JP3315004B2 - 表面処理された基材およびその製造方法 - Google Patents

表面処理された基材およびその製造方法

Info

Publication number
JP3315004B2
JP3315004B2 JP09968794A JP9968794A JP3315004B2 JP 3315004 B2 JP3315004 B2 JP 3315004B2 JP 09968794 A JP09968794 A JP 09968794A JP 9968794 A JP9968794 A JP 9968794A JP 3315004 B2 JP3315004 B2 JP 3315004B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
layer
substrate
independently
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09968794A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0724958A (ja
Inventor
健 河里
和也 平塚
貴重 米田
常生 若林
文明 郡司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP09968794A priority Critical patent/JP3315004B2/ja
Publication of JPH0724958A publication Critical patent/JPH0724958A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3315004B2 publication Critical patent/JP3315004B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/40Coatings comprising at least one inhomogeneous layer
    • C03C2217/42Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of particles only
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/40Coatings comprising at least one inhomogeneous layer
    • C03C2217/43Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase
    • C03C2217/46Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase characterized by the dispersed phase
    • C03C2217/47Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase characterized by the dispersed phase consisting of a specific material

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水滴の付着が少ないまた
は付着した水滴の除去が容易な表面を有する基材および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種基材、また表面処理層を有する各種
基材はあらゆる分野で使用されているが、その表面での
水のもたらす悪影響が問題となっている。
【0003】例えば、電車、自動車、船舶、航空機等の
輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面材
等の外層部材、計器盤表面材等の内層部材、その他の物
品の表面は常に清浄であることが好ましい。輸送機器物
品の表面に、雨滴、ほこり、汚れ等が付着したり、大気
中の湿度、温度の影響で水分が凝縮したりすると、その
外観が損なわれる。それが、人の目に直接触れる表面で
あったり、人が直接接する表面であったりすると、不快
感や衛生上の問題も生じる。
【0004】さらには、輸送機器用物品が有する本来の
機能を著しく低下させることにもなる。特に、輸送機器
用物品が透明性、透視性を要求される物品(例えば、窓
ガラス、鏡等)である場合には、この透明性、透視性の
減少はその物品の本来の目的を達成できないことに通
ねない。
【0005】水滴を除去するための手段(例えば、拭き
取り、ワイパーによる除去)は、ときとして表面に微細
な傷を付けることがある。また、水滴等に伴われる異物
粒子よってかかる傷を一層著しいものにすることもあ
る。さらに、ガラス表面に水分が付着した場合には水分
中にガラス成分が溶出し、表面が浸食されていくいわゆ
る焼けを生じることはよく知られている。この焼けを除
去するために強く摩擦すると微細な凸凹を生じやすい。
焼けが激しく生じたガラスや表面に微細な凸凹を生じた
ガラスからなる透視部は、本来の機能が低下しまた、
その表面で光の散乱が激しく視野確保の点で不都合が生
る。
【0006】その他にも、水分は輸送機器物品の表面に
有害な影響を与えて、損傷、汚染、着色、腐食等を促進
させ、また、輸送機器用物品の電気特性、機械的特性、
光学的特性等の変化を誘発することもある。この種の水
がもたらす悪影響は輸送機器用物品に限らず、建築・建
装用物品、電気・電子機器用物品等各種分野で問題とな
っている現象である。
【0007】このような現状において、基材表面に水滴
の付着が少ない、または付着した水滴の除去が容易な性
質(以下これらを単に撥水性という)を付与することは
強く求められている。従来から表面を撥水性にするため
に、例えば、シリコーン系ワックスやオルガノポリシロ
キサンからなるシリコーン油、界面活性剤など直接塗布
する表面処理剤が提案されている。
【0008】しかし、これらは塗布に伴う前処理を必要
とするものが多く、かつ塗布時に塗布ムラが発生しやす
いという問題があった。また、処理剤自身の基材への付
着性が低いことにより、撥水性の長期持続性を満足する
には至らず、適用範囲が限定されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明者は従来の提案
が有する欠点を解消しうる処理剤の研究、検討の過程に
おいて、多種類の基材に応用が可能であり、優れた撥水
性を発現する処理剤を見いだし、しかも、該処理剤で処
理した各種基材は撥水性を有する基材として、特に、輸
送機器用または建築・建装用としてきわめて好適である
ことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】したがって、本発明は撥水性を有し、耐摩
耗性、耐薬品性、耐候性に優れることで、その効果が半
永久的に持続する基材の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
したもので、少なくとも2層の表面処理層を有する基材
であって、表面処理層の最外層である第1層が、水に対
する接触角値が70度以上である表面を形成る化合物
(1)を含む処理剤で処理することにより形成された層
であり、最外層に接する下層である第2層が、耐熱性高
分子薄膜を形成る化合物(2)と高分子微粒子を含む
処理剤で処理して得られる薄膜を加熱して高分子微粒子
を熱分解することにより形成された耐熱性高分子薄膜層
であることを特徴とする表面処理された基材、である。
【0012】本発明において水に対する接触角値が70
度以上である表面を形成る化合物(1)[以下化合物
(1)という]は撥水性、防汚性を発現するのに必須な
成分であり、化合物(1)の構造に関しては特に限定は
ない。しかし、後述する第2層との密着性を考慮した場
合には、反応性基を有しているものが好ましい。
【0013】ここで、反応性基とは、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシ置換アルコキ
シ基、アミノキシ基、アミド基、ケトキシメート基、水
酸基、メルカプト基、エポキシ基、グリシジル基、ビニ
ル基やアリル基等の不飽和炭化水素基、カルボキシ基等
の官能基、または水素結合可能な原子(例えば酸素原
子、窒素原子等)を有する官能基等を意味する。
【0014】化合物(1)は、水に対する接触角値が7
0度以上である表面を形成る化合物である必要上、疎
水性の有機基を少なくとも1個有する。この疎水性の有
機基としては、長鎖の炭化水素基やフッ素原子を有する
有機基等が適当である。
【0015】鋭意検討の結果、少なくとも1つのイソシ
アネート基がケイ素原子に直接結合したイソシアネート
シラン化合物、および/または少なくとも1つの加水
分解性基が直接ケイ素原子に結合した加水分解性シラン
化合物であって、上記のような疎水性の有機基を有する
化合物が、特に本発明における化合物(1)として有効
であることが判明した。
【0016】以下、「反応性シラン化合物」とは、下記
「加水分解性シラン化合物」と「イソシアネートシラン
化合物」の両者の総称として使用する。
【0017】「加水分解性シラン化合物」とは、少なく
とも1つの加水分解性基がケイ素原子に結合している化
合物である。
【0018】「イソシアネートシラン化合物」とは、少
なくとも1つのイソシアネート基がケイ素原子に結合し
ている化合物である。
【0019】「イソシアネート基」は「加水分解性基」
の一種であるとする考え方もあるが(すなわち、ケイ素
原子に結合したイソシアネート基は加水分解性基の一種
であるとも考えられる)、本発明では両者は別物とす
る。
【0020】なお、本発明においては、「イソシアネー
ト基」と「加水分解性基」の両者の総称を「反応性シラ
ン基」とする。
【0021】反応性シラン化合物として好ましいもの
は、反応性シラン基を複数個有する化合物である。化合
物(1)は前述のように反応性シラン化合物が好まし
い。より具体的には、下記式(A)で表される化合物
[以下化合物Aともいう]、下記式(B)で表される化
合物[以下化合物Bともいう]、および下記式(C)
[以下化合物Cともいう]で表される化合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種である。
【0022】
【化4】 ただし、R1 、R2 、R3 、R4 は独立に水素原子、水
酸基、アミノ基または炭素数1〜30の有機基を表す。
Yは2価の有機基を表す。Zはイソシアネート基および
/または加水分解性基を表す。a、bは独立に0、1
たは2であって0≦a+b≦2なる整数を表す。c、d
は独立に0、1または2であって0≦c+d≦2なる整
数を表す。
【0023】
【化5】 ただし、R5 、R6 、R7 は独立に水素原子、水酸基、
アミノ基または炭素数1〜30の有機基(ただし少なく
とも1つは有機基)を表す。Zはイソシアネート基およ
び/または加水分解性基を表す。e、g、hは独立に
0、1または2であって1≦e+g+h≦3なる整数を
表す。
【0024】
【化6】 ただし、R8 〜R13は独立に水素原子、水酸基、アミノ
基または炭素数1〜30の有機基(ただし少なくとも1
つは有機基)を表す。Zはイソシアネート基および/ま
たは加水分解性基を表す。i、jは独立に0、1または
2であって1≦i+j≦3なる整数を表す。k、mは独
立に0、1または2であって0≦k+m≦2なる整数
表す。p、qは独立に0、1または2であって1≦p+
q≦3なる整数を表す。ただし、i+j+k+m+p+
q≦7であるnは繰返し単位数であって0≦nなる整
数を表す。
【0025】化合物(1)は、少なくとも1つの疎水性
の有機基を有する反応性シラン化合物である反応性シ
ラン基のZは、イソシアネート基でも加水分解性基でも
よい。化合物(1)中に両方の基があってもよい。
【0026】化合物(1)におけるイソシアネート基ま
たは加水分解性基は各種基材との密着性を高めるうえで
非常に重要な構造単位である。
【0027】以下、まず化合物(1)についてさらに詳
細に説明する。
【0028】化合物(1)がイソシアネートシラン化合
物の場合、この化合物[以下化合物(1−NCO)とい
う]は水に対する接触角値が70度以上である表面を形
成しうる化合物である必要がある。すなわち、この化合
物(1−NCO)で処理された表面の水に対する接触角
値は70度以上となる必要がある。化合物(1−NC
O)は被処理層と化学的、物理的に結合すると考えられ
る。イソシアネート基が反応性であるので化合物(1−
NCO)は主として化学的反応により被処理層の表面に
結合するものと考えられる。すなわち、結合状態におい
て、イソシアネート基は変化しているものと考えられ
る。
【0029】例えば、被処理層が後述するような反応性
シランにより形成されている場合には、イソシアネート
基は被処理層表面のシラノール基と反応すると考えら
れ、また、イソシアネート基が脱離して生成するシラノ
ール基が反応するとも考えられる。
【0030】化合物(1−NCO)はイソシアネート基
の反応性により、またイソシアネート基が直接結合した
ケイ素原子の効果により、優れた撥水性、耐摩耗性、耐
薬品性、耐候性等の性能を発現するものと思われる。
【0031】また、化合物A、Bは処理時に、化合物
A、Bの各々分子間でのイソシアネート基(または加水
分解性基)同士の反応によりシロキサン結合を形成する
ため、本発明の処理剤より得られる膜の架橋性、緻密性
は高く、このことが本発明の処理剤より得られる膜の高
い機械的強度、化学的安定性発現に寄与しているものと
思われる。
【0032】一方、化合物Cは少なくとも2つのシロキ
サン結合(すなわち、Si−O−Si結合)を有する化
合物であり、加えて、処理時には、化合物C分子間での
イソシアネート基(または加水分解性基)同士の反応に
よりシロキサン結合を形成するため、本発明の処理剤よ
り得られる膜の架橋性、緻密性は飛躍的に高くなり、こ
のことが本発明の処理剤より得られる膜の高い機械的強
度、化学的安定性発現に寄与しているものと思われる。
【0033】化合物Cにおいてはこの観点から膜の緻密
性・架橋性をさらに高めることが考えられる。これは本
発明における化合物Cにおいて繰返し構造単位数を増や
すこと(nを大きくすること)に相当する。この場合に
も、nに特に限定はなく、目的に応じて適宜決定すれば
よいが、nを大きくしすぎると処理時の作業性が悪くな
り、実用性が低下するため好ましくなく、nとしては0
〜5が好適であり、n=0の場合が特に好ましい。
【0034】また、後述するように、有機基を選択する
ことにより、これらの性能をさらに向上させることがで
きる。
【0035】また、本発明においては、被処理層、すな
わち、基材表面に形成される層(以下第2層という)
に対する結合性の観点から1個のケイ素原子に結合した
イソシアネート基は2以上であることが望ましい。
【0036】さらに、化合物Cにおいては下の層(第2
層)との密着性を高めるには、化合物C内に存在するイ
ソシアネート基が直結したケイ素原子数を増やすことが
考えられる。これは本発明における化合物Cにおいて繰
返し構造単位数を増やすこと(nを大きくすること)に
相当する。nに特に限定はなく、目的に応じて適宜決定
すればよいが、nを大きくしすぎると処理時の作業性が
悪くなり、実用性が低下するため好ましくなく、nとし
ては0〜5が好適である。
【0037】次に、化合物(1)が加水分解性シラン化
合物の場合、この化合物[以下化合物(1−X)とい
う]は水に対する接触角値が70度以上である表面を形
る化合物である必要がある。
【0038】すなわち、化合物(1−X)で処理された
表面の水に対する接触角値は70度以上となる必要があ
る。化合物(1−X)は被処理層(第2層)と化学的、
物理的に結合すると考えられる。加水分解性基が反応性
であるので化合物(1−X)は主として化学的反応によ
り被処理層(第2層)の表面に結合するものと考えられ
る。すなわち、結合状態において、加水分解性基は変化
しているものと考えられる。
【0039】合物(1−X)における加水分解性基は
ケイ素原子に直接結合した基である。加水分解性基とし
ては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキ
シ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アミノキシ基、ア
ミド基、ケトキシメート基などがある。好ましくは、ア
ルコキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシルオキ
シ基等の、酸素原子でケイ素原子と結合する加水分解性
基である。これらの加水分解性基の炭素数は好ましくは
8以下、特に好ましくは4以下である。最も好ましく
は、炭素数1〜4のアルコキシ基である。
【0040】化合物(1−X)は加水分解性基の反応性
により、また加水分解性基が直接結合したケイ素原子の
効果により、優れた撥水性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候
性等の性能を発現するものと思われる。また、後述する
ように、有機基を選択することにより、これらの性能を
さらに向上させることができる。また、第2層に対する
結合性の観点から1個のケイ素原子に結合した加水分解
性基は2つ以上であることが望ましい。
【0041】化合物(1−X)はそのまま用いてもよ
く、加水分解により部分加水分解生成物として用いても
よい。化合物(1−X)の部分加水分解生成物とは、水
や酸性水溶液中でこれらシラン化合物を部分的に加水分
解し、生成するシラノール基等を有する化合物またはそ
のシラノール基の反応により2以上分子が縮合した化
合物をいう。酸としては、例えば塩酸、硝酸、酢酸、硫
酸、リン酸、スルホン酸等を使用できる。
【0042】合物(1−NCO)と化合物(1−X)
は、化合物A〜Cから選ばれるもので水に対する接触角
値が70度以上である表面を形成する化合物である。
合物A〜C各々から選ばれるより具体的な化合物[以下
それぞれ化合物(1−A)、化合物(1−B)、化合物
(1−C)という]は、存在するR1 〜R13が有機基で
あって、それらの少なくとも1つが疎水基であるか、ま
たはYが疎水基である化合物である。いずれも疎水基
であってもよい。Zはケイ素原子あたり2以上が好まし
い。疎水基は撥水性に有効であり、Zが多いほど第2層
に強固に結合すると考えられる。
【0043】R1 〜R13は独立に水素原子、水酸基、ア
ミノ基または炭素数1〜30の有機基である。R1 〜R
13が有機基の場合、その有機基は、1)アルキル基、ア
ルケニル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水
素基、2)クロロアルキル基、ポリフルオロアルキル基
等のハロゲン化炭化水素基、3)水酸基、エポキシ基、
アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基、その他の官能
基を有する(ハロゲン化)炭化水素基、または4)炭素
鎖中にエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結
合、イミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、その他の
連結結合を有する(ハロゲン化)炭化水素基が好まし
い。
【0044】このうち、疎水基としては、長鎖の炭化水
素基と下記ポリフルオロアルキル基である。長鎖の炭化
水素基としては炭素数7〜30のアルキル基やアルケニ
ル基が好ましい。疎水基としては、特に、1)炭素数3
〜21のペルフルオロアルキル基部分または炭素数2〜
16のペルフルオロアルキレン基部分を有するポリフ
オロ有機基または2)炭素数7〜30のアルキル基部分
または炭素数7〜16のアルキレン基部分を有する長鎖
炭化水素基が好ましい。疎水基でない有機基としては、
低級アルキル基、すなわち炭素数1〜4のアルキル基が
好ましい。
【0045】さらに好ましい化合物(1−A)、化合物
(1−B)、化合物(1−C)は2つ以上のフッ素原子
を有する反応性シラン化合物である。
【0046】すなわち、化合物(1−A)においては、
Yが2つ以上のフッ素原子を有する2価の有機基である
か、またはそうでない場合は存在するR1 〜R4 の少な
くとも1つが2以上のフッ素原子を有する1価の有機基
である化合物である。Yと存在するR1 〜R4 の少なく
とも1つとYとのいずれもが2以上のフッ素原子を有す
る有機基であってもよい。
【0047】化合物(1−B)においては、存在するR
5 〜R7 の少なくとも1つが2つ以上のフッ素原子を有
する1価の有機基である化合物である。フッ素原子を有
しない有機基は前記の疎水基でない炭化水素基である
ことが好ましい。2つ以上のフッ素原子を有する有機基
はケイ素原子に、フッ素原子を有しない炭素原子(例え
ばメチレン基)で結合することが好ましい。
【0048】化合物(1−C)においては、存在するR
8 〜R13の少なくとも1つが2つ以上のフッ素原子を有
する1価の有機基である化合物である。フッ素原子を有
しない有機基は前記の疎水基でない炭化水素基である
ことが好ましい。2つ以上のフッ素原子を有する有機基
はケイ素原子に、フッ素原子を有しない炭素原子(例え
ばメチレン基)で結合することが好ましい。
【0049】Yが2つ以上のフッ素原子を有する2価の
有機基である場合、それはポリフルオロアルキレン基、
ポリフルオロオキシアルキレン基(ポリフルオロアルキ
レン基の炭素鎖の中間に少なくとも1つのエーテル結合
が存在するもの)、またはポリフルオロチオアルキレン
基(ポリフルオロアルキレン基の炭素鎖の中間に少なく
とも1つのチオエーテル結合が存在するもの)が好まし
い。特に、両末端のケイ素原子に結合する部分がポリメ
チレン鎖(特にジメチレン基)であり、それらの中間部
分がペルフルオロアルキレン基、ペルフルオロオキシア
ルキレン基(ペルフルオロアルキレン基の炭素鎖の中間
に少なくとも1つのエーテル結合が存在するもの)であ
る2価の有機基が好ましい。これらYの炭素数は6〜3
0、特に6〜16が好ましい。
【0050】Yが2つ以上のフッ素原子を有する2価の
有機基でない場合、それはアルキレン基、オキシアルキ
レン基(アルキレン基の炭素鎖の中間に少なくとも1つ
のエーテル結合が存在するもの)、またはチオアルキレ
ン基(アルキレン基の炭素鎖の中間に少なくとも1つの
チオエーテル結合が存在するもの)であることが好まし
い。その炭素数は2〜30、特に2〜12が好ましい。
Yのみが疎水基でありかつYがフッ素原子を有しない化
合物(1−A)の場合、Yの炭素数は7以上が好まし
い。
【0051】R1 〜R13のいずれかが2つ以上のフッ素
原子を有する1価の有機基である場合、それはポリフル
オロアルキル基、ポリフルオロオキシアルキル基(ポリ
フルオロアルキル基の炭素鎖の中間に少なくとも1つの
エーテル結合が存在するもの)、ポリフルオロチオアル
キル基(ポリフルオロアルキル基の炭素鎖の中間に少な
くとも1つのチオエーテル結合が存在するもの)、また
はこれらのいずれかの基とアルキレン基等の炭化水素基
とがエステル結合その他の前記したような連結結合で結
合した有機基(炭化水素基の他端でケイ素原子と結合す
る)が好ましい。
【0052】ポリフルオロアルキル基、ポリフルオロオ
キシアルキル基はケイ素原子と結合する端部がアルキレ
ン基(特にジメチレン基)であって、他の部分がペルフ
ルオロの有機基であることが好ましい。
【0053】1価の有機基のペルフルオロ部分は炭素数
3以上のペルフルオロアルキル基、ペルフルオロオキシ
アルキル基(ペルフルオロアルキル基の炭素鎖の中間に
少なくとも1つのエーテル結合が存在するもの)、また
はペルフルオロチオアルキル基(ペルフルオロアルキル
基の炭素鎖の中間に少なくとも1つのチオエーテル結合
が存在するもの)が好ましく、特に、炭素数3〜16の
ペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0054】ポリフルオロアルキル基、ポリフルオロオ
キシアルキル基としては、より具体的には、Cn2n+1
m2m−(この式においてnは3〜12の整数、mは
2〜4の整数)で表されるペルフルオロアルキル基部分
を有するポリフルオロアルキル基や、Cn2n+1−(こ
の式においてnは3〜16の整数)を有するものが好ま
しい。
【0055】化合物(1−A)の具体例を式(A−1)
〜式(A−80)に、化合物(1−B)の具体例を式
(B−1)〜式(B−18)に、化合物(1−C)の具
体例を式(C−1)〜式(C−151)に示すが、それ
らに限定されない。
【0056】なお、これらの式(A−1)〜式(C−1
51)において、n、mはそれぞれ1以上の整数、Rは
アルキル基等、Rf はポリフルオロアルキル基、RF
ペルフルオロアルキル基、Zはイソシアネート基および
/または加水分解性基を示す。式(A−1)〜式(C−
151)において、Rは炭素数1〜12が、Rf は末端
にペルフルオロアルキル基を有するエチル基が、好まし
い。
【0057】本発明における第1層を形成するための処
理剤には目的に応じて他の化合物や添加剤が加えられ
る。添加剤等は各成分との反応性、相溶性を考慮して選
択すればよく、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、
チタニア等の各種金属酸化物や金属の微粒子、各種樹脂
などを添加できる。例えば、着色が必要であれば、染
料、顔料等の添加も支障ない。
【0058】添加量は化合物(1)の全重量に対して
0.01〜20重量%程度でよく、過剰な添加は本発明
の撥水性、耐摩耗性等を低下させるので望ましくない。
【0059】また、導電性が必要であれば、目的に応じ
た抵抗値の得られる材料(酸化スズ、1TO、酸化亜鉛
等)を添加できる。これら添加剤の添加量は目的とする
抵抗値および材料に応じて決定すればよい。
【0060】上記処理剤は被覆対象の第2層に直接手拭
き等の方法で塗布してもよいし、有機溶剤で溶解また
希釈して溶液状の形態に調製して使用することもでき
る。この有機溶剤による溶液において、含まれる化合物
(1)の合計量は被膜の成形性(作業性)、安定性、被
膜厚さ、経済性を考慮して決定され、0.1〜30重量
%であるのが好ましい。
【0061】有機溶剤としては酢酸エステル類、芳香族
炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エーテ
ル類、アルコール類等の各種有機溶剤が適用できる。た
だし、化合物A、Bがイソシアネート基を有している場
合は反応性官能基(水酸基等)を有している有機溶剤は
望ましくない。したがって、化合物(1−NCO)に関
してはアルコール類は好適でないが、化合物(1−X)
に関しては特に限定はない。希釈溶剤は1種に限定され
ず、2種以上の混合溶剤も使用できる。
【0062】化合物A〜Cは表面自由エネルギーが低い
物質であり、被膜中にごく一部存在する遊離状態の化合
物が極表面層を移動することによって表面での摩擦抵抗
を低減することも耐摩耗性が良好である原因の一部と考
えられる。
【0063】第2層表面の処理にあたっては、特別な前
処理は必要としない。被膜の形成は調製された化合物
(1)を含有する液状物を通常の方法で表面に塗布(例
えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スプ
レー塗布等の各種方法)し、大気中または窒素中で乾燥
させればよい。
【0064】大気中での乾燥のみで優れた性能を発現す
るが、乾燥速度を高める等の目的で加熱してもよい。加
熱温度は50〜250℃程度が好ましく、加熱時間は5
〜60分程度が適当である。加熱は必要であれば基材の
耐熱性を加味して温度、時間を設定すればよい。
【0065】この表面処理によって生成する第1層の厚
さは特に限定されないが、きわめて薄いものであること
が望ましい。好ましい膜厚は2μm以下である。その下
限は単分子層厚である。
【0066】次に、耐熱性高分子薄膜を形成する化合物
(2)[以下化合物(2)という]と高分子微粒子を含
む処理剤とそれによる処理によって形成される第2層に
ついて説明する。
【0067】本発明において、第2層を形成するための
材料として化合物(2)と高分子微粒子とが使用され
る。第1層の下層の第2層は第1層の耐久性を飛躍的に
向上させ、基材との密着性を高める効果もある。第2層
は通常基材表面に形成されるが、基材表面にすでに蒸着
膜、スパッタ膜、湿式法等で得られた各種膜があっても
よい。
【0068】各種膜としては、帯電防止膜、透明導電
膜、電磁波シールド膜、紫外線吸収膜、熱線吸収膜、熱
線反射膜等が例示され、これらは組み合わせても用いう
る。各種膜の材質も限定はなく、Si、Zr、Ti、Z
n、Al、Sn、Sb、Pb、Ta等の金属酸化物を含
有する膜等が例示できる。
【0069】第2層を形成するための化合物(2)と高
分子微粒子は、特に制限なく目的に応じて適宜選択さ
れ、市販の種々の材質からなる高分子化合物が使用でき
る。
【0070】高分子微粒子としては、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアク
リル酸樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリイミド樹脂、 フッ素樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が例示され
る。高分子微粒子の材質はこれら例示される樹脂から選
ばれる1種以上が用いられる。
【0071】高分子微粒子の材質は上記したもののうち
特にポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂
などの熱可塑性樹脂が好ましい。
【0072】より表面だけに凸凹を形成したい場合に
は、表面自由エネルギーの小さい高分子微粒子を用いる
ことが望ましく、その場合には、高分子微粒子の材質と
してPFA(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ
(アルキルビニルエーテル)共重合体)、PTFE(テ
トラフルオロエチレン重合体)等のフッ素樹脂が好まし
い。
【0073】高分子微粒子の平均粒子径は特に限定され
ず、膜強度の点から1〜1000nmであることが望ま
しい。透明性を重視する場合は、光線の散乱の防止のた
めに平均粒子径は500nm以下、特に200nm以下
であることが好ましい。
【0074】高分子微粒子の粒子径は形成される凸凹の
大きさを制御する因子の1つであり、粒子径が大きい高
分子微粒子を用いるほど、凸凹の大きさを大きくするこ
とになる。すなわち、多くの上層(第1層の)材料を埋
め込むことが可能となる。しかし、あまり凸凹の大きさ
を大きくしすぎると、埋め込みの効果が薄れ摩耗物から
の保護が困難となるため、耐摩耗性が低下することとな
る。
【0075】高分子微粒子の分子量は、上記粒子径が満
足されれば特に制約はなく、好ましくは分子量1万〜1
00万以下である。分子量が小さすぎると溶剤と相互作
用し、溶解、膨潤等の影響を受けやすくなり、高分子微
粒子の形態を維持できなくなるためであり、逆に分子量
が大きすぎると微粒子が困難になるためである。
【0076】高分子微粒子の粒子径と膜厚とを調節する
ことにより、凸凹の深さの程度を制御できる。例えば、
膜厚を大きくするか、高分子微粒子の粒子径を大きくす
れば、深い凸凹を形成でき、逆に、膜厚を大きくし小さ
な高分子微粒子を用いるか、または膜厚を小さくするこ
とで、浅い凸凹を形成できる。
【0077】凸凹の深さは膜強度の点から1〜1000
nm、特に10〜50nm、が好ましい。一方、凸凹の
密度は高分子微粒子の形状、添加量等で制御できる。
【0078】高分子微粒子の形状は、特に限定されず、
好ましくは球形である。すなわち、アスペクト比の大き
い針状粒子の場合には、膜の表面付近での存在状態がラ
ンダムであり、形成される凸凹の形態が均一にならない
ため、表面膜物性が安定しない。一方、球状粒子の場合
には、表面付近での存在状態の影響を受けず、膜表面で
均一な凸凹が形成されるため、表面膜物性を安定させる
ことができる。
【0079】また、アスペクト比の大きい粒子に比して
球状粒子の方が凸凹の緻密性(密度)の観点から有利で
あり、結果として球状粒子を用いた方が、表面積の大き
い膜が得られる。
【0080】表面積の増大ということは、上(第1層
の)材料の反応点(官能基)の増加を意味し、このこと
により、その上層材料の高密度化が達成でき、耐久性が
高まる。
【0081】また、下層の表面積が増大し、反応点が増
えても、従来材料では有効に(高い確率で)反応点と反
応することが困難であった。本発明における化合物
(1)は高い反応性を有、増加した反応点と完全に反
応可能であるため、飛躍的に上層材料の高密度化が実現
され、高い撥水性、耐薬品性、耐候性、耐摩耗性が発現
可能となる。
【0082】また、本発明により形成される凸凹は、そ
の形状に起因して、第1層と摩耗物との接触面積を低減
することができ、さらに硬度がきわめて高いため、凸凹
間に埋め込まれた第1層を形成する材料が摩耗から保護
されるという作用を奏し、この結果、本発明の基材が高
い耐摩耗性を発現すると思われる。
【0083】高分子微粒子と化合物(2)の合計に対す
る高分子微粒子の割合は特に限定されない。高分子微粒
子添加量は目的に応じて決定するべきである。凸凹密度
を小さくしたい場合には添加量を小さくし、また、逆の
場合には添加量を大きくすればよい。高分子微粒子添加
量を制御することは、その上層である第1層物質の存在
量を制御することにも通じる。
【0084】高分子微粒子の添加量は、多すぎると熱分
解後に形成される被膜の機械的強度が低下するため80
重量%以下がよく、少なすぎると高分子微粒子の添加効
果が発現しにくいため5重量%以上がよい。5〜50重
量%が特に好ましい。
【0085】上述した通り、凸凹の密度は、高分子微粒
子の添加量、形状で制御しうる。形成される凸凹の密度
としては、凹部と凹部の中心間の平均距離が10μm以
下であることが好ましく、1μm以下が特に好ましい。
【0086】得られる凸凹の形態は成膜方法、膜厚、高
分子微粒子の形態、径等で制御可能であり、目的に応じ
て決定すればよい。
【0087】高分子微粒子が球状である場合の断面模式
図を図1〜3に例示する。図において、1は高分子微粒
子、2は耐熱性高分子薄膜層、3は基材、Xは凹部と凹
部の中心間の平均距離を示す。
【0088】好ましい形態としては図2〜3に示すよう
に高分子微粒子が、ある程度、膜に埋め込まれた後、熱
分解により形成された凸凹が好ましい。
【0089】高分子微粒子の埋め込まれ体積が、ある程
度以上となると、図3に示すように球状粒子に沿う形で
クレータ状の盛り上り部分が形成される。これも表面積
の増大、摩耗物との接触面積低減および上層材料の保護
効果増大に寄与するため、有効である。
【0090】化合物(2)は、耐熱性高分子そのもので
よく、処理の際の重合等によって耐熱性高分子となり
うる化合物でもよい。化合物(2)によって形成される
耐熱性高分子は高分子微粒子の熱分解温度よりも高い熱
分解温度を有する材料である必要がある。高分子微粒子
を熱分解する際に化学的、物理的に変化しない材料であ
ることが好ましい。この耐熱性高分子は高分子微粒子よ
りも少なくとも50℃高い熱分解温度を有することが好
ましい。
【0091】化合物(2)は、処理の際基材等の表面で
薄膜を形成るものである。例えば、処理剤中に溶解〜
分散した化合物(2)が処理の際溶剤等が除去されるこ
とにより耐熱高分子薄膜となることが必要である。具体
的には耐熱性高分子そのものや架橋して耐熱性高分子と
なりうる化合物の溶液や分散液が使用される。テトラア
ルコキシシランのような加水分解により耐熱性高分子と
なりうる化合物やその部分分解物の溶液や分散液も使用
できる。
【0092】化合物(2)としては、高分子微粒子の材
質となりうる前記した樹脂やシリコーン樹脂なども使用
できる。最も好ましい化合物(2)は前記したような反
応性シラン化合物、およびそれらの部分加水分解物であ
る。この反応性シラン化合物としては、化合物A、Bの
うち疎水基を有しない化合物が好ましい。この反応性シ
ラン化合物はエポキシ基やアミノ基などの官能基を有す
る有機基を有していてもよい。
【0093】最も好ましい化合物は4官能性の反応性シ
ラン化合物である。この化合物は前記式(B)において
e=g=h=0である化合物であり、例えば、テトラア
ルコキシシランやテトライソシアネートシランなどの4
官能性の反応性シラン化合物などである。
【0094】次いで好ましい化合物は、前記式(A)に
おいてa=b=c=d=0の化合物である。Yは炭素数
6以下のフッ素原子を含まないアルキレン基が好まし
い。化合物Bで疎水基を含まない化合物も好ましい。化
合物Aで疎水基を含まない化合物も使用できる。第1層
に使用された化合物(1)よりも相対的に撥水性が低い
薄膜を与えるような前記化合物(1−A)、(1−B)
や(1−C)も使用できる。
【0095】第2層を形成する化合物(2)は高分子微
粒子とバインダーを溶剤で希釈して使用することが作業
上の点から好ましい。溶剤としては前記の有機溶剤等が
使用できる。
【0096】第2層を形成する化合物(2)には他の添
加剤を添加できる。この添加剤としては具体的には、例
えば、Sn、In、Al、Zn、Zr、Ti、Sb、P
b、Ta、Siなどの金属やそれらの金属酸化物からな
る微粒子等の充填剤、界面活性剤などがある。それらの
使用割合は、化合物(2)の全重量に対して0.01〜
20重量%が適当である。
【0097】基材の表面処理にあたっては特別な前処理
を必要としない。しかし、目的に応じて行うことは別段
問題なく、例えば、希釈したフッ酸、塩酸等による酸処
理、水酸化ナトリウム水溶液等によるアルカリ処理また
はプラズマ照射等による放電処理を行うことができる。
【0098】第2層の形成は特に限定されず、通常は化
合物(2)を含む有機溶剤からなる液状物を通常の処理
方法によって、表面に塗布(例えば、はけ塗り、流し塗
り、回転塗布、浸漬塗布、スプレー塗布等の各種方法)
し、大気中または窒素中で、加熱して乾燥させる。この
加熱処理により高分子微粒子が熱分解し、凸凹な表面が
形成される。したがって、加熱温度は球状高分子化合
物、基材の耐熱性に応じて決めればよい。通常、300
℃〜800℃の範囲で処理される。
【0099】加熱処理による高分子微粒子の熱分解は完
全である必要はなく、例えば、耐熱性高分子薄膜内部に
部分的に残存している場合でも本発明の効果は充分であ
る。
【0100】この表面処理によって生成する第2層の膜
厚は特に限定はなく、きわめて薄いものであってもよ
い。好ましい膜厚は第1層と同様、2μm以下である。
あまり厚い膜厚は耐擦傷性、外観品質および経済性の点
で好ましくない。
【0101】前述したように形成される第2層の凸凹の
程度、各層の厚さは組成物を含む液状物の組成物濃度、
塗布条件、加熱条件、高分子微粒子の材質、添加量、大
きさ等によって適宜制御しうる。
【0102】本発明における第1層は比較的屈折率が小
さく、これゆえに低反射性も付与される。こうした効果
を期待するのであれば第1層の膜厚を光学干渉が生じる
膜厚に制御すればよい。撥水性を発現するには理論的に
は被膜の膜厚は単分子層以上あればよく、これに経済的
効果も加味して前記のように2μm以下が望ましい。
【0103】本発明が適用可能な基材は特に限定はな
い。例えば、金属、ガラス、セラミック、その他の無機
質材料や有機質材料、またはその組み合わせ(複合材
料、積層材料等)がある。基材の表面は基材そのもの
あってもよく、塗装金属板等の塗装表面や表面処理ガラ
スの表面処理層の表面など基材表面とは異なる材質の表
面であってもよい。基材の形状は平板に限られず、全面
または一部に曲率を有するものなど目的に応じた任意
の形状であってよい。
【0104】本発明において特に適当な基材はガラス等
の透明な材料からなる基材であり、適当な物品とはそれ
らを装着した透明性を利用した物品である。したがっ
て、本発明の基材は、輸送機器用物品、建築・建装用物
品として特に望ましい。
【0105】輸送機器用物品とは、電車、バス、トラッ
ク、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における
板、窓ガラス、鏡、表示機器表面材等の外装部材、計器
盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用される
部品、構成部材をいう。1)電車のボディ、窓ガラス、
パンタグラフ等、2)自動車、バス、トラック等のボデ
ィ、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ミラ
ー、バンパー等、3)船舶等のボディ、窓ガラス等、
4)航空機等のボディ、窓ガラス等が例示できる。
【0106】物品は表面処理された基材のみからなって
いてもよく、表面処理された基材が組み込まれたもので
あってもよい。例えば、前者として自動車用の窓ガラス
があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた自動車用バ
ックミラー部材がある。
【0107】こうした基材、物品においては撥水性によ
り表面に付着する水滴がはじかれ、特に、運行に伴っ
ける風圧との相互作用によって表面上を急速に移動
し、水滴として溜ることなく、水分が誘発する悪影響を
排除できる。特に、各種窓ガラス等の透視野部での用途
では水滴の飛散により視野確保が非常に容易となる。
【0108】また、水滴が氷結するような環境下におい
ても氷結することなく、仮に、氷結したとしても解凍は
著しく速い。さらには、水滴の付着がほとんどないため
定期的な清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄はきわ
めて容易で、美観保護の点からも非常に有利である。
【0109】建築・建装用物品とは、1)建築物に取り
付けられる物品、2)すでに建築物に取り付けられた物
品、3)建築物に取り付けられていなくてもそれととも
に使用される建築用物品、4)家具、什器などの建装用
物品、または5)それらの物品の構成要素である基材
(ガラス板等)をいう。
【0110】具体的には、1)ガラス板窓ガラ
ス、2)屋根用ガラス板やガラス屋根、3)ドア用ガラ
ス板やそれがはめ込まれたドア、4)間仕切り用ガラス
板、5)温室用ガラス板や温室、6)ガラスの代わりに
使用される透明プラスチック板やそれを有する上記のよ
うな建築用物品(窓材、屋根材など)、7)セラミッ
ク、セメント、金属その他の材料からなる壁材、8)
やそれを有する家具、9)陳列棚やショーケース用のガ
ラスなどがある。
【0111】物品は表面処理された基材のみからなって
いてもよく、表面処理された基材が組み込まれたもので
あってもよい。例えば、前者として窓用ガラス板があ
り、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具がある。
【0112】こうした表面処理された基材においては、
撥水性により表面に接触した水滴がはじかれて付着し難
く、たとえ付着してもその量は少なく、また、付着した
水滴の除去が容易である。また、水滴が氷結するような
環境下においても氷結することはなく、仮に、氷結した
としても解凍は著しく速い。さらには、水滴の付着がほ
とんどないため定期的な清浄作業回数を低減し得て、し
かも、清浄はきわめて容易で美観保護の点からも非常に
有利である。
【0113】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されない。
【0114】以下の実施例および比較例において得られ
た塗膜の形成された撥水性、防汚性を有するガラスの各
評価試験方法は次の通りであり、各試験後の撥水性は接
触角を測定して評価した。
【0115】[接触角測定方法] 直径1mmの大きさからなる水滴の接触角(°)を測定
した。表面上の異なる5ケ所にて測定を行いその平均値
で示した。
【0116】[耐摩耗性試験] 試験機として(株)ケイエヌテー製の往復式摩耗試験機
を用い、ネル布、荷重1kg、10000回の試験条件
で摩耗試験を実施し、試験後の撥水性を評価した。
【0117】[耐候性試験] 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとして、200サイクル
の耐候性試験を実施し、試験後の撥水性を評価した。
【0118】[煮沸試験] 沸騰水中に1時間浸漬した。試験後の撥水性を評価し
た。
【0119】[使用化合物] (a)C91924Si(OCH3)3 (b)(CH3O)3SiC2461224Si(OCH
3)3 (c)Si(OC25)4 (d)C81724Si(NCO)3 (e)C1837Si(NCO)3 (f)Si(NCO)4 (g)(C81724)(NCO)2SiOSi(C817
24)(NCO)2 (h)(C81724)(NCO)2SiOSi(NC
O)3 [調合例1] 撹拌子および温度計がセットされた容器にヘキシレング
リコール260.2gを入れ、次に(c)18.8g、
1重量%塩酸水溶液18.0g、平均粒径70nmのポ
リスチレン微粒子3.0gを順次添加して、30℃で撹
拌を30分行い1昼夜放置し処理剤1を得た。
【0120】[調合例2] 撹拌子および温度計がセットされた容器にヘキシレング
リコール260.2gを入れ、次に(c)18.8g、
1重量%塩酸水溶液18.0gを順次添加して、30℃
で撹拌を30分行い1昼夜放置し処理剤2を得た。
【0121】[調合例3] 撹拌子および温度計がセットされた容器にエタノール8
03.9gを入れ、次に(c)104.2g、1重量%
塩酸水溶液71.9g、平均粒径150nmのポリメチ
ルメタクリレート微粒子20.0gを順次添加して、3
0℃で撹拌を30分行い1昼夜放置し処理剤3を得た。
【0122】[調合例4] 撹拌子および温度計がセットされた容器にイソプロピル
アルコール246.8gを入れ、次に(a)2.6g、
(b)5.0g、(c)2.0g、1重量%塩酸水溶液
2.2gを順次添加して、30℃で撹拌を60分行い5
日間放置し処理剤4を得た。
【0123】[調合例5] 撹拌子および温度計がセットされた容器に酢酸イソブチ
ル270.3gを入れ、次に(d)27.0g、(e)
3.0g、(f)0.6gを順次添加して、25℃で撹
拌を10分行い処理剤5を得た。
【0124】[調合例6] 撹拌子および温度計がセットされた容器にへキシレング
リコール834.8gを入れ、次に平均粒子径80nm
のポリメチルメタクリレート微粒子分散液40.0g、
エチルシリケート40の62.5g、1重量%塩酸水溶
液62.4gを順次添加して、30℃で撹拌を30分行
い1昼夜放置し処理剤6を得た。
【0125】[調合例7] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
(g)1.0g、フロン225(C3 HF5 Cl2 )の
99.0gを加え1時間撹拌した。この溶液の温度を2
5℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し処理剤7を得
た。
【0126】[調合例8] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
(h)1.0g、フロン225の99.0gを加え1時
間撹拌した。この溶液の温度を25℃に維持しながら1
昼夜撹拌を継続し処理剤8を得た。
【0127】[調合例9] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
(d)3.0g、酢酸エチル97.0gを加え1時間撹
拌した。この溶液の温度を25℃に維持しながら1昼夜
撹拌を継続し処理剤9を得た。
【0128】[調合例10] 撹拌子および温度計がセットされた容器にへキシレング
リコール834.8gを入れ、次に平均粒子径80nm
のポリメチルメタクリレート微粒子分散液40.0g、
平均粒子径5nmの酸化スズゾル微粒子分散液120.
5g、エチルシリケート40の62.5g、1重量%塩
酸水溶液62.4gを順次添加して、30℃で撹拌を3
0分行い1昼夜放置し処理剤10を得た。
【0129】[実施例1] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤1を塗布し、マッフル炉にて6
00℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板を
処理剤4に浸漬し、6cm/分の速度で引き上げ、20
0℃、30分加熱処理を行い、試験片を作製した。この
試験片を評価した結果を表1に示す。
【0130】[実施例2] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
スピンコート法で処理剤3を塗布し、マッフル炉にて6
50℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板を
処理剤4に浸漬し、6cm/分の速度で引き上げ、20
0℃、30分加熱処理を行い、試験片を作製した。この
試験片を評価した結果を表1に示す。
【0131】[実施例3] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤1を塗布し、マッフル炉にて6
00℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板に
処理剤5を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室温
で60分乾燥し、試験片を作製した。この試験片を評価
した結果を表1に示す。
【0132】[実施例4] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
ディップコート法で処理剤3を塗布し、マッフル炉にて
650℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッ
フル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤5を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室
温で60分間乾燥し、試験片を作製した。この試験片を
評価した結果を表1に示す。
【0133】[実施例5] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤3を塗布し、マッフル炉にて6
50℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤7を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室温
で60分間乾燥し、試験片を作製した。この試験片を評
価した結果を表1に示す。
【0134】[実施例6] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤6を塗布し、マッフル炉にて6
50℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤8を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室温
で60分間乾燥し、試験片を作製した。この試験片を評
価した結果を表1に示す。
【0135】[実施例7] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤6を塗布し、マッフル炉にて6
50℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤9を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室温
で60分間乾燥し、試験片を作製した。この試験片を評
価した結果を表1に示す。
【0136】[比較例1] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤2を塗布し、マッフル炉にて6
00℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッフ
ル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤4に浸漬し、6cm/分の速度で引き上げ、20
0℃、30分加熱処理を行い、試験片を作製した。この
試験片を評価した結果を表1に示す。
【0137】[比較例2] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板を
処理剤4に浸漬し、6cm/分の速度で引き上げ、20
0℃、30分加熱処理を行い、試験片を作製した。この
試験片を評価した結果を表1に示す。
【0138】実施例1〜7により、本発明のガラスは優
れた撥水性能、密着性、耐摩耗性能、耐候性能を有する
ことが確認できた。また、本発明の必須成分である高分
子微粒子を含まない構成(比較例1)および下層を有し
ていない構成(比較例2)のガラスでは密着性、耐摩耗
性能、耐候性能が不足していることが確認できた。
【0139】[実施例8] 実施例4で作成した試験片を表2に示す薬品に24時間
浸漬し、取りだして直ちに洗浄した後、この試験片の外
観変化および撥水性を評価した。その結果を表2に示
す。表2から明らかなように本発明のガラスは耐薬品性
に優れていることが確認できた。
【0140】[実施例9] 実施例5の方法で自動車用フロント合わせガラス表面に
処理を行い、自動車に装着した。この自動車を日中4時
間の走行テストを1ケ月間行い、日毎にフロント表面へ
の汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天時においては水
滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0141】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生は全く見られず、まれにそれらの発
生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭くことに
より容易に除去された。また、雨天時には、表面の水滴
がはじかれ走行による風圧との相互作用によってすみや
かに移動し、ワイパーを使用することなく視野が確保さ
れた。さらに未処理のフロント合わせガラスに付着して
いる水滴が氷結する、または空気中の水分が凝縮してフ
ロントガラスに氷結するような環境下(0℃〜−5℃)
での走行テストにおいてフロントガラスでの氷結は全く
みられなかった。
【0142】次いでさらに厳しい低温環境下(−10℃
〜−15℃)ではフロントガラスでの氷結も認められる
が、その解凍も速く、未処理のフロントガラスに比
しい差があった。
【0143】[実施例10] 実施例9の実施例5の方法を実施例7の方法に変更して
走行試験をしたところ、実施例9と同様の効果が確認で
きた。
【0144】[実施例11] 実施例9のフロント合わせガラスをサイドガラス、リア
ガラスに変更して走行試験をしたところ、実施例9と同
様の効果が確認できた。
【0145】[実施例12] 実施例9のフロント合わせガラスをサイドミラーに変更
して走行試験をしたところ、実施例9と同様の効果が確
認できた。
【0146】[実施例13] 実施例9の方法で建築用窓ガラスの表面に塗布し、被膜
を形成した。かくして得られた窓ガラスを家に取り付け
た。この窓ガラス表面への汚れ、ほこりの付着状態、ま
た、雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で観察し
た。
【0147】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生は全く見られず、まれにそれらの発
生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭くことに
より容易に除去された。また、雨天時には、表面の水滴
がはじかれ転落し、特に風の強い日には風圧との相互作
用によってすみやかに移動して視野が確保された。さら
に未処理の窓ガラスに付着している水滴が氷結する、
は空気の水分が凝縮して窓ガラスに氷結するような環
境下(0℃〜−5℃)でのテストにおいて窓ガラスの氷
結は全く見られなかった。
【0148】次いでさらに厳しい低温環境下(−10℃
〜−15℃)では窓ガラスでの氷結も認められるが、そ
の解凍も速く未処理の窓ガラスに比著しい差があっ
た。
【0149】[実施例14] あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄したガラス板に
フレキソ印刷法で処理剤10を塗布し、マッフル炉にて
650℃、10分加熱処理を行った。加熱処理後、マッ
フル炉より板を取りだし室温まで冷却した。次にこの板
処理剤7を滴下し、ワックス掛けの要領で塗布し、室
温で60分間乾燥し、試験片を作製した。この試験片の
表面抵抗値を三菱油化(株)製MCP−TESTERで
測定したところ、3×108 Ω/□であった。また、同
サンプルを評価した結果を表1に示す。
【0150】本発明の処理剤に導電性材料の添加が可能
であることおよび導電性材料の添加により導電性付与が
可能であることが確認できた。また、導電性材料を添加
しても本発明のガラスは優れた撥水性能、密着性、耐摩
耗性能、耐候性能発現することも確認できた。
【0151】実施例14は添加剤として導電性材料を例
示しているが、本発明のガラスは、導電性材料を他の添
加剤に変更しても同等の性能を発現するものである。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【化7】
【0155】
【化8】
【0156】
【化9】
【0157】
【化10】
【0158】
【化11】
【0159】
【化12】
【0160】
【化13】
【0161】
【化14】
【0162】
【化15】
【0163】
【化16】
【0164】
【化17】
【0165】
【化18】
【0166】
【化19】
【0167】
【化20】
【0168】
【化21】
【0169】
【化22】
【0170】
【化23】
【0171】
【化24】
【0172】
【化25】
【0173】
【化26】
【0174】
【化27】
【0175】
【化28】
【0176】
【化29】
【0177】
【化30】
【0178】
【化31】
【0179】
【化32】
【0180】
【化33】
【0181】
【化34】
【0182】
【化35】
【0183】
【化36】
【0184】
【発明の効果】本発明の基材は、またはそれを装着した
物品は、実施例から明らかなように優れた効果が認めら
れる。すなわち、1)撥水性に優れており、ほこり、汚
れ、水滴の付着、またはそれによる水垢の発生がなく、
まれにそれらの発生があっても容易に除去可能で水が誘
発する悪影響を遮断でき、洗浄の簡略化が図れる、2)
撥水性の持続性に優れ、半永久的にその状態を維持す
る、3)耐薬品性に優れ、海岸線沿い、または海水が直
接触れる地域での応用も可能で、幅広い分野に適用でき
る、4)撥水性は輸送機器分野、建築・建装用分野に最
適なものである。
【0185】以上のような効果は従来の材料では期待で
きないものであり、これまで使用不可能であった分野に
までその適用範囲を拡大することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基材表面に形成された耐熱性高
分子薄膜層の断面模式図
【図2】本発明に係る他の例の基材表面に形成された
耐熱性高分子薄膜層の断面模式図
【図3】本発明に係る他の例の基材表面に形成された
耐熱性高分子薄膜層の断面模式図
【符号の説明】
1:高分子微粒子 2:耐熱性高分子薄膜層 3:基材 X:凹部と凹部の中心間の平均距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 郡司 文明 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社 中央研究所内 審査官 平井 裕彰 (56)参考文献 特開 平4−255345(JP,A) 特開 平4−285038(JP,A) 特開 平4−239633(JP,A) 特開 平2−175784(JP,A) 特開 平4−255343(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C03C 17/00 - 17/44 C09D 183/08 WPI/L(QUESTEL) EUROPAT(QUESTEL)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2層の表面処理層を有する基材
    であって、表面処理層の最外層である第1層が、水に対
    する接触角値が70度以上である表面を形成る化合物
    (1)を含む処理剤で処理することにより形成された層
    であり、最外層に接する下層である第2層が、耐熱性高
    分子薄膜を形成る化合物(2)と高分子微粒子を含む
    処理剤で処理して得られる薄膜を加熱して高分子微粒子
    を熱分解することにより形成された耐熱性高分子薄膜層
    であることを特徴とする表面処理された基材。
  2. 【請求項2】基材がガラスである請求項1に記載の基
    材。
  3. 【請求項3】化合物(1)が、イソシアネート基および
    /または加水分解性基が結合した少なくとも1個のケイ
    素原子と、少なくとも1個の疎水基を有する反応性シラ
    ン化合物である請求項1または2に記載の基材。
  4. 【請求項4】化合物(1)が、式(A)で表される反応
    性シラン化合物(B)で表される反応性シラン化合
    物および式(C)で表される反応性シラン化合物から
    る群から選ばれる少なくとも1種であり、かつその有機
    基の少なくとも1つが疎水基である反応性シラン化合
    ある、請求項3に記載の基材。 【化1】 ただし、R1 、R2 、R3 、R4 は独立に水素原子、水
    酸基、アミノ基または炭素数1〜30の有機基を表す。
    Yは2価の有機基を表す。Zはイソシアネート基および
    /または加水分解性基を表す。a、bは独立に0、1
    たは2であって0≦a+b≦2なる整数を表す。c、d
    は独立に0、1または2であって0≦c+d≦2なる整
    数を表す。 【化2】 ただし、R5 、R6 、R7 は独立に水素原子、水酸基、
    アミノ基または炭素数1〜30の有機基(ただし少なく
    とも1つは有機基)を表す。Zはイソシアネート基およ
    び/または加水分解性基を表す。e、g、hは独立に
    0、1または2であって1≦e+g+h≦3なる整数を
    表す。 【化3】 ただし、R8 〜R13は独立に水素原子、水酸基、アミノ
    基または炭素数1〜30の有機基(ただし少なくとも1
    つは有機基)を表す。Zはイソシアネート基および/ま
    たは加水分解性基を表す。i、jは独立に0、1または
    2であって1≦i+j≦3なる整数を表す。k、mは独
    立に0、1または2であって0≦k+m≦2なる整数
    表す。p、qは独立に0、1または2であって1≦p+
    q≦3なる整数を表す。ただし、i+j+k+m+p+
    q≦7であるnは繰返し単位数であって0≦nなる整
    数を表す。
  5. 【請求項5】高分子微粒子の平均粒子径が1〜1000
    nmである請求項1、2、3または4に記載の基材。
  6. 【請求項6】化合物(2)が、イソシアネート基および
    /または加水分解性基を有する反応性シラン化合物であ
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材。
  7. 【請求項7】化合物(2)が、テトライソシアネートシ
    ランおよび/またはテトラアルコキシシランである請求
    6に記載の基材。
  8. 【請求項8】少なくとも2層の表面処理層を有する基材
    の製造方法であって、耐熱性高分子薄膜を形成る化合
    物(2)と高分子微粒子を含む処理剤で基材表面を処理
    し、得られた薄膜を加熱して高分子微粒子を熱分解する
    ことにより耐熱性高分子薄膜層を形成し、その後、該耐
    熱性高分子薄膜層の表面を、水に対する接触角値が70
    度以上である表面を形成る化合物(1)を含む処理剤
    で処理することを特徴とする少なくとも2層の表面処理
    層を有する基材の製造方法。
JP09968794A 1993-05-14 1994-05-13 表面処理された基材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3315004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09968794A JP3315004B2 (ja) 1993-05-14 1994-05-13 表面処理された基材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13658093 1993-05-14
JP5-136580 1993-05-14
JP09968794A JP3315004B2 (ja) 1993-05-14 1994-05-13 表面処理された基材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0724958A JPH0724958A (ja) 1995-01-27
JP3315004B2 true JP3315004B2 (ja) 2002-08-19

Family

ID=26440800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09968794A Expired - Fee Related JP3315004B2 (ja) 1993-05-14 1994-05-13 表面処理された基材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3315004B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10140144A (ja) * 1996-09-09 1998-05-26 Tokyo Silicone Kk 基材表面の改質方法
JP4521731B2 (ja) * 2003-07-25 2010-08-11 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテツド ガラスおよびセラミック基材をコーティングするための方法および組成物
JP5075333B2 (ja) * 2005-11-11 2012-11-21 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP6221387B2 (ja) * 2013-06-18 2017-11-01 日亜化学工業株式会社 発光装置とその製造方法
US9637658B2 (en) * 2013-06-24 2017-05-02 The Boeing Company Coatings, coating compositions, and methods of delaying ice formation
KR102300849B1 (ko) * 2014-02-13 2021-09-13 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 이중 경화 내오염성 미소구체 물품
JP6333454B1 (ja) * 2017-08-18 2018-05-30 株式会社フェクト 撥水・撥油性コーティングの形成方法及び撥水・撥油性コーティング

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0724958A (ja) 1995-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5482768A (en) Surface-treated substrate and process for its production
EP0759413B1 (en) Surface-treated substrate
EP3156227B1 (en) Anti-fogging coated transparent article
JP6118012B2 (ja) 防曇性膜被覆物品
JPH08143855A (ja) 表面処理用組成物
JPH0781024B2 (ja) 撥水性.防汚性を有する透明基材およびそれを装着した構造物
KR100754338B1 (ko) 텍스처 기판과 상기 기판의 형성방법
JP3315004B2 (ja) 表面処理された基材およびその製造方法
US5576109A (en) Surface treating agent and surface-treated substrate
WO1999014284A1 (fr) Composition de traitement de surface, procede de traitement de surface, substrat, et article
JP2002121286A (ja) 含フッ素有機ケイ素化合物、それを含む撥水性組成物、ならびに表面処理基材およびその製造方法
JP4706097B2 (ja) 表面処理層を有する基材とその製造方法
JP3210045B2 (ja) 表面処理された基材
JPH09202651A (ja) 親水性被膜及びその形成法
JP2005187276A (ja) 防曇ガラス
JP2758330B2 (ja) 撥水処理剤、その撥水処理基材およびその製法
JP2001205747A (ja) 表面処理層を有する基材およびその製造方法
JP3503365B2 (ja) 表面処理された基材
JPH04341379A (ja) 表面処理された建築・建装用物品および該物品の製造方法
JPH0827456A (ja) 表面処理剤および表面処理された基材
JPH11181412A (ja) 表面処理剤および処理基材
JP2000129247A (ja) 表面処理剤、表面処理剤組成物、表面処理方法、および処理基材
JPH1180667A (ja) 表面処理剤、表面処理剤組成物、および表面処理された基板
JPH11116943A (ja) 表面処理剤、処理基材、物品、および含フッ素有機ケイ素化合物
EP1103531A1 (en) Substrate having treated surface layers and process for producing it

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080607

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090607

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090607

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100607

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100607

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110607

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130607

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees