JPH10140144A - 基材表面の改質方法 - Google Patents

基材表面の改質方法

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JPH10140144A
JPH10140144A JP9244401A JP24440197A JPH10140144A JP H10140144 A JPH10140144 A JP H10140144A JP 9244401 A JP9244401 A JP 9244401A JP 24440197 A JP24440197 A JP 24440197A JP H10140144 A JPH10140144 A JP H10140144A
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JP
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group
fine particles
fluorine
particles
substrate
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JP9244401A
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English (en)
Inventor
Katsuji Ito
勝治 伊藤
Mitsuharu Morozumi
三春 両角
Akio Gokan
昭男 後閑
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TOKYO SILICONE KK
AGC Inc
Original Assignee
TOKYO SILICONE KK
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡便な方法で、基材の表面に優れた撥水撥油性
および防汚性を付与する。 【解決手段】CF3 (CF27 (CH22 Si(N
CO)3 などの含フッ素有機ケイ素化合物で処理した微
粒子を基材表面に衝突させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面の改質方
法、該改質方法により得られる基材、および該基材を用
いた物品に関する。本発明方法によれば、基材表面に防
汚性および撥水撥油性等が付与されうる。
【0002】
【従来の技術】金属、ガラス、プラスチック、ゴム等か
らなる物品は広く家庭において使用されているが、使用
時に手垢、油脂、または飲料等により汚れが付着し、外
観が低下する問題がある。これを防ぐ目的で物品表面に
汚れが付着するのを防ぐ方法、および、付着した汚れを
落ちやすくする方法が提案されている。
【0003】たとえば(1)PTFE(ポリテトラフル
オロエチレン)を物品表面にコーティングする方法、
(2)フッ化ビニリデンやETFE(エチレン−テトラ
フルオロエチレン共重合体)フィルムをラミネートする
方法、(3)シリコーンを塗布する方法、(4)硬い被
膜を形成するアクリル樹脂、ウレタン樹脂、またはフッ
素系塗料を塗布する方法、(5)基材にシリコーンやフ
ッ素化合物を練り込む方法、がある。また、素手でさわ
った際に指紋等の汚れが目立つのを防ぐ目的で、(6)
物品表面を粗面化する方法、が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
は、いずれも簡便性および防汚効果において満足できる
方法ではなく、以下の欠点がある。
【0005】(1)ではPTFEは高温焼き付けが必要
であることからコーティング可能な物品が限定され、か
つ、簡便性にも劣る。(2)ではフッ素系フィルムは高
価であり複雑な形状の基材にはラミネートが困難であ
る。(3)、(4)ではシリコーン、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂は撥油性を有しないため油性の汚れに対する
防汚性に劣る。フッ素系塗料は、油性の汚れに対する防
汚性を付与しうるものの、指紋汚れに対する防汚性に劣
り、塗布に際しては基材に前処理をする必要がある。
(5)では基材の素材が溶融温度の比較的低いプラスチ
ックスに限られる。(6)では実際に粗面化できるのが
シリコーン樹脂やフッ素化合物を練り混んだ樹脂の表面
であるものに限定され、汎用性に劣る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のフ
ッ素化合物で処理した微粒子を基材に衝突させることに
より、基材表面が改質され、基材表面の物理的形状が変
化するとともに、微粒子表面の化合物が基材に移行し、
該化合物に基づく性質が物品表面に付与されうることを
見いだした。
【0007】すなわち、本発明は含フッ素有機ケイ素化
合物で処理した微粒子を担持した微粒子を基材表面に衝
突させることを特徴とする基材表面の改質方法を提供す
る。また、本発明は、該改質方法により表面が改質され
た基材、および該表面が改質された基材を用いた物品を
提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における含フッ素有機ケイ
素化合物は、Si原子とフッ素原子とをそれぞれ分子中
に1個以上有する化合物をいう。含フッ素有機ケイ素化
合物中のSi原子数は1または2が好ましく、特に1が
好ましい。また、フッ素原子は2個以上存在するのが好
ましく、ポリフルオロアルキル基またはポリフルオロア
ルキレン基として化合物中に含まれるのが好ましい。以
下、ポリフルオロアルキル基を「RF 基」と記載し、R
F 基とポリフルオロアルキレン基とを総称して「フッ素
含有基」と記載する。
【0009】RF 基は、アルキル基のフッ素原子の2個
以上がフッ素原子に置換された基を示す。RF 基の炭素
数は4〜12が好ましく、特に6〜12が好ましい。R
F 基は、直鎖または分岐のいずれの構造であってもよい
が、直鎖の構造が好ましい。分岐の構造である場合に
は、分岐部分がRF の末端部分に存在し、かつ、炭素数
1〜3程度の短鎖であるのが好ましい。RF 基は、炭素
−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子が挿入されてい
てもよく、炭素−炭素結合の間にチオエーテル性の硫黄
原子が挿入されていてもよい。また、RF 基は、フッ素
原子以外の他のハロゲン原子、たとえば、塩素原子等を
含んでいてもよい。
【0010】RF 基中のフッ素原子数は、[(RF 基中
のフッ素原子数)/(RF 基に対応する同一炭素数のア
ルキル中の水素原子数)]×100(%)で表した場合
に60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
さらに、RF 基は、アルキル基の水素原子の実質的に全
てがフッ素原子に置換された基であるパーフルオロアル
キル基が好ましい。ここで、実質的とは、前記のフッ素
原子数が95%以上であるものであり、100%である
F 基と性質が同等であるものをいう。
【0011】RF 基の具体例としては、以下の基が挙げ
られる。C49 −[CF3 (CF23 −、(CF
32 CFCF2 −、(CF33 C−、CF3 CF2
CF(CF3 )−を含む]、C511−[CF3 (CF
24 −、(CF32 CF(CF22 −、(CF
33 CCF2 −、CF3 CF2 CF(CF3 )CF2
−等の構造異性の基を含む]、C613−[CF3 (C
25 −、CF3 (CF22 C(CF32 −等の
構造異性の基を含む]、C817−[CF3 (CF2
7 −、CF3 (CF24 C(CF32 −、(CF
32 CF(CF25 −等の構造異性の基を含む]、
1021−[CF3 (CF29 −、CF3 (CF2
6 C(CF32 −、(CF32 C(CF27 −等
の構造異性の基を含む]等。
【0012】また、ポリフルオロアルキレン基は、アル
キレン基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換され
た基であり、上記のRF 基中のフッ素原子または水素原
子の1個が結合部分となった基が好ましく、特にパーフ
ルオロアルキル基のフッ素原子の1個が結合部分となっ
た基が好ましい。
【0013】ポリフルオロアルキレン基の炭素数は4〜
12が好ましく、特に6〜12が好ましい。ポリフルオ
ロアルキレン基は、直鎖構造が好ましく、分岐部分を有
する場合には、該分岐部分が炭素数1〜3程度の短鎖で
あるのが好ましい。また、ポリフルオロアルキレン基の
炭素−炭素結合間には、エーテル性の酸素原子やチオエ
ーテル性の硫黄原子が挿入されていてもよい。
【0014】ポリフルオロアルキレン基の具体例として
は、以下の基が挙げられる。−C48 −[−(CF
24 −、−CF(CF3 )CF2 CF2 −、−CF2
CF(CF3 )CF2 、−CF2 C(CF32 −、−
CF2 C(CF2 CF3 )F−、−CF(CF3 )CF
(CF3 )−、−C(CF3 )(CF2 CF3)−]、
−C510−[−(CF25 −、−CF(CF3
(CF23 −、−CF2 CF(CF3 )(CF2
2 、−CF2 C(CF32 CF2 −、−CF2 CF
(CF2 CF3 )CF2 −、−CF2 CF(CF3 )C
F(CF3 )−、−C(CF3 )(CF2 CF3 )CF
2 −等の構造異性の基を含む]、−C612−[−(C
26 −、−CF(CF3 )(CF24 −、−CF
2 CF(CF3 )(CF23 、−(CF22 C(C
32 CF2 −、−CF2 CF(CF2 CF3 )(C
22 −、−(CF22 CF(CF3 )CF(CF
3 )−、−CF2 C(CF3 )(CF2 CF3 )CF2
−等の構造異性の基を含む]等。
【0015】本発明における含フッ素有機ケイ素化合物
中には、RF 基が1〜3個含まれるのが好ましく、ポリ
フルオロアルキレン基の場合には、1個含まれるのが好
ましい。これらのフッ素含有基は、Si原子と直接ある
いは2価の連結基を介して結合しているのが好ましい。
さらに、本発明における含フッ素有機ケイ素化合物は、
Si原子に直接結合した加水分解性基を有するのが好ま
しい。加水分解性基としては、アルコキシル基、イシソ
アネート基、または塩素原子が好ましい。
【0016】含フッ素有機ケイ素化合物は、下式1また
は下式2で表される化合物が好ましい。ただし、式1お
よび式2における、Rf1、Rf2、Q1 〜Q3 、R1 〜R
3 、A1 〜A3 、j、k、nおよびmは、下記の意味を
示す。 Rf1:炭素数4〜12のポリフルオロアルキル基。 Rf2:炭素数4〜12のポリフルオロアルキレン基。 Q1 、Q2 、Q3 :同一であっても異なっていてもよ
く、それぞれ、単結合または2価の連結基。 R1 、R2 、R3 :同一であっても異なっていてもよ
く、それぞれ、1価の有機基。 A1 、A2 、A3 :同一であっても異なっていてもよ
く、それぞれ、アルコキシル基、イソシアネート基、ま
たは、塩素原子。 j、k:それぞれ、1、2または3。ただし、2≦j+
k≦4。 m、n:それぞれ、1、2または3。
【0017】
【化2】 [Rf1−Q1 −]j (R14-j-k Si(A1k ・・・式1 (A2m (R23-m Si−Q2 −Rf2−Q3 −Si(R33-n (A3n ・・・式2
【0018】式1におけるRf1は、パーフルオロアルキ
ル基が好ましく、炭素数4〜12のパーフルオロアルキ
ル基[Ca2a+1−(aは4〜12の整数)]が好まし
い。パーフルオロアルキル基も直鎖または分岐のいずれ
かの構造が好ましく、特に直鎖の構造が好ましい。
【0019】Q1 は、−(CH2p −または、−C
(O)NH(CH2p −(pは1〜4の正数)が好ま
しい。A1 は、アルコキシル基またはイソシアネート基
(−NCO)が好ましく、アルコキシル基である場合に
は、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。R1 は、
アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。jは
1または2が好ましく、特に1が好ましい。kは2また
は3が好ましく、特に3が好ましい。
【0020】式1で表される化合物としては、下記化合
物が挙げられる。ただし、式中の記号は、上記と同じ意
味を示す。
【0021】
【化3】Ca2a+1(CH2p Si(OCH33
a2a+1C(O)NH(CH2p Si(OCH3
3 、Ca2a+1(CH2p Si(NCO)3 、Ca
2a+1C(O)NH(CH2p Si(NCO)3 、Ca
2a+1C(O)NH(CH2p SiCl3 、Ca
2a+1(CH2p SiCl3 、[Ca2a+1(CH2
p ](CH3 )Si(OCH32 、[Ca2a+1
(O)NH(CH2p ](CH3 )Si(OCH3
2 、[Ca2a+1(CH2p ](CH3 )Si(NC
O)2 、[Ca2a+1(CH2p ](CH3 )SiC
2
【0022】式1で表される化合物の具体例としては、
下記化合物が挙げられる。
【0023】
【化4】CF3 CF2 CH2 Si(OCH33 、CF
3 (CF27 CH2 CH2 Si(OCH33 、CF
3 (CF25 CH2 CH2 Si(OCH2 CH3 )3
CF3 (CF27 CH2 CH2 Si(OCH2 CH
33 、CF3 (CF25 CH2 CH2 Si(NC
O)3 、CF3 (CF27 CH2 CH2 Si(NC
O)3 、CF3 (CF29 CH2 CH2 Si(NC
O)3 、CF3 (CF25 C(O)NH(CH23
Si(OCH2 CH33 、CF3 (CF27
(O)NH(CH23 Si(OCH2 CH33
【0024】上記の式1で表される化合物は、公知の化
合物であり、公知の製造方法により入手できる。たとえ
ば、RF CH2 CH2 Si(OCH33 は、RF CH
=CH2 とSiH(OCH33 とを反応させる方法に
より製造できる。また、RF CH2 CH2 Si(NC
O)3 は、RF CH=CH2 とHSiCl3 とを反応さ
せ、つぎにNaNCOと反応させる方法により製造でき
る。
【0025】式2におけるRf2は、パーフルオロアルキ
レン基が好ましく、炭素数4〜12のパーフルオロアル
キレン基[−Cb2b−(bは4〜12の整数)]が好
ましく、直鎖構造または分岐構造のパーフルオロアルキ
レン基が好ましい。
【0026】Q2 およびQ3 は、2価の連結基であるの
が好ましく、特に同一の2価の連結基であるのが好まし
く、−(CH2p −または、−C(O)NH(CH
2p−(pは1〜4の正数)が好ましい。A2 および
3 は、同一であるのが好ましく、アルコキシル基また
はイソシアネート基(−NCO)が好ましく、アルコキ
シル基である場合には、メトキシル基またはエトキシル
基が好ましい。R2 およびR3 は、同一であるのが好ま
しく、アルキル基が好ましく、特にメチル基が好まし
い。jは、1または2が好ましく、特に1が好ましい。
m、nは、2または3が好ましく、特にいずれもが3で
あるのが好ましい。
【0027】式2で表される化合物としては、下記化合
物が好ましい。ただし、下式におけるpおよびbは、上
記と同じ意味を示す。式2で表される化合物は、公知の
化合物であり、公知の製造方法により入手できる。
【0028】
【化5】(CH3O)3Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(OCH3)3 、(O
CN)3Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(NCO)3 、Cl3Si(CH2)p(Cb
F2b)(CH2)pSiCl3 、(CH3O)3Si(CH2)pNHCO(CbF2b)CONH(C
H2)pSi(OCH3)3 、(OCN)3Si(CH2)pNHCO(CbF2b)CONH(CH2)
pSi(NCO)3 、Cl3Si(CH2)pNHCO(CbF2b)CONH(CH2)pSiCl
3 、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(CH3)(OCH3)
2 、(OCN)2(CH3)Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(CH3)(NCO)
2 、Cl2(CH3)Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(CH3)Cl2 、(OC
N)3Si(CH2)p(CbF2b)(CH2)pSi(NCO)3 、Cl3Si(CH2)p(CbF
2b)(CH2)pSiCl3
【0029】式2で表される化合物の具体例としては、
下記化合物が挙げられる。
【0030】
【化6】(OCN)3Si(CH2)2(CF2)6(CH2)2Si(NCO)3、(OCN)3
Si(CH2)2CF(CF3)(CF2)2CF(CF3)(CH2)2Si(NCO)3、(OCN)3
Si(CH2)2NHCO(CF2)6CONH(CH2)2Si(NCO)3、Cl3Si(CH2)2C
F(CF3)(CF2)2CF(CF3)(CH2)2SiCl3、(OCN)3Si(CH2)2OCF
(CF3)(CF2)2CF(CF3)O(CH2)2Si(NCO)3、(OCN)3Si(CH2)
2(OCF2CF2)O(CH2)2Si(NCO)3、(OCN)3Si(CH2)2(SCF2CF2)
S(CH2)2Si(NCO)3
【0031】本発明においては、上記の含フッ素有機ケ
イ素化合物で処理した微粒子を用いる。含フッ素有機ケ
イ素化合物で処理した微粒子としては、微粒子表面に含
フッ素有機ケイ素化合物が担持された微粒子、または微
粒子が含フッ素有機ケイ素化合物で被覆された微粒子が
好ましい。含フッ素有機ケイ素化合物と微粒子との間に
は化学的な結合が形成されていてもされていなくてもよ
い。また、含フッ素有機ケイ素化合物が加水分解性基を
有する化合物である場合には、微粒子表面の含フッ素有
機ケイ素化合物は、部分加水分解物となっていてもよ
い。
【0032】微粒子としては、無機微粒子、有機樹脂か
らなる微粒子、または金属微粒子が好ましい。無機微粒
子としては、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、ガラ
スビーズ等からなる微粒子が好ましい。有機樹脂からな
る微粒子としては、スチレン樹脂、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、またはこれらの混合樹脂からなる微粒子が
好ましい。金属微粒子としては、炭素鋼またはステンレ
スからなる微粒子が好ましい。
【0033】微粒子の粒子径は600μm以下が好まし
く、特に10〜500μmが好ましい。粒子径が600
μmを超えると、基材表面を必要以上に粗面化するため
好ましくない場合がある。また微粒子の形状としては特
に限定されず、取り扱いがしやすい球状または球に近い
多面体が好適である。棒状や針状のものは粒子自体の強
度が弱くなる傾向がある。
【0034】微粒子を含フッ素有機ケイ素化合物で処理
する方法としては、含フッ素有機ケイ素化合物を適当な
溶剤に溶解し、ここに微粒子を浸漬加工またはスプレー
加工した後に加熱乾燥する方法を採用するのが好まし
い。
【0035】溶剤としては、パーフルオロ炭化水素系溶
剤、クロロフルオロカーボン系溶剤、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル系溶剤が好ましい。溶剤の量は、含
フッ素有機ケイ素化合物の1重量部に対して、1〜10
0重量部が好ましい。
【0036】含フッ素有機ケイ素化合物の処理量は、粒
子の表面積の1m2 当り0.1〜10gが好ましい。少
なすぎると基材表面に含フッ素有機ケイ素化合物が充分
移行しない欠点があり、多すぎる場合は不経済である。
また、基材としては、ガラス、レンガ、セメント、金
属、金属酸化物、陶板、プラスチック、または、ゴム等
が好ましい。
【0037】本発明では含フッ素有機ケイ素化合物で処
理した微粒子を基材表面に衝突させる。衝突により含フ
ッ素有機ケイ素化合物は基材表面に移行する。また、微
粒子の硬度が大である場合には大部分の微粒子は基材表
面に保持されずに脱落する。硬度が小である場合には、
大部分の微粒子は基材表面から脱落するが、一部が表面
に埋め込まれる場合もあると考えられる。
【0038】本発明においては、含フッ素有機ケイ素化
合物で処理した微粒子のみを基材の衝突させてもよく、
該微粒子とともに他の微粒子を基材に衝突させてもよ
い。他の微粒子としては、顔料粒子、基材と同じ素材の
粒子、あるいはその他の添加剤等が挙げられる。他の微
粒子の表面にも、含フッ素有機ケイ素化合物を被覆また
は担持させてもよい。
【0039】顔料としては、プラスチック等の着色に使
用される種々の顔料が好ましい。たとえば、酸化チタン
(TiO2 等)、酸化鉄(Fe23 等)、酸化クロム
(Cr23 等)、ニッケル−アゾイエロー、セラミッ
クイエロー、コバルトアルミネート、セラミックブラッ
ク等が挙げられる。顔料を用いた場合には、基材表面を
所望の色に着色できる。
【0040】また、基材と同素材からなる微粒子として
は、前記の基材を粉体にしたものが挙げられる。該粉体
の粒子径としては0.01〜100μmが好ましく、特
に0.1〜10μmが好ましい。基材と同素材からなる
微粒子を用いた場合には、含フッ素有機ケイ素化合物の
基材に対する密着性を改善できる利点がある。基材に対
する密着性は、特に、後に記載する加熱処理を併用した
場合に顕著である。
【0041】添加剤としては、フッ素を含まないケイ素
化合物、フッ素樹脂等が好ましい。フッ素を含まないケ
イ素化合物としては架橋性のケイ素化合物が好ましく、
Si(NCO)4 、CH3 Si(OCH33 、C8
17Si(OC253 等が好ましい。フッ素樹脂とし
てはPTFE、ETFE、PFA(テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合
体)等が好ましい。
【0042】本発明においては、含フッ素有機ケイ素化
合物で処理した微粒子とともに、顔料微粒子および/ま
たは基材と同素材の微粒子を用いて、基材に衝突させる
のが好ましい。顔料を用いる場合には、含フッ素有機ケ
イ素化合物1重量部に対して顔料を0.2〜5重量部用
いるのが好ましい。また、基材と同素材の微粒子を用い
る場合には、含フッ素有機ケイ素化合物1重量部に対し
て、基材と同素材の微粒子を0.2〜8重量部用いるの
が好ましい。さらに、添加剤を用いる場合には、含フッ
素有機ケイ素化合物1重量部に対して、添加剤を0.0
1〜20重量部用いるのが好ましい。
【0043】含フッ素有機ケイ素化合物を基材表面に衝
突させる方法としては、微粒子を高圧空気等にのせて高
速に加速したものを物品に衝突させる方法を採用するの
が好ましい。該方法は、ブラストと呼ばれる方法で実施
できる。微粒子は、1〜10kgf/cm2 、特に1〜
6kgf/cm2 、に加圧した空気にのせて基材表面に
衝突させるのが好ましく、空気の圧力は3〜4kgf/
cm2 に加圧するのがさらに好ましい。
【0044】微粒子を基材表面に衝突させることによっ
て、基材表面は粗面化される。粗面化の程度は、粒子の
種類、衝突速度、または処理時間により適宜調整されう
る。本発明においては、微粒子表面に処理した含フッ素
有機ケイ素化合物が基材表面に移行するのに充分な速度
で衝突させる。該微粒子が衝突した基材表面には、粗面
化による効果とともに、微粒子表面の化合物が移行する
ことによる種々の性質が付与される。
【0045】さらに、本発明においては、含フッ素有機
ケイ素化合物の基材表面への付着性を高める目的で、基
材を加熱処理してもよい。特に、含フッ素有機ケイ素化
合物とともに基材と同素材の微粒子を用いた場合には、
加熱処理を実施するのが好ましい。加熱処理により、含
フッ素有機ケイ素化合物が硬化した被膜が形成されると
ともに、基材と同素材の微粒子が含フッ素有機ケイ素化
合物とともに基材表面に熱融着するため、強固な被膜が
形成される利点がある。また熱処理することにより含フ
ッ素有機ケイ素化合物の硬化物中のフッ素の配向性が改
善され、撥水撥油性が高まる効果もある。
【0046】本発明の方法により得られた基材は、その
まま用いてもよく、また、特定の用途に用いられる物品
の一部としてもよい。本発明の基材を用いた物品として
は、テレビキャビネット、電話機、電気スタンド、鉛筆
削り機、パソコンのマウス、パソコンのキーボード、ボ
ールペンの軸、種々の容器のふた等が好ましい。これら
の物品表面は、水性の汚れや油性の汚れに対して優れた
撥水撥油性、および、防汚性を有する利点がある。ま
た、指紋汚れが付着しにくい利点もある。
【0047】
【実施例】
[微粒子1の調製]CF3 (CF27 (CH22
i(NCO)3 をフッ素系溶剤(スリーエム社製、商品
名FC−77)に溶解し固形分濃度3重量%の溶液を1
00g調製した。エバポレータに溶液100gとアルミ
ナ粒子(粒子径150μm、形状不定形)500gを加
え、回転しながら80℃で溶剤を留去し、微粒子1を得
た。
【0048】[微粒子2の調製]微粒子1の調製におけ
るCF3 (CF27 (CH22 Si(NCO)3
CF3 (CF27 (CH22 Si(OCH)3 に変
更した他は同様にして微粒子2を得た。
【0049】[微粒子3の調製]微粒子1の調製におけ
るアルミナ粒子をポリスチレン粒子(粒子径50μm、
球状)に変更した他は同様にして微粒子3を得た。
【0050】[耐指紋性の評価方法]3名の試験者が、
右手人指し指を試験片に押しつけた。試験片に斜め方向
からの光を当てて、目視した。指紋が認められない場合
を「〇」、指紋が認められる場合を「×」として、2名
以上の試験者の一致した判定を評価結果とした。
【0051】[接触角の測定方法]水およびヘキサデカ
ンに対する静的接触角を静的接触角測定装置を用いて測
定した。
【0052】[例1〜3]調製した微粒子1〜3をブラ
スト装置(不二製作所製、SFK−2 ニューマブラス
ター)を用いて大気中で基材に衝突させた。微粒子の加
工圧力は3kgf/cm2 であり、衝突時間は3秒間、
温度は23℃とした。基材として、ABS樹脂板、プロ
ピレン樹脂板(PP)、ナイロン6板、ガラス板、SU
S板の6種(すべて大きさは10cm×10cm×2m
m)を用意した。表1に示す微粒子と基材の組み合わせ
で、微粒子を基材に衝突させた。つぎに、基材をそれぞ
れ水洗して、常温乾燥し、耐指紋性および接触角を評価
した。結果を表1に示す。
【0053】[例4(比較例)]含フッ素有機ケイ素化
合物で処理していないアルミナ粒子(粒子径150μ
m、形状不定形)を用いて、例1と同様に基材に衝突さ
せ、耐指紋性および接触角を評価した。結果を表2に示
す。
【0054】[例5(参考例)]基材そのものの耐指紋
性および接触角を評価した。結果を表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】[フェルトペン除去性の評価方法]水性フ
ェルトペンおよび油性フェルトペンにより落書きし、直
後にティッシュペーパで拭き取った。残された落書きの
状態を評価した。
【0058】[例6〜8]微粒子1〜3を例1と同様の
方法でETFEフィルムをラミネートした壁紙(以下、
ETFE壁紙と略記する。)に処理した。処理したET
FE壁紙は水洗し、常温乾燥し、フェルトペン除去性の
評価を行った。結果を表3に示す。
【0059】[例9(比較例)]含フッ素有機ケイ素化
合物で処理していないアルミナ粒子(粒子径150μ
m、形状不定形)を例1と同様の方法でETFE壁紙に
処理した。処理したETFE壁紙は水洗し、常温乾燥
し、フェルトペン除去性の評価を行った。結果を表3に
示す。
【0060】[例10]微粒子3を、例1と同様の方法
でフッ素ゴムシート(テトラフルオロエチレン−プロピ
レン共重合体)に処理した。処理したフッ素ゴムシート
は水洗し、常温乾燥し、フェルトペン除去性の評価を行
った。結果を表3に示す。
【0061】[例11〜12(いずれも参考例)]ET
FE壁紙および例10で用いたフッ素ゴムそのもののフ
ェルトペン除去性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】[氷の除去性の評価方法]基板上に粘土で
直径2cmの輪を作り内側に水をいれて、冷凍庫中で凍
結させた。1日後取り出し、氷の除去性を、○:ほとん
ど力を加えることなく氷がとれる、△:軽く力を加える
だけで氷がとれる、:×かなり力を加えないと氷がとれ
ない、の基準で評価した。
【0064】[微粒子混合物1〜3の調製]CF3 (C
27 (CH22 Si(NCO)3 を3g、顔料T
iO2 (粒径0.1μm)3g、表4に示す基材と同素
材の粉体(粒径1μm)であるABS、PP、およびナ
イロンをそれぞれ3gボールミルにいれて3時間混合し
た。つぎにポリスチレン粒子(粒子径50μm、球状)
500gとともに丸底フラスコに加え撹拌し混合し、微
粒子混合物1(ABS粉体を含む)、微粒子混合物2
(PP粉体を含む)、微粒子混合物3(ナイロン粉体を
含む)を得た。
【0065】[例13〜15]微粒子混合物1〜3を表
4に示すそれぞれの基材に例1と同様の条件で処理し
た。さらに基材表面に、それぞれの基材の融点より10
℃高い熱風を吹きつけて表面を熱処理した。基材表面
は、一様にむらなく白色に着色された。さらに、得られ
た基材について氷の除去性を評価した。結果を表4に示
す。
【0066】[例16〜18(いずれも比較例)]微粒
子混合物1〜3の調製におけるCF3 (CF27 (C
22 Si(NCO)3 を用いないこと以外は同様の
方法で微粒子混合物6(ABS粉体を含む)、微粒子混
合物7(PP粉体を含む)、微粒子混合物8(ナイロン
粉体を含む)を得て、同様に表4に示す基材に処理し
た。基材表面の着色は、白色であった。得られた基材に
ついて氷の除去性を評価した結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】[微粒子混合物4の調製]CF3 (CF
27 (CH22 Si(NCO)3 をフッ素系溶剤
(スリーエム社製、商品名FC−77)に溶解し固形分
濃度3重量%の溶液を100g調製した。エバポレータ
に溶液100gとアルミナ粒子(粒子径150μm、形
状不定形)500g、PTFE粉体(平均分子量1万、
粒子径2μm)3gを加え、回転しながら80℃で溶剤
を留去し、微粒子混合物4を得た。
【0069】[微粒子混合物5の調製]微粒子混合物4
の調製におけるPTFE粉体のかわりにPFA粉体(粒
子径2μm)3gを加えること以外は同様の方法で、微
粒子混合物5を得た。
【0070】[例19〜20]微粒子混合物4および微
粒子混合物5を用いて、例13と同様にPTFE板およ
びPFA板に処理した。熱処理条件は、例19では31
0℃で10分間、例20においては300℃で10分間
とした。得られた基材について水に対する接触角を評価
した結果を表5に示す。
【0071】[例21〜22(いずれも参考例)]例1
9および例20で用いたPTFE板、PFA板そのもの
の水に対する接触角を評価した結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、基材表面に優れた撥水
撥油性および防汚性を付与することができる。また、水
だけでなく氷の除去性も付与でき、指紋の付着も防げ
る。さらに、顔料を用いることにより、同時に基材表面
を着色することもできる。本発明方法は、これらの改質
を一工程で行うことができ非常に簡便であり、かつ、基
材の形状や素材にほとんど制限がないため、実用性およ
び汎用性に優れる利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後閑 昭男 埼玉県川越市芳野台1丁目103番37号 東 京シリコーン株式会社研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含フッ素有機ケイ素化合物で処理した微粒
    子を基材表面に衝突させることを特徴とする基材表面の
    改質方法。
  2. 【請求項2】含フッ素有機ケイ素化合物が、下式1また
    は下式2で表される化合物である請求項1記載の改質方
    法。ただし、式1および式2における、Rf1、Rf2、Q
    1 〜Q3 、R1 〜R3 、A1 〜A3 、j、k、m、およ
    びnは、下記の意味を示す。 Rf1:炭素数4〜12のポリフルオロアルキル基。 Rf2:炭素数4〜12のポリフルオロアルキレン基。 Q1 、Q2 、Q3 :同一であっても異なっていてもよ
    く、それぞれ、単結合または2価の連結基。 R1 、R2 、R3 :同一であっても異なっていてもよ
    く、それぞれ、1価の有機基。 A1 、A2 、A3 :同一であっても異なっていてもよ
    く、それぞれ、アルコキシル基、イソシアネート基、ま
    たは、塩素原子。 j、k:それぞれ、1、2または3。ただし、2≦j+
    k≦4。 m、n:それぞれ、1、2または3。 【化1】 [Rf1−Q1 −]j (R14-j-k Si(A1k ・・・式1 (A2m (R23-m Si−Q2 −Rf2−Q3 −Si(R33-n (A3n ・・・式2
  3. 【請求項3】微粒子の粒子径が600μm以下である請
    求項1または2記載の改質方法。
  4. 【請求項4】1〜10kgf/cm2 に加圧した空気に
    のせて微粒子を基材表面に衝突させる請求項1、2また
    は3記載の改質方法。
  5. 【請求項5】含フッ素有機ケイ素化合物を担持した微粒
    子とともに、顔料粒子および/または基材と同素材の粒
    子を基材表面に衝突させる請求項1、2、3または4記
    載の改質方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5記載の改質
    方法により表面が改質された基材。
  7. 【請求項7】請求項6記載の基材を用いた物品。
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