JP3503365B2 - 表面処理された基材 - Google Patents

表面処理された基材

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JP3503365B2
JP3503365B2 JP29545996A JP29545996A JP3503365B2 JP 3503365 B2 JP3503365 B2 JP 3503365B2 JP 29545996 A JP29545996 A JP 29545996A JP 29545996 A JP29545996 A JP 29545996A JP 3503365 B2 JP3503365 B2 JP 3503365B2
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貴重 米田
文明 郡司
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた撥水性、防汚
性を有する表面処理された基材とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】さまざまな材料からなる基材、および基
材に表面処理層を施した各種基材はあらゆる分野で使用
されており、基材表面へのほこり、油汚れ等の吸着、ま
たは、水のもたらす悪影響が問題となっている。
【0003】たとえば、電車、自動車、船舶、航空機等
の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面
材等の外装部材、計器盤表面材等の内層部材、その他の
物品の表面は常に清浄であることが好ましく、表面に、
雨滴、ほこり、汚れ等が付着したり、大気中の湿度、温
度の影響で水分が凝縮すると、外観が損なわれる問題が
ある。また、人の目に直接触れたり、人が直接接する表
面であると、不快感や衛生上の問題も生じる。
【0004】さらに、輸送機器用物品の汚れは、本来の
機能を著しく低下させることにもなる。特に、輸送機器
用物品が透明性、透視性を要求される物品(たとえば、
窓ガラス、鏡等)である場合には、透明性、透視性の減
少はその物品の本来の目的を達成できないことを意味
し、重大事故を誘発する原因ともなりうる。
【0005】こうしたほこり、油汚れ、水を除去するた
めの手段(たとえば、拭き取り、ワイパーによる除去)
は、表面に微細な傷を付けることがある。ほこり、油汚
れ、水等に伴われる異物粒子によって表面の傷を一層著
しくすることもある。
【0006】さらに、ガラス表面に水分が付着した場合
には水分中にガラス成分が溶出し、表面が浸食される
(いわゆる焼けと呼ばれる現象)ことはよく知られてい
る。この焼けを除去するために強く摩擦すると微細な凸
凹を生じやすい。焼けが激しく生じたガラスや、表面に
微細な凸凹を生じたガラスからなる透視部は、本来の機
能が低下し、また、その表面で光の散乱が激しく、視野
確保の点で不都合が生じるだけでなく、安全性の点から
も問題である。
【0007】ほこり、汚れ、水は輸送機器物品の表面に
有害な影響を与え、損傷、汚染、着色、腐食等を促進さ
せ、また、輸送機器用物品の電気特性、機械的特性、光
学的特性等の変化を誘発することもある。この種の悪影
響は輸送機器用物品に限らず、建築・建装用物品、電気
・電子機器用物品等各種分野で問題となっている。
【0008】このため、ほこり、汚れ、水滴の付着を防
ぐ性質、あるいはこれらが付着した場合に除去を容易に
する性質(以下これらを単に防汚性という)を基材表面
に付与する技術が強く求められている。
【0009】従来より防汚性を付与する方法として、シ
リコーン系ワックスやオルガノポリシロキサンからなる
シリコーン油、界面活性剤等の表面処理剤を基材に直接
塗布する方法が提案されている。
【0010】しかし、従来の表面処理剤は、処理剤自身
の基材への付着性が低い欠点があり、防汚性の長期持続
性を満足することはできず、適用範囲が限定されてい
た。
【0011】さらに防汚性は、今後製作される新しい物
品のみならず、既に使用されている物品、処理後に性能
の低下が認められた物品等にも付与できることが望まし
い。しかし、これらの物品すべてに適用しようとする場
合には、各部位に常温で直接処理するだけで防汚性を付
与する必要がある。たとえば、既に市販されている自動
車用フロントガラスに処理を行う場合、経済的な理由か
ら各自動車のフロントガラスを入れ替えて熱処理するこ
とは不可能である。また、塗布後自動車全体を焼成する
ことも現実的には不可能である。したがって、従来の処
理剤では、対応が困難であり、費用がかかりすぎる、と
いう問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、撥水性、防
汚性がきわめて優れた基材とその製造方法の提供を目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、2層以上の表
面処理層を有する基材であって、表面処理層の最外層で
ある第1層が一般式(B)で表される化合物Bを必須成
分として含有する表面処理剤(以下、処理剤Bという)
で処理して得られる層であり、最外層に接する下層であ
る第2層が一般式(A)で表される化合物AとSi(N
CO)とを必須成分として含有する表面処理剤(以
下、処理剤Aという)で処理して得られる層であること
を特徴とする表面処理された基材、とその製造方法を提
供する。
【0014】
【0015】ただし、Rポリフルオロアルキル基で
あり、Rは水素原子または有機基であり、aは1、2
または3であり、bは0、1または2であり、かつ、1
≦a+b≦3であり、Zはイソシアネート基または加水
分解性基である。また、Rは有機基であり、Rは水
素原子または有機基であり、cは1、2または3であ
り、dは0、1または2であり、かつ、1≦c+d≦3
である。
【0016】
【発明の実施の形態】化合物Aにおいて、aが2以上の
とき、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。bが
2のとき、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。
4−a−bが2以上のとき、Zはイソシアネート基のみ
でも加水分解性基のみでもよく、イソシアネート基と加
水分解性基とが併存していてもよく、加水分解性基が2
つ以上のときは、それらの加水分解性基は互いに同一で
も異なっていてもよい。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】リフルオロアルキル基(以下、ポリフル
オロアルキル基をR基と記す)は、アルキル基の水素
原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味す
る。
【0023】R基の炭素数は3〜18が好ましい。R
基は直鎖状でも分岐状でもよい。R 基中のフッ素
原子の割合としては、(R基中のフッ素原子の数)/
(R基に対応する同一炭素数のアルキル基中の水素原
子の数)が60%以上が好ましく、80%以上が特に好
ましい。
【0024】R基は、エーテル性の酸素原子やイオウ
原子等を含んでいてもよい。たとえば、ポリフルオロオ
キサアルキル基、ポリフルオロチオアルキル基等が挙げ
られる。たとえば、ポリフルオロオキサアルキル基とし
ては、ポリフルオロエチレンオキシ部分やポリフルオロ
プロピレンオキシ部分を含む基、ポリフルオロエチルオ
キシ部分やポリフルオロプロピルオキシ部分等を含む基
等が挙げられる。ポリフルオロチオアルキル基として
は、ポリフルオロエチレンチオ部分やポリフルオロプロ
ピレンチオ部分を含む基、ポリフルオロエチルチオ部分
やポリフルオロプロピルチオ部分等を含む基等が挙げら
れる。
【0025】R基としては、上記のR基中の水素原
子のすべてがフッ素原子に置換されたペルフルオロアル
キル基、ペルフルオロアルキル部分を有する基、または
ペルフルオロアルキレン部分を有する基が好ましい。ペ
ルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキル部分
の炭素数は3〜21が好ましく、ペルフルオロアルキレ
ン部分の炭素数は2〜18が好ましい。
【0026】特に、R基としては、上記のペルフルオ
ロアルキル部分とアルキレン基が連結した構造の基が好
ましく、特にC2m+1(CH−(mは3〜
21の整数が好ましく、nは1〜6の整数が好ましく、
nは2が特に好ましい。)で表される場合のR基が好
ましい。
【0027】化合物AのZは、イソシアネート基または
加水分解性基を示す。イソシアネート基は加水分解性基
の1種であるという考え方もあるが、本発明において
は、イソシアネート基と加水分解性基は、異なる基であ
るとする。イソシアネート基および加水分解性基は、化
合物Aを基材に処理した場合に、いずれも各種の基材と
の密着性を高めるうえで非常に重要な構造単位である。
ここでの「密着」とは、化合物Aと基材との化学的、物
理的結合状態を意味する。
【0028】加水分解性基としては、アルコキシ基、ハ
ロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)原子、アシルオキシ基、
アルコキシ置換アルコキシ基、アミノキシ基、アミド
基、ケトキシメート基等が例示され、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子が好ましい。加水分解性基の炭素数は、8以
下、特に4以下、が好ましい。最も好ましいのは炭素数
1〜4のアルコキシ基であり、たとえば、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n
−ブトキシ基等が挙げられる。
【0029】化合物AにおけるZとしては、特に限定は
なく、使用目的に応じて適宜選択できる。また、複数あ
る場合のZは、同一であっても異なっていてもよく、合
成しやすさの点からは同一の場合が好ましい。
【0030】Zが異なる場合、分子内に加水分解性基と
イソシアネート基が共存したり、イソシアネート基と塩
素原子が共存していてもよく、また、異なる加水分解性
の基が共存していてもよい。しかし、化合物Aの反応性
を考慮した場合には、化合物A中のZの1つ以上はイソ
シアネート基である場合が好ましく、特に基材との密着
性、処理時の作業安定性等の点から、Zのすべてがイソ
シアネート基である場合が好ましい。
【0031】なお、以下において、化合物A分子内に1
つ以上のイソシアネート基が存在し、かつ、ケイ素原子
にイソシアネート基が直接結合した構造の化合物Aを、
イソシアネートAと記す。
【0032】イソシアネートAにおいては、イソシアネ
ート基の反応性がきわめて高いので、常温で処理した場
合には、大部分が化学的反応で基材表面に結合するもの
と考えられる。すなわち、結合状態においては、イソシ
アネート基は変化しているものと考えられる。たとえ
ば、イソシアネート基はガラス表面のシラノール基と反
応していると考えられる。
【0033】化合物Aにおいては、基材への密着性の点
から1つのケイ素原子に直結したイソシアネート基およ
び/または加水分解性の基の数が多い場合が好ましく、
特にイソシアネート基の数が多い場合が好ましい。Zの
数は2以上であることが望ましい。
【0034】化合物Aの具体例を(A−1)〜(A−3
5)に示すが、それらに限定されない。式中、Zはイソ
シアネート基および/または加水分解性基を、R’、
f はRf 基を示す。また、(A−17)、(A−1
8)、(A−34)、(A−35)におけるmは1〜1
0の整数である。
【0035】化合物Aとしては、上記の化合物の1種ま
たは2種以上を使用できる。また、化合物AがRf 基を
含む化合物である場合、Rf 基の炭素数の異なる2種以
上の化合物Aを用いてもよい。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】Si(NCO)4は官能基数が4であり、
化合物Aに比べさらに常温で非常に反応性が高いため、
基材との密着性を飛躍的に高めうる。Si(NCO)4
はSi(NCO)4同士で反応したり、化合物Aとも反
応するため、得られる被膜の架橋構造性が向上し、膜の
高耐久化に通じるものと考えられる。処理剤Aは化合物
AとSi(NCO)4とを含むため、Si(NCO)4
みの場合に比し耐久性(特に耐塩水性)に優れるものと
なる。
【0039】処理剤Aにおいて、化合物AのSi(NC
O)4に対する重量比は特に限定されず、好ましくは9
5/5〜40/60である。化合物AのSi(NCO)
4に対する重量比が95/5より大きいとSi(NC
O)4の添加効果が発現しにくく、この重量比が40/
60より小さいと膜の耐久性(特に耐塩水性)および作
業性が低下する。
【0040】処理剤Aは、化合物AおよびSi(NC
O)4のみから構成されていてもよいが、通常は、化合
物AおよびSi(NCO)4とともに有機溶剤を含むこ
とが好ましい。
【0041】有機溶剤としては特に限定されず、化合物
AおよびSi(NCO)4を溶解または均一に分散させ
る有機溶剤が好ましく、特に、ハロゲン(フッ素、塩
素、臭素)化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等の各種
溶剤から作業性、経済性、安全性等を加味して選択すれ
ばよい。有機溶剤は1種または2種以上を使用できる。
具体的には以下の溶剤が例示できるが、これらに限定さ
れない。
【0042】ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレ
ン、リグロイン、塩化メチレン、クロロホルム。各種フ
ロン類(225ca(1,1,1,2,2−ペンタフル
オロ−3,3−ジクロロプロパン)、225cb(1,
1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプ
ロパン)、123、124、125、134a、141
b、142b、152a等)。
【0043】ベンゾトリフルオリド、1,3−ビス(ト
リフルオロメチル)ベンゼン、ペルフルオロ(トリ−n
−ブチルアミン)、ペルフルオロ(トリ−n−ペンチル
アミン)、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロ(2
−n−ブチルテトラヒドロフラン)(化参照)、ペル
フルオロ(2−n−プロピルテトラヒドロフラン)(化
参照)、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロベンゼ
ン、ペルフルオロキシレン、ペルフルオロナフタレン、
ペルフルオロアントラセン。
【0044】アセトン、メチルエチルケトン、ジエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、
アセチルアセトン、ジブチルエーテル、1,4−ジオキ
サン、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールジエチ
ルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリ
コールジブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プ
ロピオン酸ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アセト酢
酸エチル。
【0045】酢酸エチレングリコールモノメチルエーテ
ル[CHCOOCHCHOCH]、酢酸エチレ
ングリコールモノエチルエーテル[CHCOOCH
CHOC]、酢酸ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル[CHCOOCHCHOCH
OC]、酢酸ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル[CH COOCHCHOCHCH
OC]、ジ酢酸グリコール[CHCOOCH
CHOCOCH]。
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】特に、液の安定性、安全性、作業性、経済
性等の観点から、酢酸エステル類、酪酸エステル類、エ
ーテル類、ハロゲン化(特にフッ素化)炭化水素類が好
ましい。
【0049】化合物Aがイソシアネート基を有する場
合、反応性の水素原子を有する有機溶剤は、化合物Aの
イソシアネート基と反応するため望ましくないが、濡れ
性向上の目的でアルコール等の溶剤を少量添加してもよ
い。
【0050】有機溶剤の量としては、被膜の形成性(作
業性)、安定性、被膜厚さ、経済性等の理由から、有機
溶剤の100重量部に対して化合物Aの量が0.1〜3
0重量部程度となる量が好ましい。
【0051】処理剤Aは目的に応じて他の化合物、添加
剤などを含有していてもよい。他の添加剤は、各成分と
の反応性、相溶性を考慮して選択すればよく、各種金属
酸化物の超微粒子、各種樹脂なども添加できる。着色が
必要であれば染料、顔料等も添加できる。これらの添加
剤は化合物Aの100重量部に対して0.1〜20重量
部が好適である。添加剤の量が過剰であると処理剤Aが
有する防汚性、耐摩耗性等を低下させるので望ましくな
い。
【0052】また、たとえば、導電性が必要であれば、
目的に応じた抵抗が得られる材料(酸化スズ、ITO
(In23 −SnO2 )、酸化亜鉛等)を添加しても
よい。これら添加剤の添加量は目的とする抵抗値および
材料に応じて決定すればよい。
【0053】また、処理剤Aを処理するにあたり、目的
に応じた前処理を施してもよい。たとえば、酸化セリウ
ム等による研磨処理、サンドブラスト処理、フッ酸、硫
酸、硝酸、塩酸等による酸処理、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム水溶液等によるアルカリ処理、またはプラ
ズマ照射等による放電処理等の前処理を行ってもよい。
また、前処理を行わずに処理してもよい。
【0054】処理剤Aを処理する方法は特に限定されな
い。通常、公知の各種処理方法が適用できる。塗布方法
としては、はけ塗り、流し塗り、回転塗り、浸漬塗り、
スプレー塗布等の各種方法が挙げられる。さらに、大気
中または窒素雰囲気中で乾燥させることによって被膜が
形成される。
【0055】上記の処理は、いずれも常温で実施でき、
20〜30℃が好ましい。また、乾燥時間は10分〜5
時間程度であり、20分〜2時間が好ましい。また、乾
燥速度を早める等の目的で加熱してもよい。加熱する場
合には基材の耐熱性が保たれる温度、時間を設定すれば
よい。また、湿度の高い(たとえば50%以上)環境下
に放置して乾燥させるのも好ましい。
【0056】処理剤Aを基材に処理することによって形
成される被膜の厚さは、表面処理剤中の固形分濃度、塗
布条件、加熱条件などによって適宜制御され、特に限定
されない。通常の場合、防汚性を発現するには、理論的
に被膜の膜厚は単分子層以上あればよく、経済的観点か
ら2μm以下が好ましい。
【0057】本発明においては、前記一般式(B)で表
される化合物Bを必須成分とする表面処理剤(処理剤
B)を、処理剤Aにより得られる被膜の上に処理して最
外層を形成し、耐久性能を向上させる。化合物Bにおい
て、cが2以上のとき、R3 は互いに同一でも異なって
いてもよい。dが2のとき、R4 は互いに同一でも異な
っていてもよい。
【0058】有機基としては、ハロゲン原子、官能基、
連結基等を含む有機基であってもよい。有機基として
は、炭化水素基、またはハロゲン化有機基が好ましい。
有機基の炭素数は1〜30が好ましい。
【0059】炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、
芳香族炭化水素基のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基
が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、
アルケニル基、シクロアルキル基が好ましく、アルキル
基が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素
基としてはアリール基が好ましい。
【0060】ハロゲン化有機基のハロゲン原子として
は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子が好ましく、塩素
原子およびフッ素原子がより好ましく、フッ素原子が特
に好ましい。
【0061】ハロゲン化有機基としては、ハロゲン化炭
化水素基が好ましく、特にハロゲン化アルキル基が好ま
しい。ハロゲン化アルキル基としては、クロロアルキル
基、フルオロアルキル基、クロロフルオロアルキル基等
が挙げられる。
【0062】また、ハロゲン化有機基としては、有機基
の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたポリフ
ルオロ有機基が好ましい。ポリフルオロ有機基として
は、ポリフルオロ炭化水素基が好ましく、特に、上記の
炭化水素基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換さ
れたポリフルオロ炭化水素基が好ましい。ポリフルオロ
炭化水素基としては、特にRf 基が好ましい。
【0063】Rf 基の炭素数は3〜18が好ましい。R
f 基は直鎖状でも分岐状でもよい。Rf 基中のフッ素原
子の割合としては、(Rf 基中のフッ素原子の数)/
(Rf 基に対応する同一炭素数のアルキル基中の水素原
子の数)が60%以上が好ましく、特に80%以上であ
る場合が好ましい。
【0064】Rf 基は、エーテル性の酸素原子やイオウ
原子等を含んでいてもよい。たとえば、ポリフルオロオ
キサアルキル基、ポリフルオロチオアルキル基等が挙げ
られる。たとえば、ポリフルオロオキサアルキル基とし
ては、ポリフルオロエチレンオキシ部分やポリフルオロ
プロピレンオキシ部分を含む基、ポリフルオロエチルオ
キシ部分やポリフルオロプロピルオキシ部分等を含む基
等が挙げられる。ポリフルオロチオアルキル基として
は、ポリフルオロエチレンチオ部分やポリフルオロプロ
ピレンチオ部分を含む基、ポリフルオロエチルチオ部分
やポリフルオロプロピルチオ部分等を含む基等が挙げら
れる。
【0065】R基としては、上記のR基中の水素原
子のすべてがフッ素原子に置換されたペルフルオロアル
キル基、ペルフルオロアルキル部分を有する基、または
ペルフルオロアルキレン部分を有する基が好ましい。ペ
ルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキル部分
の炭素数は3〜21が好ましく、ペルフルオロアルキレ
ン部分の炭素数は2〜18が好ましい。
【0066】特に、R基としては、上記のペルフルオ
ロアルキル部分とアルキレン基が連結した構造の基が好
ましく、特にC2m+1(CH−(mは3〜
21の整数が好ましく、nは1〜6の整数が好ましくn
は2が特に好ましい。)で表される場合のR 基が好
ましい。
【0067】化合物Bにおけるイソシアネート基は、化
合物Bを、前記した処理剤Aにより得られる被膜の表面
に処理する場合に、密着性を高めるうえで非常に重要な
構造単位である。ここでの「密着」とは、化合物Bと処
理剤Aより得られる被膜表面との化学的、物理的結合状
態を意味する。
【0068】化合物Bにおいては、イソシアネート基の
反応性が非常に高いので、常温で処理した場合には、大
部分が化学的反応で結合するものと考えられる。すなわ
ち、結合状態においては、イソシアネート基は変化して
いるものと考えられる。たとえば、イソシアネート基は
処理剤Aより得られる表面のシラノール基と反応してい
ると考えられる。
【0069】化合物Bにおいては、処理剤Aより得られ
る被膜への密着性の点から1つのケイ素原子に直結した
イソシアネート基の数が多い場合が好ましく、その数は
2以上であることが望ましい。
【0070】処理剤Aより得られる被膜最表面では化合
物AおよびSi(NCO)4の(大部分はSi(NC
O)4の)未反応基部分(Si−NCO基)がそのま
ま、または空気中の水分と反応した形(Si−OH基)
で存在するものと思われる。
【0071】したがって、処理剤Aより得られる被膜表
面に処理剤Bを処理した場合、このSi−NCO基、S
i−OH基が反応起点となると考えられ、化合物Bと処
理剤Aより得られる被膜は強固に密着するとともに膜の
有効膜厚が厚くなるため、膜の耐久性能が飛躍的に向上
するものと思われる。また、耐久性(特に耐塩水性)の
点でも好ましい結果が得られる。
【0072】また、化合物Bは表面自由エネルギーが低
い物質であり、被膜中にごく一部存在する遊離状態の化
合物Bが表面層を移動することによって、表面での摩擦
抵抗を低減するために耐摩耗性が良好であると考えられ
る。
【0073】化合物Bは、通常、有機溶剤に溶解、分散
して用いるのが作業性、経済的な点から好ましい。有機
溶剤としては特に限定されず、化合物Bを溶解または均
一に分散させるものが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩
素、臭素)化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル
類、ケトン類、エーテル類等の各種溶剤が採用される。
有機溶剤は1種または2種以上を使用できる。
【0074】特に、酢酸エステル類や、225ca、2
25cb、ペルフルオロ(トリ−n−ブチルアミン)、
ペルフルオロ(トリ−n−ペンチルアミン)、ペルフル
オロアルカン、ペルフルオロベンゼン、ペルフルオロキ
シレン、ペルフルオロナフタレン、ペルフルオロアント
ラセン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロ(2−n
−ブチルテトラヒドロフラン)、ペルフルオロ(2−n
−プロピルテトラヒドロフラン)、ベンゾトリフルオリ
ド、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の
含フッ素系溶剤が好ましい。
【0075】反応性の水素原子を有する有機溶剤は、化
合物Bのイソシアネート基と反応するため望ましくない
が、濡れ性向上の目的で少量添加してもよい。有機溶剤
の量としては、被膜の形成性(作業性)、安定性、被膜
厚さ、経済性等の理由から、有機溶剤の100重量部に
対し化合物Bの量が0.1〜30重量部程度となる量が
好ましい。
【0076】処理剤Bには目的に応じて他の化合物、添
加剤などを含んでいてもよい。他の添加剤としては、前
述した化合物AおよびSi(NCO)4 に対する添加剤
が同様に使用できる。
【0077】処理剤Bを処理剤Aより得られる被膜に処
理する方法は特に限定されない。通常、公知の各種処理
方法が適用できる。塗布方法としては、はけ塗り、流し
塗り、回転塗り、浸漬塗り、スプレー塗布等の各種方法
が挙げられる。さらに大気中または窒素雰囲気中で乾燥
させることによって被膜が形成される。
【0078】上記の処理は、いずれも常温で実施でき、
20〜30℃が好ましい。乾燥時間は10分〜5時間程
度であり、20分〜2時間が好ましい。乾燥速度を早め
る等の目的で加熱してもよい。加熱する場合には基材の
耐熱性が保たれる温度、時間を設定すればよい。また、
湿度の高い(例えば50%以上)環境下に放置して乾燥
させるのも好ましい。
【0079】化合物Bを基材に処理することによって形
成される被膜の厚さは、表面処理剤中の固形分濃度、塗
布条件、加熱条件などによって適宜制御され、特に限定
されない。通常の場合、防汚性を発現するには、理論的
に被膜の膜厚は単分子層以上あればよく、経済的観点か
ら2μm以下が好ましい。化合物AとSi(NCO)4
により形成される層と化合物Bにより形成される層とを
あわせた膜厚も経済的観点から2μm以下が好ましい。
【0080】化合物Bの具体例としては(A−1)〜
(A−35)で示した化合物においてZをイソシアネー
ト基とした化合物が例示できる。化合物Bは化合物Aと
同じであっても異なっていてもよい。また、化合物Bと
しては、1種または2種以上を使用できる。また、化合
物BがRf 基を含む化合物である場合、Rf 基の炭素数
の異なる2種以上の化合物を用いてもよい。
【0081】本発明の基材としては、特に限定されず、
金属、プラスチックス、セラミックス、ガラス、その他
の無機質材料や有機質材料またはその組合せ(複合材
料、積層材料等)等に適用できる。また、基材の表面
は、基材そのものの表面のみならず、塗装金属等の塗膜
表面や、表面処理ガラスの表面処理層表面(たとえば、
ゾルゲル膜、スパッタ膜、CVD膜、蒸着膜等が設けら
れた表面)等の基材そのものとは異なる材質の表面であ
ってもよい。基材の形状としては特に限定されない。た
とえば、平面でもよく、全面にまたは部分的に曲率を有
するものなど、目的に応じた任意の形状であってもよ
い。
【0082】本発明において用いられる基材としては、
ガラス、プラスチックス等の透明な材料からなる基材が
好ましい。また、輸送機器用物品、建築・建装用物品と
して用いられることが好ましい。
【0083】輸送機器用物品とは、電車、バス、トラッ
ク、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、
窓ガラス、鏡、表示機器表面材等の外装部材、計器盤表
面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用されるまた
は使用された部品、構成部材をいう。
【0084】電車のボディ、窓ガラス、パンタグラフ
等、自動車、バス、トラック等のボディ、フロントガラ
ス、サイドガラス、リアガラス、ミラー、バンパー等、
船舶等のボディ、窓ガラス等、航空機等のボディ、窓ガ
ラス等が例示できる。
【0085】物品は表面処理された基材のみからなって
いてもよく、表面処理された基材が組み込まれたもので
あってもよい。たとえば、前者として自動車用の窓ガラ
スがあり、後者としてガラス鏡が組み込まれた自動車用
バックミラー部材がある。
【0086】こうした基材、物品においては水滴除去性
により表面に付着する水滴がはじかれ、特に、運行に伴
って、受ける風圧との相互作用によって表面上を急速に
移動し、水滴として溜ることなく、水分が誘発する悪影
響を排除できる。特に、各種窓ガラス等の透視野部での
用途では水滴の飛散により視野確保が非常に容易とな
り、車両の安全性向上に資す。
【0087】また、水滴が氷結するような環境下におい
ても氷結せず、仮に、氷結したとしても解凍は著しく速
い。さらには、水滴の付着がほとんどないため定期的な
清浄作業回数を低減でき、かつ、清浄はきわめて容易
で、美観保護の点からも非常に有利である。
【0088】また、建築・建装用物品とは、建築物に取
り付けられる物品、すでに建築物に取り付けられた物
品、建築物に取り付けられていなくてもそれとともに使
用される建築用物品、または、家具、什器などの建装用
物品などをいう。
【0089】窓ガラス、屋根用ガラス板やガラス屋根を
はじめとする各種屋根、ドア用ガラス板やそれがはめ込
まれたドア、間仕切り用ガラス板、温室用ガラス板や温
室、透明プラスチックス板を用いた窓材、屋根材など、
セラミックス、セメント、金属その他の材料からなる壁
材、鏡やそれを有する家具、または、陳列棚やショーケ
ース用のガラスなどが例示される。
【0090】物品は表面処理された基材のみからなって
いてもよく、表面処理された基材が組み込まれたもので
あってもよい。たとえば、前者として窓用ガラス板があ
り、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具がある。
【0091】こうした表面処理された基材においては、
水滴除去性により表面に接触した水滴がはじかれて付着
し難く、たとえ付着してもその量は少なく、また、付着
した水滴の除去が容易である。また、水滴が氷結するよ
うな環境下においても氷結せず、仮に、氷結したとして
も解凍は著しく速い。さらには、水滴の付着がほとんど
ないため定期的な清浄作業回数を低減でき、かつ、清浄
はきわめて容易で美観保護の点からも非常に有利であ
る。
【0092】処理剤Aは、常温処理で性能を発現すると
いう利点がある。また、特別な前処理や後処理を必要と
しないため、手軽に処理できる。したがって、新しい基
材に処理するだけでなく、すでに何らかの用途に使用さ
れている基材に処理することもできる。また、処理剤A
の処理後に何らかの原因で被膜の性能が低下した場合の
修復用にも使用できる。
【0093】
【実施例】本発明を例を挙げて具体的に説明するが、こ
れらに限定されない。なお、例1〜5および例11〜2
2が実施例に相当し、例6〜10が比較例に相当する。
【0094】以下における防汚性、防汚耐久性および塩
水噴霧試験後の防汚性の評価方法はつぎのとおりであ
る。
【0095】[防汚性の評価方法] イ)水(H2 O)の接触角を測定した。 ロ)ヘキサデカン(C1634)の接触角を測定した。 ハ)指紋除去性を以下の方法で評価した。すなわち、手
の指紋を処理表面に付着し、綿布で20往復拭き取りそ
の後の外観を検査し、A:完全にきれいに油汚れが拭き
取れる、B:すこし油汚れが残る、C:かなり油汚れが
残る、という基準で評価した。 ニ)水滴残存性を以下の方法で評価した。すなわち、垂
直に立てたサンプルに20cmの距離に保持したノズル
から水を全面に約1時間スプレーした後に表面に残存す
る水滴を肉眼で観察し、A:サンプル表面に全く水が残
らない、B:サンプル表面に少し水が残る、C:サンプ
ル表面にかなり水滴が残る、D:サンプル表面で水が濡
れ広がる、という基準で評価した。
【0096】[防汚耐久性の評価方法] 沸騰水中に6時間浸漬した後のハ)指紋除去性および
ニ)水滴残存性を評価した。
【0097】[塩水噴霧試験後の防汚性の評価方法] JIS Z2371に従い塩水噴霧試験150時間実施
した後のサンプルガラスの防汚性を評価した。
【0098】表中の「指紋」欄および「水滴」欄は、そ
れぞれ指紋除去性および水滴残存性を意味する。
【0099】[例1] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、酢酸n
−ブチル97.0g、C17Si(NC
O)2.4g、Si(NCO)0.6gをこの順に
加えた。この溶液の液温を25℃に維持しながら1昼夜
撹拌を継続し処理剤Aを得た。
【0100】一方、撹拌子および温度計がセットされた
フラスコに、酢酸n−ブチル97.0g、C8172
4 Si(NCO)3 3.0gをこの順に加えた。この
溶液の液温を25℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し
処理剤B−1を得た。
【0101】あらかじめ酸化セリウム研磨を行い洗浄し
たガラス板(10cm×10cm×厚さ2mm)に処理
剤A−1を1cc滴下し、JKワイパー(十條キンバリ
ー社製品)にて自動車のワックスがけの要領で塗り広げ
た。このときの、塗布作業性について、○:苦労なく簡
単に塗り広げられる、△:塗り広げに少し労力を有す
る、×:塗り広げにかなり手間がかかる、という基準で
評価した。塗布作業性の評価を表1に示す。
【0102】次に、この板を25℃、湿度50%の環境
下に1時間放置した後、該処理面へ処理剤B−1を1c
c滴下し、JKワイパーで前記同様に塗り広げた。その
後、1昼夜放置し、サンプルガラスを作成した。得られ
たサンプルガラスの防汚性、防汚耐久性および塩水噴霧
試験後の防汚性を評価した結果を表2に示す。なお、表
2において、「外観」欄の「良」は「良好」を意味す
る。
【0103】[例2] C17Si(NCO)2.4g、Si
(NCO)0.6gのかわりにC17
i(NCO)1.5g、Si(NCO)1.5gを
用いた他は例1と同様にして処理剤A−2を得た。以
下、処理剤A−1のかわりに処理剤A−2を用いた他は
例1と同様にしてサンプルガラスを作成し、塗布作業
性、防汚性、防汚耐久性および塩水噴霧試験後の防汚性
を評価した。結果を表2に示す。
【0104】[例3〜5] 処理剤A−2のかわりに表1の「下層」欄に示す処理剤
を用いた他は例2と同様にしてサンプルガラスをそれぞ
れ作成し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0105】[例6] 例3と同様にして下層の処理剤を塗布した後、1昼夜放
置し、サンプルガラスを作成した。例1と同様の評価を
した。結果を表2に示す。
【0106】[例7] 例1のガラス板に何も処理せずに例1と同様の評価を行
った。結果を表2に示す。
【0107】[例8〜9] 例6の下層の処理剤のかわりに表1の「下層」欄に示す
処理剤を用いた他は例6と同様にしてサンプルガラスを
それぞれ作成し、同様の評価をした。結果を表2に示
す。
【0108】[例10] 処理剤A−1のかわりに表1の「下層」欄に示す処理剤
を用い、処理剤B−1のかわりに表1の「上層」欄に示
す処理剤を用いた他は例1と同様にしてサンプルガラス
を作成し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0109】[例11] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、酢酸n
−ブチル29.1g、C17Si(NC
O)2.4g、Si(NCO)0.6gおよび1,
3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン67.9gを
この順に加えた。この溶液の液温を25℃に維持しなが
ら1昼夜撹拌を継続し処理剤A−3を得た。
【0110】一方、撹拌子および温度計がセットされた
フラスコに、N(n−C97.0g、C
17Si(NCO)3.0gをこの順に加え
た。この溶液の液温を25℃に維持しながら1昼夜撹拌
を継続し処理剤B−2を得た。
【0111】以下、処理剤A−1のかわりに処理剤A−
3を用い、処理剤B−1のかわりに処理剤B−2を用い
た他は例1と同様にしてサンプルガラスを作成し、塗布
作業性、防汚性、防汚耐久性および塩水噴霧試験後の防
汚性を評価した。結果を表2に示す。
【0112】[例12〜15] 処理剤A−3のかわりに表1の「下層」欄に示す処理剤
を用い、処理剤B−2のかわりに表1の「上層」欄に示
す処理剤を用いた他は例11と同様にしてサンプルガラ
スをそれぞれ作成し、同様の評価をした。結果を表2に
示す。
【0113】[例16] 例1のサンプルガラスを表3に示す薬品に24時間浸漬
し、取り出して直ちに洗浄した後、このサンプルの外観
変化、指紋除去性および水滴残存性を評価した。結果を
表3に示す。
【0114】[例17] 例1のサンプルガラスを荷重1kgで、ネル布にて20
000回往復摩耗した。摩耗試験後の防汚性の評価結果
を表4に示す。
【0115】[例18] 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとする耐候性試験を、例
1のサンプルガラスに250サイクル実施した。耐候性
試験後の防汚性の評価結果を表4に示す。
【0116】[例19] 例1の方法で自動車用フロント合わせガラス表面に処理
を行った後、この合わせガラスを自動車に装着した。こ
の自動車を日中4時間、夜間2時間の走行テストを1ケ
月間行い、日毎にフロント表面への汚れ、ほこりの付着
状態、また、雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で
観察した。
【0117】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生はまったく見られず、まれにそれら
の発生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭くこ
とにより容易に除去された。
【0118】また、雨天時には、表面の水滴がはじか
れ、走行による風圧との相互作用によってすみやかに移
動し、ワイパーを使用することなく視野が確保された。
さらに未処理のフロント合わせガラスに付着している水
滴が氷結する、または空気中の水分が凝縮してフロント
ガラスに氷結するような環境下(0〜−5℃)での走行
テストにおいてフロントガラスでの氷結はまったくみら
れなかった。
【0119】次いでさらに厳しい低温環境下(−10〜
−15℃)では、フロントガラスでの氷結も認められる
が、その解凍も速く、未処理のフロントガラスに比し著
しく優れた性能を有することが確認された。
【0120】[例20] 例19のフロント合わせガラスをサイドガラス、リアガ
ラス、サイドミラーに変更して走行試験したところ、例
19と同様の効果が確認できた。
【0121】[例21] すでに常用して3年が経過した自動車のフロント合わせ
ガラスを酸化セリウムで研磨し、水洗し乾燥した。洗浄
したフロント合わせガラスに処理剤A−1の溶液を10
cc滴下し、JKワイパーにて自動車のワックス掛けの
要領にて塗り広げ、1時間放置した。このときの温度は
19℃、湿度は46%であった。さらに、該処理面に処
理剤B−1を10cc滴下し、JKワイパーにて同様に
自動車のワックス掛けの要領で塗り広げ、1昼夜放置し
た。この自動車を用いて例19と同様の試験を行ったと
ころ、例19と同様の効果が確認できた。
【0122】[例22] 例1の方法で建築用窓ガラスの表面に塗布し、被膜を形
成した。こうして得られた窓ガラスを家に取り付けた。
この窓ガラス表面への汚れ、ほこりの付着状態、また、
雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0123】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生はまったく見られず、まれにそれら
の発生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭くこ
とにより容易に除去された。また、雨天時には、表面の
水滴がはじかれ転落し、特に風の強い日には風圧との相
互作用によってすみやかに移動して視野が確保された。
さらに未処理の窓ガラスに付着している水滴が氷結す
る、または空気中の水分が凝縮して窓ガラスに氷結する
ような環境下(0〜−5℃)でのテストにおいて窓ガラ
スでの氷結はまったくみられなかった。
【0124】次いでさらに厳しい低温環境下(−10〜
−15℃)では、窓ガラスでの氷結も認められるが、そ
の解凍も速く未処理の窓ガラスに比し著しく優れた性能
を有することが確認された。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
【発明の効果】(1)本発明の方法によれば、常温での
処理が可能であり、かつ、優れた防汚性を基材に付与で
きる。したがって新しく製造した物品への処理のみなら
ず、既に使用された物品への処理もできる。また、熱処
理を必要としないため、物品の形状を崩すことなく、必
要な部分に適宜処理できる。
【0130】(2)また、ガラスだけでなく、他の広範
囲の基材に対して適用できる。また、処理に際しては特
殊な前処理の必要性がなく、連続的な処理ができるた
め、経済的にも有利である。
【0131】(3)本発明の基材、またはそれらを装着
した物品は防汚性に優れ、ほこり、汚れ、水滴の付着、
またはそれによる水垢の発生がなく、まれにそれらの発
生があっても容易に除去可能で水が誘発する悪影響を遮
断でき、洗浄の簡略化が図れる。
【0132】(4)本発明の基材、またはそれらを装着
した物品は優れた防汚性を有するとともに、耐塩水性、
耐薬品性、耐摩耗性、耐候性を有するので、防汚性の持
続性に優れ、かつ、半永久的に防汚性が維持される。
【0133】以上のような効果は従来の方法では期待で
きないものであり、これまで使用不可能であった分野に
までその適用範囲を拡大することが期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−24958(JP,A) 特開 平5−279499(JP,A) 特開 平8−27456(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C03C 17/00 - 17/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2層以上の表面処理層を有する基材であっ
    て、表面処理層の最外層である第1層が一般式(B)で
    表される化合物Bを必須成分として含有する表面処理剤
    で処理して得られる層であり、最外層に接する下層であ
    る第2層が一般式(A)で表される化合物AとSi(N
    CO)4 とを必須成分として含有する表面処理剤で処理
    して得られる層であることを特徴とする表面処理された
    基材 ただし、Rポリフルオロアルキル基であり、R
    水素原子または有機基であり、aは1、2または3であ
    り、bは0、1または2であり、かつ、1≦a+b≦3
    であり、Zはイソシアネート基または加水分解性基であ
    る。また、Rは有機基であり、Rは水素原子または
    有機基であり、cは1、2または3であり、dは0、1
    または2であり、かつ、1≦c+d≦3である。
  2. 【請求項2】化合物AのSi(NCO)4 に対する重量
    比が95/5〜40/60である請求項1に記載の表面
    処理された基材。
  3. 【請求項3】Zのすべてがイソシアネート基である請求
    項1または2に記載の表面処理された基材
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