JPH11116943A - 表面処理剤、処理基材、物品、および含フッ素有機ケイ素化合物 - Google Patents

表面処理剤、処理基材、物品、および含フッ素有機ケイ素化合物

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JPH11116943A
JPH11116943A JP9287328A JP28732897A JPH11116943A JP H11116943 A JPH11116943 A JP H11116943A JP 9287328 A JP9287328 A JP 9287328A JP 28732897 A JP28732897 A JP 28732897A JP H11116943 A JPH11116943 A JP H11116943A
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JP
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hydrocarbon group
monovalent
carbon atoms
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Application number
JP9287328A
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English (en)
Inventor
Takashige Yoneda
貴重 米田
Kazuya Oharu
一也 大春
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス等の基材に優れた撥水性および水滴転落
性を付与しうる表面処理剤を提供する。 【解決手段】CH3 CH2 (CF26 (CH22
iCl3 等の(RAx(R1y Si(X1Z で表
される含フッ素有機ケイ素化合物および/または該化合
物の加水分解生成物を必須成分とする表面処理剤、該表
面処理剤を処理した処理基板、該処理基板を含む基材、
および含フッ素有機ケイ素化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理剤、処理
基材、物品、およびこれら用途に有用な新規な含フッ素
有機ケイ素化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチックス、セラミック
ス、金属等の基材、および、表面処理層を有する基材は
種々の分野で使用されている。これらの基材において
は、水やほこり等の汚れが基材表面にもたらす悪影響が
問題となっている。
【0003】すなわち、電車、自動車、船舶、航空機等
の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面
材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の
物品の表面は常に清浄であることが好ましい。しかし、
輸送機器用物品の表面に雨滴、ほこり、汚れ等が付着し
たり、大気中の湿度、温度の影響で水分が凝縮すると、
その外観が損なわれる問題がある。また、人の目に直接
触れる基材や、人が直接接する基材においては、不快感
や衛生上の問題がある。また、輸送機器用物品が有する
本来の機能を著しく低下させることにもなる。特に、輸
送機器用物品が、窓ガラスや鏡等の透明性、透視性を要
求される物品である場合には、透明性、透視性の低減は
問題となる。
【0004】一方、ほこり、汚れ、水等を除去するため
に拭きとりやワイパーを使用する方法は、基材表面に微
細な傷を付ける問題がある。また、ほこり、汚れ、水等
に伴われる異物粒子が、傷をより深くする問題もある。
また、ガラス表面に水分が付着すると、水分中にガラス
成分が溶出し、表面が浸食され、「焼け」と呼ばれる現
象を生じることもある。しかし、焼けを除去するために
強く摩擦することは、表面に微細な凸凹を生じさせる問
題がある。また、焼けが激しく生じたガラスや、表面に
微細な凸凹を生じたガラスを透視部に用いると、本来の
機能が低下し、表面での光の散乱が激しくなる。すなわ
ち、視野確保の点で不都合が生じる。
【0005】その他にも、ほこり、汚れ、および水は、
輸送機器用物品の表面の損傷、汚染、着色、腐食等を促
進させる問題がある。また、輸送機器用物品の電気特
性、機械特性、光学的特性等の変化を誘発する問題もあ
る。これらの問題は、建築・建装用物品、電気・電子機
器用物品等の分野でも、同様に問題となる。
【0006】基材表面に水滴をはじき水滴のもたらす悪
影響を排除する性質(以下、これらを単に撥水性とい
う)、防汚性、低反射性等の性質を付与する目的で、基
材表面にシリコーン系ワックス、オルガノポリシロキサ
ン、または界面活性剤を含む下記組成物が提案されてい
る。
【0007】アルキルポリシロキサンおよび酸よりなる
組成物(特公昭50−15473)、有機溶媒および金
属ハロゲン化物からなる組成物(特開昭55−965
2)、塩素原子含有シロキサン化合物を含有する組成物
(特開昭55−78080、特開昭55−9058
0)、アミノ変性シリコーンオイルと界面活性剤とを含
有する組成物(特開平5−301742)、末端にペル
フルオロアルキル部分を有する化合物を必須成分とする
組成物(特開平2−138262、特開平2−2484
80)、フルオロアルキルシラン、不溶性微粉末、アル
コール系溶剤および酸もしくはアルカリからなる組成物
(特開平8−277388)等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の組成物
は、塗布時にムラが発生しやすかったり、基材への付着
性が不足しているため、効果を長く長期間持続させられ
ず、適用範囲が限定されていた。特に、末端にペルフル
オロアルキル部分を有する化合物を必須成分とする組成
物は優れた撥水性、耐久性を発現するものの、水滴転落
性が悪い欠点があった。
【0009】また、すでに使用されている物品に撥水
性、水滴転落性を付与する場合には、各物品に常温で直
接塗布するだけで撥水性、水滴転落性を付与する必要が
ある。たとえば、すでに市販されている自動車用フロン
トガラスに処理を行う場合、各自動車のフロントガラス
を全て入れ替えることは経済的な理由からできない。ま
た、塗布後に自動車全体を焼成することは現実的に不可
能である。しかし、従来提案された組成物は、常温で直
接塗布するだけの処理では満足な性能が得られない問題
があった。
【0010】本発明は、多種類の基材に対して優れた撥
水性、および優れた水滴転落性を付与できる表面処理
剤、および該表面処理剤により処理された処理基材、該
処理基材を含む物品、そして、表面処理剤として有用な
新規な含フッ素有機ケイ素化合物を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定
の構造を有する化合物および/または該化合物を加水分
解することにより得られる化合物、を必須成分とする表
面処理剤が、基材表面に優れた撥水性、水滴転落性、密
着性(耐久性)、耐摩耗性、および耐薬品性を付与する
ことを見いだした。
【0012】すなわち、本発明は下式1で表される含フ
ッ素有機ケイ素化合物および/または下式1で表される
含フッ素有機ケイ素化合物の加水分解生成物を必須成分
とする表面処理剤、該表面処理剤により処理された処理
基材、および該処理基材を含む物品、および、表面処理
剤として有用な下式1で表される含フッ素有機ケイ素化
合物を提供する。
【0013】 (RAx (R1y Si(X1Z ・・・式1 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RA :式RH −A1 −B1 −(ただし、RH は炭素数1
〜20のアルキル基、A1 はエーテル性酸素原子を含ん
でいてもよい炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン
基、B1 は2価有機基。)で表される1価の基であり、
式中に2個以上存在する場合には同一であっても異なっ
ていてもよい。 R1 :水素原子、1価炭化水素基、置換基を有する1価
炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA
を除く)、置換基を有する1価ハロゲン化炭化水素基
(ただし、RA を除く)、連結基を含む1価炭化水素
基、または、連結基を含む1価ハロゲン化炭化水素基
(ただし、RA を除く)であり、式中に2個以上存在す
る場合には同一であっても異なっていてもよい。 X1 :水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン
原子、イソシアネート基、アミノ基、またはアミド基で
あり、式中に2個以上存在する場合には同一であっても
異なっていてもよい。 x:1、2または3。 y:0、1または2。ただし、(x+y)は1、2また
は3。 z:1、2または3。ただし、(x+y+z)は4。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理剤は新規な含フ
ッ素有機ケイ素化合物(式1)および/または該含フッ
素有機ケイ素化合物の加水分解生成物を必須成分とす
る。含フッ素有機ケイ素化合物は、RA なる基を有する
点が特徴である。RA は、優れた撥水性、水滴転落性を
発現するのに必須な構造単位である。
【0015】RA は、式RH −A1 −B1 −(ただし、
H は炭素数1〜20のアルキル基、A1 はエーテル性
酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜20のポリフル
オロアルキレン基、B1 は2価有機基。)で表される1
価の基である。なお、該基が式中に2個以上存在する場
合(すなわちxが2または3である場合)には、同一で
あっても異なっていてもよい。
【0016】RA 中のRH は、炭素数1〜20のアルキ
ル基であり、直鎖のアルキル基が好ましい。本発明の含
フッ素有機ケイ素化合物はRH を必須とする点におい
て、従来より撥水性材料として提案されている含フッ素
有機ケイ素化合物とは異なる化合物である。RA 末端に
存在するRH なる末端アルキル基は、良好な水滴転落性
を発現可能な基である。RH は炭素数1〜6のアルキル
基が好ましく、特に撥水性、耐久性の発現の点からは炭
素数が1または2のアルキル基(すなわち、メチル基ま
たはエチル基)が特に好ましい。
【0017】RA 中のA1 は、エーテル性酸素原子を含
んでいてもよい炭素数1〜20のポリフルオロアルキレ
ン基を示す。A1 が存在することにより、含フッ素有機
ケイ素化合物(式1)は、良好な撥水性、水滴転落性、
耐久性を発現させうる。
【0018】A1 はエーテル性酸素原子を含んでいて
も、含まなくてもよい。A1 がエーテル性酸素原子を含
まない基、すなわちポリフルオロアルキレン基、である
場合、ポリフルオロアルキレン基とは、基本的にはアル
キレン基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換され
た基をいう。アルキレン基としては、直鎖構造または分
岐部分を有する構造が挙げられ、直鎖構造が好ましい。
アルキレン基が分岐部分を有する構造である場合には、
分岐部分の炭素数は1〜4程度であるのが好ましい。
【0019】ポリフルオロアルキレン基中のフッ素原子
数は、[(ポリフルオロアルキレン基中のフッ素原子
数)/(ポリフルオロアルキレン基と同一炭素原子数の
対応するアルキレン基中に存在する水素原子数)×10
0%]で表現した場合、60%以上が好ましく、特に8
0%以上が好ましい。さらに、ポリフルオロアルキレン
基は、アルキレン基中の水素原子の全てがフッ素原子に
置換されたペルフルオロアルキレン基が好ましい。ポリ
フルオロアルキレン基の炭素数は1〜20であるが、4
〜18が好ましく、特に6〜12が好ましい。ペルフル
オロアルキレン基においても同様の炭素数が好ましい。
【0020】また、エーテル性酸素原子を含むポリフル
オロアルキレン基とは、ポリフルオロアルキレン基の炭
素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基、
または、RH またはB1 に結合する炭素原子にエーテル
性酸素原子が結合した基をいう。該基は、上記のポリフ
ルオロアルキレン基の好ましい態様に該当する基の炭素
−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基、ま
たは、上記のポリフルオロアルキレン基の好ましい態様
に該当する基の末端炭素原子の一方または両方にエーテ
ル性酸素原子が結合した基、が好ましく、特に後者の基
が好ましい。
【0021】さらにA1 としては、撥水性、水滴転落
性、耐久性の観点から特に−CF2 −単位を含む構造が
好ましい。また、A1 は、ポリフルオロアルキレン基が
好ましく、特に−(CF2n −(ただし、nは4〜1
8の整数。)で表される基が好ましい。
【0022】RA 中のB1 は、2価有機基を示す。2価
有機基は、炭素原子を含む2価の基を示す。B1 は、含
フッ素有機ケイ素化合物(式1)に良好な撥水性、水滴
転落性、耐久性を発現させうる構造単位である。B1
炭素数は炭素数1〜16が好ましく、特に2〜4が好ま
しい。
【0023】B1 は、置換されていてもよい2価炭化水
素基、置換されていてもよい2価炭化水素基の炭素−炭
素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基、または
置換されていてもよい2価炭化水素基末端に−CONR
10−(ただしR10は、水素原子または低級アルキル基を
示す。)が結合した基が好ましい。
【0024】B1 が置換された基である場合の置換基と
しては、カルボキシル基、アミド基、イミド基、エステ
ル基、または水酸基等の官能基が好ましい。該置換基の
数は、B1 中に1〜3が好ましい。
【0025】B1 は非置換の基である場合が好ましく、
2価炭化水素基または2価炭化水素基の炭素−炭素原子
間にエーテル性酸素原子が挿入された基が好ましい。2
価炭化水素基としては、炭素数1〜16のアルキレン基
が好ましく、特に1〜6のアルキレン基が好ましい。ア
ルキレン基の構造は、直鎖構造または分岐構造が好まし
く、直鎖構造が好ましい。直鎖構造のアルキレン基とし
ては、−(CH2n−(nは1〜6の整数)で表され
る基が好ましい。また、アルキレン基が分岐構造である
場合には、分岐部分が炭素数4以下の短鎖である場合が
好ましい。
【0026】B1 が炭素−炭素原子間にエーテル性酸素
原子が挿入された2価炭化水素基である場合、炭素数1
〜16のアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性
酸素原子が挿入された基が好ましい。また、該基の構造
は、直鎖構造、分岐構造、または環構造を含む構造であ
り、分岐構造である場合には、分岐部分が炭素数4以下
の短鎖である場合が好ましい。B1 は直鎖構造が好まし
く、特に−(CH2p O(CH2q −(ただし、p
およびqはそれぞれ独立に1〜6の整数)で表される基
が好ましい。
【0027】B1 が2価炭化水素基末端に−CONR10
−(ただしR10は、水素原子または低級アルキル基を示
す。)が結合した基である場合、−CONR10(CH
2n−(R10は前記と同じ意味。nは1〜6の整数)
で表される基が好ましい。
【0028】本発明におけるB1 としては、撥水性、水
滴転落性、耐久性の観点から、−(CH2n −(nは
1〜6の整数)、または、−(CH2p O(CH2
q −(ただし、pおよびqはそれぞれ独立に1〜6の整
数)が好ましい。さらに、B1 は特に−(CH2n
(nは1〜6の整数)で表される基が好ましく、とりわ
けnが2または3である場合の該基が好ましい。
【0029】式1中のRA なる基の具体例としては、以
下の基が挙げられる。
【0030】
【化3】 CH3 (CF27 (CH22 −、 CH3 (CF28 (CH22 −、 CH3 (CF29 (CH22 −、 CH3 (CF210(CH22 −、 CH3 (CF211(CH22 −、 CH3 (CF212(CH22 −、 CH3 (CF27 (CH23 −、 CH3 (CF29 (CH23 −、 CH3 (CF211(CH23 −、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 −、 CH3 CH2 (CF28 (CH22 −、 CH3 CH2 (CF210(CH22 −、 CH3 (CF24 O(CF22 (CH22 −、 CH3 (CF27 (CH22 O(CH23 −、 CH3 (CF28 (CH22 O(CH23 −、 CH3 (CF29 (CH22 O(CH23 −、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 O(CH23
−、 CH3 (CF26 CONH(CH23 −、 CH3 (CF28 CONH(CH23 −、 CH3 (CF23 O[CF(CF3 )CF(CF3
O]2 ・・CF(CF3 )CONH(CH2m −。
【0031】式1中のR1 は、水素原子、1価炭化水素
基、置換基を有する1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭
化水素基(ただし、RA を除く)、置換基を有する1価
ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA を除く)、連結基
を含む1価炭化水素基、または、連結基を含む1価ハロ
ゲン化炭化水素基(ただし、RA を除く)であり、式中
に2個以上存在する場合には同一であっても異なってい
てもよい。
【0032】R1 が1価炭化水素基である場合、炭素数
1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、ま
たはアリール基が好ましい。R1 が1価ハロゲン化炭化
水素基である場合、該基とは炭化水素基中の水素原子の
1個以上がハロゲン原子に置換された基をいい、アルキ
ル基中の水素原子の2個以上がハロゲン原子に置換され
た基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好まし
い。1価ハロゲン化炭化水素基がアルキル基の水素原子
の1個以上がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル
基である場合、RA と同一である基を除く。
【0033】R1 がフッ素化アルキル基である場合、直
鎖構造または分岐構造が好ましく、分岐構造である場合
には、分岐部分が炭素数1〜4程度の短鎖である場合が
好ましい。R1 がフッ素化アルキル基である場合、末端
炭素原子にフッ素原子が1個以上結合した基が好まし
く、特に末端炭素原子にフッ素原子が3個結合したCF
3 −部分を有する基が好ましい。
【0034】また、フッ素化アルキル基中のフッ素原子
数は、[(フッ素化アルキル基中のフッ素原子数)/
(フッ素化アルキル基に対応する同一炭素数のアルキル
基中に存在する水素原子数)×100]%で表現したと
きに、60%以上が好ましく、特に80%以上が好まし
い。さらにフッ素化アルキル基は、末端部分にアルキル
基の水素原子の全てはフッ素原子に置換されたペルフル
オロアルキル部分を有し、ケイ素原子との間に−(CH
2r −(rは1〜6の整数であり、2〜4の整数が好
ましい)である基が存在する基が好ましい。該好ましい
基の態様は、R1が置換基や連結基を有する1価ハロゲ
ン化炭化水素基である場合も同様である。
【0035】R1 が置換基を有する1価炭化水素基であ
る場合、1価炭化水素基の水素原子が置換基に置換され
た基をいい、R1 が置換基を有する1価ハロゲン化炭化
水素基である場合、1価ハロゲン化炭化水素基中の水素
原子またはハロゲン原子が置換基に置換された基をい
う。これらの基中の置換基としては、カルボキシル基、
アミド基、イミド基、エステル基、または水酸基等が挙
げられる。また、これらの基中の置換基の数は1〜3個
が好ましい。
【0036】また、R1 が連結基を含む1価炭化水素
基、または、連結基を含む1価ハロゲン化炭化水素基で
ある場合、1価炭化水素基または1価ハロゲン化炭化水
素の炭素−炭素結合間に連結基を含む基、または、1価
炭化水素基または1価ハロゲン化炭化水素のケイ素原子
に結合する末端に連結基が結合した基が挙げられる。連
結基としては、−O−、−S−、または−CONR−
(Rは水素原子またはアルキル基)等が好ましいこれら
のうち、式1中のR1 は、撥水性、耐久性の観点から、
メチル基、フッ素化アルキル基、または連結基を有する
フッ素化アルキル基であるのが好ましい。R1 がフッ素
化アルキル基または連結基を有するフッ素化アルキル基
である場合の具体例としては、下記の基が挙げられる。
【0037】
【化4】 CF3 (CH22 −、 CF3 (CF23 (CH22 −、 CF3 (CF25 (CH22 −、 CF3 (CF27 (CH22 −、 CF3 (CF23 (CH23 −、 CF3 (CF25 (CH23 −、 CF3 (CF27 (CH23 −、 CF3 (CF24 O(CF22 (CH22 −、 CF3 (CF24 O(CF22 (CH23 −、 CF3 (CF27 O(CF22 (CH22 −、 CF3 (CF27 CONH(CH22 −、 CF3 (CF27 CONH(CH23 −、 CF3 (CF23 O[CF(CF3 )CF(CF3
O]2 ・・CF(CF3 )CONH(CH23 −。
【0038】式1中のX1 は、水酸基、炭素数1〜6の
アルコキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アミ
ノ基、またはアミド基であり、式中に2個以上存在する
場合には同一であっても異なっていてもよい。X1 とし
ては、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン
原子、またはイソシアネート基が好ましい。
【0039】式1中のxは、RA の個数を示し、1、2
または3であり、1が好ましい。yはR1 の個数を示
し、0、1または2であり、0または1が好ましく、特
に0が好ましい。(x+y)は1、2または3を示し、
1が好ましい。zは、X1 の個数を示し、1、2または
3であり、2または3が好ましく、とりわけ3が好まし
い。(x+y+z)は4である。
【0040】本発明の含フッ素有機ケイ素化合物(式
1)としては、下式2で表される化合物が好ましい。
【0041】
【化5】 [RH (CF2n (CH2m −]Si(X23 ・・・式2
【0042】ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RH :炭素数1〜20のアルキル基。 n:4〜18の整数。 m:1〜6の整数。 X2 :水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン
原子、またはイソシアネート基であり、式中に2個以上
存在する場合には同一であっても異なっていてもよい。
【0043】本発明の式1で表される化合物の具体例と
しては、下記化合物が挙げられる。
【0044】
【化6】 [式2で表される化合物の具体例] CH3 (CF27 (CH22 SiCl3 、 CH3 (CF27 (CH22 Si(CH3 )Cl2 、 CH3 (CF27 (CH22 Si(OCH33 、 CH3 (CF27 (CH22 Si(NCO)3 、 CH3 (CF28 (CH22 SiCl3 、 CH3 (CF28 (CH22 Si(OCH33 、 CH3 (CF28 (CH22 Si(NCO)3 、 CH3 (CF29 (CH22 SiCl3 、 CH3 (CF29 (CH22 Si(OCH33 、 CH3 (CF29 (CH22 Si(NCO)3 、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 SiCl3 、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 Si(OCH33 、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 Si(NCO)3 、 CH3 CH2 (CF28 (CH22 SiCl3 、 CH3 CH2 (CF28 (CH22 Si(OCH33 、 CH3 CH2 (CF28 (CH22 Si(NCO)3 、 CH3 CH2 (CF210(CH22 SiCl3
【0045】
【化7】 [式2以外の式1で表される化合物の具体例] CH3 (CF24 O(CF22 (CH22 SiCl3 、 CH3 (CF27 (CH22 O(CH23 SiCl3 、 CH3 (CF28 (CH22 O(CH23 SiCl3 、 CH3 (CF29 (CH22 O(CH23 SiCl3 、 CH3 CH2 (CF26 (CH22 O(CH23 SiCl3 、 CH3 (CF26 CONH(CH23 SiCl3 、 CH3 (CF28 CONH(CH23 SiCl3 、 CH3 (CF23 O[CF(CF3 )CF(CF3 )O]2 ・ ・CF(CF3 )CONH(CH23 SiCl3
【0046】本発明の含フッ素有機ケイ素化合物(式
1)は新規化合物であり、下記の方法で合成できる。す
なわち、RH I、RH CF2 I、RH CF2 CF2
(ただし、RH は上記と同じ意味を示す。)をテローゲ
ンとし、これにフルオロオレフィンをテロメリ化反応さ
せてRH −A1 −Iを形成させる。つぎに、エチレンや
酢酸アリルを反応させてRH −A1 −B1 −Iとした
後、塩基性化合物または亜鉛等の金属を用いて脱ヨウ化
水素または脱ハロゲン化反応を行い、二重結合を生成さ
せる。さらにトリクロロシラン等とヒドロシリル化反応
させることによりX1 部分が塩素原子である含フッ素有
機ケイ素化合物(式1)を得ることができる(ただし、
1およびB1 は、それぞれ式1における意味と同じ意
味を示す。)。たとえば、式1におけるRH がメチル基
である化合物は、以下のスキームに従い合成できる。
【0047】
【化8】 (i)CH3 CF2 I + CF2 =CF2 → CH3 (CF2n I (ii)CH3 (CF2n I + CH2 =CH2 → CH3 (CF2n CH2 CH2 I (iii )CH3 (CF2n CH2 CH2 I + 塩基性化合物 → CH3 (CF2n CH=CH2 (iv)CH3 (CF2n CH=CH2 + HSiCl3 → CH3 (CF2n CH2 CH2 SiCl3
【0048】また、RH がエチル基である化合物におい
ては、I−A1 −I(ただし、Aは式1における意味
と同じ意味を示す。)をテローゲンとし、これにフルオ
ロオレフィンをテロメリ化反応させてI−A −Iを
形成させる。つぎに、エチレンを反応させてCH2 =C
H−A1 −CH=CH2 とした後、片方のビニル基のみ
を水素還元してCH3 CH2 −A1 −CH=CH2 とし
た後、これにトリクロロシラン等とヒドロシリル化反応
させることによってもX1 部分が塩素原子である該含フ
ッ素有機ケイ素化合物(式1)を得ることができる。具
体的には、以下のスキームで表現されうる。
【0049】
【化9】 (i)I(CF2n I + CH2 =CH2 → ICH2 CH2 (CF2n CH2 CH2 I (ii)ICH2 CH2 (CF2n CH2 CH2 I + アルカリ → CH2 =CH(CF2n CH=CH2 (iii )CH2 =CH(CF2n CH=CH2 + H2 → CH3 CH2 (CF2n CH=CH2 (iv)CH3 CH2 (CF2n CH=CH2 + HSiCl3 → CH3 CH2 (CF2n CH2 CH2 SiCl3
【0050】上記方法で得られたX1 部分が塩素原子で
ある含フッ素有機ケイ素化合物(式1)は、公知の方法
により塩素原子を水酸基、アルコキシ基、イソシアネー
ト基、アミノ基、アミド基、または他のハロゲンに変換
できる。
【0051】含フッ素有機ケイ素化合物(式1)は、そ
のまま、または加水分解生成物として、これを必須成分
とする表面処理剤とする。含フッ素有機ケイ素化合物
(式1)の加水分解生成物とは、含フッ素有機ケイ素化
合物(式1)と水とが反応して生成する化合物をいう。
たとえば、含フッ素有機ケイ素化合物(式1)中に存在
するX1 (ただし、水酸基である場合は除く)の一部ま
たは全部が加水分解反応により水酸基に変化した加水分
解物、または、加水分解反応等により生成したX1 の1
部または全部が水酸基である含フッ素有機ケイ素化合物
(式1)の2化合物以上が脱水縮合することにより生成
した部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0052】含フッ素有機ケイ素化合物(式1)を加水
分解する方法としては、従来より公知の方法が採用でき
る。たとえば、[方法1]含フッ素有機ケイ素化合物
(式1)と水とを反応させる方法、[方法2]含フッ素
有機ケイ素化合物(式1)と水とを酸の存在下で反応さ
せる方法、[方法3]含フッ素有機ケイ素化合物(式
1)と水とをアルカリの存在下で反応させる方法等が挙
げられる。
【0053】これらのうち、方法2が、表面処理剤の寿
命、および該表面処理剤から形成される膜物性等の観点
から好ましい。方法2における水の量は、含フッ素有機
ケイ素化合物(式1)中に存在する加水分解性基の等モ
ル〜500倍モルが好ましい。また、方法2における酸
は、硝酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、または酢酸
が好ましい。酸量は、加水分解反応に用いる水量に対し
て0.005〜10重量%が好ましい。酸量があまりに
多いのは、表面処理剤の塗布時の作業環境の点から好ま
しくない。
【0054】方法2で加水分解を実施する場合には、有
機溶剤を存在させるのが好ましい。有機溶剤量は、含フ
ッ素有機ケイ素化合物(式1)が、反応系中に0.05
〜10重量%の濃度となるような量とするのが好まし
い。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、セロソルブ
系溶剤、カルビトール系溶剤、酢酸エステル系溶剤、ケ
トン系溶剤、エステル系溶剤、またはハロゲン化炭化水
素系溶剤等が例示できる。有機溶剤は1種のみでも2種
以上の併用でもよい。
【0055】本発明の含フッ素有機ケイ素化合物(式
1)および/または含フッ素有機ケイ素化合物(式1)
の加水分解生成物を必須成分とする表面処理剤は、必須
成分である化合物のみからなっていてもよいが、通常の
場合には、有機溶剤を含む処理剤とするのが作業性の点
から好ましい。有機溶剤は、上記の加水分解反応で用い
た有機溶剤そのものであってもよい。また、加水分解時
に有機溶剤を用いなかった場合には、添加するのが好ま
しい。添加する場合の有機溶剤としては、上記の反応時
に存在させうる有機溶剤と同様の有機溶剤が挙げられ
る。
【0056】表面処理剤中に含ませる有機溶剤量は、含
フッ素有機ケイ素化合物(式1)が反応系中に0.05
〜10重量%の濃度となるような量とするのが好まし
い。有機溶剤の種類は、表面処理剤を適用する基材の耐
溶剤性、基材の大きさ、溶剤の蒸発速度、および経済性
等を加味して適宜選択すればよい。
【0057】さらに、本発明の表面処理剤には目的に応
じて他の化合物や添加剤等を加えてもよい。添加剤とし
ては、含フッ素有機ケイ素化合物(式1)および/また
は含フッ素有機ケイ素化合物(式1)の加水分解生成物
との反応性や相溶性等を考慮して選択されうる。添加剤
の例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニ
ア、酸化スズ等の金属酸化物の超微粒子、各種樹脂等が
挙げられる。また、着色が必要であれば、染料、顔料等
を加えてもよい。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤等も
挙げられる。導電性、帯電防止性等を付与したい場合に
は、目的に応じた抵抗値の得られる材料[酸化スズ、I
TO(In23 −SnO2 )、酸化亜鉛等]も挙げら
れる。
【0058】また、表面処理剤中には、従来より公知の
他の撥水材料を添加することもできる。該材料として
は、シロキサン系化合物、下式4で表される有機ケイ素
化合物が挙げられる。
【0059】(R2a Si(X34-a ・・・式4 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R2 :1価炭化水素基、置換基を有する1価炭化水素
基、1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA を除
く)、連結基を含む1価炭化水素基、または連結基を含
む1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA を除く)で
あり、式中に2個以上存在する場合には同一であっても
異なっていてもよい。 a:0、1、2または3。 X3 :反応性基。
【0060】式4中のR2 としては、含フッ素有機ケイ
素化合物(式1)におけるR1 と同様の基が挙げられ
る。また、X3 としては、式1のX1 と同様の基(水酸
基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、イソ
シアネート基、アミノ基、またはアミド基)が挙げら
れ、炭素数1〜6のアルコキシ基またイソシアネート基
が好ましい。式4で表される化合物としては、下記化合
物が挙げられる。
【0061】
【化10】 CF3 (CH22 Si(X33 、 CF3 (CF23 (CH22 Si(X33 、 CF3 (CF25 (CH22 Si(X33 、 CF3 (CF27 (CH22 Si(X33 、 CF3 (CF23 (CH23 Si(X33 、 CF3 (CF25 (CH23 Si(X33 、 CF3 (CF27 (CH23 Si(X33 、 CF3 (CF24 O(CF22 (CH22 Si(X33 、 CF3 (CF24 O(CF22 (CH23 Si(X33 、 CF3 (CF27 (CH22 O(CH23 Si(X33 、 CF3 (CF27 CONH(CH22 Si(X33 、 CF3 (CF27 CONH(CH23 Si(X33 、 CF3 (CF23 O[CF(CF3 )CF(CF3 )O]2 ・ ・CF(CF3 )CONH(CH23 Si(X33
【0062】
【化11】 CF3 (CF23 (CH22 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF25 (CH22 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CH22 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF23 (CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF25 (CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF27 (CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF24 (CF22 (CH22 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF24 (CF22 (CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF24 (CH22 O(CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF27 CONH(CH22 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF27 CONH(CH23 Si(CH3 )(X32 、 CF3 (CF23 O[CF(CF3 )CF(CF3 )O]2 ・ ・CF(CF3 )CONH(CH23 Si(CH3 )(X32 、 CH3 (CH27 Si(X33 、 Si(X34
【0063】また、表面処理剤中に添加しうるシロキサ
ン系化合物としては、ポリ(ジメチルシロキサン)、お
よび反応性基(X3 )を構造中に有するシリコーンオイ
ル等が挙げられる。
【0064】表面処理剤中に添加剤を添加する場合の添
加剤の量は、目的に応じて適宜変更されうるが、通常の
場合、表面処理剤中に0.01〜20重量%が好まし
い。添加剤量が過剰であると、表面処理剤から形成され
る被膜の水滴転落性、耐摩耗性を低下させるおそれがあ
る。
【0065】本発明の表面処理剤は、基材表面に塗布し
乾燥させる(以下、「処理する」という)ことにより表
面に優れた性能が付与された処理基材を提供する。
【0066】基材の材質として、ガラス、プラスチック
ス、金属、セラミックス、その他の無機材料や有機材料
またはその組み合わせ(複合材料、積層材料等)等が挙
げられる。また、基材表面は基材そのものの表面であっ
てもよく、塗装金属等の塗膜表面や表面処理ガラスの表
面処理層表面(たとえば、ゾルゲル膜、スパッタ膜、C
VD膜、蒸着膜等が設けられた表面)など、基材表面に
存在する基材とは異なる材質の表面であってもよい。ま
た、基材の形状は、平面に限らず、全面あるいは部分的
に曲率を有するもの等であってもよく、これらは目的に
応じて任意に変更されうる。
【0067】本発明の表面処理剤を基材に処理する場合
に、基材に対する特別な前処理は必要ない。しかし、目
的に応じて前処理を行ってもよい。基材表面への前処理
としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等
によるアルカリ処理、フッ酸、塩酸水溶液による酸処
理、プラズマ照射、コロナ放電等による放電処理、酸化
セリウム、アルミナ等の各種研磨剤による研磨処理/ブ
ラスト処理等が挙げられる。また、前記式4で表される
有機ケイ素化合物であらかじめ基材表面を処理するのも
好ましい。
【0068】本発明の表面処理剤の塗布方法としては、
通常の塗布方法が採用できる。該塗布方法としては、は
け塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スプレー塗
布、スキージ塗布、および各種印刷塗布等が挙げられ
る。また、表面処理剤は塗布後に乾燥させる。本発明の
表面処理剤は、常温の大気中での乾燥のみで優れた性能
を発現しうるため、乾燥は大気中で自然乾燥でも充分で
ある。具体的には、乾燥温度は15〜60℃程度が好ま
しく、また湿度は35〜70%程度が好ましい。
【0069】また、乾燥速度を速める、効果の持続性を
高める等の目的で加熱処理してもよい。加熱条件は、基
材の耐熱性等に応じて考慮されうる。通常の場合、加熱
温度は60〜400℃程度が好ましく、加熱時間は1分
〜60分程度が好ましい。
【0070】基材表面に本発明の表面処理剤を処理した
後には、被膜が形成される。被膜の膜厚は特に限定され
ず、なるべく薄いものが好ましい。具体的な膜厚は、単
分子膜厚〜2μmが好ましく、特に単分子膜厚〜0.1
μmが好ましい。被膜の厚さは、表面処理剤の成分濃
度、塗布条件、加熱条件等により適宜制御されうる。
【0071】本発明の表面処理剤は、常温で処理した場
合において優れた性能を発現するため、すでに何らかの
用途に使用されている基材表面に撥水性、水滴転落性を
付与できる。すなわちリペア剤(修復剤)として使用で
きる。また、処理条件を変えることにより、撥油性、潤
滑性、離型性、低反射性、および電気絶縁性等の機能が
付与されうる。
【0072】本発明の表面処理剤を処理して得られた処
理基材は、そのまま、または他の物品の一部として組み
込まれて使用されうる。処理基材の用途としては、以下
の例が挙げられる。自動車、船舶、航空機等の窓、鏡、
車体、建築用の窓、各種鏡、光学レンズ、眼鏡レンズ、
ガラス容器、テレビのブラウン管、液晶画面、ホットプ
レート、電子レンジや炊飯器等の電子・電化製品、化粧
品粉体、繊維製品、布製品、皮革製品、木材製品、石材
製品、紙製品、印刷機の版やノズル、塗料用成分、衛生
陶器、食器、花器、水槽、サッシ、および農業用シー
ト。
【0073】さらに、本発明の表面処理剤中の必須成分
である含フッ素有機ケイ素化合物(式1)および含フッ
素有機ケイ素化合物(式1)の加水分解生成物は透明性
に優れるため、透明性を要求される基材への適用した場
合には、該透明性を妨げることなく基材表面に種々の特
性を付与でき、好ましい。
【0074】透明性を要求される基材としては、透明な
材料からなる基材が好ましく、特にガラスが好ましい。
さらに、本発明の表面処理剤が処理された処理ガラスを
含む物品としては、輸送機器用物品、建築・建装用の物
品が好ましい。
【0075】輸送機器用物品としては、電車、バス、ト
ラック、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外
板、窓ガラス、鏡、視界確保用(CCD)レンズ、表示
機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、
その他の輸送機器に使用される物品、または使用された
部品、構成部材等が挙げられる。
【0076】また輸送機器用物品としては、処理ガラス
のみからなるものでもよく、処理ガラスが組み込まれた
物でもよい。たとえば、前者として自動車用の窓ガラス
等が、後者としてガラス鏡が組み込まれた自動車用バッ
クミラー部材等が挙げられる。これらの具体例として
は、電車のボディ、窓ガラス、パンタグラフ等、自動
車、バス、トラック等のボディ、フロントガラス、サイ
ドガラス、リアガラス、ミラー、バンパー等、船舶、航
空機等のボディ、窓ガラス等が例示できる。
【0077】本発明の表面処理剤で処理された処理ガラ
スやこれを含む物品を輸送機器用物品として用いた場合
には、撥水性により表面に付着する水滴がはじかれる利
点がある。また、輸送機器は走行するに伴って風圧を受
けるため、水滴は処理ガラス表面上を急速に移動する。
このように処理ガラス表面に水滴が止まるのを防止でき
るため、水滴が処理ガラス表面で誘発する悪影響を防止
できる。処理ガラスが窓ガラス等の透視野部であった場
合には、特に水滴が飛散し視野が確保されるため、輸送
機器の安全性向上につながる利点もある。また、本発明
の表面処理剤より得られる被膜は、水滴転落性に特に優
れることから、輸送機器が低速で走行する際や停止した
場合においても、視界が確保される利点もある。
【0078】さらに、処理ガラス表面においては、水滴
が氷結しにくく、仮に水滴が氷結した場合にも容易に解
凍される利点もある。さらに、水滴の付着も防止できる
ため、汚れも付着しにくく、清浄作業回数を低減でき、
しかも、清浄は容易である。すなわち、美観保護の点か
らも非常に有利である。
【0079】また、本発明の表面処理剤が処理された処
理ガラスを含む建築・建装用物品としては、建築物に取
り付けられうる物品、または建築物とともに使用される
建築用物品が挙げられる。建築、建装用物品は処理ガラ
スのみからなるものでもよく、表面処理された基材が組
み込まれたものでもよい。たとえば、前者として窓用ガ
ラス板があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具
がある。
【0080】建築物に取り付けられうる物品としては、
窓ガラス板、窓ガラス、屋根用ガラス板やガラス屋根等
の各種屋根、ドア用ガラス板やそれがはめ込まれたド
ア、間仕切り用ガラス板、温室用ガラス板や温室、ガラ
スの代わりに使用される透明プラスチック板、処理ガラ
スを含む建築用物品(窓材、屋根材など)、処理ガラス
を含むセラミックス、セメント、金属その他の材料から
なる壁材、鏡や鏡を有する家具、陳列棚やショーケース
用の処理ガラス等が挙げられる。建築物とともに使用さ
れる建築用物品としては、家具、什器などの建築用物品
およびそれらを構成要素であるガラス窓等が挙げられ
る。
【0081】本発明の処理基材表面は、撥水性を有する
ため水がはじかれ、付着し難く、たとえ付着してもその
量は少なく、また、付着した水滴の除去も容易である。
また、水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に
氷結したとしても解凍は著しく容易である利点もある。
さらには、水滴の付着がほとんどないため、定期的清浄
作業回数を低減でき、しかも清浄は容易であり、美観保
護の観点からも有利である。また、基材そのものの外観
を損なうことがない利点があり、耐薬品性、耐摩耗性に
も優れているため、幅広い分野での応用が期待できる。
【0082】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて説明する。
実施例における各種評価は、以下の方法で行った。
【0083】[撥水性の評価方法]水の接触角(単位:
度)を測定した。
【0084】[水滴転落性の評価方法]水平(角度0
度)に保持したサンプル基板に50μlの水滴を滴下
後、サンプル基板を傾けていき、水滴が転がり始めたと
きの基板と水平面との角度(単位:度)を読み取った。
【0085】[水滴残存性の評価方法]垂直に立てたサ
ンプルに対して20cmの距離に保持したノズルから水
を全面に1時間スプレーした後、サンプル表面に残存す
る水滴を肉眼で観察し、A〜Dの基準で評価した。 A:サンプル表面に水滴がまったく残らない、 B:サンプル表面に水滴が少し残る、 C:サンプル表面に水滴がかなり残る、 D:サンプル表面で水滴が濡れ広がる。
【0086】[撥水耐久性の評価方法]サンプル基板を
沸騰水中に6時間浸漬した後の、撥水性、水滴転落性、
水滴残存性を評価した。
【0087】[例1]CH3 CH2 (CF26 (CH
22 SiCl3 の合成例 撹拌機、還流器、温度計、および滴下ロートを備えた、
300mlの4口フラスコにCH3 CH2 (CF26
CH=CH2 120g(0.336mol)、塩化白金
酸の10%イソプロパノール溶液0.5gを入れ、10
0℃に加熱した。さらにトリクロロシラン60g(0.
443mol)を内温が100〜110℃を維持するよ
うな速度で7時間かけて滴下した。ガスクロマトグラフ
ィー(GC)にて反応の終了を確認した後、蒸留により
CH3 CH2 (CF26 (CH22 SiCl3 14
2g(沸点81℃/2.2mmHg)を86%収率で得
た。1 H-NMR(CDCl3,TMS) δ(ppm) :1.6-1.7(m,2H),1.83(t,J=
19.2Hz,3H),2.0-2.1(m,2H).19 F-NMR(CDCl3,CFCl3)δ(ppm) : -106.8(2F),-116.0(2
F),-122.3(6F),-123.7(2F),-124.6(2F).
【0088】[例2]CH3 CH2 (CF26 (CH
22 Si(OCH33 の合成例 撹拌機、還流器、温度計、および滴下ロートを備えた、
100mlの4口フラスコに、例1で得たCH3 CH2
(CF26 (CH22 SiCl3 49g(0.1m
ol)を入れ、60℃に加熱した。さらにメタノール1
3gを1時間かけてゆっくり滴下した。このとき発生す
る塩酸ガスを反応系の外へ充分追い出した後、蒸留によ
り目的生成物CH3 CH2 (CF26 (CH22
i(OCH33 26g(沸点95℃/0.1mmH
g)を54%収率で得た。1 H-NMR(CDCl3,TMS) δ(ppm) :1.14(t,J=7.2Hz,3H),1.65
-1.7(m,2H),2.0-2.2(m,2H),2.25-2.4(m,2H).19 F-NMR(CDCl3,CFCl3)δ(ppm) : -116.0(2F),-122.3(4
F),-123.8(2F),-124.1(2F).
【0089】[例3]CH3 (CF27 (CH22
SiCl3 の合成例 撹拌機、還流器、温度計、および滴下ロートを備えた、
300mlの4口フラスコにCH3 (CF27 CH=
CH2 110g(0.281mol)、塩化白金酸の1
0%イソプロパノール溶液0.5gを加え、100℃に
加熱した。さらにトリクロロシラン75g(0.554
mol)を内温が100〜110℃を維持するような速
度で7時間かけて滴下した。GCにて反応の終了を確認
した後、蒸留によりCH3 (CF27 (CH22
iCl3 121g(沸点76℃/1.5mmHg)を8
2%収率で得た。
【0090】[例4]CH3 (CF27 (CH22
Si(OCH33 の合成例 撹拌機、還流器、温度計、および滴下ロートを備えた、
100mlの4口フラスコに、例3で得たCH3 (CF
27 (CH22 SiCl3 53g(0.1mol)
を入れ、60℃に加熱した。さらにメタノール13gを
1時間かけてゆっくり滴下した。このとき発生する塩酸
ガスを反応系の外へ充分追い出した後、蒸留により目的
生成物CH3 (CF27 (CH22 Si(OCH
33 30g(沸点106℃/0.2mmHg)を58
%収率で得た。
【0091】[例5]温度計、撹拌機が装着されたガラ
ス製反応容器に酢酸ブチル97.00g、例1で得たC
3 CH2 (CF26 (CH22 SiCl3 3.0
0gを入れ25℃で1昼夜撹拌し表面処理剤1を調製し
た。あらかじめ研磨洗浄されたサイズ(10cm×10
cm×厚さ3.5mm)のソーダライムガラス表面に表
面処理剤1を1ccを滴下し、ティッシュペーパーで自
動車ワックスがけの要領にて塗り広げ、大気中(28
℃)で1時間乾燥しサンプル基板1を得た。サンプル基
板1の評価結果を表1に示す。
【0092】[例6]例5におけるCH3 CH2 (CF
26 (CH22 SiCl3 の代わりに例3で得たC
3 (CF27 (CH22 SiCl3 化合物3.0
0gを入れ例5と同様に反応を行い表面処理剤2を調製
した。表面処理剤2を例5と同様に処理しサンプル基板
2を得た。サンプル基板2の評価結果を表1に示す。
【0093】[例7]温度計、撹拌機が装着されたガラ
ス製反応容器に2−プロパノール94.64g、例2で
得たCH3 CH2 (CF26 (CH22 Si(OC
33 3.41gを入れ25℃で10分間撹拌した。
次に0.6重量%硝酸水溶液1.95gを徐々に滴下し
た。滴下終了後、25℃で3昼夜撹拌を継続し表面処理
剤3を調製した。表面処理剤3を例5と同様に処理しサ
ンプル基板3を得た。サンプル基板3の評価結果を表1
に示す。
【0094】[例8]例7におけるCH3 CH2 (CF
26 (CH22 Si(OCH33 の代わりに例4
で得たCH3 (CF27 (CH22 Si(OCH
33 3.41gを入れ、例7と同様に反応を行い表面
処理剤4を調製した。表面処理剤4を例5と同様に処理
しサンプル基板4を得た。サンプル基板4の評価結果を
表1に示す。
【0095】[例9(比較例)]温度計、撹拌機が装着
されたガラス製反応容器に酢酸ブチル97.00g、C
3 (CF27 (CH22 SiCl3 3.00gを
入れ25℃で1昼夜撹拌し表面処理剤5を調製した。表
面処理剤5を例5と同様に処理しサンプル基板5を得
た。サンプル基板5の評価結果を表1に示す。
【0096】[例10(比較例)]温度計、撹拌機が装
着されたガラス製反応容器に酢酸ブチル97.00g、
CH3 (CH27 SiCl3 3.00gを入れ25℃
で1昼夜撹拌し表面処理剤6を調製した。表面処理剤6
を例5と同様に処理しサンプル基板6を得た。サンプル
基板6の評価結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】[例11〜14]例5〜例8で得たサンプ
ル基板1〜4を、それぞれ下表2に示す薬品に24時間
浸漬し、浸漬後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評
価した。結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】[例15〜18]例5〜例8で得たサンプ
ル基板1〜4を、それぞれ荷重1kgでネル布にて15
00回往復摩耗した。摩耗試験後の撥水性、水滴転落
性、および水滴残存性を評価結果を表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】[例19〜22]例5〜例8で得たサンプ
ル基板1〜4を、それぞれ200℃で30分加熱した。
加熱後のサンプル基板1〜4の撥水性、水滴転落性、お
よび水滴残存性を評価した結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】[例23]温度計および撹拌機が装着され
たガラス製反応容器に酢酸ブチル99.00g、Si
(NCO)4 1.00gを入れ25℃で1昼夜撹拌を継
続し前処理液1を調製した。あらかじめ研磨洗浄された
サイズ10cm×10cm×厚さ3.5mmのソーダラ
イムガラス表面に前処理液1を1cc滴下し、ティッシ
ュペーパーで自動車ワックスがけの要領にて塗り広げ、
25℃、湿度50%の環境下に1時間放置し前処理基板
1を得た。例5におけるソーダライムガラスの代わりに
前処理基板1を用いて同様に処理を行いサンプル基板7
を得た。サンプル基板7の評価結果を表5に示す。
【0105】[例24]温度計および撹拌機が装着され
たガラス製反応容器にエチルアルコール78.80g、
Si(OCH2 CH34 10.40gを入れ25℃で
10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液10.
80gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で1昼夜
撹拌を継続し前処理液2を調製した。例23における前
処理液1の代わりに前処理液2を用いて同様に処理し前
処理基板2を得た。例5におけるソーダライムガラスの
代わりに前処理基板2を用いて同様に処理を行いサンプ
ル基板8を得た。サンプル基板8の評価結果を表5に示
す。
【0106】
【表5】
【0107】[例25]表面処理剤1を例5におけるソ
ーダライムガラスの代わりに、自動車用フロント合わせ
ガラスの表面に処理を行った後、該合わせガラスを自動
車に装着した。この自動車を3ヶ月間実際に使用して、
フロント表面での汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天
時においては水滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0108】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生が
あった場合にはティッシュペーパーで軽く拭くことによ
り容易に除去できた。また、雨天時には、表面で水滴が
はじかれ、走行による風圧との相互作用により水滴はす
みやかに移動し、ワイパーを使用することなく、視野が
確保された。また、停車時にも水滴の転がり性がよく、
水滴が自重により転落して、ワイパーを用いずに視野の
確保ができた。
【0109】さらに、未処理のフロント合わせガラスに
付着する水滴が氷結するような環境下での走行テストに
おいてフロントガラスでの氷結はまったく見られなかっ
た。
【0110】[例26]例25におけるフロント合わせ
ガラスをサイドガラス、リアガラス、サイドミラーに変
更して行ったところ、例25と同様の効果が確認でき
た。
【0111】[例27]すでに常用して3年が経過した
自動車用フロントガラスの表面を酸化セリウム水溶液で
研磨し、水洗し乾燥した。洗浄したフロント合わせガラ
スを基板に例5と同様の方法で表面処理剤1を処理し
た。この自動車について例25と同様の走行試験を実施
したところ、例25と同様の効果が確認された。
【0112】
【発明の効果】本発明の表面処理剤を基板に処理して得
た処理基板表面には、以下の優れた効果が認められた。 (1)撥水性、水滴転落性に優れ、水のもたらす悪影響
を排除でき、洗浄の簡略化が図れる。 (2)撥水性、水滴転落性の効果持続性に優れ、半永久
的に使用できる。また、耐薬品性にも優れることから、
海水が直接触れる船舶の透視野部等にも使用できる。 (3)処理にあたっては、特殊な前処理を必要とせず、
経済的効果が高い。 (4)常温処理でも効果を発現するため、幅広い分野に
適用でき、かつ経済性も優れる。 (5)表面処理剤で処理された処理基板は、車輌、船
舶、航空機、建築物等に用いられうる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式1で表される含フッ素有機ケイ素化合
    物および/または下式1で表される含フッ素有機ケイ素
    化合物の加水分解生成物を必須成分とする表面処理剤。 (RAx (R1y Si(X1Z ・・・式1 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RA :式RH −A1 −B1 −(ただし、RH は炭素数1
    〜20のアルキル基、A1 はエーテル性酸素原子を含ん
    でいてもよい炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン
    基、B1 は2価有機基。)で表される1価の基であり、
    式中に2個以上存在する場合には同一であっても異なっ
    ていてもよい。 R1 :水素原子、1価炭化水素基、置換基を有する1価
    炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA
    を除く)、置換基を有する1価ハロゲン化炭化水素基
    (ただし、RA を除く)、連結基を含む1価炭化水素
    基、または、連結基を含む1価ハロゲン化炭化水素基
    (ただし、RA を除く)であり、式中に2個以上存在す
    る場合には同一であっても異なっていてもよい。 X1 :水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン
    原子、イソシアネート基、アミノ基、またはアミド基で
    あり、式中に2個以上存在する場合には同一であっても
    異なっていてもよい。 x:1、2または3。 y:0、1または2。ただし、(x+y)は1、2また
    は3。 z:1、2または3。ただし、(x+y+z)は4。
  2. 【請求項2】RA 中のB1 が、置換されていてもよい2
    価炭化水素基、置換されていてもよい2価炭化水素基の
    炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された
    基、または置換されていてもよい2価炭化水素基末端に
    −CONR10−(ただし、R10は、水素原子または低級
    アルキル基を示す。)が結合した基である請求項1記載
    の表面処理剤。
  3. 【請求項3】RA が、RH (CF2n (CH2m
    (ただし、RH は上記と同じ意味、nは4〜18の整
    数、mは1〜6の整数。)で表される1価の基である請
    求項1または2記載の表面処理剤。
  4. 【請求項4】式1で表される含フッ素有機ケイ素化合物
    が下式2で表される化合物である請求項1記載の表面処
    理剤。 【化1】 [RH (CF2n (CH2m −]Si(X23 ・・・式2 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RH :炭素数1〜20のアルキル基。 n:4〜18の整数。 m:1〜6の整数。 X2 :同一であっても異なっていてもよく、水酸基、炭
    素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはイソ
    シアネート基である。
  5. 【請求項5】RH が、メチル基またはエチル基である請
    求項1、2、3または4記載の表面処理剤。
  6. 【請求項6】基材表面に請求項1、2、3、4または5
    記載の表面処理剤を塗布し乾燥して得た処理基材。
  7. 【請求項7】基材表面に、あらかじめ下式4で表される
    有機ケイ素化合物を塗布し乾燥させた後に、請求項1、
    2、3、4または5記載の表面処理剤を塗布し乾燥して
    得た処理基材。 (R2a Si(X34-a ・・・式4 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R2 :1価炭化水素基、置換基を有する1価炭化水素
    基、1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA を除
    く)、連結基を含む1価炭化水素基、または連結基を含
    む1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA を除く)で
    あり、式中に2個以上存在する場合には同一であっても
    異なっていてもよい。 a:0、1、2または3。 X3 :反応性基。
  8. 【請求項8】基材表面がガラス表面である請求項6また
    は7記載の処理基材。
  9. 【請求項9】請求項6、7または8記載の処理基材を含
    む物品。
  10. 【請求項10】下式1で表される含フッ素有機ケイ素化
    合物。 (RAx (R1y Si(X1Z ・・・式1 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RA :式RH −A1 −B1 −(ただし、RH は炭素数1
    〜20のアルキル基、A1 はエーテル性酸素原子を含ん
    でいてもよい炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン
    基、B1 は2価有機基。)で表される1価の基であり、
    式中に2個以上存在する場合には同一であっても異なっ
    ていてもよい。 R1 :水素原子、1価炭化水素基、置換基を有する1価
    炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基(ただし、RA
    を除く)、置換基を有する1価ハロゲン化炭化水素基
    (ただし、RA を除く)、連結基を含む1価炭化水素
    基、または、連結基を含む1価ハロゲン化炭化水素基
    (ただし、RA を除く)であり、式中に2個以上存在す
    る場合には同一であっても異なっていてもよい。 X1 :水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン
    原子、イソシアネート基、アミノ基、またはアミド基で
    あり、式中に2個以上存在する場合には同一であっても
    異なっていてもよい。 x:1、2または3。 y:0、1または2。ただし、(x+y)は1、2また
    は3。 z:1、2または3。ただし、(x+y+z)は4。
  11. 【請求項11】下式2で表される化合物。 【化2】 [RH (CF2n (CH2m −]Si(X23 ・・・式2 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 RH :炭素数1〜20のアルキル基。 n:4〜18の整数。 m:1〜6の整数。 X2 :同一であっても異なっていてもよく、水酸基、炭
    素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、またはイソ
    シアネート基である。
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