JP2015502409A - 二重特異的抗体足場用改変ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

本技術は、一部には、遺伝子操作された抗体に関する。特に、多重特異的な遺伝子操作された抗体。このような抗体は、一部の態様において、診断および治療用途に利用することができる。【選択図】図2

Description

本技術は、一部には、遺伝子操作された抗体に関する。このような抗体は、一部の態様において診断および治療用途に利用することができる。
抗体は、免疫グロブリン(Ig)とも称され、脊椎動物の血液中または他の体液中で天然に生じるタンパク質である。抗体は、外来物質、例えば細菌およびウイルスに結合し、それを中和する免疫系作用物質である。
天然に生じる抗体は、一般に、2つの大きい重鎖および2つの小さい軽鎖を含む。天然完全長抗体の場合、これらの鎖は一緒に結合して「Y形状」タンパク質を形成する。重鎖および軽鎖は、ジスルフィド結合を介して互いに結合し得るシステインアミノ酸を含む。このようなジスルフィド結合は、一般に、フリーのシステインアミノ酸のチオール側鎖部分間に形成される。重鎖は、各鎖のシステインアミノ酸間のジスルフィド結合により互いに結合される。各軽鎖は、同様に鎖中のシステインアミノ酸間のジスルフィド結合により重鎖に結合している。各重鎖および軽鎖の特定のシステインアミノ酸は、一般に抗体鎖間のジスルフィド結合に関与するため、「鎖間システイン」と称される。
各重鎖(HC)は一端に可変ドメイン(VH)を有し、それに続いて複数の定常ドメイン(CH)を有する。各軽鎖(LC)は一端に可変ドメイン(VL)を有し、かつその他端に定常ドメイン(CL)を有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。特定の完全長抗体では、可変ドメインは「Y字型」タンパク質の各アームの端部に位置する。天然抗体内の可変ドメインは、典型的には各可変重鎖成分について同じポリペプチド配列を有し、かつ可変軽鎖成分について同じポリペプチド配列を有して、完全に構築されたとき、各アームがそれぞれ同じ抗原種に結合することができる。ある場合には、抗体が異なるポリペプチド配列ならびに異なる抗原および/またはエピトープ特異性を備える可変ドメインを有するように、抗体を遺伝子操作することができる。このような分子は多くの場合に「二重特異的」抗体と称され、診断または治療用途に有用であり得る。
本明細書には、改変重鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換、および(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む改変重鎖と;改変軽鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換、および(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む改変軽鎖とを含む抗体が提供される。ある態様において、重鎖の置換システインと軽鎖の置換システインとがジスルフィド結合を形成し得る。ある態様において、抗体は第2の重鎖と第2の軽鎖とをさらに含み、ここで第2の重鎖および軽鎖は天然システインから非システインアミノ酸への置換を含まない。さらに他の態様において、第1および/または第2の重鎖はFc領域に改変を含む。一部の態様において、第1および第2の重鎖の両方のFc領域が、第1の重鎖と第2の重鎖との鎖間ペアリングに有利に働く異なる改変を含む。
本明細書には、(i)突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第1の改変重鎖、および代償性の空洞および/または突出をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第1の改変軽鎖と;(ii)空洞および/または突出をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第2の改変重鎖、および代償性の突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第2の改変軽鎖とを含む抗体が提供され、これらの改変は、第1の重鎖と第1の軽鎖との、および第2の重鎖と第2の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く。ある態様において、第1の重鎖におけるアミノ酸置換は第2の重鎖におけるアミノ酸置換と異なり、第1の軽鎖におけるアミノ酸置換は第2の軽鎖におけるアミノ酸置換と異なる。ある態様において、第1の重鎖および軽鎖および/または第2の重鎖および軽鎖は、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む。さらに他の態様において、第1および/または第2の重鎖はFc領域に改変を含む。一部の態様において、第1および第2の重鎖の両方のFc領域が、第1の重鎖と第2の重鎖との鎖間ペアリングに有利に働く異なる改変を含む。
また、上記の抗体のいずれかを含む組成物およびその使用方法も提供される。
また、改変重鎖ポリペプチドをコードする核酸であって、改変重鎖が(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換、および(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、核酸と;改変軽鎖ポリペプチドをコードする核酸であって、改変軽鎖が(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換、および(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、核酸とが提供される。ある態様において、重鎖の置換システインと軽鎖の置換システインとはジスルフィド結合を形成し得る。ある態様において、核酸はさらに第2の重鎖および第2の軽鎖をコードし、ここで第2の重鎖および軽鎖は天然システインから非システインアミノ酸への置換を含まない。
さらに他の態様において、第1および/または第2の重鎖はFc領域に改変を含む。一部の態様において、第1および第2の重鎖の両方のFc領域が、第1の重鎖と第2の重鎖との鎖間ペアリングに有利に働く異なる改変を含む。
また、突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第1の改変重鎖をコードする核酸、代償性の空洞および/または突出をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第1の改変軽鎖をコードする核酸と;空洞および/または突出をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第2の改変重鎖をコードする核酸、および代償性の突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む第2の改変軽鎖をコードする核酸とが提供され、これらの改変は、第1の重鎖と第1の軽鎖との、および第2の重鎖と第2の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く。ある態様において、第1の重鎖におけるアミノ酸置換は第2の重鎖におけるアミノ酸置換と異なり、第1の軽鎖におけるアミノ酸置換は第2の軽鎖におけるアミノ酸置換と異なる。ある態様において、第1の重鎖および軽鎖および/または第2の重鎖および軽鎖は、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む。さらに他の態様において、第1および/または第2の重鎖はFc領域に改変を含む。一部の態様において、第1および第2の重鎖の両方のFc領域が、第1の重鎖と第2の重鎖との鎖間ペアリングに有利に働く異なる改変を含む。
また、上記の核酸のいずれかを含むベクターおよび細胞ならびに上記の核酸のいずれかの発現方法も提供される。
以下の説明、例、実施形態、特許請求の範囲および図面に特定の態様をさらに記載する。
図面は本技術の態様を示すもので、限定するものではない。明確にするため、および例示しやすくするため、図面の縮尺は一定にはせず、ある場合には、特定の態様の理解を促進するため種々の態様が強調または拡大されて示され得る。
抗体の図を示す。パネルAに親の二価単一特異的親抗体が示される。パネルBに代表的な一価二重特異的抗体(MBab)が示される。「ホール」を含む重鎖の星印は、「ホール」鎖のプロテインA結合を除去する遺伝子操作を表す。さらなるMBab構築物が企図され、以下に記載する。左側のMBabは一方のアームに野生型HC−LC界面を含み、かつ他方のアームに、鎖間ジスルフィド結合を再配置するシステイン遺伝子操作HC−LC界面を含む。このジスルフィド結合は、図示されるとおりCH1−CL界面内で再配置されてもよく、または本明細書に記載されるとおりVL−VH界面に再配置されてもよい。右側のMBabは各アームに遺伝子操作されたHC−LC界面を含み、ここで界面領域は、特異的なHC−LC界面相互作用を促進するように遺伝子操作されており、これには、CLとCH1との領域間のジスルフィド結合(破線によって指示される)の形成に関与する天然システイン残基の置換が含まれ得る。両方のMBabとも、Fc領域(例えばCH3)において、重鎖のヘテロダイマー化を促進するように遺伝子操作されている。Fab領域の結合特異性は任意の所望の標的に向けられ得る。示される結合特異性は、本明細書の例で利用した抗体のものである。親抗体は、4つの抗原:IL−6、RAGE、EGFRまたはHER2のうちの1つに結合することができる。一価二重特異的抗体(MBab)は、IL−6およびRAGEの両方またはEGFRおよびHER2の両方に結合することができる。 図1Aと同じ。 IL−6に結合する1つのアームとRAGEに結合する第2のアームとを有する一価二重特異的抗体(MBab)の三次元表現示す。矢印は、ヘテロダイマー化を促進する重鎖定常領域における重鎖突然変異の場所を示す。括弧で括ったFab領域を右側に拡大して示す。矢印は、変異体10における改変(V10;HC:A141C−LC:F116C);変異体11における改変(V11;HC:H168C−LC:T164C);および変異体12における改変(V12;HC:F126C−LC:S121C)の場所を示す。天然システインを除去するさらなる改変(−Cys;例えば、HC:C220V−LC:C214V)は図示しないが、変異体10〜12(V10〜V12)に存在する。 単一の哺乳動物選択マーカーを利用する代表的なMBab発現ベクターを示す。図3Aおよび図3Bは2つのカッパまたはラムダ軽鎖の発現用ベクターを示し、図3Cは2つの重鎖の発現用ベクターを示す。1つのラムダ鎖および1つのカッパ鎖を発現する別の軽鎖ベクターも容易に作成し得る。このようなベクターを使用して、例えば;カッパ WT/カッパ V12、ラムダ WT/ラムダ V12、カッパ WT/ラムダ V12およびラムダ WT/カッパ V12を含め、多数の組み合わせを作成することができる。各ベクターは、2つの異なる軽鎖または2つの異なる重鎖のいずれを発現することもできる。各鎖は、それ自体のプロモーターを使用して個別に発現させる。各ベクターは、種々の可変領域の迅速クローニングを促進する複数の制限部位を含む。各ベクターはまた、細菌性複製起点、およびEBNA配列との組み合わせで哺乳動物系におけるプラスミドの維持および発現の増進に有用であり得るoriP配列に加えて、細菌および哺乳動物の双方の選択マーカーも含む。第1のベクターから2つの軽鎖を発現し、および第2のベクターから2つの重鎖を発現させると、ホモダイマー化重鎖および単一のベクターによる細胞の形質転換によって生じ得る他の望ましくない産物の生成が最小限に抑えられる。例えば、重鎖は典型的には、軽鎖なしには効率的に分泌されず、軽鎖は典型的には、重鎖なしにはプロテインAクロマトグラフィーで精製することができない。したがってプロテインA結合抗体を分泌する任意の細胞が、2つの軽鎖および2つの重鎖を発現する第1および第2のプラスミドの両方を有し得る。 図3Aと同じ。 図3Aと同じ。 IL6/RAGE二重特異的一価抗体(MBab)変異体10、11および12(V10、V11およびV12)の非還元条件下におけるSDS−PAGE分析を示し、変異体は各々、分子の抗RAGE部分に代替的な(すなわち再配置された)鎖間ジスルフィド結合を有する。左側のパネルは、実施例1および実施例5に記載されるとおり、抗IL6 WT+抗RAGE WT(レーン1);抗IL6 WT+抗RAGE(−Cys)(レーン2);重鎖抗IL6 WT+抗RAGE V10(レーン3);抗IL6 WT+抗RAGE V11(レーン4);および抗IL6 WT+抗RAGE V12(レーン5)の発現用pMBabベクターを形質移入したHEK293F細胞からの培養上清を示す。各重鎖は、HCヘテロダイマー化を促進するCH3改変を含み、およびV10、V11およびV12改変はまた−Cys改変も含んだ。右側のパネルにおいて、矢印は各々、2H2L(約150kDa)−2つの各重鎖および2つの軽鎖を有するIgG;2H1L(約125kDa)−軽鎖を欠くIgG;および1L(約25kDa)−フリーの軽鎖を示す。−Cys変異体は対をなさない軽鎖の産生をもたらし、これは、本明細書に記載されるジスルフィド結合変異体を導入することにより修復され、V12が最も効率的なLC/HCペアリングであった。 AlphaLISAスクリーンを使用したIL6/RAGE抗体の二重特異性の決定を示す。−Cys変異体は抗RAGE Fabに鎖間ジスルフィド結合を有しなかった。V10、V11およびV12変異体は抗RAGE Fabに代替的な鎖間ジスルフィド結合を有した。V12変異体はほぼ100%の二重特異的IgGを生じた一方、WT Fabでは30%未満であった。−Cys、V10およびV11変異体は、各々中程度の改善を示した(それぞれ約42%、約40%、および約33%)。 図5Aと同じ。 抗IL6 WT/抗RAGE変異体12(V12)一価二重特異的抗体(MBab)および親抗体のSECおよび光散乱分析を示す。図6Aは、SEC精製した親抗体(左上および右上)およびSEC精製した抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBab(中央下)のSEC UVトレースを示す。各トレースから、精製した材料の大部分がモノマーであったことが示された。抗RAGEおよび抗IL6親抗体は、それぞれ24.61分および26.27分の保持時間を有した一方、抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBabは25.85の中間の保持時間を有し、これにより、MBabがモノマープロファイルを呈し、かつ2つの親の特性を見せたことが示された。図6Bは、プロテインA精製した抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBabのSEC UVトレース(左側のパネル)および対応する光散乱トレース(右側のパネル)を示し、これから、プロテインA精製した材料が、2H2Lを有するインタクトなIgGが約85%と、1H1Lを有するIgG(半IgG)が約10%と、凝集物約5%とから構成されたことが示された。 図6Aと同じ。 抗原A結合用のラムダ軽鎖(抗原A重鎖は、「RF」置換に加えて「ホール」を含む)と、抗原B結合用のカッパ軽鎖(抗原重鎖は「ノブ」を含む)とを含むMBab−RF構築物の分析を示す。図7Aは、SDS−PAGE(左)分析、レーン1:プロテインA精製MBab−RF非還元、レーン2:プロテインA精製MBab−RF還元、およびプロテインA精製MBab−RFのSEC UVトレース(右)を示す。図7Bは、非還元条件下におけるプロテインA精製した親抗体およびMBab−RF抗体の移動プロファイルを示す。図7Cは、還元条件下のプロテインA精製MBab−RF、抗原A軽鎖(LC−A)、抗原B軽鎖(LC−B)、抗原A重鎖(HC−A)、抗原B重鎖(HC−B)の移動プロファイルを示し、移動時間が示される。 図7Aと同じ。 図7Aと同じ。 抗原A結合用のラムダ軽鎖(抗原A重鎖は、「RF」置換に加えて「ホール」を含む)と、抗原B結合用のカッパ軽鎖(抗原重鎖は「ノブ」を含む)とを含むLambdaSelect精製したMBab−RF構築物の分析を示す。図8Aは、SDS−PAGE(左)分析、レーン1、5:プロテインA精製MBab−RF、レーン2、6:プロテインA+LambdaSelect精製MBab−RF、レーン3、7:LambdaSelectフロースルー、レーン4、8:プロテインA精製親B;およびプロテインA+LambdaSelect精製MBab−RFのSEC UVトレース(右)を示す。図8Bは、還元条件下におけるLambdaSelectフロースルーの移動プロファイルを示す。図8Cは、還元条件下のプロテインA+LambdaSelect精製MBab−RF、抗原A軽鎖(LC−A)、抗原B軽鎖(LC−B)、抗原A重鎖(HC−A)、抗原B重鎖(HC−B)の移動プロファイルを示し、移動時間が示される。 図8Aと同じ。 図8Aと同じ。 Octet分析により決定されるときの、抗IL6 WT/抗RAGE変異体12一価二重特異的抗体(IL6/RAGE V12 MBab)の二重特異性を示す。図9Aは、抗体捕捉(10マイクログラム/ml)部分、ベースライン、ならびにRAGE結合およびIL6結合部分を含む全トレースを示す。図9Bは、トレースのベースライン、RAGEおよびIL6結合部分の拡大を示す。2つの親抗体が、それらの特異的抗原の結合に応答した単一のシグナル増加を示した一方、抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBabはRAGEおよびIL6の両方に応答したシグナル増加を示し、これにより二重特異性および同時的な抗原結合が実証された。抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBabは、2つの親抗体の同時発現と、続くIL−6およびRAGEアフィニティーカラムでの連続アフィニティー精製により生じる2回精製二重特異的抗体と同一の同時結合プロファイルを有した。 図9Aと同じ。 抗IL6/抗RAGE V12 MBabおよび親抗体の結合キネティクスを示す。IL6(図10A)およびRAGE(図10B)に対する抗IL6 WT/抗RAGE V12 MBabの結合親和性を親抗体(抗IL6および抗RAGE)に匹敵した。 図10Aと同じ。 抗EGFR WT/抗HER2変異体12一価二重特異的抗体(EGFR/HER2 V12 MBab)の発現および分析を示す。図11Aは、右側にEGFR/HER2 V12 MBabの非還元条件下におけるSDS−PAGE分析を示し、左側にEGFR/HER2 V12 MBabの概略図を示す。矢印は、2H2L(約150kDa)−2つの重鎖と2つの軽鎖とを有するIgG、および1H1L(約75kDa)−1つの重鎖と1つの軽鎖とを有する半IgGを指し示す。図11Bは、EGFR/HER2 V12 MBabのSEC分析を示す。SEC前、プロテインA精製した材料は、約90%のモノマー、約10%の半IgGおよび3%未満の凝集物というSECプロファイルを有した(上側パネル)。分取SEC後、モノマーEGFR/HER2 V12 MBabが試料の99%超となった(下側パネル)。図9Cは、SEC精製した親抗体(左上および右上)およびSEC精製した抗EGFR WT/抗HER2 V12 MBab(中央下)のSEC UVトレースを示す。いずれも大部分がモノマーであった。抗EGFRおよび抗HER2親抗体はそれぞれ8.745分および8.899分の保持時間を有した一方、抗EGFR WT/抗HER2 V12 MBabは8.857の中間の保持時間を有し、これにより、MBabが2つの親の中間の特性を見せたことが示された。図9Dは、抗EGFR WT/抗HER2 V12 MBabおよび親抗体の光散乱トレースのオーバーレイを示し、これにより、抗EGFR WT/抗HER2 V12 MBabがモノマー抗体についての約150kDaの予想分子質量を有したことが示された。 図11Aと同じ。 図11Aと同じ。 図11Aと同じ。 Octet分析(捕捉フォーマットI)により決定されるときの、抗EGFR WT/抗HER2 V12一価二重特異的抗体(EGFR/HER2 V12 MBab)の二重特異性を示す。図12Aは、抗体捕捉(20マイクログラム/ml)部分、ベースライン、ならびにHER2結合およびEGFR結合部分を含む全トレースを示す。図12Bは、トレースのベースライン、HER2およびEGFR結合部分の拡大を示す。2つの親抗体は、それらの特異的抗原の結合に応答した単一のシグナル増加を示した一方、EGFR/HER2 V12 MBabはHER2およびEGFRの両方に応答したシグナル増加を示し、これにより二重特異性および同時的な抗原結合が実証された。HER2またはEGFRのいずれにも結合しないNMGCを陰性対照抗体として使用した。 図12Aと同じ。 Octet分析(捕捉フォーマットII)により決定されるときの、抗EGFR WT/抗HER2 V12一価二重特異的抗体(EGFR/HER2 V12 MBab)の二重特異性を示す。図13Aは、EGFR抗原上の抗体捕捉、ベースライン、およびHER2抗原結合部分を含む全トレースを示す。図13Bは、HER2抗原上の抗体捕捉、ベースライン、およびEGFR抗原結合部分を含む全トレースを示す。2つの親抗体は、それらの特異的抗原の結合に応答した単一のシグナル増加を示した一方、EGFR/HER2 V12 MBabはHER2およびEGFRの両方に応答したシグナルの増加を示し、これにより二重特異性および同時的な抗原結合が実証された。 図13Aと同じ。 示差走査熱量測定分析を用いた熱安定性試験を示す。図14Aは、抗HER2(抗HER2;左上)および抗EGFR(抗EGFR;右下)のサーモグラムを示す。抗HER2サーモグラムは2つの転移を示した;Fabは極めて安定しており、そのTMは約81℃のCH3のTMと重なり、CH2は約69℃のTMを有した。抗EGFRサーモグラムは4つの転移を示した。図11Bは、抗EGFR WT/抗HER2変異体12一価二重特異的抗体(EGFR/HER2 V12 MBab)のサーモグラムを示す。EGFR/HER2 V12 MBabサーモグラムのデコンボリューション(左上)から4つの転移が明らかとなった;約60℃での転移はセツキシマブ抗EGFR可変ドメインに対応し、約73℃での転移はセツキシマブ抗EGFR CH1およびCkドメインに対応し、約70℃での転移はCH2およびCH3(ノブ・イントゥー・ホール(knob−into−hole))ドメインに対応し、約81℃での転移は、代替的なジスルフィド結合を有するMBab中の遺伝子操作された抗HER2 Fabに対応した。この対応はサーモグラムのオーバーレイによっても示される(右下)。 図14Aと同じ。 フローサイトメトリー分析により決定されるときの、抗EGFR WT/抗HER2変異体12一価二重特異的抗体(EGFR/HER2 V12 MBab)の細胞結合特性を示す。抗EGFR/HER2 V12 MBabは、標的が特定の細胞型に顕著であった親抗体と同様、種々のレベルのEGFRおよびHER2を発現する細胞に結合した。図15Aは、A431表皮細胞(左)およびBxPC−3膵臓細胞(右)との結合を示す。これらの細胞はより高レベルのEGFRを発現し、かつより低レベルのHER2を発現する。図15Bは、SKBR−3乳房細胞(左)およびSK−OV−3卵巣細胞(右)との結合を示す。これらの細胞はより高レベルのHER2を発現し、かつより低レベルのEGFRを発現する。抗Hu IgG Fc FITCを検出用の二次抗体として用いた。HER2またはEGFRと結合しないNMGCを陰性対照抗体として用いた。標的発現レベルを表に示す。 図15Aと同じ。 成長阻害アッセイにより決定されるときの、抗EGFR WT/抗HER2変異体12一価二重特異的抗体(抗EGFR/HER2 V12 MBab)の細胞傷害特性を示す。抗EGFR/HER2 V12 MBabは、親抗体の組み合わせが複数の細胞型において細胞成長を阻害したのと同じ程度に細胞成長を阻害した。A431およびBxPC−3細胞で認められるとおり、EGFRレベルがHER2レベルと同程度かまたはそれより高い場合に、相加的殺傷効果が実現した。図16Aは、A431表皮細胞(上)およびBxPC−3膵臓細胞(下)の成長阻害を示す。これらの細胞はより高レベルのEGFRを発現し、かつより低レベルのHER2を発現する。図16Bは、SK−OV−3卵巣細胞(下)およびSKBR−3乳房細胞(上)の成長阻害を示す。これらの細胞はより高レベルのHER2を発現し、かつ低レベルのEGFRを発現する。抗Hu IgG Fc FITCを検出用の二次抗体として用いた。HER2またはEGFRと結合しないNMGCを陰性対照抗体として用いた。標的発現レベルを表に示す。図16Cは、折れ線グラフとしてプロットし直したA431細胞の阻害データを示す。 図16Aと同じ。 図16Aと同じ。 FcγRIIIaおよびC1q結合ならびにADCC活性を示す。図17Aは、直接ELISAを用いた、精製抗EGFR WT/抗HER2変異体12一価二重特異的抗体(抗EGFR/HER2 V12 MBab)および親抗体とFcγRIIIa(左上)およびC1q(右下)との結合を示す。図17Bは、A431細胞を使用した抗体依存性細胞傷害性(ADCC)試験を示す。MBabは、親抗体による併用処置と同程度に特異的ADCC活性を誘発した。対照抗体NMGCおよび親の抗HER2はADCC活性を示さなかったが、親の抗EGFRは強力なADCC活性を示した。−KCアッセイは、キラー細胞を除く全てのアッセイ成分を含んだ。 図17Aと同じ。 MBab活性を調節する親和性/アビディティの役割を表す図を示す。上のパネルは、高いMBab濃度ではアビディティ効果が機能するようにならず、したがって受容体との結合は高親和性結合ドメインによって媒介され、ひいては受容体架橋/活性化がないことを示す。下のパネルは、低いMBab濃度ではアビディティ効果が機能するようになり、したがって受容体との結合が両方の結合ドメインによって媒介され、受容体架橋/活性化がもたらされることを示す。 ホモダイマー化または受容体架橋が望ましくない場合および/または両方の抗原が選択的に標的細胞/組織に限定されている場合のMBabの応用を表す図を示す。左側のパネルは、ホモダイマー化を誘発するには不十分な非標的細胞に対するMBabの低アビディティ一価結合を示す。右側のパネルは、標的細胞上の両方の抗原に対する同時的なMBabのより高いアビディティの二価結合を示す。二価結合は、2つの標的に同時に結合することにより標的細胞との選択的結合を増強することができ、受容体ダイマー化を増強し得る。 MBabの選択的結合および選択性(selectively)の改善を示す。図20Aは、細胞表面抗原CおよびDを発現する細胞に対するC/D特異的MBabの同時結合を実証するために用いられる生物学的検出アッセイの図を示す。図20B、左側のパネルは、C抗原(C細胞、三角)、D抗原(D細胞、四角)またはC抗原およびD抗原の両方(C/D細胞、丸)を発現する細胞に対する親の抗C抗体(白抜き記号)および抗D抗体(陰影付き記号)の結合曲線を示す。図20B、右側のパネルは、C抗原(C細胞、三角)、D抗原(D細胞、四角)またはC抗原およびD抗原の両方(C/D細胞、丸)を発現する細胞に対するC/D−MBabの結合曲線を示す。図20Cは、C抗原(C細胞、三角)、D抗原(D細胞、四角)またはC抗原およびD抗原の両方(C/D細胞、丸)を発現する細胞に対するC/D−MBab結合と、続く標識組換えDタンパク質(rD、左側のパネル)または標識組換えCタンパク質(rC、右側のパネル)の結合の結合曲線を示す。 図20Aと同じ。 図20Aと同じ。 Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))において説明されるKabatインデックスによる当分野において公知のいくつかの代表的な軽鎖可変領域(抗CD52;抗HER2;抗VEGF;および抗EGFR)のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。CDR領域に陰影を付し、および以下に記載するとおり、ナンバリングスキーム中における可能な挿入位置を、短剣符(†)および二重短剣符(‡)によって示す。対応する重鎖可変領域については図23Aおよび図23Bを参照のこと。 図21Aと同じ。 Kabat(前掲)において説明されるEUインデックスによるIgG軽鎖定常領域(カッパおよびラムダ)のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。カッパと異なるラムダ鎖残基に陰影を付し、既知の対立遺伝子変異部位をアスタリスク(*)によって示す。 Kabat(前掲)において説明されるKabatインデックスによる当分野において公知のいくつかの代表的な重鎖可変領域(抗CD52;抗HER2;抗VEGF;および抗EGFR)のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。CDR領域に陰影を付し、および以下に記載するとおり、ナンバリングスキーム中におけるさらなる可能な挿入位置を二重短剣符(‡)によって示す。対応する軽鎖可変領域については図21Aおよび図21Bを参照のこと。 図23Aと同じ。 Kabat(前掲)において説明されるEUインデックスによるIgG重鎖(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。図24A〜図24Bは、CH1領域およびヒンジ領域のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。図24Cは、CH2領域のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。図24Dは、CH3領域のアミノ酸配列およびナンバリングを示す。IgGと異なる残基に陰影を付し、既知の対立遺伝子変異部位をアスタリスク(*)によって示す。 図24Aと同じ。 図24Aと同じ。 図24Aと同じ。
本明細書には、以下にさらに十分に考察するとおり、遺伝子操作された抗体であって、1つ以上の鎖間システインが再配置されており、一部の態様では、それによりHC−LC界面における鎖間ジスルフィド結合の再配置がもたらされる抗体が提供される。一部の態様において、これは、抗体中の1つの重鎖および対応する軽鎖の改変を伴い、これにより天然システインが非システインアミノ酸により置換され、かつ天然非システインアミノ酸がシステインアミノ酸により置換される。一部の態様において、本明細書に提供される抗体は二重特異性であり、これはすなわち、それらの抗体が異なる抗原および/またはエピトープ特異性を有する可変ドメインを含むことを意味する。ある態様において、所与の抗体の改変された重鎖および軽鎖の二重鎖が、ある抗原特異性を有する可変ドメインを含み、かつ同じ抗体中の改変されていない重鎖および軽鎖の二重鎖が、異なる抗原特異性を有する可変ドメインを含む。二重特異的抗体の生成方法は公知である。しかしながら、かかる方法は、多くの場合に多数の可能な抗体の形成によって制限され、そうした抗体には重鎖と軽鎖との正しくないペアリングの組み合わせがいくつか含まれ得る。かかるミスペアリングは生成効率を低下させ得る。他の方法は共通の軽鎖を使用する必要があるため、一方または両方の可変ドメインの親和性に影響がおよび得るか、またはscFvの使用に頼るため、同様に親和性に影響がおよび得るとともに、さらに安定性が低く、潜在的に免疫原性の構造である。他の方法は、ジスルフィド結合を全て取り除き、重鎖および軽鎖の両方に多数の突然変異を導入して鎖の静電相互作用を変化させる必要があり、これは安定性を低下させ、得られる分子の免疫原性を増加させ得る。本明細書に提供される改変重鎖および改変軽鎖は、互いに選択的にハイブリダイズして好ましい二重特異的一価抗体構築物を生成することにより、これらの制限を解消する。本明細書に提供されるBMabは関与する突然変異の数が限られているため、容易に生成され、安定しており、かつ非免疫原性であるかまたは免疫原性が低い可能性が高い。
用語
本明細書に提供される方法は、多くの場合に特定の組成物またはプロセス工程に限定されず、従って変更し得る。また、本明細書において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、特に文脈上明確に示されない限り複数の指示対象を含む。用語「a」(または「an」)、ならびに用語「1つ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書では同義的に使用することができる。
本明細書において使用される用語「約」は、基礎となるパラメータの10%(すなわちプラスまたはマイナス10%)の範囲内の値を指し、一連の値の先頭における用語「約」の使用は、値のそれぞれを修飾する(すなわち、「約1、2および3」は、約1、約2および約3を指す)。例えば、「約100グラム」の重量には、重量90グラム〜110グラムが含まれ得る。さらに、値のリストが本明細書に記載されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%または86%)、そのリストには、それらの全ての中間値および小数値(例えば、54%、85.4%)が含まれる。
さらに、「および/または」は、本明細書において使用される場合、2つの具体的な特徴または構成要素の各々の、他方を伴うまたは伴わない具体的な開示として意図される。したがって、本明細書における「Aおよび/またはB」などの語句において使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される用語「および/または」は、以下の態様の各々を包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、この技術が関連する分野において通常理解されている意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;および the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressが、本明細書で用いられる用語の多くの一般的辞書を提供する。
単位、接頭語、および記号は、それらの国際単位系(SI)で認められた形式で表される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。特に指示されない限り、アミノ酸配列はアミノからカルボキシに向かって左から右に書かれる。本明細書に提供される見出しは本明細書における技術の種々の態様または実施形態を限定するものではなく、本明細書を全体として参照することにより理解することができる。したがって、このすぐ後に定義する用語は、本明細書を全体として参照することにより、さらに完全に定義される。
態様または実施形態が本明細書において用語「〜を含む(comprising)」を用いて記載される場合は常に、「〜からなる(consisting of)」および/または「〜から本質的になる(consisting essentially of)」の用語で記載される他の点では類似の態様または実施形態もまた提供されることが理解される。
多くの場合にアミノ酸は、本明細書では、IUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨する一般に知られる三文字記号または一文字記号によって参照される。多くの場合にヌクレオチドも同様に、一般に認められた一文字コードによって参照される。
用語「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内にある少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、他のハプテン、または前述のものの組み合わせを認識し、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書において使用される用語「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」は、免疫グロブリンとしても知られ、その抗体が所望の生物活性を呈する限りにおいて、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの異なるエピトープ結合ドメインを含む多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科動物抗体、キメラ抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の改変免疫グロブリン分子を包含する。特に、抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち少なくとも1つの抗原結合部位を含む分子が含まれる。免疫グロブリン分子は任意のアイソタイプ/クラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、サブアイソタイプ/サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはアロタイプ(例えば、Gm、例えば、G1m(f、z、aまたはx)、G2m(n)、G3m(g、b、またはc)、Am、Em、およびKm(1、2または3))であってよい。抗体は、限定されるものではないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウスなどを含む任意の哺乳動物、または他の動物、例えばトリ(例えばニワトリ)に由来し得る。抗体はネイキッドであっても、または他の分子、例えば毒素、放射性同位元素等とコンジュゲートされていてもよい。
抗体の「可変領域」は、単独での、あるいは組み合わせでの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域は、各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FW)からなる。各鎖のCDRはこれらのFW領域によって近接して一体に保持され、他方の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。抗体の可変ドメイン、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)中のアミノ酸のナンバリングは、特に指定のない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)において説明される、本明細書では「Kabatインデックス」または「Kabatナンバリング」とも呼ばれるKabat定義に従う。このナンバリング体系を使用すると、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応するより少ないまたは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)および重鎖FR残基82後の挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82cなど)を含み得る。
残基のKabatナンバリングは、「標準的」Kabatナンバリング配列との抗体の配列の相同性の領域におけるアラインメントにより所与の抗体について決定することができる。フレームワーク残基の最大アラインメントは、Fv領域に使用するためにナンバリング体系中の「スペーサー」残基の挿入を要求することが多い。さらに、任意の所与のKabat部位番号におけるある個々の残基の同一性は、種間またはアレル多様性に起因して抗体鎖間で変動し得る。本明細書全体を通じて用いられるとおりの、記載されるVLおよびVH CDR配列は、表1に提供するとおりの古典的Kabatナンバリング位置に対応し、それに従い介在するフレームワーク領域がナンバリングされる。図15A、図15B、図17Aおよび図17Bは、いくつかの代表的な抗体の可変領域(フレームワークおよびCDR)のKabatナンバリングを提供する。
Figure 2015502409
本明細書において使用されるとき、Fc領域(本明細書では単純に「Fc」とも称される)は、1番目の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含むポリペプチドを含む。したがってFcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、およびIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指し、またこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端も含み得る。IgAおよびIgMでは、FcはJ鎖を含み得る。IgGでは、Fcは免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)ならびにCガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間のヒンジの少なくとも一部分を含む。Fcは、この領域を独立して指し得るか、または抗体、抗体断片、もしくはFc融合タンパク質との関連においてこの領域を指し得る。Fc領域の境界は異なり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシル端に残基C226またはP230を含むものと定義され、ここでナンバリングはKabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))において説明されるEUインデックスによる。カッパおよびラムダ軽鎖定常領域のナンバリングについては図22を参照、およびIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の重鎖定常領域のナンバリングについては図24A〜図24Dを参照されたく、定常領域のナンバリングは全て、Kabatにおいて説明されるEUインデックスによる。限定されるものではないが、EUインデックスによりナンバリングされる位置270、272、312、315、356、および358を含めた複数の異なるFc部分に多型が認められており、したがって示される配列と先行技術の配列との間には僅かな違いがあり得る。
抗体
抗体は、特異的抗原に結合する免疫学的タンパク質である。ほとんどの哺乳動物、例としてヒトおよびマウスにおいて、抗体が重および軽ポリペプチド鎖のペアから構築される。それぞれの鎖は、可変(Fv)および定常(Fc)領域と称される2つの区別される領域から構成される。軽鎖および重鎖Fv領域は、分子の抗原結合決定基を含有し、標的抗原の結合を担う。Fc領域は、抗体のクラス(またはアイソタイプ)(例えば、IgG)を定義し、重要な生化学的イベントを誘発するための多数の天然タンパク質の結合を担う。
それぞれの軽鎖は、1つの共有結合性のジスルフィド結合により重鎖に結合している。2つの軽鎖−重鎖ダイマーが重鎖間のジスルフィド架橋を介して結合して、Y字型の分子を形成する。重鎖間のジスルフィド結合の数は、種々の免疫グロブリンアイソタイプの間で異なり得る。Y字のアームがステムに合流する領域はヒンジ領域と呼ばれ、いくらかのフレキシビリティを示す。
それぞれの鎖は、抗体クラスを代表する定常領域およびそれぞれの抗体に特異的な可変領域を含む。定常領域は、抗原を破壊するために使用される機構を決定する。抗体は、それらの定常領域構造および免疫機能に基づき5つの主要なクラス、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgEに分類される。軽鎖および重鎖の両方の可変および定常領域は、ドメインと呼ばれる機能ユニットに構造的に折りたたまれている。それぞれの軽鎖は、一端部における1つの可変ドメイン(VL)およびその他端部における1つの定常ドメイン(CL)からなる。それぞれの重鎖は、一端部において可変ドメイン(VH)に続く3または4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、CH4)を有する。
Yのアームは、抗原に結合し、Fab(断片、抗原結合)領域と呼ばれる部位を含有する。これは、抗体のそれぞれの重鎖および軽鎖からの1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメインから構成される。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと協調しており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと協調している。軽鎖は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列に基づきラムダ鎖またはカッパ鎖として分類される。カッパ軽鎖の可変ドメインは、本明細書においてVKと示すこともできる。
抗体のFc領域は、多数のリガンド、例としてFc受容体および他のリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称される一連の重要な機能的能力を付与する。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcガンマ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体および免疫系の細胞アームの間のコミュニケーションを媒介する。ヒトにおいて、このタンパク質ファミリーには、FcγRI(CID64)、例として、アイソフォームFcγRIA、FcγRIB、およびFcγRIC;FcγRII(CD32)、例として、アイソフォームFcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIC;ならびにFcγRIII(CD16)、例として、アイソフォームFcγRIIIAおよびFcγRIIIBが含まれる。これらの受容体は、典型的には、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン、膜貫通領域、および細胞内の一部のシグナリングイベントを媒介し得る細胞内ドメインを有する。これらの異なるFcγRサブタイプは、異なる細胞型上で発現される。例えば、ヒトにおいては、FcγRIIIBは、好中球上にのみ見出される一方、FcγRIIIAはマクロファージ、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびT細胞のサブ集団上に見出される。
Fc/FcγR複合体の形成は、エフェクター細胞を結合した抗原の部位にリクルートし、典型的には、細胞内のシグナリングイベントならびにその後の重要な免疫応答、例えば、炎症メディエーターの放出、B細胞活性化、エンドサイトーシス、食作用、および細胞傷害性攻撃をもたらす。細胞傷害性および食作用性エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的化された細胞を破壊する潜在的な機構である。FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)と称される。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIAのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。
別の重要なFcリガンドは、補体タンパク質C1qである。C1qへのFc結合は、補体依存性細胞傷害(CDC)と呼ばれるプロセスを媒介する。C1qは6つの抗体に結合し得るが、補体カスケードを活性化するためには2つのIgGへの結合で十分である。C1qは、C1rおよびC1sセリンプロテアーゼと複合体を形成して補体経路のC1複合体を形成する。
抗体のいくつかの重要な特徴、例として、限定されるものではないが、標的についての特異性、免疫エフェクター機構を媒介する能力、および血清中の長い半減期により、抗体および関連する免疫グロブリン分子は強力な治療剤になる。抗体が腫瘍細胞を破壊する多数の可能性のある機構、例として、必要とされる成長経路の遮断を介する抗増殖、アポトーシスをもたらす細胞内シグナリング、下方調節および/もしくは受容体のターンオーバーの向上、ADCC、CDC、ならびに適応的免疫応答の促進が存在する。
本明細書に提供される抗体には、完全長またはインタクト抗体、抗体断片、天然配列抗体またはアミノ酸変異体、ヒト、ヒト化、翻訳後修飾、キメラまたは融合抗体、免疫コンジュゲート、およびそれらの機能性断片が含まれる。一部の態様において、抗体は、Fc領域において改変されていてよく、ある改変は、所望のエフェクター機能または血清半減期を提供し得る。以下のセクションにより詳細に考察されるとおり、適切なFc領域を用いると、細胞表面上に結合している裸抗体は、例えば、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を介して、または補体依存性細胞傷害(CDC)において補体をリクルートすることにより、もしくは標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)もしくは一部の他の機構における標的細胞の食作用を引き起こす1つ以上のエフェクターリガンドを発現する非特異的細胞傷害性細胞をリクルートすることにより細胞傷害を誘導し得る。エフェクター機能を排除しまたは低減させて副作用または治療合併症を最小化することが望まれる場合、ある他のFc領域を使用することができる。抗体のFc領域を修飾してFcRnについての結合親和性を増加させ、したがって血清半減期を増加させることができる。あるいは、Fc領域をPEGまたはアルブミンにコンジュゲートさせて血清半減期を増加させ、または所望の効果をもたらす一部の他のコンジュゲーション。
ある態様において、本明細書における抗体は、単離および/または精製された、および/または発熱物質不含の抗体である。本明細書において使用される用語「精製された」は、天然環境の構成成分から同定、分離および/または回収された目的の分子を指す。したがって、一部の態様において、本明細書で提供される抗体は、その天然環境の1つ以上の構成成分から分離された精製された抗体である。本明細書において使用される用語「単離された抗体」は、異なる構造または抗原特異性を有する他の抗体分子を実質的に含まない抗体を指す。二重または多重特異的抗体分子は、他の抗体分子を実質的に含まない単離された抗体である。したがって、一部の態様において、提供される抗体は、異なる特異性を有する抗体から分離された単離された抗体である。単離された抗体は、モノクローナル抗体であり得る。しかしながら、標的のエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、例えば、他の種からの他の関連抗原(例えば、種相同体)に対する交差反応性を有し得る。提供される単離された抗体は、1つ以上の他の細胞材料を実質的に含まないものであり得る。一部の態様において、「単離された」モノクローナル抗体の組み合わせが提供され、その組み合わせは異なる特異性を有する抗体に関し、規定された組成物中で組み合わせられる。抗体の生成および精製/単離方法は、本明細書に別に記載する。
提供される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによりコードされ得る本明細書に開示される抗体アミノ酸配列を含む。単離された抗体は、製剤化形態で提供されることもある。一部の態様において、抗体は1つ以上のタンパク質に結合し、それにより少なくとも1つのタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性、例えば細胞増殖活性を部分的または実質的に変化させる。
ヒト化抗体
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することが可能であって、かつ実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)とを含む抗体またはその変異体またはそれらの断片である。相補性決定領域(CDR)は、多くの場合に抗体の中で最も可変的な領域であり、特定の抗原に対する抗体の親和性および特異性を決定する。ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに対応し、フレームワーク領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、典型的には、ヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部も含み得る。抗体は、軽鎖および重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有し得る。抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域も含み得る。
ヒト化抗体は、免疫グロブリンの任意のクラス、例としてIgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE、ならびに任意のアイソタイプ、例としてIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示し、そのクラスが典型的にはIgG1であることが望ましい補体固定定常ドメインである。このような細胞傷害活性が望まれない場合、定常ドメインはIgG2またはIgG4クラスのものであり得る。ヒト化抗体は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含むことができ、特定の定常ドメインを選択して所望のエフェクター機能を最適化する方法は、当分野において公知である。
ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えばドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、その部位におけるCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサス抗体にもインポート抗体にも対応しないように少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により突然変異させることができる。しかしながら、このような突然変異は、広範囲でなくてよい。ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、親フレームワーク領域(FR)およびCDR配列のものに対応し得、対応性は、例えば、90%以上または95%以上であることもある。
ヒト化は、当分野において公知の方法に従って、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列について置換することにより本質的に実施することができる。具体的には、ヒト化抗体は、当分野において公知の方法、例としてCDRグラフティングアプローチ、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)、鎖シャフリング戦略、分子モデリング戦略などにより調製することができる。これらの一般的アプローチは、標準的な突然変異導入および組換え合成技術と組み合わせて所望の特性を有する本明細書における抗体を生成することができる。
CDRグラフティングは、アクセプター抗体(例えば、ヒト抗体)の1つ以上のCDRを、ドナー抗体(例えば、非ヒト抗体)の1つ以上のCDRにより置き換えることにより実施する。アクセプター抗体は、候補アクセプター抗体およびドナー抗体の間のフレームワーク残基の類似性に基づき選択することができ、さらに修飾して類似残基を導入することができる。CDRグラフティング後、追加の変更をドナーおよび/またはアクセプター配列において行って抗体結合および機能性を最適化することができる。
短縮CDR領域のグラフティングは、関連アプローチである。短縮CDR領域は、特異性決定残基および隣接アミノ酸、例として軽鎖の位置27d〜34、50〜55および89〜96におけるもの、ならびに重鎖の位置31〜35b、50〜58、および95〜101におけるものを含む。特異性決定残基(SDR)のグラフティングは、抗体結合部位の結合特異性および親和性がCDR領域のそれぞれの範囲内の最も高度な可変残基により決定されるという理解を前提とする。利用可能なアミノ酸配列データの分析と組み合わせた抗体−抗原複合体の三次元構造の分析を使用してCDR内のそれぞれの位置において生じるアミノ酸残基の構造相違性に基づき配列可変性をモデリングした。SDRと称される接触残基からなる最少免疫原性ポリペプチド配列を同定し、ヒトフレームワーク領域上にグラフティングする。
フレームワーク領域中のフレームワーク残基をCDRドナー抗体由来の対応する残基により置換して、抗原結合を変化させ、潜在的に改善することができる。これらのフレームワーク置換は当分野において公知の方法により同定され、例えば、CDRおよびフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定し、および配列比較して特定位値における通常でないフレームワーク残基を同定する。
ベニアリングまたはリサーフェシングは、ヒトアミノ酸配列による抗体の溶媒接近可能な外部のリサーフェシングにより齧歯類または他の非ヒト抗体における潜在的に免疫原性のアミノ酸配列を低減させる概念に基づく。したがって、ベニアリングされた抗体は、ヒト細胞とはそれほど異質でないと考えられる。非ヒト抗体は、(1)ヒト抗体のフレームワーク領域中の同一位置のものと異なる非ヒト抗体中の曝露された外部フレームワーク領域残基を同定し、(2)同定された残基を典型的には非ヒト抗体中のそれらの同一位置を占有するアミノ酸により置き換えることによりベニアリングする。
定義により、ヒト化抗体はキメラ抗体である。キメラ抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同性である一方、鎖の別の一部は、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同性である抗体、およびそのような抗体の断片(それらが所望の生物学的活性を示す限り)である。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、例えばヒヒ、アカゲザルまたはカニクイザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化された」抗体が含まれる。
ヒト抗体
一部の使用、例としてヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイのため、ヒトまたはキメラ抗体を使用することが適切であり得る。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置に望ましいことがある。ヒト抗体は、当分野において公知の種々の方法、例としてヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する下記のファージディスプレイ法により作製することができる。
ヒト抗体は、機能性内因性免疫グロブリンを発現し得ないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを使用して生成することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞中にランダムにまたは相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞中に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個にまたは同時に非機能的とすることができる。特に、JH領域のホモ接合体欠失は、内因性抗体生成を妨げる。改変された胚性幹細胞を拡張させ、胚盤胞中に微量注入してキメラマウスを生成する。次いで、キメラマウスを交配させてヒト抗体を発現するホモ接合体子孫を生成する。トランスジェニックマウスを選択された抗原、例えば、本明細書における抗体のポリペプチドの全てまたは一部により通常の様式で免疫化する。
抗原に対して指向されたモノクローナル抗体は、慣用のハイブリドーマ技術を使用して免疫化されたトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスにより保有されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化の間に再構成し、続いてクラススイッチおよび体細胞突然変異を受ける。したがって、このような技術を使用すると、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することが可能である。さらに、Medarex(Princeton,NJ)などの会社は、選択された抗原に対して指向されたヒト抗体を提供する。
「小遺伝子座(minilocus)」アプローチも当分野において公知である。小遺伝子座アプローチにおいて、外因性Ig遺伝子座を、Ig遺伝子座からの小片(個々の遺伝子)の包含を介して模倣する。したがって、1つ以上のVH遺伝子、1つ以上のDH遺伝子、1つ以上のJH遺伝子、mu定常領域、および通常、第2定常領域(ガンマ定常領域の場合もある)を、動物中への挿入のための構築物中に形成させる。
マイクロセル融合を介して染色体の大片または染色体全体が導入されたマウスからのヒト抗体の生成も、当分野において公知である。例えば、Kirin製TcマウスとMedarex製小遺伝子座(Humab)マウスとの交雑は、KirinマウスのヒトIgHトランス染色体およびGenpharmマウスのカッパ鎖トランス遺伝子を有するマウスを生成した。
ヒト抗体は、インビトロ法により誘導することもできる。好適な例には、限定されるものではないが、ファージディスプレイ((MedImmune(旧CAT)、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon),Affimed)、リボソームディスプレイ(MedImmune(旧CAT))、酵母ディスプレイなどが含まれる。ファージディスプレイ技術は、ヒト抗体および抗体断片をインビトロで、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから生成するために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子中にインフレームでクローニングし、機能性抗体断片としてファージ粒子の表面上でディスプレイする。糸状粒子はファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能的特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体コードする遺伝子の選択ももたらす。したがって、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、当分野において公知の種々のフォーマットで実施することができる。多様な数々の抗オキサゾロン抗体は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダムコンビナトリアルライブラリーから単離されている。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多様な数々の抗原(例として、自己抗原)に対する抗体を、当分野において公知の技術に従って本質的に単離することができる。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞により生成することもできる。
多価抗体
典型的には、抗体は二価として特徴付けられ、つまり抗体は、2つの抗原結合部位(すなわちF(ab’)2断片の各アームに1つずつ)を含むことを意味する。二価より高い価数の抗体もまた企図される(例えばF(ab’)2断片の一方または両方のアームに2つ以上の抗原結合部位)。例えば、三重特異的抗体を調製することができる。したがって、提供される本明細書における抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(IgMクラスのもの以外である)(例えば、四価抗体)であり得、それは抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は、ダイマー化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含み得る。一態様において、ダイマー化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれらからなる)。この方針において、抗体は、Fc領域およびFc領域に対する3つ以上の抗原結合部位アミノ末端および/またはカルボキシル末端を含み得る。ある態様において、本明細書における多価抗体は、3から約8つの抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。多価抗体は、ポリペプチド鎖が2つ以上の可変ドメインを含む少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。例えば、ポリペプチド鎖は、VD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含み得、VD1が第1の可変ドメインであり、VD2が第2の可変ドメインであり、FcがFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2がアミノ酸またはポリペプチドを表し、nが0または1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH−CH1−フレキシブルリンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含み得る。本明細書における多価抗体は、少なくとも2つの軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含み得る。本明細書における多価抗体は、例えば、約2から約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書において企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、場合によりCLドメインをさらに含む。
二重特異的抗体
一部の態様において、本明細書に提供される抗体は二重特異的である。本明細書において使用されるとき、二重特異的抗体は、少なくとも2つの独立した抗原(または標的)または同じ抗原内の異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異的抗体は、標的の2つの異なるエピトープに結合し得るか、または2つの異なる標的に結合し得る。他のこのような抗体は、第1の標的結合部位を別の標的に対する第2の結合部位と組み合わせ得る。ある標的結合アームを、白血球上のトリガー分子、例えばT細胞受容体分子(例えばCD3)、またはIgGに対するFc受容体(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)に結合するアームと組み合わせて、細胞防御機構を標的タンパク質発現細胞にフォーカスおよび局在化させることもある。二重特異的抗体は、抗原を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化させるために使用することもできる。このような抗体は、標的結合アームと、細胞傷害剤(例えばサポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位体ハプテン)に結合するアームとを有し得る。
ある場合には、二重特異的抗体は、ただ一つの人造分子の投与で、2つの抗原が同時に標的化されることによって得られる相加的および/または相乗的治療効果を提供する。例えば、抗HER2 mAb療法では治療できなかった、中程度のHER2発現を伴う乳癌を有する癌患者は、その腫瘍がEGFRも発現するならば、HER2およびEGFRの両方の二重特異的標的化による相乗的治療の利益を受け得る。しかしながら、2つの二価mAbまたはこれらの2つのmAbの二価二重特異的誘導体による治療は、重度の治療リスクおよび/または毒性リスクをもたらし得る。2つのmAbまたは二価二重特異的抗体が悪性形質転換に関連する2つの受容体と反応することを所与すれば、治療の腫瘍特異性は増加するはずである。しかしながら、併用mAb治療または二価二重特異的抗体は抗原の中程度の発現を伴う腫瘍細胞に対して活性であるため、抗原発現が低い何らかの正常組織の存在に起因して、何らかの新しい副作用が生じ得る。これらの組織は単一のmAbには感受性を有しないこともあるが、併用mAb治療または二価二重特異的誘導体に対しては感受的となり得る。この潜在的リスクは、アビディティ効果により抗原細胞結合の増強を呈する二価または多価分子ではさらに深刻となり得る。
一部の態様において、本明細書に提供される抗体は一価二重特異的抗体(MBab)である。本明細書に記載される一価二重特異的抗体足場は、その一価の性質によって上述の潜在的な治療リスクを低減する一方で、二重特異的抗体に関連するあらゆる利益を実現する二重特異的抗体生成用の優れたプラットフォームを提供する。さらに、本明細書に提供されるMBabは容易に発現し、安定しており、かつ免疫原性が低い可能性が高い。本明細書において使用されるとき、用語「一価二重特異的」(「MBab」と略され得る)は、各アームが異なる標的抗原に特異的に結合することができ、かつ異なる標的抗原(AおよびB)の所与のペアに対し、MBabが各1つずつと結合することができる二重特異的抗体を指す。ある態様において、一価二重特異的抗体は、2つの独立した抗原(または標的)または同じ抗原上の2つの独立したエピトープに特異的に結合することができる。典型的には、一価二重特異的抗体は2つの異なる可変領域を含む。一部の態様において、2つの独立した抗原に対する結合親和性はほぼ同じである。一部の態様において、2つの独立した抗原に対する結合親和性は異なる。一部の態様において、同じ抗原上の2つの独立したエピトープに対する結合親和性はほぼ同じである。一部の態様において、同じ抗原上の2つの独立したエピトープに対する結合親和性は異なる。さらに他の態様において、各アームは同じ特異性を有する(例えば、同じ、または重複するエピトープに結合する)が、異なる親和性で結合する。一部の態様において、親和性は3倍以上異なり得る。異なるインビボ力価を有する抗体の可変領域を組み合わせる場合、アームの一方が過剰量または過少量となることを防止するため、より高い親和性の1つのアームと、より低い親和性の1つのアームとを有することが特に望ましいこともある。
ある態様において、MBabは、同じ抗原(例えば受容体)上の同じエピトープまたは重複するエピトープに異なる親和性で結合する。特に、同じエピトープまたは重複するエピトープは、抗原がダイマー化されると近接している。このような抗体は、相対濃度に応じた二重特性を有し得る。例えば、高濃度において、MBab濃度が抗原濃度を飽和する場合、高親和性結合ドメインが低親和性結合ドメインと競合してほとんどないし全くアビディティ効果が起こらない。すなわち抗体は主に一価の結合実体として機能し、抗原架橋/シグナル伝達はほとんどないし全く起こらない(図18を参照のこと)。しかしながら、低濃度ではアビディティ効果が働くようになり、MBabは、好ましくは2つの抗原分子上の、両方の結合部位に同時に結合することができるため、抗原架橋/シグナル伝達が生じる(図18を参照のこと)。このように、抗原シグナル伝達をMBab濃度により調節することができる。
ある態様において、MBabは2つの異なる抗原(例えば異なる受容体)であって、それらの抗原のホモダイマー化が望ましくない抗原、および/または両方の抗原が非標的細胞/組織上では別々に存在し、かつ標的細胞/組織上では一緒に存在する抗原に結合する。このような抗体は非標的細胞上では1つのアームのみで結合し、非標的細胞/組織に対するMBabの1つのアームのみのこの低アビディティ一価結合は、ホモダイマー化を誘発するには不十分である(図19左を参照のこと)。対照的に、MBabは標的細胞/組織上では両方の抗原と結合することができ、標的細胞上の両方の抗原と同時に結合するため、より高いアビディティの二価結合がもたらされ、これにより標的細胞に対する選択的結合が増進され、受容体ダイマー化が増進され得る(図19右を参照のこと)。
一部の態様において、一価二重特異的抗体は追加の結合部位をさらに含む。追加の結合部位は、モノクローナル二重特異的抗体(MBab)の一方または両方の標的抗原(AおよびB)に特異的であってもよく、および/または追加の標的抗原に特異的であってもよい。一部の態様において、一方または両方の重鎖および/または一方または両方の軽鎖のN末端またはC末端に1つ以上の単鎖可変断片(scFv)が付加され、ここでこの1つ以上のscFvは1つ以上の追加の標的抗原に特異的に結合する。例えば、一価二重特異的抗体(抗原AおよびBに特異的)の一方の鎖(例えば、重鎖または軽鎖)にscFv(抗原Cに特異的)を付加することにより、一価三重特異的抗体を作成することができる。この場合、抗体は、抗原A、B、およびCに対して一価となり得る。scFv(抗原Cに特異的)が2つの鎖(例えば両方の重鎖、両方の軽鎖、一方の重鎖と一方の軽鎖)に付加される場合、この三重特異的抗体は抗原AおよびBに対して一価、および抗原Cに対して二価となり得る。本明細書における一価二重特異的抗体には、追加の結合部位の任意の可能な組み合わせが企図される(例えば、Dimasi et al.J.Mol.Biol.(2009)393:672−692を参照のこと)。追加の結合部位の結合親和性はMBabの一方もしくは両方のアームとほぼ同じであってもよく、またはMBabの一方もしくは両方のアームと異なってもよいことが企図される。上記のとおり、相対的な親和性は、抗原および分子の目的の用途に応じて選択または調整することができる。
二重特異的抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えばF(ab’)2二重特異的抗体)として調製することができる。完全長二重特異的抗体の慣習的生成は、2つの鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの同時発現に基づく。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムなアソートメントのため、それらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、1つのみが正確な二重特異的構造を有する10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成する。通常、親和性クロマトグラフィー工程により行う正確な分子の精製は、かなり煩雑であり、生成物収率が低い場合がある。
二重特異的抗体には、架橋抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体の一方をアビジンと、他方をビオチンとカップリングすることができる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋法を用いて作製することができる。しかしながらこの方法は、典型的には、高い免疫原性の可能性を有し得る非ヒトタンパク質を使用する必要がある。さらに、抗体断片はエフェクター機能をほとんどまたは全く有さず、半減期が短いこともある。
二重特異的抗体は、化学的結合を用いて調製することができる。一手順において、インタクトな抗体をタンパク質分解で開裂させてF(ab’)2断片を生成する。これらの断片をジチオール錯形成剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元してビシナルなジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を妨げる。次いで、生成されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab’−TNB誘導体の一方を、メルカプトエチルアミンによる還元によりFab’−チオールに再変換し、等モル量の他方のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異的抗体を形成する。しかしながらこの方法は、多くの場合に収率が低く、制御が困難で、かつ生成物は高い免疫原性の可能性を有し得る。さらに、抗体断片はエフェクター機能をほとんどまたは全く有さず、半減期が短いこともある。
Fab’−SH断片は、大腸菌(E.coli)から直接回収することができ、それを化学的にカップリングさせて二重特異的抗体を形成することができる。完全ヒト化二重特異的抗体F(ab’)2分子は、それぞれのFab’断片を大腸菌(E.coli)から別個に分泌させ、インビトロで指向化学カップリングに供して二重特異的抗体を形成することにより作出できる。しかしながらこの方法は、多くの場合に収率が低く、かつ制御が困難である。さらに、抗体断片はエフェクター機能をほとんどまたは全く有さず、半減期が短いこともある。
二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して生成することもできる。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域において還元してモノマーを形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法は、抗体ホモダイマーの生成に利用することもできる。記載の「ダイアボディ」技術は、二重特異的抗体断片を作製する追加の機構を提供している。断片は、短すぎて同一鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能とできないリンカーによりVLに連結しているVHを含む。したがって、1つの断片のVHおよびVLドメインを別の断片の相補的VLおよびVHドメインとペアリングさせ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFV)ダイマーの使用により二重特異的抗体断片を作製する別の戦略も当分野において公知である。しかしながらこの方法は、多くの場合に収率が低く、制御が困難で、かつ生成物は高い免疫原性の可能性を有し得る。さらに、抗体断片はエフェクター機能をほとんどまたは全く有さず、半減期が短いこともある。
二重特異的抗体はまた、重鎖ヘテロダイマー化方法を用いて生成してもよい。かかる方法には、「ノブ・イン・ホール(knob in hole)」法および鎖交換遺伝子操作ドメイン(SEED)法、およびFcダイマー界面にわたる電荷極性を変化させる方法が含まれる。このような方法は、本明細書ならびに例えば、米国特許第7,183,076号明細書;Merchant et al.(1998)Nat.Biotech 16:677−681;Ridgway et al.(1996)Protein Engineering 9:617−621;Davis et al.(2010)Prot.Eng.Design & Selection 23:195−202;国際公開第2007/110205号パンフレット;国際公開第2007/147901号パンフレット;Gunasekaran et al.(2010)JBC 285:19637−46にさらに詳細に記載される。これらの方法では、一対の抗体分子間の界面を遺伝子操作することにより、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーの割合を最大化し得る。「ノブ・イン・ホール」法では、第1の抗体分子の界面の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)に置き換えることにより、「突出」が生成される。第2の抗体分子の界面に、その大型側鎖と同一または類似サイズの代償性の「空洞」が、大きい側鎖を有するアミノ酸をより小さい側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニンまたはトレオニン)に置き換えることにより作出される。これは、他の望ましくない最終生成物、例えばホモダイマーと比べてヘテロダイマーの収率を増加させる機構を提供する。SEED法では、ヒトIgGおよびIgA CH3ドメインのベータ鎖セグメントが互いに絡み合うことにより、Fcホモダイマーがヘテロダイマーに変換される。ヒトIgGおよびIgA CH3ドメインのこれらの誘導体は、ヒトIgAおよびIgG CH3配列のセグメントが交互になって構成される相補ヒトSEED CH3ヘテロダイマーを作出する。得られる一対のSEED CH3ドメインは、哺乳動物細胞で発現されるとき、選択的に会合してヘテロダイマーを形成する。他の方法には、静電的に適合したFc領域の同時発現がヘテロダイマー化をもたらすようにFcダイマー界面にわたる電荷極性を変化させる改変を導入することが含まれる。これらの方法は重鎖ヘテロダイマー化を改善するが、二重特異的抗体形成中に形成される軽鎖−重鎖ミスペアリングには対処しない。ある場合には、国際公開第98/50431号パンフレットに記載されるとおり共通の軽鎖を使用することで、可能性のあるミスペアリングの数を減らすことができるが、結合特異性および/または親和性の損失または低下が起こることが多い。
デュアル特異的(duel specific)抗体は、生成することのできる別のタイプの二重特異的抗体である(例えば、Bostrum et al.(2009)Science 323:1610−1614を参照)。このような抗体は、その天然の標的抗原に対する結合特異性を維持しながらも新しい抗原標的に結合することができるように、軽鎖(LC)相補性決定領域(CDR)に突然変異を有する変異体を作成することにより生成できる。しかしながら、多くの場合に抗原結合部位が重複し、抗体が両方の抗原に同時に結合することを妨げる。さらに、これらの抗体は作成が困難であり、2つの抗原のそれぞれに対する所望の親和性を有しないことがある。
本明細書に提供される改変ポリペプチドは、二重特異的抗体の作成に有用であり、上述の制限および技術的困難を解消し得る。一部の態様において、抗体中の1つの重鎖および1つの軽鎖が改変され、それにより天然システインが非システインアミノ酸により置換され、かつ天然非システインアミノ酸がシステインアミノ酸により置換される。本明細書に提供されるこのような改変はHCおよびLCドメインに作成され、HC−LC鎖間ジスルフィド架橋の再配置をもたらす。4つの別個のポリペプチドから二重特異的抗体を作成するとき、例えば、改変されたアームがある標的に対する結合特異性を有し、かつ非改変アームが異なる標的に対する結合特異性を有する場合、4つのポリペプチドは、改変重鎖が改変軽鎖と正しくハイブリダイズし、かつ非改変重鎖が非改変軽鎖と正しくハイブリダイズするように集合し得る。本明細書において使用される用語「非改変」は、本明細書に記載されるとおりの、システインおよび/またはジスルフィド架橋の再配置用に導入されたHC−LC改変を含まない重鎖および軽鎖を指す。このような「非改変」重鎖および軽鎖は、他の改変、例えば、本明細書に記載されるおよび/または当分野において公知のCH2および/またはCH3領域におけるヘテロダイマー化改変を含み得る。本明細書に提供されるHC−LC改変は、特にCH2および/またはCH3領域において、重鎖のさらなる改変と組み合わせて適切な重鎖ヘテロダイマー化を確実にし、および/または重鎖ヘテロダイマーの精製を増進させることができ、以下にさらに詳細に記載する。
二重特異性のアッセイ
二重特異性を決定するための当分野において公知の任意のアッセイを用いて、本明細書に提供される抗体を特徴付けることができる。二重特異性のアッセイの非限定的な例としては、イムノアッセイ、直接結合アッセイ、および架橋アッセイが挙げられる。例えば、AlphaLISAアッセイ(Perkin Elmer)はイムノアッセイであり、抗体の二重特異性の決定に用いることができる。APLHLISAアッセイは、ドナーおよびアクセプタービーズを近接させて記録可能なシグナルを得ることに基づく。二重特異的抗体については、抗体が2つの抗原に同時結合することによりドナーおよびアクセプタービーズが近接し、シグナルが生成される。第1の抗原は、タグ、例えばFLAGタグを含むように遺伝子操作されていてもよく、これは、抗タグ抗体(例えば抗FLAG)とコンジュゲートしたアクセプタービーズに結合する。第2の抗原はビオチン化されていてもよく、ストレプトアビジン(strepavidin)被覆ドナービーズに結合することができる。第1および第2の抗原に対して二重特異性である抗体は、ドナーおよびアクセプタービーズを近接させてシグナルを生成し得る。本明細書の例に、二重特異性を決定するさらなるアッセイが例示される。
抗体機能
抗体は、いくつかの機能、例えば抗原結合および免疫応答の誘導などをもたらし得る。
抗原結合
本明細書において使用される用語「抗原」は、生物中に導入された場合に免疫応答を引き起こし、特異的抗体と結合し得る分子を指す。抗体−抗原結合は、抗原および抗体の間の多くの弱い相互作用、例として、例えば水素結合、ファン・デル・ワールス力、ならびにイオンおよび/または疎水性相互作用の合計により媒介される。
抗原は、抗体上の相補性領域に結合する。抗原の対応する領域は、「抗原決定基」または「エピトープ」と称される。ほとんどの抗原は、複数の決定基を有し;2つ以上が同一である場合、抗原は多価である。
抗体の親和性は、抗原決定基および抗体結合部位の間の適合を反映し、結合部位の数とは無関係である。結合のアビディティは、抗体−抗原複合体の全体の安定性を反映する。アビディティは、全ての結合部位の全結合強度として定義される。したがって、抗体のその抗原についての親和性ならびに抗体および抗原両方の価数が両方ともアビディティに影響を与え得る。1つのみではなく両方の多価結合部位の関与は、典型的なIgG分子中で10000倍だけ多く結合を強化し得る。
多くの抗体および抗原の多価性質は、二次反応、例えば沈降、細胞クランピング、および生物における補体固定を生じさせ得る。このような反応は、ウエスタンブロッティング、ELISA、免疫沈降などの技術において有用であり得る。しかしながら、これらの反応は、治療および/または診断適用を目的とする分子では望ましくないこともある。したがって本明細書に提供される二重特異的抗体の一価の性質は、治療および/または診断目的に利点を提供する。
標的の例
一部の態様では、本明細書に提供されるとおりの抗体により、特定の分子ペアが標的化される。本開示の抗体は、例えば、IL−1アルファおよびIL−1ベータ;IL−12およびIL−18;TNFアルファおよびIL−23;TNFアルファおよびIL−13;TNFおよびIL−18;TNFおよびIL−12;TNFおよびIL−1ベータ;TNFおよびMIF;TNFおよびIL−17;TNFおよびIL−15;TNFおよびVEGF;VEGFRおよびEGFR;IL−13およびIL−9;IL−13およびIL−4;IL−13およびIL−5;IL−13およびIL−25;IL−13およびTARC;IL−13およびMDC;IL−13およびMIF;IL−13およびTGF−ベータ;IL−13およびLHRアゴニスト;IL−13およびCL25;IL−13およびSPRR2a;IL−13およびSPRR2b;IL−13およびADAM8;TNFアルファおよびPGE4;IL−13およびPED2;TNFおよびPEG2;HER2およびHER3;HER1およびHER2;HER1およびHER3から選択されるサイトカインのペアに結合し得る。
ある態様において、本明細書に提供されるとおりの抗体は、例えば、CD138およびCD20;CD138およびCD40;CD19およびCD20;CD20およびCD3;CD38およびCD138;CD38およびCD20;CD38およびCD40;CD40およびCD20;CD−8およびIL−6;CSPGおよびRGM A;CTLA4およびBTNO2;IGF1およびIGF2;IGF1/2およびErbB2;IGFRおよびEGFR;ErbB2およびErbB3;ErbB2およびCD64;IL−12およびTWEAK;IL−13およびIL−1ベータ;MAGおよびRGM A;NgRおよびRGM A;NogoAおよびRGM A;OMGpおよびRGM A;PDL−1およびCTLA4;RGM AおよびRGM B;Te38およびTNFアルファ;TNFアルファおよびBlys;TNFアルファおよびCD−22;TNFアルファおよびCTLA−4;TNFアルファおよびGP130;TNFアルファおよびIL−12p40;およびTNFアルファおよびRANKリガンドから選択される標的ペアに結合し得る。
一部の態様において、本明細書に提供されるとおりの抗体は、例えば、BMP1、BMP2、BMP3B(GDF10)、BMP4、BMP6、BMP8、CSF1(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(G−CSF)、EPO、FGF1(aFGF)、FGF2(bFGF)、FGF3(int−2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST−2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、FGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFRL1、FGFR6、IGF1、IGF2、IGF1R、IGF2R、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNG、IFNW1、FIL1、FIL1(イプシロン)、FIL1(ゼータ)、IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL17B、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、IL2RA、IL1R1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、IL10RA、IL10RB、IL11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA、IL17R、IL17RA、IL17RB、IL17RC、IL17RD、IL18R1、IL20RA、IL20RB、IL21R、IL22R、IL22RA1、IL23R、IL27RA、IL28RA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3、ACVRL1、GFRA1、LTA(TNF−ベータ)、LTB、TNF(TNF−アルファ)、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(エイプリル)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TNFRSF10A(Trail受容体)、TNFRSF10B(Trail受容体2)、TNFRSF10C(Trail受容体3)、TNFRSF10D(Trail受容体4)、FIGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、KDR、FLT1、FLT4、NRP1、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIF1、HGF、LEP(レプチン)、PTN、ALKおよびTHPOの中から選択される1つ、2つ以上の成長因子、サイトカイン、サイトカイン関連タンパク質、および受容体に結合し得る。
さらなる態様において、本明細書に提供されるとおりの抗体は、例えば、CCL1(I−309)、CCL2(MCP−1/MCAF)、CCL3(MIP−1a)、CCL4(MIP−1b)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(mcp−2)、CCL11(エオタキシン)、CCL13(MCP−4)、CCL15(MIP−1d)、CCL16(HCC−4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP−3b)、CCL20(MIP−3a)、CCL21(SLC/エクソダス−2)、CCL22(MDC/STC−1)、CCL23(MPIF−1)、CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン−3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CXCL1(GRO1)、CXCL2(GRO2)、CXCL3(GRO3)、CXCL5(ENA−78)、CXCL6(GCP−2)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP 10)、CXCL11(I−TAC)、CXCL12(SDF1)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL1(SCYD1)、SCYE1、XCL1(リンホタクチン)、XCL2(SCM−1b)、BLR1(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61)、CCR1(CKR1/HM145)、CCR2(mcp−1RB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR−L1)、CCR9(GPR−9−6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L−CCR)、XCR1(GPR5/CCXCR1)、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR−L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/ボンゾ(Bonzo))、HM74、IL8RA(IL8Ra)、IL8RB(IL8Rb)、LTB4R(GPR16)、TCP10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5R1、CSF3、GRCC10(C10)、EPO、FY(DARC)、GDF5、HIF1A、IL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREM1、TREM2、およびVHLの中から選択される1つ以上のケモカイン、ケモカイン受容体、およびケモカイン関連タンパク質に結合し得る。
本明細書に提供されるとおりの他の抗体は、例えば、内在性膜タンパク質、例えばイオンチャネル、イオンポンプ、Gタンパク質共役受容体、構造タンパク質、インテグリンなどの接着タンパク質、トランスポーター、膜結合酵素、エネルギーの蓄積および形質導入に関与するタンパク質および脂質アンカータンパク質、例えばGタンパク質およびいくつかの膜固定キナーゼの中から選択される細胞表面タンパク質に結合し得る。本明細書に提供されるとおりの抗体はまた、酵素、例えばキナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ、脂肪酸シンテターゼ、消化酵素、例えばペプシン、トリプシン、およびキモトリプシン、リゾチーム、およびポリメラーゼにも結合し得る。本明細書に提供されるとおりの抗体はまた、受容体、例えばホルモン受容体、リンホカイン受容体、モノカイン受容体、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体等にも結合し得る。
一部の態様において、本明細書に提供されるとおりの抗体の多量体的性質は、標識または治療剤を特定の細胞型または分子標的に標的化させる能力を付与する。例えば、本明細書に提供されるとおりの抗体のある抗原結合ドメインが細胞の表面にある標的に結合する一方、同じ抗体の別の抗原結合ドメインがハプテンまたは検出に有用な標識剤に結合し得る。同様に、ある機能ドメインが細胞標的に結合する一方、第2の機能ドメインが毒素に結合し得る。両方の結合反応とも単一の分子によって媒介されるため、毒素が細胞標的に近接して置かれ、そこで毒素は細胞傷害機能を生じ得る。
免疫機能
抗体は病原体に結合し、それを不活性化させ、病原体をコートすることによりマクロファージおよび他の細胞による病原体の除去を刺激し、他の免疫応答、例えば補体経路を刺激することにより病原体の破壊をトリガーし得る。抗体は、例えば、細菌または癌細胞上の表面抗原に結合することにより補体経路を活性化させる。次いで、抗体のFc領域が補体カスケードと相互作用する。抗体および補体カスケード分子の結合は、食細胞を誘引し、消化のために微生物または細胞を標識する。補体系構成成分は、膜攻撃複合体を形成して抗体の細菌または細胞の殺傷を直接支援し得る。
抗体結合は、病原体の凝集を引き起こし得る。抗体によりコートされた病原体は、抗体Fc領域を認識する細胞中のエフェクター機能を刺激する。エフェクター機能は、最終的に、侵入微生物または病原細胞の破壊をもたらし、例えば、食細胞が食作用し、マスト細胞および好中球が脱顆粒し、かつナチュラルキラー細胞がサイトカインおよび細胞傷害分子を放出する。
形質転換された腫瘍細胞は、いくつかの源、例として癌遺伝子ウイルス、異常に高レベルの生物自体のタンパク質、および癌誘導癌遺伝子から異常な抗原を発現する。腫瘍抗原は、主要組織適合性(MHC)クラスI分子上に、ウイルス抗原と同様の様式で提示される。抗原はキラーT細胞を活性化させ、補体系をトリガーする抗体も生成する。
本明細書における抗体は、腫瘍または他の病原細胞抗原に結合し、抗体機能を介する細胞破壊をトリガーし得る。ある態様において、本明細書における抗体は、治療分子、例として診断分子または毒素にコンジュゲートしていてよく、抗体−抗原親和性により選択された部位にコンジュゲートされた分子を担持し得る。
エピトープ
本明細書において使用される用語「エピトープ」は、抗体に結合し得る分子決定基を指す。エピトープは、一般に、分子の化学的活性表面基群(grouping)、例えばアミノ酸および/または糖側鎖を含み、一般に、特異的な三次元構造的特徴、ならびに特異的化学的特徴(例えば、電荷、極性、塩基性、酸性、疎水性など)を有する。立体構造および非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は損失するが、後者への結合は損失しない点で区別される。
ある態様において、エピトープは、標的タンパク質の少なくとも1つの細胞外可溶性親水性外部または細胞内部分からなる。規定のエピトープは、標的タンパク質の連続アミノ酸の規定部分全体に対する少なくとも3つのアミノ酸残基からの少なくとも1つのアミノ酸配列の任意の組み合わせを含み得る。一部の態様において、エピトープは、標的タンパク質の連続アミノ酸の規定部分全体に対する少なくとも4つのアミノ酸残基、少なくとも5つのアミノ酸残基、少なくとも6つのアミノ酸残基、少なくとも7つのアミノ酸残基、少なくとも8つのアミノ酸残基または少なくとも9つのアミノ酸残基である。
抗体断片
ある態様において、本発明の抗体は、抗体断片またはそれらの断片を含む抗体である。抗体断片は、一般に、完全長抗体の抗原結合または可変領域である完全長抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、FdおよびFv断片が含まれる。ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;および多重特異的抗体は、これらの抗体断片から形成された抗体である。
慣習的に、これらの断片は、当分野において公知の技術を使用するインタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して誘導された。しかしながら、これらの断片は、目下、組換え宿主細胞により直接生成することができる。Fab、FvおよびscFv抗体断片は、全て、大腸菌(E.coli)中で発現させ、それから分泌させることができ、したがってこれらの断片の大量の容易な生成が可能となる。一態様において、抗体断片は、本明細書の他に考察した抗体ファージライブラリーから単離することができる。Fab’−SH断片を、大腸菌(E.coli)から直接回収し、化学的にカップリングしてF(ab’)2断片を形成することもできる。F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することもできる。抗体断片を生成する他の技術は、当分野において公知である。ある態様において、本明細書に提供される抗体は、単鎖Fv断片(scFv)または他の抗原結合ドメインを含む。
ある態様において、本明細書における抗体は、ドメイン抗体、例えば、ヒト抗体の重鎖の可変領域(VH)または軽鎖の可変領域(VL)に対応する、抗体の小さい機能性結合ユニットを含有する抗体を含む。ドメイン抗体の例には、限定されるものではないが、治療標的に特異的なDomantisから入手可能なものが含まれる。ドメイン抗体の市販のライブラリーを使用して抗原ドメイン抗体を同定することができる。ある態様において、本明細書における抗体は、機能性結合ユニットおよびFcガンマ受容体機能性結合ユニットを含む。
ある態様において、本明細書における抗体はワクチボディを含む。ワクチボディはダイマーポリペプチドである。ワクチボディのそれぞれのモノマーは、APC上の表面分子に対して特異性を有するscFvがヒンジ領域およびCγ3ドメインを介して第2のscFvに連結したものからなる。一部の態様において、scFvの1つとして鎖間システインを欠く抗体の断片を含有するワクチボディを使用して、破壊するそれらの細胞およびADCCを媒介するエフェクター細胞を並置することができる。
ある態様において、本明細書における抗体は直鎖抗体である。直鎖抗体は、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。直鎖抗体は、ある態様では二重特異的であり得る。
HCおよびLC改変
本明細書には、一部の態様において、1つ以上の鎖間システインが再配置された、一部の態様では、それにより鎖間ジスルフィド結合の再配置がもたらされる遺伝子操作された抗体が提供される。一部の態様において、これには抗体中の1つの重鎖および1つの軽鎖の改変が関与し、ここでは重鎖の天然システインおよび軽鎖の天然システインが、それぞれ非システインアミノ酸により置換され、かつ重鎖の天然非システインアミノ酸および軽鎖の天然非システインアミノ酸が、それぞれシステインアミノ酸により置換されている。一部の態様において、再配置されたジスルフィド架橋は、抗体の2つのCH1−CL界面のうちの一方の上(すなわち、抗体の1つのアーム上)にある。多くの場合に、HCおよびLC領域は、それぞれが天然システインから非システインアミノ酸への置換と、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含むように改変され、したがって改変されたHCおよびLC領域間に形成される得られるジスルフィド架橋は、界面に沿った位置が、非改変HCおよびLC領域間に形成されるジスルフィド架橋とは異なる。ある態様において、それぞれの重鎖が、重鎖ヘテロダイマー化に有利に働く改変をさらに含む。他の態様において、1つの重鎖が、ヘテロダイマーの精製を促進する改変をさらに含み、この改変は、重鎖ヘテロダイマー化に有利に働く改変に追加的なものまたはそれを代替するものであってよい。
また、本明細書には、一部の態様において、第1の重鎖と第1の軽鎖との、および第2の重鎖と第2の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働くように重鎖および対応する軽鎖が遺伝子操作された抗体も提供される。一部の態様において、これには第1の重鎖および第1の軽鎖の改変が関与し、ここでは第1の重鎖が突出および/または空洞を含み、かつ第1の軽鎖が、第1の重鎖と第1の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く代償性の空洞および/または突出を含む。一部の態様において、これにはさらに、第2の重鎖および第2の軽鎖の改変が関与し、ここでは第2の重鎖が突出および/または空洞を含み、かつ第2の軽鎖が、第2の重鎖と第2の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く代償性の空洞および/または突出を含む。一部の態様において、第1の重鎖および軽鎖および/または第2の重鎖および軽鎖は、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む。ある態様において、それぞれの重鎖が、重鎖ヘテロダイマー化に有利に働く改変をさらに含む。他の態様において、1つの重鎖が、ヘテロダイマーの精製を促進する改変をさらに含み、この改変は、重鎖ヘテロダイマー化に有利に働く改変に追加的なものまたはそれを代替するものであってよい。
Kabatにおいて説明されるEUインデックスによりナンバリングした、IgG重鎖または軽鎖の定常領域内の置換を含む位置の例、ならびに表8および本明細書における配列表に説明される配列内の対応する位置を、以下の表2に提示する。図22および図24は、Kabatにおいて説明されるEUインデックスによる、軽鎖および重鎖定常領域のナンバリングをそれぞれ示す。
Figure 2015502409
Figure 2015502409
Figure 2015502409
Kabat定義によりナンバリングした、IgG重鎖または軽鎖の可変領域内の置換を含む位置の例を、以下の表3に提示する。
Figure 2015502409
非システインアミノ酸により置換されている天然システイン
一部の態様において、天然システインが非システインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、HC−LC界面内の鎖間システインが非システインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、1つ以上の鎖間システインは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中で非システインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、IgG1重鎖は位置220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG2重鎖は位置131および/または219および/または220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG3またはIgG4重鎖は位置131に天然システインから非システインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、鎖間システインはIgG軽鎖中で非システインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、軽鎖はカッパ軽鎖であり、および一部の態様において軽鎖はラムダ軽鎖である。一部の態様において、IgG軽鎖は位置214に天然システインから非システインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。このような非システインアミノ酸は、一部の態様において、天然に生じるアミノ酸および/または非古典的アミノ酸を含む。
天然に生じる非システインアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンが含まれる。非古典的アミノ酸は、細胞発現系(例えば、原核生物および/または真核生物発現系)を介して導入できることもある。非古典的アミノ酸の例には、オルニチン、ジアミノ酪酸、ノルロイシン、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンが含まれる。非古典的アミノ酸の他の例は、アルファアミノ酸およびアルファ二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えばトリフルオロチロシン、p−X−フェニルアラニン(式中、Xはハロゲン化物、例えばF、Cl、Br、またはIである)、アリルグリシン、7−アミノヘプタン酸、メチオニンスルホン、ノルロイシン、ノルバリン、p−ニトロフェニルアラニン、ヒドロキシプロリン#、チオプロリン、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば4−メチル−Phe、ペンタメチル−Phe、Phe(4−アミノ)#、Tyr(メチル)、Phe(4−イソプロピル)、Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)、ジアミノプロピオン酸、Phe(4−ベンジル)、4−アミノ酪酸(ガンマ−Abu)、2−アミノ酪酸(アルファ−Abu)、6−アミノヘキサン酸(イプシロン−Ahx)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、3−アミノプロピオン酸、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばベータ−メチルアミノ酸などである。注釈は、疎水性特徴を有する誘導体を示し、#は、親水性特徴を有する誘導体を示す。
ある態様において、HC−LC鎖間システインはバリンまたはアラニンにより置き換えられている。一部の態様において、IgG1重鎖中の位置220のアミノ酸が、バリンまたはアラニンにより置き換えられている。一部の態様において、IgG2重鎖中の位置131および/または219および/または220のアミノ酸が、バリンまたはアラニンにより置き換えられている。一部の態様において、IgG3またはIgG4重鎖中の位置131のアミノ酸が、バリンまたはアラニンにより置き換えられている。一部の態様において、IgG軽鎖中の位置214のアミノ酸が、バリンにより置き換えられている。
システインにより置換されている天然非システインアミノ酸
一部の態様において、天然非システインアミノ酸がシステインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、天然非システインアミノ酸は、HCおよびLC領域中でシステインアミノ酸により置き換えられている。天然非システインアミノ酸は、天然非システインアミノ酸を含むCH1領域およびCL領域内の任意の位置でシステインアミノ酸により置き換えられてよい。このような位置は、一部の態様において、天然アミノ酸がシステインアミノ酸により置換されたときの鎖間ジスルフィド結合形成に許容的である。一部の態様において、天然非システインアミノ酸は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でシステインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、位置141に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、位置168に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、位置126に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、位置128に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。
一部の態様において、天然非システインアミノ酸は、IgG軽鎖中でシステインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、軽鎖はカッパ軽鎖であり、および一部の態様において軽鎖はラムダ軽鎖である。一部の態様において、IgG軽鎖は、位置116に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、位置164に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、位置121に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、位置118に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはEUインデックスによる。
一部の態様において、位置141のアラニンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置168のヒスチジンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置126のフェニルアラニンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置128のロイシンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置116のフェニルアラニンまたはトレオニンが、IgG軽鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置164のトレオニンまたはリジンが、IgG軽鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置121のセリンが、IgG軽鎖中でシステインにより置換されている。一部の態様において、位置118のフェニルアラニンが、IgG軽鎖中でシステインにより置換されている。
一部の態様において、天然非システインアミノ酸が、VHおよびVL領域内でシステインアミノ酸により置き換えられている。天然非システインアミノ酸は、天然非システインアミノ酸を含むVH領域およびVL領域内の任意の位置でシステインアミノ酸により置き換えられてよい。このような位置は、一部の態様において、天然アミノ酸がシステインアミノ酸により置換されたときの鎖間ジスルフィド結合形成に許容的である。一部の態様において、天然非システインアミノ酸は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖可変領域中でシステインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、天然非システインアミノ酸は、VHおよびVLの可変領域内で当分野において公知の位置においてシステインアミノ酸により置き換えられており、例えば、Brinkmann et al.,1993,PNAS,90:7538−42;Zhu et al.,1997,Prot.Sci.6:781−8;Reiter et al.,1994,Biochem.33:5451−9;Reiter et al.,1996,Nature 14:1239−45;Luo et al.,1995,J.Biochem.118:825−31;Young et al.,1995,FEBS Let.377:135−9;Glockshuber et al.,1990,Biochem.29:1362−7を参照のこと。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置37に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置45に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置55に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置98に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置100に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置101に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置105に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、可変領域の位置106に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。
一部の態様において、天然非システインアミノ酸が、IgG軽鎖可変領域中でシステインアミノ酸により置き換えられている。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置43に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置46に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置50に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置57に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置87に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置95に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置100に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置101に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖は、可変領域の位置105に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を有し、ここでナンバリングはKabatインデックスによる。
突出および空洞
一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸の置換が突出および/または空洞を生成する。突出および/または空洞を生成するアミノ酸置換は、CH1領域および/またはCL領域内の任意の位置であってよい。一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸の置換はCH1領域内に突出および/または空洞を生成し、かつCL領域内に代償性の空洞および/または突出を生成する。このような置換は、ある態様において、空洞および/または突出を含むCH1と代償性の空洞および/または突出を含むCLとの鎖間ペアリングに有利に働く。ある態様において、突出および/または空洞を生成する置換に加えて、CH1およびCLは、上記のとおりのHC−LC界面内の鎖間システインを非システインアミノ酸で置き換える置換をさらに含む。
一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸の置換は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中に突出および/または空洞を生成する。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の位置145は、大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の位置183は、大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の位置185は、大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の位置147は、小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の位置170は、小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中で位置147が小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、かつ位置185が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中で位置145が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、位置170が小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、位置183が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、かつ位置185が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。ある態様において、突出および/または空洞を生成する置換に加えて、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、上記のとおりの非システインアミノ酸による鎖間システインの置換をさらに含む。
一部の態様において、少なくとも1つのアミノ酸の置換は、IgG軽鎖中に突出および/または空洞を生成する。一部の態様において、軽鎖はカッパ軽鎖であり、および一部の態様において軽鎖はラムダ軽鎖である。一部の態様において、IgG軽鎖の位置131は、大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖の位置176は、大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖の位置135は、小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖の位置178は、小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖中で位置131が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、かつ位置135が小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、IgG軽鎖中で位置176が大型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、かつ位置178が小型側鎖を有するアミノ酸により置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。ある態様において、突出および/または空洞を生成する置換に加えて、IgG軽鎖は、上記のとおりの非システインアミノ酸による鎖間システインの置換をさらに含む。
一態様において、位置145のロイシンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でフェニルアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、位置147のリジンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、位置170のフェニルアラニンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でバリンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、位置183のセリンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でフェニルアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、位置185のバリンが、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中でトリプトファンまたはフェニルアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中で位置185のバリンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置147のリジンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖中で位置145のロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170のフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183のセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185のバリンがフェニルアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。ある態様において、突出および/または空洞を生成する置換に加えて、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖は、上記のとおりの非システインアミノ酸による鎖間システインの置換をさらに含む。
一態様において、カッパ軽鎖の位置(postion)131のセリンまたはラムダ軽鎖の位置131のトレオニンがトリプトファンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、カッパまたはラムダ軽鎖の位置(postion)176のセリンがフェニルアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、カッパまたはラムダ軽鎖の位置(postion)135のロイシンがグリシンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一態様において、カッパ軽鎖の位置(postion)178のトレオニンまたはラムダ軽鎖の位置178のチロシンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、カッパ軽鎖中の位置(postion)131のセリンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置(postion)135のロイシンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、カッパ軽鎖中の位置(postion)176のセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置(postion)178のトレオニンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。
一部の態様において、ラムダ軽鎖中で位置(postion)131のトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置(postion)135のロイシンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。一部の態様において、ラムダ軽鎖中の位置(postion)176のセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置(postion)178のチロシンがアラニンにより置換されており、ここでナンバリングはEUインデックスによる。ある態様において、突出および/または空洞を生成する置換に加えて、IgG軽鎖は、上記のとおりの非システインアミノ酸による鎖間システインの置換をさらに含む。
HC−LCアミノ酸置換の組み合わせ
ある態様において、IgG重鎖および対応する軽鎖に置換の組み合わせが作製される。多くの場合、このような置換の組み合わせは、典型的にはHCおよびLC領域内で重鎖と軽鎖との間にジスルフィド架橋を形成する天然システインの除去、およびHC−LC界面内の異なる位置にジスルフィド架橋を形成し得る新しい一対のシステインの生成をもたらす。この新しい一対のシステインは、重鎖および軽鎖の可変領域および/またはCH1−LC内に局在し得る。このような置換の組み合わせを以下の表4に要約する。位置ナンバリングは、定常領域についてEUインデックスにより、および可変領域についてKabatインデックスによる。表4に具体的には示さないが、軽鎖はカッパ(κ)軽鎖またはラムダ(λ)軽鎖であってよい。
ある態様において、本発明の二重特異的抗体は、同じIgタイプの2つの異なる重鎖(例えば、2つのIgG1重鎖、一方がシステイン残基の改変を有し、一方がそのような改変を有しない)および2つの異なる軽鎖(例えば、一方がシステイン残基の改変を有し、一方がそのような改変を有しない)を含み、軽鎖はカッパおよび/またはラムダの任意の組み合わせであってよい(すなわち2つのカッパ軽鎖、2つのラムダ軽鎖、または1つのラムダ軽鎖と1つのカッパ軽鎖)。詳細な態様において、本発明の二重特異的抗体は、同じIgタイプの2つの異なる重鎖と1つのラムダ軽鎖と1つのカッパ軽鎖とを含み得る。
本明細書に記載される種々の改変を使用すると二価抗体の形成が大幅に増強されるが、重鎖と軽鎖とのミスペアリングに起因してまたは重鎖のホモダイマー化に起因して何らかのミスペアリングされた抗体が生じ得る。2つの異なる軽鎖定常領域の存在により、カッパまたはラムダタイプの軽鎖に特異的なアフィニティークロマトグラフィー媒体(例えば、樹脂)を使用して、同じ軽鎖を有する任意のミスペアリング抗体を除去する好都合な手段が提供される。カッパまたはラムダ軽鎖定常ドメインと特異的に相互作用するアフィニティークロマトグラフィー媒体は、当分野において公知である(例えば、CaptureSelect KappaおよびCaptureSelect Lambdaアフィニティーマトリックス(BAC BV、オランダ))。ある態様において、1つの軽鎖のみが過剰であるため、あるタイプのLCミスペアリング副産物のみが形成される。したがって、過剰の軽鎖がカッパである場合、ラムダ軽鎖に特異的なアフィニティークロマトグラフィー媒体を使用してLC副産物が除去され、および過剰の軽鎖がラムダである場合、カッパ軽鎖に特異的なアフィニティークロマトグラフィー媒体を使用して副産物が除去され得る。
あるいは、または場合により、軽鎖特異的アフィニティー媒体を多段階プロセスで使用して、1つのカッパ軽鎖と1つのラムダ軽鎖とを有する抗体を精製することもできる。代表的な三段階プロセスを例として提供する:(1)必要に応じてプロテインAおよび/またはG樹脂を使用してIgGを捕捉する(ミスペアリング産物を含めた全てのIgGがプロテインAおよび/またはGに結合し得る);(2)プロテインAおよび/またはG媒体からの抗体をカッパ特異的媒体に通過させて、カッパ軽鎖を含有するIgGを捕捉する(1つまたは2つのカッパ軽鎖を含むIgGが全てカッパ特異的媒体に結合する一方、2つのラムダ鎖を含む抗体は通過する)、(3)カッパ特異的媒体からの抗体をラムダ特異的媒体に通過させて、ラムダ軽鎖を含有するIgGを捕捉する(2つのカッパ鎖を含む抗体は通過する)。これらの工程の順序は変えてもよく、さらに、ある工程を省くおよび/または夾雑物(例えば、宿主細胞タンパク質)からの抗体の精製において有用な他のクロマトグラフィー方法と置き換えてもよいことに留意しなければならない。本明細書に提供される実施例では、代表的な二段階プロセスを例示する。また、国際公開第2012/023053号パンフレットおよび本明細書に提供される実施例も参照のこと。
本明細書に記載されるとおりの(例えば、天然アミノ酸残基、システインおよび/または非システインアミノ酸残基の)アミノ酸置換は、当分野において公知の任意の方法を用いて実施することができる。そのような方法としては、限定されるものではないが、PCR伸長オーバーラップ突然変異導入、部位特異的突然変異導入またはカセット突然変異導入が挙げられる(一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbour,NY,1989;Ausbel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing & Wiley−Interscience,NY,1993を参照)。部位特異的突然変異導入キットは、例えばQuikChange(登録商標)部位特異的突然変異導入キット(Stratagen,La Jolla,CA)など、市販されている。カセット突然変異導入は、Wells et al.,1985,Gene,34:315−323に基づき実施することができる。あるいは、突然変異体は、重複オリゴヌクレオチドのアニーリング、ライゲーションおよびPCR増幅およびクローニングによる全遺伝子合成によって作製することができる。
Figure 2015502409
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Fc領域改変
本明細書には、可変領域および/またはCH1領域および/またはCL領域にHCおよびLC改変を有する抗体が提供される。また、一部の態様において、以下に記載するFc領域における1つ以上の改変をさらに含む改変抗体も提供される。1つ以上の改変を含むFc領域は、本明細書では「変異体Fc領域」と称される。
一対の抗体分子間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーの割合を最大化するように遺伝子操作することができる。適切な界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖を、より大きい側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)に置き換えることにより、「突出」(ここでは「ノブ」とも称される)が作成される。その大型側鎖と同一または同様のサイズの代償性の「空洞」(本明細書では「ホール」とも称される)が、大きいアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(例えばアラニンまたはトレオニン)に置き換えることにより、第2の抗体分子の界面に作出される。あるいは、または加えて、CH3領域が、ジスルフィド結合を形成し得るシステイン残基を導入する突然変異を含むように改変されてもよい。これらの改変は、ヘテロダイマーの収率を、ホモダイマーなどの他の望ましくない最終生成物と比べて増加させる機構を提供する。ヘテロダイマー化を増強するCH3改変には、例えば、一方の重鎖上のY407V/T366S/L368Aおよび他方の重鎖上のT366W;一方の重鎖上のS354C/T366Wおよび他方の重鎖上のY349C/Y407V/T366S/L368Aが含まれる。一方の鎖に突出および他方に空洞をもたらすさらなる改変が表5に提供され、米国特許第7,183,076号明細書;およびMerchant et al.,1998,Nat.Biotech 16:677−681に記載されている。ヘテロダイマーの作成に用いられ得る他の改変には、限定されるものではないが、静電的に適合したFc領域の同時発現がヘテロダイマー化をもたらすようにFcダイマー界面にわたる電荷極性を変化させる改変が含まれる。電荷極性を変化させる改変には、限定されるものではないが、表6に提示される改変が含まれる(また、国際公開第2007/147901号パンフレット;Gunasekaran et al.,2010,JBC 285:19637−46も参照のこと)。さらに、Davis et al.(2010,Prot.Eng.Design & Selection 23:195−202)が、ヒトIgGおよびIgA CH3ドメインの誘導体である鎖交換遺伝子操作ドメイン(SEED)CH3領域を使用したヘテロダイマーFcプラットフォームについて記載している(また、国際公開第2007/110205号パンフレットも参照のこと)。
Figure 2015502409
Figure 2015502409
本明細書に記載されるヘテロダイマー化を増進する任意のCH3改変はいずれも、一方の鎖がある一組の改変を有し、かつ他方の鎖が代償性の改変を有する限り、本明細書に提供される抗体のいずれの鎖上にあってもよい。例えば、T366W改変が非改変CH1領域を伴う重鎖にある場合、上記に記載されるY407V/T366S/L368A改変は、本明細書に記載されるCH1改変を含む同じ重鎖にあってよい。逆に、T366W改変が本明細書に記載されるCH1改変を含む重鎖にある場合、Y407V/T366S/L368A改変は非改変CH1領域を伴う重鎖にあってよい。ある態様において、ヘテロダイマー形成を増加/安定化させるのに有用な追加の突然変異がCH2および/またはCH3領域に導入される。一部の態様において、CH2および/またはCH3領域における1つ以上の残基が、2つの重鎖間の鎖間ジスルフィド結合を形成し得るシステイン残基に突然変異している。
当業者は、異なる可変領域を有する抗体は異なるレベルで発現し得ることを理解するであろう。したがって、本明細書に提供されるMBabを構成する異なる可変領域を有する重鎖および/または軽鎖は、異なるレベルで発現し得る。このような不均等な発現が、緩くペアリングされたホモダイマー重鎖を有する抗体の生成をもたらすことがあり、これは半抗体として分泌され得るか、または分泌され、続いて半抗体を形成し得る。本明細書には、半抗体の生成を最小限に抑える方法が提供される。具体的には、ある態様において、第2の重鎖より高いレベルで発現する第1の重鎖が、CH2および/またはCH3領域に、ホモダイマーペアリングを強力に不安定化させる突然変異を含むように遺伝子操作される。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ホモダイマーペアを強力に不安定化させる突然変異の存在は、分泌よりむしろ、そのようなペアの分解をもたらし、したがって半抗体の生成を最小限に抑える。例えば、ある態様において、より高いレベルで発現する方の重鎖のCH3領域にT366W突然変異が導入され、他方の重鎖に代償性のY407V/T366S/L368A改変が導入される。本明細書に記載されるとおり、ヘテロダイマー形成を増加/安定化させ、および/またはエフェクター機能を変化させ、および/または半減期を変化させるため、Fc領域に追加の突然変異がさらに導入されてもよい。強力な/弱いプロモーターの使用など、当分野において公知の他の方法を用いて2つの重鎖の発現レベルを均衡させてもよい。
EUインデックスによりナンバリングした、IgGのFc領域における残基435は、ブドウ球菌プロテインAとの相互作用部位に局在し(Deisenhofer,1981,Biochem.20:2361−2370)、H435およびY436を含むIgGはプロテインAと結合する一方、R435およびF436を含むIgGはプロテインAと結合しない(Jendeberg et al.,1997,J Immunol Methods 201:25−34)。さらに、一方の重鎖上にH435/Y436および他方の重鎖上にR435/F436を含む抗体は、プロテインA媒体上でH435/Y436を含む2つの重鎖を含む抗体と分離することができる(例えば、国際公開第2010/151792号パンフレットおよび本明細書に提供される実施例を参照のこと)。したがって、一方の重鎖CH3領域に適切な突然変異を組み込むと、プロテインAクロマトグラフィーを用いたホモダイマーを除去を促進する機構が提供される。したがって、一部の態様において、本明細書に提供される抗体はIgG1、IgG2またはIgG4であり、プロテインA結合を低減または消失させる突然変異を有する1つの重鎖CH3領域と、プロテインAとの結合を維持する1つの重鎖とを含む。他の態様において、本明細書に提供される抗体はIgG3であり、プロテインA結合を回復する突然変異を有する1つの重鎖CH3領域と、プロテインAに結合しない1つの重鎖とを含む。ある態様において、本明細書に提供される抗体は、H435を有する1つの重鎖CH3領域と、R435を有する1つの重鎖CH3とを含む。他の態様において、本明細書に提供される抗体は、H435/Y436を有する1つの重鎖CH3領域と、R435/F436を有する1つの重鎖CH3とを含む。
VH3ファミリー可変ドメインはプロテインAと結合することが知られている。したがって、ある態様では、プロテインA結合を除去する突然変異を有するもののVH3ファミリー可変ドメインで構成されるホール重鎖の結合を妨げるため、VH3可変ドメインに結合しない形態のプロテインAが用いられる(例えば、MabSelect SuRe LX protein A,GE Healthcare)。
本明細書に記載されるプロテインA結合を変化させる改変は、一方の重鎖のみが残基435単独でまたは436との組み合わせで改変され、他方の鎖の435が野生型である限り、本明細書に提供される抗体のいずれの鎖にあってもよい。図24Dに示すとおり、野生型ヒトIgG1、IgG2およびIgG4は、それぞれH435/Y436を含む一方、野生型ヒトIgG3はR435/F436を含む。したがって、突然変異の性質はIgGのタイプに依存し得る。具体的には、IgG1、IgG2またはIgG4については、1つの重鎖CH3にH435R/Y436F突然変異が導入されるが、IgG3については、1つの重鎖CH3に435H/F436Y突然変異が導入される。ある態様において、プロテインA結合を低減または消失させる代替的な突然変異が、IgG1、IgG2またはIgG4の1つの重鎖のみに導入される。ある他の態様において、プロテインA結合を回復する代替的な突然変異が、IgG3の1つの重鎖のみに導入される。プロテインA結合を低減または除去する位置435および/または436における代替的な置換は、他の18個の標準アミノ酸残基のいずれかを従来のIgG1、IgG2またはIgG4抗体の重鎖CH3領域に導入して、プロテインA結合の損失についてスクリーニングすることにより、同定することができる。プロテインA結合を回復する位置435および/または436における代替的な置換は、他の18個の標準アミノ酸残基を従来のIgG3抗体の重鎖CH3領域に導入して、プロテインA結合についてスクリーニングすることにより、同定することができる。
本明細書に提供される特定のFc突然変異は二価抗体の形成を増進するが(例えば、表5に提供されるもの)、重鎖のホモダイマー化に起因して、何らかのミスペアリング抗体がなお生じ得る。特に、空洞(本明細書では「ホール」とも称される)の形成をもたらす突然変異を有する重鎖は、特に過剰のとき、ホモダイマーを形成することが公知である(Merchant,et al.,1998,Nat.Biotech.16:677−681)。したがって、一部の態様において、ヘテロダイマー形成を増加させるのに有用なFc突然変異を、アフィニティー媒体との結合を変化させるのに有用なFc突然変異と組み合わせて、重鎖ヘテロダイマーの精製を増進してもよい。ある態様において、本明細書に提供される抗体は、「空洞」の形成をもたらすFc突然変異およびCH3残基R435/F436を有する1つの重鎖と;「突出」の形成をもたらすFc突然変異およびCH3残基H435/Y436を有する1つの重鎖とを含む。本開示から、IgGのタイプに応じて、どちらかの鎖が位置435および436に突然変異を含み得ることが理解されるであろう。特定の態様では、MbabはIgG1、IgG2またはIgG4であり、Fc突然変異Y407V/T366S/L368A/H435Rおよび場合によりY436Fを有する1つの重鎖と、Fc突然変異T366Wを有する1つの重鎖とを含む。別の特定の態様では、MbabはIgG3であり、Fc突然変異Y407V/T366S/L368Aを有する1つの重鎖と、Fc突然変異T366W/R435Hおよび場合によりF436Yを有する1つの重鎖とを含む。別の特定の態様では、MbabはIgG1、IgG2またはIgG4であり、Fc突然変異Y349C/Y407V/T366S/L368A/H435Rおよび場合によりY436Fを有する1つの重鎖と、Fc突然変異S354C/T366Wを有する1つの重鎖とを含む。別の特定の態様では、MbabはIgG3であり、Fc突然変異Y349C/Y407V/T366S/L368Aを有する1つの重鎖と、Fc突然変異S354C/T366W/R435Hおよび場合によりF436Yを有する1つの重鎖とを含む。
ある態様において、ヘテロダイマー形成を増加させるのに有用なFc改変を、Ghetie et al.,1997,Nat Biotech.15:637−40;Duncan et al,1988,Nature 332:563−564;Lund et al.,1991,J.Immunol 147:2657−2662;Lund et al,1992,Mol Immunol 29:53−59;Alegre et al,1994,Transplantation 57:1537−1543;Hutchins et al.,1995,Proc Natl.Acad Sci U S A 92:11980−11984;Jefferis et al,1995,Immunol Lett.44:111−117;Lund et al.,1995,Faseb J 9:115−119;Jefferis et al,1996,Immunol Lett 54:101−104;Lund et al,1996,J Immunol 157:4963−4969;Armour et al.,1999,Eur J Immunol 29:2613−2624;Idusogie et al,2000,J Immunol 164:4178−4184;Reddy et al,2000,J Immunol 164:1925−1933;Xu et al.,2000,Cell Immunol 200:16−26;Idusogie et al,2001,J Immunol 166:2571−2575;Shields et al.,2001,J Biol Chem 276:6591−6604;Jefferis et al,2002,Immunol Lett 82:57−65;Presta et al.,2002,Biochem Soc Trans 30:487−490);米国特許第5,624,821号明細書;同第5,885,573号明細書;同第5,677,425号明細書;同第6,165,745号明細書;同第6,277,375号明細書;同第5,869,046号明細書;同第6,121,022号明細書;同第5,624,821号明細書;同第5,648,260号明細書;同第6,528,624号明細書;同第6,194,551号明細書;同第6,737,056号明細書;同第7,122,637号明細書;同第7,183,387号明細書;同第7,332,581号明細書;同第7,335,742号明細書;同第7,371,826号明細書;同第6,821,505号明細書;同第6,180,377号明細書;同第7,317,091号明細書;同第7,355,008号明細書;米国特許出願公開第2004/0002587号明細書;および国際公開第99/58572号パンフレットに開示されるものなどの、エフェクター機能を変化させるのに有用な他の公知のFc改変と組み合わせてもよい。当業者には、Fcの他の改変(例えば、置換および/または付加および/または欠失)が容易に明らかであろう。
ある場合には、Fc領域に対するある改変(例えば、アミノ酸置換および/または付加および/または欠失)により、エフェクター機能が増進または減弱し得る。ある態様において、抗体の変異体Fc領域は、天然Fcと比較したとき同程度のエフェクター機能誘導レベルを呈する。種々の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より高いエフェクター機能誘導を呈する。変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より低いエフェクター機能誘導を呈することもある。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)誘導を呈する。ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より低いADCC誘導を呈する。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より高い補体依存性細胞傷害(CDC)誘導を呈する。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比較したとき、より低いCDC誘導を呈する。
変異体Fc領域を有する任意の特定の抗体がADCCにより標的細胞の溶解を媒介する能力をアッセイすることができる。ADCC活性を評価するため、目的の変異体Fc領域を有する抗体が免疫エフェクター細胞と組み合わせて標的細胞に添加され、免疫エフェクター細胞が抗原抗体複合体により活性化されると、標的細胞の細胞溶解がもたらされ得る。細胞溶解は、一般に、溶解した細胞からの標識(例えば放射性基質、蛍光色素または天然細胞内タンパク質)の放出により検出される。このようなアッセイ用のエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれ得る。インビトロADCCアッセイの具体例は当分野において公知である。
ある態様において、IgG抗体によって誘発されるエフェクター機能は、タンパク質のFc領域に結合した炭水化物部分に強く依存する(Claudia Ferrara et al.,2006,Biotechnology and Bioengineering 93:851−861)。したがって、本明細書に記載される抗体のFc領域のグリコシル化を改変してエフェクター機能を増加または減少させることができる(例えば、Umana et al,1999,Nat.Biotechnol 17:176−180;Davies et al.,2001,Biotechnol Bioeng 74:288−294;Shields et al,2002,J Biol Chem 277:26733−26740;Shinkawa et al.,2003,J Biol Chem 278:3466−3473;米国特許第6,602,684号明細書;同第6,946,292号明細書;同第7,064,191号明細書;同第7,214,775号明細書;同第7,393,683号明細書;同第7,425,446号明細書;同第7,504,256号明細書;米国特許出願公開第2003/0157108号明細書;同第2003/0003097号明細書;同第2009/0010921号明細書;Potelligent(登録商標)技術(Biowa,Inc.Princeton,N.J.);GlycoMAb(登録商標)グリコシル化遺伝子操作技術(GLYCART biotechnology AG,Zurich,スイス)を参照)。したがって、一態様において、本明細書に記載される抗体のFc領域は、アミノ酸残基のグリコシル化の変化を含む。別の態様において、アミノ酸残基のグリコシル化の変化は、エフェクター機能の低下をもたらす。別の態様において、アミノ酸残基のグリコシル化の変化は、エフェクター機能の増加をもたらす。特定の態様において、Fc領域はフコシル化が低下している。別の態様において、Fc領域は非フコシル化型である(例えば、米国特許出願公開第2005/0226867号明細書を参照)。一態様において、親細胞によって産生される抗体と比較して100倍超高いADCCを有する高度に脱フコシル化した抗体を産生するように遺伝子操作された宿主細胞(例えば、CHO細胞、コウキクサ(Lemna minor))で生成されるとおりの、エフェクター機能、特にADCCが増加したこれらの抗体(Mori et al.,2004,Biotechnol Bioeng 88:901−908;Cox et al.,2006,Nat Biotechnol.,24:1591−7)。
IgG分子上のオリゴ糖へのシアル酸の付加は、それらの抗炎症活性を向上させ、それらの細胞傷害性を変化させ得る(例えば、Keneko et al.,Science,2006,313:670−673;Scallon et al.,Mol.Immuno.2007 Mar;44(7):1524−34)。したがって、抗体治療薬の効力は、意図される用途に最良に適した糖型の選択により最適化することができる。抗体の2つのCH2ドメイン間に介入される2つのオリゴ糖鎖は、Fc領域のその受容体への結合に関与する。シアル化が増加したIgG分子は抗炎症特性を示す一方、シアル化が低減したIgG分子は免疫賦活特性の増加を示す。したがって、抗体治療薬は、特定の用途に適切なシアル化プロファイルを用いて「テーラーメード」することができる。抗体のシアル化状態をモジュレートする方法は、当分野において公知である(例えば、米国特許出願公開第2009/0004179号明細書および国際公開第2007/005786号パンフレット)。
一部の態様において、ヘテロダイマー形成を増加させるのに有用なFc改変を、比較分子(例えば、野性型Fc領域を有することを除き同一のアミノ酸配列を有するタンパク質)と比べてFcリガンド(例えば、Fc受容体、CIq)に対する結合特性を変化させるのに有用な他の改変と組み合わせてもよい。結合特性の例には、限定されるものではないが、結合特異性、平衡解離定数(K)、解離および会合速度(それぞれkoffおよびkon)、結合親和性および/またはアビディティが含まれる。一般的には、低いKonを有する結合分子、例えば抗体の方が、高いkoffを有する結合分子より好ましいものであり得ると理解される。しかしながら、ある場合には、konまたはkoffの値がKの値よりも関連性が高いこともある。当業者は、どの速度論的パラメータが所与の抗体用途に最も重要であるかを決定することができる。
Fc領域のそのリガンドに対する親和性および結合特性は、Fc−FcγR相互作用、すなわちFcRに対するFc領域の特異的結合を決定するための当分野において公知の種々のインビトロアッセイ法(生化学または免疫学ベースのアッセイ)、例として、限定されるものではないが、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA))、またはキネティクス(例えば、BIACORE(登録商標)分析)、および他の方法、例えば間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)により決定することができる。これらのおよび他の方法は、試験されている構成成分の1つ以上に対して標識を利用し、および/または種々の検出法、例として、限定されるものではないが、比色分析、分光分析、分光光度分析、蛍光、発光、または同位体標識を用い得る。
一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べて1つ以上のFcリガンドへの結合の向上を有する。種々の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、Fc受容体への結合の向上を有する。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、Fc受容体FcγRIIIAへの結合の向上を有する。ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、Fc受容体FcγR IIBへの結合の向上を有する。変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてCIqへの結合の向上を有することもある。種々の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、Fc受容体FcRnへの結合の向上を有する。
一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてADCC活性の向上を有する。ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてFc受容体FcγRIIIAへの結合の向上を有し、かつADCC活性の向上を有する。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてADCC活性の向上および血清中半減期の向上の両方を有する。
ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてADCC活性の低下を有する。種々の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてFc受容体FcγRIIIAへの結合の低下を有し、かつADCC活性の低下を有する。変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてADCC活性の低下および血清中半減期の向上の両方を有することもある。
一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてCDC活性の向上を有する。ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてCDC活性の向上および血清中半減期の向上の両方を有する。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べて1つ以上のFcリガンドへの結合の低下を有する。
一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてFc受容体への結合の低下を有する。ある態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてFc受容体FcγRIIIAへの結合の低下を有する。変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてFc受容体FcRnへの結合の低下を有することもある。一部の態様において、変異体Fc領域を有する抗体は、天然Fcを有する同じ抗体と比べてCIqへの結合の低下を有する。
Fc領域を改変してタンパク質の半減期を増加させることもできる。半減期の増加は、患者に投与される薬物量の低減ならびに投与頻度の低減を可能とし得る。したがって、半減期が増加した本明細書における抗体は、FcとFcRnとの受容体間の相互作用に関与すると同定されたアミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失、または付加)することにより作成することができる(米国特許第7,083,784号明細書)。ある態様において、IgG1アイソタイプ抗体の位置252のメチオニン、および/または位置254のセリンおよび/または位置256のトレオニンを、得られる抗体がチロシン−252、トレオニン−254およびグルタミン酸−256を含むようにチロシン、トレオニンおよびグルタミン酸にそれぞれ変えることができる(すなわち、M252Y、S254T、T256E)。IgG抗体のこのようなFc領域はYTE改変を含み、IgG2、IgG3およびIgG4抗体の相当位置を同様に改変することができる。さらに、本明細書における抗体の半減期を、当分野において公知の技術によるPEGまたはアルブミンとのコンジュゲーションにより増加させることができる。ある態様において、ヘテロダイマー形成を増加させるのに有用なFc改変を、限定されるものではないが、M252Yおよび/またはS254Tおよび/またはT256Eを含めた、抗体の半減期を変化させるのに有用な他の改変と組み合わせ、および/または本明細書に記載されるものを含めた、エフェクター機能を変化させるおよび/または1つ以上のFcリガンドとの結合を変化させるのに有用な他の公知のFc改変と組み合わせてもよい。
抗体合成
再配置された鎖間システインを含む抗体は、抗体の合成のための当分野において公知の任意の方法により、特に、化学合成により、または組換え発現技術により生成することができる。
任意の抗原を使用して抗体を合成することができる。抗原、または「標的」の例は、本明細書に記載される。所望の抗原を細胞表面または細胞から調整された膜において発現する細胞を使用して抗体を生成することもできる。抗原は、組換えにより生成して、標準的な組換えDNA法を使用して細菌または真核細胞中で単離することができる。抗原をタグ付加物(例えば、エピトープタグ)または他の融合タンパク質として発現させて種々のアッセイにおける単離ならびに同定を促進することができる。
モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位または多重特異的遺伝子操作抗体の場合には複数抗原部位に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の同一の決定基に対して指向される。モノクローナル抗体は、それらの特異性に加え、それらを他の抗体により汚染されることなく合成することができる点で有利である。
モノクローナル抗体は、当分野において公知の広範な技術、例として、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術の使用、またはそれらの組み合わせを使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、例として当分野において公知のものを使用して生成することができる。本明細書における用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を介して生成される抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、単一クローン、例として任意の真核、原核、またはファージクローンから誘導される抗体を指し、それが生成される方法は指さない。一部の態様において、本明細書における抗体は90%以上のモノクローナルである。限定されるものではなく、例えば、モノクローナル哺乳動物、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン、ダイアボディ、ワクチボディ、直鎖および多重特異的抗体を生成するために使用することができるモノクローナル抗体を生成する代表的な方法を以下に記載する。
ハイブリドーマ技術を使用して特異的抗体を生成およびスクリーニングする方法は、当分野において公知である。簡単に述べると、マウスを標的抗原(完全長タンパク質またはそのドメイン、例えば、細胞外ドメインもしくはリガンド結合ドメインのいずれか)により免疫化することができ、免疫応答を1回検出し、例えば、標的抗原に特異的な抗体をマウス血清中で検出し、マウス脾臓を摘出し、脾細胞を単離する。次いで、脾細胞を公知の技術により任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、ATCCから入手可能な細胞系SP20からの細胞に融合させる。ハイブリドーマを選択し、限定希釈によりクローニングする。次いで、ハイブリドーマクローンを当分野において公知の方法により、本明細書における抗体のポリペプチドに結合し得る抗体を分泌する細胞についてアッセイする。一般に、高レベルの抗体を含有する腹水液を、マウスを陽性ハイブリドーマクローンにより免疫化により生成することができる。
したがって、モノクローナル抗体は、抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することにより生成することができる。ハイブリドーマは、標的抗原により免疫化したマウスから単離した脾細胞を骨髄腫細胞と融合し、次いで特異的標的抗原に結合し得る抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて融合物から生じるハイブリドーマをスクリーニングすることにより生成する。
さらに、リンパ球をインビトロで免疫化することができる。免疫化後、リンパ球を単離し、次いで好適な融合剤または融合パートナー、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞系と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する。ある態様において、選択される骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による抗体の安定な高レベル生成を支持し、未融合親細胞に対して選択する選択培地に感受性のものである。一態様において、骨髄腫細胞系は、マウス骨髄腫系、例えばSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびにSP−2および誘導体、例えばAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.USAから入手可能なX63−Ag8−653細胞から誘導されたものである。ヒトモノクローナル抗体の生成のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系も、当分野において公知である。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞を同定したら、クローンを、限定希釈手順によりサブクローニングし、標準的方法により成長させることができる。この目的に好適な培養培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞を、例えばマウス中への細胞の腹腔内注射によりインビボで動物中で腹水腫瘍として成長させることができる。
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、慣用の抗体精製手順、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAまたはプロテインG−セファロースまたはカッパを使用)またはイオン交換クロマトグラフィー、親和性タグ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などにより培養培地、腹水液、または血清から好適に分離する。例示的精製法は、以下により詳細に記載する。
特異的標的抗原エピトープを認識する抗体断片は、当分野に公知の任意の技術により生成することができる。例えば、本明細書におけるFabおよびF(ab’)2断片は、酵素、例えばパパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を生成するため)を使用する免疫グロブリン分子のタンパク質分解開裂により生成することができる。F(ab’)2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有する。さらに、本明細書における抗体は、当分野において公知であり、以下により詳細に考察する種々のファージディスプレイ法を使用して、例として、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用して生成することもできる。
ファージディスプレイ技術
ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に提示される。詳細には、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物cDNAライブラリー(例えば、リンパ組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅させる。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、scFvリンカーと一緒にPCRにより組換え、ファージミドベクター(例えば、p CANTAB 6またはpComb 3 HSS)中にクローニングする。ベクターは、大腸菌(E.coli)中でエレクトロポレートし、大腸菌(E.coli)をヘルパーファージにより感染させる。これらの方法において使用されるファージは、典型的には、繊維状ファージ、例としてfdおよびM13であり、VHおよびVLドメインは、通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換えにより融合させる。目的のエピトープに結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原により、例えば、標識抗原または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して、選択または同定することができる。ファージディスプレイ法は、当分野において公知である。
ファージ選択後、ファージからの抗体コード領域を単離および使用して、全抗体、例としてヒト抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成することができ、任意の所望の宿主、例として、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌において、例えば下記のとおり発現させることができる。Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片を組換え生成するための技術もまた、当分野において公知の方法を使用して用いることができる。
全抗体を生成するため、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅することができる。当分野において公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインをVH定常領域、例えばヒトガンマ4定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができ、およびPCR増幅したVLドメインをVL定常領域、例えばヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、プロモーター(例えば、EF−1αプロモーター)、分泌シグナル(例えばpelBシグナル)、可変ドメイン用のクローニング部位、定常ドメイン、および選択マーカー、例えばネオマイシンを含むこともある。VHおよび/またはVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。以下の実施例に詳述するとおり、単一のベクターから2つの軽鎖が発現し得るように、必要なCL領域を発現する1つのベクターに2つのVLドメインをクローニングしてもよく(例えば、図3Aおよび図3Bを参照)、および単一のベクターから2つの重鎖が発現し得るように、必要な定常領域を発現する1つのベクターに2つのVHドメインをクローニングしてもよい(例えば、図3Cを参照)。次いで、重鎖ベクターおよび軽鎖ベクターを、当業者に公知の技術を使用して細胞系中に同時形質移入し、完全長抗体、例えばIgGを発現する安定または一過性細胞系を生成する。一価二重特異的抗体鎖のクローニングおよび発現の非限定的な例を、実施例1に記載する。
核酸
ポリヌクレオチドを得て、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することは、当分野において公知の任意の方法によることができる。抗体のアミノ酸配列は既知であるため、それらの抗体をコードするヌクレオチド配列は、当分野において公知の方法を使用して決定することができ、例えば特定のアミノ酸をコードすることが分かっているヌクレオチドコドンを、本明細書における抗体またはその断片をコードする核酸を生成するようにアセンブルする。このような抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学合成オリゴヌクレオチドからアセンブルすることができ、簡潔には、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、次いでライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅が関わる。
一部の態様において、抗体をコードするポリヌクレオチドは、好適な供給源由来の核酸から生成することができる。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンを入手できず、しかし抗体の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を化学合成してもよく、または好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、またはその抗体を発現する任意の組織もしくは細胞から作成されたcDNAライブラリー、もしくはそれから単離された核酸(ポリA+RNAであることもある)から、配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅によるか、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用したクローニングにより、例えば抗体をコードするcDNAライブラリーからcDNAクローンを同定して得てもよい。次いで、PCRにより生成された増幅核酸を、当分野において公知の任意の方法を使用して複製クローニングベクター中にクローニングすることができる。
抗体のヌクレオチド配列を決定したら、抗体のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の操作のための当分野において公知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異導入、PCRなどを使用して操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成し、例えば、本明細書に提供されるアミノ酸置換を含めた、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作出し得る。
ある態様において、CDRの1つ以上を、組換えDNA技術を使用してフレームワーク領域内に挿入する。フレームワーク領域は、天然に生じるフレームワーク領域またはコンセンサスフレームワーク領域であってよく、ヒトフレームワーク領域であることもある。フレームワーク領域およびCDRの組み合わせにより生成されたポリヌクレオチドは、1つまたは複数の選択された抗原またはエピトープに特異的に結合する抗体をコードし得る。一部の態様において、1つ以上のアミノ酸置換をフレームワーク領域内に作製することができ、アミノ酸置換は、抗体のその抗原への結合を改善し得る。ポリヌクレオチドの他の変化が本開示により包含され、および/または当分野において公知である。
発現系
本明細書における抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、誘導体、類似体またはその断片の組換え発現は、抗体またはその一部をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を要する。本明細書における抗体または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその一部をコードするポリヌクレオチドが得られると、当分野において公知の方法を使用する組換えDNA技術により、抗体の生成のためのベクターを生成することができる。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が、本明細書に記載される。当業者に公知である方法を使用して、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。
したがって、本明細書において、プロモーターに機能的に連結された、本明細書における抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインもしくはその一部、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターが提供される。このようなベクターは、抗体の定常ドメインをコードするヌクレオチド配列を含み得、抗体の可変ドメインは、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖もしくは全軽鎖の両方の発現のために、このようなベクター中にクローニングすることができる。特に、カッパおよび/またはラムダの任意の組み合わせ(すなわち2つのカッパ軽鎖、2つのラムダ軽鎖、または1つのラムダおよび1つのカッパ軽鎖)であってよい2つの異なる軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むベクターが提供される。また、両方ともIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4であってよい2つの異なる重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むベクターも提供される。特に、2つの異なる重鎖と2つの異なる軽鎖とを含む本明細書に提供されるとおりの抗体を発現させるため、これらのベクターが組み合わせて用いられることが企図される。
発現ベクターを、慣用の技術により宿主細胞に移し、次いで形質移入した細胞を慣用の技術により培養して本明細書における抗体を生成する。したがって、本明細書において、異種プロモーターに機能的に連結された、本明細書における抗体もしくはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはそれらの一部、または本明細書における単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が提供される。2本鎖抗体の発現のためのある態様において、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、以下に詳述するとおり、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞中で同時発現させることができる。
本明細書における抗体を発現させるために、種々の宿主発現ベクター系を利用することができる。このような宿主発現系は、目的のコード配列を生成し、続いて精製することができる運搬体を表すが、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換または形質移入された場合、本明細書における抗体をインサイチューで発現し得る細胞も表す。これらには、限定されるものではないが、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された微生物、例えば細菌(例えば、大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis));抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces);ピチア属(Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が含まれる。
細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、および真核細胞を、組換え抗体の発現に使用することができる。非限定的な例について、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、ベクター、例えばヒトサイトメガロウイルスからの主要前初期遺伝子プロモーターエレメントと併せて、抗体のための有効な発現系であり得る。
細菌系において、多数の発現ベクターを、発現される抗体のために意図される使用に応じて、有利に選択することができる。例えば、抗体の医薬組成物の生成のために大量のこのようなタンパク質を生成する場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指向するベクターが望ましいことがある。このようなベクターには、限定されるものではないが、融合タンパク質が生成されるように、抗体コード配列をlacZコード領域とインフレームでベクターに個々にライゲートすることができる大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR278;pINベクターなどが含まれる。PGEXベクターを使用してグルタチオン5−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として、外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合に続くフリーグルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子生成物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計される。
昆虫系において、キンウワバ科(Autographa californica)核多角体病 昆虫系において、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして、キンウワバ科(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が使用される。ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で成長する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーターの制御下で配置することができる。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三成分リーダー配列にライゲートすることができる。次いで、このキメラ遺伝子をインビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノム中に挿入することできる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域EIまたはE3)中への挿入は、感染宿主内で生存可能で、抗体を発現し得る組換えウイルスをもたらし得る。また、挿入される抗体コード配列の効率的な翻訳のために、特異的開始シグナルも必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、挿入物全体の翻訳を保証するため、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方で、種々の起源からのものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含により増強することができる。
一部の態様において、挿入された配列の発現をモジュレートする、または遺伝子生成物を所望の規定の様式で修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質生成物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、開裂)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子生成物の翻訳後プロセシングならびに修飾のための、特徴的および特異的機構を有する。適切な細胞系または宿主系を選択して、発現させた外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確保することができる。この目的のため、遺伝子生成物の適切な一次転写物のプロセシング、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が使用することができる。このような哺乳動物宿主細胞には、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、NS1およびT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内因的に生成しないマウス骨髄腫細胞系)、CRL7O3OならびにHsS78Bst細胞が含まれる。
組換えタンパク質の長期的な高収率の生成のために、安定的発現が適切である。例えば、抗体を安定的に発現する細胞系を、遺伝子操作することができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用する代わりに、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNA、および選択可能なマーカーにより宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入に続いて、遺伝子操作された細胞を強化培地中で1〜2日間増殖させ、次いで、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体中に安定的に統合し、成長してフォーカスを形成することを可能とし、次いでそのフォーカスをクローニングし、細胞系に拡張させることができる。この方法は、抗体を発現する細胞系を遺伝子操作するために使用することができる。このような遺伝子操作された細胞系は、抗体と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価において有用であり得る。
ある態様において、本明細書に提供される抗体は、抗体の一過的発現を有する細胞系中で発現させる。一過的発現は、細胞中に導入された核酸がその細胞のゲノム中にも染色体DNA中にも統合しないが、細胞中で染色体外エレメント、例えばエピソームとして維持されるプロセスである。エピソームの核酸転写プロセスは影響を受けず、エピソームの核酸によりコードされるタンパク質が生成される。
安定的または一過的に形質移入された細胞系は、抗体タンパク質の発現および生成をもたらす当分野において公知の細胞培養培地および条件下で維持する。ある態様において、哺乳動物細胞培養培地は、市販の培地配合物、例として、例えばDMEMまたはHam’s F12をベースとする。一部の態様において、細胞培養培地は、細胞成長および生物タンパク質発現の両方の増加を支持するように改変される。本明細書において使用される用語「細胞培養培地」、「培養培地」および「培地配合物」は、多細胞生物または組織外部の人工インビトロ環境中での細胞の維持、成長、増殖、または拡張のための栄養溶液を指す。細胞培養培地は、規定の細胞培養使用、例として、例えば、細胞成長を促進するために配合された細胞培養成長培地、または組換えタンパク質生成を促進するために配合された細胞培養生成培地について最適化することができる。栄養、成分、および構成成分という用語は、細胞培養培地を構成する構成要素を指すために本明細書において互換的に使用することができる。
種々の態様において、細胞系はフェドバッチ法を使用して維持する。本明細書における「フェドバッチ法」は、フェドバッチ細胞培養物を、最初に基礎培地とインキュベートした後にそれに追加の栄養素を供給する方法を指す。例えば、フェドバッチ法は、決定されたフィードスケジュールに従って所与の期間内で補給培地を添加することを含み得る。したがって、「フェドバッチ細胞培養」は、細胞、典型的には哺乳動物細胞、および細胞培地を、培養ベッセルに最初に供給し、追加の培養栄養素を、培養の間に培養物に継続的にまたは不連続的に増分してフィードし、培養終了前の定期的な細胞および/または生成物回収を伴うまたは伴わない細胞培養を指す。
使用される細胞培養培地およびそれに含有される栄養素は、当分野に公知である。一部の態様において、細胞培養培地は、基礎培地および改変基礎培地をもたらす少なくとも1つの加水分解物、例えば、ダイズベースの加水分解物、酵母ベースの加水分解物、またはこの2タイプの加水分解物の組み合わせを含む。追加の栄養素は、基礎培地、例えば濃縮基礎培地のみを含み得ることもあり、または加水分解物、もしくは濃縮加水分解物のみを含み得る。好適な基礎培地には、限定されるものではないが、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最少必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI 1640、F−10、F−12、α−最少必須培地(α−MEM)、グラスゴー最少必須培地(G−MEM)、PF CHO(例えば、CHOタンパク質不含培地(Sigma)またはEX−CELL(商標)325 PF CHO Serum−Free Medium for CHO Cells Protein−Free(SAFC Bioscience)参照、およびイスコフ改変ダルベッコ培地が含まれる。本明細書における技術において使用することができる基礎培地の他の例には、BME基礎培地(Gibco−Invitrogen;ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、粉末)(Gibco−Invitrogen(#31600))が含まれる。
ある態様において、基礎培地は血清不含であり得、それは培地が血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、ウマ血清、ヤギ血清、または当業者に公知の任意の他の動物由来血清)を含有しないことを意味し、または動物タンパク質不含培地もしくは既知組成培地であり得る。
基礎培地は、標準的基礎培地中に見出されるある非栄養構成成分、例えば種々の無機および有機緩衝液、界面活性剤、および塩化ナトリウムを除去するように改変することができる。このような構成成分を基礎細胞培地から除去することにより、残留栄養構成成分の濃度の増加を可能とし、全細胞成長およびタンパク質発現を改善することができる。さらに、排除した構成成分を、細胞培養条件の要求に従って改変基礎細胞培地を含有する細胞培養培地中に戻すことができる。ある態様において、細胞培養培地は、改変基礎細胞培地、および以下の栄養素の少なくとも1つ、鉄源、組換え成長因子;緩衝液;界面活性剤;オスモル濃度調節剤;エネルギー源;および非動物加水分解物を含有する。さらに、改変基礎培地は、場合により、アミノ酸、ビタミン、またはアミノ酸およびビタミンの両方の組み合わせを含有し得る。一部の態様において、改変基礎細胞培地は、グルタミン、例えばL−グルタミン、および/またはメトトレキセートをさらに含有する。
一部の態様において、大量の抗体生成は、当分野において公知のフェドバッチ、バッチ、パーフュージョンまたは連続フィードバイオリアクター法を使用するバイオリアクタープロセスにより実施する。ラージスケールバイオリアクターは、少なくとも1000リットルの容量を有し、約1000から100000リットルの容量を有することもある。これらのバイオリアクターは、撹拌インペラを使用して酸素および栄養素を分布し得る。スモールスケールバイオリアクターは、一般に、容積が約100リットル以下の細胞培養を指し、約1リットルから約100リットルの範囲であり得る。あるいは、シングルユースバイオリアクター(SUB)は、ラージスケールまたはスモールスケール培養のいずれにも使用することができる。
温度、pH、撹拌、通気および接種密度は、使用される宿主細胞および発現させる組換えタンパク質に応じて変動し得る。例えば、組換えタンパク質細胞培養物は、30から45摂氏度の温度において維持することができる。培養培地のpHは、pHが最適レベルにおいて留まるように培養プロセスの間モニタリングすることができ、そのレベルは、ある宿主細胞については6.0から8.0のpH範囲内であり得る。インペラにより駆動される混合は、このような培養法に撹拌のために使用することができる。インペラの回転速度は、約50から200cm/秒の先端速度であり得るが、培養される宿主細胞のタイプに応じて当分野において公知の他のエアリフトまたは他の混合/通気系を使用することができる。さらに、培養される選択宿主細胞に応じて、培養物中の約20%から80%空気飽和の溶解酸素濃度を維持するために十分な通気を提供する。あるいは、バイオリアクターは、空気または酸素を培養培地中に直接スパージし得る。他の酸素供給の方法、例として、中空糸膜エアレーターを用いるバブルフリー通気系が存在する。
多数の選択系、例として、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、グルタミンシンテターゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を使用することができ、それらの遺伝子はそれぞれ、tk−、gs−、hgprt−、またはaprt−細胞において用いることができる。また、以下の遺伝子についての選択の基礎として、抗代謝産物の耐性を使用することができる:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt、アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo、およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro。
組換えDNA技術の分野において公知の方法を適用して所望の組換えクローンを選択することができ、その方法には、例として、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、グルタミンシンテターゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ、それらの遺伝子はそれぞれ、tk−、gs−、hgprt−、またはaprt−細胞において用いることができる。
また、以下の遺伝子についての選択の基礎として、抗代謝産物の耐性を使用することができる:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr;ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt;アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo;およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro。組換えDNA技術の分野において公知の方法を適用して所望の組換えクローンを選択することができる。
抗体タンパク質の発現レベルは、ベクター増幅により増加させることができる。抗体タンパク質を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤レベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させ得る。増幅領域は、抗体遺伝子と会合しているため、抗体タンパク質の生成も増加し得る。
本明細書に提供される一価二重特異的抗体を生成するため、宿主細胞を本明細書における抗体の2つの発現ベクターにより同時形質移入してもよい;ここでは、各ベクターが重鎖および軽鎖をコードし、したがって2つのベクター間で4つ全ての鎖(すなわち2つの重鎖および2つの軽鎖)がコードされる。各ベクターが重鎖および軽鎖をコードする場合、各ベクターが異なる哺乳動物選択マーカーを含むことが好ましい。2つの異なる選択マーカーを使用することにより、宿主細胞に両方のベクターが存在することが確実になる。あるいは、第1のベクターが2つの重鎖ポリペプチドをコードし(例えば、図3Cを参照のこと)、第2のベクターが2つの軽鎖ポリペプチドをコードする(例えば、図3Aおよび図3Bを参照のこと)。各ベクターが重鎖または軽鎖のみを発現する場合、両方のプラスミドを含む宿主細胞のみがIgGを発現することになり、それは主にMBabである可能性が極めて高いため、2つのベクターは同一の選択可能マーカーを含有し得る。あるいは、全ての重鎖および軽鎖ポリペプチドをコードし、それらを発現し得る単一のベクターを使用することができる。このような状況において、過剰の毒性フリー重鎖を回避するために、軽鎖は重鎖の前に置かれ得る。本明細書に記載されるとおり、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を実現するため複数の方法を利用し得る。重鎖および軽鎖についてのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
一部の態様において、宿主細胞は2つの発現ベクターにより同時形質移入される;本明細書に記載される任意の改変を含む第1の重鎖ポリペプチドと、改変を有しないまたは代償性のFc改変を有する第2の重鎖ポリペプチドとをコードする第1のベクター(例えば、図3Cを参照のこと);および第1の重鎖に対応する第1の改変軽鎖ポリペプチドおよび第2の非改変軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(例えば、図3Aおよび図3Bを参照のこと)。一部の態様において、各鎖は、それ自体のプロモーターを使用して個別に発現される。単一のベクターからの2つの軽鎖および単一のベクターからの2つの重鎖の発現が、異なる重鎖および軽鎖を有する抗体の生成に特に有用であり得る。さらに、本明細書に記載されるとおり、どの突然変異を各重鎖のFc領域に導入すべきかの選択を用いて、半抗体の生成を最小限に抑えることができる。
1つの改変されたHC−LC界面と1つの改変されていないHC−LC界面とを有する抗体を組換え発現によって生成した後、それを当分野において公知の任意の免疫グロブリン分子精製方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特異的抗原に対する親和性によって、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心、溶解度差、または任意の他の標準的なタンパク質精製技術により精製することができる。さらに、本明細書における抗体またはその断片は、本明細書に記載される、またはそうでなければ当分野において公知の異種ポリペプチド配列に融合させて精製を促進することができる。
抗体精製および単離
本明細書における抗体タンパク質を組換え発現により生成した後、それを当分野において公知の任意の免疫グロブリン分子精製方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に特異的抗原プロテインAまたはプロテインGに対する親和性により、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、または任意の他の標準的なタンパク質精製技術により精製することができる。さらに、本技術の抗体またはその断片は、上記のまたはそうでなければ当分野において公知の異種ポリペプチド配列(本明細書において「タグ」と称される)に融合させて精製を促進することができる。一部の態様において、本明細書に提供される抗体は、2つ以上のアフィニティー媒体を含む多段階プロセスにより精製される。本明細書に提供される抗体の精製に有用な媒体には、Fc部分に特異的な媒体、例えば、プロテインAまたはプロテインG;軽鎖定常領域に特異的な樹脂、例えば、CaptureSelect KappaおよびCaptureSelect Lambda;抗原結合ドメインに特異的な樹脂、例えば、抗原の全てもしくは一部分を組み込むか、または抗id抗体結合ドメインを含む樹脂が含まれる。
組換え技術を使用する場合、抗体タンパク質は、細胞内で、ペリプラズム空間中で生成することができ、または培地中に直接分泌させることができる。抗体を細胞内で生成する場合、第1の工程として、粒子状デブリス、宿主細胞または溶解断片を、例えば遠心分離または限外濾過により除去する。例えば、大腸菌(E.coli)のペリプラズム空間中に分泌される抗体を単離する手順は当分野において公知である。抗体タンパク質を培地中に分泌させる場合、このような発現系からの上清を一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮する。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFを上記工程のいずれかに含めてタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を含めて外来汚染物質の成長を防止することができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および/または親和性クロマトグラフィーを単独でまたは他の精製工程と組み合わせて使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの好適性は、種および抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFc領域のアイソタイプに依存し、当業者により理解される。親和性リガンドを付着させるマトリックスは、アガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定性のマトリックス、例えば制御細孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースにより達成することができるものよりも早い流速および短い処理時間を可能とする。抗体タンパク質がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上でのフラクショネーション、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリン上でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSEクロマトグラフィー(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿も、回収すべき抗体タンパク質に応じて利用可能である。
任意の事前精製工程に続いて、目的の抗体および汚染物質を含む混合物を、約2.5〜4.5のpHにおける溶出緩衝液を使用し、低塩濃度(例えば、約0〜0.25M塩)において実施する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができる。
したがって、ある態様において、本明細書に提供される抗体は、実質的に精製/単離されている。一態様において、これらの精製/単離された組換え発現抗体を患者に投与して予防または治療効果を媒介することができる。一部の態様において、これらの単離/精製された抗体を使用して疾患を診断することができる。
有用な診断方法
ある態様において、本明細書における改変されたHC−LC界面を有する抗体および組成物は、抗体分子に関連する疾患の診断にインビボおよび/またはインビトロで使用することができる。これは、例えば、場合により対照試料とともに試験用試料を抗体と、抗体と目的の分子との複合体の形成を可能とする条件下で接触させることにより達成することができる。次いで、複合体形成を検出する(例えば、ELISAを使用)。対照試料を試験試料とともに使用する場合、複合体を両方の試料中で検出し、試料間における複合体形成の任意の統計的に有意な差異が、試験試料中の目的の分子の存在を示す。
一部の態様において、本明細書における技術は、目的の分子を含有する疑いのある試料中のそのような分子の存在を決定する方法であって、本明細書に提供される抗体に試料を曝露し、試料中の目的の分子への抗体の結合を決定することを含む方法を提供し、ここでは試料中の目的の分子への抗体の結合が、試料中の目的の分子の存在を示す。一部の態様において、試料は生物試料である。ある態様において、生物試料は、目的の分子に関連する疾患または障害を罹患しているまたは罹患している疑いがある哺乳動物からのものである。
ある態様において、本明細書に提供される抗体を使用して、インビボ診断アッセイを使用して目的の分子の過剰発現または増幅を検出することができる。一部の態様において、本明細書に提供される抗体が試料に添加され、そこで抗体は検出する目的の分子に結合し、および検出可能な標識(例えば、放射性同位体または蛍光標識)によりタグづけされ、標識の局在について患者を外部からスキャンする。
FISHアッセイ、例えばINFORM(商標)(Ventana,Ariz.により販売)またはPATHVISION(商標)(Vysis,III.)をホルマリン固定されたパラフィン包埋組織上で実施して、腫瘍中の目的の分子の過剰発現の程度(存在する場合)を決定することができる。
ある態様において、本明細書に提供される抗体は、目的の分子を発現する細胞の増加に関連する細胞増殖障害を診断する方法において使用することができる。一部の態様において、本方法は、生物試料中の試験細胞を、本明細書に提供される抗体と接触させること;本明細書に提供される抗体の結合を検出することにより試料中の試験細胞中の目的の分子のレベルを決定すること;および対照試料中の細胞に結合した抗体のレベルを比較することを含み、結合した抗体のレベルは、試験試料および対照試料中の目的の分子を発現する細胞の数に正規化され、対照試料と比較して試験試料中の結合した抗体レベルが高ければ、目的の分子を発現する細胞に関連する細胞増殖障害の存在が示される。
ある態様において、本明細書に提供される抗体は、血中または血清中の目的の可溶性分子を検出する方法において使用することができる。一部の態様において、本方法は、目的の分子に関連する障害を罹患している疑いがある哺乳動物からの血液または血清の試験試料を、本明細書に提供される抗体と接触させること、および正常哺乳動物からの血液または血清の対照試料に対する試験試料中の目的の可溶性分子の増加を検出することを含む。一部の態様において、検出する方法は、哺乳動物の血中または血清中の目的の可溶性分子の増加に関連する障害を診断する方法として有用である。
有用な治療方法
種々の態様において、本明細書に提供される抗体は細胞、例えば癌細胞に投与される。本明細書に提供される抗体の生物学的効果、例として、限定されるものではないが、細胞死、細胞増殖阻害、効果の欠如、細胞形態の変化、および細胞成長パターンの変化を観察することができる。一部の態様において、本明細書に提供される抗体は検出可能な標識を含み、および/または腫瘍抗原に対する薬物または毒素を有する。ある態様において、標識は、細胞内の腫瘍抗原の局在を示す。
病態または過剰増殖性障害の例には、良性または悪性の腫瘍、白血病およびリンパ性悪性腫瘍が含まれる。他には、ニューロン、グリア、星状膠、視床下部、腺性、マクロファージ、上皮、内皮、および間質悪性腫瘍が含まれる。他の癌または過剰増殖性障害には、頭部、頸部、眼、口腔、咽頭、食道、胸部、皮膚、骨、肺、結腸、直腸、結腸直腸、胃、脾臓、腎臓、骨格筋、皮下組織、転移性メラノーマ、子宮内膜、前立腺、乳房、卵巣、精巣、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、または中枢神経系の癌が含まれる。本明細書における方法により予防、管理、治療または改善することができる癌の例には、限定されるものではないが、頭部、頸部、眼、口腔、咽頭、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、および脳の癌が含まれる。追加の癌には、限定されるものではないが、以下のもの:白血病、例えば、限定されるものではないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄形成異常症候群、慢性白血病、例えば、限定されるものではないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、へアリー細胞白血病;真性多血症;リンパ腫、例えば、限定されるものではないが、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、例えば、限定されるものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、単発性形質細胞腫、および髄外性形質細胞腫;ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症;意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン異常症;良性単クローン性ガンマグロブリン血症;重鎖病;骨癌および結合組織肉腫、例えば、限定されるものではないが、骨肉腫、骨髄腫骨疾患、多発性骨髄腫、真珠腫誘発性骨肉腫、骨パジェット病、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部肉腫、血管肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経線維鞘腫、横紋筋肉腫、および骨膜肉腫;脳腫瘍、例えば、限定されるものではないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、非グリア腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および原発性脳リンパ腫;乳癌、例として、限定されるものではないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、管内癌、髄様乳癌、ムチン産生乳癌、細管乳癌、乳頭状乳癌、パジェット病(若年性パジェット病を含む)および炎症性乳癌;副腎癌、例えば、限定されるものではないが、褐色細胞腫および副腎皮質癌;甲状腺癌、例えば、限定されるものではないが、乳頭状または小胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および退形成甲状腺癌;膵臓癌、例えば、限定されるものではないが、インスリノーマ、ガストリン産生腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、VIP産生腫瘍、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドもしくは島細胞腫;下垂体癌、例えば、限定されるものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端肥大症、および尿崩症;眼癌、例えば、限定されるものではないが、眼メラノーマ、例えば虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマおよび毛様体メラノーマ、ならびに網膜芽細胞腫;膣癌、例えば扁平上皮癌、腺癌、およびメラノーマ;外陰癌、例えば扁平上皮癌、メラノーマ、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病;子宮頸癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌および腺癌;子宮癌、例えば、限定されるものではないが、子宮内膜癌および子宮肉腫;卵巣癌、例えば、限定されるものではないが、卵巣上皮癌、境界性腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質腫瘍;食道癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢包癌、粘表皮癌、腺様扁平上皮癌、肉腫、メラノーマ、形質細胞腫、疣状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌;胃癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、菌状発育性病変(ポリープ状)、潰瘍性、表在性、びまん性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫;結腸癌;直腸癌;肝癌、例えば、限定されるものではないが、肝細胞癌および肝芽腫、胆嚢癌、例えば腺癌;胆管癌、例えば、限定されるものではないが、乳頭状、結節性、およびびまん性;肺癌、例えば非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺癌;精巣癌、例えば、限定されるものではないが、胚芽性腫瘍、セミノーマ、無形成性、古典的(典型的)、精母細胞、非セミノーマ、胎児性癌、テラトーマ癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、前立腺癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫;ペナル(penal)癌;口腔癌、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮癌;基底癌;唾液腺癌、例えば、限定されるものではないが、腺癌、粘表皮癌および腺様嚢胞癌;咽頭癌、例えば、限定されるものではないが、鱗状細胞癌および疣状;皮膚癌、例えば、限定されるものではないが基底細胞癌、扁平上皮癌およびメラノーマ、表在性メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性黒子、末端性黒子性メラノーマ;腎臓癌、例えば、限定されるものではないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盤および/または尿管);ウィルムス腫瘍;膀胱癌、例えば、限定されるものではないが、移行上皮癌、鱗状細胞癌、腺癌、癌肉腫が含まれる。さらに、癌には、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌および乳頭状腺癌が含まれる。
アポトーシスの異常により引き起こされる癌を、本明細書における方法および組成物により治療することもできることも企図される。このような癌には、限定されるものではないが、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を有する癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、ならびに前癌性病変、例えば家族性腺腫様ポリープ症、および骨髄形成異常症候群が含まれ得る。
本明細書における抗体タンパク質および組成物は、多くの目的に、例えば、広範な慢性および急性の疾患および障害、例として、限定されるものではないが、自己免疫および/もしくは炎症障害、例えばシェーグレン症候群、関節リウマチ、狼瘡 乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーヴス病を含む)、角膜および他の組織移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流障害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流障害、脊髄損傷、ならびに同種移植片拒絶に対する治療薬として有用である。
自己免疫および/または炎症障害の例には、限定されるものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生性緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーヴス病を含む)、角膜および他の組織移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再灌流障害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再灌流障害、脊髄損傷および同種移植片拒絶。自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄多発性神経障害、チャーグーストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、円板状狼瘡、必須混合クリオグロブリン血症、線維筋肉痛−線維筋炎、糸球体腎炎、ギランバレー、橋本病甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫媒介型糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、例えば疱疹状皮膚炎脈管炎、尋常性白斑およびウェゲナー肉芽腫症が含まれる。
炎症障害の例には、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節障害、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたは細菌感染から生じる慢性炎症が含まれる。
本明細書における組成物および方法は、上記疾患を予防、管理または治療するために使用される1つ以上の慣用の治療とともに使用することができる。一部の態様において、種々の感染性因子、例えばウイルス、真菌、真核微生物、および細菌を不活性化するための抗体の使用方法も提供される。一部の態様において、本明細書における抗体は、RSV、hMPV、PIV、またはインフルエンザウイルスを不活性化するために使用することができる。一部の態様において、本明細書における抗体は、真菌病原体、例えば、限定されるものではないが、ネグレリア属(Naegleria)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ブラストマイセス属(Blastomyces)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、カンジダ属(Candida)または白癬属(Tinea)のメンバーを不活性化するために使用することができる。一部の態様において、本明細書における抗体は、真核微生物、例えば、限定されるものではないが、ジアルジア属(Giardia)、トキソプラズマ属(Toxoplasma)、プラスモジウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、およびエントアメーバ属(Entamoeba)のメンバーを不活性化するために使用することができる。一部の態様において、本明細書における抗体は、細菌病原体、例えば、限定されるものではないが、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、クロストリジウム属(Clostridium)、ボレリア属(Borrelia)、ビブリオ属(Vibro)、およびネイセリア属(Neiserria)のメンバーを不活性化するために使用することができる。
本明細書における抗体および組成物は、多くの目的に、例えば、広範な慢性および急性の疾患および障害、例として、限定されるものではないが、感染性疾患、例として、ウイルス性、細菌性、および真菌性疾患に対する治療剤として有用である。ウイルス病原体の例には、限定されるものではないが、アデノウイルス科(例えば、マストアデノウイルス属およびアビアデノウイルス属)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5、および単純ヘルペスウイルス6)、レヴィウイルス科(例えば、レヴィウイルス属、腸内細菌ファージMS2、アロレヴィウイルス属)、ポックスウイルス科(例えば、チョルドポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス属、アビポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、スイポックスウイルス属、モルスサイポックスウイルス属、およびエントモポックスウイルス亜科)、パポーバウイルス科(例えば、ポリオーマウイルス属およびパピローマウイルス属)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス属、パラインフルエンザウイルス1、モルビリウイルス属(例えば、麻疹ウイルス)、ルブラウイルス属(例えば、ムンプスウイルス)、ニューモノウイルス亜科(例えば、ニューモウイルス属、ヒト呼吸器合包体ウイルス)およびメタニューモウイルス(例えば、トリニューモウイルスおよびヒトメタニューモウイルス))、ピコルナウイルス科(例えば、エンテロウイルス属、ライノウイルス属、ヘパトウイルス属(例えば、ヒトA型肝炎ウイルス)、カルヂオウイルス属、およびアフトウイルス属)、レオウイルス科(例えば、オルソレオウイルス属、オルビウイルス属、ロタウイルス属、シポウイルス属、フィジーウイルス属、フィトレオウイルス属、およびオリザウイルス属)、レトロウイルス科(例えば、哺乳類B型レトロウイルス属、哺乳動物C型レトロウイルス属、トリC型レトロウイルス属、D型レトロウイルス群、BLVHTLVレトロウイルス、レンチウイルス属(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1およびヒト免疫不全ウイルス2)、スプマウイルス属)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、アルファウイルス属(例えば、シンドビスウイルス)およびルビウイルス属(例えば、風疹ウイルス))、ラブドウイルス科(例えば、ベシクロウイルス属、リッサウイルス属、エフェメロウイルス属、シトラブドウイルス属、およびヌクレオラブドウイルス属)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス属、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピーウイルス、およびラッサウイルス)、ならびにコロナウイルス科(例えば、コロナウイルス属およびトロウイルス属)が含まれる。
細菌病原体の例には、限定されるものではないが、アクワスピリルム(Aquaspirillum)科、アゾスピリルム(Azospirillum)科、アゾトバクター(Azotobacteraceae)科、バクテロイデス(Bacteroidaceae)科、バルトネラ(Bartonella)種、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)科、カンピロバクター(Campylobacter)種、クラミジア(Chlamydia)種(例えば、クラミジア肺炎菌(Chlamydia pneumoniae))、クロストリジウム、腸内細菌(Enterobacteriaceae)科(例えば、シトロバクター(Citrobacter)種、エドワードシエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エルウィニア(Erwinia)種、大腸菌(Escherichia coli)、ハフニア(Hafnia)種、クレブジエラ(Klebsiella)種、モルガネラ(Morganella)種、変形菌(Proteus vulgaris)、プロビデンシア(Providencia)、サルモネラ(Salmonella)種、セラティア・マルセセンス(Serratia marcescens)、およびシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri))、ガルジネラ(Gardinella)科、インフルエンザエ菌(Haemophilus influenzae)、ハロバクテリウム(Halobacteriaceae)科、ヘリコバクター(Helicobacter)科、レジオネラ(Legionallaceae)科、リステリア(Listeria)種、メチロコッカス(Methylococcaceae)科、マイコバクテリア(mycobacteria)(例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis))、ナイセリア(Neisseriaceae)科、オセアノスピリルム(Oceanospirillum)科、パスツレラ(Pasteurellaceae)科、肺炎球菌(Pneumococcus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobiaceae)科、スピリルム(Spirillum)科、スピロソマセア(Spirosomaceae)科、ブドウ球菌(Staphylococcuss)(例えば、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびスタフィロコッカス・パイロゲネス(Staphylococcus pyrogenes))、連鎖球菌(Streptococcus)(例えば、腸炎連鎖球菌(Streptococcus enteritidis)、ストレプトコッカス・フェーシエ(Streptococcus fasciae)、および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae))、バンピロビブルヘリコバクター(Vampirovibr Helicobacter)科、ならびにバンピロビブリオ(Vampirovibrio)科が含まれる。
真菌病原体の例には、限定されるものではないが、アブシディア(Absidia)種(例えば、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)およびアブシディア・ラモサ(Absidia ramosa))、アスペルギルス(Aspergillus)種(例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus))、バシジオボルス・ラナルム(Basidiobolus ranarum)、ブラストマイセス・デルマティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ種(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ガラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ケル(Candida kerr)、カンジダ・クルーゼイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・クイレルモンディイ(Candida quillermondii)、カンジダ・ルゴーザ(Candida rugosa)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、およびカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis))、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、コニジオボルス(Conidiobolus)種、クリプトコッカス・ネオフォルムス(Cryptococcus neoforms)、カニンガメラ(Cunninghamella)種、皮膚糸状菌、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、マイクロスポルム・ジプセウム(Microsporum gypseum)、ムコル・プシルス(Mucor pusillus)、パラコッキディオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、シューダルエシェリア・ボイディイイ(Pseudallescheria boydii)、リノスポリジウム・シーベリ(Rhinosporidium seeberi)、ニューモシスティス・カリニイ(Pneumocystis carinii)、クモノスカビ(Rhizopus)種(例えば、リゾップス・アルヒザス(Rhizopus arrhizus)、リゾップス・オライザエ(Rhizopus oryzae)、およびリゾップス・マイクロスポルス(Rhizopus microsporus))、サッカロミセス(Saccharomyces)種、スポロトリクス・シェネキイイ(Sporothrix schenckii)、ならびに例えば接合菌(Zygomycetes)、子嚢菌(Ascomycetes)、担子菌(Basidiomycetes)、不完全菌(Deuteromycetes)、および卵菌(Oomycetes)等の綱が含まれる。
一部の態様において、細胞集団を枯渇させるための抗体の使用方法も提供される。一態様において、本明細書における方法は、以下の細胞タイプ:好酸球、好塩基球、好中球、T細胞、B細胞、マスト細胞、単球、内皮細胞、および腫瘍細胞を枯渇させるのに有用である。
ある態様において、本明細書における抗体、疾患またはその症状の診断および検出においても有用であり得る。一部の態様において、本明細書における組成物は、疾患進行のモニタリングにおいて有用であり得る。種々の態様において、本明細書における組成物は、治療レジメンのモニタリングにおいて有用であり得る。ある態様において、本明細書における組成物は、エクスビボ用途、例えば、診断キットにおける診断に有用であり得る。
本明細書における組成物は、標的抗原の可視化において有用であり得る。一部の態様において、標的抗原は、内在化する細胞表面受容体である。ある態様において、標的抗原は、細胞内抗原である。一部の態様において、標的は、核内抗原である。一部の態様において、本明細書における抗体のあるものは、細胞に結合すると細胞内に内在化する。
コンジュゲート
本明細書に提供される抗体は非コンジュゲート型で使用されてもよく、または標的検出を促進するため、またはイメージングもしくは療法用に、種々の異種部分の少なくとも1つとコンジュゲートしてもよい。精製を実施する場合、精製前または精製後にTn3足場を標識またはコンジュゲートすることができる。
多くの異種部分は、本明細書における抗体を結合することのできる好適な官能基を欠いている。したがって、一部の態様において、エフェクター分子がリンカーを介して足場に結合され、ここでリンカーは、コンジュゲーション用の反応基を含む。一部の態様において、本明細書における抗体にコンジュゲートした異種部分が、リンカーとして機能することができる。他の態様において、部分は、開裂可能または開裂不可能であってよいリンカーを介して本明細書における抗体にコンジュゲートすることができる。一態様において、開裂可能結合分子はレドックス開裂可能結合分子であり、したがって結合分子は、より低い酸化還元電位の環境、例えば細胞質および遊離スルフヒドリル基を有する分子の濃度がより高い他の領域で開裂可能である。酸化還元電位の変化により開裂し得る結合分子の例には、ジスルフィドを含有するものが含まれる。
一部の態様において、本明細書における抗体は、コンジュゲーション用の反応基を提供するように遺伝子操作される。そのような抗体では、N末端および/またはC末端もまた、コンジュゲーション用の反応基を提供する働きをし得る。他の態様において、N末端がある部分(例えば、限定されるものではないがPEG)にコンジュゲートされ、一方でC末端が別の部分(例えば、限定されるものではないがビオチン)にコンジュゲートされてもよく、逆もまた同様である。
用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、カップリング剤、カップリング部分または活性化部分(例えば、チオール、トリフレート、トレシレート(tresylate)、アジリジン、オキシラン、N−ヒドロキシスクシンイミドまたはマレイミド部分を含む)を伴うまたは伴わないポリエチレングリコール化合物またはその誘導体を意味する。用語「PEG」は、例えば末端OH基がメトキシ基により置き換えられた類似体(mPEGと称される)を含めて、分子量500〜150,000Daのポリエチレングリコールを示すことが意図される。
本明細書における抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)により誘導体化され得る。PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンオキシド繰り返し単位の線状の水溶性ポリマーである。PEGは、典型的には約500ダルトン〜約40,000ダルトンの範囲であるその分子量によって分類される。特定の態様において、用いられるPEGは、5,000ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲の分子量を有する。本明細書における足場とカップリングされるPEGは、分枝鎖または非分枝鎖のいずれであってもよい。例えば、Monfardini,C.et al.1995 Bioconjugate Chem 6:62−69を参照。PEGは、Nektar Inc.、Sigma Chemical Co.および他の会社から市販されている。そのようなPEGとしては、限定されるものではないが、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG−OH)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシネート(MePEG−S)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシンイミジルスクシネート(MePEG−S−NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール−アミン(MePEG−NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール−トレシレート(tresylate)(MePEG−TRES)、およびモノメトキシポリエチレングリコール−イミダゾリル−カルボニル(MePEG−IM)が含まれる。
簡潔に言えば、用いられる親水性ポリマー、例えばPEGは、一端でメトキシ基またはエトキシ基などの非反応性基によりキャッピングされる。その後、好適な活性化剤、例えばハロゲン化シアヌル(例えば、塩化、臭化またはフッ化シアヌル)、カルボニルジイミダゾール、無水物試薬(例えば、無水ジブロモコハク酸などの無水ジハロコハク酸)、アシルアジド、p−ジアゾニウムベンジルエーテル、3−(p−ジアゾニウムフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピルエーテル)などとの反応により、他端でポリマーが活性化される。次いで、活性化されたポリマーを、本明細書に記載されるとおりのポリペプチドと反応させて、ポリマーにより誘導体化されたポリペプチドを生成する。あるいは、ポリマーとの反応のため本明細書における抗体中の官能基を活性化してもよく、または協奏的カップリング反応において公知のカップリング方法を用いて2つの基をつなぎ合わせてもよい。当分野において公知の無数の他の反応スキームを用いて本明細書におけるポリペプチドをPEGにより誘導体化し得ることは、容易に理解されるであろう。PEGは本明細書における足場と、抗体のいずれかの末端にあるまたは抗体内部にある1つ以上の官能基でカップリングすることができる。ある態様において、PEGはN末端またはC末端のいずれかでカップリングされる。
他の態様において、本明細書における抗体、その類似体または誘導体は、診断剤または検出可能な薬剤にコンジュゲートされてもよい。このような抗体は、臨床試験手順の一部としての疾患の発生または進行のモニタリングまたは予後診断、例えば特定療法の効力の決定に有用であり得る。
本明細書における技術は、治療部分にコンジュゲートした本明細書における抗体の使用をさらに包含する。本明細書における抗体は、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤、治療剤または放射性金属イオン、例えばアルファ放射体などの治療部分にコンジュゲートされてもよい。細胞毒素または細胞傷害剤には、細胞に有害な任意の薬剤が含まれる。
組成物
ある態様において、本開示は組成物を提供する。そのような組成物は、本明細書に提供される抗体をコードする核酸分子を含む組成物であり得る。そのような医薬組成物はまた、本明細書に提供される抗体を含む組成物、または本明細書における抗体と、薬学的に許容可能な賦形剤との組み合わせであってもよい。ある態様において、本開示の組成物は薬物として用いられる。
ある態様において、本明細書における抗体または本明細書における抗体の組み合わせ(または1つ以上の本明細書における抗体をコードする核酸分子)は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定剤と共に医薬組成物として製剤化されてもよい。ある態様において、そのような医薬組成物は、当分野において公知の方法を用いた任意の1つ以上の投与経路を介したヒトまたは非ヒト動物への投与に好適である。当業者により理解されるであろうとおり、投与の経路および/または様式は、所望の結果により変動し得る。用語「薬学的に許容可能な担体」は、活性成分の生物活性の有効性を妨げない1つ以上の非毒性材料を意味する。そのような調製物は、ルーチン的に、塩、緩衝剤、保存剤、適合担体、および場合により他の治療剤を含有し得る。そのような薬学的に許容可能な調製物はまた、ヒトへの投与に好適な適合する固形または液状充填剤、希釈剤または封入物質も含有し得る。本明細書に記載される製剤において利用され得る他の企図される担体、賦形剤、および/または添加剤には、例えば、香味剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、脂質、タンパク質賦形剤、例えば血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン、塩形成対イオン、例えばナトリウムなどが含まれる。本明細書に記載される製剤における使用に好適なこれらのおよび他の公知の医薬担体、賦形剤および/または添加剤は、例えば、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,(2005)、および“Physician’s Desk Reference”,60th ed.,Medical Economics,Montvale,N.J.(2005)に掲載されるとおり、当分野において公知である。投与様式、所望のまたは要求される溶解度および/または安定性に好適な薬学的に許容可能な担体は、ルーチン的に選択することができる。
一態様において、本開示の製剤は、内毒素および/または関連発熱物質を実質的に含まない発熱物質不含製剤である。内毒素には、微生物の内部に封じ込められていて、微生物が破壊または死滅した場合にのみ放出される毒素が含まれる。発熱物質には、細菌および他の微生物の外膜からの発熱誘発性熱安定性物質(糖タンパク質)も含まれる。これらの物質は両方とも、ヒトに投与された場合に、発熱、低血圧、およびショックを引き起こし得る。この潜在的な有害効果のため、内毒素は、たとえ少量であっても、静脈内投与される医薬品溶液から除去されなければならない。Food & Drug Administration(「FDA」)は、静脈内薬物適用の1回の1時間の期間中、5内毒素単位(EU)/用量/キログラム体重の上限を定めている(The United States Pharmacopeial Convention,Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。ある特定の態様では、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。
生体内投与に使用する場合、本開示の製剤は無菌でなければならない。本開示の製剤は、滅菌濾過、放射線等を含む種々の滅菌方法により滅菌することができる。一態様において、製剤は予め滅菌された0.22ミクロンフィルタで濾過滅菌される。注射用の無菌組成物は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,(2005)に記載されるとおりの従来の薬務に従い製剤化することができる。
本開示の治療組成物は、特定の投与経路、例えば、経口、経鼻、肺内、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、腟および/または非経口投与用に製剤化することができる。本明細書において使用される語句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、腸内および局所投与以外の投与様式を指し、通常は、注射によるものであり、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が含まれる。局所または経皮投与に好適な本開示の製剤には、粉末、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入薬が含まれる。iMerは無菌条件下で薬学的に許容可能な担体と、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝液、または噴射剤と混合され得る(米国特許第7,378,110号明細書;同第7,258,873号明細書;同第7,135,180号明細書;米国特許出願公開第2004−0042972号明細書;および同第2004−0042971号明細書)。
製剤は、好都合には単位剤で存在してもよく、薬学分野において公知の任意の方法により調製されてもよい。本開示の医薬組成物における活性成分の実際の投与量レベルは、患者にとって毒性となることなく、特定の患者、組成物、および投与様式に所望される治療応答を達成するのに有効な活性成分量(例えば「治療有効量」)が得られるように変えることができる。選択される投与量レベルは、種々の薬物動態学的要因、例として、用いられる特定の組成物の活性、投与経路、投与時点、用いられる特定の化合物の排泄速度、治療の持続期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、全体的健康状態、および病歴、ならびに医学分野において周知されている同様の要因に依存し得る。好適な投与量は、約0.0001〜約100mg/kg体重以上、例えば約0.1、1、10、または50mg/kg体重の範囲であってよく、約1〜約10mg/kg体重が好適である。
本開示は、診断および研究用途に好適な製剤が作製されてもまたよいことを同様に企図することに留意されたい。そのような製剤における活性薬剤の濃度、ならびに賦形剤および/または発熱物質の存在または非存在は、特定の適用および目的の用途に基づき選択することができる。
実施形態
以下、本技術の特定の実施形態の非限定的な例を提供する。
A1.改変重鎖を含む抗体であって、改変重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、抗体。
A2.CH1領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態A1の抗体。
A3.CH1領域が天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつVH領域が天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態A1の抗体。
A4.重鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態A1〜A3のいずれか一つの抗体。
A5.改変軽鎖をさらに含む、実施形態A1〜A4のいずれか一つの抗体であって、改変軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、抗体。
A6.CL領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態A5の抗体。
A7.CL領域が天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつVL領域が天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態A5の抗体。
A8.軽鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、A5〜A7のいずれか一つの抗体。
A9.天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換から得られる、改変重鎖の置換システインと、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換から得られる、改変軽鎖の置換システインとが、ジスルフィド結合を形成することができる、実施形態A5〜A8のいずれか一つの抗体。
A10.2つの重鎖および2つの軽鎖を含む、実施形態A1〜A9のいずれか一つの抗体。
A11.2つの重鎖および2つの軽鎖が4つの別個のポリペプチドである、実施形態A10の抗体。
A12.2つの重鎖および2つの軽鎖が単一のポリペプチドである、実施形態A10の抗体。
A13.完全長抗体である、実施形態A1〜A12のいずれか一つの抗体。
A14.2つの重鎖がそれぞれVHドメイン、CH1ドメインおよびFc領域を含み、VHドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、CH1ドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつFc領域が異なるアミノ酸配列を有する、実施形態A10〜A13のいずれか一つの抗体。
A15.2つの重鎖がヘテロダイマーを形成する、実施形態A14の抗体。
A16.2つの軽鎖がそれぞれVLドメインおよびCLドメインを含み、VLドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、かつCLドメインが異なるアミノ酸配列を有する、実施形態A10〜A15のいずれか一つの抗体。
A17.2つの独立した抗原または同じ抗原上の2つの独立したエピトープに特異的に結合する、実施形態A1〜A16のいずれか一つの抗体。
A18.2つの独立した抗原に対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態A17の抗体。
A19.同じ抗原上の2つの独立したエピトープに対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態A17の抗体。
A20.2つの異なる結合親和性で同じエピトープに特異的に結合する、実施形態A17の抗体。
A21.軽鎖がカッパ軽鎖またはラムダ軽鎖である、実施形態A5〜A20のいずれか一つの抗体。
A22.1つの軽鎖がカッパ軽鎖であり、かつ1つの軽鎖がラムダ軽鎖である、実施形態A10〜A20のいずれか一つの抗体。
A23.(i)CH1領域に改変を含む1つの改変重鎖、およびCL領域に改変を含む対応する1つの改変軽鎖と、(ii)CH1領域およびCL領域が改変されていない、第2の重鎖および対応する軽鎖とを含む、実施形態A1〜A22のいずれか一つの抗体。
A24.免疫グロブリンG(IgG)である、実施形態A1〜A23のいずれか一つの抗体。
A25.改変重鎖が、CH1領域の位置220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A1〜A24のいずれか一つの抗体。
A26.改変重鎖が、CH1領域の位置131および/または219および/または220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A1〜A24のいずれか一つの抗体。
A27.改変重鎖が、CH1領域の位置131および219および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A1〜A24のいずれか一つの抗体。
A28.改変重鎖が、CH1領域の位置131および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A1〜A24のいずれか一つの抗体。
A29.改変重鎖が、CH1領域の位置131に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A1〜A24のいずれか一つの抗体。
A30.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置214に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A29の抗体。
A31.非システインアミノ酸がバリンまたはアラニンである、実施形態A24〜A30のいずれか一つの抗体。
A32.改変重鎖が、CH1領域の位置141に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A24〜A31のいずれか一つの抗体。
A33.改変重鎖が、CH領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32の抗体。
A34.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32の抗体。
A35.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32の抗体。
A36.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32〜A34のいずれか一つの抗体。
A37.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32、A34、A35またはA36のいずれか一つの抗体。
A38.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32〜A37のいずれか一つの抗体。
A39.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンまたはトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32〜A38のいずれか一つの抗体。
A40.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32〜A39のいずれか一つの抗体。
A41.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A32〜A39のいずれか一つの抗体。
A42.改変重鎖が、CH1領域の位置168に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A24〜A31のいずれか一つの抗体。
A43.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42の抗体。
A44.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42の抗体。
A45.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42の抗体。
A46.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42〜A44のいずれか一つの抗体。
A47.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42、A44またはA45のいずれか一つの抗体。
A48.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164における天然非システインアミノ酸からシステインへの置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42〜A47のいずれか一つの抗体。
A49.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが非システインアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42〜A48のいずれか一つの抗体。
A50.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A42〜A49のいずれか一つの抗体。
A51.改変重鎖が、CH1領域の位置126に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A24〜A31のいずれか一つの抗体。
A52.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51の抗体。
A53.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51の抗体。
A54.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51の抗体。
A55.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51〜A53のいずれか一つの抗体。
A56.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51またはA53〜A55のいずれか一つの抗体。
A57.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51〜A56のいずれか一つの抗体。
A58.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121のセリンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51〜A57のいずれか一つの抗体。
A59.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121におけるセリンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A51〜A48のいずれか一つの抗体。
A60.改変重鎖が、CH1領域の位置128における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A24〜A31のいずれか一つの抗体。
A61.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60の抗体。
A62.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60の抗体。
A63.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60の抗体。
A64.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60〜A62のいずれか一つの抗体。
A65.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60またはA62〜A64のいずれか一つの抗体。
A66.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60〜A65のいずれか一つの抗体。
A67.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60〜A66のいずれか一つの抗体。
A68.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A60〜A67のいずれか一つの抗体。
A69.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはKabatインデックスによる、実施形態A24〜A31のいずれか一つの抗体。
A70.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A69の抗体。
A71.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A69の抗体。
A72.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A69の抗体。
A73.対応する改変軽鎖が、可変領域の位置100における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換(ナンバリングはKabatによる)と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換(ナンバリングはEUインデックスによる)とを含む、実施形態A69〜A72のいずれか一つの抗体。
A74.一方または両方の重鎖のFc領域が1つ以上の改変を含む、実施形態A14〜A73のいずれか一つの抗体。
A75.Fc領域における改変が、重鎖のヘテロダイマー化を促進する、実施形態A74の抗体。
A76.Fc領域における改変がプロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在する、実施形態A74の抗体。
A77.プロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在するFc領域における改変をさらに含む、実施形態A75の抗体。
A78.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換H435R/Y436Fであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A76またはA77の抗体。
A79.抗体がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換R435H/F436Yであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A76またはA77の抗体。
A80.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A14〜A75のいずれか一つの抗体。
A81.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A80の抗体。
A82.抗体がIgG3であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A80の抗体。
A83.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ第2の重鎖が、アミノ酸置換T366Wを含むFc(b)領域を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A14〜A75のいずれか一つの抗体。
A84.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A83の抗体。
A85.抗体がIgG3であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A83の抗体。
A86.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A80〜A85のいずれか一つの抗体。
A87.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態A80〜A85のいずれか一つの抗体。
A88.Fc領域における改変が抗体の半減期を変化させ、半減期がFcRn結合親和性に依存する、実施形態A74の抗体。
A89.抗体の半減期を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態A57b〜A59dのいずれか一つの抗体であって、半減期がFcRn結合親和性に依存する、抗体。
A90.エフェクター機能を変化させるFc領域における改変、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、実施形態A74のいずれか一つの抗体。
A91.エフェクター機能を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態A77〜A89のいずれか一つの抗体であって、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、抗体。
A92.ヒト抗体である、実施形態A1〜A91のいずれか一つの抗体。
A93.ヒト化抗体である、実施形態A1〜A91のいずれか一つの抗体。
A94.キメラ抗体である、実施形態A1〜A91のいずれか一つの抗体。
B1.改変重鎖を含む抗体であって、改変重鎖が、突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、抗体。
B2.改変重鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む、実施形態B1の抗体。
B3.重鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態B2の抗体。
B4.改変軽鎖をさらに含む、実施形態B1〜B3のいずれか一つの抗体であって、改変軽鎖が、代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、抗体。
B5.改変が、改変重鎖と改変軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く、実施形態B4の抗体。
B6.改変軽鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む、実施形態B4またはB5の抗体。
B7.軽鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態B6の抗体。
B8.第2の重鎖および第2の軽鎖をさらに含む、実施形態B1〜B7のいずれか一つの抗体。
B9.2つの重鎖および軽鎖が4つの別個のポリペプチドである、実施形態B8の抗体。
B10.2つの重鎖および2つの軽鎖が単一のポリペプチドである、実施形態B8の抗体。
B11.完全長抗体である、実施形態B1〜B10のいずれか一つの抗体。
B12.第1および第2の重鎖がそれぞれVHドメイン、CH1ドメインおよびFc領域を含み、VHドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、CH1ドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつFc領域が異なるアミノ酸配列を有する、実施形態B8〜B11のいずれか一つの抗体。
B13.第1および第2の重鎖がヘテロダイマーを形成する、実施形態B12の抗体。
B14.第1および第2の軽鎖がそれぞれVLドメインおよびCLドメインを含み、VLドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、かつCLドメインが異なるアミノ酸配列を有する、実施形態B8〜B13のいずれか一つの抗体。
B15.2つの独立した抗原または同じ抗原上の2つの独立したエピトープに特異的に結合する、実施形態B1〜B14のいずれか一つの抗体。
B16.2つの独立した抗原に対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態B15の抗体。
B17.同じ抗原上の2つの独立したエピトープに対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態B15の抗体。
B18.2つの異なる結合親和性で同じエピトープに特異的に結合する、実施形態B1〜B14のいずれか一つの抗体。
B19.第1および第2の軽鎖がカッパ軽鎖であるか、またはラムダ軽鎖である、実施形態B8〜B18のいずれか一つの抗体。
B20.1つの軽鎖がカッパ軽鎖であり、かつ1つの軽鎖がラムダ軽鎖である、実施形態B8〜B18のいずれか一つの抗体。
B21.(i)CH1領域に改変を含む1つの改変重鎖、およびCL領域に改変を含む対応する1つの改変軽鎖と、(ii)CH1領域およびCL領域が改変されていない、第2の重鎖および対応する軽鎖とを含む、実施形態B1〜B20のいずれか一つの抗体。
B22.第2の重鎖が、突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変重鎖である、実施形態B8〜B20のいずれか一つの抗体。
B23.第2の改変重鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含んだ、実施形態B22の抗体。
B24.重鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態B23の抗体。
B25.第2の軽鎖が、代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変軽鎖である、実施形態B22〜B24のいずれか一つの抗体。
B26.改変が、第2の改変重鎖と第2の改変軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く、実施形態B20の抗体。
B27.第2の改変軽鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む、実施形態B25またはB26の抗体。
B28.軽鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態B27の抗体。
B29.第1および/または第2の改変重鎖が、CH1領域の位置220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B2〜B28のいずれか一つの抗体。
B30.第1および/または第2の改変重鎖が、CH1領域の位置131および219および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B2〜B28のいずれか一つの抗体。
B31.第1および/または第2の改変重鎖が、CH1領域の位置131および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B2〜B28のいずれか一つの抗体。
B32.第1および/または第2の改変重鎖が、CH1領域の位置131に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B2〜B28のいずれか一つの抗体。
B33.第1および/または第2の改変軽鎖が、CL領域の位置214に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B6〜B32のいずれか一つの抗体。
B34.非システインアミノ酸がバリンまたはアラニンである、実施形態B2〜B33のいずれか一つの抗体。
B35.突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換が、位置145におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換、位置170におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換、位置183におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換、および位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B1〜B34のいずれか一つの抗体。
B36.位置(postion)145におけるロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170におけるフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがフェニルアラニンにより置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B35の抗体。
B37.代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換が、位置176におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換、および位置178におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換(substation)であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B35またはB36の抗体。
B38.位置176におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置178におけるトレオニンまたはチロシンがアラニンにより置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B37の抗体。
B39.突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換が、位置147におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換、および位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B1〜B28のいずれか一つの抗体。
B40.位置147におけるリジンがアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがトリプトファンにより置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B39の抗体。
B41.代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換が、位置131におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換、および位置135におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B39またはB40の抗体。
B42.位置131におけるセリンまたはトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置135におけるロイシンがグリシンにより置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B41の抗体。
B43.実施形態B24〜B34のいずれか一つの抗体であって、
(a)改変重鎖が、位置145におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置170におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置183におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;および
(b)改変軽鎖が、位置176におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置178におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B44.実施形態B24〜B34のいずれか一つの抗体であって、
(a)改変重鎖が、位置147におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;および
(b)改変軽鎖が、位置131におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置135におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B45.実施形態B25〜B34のいずれか一つの抗体であって、
(a)第1の改変重鎖が、位置145におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置170におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置183におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;
(b)第1の改変軽鎖が、位置176におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置178におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;
(c)第2の改変重鎖が、位置147におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;および
(d)第2の改変軽鎖が、位置131におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置135におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B46.実施形態B43の抗体であって、
(a)改変重鎖が、位置(postion)145におけるロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170におけるフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがフェニルアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み;
(b)改変軽鎖が、位置176におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置178におけるトレオニンまたはチロシンがアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B47.実施形態B44の抗体であって、
(a)改変重鎖が、位置147におけるリジンがアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがトリプトファンにより置換されているアミノ酸置換を含み;および
(b)改変軽鎖が、位置131におけるセリンまたはトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置135におけるロイシンがグリシンにより置換されているアミノ酸置換を含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B48.実施形態B45の抗体であって、
(a)第1の改変重鎖が、位置(postion)145におけるロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170におけるフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがフェニルアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み;
(b)第1の改変軽鎖が、位置176におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置178におけるトレオニンまたはチロシンがアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み:
(c)第2の改変重鎖が、位置147におけるリジンがアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがトリプトファンにより置換されているアミノ酸置換を含み;および
(d)第2の改変軽鎖が、位置131におけるセリンまたはトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置135におけるロイシンがグリシンにより置換されているアミノ酸置換を含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B49.実施形態B25〜B34のいずれか一つの抗体であって、
(a)第1の改変重鎖が、位置147におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;および
(b)第1の改変軽鎖が、位置131におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置135におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、
(c)第2の改変重鎖が、位置145におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置170におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置183におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み;
(d)第2の改変軽鎖が、位置176におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置178におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B50.実施形態B49の抗体であって、
(a)第1の改変重鎖が、位置147におけるリジンがアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがトリプトファンにより置換されているアミノ酸置換を含み;および
(b)第1の改変軽鎖が、位置131におけるセリンまたはトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつ位置135におけるロイシンがグリシンにより置換されているアミノ酸置換を含み:
(c)第2の改変重鎖が、位置(potion)145におけるロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170におけるフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがフェニルアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み;
(d)第2の改変軽鎖が、位置176におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置178におけるトレオニンまたはチロシンがアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み、
ナンバリングはEUインデックスによる、抗体。
B51.Fc領域が1つ以上の改変を含む、実施形態B11〜B50のいずれか一つの抗体。
B52.Fc領域における改変が、重鎖のヘテロダイマー化を促進する、実施形態B51の抗体。
B53.Fc領域における改変がプロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在する、実施形態B51の抗体。
B54.プロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在するFc領域における改変をさらに含む、実施形態B52の抗体。
B55.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換H435R/Y436Fであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B53またはB54の抗体。
B56.抗体がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換R435H/F436Yであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B53またはB54の抗体。
B57.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ第2の重鎖アミノ酸置換Y407V/T366S/L368A、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B11〜B52のいずれか一つの抗体。
B58.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B57の抗体。
B59.抗体がIgG3であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B57の抗体。
B60.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ第2の重鎖がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B11〜B52のいずれか一つの抗体。
B61.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B60の抗体。
B62.抗体がIgG3であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B60の抗体。
B63.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B57〜B62のいずれか一つの抗体。
B64.第1の改変重鎖Fc領域がY349Cのアミノ酸置換をさらに含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態B57〜B62のいずれか一つの抗体。
B65.抗体の半減期を変化させるFc領域における改変、半減期がFcRn結合親和性に依存する、B51の抗体。
B66.抗体の半減期を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態B52〜B64のいずれか一つの抗体であって、半減期がFcRn結合親和性に依存する、抗体。
B67.1つ以上の改変がエフェクター機能を変化させ、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、実施形態B51〜B65のいずれか一つの抗体。
B68.エフェクター機能を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態B52〜B66のいずれか一つの抗体であって、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、抗体。
B69.ヒト抗体である、実施形態B1〜B68のいずれか一つの抗体。
B70.ヒト化抗体である、実施形態B1〜B468のいずれか一つの抗体。
B71.キメラ抗体である、実施形態B1〜B68のいずれか一つの抗体。
C1.改変重鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸であって、改変重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、核酸。
C2.改変重鎖ポリペプチドのCH1領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態C1の核酸。
C3.改変重鎖ポリペプチドのCH1領域が、天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつ改変重鎖のVH領域が、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態C1の核酸。
C4.改変重鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸であって、改変重鎖が、突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、核酸。
C5.改変重鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む、実施形態C2の核酸。
C6.重鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態C1、C2、C3、またはC5のいずれか一つの核酸。
C7.改変免疫グロブリンG(IgG)重鎖をコードする、実施形態C1〜C6のいずれか一つの核酸。
C8.改変重鎖が、CH1領域の位置220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7の核酸。
C9.改変重鎖が、CH1領域の位置131および/または219および/または220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7の核酸。
C10.改変重鎖が、CH1領域の位置131および219および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7の核酸。
C11.改変重鎖が、CH1領域の位置131および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7の核酸。
C12.改変重鎖が、CH1領域の位置131に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7の核酸。
C13.非システインアミノ酸がバリンまたはアラニンである、実施形態C7〜C12のいずれか一つの核酸。
C14.改変重鎖が、CH1領域の位置141に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7〜C13のいずれか一つの核酸。
C15.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C14の核酸。
C16.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C14の核酸。
C17.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C14の核酸。
C18.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C14〜C16のいずれか一つの核酸。
C19.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C14、またはC16〜C18のいずれか一つの核酸。
C20.改変重鎖が、CH1領域の位置168に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7〜C13のいずれか一つの核酸。
C21.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C20の核酸。
C22.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C20の核酸。
C23.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C20の核酸。
C24.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C20〜C22のいずれか一つの核酸。
C25.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C20、またはC22〜C24のいずれか一つの核酸。
C26.改変重鎖が、CH1領域の位置126に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7〜C13のいずれか一つの核酸。
C27.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C26の核酸。
C28.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C26の核酸。
C29.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C26の核酸。
C30.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C26〜C28のいずれか一つの核酸。
C31.改変重鎖が、位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつ位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C26またはC28〜C30のいずれか一つの核酸。
C32.改変重鎖が、CH1領域の位置128における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C7〜C13のいずれか一つの核酸。
C33.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C32の核酸。
C34.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C32の核酸。
C35.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C32の核酸。
C36.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C32〜C34のいずれか一つの核酸。
C37.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C32またはC34〜C36のいずれか一つの核酸。
C38.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはKabatインデックスによる、実施形態C7〜C13のいずれか一つの核酸。
C39.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C38の核酸。
C40.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C38の核酸。
C41.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C38の核酸。
C42.改変重鎖が、位置145におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置170におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置183におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C2、C3、またはC7〜C12のいずれか一つの核酸。
C43.改変重鎖が、位置145におけるロイシンがフェニルアラニンにより置換されており、位置170におけるフェニルアラニンがバリンにより置換されており、位置183におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがフェニルアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C42の核酸。
C44.改変重鎖が、位置147におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置185におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C2、C3、またはC7〜C12のいずれか一つの核酸。
C45.改変重鎖が、位置147におけるリジンがアラニンにより置換されており、かつ位置185におけるバリンがトリプトファンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C44の核酸。
C46.改変重鎖がFc領域を含む、実施形態C1〜C45のいずれか一つの核酸。
C47.改変重鎖Fc領域が1つ以上の改変を含む、実施形態C46の核酸。
C48.改変重鎖Fc領域における改変が、2つの重鎖のヘテロダイマー化を促進する、実施形態C47の核酸。
C49.改変重鎖Fc領域における改変が、プロテインA結合を変化させる、実施形態C47の核酸。
C50.改変重鎖Fc領域が、プロテインA結合を変化させる改変をさらに含む、実施形態C48の核酸。
C51.改変重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させる改変がアミノ酸置換H435R/Y436Fであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C49またはC50の核酸。
C52.改変重鎖がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させる改変がアミノ酸置換R435H/F436Yであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C49またはC50の核酸。
C53.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C47またはC48の核酸。
C54.改変重鎖がIgG3重鎖であり、かつアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C53の核酸。
C55.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C47またはC48の核酸。
C56.改変重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4重鎖であり、かつアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C55の核酸。
C57.改変重鎖Fc領域がS354CまたはY349Cのアミノ酸置換をさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C53〜C56のいずれか一つの核酸。
C58.改変重鎖Fc領域における改変が抗体の半減期を変化させ、半減期がFcRn結合親和性に依存する、実施形態C47の核酸。
C59.抗体の半減期を変化させる改変重鎖Fc領域における改変をさらに含む、実施形態C48〜C57のいずれか一つの核酸であって、半減期がFcRn結合親和性に依存する、核酸。
C60.改変重鎖Fc領域における改変がエフェクター機能を変化させ、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、実施形態C47の核酸。
C61.エフェクター機能を変化させる改変重鎖Fc領域における改変をさらに含む、実施形態C48〜C59のいずれか一つの核酸であって、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、核酸。
C62.発現ベクターである、実施形態C1〜C61のいずれか一つの核酸。
C63.発現ベクターが、第2の重鎖をコードする第2の核酸をさらに含み、第2の重鎖が非改変のCH1領域を含む、実施形態C62の核酸。
C64.発現ベクターが、第1および第2の軽鎖をそれぞれコードする第3および第4の核酸をさらに含み、
(a)第1の軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む改変軽鎖であり;および
(b)第2の軽鎖が改変されていない、実施形態C63の核酸。
C65.発現ベクターが、第2の重鎖をコードする第2の核酸をさらに含み、第2の重鎖が、改変されているCH1領域を含む、実施形態C62の核酸。
C66.第2の改変重鎖が、突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、実施形態C65の核酸。
C67.発現ベクターが、第1および第2の軽鎖をそれぞれコードする第3および第4の核酸をさらに含み、
(a)第1の軽鎖が、代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変軽鎖であり;および
(b)第2の軽鎖が、代償性の空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変軽鎖であり、
改変が、第1の重鎖と第1の軽鎖との、および第2の重鎖と第2の軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く、実施形態C65またはC66の核酸。
C68.第2の重鎖がFc領域を含む、実施形態C63〜C67のいずれか一つの核酸。
C69.第2の重鎖のFc領域が1つ以上の改変を含む、実施形態C68の核酸。
C70.第2の重鎖Fc領域における改変が、2つの重鎖のヘテロダイマー化を促進する、実施形態C69の核酸。
C71.第2の重鎖Fc領域における改変がプロテインA結合を変化させる、実施形態C69の核酸。
C72.第2の重鎖Fc領域が、プロテインA結合を変化させる改変をさらに含む、実施形態C70の核酸。
C73.第2の重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させる改変が、アミノ酸置換H435R/Y436Fであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C50aまたはC50bの核酸。
C74.第2の重鎖がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させる改変が、アミノ酸置換R435H/F436Yであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C71またはC72の核酸。
C75.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C69またはC70の核酸。
C76.重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C75の核酸。
C77.重鎖がIgG3であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C75の核酸。
C78.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C69またはC70の核酸。
C79.重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C78の核酸。
C80.重鎖がIgG3であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C78の核酸。
C81.第2の重鎖Fc領域がS354CまたはY349Cのアミノ酸置換をさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態C75〜C80のいずれか一つの核酸。
C82.第2の重鎖Fc領域における改変が抗体の半減期を変化させ、半減期がFcRn結合親和性に依存する、実施形態C69の核酸。
C83.抗体の半減期を変化させる第2の重鎖Fc領域における改変をさらに含む、実施形態C69〜C80のいずれか一つの核酸であって、半減期がFcRn結合親和性に依存する、核酸。
C84.第2の重鎖Fc領域における改変がエフェクター機能を変化させ、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、実施形態C49の核酸。
C85.エフェクター機能を変化させる第2の重鎖Fc領域における改変をさらに含む、実施形態C69〜C83のいずれか一つの核酸であって、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、核酸。
D1.改変軽鎖を含む抗体であって、改変軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、抗体。
D2.CL領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態D1の抗体。
D3.CL領域が天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつVL領域が天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態D1の抗体。
D4.軽鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態D1〜D3のいずれか一つの抗体。
D5.改変重鎖をさらに含む、実施形態D1〜D4のいずれか一つの抗体であって、改変重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、抗体。
D6.CH1領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態D5の抗体。
D7.CH1領域が天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつVH領域が天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態D5の抗体。
D8.重鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態D5〜D7のいずれか一つの抗体。
D9.天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換から得られる、改変重鎖の置換システインと、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換から得られる、改変軽鎖の置換システインとが、ジスルフィド結合を形成することができる、実施形態D5〜D8のいずれか一つの抗体。
D10.2つの重鎖および2つの軽鎖を含む、実施形態D1〜D9のいずれか一つの抗体。
D11.2つの重鎖および2つの軽鎖が4つの別個のポリペプチドである、実施形態D10の抗体。
D12.2つの重鎖および2つの軽鎖が単一のポリペプチドである、実施形態D10の抗体。
D13.完全長抗体である、実施形態D1〜D12のいずれか一つの抗体。
D14.2つの重鎖がそれぞれVHドメイン、CH1ドメインおよびFc領域を含み、VHドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、CH1ドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつFc領域が異なるアミノ酸配列を有する、実施形態D10〜D13のいずれか一つの抗体。
D15.2つの重鎖がヘテロダイマーを形成する、実施形態D14の抗体。
D16.2つの軽鎖がそれぞれVLドメインおよびCLドメインを含み、VLドメインが同一であるかまたは異なるアミノ酸配列を有し、かつCLドメインが異なるアミノ酸配列を有する、実施形態D10〜D15のいずれか一つの抗体。
D17.2つの独立した抗原または同じ抗原上の2つの独立したエピトープに特異的に結合する、実施形態D1〜D16のいずれか一つの抗体。
D18.2つの独立した抗原に対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態D17の抗体。
D19.同じ抗原上の2つの独立したエピトープに対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、実施形態D17の抗体。
D20.2つの異なる結合親和性で同じエピトープに特異的に結合する、実施形態D1〜D16のいずれか一つの抗体。
D21.軽鎖がカッパ軽鎖またはラムダ軽鎖である、実施形態D1〜D20のいずれか一つの抗体。
D22.1つの軽鎖がカッパ軽鎖であり、かつ1つの軽鎖がラムダ軽鎖である、実施形態D6〜D20のいずれか一つの抗体。
D23.(i)CH1領域に改変を含む1つの改変重鎖、およびCL領域に改変を含む対応する1つの改変軽鎖と、(ii)CH1領域およびCL領域が改変されていない、第2の重鎖および対応する軽鎖とを含む、実施形態D1〜D22のいずれか一つの抗体。
D24.免疫グロブリンG(IgG)である、実施形態D1〜D23のいずれか一つの抗体。
D25.改変重鎖が、CH1領域の位置220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D5〜D24のいずれか一つの抗体。
D26.改変重鎖が、CH1領域の位置131および/または219および/または220に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D5〜D24のいずれか一つの抗体。
D27.改変重鎖が、CH1領域の位置131および219および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D5〜D24のいずれか一つの抗体。
D28.改変重鎖が、CH1領域の位置131および220のそれぞれに天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D5〜D24のいずれか一つの抗体。
D29.改変重鎖が、CH1領域の位置131に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D5〜D24のいずれか一つの抗体。
D30.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置214に天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D29の抗体。
D31.非システインアミノ酸がバリンまたはアラニンである、実施形態D25〜D30のいずれか一つの抗体。
D32.改変重鎖が、CH1領域の位置141に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D25〜D31のいずれか一つの抗体。
D33.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32の抗体。
D34.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32の抗体。
D35.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32の抗体。
D36.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D34のいずれか一つの抗体。
D37.改変重鎖が、CH1領域の位置141におけるアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D35のいずれか一つの抗体。
D38.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D37のいずれか一つの抗体。
D39.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンまたはトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D38のいずれか一つの抗体。
D40.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D39のいずれか一つの抗体。
D41.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D32〜D39のいずれか一つの抗体。
D42.改変重鎖が、CH1領域の位置168に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D25〜D33のいずれか一つの抗体。
D43.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42の抗体。
D44.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42の抗体。
D45.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42の抗体。
D46.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42〜D44のいずれか一つの抗体。
D47.改変重鎖が、CH1領域の位置168におけるヒスチジンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42、D44またはD45のいずれか一つの抗体。
D48.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164における天然非システインアミノ酸からシステインへの置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42〜D47のいずれか一つの抗体。
D49.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが非システインアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42〜D48のいずれか一つの抗体。
D50.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置164におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D42〜D49のいずれか一つの抗体。
D51.改変重鎖が、CH1領域の位置126に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D25〜D31のいずれか一つの抗体。
D52.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51の抗体。
D53.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51の抗体。
D54.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51の抗体。
D55.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51〜D53のいずれか一つの抗体。
D56.改変重鎖が、CH1領域の位置126におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51またはD53〜D55のいずれか一つの抗体。
D57.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51〜D56のいずれか一つの抗体。
D58.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121におけるセリンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51〜D57のいずれか一つの抗体。
D59.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置121におけるセリンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D51〜D58のいずれか一つの抗体。
D60.改変重鎖が、CH1領域の位置128における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D25〜D31のいずれか一つの抗体。
D61.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60の抗体。
D62.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60の抗体。
D63.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60の抗体。
D64.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置220におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60〜D62のいずれか一つの抗体。
D65.改変重鎖が、CH1領域の位置128におけるロイシンがシステインにより置換されており、かつCH1領域の位置131におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60またはD62〜D64のいずれか一つの抗体。
D66.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60〜D65のいずれか一つの抗体。
D67.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60〜D66のいずれか一つの抗体。
D68.対応する改変軽鎖が、CL領域の位置118におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D60〜D67のいずれか一つの抗体。
D69.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはKabatインデックスによる、実施形態D23〜D31のいずれか一つの抗体。
D70.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG1重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH領域の位置220におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D69の抗体。
D71.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG2重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131および220のそれぞれにおけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D69の抗体。
D72.改変重鎖が、可変領域の位置44に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含むIgG3またはIgG4重鎖であり、ナンバリングはKabatインデックスにより、かつCH1領域の位置131におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されており、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D69の抗体。
D73.対応する改変軽鎖が、可変領域の位置100における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換(ナンバリングはKabatによる)と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換(ナンバリングはEUインデックスによる)とを含む、実施形態D69〜D72のいずれか一つの抗体。
D74.Fc領域が1つ以上の改変を含む、実施形態D14の抗体。
D75.Fc領域における改変が、重鎖のヘテロダイマー化を促進する、実施形態D74の抗体。
D76.Fc領域における改変がプロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在する、実施形態D74の抗体。
D77.プロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在するFc領域における改変をさらに含む、実施形態D75の抗体。
D78.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換H435R/Y436Fであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D76またはD77の抗体。
D79.抗体がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させるFc領域改変がアミノ酸置換R435H/F436Yであり、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D76またはD77の抗体。
D80.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D23〜D75のいずれか一つの抗体。
D81.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D80の抗体。
D82.抗体がIgG3であり、かつ第1の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D80の抗体。
D83.改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ第2の重鎖が、アミノ酸置換T366Wを含むCH3領域を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D23〜D75のいずれか一つの抗体。
D84.抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D83の抗体。
D85.抗体がIgG3であり、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D83の抗体。
D86.改変重鎖Fc領域さらにS354Cのアミノ酸置換、かつ第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D80〜D85のいずれか一つの抗体。
D87.改変重鎖Fc領域がY349Cのアミノ酸置換をさらに含み、かつ第2の重鎖Fc領域鎖がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態D80〜D85のいずれか一つの抗体。
D88.Fc領域における改変が抗体の半減期を変化させ、半減期がFcRn結合親和性に依存する、実施形態D74の抗体。
D89.抗体の半減期を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態D74〜D88のいずれか一つの抗体であって、半減期がFcRn結合親和性に依存する、抗体。
D90.Fc領域における改変がエフェクター機能を変化させ、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、実施形態D74の抗体。
D91.エフェクター機能を変化させるFc領域における改変をさらに含む、実施形態D74〜D89のいずれか一つの抗体であって、Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、抗体。
D92.ヒト抗体である、実施形態D1〜D91のいずれか一つの抗体。
D93.ヒト化抗体である、実施形態D1〜D91のいずれか一つの抗体。
D94.キメラ抗体である.、実施形態D1〜D91のいずれか一つの抗体。
E1.実施形態A1〜A94のいずれか一つの抗体を含む組成物。
E2.実施形態B1〜B71のいずれか一つの抗体を含む組成物。
E3.実施形態D1〜D94のいずれか一つの抗体を含む組成物。
F1.改変軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸であって、改変軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、核酸。
F2.改変軽鎖ポリペプチドのCL領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、実施形態F1の核酸。
F3.改変軽鎖ポリペプチドのCL領域が、天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつ改変軽鎖ポリペプチドのVL領域が、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、実施形態F1の核酸。
F4.改変軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸であって、改変軽鎖が、空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、核酸。
F5.改変軽鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換をさらに含む、実施形態F4の核酸。
F6.軽鎖天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、実施形態F1、F2、F3、またはF5のいずれか一つの核酸。
F7.改変軽鎖がカッパ軽鎖である、実施形態F1〜F6のいずれか一つの核酸。
F8.改変軽鎖がラムダ軽鎖である、実施形態F1〜F6のいずれか一つの核酸。
F9.改変免疫グロブリンG(IgG)軽鎖をコードする、実施形態F1〜F8のいずれか一つの核酸。
F10.改変軽鎖が、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9の核酸。
F11.改変軽鎖が、CL領域の位置116における天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換と、CL領域の位置214における天然システインから非システインアミノ酸への置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9の核酸。
F12.改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンまたはトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインが、システインでないアミノ酸により置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F11の核酸。
F13.改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F12の核酸。
F14.改変軽鎖が、CL領域の位置116におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F12のいずれか一つの核酸。
F15.改変軽鎖が、CL領域の位置164におけるトレオニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F5の核酸。
F16.改変軽鎖が、CL領域の位置121におけるセリンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9の核酸。
F17.改変軽鎖が、CL領域の位置118におけるフェニルアラニンがシステインにより置換されており、かつCL領域の位置214におけるシステインがバリンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9の核酸。
F18.改変軽鎖が、可変領域の位置100に天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含み、ナンバリングはKabatによる、実施形態F9の核酸。
F19.改変軽鎖が、位置131におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置135におけるアミノ酸の、小型側鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9またはF10の核酸。
F20.改変軽鎖が、位置131におけるセリンまたはトレオニンがトリプトファンにより置換されており、かつCL領域の位置135におけるロイシンがグリシンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F19の核酸。
F21.改変軽鎖が、位置176におけるアミノ酸の、大型側鎖を有するアミノ酸による置換と、位置178におけるアミノ酸の、小型側鎖の鎖を有するアミノ酸による置換とを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F9またはF10の核酸。
F22.改変軽鎖が、位置176におけるセリンがフェニルアラニンにより置換されており、かつ位置178におけるトレオニンまたはチロシンがアラニンにより置換されているアミノ酸置換を含み、ナンバリングはEUインデックスによる、実施形態F2の核酸。
F23.発現ベクターである、実施形態F1〜F22のいずれか一つの核酸。
F24.発現ベクターが、改変されていない第2の軽鎖をコードする第2の核酸をさらに含む、実施形態F23の核酸。
F25.発現ベクターが、第1および第2の重鎖をそれぞれコードする第3および第4の核酸をさらに含み、
(a)第1の重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む改変重鎖であり;および
(b)第2の重鎖が改変されていない、実施形態F23の核酸。
F26.発現ベクターが、改変されている第2の軽鎖をコードする第2の核酸をさらに含む、実施形態F23の核酸。
F1.第2の改変軽鎖が、空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む、実施形態F26の核酸。
F27.発現ベクターが、第1および第2の重鎖をそれぞれコードする第3および第4の核酸をさらに含み、
(a)第1の重鎖が、代償性の突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変重鎖であり;および
(b)第2の重鎖が、代償性の突出および/または空洞をもたらすCH1領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換を含む改変重鎖であり、
改変が、第1の軽鎖と第1の重鎖との、および第2の軽鎖と第2の重鎖との鎖間ペアリングに有利に働く、実施形態F26またはF27の核酸。
G1.実施形態C62〜C85のいずれか一つの核酸を含む細胞。
G2.実施形態F23〜F28のいずれか一つの核酸を含む細胞。
G3.実施形態C62、C63、C65、C66またはC68〜C85のいずれか一つの核酸と、実施形態F23、F24、F26またはF27のいずれか一つの核酸とを含む細胞。
H1.改変重鎖ポリペプチドおよび対応する改変軽鎖ポリペプチドを生成する方法であって、実施形態C62、C63、C65、C66またはC68〜C85のいずれか一つの核酸と、実施形態F23、F24、F26またはF27のいずれか一つの核酸とを含む複数の細胞を、ポリペプチドが発現する条件に接触させることを含む、方法。
H2.細胞が、改変されていない第2の重鎖ポリペプチドをコードする核酸と、改変されていない対応する第2の軽鎖ポリペプチドをコードする核酸とをさらに含む、実施形態H1の方法。
H3.細胞が、改変されている第2の重鎖ポリペプチドをコードする核酸と、改変されている対応する第2の軽鎖ポリペプチドをコードする核酸とをさらに含む、実施形態H1の方法。
H4.(a)改変重鎖ポリペプチド、(b)対応する改変軽鎖ポリペプチド、(c)改変されていない第2の重鎖ポリペプチドおよび(d)改変されていない対応する軽鎖ポリペプチドを生成する方法であって、実施形態C63またはC68〜C85のいずれか一つの核酸と、実施形態F24の核酸とを含む複数の細胞を、ポリペプチドが発現する条件に接触させることを含む、方法。
H5.(a)改変重鎖ポリペプチド、(b)対応する改変されている第1の軽鎖ポリペプチド、(c)第2の改変重鎖ポリペプチド、および(d)対応する第2の改変軽鎖ポリペプチドを生成する方法であって、実施形態C65、C66、またはC68〜C85のいずれか一つの核酸と、実施形態F26の核酸とを含む複数の細胞を、ポリペプチドが生成する条件に接触させることを含む、方法。
H5.(a)改変重鎖ポリペプチド、(b)対応する改変軽鎖ポリペプチド、(c)改変されていないCH1領域を含む第2の重鎖ポリペプチド、および(d)改変されていない対応する軽鎖ポリペプチドを生成する方法であって、実施形態C64またはC68〜C85のいずれか一つの核酸または実施形態F25の核酸を含む複数の細胞を、ポリペプチドが発現する条件に接触させることを含む、方法。
H6.(a)第1の改変重鎖ポリペプチド、(b)対応する改変軽鎖ポリペプチド、(c)改変されている第2の重鎖ポリペプチド、および(d)改変されている対応する軽鎖ポリペプチドを生成する方法であって、実施形態C67またはC68〜C85のいずれか一つの核酸または実施形態F28の核酸を含む複数の細胞を、ポリペプチドが発現する条件に接触させることを含む、方法。
以下に説明する例は特定の態様を例示し、本技術を限定するものではない。
実施例1:材料および方法
この実施例に説明する材料および方法を使用して後続の例に記載する実験を実施した。全ての試薬は、特に明記しない限り、Invitrogen,Carlsbad,CAによった。
pMBab−HeavyおよびpMBab−Light哺乳動物発現ベクターの構築ならびにMBab IgG1として発現する免疫グロブリン遺伝子のクローニング
哺乳動物細胞培養で一価二重特異的ヒトIgG1抗体(MBab)を生成するため、プラスミドpMBab−HeavyおよびpMBab−Light(カッパおよびラムダ)を設計した。pMBab−Heavyベクターは2つのヒトガンマ1重鎖(HC)カセットを含有してHCヘテロダイマー化を支援した。前者の重鎖がCH3ドメインに「ホール」セットの突然変異を有する一方、後者がCH3に相補体「ノブ」突然変異を有し、ただしこれらのカセットの順序は容易に逆にし得る。重鎖および軽鎖のミスペアリングを回避するため、軽鎖と界面ジスルフィドを形成する「ノブ」重鎖のCH1ドメインにおける天然システインを除去し、代替的な界面システインをCH1ドメインにおける他の場所またはVH領域における他の場所に挿入して、コグネイト(本明細書では「対応する」とも称される)軽鎖および重鎖のホモダイマー化を支援する。あるいは、軽鎖と界面ジスルフィドを形成する「ホール」重鎖のCH1ドメインにおける天然システインを除去してもよく、代替的な界面システインをCH1ドメインにおける他の場所またはVHドメインにおける他の場所に挿入して、コグネイト軽鎖および重鎖のダイマー化を支援した。場合により、代替的な界面システインの代わりに、コグネイト軽鎖および重鎖のダイマー化を支援するため空洞および/または突出を生成する1つ以上の置換がそれぞれのCH1に導入され、pMBab−Heavyベクターにおける「ホール」および「ノブ」HCカセットに、それぞれBssHII/NheIおよびBsrGI/SalI制限酵素断片としてVHドメインが導入される。pMBab−Lightカッパベクターは2つのヒトカッパ軽鎖(LC)カセットを含有する。pMBab−LightカッパベクターにおけるLCカセットに、それぞれBssHII/BsiWIおよびBsrGI/NotI制限酵素断片としてVkドメインが導入される。pMBab−Lightラムダベクターも同様の方法を用いて調製される。pMBab−LightラムダベクターにおけるLCカセットに、それぞれBssHII/KasIおよびBsrGI/HindIII制限酵素断片としてVλドメインが導入される。同様に、カッパドメインを含む1つのカセットとラムダドメインを含む1つのカセットとを有するpMBab−Lightベクターが構築され得る。重鎖および軽鎖のミスペアリングを回避するため、重鎖と界面ジスルフィドを形成するCL(CkまたはCλ)ドメインの1つにおける天然システインを除去し、代わりに、CL(CkまたはCλ)ドメインにおける他の場所またはVLにおける他の場所に、CH1ドメインまたはVHドメインにおける代替的なシステインを相補する代替的な界面システインを挿入して、コグネイト軽鎖および重鎖のダイマー化を支援する。場合により、CLドメインにおける代替的な界面システインの代わりに、それぞれのCLに、CH1ドメインにおける空洞および/または突出を相補する代償性の突出および/または空洞を生成する1つ以上の置換が導入され、コグネイト軽鎖および重鎖のダイマー化がを支援される。これらのベクターを使用して、2つの重鎖および(i)2つのカッパ鎖;(ii)2つのラムダ鎖;または(iii)1つのラムダ鎖および1つのカッパ鎖を有するMBabを生成することができ、ここで重鎖の少なくとも1つおよび軽鎖の1つには置換が導入されており、それによりミスペアリングが回避され、かつコグネイト軽鎖および重鎖のダイマー化が支援される。
哺乳動物ヒトIgG1抗体の生成に用いられるインハウス哺乳動物発現ベクターの骨格に、プラスミドpMBab−HeavyおよびpMBab−Light(カッパおよびラムダ)を構築した。pMBab−Heavyベクターを構築するため、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によってヒンジ領域配列にPmlI部位を導入し、遺伝子操作された定常ドメインの好都合なクローニングを促進した。「ノブ」突然変異T366W、および安定化突然変異S354Cを、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によってCH3ドメインに導入した。得られた「ノブ」CH2−CH3 PCR産物を、ベクターにPmlI/EcoRI制限酵素断片としてクローニングし戻すと、ベクターにおいて内部NotI部位が除去された。V12変異体の構築には、2つの突然変異C220VおよびF126Cを、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によって「ノブ」重鎖のCH1ドメインに導入し、ここでは前者が、軽鎖と界面ジスルフィドを形成するCH1における天然システインを突然変異させ、および後者がCH1に代替的な界面システインを導入して、コグネイト軽鎖および重鎖のホモダイマー化を支援した。V10、V11、またはVN変異体の構築には、C220V突然変異をA141C突然変異、またはH168C突然変異、またはL128C突然変異と組み合わせる。V1変異体の構築には、V185WおよびK147A突然変異を場合によりC220V突然変異と組み合わせる。V3変異体の構築には、L145F、F170V、S183FおよびV185F突然変異を場合によりC220Vと組み合わせる。以下に詳述する例では、V1またはV3変異体は合成遺伝子断片の生成によってC220V突然変異と組み合わせ、種々のベクターにおける「ノブ」重鎖カセットに挿入し、続いて「ホール」重鎖カセットにおける代替的な変異体とペアリングした(下記参照)(すなわち、ノブカセットにおけるV1をホールカセットにおけるV3とペアリングした)。望ましくない「ホール−ホール」ホモダイマーの除去を促進するため、IgG3 Fc領域の「ノブ」CH3ドメインに追加の突然変異を導入してプロテインA結合を導入する。例えば、R435H、F436Y突然変異がIgG3抗体にプロテインA結合を導入することが知られており、以下に詳述するのと同様の方法を用いて導入し得る。
「ホール」セットの突然変異T366S、L368A、Y407V、および安定化突然変異Y349Cを、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によって第2のベクターのCH3ドメインに導入した。得られた「ホール」VH−CH1−CH2−CH3 PCR産物をBssHII/XbaIで消化し、BssHII/NheIでベクターを線状化した後の「ノブ」重鎖を有するベクターに挿入し戻した。結果的に「ホール」重鎖断片がベクターにおける軽鎖セグメントを置き換え、さらに内部NheI部位がノックアウトされたサイレント突然変異が導入され、かつ新しいHindIII部位が挿入された。「ホール」重鎖セグメントにVHドメインを好都合にクローニングするため、CH1ドメインの5’における内部SalI部位を、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によってNheIに突然変異させた。配列検証後、得られたプラスミドをpMBab−Heavyと命名した。V1変異体の構築には、V185WおよびK147A突然変異を場合によりC220V突然変異と組み合わせる。V3変異体の構築には、L145F、F170V、S183FおよびV185F突然変異を場合によりC220Vと組み合わせる。以下に詳述する例では、V1およびV3変異体はC220V突然変異なしに合成遺伝子断片として生成し、それぞれ「ノブ」カセットに代替的な変異体を含むpMBab−Heavyベクターの「ホール」重鎖カセットに挿入した。望ましくない「ホール−ホール」ホモダイマーの除去を促進するため、IgG1、IgG2またはIgG4 Fc領域の「ホール」CH3ドメインに追加の突然変異を導入して、プロテインA結合を低下させまたは除去する。例えば、以下に記載するとおり、プロテインA結合を除去することが知られるH435R、Y436F突然変異を導入した。
V12変異体を含むpMBab−Lightベクターの構築用に、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によってベクターにおける軽鎖カセットに2つの突然変異C214VおよびS121Cを導入した。前者が、重鎖と界面ジスルフィドを形成するCkドメインにおける天然システインを突然変異させ、および後者が、Ckにおける代替的な界面システインを導入してCH1ドメインにおける代替的なシステインを相補して、コグネイト軽鎖および重鎖のホモダイマー化を支援した。得られたV−Ck PCR産物をBsrGI/EcoRI制限酵素断片としてベクターに導入し戻すと、既存の重鎖カセットが置き換えられた。これはさらに、ベクターにおける内部NotI部位の除去をもたらした。システイン突然変異軽鎖にVkドメインを好都合にクローニングするため、Ckドメインの5’における内部SalI部位を、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によってNheIに突然変異させた。配列検証後、得られたベクターをpMBab−Lightカッパ鎖と命名した。Vλ領域を使用して作製した同様のベクターは、第2の軽鎖カセットにおけるNotI部位を置き換える遺伝子操作されたHindIII部位および第1の軽鎖カセットにおけるBsiWIを置き換えるKasI部位を含む。得られたベクターは、pMBab−Lightラムダ鎖と命名した。V10、V11、またはVN変異体の構築には、C214V突然変異をF116C突然変異(κ)/T116C突然変異(λ)、またはT164C突然変異(κまたはλ)、またはF118C突然変異(κまたはλ)と組み合わせる。
V1変異体の構築には、S131W(κ)/T131W(κ)突然変異およびL135G(κまたはλ)突然変異を場合によりC220V突然変異と組み合わせる。V3変異体の構築には、S176F(κまたはλ)突然変異およびT178A(κ)/Y178A(λ)突然変異を場合によりC220Vと組み合わせる。以下に詳述する例では、V1またはV3変異体のいずれも、合成遺伝子断片の生成によってC214V突然変異と組み合わせ、pMab−Lightベクターに挿入した。C214V突然変異は、C220V突然変異を有する対応するCH1とペアリングしたVLのみに含まれた。
発現、アフィニティー精製およびタンパク質定量化
以下に示す構築物は全て、293fectin(商標)(Invitrogen)を形質移入試薬として使用して懸濁液中でHEK293F細胞において一過的に発現させて、Invitrogenの無血清Freestyle(商標)培地で成長させた。これらの試験で使用した抗体の発現には、以下のベクターの組み合わせを用いた:
1.pMBab−Heavy抗IL6 WT+抗RAGE WT+pMBab−Light抗IL6 WT+抗RAGE WT;
2.pMBab−Heavy抗IL6 WT+抗RAGE(−Cys)+pMBab−Light抗IL6 WT+抗RAGE(−Cys);3.pMBab−Heavy抗IL6 WT+抗RAGE V10+pMBab−Light抗IL6 WT+抗RAGE V10;
4.pMBab−Heavy抗IL6 WT+抗RAGE V11+pMBab−Light抗IL6 WT+抗RAGE V11;5.pMBab−Heavy抗IL6 WT+抗RAGE V12+pMBab−Light抗IL6 WT+抗RAGE V12;
5.pMBab−Heavy抗EGFR WT+抗HER2 V12+pMBab−Light抗EGFR WT+抗HER2 V12;
6.pMBab−Heavy抗IL6 V1+抗RAGE V3(−Cys)+pMab−Light抗IL6 V1+抗RAGE V3(−Cys);
7.pMBab−Heavy抗IL6 V3+抗RAGE V1(−Cys)+pMab−Light抗IL6 V3+抗RAGE V1(−Cys);
8.pMBab−Heavy抗IL6 V1+抗RAGE V3+pMab−Light抗IL6 V1+抗RAGE V3;および
9.pMBab−Heavy抗IL6 V3+抗RAGE V1+pMab−Light抗IL6 V3+抗RAGE V1。
培養培地は形質移入の10日後に回収し、全ての抗体フォーマットは、製造者のプロトコルに従い標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製し(GE Healthcare,Piscataway,NJ)、続いてPBS(pH7.4)に緩衝液交換した。SDS−PAGEを用いて還元および非還元条件下で、および分析的サイズ排除クロマトグラフィーを使用して(以下の方法を参照)、構築物の純度を分析した。理論的に決定された吸光係数を使用して、280nmの吸光度を読み取ることにより精製抗体の濃度を決定した。
「ホール」重鎖に「RF」突然変異を有するpMBab−Heavy構築物の遺伝子操作、生成および分析
「ホール」重鎖のプロテインA結合を除去するため、CH3ドメインにおけるhIgG1残基H435およびY436を、ヒトIgG3に見られるとおり、それぞれ対応するR435およびF436へと、オーバーラップ伸長PCR技法を用いた部位特異的突然変異導入によって突然変異した(H435R/Y436F)。「RF」突然変異と称される突然変異H435RおよびY436Fを有する得られたヒトIgG1「ホール」重鎖は、プロテインAとの結合能力を欠いている。RF突然変異を有するpMBab構築物を、293fectin(商標)(Invitrogen)を形質移入試薬として使用して懸濁液中でHEK293F細胞において一過的に発現させて、Invitrogenの無血清Freestyle(商標)培地で成長させた。標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより、製造者のプロトコル(GE Healthcare,Piscataway,NJ)に従い培養上清を精製し、続いてPBS(pH7.4)に緩衝液交換した。還元および非還元条件下でSDS−PAGEにより、分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、および還元および非還元条件下で逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により、タンパク質試料を分析および特徴付けした。軽鎖がミスペアリングした副産物(すなわち、ミスペアリングした軽鎖を含む重鎖ヘテロダイマー)を、CaptureSelect LC−KappaまたはLC−Lambdaアフィニティークロマトグラフィーにより、製造者のプロトコル(GE Healthcare,Piscataway,NJ)に従い除去し、続いてPBS(pH7.4)に緩衝液交換した。決定されている吸光係数を使用して、280nmの吸光度を読み取ることにより精製抗体の濃度を決定した。
SEC−HPLCおよび光散乱検出分析
Superdex 200カラム(GE Healthcare)を使用して、分取SEC−HPLCを1ml/分の流速で実施した。光散乱検出器とインラインで連結した分析用SEC−HPLC(Agilent 1100 Capillary LC System)を使用して、親抗体および一価二重特異的抗体(MBab)の絶対分子質量を決定した。
ELISA結合
ELISAプレートを、4℃で20時間、PBS(pH7.4)に希釈した抗原でコーティングし、PBS中の2%(v/v)脱脂乳+0.05%(v/v)TWEEN 20により室温で2時間ブロックした。後続の工程は全て室温で行った。抗体を種々の濃度でプレートに加え、1時間インキュベートした。HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトを二次抗体として使用した。発色HRP基質TMBを使用してELISAプレートを発色させ、発色を1M HSOで停止させ、得られたシグナルをA450nmで読み取った。
AlphaLISA結合
全てのAlphaLISA試薬はPerkinElmerによった。弱い照明の条件下、室温でAlphaLISAビーズとのインキュベーション工程を実施した。アッセイは、白色96ウェルハーフエリアOPTIPLATESにおいて実施した。種々の濃度の抗体を、1X AlphaLISAイムノアッセイ緩衝液中、室温で1時間、40マイクログラム/mlのAlphaLISA抗FLAGアクセプタービーズおよび10nMのビオチン化IL6およびRAGE−FLAG抗原と共にインキュベートした。400マイクログラム/mlのAlphaLISA(SA)ドナービーズを30分間加え、続いてアッセイプレートをENVISIONプレートリーダーで読み取った。
キネティクスおよび同時結合
結合キネティクスを、2つの異なる捕捉フォーマットを用いて、Octet384機器(ForteBio)でバイオレイヤー干渉法により計測した。
フォーマットI:抗hIgG−Fc捕捉(AHC)バイオセンサーに、PBS pH7.4、1mg/ml BSA、0.05%(v/v)TWEEN(キネティック緩衝液)中の抗体をローディングした。ローディングしたバイオセンサーを同じ緩衝液で洗浄した後、指示時間に対して種々の抗原による結合および解離測定を実施した。OCTETソフトウェア v.6.1を使用して、データの非線形フィットから速度論的パラメータ(konおよびkoff)および親和性(KD)を計算した。
フォーマットII:ストレプトアビジン高結合キャパシティ(キネティクスグレード)バイオセンサーに、PBS pH7.4、1mg/ml BSA、0.05%(v/v)Tween(キネティック緩衝液)中のビオチン化抗原をローディングした。ローディングしたバイオセンサーを同じ緩衝液で洗浄した後、指示時間に対して抗体および抗原による結合および解離測定を実施した。Octetソフトウェア v.6.1を使用してデータ解析を行った。
示差走査熱量測定分析
MICROCAL VP−DSC走査マイクロカロリメーター(Microcal,Northampton,MA)を使用して、DSC実験を実施した。DSCに用いた全ての溶液および試料は0.22マイクロメートルフィルタを使用して濾過し、脱気してからカロリメーターにローディングした。DSC試験に用いた抗体は、分析的ゲル濾過クロマトグラフィーにより判断するとき、95%超モノマーであった。DSC分析の前に、全ての試料を25mMヒスチジン−HCl(pH6)で徹底的に透析した(少なくとも3つの緩衝液交換)。次いで、この透析からの緩衝液を後続のDSC実験の参照緩衝液として使用した。試料測定の前、試料計測値から差し引くベースライン計測値(緩衝液対緩衝液)を得た。透析試料(1mg/mlの濃度)をサンプルウェルに加え、DSC測定を1℃/分の走査速度で実施した。Microcalにより提供されるOrigin(商標)DSCソフトウェアを使用して、データ解析およびデコンボリューションを実施した。非二状態モデルを使用してデコンボリューション分析を実施し、100反復サイクルを用いてベストフィットを得た。DSCデコンボリューション結果の解釈は、オリゴ特異的抗体フォーマットにおける異なるドメインが協同的転移で独立してアンフォールドされることに基づいた。
ペプチドマッピング
初めに、1mM N−エチルマレイミドを使用して試料中の遊離チオール基をキャッピングした。次いで、5mMリン酸水素二ナトリウム、100mM塩化ナトリウムおよび6Mグアニジン、pH7.0の溶液中、37℃で30分間、試料を変性させた。次いで、変性した溶液を、pH7.0の0.06mM EDTAを含有する100mMリン酸緩衝液で2.5倍希釈した。エンドプロテアーゼLys−Cを1:10の酵素:タンパク質比で添加し、反応混合物を37℃で16時間インキュベートした。追加のLysCを1:10の酵素:タンパク質比で添加し、さらに37℃で4時間インキュベートした。Lys−C消化後、DTTを終濃度30mMとなるように添加して37℃で15分間インキュベートすることにより、各反応混合物の半分を還元した。反応混合物の残りの半分は、還元せずに調製した。消化したペプチドをUPLC逆相クロマトグラフィー分析(Waters ACCQUITY UPLC BEH RP C18カラム;1.7マイクロメートル 100×2.1mm)により分離し、UV検出器およびオンラインLTQ ORBITRAP質量分析器(ThermoElectron)により分析した。RP−UPLC移動相Aは水中0.02%TFAであったとともに、移動相Bはアセトニトリル中0.02%TFAである;緩衝液Bが増加する勾配を用いて試料を溶出した。非還元(ジスルフィド結合したペプチドを含有する)と還元(還元型のペプチドを含有する)とのペプチドマップの結果を比較してペプチドを同定し、分析した。既知のタンパク質配列に基づき、MS(質量)データを使用して各ペプチドの配列を同定し、MS/MS(ペプチド質量シークエンシング)データを使用して確認した。MSデータにより、また非還元試料中にのみ存在したペプチドとして、ジスルフィド結合したペプチドが確認された。
パパイン消化Q−TOF LC−MS分析
パパイン消化のため、1mg/mlの抗体を0.4マイクログラムのパパインワーキング溶液で処理し、37±1℃の水浴中で4時間インキュベートした。Q−TOF(四重極直交加速飛行時間)型質量分析器の一つをWaters ACQUITY UPLC(商標)システムと連動させて、Q−TOF MSを実施した。逆相クロマトグラフィー分離を、BEH C4 1.7マイクロメートル 2.1×50mmカラムで、水中0.1%FA、0.01%TFAの移動相Aおよびアセトニトリル中0.1%FA、0.01%TFAの移動相Bを使用して実施した。移動相Bが増加する25分線形勾配を用いて試料を溶出した。既知のタンパク質配列に基づき、MS(質量)データを使用してFabおよびFc mAb断片を同定した。
細胞結合
一価二重特異的IgG1抗体(MBab)および親mAbによる細胞結合をフローサイトメトリーによって試験した。用いた細胞系はヒト類表皮癌A431細胞系、ヒト乳癌細胞系SKBR3、ヒト膵癌細胞系BxPC−3およびヒト卵巣癌細胞系SK−OV−3であった。各実験につき約5×10細胞を使用した。トリプシン処理後、細胞をFACS緩衝液(D−PBS中1%BSA(Ca++、mg++不含))で2回洗浄した。10マイクログラム/mlの抗体を4℃で1時間、細胞チューブに添加した。FACS緩衝液で2回洗浄した後、FITC標識ヤギ抗ヒトを4℃で45分間、添加した。SLR II(Becton Dickinson,CA)のフローサイトメトリーを用いて結合した抗体の検出を実施し、結果をFLOWJOプログラムで分析した。
細胞生存率アッセイ
細胞殺傷活性をCellTiter−Glo(登録商標)ルミネセンス細胞生存率アッセイ(Promega)により測定した。用いた細胞系は、ヒト類表皮癌A431細胞系、ヒト乳癌細胞系SKBR3、ヒト膵癌細胞系BxPC−3およびヒト卵巣癌細胞系SK−OV−3であった。細胞を96ウェルプレートに、10%FCSを補足したDMEM中5×10細胞/ウェルの密度で播種した。種々の濃度の抗体を4通りの試料に添加し、細胞を5%CO2雰囲気下、37℃で96時間インキュベートした。処理後、細胞をCellTiter−Glo(登録商標)試薬に20分間曝露し、ENVISIONプレートリーダーを使用してルミネセンスを測定した。
Fc受容体に対する結合キネティクス
種々のヒトFc受容体に対するMBab抗体およびヒトIgG1アイソタイプの結合親和性は、ProteOnで定常状態平衡結合アッセイを用いた。pH5.0のProteOn酢酸緩衝液中、50ug/mlの抗体をGLCチップ表面に固定化した。同じ緩衝液を使用した1:3段階希釈液中の5つの濃度の分析物を、固定化した表面上に通過させた。結合試験は室温で実施し、各分析物の平衡結合速度を決定し、それを用いて平衡解離定数(KD)を計算した。
ADCC試験
ADCCをCYTOTOX 96非放射性細胞傷害アッセイ(Promega)により測定した。このアッセイではヒト類表皮癌A431細胞系を使用した。細胞を96ウェルプレートに、3%FCSを補足したフェノールレッド不含RPMI 1640中4×10細胞/ウェルの密度で播種した。ヒトCD16(FcγRIIIA)およびFcεRIγの悪性非ホジキンリンパ腫トランスジェニック由来のヒトNK細胞系を標的細胞と1:1の比で混合した。種々の濃度の抗体を4通りの試料に添加し、細胞を5%CO2雰囲気下、37℃で5時間インキュベートした。処理後、細胞をCYTOTOX 96試薬に15分間曝露し、SPECTRAMAX 340PCプレートリーダーを使用して409nmのODを測定した。
選択的結合試験
選択的結合試験では、抗細胞表面抗原C(抗C)および抗細胞表面抗原D(抗D)を含むMBabを生成した(C/D−MBab)。両方の標的抗原(CおよびD)を発現する細胞に対するMBabの選択的結合を、抗原Cのみを発現する細胞(C細胞)、抗原Dを発現する細胞(D細胞)ならびにCおよびDの両方を発現する細胞(C/D細胞)を抗体染色用の単一のウェルに混合した複合集団培養系を使用して測定した。簡潔に言えば、C細胞およびC/D細胞が、それらを培養下で組み合わせる前に、それぞれ固有の同定トレーサー色素で染色され:C細胞がeFluor(登録商標)670(eBioscience、カタログ番号65−0840−90)で染色され、C/D細胞がCellTrace(商標)Violet(Invitrogen、カタログ番号C34557)で染色された一方、D細胞は染色されないままであった。このように、抗体染色後のフローサイトメトリー分析においてそれぞれの集団を区別することができた。細胞を1:1:1の比で組み合わせ、C/D−MBabおよび2つの二価親IgG(抗Cおよび抗D)の段階希釈液と共にインキュベートした。一次抗体インキュベーションを4℃で1時間実施し、過剰な抗体を除去し、PE標識抗ヒトIgGを使用して細胞結合抗体を検出した。BD LSR IIで分析を実施し、ここでダブレットは物理的特性(高さ、幅および密度)に基づき除外した。
Alexa Fluor(登録商標)647(Invitrogen、A30009)で標識した組換え標的タンパク質およびフローサイトメトリー分析を用いて、同じ細胞上の標的抗原に対する各C/D−MBabアームの同時結合を決定した。C/D細胞(両方の標的抗原を発現する)をC/D−MBabの段階希釈液(5〜0.01nM)と共に1時間インキュベートし、その後、FACS緩衝液(PBS+1%ウシ胎仔血清)で2回洗浄して未結合のC/D−MBabを除去した。PE標識抗ヒトIgGを使用して、細胞に結合したC/D−MBabを検出し、未結合のC/D−MBabアームは、蛍光Alexa Fluor(登録商標)647マイクロスケールタンパク質標識キット(Invitrogen、A30009)色素で標識した組換え標的タンパク質(CまたはD)を使用して検出することができた。単一の細胞に対する同時結合が測定されたことを確かめるため、ダブレット(フローサイトメーターを一緒に通過する2つ以上の細胞)を、分析に含まれた各細胞の高さ、幅および密度の物理的特性に基づき厳密に除外した。
実施例2:一価二重特異的抗体(MBab)設計
一価二重特異的IgGフォーマット(MBab)の概略図を図1Bに提示する。MBabは、IgGフォーマットにおいて各抗原に対して一価の結合部位を有する二重特異的抗体である。2つの異なる重鎖のヘテロダイマー化のため、プラットフォームは、Ridgway et al.(1996)Protein Eng.9(7):617−21に記載されるとおりCH3ドメインに古典的「ノブ・イントゥー・ホール」概念を利用し、また、Merchant et.al.(1998)Nat.Biotech 16:677−681に記載されるとおり、2つの重鎖の安定性およびヘテロダイマー化をさらに向上させるCH3ドメインにおける鎖間ジスルフィドの組み込みも利用した。それに加えてまたは代えて、CH3ドメインが、一方の重鎖上にアミノ酸残基H435およびY436を含み、かつ他方の重鎖上にアミノ酸残基R435およびF436を含むように遺伝子操作され、1つの鎖のプロテインA結合が除去される。上記のとおり、「ノブ・イントゥー・ホール」プラットフォームが用いられる場合、「ホール」を含む重鎖は酸残基R435およびF436を含み得る(図1Bで星印により示される)。CH3ドメインのこの場所は、図2の左側のパネルに提示する構造において矢印により示される。一価二重特異的抗体におけるコグネイト重鎖および軽鎖の正しいペアリングのため、MBab構築物における2つの抗体の一方の重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合を形成する天然の鎖間システインを除去し、代わりに、CL−CH1界面における他の場所に代替的な鎖間ジスルフィドを挿入して、コグネイト重鎖および軽鎖のホモダイマー化を支援した。
実施例3:LC−HC界面に代替的システインを有する変異体の設計
コグネイト重鎖および軽鎖に限る正しいペアリングを強制する代替的なLC−HC界面を生成するため、MBab構築物における2つの抗体の一方の鎖間ジスルフィドの再構築を含め、いくつかの方法を実施し得る。初めに、重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合を形成する天然の鎖間システインを、非システインアミノ酸残基、例えばバリンにより置き換えた。次に、3つの基準を用いて、システインへの置換に好適なLC−HC界面におけるアミノ酸ペアを同定した。第一に、対応するアルファ炭素間の距離が、天然に生じるジスルフィド結合に見られる距離(6.0〜7.0Å)と同程度でなければならない。第二に、ベータ炭素が(4.0〜5.0Å)の距離で互いの方を向いていなければならない。第三に、残基ペアが異なる鎖に属しなければならない。これらの基準を満たすLC−HC界面の7つの残基ペアを表7に提供する。
Figure 2015502409
それぞれ変異体10、11および12(V10、V11およびV12)に対応する3つの変異体、HC:A141/LC:F116、HC:H168/LC:T164およびHC:F126/LC:S121を試験した。図2の右側のパネルに提示する構造では、これらの位置の場所を矢印により示す。
別のアプローチでは、代替的な鎖間ジスルフィドを抗体の可変領域においてVHおよびVL領域間で遺伝子操作し得る。特に、VLおよびVH領域が代替的なジスルフィドを介して結合されるように、そのようなジスルフィドをフレームワーク領域に導入してもよい。このアプローチでは、重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合を形成する天然の鎖間システインが非システインアミノ酸残基(例えば、バリン、アラニン、グリシン等)により置き換えられ、VHおよびVL領域の、一般にはフレームワーク領域におけるある非システインアミノ酸が、システインにより置き換えられる。位置は、システイン残基がジスルフィド結合を形成することができるように選択される。これらの基準を満たすVHおよびVL領域における残基の位置を表8に提供する。
Figure 2015502409
さらに別のアプローチでは、CH1領域が、突出および/または空洞を生成するように遺伝子操作される一方、コグネイト軽鎖が、代償性の空洞および/または突出を生成するように遺伝子操作され得る。コグネイト重鎖および軽鎖に限る正しいペアリングをさらに強制するため、CH1およびCL領域を、重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合を形成する天然の鎖間システインが除去されるようにさらに改変してもよい。
一方のアームだけLC−HC界面が上記のとおり改変されるか、あるいは、両方のアームとも改変され得る二重特異的抗体が生成され得る。本明細書における教示に基づけば、正しくないペアリングを最小限に抑える一方でコグネイト重鎖および軽鎖の正しいペアリングを強制するため、各アームのLC−HC界面は異なる形で改変されるであろうことが理解される。例えば、限定するものではないが、一方のアームが天然のジスルフィド結合をLCおよびCH1領域内の異なる位置に再配置するように改変され、かつ他方のアームが天然のジスルフィド結合をVL−VH領域に再配置するように遺伝子操作されてもよく、または両方のアームが天然のジスルフィド結合をLCおよびCH1界面内の異なる位置に再配置するように改変されてもよく、または両方のアームがLCおよびCH1界面内の異なる位置に空洞および/または突出を組み込むように改変されてもよい。
実施例4:哺乳動物細胞における一価二重特異的抗体生成用のpMBabベクター系の開発
哺乳動物細胞培養で一価二重特異的ヒトIgG1抗体を生成するため、プラスミドpMBab−HeavyおよびpMBab−Lightを設計した。pMBab−Heavyベクター(図3C)は2つのヒトガンマ1重鎖カセットを含有してHCヘテロダイマー化を支援し、前者の重鎖はCH3ドメインに「ホール」セットの突然変異を有した一方、後者はCH3ドメインに相補「ノブ」突然変異を有し、およびCH1ドメインに代替的システインを有した。VHドメインをpMBab−Heavyベクターの「ホール」および「ノブ」HCカセットに、それぞれBssHII/NheIおよびBsrGI/SalI制限酵素断片として導入した。pMBab−Lightカッパベクター(図3A)は2つのヒトカッパ軽鎖(LC)カセットを有し、後者は、CH1ドメインの代替的システインを相補するCkドメインにおける代替的な界面システインを有した。VkドメインをpMBab−LightベクターのLCカセットに、それぞれBssHII/BsiWIおよびBsrGI/NotI制限酵素断片として導入した。強力なヒトサイトメガロウイルス初期プロモーターは、両方のpMBabベクターで軽鎖および重鎖遺伝子を駆動することができる。2つの重鎖および2つの軽鎖を別個のベクターに置くことで、モノトランスフェクションに起因して親抗体のいずれかが生成されるリスクを取り除いた。さらに、より高い発現レベルを有する抗体の重鎖可変領域を、「ノブ」を含む定常領域カセットにクローニングすると、半抗体の生成を最小限に抑え得る。さらに、1つの鎖のみがプロテインAに結合するように、本明細書に記載されるとおり重鎖のCH3ドメインを遺伝子操作してもよい。
実施例5:変異体の発現、精製および分析
変異体をHEK293F細胞で一過的に発現させて、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー前後の培養上清を還元および非還元条件下SDS−PAGEで分析した。図4に示すとおり、分子の抗RAGE部分の重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合を形成する天然の鎖間システインを除去すると、非還元条件下のSDS−PAGEで軽鎖の分離が生じ、2H1Lおよび別個の軽鎖に対応する125kDaおよび25kDaの泳動プロファイルが得られた。一方のアームが天然の鎖間システインを欠いているV1およびV3変異体を含む抗体についても同様の泳動プロファイルが見られた(データは示さず)。プロテインA精製画分におけるフリーの軽鎖の存在は、抗体が溶液中で適切に構築され、2つの軽鎖および2つの重鎖を有するインタクトな抗体として精製できることを示している。天然の鎖間システインを欠くものの、代替的な鎖間ジスルフィド結合を有する変異体を、代替的な鎖間ジスルフィド結合の形成および重鎖および軽鎖の2つのペアの正しい構築を示す150kDa泳動プロファイルを再構成するその能力について試験した。変異体10および11(V10およびV11)が150kDa泳動プロファイルの何らかの再構成およびフリーの軽鎖の量の減少を示した一方、変異体12(V12)は、Fabにおける天然の鎖間ジスルフィドおよびCH3におけるノブ・イントゥー・ホールを有するWT IgG分子(ノブ・イントゥー・ホールIgG)と全体的に同一の泳動プロファイルを有する150kDa分子マーカーの完全な再構成を示した(図4)。分析的サイズ排除HPLC(SEC−HPLCおよびSEC多角度光散乱(SEC−MALS))で変異体12(V12)のプロテインA精製画分のオリゴマー状態を解析したところ、モノマーMBabが約85%であり、約10%が対をなさない半IgG、かつ約5%が凝集物であることが示された(図6B)。分取SEC後、変異体12(V12)を、99%超モノマーの準均一に達し、かつ親抗RAGEおよび抗IL6 mAbと全体的に同様のSECプロファイルになるまで精製した。
Fabを有するV12の結晶構造を解析した。電子密度により、新規に導入されたシステイン残基の位置で重鎖と軽鎖との間に新しいジスルフィド結合が形成されたことが確認された(データは示さず)。
MBab分子を含む4つの鎖の不均等な発現は、軽鎖の1つが過剰であることに起因した3種類の副産物の形成をもたらし得る;ホール−ホールホモダイマー、ホール−半IgGおよびLCミスペアリング副産物。「ホール−ホール」ホモダイマー副産物の形成については、既に報告されている(Ridgway,et al.1996,Prot Eng 9:617−21;Merchant et al.(1998)Nat Biotech 16:677−681)。IgG1 CH3ドメインにおけるHis435をIgG3由来の対応するArg435により置換すると、プロテインA結合能力が除去されることが実証された(Jendeberg et al.,1997,J Immunol Methods 201:25−34)。Tyr436Pheのさらなる置換を作製することにより、全てのヒト抗体配列を維持することで免疫原性が低下した(Jendeberg,et al.前掲)。「ホール」関連副産物を効率的に除去するため、「ホール」重鎖のCH3ドメインにおける残基H435およびY436を、IgG3のように、それぞれ対応するR435およびF436に突然変異した。突然変異H435RおよびY436Fを有する得られたhIgG1「ホール」重鎖を「ホール−RF」と命名した。「ホール」重鎖にRF突然変異を有する抗抗原A(ホール重鎖;ラムダ軽鎖)と抗抗原B(ノブ重鎖;カッパ軽鎖)とを含むMBab構築物(「MBab−RF」と命名)を、HEK293F細胞で一過的に発現させた。この発現により、2つの親抗体の発現プロファイル(200〜348mg/l)と相関するMBab−RF(190mg/l)が生じた。非還元および還元条件下でのプロテインA精製画分のSDS−PAGE分析は、過剰な「ホール」重鎖がなく、「ホール」および「ノブ」重鎖が均等に分布していることを示す(図7A、左側のパネル、それぞれレーン1および2)。プロテインA精製したMBab−RFのSECプロファイルから、約97.5%がモノマーで、約2.5%が凝集物であり、対をなさない半IgG副産物がないことが示された(図7A、右側のパネル)。RP−HPLCによる非還元条件下でのプロテインA精製親IgGおよびMBab−RFの移動プロファイルから、溶出中心が約16.2分のMBab−RFが親B(14.7分)と親A(17.4分)との間で移動したことが示された(図7B)。このデータもやはり、MBab−RFが等量の「ホール」および「ノブ」重鎖を含み、過剰な「ホール」重鎖がないことの確認となる。還元条件下におけるRP−HPLCによってMBab−RFのプロテインA精製画分のオリゴマー状態を分析することにより、抗原B軽鎖が抗原A軽鎖に対して1.0〜0.6の比で過剰であると、約25%抗原Bカッパ軽鎖ミスペアリング副産物が生じたことが示された(図7C)。
ミスペアリング軽鎖副産物を効率的に除去するため、選択的軽鎖アフィニティークロマトグラフィーが実施され、ここでは本明細書に記載されるとおりラムダに対して選択的なアフィニティー媒体を使用して所望のMBabを捕捉し、2つのカッパ鎖を含むミスペアリング抗体を除去させる。図8に示すとおり、続いてLambdaFabSelectアフィニティーカラムでMBab−RFのプロテインA精製画分の分離が生じて抗原B軽鎖ミスペアリング副産物が除去され、純粋な、正しく構築されたMBab−RF産物が得られた。還元および非還元条件下でのSDS−PAGE分析は、LambdaFabSelect精製試料について2つの軽鎖が等量である一方、フロースルーにおけるタンパク質はcMET軽鎖のみを有することを示す(図8A左側、レーン6および7を比較)。LambdaFabSelect精製MBab−RFのSECプロファイルから、100%がモノマーで、凝集物がないことが示された(図8A右側)。還元条件下におけるRP−HPLCによってMBab−RFのLambdaFabSelect精製画分のオリゴマー状態を分析することにより、フロースルーにおけるタンパク質が抗原A軽鎖ミスペアリング副産物に対応した(図8B)一方、溶出画分におけるタンパク質が等量の2つの軽鎖を含む純粋なMBabに対応した(図8C)ことが示された。
実施例6:AlphaLISAによる変異体二重特異性の決定
2つの結合部位の二重特異性および同時結合を決定するため、実施例1に示すとおりAlphaLISAアッセイを開発した。簡潔に言えば、2つの結合部位がRAGE抗原およびIL6抗原に同時結合したことでドナーおよびアクセプタービーズが近接し、それにより記録可能なシグナルが生じた。変異体の二重特異性レベルを定量化するため、単細胞において親の抗IL6および抗RAGE抗体のDNAプラスミドを同時発現させることにより、参照一価二重特異的IgGを生成した。軽鎖と重鎖との自発的なペアリングが起こるはずであり、理論上、総タンパク量の12.5%が一価二重特異的IgGとして生成される。初めにIL6カラムでの、次いでRAGEカラムでの連続アフィニティークロマトグラフィーにより、遺伝子操作が関わることなく純粋な一価二重特異的IgGが得られた。2段階精製した一価二重特異性により得られたAlphaLISAシグナルを使用して、100%二重特異性の参照を設定した(図5)。変異体1および3の組み合わせは、ノブ・イントゥー・ホールIgGと比べてAlphaLISA二重特異性アッセイにおいて小さい増加を示し、これは、単一の(−Cys)を加えることによりさらに増進された。IL6 V1およびRAGE V3(−Cys)の組み合わせが、ノブ・イントゥー・ホールIgGと比べてAlphaLISA二重特異性アッセイにおける最大の増加を示した(図5A)。SDS−PAGE分析と一致して、変異体10および11(V10およびV11)がノブ・イントゥー・ホールIgGと比べてAlphaLISA二重特異性アッセイにおける中程度の改善を示した一方、変異体12(V12)はほぼ100%の二重特異性を示した(図5b)。
実施例7:Octet分析によるキネティクスおよび同時結合
RAGE抗原およびIL6抗原に対する変異体12(V12)MBabの二重特異性および同時結合を、上記に記載した捕捉フォーマットIを使用したOctet384でのバイオレイヤー干渉法によってさらに特徴付けた。以下の抗体:変異体12 MBab、抗RAGE、抗IL6および二段階精製一価二重特異的誘導体を、抗Fcセンサで捕捉し、次いで特異的抗原結合について試験した。親の抗IL6および抗RAGEは、そのそれぞれの抗原のみに対して特異的結合を示したが、変異体12 MBabおよび二段階精製一価二重特異体は、RAGE抗原およびIL6抗原に対して同じ同時結合プロファイルを呈した(図9)。RAGE抗原およびIL6抗原に対するその結合キネティクスについて試験すると、変異体12は、図10に示すとおり、それぞれの抗原に対して親抗体と同じキネティック親和性(KD)を全体的に同様のkonおよびkoff速度で示した。
実施例8:HER2/EGFR MBabの生成および分析
MBab分子の治療的意義を評価し、さらにプラットフォームを検証するため、2つの臨床的に承認された抗体、すなわちHerceptin(登録商標)およびErbitux(登録商標)(セツキシマブ)と同様の結合特性を有する一価二重特異的抗体(MBab)を生成した(図11A、左側のパネル)。Herceptin(登録商標)およびセツキシマブによる同時治療では、各mAb単独の効果と比較してヒト異種移植片においてはるかに大きい腫瘍退縮が生じ得る(Larbouret et al.(2001)Clin.Cancer Res.13:3356−3362)。HEK293F細胞にpMBab−HeavyおよびpMBab−Lightベクターを一過性に同時形質移入した後、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで培養上清を精製した。非還元条件下におけるSDS−PAGE分析により、抗体の大部分が2つの重鎖と2つの軽鎖とを伴い正しく生成されたことが示された(図11A、右側のパネル)。MBabの発現収率(150mg/l)は、2つの親抗体の発現プロファイル;抗HER2(200mg/l)および抗EGFR(90mg/l)と相関した。プロテインA精製MBabのSEC−HPLCプロファイルから、約90%がモノマーであり、約10%が対をなさない半IgGであり、および3%未満が凝集物であることが示された。分取SEC後、99%超モノマーの準均一に達し(図11B)、かつ親mAbと全体的に同様のSECプロファイルになるまで(図11C)、HER2/EGFR MBabを精製した。SEC−MALS分析から、MBabについてMW値154.8KDならびに抗EGFRおよび抗HER2についてそれぞれ158.5KDおよび154.0KDが示された。3つの抗体の移動プロファイルから、約9.28分の溶出中心のMBabが抗EGFR(9.20分)と抗HER2(9.33分)との間で移動したことが示された(図11D)。
実施例9:Octet分析による同時結合分析
HER2抗原およびEGFR抗原に対するHER2/EGFR MBabの二重特異性および同時結合を、上記に記載したフォーマットIを用いたOctet分析により決定した。抗Fcセンサでの捕捉後、MBabは、HER2抗原およびEGFR抗原に対する同時結合プロファイルを示した一方、親抗体は、そのそれぞれの抗原のみに対する特異的結合を示した(図12)。
さらに、HER2抗原およびEGFR抗原に対するHer2/EGFR MBabの二重特異性および同時結合を、代替的な捕捉フォーマット(上記に記載したフォーマットII)を用いたOctet分析により決定した。ストレプトアビジン高結合キャパシティセンサでのビオチン化EGFRまたはビオチン化HER2の捕捉後、MBabは対応する非標識抗原に対する同時結合プロファイルを示した一方、親の抗HER2および抗EGRF抗体は、そのそれぞれの抗原のみに対する特異的結合を示した(図13)。
実施例10:示差走査熱量測定による熱安定性分析
抗HER2、抗EGFR、およびHER2/EGFR V12 MBabの熱安定性を、DSCを用いて評価した(図14)。抗HER2のDSCサーモグラムは、68.9℃および81.3℃の変性温度(Tm)の2つの異なるアンフォールディング転移を示した(図14A、左上)。これらの転移は、それぞれCH2およびFab+CH3ドメインの変性に対応した。抗EGFRのDSCサーモグラムは、4つの転移を明らかにした(図14A、右下)。抗EGFRのキメラFabドメインは、CH1、CkならびにVH、およびVkドメインについてそれぞれ73.5℃および63.1℃の別個のTm値を呈した。抗EGFRのCH2およびCH3ドメインは、それぞれ68.4℃および82.1℃のTm値を示した。HER2/EGFR V12 MBab DSCサーモグラムのデコンボリューションから、4つの転移が明らかになった(図14B、左上)。アンフォールディング転移温度をHER2/EGFR V12 MBabと親抗体とで比較することにより、60.4℃のTmのピークは抗EGFR可変ドメインの変性転移に対応したと推定された。同時に、73.5℃のTmのピークが抗EGFR CH1およびCkドメインの変性転移に対応した。ある場合には、CH3ドメインにノブ・イントゥー・ホール突然変異を組み込むことにより、CH3ドメインのTmが約80.0℃から約69.0℃に低下し得る。したがって、69.7℃のTmのピークはCH2およびCH3ドメインの変性転移に対応した。結果的に、80.6℃のTmのピークは抗HER2 Fabドメインの変性転移に対応した。3つのDSCサーモグラムを重ね合わせると(図14B、右下)、抗HER2 Fabドメインの変性転移は約80.0℃のTmにおけるHER2/EGFR V12 MBabピークと重複したことが示された。これにより、HER2/EGFR V12 MBabの抗HER2 Fab部分に遺伝子操作された代替的な鎖間ジスルフィドがFab足場の全体的なフォールディングを不安定化させなかったことが示された。まとめると、熱安定性試験により、HER2/EGFR V12 MBabが従来のIgG抗体と同様のアンフォールディング転移を呈したことが確認された。
実施例11:パパイン消化QTOF LC−MSマッピング
パパイン消化Q−TOF LC−MSの結果により、HER2/EGFR V12 MBabタンパク質の予想されたFab領域を確認した。10.7分で溶出するHER2/EGFR V12 MBabのFab(B)領域は、LC+抗HER2(1−224)およびLC+抗HER2(1−227)と同定された。保持時間および切断部位は、親の抗HER2 IgG、抗HER2 Fab WTおよび抗HER2 V12 Fab試料と一致した。11.9分で溶出するHER2/EGFR V12 MBabのFab(A)領域は、LC+抗EGFR(1−226)と同定された。この切断部位および保持時間は、親の抗EGFR IgGのFab領域と一致した。
実施例12:フローサイトメトリーによる細胞結合
種々のレベルのHER2およびEGFRを発現する4つの腫瘍細胞系に対するHer2/EGFR V12 MBabの細胞結合特性をフローサイトメトリーにより試験して、2つの親抗体の細胞結合活性と比較した。図15に提示する結果は、親の抗HER2および抗EGFR抗体の染色強度が種々の腫瘍細胞上のHER2抗原およびEGFR抗原のレベルに対応したことを示す。しかしながら、MBabは一貫して、種々のレベルのHER2およびEGFRの細胞において最大のFACSシグナルを記録した親抗体の染色強度に達した。
実施例13:細胞生存率アッセイ
Her2/EGFR V12 MBabの治療用途を評価するため、インビトロ細胞殺傷実験で分子の効力を試験した。ある場合には、抗EGFRと抗HER2との併用処置によって得られる相加的または相乗的治療活性が、HER2と比べて同様のまたはより高いレベルのEGFRを有する腫瘍において起こり得る(例えば、Larbouret et al.(2001)Clin.Cancer Res.13:3356−3362を参照)。これを実証するため、種々のレベルのHER2およびEGFRを有する4つの腫瘍細胞系を選択した。MBabの細胞殺傷活性を、親抗体単独および2つの親抗体による併用処置の細胞殺傷活性と比較した。図16に提示する結果は、HER2と比べて約25倍多くEGFRを発現するA431細胞では、Her2/EGFR V12 MBabが2つの親mAbの組み合わせと同程度の相加的細胞殺傷活性および各mAb単独と比べてはるかに強力な活性を示したことを示す。同じ相加的殺傷プロファイルが、約20倍多くEGFRを発現するBxPc3細胞でも認められ、また2つの抗原を比較的同程度発現するSK−OV−3細胞でも認められた。しかしながら、EGFRと比べて40倍多くHER2を発現するSKBR3細胞については、MBabまたは2つの親抗体による併用処置で相加的殺傷効果は得られなかった。MBabの細胞殺傷力価測定曲線から、高い抗体濃度では、Her2/EGFR V12 MBabは併用処置と同程度の、および各mAb単独と比べて高い相加的細胞殺傷活性を付与したが、しかしながらより低い抗体濃度では、Her2/EGFR V12 MBabは併用処置と比較して活性の低下を示したことが明らかになった(図16C)。この挙動は、Her2/EGFR V12 MBabが一価であることに伴うアビディティ効果の欠如に起因する可能性が最も高かった。MBabのこの固有の特性により、付与される標的関連毒性は低くなり得る。
実施例14:Fc受容体に対する結合キネティクス
種々のヒトFc受容体との結合に対するノブ・イントゥー・ホール突然変異ならびにCL−CH1界面におけるV12突然変異の影響を評価するため、種々のMBab構築物を生成し、ヒトFc受容体に対するそれらの結合キネティクスを測定し、対応する親IgG1と比較した。ProteOnでの定常状態平衡結合アッセイにより解離定数(KD)を決定した。この試験に使用した親IgGは以下であった;親抗EGFR、抗HER2および対照hIgG1(NMGC)。この試験用に生成したMBab構築物には、以下の組み合わせが含まれた:HER2/EGFR、EGFR/EGFR、HER2/HER2、EGFR/NMGCおよびNMGC/HER2。表9に要約したKD値から、MBab構築物とそれらの対応する親IgGならびにヒトIgG1アイソタイプについて報告されている値との間に、試験したFc受容体のいずれに対しても結合キネティクスの差はないことが明らかになった。
Figure 2015502409
実施例15:抗体依存細胞傷害性ならびにFcγRIIIaおよびC1qに対する結合
FcγRIIIaおよびC1qに対する結合を維持する能力は、抗体がADCCおよびCDCを誘発する能力の重要な指標であり得る。この例では、FcγRIIIaおよびC1qに対する直接結合についてELISAによりMBabを試験し、また、A431細胞においてADCCを誘発するその能力についても試験した。図17Aに提示する結果から、MBabがFcγRIIIaおよびC1qに対して結合を呈したことが分かる。さらに、ADCC試験では、MBabは2つの親抗体による組み合わせと同様のADCC活性を誘発した。親抗HER2単独はADCC活性を示さなかったが、セツキシマブ抗EGFRはより強力なADCC活性を呈した(図17B)。
実施例16:単一細胞上の2つの抗原に対する選択的結合および同時結合による選択性の向上
単一細胞上の2つの細胞表面抗原(ここでは抗原CおよびDと称される)に対する選択的結合および同時結合による選択性の向上を実証するため、抗Cおよび抗Dを含むMBabを生成した(C/D−MBabと命名した)。両方の標的抗原(CおよびD)を発現する細胞に対するC/D−MBabの選択的結合を、Cのみを発現する細胞(C細胞)、Dのみを発現する細胞(D細胞)ならびにCおよびDの両方を発現する細胞(C/D細胞)の予め染色した集団を1:1:1比で単一のウェルに混合し、続いて親IgGまたはC/D−MBabと共にインキュベートすることにより、フローサイトメトリーによって分析した。(図20Bのそれぞれ左側および右側のパネル)に示されるとおり、C/D−MBabは、細胞表面抗原CおよびDの両方の抗原を発現するC/D細胞に対する選択的結合を示した。C/D細胞に対する選択的結合が細胞表面抗原CおよびDの両方との同時的な二価結合によるものであったことを確認するため、蛍光Alexa Fluor(登録商標)647で標識した可溶性組換えCおよびDタンパク質を使用してC/D−MBab分子の未結合アームをトレースした。本質的に、C/D−MBabが細胞表面に一価で結合する場合、一方のアームが可溶性蛍光型のCまたはDタンパク質と結合していない状態のままであり、これはフローサイトメトリー分析により検出することができる(図20Aに概略的に図示する)。この試験の鍵となる制御は、標的抗原の1つのみを発現することが分かっている細胞集団を使用することである。この事象では、表面に結合するいかなるC/D−MBabも、一価的にのみそのように結合することができるため、未結合のアームがAlexa Fluor 647標識組換えタンパク質で検出できる状態となる。D細胞を発現しないC細胞と共にC/D−MBabをインキュベートすると、Alexa Fluor 647標識組換えDタンパク質と共にインキュベートした後に濃度依存的な蛍光シグナルが生じたことから、C/D−MBabのあらゆる分子が細胞表面上の抗原Cに結合した一方、抗DアームはAlexa Fluor 647標識組換えDタンパク質に結合していなかったことが示された(図20C、左側のパネル)。同じように、抗原Dのみを発現して抗原Cは発現しないD細胞と共にC/D−MBabをインキュベートすると、Alexa Fluor 647標識組換えCタンパク質を添加した後に濃度依存的な蛍光シグナルが得られたことから、細胞表面上の抗原Dに結合したC/D−MBabのあらゆる分子について、抗CアームはAlexa Fluor 647標識組換えCタンパク質と結合していなかったことが示された(図20C、右側のパネル)。しかしながら、C/D−MBabをC/D細胞と共にインキュベートしたときには、Alexa Fluor 647標識組換えDタンパク質またはAlexa Fluor 647標識組換えCタンパク質を添加した後、蛍光シグナルの増加は認められなかったことから、C/D−MBabの両方のアームが同時に結合し、いずれの組換えタンパク質も細胞−抗体複合体に結合できないため、ひいては、PEシグナルのみが認められることが示された(図20C、両方のパネル)。細胞表面上のC/D−MBabの量と、結合可能な可溶性組換えタンパク質の量との間の関係が、最終的に、細胞表面に対するC/D−MBabの同時の二価または一価結合のエビデンスを提供する。C/D−MBabが細胞表面に結合することが明らかでありながら、フリーアームが検出されない場合、両方のアームがそれらの標的抗原と同時に結合すると結論付けることができる。
Figure 2015502409
Figure 2015502409
本明細書において参照されるそれぞれの特許、特許出願、刊行物および文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。上記特許、特許出願、刊行物および文献の引用は、上記のいずれかが関連のある先行技術であることの承認でもなく、それらの刊行物または文献の内容またはデータに関するいかなる承認を構成するものでもない。さらに、2011年12月20日に出願された米国仮特許出願第61/577,956号明細書が、あらゆる目的から全体として参照により組み込まれる。
本技術の基本態様から逸脱することなく、上記のものに改変を行うことができる。本技術を1つ以上の具体的な実施形態を参照してかなり詳細に記載したが、当業者は、本出願に具体的に開示された実施形態に変化を行うことができることを認識し、それらの改変および改善は、本技術の範囲および趣旨の範囲内である。
本明細書に例示的に記載した本技術は、好適には、本明細書に具体的に開示されない任意の要素が存在しなくても実施することができる。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの例において用語「含む」、「から本質的になる」および「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。用いられているこれらの用語および表現は、説明に関して使用し、限定に関するものではなく、そのような用語および表現の使用は、図示および記載される特徴またはその一部のいかなる均等物も排除せず、特許請求される技術の範囲内で種々の改変が可能である。したがって、本技術を代表的な態様、実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示したが、本明細書に開示される概念の改変および変更を当業者が採用することができ、そのような改変および変更は本技術の範囲内にあると見なされることを理解すべきである。

Claims (75)

  1. (a)改変重鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む改変重鎖;および
    (b)対応する改変軽鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む改変軽鎖
    を含む抗体において、
    前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記改変重鎖の前記置換システインと、前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記対応する改変軽鎖の前記置換システインとが、ジスルフィド結合を形成することができる、抗体。
  2. (a)改変重鎖であって、前記改変重鎖のCH1領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、改変重鎖;および
    (b)対応する改変軽鎖であって、前記改変軽鎖のCL領域が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、改変軽鎖
    を含む抗体において、
    前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記改変重鎖の前記置換システインと、前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記対応する改変軽鎖の前記置換システインとが、ジスルフィド結合を形成することができる、抗体。
  3. 前記改変重鎖および対応する改変軽鎖における前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体V10、V10−2a、V10−2b、V10−3、V10−4、V11、V11−2a、V11−2b、V11−3、V11−4、V12、V12−2a、V12−2b、V12−3およびV12−4からなる群から選択される、請求項2に記載の抗体。
  4. (a)改変重鎖であって、(i)前記改変重鎖のCH1領域が、天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつ(ii)可変領域が、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、改変重鎖;および
    (b)対応する改変軽鎖であって、(i)前記改変軽鎖のCL領域が、天然システインから非システインアミノ酸への置換を含み、かつ(ii)可変領域が、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含む、改変軽鎖
    を含む抗体において、
    前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記改変重鎖の前記置換システインと、前記天然非システインアミノ酸から前記システインアミノ酸への前記置換から得られる、前記対応する改変軽鎖の前記置換システインが、ジスルフィド結合を形成することができる、抗体。
  5. 前記改変重鎖および対応する改変軽鎖における前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体VVa−1、VVa−2a、VVa−2b、VVa−3、VVa−4、VVb−1、VVb−2a、VVb−2b、VVb−3、VVb−4、VVc−1、VVc−2a、VVc−2b、VVc−3、VVc−4、VVd−1、VVd−2a、VVd−2b、VVd−3、VVd−4、VVe−1、VVe−2a、VVe−2b、VVe−3、VVe−4、VVf−1、VVf−2a、VVf−2b、VVf−3、VVf−4、VVg−1、VVg−2a、VVg−2b、VVg−3、VVg−4、VVh−1、VVh−2a、VVh−2b、VVh−3、VVh−4、VVi−1、VVi−2a、VVi−2b、VVi−3、VVi−4、VVj−1、VVj−2a、VVj−2b、VVj−3およびVVj−4からなる群から選択される、請求項4に記載の抗体。
  6. (a)改変重鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換とを含む改変重鎖;および
    (b)対応する改変軽鎖であって、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)代償性の空洞および/または突出をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換とを含む改変軽鎖
    を含む抗体において、
    前記改変が、前記改変重鎖と前記対応する改変軽鎖との鎖間ペアリングに有利に働く、抗体。
  7. 前記改変重鎖および対応する改変軽鎖における前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体V1、V1−2a、V1−2b、V1−3、V1−4、V3、V3−2a、3−2b、V3−3、V3−4からなる群から選択される、請求項6に記載の抗体。
  8. 前記天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗体。
  9. 第2の重鎖および第2の対応する軽鎖を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体において、前記第2の重鎖および第2の対応する軽鎖が、天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換を含まない、抗体。
  10. 第2の重鎖および第2の対応する軽鎖を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体において、前記第2の重鎖および第2の対応する軽鎖が、天然システインアミノ酸から非システインアミノ酸への置換を含む、抗体。
  11. 前記第2の重鎖および第2の対応する軽鎖が、天然システインから非システインアミノ酸への置換を含まない、請求項9に記載の抗体。
  12. 前記第2の重鎖および第2の対応する軽鎖が、突出および/または空洞をもたらす少なくとも1つのアミノ酸の置換を含まない、請求項9〜11のいずれか一項に記載の抗体。
  13. 前記2つの軽鎖が、各々、VLドメインとCLドメインとを含み、前記VLドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記CLドメインが異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗体。
  14. 1つの軽鎖がカッパ軽鎖であり、かつ1つの軽鎖がラムダ軽鎖である、請求項13に記載の抗体。
  15. 前記2つの重鎖が、各々、VHドメイン、CH1ドメインおよびFc領域を含み、前記VHドメインが異なるアミノ酸配列を有し、前記CH1ドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記Fc領域が異なるアミノ酸配列を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の抗体。
  16. 前記2つの重鎖がヘテロダイマーを形成する、請求項15に記載の抗体。
  17. 前記抗体が2つの独立した抗原または同じ抗原上の2つの独立したエピトープに特異的に結合する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗体。
  18. 前記2つの独立した抗原または2つの独立したエピトープに対する結合親和性が同一であるかまたは異なる、請求項17に記載の抗体。
  19. 一方または両方の重鎖の前記Fc領域が1つ以上の改変を含む、請求項15〜18のいずれか一項に記載の抗体。
  20. 前記Fc領域における前記改変が、前記重鎖のヘテロダイマー化を促進する、請求項19に記載の抗体。
  21. 前記Fc領域における前記改変が、表5および表6に提供されるものから選択される、請求項20に記載の抗体。
  22. 前記Fc領域における前記改変が、プロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在する、請求項19に記載の抗体。
  23. プロテインA結合を変化させ、かつ一方の重鎖にのみ存在する前記Fc領域における改変をさらに含む、請求項20または21に記載の抗体。
  24. (a)前記抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつプロテインA結合を変化させる前記Fc領域における前記改変が、アミノ酸置換H435R/Y436Fであるか;または
    (b)前記抗体がIgG3であり、かつプロテインA結合を変化させる前記Fc領域における前記改変が、アミノ酸置換R435H/F436Yであり、および
    ナンバリングはEUインデックスによる、請求項22または23に記載の抗体。
  25. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項19〜24のいずれか一項に記載の抗体。
  26. (a)前記抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含むか;または
    (b)前記抗体がIgG3であり、かつ前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、
    ナンバリングはEUインデックスによる、請求項25に記載の抗体。
  27. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項19〜24のいずれか一項に記載の抗体。
  28. (a)前記抗体がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含むか;または
    (b)前記抗体がIgG3であり、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、
    ナンバリングはEUインデックスによる、請求項27に記載の抗体。
  29. (a)前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含むか;または
    (b)前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y349Cをさらに含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換S354Cをさらに含み、
    ナンバリングはEUインデックスによる、請求項25〜28のいずれか一項に記載の抗体。
  30. 前記抗体の半減期を変化させる前記Fc領域における改変をさらに含み、前記半減期がFcRn結合親和性に依存する、請求項19〜29のいずれか一項に記載の抗体。
  31. 前記エフェクター機能を変化させる前記Fc領域における改変をさらに含み、前記Fcガンマ受容体またはC1q補体タンパク質に対する結合親和性が増加または減少する、請求項25〜30のいずれか一項に記載の抗体。
  32. ヒト抗体またはヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の抗体。
  33. 請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体と賦形剤とを含む組成物。
  34. 改変軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸において、前記改変軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、核酸。
  35. 前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体VVa−1、VVa−2a、VVa−2b、VVa−3、VVa−4、VVb−1、VVb−2a、VVb−2b、VVb−3、VVb−4、VVc−1、VVc−2a、VVc−2b、VVc−3、VVc−4、VVd−1、VVd−2a、VVd−2b、VVd−3、VVd−4、VVe−1、VVe−2a、VVe−2b、VVe−3、VVe−4、VVf−1、VVf−2a、VVf−2b、VVf−3、VVf−4、VVg−1、VVg−2a、VVg−2b、VVg−3、VVg−4、VVh−1、VVh−2a、VVh−2b、VVh−3、VVh−4、VVi−1、VVi−2a、VVi−2b、VVi−3、VVi−4、VVj−1、VVj−2a、VVj−2b、VVj−3、VVj−4、V10、V10−2a、V10−2b、V10−3、V10−4、V11、V11−2a、V11−2b、V11−3、V11−4、V12、V12−2a、V12−2b、V12−3およびV12−4からなる群から選択される、請求項34に記載の核酸。
  36. 改変軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸において、前記改変軽鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換とを含む、核酸。
  37. 前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体V1、V1−2a、V1−2b、V1−3、V1−4、V3、V3−2a、3−2b、V3−3、V3−4からなる群から選択される、請求項36に記載の核酸。
  38. 前記天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、請求項34〜37のいずれか一項に記載の核酸。
  39. 発現ベクターである、請求項34〜38のいずれか一項に記載の核酸。
  40. 改変されていない第2の軽鎖をコードする第2の核酸をさらに含む、請求項39に記載の核酸。
  41. 前記2つの軽鎖が、各々、VLドメインとCLドメインとを含み、前記VLドメインが異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記CLドメインが異なるアミノ酸配列を有する、請求項40に記載の核酸。
  42. 1つの軽鎖がカッパ軽鎖であり、かつ1つの軽鎖がラムダ軽鎖である、請求項40または41に記載の核酸。
  43. 改変重鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸において、前記改変重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)天然非システインアミノ酸からシステインアミノ酸への置換とを含む、核酸。
  44. 前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体VVa−1、VVa−2a、VVa−2b、VVa−3、VVa−4、VVb−1、VVb−2a、VVb−2b、VVb−3、VVb−4、VVc−1、VVc−2a、VVc−2b、VVc−3、VVc−4、VVd−1、VVd−2a、VVd−2b、VVd−3、VVd−4、VVe−1、VVe−2a、VVe−2b、VVe−3、VVe−4、VVf−1、VVf−2a、VVf−2b、VVf−3、VVf−4、VVg−1、VVg−2a、VVg−2b、VVg−3、VVg−4、VVh−1、VVh−2a、VVh−2b、VVh−3、VVh−4、VVi−1、VVi−2a、VVi−2b、VVi−3、VVi−4、VVj−1、VVj−2a、VVj−2b、VVj−3、VVj−4、V10、V10−2a、V10−2b、V10−3、V10−4、V11、V11−2a、V11−2b、V11−3、V11−4、V12、V12−2a、V12−2b、V12−3およびV12−4からなる群から選択される、請求項43に記載の核酸。
  45. 改変重鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸において、前記改変重鎖が、(i)天然システインから非システインアミノ酸への置換と、(ii)空洞および/または突出をもたらすCL領域における少なくとも1つのアミノ酸の置換とを含む、核酸。
  46. 前記置換が、表4に提供されるとおりの変異体V1、V1−2a、V1−2b、V1−3、V1−4、V3、V3−2a、3−2b、V3−3、V3−4からなる群から選択される、請求項45に記載の核酸。
  47. 前記天然システインが鎖間ジスルフィド結合を形成し得る、請求項43〜46のいずれか一項に記載の核酸。
  48. 前記改変重鎖がFc領域を含む、請求項43〜47のいずれか一項に記載の核酸。
  49. 前記改変重鎖Fc領域が1つ以上の改変を含む、請求項48に記載の核酸。
  50. 前記改変重鎖Fc領域における前記改変が、2つの重鎖のヘテロダイマー化を促進する、請求項49に記載の核酸。
  51. 前記改変重鎖Fc領域における前記改変が、表5および表6に提供されるものから選択される、請求項50に記載の核酸。
  52. 前記改変重鎖Fc領域における前記改変がプロテインA結合を変化させる、請求項49に記載の核酸。
  53. 前記改変重鎖Fc領域が、プロテインA結合を変化させる改変をさらに含む、請求項50または51に記載の核酸。
  54. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項49〜51または53のいずれか一項に記載の核酸。
  55. 前記改変重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項54に記載の核酸。
  56. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項49〜51または53のいずれか一項に記載の核酸。
  57. 前記改変重鎖がIgG3であり、かつアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項56に記載の核酸。
  58. 発現ベクターである、請求項43〜57のいずれか一項に記載の核酸。
  59. 第2の重鎖をコードする第2の核酸をさらに含む、請求項58に記載の核酸において、前記第2の重鎖が、改変されていないCH1領域を含む、核酸。
  60. 前記第2の重鎖がFc領域を含む、請求項59に記載の核酸。
  61. 前記第2の重鎖Fc領域が1つ以上の改変を含む、請求項60に記載の核酸。
  62. 前記第2の重鎖Fc領域における前記改変が、2つの重鎖のヘテロダイマー化を促進する、請求項61に記載の核酸。
  63. 前記第2の重鎖Fc領域における前記改変が、表5および表6に提供されるものから選択される、請求項62に記載の核酸。
  64. 前記第2の重鎖Fc領域における前記改変がプロテインA結合を変化させる、請求項61に記載の核酸。
  65. 前記第2の重鎖Fc領域が、プロテインA結合を変化させる改変をさらに含む、請求項62または63に記載の核酸。
  66. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項61〜63または65のいずれか一項に記載の核酸。
  67. 前記重鎖がIgG3であり、かつ前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項66に記載の核酸。
  68. 前記重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項66に記載の核酸。
  69. 前記改変重鎖Fc領域がアミノ酸置換Y407V/T366S/L368Aを含み、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換T366Wを含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項61〜63または65のいずれか一項に記載の核酸。
  70. 前記重鎖がIgG1、IgG2またはIgG4であり、かつ前記改変重鎖Fc領域が、アミノ酸置換H435R/Y436Fをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項69に記載の核酸。
  71. 前記重鎖がIgG3であり、かつ前記第2の重鎖Fc領域がアミノ酸置換R435H/F436Yをさらに含み、ナンバリングはEUインデックスによる、請求項69に記載の核酸。
  72. 請求項のいずれか一項に記載の核酸を含む細胞 請求項39〜41のいずれか一項に記載の核酸を含む細胞。
  73. 請求項58〜71のいずれか一項に記載の核酸を含む細胞。
  74. 請求項39〜41のいずれか一項に記載の核酸と、請求項58〜71のいずれか一項に記載の核酸とを含む細胞。
  75. 抗体を発現させる方法であって、請求項39〜41のいずれか一項に記載の核酸と、請求項58〜71のいずれか一項に記載の核酸とを含む複数の細胞を、前記ポリペプチドが発現する条件に接触させることを含む、方法。
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