 1 の範囲内である。
しかる後、 上記溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを上 記の表面に下地層を形成させた基材表面に塗布する。 塗布方法としては 特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げること ができる。
第五の本発明の着氷防止剤により形成されるゲイ素含有有機含フッ素 ポリマー層の厚みは特に限定されるものではないが、 0. 0 0 1 〜 0. 0 3 mが好ましい。 0. 0 0 1 /m未満であると着氷防止効果が 乏しくなり、 0. 0 3 mを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じる ので好ましくない。
第五の本発明の着氷防止剤を適用することができる基材としては特に 限定されず、 例えば、 自動車、 列車等の車両、 航空機、 船舶等の移動物, 住宅等の建造物等に使用される基材、 水冷実験設備等の特殊施設、 冷蔵 庫等の家電製品等を挙げることができる。 なかでも、 車両、 航空機、 船 舶等の風防ガラス等は、 着氷することにより危険が生じるので、 特に重 要である。 以下、 第六の本発明について詳述する。
第六の本発明の撥水性ガラスは、 ガラスの表面に、 第二の本発明で説 明した上記一般式 ( I x) で表されるゲイ素含有有機含フッ素ポリマー の層を形成してなる。
上記一般式 ( I x) において、 nx は、 1以上の整数を表し、 特に上 限はないが、 第六の本発明の目的を達するためには、 1〜 1 0の整数で あることが好ましい。
第六の本発明において、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) としては、 上記一般式 ( I x) で表されるポリマーが混合物として存在 しているものであってもよい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーが 混合物として存在する場合には、 上記 n x は、 当該混合物中において平 均値として表すことができ、 第六の本発明の目的を考慮すれば、 n x の 平均値は、 1. 3〜 3が好ましく、 1. 5〜 2. 5が特に好ましい。 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー ( 1 ) の数平均分子量は、 5 X 1 0 2 〜 1 X 1 0 5 が好ましい。 5 X 1 0 2 未満では、 第六の本発明の 効果を発揮せず、 1 X 1 0 5 を超えると、 加工性に乏しくなる。 より好 ましくは、 1 X 1 0 3 〜 1 X 1 C である。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを適用するにあたっては、 例え ば、 シリカ、 アルミナ、 酸化チタン、 カーボン、 セメ ント等の微粉末充 填剤、 チタン、 アルミニウム、 ゲイ素等のアルコキシ ド、 その他の低分 子量ポリテ トラフルォロェチレン、 テ トラフルォロェチレン へキサフ ルォロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、 硬度調整剤又 は増量剤等として添加することができる。 また、 通常の架橋剤 ;水、 塩 酸、 硫酸、 カルボン酸、 スルホン酸等の硬化触媒を更に加えて、 硬度調 整を行うこともできる。
上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーの層を形成するためには、 ガラ スの表面に、 上記ゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布する方法を採 ることができる。 上記塗布方法としては特に限定されず、 例えば、 第三 の本発明で説明したもの等を挙げることができる。
また、 塗布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。 このような溶
剤としては特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を 挙げることができる。
第六の本発明においては、 溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポ リマーを、 あらかじめシラ ン化合物を含有してなる処理液で表面に下地 眉を形成させた基材表面に塗布する方法を用いてもよい。
上記シラン化合物としては特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で 説明したシラ ン化合物 ( 3 ) で掲げたもの等を挙げることができる。 な かでも、 入手容易であることから、 テトラエトキシシランが好ましい。 上記シラ ン化合物は、 メチルアルコール、 エチルアルコール、 イ ソプ 口ピルアルコール、 酢酸ェチル、 アセトン等の有機溶媒又は水によって 所定濃度の溶液とする。 この濃度は特に限定されないが、 2〜 8 0重量 %の範囲内にあることが好ましい。 2重量%未満であると、 シリカゾル の形成に長時間を要し、 8 0重量%を超えると、 液粘度が高くなりすぎ て作業性を損なうので好ましくない。
上記溶液に通常の触媒、 例えば、 塩酸を加えて所定時間静置してシリ 力ゾルとなした後、 塗布作業に適した濃度まで上記溶媒を用いて希釈す る。 静匱時間は特に限定されないが、 例えば、 2〜 1 0日である。 希釈 濃度は所望する下地層の厚さによって異なるが、 例えば、 0 . 2〜 2重 量%の範囲内である。
次に、 希釈した溶液を基材表面に塗布する。 塗布方法としては特に限 定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げることができ る。 上記操作によって、 基材表面にシラノールポリマーのゲル層が形成 される。
次に、 上記基材を加熱することにより、 酸化ゲイ素を主成分とする下 地層を形成することができる。 加熱温度は基材によって異なるが、 例え ば、 1 0 0〜 3 0 0 °Cの範囲内である。 加熱時間は特に限定されないが,
例えば、 1 0分〜 3時間の範囲内である。 形成される下地層の厚さは特 に限定されないが、 通常、 0. 0 5〜 0. 1 zmの範囲内である。
しかる後、 上記溶剤で希釈したゲイ素含有有機含フッ素ポリマーを上 記の表面に下地眉を形成させた基材表面に塗布する。 塗布方法としては 特に限定されず、 例えば、 第三の本発明で説明したもの等を挙げること ができる。
第六の本発明の撥水性ガラスにおけるゲイ素含有有機含フッ素ポリマ 一層の厚みは特に限定されるものではないが、 0. 0 0 1 〜 0. 0 3 が好ましい。 0. 0 0 1 / m未満であると撥水性効果が乏しくなり、 0. 0 3 /mを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ましく ない。 発明を実施するための最良の形態
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、 本 発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 合成例 1
攪拌機、 滴下ロー卜、 還流冷却器及び温度計を備えた 2. 0 L 4つ口 フラスコ中に 2 6 1 7 g ( 1 0. 3モル) のヨウ素、 2 1 3. 2 g ( 1. 5 4 モル) の炭酸カリウム、 および 9 0 0 0 gのへキサクロ口 1, 3 —ブタジェンを仕込み、 系の温度を 1 6 0てに維持しながら窒素 気流下に、 化学式 F— (C F 2 C F z C F z 0) n - C F 2 C F 2 C O Fで表される ω—フルォロポリパーフルォロォキセタンァシルフルオラ ィ ド (平均分子量 3 9 0 0 ) 4 0 0 0 g (し 0 3モル) を 1 0 mL/ m i nの速度で滴下した。
滴下終了後、 反応温度を 1 8 5 °Cに上昇させ、 2 0時間反応させた。
反応終了後、 系を冷却したのちカリウム塩を濾別し、 2層に分離した 液相から分液ロートを用いて下層を分取した。 これをァセトンを用いて 数回洗浄したのち、 1 Lのパーフルォ口へキサンに溶解し、 ガラスフィ ルターによって微細な不溶物を濂別した。 得られた溶液から減圧下揮発 分を完全に留去することによって 3 8 9 0 g (収率 9 5 %) の化学式 F— (C F 2 C F 2 C F 2 0) n - C F 2 C F 2 Iで表される ω—フル ォロポリパーフルォロォキセタンヨウ素化物を得た。
赤外吸収スぺク トルより、 1 8 9 0 cnr'の一 C (=0) Fの吸収が 完全に消失し、 9 1 0 c m-1に新たに一 C F 2 Iの吸収が生じた。 合成例 2
攪拌機、 滴下ロート、 還流冷却器及び温度計を備えた 2 0 O mL 4つ 口フラスコ中に合成例 1にて合成した化学式 F— (C F2 C F2 C F2 0) n - C F a C F 2 Iで表される ω—フルォロポリパーフルォロォキ セタンヨウ素化物 4 O gをへキサフルォロテ トラクロロブタン 〔ダイフ ロンソルベン ト S— 3 1 6 (ダイキン工業社製) 〕 8 O gに溶解したも の、 及び、 ジ t 一ブチルパーォキシド 1. 5 g ( 1 X 1 0— 2モル) を仕 込み、 充分に系内を窒素置換したのち、 窒索気流下滴下ロートよりビニ ノレト リ クロロシラン 1 6. 1 g (0. 1 0モル) を滴下した。 滴下終了 後系内の温度を 1 2 0 °Cに昇温させ、 4時間反応させた。 反応終了後減 圧下揮発分を完全に留去することによって末端にヨウ素を有するゲイ素 含有有機含フッ素ポリマー (A) 3 8. 7 g (収率 9 0 %) を得た。 合成例 3
攪拌機、 滴下ロート、 還流冷却器及び温度計を備えた 2 0 0 mL 4つ 口フラスコ中に合成例 2にて合成したゲイ素含有有機含フッ素ポリマー
(A) 3 4. 4 g ( 8 X 1 (J -3モル) をパーフルォ口へキサン 5 O gに 溶解したものを仕込み、 亜鉛 2. 1 g ( 3. 2 X 1 0— 2モル) を強攪拌 分散させた。 氷水浴で系を冷却し、 窒素気流下無水メタノール 1 0 gを 滴 Fした。
滴下終了後氷水浴を取り除き、 加熱還流下 2時間反応させた。 反応終 了後不溶物を濾別し、 2層に分離した液相から分液ロートを用いて下層 を分取した。 得られた溶液を無水メタノールを用いて 3回洗浄したのち, 減圧下揮発分を完全に留去することによって、 末端が水素化されたゲイ 素含有有機含フッ素ポリマー (B) 3 1. 6 g (収率 9 2 %) を得た。
'Η— NMRより、 1. 2〜 3. 0 p p mに下記の式の各水素原子に 由来する幅広い吸収体が現れた。 内部標準として ω—フルォロパーフル ォロォキセタン水素化物 5. 0モル%を添加し、 下記の数式から重合度 を計算すると 2. 0となった。
I Z I , = 〔 0. 9 5 ( 3 P + l ) ] / 0. 0 5
I : 1. 2〜 3. O p pmの積分吸収強度
I s : 内部標準物質の積分吸収強度
P :重合度 合成例 4
ジ t一ブチルパーォキシ ドを 0. 2 9 g ( 2 X 1 0— 3モル) と した
と以外は、 合成例 2と同様にして合成を行ったところ、 得られたゲイ素 含有有機含フッ素ポリマー (C) を得た。 合成例 5
原料としてゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (C) を用いたこと以外 は、 合成例 3 と同様にして合成を行った。 得られたゲイ素含有有機含フ ッ素ポリマー (D) について、 合成例 3と同様に重合度を計算したとこ ろ、 1. 0であった。 実施例 1、 比較例 1〜 2
合成例 3、 5で得たもの、 及び、 市販の含フッ素シランカツプリ ング 剤 KBM 7 8 0 3 CC8 F wCH2 CH2 S i (O CH3 ) 3 、 信越化 学社製〕 (以下、 単に 「市販品」 という。 ) を、 パーフルォ口へキサン の 0. 1重量%溶液となした処理液を調製した。 基材となるガラス板を. 使用前に水洗し、 その後にメタノールとァセトンを用いて充分に洗浄し た。 このようにして準備したガラス板を処理液に 1 0秒間ディ ッビング し、 引き上げた後 6 0分間風乾した。 ついで 5分間パーフルォ口へキサ ン中で超音波洗浄を行って過剰の処理剤分子を除去した上で、 風乾し、 各測定に供した。
評価は、 以下の基準で行った。
( 1 ) 指紋付着性は、 試料に指紋を付け、 その付き易さを目視で判定し た。
〇:指紋の付着が少なく、 付いた指紋が目立たない
X :未処理のガラス板と同程度に指紋が付着する
Δ: どちらとも判定しにくレ、
( 2 ) 指紋拭取性は、 指紋付着性の評価に用いた試料の表面をキムワイ
プ (十條キンバリー社製) で一往復拭き取り、 指紋の取れ易さを目視判 定した。
〇:指紋を完全に拭き取ることができる
△:指紋の拭き取り跡が残る
X :指紋の拭き取り跡が広がり、 除去することが困難である
( 3 ) 対水接触角の測定は接触角計 (協和界面科学機械社製 C A— DT 型) を用いて測定した。
それぞれの評価結果を表 1に示した。 表 1
実施例 2、 比較例 3
合成例 3で得たもの、 及び、 市販品を、 パーフルォ口へキサンの 0. 1重量%溶液となした処理液を調製した。 基材となるアルミニウム 板 〔 0. 5 mmの J I S H 4 0 0 0 ( A 1 0 5 0 P ) に規定された もの〕 を、 使用前に水洗し、 その後にメタノールとアセ ト ンを用いて充 分に洗浄した。 このようにして準備したアルミニウム板を処理液に 1 0 秒間デイ ツビングし、 引き上げた後 6 0分間風乾した。 ついで 5分間パ 一フルォ口へキサン中で超音波洗浄を行って過剰の処理剤分子を除去し
た上で、 風乾し、 各測定に供した。 比較例 4
別に無処理のアルミニウム板を用意した。 評価は、 以下の基準で行った。
試料の表面を、 キムワイプ (十條キンバリー社製) を手に持って、 中 位の強さで同じ表面に対して 1 0 0往復拭き取り操作を繰り返した。 拭 き取り操作前の対水接触角と拭き取り操作終了後の対水接触角を測定し た。 対水接触角の測定は接触角計 (協和界面科学機械社製 C A— D T型) を用いて測定した。
それぞれの評価結果を表 2に示した。 表 2
実施例 3
合成例 3で得たゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (B) 0. 1重量% に、 H C F C 2 2 5を 9 9. 8重量%、 テトラエトキンシラン 0. 1重 量%を混合して処理液を調製した。
ガラス板を、 使用前に水洗し、 その後にメタノールとアセトンを用い て充分に洗浄した。 このようにして準備したガラス板を上記処理液に 1 分間デイ ツ ビングし、 引き上げた後、 6 0 °C、 8 0 %RHの条件下で 6 0分間放置した。 ついで H C F C 2 2 5にて充分に洗浄して過剰の処 理液分子を除去した。
このようにして作成した検体を、 アイスーパー UVテスター (岩崎電 気社製、 S UV— W 1 3) 中にて 1 6 1時間 ( 3. 3年相当) の促進耐 候性試験にかけ、 その前後で対水接触角を比較した。 対水接触角は、 接 触角計 (協和界面科学機械社製 C A— DT型) を用いて測定した。 結果 を表 3に示した。 比較例 5
合成例 3で得たゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (B) 0. 1重量% に、 H C F C 2 2 5 9 9. 9重量%を混合して処理液を調製したこと 以外は、 実施例 3と同様にして処理液を調製し、 同様に試験に供した。 結果を表 3に示した。 表 3
対 水 接 触 角 - 試験前 試験後
実施例 3 1 1 40 1 0 90
比較例 5 1 1 2 ° 1 0 10
実施例 4
H C F C 2 2 5が 1 0重量%、 イソプロパノールが 9 0重量%の組成 からなる混合溶媒 9 9. 9重量%に、 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (B) 0. 1重量%を混合して表面処理組成物を得た。
ガラス板を、 使用前に水洗し、 その後にメタノールとアセトンを用い て充分に洗浄した。 このようにして準備したガラス板を上記表面処理組 成物に 1分間デイ ツビングし、 引き上げた後、 6 0て、 9 0 %RHの条 件下で 2 4時間放置した。 ついで HC F C 2 2 5にて充分に洗浄して過 剰の表面処理組成物分子を除去した。 比較例 6
H C F C 2 2 5を 9 9. 9重量%、 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマー (B) を 0. 1重量%混合して表面処理組成物を調製したこと以外は、 実施例 4と同様にして処理液を調製し、 同様に試験に供した。 結果を表 4に示した。 表 4
比較例 7
イソプロパノール 9 9. 9重量%に、 ゲイ素含有有機含フッ素ポリマ
— ( B ) 0 . 1重量%を混合して表面処理組成物を調製しょうとしたが、 両者は混合せず、 表面処理組成物は得られなかった。 実施例 5
合成例 3で得たものを、 パーフルォ口へキサンの 0 . 1重量%溶液と なした処理液を調製した。 ガラス板を、 使用前に水洗し、 その後にメタ ノールとァセ 卜ンを用いて充分に洗浄した。 このようにして準備したガ ラス板を処理液に 1 0秒間ディ ッビングし、 引き上げた後 6 0分間風乾 した。 ついで 5分間パーフルォ口へキサン中で超音波洗浄を行って過剰 の処理剤分子を除去した上で、 風乾した。
処理を行ったガラス板を 2 0 °C、 7 0 % R Hの雰囲気下でドライアイ ス上に静置し、 約 0 . 2 m m厚の着氷を生じさせた。
着氷させたガラス板表面を、 ポリエチレン製のヘラを用いて数往復軽 く擦り、 着氷を除去することにより、 着氷防止効果の判定を行った。 判 定基準は以下のとおりである。
〇: 容易に着氷を除去することができ、 全ガラス表面を露出させるこ とが可能である
Δ: ガラス表面を露出させることは可能であるが、 着氷が部分的に残 存する
X : ガラス表面が露出しない
結果を表 5に示した。 比較例 8
市販品を、 パーフルォ口へキサンの 0 . 1重量%溶液となした処理液 を調製した。 ガラス板を、 使用前に水洗し、 その後にメタノールとァセ トンを用いて充分に洗浄した。 このようにして準備したガラス板を処理
液に 1 0秒間ディ ッビングし、 引き上げた後 6 0分間風乾した。 ついで 5分間パーフルォ口へキサン中で超音波洗浄を行って過剰の処理剤分子 を除去した上で、 風乾した。
処理を行ったガラス板を 2 0 °C、 7 0 %RHの棼囲気下でドライアイ ス上に静置し、 約 0. 2 mm厚の着氷を生じさせた。
実施例 5と同様にして着氷防止効果の判定を行った。 結果を表 5に示 した。 比較例 9
使用前に水洗し、 その後にメタノールとァセトンを用いて充分に洗浄 したガラス板を、 2 0 ° (:、 7 0 %RHの棼囲気下でドライアイス上に静 置し、 約 0. 2 mm厚の着氷を生じさせた。
実施例 5と同様にして着氷防止効果の判定を行った。 結果を表 5に示 した。 表 5
実施例 6、 比較例 1 0
合成例 3で得たもの、 及び、 市販品を、 パーフルォ口へキサンの
0 . 1重量%溶液となした処理液を調製した。 ガラス板を、 使用前に水 洗し、 その後にメタノールとアセ ト ンを用いて充分に洗浄した。 このよ うにして準備したガラス板を処理液に 1 0秒間ディ ッビングし、 引き上 げた後 6 0分間風乾した。 ついで 5分間パーフルォ口へキサン中で超音 波洗浄を行って過剰の処理剤分子を除去した上で、 風乾し、 各測定に供 した。
対水接触角及び水滴転落角は、 接触角計 (協和界面科学機械社製 C A 一 D T型) を用いて測定した。
剝離強度は、 市販のセロハンテープ (積水化学工業社製、 1 8 m m幅) を用い、 引っ張り速度 5 0 m m /秒の条件での剝離強度を測定した。 表 6
産業上の利用可能性
第一の本発明のフッ素含有ポリマーは、 上述の構成よりなるので、 特 に指紋等に対する防汚性及び対水接触角が極めて良好であり、 光学レン ズ、 メガネレンズ、 ガラス、 金属、 セラミ ック、 有機材料等の広範囲の 分野に好適に適用することができる。 第二の本発明の防汚性基材は、 上述の構成よりなるので、 特に指紋等
に対する防汚性が極めて良好であり、 ガラス、 樹脂、 金属、 セラミ ック. 木材、 陶磁器、 石材、 皮革等の基材に好適に使用することができる。 第三の本発明の表面処理方法は、 上述の構成よりなるので、 充分な汚 染防止作用を有するとともにその作用が永続し、 更に充分な耐候性をも 併せもち、 特に屋外暴露等の過酷な条件における汚染防止作用が必要な 基材に好適に用いることができる。 第四の本発明の表面処理組成物は、 上述の構成よりなるので、 充分な 汚染防止作用を有するとともにその作用が永続し、 充分な耐候性をも併 せもち、 また、 安価に得られることができるので、 汎用的に使用するの に特に好適である。 第五の本発明の着氷防止剤は、 上述の構成よりなるので、 氷の付着を 効果的に防止することができ、 更には、 いったん付着した氷を極めて簡 単に除去することができる。 第六の本発明の撥水性ガラスは、 上述の構成よりなるので、 耐久性、 表面潤滑性、 表面非粘着性に優れ、 かつ、 充分の撥水性を有するので、 特に、 建築物、 車両、 船舶、 航空機等の風防ガラスとして好適に使用す ることができる。