明 細 書
冷凍機油、圧縮機油組成物、油圧作動油組成物、金属加工油組成物、 熱処理油組成物、工作機械用潤滑油組成物、潤滑油組成物
技術分野
[0001] 本発明は、冷凍機油、圧縮機油組成物、油圧作動油組成物、金属加工油組成物、 熱処理油組成物、工作機械用潤滑油組成物及び潤滑油組成物に関する。
背景技術
[0002] いわゆる工業用潤滑油の分野では、後述するように、その用途に応じて様々な特 性が潤滑油に求められる。
[0003] 例えば冷凍機油の分野では、近年のオゾン層破壊の問題から、冷凍空調機器の 冷媒として従来使用されてきた CFC (クロ口フルォロカーボン)及び HCFC (ノヽイド口 クロ口フルォロカーボン)が規制の対象となり、これらに変わって HFC (ハイド口フルォ 口カーボン)が冷媒として使用されつつある。
[0004] また、上記 HFC冷媒にお 、ても、地球温暖化能が高!、等の問題がある。そこで、こ れらのフロン系冷媒の代替冷媒として、二酸化炭素 (CO )冷媒ゃ炭化水素冷媒など
2
の自然系冷媒の使用も検討されて!ヽる。
[0005] HFC冷媒用冷凍機油としては、従来、 PAG (ポリアルキレングリコール)、 POE (ポ リオールエステル)、 PVE (ポリビュルエーテル)などの HFC冷媒と相溶する含酸素 系合成油が使用されている力 これら含酸素系合成油はいずれも冷凍機油としての 特性に一長一短がある。一方、分岐型アルキルベンゼンなどのアルキルベンゼンは 、 HFC冷媒に対して非相溶ではあるが、冷媒存在下での耐摩耗性及び摩擦特性が 含酸素系合成油よりも優れるという特徴を有している(例えば、下記特許文献 1、 2を 参照。)。
[0006] また、自然冷媒用冷凍機油としては、様々な冷凍機油の使用が提案されている。例 えば、二酸化炭素冷媒用冷凍機油として、下記特許文献 3にはアルキルベンゼンや ポリ aーォレフイン等の炭化水素系基油を用いたもの、下記特許文献 4にはポリアル キレングリコールやポリビニルエーテル等のエーテル系基油を用いたもの、下記特許
文献 5〜7にはエステル系基油を用いたものがそれぞれ開示されている。
[0007] また、回転式ガス圧縮機等のガス圧縮機に使用される潤滑油 (圧縮機油)には、循 環使用されること及び高温の圧縮ガスとの接触が避けられないこと等の理由から、優 れた熱'酸化安定性を有していること求められる。そのため、一般的には、高度に精 製された鉱油系基油やポリ a一才レフイン類の水素添加物に代表される合成系酸ィ匕 水素油に、 2, 6 ジー tert ブチルー p タレゾール等のフエノール系酸化防止剤 やフエ二ルー a—ナフチルァミン等のアミン系酸ィ匕防止剤を配合した圧縮機油が従 来使用されている。
[0008] しかし、回転式ガス圧縮機油のように高温での熱 ·酸ィ匕安定性が重視される潤滑油 において、十分な熱 ·酸ィ匕防止性を得るためには、酸ィ匕防止剤を多量に添加しなけ ればならず、この場合には酸化防止剤自体がスラッジィ匕しやす 、と 、う問題がある。 スラッジが生成すると、回転式ガス圧縮機の回転体の軸受への付着による発熱や軸 受の損傷、更には、圧縮ガスと油ミストとを分離するミスト回収機構 (デミスター)の目 詰まりが起こりやすくなり、設備の停止を余儀なくされることもある。
[0009] そこで、潤滑油の熱 ·酸ィ匕安定性と抗スラッジ性とを両立するための添加剤処方が 検討されており、 p—分岐アルキルフエ-ルー a ナフチルァミン等の特定の酸化防 止剤の使用が提案されている (例えば、特許文献 8を参照。 ) 0
[0010] また、油圧回路を構成するポンプ、制御弁、油圧シリンダーなどには、金属 金属 接触又は金属 ゴム (榭脂)接触を伴う摺動部が存在する。このような摺動部の潤滑 剤としての役割を担う油圧作動油には、耐摩耗性及び摩擦特性が良好であることが 求められる。
[0011] また、油圧作動油の劣化や摩耗粉の発生に伴いスラッジが発生すると、上記摺動 部における摺動抵抗の増大、更には油圧回路内の流量制御弁の閉塞を引き起こす ことになるため、油圧作動油には耐摩耗性及び摩擦特性に加えて熱'酸化安定性が 求められる。
[0012] そこで、従来の油圧作動油においては、上記の要求に応えるために様々な工夫が なされている。例えば、油圧作動油の熱 ·酸ィ匕安定性を確保するために、潤滑油基 油として水素化精製鉱油、水素化分解鉱油等の高度精製鉱油、更にはポリ ocーォレ
フィン等の合成系炭化水素油などが用いられ、更に、これらの潤滑油基油にフ ノー ル系又はアミン系酸ィ匕防止剤を添加することにより熱 ·酸ィ匕安定性の更なる向上が図 られている。また、耐摩耗性の向上の観点からは、摩耗防止剤として、ジチォリン酸 亜鉛 (ZnDTP)等の亜鉛系摩耗防止剤や、リン酸エステル及びそのアミン塩、チォホ スフエート、 β ジチォホスフォリル化プロピオン酸化合物などの非亜鉛系摩耗防止 剤が使用されている。また、摩擦特性の向上の観点力もは、油圧作動油に摩擦低減 剤を配合することで、摺動面の摩擦係数の低減が図られている。(例えば特許文献 9 〜 12を参照。 )
[0013] また、金属加工の分野では、従来、金属製の被加工物の加工部位を潤滑するため に金属加工油が使用されている。力かる金属加工油には、良好な潤滑により、加工 力の低減、生産性の向上、加工物の表面状態 (例えば圧延後の光沢等)の向上など を達成できる特性 (以下、「加工性」という。)が求められる。
[0014] そこで、従来の金属加工油としては、加工性を向上させるベぐ油性剤、極圧剤等 の添加剤が配合されたものが一般的に使用されている(例えば、特許文献 13、 14を 参照)。
[0015] また、従来、加熱及び冷却により金属を改質する熱処理 (焼入れ等)においては、 熱処理油が使用される。
[0016] 熱処理油を用いて鋼材等の被処理物を焼入れするときの冷却過程は、通常、以下 の通りである。
[0017] 先ず、被処理物を熱処理油に投入すると、被処理物が油の蒸気又はその分解ガス に包まれる。この段階では、蒸気膜の遮蔽効果により熱が伝わりに《なるため、冷却 速度は遅い。
[0018] 次いで、被処理物の表面温度が次第に降下し、所定温度以下に達すると油の核沸 騰が起こる。この段階は沸騰段階と呼ばれ、極めて大きな冷却効果を示す。なお、 JI S Κ 2242 (熱処理油)では、油の蒸気膜が崩壊して核沸騰が開始する温度は「特 性温度」と呼ばれ、十分な硬度を得るためには特性温度の高い熱処理油、すなわち 特性温度に到達するまでの所要時間が短 、熱処理油が望ま 、とされて 、る。
[0019] 被処理物の表面温度が油の沸点に近付くにつれて沸騰は弱まり、沸点を過ぎると
沸騰が止んで対流のみによる緩や力な冷却が行われる。この段階の冷却速度は熱 処理油の粘度に依存し、低粘度の熱処理油ほど高い冷却性を示す。そのため、 JIS K 2242 (熱処理油)では、 40°Cにおける動粘度が 30mm2Zs以下の熱処理油の 使用が推奨されており、また、特に焼入れ性の低い鋼材を対象とする場合には更に 粘度の低い熱処理油(例えば、 40°Cにおける動粘度が 26mm2Zs以下のもの)の使 用が推奨されている。
[0020] このように、従来、十分な硬度を得るための熱処理油としては、特性温度が高ぐ且 つ粘度の低いものが好ましいとされている。そして、熱処理油の基材として使用され る鉱油の粘度を単に低くしただけでは特性温度も低下してしまうため、従来の熱処理 油においては、粘度の低い鉱油にエチレンと α—ォレフインとの共重合体等の冷却 性向上剤を添加して特性温度を高める工夫がなされている(例えば、特許文献 15を 参照)。
工作機械の分野では、部品の加工精度の向上が求められており、それに伴いすベ り案内面における位置決め精度の向上が求められている。すべり案内面における位 置決め精度にはすべり案内面油の性能が深く関わっており、低摩擦であること (すな わち摩擦係数が小さいこと)にカ卩えてスティックスリップ遁減制が要求されている。さら に、工作機械用潤滑油においては、ロングライフ及びメンテナンスフリーの要求も高 まっている。
[0021] そこで、従来の工作機械用潤滑油においては、上記の要求に応えるために様々な 工夫がなされている。例えば、優れた摩擦特性を得るため、リン酸エステル及びその ァミン化合物等のリンィ匕合物、硫化油脂、硫ィ匕エステル等の硫黄ィ匕合物などが添カロ 剤として用いられて ヽる(例えば、下記特許文献 16〜20を参照)。
[0022] また、工作機械用潤滑油の熱 ·酸ィ匕安定性を確保するために、潤滑油基油として 溶剤精製鉱油の他、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油等の高度精製鉱油、更には ポリ oc一才レフイン等の合成系炭化水素油などが用いられている(例えば特許文献 2 1〜24を参照。)。
[0023] また、蒸気タービン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などに使用される 潤滑油は、高温下で使用され、また、循環使用されることから、長期間の使用に耐え
得るものであることが重要である。特に、上記の設備又は機器は、潤滑油中に発生す る不溶分 (スラッジ)の析出を嫌う傾向が強い。例えば、析出したスラッジ成分が回転 体の軸受に付着すると発熱の原因となり、また、最悪の場合には軸受の損傷を招くこ とになる。また、スラッジが析出すると、循環ライン中に設けられたフィルタが目詰まり を起こすなど運転上問題となることがある。また更に、制御ノ レブにスラッジが堆積し て制御系統の作動不良を起こした場合には、装置の停止を余儀なくされる。そのた め、このような分野で使用される潤滑油には、熱 ·酸ィ匕安定性に加えて、スラッジが析 出しにくい特性 (以下、「スラッジ抑制性」という。)が求められる。
そこで、蒸気タービン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などに使用され る従来の潤滑油においては、高度に精製された鉱油や、ポリ— OC—ォレフイン類の 水素添加物に代表される合成系炭化水素油などを基油とし、酸化防止剤を配合する ことによって、熱 ·酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性の向上が図られている(例えば、下 記特許文献 25を参照)。
特許文献 1:特開平 8— 27478号公報
特許文献 2:特開平 8 - 27479号公報
特許文献 3 :特開平 10— 46168号公報
特許文献 4:特開平 10— 46169号公報
特許文献 5 :特開 2000— 104084号公報
特許文献 6:特開 2000— 169868号公報
特許文献 7:特開 2000— 169869号公報
特許文献 8:特開平 7— 252489号公報
特許文献 9:特開平 4— 68082号公報
特許文献 10:特開 2000 - 303086号公報
特許文献 11 :特開 2002— 129180号公報
特許文献 12 :特開 2002— 129181号公報
特許文献 13:特開平 10— 273685号公報
特許文献 14:特開 2003— 165994号公報
特許文献 15:特開平 5— 279730号公報
特許文献 16 :特開昭 57— 67693号公報
特許文献 17:特開昭 51— 74005号公報
特許文献 18:特開平 8— 134488号公報
特許文献 19 :特開平 8— 209175号公報
特許文献 20:特開平 11 209775号公報
特許文献 21:特開平 4— 68082号公報
特許文献 22:特開 2000 - 303086号公報
特許文献 23 :特開 2002— 129180号公報
特許文献 24:特開 2002— 129181号公報
特許文献 25:特開平 7— 252489号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0025] し力しながら、上記従来の潤滑油はいずれも以下の点で改善の余地がある。
[0026] 例えば、従来の HFC冷媒用冷凍機油に用いられている分岐型アルキルベンゼン は、生分解性に乏しい等の理由により世界的に需要が減退しており、それに伴って 供給量が激減している状況にある。そのため、アルキルベンゼンに代わる冷凍機油 の開発が渴望されている。
[0027] また、炭化水素冷媒は冷凍機油への溶解性が高いものであり、また、二酸化炭素 冷媒はそれ自体の粘度が小さいものであるため、これらの冷媒が上記従来の冷凍機 油に溶解すると、冷凍機油の粘度低下の度合いが大きくなつて実効粘度を確保でき なくなり、冷媒圧縮機の摺動部材等が摩耗しやすくなる。特に、近年、冷凍空調機器 の分野では、省エネルギー化の観点から、撹拌抵抗や配管抵抗の低減に有利な低 粘度の冷凍機油が求められているが、このように冷凍機油を低粘度化した場合には 実効粘度の確保が一層困難となり、摩耗の発生がより顕著となる。
[0028] なお、冷凍機油の潤滑性を改善する手段としては、極圧剤等の摩耗防止剤を冷凍 機油に添加する方法が考えられるが、十分な耐摩耗性を得るためには摩耗防止剤を ある程度多量に添加する必要があり、冷凍機油の安定性が損なわれるおそれがある 。また、極圧剤による耐摩耗性向上効果は極圧剤に由来する皮膜が摺動部材表面
に形成されることに起因するものであるが、かかる皮膜の形成により摺動部材間の摩 擦係数が高くなるため、省エネルギー化の観点からは望まし 、とは 、えな 、。
[0029] また、冷凍機油の潤滑性を改善する別の手段としては、粘度指数が高!、ポリ oc - ォレフィン等の合成系基油を使用し、冷凍機油の実効粘度の低下の度合いをできる だけ小さくする方法が考えられる。しかし、そのような合成系基油を用いる場合であつ ても、炭化水素冷媒ゃ二酸化炭素冷媒の存在下で十分な耐摩耗性を得ることは非 常に困難である。また、ポリ aーォレフイン等の合成系基油は高価であるため、その 使用は冷凍空調機器全体としてのコストアップに繋がる。
[0030] また、圧縮機油の場合、近時、循環油量の低減等を目的とした設備のコンパクトィ匕 に伴 、圧縮機油への熱負荷は益々増大しており、上記特許文献 8に記載されて!、る ような添加剤処方の変更のみで圧縮機油の特性を改善するのには限界がある。
[0031] また、油圧作動油の場合、近時、油圧作動システムはますます高性能化しており、 例えば、高速度、高精密な制御を行うためにスプール弁などの弁により油圧システム の流量、方向などを制御するケース、更にはサーボバルブを装着するケースが多くな つている。このようなスプール弁やサーボバルブの性能は、油圧作動油中にスラッジ が発生すると大幅に低下してしまう。そのため、油圧作動油には耐摩耗性及び熱'酸 化安定性のより一層の改善が求められている。
[0032] また、省エネルギー法の改正により、エネルギー管理指定工場に指定された工場 では、エネルギー削減が必須項目となり、毎年数値目標を決めて省エネルギーを実 行することが必要となっており、工場内で広く使用されている油圧作動装置における 稼動モーターの消費電力の削減が重要な課題となっている。力かる省エネルギー性 の観点力もは、摺動部における摩擦抵抗の低減が効果的であるため、油圧作動油に は摩擦特性の更なる改善が求められている。
[0033] し力しながら、上記従来の油圧作動油であっても、使用される潤滑油基油の熱'酸 化安定性、摩擦特性、粘度 温度特性などの点で改善の余地があり、また、各種添 加剤の配合による特性向上効果には限界があるため、上述した全ての要求に応える ものとしては必ずしも十分とは 、えな!/、。
[0034] また、金属加工油の場合、近時、加工精度や加工効率の更なる向上が望まれてお
り、上記特許文献 13、 14に記載の従来の金属加工油では十分な加工性を達成する ことができなくなつてきて 、る。
[0035] なお、金属加工油の加工性を向上させる手段として、金属加工油の高粘度化により 摩擦係数が小さい流体潤滑領域の割合を増大させる方法が考えられる。しかし、金 属加工油によって形成される油膜の最適な厚さは金属加工の種類や加工条件によ つて異なるため、金属加工油を高粘度化すると最適な油膜厚さから外れてしまうこと が多ぐ十分な加工性を達成することができない。また、金属加工油の高粘度化は、 加工工程の後段に設けられる油分除去工程において、油分が被加工物から除去さ れにくくなるといった問題も有している。
[0036] また、油性剤、極圧剤等の添加剤の金属加工油への配合量を増量することで加工 性をある程度改善することは可能である力 この手法による加工性の向上効果には 自ずと限界があり、十分な加工性を得ることは必ずしも容易ではない。また、これらの 添加剤を増量した場合も、加工工程の後段に設けられる油分除去工程において、油 分が被加工物から除去されに《なる。また、多量の添加剤の使用はコストの増大、 作業環境の悪ィ匕 (臭気の発生等)を招くことになる。また更に、加工条件の苛酷化に カロえて、資源有効利用、廃油の低減、金属加工油ユーザーのコスト削減等の観点か ら、金属加工油には長期間安定な性状を維持できる熱 ·酸ィ匕安定性が求められてい る力 油性剤や極圧剤の増量は金属加工油の熱 ·酸ィ匕安定性の低下の原因にもな る。
[0037] また、熱処理油の場合、上記特許文献 15に記載の熱処理油であっても、高油温下 での焼入れにおける被処理物の変形 (歪み)を抑制するためには未だ改善の余地が ある。なお、この歪みは金属のマルテンサイト変態温度域の冷却速度が過剰に速い 場合に生じやすぐまた、従来の熱処理油に使用される鉱油は、一般的に、粘度が 低いものほどこの温度域の冷却速度を速める傾向を示す。
[0038] また、工作機械用潤滑油の場合、上記特許文献 21〜24記載の従来の工作機械 用潤滑油であっても、摩擦特性及びスティックスリップ低減性の点で未だ改善の余地 がある。また、上記従来の工作機械用潤滑油は、ロングライフという観点では必ずしも 十分な熱 ·酸化安定性を有して 、るとは 、えず、更なる改良が望まれて 、る。
[0039] また、近年の発電設備においては、発電効率を高めてエネルギーを有効に活用す ることを目的として、高温の燃焼ガスを作動媒体として用いるガスタービン、あるいは ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせた複合サイクル発電設備などが数多く稼 動するようになってきて!/、る。 1980年代の事業用発電設備で使用されて 、たガスタ 一ビンの燃焼ガス温度は 1, 100°C程度であった力 近年では、ガスタービンの構成 材料の耐熱性の向上に伴い 1, 500°C程度まで高温ィ匕が進められている。また、回 転式ガス圧縮機は、潤滑油と高温の圧縮ガスとが接触する機構を本来的に有してい る力 近年では、圧縮機のコンパクト化に伴い潤滑油への熱負荷も大幅に増大してき ている。
[0040] このように、上記の設備又は機器における潤滑油の使用条件は益々厳しくなつてお り、上記特許文献 25に記載の従来の潤滑油では十分な熱 ·酸化安定性及びスラッジ 抑制性を達成することが困難となってきている。
[0041] なお、蒸気タービン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などに使用される 潤滑油の熱 ·酸ィ匕安定性を向上させる方法としては酸ィ匕防止剤の増量が考えられる 力 この場合は酸ィ匕防止剤自体のスラッジィ匕が問題となるため、熱'酸化安定性とス ラッジ抑制性とを両立するための根本的な解決策とはなり得ない。特に、ポリ—ひ— ォレフィン類の水素添加物等の合成系炭化水素油を基油として用いる場合、当該基 油は本来的に添加剤やその酸ィ匕劣化物を溶解しにくいものであるため、酸ィ匕防止剤 の増量は望ましくない。
[0042] そこで、本発明は、工業用潤滑油の分野で有用な潤滑油又は潤滑油糸且成物を提 供することを目的とする。
[0043] 特に、本発明は、 HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在 下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上 及び省エネルギー化の双方を実現可能な冷凍機油を提供することを目的とする。
[0044] また、本発明は、高温下で使用された場合であっても、熱'酸化安定性と抗スラッジ 性との双方を高水準で達成することが可能な圧縮機油組成物を提供することを目的 とする。
[0045] また、本発明は、耐摩耗性、摩擦特性、熱'酸化安定性及び粘度 温度特性の全
てを高水準でバランスよく達成することができ、油圧作動システムの高性能化及び省 エネルギー化の点で有効な油圧作動油組成物を提供することを目的とする。
[0046] また、本発明は、高粘度化や添加剤の増量をせずとも優れた加工性を得ることがで き、且つ加工後の被加工物力もの除去性に優れた金属加工油を提供することを目的 とする。
[0047] また、本発明は、高油温下で焼入れを行うに際し、十分な硬度を達成することがで き、且つ歪みを十分に抑制することができる熱処理油を提供することを目的とする。
[0048] また、本発明は、摩擦特性、スティックスリップ低減性、及び熱 ·酸化安定性を高水 準でバランスよく達成することができ、工作機械の高性能化の点で有効な工作機械 用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
[0049] また、本発明は、熱 ·酸ィ匕安定性とスラッジ抑制性とが高水準でバランスよく両立さ れており、蒸気タービン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などの潤滑油 として用いた場合に十分な長寿命化を実現可能な潤滑油組成物を提供することを目 的とする。
課題を解決するための手段
[0050] 上記課題を解決するために、本発明は、 %C力 ¾以下、 %C /%C 力 ½以上、ョ
A P N
ゥ素価が 2. 5以下である潤滑油基油を含有することを特徴とする冷凍機油を提供す る。
[0051] 本発明の冷凍機油に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C
A P Z%C、及びヨウ素価
N
がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が耐摩耗性、摩擦特性及び 粘度—温度特性に優れる。そして、カゝかる潤滑油基油を含む本発明の冷凍機油によ れば、 HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの冷媒の存在下で冷媒圧縮 機の摺動部材等の摩耗を十分に抑制することができ、その一方で、摺動部材間の摩 擦係数及び冷凍機油の撹拌抵抗を十分に低減することができる。更に、上記潤滑油 基油は十分な熱 ·酸ィ匕安定性を有しているため、上述した耐摩耗性向上効果、摩擦 係数低減効果及び撹拌抵抗低減効果を長期にわたって安定的に得ることができる。 したがって、本発明の冷凍機油を HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒など 力 S用いられた冷凍空調機器に使用することによって、冷凍空調機器の長期信頼性の
向上及び省エネルギー化の双方が実現可能となる。
[0052] また、本発明は、 %C力 以下、 %C /%C力 以上、ヨウ素価が 2. 5以下である
A P N
潤滑油基油と、酸化防止剤と、ミスト防止剤とを含有することを特徴とする圧縮機油組 成物を提供する。
[0053] 本発明の圧縮機油組成物に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C
A P Z%C、及びョ
N
ゥ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が優れた熱 ·酸化安 定性を有し、また、粘度-温度特性にも優れている。更に、当該潤滑油基油は、酸ィ匕 防止剤及びミスト防止剤等の添加剤を十分に安定的に溶解保持しつつ、これらの添 加剤の機能をより高水準で発現させることができるものである。したがって、本発明に よれば、高温下で使用された場合であっても、熱 ·酸ィ匕安定性と抗スラッジ性との双 方を高水準で達成することができ、更にはミスト防止性及びシール性にも優れた圧縮 機油組成物が実現可能となる。
[0054] 上記本発明の圧縮機油組成物においては、酸化防止剤の含有量が、組成物全量 を基準として、 0. 02〜5質量%であることが好ましい。酸化防止剤を前記範囲内とす ることにより、高温下での熱 ·酸ィ匕安定性と抗スラッジ性とをより高水準でバランスよく 達成することができる。
[0055] また、本発明は、 %C力 以下、 %C /%C力 以上、ヨウ素価が 2. 5以下である
A P N
潤滑油基油と、リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とを含有することを 特徴とする油圧作動油組成物を提供する。
[0056] 本実施形態に係る油圧作動油組成物に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C /%
A P
C 、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が熱'酸
N
化安定性、粘度 温度特性及び摩擦特性に優れる。更に、当該潤滑油基油は、添 加剤が配合された場合に、当該添加剤を安定に溶解保持しつつ、当該添加剤の機 能をより高水準で発現させることができるものである。したがって、本実施形態に係る 油圧作動油組成物によれば、このように優れた特性を有する潤滑油基油と、リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物との相乗作用により、耐摩耗性、摩擦特性 、熱'酸化安定性及び粘度 温度特性の全てを高水準でバランスよく達成することが でき、油圧作動システムの高性能化及び省エネルギー化が実現可能となる。
[0057] また、本発明は、 %C力 以下、 %C /%C力 以上、ヨウ素価が 2. 5以下である
A P N
潤滑油基油と、エステル、アルコール、カルボン酸、並びに構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物力 選ばれる少なくとも 1種の潤滑性向上剤とを含有する ことを特徴とする金属加工油組成物を提供する。
[0058] 本実施形態に係る金属加工油組成物に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C /%
A P
C 、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が摩擦特
N
性に優れるものであり、また、流体潤滑領域においてせん断抵抗を低減して油膜の 破断を十分に防止することができるものである。また、当該潤滑油基油は、エステル、 アルコール、カルボン酸、並びに構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物 カゝら選ばれる少なくとも 1種の潤滑性向上剤が配合された場合に、当該潤滑性向上 剤を安定に溶解保持しつつ、当該潤滑性向上剤に起因する境界潤滑領域での潤滑 性向上効果をより高水準で発現させることができるものである。さらに、当該潤滑油基 油は十分な熱 ·酸化安定性を有して!/、るため、その使用により上述の優れた潤滑性 を長期間維持することができる。
[0059] したがって、本実施形態に係る金属加工油組成物によれば、優れた加工性を長期 にわたつて安定的に得ることができるようになる。さらに、本実施形態に係る金属加工 油組成物にお!ヽては、上述の加工性及びその長期維持性を得るために高粘度化や 添加剤の増量を必要としな 、ので、本実施形態に係る金属加工油組成物は加工後 の被力卩ェ物力 の除去性の点でも優れて 、る。
[0060] %C力 ¾以下、 %C /%C 力 ½以上、ヨウ素価が 2. 5以下である潤滑油基油と、冷
A P N
却性向上剤とを含有することを特徴とする熱処理油組成物を提供する。
[0061] 上記本発明の熱処理油組成物に含まれる潤滑油基油は、 %c 、
A %c P Z%c、及
N
びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が優れた粘度 温度特性、更には十分な熱'酸化安定性を有するものである。また、当該潤滑油基 油は、冷却性向上剤等の添加剤を十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の 機能をより高水準で発現させることができるものである。したがって、上記の潤滑油基 油と冷却性向上剤とで構成される本発明の熱処理油組成物によれば、焼入れの沸 騰段階にお!、て十分な冷却性を達成すると共に、マルテンサイト温度域にぉ 、て冷
却速度が過剰に速くなる現象を十分に抑制することができるようになり、その結果、十 分な硬度を有し且つ歪みの少ない金属被処理物を安定的に得ることが可能となる。
[0062] また、本発明の熱処理油組成物に含まれる冷却性向上剤は、エチレンと炭素数 3 〜20の α—ォレフィンとの共重合体、アスファルト及びその不溶分除去物、並びにァ ルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩力 選ばれる少なくとも 1種であることが好ま しい。これらの冷却性向上剤のうちの 1種又は 2種以上を用いることで、本発明による 上述の効果をより高水準で達成することができるようになる。
[0063] また、本発明は、 %C力 以下、 %C /%C力 以上、ヨウ素価が 2. 5以下である
A P N
潤滑油基油と、リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とを含有することを 特徴とする工作機械用潤滑油組成物を提供する。
[0064] 本発明の工作機械用潤滑油組成物に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C
A P Z%C
N 、及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が熱'酸ィ匕 安定性及び摩擦特性に優れる。更に、当該潤滑油基油は、添加剤が配合された場 合に、当該添加剤を安定に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能をより高水準で発 現させることができるものである。したがって、本発明の工作機械用潤滑油組成物に よれば、このように優れた特性を有する潤滑油基油と、リン及び Z又は硫黄を構成元 素として含む化合物との相乗作用により、摩擦特性、スティックスリップ低減性及び熱 •酸ィ匕安定性の全てを高水準でバランスよく達成することができ、工作機械の高性能 化が実現可能となる。
[0065] また、本発明は、 %C力 以下、 %C /%C力 以上、ヨウ素価が 2. 5以下である
A P N
潤滑油基油と、硫黄を構成元素として含まない無灰系酸化防止剤と、を含有し、無灰 系酸化防止剤の含有量が、組成物全量を基準として、 0. 3〜5質量%であることを特 徴とする潤滑油組成物を提供する。
[0066] 上記本発明の潤滑油糸且成物に含まれる潤滑油基油は、 %C 、 %C
A P Z%C、及び
N
ヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たすものであるため、それ自体が熱 ·酸ィ匕安定性 に優れる。更に、当該潤滑油基油は、無灰系酸ィ匕防止剤等の添加剤が配合された 場合に、当該添加剤を安定に溶解保持しつつその機能をより高水準で発現させるこ とができるものである。そして、このように優れた特性を有する潤滑油基油に、硫黄を
構成元素として含まな!/ヽ無灰酸化防止剤を、その含有量が上記条件を満たすように 含有せしめることで、熱'酸ィ匕安定性とスラッジ抑制性とを高水準でバランスよく両立 することができるようになる。したがって、本発明の潤滑油組成物によれば、蒸気ター ビン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などの潤滑油として用いた場合に 十分な長寿命化が実現可能となる。
[0067] 本発明の潤滑油組成物は、アルキル基置換芳香族炭化水素化合物を更に含有す ることが好ましい。これにより、熱 ·酸ィ匕安定性とスラッジ抑制性とを一層高水準で両 立することがでさるよう〖こなる。
[0068] また、上記アルキル基置換芳香族炭化水素化合物としては、アルキルベンゼン、ァ ルキルナフタレン、アルキルビフヱ-ル及びアルキルジフヱ-ルアルカンから選ばれ る少なくとも 1種であって、炭素数 8〜30のアルキル基を 1個又は 2個有する化合物 が好ましい。
[0069] また、本発明の潤滑油組成物は、無灰系酸化防止剤として、フ -ル— a—ナフ チルァミン化合物及びアルキル化ジフエ-ルァミン化合物の双方を含有し、フエニル a ナフチルァミンィ匕合物とアルキルィ匕ジフエ-ルァミンィ匕合物との合計量に占め るアルキル化ジフエ-ルァミン化合物の割合力 質量比で、 0. 1〜0. 9であることが 好ましぐ 0. 1〜0. 4であることがより好ましい。無灰系酸ィ匕防止剤としてフエ-ル一 a ナフチルァミン化合物及びアルキル化ジフエ-ルァミン化合物を、両者の含有 割合が上記条件を満たすように併用することによって、熱 ·酸ィ匕防止性とスラッジ抑制 性とを一層高水準で両立することができるようになる。
発明の効果
[0070] 上記の通り、本発明によれば、 HFC冷媒、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒などの 冷媒の存在下で優れた耐摩耗性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信 頼性の向上及び省エネルギー化の双方を実現可能な冷凍機油が提供される。
[0071] また、本発明によれば、高温下で使用された場合であっても、熱 ·酸化安定性と抗 スラッジ性との双方を高水準で達成することが可能な圧縮機油組成物が提供される。
[0072] また、本発明によれば、耐摩耗性、摩擦特性、熱'酸化安定性及び粘度 温度特 性の全てを高水準でバランスよく達成することができ、油圧作動システムの高性能化
及び省エネルギー化の点で有効な油圧作動油組成物が提供される。
[0073] また、本発明によれば、高粘度化や添加剤の増量をせずとも優れた加工性を得る ことができ、且つ加工後の被カ卩ェ物からの除去性に優れた金属加工油組成物が提 供される。
[0074] また、本発明によれば、高油温下で焼入れを行うに際し、十分な硬度を達成するこ とができ、且つ歪みを十分に抑制することができる熱処理油組成物が提供される。
[0075] また、本発明によれば、摩擦特性、スティックスリップ低減性及び熱 ·酸化安定性の 全てを高水準でバランスよく達成することができ、工作機械の高性能化の点で有効な 工作機械用潤滑油組成物が提供される。
[0076] また、本発明によれば、熱 ·酸ィ匕安定性とスラッジ抑制性とが高水準でバランスよく 両立されており、蒸気タービン、ガスタービン、回転式ガス圧縮機、油圧機器などの 潤滑油として用いた場合に十分な長寿命化を実現可能な潤滑油組成物が提供され る。
図面の簡単な説明
[0077] [図 1]実施例で用いたミスト試験装置を示す概略構成図である。
[図 2]SRV (微小往復動摩擦)試験におけるディスクとボールとの配置及び動作を説 明する図である。
[図 3]実施例で用いた摩擦係数測定システムを模式的に示す概略構成図である。
[図 4]実施例で用いたスティックスリップ低減性評価装置を模式的に示す概略構成図 である。
[図 5]図 4の装置を用いて得られる摩擦係数と時間との相関の一例を示すグラフであ る。
[図 6]実施例で用いた高温ポンプ循環試験設備を示す説明図である。
符号の説明
[0078] 1…ミスト試験装置、 11···ミスト発生器、 12···ミストボックス、 13···圧力計、 14…捕 集瓶、 15···スプレーノズル、 16···ストレーミスト排出口、 201···ディスク、 202···ボー ル、 301…テーブル、 302· "AZCサーボメータ、 303···送りネジ、 304···可動治具、 305···ロードセル、 306· "ベッド、 307· "コンピュータ、 308· "制御盤、 309···重鎮、
400…弾性体、 401…上側試験片、 402…下側試験片、 403…荷重検出器、 410 …支持台、 601· ··オイルタンク、 602· ··減圧弁、 604· ··ラインフィルター、 605· "流量 計、 606· "クーラー。
発明を実施するための最良の形態
[0079] 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[0080] (第 1実施形態;冷凍機油)
本発明の第 1実施形態に係る冷凍機油は、 %C
A力 以下、 %C
P Z%C
N力 以上、 ヨウ素価が 2. 5以下である潤滑油基油(以下、単に「本発明に係る潤滑油基油」とい う。)を含有する。
[0081] 本発明に係る潤滑油基油の%C は、上述の通り 2以下であり、好ましくは 1. 5以下
A
、より好ましくは 1以下である。潤滑油基油の%Cが上記上限値を超えると、粘度
A
温度特性、熱 ·酸化安定性及び摩擦特性が低下する。また、本発明に係る潤滑油基 油の%Cは 0であってもよいが、%Cを 0. 1以上とすることにより、添加剤の溶解性
A A
を更に高めることができる。
[0082] また、本発明に係る潤滑油基油における%Cと%じ との比率(%C /%C )は、
P N P N
上述の通り 6以上であり、 7以上であることがより好ましい。 %C /%C が上記下限
P N
値未満であると、粘度 温度特性、熱 ·酸化安定性及び摩擦特性が低下し、更に、 潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する。また、 %C /%C は、 35以下であることが好ましぐ 20以下であることがより好ましぐ 14
P N
以下であることが更に好ましぐ 13以下であることが特に好ましい。 %C /%Cを上
P N
記上限値以下とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
[0083] また、本発明に係る潤滑油基油の%Cは、好ましくは 80以上、より好ましくは 82〜
P
99、更に好ましくは 85〜95、特に好ましくは 87〜93である。潤滑油基油の0 /0C力 S
P
上記下限値未満の場合、粘度 温度特性、熱,酸化安定性及び摩擦特性が低下す る傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目 が低下する傾向にある。また、潤滑油基油の%cが上記上限値を超えると、添加剤
P
の溶解性が低下する傾向にある。
[0084] また、本発明に係る潤滑油基油の%C は、好ましくは 19以下、より好ましくは 5〜1
5、更に好ましくは 7〜13、特に好ましくは 8〜 12である。潤滑油基油の%Cが上記
N
上限値を超えると、粘度 温度特性、熱 ·酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向 にある。また、 %Cが上記下限値未満であると、添加剤の溶解性が低下する傾向に
N
ある。
[0085] なお、本発明でいう%C、%C及び%Cとは、それぞれ ASTM D 3238— 85
P N A
に準拠した方法 (n—d—M環分析)により求められる、パラフィン炭素数の全炭素数 に対する百分率、ナフテン炭素数の全炭素数に対する百分率、及び芳香族炭素数 の全炭素数に対する百分率を意味する。つまり、上述した%C 、 %C及び%C の
P N A
好ましい範囲は上記方法により求められる値に基づくものであり、例えばナフテン分 を含まない潤滑油基油であっても、上記方法により求められる%C力 ^を超える値を
N
示すことがある。
[0086] また、本発明に係る潤滑油基油のヨウ素価は、前述の通り 2. 5以下であり、好ましく は 1. 5以下、より好ましくは 1以下、更に好ましくは 0. 8以下であり、また、 0. 01未満 であってもよいが、それに見合うだけの効果が小さい点及び経済性との関係から、好 ましくは 0. 01以上、より好ましくは 0. 1以上、さらに好ましくは 0. 5以上である。潤滑 油基油のヨウ素価を 2. 5以下とすることで、熱 ·酸ィ匕安定性を飛躍的に向上させるこ とができる。なお、本発明でいう「ヨウ素価」とは、 JIS K 0070「化学製品の酸価、ケ ン化価、ヨウ素価、水酸基価及び不ケン化価」の指示薬滴定法により測定したヨウ素 価を意味する。
[0087] 本発明に係る潤滑油基油は、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素価がそれぞれ上記
A P N
条件を満たすものであれば特に制限されない。具体的には、原油を常圧蒸留及び Z 又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶 剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの 1種 を単独で又は 2種以上を組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あるいはノルマル ノラフィン系基油、イソパラフィン系基油などのうち、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素
A P N
価がそれぞれ上記条件を満たすものが挙げられる。これらの潤滑油基油は、 1種を単 独で用いてもよぐまた、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0088] 本発明に係る潤滑油基油の好ま 、例としては、以下に示す基油(1)〜(8)を原
料とし、この原料油及び Z又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精 製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げるこ とがでさる。
(1)パラフィン基系原油及び Z又は混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油及び Z又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留に よる留出油 (WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス (スラックワックス等)及び Z又はガストウリ キッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、 GTLワックス等)
(4)基油(1)〜(3)力 選ばれる 1種又は 2種以上の混合油及び Z又は当該混合油 のマイルドハイド口クラッキング処理油
(5)基油(1)〜 (4)から選ばれる 2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、 (4)又は(5)の脱れき油 (DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイド口クラッキング処理油(MHC)
(8)基油(1)〜(7)力 選ばれる 2種以上の混合油。
[0089] なお、上記所定の精製方法としては、水素化分解、水素化仕上げなどの水素化精 製;フルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう;酸 性白土や活性白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄などの薬品 (酸 又はアルカリ)洗浄などが好ましい。本発明では、これらの精製方法のうちの 1種を単 独で行ってもよぐ 2種以上を組み合わせて行ってもよい。また、 2種以上の精製方法 を組み合わせる場合、その順序は特に制限されず、適宜選定することができる。
[0090] 更に、本発明に係る潤滑油基油としては、上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油又 は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる 下記基油(9)又は(10)が特に好ま 、。
(9)上記基油(1)〜(8)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分 を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留 分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または当該脱ろう処理 をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油
(10)上記基油(1)〜(8)力も選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留 分を水素化異性化し、その生成物又はその生成物力 蒸留等により回収される潤滑 油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、または、当該脱ろ う処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
[0091] また、上記(9)又は(10)の潤滑油基油を得るに際して、好都合なステップで、必要 に応じて溶剤精製処理及び Z又は水素化仕上げ処理工程を更に設けてもよい。
[0092] また、上記水素化分解'水素化異性ィ匕に使用される触媒は特に制限されないが、 分解活性を有する複合酸化物(例えば、シリカアルミナ、アルミナポリア、シリカジルコ ユアなど)又は当該複合酸ィ匕物の 1種類以上を組み合わせてバインダーで結着させ たものを担体とし、水素化能を有する金属 (例えば周期律表第 Via族の金属や第 VII I族の金属などの 1種類以上)を担持させた水素化分解触媒、あるいはゼォライト (例 えば ZSM— 5、ゼォライトベータ、 SAPO— 11など)を含む担体に第 VIII族の金属 のうち少なくとも 1種類以上を含む水素化能を有する金属を担持させた水素化異性 化触媒が好ましく使用される。水素化分解触媒及び水素化異性化触媒は、積層又 は混合などにより組み合わせて用いてもょ 、。
[0093] 水素化分解'水素化異性ィ匕の際の反応条件は特に制限されないが、水素分圧 0. l〜20MPa、平均反応温度 150〜450°C、 LHSVO. 1〜3. Ohr— 1、水素 Z油比 5 0〜20000scfZbとすることが好まし!/、。
[0094] 本発明に係る潤滑油基油の製造方法の好ましい例としては、以下に示す製造方法 Aが挙げられる。
[0095] すなわち、本発明に係る製造方法 Aは、
NH脱着温度依存性評価において NHの全脱着量に対する 300〜800°Cでの N
3 3
Hの脱着量の分率が 80%以下である担体に、周期律表第 Via族金属のうち少なくと
3
も 1種類と、第 VIII族金属のうち少なくとも 1種類とが担持された水素化分解触媒を準 備する第 1工程と、
水素化分解触媒の存在下、スラックワックスを 50容量%以上含む原料油を、水素 分圧 0. l〜14MPa、平均反応温度 230〜430°C、 LHSVO. 3〜3.
水素油 比 50〜14000scfZbで水素化分解する第 2工程と、
第 2工程で得られた分解生成油を蒸留分離して潤滑油留分を得る第 3工程と、 第 3工程で得られた潤滑油留分を脱ろう処理する第 4工程と
を備える。
[0096] 以下、上記製造方法 Aについて詳述する。
[0097] (原料油)
上記製造方法 Aにお 、ては、スラックワックスを 50容量%以上含有する原料油が用 いられる。なお、本発明でいう「スラックワックスを 50容量%以上含有する原料油」と は、スラックワックスのみ力 なる原料油と、スラックワックスと他の原料油との混合油で あってスラックワックスを 50容量%以上含有する原料油との双方が包含される。
[0098] スラックワックスは、パラフィン系潤滑油留分から潤滑油基油を製造する際、溶剤脱 ろう工程で副生するワックス含有成分であり、本発明にお!/ヽては該ワックス含有成分 をさらに脱油処理したものもスラックワックスに包含される。スラックワックスの主成分は n—パラフィン及び側鎖の少ない分岐パラフィン (イソパラフィン)であり、ナフテン分 や芳香族分は少ない。原料油の調製に使用するスラックワックスの動粘度は、 目的と する潤滑油基油の動粘度に応じて適宜選定することができるが、本発明に係る潤滑 油基油として低粘度基油を製造するには、 100°Cにおける動粘度が 2〜25mm2Zs 程度、好ましくは 2. 5〜20mm2Zs程度、より好ましくは 3〜15mm2Zs程度の、比 較的低粘度のスラックワックスが望ましい。また、スラックワックスのその他の性状も任 意である力 融点は、好ましくは 35〜80°C、より好ましくは 45〜70°C、さらに好ましく は 50〜60°Cである。また、スラックワックスの油分は、好ましくは質量%以下、より好 ましくは 50質量%以下、さらに好ましくは 25質量%以下、特に好ましくは 10質量% 以下であり、また、好ましくは 0. 5質量%以上、より好ましくは 1質量%以上である。ま た、スラックワックスの硫黄分は、好ましくは 1質量%以下、より好ましくは 0. 5質量% 以下であり、また、好ましくは 0. 001質量%以上である。
[0099] ここで、十分に脱油処理されたスラックワックス(以下、「スラックワックス A」 t 、う。) の油分は、好ましくは 0. 5〜10質量0 /0、より好ましくは 1〜8質量%である。また、スラ ックワックス Aの硫黄分は、好ましくは 0. 001〜0. 2質量0 /0、より好ましくは 0. 01〜0 . 15質量%、さらに好ましくは 0. 05-0. 12質量%である。一方、脱油処理されない
力 あるいは脱油処理が不十分であるスラックワックス(以下、「スラックワックス B」とい う。)の油分は、好ましくは 10〜60質量%、より好ましくは 12〜50質量%、さらに好ま しくは 15〜25質量%である。また、スラックワックス Bの硫黄分は、好ましくは 0. 05〜 1質量0 /0、より好ましくは 0. 1〜0. 5質量0 /0、さらに好ましくは 0. 15〜0. 25質量% である。なお、これらスラックワックス A、 Bは、水素化分解 Z異性化触媒の種類ゃ特 性に応じて、脱硫処理が施されたものであってもよぐその場合の硫黄分は、好ましく は 0. 01質量%以下、より好ましくは 0. 001質量%以下である。
[0100] 上記製造方法 Aにお ヽては、上記スラックワックス Aを原料として用いることで、%C 、 %C /%C及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満たす本発明に係る潤滑油基
A P N
油を好適に得ることができる。また、上記製造方法 Aによれば、油分や硫黄分が比較 的高ぐ比較的粗悪で安価なスラックワックス Bを原料として用いても、粘度指数が高 く、低温特性及び熱 ·酸化安定性に優れた付加価値の高 ヽ潤滑油基油を得ることが できる。
[0101] 原料油がスラックワックスと他の原料油との混合油である場合、当該他の原料油とし ては、混合油全量に占めるスラックワックスの割合が 50容量%以上であれば特に制 限されないが、原油の重質常圧蒸留留出油及び Z又は減圧蒸留留出油の混合油 が好ましく用いられる。
[0102] また、原料油がスラックワックスと他の原料油との混合油である場合、高粘度指数の 基油を製造するという観点から、混合油に占めるスラックワックスの割合は、 70容量 %以上がより好ましぐ 75容量%以上が更により好ましい。当該割合が 50容量%未 満では、得られる潤滑油基油において芳香族分、ナフテン分などの油分が増大し、 潤滑油基油の粘度指数が低下する傾向にある。
[0103] 一方、スラックワックスと併用される原油の重質常圧蒸留留出油及び Z又は減圧蒸 留留出油は、製造される潤滑油基油の粘度指数を高く保っため、 300〜570°Cの蒸 留温度範囲に 60容量%以上の留出成分を有する留分であることが好ましい。
[0104] (水素化分解触媒)
上記製造方法 Aでは、 NH脱着温度依存性評価において NHの全脱着量に対す
3 3
る 300〜800°Cでの NHの脱着量の分率が 80%以下である担体に、周期律表第 VI
a族金属のうち少なくとも 1種類と、第 VIII族金属のうち少なくとも 1種類とが担持され た水素化分解触媒が用いられる。
[0105] ここで、「NH脱着温度依存性評価」とは、文献(Sawa M. , Niwa M. , Mu
3
rakami Y. , Zeolites 1990, 10, 532、 Karge H. G. , Dondur V. , J. Phys. Chem. 1990, 94, 765など)【こ紹介されて!ヽる方法であり、以下のよう【こし て行われる。先ず、触媒担体を、窒素気流下 400°C以上の温度で 30分以上前処理 し、吸着分子を除去した後に、 100°Cで NHを飽和するまで吸着させる。次いで、そ
3
の触媒担体を 100〜800°Cまで 10°CZ分以下の昇温速度で昇温して NHを脱着さ
3 せ、脱着により分離された NHを所定温度ごとにモニターする。そして、 NHの全脱
3 3 着量(100〜800°Cでの脱着量)に対する、 300°C〜800°Cでの NHの脱着量の分
3
率を求める。
[0106] 上記製造方法 Aで用いられる触媒担体は、上記の NH脱着温度依存性評価にお
3
いて NHの全脱着量に対する 300〜800°Cでの NHの脱着量の分率が 80%以下
3 3
のものであり、好ましくは 70%以下、より好ましくは 60%以下である。かかる担体を用 Vヽて水素化分解触媒を構成することで、分解活性を支配する酸性質が十分に抑制さ れるので、水素化分解により原料油中のスラックワックス等に由来する高分子量 n— ノラフィンの分解異性ィ匕によるイソパラフィンの生成を効率よく且つ確実に行うことが でき、且つ、生成したイソパラフィンィ匕合物の過度の分解を充分に抑制することがで きるようになる。その結果、適度に枝分かれした化学構造を有する粘度指数の高い分 子を、適度な分子量範囲で十分量与えることができる。
[0107] このような担体としては、アモルファス系であり且つ酸性質を有する二元酸ィ匕物が 好ましぐ例えば、文献(「金属酸ィ匕物とその触媒作用」、清水哲郎、講談社、 1978 年)などに例示されている二元酸ィ匕物が挙げられる。
[0108] 中でも、アモルファス系複合酸化物であって Al、 B、 Ba、 Bi、 Cd、 Ga、 La、 Mg、 Si 、 Ti、 W、 Y、 Znおよび Zr力 選ばれる元素の酸ィ匕物 2種類の複合による酸性質二 元酸化物を含有することが好まし 、。これらの酸性質二元酸ィ匕物の各酸ィ匕物の比率 などを調整することにより、前記の NH吸脱着評価において、本目的に適した酸性
3
質の担体を得ることができる。なお、当該担体を構成する酸性質二元酸化物は上記
のうちの 1種類であっても 2種類以上の混合物であってもよい。また、当該担体は、上 記酸性質二元酸ィ匕物からなるものであってもよぐあるいは当該酸性質二元酸ィ匕物 をバインダーで結着させた担体であってもよ 、。
[0109] さらに、当該担体は、アモルファス系シリカ'アルミナ、アモルファス系シリカ'ジルコ 二了、アモルファス系シリカ'マグネシア、アモルファス系シリカ'チタ-ァ、ァモルファ ス系シリカ 'ポリア、アモルファス系アルミナ'ジルコユア、アモルファス系アルミナ 'マ グネシァ、アモルファス系アルミナ 'チタ-ァ、アモルファス系アルミナ'ボリア、ァモル ファス系ジルコ -ァ'マグネシア、アモルファス系ジルコ-ァ 'チタ-ァ、アモルファス 系ジルコユア.ポリア、アモルファス系マグネシア 'チタ-ァ、アモルファス系マグネシ ァ ·ボリアおよびアモルファス系チタニア ·ポリアから選ばれる少なくとも 1種類の酸性 質二元酸化物を含有することが好ま ヽ。当該担体を構成する酸性質二元酸化物は 上記のうちの 1種類であっても 2種類以上の混合物であってもよい。また、当該担体 は、上記酸性質二元酸ィ匕物力 なるものであってもよぐあるいは当該酸性質二元酸 化物をバインダーで結着させた担体であってもよい。かかるバインダーとしては、一般 に触媒調製に使用されるものであれば特に制限はないが、シリカ、アルミナ、マグネ シァ、チタ二了、ジルコユア、クレー力も選ばれるかまたはそれらの混合物などが好ま しい。
[0110] 上記製造方法 Aにおいては、上記の担体に、周期律表第 Via族の金属(モリブデン 、クロム、タングステンなど)のうち少なくとも 1種類と、第 VIII族の金属(ニッケル、コバ ルト、パラジウム、白金など)のうち少なくとも 1種類とが担持されて水素化分解触媒が 構成される。これらの金属は、水素化能を担うものであり、酸性質担体によってバラフ イン化合物が分解または枝分かれする反応を終結させ、適度な分子量と枝分かれ構 造を有するイソパラフィンの生成に重要な役割を担っている。
[0111] 水素化分解触媒における金属の担持量としては、第 Via族金属の担持量が金属 1 種類当たり 5〜30質量%であり、第 VIII族金属の担持量が金属 1種類当たり 0. 2〜 10質量%であることが好まし 、。
[0112] さらに、上記製造方法 Aで用いられる水素化分解触媒においては、第 Via族金属 の 1種類以上の金属としてモリブデンを 5〜30質量%の範囲で含み、また、第 VIII族
金属の 1種類以上の金属としてニッケルを 0. 2〜 10質量%の範囲で含むことがより 好ましい。
[0113] 上記の担体と第 Via族金属の 1種類以上と第 VIII属金属の 1種類以上の金属とで 構成される水素化分解触媒は、硫化した状態で水素化分解に用いることが好ましい 。硫ィ匕処理は公知の方法により行うことができる。
[0114] (水素化分解工程)
上記製造方法 Aにおいては、上記の水素化分解触媒の存在下、スラックワックスを 50容量%以上含む原料油を、水素分圧が 0. l〜14MPa、好ましくは l〜14MPa、 より好ましくは 2〜7MPa;平均反応温度が 230〜430°C、好ましくは 330〜400°C、 ょり好ましくは350〜390。。;1^3¥カ 0. 3〜3. Ohr_1、好ましくは 0. 5〜2. Ohr"1 ; 水素油比が 50〜14000scfZb、好ましくは 100〜5000scfZbで水素化分解する。
[0115] 力かる水素化分解工程においては、原料油中のスラックワックスに由来する n—パ ラフィンを分解する過程でイソパラフィンへの異性ィ匕を進行させることにより、流動点 が低ぐかつ粘度指数の高いイソパラフィン成分を生ぜしめるのであるが、同時に、原 料油に含まれている高粘度指数化の阻害因子である芳香族化合物を単環芳香族化 合物、ナフテンィ匕合物及びパラフィン化合物に分解し、また、高粘度指数化の阻害 因子である多環ナフテンィ匕合物を単環ナフテンィ匕合物やパラフィンィ匕合物に分解す ることができる。なお、高粘度指数ィ匕の点力 は、原料油中に高沸点で粘度指数の 低 、ィ匕合物が少な 、方が好ま 、。
[0116] また、反応の進行度合いを評価する分解率を下記式:
(分解率 (容量%) ) = 100—(生成物中の沸点が 360°C以上の留分の割合 (容量% ) )
のように定義すると、分解率は 3〜90容量%であることが好ましい。分解率が 3容量 %未満では、原料油中に含まれる流動点の高 、高分子量 n—パラフィンの分解異性 化によるイソパラフィンの生成や、粘度指数の劣る芳香族分や多環ナフテン分の水 素化分解が不十分となり、また、分解率が 90容量%を超えると潤滑油留分の収率が 低くなり、それぞれ好ましくない。
[0117] (蒸留分離工程)
次いで、上記の水素化分解工程により得られる分解生成油から潤滑油留分を蒸留 分離する。この際、軽質分として燃料油留分も得られる場合がある。
[0118] 燃料油留分は脱硫、脱窒素が十分に行われ、また、芳香族の水素化も十分に行わ れた結果得られる留分である。このうち、ナフサ留分はイソパラフィン分が多ぐ灯油 留分は煙点が高ぐまた、軽油留分はセタン価が高い等、燃料油としていずれも高品 質である。
[0119] 一方、潤滑油留分における水素化分解が不十分である場合には、その一部を再度 水素化分解工程に供してもよい。また、所望の動粘度の潤滑油留分を得るため、潤 滑油留分を更に減圧蒸留してもよい。なお、この減圧蒸留分離は次に示す脱ろう処 理後に行ってもよい。
[0120] 蒸発分離工程にぉ ヽて、水素化分解工程で得られる分解生成油を減圧蒸留する ことにより、 70Pale、 SAE10、 SAE20と呼ばれる潤滑油基油を好適に得ることがで きる。
[0121] 原料油としてより低粘度のスラックワックスを使用した系は、 70Paleや SAE10留分 を多く生成するのに適しており、原料油として上記範囲で高粘度のスラックワックスを 使用した系は SAE20を多く生成するのに適している。しかし、高粘度のスラックヮック スを用いても、分解反応の進行程度によっては 70Pale、 SAE10を相当量生成する 条件を選ぶこともできる。
[0122] (脱ろう工程)
上記の蒸留分離工程にお!、て、分解生成油から分留した潤滑油留分は流動点が 高いので、所望の流動点を有する潤滑油基油を得るために脱ろうする。脱ろう処理は 溶剤脱ろう法又は接触脱ろう法などの通常の方法で行うことができる。このうち、溶剤 脱ろう法は一般に MEK、トルエンの混合溶剤が用いられる力 ベンゼン、アセトン、 MIBK等の溶剤を用いてもよい。脱ろう油の流動点を 10°C以下にするために溶剤 Z油比 1〜6倍、ろ過温度ー5〜一 45°C、好ましくは 10〜一 40°Cの条件で行うこと が好ましい。なお、ここで除去されるろう分は、スラックワックスとして、水素化分解ェ 程に再び供することができる。
[0123] 上記製造方法にお!、ては、脱ろう処理に溶剤精製処理及び Z又は水素化精製処
理を付加してもよ!ヽ。これらの付加する処理は潤滑油基油の紫外線安定性や酸化安 定性を向上させるために行うもので、通常の潤滑油精製工程で行われて ヽる方法で 行うことができる。
[0124] 溶剤精製の際には、溶剤として一般にフルフラール、フエノール、 N—メチルピロリ ドン等を使用し、潤滑油留分中に残存している少量の芳香族化合物、特に多環芳香 族化合物を除去する。
[0125] また、水素化精製はォレフインィ匕合物や芳香族化合物を水素化するために行うもの で、特に触媒を限定するものではないが、モリブデン等の第 Via族金属のうち少なく とも 1種類と、コノ レト、ニッケル等の第 VIII族金属のうち、少なくとも 1種類を担持し たアルミナ触媒を用いて、反応圧力(水素分圧) 7〜16MPa、平均反応温度 300〜3 90°C、 LHSVO. 5〜4. Ohr_1の条件下で行うことができる。
[0126] また、本発明に係る潤滑油基油の製造方法の好ましい例としては、以下に示す製 造方法 Bが挙げられる。
[0127] すなわち、本発明に係る製造方法 Bは、
触媒の存在下、パラフィン系炭化水素を含有する原料油を水素化分解及び Z又は 水素化異性ィヒする第 5工程と、
第 5工程で得られる生成物又はその生成物力 蒸留等により回収される潤滑油留 分を脱ろう処理する第 6工程と、
を備える。
[0128] 以下、上記製造方法 Bについて詳述する。
[0129] (原料油)
上記製造方法 Bにおいては、パラフィン系炭化水素を含有する原料油が用いられ る。なお、本発明でいう「パラフィン系炭化水素」とは、パラフィン分子の含有率が 70 質量%以上の炭化水素をいう。パラフィン系炭化水素の炭素数は特に制限されない 力 通常、 10〜: LOO程度のものが用いられる。また、ノラフィン系炭化水素の製法は 特に制限されず、石油系及び合成系の各種パラフィン系炭化水素を用いることがで きるが、特に好ましいパラフィン系炭化水素としては、ガストウリキッド (GTL)プロセス 等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、 GTLヮッ
タス等)が挙げられ、中でも FTワックスが好ましい。また、合成ワックスは、炭素数が好 ましくは 15〜80、より好ましくは 20〜50のノルマルパラフィンを主成分として含むヮッ タスが好適である。
[0130] 原料油の調製に使用するパラフィン系炭化水素の動粘度は、目的とする潤滑油基 油の動粘度に応じて適宜選定することができるが、本発明に係る潤滑油基油として 低粘度基油を製造するには、 100°Cにおける動粘度が 2〜25mm2Zs程度、好まし くは 2. 5〜20mm2Zs程度、より好ましくは 3〜15mm2Zs程度の、比較的低粘度の ノ ラフィン系炭化水素が望ましい。また、パラフィン系炭化水素のその他の性状も任 意である力 ノラフィン系炭化水素が FTワックス等の合成ワックスである場合、その 融点は、好ましくは 35〜80°C、より好ましくは 50〜80°C、さらに好ましくは 60〜80°C である。また、合成ワックスの油分は、好ましくは 10質量%以下、より好ましくは 5質量 %以下、さらに好ましくは 2質量%以下である。また、合成ワックスの硫黄分は、好まし くは 0. 01質量%以下、より好ましくは 0. 001質量%以下、さらに好ましくは 0. 0001 質量%以下である。
[0131] 原料油が上記合成ワックスと他の原料油との混合油である場合、当該他の原料油と しては、混合油全量に占める合成ワックスの割合が 50容量%以上であれば特に制 限されないが、原油の重質常圧蒸留留出油及び Z又は減圧蒸留留出油の混合油 が好ましく用いられる。
[0132] また、原料油が上記合成ワックスと他の原料油との混合油である場合、高粘度指数 の基油を製造するという観点から、混合油に占める合成ワックスの割合は、 70容量% 以上がより好ましぐ 75容量%以上が更により好ましい。当該割合が 70容量%未満 では、得られる潤滑油基油において芳香族分、ナフテン分などの油分が増大し、潤 滑油基油の粘度指数が低下する傾向にある。
[0133] 一方、合成ワックスと併用される原油の重質常圧蒸留留出油及び Z又は減圧蒸留 留出油は、製造される潤滑油基油の粘度指数を高く保っため、 300〜570°Cの蒸留 温度範囲に 60容量%以上の留出成分を有する留分であることが好ましい。
[0134] (触媒)
製造方法 Bで用いられる触媒は特に制限されないが、アルミノシリケートを含有する
担体に、活性金属成分として周期律表第 vi属 b金属及び第 vm属金属力 選ばれ る 1種以上が担持された触媒が好ましく用いられる。
[0135] アルミノシリケートとは、アルミニウム、珪素及び酸素の 3元素で構成される金属酸化 物をいう。また、本発明の効果を妨げない範囲で他の金属元素を共存させることもで きる。この場合、他の金属元素の量はその酸ィ匕物としてアルミナ及びシリカの合計量 の 5質量%以下が好ましぐ 3質量%以下がより好ましい。共存可能な金属元素として は、例えばチタン、ランタン、マンガン等を挙げることができる。
[0136] アルミノシリケートの結晶性は、全アルミニウム原子中の 4配位のアルミニウム原子 の割合で見積もることができ、この割合は27 A1固体 NMRにより測定することができる 。本発明で用いられるアルミノシリケートとしては、アルミニウム全量に対する 4配位ァ ルミ-ゥムの割合が 50質量%以上のものが好ましぐ 70質量%以上のものがより好ま しぐ 80質量%以上のものがさらに好ましい。以下、アルミニウム全量に対する 4配位 アルミニウムの割合が 50質量0 /0以上のアルミノシリケートを「結晶性アルミノシリケート 」という。
[0137] 結晶性アルミノシリケートとしては、いわゆるゼォライトを使用することができる。好ま LV、例としては、 Y型ゼオライト、超安定性 Y型ゼオライト (USY型ゼオライト)、 β型ゼ オライト、モルデナイト、 ZSM— 5などが挙げられ、中でも USYゼォライトが特に好ま しい。本発明では結晶性アルミノシリケートの 1種類を単独で用いてもよぐ 2種類以 上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0138] 結晶性アルミノシリケートを含有する担体の調製方法としては、結晶性アルミノシリ ケート及びバインダーの混合物を成型し、その成型体を焼成する方法が挙げられる。 使用するバインダーについては特に制限はないが、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ 、チタ-ァ、マグネシアが好ましぐ中でもアルミナが特に好ましい。バインダーの使 用割合は特に制限されないが、通常、成型体全量基準で 5〜99質量%が好ましぐ 20〜99質量%がより好ましい。結晶性アルミノシリケート及びバインダーを含有する 成型体の焼成温度 ίま、 430〜470oC力 S好ましく、 440〜460oC力 り好ましく、 445 〜455°Cがさらに好ましい。また、焼成時間は特に制限されないが、通常 1分〜 24時 間、好ましくは 10分から 20時間、より好ましくは 30分〜 10時間である。焼成は空気
雰囲気下で行ってもよいが、窒素雰囲気下などの無酸素雰囲気下で行うことが好ま しい。
[0139] また、上記担体に担持される第 VI属 b金属としてはクロム、モリブデン、タングステン 等力 第 VIII属金属としては、具体的には、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム 、イリジウム、白金等がそれぞれ挙げられる。これらの金属は、 1種類を単独で用いて もよぐあるいは 2種類以上を組み合わせて用いてもよい。 2種類以上の金属を組み 合わせる場合、白金、パラジウム等の貴金属同士を組み合わせてもよぐニッケル、コ バルト、タングステン、モリブデン等の卑金属同士を組み合わせてもよぐあるいは貴 金属と卑金属とを組み合わせてもよ 、。
[0140] また、金属の担体への担持は、金属を含む溶液への担体の含浸、イオン交換等の 情報により行うことができる。金属の担持量は、適宜選択することができるが、触媒全 量基準で、通常 0. 05〜2質量%であり、好ましくは 0. 1〜1質量%である。
[0141] (水素化分解 Z水素化異性化工程)
上記製造方法 Bにおいては、上記触媒の存在下、パラフィン系炭化水素を含有す る原料油を水素化分解 Z水素化異性化する。力かる水素化分解 Z水素化異性ィ匕ェ 程は、固定床反応装置を用いて行うことができる。水素化分解 Z水素化異性化の条 件としては、例えば温度は 250〜400°C、水素圧は 0. 5〜: LOMPa、原料油の液空 間速度(LHSV)は 0. 5〜: LOh_ 1がそれぞれ好ましい。
[0142] (蒸留分離工程)
次いで、上記の水素化分解 Z水素化異性ィヒ工程により得られる分解生成油から潤 滑油留分を蒸留分離する。なお、製造方法 Bにおける蒸留分離工程は製造方法 A における蒸留分離工程と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0143] (脱ろう工程)
次!、で、上記の蒸留分離工程にお!、て分解生成油から分留した潤滑油留分を脱 ろうする。力かる脱ろう工程は、溶剤脱ろう又は接触脱ろう等の従来公知の脱ろうプロ セスを用いて行うことができる。ここで、分解 Z異性化生成油中に存在する沸点 370 °C以下の物質が脱ろうに先立ち高沸点物質力 分離されて 、な 、場合、分解 Z異 性ィ匕生成油の用途に応じて、全水素化異性ィ匕物を脱ろうしてもよぐあるいは沸点 37
0°C以上の留分を脱ろうしてもよ!、。
[0144] 溶剤脱ろうにお ヽては、水素化異性ィ匕物を冷却ケトン及びアセトン、並びに MEK、 MIBKなどのその他の溶剤と接触させ、さらに冷却して高流動点物質をワックス質固 体として沈殿させ、その沈殿をラフィネートである溶剤含有潤滑油留分力 分離する 。さらに、ラフィネートをスクレープトサーフィス深冷器で冷却してワックス固形分を除 去することができる。また、プロパン等の低分子量炭化水素類も脱ろうに使用可能で あるが、この場合は分解 Z異性化生成油と低分子量炭化水素とを混合し、少なくとも その一部を気化して分解 Z異性ィ匕生成油をさらに冷却してワックスを沈殿させる。ヮ ックスは、ろ過、メンブランまたは遠心分離等によりラフイネートから分離する。その後 、溶剤をラフィネートから除去し、ラフィネートを分留して、目的の潤滑油基油を得るこ とがでさる。
[0145] また、接触脱ろう (触媒脱ろう)の場合は、分解 Z異性化生成油を、適当な脱ろう触 媒の存在下、流動点を下げるのに有効な条件で水素と反応させる。接触脱ろうでは、 分解 Z異性ィ匕生成物中の高沸点物質の一部を低沸点物質へと転化させ、その低沸 点物質をより重い基油留分力 分離し、基油留分を分留し、 2種以上の潤滑油基油 を得る。低沸点物質の分離は、目的の潤滑油基油を得る前に、あるいは分留中に行 うことができる。
[0146] 脱ろう触媒としては、分解 Z異性ィ匕生成油の流動点を低下させることが可能なもの であれば特に制限されないが、分解 Z異性ィ匕生成油力 高収率で目的の潤滑油基 油を得ることができるものが好ましい。このような脱ろう触媒としては、形状選択的分子 篩 (モレキュラーシーブ)が好ましぐ具体的には、フェリエライト、モルデナイト、 ZSM —5、 ZSM— 11、 ZSM— 23、 ZSM— 35、 ZSM— 22 (シータワン又は TONとも呼 ばれる)、シリコアルミノホスフェート類(SAPO)などが挙げられる。これらのモレキユラ 一シーブは、触媒金属成分と組み合わせて使用することが好ましぐ貴金属と組み合 わせることがより好ましい。好ましい組合せとしては、例えば白金と H—モルデナイトと を複合ィ匕したものが挙げられる。
[0147] 脱ろう条件は特に制限されないが、温度は 200〜500°Cが好ましぐ水素圧は 10 〜200バール(lMPa〜20MPa)がそれぞれ好ましい。また、フロースルー反応器の
場合、 H処理速度は 0. 1〜: LOkgZlZhrが好ましぐ LHSVは 0. 1〜10_1が好まし
2
ぐ 0. 2〜2. 0h_1がより好ましい。また、脱ろうは、分解/異性化生成油に含まれる 、通常 40質量%以下、好ましくは 30質量%以下の、初留点が 350〜400°Cである物 質をこの初留点未満の沸点を有する物質へと転換するように行うことが好まし 、。
[0148] 以上、本発明に係る潤滑油基油の好ま U、製造方法である製造方法 A及び製造 方法 Bについて説明したが、本発明に係る潤滑油基油の製造方法はこれらに限定さ れない。例えば、上記製造方法 Aにおいて、スラックワックスの代わりに FTワックス、 GTLワックス等の合成ワックスを用いてもよい。また、上記製造方法 Bにおいて、スラ ックワックス (好ましくはスラックワックス A、 B)を含有する原料油を用いてもよい。さら に、製造方法 A、 Bのそれぞれにおいて、スラックワックス (好ましくはスラックワックス A 、 B)と、合成ワックス(好ましくは FTワックス、 GTLワックス)とを併用してもよい。
[0149] なお、本発明に係る潤滑油基油を製造する際に使用される原料油が、上記のスラ ックワックス及び Z又は合成ワックスと、これらのワックス以外の原料油との混合油で ある場合、スラックワックス及び/又は合成ワックスの含有量は原料油全量基準で 50 質量%以上であることが好まし!/、。
[0150] また、本発明に係る潤滑油基油を製造するための原料油としては、スラックワックス 及び Z又は合成ワックスを含有する原料油であって、油分が好ましくは 60質量%以 下、より好ましくは 50質量%以下、さらに好ましくは 25質量%以下である原料油が好 ましい。
[0151] また、本発明に係る潤滑油基油における飽和分の含有量は、潤滑油基油全量を基 準として、好ましくは 90質量%以上、より好ましくは 93質量%以上、更に好ましくは 9 5質量%以上であり、また、当該飽和分に占める環状飽和分の割合は、好ましくは 40 質量%以下であり、より好ましくは 0. 1〜40質量%、更に好ましくは 2〜30質量%、 一層好ましくは 5〜25質量%、特に好ましくは 10〜21質量%である。飽和分の含有 量及び当該飽和分に占める環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件を満たすことに より、粘度—温度特性及び熱 ·酸ィ匕安定性をより高水準で達成することができ、また、 当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合には、当該添加剤を潤滑油基油中に十 分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能をより高水準で発現させることが
できる。更に、潤滑油基油自体の摩擦特性を改善することができ、その結果、摩擦低 減効果の向上、ひいては省エネルギー性の向上を達成することができる。
[0152] なお、飽和分の含有量が 90質量%未満であると、粘度 温度特性、熱'酸化安定 性及び摩擦特性が不十分となる傾向にある。また、飽和分に占める環状飽和分の割 合が 40質量%を超えると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の 効き目が低下する傾向にある。更に、飽和分に占める環状飽和分の割合が 0. 1質量 %未満であると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に、当該添加剤の溶解性 が低下して潤滑油基油中に溶解保持される当該添加剤の有効量が低下し、当該添 加剤の機能を有効に得ることができなくなる傾向にある。また、飽和分の含有量は 10 0質量%でもよいが、製造コストの低減及び添加剤の溶解性の向上の点から、好まし くは 99. 9質量%以下、より好ましくは 99. 5質量%以下、更に好ましくは 99質量% 以下、特に好ましくは 98. 5質量%以下である。
[0153] 本発明に係る潤滑油基油において、その飽和分に占める環状飽和分の割合が 40 質量%以下であることは、飽和分に占める非環状飽和分が 60質量%以上であること と等価である。ここで、非環状飽和分には直鎖パラフィン分及び分枝パラフィン分の 双方が包含される。本発明に係る潤滑油基油に占める各パラフィン分の割合は特に 制限されないが、分枝パラフィン分の割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましくは 55 〜99質量%、より好ましくは 57. 5〜96質量%、更に好ましくは 60〜95質量%、一 層好ましくは 70〜92質量%、特に好ましくは 80〜90質量%である。潤滑油基油に 占める分枝パラフィン分の割合が前記条件を満たすことにより、粘度 温度特性及 び熱 ·酸ィ匕安定性をより向上させることができ、また、当該潤滑油基油に添加剤が配 合された場合には、当該添加剤を十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の 機能を一層高水準で発現させることができる。また、潤滑油基油に占める直鎖バラフ イン分の割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましくは 1質量%以下、より好ましくは 0 . 5質量%以下、さらに好ましくは 0. 2質量%以下である。直鎖パラフィン分の割合が 上記条件を満たすことで、より低温粘度特性に優れた潤滑油基油を得ることができる
[0154] また、本発明に係る潤滑油基油において、飽和分に占める 1環飽和分及び 2環以
上の飽和分の含有量は特に制限されないが、飽和分に占める 2環以上の飽和分の 割合は、 0. 1質量%以上であることが好ましぐ 1質量%以上であることがより好ましく 、 3質量%以上であることがさらに好ましぐ 5質量%以上であることが特に好ましぐ また、 40質量%以下であることが好ましぐ 20質量%以下であることがより好ましぐ 1 5質量%以下であることが更に好ましぐ 11質量%以下であることが特に好ましい。ま た、飽和分に占める 1環飽和分の割合は 0質量%であってもよいが、好ましくは 1質量 %以上、より好ましくは 2質量%以上、更に好ましくは 3質量%以上、特に好ましくは 4 質量%以上であり、また、好ましくは 40質量%以下、より好ましくは 20質量%以下、 更に好ましくは 15質量%以下、特に好ましくは 11質量%以下である。
[0155] また、本発明に係る潤滑油基油において、環状飽和分に含まれる 1環飽和分の質 量 (M )と 2環以上の飽和分の質量 (M )との比(M /M )は、好ましくは 20以下、
A B A B
より好ましくは 3以下、更に好ましくは 2以下、特に好ましくは 1以下である。また、 M
A
/Mは 0であってもよいが、好ましくは 0. 1以上、より好ましくは 0. 3以上、更に好ま
B
しくは 0. 5以上である。 M /Mが上記条件を満たすことにより、粘度 温度特性と
A B
熱 ·酸化安定性とを一層高水準で両立することができる。
[0156] また、本発明に係る潤滑油基油において、環状飽和分に含まれる 1環飽和分の質 量 (M )と 2環飽和分の質量 (M )との比(M ZM )は、好ましくは 3以下、より好まし
A c A c
くは 1. 5以下、更に好ましくは 1. 3以下、特に好ましくは 1. 2以下である。また、 M
A
/Mは 0であってもよいが、好ましくは 0. 1以上、より好ましくは 0. 3以上、更に好ま しくは 0. 5以上である。 M /Mが上記条件を満たすことにより、粘度 温度特性と
A c
熱 ·酸化安定性とを一層高水準で両立することができる。
[0157] なお、本発明でいう飽和分の含有量とは、 ASTM D 2007— 93に準拠して測定 される値 (単位:質量%)を意味する。
[0158] また、本発明で 、う飽和分に占める環状飽和分、 1環飽和分、 2環以上の飽和分及 び非環状飽和分の割合とは、それぞれ ASTM D 2786— 91に準拠して測定され るナフテン分 (測定対象: 1環〜 6環ナフテン、単位:質量%)及びアルカン分 (単位: 質量%)を意味する。
[0159] また、本発明でいう潤滑油基油中の直鎖パラフィン分とは、前記 ASTM D 2007
93に記載された方法により分離 ·分取された飽和分について、以下の条件でガス クロマトグラフィ分析を行い、当該飽和分に占める直鎖パラフィン分を同定 ·定量した ときの測定値を、潤滑油基油全量を基準として換算した値を意味する。なお、同定' 定量の際には、標準試料として炭素数 5〜50の直鎖パラフィンの混合試料が用いら れ、飽和分に占める直鎖パラフィン分は、クロマトグラムの全ピーク面積値 (希釈剤に 由来するピークの面積値を除く)に対する各直鎖パラフィンに相当に相当するピーク 面積値の合計の割合として求められる。
(ガスクロマトグラフィ条件)
カラム:液相無極性カラム(長さ 25mm、内径 0. 3mm φ、液相膜厚さ 0. Ι μ τη) 昇温条件: 50°C〜400°C (昇温速度: 10°C/min)
キャリアガス:ヘリウム(線速度: 40cmZmin)
スプリット比: 90Z1
試料注入量: 0. 5 L (二硫ィ匕炭素で 20倍に希釈した試料の注入量)
[0160] また、潤滑油基油中の分枝パラフィン分の割合とは、前記飽和分に占める非環状 飽和分と前記飽和分に占める直鎖パラフィン分との差を、潤滑油基油全量を基準と して換算した値を意味する。
[0161] なお、飽和分の分離方法、あるいは環状飽和分、非環状飽和分等の組成分析の 際には、同様の結果が得られる類似の方法を使用することができる。例えば、上記の 他、 ASTM D 2425— 93【こ記載の方法、 ASTM D 2549— 91【こ記載の方法、 高速液体クロマトグラフィ (HPLC)による方法、あるいはこれらの方法を改良した方法 等を挙げることができる。
[0162] また、本発明に係る潤滑油基油における芳香族分は、%C 、 %C /%C 、及びョ
A P N
ゥ素価が上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、潤滑油基油全量を 基準として、好ましくは 7質量%以下、より好ましくは 5質量%以下、さらに好ましくは 4 質量%以下、特に好ましくは 3質量%以下であり、また、好ましくは 0. 1質量%以上、 より好ましくは 0. 5質量%以上、更に好ましくは 1質量%以上、特に好ましくは 1. 5質 量%以上である。芳香族分の含有量が上記上限値を超えると、粘度 温度特性、熱 •酸化安定性及び摩擦特性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向
にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下 する傾向にある。また、本発明に係る潤滑油基油は芳香族分を含有しないものであ つてもよいが、芳香族分の含有量を上記下限値以上とすることにより、添加剤の溶解 性を更に高めることができる。
[0163] なお、本発明でいう芳香族分とは、 ASTM D 2007— 93に準拠して測定された 値を意味する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、 アントラセン、フエナントレン及びこれらのアルキル化物、更にはベンゼン環が四環以 上縮合した化合物、ピリジン類、キノリン類、フエノール類、ナフトール類等のへテロ原 子を有する芳香族化合物などが含まれる。
[0164] また、本発明に係る潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは 110以上である。粘度指 数が前記下限値未満であると、粘度 温度特性及び熱 ·酸化安定性、更には揮発 防止性が低下する傾向にある。なお、本発明に係る潤滑油基油の粘度指数の好まし い範囲は潤滑油基油の粘度グレードによるため、その詳細については後述する。
[0165] 本発明に係る潤滑油基油のその他の性状は、%C 、 %C /%C 、及びヨウ素価
A P N
がそれぞれ上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、本発明に係る潤 滑油基油は以下に示す各種性状を有することが好ましい。
[0166] 本発明に係る潤滑油基油における硫黄分の含有量は、その原料の硫黄分の含有 量に依存する。例えば、フィッシャートロプシュ反応等により得られる合成ワックス成分 のように実質的に硫黄を含まな 、原料を用いる場合には、実質的に硫黄を含まな ヽ 潤滑油基油を得ることができる。また、潤滑油基油の精製過程で得られるスラックヮッ タスや精ろう過程で得られるマイクロワックス等の硫黄を含む原料を用いる場合には、 得られる潤滑油基油中の硫黄分は通常 100質量 ppm以上となる。本発明に係る潤 滑油基油においては、熱 ·酸ィ匕安定性の更なる向上及び低硫黄ィ匕の点から、硫黄分 の含有量が 100質量 ppm以下であることが好ましぐ 50質量 ppm以下であることがよ り好ましぐ 10質量 ppm以下であることが更に好ましぐ 5質量 ppm以下であることが 特に好ましい。
[0167] また、コスト低減の点からは、原料としてスラックワックス等を使用することが好ましく 、その場合、得られる潤滑油基油中の硫黄分は 50質量 ppm以下が好ましぐ 10質
量 ppm以下であることがより好ましい。なお、本発明でいう硫黄分とは、 JIS K 254 1— 1996に準拠して測定される硫黄分を意味する。
[0168] また、本発明に係る潤滑油基油における窒素分の含有量は、特に制限されないが 、好ましくは 5質量 ppm以下、より好ましくは 3質量 ppm以下、更に好ましくは 1質量 p pm以下である。窒素分の含有量が 5質量 ppmを超えると、熱'酸化安定性が低下す る傾向にある。なお、本発明でいう窒素分とは、 JIS K 2609— 1990に準拠して測 定される窒素分を意味する。
[0169] また、本発明に係る潤滑油基油の動粘度は、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素価が
A P N
それぞれ上記条件を満たす限りにお 、て特に制限されな 、が、その 100°Cにおける 動粘度は、好ましくは 1. 5〜20mm2Zs、より好ましくは 2. 0〜: L lmm2Zsである。潤 滑油基油の 100°Cにおける動粘度が 1. 5mm2Zs未満の場合、蒸発損失の点で好 ましくない。また、 100°Cにおける動粘度が 20mm2Zsを超える潤滑油基油を得ようと する場合、その収率が低くなり、原料として重質ワックスを用いる場合であっても分解 率を高めることが困難となるため好ましくない。
[0170] 本実施形態においては、 100°Cにおける動粘度が下記の範囲にある潤滑油基油 を蒸留等により分取し、使用することが好ましい。
(I) 100°Cにおける動粘度が 1. 5mm2Zs以上 3. 5mm2Zs未満、より好ましくは 2. 0〜3. 0mm2Zsの潤滑油基油
(II) 100°Cにおける動粘度が 3. 0mm2Zs以上 4. 5mm2Zs未満、より好ましくは 3. 5〜4. lmm2Zsの潤滑油基油
(m) 100°Cにおける動粘度が 4. 5〜20mm2Zs、より好ましくは 4. 8〜: L lmm2Zs 、特に好ましくは 5. 5〜8. 0mm2Zsの潤滑油基油。
[0171] また、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は、好ましくは 6. 0〜80m m2Zs、より好ましくは 8. 0〜50mm2Zsである。本実施形態においては、 40°Cにお ける動粘度が下記の範囲にある潤滑油留分を蒸留等により分取し、使用することが 好ましい。
(IV) 40°Cにおける動粘度が 6. 0mm2Zs以上 12mm2Zs未満、より好ましくは 8. 0 〜 12mm2Zsの潤滑油基油
(V) 40°Cにおける動粘度が 12mm2Zs以上 28mm2Zs未満、より好ましくは 13〜 1 9mm2Zsの潤滑油基油
(VI) 40°Cにおける動粘度が 28〜50mm2Zs、より好ましくは 29〜45mm2Zs、特 に好ましくは 30〜40mm2Zsの潤滑油基油。
[0172] 上記潤滑油基油(I)及び (IV)は、 %C 、 %C /%C 、及びヨウ素価がそれぞれ
A P N
上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、特に、 低温粘度特性に優れ、粘性抵抗や撹拌抵抗を著しく低減することができる。また、流 動点降下剤を配合することにより、 40°Cにおける BF粘度を 2000mPa' s以下とす ることができる。なお、 40°Cにおける BF粘度とは、 JPI— 5S— 26— 99に準拠して 測定された粘度を意味する。
[0173] また、上記潤滑油基油(Π)及び (V)は、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素価がそれ
A P N
ぞれ上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、特 に、低温粘度特性、揮発防止性及び潤滑性に優れる。例えば、潤滑油基油 (II)及び (V)においては、 35°Cにおける CCS粘度を 3000mPa' s以下とすることができる。
[0174] また、上記潤滑油基油(III)及び (VI)は、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素価がそ
A P N
れぞれ上記条件を満たすことで、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、 低温粘度特性、揮発防止性、熱'酸化安定性及び潤滑性に優れる。
[0175] 更に、本発明に係る潤滑油基油の動粘度は、冷凍機油が適用される冷凍空調機 器の種類や冷媒の種類に応じて適宜選定することが好ましい。例えば、 HFC冷媒が 使用される冷凍空調機器に本実施形態に係る冷凍機油を適用する場合、本発明に 係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は、耐摩耗性の点から、好ましくは 12mm2 Zs以上、より好ましくは 15mm2Zs以上、更に好ましくは 22mm2Zs以上であり、ま た、撹拌抵抗を低減できる点から、好ましくは 500mm2/s以下、より好ましくは 320 mm2Zs以下、更に好ましくは 220mm2Zs以下、特に好ましくは 150mm2Zs以下 である。
[0176] 炭化水素冷媒としてイソブタンが使用される冷蔵庫に本実施形態に係る冷凍機油 を適用する場合、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は、エネルギー 効率の点から、好ましくは 32mm2Zs以下、より好ましくは 22mm2Zs以下、更に好ま
しくは 12mm2Zs以下であり、また、耐摩耗性の点から、好ましくは 4mm2Zs以上、よ り好ましくは 6mm2Zs以上、更に好ましくは 8mm2Zs以上である。
[0177] また、炭化水素冷媒としてプロパンが使用されるエアーコンディショナーに本実施 形態に係る冷凍機油を適用する場合、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動 粘度は、耐摩耗性の点から、好ましくは 12mm2/s以上、より好ましくは 22mm2Zs 以上、更に好ましくは 32mm2/s以上である。また、撹拌抵抗を低減できる点から、 本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は、好ましくは 450mm2Zs以下、 より好ましくは 320mm2Zs以下、更に好ましくは 220mm2Zs以下、特に好ましくは 1 50mm2Zs以下である。
[0178] また、二酸化炭素冷媒が使用される給湯器に本実施形態に係る冷凍機油を適用 する場合、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は、シール性の点から、 好ましくは 22mm2Zs以上、より好ましくは 32mm2Zs以上、更に好ましくは 40mm2 Zs以上である。また、撹拌抵抗を低減できる点から、本発明に係る潤滑油基油の 40 °Cにおける動粘度は、好ましくは 450mm2Zs以下、より好ましくは 320mm2Zs以下 、更に好ましくは 220mm2Zs以下、特に好ましくは 150mm2Zs以下である。
[0179] 本発明に係る潤滑油基油の粘度指数は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、 例えば、上記潤滑油(I)及び (IV)の粘度指数は、好ましくは 105〜130、より好ましく は 110〜125、さらに好ましくは 120〜125である。また、上記潤滑油基油(Π)及び( V)の粘度指数は、好ましくは 125〜160、より好ましくは 130〜150、更に好ましくは 135〜150である。また、上記潤滑油基油(ΠΙ)及び (VI)の粘度指数は、好ましくは 135〜180、より好ましくは 140〜160である。粘度指数が前記下限値未満であると 、粘度 温度特性及び熱 ·酸化安定性、更には揮発防止性が低下する傾向にある。 また、粘度指数が前記上限値を超えると、低温粘度特性が低下する傾向にある。
[0180] なお、本発明でいう粘度指数とは、 JIS K 2283— 1993に準拠して測定された粘 度指数を意味する。
[0181] また、本発明に係る潤滑油基油の 20°Cにおける屈折率は、潤滑油基油の粘度ダレ ードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の 20°Cにおける屈折率は、 好ましくは 1. 455以下、より好ましくは 1. 453以下、更に好ましくは 1. 451以下であ
る。また、上記潤滑油基油(Π)及び (V)の 20°Cにおける屈折率は、好ましくは 1. 46 0以下、より好ましくは 1. 457以下、更に好ましくは 1. 455以下である。また、上記潤 滑油基油(ΠΙ)及び (VI)の 20°Cにおける屈折率は、好ましくは 1. 465以下、より好ま しくは 1. 463以下、更に好ましくは 1. 460以下である。屈折率が前記上限値を超え ると、その潤滑油基油の粘度 温度特性及び熱,酸ィ匕安定性、更には揮発防止性 及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合さ れた場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
[0182] また、本発明に係る潤滑油基油の流動点は、潤滑油基油の粘度グレードにもよる 力 例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の流動点は、好ましくは— 10°C以下、より 好ましくは 12. 5°C以下、更に好ましくは 15°C以下である。また、上記潤滑油基 油(Π)及び (V)の流動点は、好ましくは— 10°C以下、より好ましくは— 15°C以下、更 に好ましくは 17. 5°C以下である。また、上記潤滑油基油(ΠΙ)及び (VI)の流動点 は、好ましくは— 10°C以下、より好ましくは— 12. 5°C以下、更に好ましくは— 15°C 以下である。流動点が前記上限値を超えると、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体 の低温流動性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう流動点とは、 JIS K 226 9 1987に準拠して測定された流動点を意味する。
[0183] また、本発明に係る潤滑油基油の 35°Cにおける CCS粘度は、潤滑油基油の粘 度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の 35°Cにおける CC S粘度は、好ましくは lOOOmPa' s以下である。また、上記潤滑油基油(Π)及び (V) の一 35°Cにおける CCS粘度は、好ましくは 3000mPa' s以下、より好ましくは 2400 mPa' s以下、更に好ましくは 2000mPa' s以下である。また、上記潤滑油基油(III) 及び (VI)の— 35°Cにおける CCS粘度は、好ましくは 15000mPa' s以下、より好まし くは lOOOOmPa · s以下である。 35°Cにおける CCS粘度が前記上限値を超えると 、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向にある。なお、 本発明でいう一 35°Cにおける CCS粘度とは、 JIS K 2010— 1993に準拠して測 定された粘度を意味する。
[0184] また、本発明に係る潤滑油基油の 15°Cにおける密度 、単位: gZcm3)は、潤
15
滑油基油の粘度グレードによる力 下記式(1)で表される の値以下であること、す
なわち p ≤ pであることが好まし!、。
15
p =0. 0025 X kvlOO + 0. 820 (1)
[式中、 kvlOOは潤滑油基油の 100°Cにおける動粘度 (mm2Zs)を示す。 ]
[0185] なお、 p となる場合、粘度 温度特性及び熱 ·酸化安定性、更には揮発防
15
止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合さ れた場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
[0186] 例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の p は、好ましくは 0. 825gZcm3以下、
15
より好ましくは 0. 820gZcm3以下である。また、上記潤滑油基油(Π)及び (V)の p
15 は、好ましくは 0. 835gZcm3以下、より好ましくは 0. 830gZcm3以下である。また、 上記潤滑油基油(III)及び (VI)の p は、好ましくは 0. 840gZcm3以下、より好まし
15
くは 0. 835gZcm3以下である。
[0187] なお、本発明でいう 15°Cにおける密度とは、 JIS K 2249— 1995に準拠して 15
°Cにお!/、て測定された密度を意味する。
[0188] また、本発明に係る潤滑油基油のァニリン点 (AP (°C) )は、潤滑油基油の粘度ダレ ードによるが、下記式(2)で表される Aの値以上であること、すなわち AP≥ Aであるこ とが好ましい。
A=4. l X kvlOO + 97 (2)
[式中、 kvlOOは潤滑油基油の 100°Cにおける動粘度 (mm2Zs)を示す。 ]
[0189] なお、 AP<Aとなる場合、粘度 温度特性及び熱 ·酸化安定性、更には揮発防止 性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合され た場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
[0190] 例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の APは、好ましくは 108°C以上、より好まし くは 110°C以上、更に好ましくは 112°C以上である。また、上記潤滑油基油(Π)及び (V)の APは、好ましくは 113°C以上、より好ましくは 116°C以上、更に好ましくは 118 °C以上、特に好ましくは 120°C以上である。また、上記潤滑油基油(III)及び (VI)の APは、好ましくは 125°C以上、より好ましくは 127°C以上、更に好ましくは 128°C以 上である。なお、本発明でいうァ-リン点とは、 JIS K 2256— 1985に準拠して測 定されたァ-リン点を意味する。
[0191] また、本発明に係る潤滑油基油の NOACK蒸発量は、特に制限されないが、例え ば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の NO ACK蒸発量は、好ましくは 20質量%以上、 より好ましくは 25質量%以上、更に好ましくは 30以上であり、また、好ましくは 50質量 %以下、より好ましくは 45質量%以下、更に好ましくは 42質量%以下である。また、 上記潤滑油基油(Π)及び (V)の NOACK蒸発量は、好ましくは 6質量%以上、より 好ましくは 8質量%以上、更に好ましくは 10質量%以上であり、また、好ましくは 20質 量%以下、より好ましくは 16質量%以下、更に好ましくは 15質量%以下、特に好まし くは 14質量%以下である。また、上記潤滑油基油(III)及び (VI)の NOACK蒸発量 は、好ましくは 1質量%以上、より好ましくは 2質量%以上であり、また、好ましくは 8質 量%以下、より好ましくは 6質量%以下、更に好ましくは 4質量%以下である。 NOAC K蒸発量が前記下限値の場合、低温粘度特性の改善が困難となる傾向にある。また 、 NOACK蒸発量がそれぞれ前記上限値を超えると、潤滑油基油を内燃機関用潤 滑油等に用いた場合に、潤滑油の蒸発損失量が多くなり、それに伴い触媒被毒が促 進されるため好ましくない。なお、本発明でいう NOACK蒸発量とは、 ASTM D 5 800— 95に準拠して測定された蒸発損失量を意味する。
[0192] また、本発明に係る潤滑油基油の蒸留性状は、ガスクロマトグラフィ蒸留で、初留点
(IBP)力 290〜440°C、終点(FBP)が 430〜580°Cであることが好ましぐかかる蒸 留範囲にある留分力 選ばれる 1種又は 2種以上の留分を精留することにより、上述 した好まし 、粘度範囲を有する潤滑油基油(I)〜 (ΠΙ)及び (IV)〜 (VI)を得ることが できる。
[0193] 例えば、上記潤滑油基油(I)及び (IV)の蒸留性状に関し、その初留点 (IBP)は、 好ましくは 260〜360。C、より好ましくは 300〜350。C、更に好ましくは310〜350で である。また、 10%留出温度 (T10)は、好ましくは 320〜400°C、より好ましくは 340 〜390°C、更に好ましくは 350〜380°Cである。また、 50%留出点(T50)は、好まし くは 350〜430。C、より好ましくは 360〜410。C、更に好ましくは 370〜400。Cである oまた、 90%留出点(T90)は、好ましくは 380〜460。C、より好ましくは 390〜450。C 、更に好ましくは 400〜440°Cである。また、終点(FBP)は、好ましくは 420〜520°C 、より好ましくは 430〜500。C、更に好ましくは 440〜480。Cである。また、 T90— T1
0は、好ましくは 50〜100°C、より好ましくは 55〜85°C、更に好ましくは 60〜70°Cで ある。また、 FBP— IBPは、好ましくは 100〜250°C、より好ましくは 110〜220°C、更 に好ましくは 120〜200°Cである。また、 T10— IBPは、好ましくは 10〜80°C、より好 ましくは 15〜60°C、更に好ましくは 20〜50°Cである。また、 FBP— T90は、好ましく は 10〜80°C、より好ましくは 15〜70°C、更に好ましくは 20〜60°Cである。
[0194] また、上記潤滑油基油 (Π)及び (V)の蒸留性状に関し、その初留点 (IBP)は、好 ましくは 300〜380。C、より好ましくは 320〜370。C、更に好ましくは 330〜360。Cで ある。また、 10%留出温度 (T10)は、好ましくは 340〜420°C、より好ましくは 350〜 410°C、更に好ましくは 360〜400°Cである。また、 50%留出点(T50)は、好ましく は 380〜460。C、より好ましくは 390〜450。C、更に好ましくは 400〜460。Cである。 また、 90%留出点(T90)は、好ましくは 440〜500°C、より好ましくは 450〜490°C、 更に好ましくは 460〜480°Cである。また、終点(FBP)は、好ましくは 460〜540°C、 より好ましくは 470〜530。C、更に好ましくは 480〜520。Cである。また、 T90— T10 は、好ましくは 50〜100°C、より好ましくは 60〜95°C、更に好ましくは 80〜90°Cであ る。また、 FBP—IBPは、好ましくは 100〜250°C、より好ましくは 120〜180°C、更に 好ましくは 130〜160°Cである。また、 T10— IBPは、好ましくは 10〜70°C、より好ま しくは 15〜60°C、更に好ましくは 20〜50°Cである。また、 FBP— T90は、好ましくは 10〜50°C、より好ましくは 20〜40°C、更に好ましくは 25〜35°Cである。
[0195] また、上記潤滑油基油 (III)及び (VI)の蒸留性状に関し、その初留点 (IBP)は、好 ましくは 320〜480。C、より好ましくは 350〜460。C、更に好ましくは 380〜440。Cで ある。また、 10%留出温度 (T10)は、好ましくは 420〜500°C、より好ましくは 430〜 480°C、更に好ましくは 440〜460°Cである。また、 50%留出点(T50)は、好ましく は 440〜520。C、より好ましくは 450〜510。C、更に好ましくは 460〜490。Cである。 また、 90%留出点(T90)は、好ましくは 470〜550°C、より好ましくは 480〜540°C、 更に好ましくは 490〜520°Cである。また、終点(FBP)は、好ましくは 500〜580°C、 より好ましくは 510〜570。C、更に好ましくは 520〜560。Cである。また、 T90— T10 は、好ましくは 50〜120°C、より好ましくは 55〜100°C、更に好ましくは 55〜90°Cで ある。また、 FBP— IBPは、好ましくは 100〜250°C、より好ましくは 110〜220°C、更
に好ましくは 115〜200°Cである。また、 TIO— IBPは、好ましくは 10〜100°C、より 好ましくは 15〜90°C、更に好ましくは 20〜50°Cである。また、 FBP— T90は、好まし くは 10〜50°C、より好ましくは 20〜40°C、更に好ましくは 25〜35°Cである。
[0196] 潤滑油基油(I)〜(VI)のそれぞれにお!/、て、 IBP、 T10、 T50、 T90、 FBP、 Τ90
-TIO, FBP -IBP, TIO— IBP、 FBP— T90を上記の好ましい範囲に設定するこ とで、低温粘度の更なる改善と、蒸発損失の更なる低減とが可能となる。なお、 T90 — T10、 FBP -IBP, TIO— IBP及び FBP— T90のそれぞれについては、それらの 蒸留範囲を狭くしすぎると、潤滑油基油の収率が悪化し、経済性の点で好ましくない
[0197] なぉ、本発明でぃぅ、IBP、T10、T50、T90及びFBPとは、それぞれASTM D 2887— 97に準拠して測定される留出点を意味する。
[0198] また、本発明に係る潤滑油基油における残存金属分は、製造プロセス上余儀なく 混入する触媒や原料に含まれる金属分に由来するものであるが、かかる残存金属分 は十分除去されることが好ましい。例えば、 Al、 Mo、 Niの含有量は、それぞれ 1質量 ppm以下であることが好ま 、。これらの金属分の含有量が上記上限値を超えると、 潤滑油基油に配合される添加剤の機能が阻害される傾向にある。
[0199] なお、本発明でいう残存金属分とは、 JPI— 5S— 38— 2003に準拠して測定される 金属分を意味する。
[0200] また、本発明に係る潤滑油基油によれば、 %C 、 %C /%C、及びヨウ素価がそ
A P N
れぞれ上記条件を満たすことにより、優れた熱'酸化安定性を達成することができる 力 その動粘度に応じて以下に示す RBOT寿命を示すことが好ましい。例えば、上 記潤滑油基油(I)及び (IV)の RBOT寿命は、好ましくは 300min以上、より好ましく は 320min以上、更に好ましくは 330min以上である。また、上記潤滑油基油(Π)及 び (V)の RBOT寿命は、好ましくは 350min以上、より好ましくは 370min以上、更に 好ましくは 380min以上である。また、上記潤滑油基油(III)及び (VI)の RBOT寿命 は、好ましくは 400min以上、より好ましくは 410min以上、更に好ましくは 420min以 上である。 RBOT寿命がそれぞれ前記下限値未満の場合、潤滑油基油の粘度 温 度特性及び熱'酸化安定性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配
合された場合には当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
[0201] なお、本発明でいう RBOT寿命とは、潤滑油基油にフエノール系酸ィ匕防止剤(2, 6 —ジ— tert -ブチル p タレゾール; DBPC)を 0. 2質量0 /0添カ卩した組成物につい て、 JIS K 2514— 1996に準拠して測定された RBOT値を意味する。
[0202] 本実施形態に係る冷凍機油にお!/ヽては、上記本発明に係る潤滑油基油を単独で 用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又は 2種以上と併用 してもよい。なお、本発明に係る潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの 混合基油中に占める本発明に係る潤滑油基油の割合は、 30質量%以上であること が好ましぐ 50質量%以上であることがより好ましぐ 70質量%以上であることが更に 好ましい。
[0203] 本発明に係る潤滑油基油と併用される他の基油としては、特に制限されないが、鉱 油系基油としては、例えば 100°Cにおける動粘度が 1〜: L00mm2Zsの溶剤精製鉱 油、水素化分解鉱油、水素化精製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる。
[0204] また、合成系基油としては、ポリ aーォレフイン又はその水素化物、イソブテンオリゴ マー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジ エステル(ジトリデシルグルタレート、ジ一 2—ェチルへキシルアジペート、ジイソデシ ルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジー2—ェチルへキシルセバケート等)、ポリ ォーノレエステル(ネオペンチルグリコール、トリメチローノレエタン、トリメチロールプロパ ン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール 力 選ばれる少なくとも 1種と、吉草酸、カプロン酸、ェナント酸、力プリル酸、ペラル ゴン酸、力プリン酸、ォレイン酸、イソペンタン酸、 2—メチルへキサン酸、 2—ェチル ペンタン酸、 2 ェチルへキサン酸、 3, 5, 5 トリメチルへキサン酸等の脂肪酸から 選ばれる少なくとも 1種とのモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル等 、及びこれらの 2種以上の混合物)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビュルエー テル、ジアルキルジフエ-ルエーテル、ポリフエ-ルエーテル等が挙げられ、中でも、 ポリ —ォレフインが好ましい。ポリ —ォレフインとしては、典型的には、炭素数 2〜 32、好ましくは 6〜16の α—ォレフインのオリゴマー又はコオリゴマー(1—オタテン オリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水
素化物が挙げられる。
[0205] ポリ aーォレフインの製法は特に制限されないが、例えば、三塩ィ匕アルミニウム又 は三フッ化ホウ素と、水、アルコール(エタノール、プロパノール、ブタノール等)、カル ボン酸またはエステルとの錯体を含むフリーデル 'クラフツ触媒のような重合触媒の 存在下、 OC一才レフインを重合する方法が挙げられる。
[0206] 本実施形態に係る冷凍機油は、上記の潤滑油基油のみ力もなるものであってもよ いが、その各種性能を一層向上させるために、以下に示す各種添加剤を更に含有 することができる。
[0207] 本実施形態に係る冷凍機油は、耐摩耗性を一層向上できる点から、リン系極圧剤 を更に含有することが好ましい。リン系極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸ェ ステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホ スフォロチォネートなどが挙げられる。
[0208] 上記リン系極圧剤のうち、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル のァミン塩、塩素化リン酸エステル及び亜リン酸エステルは、リン酸又は亜リン酸とァ ルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
[0209] リン酸エステルとしては、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチ ノレホスフェート、トリへキシノレホスフェート、トリへプチノレホスフェート、トリオクチノレホス フェート、トリノ-ルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリゥンデシルホスフェート、ト リドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリべ ンタデシルホスフェート、トリへキサデシルホスフェート、トリへプタデシルホスフェート 、トリオクタデシルホスフェート、トリオレィルホスフェート、トリフエ-ルホスフェート、トリ クレジノレホスフェート、トリキシレニノレホスフェート、クレジルジフエ二ノレホスフェート、キ シレニルジフエ-ルホスフェート等が挙げられる。
[0210] 酸性リン酸エステルとしては、モノプロピルアシッドホスフェート、モノブチルアシッド ホスフェート、モノペンチノレアシッドホスフェート、モノへキシノレアシッドホスフェート、 モノへプチルアシッドホスフェート、モノォクチルアシッドホスフェート、モノノ-ルァシ ッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート 、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデ
シルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノへキサデシル アシッドホスフェート、モノへプタデシルアシッドホスフェート、モノォクタデシルァシッ ドホスフェート、モノォレイルアシッドホスフェート等のリン酸モノアルキルエステル、ジ ブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジへキシルアシッドホス フェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジォクチルアシッドホスフェート、ジノ-ル アシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジゥンデシルアシッドホスフエ一 ト、ジドデシノレアシッドホスフェート、ジトリデシノレアシッドホスフェート、ジテトラデシノレ アシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジへキサデシルアシッドホ スフエート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジォクタデシルアシッドホスフェート 、ジォレイルアシッドホスフェート等のリン酸ジアルキルエステル及びリン酸ジ(アルキ ル)ァリールエステル等が挙げられる。
[0211] 酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルァミン、ェ チルァミン、プロピルァミン、ブチルァミン、ペンチルァミン、へキシルァミン、へプチ ルァミン、ォクチルァミン、ジメチルァミン、ジェチルァミン、ジプロピルァミン、ジブチ ルァミン、ジペンチルァミン、ジへキシルァミン、ジヘプチルァミン、ジォクチルァミン、 トリメチルァミン、トリエチルァミン、トリプロピルァミン、トリブチルァミン、トリペンチルァ ミン、トリへキシルァミン、トリへプチルァミン、トリオクチルァミン等のァミンとの塩等が 挙げられる。
[0212] 塩素化リン酸エステルとしては、トリス 'ジクロ口プロピルホスフェート、トリス'クロロェ チノレホスフェート、トリス 'クロ口フエ-ノレホスフェート、ポリオキシァノレキレン'ビス [ジ( クロ口アルキル)]ホスフェート等が挙げられる。
[0213] 亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスフアイト、ジへキシ ルホスフアイト、ジヘプチルホスフアイト、ジォクチルホスフアイト、ジノ-ルホスファイト 、ジデシルホスファイト、ジゥンデシルホスフアイト、ジドデシルホスフアイト、ジォレイル ホスファイト、ジフエ-ルホスフアイト、ジクレジルホスフアイト、トリブチルホスファイト、ト リペンチルホスフアイト、トリへキシルホスファイト、トリへプチルホスフアイト、トリオクチ ルホスフアイト、トリノ-ルホスフアイト、トリデシルホスフアイト、トリゥンデシルホスフアイ ト、トリドデシルホスフアイト、トリオレィルホスファイト、トリフエ-ルホスフアイト、トリタレ
ジルホスファイト等、が挙げられる。
[0214] ホスフォロチォネートとしては、下記一般式 (4)で表される化合物が好ま 、。
[化 1]
(4)
[式中、
同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜24の炭化 水素基を示す。 ]
[0215] !^〜 で示される炭素数 1〜24の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基 、シクロアルキル基、ァルケ-ル基、アルキルシクロアルキル基、ァリール基、アルキ ルァリール基、ァリールアルキル基等が挙げられる。
[0216] アルキル基としては、例えばメチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル 基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデ シル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデ シル基、ォクタデシル基等のアルキル基 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも よい)が挙げられる。
[0217] シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへ プチル基等の炭素数 5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキ ルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペン チル基、メチルェチルシクロペンチル基、ジェチルシクロペンチル基、メチルシクロへ キシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルェチルシクロへキシル基、ジェチルシク 口へキシル基、メチルシクロへプチル基、ジメチルシクロへプチル基、メチルェチルシ クロへプチル基、ジェチルシクロへプチル基等の炭素数 6〜11のアルキルシクロア ルキル基 (アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる
[0218] アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基、ヘプテ ニル基、オタテニル基、ノネニル基、デセニル基、ゥンデセニル基、ドデセニル基、トリ
デセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、へキサデセニル基、ヘプタデセ -ル基、ォクタデセ -ル基等のアルケニル基 (これらァルケ-ル基は直鎖状でも分枝 状でもよぐまた二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
[0219] ァリール基としては、例えば、フエニル基、ナフチル基等のァリール基を挙げること ができる。また上記アルキルァリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、ェチ ルフエ-ル基、プロピルフエ-ル基、ブチルフエ-ル基、ペンチルフエ-ル基、へキシ ルフエ-ル基、ヘプチルフエ-ル基、ォクチルフエ-ル基、ノ-ルフエ-ル基、デシル フエ-ル基、ゥンデシルフヱ-ル基、ドデシルフヱ-ル基等の炭素数 7〜 18のアルキ ルァリール基 (アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよぐまたァリール基への置換位 置も任意である)が挙げられる。
[0220] ァリールアルキル基としては、例えばべンジル基、フエ-ルェチル基、フエ-ルプロ ピル基、フエ-ルブチル基、フエ-ルペンチル基、フエ-ルへキシル基等の炭素数 7 〜 12のァリールアルキル基 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ 、)が挙げ られる。
[0221] 上記 R3〜R5で示される炭素数 1〜24の炭化水素基は、アルキル基、ァリール基、 アルキルァリール基であることが好ましぐ炭素数 4〜18のアルキル基、炭素数 7〜2 4のアルキルァリール基、フエ-ル基がより好まし!/、。
[0222] 一般式 (4)で表されるホスフォロチォネートとしては、具体的には、トリブチルホスフ ォロチォネート、トリペンチルホスフォロチォネート、トリへキシルホスフォロチォネート 、トリへプチルホスフォロチォネート、トリオクチルホスフォロチォネート、トリノ-ルホス フォロチォネート、トリデシルホスフォロチォネート、トリゥンデシルホスフォロチォネー ト、トリドデシルホスフォロチォネート、トリトリデシルホスフォロチォネート、トリテトラデ シルホスフォロチォネート、トリペンタデシルホスフォロチォネート、トリへキサデシルホ スフォロチォネート、トリへプタデシルホスフォロチォネート、トリオクタデシルホスフォ ロチォネート、トリオレィルホスフォロチォネート、トリフヱ-ルホスフォロチォネート、トリ クレジルホスフォロチォネート、トリキシレ-ルホスフォロチォネート、クレジルジフエ- ルホスフォロチォネート、キシレニルジフエ-ルホスフォロチォネート、トリス(n—プロ ピルフエ-ル)ホスフォロチォネート、トリス(イソプロピルフエ-ル)ホスフォロチォネー
ト、トリス(n ブチルフエ-ル)ホスフォロチォネート、トリス(イソブチルフエ-ル)ホス フォロチォネート、トリス(s ブチルフエ-ル)ホスフォロチォネート、トリス(t ブチル フエニル)ホスフォロチォネート等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる
[0223] 上記のリン系極圧剤は、 1種を単独で用いてもよぐあるいは 2種以上を組み合わせ て用いてもよいが、ホスフォロチォネートと該ホスフォロチォネート以外のリン系極圧 剤とを組み合わせて用いると、本実施形態に係る冷凍機油の潤滑性を一層向上させ ることがでさる。
[0224] 本実施形態に係る冷凍機油におけるリン系極圧剤の含有量は特に制限されないが 、冷凍機油全量を基準として、 0. 01質量%以上が好ましぐ 0. 1質量%以上がより 好ましい。リン系極圧剤の含有量が 0. 01質量%未満の場合、リン系極圧剤の使用 による潤滑性向上効果が不十分となる傾向にある。また、リン系極圧剤の含有量は、 冷凍機油全量を基準として、 5質量%以下が好ましぐ 3質量%以下がより好ましぐ 1 質量%以下が更に好ましい。リン系極圧剤の含有量が 5質量%を超えても、含有量 に見合う潤滑性向上効果が得られない傾向にあり、また、冷凍機油の安定性が損な われるおそれがある。
[0225] また、本実施形態に係る冷凍機油は、油性剤を更に含有してもよ 、。かかる油性剤 としては、アルコール油性剤、カルボン酸油性剤、エステル油性剤などが挙げられる 。なお、油性剤については第 3実施形態の説明において詳述する。
[0226] 本実施形態に係る冷凍機油においては、油性剤として、アルコール油性剤、カル ボン酸油性剤及びエステル油性剤のうちの 1種を単独で用いてもよぐ又、 2種以上 を組み合わせて用いてもょ 、。
[0227] 油性剤の含有量は任意であるが、耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果に優れる点 から、合計組成物全量を基準として、好ましくは 0. 01質量%以上、より好ましくは 0. 05質量%以上、さらに好ましくは 0. 1質量%以上である。また、当該含有量は、冷媒 雰囲気下及び低温下での析出防止性、並びに冷凍機油の熱 ·酸ィヒ安定性により優 れる点から、組成物全量を基準として、好ましくは 10質量%以下、より好ましくは 7. 5 質量%以下、さらに好ましくは 5質量%以下である。
[0228] また、本実施形態に係る冷凍機油は、エポキシィ匕合物を更に含有してもよ!/、。ェポ キシィ匕合物を冷凍機油に含有せしめることにより、冷凍機油の安定性を向上すること ができる。
[0229] エポキシ化合物としては、フエ-ルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、アルキ ルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、ァ リルォキシランィ匕合物、アルキルォキシランィ匕合物、脂環式エポキシィ匕合物、ェポキ シ化脂肪酸モノエステル及びエポキシ化植物油カゝら選ばれる少なくとも 1種のェポキ シ化合物を用いることが好まし 、。
[0230] フエ-ルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フエ-ルグリ シジルエーテル又はアルキルフエ-ルグリシジルエーテルが例示できる。ここで 、う アルキルフエ-ルグリシジルエーテルとは、炭素数 1〜13のアルキル基を 1〜3個有 するものが挙げられ、中でも炭素数 4〜10のアルキル基を 1個有するもの、例えば n ブチルフエ-ルグリシジルエーテル、 i—ブチルフエ-ルグリシジルエーテル、 sec ブチルフエニルダリシジルエーテル、 tert ブチルフエニルダリシジルエーテル、 ペンチルフエ-ルグリシジルエーテル、へキシルフエ-ルグリシジルエーテル、ヘプ チルフエ-ルグリシジルエーテル、ォクチルフエ-ルグリシジルエーテル、ノニルフエ ニルダリシジルエーテル、デシルフエ-ルグリシジルエーテル等が好まし!/、ものとして 例示できる。
[0231] アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリ シジルエーテル、ゥンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリ デシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、 2—ェチルへキシルグ リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ パントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、 1, 6 へ キサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリア ルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルェ 一テル等が例示できる。
[0232] グリシジルエステル型エポキシィ匕合物としては、具体的には下記一般式(5)で表さ れる化合物が挙げられる。
[化 2]
[式中、 R4は炭素数 1〜1Sの炭化水素基を示す。 ]
[0233] 上記式 (5)中、 R4で示される炭素数 1〜18の炭化水素基としては、炭素数 1〜18 のアルキル基、炭素数 2〜18のァルケ-ル基、炭素数 5〜7のシクロアルキル基、炭 素数 6〜 18のアルキルシクロアルキル基、炭素数 6〜 10のァリール基、炭素数 7〜1 8のアルキルァリール基、炭素数 7〜18のァリールアルキル基等が挙げられる。この 中でも、炭素数 5〜 15のアルキル基、炭素数 2〜 15のァルケ-ル基、フエ-ル基及 び炭素数 1〜4のアルキル基を有するアルキルフエ-ル基が好ましい。
[0234] グリシジルエステル型エポキシ化合物の中でも、好まし!/ヽものとしては、具体的には 例えば、グリシジルー 2, 2—ジメチルォクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシ ジルー tert—ブチルベンゾエート、グリシジルアタリレート、グリシジルメタタリレート等 が例示できる。
[0235] ァリルォキシラン化合物としては、具体的には、 1, 2—エポキシスチレン、アルキル —1, 2—エポキシスチレン等が例示できる。
[0236] アルキルォキシラン化合物としては、具体的には、 1, 2—エポキシブタン、 1, 2— エポキシペンタン、 1, 2—エポキシへキサン、 1, 2—エポキシヘプタン、 1, 2—ェポ キシオクタン、 1, 2—エポキシノナン、 1, 2—エポキシデカン、 1, 2—エポキシゥンデ カン、 1, 2—エポキシドデカン、 1, 2—エポキシトリデカン、 1, 2—エポキシテトラデカ ン、 1, 2—エポキシペンタデカン、 1, 2—エポキシへキサデカン、 1, 2—エポキシへ プタデカン、 1, 1, 2—エポキシォクタデカン、 2—エポキシノナデカン、 1, 2—ェポキ シィコサン等が例示できる。
[0237] 脂環式エポキシィ匕合物としては、下記一般式 (6)で表される化合物のように、ェポ キシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している化合物が挙げられる。
[化 3]
[0238] 脂環式エポキシィ匕合物としては、具体的には、 1, 2 エポキシシクロへキサン、 1, 2 エポキシシクロペンタン、 3, 4 エポキシシクロへキシルメチルー 3, 4 エポキシ シクロへキサンカルボキシレート、ビス(3, 4—エポキシシクロへキシルメチル)アジべ ート、ェキソ 2, 3 エポキシノルボルナン、ビス(3, 4 エポキシー6—メチルシクロ へキシルメチル)アジペート、 2—(7—ォキサビシクロ [4. 1. 0]ヘプトー 3 ィル) スピロ(1, 3 ジォキサン 5, 3,一 [7]ォキサビシクロ [4. 1. 0]ヘプタン、 4ー(1, メチルエポキシェチル) 1, 2 エポキシ 2—メチルシクロへキサン、 4 ェポキ シェチル— 1, 2—エポキシシクロへキサン等が例示できる。
[0239] エポキシィ匕脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシィ匕された炭素数 12 〜20の脂肪酸と炭素数 1〜8のアルコール又はフエノール、アルキルフエノールとの エステル等が例示できる。特にエポキシステアリン酸のプチル、へキシル、ベンジル、 シクロへキシル、メトキシェチル、ォクチル、フエニル及びブチルフエニルエステルが 好ましく用いられる。
[0240] エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマ二油、綿実油等の植物油の エポキシィ匕合物等が例示できる。
[0241] これらのエポキシィ匕合物の中でも、より熱 ·酸ィ匕安定性を向上させることができること から、フエ-ルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ 化合物、脂環式エポキシィ匕合物、エポキシィ匕脂肪酸モノエステルが好ましぐグリシ ジルエステル型エポキシィ匕合物、脂環式エポキシィ匕合物がより好まし ヽ。
[0242] 本実施形態においては、上記のエポキシ化合物のうちの 1種を単独で用いてもよく 、あるいは 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0243] 上記のエポキシ化合物を本実施形態に係る冷凍機油に含有させる場合、その含有 量は特に制限されないが、冷凍機油全量を基準として、 0. 01質量%以上が好ましく 、 0. 1質量%以上がより好ましい。エポキシ化合物の含有量が 0. 01質量%未満の 場合、冷凍機油の熱 ·酸ィ匕安定性向上効果が不十分となる傾向にある。また、ェポキ シ化合物の含有量は、冷凍機油全量を基準として、 5質量%以下が好ましぐ 3質量 %以下がより好ましぐ 1質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物の含有量が 5 質量%を超えると、冷凍機油の吸湿性が高められて冷凍システム内に水分が混入し
やすくなり、エポキシィ匕合物の使用による安定性向上効果が有効に発揮されない傾 向にある。
[0244] さらに、本実施形態に係る冷凍機油において、その性能をさらに高めるため、必要 に応じて、ジ一 tert—ブチル p クレゾール、ビスフエノール A等のフエノール系の 酸化防止剤、フエ-ルー a—ナフチルァミン、 N, N ジ(2—ナフチル) p フエ- レンジァミン等のアミン系の酸ィ匕防止剤、ジチォリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、塩素化 パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、 粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、又は数種類組 み合わせて含有させることも可能である。これらの添加剤の含有量は特に制限されな いが、それらの含有量の合計は、冷凍機油全量基準で、 10質量%以下が好ましぐ 5質量%以下がより好まし 、。
[0245] 本実施形態に係る冷凍機油の体積抵抗率は特に限定されないが、 1. 0 Χ 109 Ω · cm以上であることが好ましい。特に、密閉型冷凍機に用いる場合には高い電気絶縁 性が必要となる傾向にある。なお、ここでいう体積抵抗率とは、 JIS C 2101「電気 絶縁油試験方法」に準拠して測定した 25°Cでの値 [ Ω ' cm]を意味する。
[0246] さらに、本実施形態に係る冷凍機油の水分含有量は特に限定されないが、冷凍機 油全量基準で好ましくは 200ppm以下、より好ましくは lOOppm以下、最も好ましくは 50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、冷凍機 油の熱 ·酸化安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少な!、ことが 求められる。
[0247] さらにまた、本実施形態に係る冷凍機油の酸価は特に限定されないが、冷凍空調 機器又は配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは 0. 5mgK OHZg以下、より好ましくは 0. 3mgKOHZg以下、更に好ましくは 0. lmgKOH/ g以下、特に好ましくは 0. 05mgKOHZg以下とすることができる。なお、ここでいう 酸価とは、 JIS K 2501「石油製品及び潤滑油 中和価試験方法」に準拠して測 定した値 [mgKOHZg]を意味する。
[0248] さらにまた、本実施形態に係る冷凍機油の灰分は特に限定されないが、本実施形 態に係る冷凍機油の熱'加水分解安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、
好ましくは lOOppm以下、より好ましくは 50ppm以下とすることができる。なお、本発 明において、灰分とは、 JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分 試験方法」に準拠して測定した値 [ppm]を意味する。
[0249] 上記構成を有する本実施形態に係る冷凍機油は、冷媒の存在下で優れた耐摩耗 性及び摩擦特性を発揮し、冷凍空調機器の長期信頼性の向上及び省エネルギー化 の双方を実現可能とするものである。ここで、本実施形態に係る冷凍機油と共に使用 される冷媒は、 HFC冷媒、パーフルォロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、 ジメチルエーテル等の非フッ素含有エーテル系冷媒及び二酸化炭素や炭化水素等 の自然系冷媒と共に好適に使用される。これらの冷媒は、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上の混合物として用いてもょ 、。
[0250] HFC冷媒としては、炭素数 1〜3、好ましくは 1〜2のハイド口フルォロカーボンが挙 げられる。具体的には例えば、ジフルォロメタン(HFC— 32)、トリフルォロメタン(HF C— 23)、ペンタフルォロェタン(HFC— 125)、 1, 1, 2, 2—テトラフルォロェタン( HFC— 134)、 1, 1, 1, 2—テトラフルォロェタン(HFC— 134a)、 1, 1, 1—トリフル ォロェタン(HFC— 143a)、 1, 1—ジフルォロェタン(HFC— 152a)等の HFC、又 はこれらの 2種以上の混合物等が挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応 じて適宜選択される力 例えば HFC— 32単独; HFC— 23単独; HFC— 134a単独 ; HFC 125単独; HFC 134a/HFC -32 = 60〜80質量%Z40〜20質量0 /0 の混合物; HFC— 32ZHFC— 125=40〜70質量%Z60〜30質量%の混合物; HFC 125/HFC 143a = 40〜60質量%Z60〜40質量%の混合物; HFC— 134a/HFC 32/HFC—125 = 60質量%Z30質量%Z 10質量%の混合物; HFC 134a/HFC 32/HFC— 125= 40〜70質量%Z 15〜35質量%Z5 〜40質量0 /0の混合物; HFC— 125ZHFC— 134aZHFC— 143a = 35〜55質量 %Zl〜15質量%Z40〜60質量%の混合物等が好ましい例として挙げられる。さら に具体的には、 11 じー134&711 じー32 = 70730質量%の混合物;11 じー32 /HFC - 125 = 60Z40質量0 /0の混合物; HFC - 32/HFC—125 = 50Z50質 量0 /0の混合物(R410A); HFC— 32ZHFC— 125=45Z55質量%の混合物(R4 10B); HFC— 125ZHFC— 143a = 50Z50質量0 /0の混合物(R507C); HFC—
32/HFC— 125/HFC— 134a=30/10/60質量0 /0の混合物; HFC— 32/H FC— 125ZHFC— 134a=23Z25Z52質量0 /0の混合物 (R407C); HFC— 32 7^1 じー125711 じー134&=25715760質量%の混合物(R407E); HFC— 125ZHFC— 134aZHFC— 143a=44Z4Z52質量0 /0の混合物(R404A)等が 挙げられる。
[0251] また、自然系冷媒としては、炭化水素冷媒、二酸化炭素冷媒、アンモニア等が挙げ られる。炭化水素冷媒としては、 25°C、 1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具 体的には炭素数 1〜5、好ましくは 1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこ れらの混合物である。具体的には、メタン、エチレン、ェタン、プロピレン、プロパン、 シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの 2種以上の混合物等が挙げられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又 はこれらの混合物が好ま 、。
[0252] 本実施形態に係る冷凍機油は、通常、冷凍機 (例えば、冷凍空調機器)中におい ては上述したような冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在して!/、る。この 流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒 10 0質量部に対して冷凍機油が好ましくは 1〜500質量部、より好ましくは 2〜400質量 部である。
[0253] 本実施形態に係る冷凍機油は、潤滑性、冷媒相溶性、低温流動性、安定性などの 要求性能全てをバランスよく十分に満足させるものであり、往復動式あるいは回転式 の開放型や半密閉型又は密閉型圧縮機を有する冷凍機あるいはヒートポンプなどに 好適に使用することができる。特に、鉛含有軸受を用いた冷凍機に用いた場合には 、鉛含有軸受力 の鉛の溶出の抑制と熱'ィ匕学的安定性との双方を高水準で両立す ることが可能となる。力かる冷凍機器として、より具体的には、自動車用エアコン、除 湿器、冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラントなどの冷却 装置、住宅用エアコン、ノ ッケージエアコン、給湯用ヒートポンプ等が挙げられる。さ らに、本実施形態に係る冷凍機油は、往復動式、回転式、遠心式等のいずれの形式 の圧縮機にも使用可能である。
[0254] 本実施形態に係る冷凍機油を好適に用いることのできる冷媒循環システムの構成
としては、代表的には、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器がこの順でそれぞ れ流路を介して接続されており、必要に応じて該流路中に乾燥器を具備するものが 例示される。
[0255] 冷媒圧縮機としては、冷凍機油を貯留する密閉容器内に回転子と固定子力もなる モータと、回転子に嵌着された回転軸と、回転軸受 (鉛含有軸受)と、回転軸を介して モータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐出された高圧冷媒ガスが 密閉容器内に滞留する高圧容器方式の圧縮機、冷凍機油を貯留する密閉容器内に 回転子と固定子からなるモータと、回転子に嵌着された回転軸と、回転軸受 (鉛含有 軸受)と、回転軸を介してモータに連結された圧縮機部とを収納し、圧縮機部より吐 出された高圧冷媒ガスが密閉容器外へ直接排出される低圧容器方式の圧縮機、等 が例示される。
[0256] モータ部の電機絶縁システム材料である絶縁フィルムとしては、ガラス転移点 50°C 以上の結晶性プラスチックフィルム、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリプチ レンテレフタレート、ポリフエ-レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ チレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド群カも選ばれる少なくとも一種の絶縁フ イルム、あるいはガラス転移温度の低 、フィルム上にガラス転移温度の高 、榭脂層を 被覆した複合フィルムが、引っ張り強度特性、電気絶縁特性の劣化現象が生じにくく 、好ましく用いられる。また、モータ部に使用されるマグネットワイヤとしては、ガラス転 移温度 120°C以上のエナメル被覆、例えば、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリア ミド及びポリアミドイミド等の単一層、あるいはガラス転移温度の低い層を下層に、高 V、層を上層に複合被覆したエナメル被覆を有するものが好ましく用いられる。複合被 覆したエナメル線としては、ポリエステルイミドを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆 したもの (AIZEI)、ポリエステルを下層に、ポリアミドイミドを上層に被覆したもの (AI ZPE)等が挙げられる。
[0257] 乾燥器に充填する乾燥剤としては、細孔径 3. 3オングストローム以下、 25°Cの炭酸 ガス分圧 250mmHgにおける炭酸ガス吸収容量が、 1. 0%以下であるケィ酸、アル ミン酸アルカリ金属複合塩よりなる合成ゼォライトが好ましく用いられる。具体的には、 ユニオン昭和(株)製の商品名 XH— 9, XH—IO, XH- 11, XH— 600等が挙げら
れる。
[0258] (第 2実施形態;圧縮機油組成物)
本発明の第 2実施形態に係る圧縮機油組成物は、上記本発明に係る潤滑油基油 と、酸化防止剤と、ミスト防止剤とを含有する。
[0259] なお、本実施形態に係る圧縮機油組成物において、本発明に係る潤滑油基油の 態様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明は省略す る。
[0260] また、本実施形態に係る圧縮機油組成物にお!ヽては、上記本発明に係る潤滑油 基油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又は 2 種以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占める本発明 に係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重 複する説明を省略する。
[0261] また、本実施形態に係る圧縮機油組成物は酸化防止剤を含有する。カゝかる酸ィ匕防 止剤としては、アミン系酸化防止剤、フエノール系酸ィ匕防止剤、ジチォリン酸亜鉛等 の有機金属系酸ィ匕防止剤などが挙げられる。これらの中でも、上記本発明に係る潤 滑油基油に配合された場合に、高温での酸ィ匕防止性能をより長期にわたって維持す ることができること力 、アミン系酸ィ匕防止剤及びフエノール系酸ィ匕防止剤が好ま Uヽ
[0262] アミン系酸化防止剤としては、フエ-ルー a ナフチルァミン系化合物、ジアルキ ルジフヱ-ルァミン系化合物、ベンジルァミン系化合物、及びポリアミン系化合物が 挙げられ、中でもフエ-ルー OC ナフチルァミン系化合物、アルキルジフエ-ルァミン 系化合物が好ましい。
[0263] フエ-ルー a ナフチルァミン系化合物としては、下記一般式(7)で表されるフエ 二ルー a ナフチルァミンが好ましく用いられる。
[式 (7)中、 R5は水素原子又は炭素数 1〜16の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基 を示す。]
[0264] 一般式(7)中の R5がアルキル基である場合、当該アルキル基は前述の通り炭素数 1〜16の直鎖上又は分岐状のものである。このようなアルキル基としては、具体的に は例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、 ヘプチル基、ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシ基、トリデシル 基、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びへキサデシル基等(これらのアルキル基 は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。なお、 R1の炭素数が 16を超える場合 には分子中に占める官能基の割合が小さくなり、酸ィ匕防止性能に悪影響を与える恐 れがある。
[0265] 一般式 (7)中の R5がアルキル基である場合、溶解性に優れる点から、 R5は、炭素 数 8〜 16の分枝アルキル基が好ましぐさらに炭素数 3又は 4のォレフインのオリゴマ 一から誘導される炭素数 8〜16の分枝アルキル基がより好ましい。炭素数 3又は 4の ォレフィンとしては、具体的には、プロピレン、 1—ブテン、 2—ブテン及びイソブチレ ンが挙げられる力 溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。 更に優れた溶解性を得るためには、 R5は、イソブチレンの 2量体から誘導される分枝 ォクチル基、プロピレンの 3量体から誘導される分枝ノ-ル基、イソブチレンの 3量体 から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの 4量体から誘導される分枝ドデシル基 又はプロピレンの 5量体力 誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましぐイソ ブチレンの 2量体から誘導される分枝ォクチル基、イソブチレンの 3量体力 誘導され る分枝ドデシル基又はプロピレンの 4量体力 誘導される分枝ドデシル基が特に好ま しい。
[0266] 一般式(7)で表されるフエ-ルー ex ナフチルァミンとしては、巿販のものを用いて
も良ぐまた合成物を用いても良い。合成物は、フリーデル 'クラフツ触媒を用いて、フ ェ-ルー a ナフチルァミンと炭素数 1〜16のハロゲン化アルキル化合物との反応、 あるいはフエ-ルー α ナフチルァミンと炭素数 2〜16のォレフィン又は炭素数 2〜 16のォレフインオリゴマーとの反応を行うことにより容易に合成することができる。フリ 一デル'クラフツ触媒としては、具体的には例えば、塩ィ匕アルミニウム、塩化亜鉛、塩 化鉄等の金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、五酸化リン、フッ化ホウ素、酸性白土、活 性白土等の酸性触媒;等を用 、ることができる。
ジアルキルジフエ-ルァミン系化合物としては、下記一般式(8)で表される ρ, ρ'— ジアルキルジフヱニルァミンが好ましく用いられる。
[式 (8)中、 R。及び R7は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜16のアル キル基を示す。 ]
R6及び R7で表されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、ェチル基、プロ ピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基、ノニル基、 デシル基、ゥンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、 へキサデシル基等 (これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良 ヽ)が挙げられる 。これらの中でも、高温での酸ィ匕防止性をより長期にわたって維持できる点から、 R6 及び R7としては、炭素数 3〜16の分枝アルキル基が好ましぐ炭素数 3又は 4のォレ フィン又はそのオリゴマーから誘導される炭素数 3〜16の分枝アルキル基がより好ま しい。炭素数 3又は 4のォレフインとしては、具体的にはプロピレン、 1—ブテン、 2— ブテン及びイソブチレン等が挙げられる力 高温での酸ィ匕防止性をより長期にわたつ て維持できる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。また、 R6又は R7として は、更に優れた酸化防止性が得られることから、それぞれプロピレンから誘導されるィ ソプロピル基、イソブチレン力 誘導される tert ブチル基、プロピレンの 2量体から 誘導される分枝へキシル基、イソブチレンの 2量体から誘導される分枝ォクチル基、
プロピレンの 3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの 3量体から誘導され る分枝ドデシル基、プロピレンの 4量体力 誘導される分枝ドデシル基又はプロピレン の 5量体力 誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましぐイソプチレン力 誘 導される tert—ブチル基、プロピレンの 2量体から誘導される分枝へキシル基、イソブ チレンの 2量体から誘導される分枝ォクチル基、プロピレンの 3量体から誘導される分 枝ノ-ル基、イソブチレンの 3量体力 誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの 4 量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好まし ヽ。
[0269] なお、 R6及び R7の一方又は双方が水素原子である化合物を用いると、当該化合物 自体の酸ィ匕によりスラッジが発生する恐れがある。また、アルキル基の炭素数が 16を 超える場合には、分子中に占める官能基の割合が小さくなり、高温での酸化防止性 が低下する恐れがある。
[0270] 一般式(8)で表される p, p '—ジアルキルジフエ-ルァミンは市販のものを用いても 良ぐまた合成物を用いても良い。合成物は、フリーデル 'クラフツ触媒を用い、ジフエ -ルァミンと炭素数 1〜16のハロゲン化アルキル化合物とジフエ-ルァミンとの反応、 あるいはジフエ-ルァミンと炭素数 2〜16のォレフィン又は炭素数 2〜16のォレフィ ン又はこれらのオリゴマーとの反応を行うことにより容易に合成することができる。フリ 一デル'クラフツ触媒としては、フエ二ルー a—ナフチルァミンの説明において例示さ れた金属ハロゲン化物や酸性触媒等が用いられる。
[0271] 上記一般式(7)、 (8)で表される化合物は 、ずれも芳香族ァミンである。これらの芳 香族ァミンは 1種を単独で用いても良 、し、構造の異なる 2種以上の混合物を用いて も良いが、高温での酸ィ匕防止性をより長期にわたって維持できることから、一般式 (7 )で表されるフエ-ルー α—ナフチルァミンと一般式(8)で表される ρ, ρ 'ージアルキ ルジフエ-ルァミンとを併用することが好まし 、。この場合の混合比は任意であるが、 質量比で 1Ζ10〜10Ζ1の範囲にあることが好ましい。
[0272] フエノール系化合物としては、潤滑油の酸ィ匕防止剤として用いられる任意のアルキ ルフ ノール系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、 下記の一般式(9)、一般式(10)及び一般式(11)で表される化合物力 選ばれる少 なくとも 1種のアルキルフエノール化合物が好ましいものとして挙げられる。
[0273] [化 6]
[式(9)中、 R8は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 R9は水素原子又は炭素数 1〜4 のアルキル基を示し、 R1C>は水素原子、炭素数 1〜4のアルキル基、下記一般式 (i)又 は (ii) :
[化 7]
—— R11— C—— OR12
II い)
0
(一般式 (i)中、 R11は炭素数 1〜6のアルキレン基を示し、 R12は炭素数 1〜24のアル キル基又はアルケニル基を示す。 )
[化 8]
(一般式 (ii)中、 R は炭素数 1〜6のアルキレン基を示し、 R14は炭素数 1〜4のアル キル基を示し、 R15は水素原子又は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 kは 0又は 1を 示す。)
で表される基を示す。 ]
[一般式(10)中、 Rlb及び R18は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜4 のアルキル基を示し、 R17及び R19は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子 又は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 R2及び R21は同一でも異なっていてもよぐ それぞれ炭素数 1〜6のアルキレン基を示し、 Aは炭素数 1〜18のアルキレン基又は 下記の一般式 (iii) :
R22 - S - R23 - (iii)
(一般式 (iii)中、 R22及び R23は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜6 のアルキレン基を示す)
で表される基を示す。 ]
[化 10]
25
[一般式(11)中、 R24は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 &は水素原子又は炭素
4のアルキル基を示し、 R は炭素数 1〜6のアルキレン基又は下記一般式 (iv
[化 11]
R27— C—— 0—— R 28-
IV
0
(一般式 (iv)中、 及び は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数] ^6 のアルキレン基を示す。)
で表される基を示す。 ]
[0276] 上記一般式(9)で表される化合物において、 R1C>が一般式 (i)で表される基である 化合物の場合、一般式 (i)中の R11が炭素数 1〜2のアルキレン基であり、 R12が炭素 数 6〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基であるものがより好ましぐ一般式 (i)の R11 が炭素数 1〜2のアルキレン基であり、 R12が炭素数 6〜 12の分枝状アルキル基であ るものが特に好ましい。
[0277] 一般式(9)で表される化合物の中で好まし!/、ものを以下に示す。
[0278] R1Gが炭素数 1〜4のアルキル基である場合の化合物の例としては、 2, 6 ジー ter tーブチルー p クレゾール、 2, 6 ジ tert—ブチルー 4 ェチルフエノール等を 挙げることができる。
[0279] R1Gが一般式 (i)で表される基である場合の化合物の例としては、下記のものを挙げ ることができる。 ( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n へ キシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソへキシル 、 (3—メチルー 5— tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸 n—へプチル、 (3— メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソへプチル、 ( 3—メチル — 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n -ォクチル、 ( 3 -メチル— 5— t ert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソオタチル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブ チル 4 ヒドロキシフエ-ル)酢酸 2 ェチルへキシル、 ( 3 メチル 5— tert ブ チル 4 ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n ノエル、 ( 3 メチル 5— tert ブチル 4 -ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソノエル、 ( 3 -メチル 5— tert -ブチル 4—ヒドロキ シフエ-ル)酢酸 n -デシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ- ル)酢酸イソデシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n -ゥンデシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソゥ ンデシル、 ( 3 メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n ドデシ ル、 (3—メチル—5— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソドデシル、 (3 メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n -へキシル、 ( 3—メチル 5— tert -ブチル 4—ヒドロキシフエニル)プロピオン酸イソへキシル、 ( 3 メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n ヘプチル
( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソへプチ ル、 ( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n ォクチ ル、 ( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソォクチ ル、 ( 3 メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 2 ェチ ルへキシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n -ノニル、 ( 3 -メチル 5— tert -ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸ィ ソノニル、 ( 3 -メチル 5— tert -ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n - デシル、 ( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソ デシル、 ( 3—メチル 5— tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n— ゥンデシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 イソゥンデシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン 酸 n -ドデシル、 ( 3 -メチル— 5— tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン 酸イソドデシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸 n キシ ル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソへキシル、 (3, 5— ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸 n プチル、 (3, 5—ジ—tert— ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸イソへプチル、 (3, 5—ジ—tert—ブチルー 4 ーヒドロキシフエ-ル)酢酸 n—ォクチル、 (3, 5—ジ—tert—ブチルー 4ーヒドロキシ フエ-ル)酢酸イソオタチル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢 酸 2 ェチルへキシル、 (3, 5 ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸 n ーノニル、 (3, 5—ジ一 tert—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸イソノエル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n—デシル、 (3, 5—ジ— tert ーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸イソデシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4 —ヒドロキシフエ-ル)酢酸 n—ゥンデシル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキ シフエ-ル)酢酸イソゥンデシル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル )酢酸 n—ドデシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)酢酸イソド デシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n キシ ル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソへキシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n プチル、 (3,
5—ジ—tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソへプチル、(3, 5— ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n—ォクチル、(3, 5—ジー tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソォクチル、(3, 5—ジ tert ーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 2 ェチルへキシル、(3, 5 ジ t ert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n—ノ -ル、(3, 5—ジ—tert— ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソノエル、(3, 5—ジ—tert ブチル —4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸 n—デシル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4— ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸イソデシル、 (3, 5—ジ一 tert ブチル 4—ヒドロ キシフエ-ル)プロピオン酸 n—ゥンデシル、 (3, 5—ジ—tert—ブチルー 4ーヒドロキ シフエ-ル)プロピオン酸イソゥンデシル、 (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシ フエ-ル)プロピオン酸 n—ドデシル、 (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ -ル)プロピオン酸イソドデシル等が挙げられる。
[0280] R1C)が一般式 (ii)で表される基である場合の化合物の例としては、ビス(3, 5 ジー tert -ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)、ビス( 3 , 5—ジ— tert -ブチル— 4—ヒドロ キシフエ-ル)メタン、 1, 1—ビス(3, 5 ジ一 tert—ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル )ェタン、 1, 2 ビス(3, 5 ジ一 tert ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)ェタン、 1, 1—ビス(3, 5 ジ— tert ブチル—4 ヒドロキシフエ-ル)プロパン、 1, 2 ビス(3 , 5 ジ— tert—ブチル—4 ヒドロキシフエ-ル)プロパン、 1, 3 ビス(3, 5 ジ— tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(3, 5 ジ—tert—ブ チルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロパン等;及びこれらの 2種以上の混合物等が挙げ られる。
[0281] 次に、一般式(10)で表されるアルキルフエノールについて説明する。
[0282] 一般式(10)中の Aが炭素数 1〜18のアルキレン基である場合の特に好ましい化合 物は、下記式(10— 1)で表される化合物である。
[化 12]
[0283] また、一般式(10)中の Aが式 (iii)で表される基である場合の特に好ましい化合物 は、下記式(10— 2)で表される化合物である。
[化 13]
[0284] 次に、一般式(11)で表されるアルキルフエノールにっ 、て説明する。
[0285] 一般式(11)で表されるアルキルフエノールとして特に好ま U、ものは、具体的には 、下記式(11— 1)又は(11 2)で表される化合物である。
[化 14]
[化 15]
[0286] 酸化防止剤の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは 0. 02〜5質量%、よ り好ましくは 0. 1〜3質量%でぁる。酸化防止剤の含有量が 0. 02質量%未満の場 合には熱 ·酸ィ匕安定性が不十分となる傾向にある。一方、 5質量%を超える場合には 、含有量に見合う熱'酸化安定性の向上効果が得られず、経済的にも不利であるた め好ましくない。
[0287] また、本実施形態に係る圧縮機油組成物は、ミスト防止剤を含有する。かかるミスト 防止剤としては、炭素数 1〜18のアルキルアタリレート、炭素数 1〜18のアルキルメタ タリレート、炭素数 2〜20のォレフィン、スチレン、メチルスチレン、無水マレイン酸及 びこれらの 2種以上の混合物を構成モノマーとして含有する高分子化合物が好ましく 用いられる。力かる高分子化合物の重量平均分子量は任意であるが、 1, 000-30 0, 000力好ましく、 5, 000〜100, 000力より好まし!/ヽ。
[0288] ミスト防止剤としては、潤滑油のミスト防止剤として用いられる任意の化合物が使用 可能であるが、例えば、エチレン性不飽和結合を有する含窒素モノマーを共重合成 分として含む共重合体が好ましい。より具体的には、下記一般式(12— 1)、 (12- 2) 又は(12— 3)で表される化合物力も選ばれる 1種又は 2種以上のモノマー(以下、「 モノマー(M— 1)」という)と、下記一般式(12— 4)又は(12— 5)で表される化合物か ら選ばれる 1種又は 2種以上のモノマー(以下、「モノマー(M— 2)」 t\、う)との共重 合体が好ましい。
[0289] [化 16]
R29
CH2=C (12-1 )
I
COOR30
[式中、 R29は水素原子又はメチル基を示し、 R3は炭素数 1〜18のアルキル基を示 す。]
[0290] [化 17]
R31
CH2=C (12-2)
I
R32
[式中、 R31は水素原子又はメチル基を示し、 R32は炭素数 1〜12の炭化水素基を示 す。]
[0291] [化 18]
CH^CH 0=C C=0 (12—3)
I I
Y Y2
[式中、 Y1及び Y2は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子、炭素数 1〜18 のアルコキシ基、又は炭素数 1〜18のモノアルキルアミノ基を示す。 ]
[0292] [化 19]
[式中、 R33は水素原子又はメチル基を示し、 R34は炭素数 2〜18のアルキレン基を 示し、 mは 0又は 1を示し、 Y3は窒素原子を含有する炭素数 1〜30の有機基を示す。 ]
[0293] [化 20]
R35
CH2=C (12-5)
[式中、 R35は水素原子又はメチル基を示し、 Y4は窒素原子を含有する炭素数 1〜3 0の有機基を示す。 ]
[0294] 一般式(12—1)中の R3で示される炭素数 1〜18のアルキル基としては、具体的に は、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチ ル基、ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ トラデシル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、ォクタデシル基 等のアルキル基 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良 ヽ)が挙げられる。
[0295] 一般式(12— 2)中の R32で示される炭素数 1〜12の炭化水素基としては、具体的 には、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプ チル基、ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシル基等のアルキル
基 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ブテニル基、ペンテニル基、へ キセニル基、ヘプテニル基、オタテニル基、ノネニル基、デセニル基、ゥンデセニル 基、ドデセ -ル基等のァルケ-ル基 (これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良 い);シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の炭素数 5〜7のシク 口アルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルェチルシ クロペンチル基、ジェチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシク 口へキシル基、メチルェチルシクロへキシル基、ジェチルシクロへキシル基、メチルシ クロへプチル基、ジメチルシクロへプチル基、メチルェチルシクロへプチル基、ジェチ ルシクロへプチル基等の炭素数 6〜: L 1のアルキルシクロアルキル基(アルキル基は 直鎖状でも分枝状でも良ぐまたそのシクロアルキル基への結合位置も任意である); フエ-ル基、ナフチル基等のァリール基;トリル基、キシリル基、ェチルフエ-ル基、プ 口ピルフエ-ル基、ブチルフエ-ル基、ペンチルフエ-ル基、へキシルフエ-ル基等 の炭素数 7〜 12の各アルキルァリール基 (アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良ぐ またそのァリール基への結合位置も任意である);ベンシル基、フエ-ルェチル基、フ ェ-ルプロピル基、フエ-ルブチル基、フエ-ルペンチル基、フエ-ルへキシル基等 の炭素数 7〜 12のァリールアルキル基 (アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良ぐま たァリール基のアルキル基への結合位置も任意である)などが挙げられる。
[0296] 一般式(12— 3)中の Y1及び Y2で示される炭素数 1〜18のアルコキシ基は、炭素 数 1〜 18のアルキルアルコールの水酸基力も水素原子を除 、た残基(― OR36; R36 は炭素数 1〜18のアルキル基)である。 R36で表される炭素数 1〜18のアルキル基と しては、一般式(12— 1)中の R39で示される炭素数 1〜18のアルキル基の説明にお V、て例示されたアルキル基が挙げられる。
[0297] 一般式(12— 3)中の Y1及び Y2で示される炭素数 1〜18のモノアルキルアミノ基は 、炭素数 1〜18のモノアルキルァミンのアミノ基カも水素原子を除いた残基(—NHR 37;R37は炭素数 1〜18のアルキル基)である。 R33で表される炭素数 1〜18のアルキ ル基としては、一般式(12— 1)中の R3Gで示される炭素数 1〜18のアルキル基の説 明にお 、て例示されたアルキル基が挙げられる。
[0298] 一般式(12— 4)中、 R34で示される炭素数 2〜 18のアルキレン基としては、具体的
には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチ レン基、オタチレン基、ノニレン基、デシレン基、ゥンデシレン基、ドデシレン基、トリデ シレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、へキサデシレン基、ヘプタデシレン 基、ォクタデシレン基等のアルキレン基 (これらアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも 良い)などが挙げられる。
[0299] 一般式(12— 4)中の Y3及び一般式(12— 5)中の Y4は、それぞれ窒素原子を含有 する炭素数 1〜30の有機基である。 Y3及び Y4で示される有機基が有する窒素原子 の数は特に制限されないが、好ましくは 1個である。また、 Y3及び Y4で示される有機 基の炭素数は、前述の通り 1〜30であり、好ましくは 1〜20、より好ましくは 1〜16で ある。
[0300] Y3及び Y4で示される有機基としては、酸素原子を更に含有する基であることが好ま しぐまた、環を有する基であることが好ましい。特に、抗スラッジ性の点から、 Y3及び Y4で示される有機基が酸素原子を含む環を有していることが好ましい。また、 Y3及び Y4で示される有機基が環を有する基である場合、その環は脂肪族環又は芳香族環 のいずれであってもよいが、脂肪族環であることが好ましい。更に、 Y3及び Y4で示さ れる有機基が有する環は、抗スラッジ性の点から、 6員環であることが好ましい。
[0301] Y3及び Y4で示される有機基としては、具体的には、ジメチルァミノ基、ジェチルアミ ノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルァミノ基、ァ-リノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、 ァセチルァミノ基、ベンゾィルァミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル 基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピベリジ-ル基、キノ-ル基、ピロリドニル基、 ピロリドノ基、イミダゾリノ基、ビラジノ基などが挙げられ、これらの中でもモルホリノ基が 特に好ましい。
[0302] 上記一般式(12— 1)〜(12— 3)で表される化合物の好ましい例としては、炭素数 1〜18のアルキルアタリレート、炭素数 1〜18のアルキルメタタリレート、炭素数の 2〜 20のォレフイン、スチレン、メチルスチレン、無水マレイン酸エステル、無水マレイン 酸アミド及びこれらの混合物等が挙げられる。
[0303] また、上記一般式(12— 4)又は(12— 5)で表される化合物の好ましい例としては、 ジメチルァミノメチルメタタリレート、ジェチルァミノメチルメタタリレート、ジメチルァミノ
ェチルメタタリレート、ジェチルアミノエチルメタタリレート、 2—メチルー 5 ビュルピリ ジン、モルホリノメチルメタタリレート、モルホリノェチルメタタリレート、 N—ビュルピロリ ドン及びこれらの混合物等が挙げられる。
[0304] 上記一般式(12— 1)〜(12— 3)で表される化合物の中でも、粘度 温度特性の 点から、モノマー(M— 1)としては、一般式(12— 1)で表される化合物が好ましい。 一方、モノマー(M— 2)としては、抗スラッジ性の点から、上記一般式(12—4)又は( 12- 5)で表される化合物の中でも、一般式( 12— 4)で表される化合物が好ま 、。
[0305] モノマー(M—1)とモノマー(M— 2)とを共重合させるに際し、モノマー(M—1)と モノマー(M— 2)との重合比(モル比)は任意であるが、 80 : 20〜95: 5の範囲内で あることが好ましい。また、共重合の反応方法も任意であるが、通常、ベンゾィルパー ォキシドなどの重合開始剤の存在下でモノマー(M— 1)とモノマー(M— 2)とをラジ カル溶液重合させることにより、目的の共重合体を容易に且つ確実に得ることができ る。得られる共重合体の重量平均分子量も任意であるが、 1, 000-300, 000力 S好 まし <、 5, 000〜100, 000力より好まし!/ヽ。
[0306] 本実施形態に係る圧縮機油組成物におけるミスト防止剤の含有量は、組成物全量 基準で、好ましくは 5質量%以下、より好ましくは 1質量%以下、更に好ましくは 0. 5 質量%以下である。ミスト防止剤の含有量が前記上限値を超えても、含有量に見合う だけのミスト防止性のさらなる向上は見られず、また、せん断による粘度低下を引き起 こすため、好ましくない。また、ミスト防止剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましく は 0. 01質量%以上、より好ましくは 0. 03質量%以上、更に好ましくは 0. 05質量% 以上である。ミスト防止剤の含有量が前記下限値に満たない場合は、その添カ卩による ミスト防止性の向上効果が不十分となる傾向にある。
[0307] 本実施形態に係る圧縮機油組成物は、上記の潤滑油基油と酸化防止剤とミスト防 止剤とからなるものであってもよいが、その特性を更に改善するために、以下に示す 各種添加剤を更に含有してもよ 、。
[0308] 本実施形態に係る圧縮機油組成物は、その耐摩耗性、耐荷重能を更に向上できる 点から、リン系極圧剤及び Z又はホスフォロチォネートを更に含有してもよい。リン系 極圧剤及びホスフォロチォネートの具体例は上記第 1実施形態の場合と同様である
ため、ここでは重複する説明を省略する。本実施形態に係る圧縮機油組成物におい ては、極圧性等の諸性状に優れる点、並びに安定性への悪影響が小さい点などから 、正リン酸エステル及び亜リン酸エステルが好ましぐ正リン酸エステルが特に好まし い。
[0309] リン系極圧剤及び Z又はホスフォロチォネートを用いる場合、それらの含有量の合 計は、組成物全量を基準として、リン元素換算値で、好ましくは 0. 005-0. 5質量% であり、より好ましくは 0. 02-0. 2質量%である。当該含有量が前記の範囲内であ ると、酸ィ匕安定性と極圧性との双方を高水準でバランスよく達成することができる。
[0310] また、本実施形態に係る圧縮機油組成物は、その各種性能を更に向上させる目的 で、上記以外の公知の潤滑油添加剤、例えばさび止め剤、腐食防止剤、流動点降 下剤、消泡剤などのうち 1種又は 2種以上を含有してもよい。
[0311] さび止め剤としては、例えば、脂肪族ァミン類、有機スルホン酸金属塩、有機リン酸 金属塩、ァルケ-ルコハク酸エステル、多価アルコールエステルなどが挙げられる。
[0312] 腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、チアジアゾール系ィ匕 合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。
[0313] 消泡剤としては、例えばジメチルシリコーンなどのシリコーン類が挙げられる。
[0314] これらの添加剤含有量は任意に選ぶことができる力 組成物全量基準での各添カロ 剤の含有量は、流動点硬化剤では 0. 01〜5. 0質量%、さび止め剤及び腐食防止 剤ではそれぞれ 0. 01〜3. 0質量%、消泡剤では 0. 00001-0. 5質量%とするこ とが好ましい。
[0315] 上記構成を有する本実施形態に係る圧縮機油組成物は、熱 ·酸ィ匕安定性の向上 及びスラッジの低減の双方を高水準でバランスよく達成できるものであり、特に、高温 用途の圧縮機油組成物として非常に有用である。なお、ここでいう高温用途に関して 、使用温度は特に制限されないが、循環使用時のタンクの油温が «続的に 60°C以 上になる場合に本実施形態に係る圧縮機油組成物による上述の効果が有効に発揮 される。そして、当該温度が 80°C以上、更には 100°C以上となる場合に一層優れた 効果が奏される。このような高温用途としては、回転式ガス圧縮機、発電用ガスタービ ンなどが挙げられるが、本実施形態に係る圧縮機油組成物の用途はこれらに限定さ
れない。
[0316] (第 3実施形態;油圧作動油組成物)
本発明の第 3実施形態に係る油圧作動油組成物は、上記本発明に係る潤滑油基 油と、リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とを含有する。
[0317] なお、本実施形態に係る油圧作動油組成物において、本発明に係る潤滑油基油 の態様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明は省略 する。
[0318] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物にぉ 、ては、上記本発明に係る潤滑 油基油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又 は 2種以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占める本 発明に係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここで は重複する説明を省略する。
[0319] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、リン及び Z又は硫黄を構成元素と して含む化合物を含有する。
[0320] なお、本実施形態に係る油圧作動油組成物にぉ ヽて、本発明に係るリン化合物の 具体例及び好ましい態様は、上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは 重複する説明を省略する。
[0321] 本実施形態にぉ ヽてリン酸エステル類や亜リン酸エステル類を用いる場合、その含 有量は、組成物全量基準で、好ましくは 10質量%以下、より好ましくは 5質量%以下 、更に好ましくは 3質量%以下である。当該含有量が 5質量%を超えても、含有量に 見合うだけの耐摩耗性及び摩擦特性のさらなる向上は見られず、また酸ィ匕安定性が 低下するため、好ましくない。一方、リン酸エステル類や亜リン酸エステル類の含有量 は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 01質量%以上、より好ましくは 0. 05質量%以 上、更に好ましくは 0. 1質量%以上である。リン酸エステル類及び亜リン酸エステル 類の含有量が 0. 01質量%に満たない場合は、その添カ卩による耐摩耗性及び摩擦 特性の向上効果が不十分となる傾向にある。
[0322] また、リン含有カルボン酸ィ匕合物としては、同一分子中にカルボキシル基とリン原子 の双方を含んでいればよぐその構造は特に制限されない。し力しながら耐摩耗性及
び熱 ·酸化安定性の点から、ホスフォリル化カルボン酸が好まし 、。
[0323] ホスフオリルイ匕カルボン酸としては、例えば下記一般式(13)で表される化合物が挙 げられる。
[式(13)中、 R38及び R39は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭 素数 1〜30の炭化水素基を示し、 R4は炭素数 1〜20のアルキレン基を示し、 R41は 水素原子又は炭素数 1〜30の炭化水素基を示し、 X1、 X2、 X3及び X4は同一でも異 なっていてもよぐそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。 ]
[0325] 一般式(13)中、 R38及び R39はそれぞれ水素原子又は炭素数 1〜30の炭化水素 基を表す。炭素数 1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロ アルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、 アルキルビシクロアルキル基、アルキルトリシクロアルキル基、シクロアルキルアルキ ル基、ビシクロアルキルアルキル基、トリシクロアルキルアルキル基、ァリール基、アル キルァリール基、ァリールアルキル基等が挙げられる。また、 R38と R39が結合して下 記一般式(14)で表される 2価の基を形成してもよい。なお、当該 2価の基の 2個の結 合手はそれぞれ X1、 X2と結合するものである。
[式(14)中、 R42及び R43は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭 素数 1〜4のアルキル基を示し、 R42及び R43の双方カ チル基であることが好まし 、。 ]
[0327] R38及び R39としては、これらの中でもアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキ ルアルキル基、トリシクロアルキルアルキル基、ァリール基、アルキルァリール基、 R38
と R39とが結合した上記一般式(14)で表されるような 2価の基であることが好ましぐァ ルキル基であることがより好まし 、。
[0328] R38、 R39としてのアルキル基は直鎖状又は分枝状の 、ずれであってもよ!/、。また、 当該アルキル基の炭素数は 1〜18であることが好ましい。このようなアルキル基として は、具体的には、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、ィ ソブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、へキシル基、ヘプチル 基、 3 へプチル基、ォクチル基、 2 ェチルへキシル基、ノ-ル基、デシル基、ゥン デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、へキサデシ ル基、ヘプタデシル基、ォクタデシル基、 2—ェチルブチル基、 1 メチルフエ-ル基 、 1, 3 ジメチノレブチノレ基、 1, 1, 3, 3—テトラメチノレブチノレ基、 1—メチノレへキシノレ 基、イソへプチル基、 1 メチルヘプチル基、 1, 1, 3 トリメチルへキシル基及び 1 メチルゥンデシル基などが挙げられる。これらの中でも炭素数 3〜18のアルキル基が 好ましぐ炭素数 3〜8のアルキル基がより好ましい。
[0329] R38、 R39としてのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキ シル基、シクロへプチル基、シクロォクチル基又はシクロドデシル基などが挙げられる 。これらの中でも、炭素数 5又は 6のシクロアルキル基(シクロペンチル基及びシクロ へキシル基)が好ましぐとりわけシクロへキシル基が好ましい。
[0330] R38、 R39としてのシクロアルキルアルキル基としては、シクロアルキルメチル基が好 ましぐ炭素数 6又は 7のシクロアルキルメチル基がより好ましぐシクロペンチルメチ ル基及びシクロへキシルメチル基が特に好ましい。
[0331] R38、 R39としてのビシクロアルキルアルキル基としては、ビシクロアルキルメチル基が 好ましぐ炭素原子数 9〜: L 1のビシクロアルキルメチル基がより好ましぐデカリ-ルメ チル基が特に好ましい。
[0332] R39としてのトリシクロアルキルアルキル基としては、トリシクロアルキルメチル基 が好ましぐ炭素原子数 9〜 15のトリシクロアルキルメチル基がより好ましぐ下記式( 15)又は(16)で表される基が特に好ま 、。
[化 23]
[0333] Rd としてのァリール基及びアルキルァリール基としては、フエ-ル基、トリル基 、キシリル基、ェチルフヱ-ル基、ビニルフエニル基、メチルフヱ-ル基、ジメチルフエ -ル基、トリメチルフエ-ル基、ェチルフエ-ル基、イソプロピルフエ-ル基、第三ブチ ルフエ-ル基、ジ—第三ブチルフエ-ル基、 2, 6—ジ—tert—ブチルー 4ーメチルフ ェ-ル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数 6〜 15のァリール基及びアルキル ァリール基が好ましい。
[0334] R4Gは炭素数 1〜20のアルキレン基を示す。力かるアルキレン基の炭素数は、好ま しくは 1〜10、より好ましくは 2〜6、さらに好ましくは 3〜4である。また、このようなアル キレン基としては、下記一般式(17)で表されるものが好ましい。
[化 25]
[0335] 一般式(17)中、 R44、 R45、 R46及び R47は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水 素原子又は炭素数 1〜4の炭化水素基を示し、 R44、 R45、 R46及び R47の炭素数の合 計は 6以下である。また、好ましくは、 R44、 R45、 R46及び R47は同一でも異なっていて もよぐそれぞれ水素原子又は炭素数 1〜3の炭化水素基を示し、 R44、 R45、 R46及び R47の炭素数の合計は 5以下である。さらに好ましくは、 R44、 R45、 R46及び R47は同一 でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭素数 1又は 2の炭化水素基を示し 、 R44、 R45、 R46及び R47の炭素数の合計は 4以下である。特に好ましくは、 R44、 R45、
R4b及び R47は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭素数 1〜2の炭 化水素基を示し、 R44、 R45、 R46及び R47の炭素数の合計は 3以下である。最も好まし くは、 R46又は R47の 、ずれかがメチル基であり残りの 3基が水素原子である。
[0336] また、一般式(13)中の R41は、水素原子又は炭素数 1〜30の炭化水素基を示す。
力かる炭化水素基としては、 R38及び R39の説明にお 、て例示された炭化水素基が挙 げられる。
[0337] また、一般式(13)中の X1、 X2、 X3及び X4は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ 酸素原子又は硫黄原子を示す。極圧性の点からは、 X1、 X2、 X3又は X4のうち 1っ以 上が硫黄原子であることが好ましぐ 2つ以上が硫黄原子であることがより好ましぐ 2 つが硫黄原子であり且つ残りの 2つが酸素原子であることがさらに好ましい。この場 合、 X1、 X2、 X3又は X4のうちいずれが硫黄原子であるかは任意である力 X1及び X2 が酸素原子であり且つ X3及び X4が硫黄原子であることが好ましい。
[0338] 以上、一般式(13)中の各基について説明したが、より極圧性に優れることから、下 記一般式(18)で表される βージチォホスフオリルイ匕プロピオン酸が好ましく使用され る。
[0339] [化 26]
(1 8)
[式 8)中、 R38、 R39はそれぞれ式(I3)中の R38、 R39と同一の定義内容を示し、 R44 、 R45、 R46、 R4¾それぞれ (17)中の 4、 R45、 R46、 R47と同一の定義内容を示す。 ] [0340] 上記のリン含有カルボン酸ィ匕合物を用いる場合、その含有量は特に制限されな ヽ 力 組成物全量基準で、好ましくは 0. 001〜5質量%、より好ましくは 0. 002〜3質 量%、さらに好ましくは 0. 003〜1質量%である。リン含有カルボン酸化合物の含有 量が前記下限値未満では、その添カ卩による耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果が不 十分となる傾向にある。一方、前記上限値を超えても含有量に見合う潤滑性向上効 果が得られない傾向にあり、更には熱 ·酸ィ匕安定性や加水分解安定性が低下するお
それがあるので好ましくない。なお、一般式(13)で表されるホスフォリル化カルボン 酸のうち、 R41が水素原子である化合物(一般式(18)で表される β ジチォホスフォ リル化プロピオン酸を含む)の含有量については、好ましくは 0. 001-0. 1質量0 /0、 より好まし <は 0. 002〜0. 08質量0 /0、更に好まし <は 0. 003〜0. 07質量0 /0、一層 好ましく ίま 0. 004〜0. 06質量0 /0、特に好ましく ίま 0. 005〜0. 05質量0 /0である。当 該含有量が 0. 001未満の場合は極圧性向上効果が不十分となるおそれがあり、一 方、 0. 1質量%を超えると熱'酸化安定性が低下するおそれがある。
[0341] また、ホスフォロチォネートは、上記第 1実施形態の説明において示した一般式 (4) で表される化合物であり、その具体例及び好ましい例は上記第 1実施形態の場合と 同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0342] ホスフォロチォネートを用いる場合、その含有量は特に制限されないが、組成物全 量基準で、好ましくは 0. 001〜10質量%、より好ましくは 0. 005〜5質量%、更に好 ましくは 0. 01〜3質量%である。ホスフォロチォネートの含有量が前記上限値を超え ても、含有量に見合うだけの耐摩耗性及び摩擦特性のさらなる向上は見られず、ま た酸ィ匕安定性が低下するため、好ましくない。一方、ホスフォロチォネートの含有量 は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 01質量%以上、より好ましくは 0. 05質量%以 上、更に好ましくは 0. 1質量%以上である。ホスフォロチォネートの含有量が 0. 01 質量%に満たない場合は、その添カ卩による耐摩耗性及び摩擦特性の向上効果が不 十分となる傾向にある。
[0343] また、硫黄を構成元素として含む化合物(以下、「硫黄化合物」 、う)としては、具 体的には、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫ィ匕ォレフイン、ジヒドロカルビル (ポリ)サルファイド、チアジアゾール化合物、アルキルチオ力ルバモイル化合物、チ ォカーバメート化合物、チォテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合 物、硫化鉱油、ジチォ力ルバミン酸亜鉛ィ匕合物及びジチォ力ルバミン酸モリブデンな どを挙げることができる。これらの硫黄ィ匕合物は、 1種を単独用いてもよぐ 2種以上の 混合物として用いてもよい。なお、ジチォリン酸亜鉛ィ匕合物及びジチォリン酸モリブ デン化合物はリン及び硫黄の双方を構成元素として含む化合物であるが、本実施形 態にお 、て、ジチォリン酸亜鉛ィ匕合物及びジチォリン酸モリブデンィ匕合物は「硫黄化
合物」に包含されるものとする。
[0344] 硫ィ匕油脂は、硫黄や硫黄含有化合物と油脂 (ラード油、鯨油、植物油、魚油等)を 反応させて得られるものであり、その硫黄含有量は特に制限はないが、一般に 5〜3 0質量%のものが好適である。その具体例としては、硫化ラード、硫ィ匕なたね油、硫 化ひまし油、硫化大豆油、硫ィ匕米ぬか油およびこれらの混合物などを挙げることがで きる。
[0345] 硫ィ匕脂肪酸の例としては、硫ィ匕ォレイン酸などを、硫ィ匕エステルの例としては、不飽 和脂肪酸 (ォレイン酸、リノール酸又は上記の動植物油脂力 抽出された脂肪酸類 などを含む)と各種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エステル及びこ れらの混合物などを任意の方法で硫ィ匕することにより得られるものなどが挙げられ、 具体的には例えば、硫化ォレイン酸メチルや硫化米ぬか脂肪酸ォクチルおよびこれ らの混合物などを挙げることができる。
[0346] 硫ィ匕ォレフインとしては、例えば、下記一般式(19)で表される化合物が挙げられる
[0347] この化合物は、炭素数 2〜15のォレフィンまたはその二〜四量体を、硫黄、塩ィ匕硫 黄等の硫化剤と反応させることによって得られ、該ォレフインとしては、プロピレン、ィ ソブテン、ジイソブテンなどが好ましい。
R48-S— R49 (19)
a
[式中、 R48は炭素数 2〜 15のァルケ-ル基を示し、 R49は炭素数 2〜 15のアルキル 基又はァルケ-ル基を示し、 aは 1〜8の整数を示す。 ]
[0348] また、ジヒドロカルビル (ポリ)サルファイドは、下記一般式(20)で表される化合物で ある。ここで、 R∞及び R51がアルキル基の場合、硫ィ匕アルキルと称されることがある。 R50— S— R51 (20)
b
[式中、 R5G及び R51は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜20の鎖状ァ ルキル基、分枝状又は環状アルキル基、炭素数 6〜20のァリール基、炭素数 7〜20 のアルキルァリール基あるいは炭素数 7〜20のァリールアルキル基を示し、 bは 1〜8 の整数を示す。 ]
[0349] 上記一般式(20)中の R5及び R51としては、具体的には、 n—プロピル基、イソプロ
ピル基、 n—ブチル基、イソブチル基、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基、直鎖又は 分枝ペンチル基、直鎖又は分枝へキシル基、直鎖又は分枝へプチル基、直鎖又は 分枝ォクチル基、直鎖又は分枝ノエル基、直鎖又は分枝デシル基、直鎖又は分枝ゥ ンデシル基、直鎖又は分枝ドデシル基、直鎖又は分枝トリデシル基、直鎖又は分枝 テトラデシル基、直鎖又は分枝ペンタデシル基、直鎖又は分枝へキサデシル基、直 鎖又は分枝へプタデシル基、直鎖又は分枝ォクタデシル基、直鎖又は分枝ノナデシ ル基、直鎖又は分枝ィコシル基などの直鎖状又は分枝状のアルキル基;フエニル基 、ナフチル基などのァリール基;トリル基、ェチルフエ-ル基、直鎖又は分枝プロピル フエニル基、直鎖又は分枝ブチルフエニル基、直鎖又は分枝ペンチルフエ-ル基、 直鎖又は分枝へキシルフヱニル基、直鎖又は分枝へプチルフヱニル基、直鎖又は 分枝ォクチルフエニル基、直鎖又は分枝ノニルフエ二ル基、直鎖又は分枝デシルフ ェニル基、直鎖又は分枝ゥンデシルフヱニル基、直鎖又は分枝ドデシルフヱニル基、 キシリル基、ェチルメチルフエ-ル基、ジェチルフエ-ル基、ジ(直鎖又は分枝)プロ ピルフエ-ル基、ジ(直鎖又は分枝)ブチルフエ-ル基、メチルナフチル基、ェチルナ フチル基、直鎖又は分枝プロピルナフチル基、直鎖又は分枝プチルナフチル基、ジ メチルナフチル基、ェチルメチルナフチル基、ジェチルナフチル基、ジ(直鎖又は分 枝)プロピルナフチル基、ジ(直鎖又は分枝)ブチルナフチル基などのアルキルァリー ル基;ベンジル基、フ -ルェチル基、フ -ルプロピル基などのァリールアルキル 基;などを挙げることができる。これらの中でも、一般式 (20)中の R5G及び R51としては 、プロピレン、 1—ブテン又はイソブチレン力 誘導された炭素数 3〜18のアルキル基 、又は炭素数 6〜8のァリール基、アルキルァリール基あるいはァリールアルキル基で あることが好ましぐこれらの基としては例えば、イソプロピル基、プロピレン 2量体から 誘導される分枝状へキシル基、プロピレン 3量体から誘導される分枝状ノニル基、プ ロピレン 4量体から誘導される分枝状ドデシル基、プロピレン 5量体から誘導される分 枝状ペンタデシル基、プロピレン 6量体から誘導される分枝状ォクタデシル基、 sec— ブチル基、 tert—ブチル基、 1ーブテン 2量体から誘導される分枝状ォクチル基、イソ ブチレン 2量体から誘導される分枝状ォクチル基、 1ーブテン 3量体から誘導される分 枝状ドデシル基、イソブチレン 3量体から誘導される分枝状ドデシル基、 1ーブテン 4
量体から誘導される分枝状へキサデシル基、イソブチレン 4量体から誘導される分枝 状へキサデシル基などのアルキル基;フ -ル基、トリル基、ェチルフ -ル基、キシ リル基などのアルキルァリール基;ベンジル基、フ -ルェチル基などのァリールアル キル基が挙げられる。なお、これらの基の各々には、全ての構造異性体が含まれる。
[0350] さらに、上記一般式(20)中の R5及び R51としては、耐摩耗性及び摩擦特性の向上 の点から、別個に、エチレン又はプロピレン力も誘導された炭素数 3〜18の分枝状ァ ルキル基であることがより好ましく、エチレン又はプロピレン力 誘導された炭素数 6 〜 15の分枝状アルキル基であることが特に好ましい。
[0351] 一般式(20)で表されるジヒドロカルビル(ポリ)サルファイドとしては、例えば、ジべ ンジルポリサルファイド、各種ジノ-ルポリサルファイド、各種ジドデシルポリサルファ イド、各種ジブチルポリサルファイド、各種ジォクチルポリサルファイド、ジフ -ルポリ サルファイド、ジシクロへキシルポリサルフアイドおよびこれらの混合物などを好ましく 挙げることができる。
[0352] チアジアゾールイ匕合物としては、例えば、下記一般式(21)で表される 1, 3, 4ーチ アジアゾール、下記一般式(22)で表される 1, 2, 4ーチアジアゾールイヒ合物及び下 記一般式(23)で表される 1, 4, 5—チアジアゾールイ匕合物が挙げられる。
[化 27]
(21 )
[化 28]
(22)
、55 、57
[式中、 R52、 R53、 4、 R° R 及び Ίま同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水
素原子又は炭素数 1〜20の炭化水素基を示し、 c、 d、 e、 f、 g及び hは同一でも異な つていてもよぐそれぞれ 0〜8の整数を示す]
[0353] このようなチアジアゾール化合物の具体例としては、 2, 5 ビス(n—へキシルジチ ォ)ー1, 3, 4ーチアジアゾール、 2, 5 ビス(n—ォクチルジチォ) 1, 3, 4 チア ジァゾール、 2, 5 ビス(n—ノ-ルジチォ)一1, 3, 4 チアジアゾール、 2, 5 ビス (1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルジチォ) 1, 3, 4ーチアジアゾール、 3, 5 ビス( n—へキシルジチォ) 1, 2, 4ーチアジアゾール、 3, 5 ビス(n—ォクチルジチォ) - 1, 2, 4ーチアジアゾール、 3, 5 ビス(n ノ-ルジチォ) 1, 2, 4ーチアジアゾ ール、 3, 5 ビス(1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルジチォ) 1, 2, 4ーチアジアゾー ル、 4, 5 ビス(n—へキシルジチォ) 1, 2, 3 チアジアゾール、4, 5 ビス(n— ォクチルジチォ) 1, 2, 3 チアジアゾール、 4, 5 ビス(n ノ-ルジチォ) 1, 2 , 3 チアジアゾール、4, 5 ビス(1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルジチォ)—1, 2, 3—チアジアゾールおよびこれらの混合物などを好ましく挙げることができる。
[0354] アルキルチオ力ルバモイルイヒ合物としては、例えば、下記一般式(24)で表される 化合物が挙げられる。
[0355] [化 30]
[式中、 8〜 R59は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜20のアルキル 基を示し、 kは 1〜8の整数を示す。 ]
[0356] このようなアルキルチオ力ルバモイル化合物の具体例としては、ビス(ジメチルチオ 力ルバモイル)モノスルフイド、ビス(ジブチルチオ力ルバモイル)モノスルフイド、ビス( ジメチルチオ力ルバモイル)ジスルフイド、ビス(ジブチルチオ力ルバモイル)ジスルフ イド、ビス(ジアミルチオ力ルバモイル)ジスルフイド、ビス(ジォクチルチオ力ルバモイ ル)ジスルフイドおよびこれらの混合物などを好ましく挙げることができる。
[0357] アルキルチォカーバメートィ匕合物としては、例えば、下記一般式(25)で示される化 合物が挙げられる。
[0358] [化 31]
[式中、 R62〜R65は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1〜20のアルキル 基を示し、 R66は炭素数 1〜: L0のアルキル基を示す。 ]
[0359] このようなアルキルチオカーバメートィヒ合物の具体例としては、メチレンビス(ジブチ ルジチォカーバメート)、メチレンビス [ジ(2—ェチルへキシル)ジチォカーバメート] などを好ましく挙げることができる。
[0360] さらに、チォテルペンィ匕合物としては、例えば、五硫化リンとピネンの反応物を、ジ アルキルチオジプロピオネートイ匕合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロビオネ ート、ジステアリルチォジプロピオネートおよびこれらの混合物などを挙げることができ る。
[0361] 硫ィ匕鉱油とは、鉱油に単体硫黄を溶解させたものをいう。ここで、本発明に係る硫 化鉱油に用いられる鉱油としては特に制限されないが、具体的には、具体的には、 原油に常圧蒸留及び減圧蒸留を施して得られる潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤 抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理など の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などが 挙げられる。また、単体硫黄としては、塊状、粉末状、溶融液体状等いずれの形態の ものを用いてもよいが、粉末状又は溶融液体状の単体硫黄を用いると基油への溶解 を効率よく行うことができるので好ましい。なお、溶融液体状の単体硫黄は液体同士 を混合するので溶解作業を非常に短時間で行うことができるという利点を有している 力 単体硫黄の融点以上で取り扱わねばならず、加熱設備などの特別な装置を必要 としたり、高温雰囲気下での取り扱いとなるため危険を伴うなど取り扱いが必ずしも容 易ではない。これに対して、粉末状の単体硫黄は、安価で取り扱いが容易であり、し 力も溶解に要する時間が十分に短いので特に好ましい。また、本発明に係る硫化鉱 油における硫黄含有量に特に制限はないが、通常、硫化鉱油全量を基準として好ま しくは 0. 05-1. 0質量%であり、より好ましくは 0. 1〜0. 5質量%である。
ジチォリン酸亜鉛ィ匕合物、ジチォ力ルバミン酸亜鉛ィ匕合物、ジチォリン酸モリブデ ン化合物及びジチォ力ルバミン酸モリブデンィ匕合物とは、それぞれ下記一般式(26) 〜(29)で表される化合物を意味する。
[化 32]
(26)
[化 33]
[化 34]
[化 35]
[式中
R
80、 R
81 及び R
82は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭素数 1以上の炭化水素基を表し 、 X
5及び X
6はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。 ]
ここで、 R で表される炭化水素基の具体例を例示すれば、メチル基、ェチル 基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基、ノニ ル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデ シル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、ォクタデシル基、ノナデシル基、ィコシル 基、ヘンィコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基などのアルキル基;シク 口ペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基などのシクロアルキル基;メチル
シクロペンチル基、ェチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、プロビルシ クロペンチル基、メチルェチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ブチ ルシクロペンチル基、メチルプロビルシクロペンチル基、ジェチルシクロペンチル基、 ジメチルェチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ェチルシクロへキシル基 、ジメチルシクロへキシル基、プロビルシクロへキシル基、メチルェチルシクロへキシ ル基、トリメチルシクロへキシル基、ブチルシクロへキシル基、メチルプロビルシクロへ キシル基、ジェチルシクロへキシル基、ジメチルェチルシクロへキシル基、メチルシク 口へプチル基、ェチルシクロへプチル基、ジメチルシクロへプチル基、プロビルシクロ ヘプチル基、メチルェチルシクロへプチル基、トリメチルシクロへプチル基、ブチルシ クロへプチル基、メチルプロビルシクロへプチル基、ジェチルシクロへプチル基、ジメ チルェチルシクロへプチル基などのアルキルシクロアルキル基;フエ-ル基、ナフチ ル基などのァリール基;トリル基、キシリル基、ェチルフ -ル基、プロピルフ -ル基 、メチルェチルフエ-ル基、トリメチルフエ-ル基、ブチルフエ-ル基、メチルプロピル フエ-ル基、ジェチルフエ-ル基、ジメチルェチルフエ-ル基、ペンチルフエ-ル基、 へキシルフェ-ル基、ヘプチルフエ-ル基、ォクチルフエ-ル基、ノ-ルフエ-ル基、 デシルフヱニル基、ゥンデシルフヱニル基、ドデシルフヱニル基、トリデシルフヱニル 基、テトラデシルフエ-ル基、ペンタデシルフェ-ル基、へキサデシルフェ-ル基、へ プタデシルフェ-ル基、ォクタデシルフエ-ル基などのアルキルァリール基;ベンジル 基、フエネチル基、フエ-ルプロピル基、フエ-ルブチル基などのァリールアルキル基 などが挙げられる。なお、これらの基の各々には、全ての分枝異性体又は置換異性 体が包含される。
上記の硫黄化合物を用いる場合、その含有量は、組成物全量基準で、好ましくは 0 . 01質量%以上、より好ましくは 0. 05質量%以上、更に好ましくは 0. 1質量%以上 である。硫黄化合物の含有量が前記下限値未満であると、その添加による耐摩耗性 及び摩擦特性の向上効果が不十分となる傾向にある。また、それ以上配合しても添 加量に見合うほどの効果が得られない点から、硫黄化合物の含有量は、組成物全量 基準で、好ましくは 10質量%以下、より好ましくは 5質量%以下、更に好ましくは 3質 量%以下、特に好ましくは 1質量%以下である。
[0365] 本実施形態に係る油圧作動油組成物は、本発明に係る潤滑油基油とリン及び Z又 は硫黄を構成元素として含む化合物とからなるものであってもよ 、が、その特性を更 に向上させるために、以下に示す添加剤を更に含有してもよい。
[0366] 本実施形態に係る油圧作動油組成物は、スラッジ抑制性の点から、分散型粘度指 数向上剤を更に含有することが好ましい。
[0367] 分散型粘度指数向上剤としては、潤滑油の分散型粘度指数向上剤として用いられ る任意の化合物が使用可能であるが、例えば、エチレン性不飽和結合を有する含窒 素モノマーを共重合成分として含む共重合体が好ましい。より具体的には、上記第 2 実施形態の説明において例示された、一般式(12— 1)、 (12— 2)又は(12— 3)で 表される化合物力 選ばれる 1種又は 2種以上のモノマー(モノマー(M— 1) )と、一 般式( 12— 4)又は( 12— 5)で表される化合物力 選ばれる 1種又は 2種以上のモノ マー(モノマー(M— 2) )との共重合体が好まし!/、。
[0368] 本実施形態において、モノマー(M— 1)とモノマー(M— 2)とを共重合させるに際 し、モノマー(M— 1)とモノマー(M— 2)との重合比(モル比)は任意であるが、 80 : 2 0〜95: 5の範囲内であることが好ましい。また、共重合の反応方法も任意であるが、 通常、ベンゾィルパーォキシドなどの重合開始剤の存在下でモノマー(M— 1)とモノ マー(M— 2)とをラジカル溶液重合させることにより、目的の共重合体を容易に且つ 確実に得ることができる。得られる共重合体の数平均分子量も任意であるが、好まし <は 1, 000〜1, 500, 000、より好まし <は 10, 000〜200, 000である。
[0369] 本実施形態に係る油圧作動油組成物における分散型粘度指数向上剤の含有量 は、組成物全量基準で、好ましくは 10質量%以下、より好ましくは 5質量%以下、更 に好ましくは 2質量%である。分散型粘度指数向上剤の含有量が 10質量%を超えて も、含有量に見合うだけのスラッジ抑制性のさらなる向上は見られず、またせん断に よる粘度低下を引き起こすため、好ましくない。また、分散型粘度指数向上剤の含有 量は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 01質量%以上、より好ましくは 0. 05質量% 、更に好ましくは 0. 1質量%以上である。分散型粘度指数向上剤の含有量が 0. 01 質量%に満たない場合は、その添カ卩によるスラッジ抑制性の向上効果が不十分とな る傾向にある。
[0370] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、摩擦特性を更に向上できる点から 、下記一般式(30)〜(32)で表される化合物から選ばれる少なくとも 1種を含むこと が好ましい。
R83-CO-NR84- (CH ) -COOX7 (30)
2 P
[式中、 R83は炭素数 6〜30のアルキル基又は炭素数 6〜30のァルケ-ル基を示し、 R84は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 X7は水素原子、炭素数 1〜30のアルキル基 又は炭素数 1〜30のァルケ-ル基を示し、 pは 1〜4の整数を示す。 ]
[R85— CO— NR86—(CH ) — COO] Y5 (31)
2 q r
[式中、 R85は炭素数 6〜30のアルキル基又は炭素数 6〜30のァルケ-ル基を示し、 R86は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 Y5はアルカリ金属原子又はアルカリ土類金 属原子を示し、 nは 1〜4の整数を示し、 rは、 Y5がアルカリ金属原子である場合は 1、 アルカリ土類金属である場合は 2を示す。 ]
[R87— CO—NR88— (CH ) -COO] Z— (OH) (32)
2 s t u
[式中、 R87は炭素数 6〜30のアルキル基又は炭素数 6〜30のァルケ-ル基を示し、 R88は炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 Zは 2価以上の多価アルコール力 水酸基 を除いた残基を示し、 sは 1〜4の整数を示し、 tは 1以上の整数を示し、 uは 0以上の 整数を示す。 ]
[0371] 一般式(30)〜(32)中、 R
83、
R
87はそれぞれ炭素数 6〜30のアルキル基又は 炭素数 6〜30のァルケ-ル基を示す。 R
83、
R
87で示されるアルキル基又はアル ケニル基の炭素数は、潤滑油基油への溶解性などの点から、 6以上、好ましくは 7以 上、より好ましくは 8以上である。また、貯蔵安定性などの点から、 R
83、 R
85、 R
87で示 されるアルキル基又はァルケ-ル基の炭素数は、 30以下、好ましくは 24以下、より好 ましくは 20以下である。このようなアルキル基及びアルケ-ル基としては、具体的に は例えば、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル 基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、 ヘプタデシル基、ォクタデシル基、ノナデシル基、ィコシル基等のアルキル基 (これら アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);へキセ-ル基、ヘプテュル基、オタテ- ル基、ノネニル基、デセニル基、ゥンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テト
ラデセニル基、ペンタデセニル基、へキサデセニル基、ヘプタデセニル基、ォクタデ セ-ル基、ノナデセ-ル基、ィコセ -ル基等のァルケ-ル基(これらァルケ-ル基は 直鎖状でも分枝状でも良ぐまた二重結合の位置も任意である)等が挙げられる。
[0372] 一般式(30)〜(32)中、 R84、 R86、 R88はそれぞれ炭素数 1〜4のアルキル基を示 す。 R84、 R86、 R88で示されるアルキル基の炭素数は、貯蔵安定性などの点から、 4以 下、好ましくは 3以下、より好ましくは 2以下である。
[0373] また、一般式(30)〜(32)中、 p、 q、 sはそれぞれ 1〜4の整数を示す。 p、 q、 sは、 貯蔵安定性などの点から、 4以下の整数であることが必要であり、 3以下であることが 好ましぐ 2以下であることがより好ましい。
[0374] また、一般式 (30)中、 X7は水素原子、炭素数 1〜30のアルキル基又は炭素数 1〜 30のァルケ-ル基を示す。 X7で示されるアルキル基又はァルケ-ル基の炭素数は、 貯蔵安定性などの点から、 30以下、好ましくは 20以下、より好ましくは 10以下である 。このようなアルキル基又はァルケ-ル基としては、具体的には例えば、メチル基、ェ チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基 、ノニル基、デシル基等のアルキル基 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良 い);ェテュル基、プロべ-ル基、ブテュル基、ペンテ-ル基、へキセ-ル基、ヘプテ
-ル基、オタテュル基、ノネ-ル基、デセ -ル基等のァルケ-ル基(これらァルケ-ル 基は直鎖状でも分枝状でも良ぐまた二重結合の位置も任意である)等が挙げられる 。スラッジ抑制性に優れるなどの点からは、 X5がアルキル基であることが好ましい。ま た、摩擦特性が向上する、摩擦特性効果の持続性が向上するなどの点からは、 X しては、水素原子、炭素数 1〜20のアルキル基又は炭素数 1〜20のァルケ-ル基で あることが好ましぐ水素原子又は炭素数 1〜20のアルキル基であることがより好まし ぐ水素原子又は炭素数 1〜: L0のアルキル基であることがさらにより好ましい。
[0375] 一般式 (31)中、 Y5はアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表し、具体 的には例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。これら の中でも、摩擦特性効果の持続性の向上の点から、アルカリ土類金属が好ましい。 一般式(32)中、 rは、 Y5がアルカリ金属の場合は 1を示し、 Y5がアルカリ土類金属の 場合は 2を示す。
[0376] 一般式(32)中、 Zは 2価以上の多価アルコール力 水酸基を除いた残基を表す。 このような多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、プロピ レングリコール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 2 ブタンジオール、ネオペンチルグリコ ール、 1, 6 へキサンジオール、 1, 2 オクタンジオール、 1, 8 オクタンジオール 、イソプレングリコール、 3—メチルー 1, 5 ペンタンジオール、ソルバイト、力テコー ル、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフエノール A、ビスフエノール F、水添ビスフエノール A、水添ビスフエノール F、ダイマージオール等の 2価のアルコール;グリセリン、 2— ( ヒドロキシメチノレ)一 1, 3 プロノ ンジォ一ノレ、 1, 2, 3 ブタントリオ一ノレ、 1, 2, 3- ペンタントリオール、 2—メチルー 1, 2, 3 プロパントリオール、 2—メチルー 2, 3, 4 —ブタントリオール、 2 ェチル 1, 2, 3 ブタントリオール、 2, 3, 4 ペンタントリ オール、 2, 3, 4一へキサントリオール、 4 プロピル 3, 4, 5 ヘプタントリオール 、 2, 4 ジメチル— 2, 3, 4 ペンタントリオール、 1, 2, 4 ブタントリオール、 1, 2, 4 ペンタントリオール、トリメチロールェタン、トリメチロールプロパン等の 3価アルコ ール;ペンタエリスリトール、エリスリトール、 1, 2, 3, 4 ペンタンテトロール、 2, 3, 4 , 5 へキサンテトロール、 1, 2, 4, 5 ペンタンテトロール、 1, 3, 4, 5 へキサンテ トロール、ジグリセリン、ソルビタン等の 4価アルコール;アド-トール、ァラビトール、キ シリトール、トリグリセリン等の 5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、 マン-トール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、ァロース等の 6価ァ ルコール;ポリグリセリン又はこれらの脱水縮合物等が挙げられる。
[0377] 一般式(32)中、 tは 1以上の整数、 uは 0以上の整数であり、かつ t+uは Zの価数と 同じである。つまり、残基 Zを与える多価アルコールの水酸基のうち、全てが置換され ていても良ぐその一部のみが置換されていても良い。
[0378] 一般式(30)〜(32)の中から選ばれる化合物の中でも、摩擦特性効果の持続性の 向上などの点から、一般式 (30)及び (31)で表される化合物力 選ばれる少なくとも 1種が好ましい。一般式 (30)で表される化合物の好適な例として、 R83が炭素数 17 のァルケ-ル基、 R84がメチル基、 X7が水素原子、 pが 1である N ォレオイルサルコ シンが挙げられる。
[0379] なお、一般式(30)〜(32)で表される化合物は、 1種を単独で使用しても良ぐ 2種
以上を組み合わせて使用しても良 、。
[0380] 一般式(30)〜(32)で表される化合物の含有量は、組成物全量基準で、好ましく は 5質量%以下、より好ましくは 2質量%以下、更に好ましくは 1質量%以下である。 一般式 (30)〜(32)で表される化合物の含有量が 5質量%を超えても、含有量に見 合うだけの摩擦特性の更なる向上はみられず、貯蔵安定性が低下する傾向にある。 また、一般式 (30)〜(32)で表される化合物の含有量は、組成物全量基準で、好ま しくは 0. 001質量%以上、より好ましくは 0. 003質量%以上、更に好ましくは 0. 00 5質量%以上である。一般式(30)〜(32)で表される化合物の含有量が 0. 001質量 %に満たない場合は、その添カ卩による摩擦特性の向上効果が不十分となる傾向にあ る。
[0381] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、さらに摩擦特性がより向上する点 から、下記一般式(33)で表される化合物を含有することが好ま 、。
R89— CH COOH (33)
2
[式中、 R89は炭素数 7〜29のアルキル基、炭素数 7〜29のァルケ-ル基又は下記 一般式 (34) :
R9°— C H O— (34)
6 4
(式中、 R9は炭素数 1〜20のアルキル基又は水素原子を示す。 )
で表される基を示す。 ]
[0382] 一般式(33)中の R89がアルキル基である場合、当該アルキル基の炭素数は、潤滑 油基油への溶解性などの点から、 7以上、好ましくは 9以上である。また、貯蔵安定性 などの点から、当該アルキル基の炭素数は、 29以下、好ましくは 22以下、より好まし くは 19以下である。このようなアルキル基としては、具体的には例えば、ヘプチル基、 ォクチル基、ノニル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ シル基、ペンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、ォクタデシル基、ノナ デシル基等 (これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。
[0383] 一般式(34)中の R89がアルケニル基である場合、当該ァルケ-ル基の炭素数は、 潤滑油基油への溶解性などの点から、 7以上、好ましくは 9以上である。また、貯蔵安 定性などの点から、当該アルケニル基の炭素数は、 29以下、好ましくは 22以下、より
好ましくは 19以下である。このようなァルケ-ル基としては、具体的には例えば、ヘプ テニル基、オタテニル基、ノネニル基、デセニル基、ゥンデセニル基、ドデセニル基、 トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、へキサデセニル基、ヘプタデ セニル基、ォクタデセニル基、ノナデセニル基等(これらァルケ-ル基は直鎖状でも 分枝状でも良い)が挙げられる。
[0384] 一般式 (33)中の R89が一般式 (34)で表される基である場合、一般式 (34)中の R9G は炭素数 1〜20のアルキル基又は水素原子である。 R9で示されるアルキル基の炭 素数は、貯蔵安定性などの点から、 20以下、好ましくは 19以下、より好ましくは 15以 下である。また、当該アルキル基の炭素数は、潤滑油基油への溶解性などの点から 、 3以上、好ましくは 5以上である。また、 R9がアルキル基である場合、当該アルキル 基のベンゼン環上の置換位置は任意である力 摩擦特性の向上効果により優れる点 から、一般式(33)中の CH COOHに対してパラ位またはメタ位であることが好ま
2
しぐパラ位であることがより好ましい。
[0385] 一般式(33)にお!/、て、 R89は、炭素数 7〜29のアルキル基、炭素数 7〜29のアル ケニル基又は一般式(34)で表される基の 、ずれであっても良 、が、摩擦特性により 優れるなどの点から、一般式(34)で表される基であることが好ま 、。
[0386] 一般式(33)で表される化合物の含有量は任意である力 多量に配合するとスラッ ジ抑制性が低下する恐れがあることから、組成物全量基準で、好ましくは 5質量%以 下、より好ましくは 1質量%以下、更に好ましくは 0. 5質量%以下である。一方、摩擦 特性の向上効果を十分に発揮させるなどの点から、一般式 (33)で表される化合物 の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 001質量%以上、より好ましくは 0. 0 03質量%以上、更に好ましくは 0. 005質量%以上である。
[0387] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、スラッジ抑制性の点から、エポキシ 化合物を含有することが好ましい。エポキシィ匕合物の具体例及び好ましい例は、第 1 実施形態におけるエポキシィ匕合物の場合と同様であるため、ここでは重複する説明 を省略する。
[0388] 本実施形態に係る油圧作動油組成物がエポキシ化合物を含有する場合、その含 有量は特に制限されないが、組成物全量基準で、好ましくは 0. 1〜5. 0質量%、より
好ましくは 0. 2〜2. 0質量%である。
[0389] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、酸ィ匕安定性を更に向上できる点か ら、フエノール系酸ィ匕防止剤、アミン系酸化防止剤、またはこの両方を含有することが できる。フエノール系酸ィ匕防止剤及びアミン系酸ィ匕防止剤の具体例及び好まし 、例 は、上記第 2実施形態におけるフエノール系酸ィ匕防止剤及びアミン系酸ィ匕防止剤の 場合と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0390] 本実施形態に係る油圧作動油組成物におけるフ ノール系酸ィ匕防止剤の含有量 は、組成物全量基準で、好ましくは 3質量%以下、より好ましくは 2質量%以下、更に 好ましくは 1質量%である。フエノール系酸ィ匕防止剤の含有量が 3質量%を超えても 、含有量に見合うだけの熱 ·酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性の更なる向上効果は見 られず、また潤滑油基油に対する溶解性が不十分となる傾向にある。また、フエノー ル系酸ィ匕防止剤の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 01質量%以上、よ り好ましくは 0. 1質量%以上、更に好ましくは 0. 2質量%以上である。フエノール系 酸化防止剤の含有量が 0. 01質量%に満たない場合は、その添カ卩による熱 ·酸ィ匕安 定性及びスラッジ抑制性の向上効果が不十分となる傾向にある。
[0391] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物におけるアミン系酸化防止剤の含有量 は、組成物全量基準で、好ましくは 3質量%以下、より好ましくは 2質量%以下、更に 好ましくは 1質量%以下である。アミン系酸ィ匕防止剤の含有量が 3質量%を超えても 、含有量に見合うだけの熱 ·酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性の更なる向上効果は見 られず、また潤滑油基油に対する溶解性が不十分となる傾向にある。一方、アミン系 酸化防止剤の含有量の下限値は、組成物全量基準で、好ましくは 0. 01質量%以上 、より好ましくは 0. 1質量%以上、更に好ましくは 0. 2質量%以上である。アミン系酸 化防止剤の含有量が 0. 01質量%に満たない場合は、その添カ卩による熱 ·酸ィ匕安定 性及びスラッジ抑制性の向上効果が不十分となる傾向にある。
[0392] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、摩擦特性向上の点から、油性剤を 含有することが好ましい。
[0393] 油性剤としては、エステル油性剤、アルコール油性剤、カルボン酸油性剤、エーテ ル油性剤、ァミン油性剤、アミド油性剤などが挙げられる。
[0394] エステル油性剤は、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アル コールとしては、 1価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸として は、一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。
[0395] エステル油性剤を構成する一価アルコールとしては、通常炭素数 1〜24、好ましく は 1〜12、より好ましくは 1〜8のものが用いられ、このようなアルコールとしては直鎖 のものでも分岐のものでもよぐまた飽和のものであっても不飽和のものであってもよ い。炭素数 1〜24のアルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール 、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は 分岐状のペンタノール、直鎖状又は分岐状のへキサノール、直鎖状又は分岐状のへ プタノール、直鎖状又は分岐状のォクタノール、直鎖状又は分岐状のノナノール、直 鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のゥンデ力ノール、直鎖状又は分 岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分岐状のテト ラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐状のへキサ デカノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状のオタタデ 力ノール、直鎖状又は分岐状のノナデ力ノール、直鎖状又は分岐状のィコサノール、 直鎖状又は分岐状のヘンィコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノール、直鎖状 又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
[0396] また、エステル油性剤を構成する多価アルコールとしては、通常 2〜: LO価、好ましく は 2〜6価のものが用いられる。 2〜10の多価アルコールとしては、具体的には例え ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリ コールの 3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレン グリコール(プロピレングリコールの 3〜15量体)、 1, 3 プロパンジオール、 1, 2— プロパンジオール、 1, 3 ブタンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 2—メチルー 1, 2 プロパンジオール、 2—メチルー 1, 3 プロパンジオール、 1, 2 ペンタンジォ ール、 1, 3 ペンタンジオール、 1, 4 ペンタンジオール、 1, 5 ペンタンジオール 、ネオペンチルグリコール等の 2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの 2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアル カン(トリメチロールェタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれ
らの 2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの 2〜4量体、 1, 2, 4—ブタントリオ ール、 1, 3, 5—ペンタントリオール、 1, 2, 6—へキサントリオール、 1, 2, 3, 4—ブ タンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アド-トー ル、ァラビトール、キシリトール、マン-トール等の多価アルコール;キシロース、ァラビ ノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソ ノレボース、セロビオース、マノレトース、イソマノレトース、トレノヽロース、スクロース等の糖 類、及びこれらの混合物等が挙げられる。
[0397] これらの多価アルコールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ エチレングリコール(エチレングリコールの 3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプ ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの 3〜10量体)、 1 , 3—プロパンジオール、 2—メチルー 1, 2—プロパンジオール、 2—メチルー 1, 3— プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、 トリメチロールアルカン(トリメチロールェタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブ タン等)及びこれらの 2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、 1, 2, 4—ブタントリオール、 1, 3, 5—ペンタントリオール、 1, 2, 6—へキサントリオール、 1 , 2, 3, 4—ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合 物、アド-トール、ァラビトール、キシリトール、マン-トール等の 2〜6価の多価アルコ ール及びこれらの混合物等が好ましい。さらにより好ましくは、エチレングリコール、プ ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチローノレエタン、トリメ チロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、及びこれらの混合物等である。
[0398] エステル油性剤を構成するアルコールは、上述したように一価アルコールであって も多価アルコールであってもよいが、摩擦特性により優れる点などから、多価アルコ ールであることが好まし!/、。
[0399] また、エステル油性剤を構成する酸のうち、一塩基酸としては、通常炭素数 2〜24 の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は直鎖のものでも分岐のものでもよぐまた飽和の ものでも不飽和のものでもよい。一塩基酸は 1種を単独で用いてもよぐまたは、 2種 以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0400] 多塩基酸としては、二塩基酸、トリメリット酸等が挙げられるが、二塩基酸であること
が好ましい。二塩基酸は鎖状二塩基酸、環状二塩基酸のいずれであってもよい。ま た、鎖状二塩基酸の場合、直鎖状、分岐状のいずれであってもよぐまた、飽和、不 飽和のいずれであってもよい。鎖状二塩基酸としては、炭素数 2〜16の鎖状二塩基 酸が好ましぐ具体的には例えば、エタンニ酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状の ブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のへキサン二 酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状 又は分岐状のノナンニ酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状の ゥンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン 二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のへプタデカン二 酸、直鎖状又は分岐状のへキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のへキセン二酸、 直鎖状又は分岐状のヘプテン二酸、直鎖状又は分岐状のオタテン二酸、直鎖状又 は分岐状のノネンニ酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のゥ ンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン 二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のへプタデセン二 酸、直鎖状又は分岐状のへキサデセン二酸及びこれらの混合物等が挙げられる。ま た、環状二塩基酸としては、 1、 2—シクロへキサンジカルボン酸、 4ーシクロへキセン - 1, 2—ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、安定 性の点から、鎖状二塩基酸が好ましい。
[0401] エステル系油性剤を構成する酸としては、上述したように一塩基酸であっても多塩 基酸であってもよいが、摩擦特性の向上効果がより優れる点から、一塩基酸が好まし い。
[0402] エステル系油性剤におけるアルコールと酸との組み合わせは任意であって特に制 限されな 、が、例えば下記 (i)〜 (vii)の組み合わせによるエステルを挙げることがで きる。
(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(ii)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(iv)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(v)一価アルコール、多価アルコールとの混合物と多塩基酸との混合エステル
(vi)多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル
(vii)—価アルコール、多価アルコールとの混合物と一塩基酸、多塩基酸との混合ェ ステル。
[0403] 上記(ii)〜(vii)のエステルのそれぞれは、多価アルコールの水酸基又は多塩基酸 のカルボキシル基の全てがエステル化された完全エステルであってもよぐまた、一 部が水酸基又はカルボキシル基として残存する部分エステルであってもよ 、が、摩 擦特性の向上効果の点からは部分エステルであることが好ましい。
[0404] 上記(i)〜(vii)のエステルの中でも、(ii)多価アルコールと一塩基酸とのエステル が好ましい。このエステルは、摩擦特性の向上効果が非常に高いものである。
[0405] また、上記 (ii)のエステルにおいて、一塩基酸の炭素数は、摩擦特性がより向上す る点から、好ましくは 10以上、より好ましくは 12以上、さらに好ましくは 14以上である
[0406] また、一塩基酸の炭素数は、析出防止性の点から、好ましくは 28以下、より好ましく は 26以下、さらに好ましくは 24以下である。このようなエステルとしては、グリセリンモ ノォレート、ソルビタンモノォレートなどが挙げられる。
[0407] アルコール油性剤としては、上記エステル油性剤の説明において例示されたアル コールが挙げられる。アルコール油性剤の炭素数は、摩擦特性向上の点から、 6以 上が好ましぐ 8以上がより好ましぐ 10以上が最も好ましい。また、炭素数が大き過ぎ ると析出しやすくなる恐れがあることから、炭素数は 24以下が好ましぐ 20以下がより 好ましぐ 18以下が最も好ましい。
[0408] カルボン酸油性剤としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。このようなカルボン酸 としては、例えば、エステル油性剤の説明において例示された一塩基酸及び多塩基 酸が挙げられる。これらの中では、摩擦特性の向上の点力 一塩基酸が好ましい。ま た、カルボン酸油性剤の炭素数は、摩擦特性の向上の点から、 6以上が好ましぐ 8 以上がより好ましぐ 10以上が最も好ましい。また、カルボン酸油性剤の炭素数が大 き過ぎると析出しやすくなる恐れがあることから、炭素数は 24以下が好ましぐ 20以 下がより好ましぐ 18以下が最も好ましい。
[0409] エーテル油性剤としては、 3〜6価の脂肪族多価アルコールのエーテル化物、 3〜 6価の脂肪族多価アルコールの二分子縮合物又は三分子縮合物のエーテル化物な どが挙げられる。
[0410] 3〜6価の脂肪族多価アルコールのエーテルィヒ物は、例えば、下記一般式(35)〜
(40)で表される。
[化 36]
OR92
R91OCH2-CH— CH2-OR93 (35)
[化 37]
[化 38]
OR98 OR"
R970— CH2-CH— CH— CH2— OR100 (37)
[化 40]
OR106OR107OR108
R105O-CH2-CH― CH― CH-CH2— OR109 (39) [化 41]
OR 1 OR1 2OR 3OR114
R 10O-CH2-CH—— CH一 CH一 CH-CH2— OR115 (40)
[式中、 1〜 R115は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭素数 1〜 18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ァリル基、ァラルキル基、一(RaO) — R b (Raは炭素数 2〜6のアルキレン基、 Rbは炭素数 1〜20のアルキル基、ァリル基、ァ ラルキル基、 nは 1〜 10の整数を示す)で示されるグリコールエーテル残基を示す。 ]
[0411] 3〜6価の脂肪族多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロ ノ ン、エリスリトーノレ、ペンタエリスリトール、ァラビトール、ソルビトール、マンニトーノレ などが挙げられる。上記一般式(35)〜 (40)中の R91〜R115としては、メチル基、ェチ ル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種へキ シル基、各種へプチル基、各種ォクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ゥン デシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシ ル基、各種へキサデシル基、各種へプタデシル基、各種ォクタデシル基、フ ニル基 、ベンジル基などが挙げられる。また、上記エーテル化物は、 R91〜R115の一部が水 素原子である部分エーテル化物も包含する。
[0412] 3〜6価の脂肪族多価アルコールの二分子縮合物又は三分子縮合物のエーテル 化物としては、上記一般式(35)〜 (40)で表される化合物のうちの同種又は異種の 縮合物が挙げられる。例えば、一般式(35)で表されるアルコールの二分子縮合物 及び三分子縮合物のエーテル化物はそれぞれ一般式 (41)及び (42)で表される。 また、一般式(38)で表されるアルコールの二分子縮合物及び三分子縮合物のエー テル化物はそれぞれ一般式 (43)及び (44)で表される。
[化 42]
OR92 OR92
I I (41 )
R91O CH2-CH— CH2-0-CH2-CH— CH2-OR93
[化 43]
OR92 OR92 OR92
R91O CH2-CH— CH2-0— CH2-CH— CH2-0-CH2-CH— CH2-OR93 (42)
[化 45]
CH2OR102 CH2OR102 CH2OR102
R101O-CH2-CH— CH2-0-CH2-CH— CH2-0-CH2-CH— CH2-OR104 (44)
CH2OR103 CH2OR103 CH2OR103
[式中、 R91〜R93及び R1G1〜R1G4はそれぞれ式(35)中の R91〜R93及び式(38)中の R皿〜 R1G4と同一の定義内容を示す。 ]
[0413] 3〜6価の脂肪族多価アルコールの二分子縮合物、三分子縮合物の具体例として は、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジソルビトール、ト リグリセリン、トリトリメチロールプロパン、トリペンタエリスリトール、トリソルビトールなど が挙げられる。
[0414] 一般式(35)〜(40)で表されるエーテル油性剤の中でも、グリセリンのジフエ-ル ォクチルトリエーテル、トリメチロールプロパンのジ (メチルォキシイソプロピレン)ドデ シノレトリエーテノレ、ペンタエリスリトーノレのテトラへキシノレエーテノレ、ソノレビトーノレのへ キサプロピルエーテル、ジグリセリンのジメチルジォクチルテトラエーテル、トリグリセリ
ノレのへキサプロピノレエ一テル、トリペンタエリスリトーノレのペンタメチノレオクチノレへキサ エーテルが好ましい。
[0415] 本発明で用いることのできる油性剤には、上記の他、ァミン油性剤、アミド油性剤等 が挙げられる。
[0416] ァミン油性剤としては、モノアミン、ポリアミン、アルカノールァミン等が挙げられるが 、これらの中でも、摩擦特性向上の点から、モノアミンが好ましい。
[0417] モノアミンとしては、具体的には例えば、モノメチルァミン、ジメチルァミン、トリメチル ァミン、モノェチルァミン、ジェチルァミン、トリエチルァミン、モノプロピルァミン、ジプ 口ピルァミン、トリプロピルァミン、モノブチルァミン、ジブチルァミン、トリブチルァミン、
モノペンチルァミン、ジペンチルァミン、トリペンチルァミン、モノへキシルァミン、ジへ キシルァミン、モノへプチルァミン、ジヘプチルァミン、モノォクチルァミン、ジォクチ ルァミン、モノノ-ルァミン、モノデシルァミン、モノウンデシルァミン、モノドデシルアミ ン、モノトリデシルァミン、モノテトラデシルァミン、モノペンタデシルァミン、モノへキサ デシルァミン、モノへプタデシルァミン、モノォクタデシルァミン、モノノナデシルァミン 、モノィコシルァミン、モノへンィコシルァミン、モノドコシルァミン、モノトリコシルァミン 、ジメチル(ェチル)ァミン、ジメチル(プロピル)ァミン、ジメチル(ブチル)ァミン、ジメ チル(ペンチル)ァミン、ジメチル(へキシル)ァミン、ジメチル(ヘプチル)ァミン、ジメ チル(ォクチル)ァミン、ジメチル(ノエル)ァミン、ジメチル(デシル)ァミン、ジメチル( ゥンデシル)ァミン、ジメチル(ドデシル)ァミン、ジメチル(トリデシル)ァミン、ジメチル( テトラデシル)ァミン、ジメチル(ペンタデシル)アミン、ジメチル(へキサデシル)ァミン 、ジメチル(ヘプタデシル)アミン、ジメチル(ォクタデシル)ァミン、ジメチル(ノナデシ ル)ァミン、ジメチル (ィコシル)ァミン、ジメチル(ヘンィコシル)ァミン、ジメチル(トリコ シル)ァミン等のアルキルアミン;
モノビ-ルァミン、ジビュルァミン、トリビュルァミン、モノプロべ-ルァミン、ジプロべ -ルァミン、トリプロぺニルァミン、モノブテュルァミン、ジブテュルァミン、トリブテニル ァミン、モノペンテ-ルァミン、ジペンテ-ルァミン、トリペンテ-ルァミン、モノへキセ ニルァミン、ジへキセニルァミン、モノへプテニルァミン、ジヘプテニルァミン、モノオタ テニルァミン、ジォクテュルァミン、モノノネ-ルァミン、モノデセ -ルァミン、モノウン デセ -ルァミン、モノドデセ -ルァミン、モノトリデセ -ルァミン、モノテトラデセ-ルアミ ン、モノペンタデセ -ルァミン、モノへキサデセ-ルァミン、モノヘプタデセ -ルァミン 、モノォクタデセ -ルァミン、モノノナデセ-ルァミン、モノィコセ -ルァミン、モノヘン ィコセ -ルァミン、モノドコセ -ルァミン、モノトリコセ -ルァミン等のアルケ-ルァミン; ジメチル(ビュル)ァミン、ジメチル(プロべ-ル)ァミン、ジメチル(ブテュル)ァミン、 ジメチル(ペンテ-ル)ァミン、ジメチル(へキセ -ル)ァミン、ジメチル(ヘプテュル)ァ ミン、ジメチル(オタテュル)ァミン、ジメチル(ノネ-ル)ァミン、ジメチル(デセ -ル)ァ ミン、ジメチル(ゥンデセ -ル)ァミン、ジメチル(ドデセ -ル)ァミン、ジメチル(トリデセ -ル)ァミン、ジメチル(テトラデセ -ル)ァミン、ジメチル(ペンタデセ -ル)ァミン、ジメ
チル(へキサデセ -ル)ァミン、ジメチル(ヘプタデセ -ル)ァミン、ジメチル(ォクタデ セ -ル)ァミン、ジメチル(ノナデセ -ル)ァミン、ジメチル (ィコセ -ル)ァミン、ジメチル (ヘンィコセ -ル)ァミン、ジメチル(トリコセ -ル)ァミン等のアルキル基及びァルケ- ル基を有するモノアミン;
モノベンジルァミン、(1 フエ-ルチル)ァミン、(2—フエ-ルェチル)ァミン(別名: モノフエネチルァミン)、ジベンジルァミン、ビス(1—フエ-ェチル)ァミン、ビス(2—フ ヱ-ルエチレン)ァミン (別名:ジフエネチルァミン)等の芳香族置換アルキルアミン; モノシクロペンチルァミン、ジシクロペンチルァミン、トリシクロペンチルァミン、モノシ クロへキシルァミン、ジシクロへキシルァミン、モノシクロへプチルァミン、ジシクロヘプ チルァミン等の炭素数 5〜 16のシクロアルキルァミン;
ジメチル(シクロペンチル)ァミン、ジメチル(シクロへキシル)ァミン、ジメチル(シクロ ヘプチル)ァミン等のアルキル基及びシクロアルキル基を有するモノアミン;
(メチルシクロペンチル)ァミン、ビス(メチルシクロペンチル)ァミン、(ジメチルシクロ ペンチル)ァミン、ビス(ジメチルシクロペンチル)ァミン、(ェチルシクロペンチル)アミ ン、ビス(ェチルシクロペンチル)ァミン、(メチルェチルシクロペンチル)ァミン、ビス( メチルェチルシクロペンチル)ァミン、(ジェチルシクロペンチル)ァミン、(メチルシクロ へキシル)ァミン、ビス(メチルシクロへキシル)ァミン、(ジメチルシクロへキシル)ァミン 、ビス(ジメチルシクロへキシル)ァミン、(ェチルシクロへキシル)ァミン、ビス(ェチル シクロへキシル)ァミン、(メチルェチルシクロへキシル)ァミン、(ジェチルシクロへキ シル)ァミン、(メチルシクロへプチル)ァミン、ビス(メチルシクロへプチル)ァミン、(ジ メチルシクロへプチル)ァミン、(ェチルシクロへプチルァミン、(メチルェチルシクロへ プチル)ァミン、(ジェチルシクロへプチル)ァミン等のアルキルシクロアルキルアミン; 等が挙げられる。また、前記モノアミンには牛脂アミン等の、油脂力 誘導されるモノ アミンも含まれる。なお、これらの化合物の各々には、全ての異性体が含まれる。 上記したモノアミンの中でも、摩擦特性向上の点から、特にアルキルァミン、アルキ ル基及びァルケ-ル基を有するモノアミン、アルキル基及びシクロアルキル基を有す るモノアミン、シクロアルキルアミン並びにアルキルシクロアルキルァミンが好ましぐァ ルキルァミン、アルキル基及びアルケ-ル基を有するモノアミンがより好まし!/、。
[0419] モノアミンの炭素数については特に制限は無いが、防鲭性の点から 8以上であるこ と力 子ましく、 12以上であることがより好ましい。また、摩擦特性向上の点から、 24以 下であることが好ましぐ 18以下であることがより好ましい。
[0420] さらに、モノアミンにおいて窒素原子に結合する炭化水素基の数についても特に制 限はないが、摩擦特性向上の点から、 1〜2個であることが好ましぐ 1個であることが より好まし 、。
[0421] アミド油性剤としては、炭素数 6〜30の脂肪酸やその酸塩ィ匕物をアンモニアや炭素 数 1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するァミン 化合物等の含窒素化合物を反応させて得られるアミド等が挙げられる。
[0422] ここでいう脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂肪酸でもよぐ飽和脂肪酸でも不 飽和脂肪酸でもよい。またその炭素数は 6〜30、好ましくは 9〜24が望ましい。
[0423] この脂肪酸としては、具体的には例えば、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカ ン酸、ゥンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、へキ サデカン酸、ヘプタデカン酸、ォクタデカン酸、ノナデカン酸、ィコサン酸、ヘンィコサ ン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、へキサコサン酸、へ プタコサン酸、ォクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンチル基等の飽和脂肪酸 (これ ら飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよい);ヘプテン酸、オタテン酸、ノネン酸、デ セン酸、ゥンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、 へキサデセン酸、ヘプタデセン酸、ォクタデセン酸 (ォレイン酸を含む)、ノナデセン 酸、ィコセン酸、ヘンィコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセ ン酸、へキサコセン酸、ヘプタコセン酸、ォクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン 酸等の不飽和脂肪酸 (これら不飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよぐまた二重 結合の位置も任意である);等が挙げられるが、ラウリン酸、ミリスチン酸、ノルミチン 酸、ステアリン酸、ォレイン酸、各種油脂力 誘導される直鎖脂肪酸 (ヤシ油脂肪酸 等)の直鎖脂肪酸やォキソ法等で合成される直鎖脂肪酸と分枝脂肪酸の混合物等 が好ましく用いられる。
[0424] 上記脂肪酸と反応させる含窒素化合物としては、具体的には、アンモニア;モノメチ ルァミン、モノェチルァミン、モノプロピルァミン、モノブチルァミン、モノペンチルアミ
ン、モノへキシルァミン、モノへプチルァミン、モノォクチルァミン、ジメチルァミン、メ チルェチルァミン、ジェチルァミン、メチルプロピルァミン、ェチルプロピルァミン、ジ プロピルァミン、メチルブチルァミン、ェチルブチルァミン、プロピルブチルァミン、ジ ブチルァミン、ジペンチルァミン、ジへキシルァミン、ジヘプチルァミン、ジォクチルァ ミン等のアルキルアミン (アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよ ヽ);モノメタノールァ ミン、モノエタノールァミン、モノプロパノールァミン、モノブタノールァミン、モノペンタ ノールァミン、モノへキサノールァミン、モノへプタノールァミン、モノォクタノールアミ ン、モノノナノールァミン、ジメタノールァミン、メタノールエタノールァミン、ジエタノー ルァミン、メタノールプロパノールァミン、エタノールプロパノールァミン、ジプロパノー ルァミン、メタノールブタノールァミン、エタノールブタノールァミン、プロパノールブタ ノールァミン、ジブタノールァミン、ジペンタノールァミン、ジへキサノールァミン、ジへ プタノールァミン、ジォクタノールァミン等のアルカノールァミン(アル力ノール基は直 鎖状でも分枝状でもよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
[0425] 脂肪酸アミドとしては、具体的には、ラウリン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、 ラウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸アミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、 ミリスチン酸モノプロパノールアミド、パルミチン酸アミド、パルミチン酸ジエタノールァ ミド、パルミチン酸モノプロパノールアミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ジエタノー ルアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミド、ォレイン酸アミド、ォレイン酸ジエタノー ルアミド、ォレイン酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミド、ヤシ油脂肪酸ジェ タノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、炭素数 12〜 13の合成混合脂 肪酸アミド、炭素数 12〜 13の合成混合脂肪酸ジェタノールアミド、炭素数 12〜13の 合成混合脂肪酸モノプロパノールアミド、及びこれらの混合物等が特に好ましく用い られる。
[0426] 油性剤のうち、好ましいものは、摩擦特性向上効果の点から、多価アルコール部分 エステルと脂肪族アミドである。
[0427] 本実施形態に係る油圧作動油組成物における油性剤の含有量は任意であるが、 摩擦特性の向上効果に優れる点から、組成物全量を基準として、好ましくは 0. 01質 量%以上、より好ましくは 0. 05質量%以上、さらに好ましくは 0. 1質量%以上である
。また、当該含有量は、析出防止性の点から、組成物全量を基準として、好ましくは 1 0質量%以下、より好ましくは 7. 5質量%以下、さらに好ましくは 5質量%以下である
[0428] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、熱 ·酸ィ匕安定性向上の点から、下 記式 (45)で表される構造を有するトリァゾール及び Z又はその誘導体を含有するこ とが好ましい。
[化 46]
[0429] 式 (45)中、 2つの破線はトリアゾール環に置換する同一または異なる置換基、好ま しくは炭化水素基をそれぞれ表し、両者は互いに結合して環状基、たとえば縮合べ ンゼン環を構成することができる。
[0430] トリァゾールおよび Zまたはその誘導体として好ましい化合物は、ベンゾトリァゾー ル及び Z又はその誘導体である。
[0431] 上記べンゾトリアゾールとしては、下記式 (46)で表される化合物が例示される。
[化 47]
また、ベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、下記一般式 (47)で表されるアル キルべンゾトリアゾールや、一般式(48)で表される(アルキル)アミノアルキルべンゾト リアゾール等が挙げられる。
[化 48]
[0433] 上記式 (47)中、 R116は炭素数 1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を、好ましく はメチル基又はェチル基を示し、また Xは 1〜3の整数、好ましくは 1又は 2を示す。 R1 16としては、例えば、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチ ル基、イソブチル基、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基等が挙げられる。式 (47)で表 されるアルキルべンゾトリアゾールとしては、特に熱'酸ィ匕防止性に優れるという点か ら、 R116がメチル基又はェチル基であり、 Xが 1又は 2である化合物が好ましぐ例えば 、メチルベンゾトリアゾール(トリルトリァゾール)、ジメチルベンゾトリァゾール、ェチル ベンゾトリァゾール、ェチルメチルベンゾトリァゾール、ジェチルベンゾトリアゾール又 はこれらの混合物等が挙げられる。
[0434] 上記式 (48)中、 R117は炭素数 1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基、好ましく はメチル基又はェチル基を示し、 R118はメチレン基又はエチレン基を示し、 R119及び R12は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ水素原子又は炭素数 1〜18の直鎖状 若しくは分枝状のアルキル基、好ましくは炭素数 1〜12の直鎖状又は分枝状のアル キル基を示し、また yは 0〜3の整数、好ましくは 0又は 1を示す。 R117としては、例えば 、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基、イソブチル基 、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基等が挙げられる。 R119及び R12としては、例えば、 別個に、水素原子、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチル基 、イソブチル基、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直 鎖又は分枝のへキシル基、直鎖又は分枝のへプチル基、直鎖又は分枝のォクチル 基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のゥンデシ ル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝の テトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のへキサデシル基
、直鎖又は分枝のへプタデシル基、直鎖又は分枝のォクタデシル基等のアルキル基 が挙げられる。
上記式 (48)で表される(アルキル)ァミノべンゾトリアゾールとしては、特に酸化防止 性に優れるという点から、 R117がメチル基であり、 yが 0又は 1であり、 R118がメチレン基 又はエチレン基であり、 R119及び R12Gが炭素数 1〜12の直鎖状又は分枝状のアルキ ル基であるジアルキルアミノアルキルべンゾトリァゾールゃジアルキルアミノアルキル トリルトリァゾール又はこれらの混合物等が好ましく用いられる。これらのジアルキルァ ミノアルキルべンゾトリアゾールとしては、例えば、ジメチルァミノメチルベンゾトリアゾ ール、ジェチルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルアミノメチ ルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ( 直鎖又は分枝)ペンチルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)へキシ ルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルァミノメチルベンゾトリ ァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ォクチルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は 分枝)ノ -ルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルァミノメチルベ ンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ゥンデシルァミノメチルベンゾトリァゾール、ジ( 直鎖又は分枝)ドデシルァミノメチルベンゾトリアゾール;ジメチルアミノエチルベンゾト リアゾール、ジェチルアミノエチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピルァ ミノェチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノエチルベンゾトリァゾ ール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルアミノエチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分 枝)へキシルアミノエチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノエチ ルベンゾトリアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ォクチルアミノエチルベンゾトリァゾール、 ジ(直鎖又は分枝)ノニルアミノエチルベンゾトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)デシル アミノエチルベンゾトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ゥンデシルアミノエチルベンゾトリ ァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルアミノエチルベンゾトリアゾール;ジメチルァミノ メチルトリルトリァゾール、ジェチルァミノメチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝) プロピルアミノメチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルァミノメチルトリルト リアゾール、ジ(直鎖又は分枝)ペンチルァミノメチルトリルトリァゾール、ジ (直鎖又は 分枝)へキシルァミノメチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノメチ
ルトリルトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)ォクチルァミノメチルトリルトリァゾール、ジ( 直鎖又は分枝)ノニルァミノメチルトリルトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)デシルァミノ メチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ゥンデシルァミノメチルトリルトリァゾール 、ジ(直鎖又は分枝)ドデシルァミノメチルトリルトリァゾール;ジメチルアミノエチルトリ ルトリァゾール、ジェチルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)プロピル アミノエチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ブチルアミノエチルトリルトリァゾー ル、ジ (直鎖又は分枝)ペンチルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝) へキシルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ヘプチルアミノエチルトリ ルトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)ォクチルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ (直鎖 又は分枝)ノ-ルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)デシルアミノエチ ルトリルトリァゾール、ジ(直鎖又は分枝)ゥンデシルアミノエチルトリルトリァゾール、ジ (直鎖又は分枝)ドデシルアミノエチルトリルトリァゾール;又はこれらの混合物等が挙 げられる。
[0436] 本実施形態に係る油圧作動油組成物におけるトリァゾール及び Z又はその誘導体 の含有量は任意である力 組成物全量基準で、好ましくは 0. 001質量%以上、より 好ましくは 0. 005質量%以上である。トリァゾール及び Z又はその誘導体の含有量 が 0. 001質量%未満の場合には、その添カ卩による熱'酸ィ匕安定性の向上効果が不 十分となる傾向にある。また、トリァゾール及び Z又はその誘導体の含有量は、組成 物全量基準で、好ましくは 1. 0質量%以下、より好ましくは 0. 5質量%以下である。 1 . 0質量%を超える場合は、含有量に見合うだけの熱 ·酸ィ匕安定性の更なる向上効 果が得られず、経済的に不利となるおそれがある。
[0437] また、本実施形態に係る油圧作動油組成物は、その性能を更に向上させる目的で 、必要に応じて、さび止め剤、金属不活性化剤、上記した分散型粘度指数向上剤以 外の粘度指数向上剤や清浄分散剤、流動点降下剤、消泡剤等に代表される各種添 加剤を単独で、または複数種組み合わせて含有させても良 、。
[0438] さび止め剤としては、具体的には、脂肪酸金属塩、ラノリン脂肪酸金属塩、酸化ヮッ タス金属塩等の金属石けん類;ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール部分 エステル類;ラノリン脂肪酸エステル等のエステル類;カルシウムスルフォネート、バリ
ゥムスルフォネート等のスルフォネート類;酸化ワックス;アミン類;リン酸;リン酸塩等が 例示できる。本実施形態においては、これらのさび止め剤の中から任意に選ばれた 1 種類あるいは 2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができる力 通常、 その含有量は、組成物全量基準で 0. 01〜1質量%であるのが望ましい。
[0439] 金属不活性化剤としては、具体的には、上記のベンゾトリアゾール系化合物の他、 イミダゾール系化合物等が例示できる。本実施形態においては、これらの金属不活 性化剤の中から任意に選ばれた 1種類あるいは 2種類以上の化合物を、任意の量で 含有させることができるが、通常、その含有量は、組成物全量基準で 0. 001〜1質 量%であるのが望ましい。
[0440] また、分散型粘度指数向上剤以外の粘度指数向上剤としては、具体的には、各種 メタクリル酸エステル力 選ばれる 1種または 2種以上のモノマーの共重合体若しくは その水添物、エチレン aーォレフイン共重合体( α—ォレフインとしてはプロピレン 、 1ーブテン、 1 ペンテン等が例示できる)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン 若しくはその水添物、スチレン ジェン水素化共重合体及びポリアルキルスチレン等 の、いわゆる非分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また分散型粘度指数向上 剤以外の清浄分散剤としては、ァルケ-ルコハク酸イミド、スルフォネート、サリシレー ト、フ ネート等が例示される。これらの粘度指数向上剤や清浄分散剤の中から任意 に選ばれた 1種類あるいは 2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができ る力 通常、その含有量は、組成物全量基準で 0. 01〜10質量%であるのが望まし い。
[0441] 流動点降下剤としては、具体的には、各種アクリル酸エステルゃメタクリル酸エステ ルから選ばれる 1種または 2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物等が 例示できる。これらの流動点降下剤の中から任意に選ばれた 1種類あるいは 2種類 以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、組成 物全量基準で 0. 01〜5質量%であるのが望ましい。
[0442] 消泡剤としては、具体的には、ジメチルシリコーン、フルォロシリコーン等のシリコー ン類が例示できる。本実施形態においては、これらの消泡剤の中から任意に選ばれ た 1種類あるいは 2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通
[0443] 上記構成を有する本実施形態に係る油圧作動油組成物は、耐摩耗性、摩擦特性 、熱'酸化安定性及び粘度 温度特性の全てを高水準でバランスよく達成することが できるものである。油圧作動システムの高性能化及び省エネルギー化の点で非常に 有用である。
[0444] 本実施形態に係る油圧作動油組成物が適用される油圧機器としては、特に制限さ れないが、例えば、射出成形機、工作機械、建設機械、製鉄設備、産業用ロボット、 油圧エレベータなどが挙げられる。
[0445] (第 4実施形態;金属加工油組成物)
本発明の第 4実施形態に係る金属加工油組成物は、上記本発明に係る潤滑油基 油と、エステル、アルコール、カルボン酸、並びに構成元素としてリン及び Z又は硫 黄を含む化合物カゝら選ばれる少なくとも 1種の潤滑性向上剤とを含有する。
[0446] なお、本実施形態に係る金属加工油組成物にぉ ヽて、本発明に係る潤滑油基油 の態様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明は省略 する。
[0447] また、本実施形態に係る金属加工油組成物にぉ 、ては、上記本発明に係る潤滑 油基油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又 は 2種以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占める本 発明に係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここで は重複する説明を省略する。
[0448] また、本実施形態に係る金属加工油組成物は、エステル、アルコール、カルボン酸
、並びに構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物力 選ばれる少なくとも 1 種の潤滑性向上剤を含有する。
[0449] 潤滑性向上剤としてのエステルを構成するアルコールは 1価アルコールでも多価ァ ルコールでもよい。また、当該エステルを構成するカルボン酸は一塩基酸でも多塩基 酸であってもよい。
[0450] 1価アルコールとしては、通常炭素数 1〜24のものが用いられ、このようなアルコー
ルとしては直鎖のものでも分岐のものでもよい。炭素数 1〜24のアルコールとしては、 具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直 鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は分岐状のォクタノール、直鎖状又は分岐 状のノナノール、直鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のゥンデカノ ール、直鎖状又は分岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖 状又は分岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状 又は分岐状のへキサデ力ノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又 は分岐状のォクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデ力ノール、直鎖状又は分 岐状のエイコサノール、直鎖状又は分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状又は分岐 状のトリコサノール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物が挙 げられる。
また、多価アルコールとしては、通常 2〜10価、好ましくは 2〜6価のものが用いら れる。 2〜10価多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジ エチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの 3〜15量体)、プ ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリ コールの 3〜 15量体)、 1, 3 プロパンジオール、 1, 2 プロパンジオール、 1, 3— ブタンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 2—メチルー 1, 2 プロパンジオール、 2— メチルー 1, 3 プロパンジオール、 1, 2 ペンタンジオール、 1, 3 ペンタンジォー ル、 1, 4 ペンタンジオール、 1, 5 ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等 の 2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの 2〜8量体、例えばジグリセリ ン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールェタン、トリ メチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)及びこれらの 2〜8量体、ペンタエリス リトール及びこれらの 2〜4量体、 1, 2, 4 ブタントリオール、 1, 3, 5 ペンタントリオ ール、 1, 2, 6 へキサントリオール、 1, 2, 3, 4 ブタンテトロール、ソルビトール、ソ ルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アド-トール、ァラビトール、キシリトール、マ ン-トールなどの多価アルコール;キシロース、ァラビノース、リボース、ラムノース、グ ノレコース、フノレクトース、ガラクトース、マンノース、ソノレボース、セロビオース、マノレト ース、イソマルトース、トレハロース、スクロースなどの糖類、及びこれらの混合物が挙
げられる。
[0452] これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコ ール(エチレングリコールの 3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ ール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの 3〜10量体)、 1, 3 プロノ ンジオール、 2—メチルー 1, 2 プロパンジオール、 2—メチルー 1, 3 プロパンジ オール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロー ルアルカン(トリメチロールェタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど) 及びこれらの 2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、 1, 2, 4 ブタ ントリオール、 1, 3, 5 ペンタントリオール、 1, 2, 6 へキサントリオール、 1, 2, 3, 4 ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アド 二トール、ァラビトール、キシリトール、マン-トールなどの 2〜6価の多価アルコール 及びこれらの混合物等がより好ましい。さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピ レングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールェタン、トリメチロ ールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、及びこれらの混合物等である。
[0453] また、エステルを構成する一塩基酸としては、通常炭素数 6〜24の脂肪酸で、直鎖 のものでも分岐のものでも良ぐまた飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的 には例えば、直鎖状又は分岐状のへキサン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直 鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状の ゥンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、 直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状 又は分岐状のへキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のォクタデカン酸、直鎖状又は分 岐状のヒドロキシォクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分 岐状のエイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンエイコサン酸、直鎖状又は分岐状の ドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸 などの飽和脂肪酸;直鎖状又は分岐状のへキセン酸、直鎖状又は分岐状のへプテ ン酸、直鎖状又は分岐状のオタテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は 分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のゥンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデ セン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直
鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のへキサデセン酸、直鎖状 又は分岐状のォクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシォクタデセン酸、直鎖 状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のエイコセン酸、直鎖状又は分岐 状のヘンエイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコ セン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、及びこれらの混 合物が挙げられる。これらの中でも、特に炭素数 8〜20の飽和脂肪酸、炭素数 8〜2 0の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物が好ましい。
[0454] エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数 2〜16の二塩基酸及びトリメ リト酸等が挙げられる。炭素数 2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分岐のも のでも良ぐまた飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、ェタン 二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタ ンニ酸、直鎖状又は分岐状のへキサン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直 鎖状又は分岐状のノナンニ酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐 状のゥンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリ デカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のへプタデ カン二酸、直鎖状又は分岐状のへキサデカン二酸;直鎖状又は分岐状のへキセン 二酸、直鎖状又は分岐状のオタテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネンニ酸、直鎖状 又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のゥンデセン二酸、直鎖状又は分岐 状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラ デセン二酸、直鎖状又は分岐状のへプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のへキサ デセン二酸;及びこれらの混合物が挙げられる。
[0455] 本発明では、任意のアルコールとカルボン酸の組み合わせによるエステルが使用 可能であり、特に限定されるものではない。具体的には、下記 (i)〜(vii)に示すエス テルを好ましく使用することができる。
(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(ii)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(iv)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(v)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコ一ルと多塩基酸とのエステル
(vi)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル
(vii)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと一塩基酸及び多塩基 酸の混合カルボン酸とのエステル。
[0456] なお、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合、そのエステルは、多価 アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルであってもよぐまた、 水酸基の一部がエステルイ匕されず水酸基のままで残っている部分エステルであって もよい。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合、そのエステルは、多塩 基酸中のカルボキシル基全てがエステルイ匕された完全エステルでもよぐカルボキシ ル基の一部がエステルイ匕されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルで あってもよい。
[0457] 本実施形態で用いられるエステルとしては、上記した何れのものも使用可能である 力 この中でもより加工性に優れる点から、(i)一価アルコールと一塩基酸とのエステ ルと、(iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステルが好ましぐ(i)一価アルコールと 一塩基酸とのエステルがより好ましぐ (i)一価アルコールと一塩基酸とのエステルと( iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステルを併用することが最も好まし 、。
[0458] 本実施形態において好ましく用いられる (i)一価アルコールと一塩基酸とのエステ ルの合計炭素数には特に制限はないが、合計炭素数の下限値が 7以上のエステル が好ましぐ 9以上のエステルがより好ましぐ 11以上のエステルが最も好ましい。また 、合計炭素数の上限値が 26以下のエステルが好ましぐ 24以下のエステルがより好 ましぐ 22以下のエステルが最も好ましい。前記一価アルコールの炭素数には特に 制限はないが、炭素数 1〜10が好ましぐ炭素数 1〜8がより好ましぐ炭素数 1〜6が さらにより好ましぐ炭素数 1〜4が最も好ましい。前記一塩基酸の炭素数には特に制 限はないが、炭素数 8〜22が好ましぐ炭素数 10〜20がより好ましぐ炭素数 12〜1 8が最も好ましい。なお、前記合計炭素数、前記アルコールの炭素数及び前記一塩 基酸の炭素数のそれぞれが前記上限値を超えると、スティンや腐食の発生を増大さ せるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大 きくなる、あるいは潤滑油基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるな
どの傾向がある。また、前記合計炭素数、前記アルコールの炭素数及び前記一塩基 酸の炭素数のそれぞれが下限値未満であると、潤滑性が不十分となる傾向にあり、 また、臭気により作業環境が悪化するおそれがある。
[0459] 本実施形態にぉ 、て好ましく用いられる (iii)一価アルコールと多塩基酸とのエステ ルの形態は特に制限されないが、下記一般式 (49)で表されるジエステル、又はトリメ リット酸のエステルであることが好まし 、。
Rm-0-CO- (CH ) -CO-O-R122 (49)
2 n
[式中、 R121及び R122は同一でも異なっていてもよぐそれぞれ炭化水素基を示し、 n は 4〜8の整数を示す。 ]
[0460] 一般式 (49)中の R121及び R122はそれぞれ炭化水素基を示すが、かかる炭化水素 基の炭素数は 3〜: L0であることが好ましい。なお、炭化水素基の炭素数が 3未満であ ると、潤滑性の向上効果が期待できなくなるおそれがあり、また、臭気により作業環境 が悪ィ匕するおそれがある。また、炭化水素基の炭素数が 10を超えると、スティンや腐 食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難 になるおそれが大きくなる、潤滑油基油への溶解性が低下して析出するおそれが大 きくなるなどの傾向がある。
[0461] 一般式 (49)中の R121及び R122で示される炭化水素基としては、アルキル基、アル ケ-ル基、アルキルシクロアルキル基、アルキルフヱ -ル基、フヱ -ルアルキル基等 が挙げられ、特にアルキル基が好ましい。
[0462] Rm、 R122がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖アルキル基又は分岐 アルキル基のいずれであってもよぐまた、同一分子中に直鎖アルキル基と分岐アル キル基が混在して ヽてもよ ヽが、分岐アルキル基が好ま ヽ。
[0463] Rm及び R122で示されるアルキル基としては、具体的には例えば、直鎖又は分岐の プロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、直鎖又は分岐のペンチル基、直鎖又は分 岐のへキシル基、直鎖又は分岐のへプチル基、直鎖又は分岐のォクチル基、直鎖 又は分岐のノ-ル基、直鎖又は分岐のデシル基等を挙げることができる。
[0464] また、一般式(49)中の nは 4〜8の整数を示す。なお、 nが 8を超えると、スティンや 腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困
難になるおそれが大きくなる、潤滑油基油への溶解性が低下して析出するおそれが 大きくなるなどの傾向がある。また、 nが 4未満であると、潤滑性の向上効果が期待で きなくなるおそれがある、臭気により作業環境が悪ィ匕するなどの傾向がある。更に、原 料の入手のしゃすさ、及び価格の点力 n力 又は 6であるジエステルが特に好まし い。
[0465] 上記一般式 (49)で表されるジエステルは任意の方法で得られるが、例えば炭素数 6〜10 (炭素数 6から順に、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、ァゼライン酸、セバシン 酸)の直鎖飽和ジカルボン酸又はその誘導体と炭素数 3〜10のアルコールとをエス テルィ匕させる方法などが例示される。
[0466] また、エステルがトリメリット酸と 1価アルコールとのエステルである場合、当該 1価ァ ルコールの炭素数は特に制限はないが、炭素数 1〜: LOが好ましぐ炭素数 1〜8がよ り好ましぐ炭素数 1〜6がさらに好ましぐ炭素数 1〜4が最も好ましい。なお、 1価ァ ルコールの炭素数が 10を超えると、スティンや腐食の発生を増大させるおそれが大 きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、潤滑油 基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの傾向がある。トリメリツ ト酸のエステルは、部分エステル (モノエステル又はジエステル)でも完全エステル(ト リエステル)でもよい。
[0467] 潤滑性向上剤として用いられるエステルの特に好ま 、例としては、具体的には、 ラウリン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸プチル、ォレイ ン酸メチル、ォレイン酸ブチル、並びにアジピン酸と炭素数 4〜10のアルコールとの ジエステルが挙げられる。
[0468] また、潤滑性向上剤として用いられるアルコールとしては、上記エステルの説明に おいて例示された 1価アルコール及び多価アルコールが挙げられ、中でも 1価アルコ ール及び 2価アルコールが好ましぐ 1価アルコールを単独で用いる力、あるいは 1価 アルコールと 2価アルコールとを併用することがより好ましい。また、 2価アルコールと しては、分子内にエーテル結合を有するものが好ましい。
[0469] 1価アルコール及び 2価アルコールの炭素数は、好ましくは 6以上、より好ましくは 7 以上、更に好ましくは 8以上、特に好ましくは 9以上である。なお、 1価アルコール及
び 2価アルコールの炭素数が 6未満であると、潤滑性が不十分となる傾向にあり、ま た、臭気により作業環境が悪化するおそれがある。また、 1価アルコール及び 2価ァ ルコールの炭素数は、好ましくは 20以下、より好ましくは 18以下である。なお、 1価ァ ルコール及び 2価アルコールの炭素数が 20を超えると、スティンや腐食の発生を増 大させるおそれが大きくなる、冬季にぉ 、て流動性を失 、扱 、が困難になるおそれ が大きくなる、潤滑油基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの 傾向がある。
[0470] 潤滑性向上剤として用いられるアルコールの特に好ま 、例としては、具体的には 、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ノ ノレミチノレアノレコーノレ、ォレイルアルコ ール、エチレングリコールの 5〜9量体、プロピレングリコールの 2〜6量体、並びにこ れらの 2種以上の混合物が挙げられる。
[0471] また、潤滑性向上剤として用いられるカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸 でも良い。具体的には例えば、上記エステルの説明において例示された一塩基酸及 び多塩基酸が挙げられる。これらの中でも、より加工性に優れる点力 一塩基酸が好 ましい。
[0472] 潤滑性向上剤として用いられるカルボン酸の炭素数は、より潤滑性向上効果に優 れる点から、好ましくは 6以上、より好ましくは 8以上、更に好ましくは 10以上である。 また、スティンや腐食の発生を抑制する点から、カルボン酸の炭素数は、好ましくは 2 0以下、より好ましくは 18以下、更に好ましくは 16以下である。
[0473] 潤滑性向上剤として用いられるカルボン酸の特に好ま 、例としては、具体的には 、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びォレイン酸が挙げられる。
[0474] 潤滑性向上剤として用いられる上記のエステル、アルコール及びカルボン酸は、特 に油性効果に優れるものである。本実施形態では、エステル、アルコール及びカルボ ン酸のうちの 1種を単独で潤滑性向上剤として用いても良ぐまた 2種以上の混合物 を用いても良いが、潤滑性の向上の点から、エステル及び 1価アルコールが好ましく 、エステルがより好ましい。
[0475] 潤滑性向上剤として上記のエステル、アルコール及びカルボン酸の含有量は、組 成物全量基準で 0. 1〜70質量%であることが好ましい。すなわち、当該含有量は、
潤滑性向上効果の点から、好ましく 0. 1質量%以上であり、より好ましくは 0. 2質量 %以上、更に好ましくは 0. 5質量%以上である。また、含有量が多過ぎるとスティン や腐食の発生を増大させる可能性がある等の点から、当該含有量は、好ましくは 70 質量%以下であり、より好ましくは 60質量%以下、更に好ましくは 50質量%以下、一 層好ましくは 15質量%以下、特に好ましくは 12質量%以下、最も好ましくは 10質量 %以下である。
[0476] また、構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物としては、リン化合物及びリ ン化合物が挙げられる。リンィ匕合物の具体例及び好ましい態様は、上記第 1実施形 態の場合と一部同様であるため、ここでは重複する部分の説明を省略する。また、硫 黄化合物の具体例及び好ま ヽ態様は、上記第 3実施形態の場合と同様であるため 、ここでは重複する説明を省略する。
[0477] 本実施形態にぉ 、て用いられる硫黄ィ匕合物の中でも、ジノヽイドロカルビルポリサル ファイド及び硫ィ匕エステルカゝらなる群より選ばれる少なくとも 1種を用いると、潤滑性の 向上効果が一層高水準で得られるので好ましい。
[0478] また、潤滑性向上剤として用いられるリンィ匕合物としては、具体的には例えば、上記 第 1実施形態の説明において示されたリン化合物の他、それらリン化合物の金属塩 等が挙げられる。
[0479] リンィ匕合物の金属塩としては、リンィ匕合物の酸性水素の一部又は全部を金属塩基 で中和した塩が挙げられる。力かる金属塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、 金属炭酸塩、金属塩ィ匕物等が挙げられ、その金属としては、具体的には、リチウム、 ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム
、マグネシウム、ノリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マ ンガン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のァ ルカリ土類金属及び亜鉛が好まし ヽ。
[0480] 上記リン化合物の金属塩は、金属の価数やリン化合物の OH基あるいは SH基の数 に応じその構造が異なり、従ってその構造については何ら限定されないが、例えば、 酸ィ匕亜鉛 lmolとリン酸ジエステル (OH基が 1つ) 2molを反応させた場合、下記式( 50)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられる力 ポリマー化した
分子も存在して!/、ると考えられる。
[化 50]
[0482] また、例えば、酸ィ匕亜鉛 lmolとリン酸モノエステル (OH基が 2つ) lmolとを反応さ せた場合、下記式 (51)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられ る力 ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
[0483] [化 51]
(51 )
[0484] また、これらの 2種以上の混合物も使用できる。
[0485] 本実施形態においては、上記リンィ匕合物の中でも、より高い潤滑性の向上効果が 得られることから、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び酸性リン酸エステルのァ ミン塩が好ましい。
[0486] 本実施形態において、潤滑性向上剤として用いられるリン及び Z又は硫黄を含む 化合物の特に好ましい例としては、具体的には、トリクレジルホスフェート、トリラウリル ホスフェート、トリラウリルホスファイト、トリオレィルホスファイト、ジラウリルホスファイト、 ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ラウリン酸ホスフェート、硫化油脂、硫化エステル 、ジフヱ-ルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジドデシルジサルファイド、ジ tert ノ-ルポリサルフアイド、トリラウリルチオホスフェート、トリラウリルトリチォホス ファイト、二硫化モリブデン、ジチォリン酸モリブデン、ジチォリン酸亜鉛、ジチォカル バミン酸モリブデン、及びジチォ力ルバミン酸亜鉛が挙げられる。
[0487] 本実施形態に係る金属加工油組成物は、潤滑性向上剤として、硫黄化合物又はリ ン化合物の一方のみを含有するものであってもよぐ硫黄ィ匕合物とリンィ匕合物との双 方を含有するものであってもよい。潤滑性の向上効果がより高められる点からは、リン
化合物、又は硫黄化合物及びリン化合物の双方を含有することが好ましぐ硫黄ィ匕 合物とリンィ匕合物との双方を含有することがより好ま 、。
[0488] 本実施形態に係る金属加工油組成物が構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含 む化合物を含む場合、構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物の含有量 は任意であるが、潤滑性の向上の点から、組成物全量基準で、 0. 005質量%以上 であることが好ましぐ 0. 01質量%以上であることがより好ましぐ 0. 05質量%以上 であることがさらにより好ましい。また、異常摩耗の防止の点から、当該含有量は、組 成物全量基準で、 15質量%以下であることが好ましぐ 10質量%以下であることがよ り好ましぐ 7質量%以下であることがさらにより好ましい。なお、ここでいう含有量は、 構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物の 1種を単独で用いる場合にはそ の含有量を意味し、 2種以上を組み合わせて用いる場合には合計の含有量を意味 する。
[0489] 本実施形態に係る金属加工油組成物にぉ ヽては、潤滑性向上剤として、エステル 、アルコール、カルボン酸、並びに構成元素としてリン及び Z又は硫黄を含む化合物 のうちの 1種を単独で用いてもよぐまた、 2種以上を組み合わせてもよい。
[0490] 本実施形態に係る金属加工油組成物は、上記の潤滑油基油と潤滑性向上剤との み力もなるものであってもよいが、さらにその優れた効果を向上させるために、必要に 応じて、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤などを更に、単独でまたは 2 種以上組み合わせて添加してもよ!/、。これらの各添加剤の具体例は上記第 1〜第 3 実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。また、本実施 形態において、これらの添加剤の合計含有量は、通常 15質量%以下、好ましくは 10 質量%以下 ( 、ずれも組成物全量基準)であることが望ま U、。
[0491] また、本実施形態に係る金属加工油組成物は、水を更に含有してもよい。この場合 、本実施形態に係る金属加工油組成物は、水を連続層とし、当該連続層に油成分が 微細に分散してエマルシヨンを形成した乳化状態;水が油成分に溶解している可溶 化状態;あるいは強撹拌により水と油成分とを混合した懸濁状態の 、ずれで使用して ちょい。
[0492] 本実施形態に係る金属加工油組成物に水を含有させる場合、水としては、水道水
、工業用水、イオン交換水、蒸留水などが使用可能で、硬水であるか軟水であるかを 問わない。
[0493] 本実施形態に係る金属加工油組成物の動粘度は特に限定されないが、一般的に は、 40°Cにおける動粘度が l〜150mm2/sの範囲であることが好ましぐ 2〜: LOOm m2Zsの範囲であることがより好ましい。なお、金属加工油組成物の 40°Cにおける動 粘度が lmm2Zs未満であると、加工性が不十分となる傾向にある。また、当該動粘 度が 150mm2Zsを超えると、加工工程の後段に設けられる油分除去工程において 、油分が被加工物力も除去されに《なる。
[0494] 上記構成を有する本実施形態に係る金属加工油組成物は、高粘度化や添加剤の 増量をせずとも優れた加工性を得ることができ、且つその加工性を長期にわたって高 水準に維持することができるものであるため、様々な金属加工に好適に用いることが できる。本実施形態に係る金属加工油組成物が使用される金属加工としては、例え ば、絞り加工、しごき加工、引き抜き加工、プレス加工、鍛造加工 (熱間鍛造を含む) 、切削 ·研削加工、圧延加工 (熱間圧延及び冷間圧延を含む)などが挙げられる。ま た、これらの金属加工に用いられる被加工物の材質は特に制限されず、例えば、鉄、 ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル又はその合金、クロム又はその合金 、銅又はその合金、亜鉛又はその合金、チタン又はその合金などが挙げられる。
[0495] なお、本実施形態に係る金属加工油組成物は、上述した金属加工の!/、ずれにも使 用可能であるが、金属加工の種類に応じて、本実施形態に係る金属加工油組成物 における潤滑油基油の動粘度、並びに潤滑性向上剤の種類及び組合せを適宜選 定することが好ましい。
[0496] 例えば、本実施形態に係る金属加工油組成物が絞り加工又はプレス加工に使用さ れるものである場合、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は 20〜 150 mm2/sであることが好ましい。また、この場合、潤滑性向上剤としては、ステアリン酸 ブチル、炭素数 10〜18のアルコール(直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく 、また、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。)、ォレイン酸、硫化エステル、硫 化油脂、ジチォリン酸亜鉛及びトリクレジルホスフェートから選ばれる少なくとも 1種を 用いることが好ましぐ下記 (A— 1)〜 (A— 8)の 、ずれかであることが特に好ま U、。
(A— 1)ステアリン酸ブチルと硫化エステルとトリクレジルホスフェートとの組合せ (A- 2)ォレイン酸と硫化エステルとトリクレジルホスフェートとの組合せ
(A— 3)ステアリン酸ブチルとラウリルアルコールとォレイン酸と硫化エステルとトリタレ ジルホスフェートとの組合せ
(A— 4)硫化エステルとトリクレジルホスフェートとの組合せ
(A- 5)硫ィ匕エステルとジチォリン酸亜鉛との組合せ
( A— 6)硫化油脂とジチオリン酸亜鉛との組合せ
(A— 7)ジチォリン酸亜鉛
(A— 8)硫化エステル。
[0497] また、本実施形態に係る金属加工油組成物が圧延加工に使用されるものである場 合、本発明に係る潤滑油基油の 40°Cにおける動粘度は 4〜20mm2Zsであることが 好ましい。また、この場合、潤滑性向上剤としては、ステアリン酸プチル、パルミチン 酸ブチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジォクチル、アジピン酸ジノ -ル、アジピ ン酸ジデシル、ォレイン酸、炭素数 10〜18のアルコール(直鎖状又は分岐鎖状のい ずれであってもよぐまた、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。)及びトリクレジ ルホスフェートから選ばれる少なくとも 1種を用いることが好ましぐ下記 (B— 1)〜(B - 7)の 、ずれかであることが特に好まし 、。
(B—1)ステアリン酸ブチルとラウリルアルコールと硫化エステルとトリクレジルホスフエ ートとの組合せ
(B— 2)ステアリン酸ブチルとラウリルアルコールとの組合せ
(B- 3)硫化エステルとトリクレジルホスフェートとの組合せ
(B— 4)ステアリン酸ブチルとラウリルアルコールとォレイン酸との組合せ
(B— 5)ステアリン酸ブチルとアジピン酸ジエステルとラウリルアルコールとの組合せ (B— 6)アジピン酸ジエステルとラウリルアルコールとの組合せ
(B- 7)アジピン酸ジエステルとラウリルアルコールとォレイン酸との組合せ。
[0498] (第 5実施形態;熱処理油組成物)
本発明の第 5実施形態に係る熱処理油組成物は、上記本発明に係る潤滑油基油 と、冷却性向上剤とを含有する。
[0499] なお、本実施形態に係る熱処理油組成物において、本発明に係る潤滑油基油の 態様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明は省略す る。
[0500] また、本実施形態に係る熱処理油組成物にお!、ては、上記本発明に係る潤滑油 基油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又は 2 種以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占める本発明 に係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重 複する説明を省略する。
[0501] また、本実施形態に係る熱処理油組成物は、上記の潤滑油基油に加えて、冷却性 向上剤を含有する。力かる冷却性向上剤としては、(A— 1)ポリオレフイン及び Z又 はその水素化物、(A— 2)アスファルト及び Z又はその不溶分除去物、(A— 3)サリ チル酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
[0502] 上記(A— 1)成分のポリオレフインとしては、エチレンと α—ォレフインとの共重合体 、ポリブテン、 1—オタテンオリゴマー、 1ーデセンオリゴマーおよびその水素化物等 が挙げられる。(Α)成分のポリオレフインの中でも、焼入れ性を向上させる効果がより 高ぐ熱'酸化安定性に優れることから、エチレンと α—ォレフィンとの共重合体を用 、ることが好まし!/、。
[0503] エチレンと aーォレフインとの共重合体における重合形態は特に制限されず、ラン ダム共重合、ブロック共重合又は交互共重合のいずれであってもよい。また、共重合 鎖を構成するエチレン及び α—ォレフインはそれぞれ 1種であっても 2種以上であつ てもよい。
[0504] また、 a—ォレフインは、直鎖状でも分枝状でも良いが、その炭素数は好ましくは 3 〜50、より好ましくは 3〜20である。好ましい α—ォレフインとしては、具体的には、プ ロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 4—メチル 1—ペンテン、 3—メ チノレー 1—ペンテン、 1—ヘプテン、 1—オタテン、 1—ノネン、 1—デセン、 1—ゥンデ セン、 1—ドデセン、 1—トリデセン、 1—テトラデセン、 1—ペンタデセン、 1—へキサ デセン、 1—ヘプタデセン、 1—ォクタデセン、 1—ノナデセン、 1—ィコセン等などが 例示できる。
[0505] エチレンと aーォレフインとの共重合体の製造方法は特に制限されない。例えば、 無触媒による熱反応によって製造できる外、所定の触媒を用いてエチレンと α—ォレ フィンを共重合させることによって得ることができる。触媒としては、過酸化ベンゾィル などの有機過酸化物触媒;塩ィ匕アルミニウム、塩ィ匕アルミニウム 多価アルコール系 、塩化アルミニウム一四塩化チタン系、塩化アルミニウム アルキル錫ハライド系、フ ッ化ホウ素などのフリーデルクラフツ型触媒;有機塩ィ匕アルミニウム一四塩ィ匕チタン系 、有機アルミニウム一四塩ィ匕チタン系などのチーグラー型触媒;有機アルミニウム ォキシ三塩化バナジウム系などのバナジウム系触媒;アルミノキサンージルコノセン 系やイオン性化合物 ジルコノセン系などのメタ口セン型触媒;塩ィ匕アルミニウム 塩基系やフッ化ホウ素一塩基系などのルイス酸コンプレックス型触媒などが挙げられ る。
[0506] 本実施形態に係る熱処理油組成物がエチレンと aーォレフインとの共重合体を含 有する場合、当該共重合体におけるエチレン含有量は特に制限されないが、最終的 に得られる熱処理油組成物の酸化安定性、焼入れ性、光輝性の点から、共重合体 におけるエチレン成分単位の含有量は、共重合体全量基準で、好ましくは 40〜80 質量%、より好ましくは 45〜70質量%、更に好ましくは 50〜60質量%である。
[0507] また、(A— 1)成分の水素化物は、上記のポリオレフインの二重結合が水素化され たものである。当該水素化物は、未水素化物と比較して熱'酸化安定性に優れる傾 I口」にある。
[0508] ポリオレフインの水素化物は任意の方法で得ることができ、例えばポリオレフインを 公知の水素化触媒の存在下で水素により水素化し、ポリオレフイン中に存在する二 重結合を飽和化することによって得られる。また重合触媒を適宜選択することによつ て、ポリオレフインの製造とポリオレフイン中に存在する二重結合の水素化を一段で 行わせることもできる。なお、現在、潤滑油基油用または潤滑油添加剤用としてェチ レン プロピレン共重合体の名で市販されているものは、通常、その二重結合が既 に水素化されているものであり、これらは冷却性向上剤として好ましく用いることがで きる。
[0509] (A— 1)ポリオレフイン及び Z又はその水素化物の分子量は特に制限されないが、
分解安定性に優れる点から、その数平均分子量は、好ましくは 1200〜4000、より好 ましくは 1500〜3000である。なお、数平均分子量が 1200未満の場合は熱処理油 の焼入れ性が不十分となる傾向にあり、また、数平均分子量が 4000を超えると熱処 理油組成物の熱 ·酸化安定性が不十分となる傾向にある。
[0510] (A- 2)成分のアスファルトとしては、石油系アスファルトや天然アスファルト等が挙 げられる。
[0511] また、(A— 2)成分の不溶分除去物とは、上記のアスファルトに溶剤抽出法などを 適用し、鉱油に対する溶解性の低 、成分を除 、たものである。
[0512] (A- 2)アスファルト及び Z又はその不溶分除去物としては、 JISK 2207「石油ァ スフアルト」の 6. 3「針入度試験方法」で測定した針入度(25°C)力^〜 300であり、 6 . 4「軟化点試験方法」により測定した軟ィ匕点が 30〜150°Cであり、密度(15°C)が 1 . Og/cm3以上であることが好まし 、。
[0513] なお、上記 (A— 2)成分の添カ卩は、熱処理油組成物の性能を損なうことはないもの の、着色を伴うため、透明タイプの熱処理油を所望する場合には、(A— 2)成分は使 用しないのが望ましい。
[0514] (A— 3)成分であるサリチル酸のアルカリ土類金属塩としては、様々なものを用いる ことができるが、好適なものとしては、下記一般式(52)で表されるサリチレ一トイ匕合物 が挙げられる。
[0515] [化 52]
[式中、 R は炭素数 8〜20のアルキル基を示し、 nは 1〜4の整数を示し、 Mはカル シゥム原子、バリウム原子又はマグネシウム原子を示す。 ]
[0516] 上記一般式(52)中、 R123で示される炭素数 8〜20のアルキル基としては、具体的 には、直鎖状又は分枝状のォクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は 分枝状のデシル基、直鎖状又は分枝状のゥンデシル基、直鎖状又は分枝状のドデ
シル基、直鎖状又は分枝状のトリデシル基、直鎖状又は分枝状のテトラデシル基、直 鎖状又は分枝状のペンタデシル基、直鎖状又は分枝状のへキサデシル基、直鎖状 又は分枝状のへプタデシル基、直鎖状又は分枝状のォクタデシル基、直鎖状又は 分枝状のノナデシル基、直鎖状又は分枝状のィコシル基等が挙げられる。
[0517] また、上記一般式(52)中の Mはカルシウム原子、バリウム原子又はマグネシウム原 子を示すが、本実施形態では、サリチル酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩を用 、ることが好まし!/、。
[0518] (A— 3)サリチル酸のアルカリ土類金属塩の塩基価 (TBN)は特に制限されないが 、 500mgKOHZg以下、好ましくは 100〜400mgKOHZgのものを用いると、被処 理物の光輝性の向上に効果的である。
[0519] (A— 3)サリチル酸のアルカリ土類金属塩は、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上 を任意に組み合わせて用いてもょ 、。
[0520] 本実施形態では、上記 (A— 1)〜(A— 3)成分の中でも、エチレンと炭素数 3〜20 の α—ォレフインとの共重合体、アスファルト及びその不溶分除去物、並びにアルキ ルサリチル酸アルカリ土類金属塩カゝら選ばれる少なくとも 1種を冷却性向上剤として 用いることが好ましい。
[0521] 本実施形態に係る熱処理油組成物における冷却性向上剤の含有量は任意に選定 することができるが、焼入れ性向上効果の点から、組成物全量基準で、 0. 01質量% 以上であることが好ましぐ 0. 05質量%以上であることがより好ましぐ 0. 1質量%以 上であることが更に好ましい。また、含有量に見合う焼入れ性向上効果が効果的に 得られる点から、冷却性向上剤の含有量は、組成物全量基準で、 20質量%以下で あることが好ましぐ 10質量%以下であることがより好ましぐ 7. 0質量%以下であるこ とが更に好ましい。
[0522] 本実施形態に係る熱処理油組成物は、上記の潤滑油基油と冷却性向上剤とのみ 力もなるものであってもよいが、その性能をさらに高める目的で、以下に示す各種添 加剤を必要に応じて含有させることができる。
[0523] 本実施形態で用いられる冷却性向上剤以外の添加剤としては、例えば、スルフイド 類,ジスルフイド類,ポリスルフイド類、メルカブタン類、チォフェン類等の硫黄ィ匕合物
、ォレイン酸、綿実油脂肪酸等の脂肪酸、脂肪酸エステル、テルペン榭脂などの光 輝性改良剤; 2, 6 ジ—tーブチルー p タレゾール等のフエノール化合物、ジフエ -ルァミン、フエ-ルー a ナフチルァミン等のアミン化合物などの酸化防止剤;アル カリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フエネート、アルカリ土類金属サリチレ ート、ソルビタンエステル、ポリオキシアルキレン化合物、ァルケ-ルコハク酸イミドな どの界面活性剤などが例示できる。これらの添加剤の含有量は任意に選定すること ができる力 組成物全量基準で、冷却性向上剤以外の添加剤の含有量の合計が 0. 01〜20質量%であることが好ましい。
[0524] 上記構成を有する本実施形態に係る熱処理油組成物は、十分な硬度を有し且つ 歪みの少ない金属被処理物を確実に得ることできる熱処理油として有用であり、炭素 鋼、ニッケル マンガン鋼、クロム モリブデン鋼、マンガン鋼などの各種合金鋼に 焼入れ、焼きなまし、焼戻し等の熱処理を施す際の、好ましくは焼入れを行う際の熱 処理油として好適に用いることができる。特に、本実施形態に係る熱処理油組成物 は、オールケース炉、連続炉などにおける精密機械部品や複雑な形状の部品のガス 浸炭焼入れ、無酸化焼入れなどの熱処理にぉ 、て優れた性能を発揮することができ る。
[0525] (第 6実施形態;工作機械用潤滑油組成物)
本発明の第 6実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、上記本発明に係る潤 滑油基油と、冷リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とを含有する。
[0526] なお、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物において、本発明に係る潤滑 油基油の態様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明 は省略する。
[0527] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物においては、上記本発明に係 る潤滑油基油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1 種又は 2種以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占め る本発明に係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、こ こでは重複する説明を省略する。
[0528] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物に含まれるリン及び Z又は硫黄
を構成元素として含む化合物は、上記第 3実施形態の場合と同様であるため、ここで は重複する説明を省略する。
[0529] 本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、本発明に係る潤滑油基油とリン及 び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とからなるものであってもよ 、が、その特 性を更に向上させるために、以下に示す添加剤を更に含有してもよ 、。
[0530] 本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、スラッジ抑制性の点から、分散型 粘度指数向上剤を更に含有することができる。本実施形態における分散型粘度指数 向上剤は、上記第 3実施形態における分散型粘度指数向上剤と同様であるため、こ こでは重複する説明を省略する。
[0531] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、摩擦特性を更に向上できる 点から、上記第 3実施形態の説明において示された、一般式 (30)〜(32)で表され る化合物力 選ばれる少なくとも 1種を含有することが好ましぐあるいはさらに一般式 (33)で表される化合物を含有することが好ま 、。
[0532] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、スラッジ抑制性の点から、ェ ポキシィ匕合物を含有することができる。本実施形態におけるエポキシ化合物の具体 例及び好まし 、例は、上記第 1実施形態におけるエポキシィ匕合物の場合と同様であ るため、ここでは重複する説明を省略する。
[0533] 本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物がエポキシィ匕合物を含有する場合、 その含有量は特に制限されないが、組成物全量基準で、好ましくは 0. 1〜5. 0質量 %、より好ましくは 0. 2〜2. 0質量%である。
[0534] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、酸ィ匕安定性を更に向上で きる点から、フエノール系酸ィ匕防止剤、アミン系酸化防止剤、またはこの両方を含有 することができる。本実施形態におけるフエノール系酸ィ匕防止剤及びアミン系酸ィ匕防 止剤は、上記第 2実施形態におけるフエノール系酸ィ匕防止剤及びアミン系酸ィ匕防止 剤と同様であるので、ここでは重複する説明を省略する。
[0535] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、摩擦特性向上の点から、油 性剤を含有することができる。本実施形態における油性剤は、上記第 3実施形態に おける油性剤と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0536] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、熱 ·酸化安定性向上の点か ら、上記第 3実施形態の説明において示された、式 (45)で表される構造を有するトリ ァゾール及び Z又はその誘導体を含有することができる。
[0537] また、本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、その性能を更に向上させる 目的で、必要に応じて、さび止め剤、金属不活性化剤、上記した分散型粘度指数向 上剤以外の粘度指数向上剤や清浄分散剤、流動点降下剤、消泡剤等に代表される 各種添加剤を単独で、または複数種組み合わせて含有させても良い。これらの添カロ 剤は、上記第 3実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する
[0538] 上記構成を有する本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、摩擦特性、ス ティックスリップ低減性及び熱 ·酸ィ匕安定性の全てを高水準でバランスよく達成するこ とができるものであり、工作機械の高性能化の点で非常に有用である。
[0539] 本実施形態に係る工作機械用潤滑油組成物は、工作機械のすべり案内面の潤滑 に特に好適に用いられ、また、工作機械の各種軸受、歯車、油圧システムなどの潤 滑にも好適に用いられる。
[0540] (第 7実施形態;潤滑油組成物)
本発明の第 7実施形態に係る潤滑油組成物は、上記本発明に係る潤滑油基油と、 冷リン及び Z又は硫黄を構成元素として含む化合物とを含有する。
[0541] なお、本実施形態に係る潤滑油組成物において、本発明に係る潤滑油基油の態 様は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明は省略する
[0542] また、本実施形態に係る潤滑油組成物にお!、ては、上記本発明に係る潤滑油基 油を単独で用いてもよぐまた、本発明に係る潤滑油基油を他の基油の 1種又は 2種 以上と併用してもよい。なお、他の基油の具体例及び混合基油中に占める本発明に 係る潤滑油基油の割合は上記第 1実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複 する説明を省略する。
[0543] また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、(A)硫黄を構成元素として含まない無 灰系酸化防止剤を含有する。かかる (A)成分としては、硫黄を構成元素として含まな
いフエノール系又はアミン系の無灰系酸ィ匕防止剤が好適である。
[0544] 硫黄を構成元素として含まないフエノール系無灰酸ィ匕防止剤としては、具体的には 、例えば、 4, 4,ーメチレンビス(2, 6 ジ tert ブチルフエノール)、 4, 4,一ビス( 2, 6 ジ tert ブチルフエノール)、 4, 4 '—ビス(2—メチルー 6—tert—ブチルフ ェノール)、 2, 2,ーメチレンビス(4ーェチルー 6—tert ブチルフエノール)、 2, 2, ーメチレンビス(4ーメチルー 6—tert ブチルフエノール)、 4, 4'ーブチリデンビス( 3—メチル 6—tert—ブチルフエノール)、 4, 4' イソプロピリデンビス(2, 6 ジ — tert—ブチルフエノール)、 2, 2,一メチレンビス(4—メチル 6 ノ-ルフエノール )、 2, 2,一イソブチリデンビス(4, 6 ジメチルフエノール)、 2, 2,一メチレンビス(4 ーメチルー 6 シクロへキシルフェノール)、 2, 6 ジ tert—ブチルー 4ーメチルフ ェノール、 2, 6 ジ一 tert—ブチル 4 ェチルフエノール、 2, 4 ジメチルー 6— t ert ブチルフエノール、 2, 6 ジ tert— aージメチルアミノー p クレゾール、 2, 6—ジー tert ブチル 4 (N, N ' ジメチルァミノメチルフエノール)、ォクチル 3 一(3, 5—ジ—tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、トリデシルー 3— (3, 5—ジ一 tert—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、ペンタエリス リチルーテトラキス [3— (3, 5—ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオ ネート]、ォクタデシルー 3— (3, 5—ジ tert ブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プ 口ピオネート、ォクチルー 3— (3, 5—ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プ 口ピオネート、ォクチルー 3— (3—メチル 5— tert—ブチル 4—ヒドロキシフエ- ル)プロピオネート、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシ フエ-ル基置換脂肪酸と炭素数 4〜 12のアルコールとのエステルであるヒドロキシフ ェ-ル基置換エステル系酸化防止剤(ォクチルー 3— (3, 5—ジー tert—ブチルー 4 ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、ォクチルー 3—(3—メチルー 5—tert—ブチ ルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート等)及びビスフエノール系酸化防止剤が 好ましぐヒドロキシフエ-ル基置換エステル系酸ィ匕防止剤がより好ましい。また、分 子量が 240以上のフエノールイ匕合物は、分解温度が高ぐより高温条件においてもそ の効果が発揮されるため、好ましい。
[0545] また、硫黄を構成元素として含まないアミン系無灰酸ィ匕防止剤としては、アミン系酸
化防止剤及びフエノール系酸ィヒ防止剤が好ましぐアミン系酸ィヒ防止剤がより好まし い。なお、本実施形態におけるアミン系酸ィ匕防止剤及びフエノール系酸ィ匕防止剤は
、上記第 2実施形態におけるアミン系酸ィ匕防止剤及びフエノール系酸ィ匕防止剤と同 様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0546] 構成元素として硫黄を含まな 、無灰系酸ィ匕防止剤の含有量は、組成物全量を基 準として、 0. 3〜5質量%であり、好ましくは 0. 3〜3質量%、より好ましくは 0. 4〜2 質量%である。当該無灰系酸ィ匕防止剤の含有量が 0. 3質量%未満の場合には熱' 酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性が不十分となる傾向にある。一方、 5質量%を超える 場合には、含有量に見合う熱 ·酸化安定性及びスラッジ抑制性の効果が得られず、 経済的にも不利であるため好ましくな 、。
[0547] 本実施形態に係る潤滑油組成物は、上記の潤滑油基油と無灰系酸化防止剤との み力もなるものであってもよいが、熱 ·酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性を更に向上で きる点から、アルキル基置換芳香族炭化水素化合物を更に含有することが好ましい。
[0548] 本実施形態にお!ヽては、アルキル基置換芳香族炭化水素化合物として、アルキル ベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルビフエニル及びアルキルジフエニルアルカン 力も選ばれる少なくとも 1種を用いることが好ま 、。
[0549] アルキルベンゼンが有するアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、ェ チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル基 、ノエル基、デシル基、ゥンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ぺ ンタデシル基、へキサデシル基、ヘプタデシル基、ォクタデシル基、ノナデシル基、ィ コシル基、ヘンィコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基 、へキサコシル基、ヘプタコシル基、ォクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基
、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル 基、ペンタトリアコンチル基、へキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、ォクタ トリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基等の炭素数 1〜40のアルキ ル基が挙げられる。なお、これらの基の各々には、全ての異性体が含まれる。これら の中でも、炭素数 8〜30のアルキル基を 1〜4個(より好ましくは 1〜2個)有し、かつ そのアルキル基の合計炭素数が 10〜50 (より好ましくは 20〜40)であるアルキルべ
ンゼンが好ましく用いられる。
[0550] アルキルベンゼンが有するアルキル基は直鎖状であっても、分枝状であっても良い 力 安定性、粘度特性等の点力 分枝状アルキル基が好ましぐ特に入手可能性の 点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のォレフィンのオリゴマー力 誘導される 分枝状アルキル基がより好まし ヽ。
[0551] アルキルベンゼン中のアルキル基の個数は、好ましくは 1〜4個である力 安定性、 入手可能性の点から 1個または 2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわ ちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、またはこれらの混合物が最も好ましく 用いられる。
[0552] 上記のアルキルベンゼンは、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上の混合物として用 いてもよい。 2種以上のアルキルベンゼンの混合物を用いる場合、当該混合物の平 均分子量は 200〜500であることが好まし!/、。
[0553] アルキルベンゼンの製造方法は任意であり、何ら限定されるものでないが、一般に 以下に示す合成法によって製造できる。原料となる芳香族炭化水素化合物としては 、具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ェチルベンゼン、メチルェチル ベンゼン、ジェチルベンゼン、およびこれらの混合物等が用いられる。またアルキル ィ匕剤としては、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の 低級モノォレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数 6〜40の直 鎖状または分枝状のォレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロ ピレン等の熱分解によって得られる炭素数 6〜40の直鎖状または分枝状のォレフィ ン;灯油、軽油等の石油留分力 n—パラフィンを分離し、これを触媒によりォレフィン 化することによって得られる炭素数 6〜40の直鎖状ォレフィン;およびこれらの混合 物等が使用できる。
[0554] また、アルキルィ匕の際のアルキルィ匕触媒としては、塩ィ匕アルミニウム、塩化亜鉛等 のフリーデル 'クラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケィタングステン酸、フッ化水素酸、活 性白土等の酸性触媒;等の公知の触媒が用いられる。
[0555] アルキルナフタレンとしては、下記一般式(53)で表される化合物が好ましく用いら れる。
[化 53]
[式 (53)中、 R124、 R125、 R126及び R127は同一でも異なっていても良ぐそれぞれ水 素原子又は炭素数 1〜40の炭化水素基を示し、 R124、 R125、 R126又は R127の少なくと も 1つはアルキル基である。 ]
[0556] 一般式 (53)中の R124、 R125、 R126及び R127は、それぞれ水素原子または炭化水素 基を示し、当該炭化水素基にはアルキル基の他、ァルケ-ル基、ァリール基、アルキ ルァリール基、ァリールアルキル基等が含まれる力 R124、 R125、 R126及び R127は全て アルキル基であることが好まし 、。
[0557] アルキル基としては、上記アルキルベンゼンの説明にお!/、て、アルキルベンゼンが 有するアルキル基として例示されたものが挙げられる。これらの中でも、炭素数 8〜3 0のアルキル基が好ましく、炭素数 10〜20のアルキル基がより好まし!/、。
[0558] また、一般式(53)で表されるアルキルナフタレンにぉ 、て、 R124、 R125、 R126及び R 127は同一でも異なっていてもよい。すなわち、 R124、 R125、 R126及び R127がすべてァ ルキル基を含む炭化水素基であるものでもよぐまたは R124、 R125、 R126又は R127のう ち少なくとも 1つがアルキル基であり他は水素原子であるものでもよい。 R124、 R125、 R 126及び R127の合計炭素数は、好ましくは 8〜50、より好ましくは 10〜40である。
[0559] R124、 R125、 R126及び R127のうち 2つ以上が炭化水素基である場合、そのうち少なく とも 1つがアルキル基であればその組み合わせは任意である力 全てアルキル基で あることが好ましい。また、 R124と R125が炭化水素基であるような、同一のベンゼン環 に 2つの炭化水素基が結合しているものでもよぐまた、 R124と R125が炭化水素基であ るような、異なるベンゼン環にそれぞれ 1つずつの炭化水素基が結合しているもので ちょい。
[0560] 一般式(53)で表されるアルキルナフタレンとしては、具体的には、デシルナフタレ ン、ゥンデシルナフタレン、ドデシルナフタレン、トリデシルナフタレン、テトラデシルナ
フタレン、ペンタデシルナフタレン、へキサデシルナフタレン、ヘプタデシルナフタレ ン、ォクタデシルナフタレン、ノナデシルナフタレン、ィコシルナフタレン、ジ(デシル) ナフタレン、ジ(ゥンデシル)ナフタレン、ジ(ドデシル)ナフタレン、ジ(トリデシル)ナフ タレン、ジ(テトラデシル)ナフタレン、ジ(ペンタデシル)ナフタレン、ジ(へキサデシル )ナフタレン、ジ(ヘプタデシル)ナフタレン、ジ(ォクタデシル)ナフタレン、ジ(ノナデ シル)ナフタレン、ジ (ィコシル)ナフタレン等が挙げられる。なお、これらの化合物の 各々には、全ての異性体が含まれる。
[0561] これらの中でも、炭素数 8〜30 (より好ましくは 10〜20)のアルキル基を 1〜4個(よ り好ましくは 1〜2個)有するアルキルナフタレンが好ましぐさらに、アルキルナフタレ ンが有するアルキル基の合計炭素数は 8〜50 (より好ましくは 10〜40)であることが 好ましい。
[0562] 上記のアルキルナフタレンは、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上の混合物として 用いてもよい。 2種以上のアルキルナフタレンの混合物を用いる場合、当該混合物の 平均分子量は、 200〜500であることが好ましい。
[0563] アルキルナフタレンの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できる。こ の例としては例えば、炭化水素のハロゲンィ匕物、ォレフィン類、スチレン類などを硫酸 、リン酸、ケィタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固 体酸性物質および塩ィ匕アルミニウム、塩ィ匕亜鉛等のハロゲンィ匕金属であるフリーデ ル 'クラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ナフタレンへ付加する方法等が挙げられる。
[0564] アルキルビフ ニルとしては、下記一般式(54)で表される化合物が好ましく用いら れる。
[式 (54)中、 R128、 R129、 R13°及び R131は同一でも異なっていても良ぐそれぞれ水 素原子又は炭素数 1〜40の炭化水素基を示し、 R128、 R129、 R13°又は R131のうち少 なくとも 1つはアルキル基である。 ]
[0565] 一般式(54)中の R128、 R129、 R13°及び R で示される炭化水素基としては、アルキ ル基の他、アルケニル基、ァリール基、アルカリール基、ァラルキル基等が挙げられ る力 R128、 R129、 R13G及び R131は全てアルキル基であることが好ましい。
[0566] アルキル基としては、上記アルキルベンゼンの説明にお!/、て、アルキルベンゼンが 有するアルキル基として例示されたものが挙げられる。これらの中でも、炭素数 8〜3 0のアルキル基が好ましく、炭素数 10〜20のアルキル基がより好まし!/、。
[0567] また、一般式(54)で表されるアルキルビフエ-ルにお 、て、 R128、 R129、 R13°及び R 131は同一でも異なっていてもよい。すなわち、 R128、 R129、 R13°及び R131がすべてァ ルキル基であるものでもよぐまたは R128、 R129、 R13°又は R131のうち少なくとも 1つが アルキル基であり他は水素原子又はアルキル基以外の炭化水素基であるものでもよ い。 R128、 R129、 R13°及び R131の合計炭素数は、好ましくは 8〜50、より好ましくは 10 〜40である。
[0568] R128、 R129、 R13°及び R131のうち 2つ以上が炭化水素基である場合、そのうち少なく とも 1つがアルキル基であればその組み合わせは任意であり、 R128と R129が炭化水素 基であるような、同一のベンゼン環に 2つの炭化水素基が結合しているものでもよぐ また、 R128と R13Gが炭化水素基であるような、異なるベンゼン環にそれぞれ 1つずつ の炭化水素基が結合して 、るものでもよ 、。
[0569] 上記のアルキルビフヱ-ルは、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上の混合物として 用いてもよい。 2種以上のアルキルビフエニルの混合物を用いる場合、当該混合物の 平均分子量は、 200〜500であることが好ましい。
[0570] アルキルビフヱニルの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できる。こ の例としては例えば、炭化水素のハロゲンィ匕物、ォレフィン類、スチレン類などを硫酸
、リン酸、ケィタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固 体酸性物質および塩ィ匕アルミニウム、塩ィ匕亜鉛等のハロゲンィ匕金属であるフリーデ ル 'クラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ビフエ二ルへ付加する方法等が挙げられる。
[0571] アルキルジフヱ-ルアルカンとしては、下記一般式(55)で表される化合物が好まし く用いられる。
[式(55)中、 R132、 R133、 R134及び R135は同一でも異なっていても良ぐそれぞれ水 素原子又は炭素数 1〜40の炭化水素基を示し、 R13、 Rm、 R132又は R133のうち少 なくとも 1つはアルキル基であり、 R136は炭素数 1〜8のアルキレン基またはアルケニ レン基を示す。 ]
[0573] 一般式(55)中の R132、 R133、 R134及び R135で示される炭化水素基としては、アルキ ル基の他、アルケニル基、ァリール基、アルカリール基、ァラルキル基等が挙げられ る力 R132、 R133、 R134及び R135は全てアルキル基であることが好ましい。
[0574] アルキル基としては、上記アルキルベンゼンの説明におレ、て、アルキルベンゼンが 有するアルキル基として例示されたものが挙げられる。これらの中でも、炭素数 8〜3 0のアルキル基が好ましく、炭素数 10〜20のアルキル基がより好まし!/、。
[0575] また、一般式(55)で表されるジフエ-ルアルカンにお 、て、 R132、 R133、 R134及び R 135は同一でも異なっていてもよい。すなわち、 R132、 R133、 R134及び R135がすべてァ ルキル基であるものでもよぐまたは R132、 R133、 R134又は R135のうち少なくとも 1つが アルキル基であり他は水素原子又はアルキル基以外の炭化水素基であるものでもよ い。 R132、 R133、 R134及び R135の合計炭素数は、好ましくは 8〜50、より好ましくは 10 〜40である。
[0576] R132、 R133、 R134及び R135のうち 2つ以上が炭化水素基である場合、そのうち少なく とも 1つがアルキル基であればその組み合わせは任意であり、 R132と R133が炭化水素 基であるような、同一のベンゼン環に 2つの炭化水素基が結合しているものでもよぐ また、 R132と R134が炭化水素基であるような、異なるベンゼン環にそれぞれ 1つずつ の炭化水素基が結合して L、るものでもよ 、。
[0577] また、一般式(55)中の R136は、アルキレン基又はァルケ-レン基を示す。
[0578] R136としては、炭素数 1〜8のアルキレン基またはァルケ-レン基が好ましぐ炭素 数 1〜6のアルキレン基およびァルケ-レン基がより好ましい。特に好ましいものとし ては、メチレン基、メチルメチレン基 (ェチリデン基)、エチレン基、ェチルメチレン基(
プロピリデン基)、ジメチルメチレン基 (イソプロピリデン基)、メチルエチレン基 (プロピ レン基)、トリメチレン基等の炭素数 1〜3のアルキレン基;ビ-リデン基、エテュレン基 (ビ-レン基)、プロべ-レン基、メチレンエチレン基、メチルエテュレン基、 1—プロぺ ユリデン基、 2 プロべ-リデン基等の炭素数 2〜3のァルケ-レン基;炭素数 4〜6 のアルキレン基のうち、 1—メチルトリメチレン基、 1—ェチルトリメチレン基、 1, 1—ジ メチルトリメチレン基、 1, 2 ジメチルトリメチレン基、 1, 3 ジメチルトリメチレン基、 1 ーェチルー 3—メチルトリメチレン基、 1ーェチルー 2—メチルトリメチレン基、 1, 1, 2 —トリメチルトリメチレン基、 1, 1, 3 トリメチルトリメチレン基;および炭素数 4〜6のァ ルケ-レン基のうち、 3 メチルプロべ-レン基、 1ーメチルー 3—メチレントリメチレン 基、 3 ェチルプロべ-レン基、 1, 3 ジメチルプロべ-レン基、 2, 3 ジメチルプロ ぺニレン基、 3, 3 ジメチルプロべ-レン基、 1, 1 ジメチルー 3—メチレントリメチレ ン基、 1ーェチルー 3—メチレントリメチレン基、 3 ェチルー 1 メチルプロべ-レン 基、 3 ェチルー 2 メチルプロべ-レン基、 1, 3, 3 トリメチルプロべ-レン基、 2, 3, 3—トリメチルプロべ-レン基;等が挙げられる。
[0579] 上記のジフエ-ルアルカンは、 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上の混合物として 用いてもよい。 2種以上のジフエ-ルアルカンの混合物を用いる場合、当該混合物の 平均分子量は、 200〜500であることが好ましい。
[0580] ジフヱ-ルアルカンの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できるが、 そのいくつかの例を次に示す。
[0581] 例えば、スチレン、 α—, j8—メチノレスチレン、ェチノレスチレン等のスチレン類を、 酸触媒の存在下でアルキルベンゼンへ付加することにより、ジフエ-ルアルカンを得 ることができる。酸触媒としては、硫酸、リン酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固 体酸性物質およびハロゲン化金属であるフリーデル 'クラフツ触媒等が使用できる。
[0582] また、アルキルジフエ-ルアルカンは、適当な酸触媒の存在下、上記スチレン類の 重合反応によっても製造される。この際、単一のスチレン化合物を用いてもよぐ 2種 以上のスチレンィ匕合物を用いて共重合させても良い。酸触媒としては、硫酸、リン酸 等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質およびハロゲンィ匕金属であるフリ 一デル'クラフツ触媒等が使用できる。普通、この方法で得られる炭化水素化合物は
2個のベンゼン環がァルケ-レン基によって結合されたィ匕合物である力 本実施形態 ではこのまま用いてもよぐまた適当な触媒の存在下でァルケ-レン基の水素化処理 を行 、、ァルケ-レン基をアルキレン基に変換させたィ匕合物を用いても良!、。
[0583] また、芳香族炭化水素化合物のアルキルィ匕に関しては、塩ィ匕物のフリーデル 'クラ フッ反応がよく知られている力 ジフヱ-ルアルカンはこの方法によっても製造される 。例えば、側鎖アルキル基が塩素化されたアルキルベンゼンを、ハロゲン化金属など の適当なフリーデル 'クラフツ触媒の存在下で、ベンゼンまたはアルキルベンゼンと 反応させることによって本実施形態に係る炭化水素化合物が得られる。また、ジハロ ゲン化アルカンとベンゼンまたはアルキルベンゼンとを、ハロゲン化金属などの適当 なフリーデル 'クラフツ触媒の存在下で、カップリングする方法も挙げられる。
[0584] アルキルジフヱ-ルアルカンは、 R132〜R135で表されるアルキル基を有するアルキ ルベンゼンを用いて上記の方法等で製造されてもょ 、し、上記の方法等で製造され たジフエ-ルアルカンに R132〜R135で表されるアルキル基を種々の方法で付加させ ても製造される。
[0585] 本実施形態にお!ヽては、アルキル基を有する芳香族炭化水素化合物として、上述 したアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルビフヱニル及びアルキルジフエ 二ルアルカンのうちの 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を組み合わせてもよい。こ れらの中では、スラッジ抑制性向上効果により優れることから、アルキルベンゼン又は アルキルナフタレンが特に好ましぐアルキルナフタレンが最も好まし!/、。
[0586] 本実施形態で使用されるアルキル基置換芳香族炭化水素化合物の粘度は特に限 定されないが、その 40°Cにおける動粘度は、好ましくは 10〜: LOOmm2Zs、より好ま しくは 20〜80mm2Zs、更に好ましくは 25〜60mm2 /sである。
[0587] 本実施形態に係る潤滑油組成物がアルキル基置換芳香族炭化水素化合物を含有 する場合、当該アルキル基置換芳香族炭化水素化合物の含有量は、熱'酸化安定 性及びスラッジ抑制性の点から、組成物全量を基準として、 2質量%以上であること が好ましぐ 5質量%以上であることがより好ましぐ 10質量%以上であることが更に 好ましい。また、粘度 温度特性の点から、アルキル基置換芳香族炭化水素化合物 の含有量は、組成物全量を基準として、 50質量%以下であることが好ましぐ 30質量
%以下であることがより好ましぐ 20質量%以下であることが更に好ましぐ 15質量% 以下であることが特に好まし 、。
[0588] また、本実施形態に係る潤滑油組成物は、その各種性能をさらに高める目的で、 公知のその他の潤滑油添加剤、例えば、さび止め剤、腐食防止剤、流動点降下剤、 消泡剤などを更に含有してもよい。これらの添加剤は、 1種を単独で用いてもよぐ 2 種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態におけるこれらの添加剤は、上記 第 2実施形態の場合と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
[0589] 上記構成を有する本実施形態に係る潤滑油組成物は、熱,酸ィ匕安定性とスラッジ 抑制性とを高水準でバランスよく達成できるものであり、高温用途の潤滑油組成物と して非常に有用である。ここで、高温用途に関して、使用温度は特に制限されないが 、循環使用されるタンクの油温が «続的に 60°C以上となる場合に本発明による上述 の効果が高水準で発揮されるため好ましぐさらには、当該温度が 80°C以上となる場 合により優れた効果が発揮されるためより好ましぐ当該温度が 100°C以上となる場 合には一層優れた効果が発揮されるため特に好ましい。このような高温用途としては 、大容量蒸気タービン、 LNGや製鉄所副生ガスの燃焼ガスを作動媒体として使用す るガスタービン、各種回転式ガス圧縮機、高温で作動する建設機械などが挙げられ る力 S、本発明の潤滑油糸且成物の用途はこれらに限定されない。 実施例
[0590] 以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は 以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[0591] [潤滑油基油の製造]
(基油 1〜3)
溶剤精製基油を精製する工程にぉ ヽて減圧蒸留で分離した留分を、フルフラール で溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルェチルケトン—トルエン混合溶剤 で溶剤脱ろうした。力かる溶剤脱ろうの際に除去されたワックス分 (以下、「WAX1」と いう)を、潤滑油基油の原料として用いた。 WAX1の性状を表 1に示す。
[0592] [表 1]
原料ワックスの名称 WAX 1
1 00 °Cにおける動粘度(m m 2/ s ) 6.6
融点(°c ) 60
油分(質量%) 6. 1
硫黄分(質量 p p m ) 880
[0593] 次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧 5MPa、平均反応温度 340°C、 LHSV 0. 8hr_1の条件下で、 WAX1の水素化分解を行った。水素化分解触媒としては、ァ モルファス系シリカ ·アルミナ担体にニッケル及びモリブデンが担持された触媒を硫ィ匕 した状態で用いた。
[0594] 次に、上記の水素化分解で得られた分解生成物を減圧蒸留することにより原料油 に対して 20容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルェチルケ トン—トルエン混合溶剤を用いて、溶剤 Z油比 2倍、ろ過温度— 30°Cの条件で溶剤 脱ろうを行い、粘度グレードの異なる 3種類の潤滑油基油(以下、「基油 1」、「基油 2」 及び「基油 3」という。)を得た。
[0595] (基油 4〜6)
ゼォライト 700gとアルミナバインダー 300gとを混合混練し、直径 1Z16インチ(約 1 . 6mm)、高さ 8mmの円柱状に成型した。得られた成型体を 480°Cで 2時間焼成し て担体を得た。この担体に、白金換算値で担体の 1. 0質量%となる量のジクロロテト ラァミン白金 (Π)の水溶液を含浸し、 125°Cで 2時間乾燥させ、 380°Cで 1時間焼成 することにより、目的の触媒を得た。
[0596] 次に、得られた触媒を固定床流通式反応器に充填し、この反応器を用いて、ノラフ イン系炭化水素を含む原料油の水素化分解 Z水素化異性ィ匕を行った。本工程では 、原料油として、パラフィン含量が 95質量%であり、 20から 80までの炭素数分布を有 する FTワックス(以下、「WAX2」という。)を用いた。 WAX2の性状を表 2に示す。ま た、水素化分解の条件は、水素圧 3. 5MPa、反応温度 340°C、 LHSV1. 5h_1とし 、原料に対し沸点 370°C以下の留分 (分解生成物)が 25質量% (分解率 25%)とな
る分解 Z異性化生成油を得た。
[0597] [表 2]
[0598] 次に、上記の水素化分解 Z水素化異性ィ匕工程で得られた分解 Z異性ィ匕生成油を 減圧蒸留することにより、潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルェチ ルケトン トルエン混合溶剤を用いて、溶剤 Z油比 3倍、ろ過温度 30°Cの条件で 溶剤脱ろうを行い、粘度グレードの異なる 3種類の潤滑油基油(以下、「基油 4」、「基 油 5」及び「基油 6」という。)を得た。
[0599] (基油 7〜9)
溶剤精製基油を精製する工程にぉ ヽて減圧蒸留で分離した留分を、フルフラール で溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルェチルケトン—トルエン混合溶剤 で溶剤脱ろうした。力かる溶剤脱ろうの際に除去されたスラックワックスをさらに脱油し て得られたワックス分 (以下、「WAX3」という。)を、潤滑油基油の原料として用いた。 WAX3の性状を表 3に示す。
[0600] [表 3]
[0601] 次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧 5. 5MPa、平均反応温度 340°C、 LH
SVO. 8hr_1の条件下で、 WAX3の水素化分解を行った。水素化分解触媒としては
、アモルファス系シリカ'アルミナ担体にニッケル及びモリブデンが担持された触媒を 硫ィ匕した状態で用いた。
[0602] 次に、上記の水素化分解で得られた分解生成物を減圧蒸留することにより原料油 に対して 20容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油留分について、メチルェチルケ トン—トルエン混合溶剤を用いて、溶剤 Z油比 2倍、ろ過温度— 30°Cの条件で溶剤 脱ろうを行い、粘度グレードの異なる 3種類の潤滑油基油(以下、「基油 7」、「基油 8」 及び「基油 9」という。)を得た。
[0603] 基油 1〜9の各種性状及び性能評価試験結果を表 4〜6に示す。
[0604] また、後述する比較例に用いる基油として、表 7〜9に示す基油 10〜17 (いずれも 鉱油系基油)及び以下に示す基油 18〜20及びを準備した。表 7〜9には基油 10〜
17の各種性状及び性能評価試験結果を示した。
(基油)
基油 18 :ポリ α—ォレフィン(40°Cにおける動粘度: 9. 5mmVs)
基油 19 :ポリ α—ォレフイン(40°Cにおける動粘度: 21. 5mmVs)
基油 20 :ポリ α—ォレフイン(40°Cにおける動粘度: 45. 5mm2Zs)。
[0605] [表 4]
基 Ϊ由名 基油 1 基油 2 基油 3 原料ワックスの名称 WAX1 WAX1 WAX1 基油組成 飽和分 質量% 98.2 98.1 98.2
(基油全量基準) 芳香族分 質量" 1.2 1.0 1.0 極性化合物分 質量 ¾ 0.6 0.9 0.8 飽和分の内訳 環状飽和分 質量 ¾ 3.2 4.5 6.2
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 質量 ¾ 96.8 95.5 93.8 非環状飽和分の含有量 直鎖パラフィン分 質量% 0.1 0.1 0.1
(基油全量基準) 分枝パラフィン分 質量% 95.0 93.6 92.0 n-d-M 環分析 %Cp 91.8 93.4 94.4
%CN 7.9 6.5 6.4
0.3 0.1 0.2 cP/%cN 11.62 14.37 14.75 硫黄分 m ppm <1 <1 <1 窒素分 m ppm <3 ぐ 3 <3 屈折率(20°C) n20 1.4497 1.4554 1.4580 動粘度(40°C) mmVs 10.1 17.1 34.6 動粘度(100 C) kv100 mmVs 2.8 4.1 6.6 粘度指数 123 141 150 密度(15°C) g/cm 0.809 0.819 0.825 ヨウ素価 0.92 0.68 0.61 流動点 C -27.5 -22.5 -17.5 ァニリン点 °C 112 119 125 蒸留性状 IBP[°C] °c 325 362 418
T10[°C] c 353 389 449
T50[°C] c 380 433 480
T90[°C] °c 424 473 499
F B P [ °C ] c 468 500 532
CCS 粘度(- 35°C) m P a■ s <1000 1950 14500
NOACK 蒸発量(250°C 1時間) 質量% 34.5 13.4 2.6
RBOT 寿命(150°C) min 345 390 432 残存金属分 Al 質 M ppm <1 <1 <1
Mo 質量 pm <1 <1 <1
Ni 質 S ppm <1 <1 <1 5]
^£油名 基油 4 基油 5 基油 6 原料ワックスの名 称 WAX2 WAX2 WAX2 基油組成 飽和分 質量? ί 99.4 99.3 99.2
(基油全量基準) 芳香族分 質量 % 0.4 0.4 0.5 極性化合物分 0.2 0.3 0.3 飽和分の内訳 環状飽和分 質量 ¾ 0.8 0.9 2.5
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 質量% 99.2 99.1 97.5 非環状飽和分の含有量 直鎖パラフィン分 質量 ¾ 0.1 0.1 0.2
(基油全量基準) 分枝パラフィン分 質量 ¾ 98.5 98.3 96.5 n -M 環分析 p 95.1 96.9 95.2
2.9 3.1 5.2
0.0 0.0 0.0
%cP/%cN 32.79 18.31 硫黄分 質 ppm <1 <1 <1 窒素分 質星 ppm <3 <3 <3 屈折率(20°C) n20 1.4510 1.4540 1.4590 動粘度(40°C) mmVs 10.5 17.3 35.2 動粘度(100°C) kv100 mmVs 2.9 4.1 6.8 粘度指数 125 140 152 密度(15°C) g/cm3 0.811 0.816 0.825 ヨウ素価 0.53 0.22 0.20 流動点 °C -22.5 -17.5 -12.5 ァニリン点 °C 115 119 128 蒸留性状 IBP[°C] °c 335 355 415
T1 o[。c] °c 360 385 448
T50[。C] °c 383 435 480
T90[°C] °c 419 476 503
FBP[°C] °c 459 505 531
CCS 粘度(_35 C) m P a■ s ぐ 1700 2450 13900
NOACK 蒸発量(250°C、 1時間) 質量% 35.2 13.5 2.5
RBOT 寿命(150°C) min 358 405 449 残存金属分 Al 質亘 ppm <1 <1 <1
Mo M m ppm <1 <1 <1
Ni K m ppm <1 <1 <1 6]
基油 基油 7 基油 8 基油 9 原料ワックスの名称 AX3 WAX3 WAX3 基油組成 飽和分 質量 ¾ 95.2 96.7 98.2
(基油全量基準) 芳香族分 質量% 4.3 2.8 1.4 極性化合物分 質量 % 0.5 0.5 0.4 飽和分の内訳 環状飽和分 質量% 6.5 9.9 13.0
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 質量1 93.5 90.1 87 非環状飽和分の含有量 直鎖パラフィン分 質量 % 0.1 0.1 0.1
(基油全量基準) 分枝パラフィン分 質量% 88.9 87.0 85.3 n-d-M 環分析 C p 90.8 91.8 90.7
8.1 8.0 9.3
%cA 1.1 0.2 0.0
%CP/ C 11.21 11.48 9.75 硫黄分 質里 pp m <1 ぐ 1 <1 窒素分 k m P m ぐ 3 く 3 く 3 屈折率(20°C) n20 1.4537 1.4561 1.4610 動粘度(40°C) mmVs 11.2 16.5 31.5 動粘度(100°C) kv100 mmVs 2.9 3.9 6.1 粘度指数 124 140 151 密度(15°C) g/cm° 0.812 0.821 0.832 ヨウ素価 2.19 1.44 0.85 流動点 °C -27.5 -25 -17.5 ァニリン点 °C 113 120 125 蒸留性状 IBP[°C] 109 336 367 402
T10[°C] 。c 360 392 450
T50[°C] °c 394 425 486
T90[°C] °c 425 460 525
FBP[°C] 。c 467 501 570
CCS 粘度(-35°C) m Pa■ s ぐ 1000 1850 15500
NOACK 蒸発量(250°C、 1時間) 質量% 36.5 13.8 2.7
RBOT 寿命(150°C) min 334 387 443 残存金属分 Al 質堇 pp m <1 ぐ 1 ぐ 1
Mo H m pp m ぐ 1 <1 <1
Ni 質至 pp m ぐ 1 <1 <1 7]
基油名 墓油 10 S油 11 基油 12 墓油 13 原料ワックスの名称
基油組成 飽和分 質量% 93.8 94.8 93.3 99.5
(基油全量基準) 芳香族分 質量 ¾ 6.0 5.2 6.6 0.4 極性化合物分 質量% 0.2 0.0 0.1 0.1 飽和分の内訳 環状飽和分 質量% 46.5 46.8 47.2 46.4
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 質量 ¾ 53.5 53.2 52.8 53.6 非環状飽和分の含有量 直鎖パラフィン分 質量 0.4 0.1 0.1 0.1
(基油全量基準) 分枝パラフィン分 質量% 49.8 50.3 49.2 50.9 n-d-M 環分析 75.4 78.0 78.4 80.6
23.2 20.7 21.1 19.4
¾CA 1.4 1.3 0.5 0.0 0 3.3 3.8 3.7 4.2 硫黄分 質 p p m <1 2 ぐ 1 <1 窒素分 質 ppm <3 4 <3 <3 屈折率(20°C) n20 1.4597 1.4640 1.4685 1.4664 動粘度(40¾) m m 2 s 9.4 18.7 37.9 33.9 動粘度(100 ) kv100 m m 2 / s 2.6 4.1 6.6 6.2 粘度指数 109 121 129 133 密度(15¾) g/cm3 0.829 0.839 0.847 0.841 ヨウ素価 5.10 2.78 5.30 3.95 流動点 C - 2フ.5 -22.5 -17.5 -17.5 ァニリン点 c 104 112 126 123 蒸留性状 [BP[ C] c 243 325 317 308
T10[°C] c 312 383 412 420
T50[°C] c 377 420 47フ 469
T90[°C] c 418 458 525 522
FBP[°C] °c 492 495 576 566
CCS 粘度(- 35 C) m Pa■ s <1000 3500 〉10000 >10000
NOACK 蒸発量(250°C 1時間) 質量% 51.9 16.1 6.0 9.7
RBOT 寿命(150¾) m i n 280 300 380 370 残存金属分 Al 質 ppm <1 <1 <1 <1
Mo 質簠 ppm <1 <1 ぐ 1 <1
Ni 質 ppm <1 <1 <1 <1 8]
基油名 基油 14 基油 15 原料ワックスの名称 ― ― 基油組成 飽和分 質量% 99.5 99.5
(基油全量基準) 芳香族分 質量% 0.4 0.4 極性化合物分 質量% 0.1 0.1 飽和分の内訳 環状飽和分 42.7 46.4
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 57.3 53.6 非環状飽和分の含有量 直鎖/ ラフィン分 質量% 0.1 0.1
( 油全量基準) 分枝ノ ί = ィ、 '分 質量% 50.9 53.2 n-d-M 環分析 p 83.4 80.6
16.1 19.4
0.5 0.0
%CP/ CN 5.2 4.2 硫黄分 質量 ppm <1 <1 窒素分 質 M ppm <3 <3 屈折率(20°C) n20 1.4659 1.4657 動粘度(40°C) mmVs 32.7 33.9 動粘度(100°C) kv100 mmVs 6.0 6.2 粘度指数 131 133 密度(15°C) g/cm3 0.838 0.841 ヨウ素価 4.52 3.95 流動点 °C -17.5 -17.5 ァニリン点 ¾ 123 123 蒸留性状 IBP[°C] 109 308 310
T10[。C] 。C 420 422
T50[°C] °c 469 472
T90[。C] 。c 522 526
FBP[°C] °c 566 583
CCS 粘度(- 35¾) m P a■ s >10000 >10000
NOACK 蒸発量(250°C、 1時間) 質 S % 9.7 8,2
RBOT 寿命(150°C) min 390 370 残存金属分 Al 質 ppm ぐ 1 <1
Mo 質夏 ppm ぐ 1 <1
Ni 質 ppm <1 <1 9]
油名 基油 16 基油 17 原料ワックスの名 称 一 - 基油組成 飽和分 質 99.3 94.8
(基油全量基準) 芳香族分 質 0.5 5.0
極性化合物分 質量 0.2 0.2 飽和分の内訳 環状飽和分 質量 ¾ 42.1 42.3
(飽和分全量基準) 非環状飽和分 質量? i 57.9 57.7 非環状飽和分の含有量 直鎖ノ ラフィン分 質量 0.1 0.1
(基油全量基準) 分枝 ラフィン分 買 57.4 54.6 n-d-M 環分析 %CP 72.9 78.1
26.0 20.6
1.1 0.7
%CP/SCN 2.8 3.8 硫黄分 ¾ S ppm <1 1 窒素分 ¾ ppm ぐ 3 3 屈折率(20°C) n20 1.4606 1.4633 動粘度(40°C) mmVs 9.7 18.1 動粘度(100°C) kv100 m m 2/ s 2.6 4.0 粘度指数 98 119 密度(15°C) g/cm3 0.831 0.836 ヨウ素価 5.40 2.65 流動点 C -17.5 -27.5 ァニリン点 °C 104 112 蒸留性状 IBP[°C] 115 249 309
T10[°C] C 317 385
T50[°C] °C 386 425
T90[°C] °C 425 449
FBP[ C] °C 499 489
CCS 粘度(- 35°C) m P a■ s ぐ 1000 2900
NOACK 蒸発量(250°C 1時間) M. 62.7 16.5
RBOT 寿命(150°C) min 265 330 残存金属分 Al 質: M ppm ぐ 1 ぐ 1
Mo H ppm <1 <1
Ni 質 ppm <1 <1
[実施例 1 1 1 9、比較例 1 1 1 3;イソブタン冷媒用冷凍機油] 実施例 1 1 1 9においては、表 4に示した基油 1、表 5に示した基油 4又は表 6 に示した基油 7、並びに以下に示す添加剤を用いて、表 10〜: L1に示す組成を有す
る冷凍機油を調製した。また、比較例 1 1〜1 3においては、表 7に示した基油 10 又は上記の基油 18、並びに以下に示す添加剤を用いて、表 11に示す組成を有する 冷凍機油を調製した。
(添加剤)
添加剤 1— 1:トリクレジルホスフェート
添加剤 1— 2:フエ-ルグリシジルエーテル。
[0612] 次に、実施例 1 1〜1 9及び比較例 1 1〜1 3の冷凍機油について、以下の ようにして性能評価試験を実施した。
[0613] (潤滑性試験 A)
FALEX試験機 (ASTM D2670)を用い、試料容器底部より冷媒 (イソブタン)を 吹き込みながら下記条件にて FALEX試験を実施した。この試験において、試験片 であるピンと Vブロックとの間の平均摩擦係数及び摩耗量を求め、冷凍機油の摩擦 特性及び耐摩耗性を評価した。平均摩擦係数は試験時間中、 1秒毎に摩擦力を測 定し、得られた摩擦力を荷重で除し算出した。また、摩耗量は、 FALEX試験終了前 後のピン及びブロックの重量を測定し、重量の減少量として求めた。得られた結果を 表 10〜: L 1に示す。
試験開始温度: 25°C
試験時間:30分
荷重: 2001bf (1078N)
冷媒吹き込み量: 10LZh。
[0614] (安定性試験 A)
容量 200mlのオートクレーブに、冷凍機油 80g、並びに触媒としての鉄線、銅線及 びアルミニウム線(いずれも 1. 6mm X I OOmmのもの)を入れて密栓した。このォ 一トクレーブをドライアイスエタノール溶液で十分に冷却した後、減圧ポンプによりォ 一トクレーブ内の空気を除去し、次いでイソブタン冷媒 10gを充填した。このオートク レーブを 225°Cで 2週間保持し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られ た結果を表 10〜: L 1に示す。
[0615] [表 10]
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例
1 -1 1 - 2 1-3 1-4 1-5 1-6 基油 1 100 99.50 99.00 一 一 一 組成 基油 4 一 一 一 100 99.50 99.50
[質量 ¾] 添加斉 lj 1 -1 一 0.50 0.50 一 0.50 0.50 添加斉 Ij 1 -2 一 一 0.50 一 一 0.50 平均摩擦係数 0.108 0.112 0.111 0.104 0.110 0.109 潤滑性 A
摩耗量 [mg] 4.5 2.8 2.7 3.9 2.6 2.4 僅かに
触媒変化 なし なし なし なし なし 安定性 A あり
スラッジの有無 なし なし なし なし なし なし
:表 11] 実施例 実施例 実施例 比較例 比較例 比較例 1 -7 1 -8 1-9 1-1 1 -2 1-3 基油 7 100 99.50 99.00
基油 10 100 99.50 組成
基油 18 100
[質量 ¾]
添加剤 1 -1 0.50 0.50 0.50 添加剤 1 -2 0.50
平均摩擦係数 0.110 0.111 0.109 0.115 0.112 0.116 潤滑性 A
摩耗量 [mg] 4.9 3.4 3.1 8.3 7.9 5.2 僅かに 僅かに
触媒変化 なし なし なし あり あり あり
安定性 A
僅かに
スラッジの有無 なし なし なし なし あり あり
[0617] [実施例 1 10〜1 18、比較例 1 4〜1 6;プロパン冷媒用冷凍機油]
実施例1 10〜1 18にぉぃては、表 4〜6に示した基油 2、 3、 5、 6、 8、 9、並び に上記の添加剤 1— 1、 1—2を用いて、表 12〜13に示す組成を有する冷凍機油を 調製した。また、比較例 1 4〜1 6においては、表 7に示した基油 11、 12又は上 記の基油 19、 20、並びに上記の添加剤 1— 1、 1 2を用いて、表 13に示す組成を 有する冷凍機油を調製した。
[0618] 次に、実施例 1— 10〜1— 18及び比較例 1— 4〜1— 6の冷凍機油について、以下 のようにして性能評価試験を実施した。
[0619] (潤滑性試験 B)
イソブタン冷媒の代わりにプロパン冷媒を用いたこと以外は潤滑性試験 Aと同様に して、 FALEX試験を実施し、平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。得られた結果を 表 12〜13に示す。
[0620] (安定性試験 B)
イソブタン冷媒の代わりにプロパン冷媒を用いたこと以外は安定性試験 Aと同様に して、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた結 果を表 12〜13に示す。
[0621] [表 12]
[0622] [表 13]
実施例 実施例 実施例 比較例 比較例 比較例
1-16 1-17 1-18 1-4 1-5 1 -6 油 8 50.00 49.75 49.50
基油 9 50.00 49.75 49.50
基油 11 50.00 49.75 組成 基油 12 50.00 49.75 基油 19 50.00
基油 20 50.00
添加剤 1-1 0.5 0.5 0.50 添加剤 1-2 一 一 0.5 一 一 一 平均摩擦係数 0.111 0.113 0.114 0.122 0.118 0.124 潤滑性 B
摩耗量 [mg] 3.5 2.9 3.1 8.8 8.2 6.0 僅かに 僅かに
触媒変化 なし なし なし あり あり あり
安定性 B
僅かに
スラッジの有無 なし なし なし なし あり あり
[0623] [実施例 1 19〜1 27、比較例 1 7〜1 9;二酸ィ匕炭素冷媒用冷凍機油] 実施例 1 19〜1 27においては、表 4〜6に示した基油 3、 6、 9、並びに上記の 添加剤 1— 1、 1—2を用いて、表 14〜15に示す組成を有する冷凍機油を調製した。 また、比較例 1 7〜1 9においては、表 7に示した基油 12又は上記の基油 20、並 びに上記の添加剤 1、 2を用いて、表 15に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
[0624] 次に、実施例 1—19〜 1— 27及び比較例 1—7〜 1—9の冷凍機油について、以下 のようにして性能評価試験を実施した。
[0625] (潤滑性試験 C)
高圧摩擦試験機を用いて各冷凍機油の潤滑性を評価した。使用した試験機は、摺 動部が高圧容器内に収容されたもので、高圧の二酸化炭素冷媒雰囲気下で摩擦試 験を行うことが可能なものである。試験条件は、二酸ィ匕炭素冷媒の圧力を 5MPa、試 験温度を 120°C、荷重を 2000N、滑り速度を lmZsとした。また、試験片には SUJ2 の円筒状部材及び SUJ2のディスクを用い、円筒状部材の端面とディスクとを摺動さ せたときの平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。平均摩擦係数は試験時間中、 1秒 毎に摩擦力を測定し、得られた摩擦力を荷重で除し算出した。また、摩耗量は、試験 終了前後のディスクの重量を測定し、重量の減少量として求めた。得られた結果を表
14〜15に示す。
[0626] (安定性試験 C)
イソブタン冷媒の代わりに二酸ィ匕炭素冷媒を用いたこと以外は安定性試験 Aと同様 にして、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた 結果を表 14〜 15に示す。
[0627] [表 14]
[0629] [実施例 1— 28〜1— 36、比較例 1— 10〜1— 12 ;HFC冷媒用冷凍機油]
実施例 1— 28〜1— 36においては、表 4〜6に示した基油 1、 4、 7、並びに上記の
添加剤 1— 1、 1—2を用いて、表 16〜17に示す組成を有する冷凍機油を調製した。 また、比較例 1— 10〜1— 12においては、表 7に示した基油 10又は上記の基油 18、 並びに上記の添加剤 1、 2を用いて、表 17に示す組成を有する冷凍機油を調製した
[0630] 次に、実施例 1— 28〜1— 36及び比較例 1— 10〜1— 12の冷凍機油について、 以下のようにして性能評価試験を実施した。
[0631] (潤滑性試験 D)
イソブタン冷媒の代わりに HFC134a冷媒を用いたこと以外は潤滑性試験 Aと同様 にして、 FALEX試験を実施し、平均摩擦係数及び摩耗量を求めた。得られた結果 を表 16〜17に示す。
[0632] (安定性試験 D)
イソブタン冷媒の代わりに HFC134a冷媒を用いたこと以外は安定性試験 Aと同様 にして、安定性試験を実施し、触媒の変化及びスラッジの有無を評価した。得られた 結果を表 16〜 17に示す。
[0633] [表 16]
[0634] [表 17]
実施例 実施例 実施例 比較例 比較例 比較例
1-34 1 -35 1-36 1 -10 1 -11 1-12 基油 7 100 99.50 99.00
基油 10 100 99.50 組成
基油 18 100
[質量%]
雷
添加剤 1-1 0.50 0.50 0.50 添加剤 1-2 一 一 0.50 一 一 一 平均庫擦係数 0.110 0.112 0.111 0.117 0.115 0.119 潤滑性 D
3.5 2.2 2.0 8.9 8.2 6.1 僅かに 僅かに
触媒変化 なし なし なし あり あり あり
安定性 D
僅かに
スラッジの有無 なし なし なし なし あり あり
[0635] [実施例 2— 1〜2— 7、比較例 2— 1〜2— 4;圧縮機油組成物]
(潤滑油基油の調製)
表 4に示した基油 2と基油 3とを混合して基油 21(基油 2Z基油 3 = 18Z82(質量 比)、 40°Cにおける動粘度: 31.5mm2Zs)を調製した。また、表 5に示した基油 5と 基油 6とを混合して基油 22(基油 5Z基油 6 = 22Z78(質量比)、 40°Cにおける動粘 度: 32.5mm2Zs)を調製した。
[0636] (圧縮機油組成物の調製)
実施例 2— 1〜2— 4においては、基油 21又は基油 22と以下に示す添加剤とを用 いて、表 18に示す組成を有する圧縮機油組成物を調製した。また、実施例 2— 5〜2 7においては、表 6に示した基油 9と以下に示す添加剤とを用いて、表 19に示す糸且 成を有する圧縮機油組成物を調製した。また、比較例 2— 1〜2— 4においては、表 6 に示した基油 9、上記の基油 21又は表 7に示した基油 13と以下に示す添加剤とを用 V、て、表 20に示す組成を有する圧縮機油組成物を調製した。
(酸化防止剤)
A2-1:ドデシルフ工-ルー α—ナフチルァミン
Α2— 2: Ν ォクチルフエ-ル Ν ブチルフエ-ルァミン
(ミスト防止剤)
B2-1:ポリメタアタリレート(重量平均分子量: 80, 000)
(リン系極圧剤)
C2- 1 :トリクレジルホスフェート。
[0637] [熱'酸化安定性試験]
実施例 2— 1〜2— 7及び比較例 2— 1〜2— 4の圧縮機油組成物につ 、て、 JIS K 2514に準拠して RBOT残存寿命を測定した。得られた結果を表 18〜20に示す。 表中、 RBOT残存寿命の値が大きいほど、その圧縮機油組成物が熱 ·酸化安定性 に優れていること、及び酸化防止剤の効き目が良いことを意味している。
[0638] [ミスト試験]
実施例 2— 1〜2— 7及び比較例 2— 1〜2— 4の圧縮機油組成物につ 、て、 AST M D 3705に準拠してミスト試験を行った。
[0639] 図 1は本試験で用いたミスト試験装置を示す概略構成図である。図 1に示したミスト 試験装置 1は、ミスト発生器 11とミストボックス 12とが配管 L1を介して接続された構成 を有している。
[0640] 配管 L1のミスト発生器 11側の形状は、図示の通り、ミスト発生器 11との接続位置を 起点として上向きに伸長し、次いで所定位置で屈曲して下向きに伸長した形状とな つている。配管 L1のミスト発生器 11との接続位置の近傍には、ミスト発生器 11から配 管 L1に送られるミストの圧力をモニターする圧力計 13が設けられている。
[0641] そして、配管 L1は、下向きに伸長する部分の所定位置において、そのまま下向きと 斜め上向きとに分岐しており、下向きに伸長する配管の下端は捕集瓶 14に接続され ている。この捕集瓶 14には、ミスト発生器 11から送られるミストの一部が捕集される。
[0642] 他方、斜め上向きに分岐した配管は、所定位置で更に 2つに分岐しており、分岐し た配管のそれぞれはミストボックス 12の上壁を貫通している。そして、分岐配管の端 部にはスプレーノズル 15が設けられており、このスプレーノズル 15によってミスト発生 器 12から送られるミストがミストボックス 12内部に噴霧される。このとき、噴霧されたミ ストの一部は液ィ匕してミストボックス 12内部に溜まる力 その一方でストレーミストが発 生する。発生したストレーミストは、ミストボックス 12の側壁に設けられたストレーミスト 排出口 16からミストボックス 12の外部に排出される。
[0643] 上記構成を有するミスト試験装置を用いて、各圧縮機油組成物のミスト防止性を評
価した。具体的には、ミスト発生器 11に各圧縮機油組成物を所定量充填してミストイ匕 し、ミスト発生器 11における残存油量、捕集瓶 14に捕集された油量及びミストボック ス 12内部に溜まった油量を測定した。そして、下記式 (A)に基づきミスト発生量を、 下記式 (B)に基づきストレーミスト率をそれぞれ求めた。得られた結果を表 18〜20に 示す。なお、表中、ミスト発生量が少ないほど、ミストイ匕のための油の消費量が少ない ことを意味している。また、ストレーミスト率が小さいほど、圧縮機油として用いた場合 に、フィルタを通過する吐出ガスへの油の排出量が少な 、ことを意味して 、る。
(ミスト発生量 [gZh]) = { (ミスト発生器 11への充填油量 [g])—(試験後のミスト発生 器 11における残存油量 [g] ) } / (試験時間 [h] ) (A)
(ストレーミスト率 [%] ) = { (ミスト発生量 [g])― (試験後の捕集瓶 14における捕集油 量とミストボックス 12内部に溜まった油量との合計 [g]) } X 100Z (ミスト発生量 [g]) (B)。
[0644] [抗スラッジ性評価試験]
実施例 2— 1〜2— 7及び比較例 2— 1〜2— 4の圧縮機油組成物につ 、て、回転 型スクリュー圧縮機 (モータ出力: l lkW、圧縮ガス:空気)を用いて、吐出圧力 0. 8 ±0. lMPa、オイルタンク内温度 90°Cの条件でベンチスケールの実機試験を行つ た。試験開始力も 6000時間後に圧縮機を停止して水冷クーラーの開放点検を行い 、フィンチューブへのスラッジの付着の程度を下記評価基準に基づいて判定した。得 られた結果を表 18〜 20に示す。
1:フィンチューブ全体にスラッジが付着し、チューブ間の隙間もスラッジで塞がれて いる
2:フィンチューブ全体にスラッジが付着しており、フィンの形状が確認できな ヽ 3:フィンチューブ全体にスラッジが付着して 、るが、フィンの形状は確認できる 4:フィンチューブに部分的にスラッジが付着して 、るが、チューブの地金が確認でき る
5 :試験前とほとんど変化が認められない。
[0645] [表 18]
実施例 実施例 実施例 実施例
2-1 2-2 2-3 2-4 基油 21 残部 残部 残部
基油 22 - - - 残部
A2-1 1.0 1.0 0.1 1.0 組成 [質量?。]
A2-2 1.0 1.0 0.1 1.0
B2-1 0.1 0.1 0.1 0.1
C2-1 0.5 0.5 動粘度 40°C 32.1 32.1 32.1 32.3
[m m 2/ s] 1 oo°c 6.37 6.37 6.37 6.41 粘度指数 154 154 154 155
RBOT残存寿命
熱■酸化安定性 4000 4000 650 4300
[h]
ミスト発生量 [g/h] 49.8 50.1 48.6 45.6 ミスト防止性
ストレ一ミスト率 [¾] 6.3 6.2 6.3 6.0 抗スラッジ性 評点 4 4 2 4
[0646] [表 19]
[0647] [表 20]
比較例 比較例 比較例 比較例
2-1 2-2 2-3 2-4 基油 21 - - 残部 - 基油 9 残部 基油 22 残部 残部 - - 組成 [質量"/。] A2-1 1.0 0.1 0.1 0.1
A2-2 1.0 0.1 0.1 0.1
B2-1 0.1 0.1 - -
C2-1
動粘度 40°C 32.0 32.0 32.1 32.1
[m m 2/ s] 1 oo°c 5.87 5.87 6.37 6.37 粘度指数 128 128 154 154
RBOT残存寿命
熱■酸化安定性 1900 480 4000 850
[h]
ミスト発生量 [g/h] 60.2 59.5 57.2 58.2 ミスト防止性
ストレ一ミスト率 [%] 8.4 8.5 8.9 8.8 抗スラッジ性 評点 3 1 4 2
[0648] [実施例 3— 1〜3— 15、比較例 3— 1〜3— 7;油圧作動油組成物]
実施例 3— 1〜3— 15においては、表 4〜6に示した基油 3、 6、 9及び以下に示す 添加剤を用いて、表 21〜23に示す組成を有する油圧作動油組成物を調製した。ま た、比較例 3— 1〜3— 7においては、表 4〜8に示した基油 3、 6、 9、 12及び以下に 示す添加剤を用いて、表 24〜25に示す組成を有する油圧作動油組成物を調製し た。
(リン及び Z又は硫黄を構成元素として含有する化合物)
A3— 1:トリクレジルホスフェート
A3-2: β ジチォホスフォリル化プロピオン酸ェチルエステル
A3— 3:トリフエ-ルホスフォロチォネート
A3— 4:ジォクチルジチォリン酸亜鉛
(その他の添加剤)
B3-l:2, 6 ジー tert ブチル p タレゾール
B3-2:ジォクチルジフエニルァミン。
[0649] 次に、実施例 3— 1〜3— 15及び比較例 3— 1〜3— 7の油圧作動油組成物につい て以下の評価試験を実施した。
[0650] [熱'酸化安定性試験]
実施例 3— 1〜3— 15及び比較例 3— 1〜3— 7の油圧作動油組成物について、 JI S K 2514に規定する「タービン油酸ィ匕安定度試験」に準拠して熱 ·酸ィ匕安定性試 験を行い、油圧作動油組成物の酸価が試験開始から 2. OmgKOHZg上昇するま での時間を測定した。得られた結果を表 21〜25に示す。
[0651] [SRV (微小往復動摩擦)試験]
実施例 3— 1〜3— 15及び比較例 3— 1〜3— 7の油圧作動油組成物について、 S RV試験を行い、摩擦特性を評価した。より具体的には、図 2に示すように、ディスク 1 とその上面上に配置されたボール 202との点接触領域に試料油を塗布し、ボール 2 02に鉛直下向き(図中の矢印 A)に荷重をカ卩えながらボール 202をディスク 201の上 面に沿う方向(図中の矢印 B)に相対的に往復動させた。このときの摩擦係数をデイス ク 1保持器(図示せず)に取り付けたロードセル(図示せず)により測定した。ディスク 2 01としては直径 25mm、厚さ 8mmの SPCC材製のものを用い、また、ボール 202と しては直径 10mmの SPCC材製のものを用いた。また、ボール 202にカロえる荷重は 1 , 200N、ボール 2の振幅は lmm、周波数は 50Hz、温度は 80°Cとした。得られた結 果を表 21〜25に示す。
[0652] [耐摩耗性試験]
実施例 3— 1〜3— 15及び比較例 3— 1〜3— 7の各潤滑油組成物につ!/、て、 AST M D 2882に規定されたべーンポンプ試験を実施し、試験前後のベーン及びリン グの重量を計測し、摩耗量を測定した。試験時間は 100時間とした。得られた結果を 表 21〜25に示す。
[0653] [表 21]
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例
3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 基油 3 残部 残部 残部 残部 残部
A3 - 1 0.5
A3 - 2 0.5 0.2 組成
A3 - 3 0.5
[質 s¾]
A3 - 4 0.5
0.5 0.5 0.5 0.5 0.3
0.3 0.3 0.3 0.3 0.1 酸化安定性
2350 2260 2180 2020 2060 (所要時間 [h])
SRV
0.115 0.108 0.113 0.118 0.117
(摩擦係数)
耐摩耗性
8.8 9.7 7.4 6.5 9.9
(摩耗量 [mg])
[0654] [表 22]
[0655] [表 23]
3 - 2 0.5 0.2
[0656] [表 24]
[実施例 4 1〜4 7、比較例 4 1〜4 4;金属加工油組成物]
実施例 4 1〜4 7においては、それぞれ表 4〜6に示した基油 1、 6、 9及び以下 に示す添加剤を用いて、表 26に示す組成を有する金属加工油組成物を調製した。 また、比較例4 1〜4 4にぉぃては、それぞれ表 7に示した基油 12又は以下に示 す基油 23、並びに以下に示す添加剤を用いて表 27に示す金属加工油組成物を調 製した。表 26〜27には各金属加工油組成物の 40°Cにおける動粘度を併せて示す 。なお、表 26〜27に示した添加剤の含有量は組成物全量を基準とした含有量であ る。
(基油)
基油 23 :パラフィン系鉱油(40°Cにおける動粘度: 49. 7mmVs,飽和分: 91. 5質 量%、飽和分に占める環状飽和分の割合: 49. 8質量%)
(添加剤)
添加剤 4- 1 : :ステアリン酸ブチル
添加剤 4- 2 : :ラウリルアルコール
添加剤 4- 3 : :ォレイン酸
添加剤 4- 4 : :トリクレジルホスフェート
添加剤 4— 5 : :硫化エステル (不活性タイプ) o
[0659] 次に、実施例 4 1〜4 7及び比較例 4 1〜4 4の金属加工油糸且成物につい て以下の評価試験を実施した。
[0660] [絞り加工試験]
実施例 4 1〜4 7及び比較例 4 1〜4 4の金属加工油,袓成物それぞれを用 いてアルミニウム製円盤 (JIS A 5182、直径 100mm、厚さ 0.4mm)を底付き容器 に成型する際に、しわ押さえ力を 1000kgとしたときに必要なポンチの最大絞り力を 測定した。得られた結果を表 26〜27に示す。表 26〜27中、最大絞り力が小さいほ ど加工性に優れて 、ることを意味する。
[0661] [油除去性試験(1)]
アルミニウム製円盤 (JIS A 5182、直径 100mm、厚さ 0.4mm)の一方面上に、 実施例 4 1〜4 7及び比較例 4 1〜4 4の金属加工油糸且成物それぞれを 3gZ m2となるようにスプレーを用いて塗布し、室温で 6時間静置した。その後、ノ-オン系 界面活性剤を含む脱脂剤に円盤を 1分間浸潰し、更に、取り出した円盤を流水中で 30秒間水洗した。かかる水洗の後、直ちに円盤を径方向が垂直となるように保持し、 20秒後の水濡れ面積を測定し、水濡れ面積が塗布面の面積の 90%以上のものを A 、 90%未満のものを Bと評価した。得られた結果を表 26〜27に示す。なお、水濡れ 面積が大きいもの(すなわち評価 Aのもの)ほど油除去性に優れていることを意味す る。
[0662] [表 26] 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例
4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6 4-7 基油 基油 1 基油 1 基油 1 基油 6 基油 9 基油 9 基油 9 添加剤 4-1 5 10 5 10 添加剤の 添カロ斉 4-2 5 5 含有量 添力□斉 4-3 2 2 2 2
[質量 ] 添力□斉 4-4 5 3 3 5 5 3 3 添カロ斉 4-5 20 25 10 20 20 25 10
40QCにおける動粘度
30.1 27.8 33.8 36.4 27.1 24.4 30.2 [mm 2/ s]
絞り加工試験
1510 1460 1600 1505 1495 1460 1590 (最大絞リカ [kgf])
油除去性試験( 1 ) A A A A A A A
[0663] [表 27]
[0664] [実施例 4 8〜4 14、比較例 4 5〜4 8]
実施例 4 8〜4 14においては、それぞれ表 4〜6に示した基油 2、 4、 7及び以 下に示す添加剤を用いて、表 28に示す組成を有する金属加工油組成物を調製した 。また、比較例 4 5〜4 8においては、それぞれ表 7に示した基油 10又は以下に 示す基油 24、並びに以下に示す添加剤を用いて表 29に示す金属加工油組成物を 調製した。表 28〜29には各金属加工油組成物の 40°Cにおける動粘度を併せて示 す。なお、表 28〜29に示した添加剤の含有量は組成物全量を基準とした含有量で ある。
(基油)
基油 24 :パラフィン系鉱油(40°Cにおける動粘度: 19. 3mmVs,飽和分: 99. 1質 量%、飽和分に占める環状飽和分の割合: 45. 9質量%)
(添加剤)
添加剤 4- 1 : :ステアリン酸ブチル
添加剤 4- -2 : :ラウリルアルコール
添加剤 4- -4 : :トリクレジルホスフェート
添加剤 4- 5 : :硫化エステル (不活性タイプ) o
[0665] 次に、実施例 4 8〜4 14及び比較例 4 5〜4 8の金属加工油糸且成物につい て以下の評価試験を実施した。
[0666] [圧延加工試験]
実施例 4 8〜4 14及び比較例 4 5〜4 8の金属加工油,袓成物それぞれを用 いてステンレス製被圧延材(SUS 304、長さ 100mm、幅 50mm、厚さ 0. 25mm)を 圧延する際に、圧延速度 250mZmin、圧下率 35%としたときに要した圧延荷重を 測定した。得られた結果を表 28〜29に示す。表 28〜29中、圧延荷重が小さいほど 加工性に優れて 、ることを意味する。
[0667] [油除去性試験 (2) ]
ステンレス製被圧延材(SUS304、長さ 100mm、幅 50mm、厚さ 0. 25mm)の一 方面上に、実施例 8〜14及び比較例 5〜8の金属加工油糸且成物それぞれを 3gZm2 となるようにスプレーを用いて塗布し、室温で 6時間静置した。次に、 n—へキサンに 被圧延材を 5秒間浸漬し、取り出した被圧延材を乾燥した。その後、被圧延材を室温 力も 3時間かけて 450°Cに加熱し、同温で 1時間保持した後、 2時間かけて室温まで 冷却した (熱脱脂)。力かる熱脱脂後の被圧延材の表面の変色した部分の面積を測 定し、変色面積が塗布面の面積の 95%以上のものを A、 95%未満のものを Bと評価 した。得られた結果を表 28〜29に示す。なお、変色面積が大きいもの(すなわち評 価 Aのもの)は油除去性に優れていることを意味する。
[0668] [表 28]
[0669] [表 29]
比較例 比較例 比較例 比較例
4-5 4-6 4-7 4-8
^£油 基油 10 基油 10 基油 10 基油 24
添加剤 4-1 15 15
添加剤の
添カロ斉 IJ 4-2 3 5
含有
添カロ斉 IJ 4-4 1 5 5
[質量%]
添カロ斉 IJ 4-5 1 15 15
40 Cにおける動粘度
10.6 10.1 11.4 20.2
[mm / s」
圧延加工試験
8.4 8.3 8.9 7.2
(圧延荷重 [tonf])
油除去性試験(2) A A A B [実施例 4—15〜4 24、比較例4 9〜4 11」
実施例 4 15〜4 24においては、それぞれ表 4〜6に示した基油 3、 4、 7及び以 下に示す添加剤を用いて、表 30〜31に示す組成を有する金属加工油組成物 (切削 油組成物)を調製した。また、比較例 4— 9〜4— 11においては、それぞれ表 7に示し た基油 10及び以下に示す添加剤を用いて表 31に示す金属加工油組成物を調製し た。表 30〜31には各金属加工油組成物の 40°Cにおける動粘度を併せて示す。な お、表 30〜31の組成の欄中、基油 3、 4、 7、 9及び添加剤 4— 6〜4— 13の各含有 量は組成物全量を基準とした含有量である。
(添加剤)
添加剤 4 6:活性硫化エステル (硫黄含有量:17.5質量%)
添加剤 4 7:ジー tードデシルポリサルファイド (硫黄含有量: 32質量%) 添加剤 4 8:ジチォリン酸亜鉛化合物 (硫黄含有量: 20質量%、亜鉛含有量: 10質 量%、リン含有量: 9質量%)
添加剤 4 9:過塩基性カルシウムスルホネート(塩基価: 400mgKOHZg) 添加剤 4 -10:エチレン プロピレン共重合体( 100°Cにおける動粘度: 1200mm2 /s)
添加剤 4— 11:トリクレジルホスフェート
添加剤 4 -12:ハイォレイツク植物油(ヨウ素価:95、構成カルボン酸に占めるォレイ ン酸の割合: 65質量%)
添加剤 4 - 13: n ドデカノール。
[0671] 次に、実施例 4 15〜4 24及び比較例 4 9〜4 11の金属加工油組成物に つ!、て以下の評価試験を実施した。
[0672] [タッピング試験]
実施例 4 15〜4 24及び比較例 4 9〜4 11の各金属加工油組成物を用 Vヽ て、通常給油方式によりタッピング試験を行った。具体的には、各金属加工油組成物 及び比較標準油(DIDA:アジピン酸ジイソデシル)を交互に用いて、以下に示す条 件でタッピング試験を行 、、それぞれの場合のタッピングエネルギーを測定した。 タッピング条件
工具:ナットタップ M8 (P= 1. 25mm)
下穴径: Φ 7. 2mm
ワーク: AC8A(t= 10mm)
切削速度: 9. Om/分
油剤供給方式
金属加工油組成物及び DIDAを直接加工部位に約 6mLZ分の条件で供給して 加工を行った。
[0673] 次に、得られたタッピングエネルギーの測定値を用いて、下記式に従!、タッピング エネルギー効率(%)を算出した。得られた結果を表 28〜29に示す。表中、タツピン グエネルギー効率の値が高 ヽ程、潤滑性が高 ヽことを意味する。
タッピングエネルギー効率(%) = (DIDAを用いた場合のタッピングエネルギー) Z (油剤組成物を用いた場合のタッピングエネルギー)
[0674] [油持ち出し量試験]
実施例 4 9〜4 15及び比較例 4 9〜4 11の各金属加工油糸且成物に、 SPC C鋼板 (60mm X 80mm)を浸漬して 1分間保持した。その後、 SPCC鋼板を取り出し て 5分間垂直に吊して油切りを行い、金属加工油組成物の付着量 (油持ち出し量)を 測定した。得られた結果を表 30〜31に示す。
[0675] [表 30]
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 4-15 4-16 4-17 4-18 4-19 4-20 4-21 基油 3 76 59 68 38 基油 4 76 59 68 38 添加剤 4-6 15 10 15 10 15 添カロ斉 4-7 10 10 10 10 組成 添力口斉 4-8 1 1 1 1 1 [質量%] 添カロ斉 4-9 5 5 5 5 5 5 5 添カロ剤 4-10 1 1 1 1 1 1 1 添加剤 4-11 1 5 5 1 5 5 1 添カロ剤 4-12 10 10 10 10 添力□剤 4-13 1 1 1
40°Cにおける動粘度
13 16 14 13 16 14 13 」
切削加ェ試験
120 126 123 120 128 122 121 (タツビングエネルギー効率 [¾])
油持ち出し量試験
0.38 0.45 0.42 0.37 0.45 0.41 0.38 (持ち出し量 [表 31]
[実施例 5— 1〜5— 11、比較例 5— 1〜5— 10:熱処理油組成物]
実施例 5— 1〜5— 6においては、表 4〜5に示した基油 1、 2、 3、 5及び以下に示す 冷却性向上剤 A5— 1、 A5— 2、 A5— 3を用いて、表 32に示す組成を有する熱処理
油組成物を調製した。また、実施例 5— 7〜5— 11においては、表 6に示した基油 7 〜9及び以下に示す冷却性向上剤 A5— 1、 A5— 2、 A5— 3を用いて、表 33に示す 組成を有する熱処理油組成物を調製した。また、比較例5— 1〜5— 10にぉぃては、 表 4〜7、 9に示した基油 1〜3、 5、 7〜9、 12、 16、 17及び以下に示す冷却性向上 剤 A5— l、 A5— 2、 A5— 3を用いて、表 34〜35に示す組成を有する熱処理油組成 物を調製した。表 32〜35には各熱処理油組成物の 40°Cにおける動粘度を併せて 示した。
(冷却性向上剤)
A5— 1 :エチレン プロピレン共重合体(商品名:ルーカント HC600、三井石油化学 社製、数平均分子量: 2600)
A5— 2 :アスファルトの不溶分除去物(商品名: NC505、ペンゾィル社製)
A5— 3 :カルシウムサリチレート(商品名: SAP002、シェル化学社製)。
[0678] 次に、実施例 5— 1〜5— 11及び比較例 5— 1〜5— 10の熱処理油糸且成物につい て、以下の評価試験を実施した。
[0679] [焼入れ試験 1]
底面の直径 24mm、高さ 10mmの円柱状の鋼材(S45C)を、水素 Z窒素混合ガス (水素 Z窒素比: 3Z97)中、 850°Cで 45分間加熱した後、 80°Cに加温した熱処理 油組成物中に投入して焼入れを行った。焼入れ後、鋼材の底面の直径上、 3mm間 隔で 7箇所の測定点について、ロックウェル式硬度計を用いて硬度を測定し、それら の平均値を求めた。得られた結果を表 32〜35に示す。
[0680] [焼入れ試験 2]
底面の直径 8mm、高さ 90mmの円柱状の鋼材(SUJ2)を 24本用意し、これらの鋼 材についてバッチ炉を用いて 24本同時に焼入れを行った。なお、鋼材の加熱条件 は 830°C、 60分とし、焼入れの際の油温は 80°Cとした。焼入れ後、ダイアルゲージを 用いて各鋼材の「曲がり」を測定し、 24本の平均値を求めた。得られた結果を表 32 〜35に示す。なお、「曲がり」とは、 Vブロック上に置いた鋼材の長手方向の中心部 にダイアルゲージの先端を押し当て、鋼材を Vブロック上でゆっくりと回転させたとき の最大変位を読み取ることによって測定した。
[0681] [表 32]
[0682] [表 33]
[0683] [表 34]
比較例 比較例 比較例 比較例 比較例
5-1 5-2 5-3 5-4 5-5 基油 1 55 - - - - 基油 2 - 100 - - - 潤滑油基油 基油 3 45 - - - - の組成 基油 - - - - -
(質量%) 基油 16 - - 50 - - 基油 17 - - - 100 100 基油 12 50
冷却性向上剤 A5-1 - - 3 3 - の含有量 A5-2 6
(質量%) A5-3 - - - - -
40°Cにおける動 ¾度 [mm2/s] 17.6 17.3 21.5 21.8 24.2 焼入れ試験 1 硬度(HRC) 18 19 53 54 51 焼入れ試験 2 歪み(〃 m) 17 28 45 38 38 [表 35]
[実施例 6— 1〜6— 21、比較例 6— 1〜6— 8]
実施例 6— 1〜6— 21においては、表 4〜6に示した基油 3、 6、 9及び以下に示す 添加剤を用いて、表 36〜38に示す組成を有する工作機械用潤滑油組成物を調製 した。また、 it較 f列 6— 1〜6— 8にお!/ヽて ίま、表 4〜8に示した基油 3、 6、 9、 12、 14 、 15及び以下に示す添加剤を用いて、表 39〜40に示す組成を有する工作機械用
潤滑油組成物を調製した。
(リン及び Z又は硫黄を構成元素として含有する化合物)
A6- 1 :ォレイルアシッドホスフェート
A6- 2 :ォレイルアシッドホスフェートのォレイルァミン塩
A6— 3:トリクレジルホスフェート
A6— 4 :硫化エステル (硫黄含有率: 11. 4質量%)
A6— 5 :硫化ラード (硫黄含有率: 11. 0質量%)
(その他の添加剤)
B6— 1 :ォレイン酸
B6— 2: 2, 6 ジー tert ブチル p クレゾール。
[0686] 次に、実施例 6— 1〜6— 21及び比較例 6— 1〜6— 8の工作機械用潤滑油組成物 につ 、て以下の評価試験を実施した。
[0687] [熱'酸化安定性試験]
JIS K 2540— 1989の「潤滑油熱安定度試験方法」に準じて各潤滑油組成物の スラッジ生成抑制性を評価した。すなわち、 50mlビーカーに潤滑油組成物 45gを秤 取し、その中に銅触媒及び鉄触媒を入れ、 140°Cの空気恒温槽内で 72時間放置し た後、潤滑油組成物のスラッジ量を測定した。生成スラッジ量は、試験後の潤滑油組 成物を n—へキサンで希釈し、 0. 8 /z mのメンブランフィルターにてろ過し、捕集物の 重量を測定することにより求めた。銅触媒及び鉄触媒は、タービン油酸化安定度試 験 CilS K 2514)に使用する触媒を 8卷 (長さ約 3. 5cm)に切断したものを使用し た。得られた結果を表 36〜40に示す。
[0688] [摩擦特性評価試験]
図 3は摩擦特性評価試験に用いた摩擦係数測定システムを示す概略構成図であ る。図 3中、ベッド 306上にはロードセル 305を介して連結されたテーブル 301及び 可動治具 304が配置されており、さらにテーブル 301上には、加工工具の代用物とし ての重鎮 309が配置されている。テーブル 301及びベッド 306はいずれも铸鉄から なるものである。また、可動治具 304は軸受部を有するもので、当該軸受部は送りネ ジ 303を介して A/Cサーボモータ 302に連結されて!、る。 A/Cサーボメータ 2によ
り送りネジ 303を動作させることで、可動治具 304を送りネジ 303の軸方向(図中の矢 印方向)に往復運動させることができる。さらに、ロードセル 305はコンピュータ 307と 、コンピュータ 307及び AZCサーボメータ 302はそれぞれ制御板 308と電気的に接 続されており、これにより可動治具 304の往復運動の制御及びテーブル 301と可動 治具 304との間の荷重の測定を行うことができる。
[0689] このような摩擦係数測定システムにおいて、ベッド 706の上面に潤滑油組成物を滴 下し、テープノレ重鎮 309の選定によりテープノレ 301とベッド 306との間を面圧 200kP aに調整した後、送り速度 1. 2mmZmin、送り長さ 15mmで可動治具 304を往復運 動させた。このときのテーブル 301と可動治具 304との間の荷重をロードセル 305 (荷 重計)により測定し、得られた測定値に基づいて案内面 (テーブル 301Zベッド 306 =铸鉄 Z铸鉄)の摩擦係数を求めた。なお、上記試験は慣らし運転を 3回行った後 に行った。各潤滑油組成物の摩擦係数を表 36〜40に示す。
[0690] (スティックスリップ低減性評価試験)
図 4はスティックスリップ低減性評価装置(プリント アンド パートナーズ (PLINT & PARTNERS)社製 TE— 77試験機)を示す概略構成図である。図 4に示した装 置は、支持台 410上に下側試験片 402、上側試験片 401、弾性体 400をこの順で積 層し、所定荷重で試験片 401、 402同士を押し付けながら弾性体 400を支持台 410 の面に沿って往復動(すべり運動)させることにより、試験片 401、 402を摺動させるも のである。そして、力かる摺動の際に試験片 401、 402にカ卩えられる荷重を荷重検出 器 403により測定することで、試験片 401、 402間の摩擦係数が求められる。図 5は、 上記操作で得られる摩擦係数と時間との相関の一例を示すグラフである。図中の Δ μは摩擦係数の振幅を示している。
[0691] このような装置を用い、試験片及び条件をすベり案内面用潤滑油評価用に改良し たこと以外は文献 (トライボロジ一学会トライボロジー会議予稿集 東京 1999- 5 D17)に示されている方法に準拠して、試験片 401、 402間に各潤滑油組成物を介 在させたときの Δ μを測定した。具体的には、試験片 401、 402のいずれも JIS G 4051 S45Cを、弾性体 400にはクロロプレンゴムをそれぞれ用い、平均すベり速度 0. 3mmZs、荷重 250Νで試験を行った。 Δ が 0. 02未満の場合「スティックスリツ
プなし」、振幅 Δ μが 0. 02以上の場合「スティックスリップ有り」としてスティックスリツ プ低減性を評価した。得られた結果を表 36〜40に示す。
[表 36]
[表 38]
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例
6-15 6-16 6-17 6-18 6-19 6-20 6-21 劇 ^ 基油 。 残部 残部 残部 残部 残部 残部 残部
A6-1 0.5 0.5
A6-2 0.5 0.5
A6-3 0.5
> >
0.5 0.5
0.5
B6-1 0.5 0.5
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 熱 -酸化安定性
3.9 4.6 3.2 9.1 7.9 5.4 .5
(スラッジ量 [mg])
摩擦特性
0.111 0.109 0.114 0.112 0.113 0.095 0.090 (摩擦係数)
スティックスリップの有無 なし なし なし なし なし なし なし
[0695] [表 39]
[0696] [表 40]
比較例
6-8
基油 9 残部
A6-1
A6-2
組成 A6-3
[質量 ] A6-4
A6-5
B6-1
B6-2 0.5
熱■酸化安定性
2.7
(スラッジ量 [mg])
庫擦特性
0.141
(摩擦係数〕
スティックスリップの有無 あり
[0697] [実施例 7— 1〜7— 18、比較例 7— 1〜7— 4;潤滑油組成物]
(潤滑油基油の調製)
表 4に示した基油 2と基油 3とを混合して基油 25 (基油 2Z基油 3 = 10Z90 (質量 比)、 40°Cにおける動粘度: 32mm2Zs)を調製した。
[0698] また、表 5に示した基油 5と基油 6とを混合して基油 26 (基油 5Z基油 6 = 12Z88( 質量比)、 40°Cにおける動粘度: 32. ImmVs)を調製した。
[0699] また、表 7に示した基油 11と基油 12とを混合して基油 27(基油 11Z基油 12 = 20
/80 (質量比)、 40°Cにおける動粘度: 32mm2Zs)を調製した。
[0700] 更に、比較のための潤滑油基油として、基油 28 (ポリ aーォレフイン、 40°Cにおけ る動粘度: 32. OmmVs)を準備した。
[0701] (潤滑油組成物の調製)
実施例 7— 1〜7— 10においては、上記の基油 25又は基油 26と以下に示す添カロ 剤とを用いて、表 41〜42に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。また、実施 例 7— 11〜7— 18においては、表 6に示した基油 9と以下に示す添加剤とを用いて、 表 43〜44に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。また、比較例 7— 1〜7—
4においては、上記の基油 27又は基油 28と以下に示す添加剤を用いて、表 45に示 す組成を有する潤滑油組成物を調製した。
(酸化防止剤)
A7 - 1 : (3, 5 ジ— tert—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸エステル
A7 - 2 :ドデシルフェ-ル— a—ナフチルァミン
A7— 3: N ォクチルフエ-ル N ブチルフエ-ルァミン
(アルキル基置換芳香族炭化水素化合物)
B7—1 :炭素数 16又は 18のアルキル基を 1〜2個有するアルキルナフタレン。
[0702] [特性評価試験(1) ]
実施例 7— 1〜7— 18及び比較例 7— 1〜7— 4の潤滑油組成物について、 JIS K 2514に規定するタービン油酸ィ匕安定度試験 (TOST)と回転ボンべ式酸化安定度 試験 (RBOT)を併用した特性評価試験を実施した。具体的には、 TOST試験にお V、て各潤滑油組成物を 120°Cで所定時間酸ィ匕劣化させ、そのときのスラッジ生成量 及び RBOT値を測定した。そして、劣化油の RBOT値が試験前の RBOT値の 25% に到達した時間(残存寿命 25%到達時間)及びそのときのスラッジ生成量に基づ!/、 て、潤滑油組成物の熱 ·酸ィ匕安定性及びスラッジ抑制性を評価した。各潤滑油組成 物の試験前の RBOT値、並びに残存寿命 25%到達時間、及び残存寿命 25%到達 時のスラッジ生成量(試料油 100ml当たりの生成量)を表 41〜45に示す。
[0703] [特性評価試験 (2) ]
実施例7—1〜7—18及び比較例7—1〜7—4の潤滑油組成物にっぃて、以下の ようにしてスラッジ抑制性を評価した。図 6は本試験で用いた高温ポンプ循環試験設 備の概略構成を示す図である。図 6中、循環流路 L2には、オイルタンク 601、ピスト ンポンプ 602、減圧弁 603、ラインフィルター 604、流量計 605、クーラー 606力この 順序で設けられており、オイルタンク 601内の潤滑油組成物力 ピストンポンプ 602 によって循環流路 L2に引き出され、循環流路 L2を通って再びオイルタンク 601に戻 るようになっている。
[0704] 本試験では、図 6に示す高温ポンプ循環試験設備により、各潤滑油組成物をピスト ンポンプ 602を用いて 7MPa、 120°Cで循環させ、ラインフィルター 604 (3 m)の前 後の差圧上昇をモニターした。スラッジがない場合の差圧は約 35kPaである力 スラ ッジが捕集されると徐々に差圧は上昇する。こうして差圧が 100kPaになるまでの運 転時間を測定し、スラッジ生成防止性の尺度とした。得られた結果を表 41〜45に示
す。なおこの運転時間の数値は大き!/、ほどスラッジ生成抑制性に優れることを示す。 なお、表中の「> 1000」は運転時間が 1000時間を経過しても差圧が lOOkPaに到 達しな力つたことを意味する。
[0705] [表 41]
[0707] [表 43]
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例
7-11 7-12 7-13 7-1 7-15 基油 9 残部 残部 残部 残部 残部
A7-1 0.50 1.00 - - - 組成
A7-2 - - 0.50 1.00 0.50
[質量%]
A7-3 - - 0.15 0.30 0.80
B7-1 - - - - - 試験前の RBOT 値 [min] 235 390 1750 2010 1880 残存寿命 25%到達時間 [h] 370 585 1460 1970 1470 試験(1 )
残存寿命 25¾到達時の
2 2 3 4 7 スラッジ生成量 [mg/ 100ml]
試験(2) 運転時間 [h] 400 600 900 >1000 900
[0708] [表 44]
[0709] [表 45]
比較例 比較例 比較例 比較例 7-1 7-2 7-3 7-4 基油 27 残部 残部 残部 - 基油 28 - - - 残部 組成 A7-1 0.50 1.00 - -
[質量%] A7-2 - - 1.00 1.00
A7-3 - - 0.30 0.30
B7-1 - - - - 試験前の RBOT値 [min] 180 250 1700 2000 残存寿命 25%到達時間 [h] 200 300 1500 1800 試験(1 )
残存寿命 25%到達時の
2 2 6 7 スラッジ生成量 [mg/ 100 ml]
試験(2) 運転時間 [h] 300 430 800 850