JP7467698B2 - 心臓弁封止デバイスおよびその送達デバイス - Google Patents

Description

［関連出願の相互参照］
本出願は、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、「HEART VALVE SEALING DEVICES AND DELIVERY DEVICES THEREFOR」と題する、2018年1月30日に出願された米国特許出願第15/884,193号、2018年3月1日に出願された米国特許出願第15/909,803号、2018年3月2日に出願された米国出願第15/910,951号、2018年3月7日に出願された米国特許出願第15/914,143号、2018年3月21日に出願された米国出願第15/927,814号、2018年4月5日に出願された米国特許出願第15/946,604号、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/953,220号、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/953,263号、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/953,283号、2017年4月18日に出願された米国仮出願第62/486,835号に関連し、これらのあらゆる利益を主張する。

本出願は一般に、生来の心臓弁の封止を補助しそこを通る逆流を防止または軽減するための人工補綴デバイスおよび関連方法に関し、更に、かかる人工補綴デバイスを移植するためのデバイスおよび関連方法に関する。

生来の心臓弁(すなわち、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、および僧帽弁)は、血液の十分な供給量が心血管系内を順方向に流れることを保証する上で、非常に重要な役割を果たす。これらの心臓弁は、先天奇形、炎症の進行、感染性の症状、または疾患によって損傷し、その結果機能が低下する可能性がある。弁のかかる損傷の結果、重篤な心血管系不全または死亡に至る可能性がある。長年にわたり、かかる損傷した弁の決定的な治療は、心臓切開手術での弁の外科的な修復または置換であった。しかしながら、心臓切開手術は侵襲性が高く、多くの合併症を発症し易い。したがって、心臓弁に欠陥のある高齢のおよび虚弱な患者は、多くの場合治療されなかった。近年では、心臓切開手術よりも遥かに侵襲性の低い様式で人工補綴デバイスを導入および移植するための、経血管的技法が開発されている。生来の僧帽弁および大動脈弁にアクセスするために使用される1つの具体的な経血管的技法は、経中隔技法である。経中隔技法は、右大腿静脈から下大静脈を上がり、右心房内にカテーテルを挿入することを含む。次いで中隔に穴を開け、カテーテルを左心房内へと通す。

健常な心臓は全体に、下側の頂点へと先細になる円錐形状をしている。心臓は4つの部屋を有し、左心房、右心房、左心室、および右心室から成る。心臓の右側と左側は、一般に中隔と呼ばれる壁によって分離されている。人間の心臓の生来の僧帽弁は、左心房を左心室に接続している。僧帽弁は、他の生来の心臓弁とは非常に異なる解剖学的構造を有する。僧帽弁は、僧帽弁の開口部を取り囲む生来の弁組織の環状部分である弁輪部分と、弁輪から左心室内へと下向きに延在する1対の弁尖、または弁葉と、を含む。僧帽弁弁輪は、「D」形状の、卵形の、またはそれ以外の長軸および短軸を有する真円ではない断面形状を形成し得る。前尖は後尖よりも大きい可能性があり、弁葉が1つに閉じられるときに、これらの当接する自由端同士の間に、全体に「C」形状の境界を形成している。

適正に動作しているときは、前尖および後尖は一緒に一方向弁として機能して、血液が左心房から左心室へとのみ流れることを可能にする。左心房は肺静脈から酸素化した血液を受け取る。左心房の筋肉が収縮し左心室が拡張するとき(「心室拡張期」または「拡張期」とも呼ばれる)、左心房内に集まる酸素化した血液が左心室に流入する。左心房の筋肉が弛緩し左心室の筋肉が収縮するとき(「心室収縮期」または「収縮期」とも呼ばれる)、左心室内の増大した血圧により2つの弁葉が1つに押し合わされて、このことにより一方向性である僧帽弁が閉じられ、この結果、血液は左心房に逆流することができなくなり、代わりに左心室から大動脈弁を通して排出される。2つの弁葉が圧力下で逸脱するおよび左心房に向かって僧帽弁輪を介して折り返されるのを防止するために、腱索と呼ばれる複数の線維索が、弁葉を左心室内の乳頭筋に繋留している。

僧帽弁逆流は、心収縮の収縮相中に、生来の僧帽弁が適正に閉じず、血液が左心室から左心房に流入するときに生じる。僧帽弁逆流は心臓弁膜症の最も一般的な形態である。僧帽弁逆流には様々な原因があり、例えば、弁葉逸脱、乳頭筋の機能不全、および/または左心室の拡張の結果生じる僧帽弁輪の延伸が挙げられる。弁葉の中央部分での僧帽弁逆流を、中央ジェット僧帽弁逆流と呼ぶ場合があり、弁葉の1つの交連部(すなわち、弁葉同士が接している場所)により近い僧帽弁逆流を、偏心ジェット僧帽弁逆流と呼ぶ場合がある。中央ジェット逆流は、弁葉の縁部が中央で接しておらず、この結果弁が閉じずに逆流が存在するときに生じる。

患者の僧帽弁逆流を治療するための従来の技法のいくつかは、生来の僧帽弁弁葉の縁部を外科的に直接互いに縫合することを含む。この外科的縫合法と同様に、カテーテルによって送達されたクリップを使用して、弁葉の縁部を1つにクリップ留めすることが試みられている。しかしながら、このクリップは、弁葉の中央縁部が約2mm以上重なり合う場合にこれらをクリップ留めするためにしか使用できないため、十分ではない。代替として、弁葉がより多く重なり合うことのできる場合に、僧帽弁の交連部に対して複数のクリップを使用する試みが成されている。この技法では、結果的に手術時間がより長くなり、また、患者の弁葉の側部を接合するので、血流が制限される。更に、外科的処置およびクリップ処置のいずれも、患者の弁葉に負担をかけると考えられる。

これらの従来の技法にも関わらず、僧帽弁逆流を治療するための改善されたデバイスおよび方法が、依然として必要とされている。

米国特許第8,449,599号 米国特許出願公開第2014/0222136号 米国特許出願公開第2014/0067052号 米国特許出願公開第2016/0331523号

移植可能な人工補綴デバイスは、接合部分と、パドルと、留め具と、を含む。パドルは閉じた位置から開いた位置へと移動可能である。留め具もまた、開いた位置から閉じた位置へと移動可能である。この移植可能な人工補綴デバイスは、生来の弁、例えば生来の僧帽弁を修復するために使用できる。

本発明の本質および利点の更なる理解が、特に、同様の部分が同様の参照符号を有している添付の図面と関連させて検討するときに、以下の説明および特許請求の範囲に提示されている。

以下の説明および添付の図面を検討することで、本発明のこれらのおよび他の特徴および利点がよりよく理解されるであろう。

配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 配備の様々な段階にある、第1の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図1の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図2の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図3の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図4の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図5の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている図6の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 第2の実施形態に係る別の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 第2の実施形態に係る別の移植可能な人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 返し付き留め具によって把捉された僧帽弁組織の一部分の図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 生来の僧帽弁内に送達され移植されている第3の実施形態に係る移植可能な別の人工補綴デバイスの図である。 一実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第2の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第3の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 曲げの様々な段階にある、移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の側面図である。 曲げの様々な段階にある、移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の側面図である。 曲げの様々な段階にある、移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の側面図である。 第4の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第5の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第6の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第7の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第8の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第9の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第10の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第10の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第10の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第11の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 図56の返し付き留め具のヒンジ部分の代替の実施形態の図である。 図56の返し付き留め具のヒンジ部分の代替の実施形態の図である。 第12の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 図57および図58に示す返し付き留め具を製作するために使用される、平坦な切り抜き材の図である。 第12の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第13の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第14の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 移植可能な人工補綴デバイス用の例示の返し付き留め具に作動ラインを固定するための、例示の構成の図である。 作動ラインを用いて開かれている例示の返し付き留め具を示す。 作動ラインを用いて開かれている例示の返し付き留め具を示す。 作動ラインを有する第9または第10の実施形態の例示の返し付き留め具の図である。 第15の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第16の実施形態に係る移植可能な人工補綴デバイス用の返し付き留め具の図である。 第17の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第17の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第18の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第18の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第18の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第18の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第18の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第19の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第19の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 第19の実施形態に係る移植可能なデバイス用の返し付き留め具の図である。 本明細書に記載する移植可能なデバイスとともに使用される例示の作動機構の図である。

本明細書で記載される場合、1つまたは複数の構成要素が接続されている、連結されている、固着されている、結合されている、取り付けられている、またはそれ以外で相互に接続されていると記載されている場合、かかる相互接続は、構成要素同士の間でのように直接的なものであってもよく、または、1つもしく複数の介在する構成要素の使用を介する場合のように、間接的なものであってもよい。また本明細書で記載される場合、「部材」、「構成要素」、または「部分」への言及は、単一の構造部材、構成要素、または要素に限定されるものではなく、複数の構成要素、部材、または要素の組立体を含み得る。また本明細書で記載される場合、「実質的に」および「約」という用語は、所与の値または状態に少なくとも近い(かつそれを含む)もの(好ましくはその10%以内、より好ましくはその1%以内、最も好ましくはその0.1%以内)として定義される。

人工補綴デバイスは、接合手段または接合要素と、少なくとも1つの繋留手段またはアンカーと、を有する。接合要素は、生来の弁葉同士の間により効果的な封止を形成するのを助け、このことにより逆流を低減または防止するために、生来の心臓弁開口部内に位置付けられるように構成されている。接合要素は、心室収縮期中に接合要素の各側で生来の弁葉を閉じ合わせて、血液が左心室または右心室からそれぞれ左心房または右心房へと逆流するのを阻止することができる、血液が浸透しない構造を有し得る。この人工補綴デバイスは、2つのまたは3つの生来の弁葉に対して封止を行うように構成することができる、すなわち、このデバイスは、生来の僧帽(二尖)弁および三尖弁において使用することができる。接合要素は機能不全の生来の僧帽弁弁葉の間または三尖弁弁葉の間の完全に閉じない空間を埋めることができるので、本明細書では、接合要素をスペーサと呼ぶ場合がある。

接合要素は様々な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、接合要素は、丸形の断面形状を有する細長い円筒形の形状を有し得る。他の実施形態では、接合要素は、卵形の断面形状、三日月形の断面形状、または様々な他の非円筒形の形状を有し得る。接合要素は、左心房内にまたは左心房に隣接して位置付けられた心房側または上側の端部と、左心室内にまたは左心室に隣接して位置付けられた心室側または下側の端部と、生来の僧帽弁弁葉間に延在する側面と、を有し得る。三尖弁で使用されるように構成された実施形態では、心房側または上側の端部は右心房内にまたは右心房に隣接して位置付けられ、心室側または下側の端部は右心室内にまたは右心室に隣接して位置付けられ、側面は生来の三尖弁弁葉間に延在する。

アンカーは、接合要素が2つの生来の弁葉の間に位置付けられるように、生来の僧帽弁弁葉の一方または両方にデバイスを固定するように、構成することができる。三尖弁で使用されるように構成された実施形態では、アンカーは、接合要素が3つの生来の弁葉の間に位置付けられるように、三尖弁弁葉のうちの1つ、2つ、または3つにデバイスを固定するように、構成されている。いくつかの実施形態では、接合要素の心室側端部に隣接した場所で、アンカーを接合要素に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、アンカーをシャフトまたは作動ワイヤなどの作動手段に取り付けることができ、これには接合要素も取り付けられる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素の各々をシャフトまたは作動ワイヤの長手軸に沿って別々に移動させることによって、アンカーおよび接合要素を互いから独立して位置付けることができる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素をシャフトまたは作動ワイヤの長手軸に沿って一緒に移動させることによって、アンカーおよび接合要素を同時に位置付けることができる。アンカーは、弁葉がアンカーによって把捉されるように、移植されるときに生来の弁葉の背後に位置付けられるように構成することができる。

人工補綴デバイスは、送達シースなどの送達手段を介して移植されるように構成することができる。接合要素およびアンカーは半径方向圧縮状態へと圧縮可能であり得、圧縮圧力が解放されるときに半径方向拡張状態へと自己拡張可能であり得る。デバイスは、接合要素とアンカーとの間に間隙を作り出すために、アンカーが最初にまだ圧縮されている接合要素から離れるように拡張されるように、構成することができる。次いでこの間隙内に、生来の弁葉を位置付けることができる。接合要素を半径方向に拡張させて、接合要素とアンカーとの間の間隙を閉じ、接合要素とアンカーとの間で弁葉を把捉することができる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素は任意選択的に、自己拡張するように構成されている。移植方法は様々な実施形態に関して異なっている場合があり、各実施形態に関して以下でより十分に検討する。これらのおよび他の送達方法に関する追加の情報は、米国特許第8,449,599号、ならびに米国特許出願公開第2014/0222136号、および同2014/0067052号、同2016/0331523号に見出すことができ、これらの各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。

開示される人工補綴デバイスでは、アンカーが弁葉に留められていることにより、デバイスを左心房に向かって押しやる高い収縮期圧に抵抗するために生来の腱索からの張力を利用して、心房における塞栓化が防止されている。拡張期中、デバイスは、アンカーによって把捉された弁葉に及ぼされる圧縮力および保持力を利用して、左心室内への塞栓化に抵抗することができる。

ここで図1～図6を参照すると、様々な配備の段階にある移植可能な人工補綴デバイス100が示されている。デバイス100は送達シース102から配備され、接合部分104とアンカー部分106とを含む。デバイス100の接合部分104は、生来の僧帽弁の弁葉同士の間に移植されるように適合されかつ作動ワイヤまたはシャフト112に摺動可能に取り付けられている、接合要素110を含む。アンカー部分106は開状態と閉状態との間で作動可能であり、パドル、把持要素、または同様のものなど、多種多様な形態をとることができる。移植中、作動ワイヤ112の作動によりデバイス100のアンカー部分106が開閉して、僧帽弁弁葉を把捉する。作動ワイヤまたはシャフト112は、多種多様な異なる形態をとることができる。例えば、作動ワイヤまたはシャフトは、作動ワイヤまたはシャフトの回転によりアンカー部分106が接合部分104に対して移動されるように、ねじ山を有してもよい。または、作動ワイヤまたはシャフトはねじ山を有さず、作動ワイヤまたはシャフト112を押すまたは引くことによって、アンカー部分106が接合部分104に対して移動されるようになっていてもよい。

デバイス100のアンカー部分106は、外側パドルまたは把持要素120と、内側パドルまたは把持要素122と、を含み、これらは、部分124、126、128によって、キャップ114と接合要素110との間に接続されている。部分124、126、128は、以下で記載する位置の全ての間で移動できるように、ヒンジ状であってもおよび/または可撓性を有してもよい。作動ワイヤ112は、送達シースおよび接合要素110を通ってアンカー部分106の遠位端にあるキャップ114まで延びている。作動ワイヤ112を延ばすことまたは引き戻すことにより、対応して接合要素110とキャップ114との間の間隔が増減する。アンカー部分106のパドル120、122を開閉するために接合要素110が作動中作動ワイヤ112に沿って摺動するように、接合要素110は、取り付け手段またはカラー(図示せず)によって、送達シース102に取り外し可能に取り付けられる。

図3を参照すると、返し付き留め具130は、基部または固定アーム132と、可動アーム134と、返し136と、ヒンジ部分138と、を含む。固定アーム132は内側パドル122に取り付けられており、ヒンジ部分138は接合要素110に近接して配設されている。ヒンジ部分138は、返し付き留め具130の固定アーム132と可動アーム134との間に、ばね力をもたらす。ヒンジ部分138は、可撓性ヒンジ、ばねヒンジ、枢動ヒンジ、または同様のものなど、任意の好適なヒンジとすることができる。特定の実施形態では、ヒンジ部分138は、固定アーム132および可動アーム134と一体に形成された、可撓性の材料片である。固定アーム132は内側パドル122に取り付けられ、可動アーム134が開かれて返し付き留め具130が開き、返し136が露出するときに、内側パドル122に対して動かないままである。返し付き留め具130は、可動アーム134の端部に取り付けられた作動ライン116に張力をかけることによって開かれ、このことにより、可動アーム134がヒンジ部分138上で枢動する。

移植中、パドル120、122は、パドル120、122と接合要素110との間で生来の僧帽弁弁葉を把捉するように開閉される。返し付き留め具130は更に、返し136で弁葉に係合し可動アーム134と固定アーム132との間で弁葉を挟持することによって、生来の弁葉を固定する。返し付き留め具130の返し136は、弁葉との摩擦を大きくするか、または、弁葉に途中までもしくは貫通するように穴を開ける。作動ライン116は独立的に作動させることができ、このことにより、各返し付き留め具130を独立的に開閉することができる。独立した動作により、1回に1つの弁葉を把捉することが可能になるか、または、把捉が十分でなかった弁葉に対して、他方の弁葉の成功した把捉を変更することなく、留め具130の位置を変更することが可能になる。返し付き留め具130は、互いから独立して開閉するだけでなく、内側パドル122の位置から独立して完全に開閉することができ、このことにより、特定の状況の要求に応じて、弁葉を様々な位置で把捉することが可能になる。

返し付き留め具130は、送達シース102を通って返し付き留め具130の端部まで延びている、取り付けられた作動手段または作動ライン116を引くことによって、独立的に開くことができる。作動ライン116は、例えば、ライン、縫合糸、ワイヤ、杆体、カテーテルなど、多種多様な形態をとることができる。返し付き留め具130を、閉じた位置において返し付き留め具130が把捉された生来の弁葉に対して挟持力を提供し続けるように、ばね付勢することができる。この挟持力は、内側パドル122の位置に関わらず一定のままである。返し付き留め具130の返し136は、生来の弁葉を更に固定するために、生来の弁葉に穿孔することができる。

ここで図1を参照すると、送達シースから配備するために細長いまたは完全に開いた状態のデバイス100が示されている。デバイス100は完全に開いた位置で送達シース内に装填されるが、その理由は、完全に開いた位置は占めるスペースが最も少なく、最小のカテーテル(または所与のカテーテルサイズに対して使用される最大のデバイス100)を使用できるからである。細長い状態では、キャップ114は、アンカー部分106のパドル120、122が反転するまたは完全に開くように、接合要素110から離間されている。いくつかの実施形態では、外側パドル120および内側パドル122の内面同士の間に形成される角度は、約180度である。返し付き留め具130は、送達シース102を通しての配備中、返し136(図3)がシースまたは患者の心臓の組織に引っ掛からないまたはこれを損傷しないように、閉じられた状態に保たれる。

ここで図1Aを参照すると、図1と類似しているが返し付き留め具130が完全に開いた位置にある、細長い、絡まりを解消する状態のデバイス100が示されており、この完全に開いた位置は、返し付き留め具130の固定部分と可動部分との間で、約140度から約200度までの、約170度までの、約190度までの、または約180度の範囲にわたる。デバイス100および留め具130を完全に開くことにより、デバイス100の移植中の患者の解剖学的構造との絡まりの解消し易さが改善されることが見出されている。

ここで図2を参照すると、短くしたまたは完全に閉じた状態のデバイス100が示されている。短くした状態におけるデバイス100のコンパクトなサイズにより、心臓内でのより容易な操作および設置が可能になる。デバイス100を細長い状態から短くした状態へと移動させるために、作動ワイヤ112が引き戻されて、キャップ114が接合要素110に向かって引かれる。外側パドル120と内側パドル122との間のヒンジまたは可撓性の接続部126は、接合要素110に向かって引き戻したキャップ114から外側パドル120に作用する圧縮力により、パドルまたは把持要素120、122が半径方向外向きに移動するように、動きが限定されている。開いた位置から閉じた位置へと移動する間、外側パドル120は、作動ワイヤ112に対して鋭角を維持する。外側パドル120は任意選択的に、閉じた位置に向かって付勢され得る。同じ動きの間、内側パドル122は、開いた状態では、接合要素110から離れるように向けられるときに、比較してかなり大きい角度にわたって移動され、閉じた状態では接合要素110の側面に沿って畳まれる。特定の実施形態では、内側パドル122は外側パドル120よりも薄くかつ/または狭く、内側パドル122に接続されたヒンジまたは可撓性の部分126、128は、外側パドル120をキャップ114に接続するヒンジまたは可撓性の部分124よりも大きな移動を可能にするために、より薄くかつ/または可撓性がより高い。

ここで図3～図5を参照すると、途中まで開いた、把捉準備のできた状態のデバイス100が示されている。完全に閉じた状態から途中まで開いた状態へと移行するためには、作動ワイヤ112を延ばしてキャップ114を接合要素110から押し離し、このことにより外側パドル120が引かれ、続いて外側パドルが内側パドル122を引き、アンカー部分106が途中まで展開される。また弁葉を把捉できるように、作動ライン116が引き戻されて、留め具130が開かれる。

ここで4図を参照すると、作動ライン116の一方が延ばされて、留め具130の一方が閉じることを可能にしている。ここで図5を参照すると、他方の作動ライン116が延ばされて、他方の留め具130が閉じることを可能にしている。返し付き留め具130を繰り返し開閉するために、作動ライン116のいずれかまたは両方を、繰り返し作動させてもよい。

ここで図6を参照すると、デバイス100が完全に閉じられ配備された状態で示されている。送達シース102および作動ワイヤ112が引き戻され、パドル120、122および留め具130は完全に閉じた位置のままである。デバイス100は、配備されると、機械式ラッチを用いて完全に閉じた位置に維持され得るか、または、鋼、他の金属、プラスチック、複合材、等などのばね材、もしくはニチノールなどの形状記憶合金の使用を介して、閉じたままとなるように付勢され得る。例えば、ヒンジ状のまたは可撓性の部分124、126、128、138、ならびに/または内側パドル122および外側パドル、ならびに/または追加の付勢構成要素(図13の構成要素224を参照)は、鋼などの金属またはニチノールなどの形状記憶合金-ワイヤ、シート、管材、またはレーザ焼結粉末として生産される-から形成されてもよく、外側パドル120を接合要素110の周囲で閉じた状態に、および返し付き留め具130を生来の弁葉の周囲で挟持された状態に保持するように、付勢される。同様に、返し付き留め具130の固定アーム132および可動アーム134は、弁葉を挟持するように付勢される。特定の実施形態では、ヒンジ部分124、126、128、138、ならびに/または内側パドル122および外側パドル、ならびに/または追加の付勢構成要素(図13の構成要素224を参照)は、移植後にデバイスを閉じた状態に維持するための、金属またはポリマー材料などの任意の他の好適な弾性材料から形成されてもよい。

ここで図7～図12を参照すると、心臓10の生来の僧帽弁40内に送達され移植されている図1～図6の移植可能なデバイス100が示されている。ここで図7を参照すると、送達シースが中隔を通して左心房20に挿入され、デバイス100は送達シースから完全に開いた状態で配備される。次いで作動ワイヤ112が引き戻されて、デバイス100を図8に示す完全に閉じた状態へと移動させる。図9に見ることができるように、デバイス100は僧帽弁40内の所定位置へと心室30内に移動され、弁葉42、44を把捉できるように途中まで開かれる。ここで図10を参照すると、作動ライン116を延ばして留め具130の一方を閉じ、弁葉42を把捉する。図11は、次いで他方の作動ライン116が延ばされて他方の留め具130が閉じられ、残りの弁葉44が把捉されている図である。最後に、図12に見ることができるように、次いで送達シース102および作動ワイヤ112が引き戻され、デバイス100が完全に閉じられ、生来の僧帽弁40内に配備される。

ここで図13を参照すると、移植可能な人工補綴デバイス200が示されている。移植可能なデバイス200は、図1～図12に概略的に示されているデバイス100が取り得る多くの異なる構成のうちの1つである。デバイス200は送達シース(図示せず)から配備され、接合部分204とアンカー部分206とを含む。デバイス200は完全に開いた位置で送達シース内に装填されるが、その理由は、完全に開いた位置は占めるスペースが最も少なく、最小のカテーテル(または所与のカテーテルサイズに対して使用される最大のデバイス200)を使用できるからである。デバイスの接合部分204は、作動ワイヤまたはシャフト212に摺動可能に取り付けられている、生来の僧帽弁の弁葉同士の間に移植される接合要素210を含む。移植中、作動ワイヤ212の作動によりデバイス200のアンカー部分206が開閉して、僧帽弁弁葉を把捉する。

デバイス200のアンカー部分206は、キャップ214および接合要素210にヒンジ式に接続されている、外側パドル220と内側パドル222とを含む。作動ワイヤ212は、送達シース(図示せず)、カラー211、および接合要素210を通って、アンカー部分206の遠位端にあるキャップ214まで延びている。作動ワイヤ212を延ばすことまたは引き戻すことにより、対応して接合要素210とキャップ214との間の間隔が増減する。カラー211は任意選択的にカラーシール213を含み、このカラーシール213は、デバイス200の移植中に作動ワイヤまたはシャフト212の周囲にシールを形成し、移植後作動ワイヤ212が取り外されると遮断するように封止されて、接合要素210の内部を通る血流に対してデバイス200を実質的に閉じる。いくつかの実施形態では、カラー211は、アンカー部分206のパドル220、222を開閉するために接合要素210が作動中作動ワイヤ212に沿って摺動するように、接合要素210に取り外し可能に係合しこれを送達シースに取り付ける。いくつかの実施形態では、カラー211は作動ワイヤ212によって接合要素210の周囲に閉じた状態で保持され、作動ワイヤ212を取り外すことにより、カラーの指部(図示せず)が開いて接合要素210を解放することが可能になる。いくつかの実施形態では、キャップ214は任意選択的に、接合要素210の開口部215の内側に嵌合するシール216および/またはインサート218を含み、接合要素210は中空の内部を有している。シール216および/またはインサート218は、作動ワイヤ212が引き抜かれデバイス200が移植されるときに、接合要素210を血流に対して実質的に閉じた状態に維持する。

接合要素210およびパドル220、222はカバー材から形成されており、このカバー材は、メッシュ、織物、編物であってもよく、または任意の他の好適な方法で形成されてもよい。カバー材は、布帛、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ-例えばニチノール-、または人体内に移植するのに適した任意の他の可撓性の材料であり得る。パドルフレーム224は外側パドル222と接合要素210との間に更なる挟持力をもたらし、接合要素210と弁葉との間をより良好に封止するために接合要素210の側面の周囲で弁葉を包み込むのを補助する。いくつかの実施形態では、カバー材はパドルフレーム224の周囲に延在する。

返し付き留め具230は、基部または固定アーム232と、可動アーム234と、返し236と、ヒンジ部分238と、を含む。固定アーム232は内側パドル222に取り付けられており、ヒンジ部分238は接合要素210に近接して配設されている。固定アーム232は、縫合糸(図示せず)とともに、穴またはスロット233を通して内側パドル222に取り付けられている。固定アーム232は、内側パドル222に、ねじもしくは他の固定具、圧着されたスリーブ、機械式ラッチもしくはスナップ、溶着、接着剤、または同様のものなど、任意の好適な手段で取り付けることができる。固定アーム232は、可動アーム234が開かれて返し付き留め具230が開き、返し236が露出するときに、内側パドル222に対して動かないままである。返し付き留め具230は、可動アーム234の端部に配設された穴235に取り付けられた作動ライン(図示せず)に張力をかけることによって開かれ、このことにより、可動アーム234がヒンジ部分238上で枢動する。

移植中、パドル220、222は、パドル220、222と接合要素210との間で生来の僧帽弁弁葉を把捉するように開閉される。返し付き留め具230は更に、返し236で弁葉に係合し可動アーム234と固定アーム232との間で弁葉を挟持することによって、生来の弁葉を固定する。返し付き留め具230の返し236は、弁葉との摩擦を大きくするか、または、弁葉に途中までもしくは貫通するように穴を開ける。作動ラインは独立的に作動させることができ、このことにより、各返し付き留め具230を独立的に開閉することができる。独立した動作により、1回に1つの弁葉を把捉することが可能になるか、または、把捉が十分でなかった弁葉に対して、他方の弁葉の成功した把捉を変更することなく、留め具230の位置を変更することが可能になる。返し付き留め具230は、互いから独立して開閉するだけでなく、内側パドル222の位置から独立して完全に開閉することができ、このことにより、特定の状況の要求に応じて、弁葉を様々な位置で把捉することが可能になる。

ここで図14～図25を参照すると、心臓10の生来の僧帽弁40内に送達され移植されている移植可能なデバイス300が示されている。デバイス300は図13の移植可能なデバイス200と類似しているが、デバイス300は、接合要素310、留め具330、内側パドル322、および/または外側パドル320を覆う、カバー材を有する。デバイス300は送達シース302から配備され、接合部分304とアンカー部分306とを含む。デバイスの接合部分304は、作動ワイヤまたはシャフト312に摺動可能に取り付けられている、生来の僧帽弁の弁葉同士の間に移植される接合要素310を含む。移植中、作動ワイヤまたはシャフト312の作動によりデバイス300のアンカー部分306が開閉して、僧帽弁弁葉を把捉する。

デバイス300のアンカー部分306は、キャップ314および接合要素310に屈曲可能に接続されている、外側パドル320と内側パドル322とを含む。作動ワイヤ312は、カラー303(図20を参照)、送達シース302、および接合要素310を通って、アンカー部分306の遠位端にあるキャップ314まで延びている。作動ワイヤ312を延ばすことまたは引き戻すことにより、対応して接合要素310とキャップ314との間の間隔が増減する。カラー303の指部は、アンカー部分306のパドル320、322を開閉するために接合要素310が作動中作動ワイヤ312に沿って摺動するように、接合要素310を送達シース302に取り外し可能に取り付ける。いくつかの実施形態では、カラー303は作動ワイヤ312によって接合要素310の周囲に閉じた状態で保持され、作動ワイヤ312を取り外すことにより、カラー303の指部が開いて接合要素310を解放することが可能になる。

接合要素310およびパドル320、322は可撓性の材料から形成されており、この材料は、メッシュ、織物、編物であってもよく、または任意の他の好適な方法で形成されてもよい。可撓性の材料は、布帛、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ-例えばニチノール-、または人体内に移植するのに適した任意の他の可撓性の材料であり得る。

返し付き留め具330は、基部または固定アーム332と、可動アーム334と、返し336(図20を参照)と、ヒンジ部分338と、を含む。固定アーム332は内側パドル322に取り付けられており、ヒンジ部分338は接合要素310に近接して配設されている。縫合糸(図示せず)により、固定アーム332が内側パドル322に取り付けられる。固定アーム332は、内側パドル322に、ねじもしくは他の固定具、圧着されたスリーブ、機械式ラッチもしくはスナップ、溶着、接着剤、または同様のものなど、任意の好適な手段で取り付けることができる。固定アーム332は、可動アーム334が開かれて返し付き留め具330が開き、返し336が露出するときに、動かないままである。返し付き留め具330は、可動アーム334の端部に取り付けられた作動ライン316に張力をかけることによって開かれ、このことにより、可動アーム334がヒンジ部分338上で枢動する。

移植中、パドル320、322は、パドル320、322と接合要素310との間で生来の僧帽弁弁葉を把捉するように開閉される。外側パドル320は、接合要素310の湾曲した形状の周囲に密着して弁葉をより確実に把持する、広い湾曲した形状を有する。外側パドル320の湾曲した形状および丸みを帯びた縁部によりまた、弁葉組織の裂傷が阻止される。返し付き留め具330は更に、返し336で弁葉に係合し可動アーム334と固定アーム332との間で弁葉を挟持することによって、生来の弁葉を固定する。返し付き留め具330の返し336は、弁葉との摩擦を大きくするか、または、弁葉に途中までもしくは弁葉を貫通するように穴を開ける。作動ラインは独立的に作動させることができ、このことにより、各返し付き留め具330を独立的に開閉することができる。独立した動作により、1回に1つの弁葉を把捉することが可能になるか、または、把捉が十分でなかった弁葉に対して、他方の弁葉の成功した把捉を変更することなく、留め具330の位置を変更することが可能になる。返し付き留め具330は、互いから独立して開閉するだけでなく、内側パドル322の位置から独立して完全に開閉することができ、このことにより、特定の状況の要求に応じて、弁葉を様々な位置で把捉することが可能になる。

デバイス300は完全に開いた位置で送達シース内に装填されるが、その理由は、完全に開いた位置は占めるスペースが最も少なく、最小のカテーテル(または所与のカテーテルサイズに対して使用される最大のデバイス300)を使用できるからである。ここで図14を参照すると、送達シースが中隔を通して左心房20に挿入され、デバイス300は送達シース302から完全に開いた状態で配備される。次いで作動ワイヤ312が引き戻されてデバイス300が図15～図16に示す完全に閉じた状態へと移動され、次いで図17に示すように僧帽弁40に向けて操作される。ここで図18を参照すると、デバイス300が僧帽弁40と位置合わせされるとき、作動ワイヤ312が延ばされてパドル320、322が途中まで開いた位置へと開かれ、作動ライン316が引き戻されて返し付き留め具330が開かれ、弁葉の把捉の準備をする。次に、図19～図20に示すように、途中まで開いたデバイス300が、僧帽弁40を通して、弁葉が内側パドル322と接合要素310との間におよび開いた返し付き留め具330の内側に適正に位置付けられるまで、挿入される。図21は、両方の留め具330が閉じているデバイス300を示しているが、一方の留め具330の返し336が弁葉44の一方を捕らえていない。図22～図23に見ることができるように、適正な位置にない留め具330が開かれ、捕らえられていない弁葉44を適正に把捉するように再び閉じられる。両方の弁葉42、44が適正に把捉されると、作動ワイヤ312が引き戻され、デバイス300が図24に示す完全に閉じた位置へと移動される。デバイス300が生来の僧帽弁40内に完全に移植されると、作動ワイヤ312が引き抜かれて、接合要素310の上側端部またはプレート311からカラー303が解放される。デバイス300は、配備されると、ラッチなどの機械的手段を用いて完全に閉じた位置に維持され得るか、または、鋼などのばね材および/もしくはニチノールなどの形状記憶合金の使用を介して、閉じたままとなるように付勢され得る。例えば、パドル320、322は、鋼またはニチノール形状記憶合金-ワイヤ、シート、管材、またはレーザ焼結粉末として生産される-から形成されてもよく、外側パドル320を接合要素310の周囲で閉じられた状態に、および返し付き留め具330を生来の弁葉の周囲で挟持された状態に保持するように、付勢される。

ここで図23Aを参照すると、留め具330の一方によって把捉された弁葉42、44の一方の拡大図が示されている。弁葉42、44は、留め具330の可動アーム334と固定アーム332との間に把捉されている。図23Aに示すように、弁葉42、44の組織は返し336によって穿孔されないが、いくつかの実施形態では、返し336は弁葉42、44を途中までまたは貫通して穿孔してもよい。可動アーム334に対する返し336の角度および高さは、留め具330内に弁葉42、44を固定するのを助ける。特に、この移植物を生来の弁葉から引き離す力により、組織への返し336の更なる係合が促進され、このことによりより良好な保持が保証される。留め具330における弁葉42、44の保持は、留め具330が閉じられているときに固定アーム332の位置が返し336の近くにあることによって、更に改善される。この構成では、組織は、固定アーム332および可動アーム334ならびに返し336によって、S形状の蛇行した軌道を形成する。このため、留め具330から離れるように弁葉を引く力により、弁葉が抜け出すことができる前に、組織が返し336に更に係合する。

ここで図26を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具400が示されている。返し付き留め具400は、頂層402と底層404とから形成されている。留め具400の2層設計により、材料のより薄いシートを使用することが可能になり、このことにより、単一のより厚いシートから形成された留め具と比べて留め具400の可撓性が改善されるとともに、生来の弁の弁葉を首尾よく保持するのに必要な留め具400の強度が維持される。

返し付き留め具400は、固定アーム410と、ヒンジ状の部分420と、返しの付いた部分440を有する可動アーム430と、を含む。頂層402および底層404は類似の形状を有し、特定の実施形態では、返しの付いた端部440において互いに取り付けられている。ヒンジ状の部分420は、返し付き留め具400が閉じた状態にあるときに固定アーム410および可動アーム430が互いに向かって付勢されるように、ばね付勢されている。移植可能な人工補綴デバイスに組み付けられるとき、固定アーム410は、この人工補綴デバイスの一部分に取り付けられる。留め具400は、可動アーム430に取り付けられた作動ラインを、ヒンジ部分420のばね力が克服されるまで引くことによって開かれる。

固定アーム410は、可動アーム430の2つの側方ビーム431の間のヒンジ状の部分420から延在する、材料の舌部411から形成されている。舌部411は、側方ビーム431同士の間で、ヒンジ部分420によって、側方ビーム431を越えた位置にある中立位置から側方ビーム431と実質的に平行な事前負荷された位置へと舌部411を移動させるためには力を加えなければならないように、付勢されている。舌部411は、舌部411に取り付けられておりかつ側方ビーム431に係合するように外向きに延在する、T形状のクロスバー414によって、事前負荷された位置に保持される。特定の実施形態では、舌部が中立位置にあるときの固定アーム410と可動アーム430との間の角度は、約30度から約100度、30度から約90度、または約30度から約60度、または約40度から約50度、または約45度である。

舌部411は、固定アーム410を移植可能なデバイスに取り付ける縫合糸(図示せず)を受け入れるための、穴412を含む。固定アーム410は、移植可能なデバイスに、ねじもしくは他の固定具、圧着されたスリーブ、機械式ラッチもしくはスナップ、溶着、接着剤、または同様のものなど、様々な取り付け手段で取り付けることができる。特定の実施形態では、穴412は、留め具400を移植可能なデバイスに取り付ける縫合糸を損傷せずに層402、404の摺動に対処するための、細長いスロットまたは卵形形状の穴である。

ヒンジ部分420は、固定アーム410の舌部411から可動アーム430の側方ビーム431まで延在する、2つのビームループ422によって形成されている。特定の実施形態では、ビームループ422は、更なる可撓性を提供するために、舌部411および側方ビーム431よりも狭い。ビームループ422は各々、舌部411から延在する中央部分424と、側方ビーム431まで延在する外側部分426と、を含む。ビームループ422は、中央部分424および外側部分426を反対方向に曲げることによって、幾分渦巻き形またはらせん形である形状へと曲げられ、このことにより、舌部411と側方ビーム431との間に、ずらし距離または段差距離428が形成される。段差距離428により、アーム410、430の間に、僧帽弁の生来の弁葉が把捉された後でそれを収容するためのスペースが提供される。特定の実施形態では、段差距離428は、約0.5ミリメートルから約1ミリメートル、または約0.75ミリメートルである。

上面視すると、ビームループは「オメガ状の」形状を有する。ビームループ422のこの形状により、固定アーム410および可動アーム430が、留め具材料を塑性変形させることなく互いに対してかなり移動することが可能になる。例えば、特定の実施形態では、舌部411は、可動アーム430を越えて約45度である中立位置から、可動アーム430を起点として約140度から約200度までの、約170度までの、約190度までの、または約180度の範囲にわたる、完全に開いた位置まで、留め具材料を塑性変形させることなく枢動することができる。特定の実施形態では、留め具材料は、開いている間、閉じた位置において固定アームと可動アームとの間に及ぼされる挟持力を下げることなくまたは実質的に下げることなく塑性変形する。

舌部411に事前負荷することにより、留め具400は、閉じられているときに生来の弁葉に対する挟持力またはクリップ力を維持することが可能になるとともに、生来の弁葉をより容易に把捉するために広く開くことができる。舌部411の事前負荷により、閉じているときは挟持力をほとんどまたは全く提供しない従来技術のクリップと比べて、はるかに大きな利点がもたらされる。更に、留め具400をばね力で閉じることは、1回だけのロック閉鎖機構を用いるクリップと比べて大きな改善であるが、その理由は、留め具400が、弁葉上での位置を変えるために繰り返し開閉でき、一方で閉じたときには、依然として十分な挟持力を維持しているからである。

可動アーム430の返しの付いた部分440は、アイレット442と、返し444と、返し支持部446と、を含む。留め具400返しの付いた部分を可動アーム430の端部に位置付けることにより、留め具400が開いているときの返し444と固定アーム410との間のスペースが大きくなり、このことにより、移植中に弁葉を首尾よく把捉する留め具400の能力が改善される。この距離によりまた、位置を変えるために返し444が弁葉からより確実に係脱することが可能になる。特定の実施形態では、留め具の返しは、挟持力および局所的な弁葉の応力を更に分散させるために、長手方向に互いずらされていてもよい。

返し444は、ヒンジ部分420から同じ距離のところで横方向に離間されており、弁葉組織に対する挟持力の優れた分布を実現し、一方でまた、長手方向の列として配置された返しよりも、弁葉の把捉に対して留め具を強固にする。いくつかの実施形態では、返し444は、挟持力および局所的な弁葉の応力を更に分散させるために、互いにずらすことができる。

返し444は底層404から形成されており、返し支持部446は頂層から形成されている。特定の実施形態では、返しは頂層402から形成されており、返し支持部は底層404から形成されている。返し444を2つの層402、404の一方にのみ形成することにより、2倍の厚さの同じ材料から形成された返しよりも返しをより薄く、したがって実際上より先鋭にすることが可能になる。返し支持部446は、返し444を補剛するように返し444の下側部分に沿って延在し、弁葉組織の貫通および保持を更に改善する。特定の実施形態では、返し444の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。

返し444は可動アーム430から離れるように角度が付いており、この結果、これらは最小限の挟持力またはクリップ力で生来の弁葉の組織を容易に貫通する。返し444は、可動アームから約45度から約75度、または約45度から約60度、または約48から約56度、または約52度の角度で延在する。返し444のこの角度は、この移植物を生来の弁葉から引き離す力により、組織への返し444の更なる係合が促進され、このことによりより良好な保持が保証されるという点で、更なる利益をもたらす。留め具400における弁葉の保持は、留め具400が閉じられているときにT形状のクロスバー414の位置が返し444の近くにあることによって、更に改善される。この構成では、返し444が貫通した組織が、クロスバー414の場所において可動アーム430に押し付けられて挟持され、このことにより、組織が返し444を越えていくときに、その組織はS形状の蛇行した軌道を形成する。このため、留め具400から離れるように弁葉を引く力により、弁葉が抜け出すことができる前に、組織が返し444に更に係合する。

留め具400の各層402、404は、ニチノールなどの形状記憶合金のシートからレーザ切削される。頂層402は、底層404と位置合わせされ、これに取り付けられる。特定の実施形態では、層402、404は、可動アーム430の返しの付いた端部440において取り付けられる。例えば、層402、404は、層の残りの部分が互いに対して摺動できるように、返しの付いた端部440においてのみ取り付けられてもよい。固定アーム410、返し444および返し支持部446、ならびにビームループ422などの、層402、404が組み合わされている部分は、所望の位置へと曲げられる。層402、404は一緒に曲げられ形状設定され得るか、または、別個に曲げられ形状設定され、その後1つに連結され得る。次いで留め具400は、外力による変形を受けた後で材料の内力が設定された形状に戻る傾向を持つようにする、形状設定プロセスを経る。形状設定後、舌部411は、クロスバー414を取り付けることができるように、その事前負荷された位置へと移動される。この結果、留め具400を完全に平坦にして送達シースを通して送達し、心臓内に配備してから拡張することができる。

留め具400は、可動アーム430に取り付けられた、作動ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のもの(図示せず)などの作動手段への、張力の適用またはその解放によって開閉される。縫合糸は、可動アーム430の返しの付いた部分440の近くにあるアイレット442を通して挿入され、可動アーム430の端部に巻き付けられてから送達シースに戻る。特定の実施形態では、アイレットを通して中間縫合糸ループが作られ、この中間ループに縫合糸が挿通される。縫合糸材料の中間ループにより、作動縫合糸と留め具材料との間の摩擦と比べて、作動縫合糸が経験する摩擦が小さくなる。アイレット442または中間ループを通して縫合糸をループさせるとき、作動縫合糸の両端部は送達シース102(図1を参照)内へと戻され、その中を通して延ばされる。縫合糸の一方の端部を、縫合糸の他方の端部がアイレットまたは中間ループを通って送達シース内へと引き戻されるまで、近位側に引くことによって、縫合糸を取り外すことができる。

ここで図27を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具500が示されている。返し付き留め具500は、返し付き留め具500が、穴442の代わりに開口部542を横切って配設された縫合糸ピン543を含むことを除いては、返し付き留め具400と実質的に同じである。返し付き留め具500は、頂層502と底層504とから形成されている。留め具500の2層設計により、材料のより薄いシートを使用することが可能になり、このことにより、単一のより厚いシートから形成された留め具と比べて留め具500の可撓性が改善されるとともに、生来の弁の弁葉を首尾よく保持するのに必要な留め具500の強度が維持される。

返し付き留め具500は、固定アーム510と、ヒンジ状の部分520と、返しの付いた部分540を有する可動アーム530と、を含む。頂層502および底層504は類似の形状を有し、特定の実施形態では、返しの付いた端部540において互いに取り付けられている。ヒンジ状の部分520は、返し付き留め具500が閉じた状態にあるときに固定アーム510および可動アーム530が互いに向かって付勢されるように、ばね付勢されている。移植可能な人工補綴デバイスに組み付けられるとき、固定アーム510は、この人工補綴デバイスの一部分に取り付けられる。留め具500は、可動アーム530に取り付けられた作動手段または作動ラインを、ヒンジ部分520のばね力が克服されるまで引くことによって開かれる。

固定アーム510は、可動アーム530の2つの側方ビーム531の間のヒンジ状の部分520から延在する、材料の舌部511から形成されている。舌部511は、側方ビーム531同士の間で、ヒンジ部分520によって、側方ビーム531を越えた位置にある中立位置から側方ビーム531と実質的に平行な事前負荷された位置へと舌部511を移動させるためには力を加えなければならないように、付勢されている。舌部511は、舌部511に取り付けられておりかつ側方ビーム531に係合するように外向きに延在する、T形状のクロスバー514によって、事前負荷された位置に保持される。特定の実施形態では、舌部が中立位置にあるときの固定アーム510と可動アーム530との間の角度は、約30度から約100度、または約30度から約90度、または約30度から約60度、または約40度から約50度、または約45度である。

舌部511は、固定アーム510を移植可能なデバイスに取り付ける縫合糸(図示せず)を受け入れるための、穴512を含む。固定アーム510は、移植可能なデバイスに、ねじもしくは他の固定具、圧着されたスリーブ、機械式ラッチもしくはスナップ、溶着、接着剤、または同様のものなど、様々な取り付け手段で取り付けることができる。特定の実施形態では、穴512は、留め具500を移植可能なデバイスに取り付ける縫合糸を損傷せずに層502、504の摺動に対処するための、細長いスロットまたは卵形形状の穴である。

ヒンジ部分520は、固定アーム510の舌部511から可動アーム530の側方ビーム531まで延在する、2つのビームループ522によって形成されている。特定の実施形態では、ビームループ522は、更なる可撓性を提供するために、舌部511および側方ビーム531よりも狭い。ビームループ522は各々、舌部511から延在する中央部分524と、側方ビーム531まで延在する外側部分526と、を含む。ビームループ522は、中央部分524および外側部分526を反対方向に曲げることによって、幾分渦巻き形またはらせん形である形状へと曲げられ、このことにより、舌部511と側方ビーム531との間に段差距離528が形成される。段差距離528により、アーム510、530の間に、僧帽弁の生来の弁葉が把捉された後でそれを収容するためのスペースが提供される。特定の実施形態では、段差距離528は、約0.5ミリメートルから約1ミリメートル、または約0.75ミリメートルである。

上面視すると、ビームループは「オメガ状の」形状を有する。ビームループ522のこの形状により、固定アーム510および可動アーム530が、留め具材料を塑性変形させることなく互いに対してかなり移動することが可能になる。例えば、特定の実施形態では、舌部511は、可動アーム530を越えて約45度である中立位置から、可動アーム530を起点として約140度から約200度までの、約170度までの、約190度までの、または約180度の範囲にわたる、完全に開いた位置まで、留め具材料を塑性変形させることなく枢動することができる。特定の実施形態では、留め具材料は、開いている間、閉じた位置において固定アームと可動アームとの間に及ぼされる挟持力を下げることなく塑性変形する。

舌部511に事前負荷することにより、留め具500は、閉じられているときに生来の弁葉に対する挟持力またはクリップ力を維持することが可能になるとともに、生来の弁葉をより容易に把捉するために広く開くことができる。舌部511の事前負荷により、閉じているときは挟持力をほとんどまたは全く提供しない従来技術のクリップと比べて、はるかに大きな利点がもたらされる。更に、留め具500をばね力で閉じることは、1回だけのロック閉鎖機構を用いるクリップと比べて大きな改善であるが、その理由は、留め具500が、弁葉上での位置を変えるために繰り返し開閉でき、一方で閉じたときには、依然として十分な挟持力を維持しているからである。

可動アーム530の返しの付いた部分540は、アイレット542と、返し544と、返し支持部546と、を含む。留め具500返しの付いた部分を可動アーム530の端部に位置付けることにより、留め具500が開いているときの返し544と固定アーム510との間のスペースが大きくなり、このことにより、移植中に弁葉を首尾よく把捉する留め具500の能力が改善される。この距離によりまた、位置を変えるために返し544が弁葉からより確実に係脱することが可能になる。特定の実施形態では、留め具の返しは、挟持力および局所的な弁葉の応力を更に分散させるために、長手方向に互いずらされていてもよい。

返し544は、ヒンジ部分520から同じ距離のところで横方向に離間されており、弁葉組織に対する挟持力の優れた分布を実現し、一方でまた、長手方向の列として配置された返しよりも、弁葉の把捉に対して留め具を強固にする。

返し544は底層504から形成されており、返し支持部546は頂層から形成されている。返し544を2つの層502、504の一方にのみ形成することにより、2倍の厚さの同じ材料から形成された返しよりも返しをより薄く、したがって実際上より先鋭にすることが可能になる。返し支持部546は、返し544を補剛するように返し544の下側部分に沿って延在し、弁葉組織の貫通および保持を更に改善する。特定の実施形態では、返し544の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。

返し544は可動アーム530から離れるように角度が付いており、この結果、これらは最小限の挟持力またはクリップ力で生来の弁葉の組織を容易に貫通する。返し544は、可動アームから約45度から約75度、または約45度から約60度、または約48度から約56度、または約52度の角度で延在する。返し544のこの角度は、この移植物を生来の弁葉から引き離す力により、組織への返し544の更なる係合が促進され、このことによりより良好な保持が保証されるという点で、更なる利益をもたらす。留め具500における弁葉の保持は、留め具500が閉じられているときにT形状のクロスバー514の位置が返し544の近くにあることによって、更に改善される。この構成では、返し544が貫通した組織が、クロスバー514の場所において可動アーム530に押し付けられて挟持され、このことにより、組織が返し544を越えていくときに、その組織はS形状の蛇行した軌道を形成する。このため、留め具500から離れるように弁葉を引く力により、弁葉が抜け出すことができる前に、組織が返し544に更に係合する。

留め具500の各層502、504は、ニチノールなどの形状記憶合金のシートからレーザ切削される。頂層502は、底層504と位置合わせされ、これに取り付けられる。特定の実施形態では、層502、504は、可動アーム530の返しの付いた端部540において取り付けられる。例えば、層402、404は、層の残りの部分が互いに対して摺動できるように、返しの付いた端部440においてのみ取り付けられてもよい。固定アーム510、返し544および返し支持部546、ならびにビームループ522などの、層502、504が組み合わされている部分は、所望の位置へと曲げられる。次いで留め具500は、外力による変形を受けた後で材料の内力が設定された形状に戻る傾向を持つようにする、形状設定プロセスを経る。形状設定後、舌部511は、クロスバー514を取り付けることができるように、その事前負荷された位置へと移動される。この結果、留め具500を完全に平坦にして送達シースを通して送達し、心臓内に配備されてから拡張させることができる。

留め具500は、可動アーム530に取り付けられた、作動ライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のもの(図示せず)などの作動手段への、張力の適用またはその解放によって開閉される。縫合糸は可動アーム530の開口部542に挿通され、開口部542内に配設されたピン543の周囲でループされる。ピン543の滑らかな丸い形状により、縫合糸を損耗させることなく可動アーム530に多くの方向から張力をかけることが可能になる。特定の実施形態では、開口部を通してピンの周囲に中間縫合糸ループが作られ、この中間ループに縫合糸が挿通される。縫合糸材料の中間ループにより、作動縫合糸と留め具材料との間の摩擦と比べて、作動縫合糸が経験する摩擦が小さくなる。ピン543の周囲で縫合糸をループさせるとき、縫合糸の両端部は送達シース102(図1を参照)内へと戻され、その中を通して延ばされる。縫合糸の一方の端部を、縫合糸の他方の端部がピン543の周囲から送達シース内へと引き戻されるまで、近位側に引くことによって、縫合糸を取り外すことができる。

ここで図28～図31を参照すると、返し留め具400、500、および600を形成する層の独立した移動を説明するために、返し付き留め具400および500と類似した例示の返し付き留め具600が、様々な曲げ位置で示されている。返し付き留め具600は、頂層602と底層604とから形成されている。返し付き留め具600は、可動アーム620と、固定アーム622と、ヒンジ部分624と、を含む。可動アーム620は、返し628を有する返しの付いた部分626を含む。返し付き留め具600は、可動アーム620が固定アーム622を越えて移動するのを防止するためのクロスバーを含まない。クロスバーの代わりに、可動アーム620は、内側パドル(図示せず)によって固定アーム622との閉じた位置に保持される。留め具600の事前負荷についてよりよく説明するために、図28～図31は、動かない可動アーム620に対する固定アーム622の移動を示している。ただし、移植可能なデバイスに組み付けられると、可動アーム620はデバイスに取り付けられている固定アーム622に対して移動することになる。

ここで図28～図29を参照すると、事前付加状態または形状設定状態の留め具600が示されている。固定アーム622は、形状設定操作が行われる前に、可動アーム620よりも角度610だけ下方に曲げられている。固定アーム622を可動アーム620と平行な関係に戻すためには、力をかけなければならない。この場合、事前負荷角度610を大きくすることにより固定アーム622を移動させるために必要な力が大きくなり、このことにより、留め具600が閉じられているときにアーム620、622を1つに挟持する事前負荷ばね力が大きくなる。言い換えれば、角度610が大きくなるほど、アーム620、622によって把捉された組織にかけられるばね力が大きくなる。

ここで図30～図31を参照すると、開き角度612まで開かれている留め具600が示されている。図30および図31に見ることができるように、ヒンジ部分624のビームループは、留め具600が開かれるにつれて分離する傾向がある。曲げている間に層602、604が分離するのを可能にすることにより、材料のひずみが軽減され、このことにより、留め具材料の塑性変形の前に達成可能な最大開き角度612が、更に大きくなる。上で指摘したように、ヒンジ部分624は、幾分渦巻き形またはらせん形のビームループを形成するような形状とされ、このことにより、アーム620、622(図29)の間に、弁葉組織の把捉を可能にする間隙または段差距離614が形成される。

留め具600が開かれるにつれて、固定アーム622の層602、604は互いに対して摺動する。いくつかの実施形態では、固定アーム622を移植可能なデバイスに固定する縫合糸が層の摺動によって挟まれないように、または層602、604の摺動が制限されないように、固定アーム622を通る穴は細長くなっており、このことにより、留め具材料が経験するひずみが軽減される。

ここで図32～図35を参照すると、例示の返し留め具700、800、900、および1000が示されている。返し留め具700、800、900、および1000は、留め具400、500、600と同様に、上記した移植可能なデバイス100、200、および300において使用できる。しかしながら、返し付き留め具400、500、600とは異なり、返し付き留め具700、800、900、および1000は、材料を頂部からではなく留め具の側部からレーザ切削することによって形成されている。側部からのレーザ切削により、留め具を製造するために必要な作業が減り、留め具の部分の曲げ特性を各部分の機能に基づいて変えるために、留め具の厚さを変えることが可能になる。例えば、ヒンジ部分はより大きな可撓性を提供するためにより薄くてもよく、一方で、アームはより高い剛性を提供するために厚くしてもよい。

ここで図32を参照すると、積層された返し留め具700が示されている。返し留め具700は、厚い部分702と薄い部分704とを有し、スペーサ層706と返しの付いた層708とが交互になって形成されて、積層された構造を形成している。留め具700は、可動アーム720と、固定アーム722と、ヒンジ部分724と、を含む。可動アーム720は、返しの付いた層708に形成された返し728を有する、返しの付いた部分726を含む。レーザ切削によって層706、708を側方の外形から形成することによって、返し728を先細にすることが可能になり、このことにより、先鋭な頂点を有する丈夫な返しが得られる。固定アーム722は、留め具700を移植可能なデバイスに固定するための穴を含む。移植可能なデバイスに組み付けられると、取り付けられた内側パドルによって固定アーム722が延ばされ、この結果、デバイスの可動アーム720と内側パドルとの間に、生来の組織が挟持される。可動アーム720および固定アーム722は、固定アーム722を延長すると可動アーム720と交差するように、互いに対して角度を付けて形成されている。固定アーム722を内側パドルに取り付けることにより、実際上、内側パドルが可動アーム720と干渉するように、固定アーム722の端部が延びる。この構成要素同士の干渉により、可動アーム720が固定アーム722に対して、留め具700が開かれるように移動し、このことにより、留め具700が閉じた位置にあるときに内側パドルに対して挟持力がかかるように、可動アーム722が事前負荷される。この結果、留め具700の可動アーム720および固定アーム722を形状設定しなくても、可動アーム720と固定アーム722との間に挟持力が生み出される。別法として、個々の層が、可動アーム720および固定アーム722が互いに平行になるように形成され、次いで、留め具700が内側パドルに付着されているときに可動アーム720が固定アーム722に向かって付勢されるように、曲げられ形状設定される。

ここで図33～図35を参照すると、例示の返し留め具800、900、1000が示されている。留め具800、900、1000は全体的な形状は類似しているが、留め具をレーザ切削するときの可能な様々な厚さを側方から示している。留め具800、900、1000は、薄い部分804、904、1004と、厚い部分802、902、1002と、を有する。留め具800、900、1000は、可動アーム820、920、1020と、固定アーム822、922、1022と、ヒンジ部分824、924、1024と、を含む。可動アーム820、920、1020は、留め具700の返し部分726の返し728と類似した返し(図示せず)を有する、返し部分826、926、1026を含む。図33～図35に見ることができるように、固定アーム822、922、1022に、留め具800、900、1000を移植可能なデバイスに固定するための、穴を設けることができる。移植可能なデバイスに組み付けられると、取り付けられた内側パドルによって固定アーム822、922、1022が延ばされ、この結果、デバイスの可動アーム820、920、1020と内側パドルとの間に、生来の組織が挟持される。

ここで図36を参照すると、返し付き留め具400、500、600と類似した例示の返し付き留め具1100が示されている。しかしながら、返し付き留め具400、500、600とは異なり、返し付き留め具1100は、厚い部分1102と薄い部分1104との間で厚さが変化する、材料の単一の層から形成されている。返し付き留め具1100は、固定アーム1110と、ヒンジ部分1120と、可動アーム1130と、を含む。固定アーム1110は、取り付け穴1112と任意選択的な一体型クロスバー1114とを含む。ヒンジ部分1120は、薄い部分1104から形成された弓形のヒンジ1122を含む。可動アーム1130は、返し1144を有する返しの付いた部分1140を含む。返しの付いた部分1140の近くにあるアイレット1142に、留め具1100を開閉するための縫合糸(図示せず)を取り付けることができる。

返し付き留め具1100を形成するために、材料のシートを薄くして、薄い部分1104を形成する。次いで材料のシートから留め具1100の形状が、ヒンジ部分1120が薄い部分1104と位置合わせされるようにしてレーザ切削される。次いで形状設定前に、返し1144および固定アーム1110が、図36に示す位置へと曲げられる。固定アーム1110の任意選択的なT形状のクロスバー1114は、可動アーム1130のスロットに挿通して形状設定するために、およびアーム1110、1130を事前負荷位置から閉じた位置へと移動させるために、ねじらなければならない。特定の実施形態では、任意選択的なT形状のクロスバー1114は、製造および形状設定の容易さを高めるために、省略されている、より小さい、または代替として可動アーム1130の起伏で置き換えられている。形状設定後、クロスバーはねじられ、スロットを通して元の方に移動され、厚い部分1102の上に位置付けられる。クロスバー1114は、クロスバー414(図26を参照)とほぼ同じように位置付けられる。

上記した留め具400、500と同様に、留め具1100は、留め具材料を塑性変形させることなく完全に開くことができ、一方で閉じたときには依然として挟持力を提供する。上記の留め具と比較して、留め具1100を製造するために必要なステップは少ないが、その理由は、留め具1100が単一の材料のシートから切削され、材料の層を1つに溶着するための溶着ステップを必要としないからである。

ここで図37～図52を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具1200が示されている。返し付き留め具1200は、材料の単一の層1202から形成されている。返し付き留め具1200は、固定アーム1210と、ヒンジ状の部分1220と、返しの付いた部分1240を有する可動アーム1230と、を含む。ヒンジ状の部分1220は、返し付き留め具1200が閉じた状態にあるときに固定アーム1210および可動アーム1230が互いに向かって付勢されるように、ばね付勢されている。移植可能な人工補綴デバイスに組み付けられるとき、固定アーム1210は、この人工補綴デバイスの一部分に取り付けられる。留め具1200は、可動アーム1230に取り付けられた作動ラインまたは縫合糸などの作動手段を、ヒンジ部分1220のばね力が克服されるまで引くことによって開かれる。

固定アーム1210は、可動アーム1230の2つの側方ビーム1231の間のヒンジ状の部分1220から端部1214まで延在する、材料の舌部1211から形成されている。いくつかの実施形態では、可動アームは、固定アームの2つの側方ビームの間に延在する材料の舌部から形成されている。舌部1211は、側方ビーム1231同士の間で、ヒンジ部分1220によって、側方ビーム1231を越えた位置にある中立位置から、図39～図40Eに見ることのできるような、側方ビーム1231とほぼ平行または平行な事前負荷された位置へと舌部1211を移動させるためには、力を加えなければならないように、付勢されている。舌部1211は、移植可能な人工補綴デバイスのパドルに取り付けられているとき、事前負荷された位置に保持される。舌部1211の端部1214は任意選択的に、舌部1211を事前負荷された位置に保持するための、側方ビーム1231に係合するT形状のクロス部材を有する。

特定の実施形態では、舌部1211が中立位置にあるときの固定アーム1210と可動アーム1230との間の角度は、約30度から約120度、40度から約110度、または約50度から約100度、または約60度から約90度、または約90度である。舌部1211は、固定アーム1210を移植可能なデバイスに取り付ける縫合糸(図示せず)を受け入れるための、穴1212を含む。

ヒンジ部分1220は、固定アーム1210の舌部1211から可動アーム1230の側方ビーム1231まで延在する、繰り返しパターンで配置された複数のねじりばねセグメント1222によって形成されている。各ばねセグメント1222は、他のばねセグメント1222と連結されて繰り返しパターンを形成している。複数のセグメント1222を1つに連結することにより、ヒンジ部分1220は、個々のねじりばねセグメント1222がねじられるときの材料の塑性変形を回避しながら、かなりの量で曲がることが可能になる。例えば、特定の実施形態では、舌部1211は、可動アーム1230を越えて約90度である中立位置から、可動アーム1230を起点として約140度から約200度までの、約170度までの、約190度までの、または約180度の範囲にわたる、完全に開いた位置まで、留め具材料を塑性変形させることなく枢動することができる。特定の実施形態では、留め具材料は、開いている間、閉じた位置において固定アームと可動アームとの間に及ぼされる挟持力を下げることなくまたは実質的に下げることなく塑性変形することができる。パターンばねセグメント1222は、ヒンジ部分1220の開いたおよび閉じた切り欠き部1224から形成されている。例示のばねセグメントおよびそのパターン化された構成について、以下に記載し、図51A～図52に示す。

舌部1211に事前負荷することにより、留め具1200は、閉じられているときに生来の弁葉に対する挟持力またはクリップ力を維持することが可能になるとともに、生来の弁葉をより容易に把捉するために広く開くことができる。舌部1211の事前負荷により、閉じているときは挟持力をほとんどまたは全く提供しない従来技術のクリップと比べて、はるかに大きな利点がもたらされる。更に、留め具1200をばね力で閉じることは、1回だけのロック閉鎖機構を用いるクリップと比べて大きな改善であるが、その理由は、留め具1200が、弁葉上での位置を変えるために繰り返し開閉でき、一方で閉じたときには、依然として十分な挟持力を維持しているからである。

可動アーム1230の返しの付いた部分1240は、アイレット1242と返し1244とを含む。留め具1200返しの付いた部分を可動アーム1230の端部に位置付けることにより、留め具1200が開いているときの返し1244と固定アーム1210との間のスペースが大きくなり、このことにより、移植中に弁葉を首尾よく把捉する留め具1200の能力が改善される。この距離によりまた、位置を変えるために返し1244が弁葉からより確実に係脱することが可能になる。特定の実施形態では、留め具の返しは、挟持力および局所的な弁葉の応力を更に分散させるために、長手方向に互いずらされていてもよい。特定の実施形態では、返し1244の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。

返し1244は、ヒンジ部分1220から同じ距離のところで横方向に離間されており、弁葉組織に対する挟持力の優れた分布を実現し、一方でまた、長手方向の列として配置された返しよりも、弁葉の把捉に対して留め具を強固にする。いくつかの実施形態では、返し1244は、挟持力および局所的な弁葉の応力を更に分散させるために、互いにずらすことができる。

返し1244は可動アーム1230から角度1246だけ離れるように角度が付いており(図38A)、この結果、これらは最小限の挟持力またはクリップ力で生来の弁葉の組織に容易に係合する。使用中、返し1244は生来の弁葉組織を貫通してもよいが、組織を貫通することが、留め具1200が弁葉を確実に把持するために必須である訳ではない。返し1244は、可動アームから約20度から約90度、または約40度から約70度、または約50から約60度、または約53度の角度1246で延在する。返し1244のこの角度は、この移植物を生来の弁葉から引き離す力により、組織への返し1244の更なる係合が促進され、このことによりより良好な保持が保証されるという点で、更なる利益をもたらす。留め具1200における弁葉の保持は、留め具1200が閉じられているときの固定アーム1210の端部1214の位置によって、更に改善される。この構成では、返し1244が係合した組織が、端部1214の場所において可動アーム1230に押し付けられて挟持され、このことにより、組織が返し1244を越えていくときに、その組織はS形状の蛇行した軌道を形成する。このため、留め具1200から離れるように弁葉を引く力により、弁葉が抜け出すことができる前に、組織が返し1244に更に係合する。端部1214は、任意選択的に、固定アーム1210と可動アーム1230との間に把捉された組織の蛇行した軌道のS形状を際立たせるために、可動アーム1230の方に僅かに曲げて形状設定され得る。

留め具1200の材料の層1202は、ニチノールなどの形状記憶合金のシートからレーザ切削される。層1202の部分、例えば固定アーム1210、ヒンジ部分1220、および返し1244は、所望の位置へと曲げられる。次いで留め具1200は、外力による変形を受けた後で材料の内力が設定された形状に戻る傾向を持つようにする、形状設定プロセスを経る。形状設定後、舌部1211は、その事前負荷された位置、閉じた位置、または開いた位置へと移動されて、移植可能なデバイスに取り付けられる。この結果、留め具1200を閉じた位置において実質的に平坦にして送達シースを通して送達し、心臓内に配備してから拡張することができる。

留め具1200は、可動アーム1230に取り付けられた作動ラインまたは縫合糸(例えば図71の縫合糸2504)への、張力の適用またはその解放によって開閉される。縫合糸は、可動アーム1230の返しの付いた部分1240の近くに位置しているアイレット1242のうちの少なくとも1つに挿通され、その後送達シースに戻る。特定の実施形態では、アイレット1242のうちの1つまたは複数を通して中間縫合糸ループが作られ、作動縫合糸が中間ループのうちの1つまたは複数に挿通される。縫合糸材料の中間ループにより、作動縫合糸と留め具材料との間の摩擦と比べて、作動縫合糸が経験する摩擦が小さくなる。アイレット1242または中間ループを通して縫合糸をループさせるとき、作動縫合糸の両端部は送達シース102(例えば図1を参照)内へと戻され、その中を通して延ばされる。縫合糸の一方の端部を、縫合糸の他方の端部がアイレットまたは中間ループを通って送達シース内へと引き戻されるまで、近位側に引くことによって、縫合糸を取り外すことができる。

上記した留め具400、500と同様に、留め具1200は、留め具材料を塑性変形させることなく完全に開くことができ、一方で閉じたときには依然として挟持力を提供する。上記の留め具と比較して、留め具1200を製造するために必要なステップは少ないが、その理由は、留め具1200が単一の材料のシートから切削され、材料の層を1つに溶着するための溶着ステップを必要としないからである。

ここで図37～図48Eを参照すると、中立位置(図37～図38E)から完全に開いた位置(図47～図48E)までの範囲の、様々な曲げ位置にある留め具1200が示されている。固定アーム1210は図37～図48Eにおいて様々な位置で示されているが、移植可能なデバイス内に設置されると、可動アーム1230は外科医によってデバイスに対して移動するように作動されるが、固定アーム1210はデバイスに対して固定されたままである。

図37～図38Eは、形状設定のための中立位置にある留め具1200を示す。形状設定中、固定アーム1210の舌部1211は、可動アーム1230の側方ビーム1231よりも下方に約60度から約120度、または約90度である、舌部角度1216まで曲げられる。形状設定後、舌部1211は、舌部1211を他の位置へと押しやる力が作用しない限り、形状設定位置または中立位置に留まる。このため、舌部1211が事前負荷位置または閉じた位置(図39～図40E)へと移動されるとき、留め具材料の内力は閉じる方向に及ぼされ、このことにより、留め具1200が閉じた状態または事前負荷された状態にあるときに、挟持力が生じる。留め具1200を含む医療デバイスの移植中、可動アーム1230を縫合糸(図示せず)によって作動させて、固定アーム1210と可動アーム1230との間の角度1216を変更する。留め具1200が、図41～図42Eでは4分の1開いた状態で、図43～図44Eでは半分開いた状態で、図45～図46Eでは4分の3開いた状態で、および図47～図48Eでは完全に開いた状態で、示されている。完全に開いた位置における固定アーム1210と可動アーム1230との間の角度1216は、約140度から約200度、約170度まで、約190度まで、または約180度であり得る。すなわち、留め具1200は、留め具材料を塑性変形させることなく実質的に完全に平坦に開くことができる。

ここで図49～図50を参照すると、留め具1200を形成するための材料の層1202が、形状設定前の状態で、すなわち、材料のシートからレーザ切削された後の実質的に平坦な状態で、示されている。図50は、ヒンジ部分1220を形成形するばねセグメント1222および切り欠き部1224のパターンの繰り返す特質を、特にはっきりと示している。

ここで図51A～図51Dを参照すると、パターン化されたヒンジ部分(例えば、留め具1200のヒンジ部分1220)用の、例示のねじりばねセグメント1300、1400、1500、1600が示されている。ばねセグメント1300、1400、1500、1600は、単一の部片から切り出される繰り返しパターンとして構成可能であり、個々のセグメント間には物理的な継ぎ目がない。この場合、ばねセグメント1300、1400、1500、1600の形状は、ヒンジ部分の切り欠き部およびセグメント間の「連結部」における仮想の境界によって画定される。

ここで図51Aを参照すると、ばねセグメント1300は、材料の層1302に作られた切り欠き部1301によって形成されており、結果的に、実質的に回転対称なS状の形状となっている。各ばねセグメント1300は、第1の側部1330と第2の側部1340との間で、第1の端部1310から第2の端部1320まで延在する。第1の端部の連結場所1312は、第1の側部1330に隣接する第1の端部1310に位置している。第1の側部の連結場所1332は、第1の端部1310に隣接する第1の側部1330に位置している。第2の端部の連結場所1322は、第2の側部1340に隣接する第2の端部1320に位置している。第2の側部の連結場所1342は、第2の端部1320に隣接する第2の側部1340に位置している。側面1304は、第1の端部の連結場所1312と第2の側部の連結場所1342との間、および、第2の端部の連結場所1322と第1の側部の連結場所1332との間に、延在する。各側部連結場所1332、1342の近くに、内角部1306が形成される。

ここで図51B～図51Dを参照すると、ばねセグメント1400、1500、1600が示されている。これらのばねセグメント1400、1500、1600は、上記したばねセグメント1300と構造が類似しているが、ばねセグメント1400、1500、1600は、側部連結場所の反対側の各端部連結場所の近くに、外角部1408、1508、1608を含む。ばねセグメント1300、1400、1500、1600の形状は、側面1304、1404、1504、1604、丸みを帯びた内角部1306、1406、1506、1606、および丸みを帯びた外角部1408、1508、1608の、サイズおよび形状において異なる。例えば、側面1304、1404は実質的に直線状であり、一方、側面1504、1604は凹状である。形状のこれらの違いにより、異なる形状のばねセグメントのパターンから形成されたヒンジ部分における応力分布が変化する。

ここで図52を参照すると、ばねセグメント1300例示のばね集合体1700が示されている。図52に見ることができるように、側部連結部位1332、1342は他の側部連結部位1332、1342に連結されており、端部連結部位1312、1322は他の端部連結部位1312、1322に連結されている。ばねセグメント1300の実質的に回転対称な形状により、あるセグメントのどの端部1310、1320または側部1330、1340を別のセグメントどの端部1310、1320または側部1330、1340に連結することも可能である。この場合、例えば図52の集合体1700によって形成されるHパターンなど、様々なパターンを形成することができる。セグメント1300、1400、1500、1600は実質的に回転対称であるが、セグメントのパターンにおける個々のセグメントを、ヒンジ部分の丸みを帯びた外縁部を形成するように、または留め具の固定アームまたは可動アームに適合するように、修正してもよい。

ばね集合体1700が曲げ力1710を受けると、セグメント1300の各々は、矢印1720が示す方向にねじられる。結果的に、個々のばねセグメント1300はねじりひずみを受けるが、曲げひずみは受けない。同様の様式で曲げられている材料の平坦なシートの屈曲と比べて、材料1302の変形が軽減され、このとき留め具のヒンジ部分のばね力は維持されていることもまた、理解できる。この結果、ねじりばねセグメントのパターンから形成されたヒンジ部分は、強度が高くかつ可撓性を有する。

上記したヒンジ部分1220などのパターン化されたヒンジ部分を形成するために、複数のばねセグメントを備えるパターンは、縦横の列として構成される。ばねセグメントは、図49～図50および図52に見ることができるように、その長手軸および横軸が同じ配向になるように構成されている。特定の実施形態では、異なるばねパターンを形成するために、ばねセグメントを互いに対して回転させてもよい。ばねセグメントは縦横の列として編成される。縦の列は留め具の長手軸に沿って定められ、一方、横の列は留め具の横軸に沿って定められる。この場合、ばねセグメントの縦の列は個々のばねセグメントの最大寸法と同じ幅を有し、一方、ばねセグメントの横の列は個々のばねセグメントの最短寸法と等しい高さを有する。例えば、図50に示す留め具1200は、ばねセグメントの3つの縦の列および7つの横の列を含む(ヒンジ部分を固定アームおよび可動アームに接続している部分的な横の列は含めない)。セグメントの端部が留め具の縁部の境界となっている場合、隣接する横の列における2つのセグメントが1か所で1つに連結されて、U形状の集合体を形成する。個々のばねセグメントまたはばねセグメントの集合体は、ヒンジ部分の縁部の滑らかさおよび/または粗さを高めるために、その回転対称性から逸脱して修正されてもよい。セグメントの端部が2つの縦の列の交差点に位置している場合、セグメントは、最大3つの他のセグメントに連結して、図52に示す集合体1700のようなX形状の集合体を形成することができる。パターン化されたヒンジは、ばねセグメントの横の列および縦の列を、任意の好適な数だけ含み得る。パターン化されたヒンジのばねパラメータを調整するために、各セグメントのサイズおよび形状を調整することができる。ばねセグメントのサイズおよび形状は、パターン化されたヒンジの全体を通して均一であってもよく、または、パターン内でのばねセグメントの場所に基づいて異なっていてもよい。

ここで図53～図55を参照すると、4軸レーザ切削(X、Y、Z、および回転軸)ならびに5軸レーザ切削(X、Y、Z、およびレーザヘッドの2つの傾斜軸)を使用して材料の管体1802から切削される、例示の返し留め具1800が示されている。最初に管体を切断して複数の断片にすることができ、次いで各断片が、平坦な素材またはブランク材の部片を切削するのとほぼ同じように切断される、すなわち管体は、平坦なブランクの代わりに湾曲したブランクを提供する。レーザカッタの追加の自由度により、レーザ切削中に管体を回転させることまたはレーザカッタのヘッドを傾けることが可能になる。管体を回転させることまたはレーザ切削ヘッドを傾けることによって、別個の先鋭化作業を必要とすることなく、返しを図55に示すより先鋭な返しの構成で切削することが可能になる。留め具1800は、上で詳細に記載した留め具1200と構造が類似している。材料の管体1802は、内径1804と、内面1801と、外面1803と、を有する。留め具1800を材料の管体1802から切削することによって、図54に示すように、端部から見たときに、カップ状のまたは凹状の外形が得られる。凹状の外形の1つの効果は、固定アーム1810および移動するアーム1830の細長い部分により、ヒンジ部分1820の可撓性に実質的に影響を与えずに、その剛性が大きくなることである。また外形が凹状である結果、別個の先鋭化作業なしに、より先鋭な頂点または先端1846を有する返し1844が得られる-すなわち、先鋭化することなしに、面取りされた縁部を有する返しが形成される。先鋭な頂点1846により、生来の弁葉組織との係合の改善が可能になる。図55を参照すると、先鋭な頂点1846はレーザ切削中に形成されるが、その理由は、返し1844の第1の側面1847および第2の側面1848を形成する切断面が先端1846において交わり、このことにより頂点を有する三角錐形状が形成されるからであり、このことは、返しの側面を形成する切断面が平行であり交わらないときには不可能である。この場合、留め具1800の返し1844は、何らかの2次的な先鋭化作業を行わなくても、材料の単一の層において強度の高い基部1845と先鋭な頂点1846とを有する。

ここで図56を参照すると、例示の留め具1900が示されている。留め具1900は上で詳細に記載した留め具1200と構造が類似しているが、構造の異なるヒンジ部分1920を有する。ヒンジ部分1920は、一連の細長い切削部1924によって形成された、複数のビーム1922を含む。ここで図56A～図56Bを参照すると、ヒンジ部分1920のビーム1922の代替の実施形態が示されている。図56Aは、曲がった部分1926を有する矩形のビーム1922を示す。図56Bは曲がった部分1926を有する矩形のビーム1922を示すが、この曲がった部分1926は更に、曲がった部分1926におけるビームの断面がビーム1922のその端部にある部分に対して垂直となるように、約90度ねじられている。図56Bに示すように、ビーム1922をねじることによりビーム1922における曲げひずみが軽減され、このことによりその可撓性が増す。

ここで図57～図58を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具2000が示されている。返し付き留め具2000は、移植可能なデバイスに取り付けられている固定アーム2010を含む。返し付き留め具2000は、留め具2000が、ヒンジ状の部分2020と単一の返し2042を有する返しの付いた部分2040とを各々有する、複数の可動アーム2030を含むという点で、他の留め具とは異なっている。留め具2000の独立したアーム2030は生来の弁葉の組織を個々に挟持するが、このことは、厚さが均一でない組織の係合の改善を可能にする。アーム2030はまた、返し2042を、アームが強固に接続されていた場合に可能となるよりも横方向に大きく離間できるように、広いまたは伸展させた構成に形状設定すること、および配備用の狭い構成へと押し縮めることができる。特定の実施形態では、アーム2030は、配備中にアーム2030を締め合わせるために作動縫合糸が係合できる、任意選択的な穴または切り欠き(図示せず)を含む。

固定アーム2010は舌部2011から形成されており、ここから可動アーム2030を形成するビーム2031が延在する。ヒンジ部分2020は、ビーム2031の各々を曲げて曲がった部分2022を形成することによって形成される。ヒンジ状の部分2020は、返し付き留め具2000が閉じた状態にあるときに固定アーム2010および可動アーム2030が互いに向かって付勢されるように、ばね付勢されている。特定の実施形態では、舌部2011は、独立したアーム2030を挟持する場所としてより大きい領域を提供するために、材料の広いプレートから形成されている。

返し付き留め具2000は、ニチノールなどの形状記憶合金の層2002からレーザ切削される。図57Aに示されているように、返し2042は、材料の層2002から切り出されたとき、留め具2000の残りの部分と同じ平面内に平坦に存在している。次いで可動アーム2030および返し2040は、図57に示す形状へと曲げられおよびねじられ、その後形状設定プロセスを経る。上で指摘したように、留め具2000の独立したアーム2030は、所望に応じて広くまたは狭く形状設定することができる。特定の実施形態では、個々のアーム2030は他のものより長くても短くてもよく、アーム2030同士の間隔は異なっていても均一であってもよい。

材料のシートから返し2042を切り出し、次いでそれらを所定位置へとねじることにより、様々な形状のより大きな返しを形成することも可能になる。特定の実施形態では、返しの付いた部分2040は、同じ方向に面していてもいなくてもよい、連続して配置された複数のより小さな返しを含んでもよい。特定の実施形態では、返し2042の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。特定の実施形態では、ビーム2031のヒンジ部分2020は、ねじられた部分2024を含む。ねじられた部分2024は、返し2042の端部にかかる横方向の力に抵抗するねじりばねとして働くことができ、このことにより、生来の弁葉の組織に係合するときに、返し2042の位置整合を維持するのを助ける。

ここで図59～図63を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返しの付いた留め具2100が示されている。留め具2100は、畳まれた状態と拡張された状態との間で拡張可能であり、留め具2100が畳まれた状態から拡張された状態へと自動的に拡張するように、拡張された状態において形状設定される。図61Aに見ることができるように、留め具2100を送達シース2150から畳まれた状態で配備し、拡張された状態へと自己拡張させることができる。

留め具2100は、上で詳細に記載した留め具1200と類似している多くの特徴を有し、それらは例えば、複数のばねセグメント2122と切り欠き部2124とによって形成されたパターン化されたヒンジ部分2120、固定アーム2110を移植可能なデバイスに取り付けるための穴2112を有する舌部2111を含む固定アーム2110、および固定アーム2110を事前負荷された位置に保持するためのT形状を有する端部2114である。留め具2100はまた、複数の返し2142を有する返しの付いた部分2140を含む、可動アーム2130も有する。

可動アーム2130のフープ状の形状により、他の留め具と同じかまたはそれよりも大きい横方向間隔でより多くの返し2142を含むことのできる、より広い返しの付いた部分2140を提供できる。返し2142の間隔がより広いことにより、生来の弁葉の把捉が改善される。特定の実施形態では、可動アーム2130のフープ形状は、移植可能なデバイスの広い外側パドルの形状と類似しており、このことにより、パドルの挟持力が返しに均等に広がり、生来の弁葉の保持が更に改善される。返し2142のいくつかはまた、可動アーム2130のフープ状の形状におけるそれらの位置により、結果的に互いに長手方向にずれていてもよい。特定の実施形態では、返し2142の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。特定の実施形態では、舌部2111は、挟持する場所としてより大きい領域を提供するために、材料の広いプレートから形成されている。

可動アーム2130は、フープまたはループの形状で提供される。可動アーム2130は、特に横方向において、上記した留め具1200の側方ビーム1231よりも薄くかつ可撓性の高い、側方ビーム2131を含む。側方ビーム2131は、可動アーム2130の近位端に向かって配置された第1のヒンジ部分2132と、可動アーム2130の遠位端に配置された第2のヒンジ部分2136と、を含む。第1のヒンジ部分2132は、側方ビーム2131の1つまたは複数の屈曲部によって形成されている。特定の実施形態では、第2のヒンジ部分2136は、留め具2100を畳むために必要な力を小さくするために、より薄い-およびしたがってより可撓性の高い-部分を含む。可動アーム2130は、第1のヒンジ部分2132と第2のヒンジ部分2136との間に配置された、可動アーム2130を畳むために使用される作動縫合糸2152を受け入れるための穴2134を含む。穴2134は、縫合糸2152を介して力が加わるときに機械的な利点が得られるように、留め具2130の中心からヒンジ部分2132、2136よりも横方向において遠くに配置されている。特定の実施形態では、穴2134は、側方ビーム2131の横方向の端となる場所に位置している。

留め具2100の丸みを帯びたフープ形状により、単に留め具2100を送達シース内に引き戻すことによって、留め具2100を畳むことが可能になる。特定の実施形態では、留め具2100の拡張および収縮は、作動縫合糸2152によって制御される。可動アーム2130を畳まれた位置に締め付けるために縫合糸2152に沿ってかかる力のかかる方向を制御するために、縫合糸2152を、ガイド2154の開口2156を通して、可動アーム2130の穴2134まで引き回すことができる。例えば、留め具2100に至る縫合糸2152への接続箇所のより近くにガイド2154を配置することにより、縫合糸2152によって留め具2100にかかる力が、長手方向ではなくより横に向かう方向に向けられる。別法として、図61Bに見ることができるように、単一のループ2153の作動により可動アーム2130が畳まれた位置に締め付けられるように、単一の縫合糸ループ2153を、ガイド2154の開口2156を通り、可動アーム2130の穴2134の各々を通り、次いでガイド2154を通って戻るように、引き回すことができる。

ここで図64～図68を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具2200が示されている。返し付き留め具2200は、上記した留め具1200、2000の要素を含む。返し付き留め具2200は、移植可能なデバイスに取り付けられている固定アーム2210と、留め具2200の開閉を可能にするヒンジ部分2220と、を含む。ヒンジ部分2220は、留め具1200の場合と同様に、ばねセグメント2222の繰り返しパターンと、切り欠き部2224と、から形成されている。

返し付き留め具2200はまた、留め具2000と類似した特徴、例えば、単一の返し2244を有する返しの付いた部分2240を各々有する複数の独立した可動アーム2230も含む。留め具2200の個々のアーム2230は生来の弁葉の組織を個々に挟持するが、このことは、厚さが均一でない組織の係合の改善を可能にする。アーム2230はまた、返し2244を、アームが強固に接続されていた場合に可能となるよりも横方向に大きく離間できるように、広いまたは伸展させた構成に形状設定すること、および配備用の狭い構成へと押し縮めることができる。各アーム2230の返しの付いた部分2240は、作動縫合糸2252(図65A)を受け入れるための穴2242を含む。

留め具2200は、畳まれた状態と拡張された状態との間で拡張可能であり、留め具2200が畳まれた状態から拡張された状態へと自動的に拡張するように、拡張された状態において形状設定される。図65Aに見ることができるように、留め具2200を送達シース2250から畳まれた状態で配備し、拡張された状態へと自己拡張させることができる。留め具2200の拡張および収縮は、これが送達シース2250内に嵌合するように留め具2200を畳むために、独立したアーム2230を1つに締め合わせる、作動縫合糸2252によって制御される。いくつかの実施形態では、独立したアームは、単に留め具2200を送達シース内へと引き戻すことによって、一緒に畳まれる。

固定アーム2210は、ヒンジ部分2220から端部2214まで延在する舌部2211から形成されている。舌部2211は、舌部2211を移植可能なデバイスに固定するための穴2212を含む。特定の実施形態では、舌部2211は、挟持する場所としてより大きい領域を提供するために、材料の広いプレートから形成されている。特定の実施形態では、舌部2211の端部2214は、留め具2100のものと同様のT形状のクロス部材を含む。

返し付き留め具2200は、ニチノールなどの形状記憶合金の層2202からレーザ切削される。図57Aに示す留め具2100と同様に、返し2242は、材料の層2202から切り出されたとき、留め具2200の残りの部分と同じ平面内に平坦に存在している。次いで可動アーム2230および返しの付いた部分2240は、図64～図68に示す形状へと曲げられおよびねじられ、その後形状設定プロセスを経る。いくつかの実施形態では、独立したアームの返しは、[?]それらの返しが留め具1200の返しと同様に上向きに曲げられ、このことにより独立したアームをねじる必要がなくなるように、切削される。上で指摘したように、留め具2200の独立したアーム2230は、所望に応じて広くまたは狭く形状設定することができる。特定の実施形態では、個々のアーム2230は他のものより長くても短くてもよく、アーム2230同士の間隔は異なっていても均一であってもよい。

材料のシートから返し2244を切り出し、次いでそれらを所定位置へとねじることにより、様々な形状のより大きな返しを形成することもまた可能になる。特定の実施形態では、返しの付いた部分2240は、同じ方向に面していてもいなくてもよい、連続して配置された複数のより小さな返しを含んでもよい。特定の実施形態では、返し2244の端部は、任意の好適な先鋭化手段を使用して、更に先鋭にされる。特定の実施形態では、ビーム2231は、ねじられた部分2232を含む。ねじられた部分2232は、返し2244の端部にかかる横方向の力に抵抗するねじりばねとして働くことができ、このことにより、生来の弁葉の組織に係合するときに、返し2244の位置整合を維持するのを助ける。

ここで図69～図73Bを参照すると、作動縫合糸を例示の返し留め具に取り付けるための様々な構成が示されている。これらの実施形態では、返し付き留め具のアイレットのうちの1つまたは複数を通して中間縫合糸ループが作られ、作動縫合糸が中間ループのうちの1つまたは複数に挿通される。縫合糸材料の中間ループを介して留め具に接続することにより、作動縫合糸と留め具材料との間の摩擦と比べて、作動縫合糸が経験する摩擦が小さくなる。作動縫合糸の両端部は、送達シース(図示せず)内へと戻され、その中へと延ばされていく。縫合糸の一方の端部を、縫合糸の他方の端部がアイレットまたは中間ループを通って送達シース内へと引き戻されるまで、近位側に引くことによって、縫合糸を取り外すことができる。

ここで図69を参照すると、上記した返し留め具400に取り付けられた、例示の縫合糸構成2300が示されている。縫合糸構成2300は、アイレット442に挿通されて返しの付いた部分440の端部を取り囲む、中間縫合糸ループ2302を含む。別法として、中間縫合糸ループ2302は、アイレット442を通るように、および可動アームの側方ビーム同士の間に、挿入されてもよい。作動縫合糸2304は、送達シースから中間縫合糸ループ2302を通され、送達シース内へと戻される。作動縫合糸2304にかけられる張力により、ばね留め具400を閉じた状態に保っている力が克服されると、留め具400が開く。作動縫合糸2304に対する張力を解放することにより、留め具400がばね力で閉じることが可能になる。留め具400の返しの付いた部分440の丸みを帯びた形状により、留め具400が生来の組織または移植可能なデバイスの他の部分を捉えることが阻止される。

ここで図70A～図70Bを参照すると、上記した返し留め具1200に取り付けられた例示の縫合糸構成2400が示されている。縫合糸構成2400は、中央アイレット1242に挿通されておりかつ可動アーム1230の側方ビーム1231同士の間にある、中間縫合糸ループ2402を含む。作動縫合糸2404は、送達シースから中間縫合糸ループ2402を通され、送達シース内へと戻される。作動縫合糸2404にかけられる張力により、ばね留め具1200を閉じた状態に保っている力が克服されると、留め具1200が開く。作動縫合糸2404に対する張力を解放することにより、留め具1200がばね力で閉じることが可能になる。

図70Aは、留め具の端部と上記した縫合糸構成2400の作動縫合糸2404との間に間隙または凹部2406が形成され得ることを示す、縫合糸構成2400の側面図である。特に、間隙2406は、作動縫合糸2404が留め具1200の返しの付いた部分に対して角度が付いているときに形成され得る。図70Bは、作動縫合糸2404と留め具1200の返しの付いた部分1240の側部との間に側方間隙または凹部2408が形成されることを示す、縫合糸構成2400の正面図である。特定の条件下では、間隙または凹部2406、2408は、捕捉箇所-すなわち、配備および設置中に生来の組織もしくは移植可能なデバイスの他の部分をならびに/または回収中にカテーテルの壁部を、捕捉するかまたは引っ掛ける可能性のある場所になり得る。特に、先鋭な角度および縁部が捕捉箇所になり得る。図70Bに見ることができるように、留め具1200の角を丸めることにより、留め具1200による捕捉の可能性が低減する。いくつかの実施形態では、デバイスは、デバイスの幅の3分の1よりも大きい深さを有するどのような凹部も含まない。

ここで図71を参照すると、上記した返し留め具1200に取り付けられた、例示の縫合糸構成2500の正面図が示されている。縫合糸構成2500は、中央アイレット1242に挿通されて返しの付いた部分1240の端部を取り囲む、中間縫合糸ループ2502を含む。作動縫合糸2504は、送達シースから中間縫合糸ループ2502を通され、送達シース内へと戻される。作動縫合糸2504にかけられる張力により、ばね留め具1200を閉じた状態に保っている力が克服されると、留め具1200が開く。作動縫合糸2504に対する張力を解放することにより、留め具1200がばね力で閉じることが可能になる。

中間縫合糸ループ2502を返しの付いた部分1240の端部の周囲に形成することにより、間隙(例えば、図70Aに示す間隙2406)が作動縫合糸と留め具との間に形成される可能性が排除される。上記しかつ図70Bに示した縫合糸構成2400と同様に、図71は、作動縫合糸2504と留め具1200の返しの付いた部分1240の側部との間に、側方間隙2508が形成されることを示している。特定の条件下では、間隙2508は、捕捉箇所-すなわち、配備および設置中に生来の組織もしくは移植可能なデバイスの他の部分をならびに/または回収中にカテーテルを、捕捉するまたは引っ掛ける可能性のある場所になり得る。特に、先鋭な角度および縁部が捕捉箇所になり得る。図71に見ることができるように、留め具1200の角を丸めることにより、留め具1200が生来の組織またはデバイスの他の部分を捕捉する可能性が低減する。

ここで図72～図73Bを参照すると、上記した返し留め具1200に取り付けられた例示の縫合糸構成2600が示されている。縫合糸構成2600は、留め具1200の側部に近接したアイレット1242に挿通されておりかつ返しの付いた部分1240の端部の周囲にある、中間縫合糸ループ2602を含む。作動縫合糸2604は、送達シースから中間縫合糸ループ2602を通され、送達シース内へと戻される。作動縫合糸2604にかけられる張力により、ばね留め具1200を閉じた状態に保っている力が克服されると、留め具1200が開く。作動縫合糸2604に対する張力を解放することにより、留め具1200がばね力で閉じることが可能になる。

縫合糸構成2600により、図70A～図71に示す捕捉箇所となり得る間隙が縮小または排除される。中間縫合糸ループ2602を返しの付いた部分1240の端部の周囲に形成することにより、図70Aに示す間隙2406などの間隙が留め具1200と作動縫合糸2604との間に形成される可能性が排除される。縫合糸構成2600により、図70Bおよび図71に示す側方間隙2508などの、作動縫合糸2604と留め具1200の側部との間の側方間隙もまた、縮小または排除される。

ここで図74A～図75を参照すると、例示の返し留め具および移植可能なデバイスが示されている。上で指摘したように、捕捉箇所は、移植可能なデバイス上の、配備および設置中にならびに/または再把捉もしくは回収中に、生来の組織、移植可能なデバイスの他の部分、および/または送達カテーテルを、捕捉するまたは引っ掛ける可能性のある場所である。上記した捕捉箇所などの、移植可能なデバイスの個々の構成要素上に形成され得る捕捉箇所に加えて、捕捉箇所は、2つ以上の構成要素の組み付けによっても形成され得る。

ここで図74A～図74Bを参照すると、2つの返し留め具400を組み付けられた、例示の移植可能なデバイス2700が示されている。返し留め具400は、接合要素2710から延在する、移植可能なデバイス2700の内側パドル2720に取り付けられている。縫合糸構成2730は、留め具400の返しの付いた部分440に取り付けられた中間縫合糸ループ2732と、送達シース2702から中間縫合糸ループ2732を通ってシース2702内に戻るように延ばされる、作動縫合糸2734と、を含む。留め具400が閉じた状態にあるとき、ヒンジ部分420がずれていることにより、留め具400と接合要素2710との間に、捕捉箇所となり得る間隙2740が形成される。図74Bに見ることができるように、留め具400が途中まで開かれているとき、間隙2740は縮小または排除されるが、留め具400が開くので、デバイス2700の全体的な幅は大きくなる。したがって、図74Bに示すように留め具400を途中まで開くことによって、再把捉または回収中に捕捉箇所を排除することができる。デバイスをシース内に引き戻すときに留め具を途中まで開くことは、作動ラインまたは縫合糸を送達シース2702の開口部2703に係合させ、このことにより開口部2703を大きく開かせ、デバイス2700を引き抜くことのできるより大きな開口部が提供される、という追加の利益を有する。図70Bおよび図71に示すもののような縫合糸構成は、縫合糸が留め具の2か所から延びるので、開口部2703に2か所で係合し、このことにより開口部2703は、実質的に菱形の形状に広がる。図72に示すもののような縫合糸構成は、縫合糸が留め具の4か所から延びるので、開口部2703に4か所で係合し、このことにより開口部2703は、実質的に矩形の形状に広がる。作動縫合糸2734は、ヒンジ部分420がカテーテル内に入った後で、弛緩させることができる。

ここで図75を参照すると、2つの返し留め具1200を組み付けられた、例示の移植可能なデバイス2800が示されている。返し留め具1200は、接合要素2810から延在する、移植可能なデバイス2800の内側パドル2820に取り付けられている。縫合糸構成2830は、留め具1200の返しの付いた部分1240に取り付けられた中間縫合糸ループ2832と、送達シース2802から中間縫合糸ループ2832を通ってシース2802内に戻るように延ばされる、作動縫合糸2834と、を含む。留め具1200のヒンジ部分1220の丸い形状により、ヒンジ部分1220と接合要素2810との間の交差点に捕捉箇所が形成されることが防止される。この場合、留め具1200の形状により、図74Bに示す間隙2740などの、捕捉箇所となり得る間隙が縮小または排除され、回収または再把捉中に留め具1200を途中まで開く必要がない。

特定の実施形態では、中間縫合糸ループではなく、作動ラインまたは縫合糸が、移植可能なデバイスの留め具を取り囲むカバー材の一部分に取り付けられる。例えば、作動ラインまたは縫合糸を、ループまたはカバー材の開口部に通すことができる。カバー材は可撓性の材料から形成されてもよく、この材料は、メッシュ、織物、編物であってもよく、または任意の他の好適な方法で形成されてもよい。可撓性の材料は、布帛、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ-例えばニチノール-、または人体内に移植するのに適した任意の他の可撓性の材料であり得る。

ここで図76を参照すると、例示の返し留め具2900の側面図が示されている。留め具2900が上記した留め具1200の形状で示されているが、留め具2900は、上記した留め具のいずれかのような積層された材料の層から形成された返し付き留め具として使用するのに好適な、任意の形状を有し得る。留め具2900は、固定アーム2910と、ヒンジ状の部分2920と、可動アーム2930と、返しの付いた部分2940と、を有する。留め具2900は、第1の材料の層2902と第2の材料の層2904とから形成されている。層2902、2904は、類似のまたは異なる材料から形成されてもよく、同じまたは異なる厚さを有してもよい。特定の実施形態では、材料の追加の層もまた提供されてよい。

ここで図77を参照すると、例示の両頭の返し留め具3000の側面図が示されている。両頭の留め具3000は、ヒンジ部分3020を有する固定アーム3010と、両端部から延在する可動アーム3030と、を有する。各可動アーム3030は、少なくとも1つの返し3042を含む、返しの付いた部分3040を含む。返し3042が外側に面して示されているが、他の実施形態では返し3042は内側に面している。留め具3000は第1の材料の層3002と第2の材料の層3004とから形成されているが、特定の実施形態では、留め具は単一の層から形成されており、特定の他の実施形態では、3つ以上の層から形成されている。ヒンジ部分3020、可動アーム3030、および返しの付いた部分3040は、上記したどの留め具の形状で形成されてもよい。

ここで図78～図79を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具3102が示されている。返し付き留め具3102は、上記した留め具1200の要素を含む。返し付き留め具3102は、移植可能なデバイスに取り付けられている固定アーム3110と、留め具3102の開閉を可能にするヒンジ部分3120と、を含む。ヒンジ部分3120は、留め具1200の場合と同様に、ばねセグメント3122の繰り返しパターンと、切り欠き部3124と、から形成されている。返し付き留め具3102はまた、ヒンジ部分3120から返し3144を有する返しの付いた部分3140まで延在する、独立した第1の可動アーム3130および第2の可動アーム3132の対も含む。

固定アーム3110は、ヒンジ部分3120から端部3114まで延在する舌部3111から形成されている。舌部3111は、舌部3111を移植可能なデバイスに固定するための穴3112を含む。特定の実施形態では、舌部3111は、挟持する場所としてより大きい領域を提供するために、材料の広いプレートから形成されている。特定の実施形態では、舌部3111の端部3114は、留め具3102のものと同様のT形状のクロス部材を含む。

留め具3102の個々の可動アーム3130、3132は、生来の弁葉の組織を個々に挟持するが、このことは、厚さが均一でない組織の係合の改善を可能にする。いくつかの実施形態では、可動アーム3130、3132は、第1の可動アーム3130および第2の可動アーム3132が互いから独立して開閉できるように、切れ目3148によって第1の可動アーム3130および第2の可動アーム3132へと分離される、留め具1200の可動アーム1230と類似した単一の可動アームから形成されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ部分3120もまた、第1のヒンジ部分および第2のヒンジ部分(図示せず)へと分離される。

ここで図79を参照すると、2つの返し留め具3102を組み付けられた、例示の移植可能なデバイス3100が示されている。返し留め具3102は、接合要素3106から延在する、移植可能なデバイス3100の内側パドル3108に取り付けられている。作動構成3150は、第1の可動アーム3130および第2の可動アーム3132の返しの付いた部分3140の穴3146に取り付けられた、中間縫合糸ループ3152と、第1の作動縫合糸3154および第2の作動縫合糸3156と、を含む。第1の作動縫合糸3154および第2の作動縫合糸3156は、送達シース3104から中間縫合糸ループ3152を通って、送達シース3104内へと戻るように延びている。可動アーム3130、3132の各々は、第1の作動縫合糸3154および第2の作動縫合糸3156にそれぞれ張力をかけることによって、個別に開くことができる。第1の可動アーム3130および第2の可動アーム3132を個別に開くことにより、生来の組織に対する留め具3102の把持力を、組織の厚さおよび留め具3100の配向に基づいて調整することが可能になる。

ここで図80A～図80Eを参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具3200が示されている。留め具3200は、移植可能な人工補綴デバイス-例えば、本出願に記載するいずれかのデバイス-が生来の組織に取り付けられるときに、生来の組織に張力をかけるように構成されている。上記した返し付き留め具と同様に、返し付き留め具3200は、固定アーム3210と、ヒンジ部分3220と、返しの付いた部分3240を有する可動アーム3230と、を含む。留め具3200の固定アーム3210は、移植可能なデバイスのパドル3202に摺動可能に接続されており、留め具3200がパドル3202に沿って方向3204へと移動できるようになっている。例えば、作動ライン3250を使用して、留め具3200をパドル3202に沿って方向3204へと移動させることができる。また作動ライン3250を使用して、可動アーム3230を、(図80Aに示すような)閉じた位置と(図80Bに示すような)開いた位置との間で移動させることもできる。作動ライン3250は、本出願に記載するいずれの形態をとることもできる。いくつかの実施形態では、留め具3200は、留め具3200をパドル3202に沿った所望の位置(例えば、図80Aおよび図80Eに示す位置)に維持するように構成された、任意選択的な付勢部材3260(例えば、ばね)を含む。

図80Aを参照すると、パドル3202上の第1の位置にあるおよび閉じた位置にある、留め具3200が示されている。図80Bを参照すると、作動ライン3250によって可動アーム3230が方向3203へと開いた位置まで移動させた後の、留め具3200が示されている。図80Cを参照すると、パドル3202に沿って方向3205へと第2の位置まで移動された後の、留め具3200が示されている。いくつかの実施形態では、留め具3200は、作動ライン3250または別個の機構によって、パドル3202に沿って方向3205へと移動される。付勢部材3260を含む実施形態では、留め具3200を方向3205へと移動させるのに十分な力が留め具3200にかけられ、このことにより付勢部材3260が拡張し、留め具3200に対する方向3205と反対の方向3206の張力が生まれる。例示した実施形態では、留め具3200がパドル3202に沿って方向3205へと(図80Cに示すような)第2の位置まで移動される前に、留め具3200が(図80Bに示すような)開いた位置へと移動されることが示されているが、留め具3200の可動アーム3230が方向3203へと開いた位置まで移動される前に、留め具3200を方向3205へと第2の位置まで移動できること、またはこれらの移動が同時に行われてもよいことが、理解されるべきである。図80Dを参照すると、可動アーム3230は、留め具3200の返しの付いた部分3240を弁組織(図示せず)に固定するために、作動ライン3250によって方向3207へと閉じた位置まで移動される。図80Dに示す位置では、付勢部材3260は延ばされた位置に維持されており(例えば、作動ライン3250または別の機構によって留め具3200に力がかかる結果、留め具3200が第2の位置に保たれる)、このことは、付勢部材3260が留め具3200に対して方向3206に張力をかけていることを意味する。図80Eを参照すると、留め具3200の返しの付いた部分3240が生来の組織に固定された後で、留め具3200を第2の位置に維持する力が解放され、このことにより、付勢部材3260によって加えられる張力が、留め具3200をパドル3202に沿って方向3208へと移動させる。方向3208への留め具3200の移動により、返しの付いた部分3240が、生来の組織への方向3209の張力を生み出す。生来の組織に対するこの張力により、移植可能なデバイスが、生来の組織への確実な接続を維持することが可能になる。

ここで図81A～図81Cを参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返し付き留め具3300が示されている。留め具3300は、移植可能な人工補綴デバイス-例えば、本出願に記載するいずれかのデバイス-が生来の組織に取り付けられるときに、生来の組織に張力をかけるように構成されている。上記した返し付き留め具と同様に、返し付き留め具3300は、固定アーム3310と、ヒンジ部分3320と、返しの付いた部分3340を有する可動アーム3330と、を含む。可動アーム3330は、ヒンジ部分3320と返しの付いた部分3340との間に配置された、可撓性の部分3332を含む。可撓性の部分3332は、例えば、可動アーム3330の切り欠き部を含んでもよく、可動アーム3330の残りの部分と異なる材料を含んでもよく、または、可撓性の部分3332が可動アーム3330の残りの部分よりも高い可撓性を有することができるような、任意の他の好適な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、可撓性の部分3332は省略され、それでもなお作動機構3350は、図81A～図81Cに示すように、可動アーム3330の返しの付いた部分3340を曲げることができる。

作動機構3350は、作動ライン3352(例えば、縫合糸)と、ライン3352を受け入れるように構成された押し引きリンク3354と、を含む。押し引きリンク3354は、カテーテル、(図82に示すような)ループを有するワイヤ、または、ライン3352を受け入れること、および留め具3300の可動アーム3330を押すもしくは引くことのできる、任意の他のリンクとすることができる。作動ライン3352は、第1の端部3351において送達シース(図示せず)から延び、返しの付いた部分3340に近接して配置された第1の接続箇所3356において、可動アーム3330に取り外し可能に取り付けられる。作動ライン3352はまた、第1の接続箇所3356から延び、可撓性の部分3332とヒンジ部分3320との間に配置された第2の接続箇所3358において、可動アーム3330に取り外し可能に取り付けられる。その後作動ライン3352は、第2の接続箇所3358から延び、第2の端部3353において押し引きリンク3354に通される。

図81Aを参照すると、生来の組織3302が可動アーム3330と固定アーム3310との間の開口部3304内に配設されている、開いた位置にある留め具3300が示されている。ライン3352を引くことによって、留め具3300を開いた位置に移動させることができる。図81Bを参照すると、可動アーム3330を閉じる方向3306へと閉じた位置まで移動させる、および返しの付いた部分3340を開く方向3308へと曲げるために、作動機構3350のリンク3354およびライン3352が使用される。これを行う際には、ライン3352の第1の端部3351は開く方向3308へと引かれ、一方、リンク3354は閉じる方向3306へと押され、この結果、可動アーム3330の返しの付いた部分3340は、開く際に、可撓性の部分3332において上向きの方向3303へと枢動するかまたは曲がる。更に図81Bを参照すると、リンク3354およびライン3352は、可動アーム3330が閉じた位置へと移動され返しの付いた部分3340が曲げられた位置にあるときに、返しの付いた部分3340が生来の組織3302に係合または穿孔するように、移動される。

ここで図81Cを参照すると、ライン3352の第1の端部3351が解放され、可動アーム3330の返しの付いた部分3340が可撓性の部分3332を中心に枢動することが可能になっている。返しの付いた部分3340が枢動するにつれ、生来の組織3302は下向きまたは内向きの方向3305へと引き込まれ、このことにより、生来の組織への内向きの方向3305の張力が生まれる。可動アーム3330が(図81Cに示すように)生来の組織3302に固定された後で、留め具3300からリンク3354およびライン3352が取り外される。

ここで図82を参照すると、上記したデバイス100、200、300などの移植可能な人工補綴デバイスにおいて使用するための、例示の返しの付いた作動機構3400が示されている。機構3400は、送達デバイス3402から延在する、第1の制御部材3410と第2の制御部材3420とを含む。送達デバイス3402は、シースまたはカテーテルなどの、任意の好適なデバイスであり得る。第1の制御部材3410および第2の制御部材3420は、第1の縫合糸3412および第2の縫合糸3422と、第1の可撓性ワイヤ3414および第2の可撓性ワイヤ3424と、を含む。第1の可撓性ワイヤ3414および第2の可撓性ワイヤ3424は送達デバイス3402から延びており、各々が、第1の縫合糸3412および第2の縫合糸3422を受け入れるためのならびに留め具(例えば、上記した留め具1200)に係合するための、ループ3416、3426を含む。第1の縫合糸3412および第2の縫合糸3422の各々は、送達デバイス3402からそれぞれ第1のループ3416および第2のループ3426の一方を通って、送達デバイス3402内に戻るように延ばされる。いくつかの実施形態では、第1の制御部材3412および第2の制御部材3422は、別個の送達デバイス3402を通して延ばされる。縫合糸3412、3422は、上記した例示の返し付き留め具の可動アームに、取り外し可能に取り付けられる。ワイヤ3414の第1のループ3416およびワイヤ3424の第2のループ3426は、ループ3416、3426が対応する返し付き留め具に係合して可動アームに係合できるように、対応する縫合糸3412、3422に沿って移動することができる。すなわち、縫合糸3412、3422は可動アームを開く方向に引くために使用され、ワイヤ3414、3424は可動アームを閉じる方向に押すために使用される。ワイヤ3414、3424は、例えば、鋼合金、ニッケルチタン合金、もしくは任意の他の金属、またはプラスチック材料から製作することができる。特定の実施形態では、ワイヤ3414、3424は、約0.10mmから約0.35mmの間の、約0.15mmから約0.30mmの間の、および約0.20mmから約0.25mmの間の、直径を有し得る。

本明細書では、本開示の進歩性を備えた様々な態様、概念、および特徴を、例示の実施形態において組み合わされて具現化されるものとして記載および説明する場合があるが、これらの様々な態様、概念、および特徴は、個別に、またはそれらの様々な組み合わせおよび下位組み合わせで、のいずれかで、多くの代替の実施形態において使用することができる。本明細書において明示的に除外されていない限りは、そのような組み合わせおよび下位組み合わせは全て、本出願の範囲内にあることが意図されている。また更に、本開示の様々な態様、概念、および特徴に関する様々な代替の実施形態-例えば、代替の材料、構造、構成、方法、デバイス、および構成要素、形態、適合、および機能に関する代替、など-が、本明細書に記載され得るが、そのような記載は、現在知られているか今後開発されるかを問わず、利用可能な代替の実施形態の完全なまたは網羅的なリストとなることは意図していない。当業者は、進歩性を備えた態様、概念、または特徴のうちの1つまたは複数を、追加の実施形態および使用において、そのような実施形態が本明細書において明示的に開示されていなくても、本出願の範囲内で容易に採用することができる。

更に、本明細書において、本開示のいくつかの特徴、概念、または態様が、好ましい構成または方法として記載される場合があるが、そのような記載は、そうであると明示的に述べられていない限りは、そのような特徴が必要であるかまたは必須であると示唆することを意図していない。また更に、本出願の理解を助けるために例示のまたは代表的な値および範囲が含まれている場合があるが、そのような値および範囲は限定的な意味で解釈されるべきものではなく、そうであると明示的に述べられている場合に限り、臨界の値または範囲であることが意図されている。

更に、本明細書において、様々な態様、特徴、および概念が、進歩性を備えているかまたはある開示の一部を形成していると明示的に認識されている場合があるが、そのような認識は排他的であることを意図しておらず、むしろ、本明細書において十分に記載されているが進歩性を備えているかまたは特定の開示の一部であると明示的に認識されていない、進歩性を備えた態様、概念、および特徴が存在する可能性があり、代わりにそのような開示は、付属の特許請求の範囲に明記されている。例示の方法またはプロセスの記載は、全ての場合に全てのステップを必要なものとして含めることに限定されず、また、それらのステップが提示される順序は、そうであると明示的に述べられていない限りは、必要であるかまたは必須であると解釈すべきでもない。特許請求の範囲において使用される単語は、その通常の完全な意味を有し、どのような形であれ、本明細書中の実施形態の記載によって限定されることはない。

10 心臓
20 左心房
40 僧帽弁
42 弁葉
44 弁葉
100 移植可能な人工補綴デバイス
102 送達シース
104 接合部分
106 アンカー部分
110 接合要素
112 作動ワイヤ
120 外側パドル
122 内側パドル
124 ヒンジ状のまたは可撓性の部分
126 ヒンジ状のまたは可撓性の部分
128 ヒンジ状のまたは可撓性の部分
130 返し付き留め具
132 固定アーム
134 可動アーム
136 返し付
138 ヒンジ状のまたは可撓性の部分
200 移植可能な人工補綴デバイス
204 接合部分
206 アンカー部分
210 接合要素
211 カラー
212 作動ワイヤ
213 カラーシール
214 キャップ
215 開口部
216 シール
218 インサート
220 外側パドル
222 内側パドル
224 パドルフレーム
230 返し付き留め具
232 基部または固定アーム
234 可動アーム
236 返し
238 ヒンジ部分
300 移植可能なデバイス
302 送達シース
303 カラー
304 接合部分
306 アンカー部分
310 接合要素
311 カラー
312 作動ワイヤまたはシャフト
313 カラーシール
314 キャップ
315 開口部
316 作動ライン
318 インサート
320 外側パドル
322 内側パドル
324 パドルフレーム
330 留め具
332 基部または固定アーム
334 可動アーム
336 返し
338 ヒンジ部分
400 返し付き留め具
402 頂層
404 底層
410 固定アーム
411 舌部
412 穴
414 クロスバー
420 ヒンジ状の部分
422 ビームループ
424 中央部分
426 外側部分
428 段差距離
430 可動アーム
431 側方ビーム
440 返しの付いた端部
442 アイレット
444 返し
446 返し支持部
500 返し付き留め具
502 頂層
504 底層
510 固定アーム
511 舌部
512 穴
514 クロスバー
520 ヒンジ状の部分
522 ビームループ
524 中央部分
526 外側部分
528 段差距離
530 可動アーム
531 側方ビーム
540 返しの付いた端部
542 開口部、アイレット
543 縫合糸ピン
544 返し
546 返し支持部
600 返し付き留め具
602 頂層
604 底層
610 角度
612 開き角度
614 段差距離
620 可動アーム
622 固定アーム
624 ヒンジ部分
626 返しの付いた部分
628 返し
700 返し留め具
702 厚い部分
704 薄い部分
706 スペーサ層
708 返しの付いた層
720 可動アーム
722 固定アーム
726 返しの付いた部分
728 返し
800 返し留め具
802 厚い部分
804 薄い部分
820 可動アーム
822 固定アーム
824 ヒンジ部分
826 返し部分
900 返し留め具
902 厚い部分
904 薄い部分
920 可動アーム
922 固定アーム
924 ヒンジ部分
926 返し部分
1000 返し留め具
1002 厚い部分
1004 薄い部分
1020 可動アーム
1022 固定アーム
1024 ヒンジ部分
1026 返し部分
1100 返し付き留め具
1102 厚い部分
1104 薄い部分
1110 固定アーム
1112 取り付け穴
1114 一体型クロスバー
1120 ヒンジ部分
1122 ヒンジ
1130 可動アーム
1140 返しの付いた部分
1142 アイレット
1200 返し付き留め具
1202 層
1210 固定アーム
1211 舌部
1212 穴
1214 端部
1216 角度
1220 ヒンジ状の部分
1222 ばねセグメント
1224 切り欠き部
1230 可動アーム
1231 側方ビーム
1240 返しの付いた部分
1242 アイレット
1244 返し
1246 角度
1300 ねじりばねセグメント
1301 切り欠き部
1302 層
1304 側面
1306 内角部
1310 第1の端部
1312 連結場所
1320 第2の端部
1322 連結場所
1330 第1の側部
1332 連結場所
1340 第2の側部
1342 連結場所
1400 ねじりばねセグメント
1404 側面
1406 内角部
1408 外角部
1500 ねじりばねセグメント
1504 側面
1506 内角部
1508 外角部
1600 ねじりばねセグメント
1604 側面
1606 内角部
1608 外角部
1700 ばね集合体
1710 曲げ力
1720 矢印
1800 返し留め具
1801 内面
1802 管体
1803 外面
1804 内径
1810 固定アーム
1820 ヒンジ部分
1830 移動するアーム
1844 返し
1845 基部
1846 頂点または先端
1847 第1の側面
1848 第2の側面
1900 留め具
1920 ヒンジ部分
1922 ビーム
1926 曲がった部分
2000 返し付き留め具
2002 層
2010 固定アーム
2011 舌部
2020 ヒンジ状の部分
2022 曲がった部分
2030 可動アーム
2031 ビーム
2040 返しの付いた部分
2042 返し
2100 返しの付いた留め具
2110 固定アーム
2111 舌部
2112 穴
2114 端部
2120 ヒンジ部分
2122 ばねセグメント
2124 切り欠き部
2130 可動アーム
2131 側方ビーム
2132 第1のヒンジ部分
2134 穴
2136 第2のヒンジ部分
2140 返しの付いた部分
2142 返し
2150 送達シース
2152 作動縫合糸
2153 ループ
2154 ガイド
2156 開口
2200 返し付き留め具
2202 層
2210 固定アーム
2211 舌部
2212 穴
2214 端部
2220 ヒンジ部分
2222 ばねセグメント
2224 切り欠き部
2230 可動アーム
2231 ビーム
2232 ねじられた部分
2240 返しの付いた部分
2242 返し
2244 返し
2250 送達シース
2252 作動縫合糸
2300 縫合糸構成
2302 中間縫合糸ループ
2304 作動縫合糸
2400 縫合糸構成
2402 中間縫合糸ループ
2404 作動縫合糸
2406 間隙または凹部
2408 側方間隙または凹部
2500 縫合糸構成
2502 中間縫合糸ループ
2504 作動縫合糸
2508 側方間隙
2600 縫合糸構成
2602 中間縫合糸ループ
2604 作動縫合糸
2700 移植可能なデバイス
2702 送達シース
2703 開口部
2710 接合要素
2720 内側パドル
2730 縫合糸構成
2732 中間縫合糸ループ
2734 作動縫合糸
2740 間隙
2800 移植可能なデバイス
2802 送達シース
2803 開口部
2810 接合要素
2820 内側パドル
2830 縫合糸構成
2832 中間縫合糸ループ
2834 作動縫合糸
2900 返し留め具
2902 第1の層
2904 第2の層
2910 固定アーム
2920 ヒンジ状の部分
2930 可動アーム
2940 返しの付いた部分
3000 両頭の返し留め具
3002 第1の材料の層
3004 第2の材料の層
3010 固定アーム
3020 ヒンジ部分
3030 可動アーム
3040 返しの付いた部分
3042 返し
3100 移植可能なデバイス
3102 返し付き留め具
3104 送達シース
3106 接合要素
3108 内側パドル
3110 固定アーム
3111 舌部
3112 穴
3114 端部
3120 ヒンジ部分
3122 ばねセグメント
3124 切り欠き部
3130 第1の可動アーム
3132 第2の可動アーム
3140 返しの付いた部分
3144 返し
3146 穴
3148 切れ目
3150 作動構成
3152 中間縫合糸ループ
3154 第1の作動縫合糸
3156 第2の作動縫合糸
3200 返し付き留め具
3202 パドル
3203 方向
3204 方向
3205 方向
3206 方向
3207 方向
3208 方向
3209 方向
3210 固定アーム
3220 ヒンジ部分
3230 可動アーム
3240 返しの付いた部分
3250 作動ライン
3260 付勢部材
3300 返し付き留め具
3302 生来の組織
3303 上向きの方向
3304 開口部
3305 下向きまたは内向きの方向
3306 閉じる方向
3308 開く方向
3310 固定アーム
3320 ヒンジ部分
3330 可動アーム
3332 可撓性の部分
3340 返しの付いた部分
3350 作動機構
3351 第1の端部
3352 ライン
3353 第2の端部
3354 押し引きリンク
3356 第1の接続箇所
3358 第2の接続箇所
3400 返しの付いた作動機構
3402 送達デバイス
3410 第1の制御部材
3412 第1の縫合糸
3414 第1の可撓性ワイヤ
3416 第1のループ
3420 第2の制御部材
3422 第2の縫合糸
3424 第2の可撓性ワイヤ
3426 第2のループ

Claims (9)

1. 非開心術中に患者の生来の弁を修復するための弁修復システムであって、
   前記弁修復システムは、
   少なくとも１つの管腔を有する送達デバイス（１０２，３０２）と、
   前記送達デバイス（１０２，３０２）の管腔を通して送達されるように構成されると共に、患者の生来の弁に取り付けるように構成された弁修復デバイス（１００，２００，３００，５００）と、
   を備え、
   前記弁修復デバイス（１００，２００，３００，５００）は、
   第１のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）および第２のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）であって、開いた位置と閉じた位置との間で移動可能である第１のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）および第２のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）と、
   前記第１のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）に取り付けられた第１の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）、および前記第２のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）に取り付けられた第２の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）と、
   を備え、
   前記留め具は、患者の生来の弁に取り付けるように構成されており、
   前記弁修復デバイス（１００，２００，３００，５００）は、伸長状態で前記送達デバイス（１０２，３０２）に装填され、
   前記弁修復デバイス（１００，２００，３００，５００）の伸長状態において、前記第１のアンカー部分および第２のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）は開いた位置にあり、かつ前記留め具は閉じた位置にある、弁修復システム。
2. 前記アンカー部分は、
   内側パドル部分（１２２，２２２）と、
   外側パドル部分（１２０，２２０）と、
   を備える、請求項１に記載の弁修復システム。
3. 前記アンカー部分は、可撓性メッシュ材料を含む、請求項１または２に記載の弁修復システム。
4. 前記内側パドル部分および前記外側パドル部分は、パドルフレーム（２２４）を覆って配置されたメッシュを含む、請求項２に記載の弁修復システム。
5. 前記内側パドル部分は前記パドルフレーム（２２４）の第１の側面に配置され、かつ前記外側パドル部分は前記パドルフレーム（２２４）の第２の側面に配置される、請求項４に記載の弁修復システム。
6. 前記第１の留め具および第２の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）のそれぞれが、前記第１の留め具および第２の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）を患者の生来の弁に取り付けるための返しの付いた部分（５３６）を備える、請求項１に記載の弁修復システム。
7. 把持部制御機構（３６００，３７００，３８００，３９００）は、
   前記第１の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）を動かすように構成された第１の把持部制御器（３６１２，３７１０）と、
   前記第２の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）を動かすように構成された第２の把持部制御器と、
   を備える、請求項１に記載の弁修復システム。
8. 前記第１の把持部制御器（３６１２，３７１０）は、前記第１の留め具（１３０，２３０，３３０，４００，５００，６００，７００，８００，９００，１０００，１１００，１２００）に取り外し可能に取り付けられた第１のワイヤ（３７１４）を含み、前記第２の把持部制御器（３６２２，３７２０）は第２のワイヤ（３７２４）を含む、請求項７に記載の弁修復システム。
9. 前記第１のアンカー部分および第２のアンカー部分（１０６，２０６，３０６）が、開いた位置にあるとき、ほぼ直線の形態で延びている、請求項１に記載の弁修復システム。