JP2013241569A - パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物 - Google Patents

パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する層を形成することのできる新規なパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物および、該化合物を用いた、防汚性に優れ、特に光学部材に好適な表面処理剤を提供する。
【解決手段】下記式(C)で代表される片末端もしくは両末端に1つ以上のシリルアミノ基を有するパーフルオロポリエーテル化合物および該パーフルオロポリエーテル化合物を含有する表面処理剤。
Figure 2013241569

【選択図】なし

Description

本発明は、パーフルオロポリエーテル基を含有するシラザン化合物に関する。また、本発明は、かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を使用した表面処理剤等に関する。
ある種の含フッ素シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層(以下、表面処理層とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている。
そのような含フッ素シラン化合物として、パーフルオロポリエーテル基を分子主鎖に有し、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端または末端部に有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が知られている(特許文献1〜2を参照のこと)。このパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤を基材に適用すると、Si原子に結合した加水分解可能な基が基材との間および化合物間で反応することにより結合して、表面処理層を形成し得る。
国際公開第97/07155号 国際公開第2011/060047号 特開2010−43251号公報
表面処理層には、所望の機能を基材に対して長期に亘って提供するべく、高い耐久性が求められる。パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層は、上記のような機能を薄膜でも発揮し得ることから、光透過性ないし透明性が求められるメガネやタッチパネルなどの光学部材に好適に利用されており、とりわけこれらの用途において、摩擦耐久性の一層の向上が要求されている。
しかしながら、従来のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層では、次第に高まる摩擦耐久性向上の要求に応えるには、もはや必ずしも十分とは言えない。
また、撥水性、撥油性、防汚性などを提供するために使用される他の表面処理剤として、パーフルオロポリエーテル部分と−Si(NH)1.5で表される部分とを有するシラザン単位のみから成るパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザンおよび/またはその部分加水分解縮合物を含むものが知られている(特許文献3を参照のこと)。しかしながら、かかるパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザンは、溶媒に溶け難く、また、高分子量であるために蒸着処理し難く、表面処理剤として使用しづらいという難点がある。
本発明は、撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する層を形成することのできる新規なパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を使用して得られる表面処理剤等を提供することを目的とする。
本発明の1つの要旨によれば、下記一般式(1a)および(1b)のいずれかで表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物が提供される。
Figure 2013241569

(これら式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、
a、b、cおよびsはそれぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびsの和は少なくとも1であり、a、b、c、sを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
dおよびfは0または1であり、
eおよびgは0以上2以下の整数であり、
mおよびlは1以上10以下の整数であり、
Xは水素原子またはハロゲン原子を表し、
Yは水素原子または低級アルキル基を表し、
Zはフッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、
Tは−NR または−NHR(式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜22のアルキル基を表し、2つのRは互いに結合して環構造を形成してもよい)で表される置換アミノ基を表し、
は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルコキシ基または水酸基を表し、
nは1以上3以下の整数である。)
なお、本発明を通じて、ある一般式中に同じ記号が複数存在している場合、これらは互いに独立して選択され得る。
本発明の上記パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物は、パーフルオロポリエーテル基(−(OC−(OC−(OC−(OCF−)と、置換アミノシリル基(−SiT 3−n)とを有する。パーフルオロポリエーテル基は、撥水性および撥油性ひいては防汚性に寄与する。また、置換アミノシリル基は、摩擦耐久性に寄与する。かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物によれば、撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性(例えば指紋拭き取り性)を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する層を形成することが可能となる。
上記一般式(1a)および(1b)において、例えば、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、s=0、b=0、c=0、d=1、f=1であり、Zがフッ素原子であり得る。
上記一般式(1a)および(1b)において、nは3であることが好ましい。
本発明のもう1つの要旨によれば、上記パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を含む表面処理剤もまた提供される。本発明の表面処理剤は、上記一般式(1a)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物および上記一般式(1b)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物の少なくとも一方を含み、これらの双方を含んでいてもよい。
加えて、本発明の表面処理剤は、下記一般式(2a)および(2b)のいずれか:
Figure 2013241569
(これら式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、
a、b、cおよびsはそれぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびsの和は少なくとも1であり、a、b、c、sを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
dおよびfは0または1であり、
eおよびgは0以上2以下の整数であり、
mおよびlは1以上10以下の整数であり、
Xは水素原子またはハロゲン原子を表し、
Yは水素原子または低級アルキル基を表し、
Zはフッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、
T’は水酸基または加水分解可能な基(但し、置換アミノ基を除く)を表し、
は水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し、
nは1以上3以下の整数である。)
で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を更に含んでいてよい。
かかる本発明の表面処理剤は、撥水性、撥油性、防汚性、摩擦耐久性を基材に対して付与することができ、特に限定されるものではないが、防汚性コーティング剤として好適に使用され得る。
本発明の更にもう1つの要旨によれば、基材と、該基材の表面に、上記パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物または上記表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む物品もまた提供される。かかる物品における層は、撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する。
本発明によって得られる物品は、特に限定されるものではないが、例えば光学部材であり得る。光学部材は、摩擦耐久性の向上に対する要請が高く、本発明が好適に利用され得る。上記基材は、例えばガラスまたは透明プラスチックであり得る。なお、本発明において「透明」とは、一般的に透明と認識され得るものであればよいが、例えば、ヘイズ値5%以下のものを意味する。
本発明によれば、新規なパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物が提供され、この化合物は、パーフルオロポリエーテル基と、置換アミノシリル基とを有し、これにより、撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する層を形成することができる。更に、本発明によれば、かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を使用して得られる表面処理剤およびそれらを適用した物品もまた提供される。
本発明の実施例1〜3および比較例1〜5で作製した表面処理層の摩擦耐久性を示すグラフである。
以下、本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物、表面処理剤、およびそれらを適用して得られる物品について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
・パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物
本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物は、下記一般式(1a)および(1b)のいずれかで表される。
Figure 2013241569
これら式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16の(例えば直鎖状または分枝状の)アルキル基を表し、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状または分枝状のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基、またはパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基(例えば、CF−、C−、C−)である。
上記式中、パーフルオロポリエーテル基は、
−(OC−(OC−(OC−(OCF
で表される部分である。a、b、cおよびsは、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの3種の繰り返し単位数をそれぞれ表わし、互いに独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびsの和は少なくとも1、好ましくは1〜100である。添字a、b、c、sを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
かかるパーフルオロポリエーテル基を有する化合物は、優れた撥水性および撥油性ひいては防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)を発現し得る。
上記式中、dおよびfは、0または1である。eおよびgは、0以上2以下の整数である。
Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子、フッ素原子であり、更に好ましくはヨウ素原子である。
Yは水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。
Zはフッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
本発明を限定するものではないが、Rfは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、s=0、b=0、c=0、d=1、f=1であり、Zがフッ素原子であることが好ましい。この場合、適切な摩擦耐久性を得ることができる。また、添字aを付して括弧でくくられた繰り返し単位−(OC)−が、−(OCFCFCF)−であることがより好ましい。この場合、パーフルオロポリエーテル基は直鎖状構造を有し、分枝状構造を有する場合に比べて高い摩擦耐久性を得ることができ、また、合成が容易であるという利点もある。
TおよびRはSiに結合する基である。nは1以上3以下の整数である。
は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルコキシ基または水酸基を表し、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基または炭素数1〜22のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基である。水酸基は、特に限定されないが、炭素数1〜22のアルコキシ基が加水分解して生じたものであってよい。
Tは−NR または−NHR(式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜22のアルキル基を表し、2つのRは互いに結合して環構造を形成してもよい)で表される置換アミノ基(代表的にはアルキルアミノ基)を表す。かかる置換アミノ基(−T)の例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ノルマルオクチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、より好ましくはジメチルアミノ基である。
よって、上記式中、
−SiT 3−n
で表される部分は、置換アミノシリル基(代表的にはアルキルアミノシリル基)となる。
本発明の化合物において、Siに結合した置換アミノ基(−T)は、基材との間および化合物間で反応することにより結合し得、かかる基を有する化合物は、優れた摩擦耐久性を発現し得る。
特に、nは3であること(代表的にはトリス(アルキルアミノ)シリル基であること)が好ましい。この場合、nが1である場合に比べて、摩擦耐久性がより向上する。
上記式中、mおよびlは1以上10以下の整数である。mおよびlは、好ましくは2以上6以下の整数である。
以上、本発明の一般式(1a)および(1b)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物について説明した。かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物は、特に限定されないが、例えば1000〜12000の平均分子量を有していてよい。かかる範囲のなかでも、2000〜10000の平均分子量を有することが、摩擦耐久性の観点から好ましい。なお、本発明において「平均分子量」は数平均分子量を言う。
かかる本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物は、任意の適切な方法によって製造可能である。例えば、次の方法により製造することが可能であるが、これに限定されない。
まず、原料として、以下の一般式(iia)および(iib)のいずれか:
Figure 2013241569
(式中、X’はハロゲン原子を表す)で表される少なくとも1種の化合物を準備する。かかる化合物は、例えば、以下の一般式(ia)および(ib)のいずれか:
Figure 2013241569
で表される少なくとも1種の化合物をハロゲン化(例えばヨウ素化)反応に付して得ることができるが、これに限定されない。
この一般式(iia)および(iib)のいずれかで表される少なくとも1種の化合物を
CH=CY−(CH−SiX’’ 3−n
(式中、iは0以上2以下の整数であり、X’’はハロゲン原子であり、Rは上記の通りであって、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。)
と反応させることにより、以下の一般式(iiia)および(iiib)のいずれか:
Figure 2013241569
で表される少なくとも1種の化合物を得る。かかる反応は、ジ−tert−ブチルパーオキシドなどのラジカル開始剤の存在下にて、例えば60〜140℃で、簡便には常圧下で実施され得る。
そして、これにより得られた一般式(iiia)および(iiib)のいずれかで示される少なくとも1種の化合物を
NHR またはNH
で表される置換アミンと反応させてアミノ化する(シリル基のSiに結合したハロゲン原子X’’を置換アミノ基で置換する)ことにより、以下の一般式(iva)および(ivb)のいずれか:
Figure 2013241569
で表される少なくとも1種の化合物を得る。かかる反応は、例えば0〜80℃で、簡便には常圧下で実施され得る。
更に、必要に応じて、例えば亜鉛粉末などにより、ハロゲン原子X’を水素原子で置換してよい。かかる反応は、例えば0〜80℃で、簡便には常圧下で実施され得る。
以上により、上記の一般式(1a)および(1b)のいずれかで表される少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物が得られる。なお、本明細書において、各式中における記号は、特に断りのない限り上記と同様とする。
いずれの反応も、無溶媒で、または溶媒中で進行させてよい。かかる溶媒の例としては、パーフルオロ脂肪族炭化水素、m−キシレンヘキサフロライドなどが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。また、縮合反応が起こり得る場合には、これを抑制するため、窒素気流下で反応させることが好ましい。
以上、本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物について、製造例を挙げて説明したが、本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物はかかる例によって製造されたものに限定されるものではない。
例えば、一般式(iia)で表される化合物と一般式(iib)で表される化合物とが混在している原料(この原料中、後述する一般式Rf−Fで表される含フッ素オイルが更に混在していてもよい)を用いてもよい。かかる場合には、得られる反応混合物において、上記一般式(1a)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザンと、上記一般式(1b)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物とが混在することとなる。
本発明の化合物は、下記するように表面処理剤において有用であるが、これに限定されず、例えば潤滑剤、相溶化剤としても用いることができる。
・表面処理剤
本発明の表面処理剤は、上述した本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を含むものであればよい。即ち、上記一般式(1a)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物および上記一般式(1b)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物の少なくとも一方を含み、これらの双方を含んでいてもよい。これらを組み合わせて用いる場合、一般式(1a)で表される化合物と、一般式(1b)で表される化合物とは、例えば、質量比10:1〜1:1で存在し得るが、これに限定されない。
表面処理剤は、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を主成分または有効成分として含んでいればよい。ここで、「主成分」とは、表面処理剤中の含量が50%を超える成分を言い、「有効成分」とは、表面処理すべき基材上に残留して表面処理層を形成し、何らかの機能(撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、摩擦耐久性など)を発現させ得る成分を意味する。
本発明の表面処理剤は、上述のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を含んでおり、撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、高い摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができるので、防汚性コーティング剤として好適に利用される。
本発明の表面処理剤(または表面処理組成物)の組成は、表面処理層に所望される機能に応じて適宜選択してよい。
例えば、表面処理剤は、上記のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物に加えて、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含んでいてもよい。パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、表面処理層の撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、摩擦耐久性に寄与し、とりわけ摩擦耐久性向上に寄与し得る。
本発明の表面処理剤中、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物100質量部に対して、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
かかるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物としては、以下の一般式(2a)および(2b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Figure 2013241569
これら式中、
T’は水酸基または加水分解可能な基(但し、置換アミノ基を除く)を表す。加水分解可能な基の例としては、−OA、−OCOA、−O−N=C(A)、ハロゲン(これら式中、Aは、置換または非置換の炭素数1〜3のアルキル基を示す)などが挙げられる。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
は水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
その他の記号は、一般式(1a)および(1b)中におけるものと同様であり、上述した説明が同様に当て嵌まる。
上記一般式(2a)、(2b)中、Rfは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、s=0、b=0、c=0、d=1、f=1であり、Zがフッ素原子であることが好ましい。また、添字aを付して括弧でくくられた繰り返し単位−(OC)−が、−(OCFCFCF)−であることがより好ましい。
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば1000〜12000の平均分子量を有していてよい。かかる範囲の中でも、2000〜10000の平均分子量を有することが、撥水性、撥油性、表面滑り性(例えば指紋拭き取り性)および摩擦耐久性の観点から好ましい。
また、本発明の表面処理剤は、上記のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物に加えて、含フッ素オイルとして理解され得るフルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい(以下、本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物と区別する趣旨で、「含フッ素オイル」と言う)。含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
表面処理剤中、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、含フッ素オイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
かかる含フッ素オイルとしては、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロポリエーテル化合物)が挙げられる。
R21-(OC4F8)s’-(OC3F6)a’-(OC2F4)b’-(OCF2)c’-R22 ・・・(3)
式中、R21は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基、またはパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
22は、水素原子、フッ素原子、または1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基、またはパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびs’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの3種の繰り返し単位数をそれぞれ表わし、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびs’の和は少なくとも1、好ましくは1〜100である。添字a’、b’、c’、s’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
上記一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)および(3b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
21−(OCFCFCFa’’−R22 ・・・(3a)
21−(OCFCFCFCFs’’−(OCFCFCFa’’−(OCFCFb’’−(OCFc’’−R22 ・・・(3b)
これら式中、R21およびR22は上記の通りであり;式(3a)中、a’’は1以上100以下の整数であり;式(3b)中、s’’およびa’’はそれぞれ独立して1以上30以下の整数であり、b’’およびc’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。これら式中、添字s’’、a’’、b’’またはc’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
一般式(3a)で示される化合物および一般式(3b)で示される化合物は、それぞれ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。これらを組み合わせて用いる場合、一般式(3a)で表される化合物と、一般式(3b)で表される化合物とを、質量比1:1〜1:30で使用することが好ましい。かかる質量比によれば、表面滑り性と摩擦耐久性のバランスに優れた表面処理剤を得ることができる。
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf−F(式中、Rfは上記の通りである)で表される化合物であってよい。Rf−Fで表される化合物は、上記一般式(1a)および(1b)のいずれかで表される化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
含フッ素オイルは、1000〜30000の平均分子量を有していてよい。これにより、高い表面滑り性を得ることができる。代表的には、一般式(3a)で表される化合物の場合には、2000〜6000の平均分子量を有することが好ましく、一般式(3b)で表される化合物の場合には、8000〜30000の平均分子量を有することが好ましい。これら平均分子量の範囲では、高い表面滑り性を得ることができる。
また、本発明の表面処理剤は、上記のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物に加えて、シリコーンオイルとして理解され得るシリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)を含んでいてもよい。シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
表面処理剤中、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物100質量部に対して、シリコーンオイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
かかるシリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
本発明の表面処理剤は、上記のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物に加えて、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、基材に対して非反応性である化合物(例えば、含フッ素オイルおよび/またはシリコーンオイル)との双方を含んでいてもよい。この場合、本発明の表面処理剤中、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物100質量部に対して、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得、基材に対して非反応性である化合物は、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
・物品
次に、かかる表面処理剤を使用して得られる物品について説明する。本発明の物品は、基材と、該基材の表面において上述の一般式(1a)および/または(1b)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物または表面処理剤(以下、これらを代表して単に表面処理剤と言う)より形成された層(表面処理層)とを含む。この物品は、例えば以下のようにして製造できる。
まず、基材を準備する。本発明に使用可能な基材は、例えばガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiOおよび/またはSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア−ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi−H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
次に、かかる基材の表面に、上記の表面処理剤の膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理し、これにより、表面処理剤から表面処理層を形成する。
表面処理剤の膜形成は、上記の表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。真空蒸着法の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。表面処理剤の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
膜形成は、膜中で表面処理剤が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した表面処理剤をそのまま真空蒸着処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて真空蒸着処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸または塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
次に、必要に応じて、膜を後処理する。この後処理は、特に限定されないが、例えば、水分供給および乾燥加熱を逐次的に実施するものであってよく、より詳細には、以下のようにして実施してよい。
上記のようにして基材表面に表面処理剤を膜形成した後、この膜(以下、前駆体膜とも言う)に水分を供給する。水分の供給方法は、特に限定されず、例えば、前駆体膜(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露や、水蒸気(スチーム)の吹付けなどの方法を使用してよい。
前駆体膜に水分が供給されると、表面処理剤中のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物のSiに結合した置換アミノ基(および存在する場合には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物のSiに結合した加水分解可能な基)に水が作用し、当該化合物を速やかに加水分解させることができると考えられる。
水分の供給は、例えば0〜500℃、好ましくは100℃以上で、300℃以下の雰囲気下にて実施し得る。このような温度範囲において水分を供給することにより、加水分解を進行させることが可能である。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
次に、該前駆体膜を該基材の表面で、60℃を超える乾燥雰囲気下にて加熱する。乾燥加熱方法は、特に限定されず、前駆体膜を基材と共に、60℃を超え、好ましくは100℃を超える温度であって、例えば500℃以下、好ましくは300℃以下の温度で、かつ不飽和水蒸気圧の雰囲気下に配置すればよい。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
このような雰囲気下では、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物(および存在する場合には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物)間では、加水分解後のSiに結合した基同士が速やかに脱水縮合する。また、かかる化合物と基材との間では、当該化合物の加水分解後のSiに結合した基と、基材表面に存在する反応性基との間で速やかに反応し、基材表面に存在する反応性基が水酸基である場合には脱水縮合する。(なお、このように結合した化合物間に、存在する場合には、含フッ素オイルおよび/またはシリコーンオイルが混在することとなる。)この結果、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物(および存在する場合には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物)間で結合が形成され、また、当該化合物と基材との間で結合が形成される(および存在する場合には、含フッ素オイルおよび/またはシリコーンオイルが、パーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物(およびパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物)に対する親和性により保持または捕捉される)。
上記の水分供給および乾燥加熱は、過熱水蒸気を用いることにより連続的に実施してもよい。
過熱水蒸気は、飽和水蒸気を沸点より高い温度に加熱して得られるガスであって、常圧下では、100℃を超え、一般的には500℃以下、例えば300℃以下の温度で、かつ、沸点を超える温度への加熱により不飽和水蒸気圧となったガスである。前駆体膜を形成した基材を過熱水蒸気に曝すと、まず、過熱水蒸気と、比較的低温の前駆体膜との間の温度差により、前駆体膜表面にて結露が生じ、これによって前駆体膜に水分が供給される。やがて、過熱水蒸気と前駆体膜との間の温度差が小さくなるにつれて、前駆体膜表面の水分は過熱水蒸気による乾燥雰囲気中で気化し、前駆体膜表面の水分量が次第に低下する。前駆体膜表面の水分量が低下している間、即ち、前駆体膜が乾燥雰囲気下にある間、基材の表面の前駆体膜は過熱水蒸気と接触することによって、この過熱水蒸気の温度(常圧下では100℃を超える温度)に加熱されることとなる。従って、過熱水蒸気を用いれば、前駆体膜を形成した基材を過熱水蒸気に曝すだけで、水分供給と乾燥加熱とを連続的に実施することができる。
以上のようにして後処理が実施され得る。かかる後処理は、摩擦耐久性を一層向上させるために実施され得るが、本発明の物品を製造するのに必須でないことに留意されたい。例えば、表面処理剤を基材表面に適用した後、そのまま静置しておくだけでもよい。
上記のようにして、基材の表面に、表面処理剤の膜に由来する表面処理層が形成され、本発明の物品が製造される。これにより得られる表面処理層は、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)、摩擦耐久性などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
これによって得られる表面処理層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray)ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバーなど。
表面処理層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、表面処理層の厚さは、1〜30nm、好ましくは1〜15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
以上、本発明の表面処理剤を使用して得られる物品について詳述した。なお、本発明の表面処理剤の用途、使用方法ないし物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物、表面処理剤およびそれを使用して得られる物品について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(合成例)
合成例1〜3の手順に従って、2種のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を合成した。
・合成例1
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、平均組成CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)20CF2CF2-Iで表されるパーフルオロポリエーテル変性ヨウ素体45g、m−キシレンヘキサフロライド45g、ビニルトリクロロシラン5.1gを仕込み、窒素気流下、室温で30分間撹拌した。続いて、ジ−tert−ブチルパーオキシド0.91gを加え、120℃まで昇温させ、この温度にて12時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にヨウ素を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)42gを得た。
Figure 2013241569
(式中、mは1〜6の整数である。)
・合成例2
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、合成例1にて合成した末端にヨウ素を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)30g、パーフルオロヘキサン77gを仕込み、窒素気流下、5℃で30分間撹拌した。続いて、ジメチルアミン5.0gを加え、還流させながら5℃で3時間撹拌した。その後、室温まで昇温させ、分液ロートで、テトラヒドロフランによる洗浄操作(より詳細には、パーフルオロヘキサン相(フルオラス相)にフルオロ系化合物を維持し、テトラヒドロフラン相(有機相)に非フルオロ系化合物を分離除去する操作)を3回行った。続いて、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にヨウ素を有する下記のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物(B)27gを得た。
Figure 2013241569
(式中、mは1〜6の整数である。)
・合成例3
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、合成例2にて合成した末端にヨウ素を有するパーフルオロポリエーテルシラザン化合物(B)20g、パーフルオロヘキサン20g、tert−ブチルアルコール20g、亜鉛粉末1.0gを仕込み、窒素気流下、45℃で7時間撹拌した。その後、室温まで降温させ、分液ロートで、テトラヒドロフランによる洗浄操作を3回行った。続いて、減圧下で揮発分を留去することにより、末端に水素を有する下記のパーフルオロエーテル基含有シラザン化合物(C)16gを得た。
Figure 2013241569
(式中、mは1〜6の整数である。)
(実施例1)
・表面処理剤の調製および表面処理層の形成
上記合成例2で得た化合物(B)を、濃度20wt%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE7200)に溶解させて、表面処理剤1を調製した。
上記で調製した表面処理剤1を化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10−3Paとし、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、各表面処理剤2mgを蒸着させた。その後、蒸着膜付き化学強化ガラスを、温度20℃および湿度65%の雰囲気下で24時間静置した。これにより、蒸着膜が硬化して、表面処理層が形成された。
(実施例2)
化合物(B)に代えて、上記合成例3で得た化合物(C)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、表面処理層を形成した。
(実施例3)
化合物(B)に代えて、化合物(B)と下記対照化合物1とを質量比1:1の割合で混合した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、表面処理層を形成した。
・対照化合物1
Figure 2013241569
(式中、mは1〜6の整数である。)
(比較例1〜5)
化合物(B)に代えて、以下の対照化合物1〜5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、表面処理層を形成した。
・対照化合物1
Figure 2013241569
(式中、mは1〜6の整数である。)
・対照化合物2
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)20CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si(OCH3)3
・対照化合物3
(CH3O)3SiCH2CH2CH2OCH2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2OCH2CH2CH2Si(OCH3)3
(式中、pは10〜30の整数であり、qは10〜30の整数である。)
・対照化合物4
CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)20CF2CF2CH2OCH2CH2CH2Si[N(CH3)2]3
なお、対照化合物4は、置換アミノシリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物であるが、その主鎖に−CHOCH−を有する点で、本発明の置換アミノシリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物と相違する。かかる対照化合物4は、特許文献2に開示されている化合物に相当する。
・対照化合物5
[N(CH3)2]3SiCH2CH2CH2OCH2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2OCH2CH2CH2Si[N(CH3)2]3
(式中、pは10〜30の整数であり、qは10〜30の整数である。)
なお、対照化合物5も、対照化合物4と同様に、その主鎖に−CHOCH−を有する点で、本発明の置換アミノシリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物と相違する。かかる対照化合物5は、特許文献2に記載の片末端に−C(=O)Fを有する一般式(i)で表される化合物を、両末端に−C(=O)Fを有する化合物に代えて、実質的に特許文献2に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、
FC(=O)-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-C(=O)F
で表わされる化合物を還元して、
HOCH2-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-CH2OH
で表わされる化合物を得、これを、
Hal-CH2CH=CH2
で表わされる化合物と反応させて、
CH2=CHCH2-OCH2-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-CH2O-CH2CH=CH2
で表わされる化合物を得、さらにこれを、
H-SiCl3
で表わされる化合物と反応させて、
Cl3SiCH2CH2CH2-OCH2-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-CH2O-CH2CH2CH2SiCl3
で表わされる化合物を得、さらにこれを、
HN(CH3)2
で表せされる化合物と反応させることにより得ることができる(上記式中、pは10〜30の整数であり、qは10〜30の整数であり、Halはハロゲンである)。
(評価)
以上の実施例および比較例にて基材表面に形成された表面処理層について、水の静的接触角を測定した。水の静的接触角は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて、水1μLにて実施した。
まず、初期評価として、表面処理層形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、水の静的接触角を測定した(摩擦回数 ゼロ回)。
その後、摩擦耐久性評価として、スチールウール摩擦耐久性評価を実施した。具体的には、表面処理層を形成した基材を水平配置し、スチールウール(番手♯0000、寸法10mm×10mm×5mm)を表面処理層の露出上面に接触させ、その上に1000gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態でスチールウールを140mm/秒の速度で往復させた。往復回数1000回毎に水の静的接触角(度)を測定した(接触角の測定値が100度未満となった時点で評価を中止した。
結果を表1および図1に示す(表中、記号「-」は測定せず)。
Figure 2013241569
表1および図1から理解されるように、置換アミノシリル基を有する本発明のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を用いた実施例1〜3では、メトキシシリル基を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を用いた比較例1〜3に比べて、また、置換アミノシリル基を有するが、その主鎖に−CHOCH−を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を用いた比較例4および5に比べて、摩擦耐久性が著しく向上することが確認された。
本発明は、種々多様な基材、特に透過性が求められる光学部材の表面に、表面処理層を形成するために好適に利用され得る。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1a)および(1b)のいずれか:
    Figure 2013241569
    (これら式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、
    a、b、cおよびsはそれぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびsの和は少なくとも1であり、a、b、c、sを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
    dおよびfは0または1であり、
    eおよびgは0以上2以下の整数であり、
    mおよびlは1以上10以下の整数であり、
    Xは水素原子またはハロゲン原子を表し、
    Yは水素原子または低級アルキル基を表し、
    Zはフッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、
    Tは−NR または−NHR(式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜22のアルキル基を表し、2つのRは互いに結合して環構造を形成してもよい)で表される置換アミノ基を表し、
    は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルコキシ基または水酸基を表し、
    nは1以上3以下の整数である。)
    で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物。
  2. Rfが、炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基である、請求項1に記載のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物。
  3. 前記一般式(1a)および(1b)において、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、s=0、b=0、c=0、d=1、f=1であり、Zがフッ素原子である、請求項1または2に記載のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物。
  4. 前記一般式(1a)および(1b)において、nが3である、請求項1〜3のいずれかに記載のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物を含む、表面処理剤。
  6. 下記一般式(2a)および(2b)のいずれか:
    Figure 2013241569
    (これら式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、
    a、b、cおよびsはそれぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびsの和は少なくとも1であり、a、b、c、sを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
    dおよびfは0または1であり、
    eおよびgは0以上2以下の整数であり、
    mおよびlは1以上10以下の整数であり、
    Xは水素原子またはハロゲン原子を表し、
    Yは水素原子または低級アルキル基を表し、
    Zはフッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、
    T’は水酸基または加水分解可能な基(但し、置換アミノ基を除く)を表し、
    は水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し、
    nは1以上3以下の整数である。)
    で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を更に含む、請求項5に記載の表面処理剤。
  7. 防汚性コーティング剤として使用される、請求項5または6に記載の表面処理剤。
  8. 基材と、該基材の表面に、請求項1〜4のいずれかに記載のパーフルオロポリエーテル基含有シラザン化合物または請求項5〜7のいずれかに記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品。
  9. 前記物品が光学部材である、請求項8に記載の物品。
  10. 前記基材が、ガラスまたは透明プラスチックである、請求項8または9に記載の物品。
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