JP7274413B2 - ラムダ及びカッパ軽鎖を含む多重特異性抗体分子 - Google Patents

ラムダ及びカッパ軽鎖を含む多重特異性抗体分子 Download PDF

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Description

本出願は、2016年9月23日に出願された米国出願第62/399,319号、及び、2017年3月21日に出願された米国出願第62/474,569号の優先権を主張するものであり、それら出願の全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
ラムダ鎖ポリペプチド、及び、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子、ならびに、それらを作製及び使用する方法を開示する。
二重特異性抗体、及び、その他の多重特異性抗体の作製に際して、不適切な重鎖に対する軽鎖の誤対合、別名、軽鎖シャッフリングは、頻繁に認められている問題である。この問題は、不適切な抗体対合を形成し、結果として、作製収率の低下をもたらす。したがって、軽鎖シャッフリングを減らす方法、及び、組成物の開発が待望されている。
本出願は、少なくとも一部分は、多重特異性抗体分子、例えば、二重特異性IgG分子との関連で、軽鎖シャッフルが、あるカッパ軽鎖ポリペプチドと、あるラムダ軽鎖ポリペプチドとを使用することで、防止することができる、という予想外の知見に基づいている。このことは、一部では、カッパ軽鎖が、ラムダ抗体由来の重鎖と対を形成しないという観察に基づくものであり、その逆も、また同様である。したがって、本明細書では、カッパ軽鎖ポリペプチドと、ラムダ軽鎖ポリペプチドとを含む、新規の多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子、ならびに、多重特異性抗体分子を、作製及び使用する方法を記載している。
したがって、ある態様では、本明細書では、多重特異性抗体分子、例えば、2つの結合特異性を含む抗体分子、例えば、二重特異性抗体分子を開示している。
多重特異性抗体分子は、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含む、第1の抗原結合ドメイン、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む、第2の抗原結合ドメインを含む。
ある実施形態では、第1のHCVRSは、フレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列の1つ、2つ、または、すべてを含む。ある実施形態では、第1のHCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列において対応する領域と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第1のHCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列において対応する領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または、8個未満のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、または、欠失、例えば、保存的置換)を含む。ある実施形態では、第1のHCVRSは、表16から選択したフレームワーク配列を含む。
ある実施形態では、LLCVRSは、フレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列の1つ、2つ、または、すべてを含む。ある実施形態では、LLCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列において対応する領域と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、LLCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列において対応する領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または、8個未満のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、または、欠失、例えば、保存的置換)を含む。ある実施形態では、LLCVRSは、表16から選択したフレームワーク配列を含む。
ある実施形態では、第2のHCVRSは、フレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列の1つ、2つ、または、すべてを含む。ある実施形態では、第1のHCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列において対応する領域と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第2のHCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列において対応する領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または、8個未満のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、または、欠失、例えば、保存的置換)を含む。ある実施形態では、第2のHCVRSは、表16から選択したフレームワーク配列を含む。
ある実施形態では、KLCVRSは、フレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列の1つ、2つ、または、すべてを含む。ある実施形態では、LLCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列において対応する領域と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、KLCVRSのフレームワーク1配列、フレームワーク2配列、または、フレームワーク3配列は、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列において対応する領域と比較して、1、2、3、4、5、6、7、または、8個未満のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、または、欠失、例えば、保存的置換)を含む。ある実施形態では、KLCVRSは、表16から選択したフレームワーク配列を含む。
ある実施形態では、1)第1のHCVRSは、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、2)LLCVRSは、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、3)第2のHCVRSは、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、または、4)KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または100%の配列同一性を有する。
ある実施形態では、第1のHCVRSは、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、以下の第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。
ある実施形態では、LLCVRSは、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、以下の第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。
ある実施形態では、第2のHCVRSは、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、以下の第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。
ある実施形態では、KLCVRSは、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、以下の第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。
ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、第2の重鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、第2の重鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、第2の重鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。ある実施形態では、第1の重鎖生殖細胞系配列、ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、カッパ軽鎖生殖細胞系配列は、表8bまたは表5bの単一の列から選択する。
前述した態様の特定の実施形態では、多重特異性抗体分子は、アクセサリー部分をさらに含み、アクセサリー部分は、以下の特性、
1)アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)アクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)アクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、から選択した特性を有する。
ある態様では、本明細書では、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含む前記第1の抗原結合ドメイン、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む第2の抗原結合ドメイン、を含む多重特異性抗体分子を開示しており、
多重特異性抗体分子が、アクセサリー部分をさらに含み、アクセサリー部分は、
1)アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)アクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)アクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、から選択した特性を有する。
1つ以上のアクセサリー部分を有する例示的な多重特異性抗体分子を、図6~10に示しており、また、実施例に記載している(例えば、例9に記載の多重特異性分子8、例10に記載の多重特異性分子9、例11に記載の多重特異性分子10、例12に記載の多重特異性分子11、例13に記載の多重特異性分子12)。
ある実施形態では、アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する。ある実施形態では、アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む。ある実施形態では、アクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む。ある実施形態では、アクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する。
ある実施形態において、アクセサリー部分は、多重特異性抗体分子のa、b、c、または、dのポリペプチドと融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、多重特異性抗体分子のHCP1、第1のHCVRS、LLCP、LLCVRS、HCP2、第2のHCVRS、KLCP、または、KLCVRS、例えば、HCP1、第1のHCVRS、LLCP、LLCVRS、HCP2、第2のHCVRS、KLCP、または、KLCVRSのC末端またはN末端のいずれかと融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、HCP1と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、第1のHCVRS(例えば、第1のHCVRSのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、LLCP(例えば、LLCPのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、LLCVRS(例えば、LLCVRSのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、HCP2(例えば、HCP2のC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、第2のHCVRS(例えば、第2のHCVRSのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、KLCP(例えば、KLCPのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、アクセサリー部分は、KLCVRS(例えば、KLCVRSのC末端またはN末端)と融合している。ある実施形態では、HCP1は、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、アクセサリー部分は、第1のHCCRS、例えば、第1のHCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、HCP2は、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、アクセサリー部分は、第2のHCCRS、例えば、第2のHCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、当該LLCPは、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、当該アクセサリー部分は、LLCCRS、例えば、LLCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、当該KLCPは、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、当該アクセサリー部分は、KLCCRS、例えば、KLCCRSのC末端と融合している。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、1つ以上(例えば、2、3、4、5、または、それ以上)のアクセサリー分子を含む。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、第1のアクセサリー部分と、第2のアクセサリー部分とを含み、第1または第2のアクセサリー部分は、
1)第1または第2のアクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)第1または第2のアクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)第1または第2のアクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)第1または第2のアクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、から選択した特性を有する。
ある実施形態では、第1及び第2のアクセサリー部分は、同じである。ある実施形態では、第1及び第2のアクセサリー部分は、相違する。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、HCP1またはHCP2、例えば、HCP1またはHCP2のC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、LLCPまたはKLCP、例えば、LLCPまたはKLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、HCP1、例えば、HCP1のC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、LLCP、例えば、LLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、HCP1、例えば、HCP1のC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、KLCP、例えば、KLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、HCP2、例えば、HCP2のC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、LLCP、例えば、LLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、HCP2、例えば、HCP2のC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、KLCP、例えば、KLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分が、KLCP、例えば、KLCPのC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、LLCP、例えば、LLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)第1のアクセサリー部分は、LLCP、例えば、LLCPのC末端と融合しており、かつ、ii)第2のアクセサリー部分は、KLCP、例えば、KLCPのC末端と融合している。ある実施形態では、i)HCP1は、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、第1のアクセサリー部分は、第1のHCCRS、例えば、第1のHCCRSのC末端と融合しており、かつ、ii)LLCPは、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、第2のアクセサリー部分は、LLCCRS、例えば、LLCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、i)HCP2は、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、アクセサリー部分は、第2のHCCRS、例えば、第2のHCCRSのC末端と融合しており、かつ、ii)KLCPは、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、アクセサリー部分は、KLCCRS、例えば、KLCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、i)HCP1は、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、第1のアクセサリー部分は、第1のHCCRS、例えば、第1のHCCRSのC末端と融合しており、かつ、ii)KLCPは、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、アクセサリー部分は、KLCCRS、例えば、KLCCRSのC末端と融合している。ある実施形態では、i)HCP2は、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、アクセサリー部分は、第2のHCCRS、例えば、第2のHCCRSのC末端と融合しており、かつ、ii)LLCPは、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、第2のアクセサリー部分は、LLCCRS、例えば、LLCCRSのC末端と融合している。
前述した態様の特定の実施形態では、多重特異性抗体分子は、
i)a)HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある態様では、本明細書では、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含み、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含み、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、多重特異性抗体を開示する。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ
2)多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ
2)多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を促進する変異を含んでいない。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍にまで増加させる変異を含んでいない。ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP1とLLCPとの対合と比較して、HCP1とLLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍にまで増加させる変異を含んでいない。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍にまで増加させる変異を含んでいない。ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、この変異を伴わないHCP2とKLCPとの対合と比較して、HCP2とKLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍にまで増加させる変異を含んでいない。
前述した態様の特定の実施形態では、多重特異性抗体分子は、
i)a)HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある態様では、本明細書では、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含み、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む、多重特異性抗体であって、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、
多重特異性抗体を開示している。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び、
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び、
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、
1)多重特異性抗体分子が、第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び、
2)多重特異性抗体分子が、第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、多重特異性抗体分子が、KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、以下の第1のHCCRS、LLCCRS、第2のHCCRS、及び、KLCCRS(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列、または、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列)のいずれの変異も含んでいない。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、WO2017059551に開示されている変異を含んでいない。
前述した態様の特定の実施形態では、多重特異性抗体分子は、
i)a)HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)第1のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、LLCCRSが、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び
2)第2のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、KLCCRSが、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。
ある態様では、本明細書では、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、第1の抗原結合ドメインを、第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含む、第1の抗原結合ドメイン、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、第2の抗原結合ドメインを、第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む、第2の抗原結合ドメイン、を含む、多重特異性抗体分子であって、
1)第1のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、LLCCRSが、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び
2)第2のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、KLCCRSが、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む、
多重特異性抗体分子を開示している。
ある実施形態では、1)第1のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、かつ、2)第2のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含む。ある実施形態では、1)第1のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、かつ、2)KLCCRSは、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。ある実施形態では、1)LLCCRSは、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、かつ、2)第2のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含む。ある実施形態では、1)LLCCRSは、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、かつ、2)KLCCRSは、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。ある実施形態では、1)第1のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、かつ、LLCCRSは、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び、2)第2のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、KLCCRSは、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。ある実施形態では、1)第1のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、LLCCRSは、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び、2)第2のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、かつ、KLCCRSは、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。
ある実施形態では、i)第1のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、ii)LLCCRSは、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、iii)第2のHCCRSは、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、及び、iv)KLCCRSは、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む。
前述した態様の特定の実施形態では、HCP1は、KLCPよりも優先的にLLCPに結合する。前述した態様の特定の実施形態では、LLCPは、HCP2よりも優先的にHCP1に結合する。前述した態様の特定の実施形態では、HCP2は、LLCPよりも優先的にKLCPに結合する。前述した態様の特定の実施形態では、KLCPは、HCP1よりも優先的にHCP2に結合する。ある実施形態では、HCP1は、KLCPよりもLLCPに対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、HCP1とLLCPとの間の結合についてのKDは、HCP1とKLCPとの間の結合についてのKDの50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)。ある実施形態では、LLCPは、HCP2よりもHCP1に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、LLCPとHCP1との間の結合についてのKDは、LLCPと第1のHCP2との間の結合についてのKDの50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)。ある実施形態では、HCP2は、LLCPよりもKLCPに対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、HCP2とKLCPとの間の結合についてのKDは、HCP2とLLCPとの間の結合についてのKDの50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)。ある実施形態では、KLCPは、HCP1よりもHCP2に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、KLCPとHCP2との間の結合についてのKDは、KLCPとHCP1との間の結合についてのKDの50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)。
ある実施形態では、KLCPの存在下で、HCP1とLLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である。ある実施形態では、HCP1、LLCP、及び、KLCPが、1:1:1で存在する場合、KLCPの存在下で、HCP1とLLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である(競合ペプチドの非存在下でのHCP1とLLCPとの間の結合を100%とし、かつ、LLCPの存在下でのHCP1とLLCPとの間の結合を50%とする)。ある実施形態では、結合率は、本明細書に記載したアッセイ、例えば、NanoBiTアッセイで測定した。
ある実施形態では、HCP2の存在下で、HCP1とLLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である。ある実施形態では、HCP1、LLCP、及び、HCP2が、1:1:1で存在する場合、HCP2の存在下で、HCP1とLLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である(競合ペプチドの非存在下でのHCP1とLLCPとの間の結合を100%とし、かつ、HCP1の存在下でのHCP1とLLCPとの間の結合を50%とする)。ある実施形態では、結合率は、本明細書に記載したアッセイ、例えば、NanoBiTアッセイで測定した。
ある実施形態では、LLCPの存在下で、HCP2とKLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である。ある実施形態では、HCP2、KLCP、及び、LLCPが、1:1:1で存在する場合、LLCPの存在下で、HCP2とKLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である(競合ペプチドの非存在下でのHCP2とKLCPとの間の結合を100%とし、かつ、KLCPの存在下でのHCP2とKLCPとの間の結合を50%とする)。ある実施形態では、結合率は、本明細書に記載したアッセイ、例えば、NanoBiTアッセイで測定した。
ある実施形態では、HCP1の存在下で、HCP2とKLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である。ある実施形態では、HCP2、KLCP、及び、HCP1が、1:1:1で存在する場合、HCP1の存在下で、HCP2とKLCPとの間の結合率は、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である(競合ペプチドの非存在下でのHCP2とKLCPとの間の結合を100%とし、かつ、HCP2の存在下でのHCP2とKLCPとの間の結合を50%とする)。ある実施形態では、結合率は、本明細書に記載したアッセイ、例えば、NanoBiTアッセイで測定した。
ある実施形態では、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPを予め選択した条件下で、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7で、生理食塩水で、例えば、pH7で、または、生理学的条件下で存在する場合、HCP1の少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、LLCPと複合体を形成し、または、相互作用する。ある実施形態では、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPが予め選択した条件下で、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7で、生理食塩水で、例えば、pH7で、または、生理学的条件下で存在する場合、LLCPの少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、HCP1と複合体を形成し、または、相互作用する。ある実施形態では、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPを予め選択した条件下で、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7で、生理食塩水で、例えば、pH7で、または、生理学的条件下で存在する場合、HCP2の少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、KLCPと複合体を形成し、または、相互作用する。ある実施形態では、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPが予め選択した条件下で、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7で、生理食塩水で、例えば、pH7で、または、生理学的条件下で存在する場合、KLCPの少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、HCP2と複合体を形成し、または、相互作用する。
前述した態様の特定の実施形態では、多重特異性抗体分子は、
i)a)HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)第1のHCCRSが、LLCCRSと複合体を形成し、または、相互作用し、及び
2)第2のHCCRSが、KLCCRSと複合体を形成し、または、相互作用する、ことを含む。
前述した態様の特定の実施形態では、HCP1は、HCP2と複合体を形成し、または、相互作用する。ある実施形態では、HCP1は、HCP1の第2の分子よりも、HCP2に対して大きい親和性、例えば、実質的に大きい親和性を有する。ある実施形態では、HCP2は、HCP2の第2の分子よりも、HCP1に対して大きい親和性、例えば、実質的に大きい親和性を有する。ある実施形態では、HCP1は、配列要素を含んでおり、配列要素は、配列要素の非存在下で、例えば、天然に存在する配列が配列要素を置換する条件下で認められる比率と比較して、HCP1-HCP2:HCP1-HCP1の対合の比率を増加させる。ある実施形態では、HCP2は、配列要素を含んでおり、配列要素は、配列要素の非存在下で、例えば、天然に存在する配列が配列要素を置換する条件下で認められる比率と比較して、HCP1-HCP2:HCP2-HCP2の対合の比率を増加させる。ある実施形態では、配列要素は、天然の定常領域配列ではない。ある実施形態では、配列要素を、CH3に配置する。ある実施形態では、ヘテロ二量体化(例えば、HCP2-HCP2)とは対照的に、HCP1及びHCP2の一方または双方を選択して、自己二量体化(例えば、HCP1-HCP1)を最小限にした。ある実施形態では、HCP1及びHCP2は、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールとの対のメンバーである。ある実施形態では、HCP1-HCP2の対合を、静電相互作用で促進する。ある実施形態では、HCP1-HCP2の対合を、鎖交換で促進する。ある実施形態では、HCP1及びHCP2は、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールとの対のメンバーではない。ある実施形態では、HCP1は、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、第1のHCCRSは、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。ある実施形態では、HCP2は、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、第2のHCCRSは、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。ある実施形態では、i)HCP1は、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、第1のHCCRSは、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、ii)HCP2は、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、第2のHCCRSは、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない。ある実施形態では、HCP1は、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列を含み、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列は、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない。ある実施形態では、HCP2は、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列を含み、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列は、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない。ある実施形態では、i)HCP1は、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列を含み、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列は変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでおらず、かつ、ii)HCP2は、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列を含み、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列は、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない。
前述した態様の特定の実施形態では、HCP1は、インビボまたはインビトロのいずれかで、ラムダ抗体として生じる抗体に由来する。前述した態様の特定の実施形態では、HCP2は、インビボまたはインビトロのいずれかで、カッパ抗体として生じる抗体に由来する。
ある実施形態では、HCP1、及び、LLCPは、表18(例えば、表18にて対合した)、または、表5a(例えば、表5aにて対合した)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む。ある実施形態では、HCP2、及び、KLCPは、表18(例えば、表18にて対合した)、または、表5a(例えば、表5aにて対合した)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む。ある実施形態では、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPは、表18(例えば、表18にて対合した)、または、表5a(例えば、表5aにて対合した)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む。
ある実施形態では、第1または第2の抗原は、腫瘍抗原、例えば、膵臓、肺、または、大腸の腫瘍抗原である。ある実施形態では、第1または第2の抗原は、PD-L1、HER3、TROP2、メソテリン、IGF-1R、または、CA19-9から選択する。ある実施形態では、第1または第2の抗原は、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、DLL4、または、HGFから選択する。ある実施形態では、第1または第2の抗原は、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、MAGE-A3、gpA33、NY-ESO-1、ANG2、RSPO3、HER2、CEACAM5、または、CEAから選択する。ある実施形態では、第1または第2の抗原は、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞、または、骨髄性細胞の抗原である。ある実施形態では、第1または第2の抗原は、CD3、PD-1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4、VISTA、TIGIT、PD-L1、B7-H3、4-1BB、または、ICOSから選択する。ある実施形態では、第1の抗原は、腫瘍抗原、例えば、メソテリンであり、かつ、第2の抗原は、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、または、NKP46から選択する抗原であり、または、第2の抗原は、腫瘍抗原、例えば、メソテリンであり、かつ、第1の抗原は、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、または、NKP46から選択した抗原である。ある実施形態では、第1の抗原は、IGF1Rであり、かつ、第2の抗原は、HER3であり、または、第2の抗原は、IGF1Rであり、かつ、第1の抗原は、HER3である。ある実施形態では、第1の抗原は、メソテリンであり、かつ、第2の抗原は、PD-L1であり、または、第2の抗原は、メソテリンであり、かつ、第1の抗原は、PD-L1である。ある実施形態では、第1の抗原は、CTLA4であり、かつ、第2の抗原は、IL12βであり、または、第2の抗原は、CTLA4であり、かつ、第1の抗原は、IL12βである。ある実施形態では、第1の抗原は、CTLA4であり、かつ、第2の抗原は、TRAILR2であり、または、第2の抗原は、CTLA4であり、かつ、第1の抗原は、TRAILR2である。ある実施形態では、第1の抗原は、CTLA4であり、かつ、第2の抗原は、CD221であり、または、第2の抗原は、CTLA4であり、かつ、第1の抗原は、CD221である。ある実施形態では、第1の抗原は、PD1であり、かつ、第2の抗原は、TRAILR2であり、または、第2の抗原はPD1であり、かつ、第1の抗原は、TRAILR2である。ある実施形態では、第1の抗原は、PD1であり、かつ、第2の抗原は、PDL1であり、または、第2の抗原は、PD1であり、かつ、第1の抗原は、PDL1である。ある実施形態では、第1の抗原は、PD1であり、かつ、第2の抗原は、PDL1であり、または、第2の抗原は、PD1であり、かつ、第1の抗原は、PDL1である。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、IL-2分子をさらに含む。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子をさらに含む。
ある態様では、本明細書では、多重特異性抗体分子、例えば、2つの結合特異性を含む抗体分子、例えば、二重特異性抗体分子を開示している。多重特異性抗体分子は、
第1のエピトープに特異的なラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)、
第1のエピトープに特異的な重鎖ポリペプチド1(HCP1)、
第2のエピトープに特異的なカッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)、及び
第2のエピトープに特異的な重鎖ポリペプチド2(HCP2)、を含む。
別の態様では、本明細書では、多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子を開示しており、同抗体分子は、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)(例えば、第1の重鎖可変領域(第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべてを含む重鎖ポリペプチド)であって、例えば、HCP1は、第1のエピトープに結合する、第1の重鎖ポリペプチド、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべてを含む重鎖ポリペプチド)であって、例えば、HCP2は、第2のエピトープに結合する、第2の重鎖ポリペプチド、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLλ)、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、または、その双方)であって、例えば、LLCPは、第1のエピトープに結合するラムダ軽鎖ポリペプチド、及び
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLκ)、ラムダ軽鎖定常部(VLκ)、または、その双方)であって、例えば、KLCPは、第2のエピトープに結合するカッパ軽鎖ポリペプチド、を含む。実施形態では、第1及び第2の重鎖ポリペプチドは、ヘテロ二量体化を増強するFc界面を形成する。
本明細書で開示した多重特異性抗体分子の幾つかの実施形態では、
LLCPは、HCP2よりもHCP1に対して大きな親和性を有し、及び/または
KLCPは、HCP1よりもHCP2に対して大きな親和性を有する。
実施形態では、HCP1に対するLLCPの親和性は、HCP2に対するその親和性よりも十分に大きいので、予め選択された条件下、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7、生理食塩水で、例えば、pH7、または、生理学的条件下で、多重特異性抗体分子分子の少なくとも75%、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%は、HCP1と複合体を形成し、または、相互作用したLLCPを有する。
本明細書に開示した多重特異性抗体分子の幾つかの実施形態では、
HCP1は、HCP1の第2の分子よりも、HCP2に対して大きな親和性を有しており、及び/または、
HCP2は、HCP2の第2の分子よりも、HCP1に対して大きな親和性を有する。
実施形態では、HCP2に対するHCP1の親和性は、HCP1の第2の分子に対するその親和性よりも十分に大きいので、予め選択された条件下、例えば、水性緩衝液で、例えば、pH7、生理食塩水で、例えば、pH7、または、生理学的条件下で、多重特異性抗体分子分子の少なくとも75%、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%は、HCP2と複合体を形成し、または、相互作用したHCP1を有する。
別の態様では、本明細書では、多重特異性抗体分子を作製または製造する方法を開示している。方法は、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1の重鎖可変領域(第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべて)を提供すること、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべて)を提供すること、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLλ)、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、または、その双方)を提供すること、及び
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLκ)、ラムダ軽鎖定常部(VLκ)、または、その双方)を提供することを、
(i)~(iv)が関連する条件下で含む。
実施形態では、第1及び第2の重鎖ポリペプチドは、ヘテロ二量体化を増強するFc界面を形成する。
別の態様では、本明細書では、多重特異性抗体分子を作製または製造する方法を開示している。方法は、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1の重鎖可変領域(第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべて)を提供すること、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または、その双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべて)を提供すること、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLλ)、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、または、その双方)を提供し、かつ、エフェクター部分(例えば、IL2)をさらに含むこと、及び
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLκ)、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、または、その双方)を提供し、かつ、任意に、抗原結合部分(例えば、scFv)をさらに含むことを、
(i)~(iv)が関連する条件下で含む。実施形態では、(i)~(iv)(例えば、(i)~(iv)をコードする核酸)を、単一の細胞、例えば、単一の哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞に導入する。実施形態では、(i)~(iv)を、細胞内で発現する。
実施形態では、(i)~(iv)(例えば、(i)~(iv)をコードする核酸)を異なる細胞、例えば、異なる哺乳動物細胞、例えば、2つ以上のCHO細胞に導入する。実施形態では、(i)~(iv)を、細胞内で発現する。
ある実施形態では、方法は、例えば、ラムダ-、及び/または、カッパ-特異的精製、例えば、アフィニティークロマトグラフィーを用いて、細胞で発現した抗体分子を精製する、ことをさらに含む。
実施形態では、方法は、細胞で発現した多特異性抗体分子を評価する、ことをさらに含む。例えば、細胞で発現し、精製をした多特異性抗体分子を、質量分析など、技術分野で公知の技術で分析することができる。ある実施形態では、細胞で発現し、精製をした多特異性抗体分子を開裂して、例えば、パパインで消化してFab部分を生じ、そして、質量分析を用いて評価する。
実施形態では、方法は、適切に対にしたカッパ/ラムダ多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子を、例えば、少なくとも75%、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%という高収率で生成する。
前述した多重特異性分子をコードする核酸分子、ベクター、及び、宿主細胞も開示している。
前述した多重特異性分子、及び、医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物も開示している。
別の態様では、本発明は、本明細書に開示した多重特異性抗体分子を使用して、障害、例えば、がんを有する対象を処置する方法を特徴としている。
本明細書に開示した多重特異性抗体分子、及び、方法のさらなる特徴及び実施形態は、以下のうちの1つ以上を含む。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、単離または精製されている。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子の第1及び第2の重鎖ポリペプチド、例えば、第1及び第2の重鎖定常領域(例えば、第1の及び第2のFc領域)の界面を、例えば、改変されていない界面、例えば、天然に存在する界面と比較して、ヘテロ二量体化を増強するように改変、例えば、変異させる。ある実施形態では、第1及び第2の重鎖ポリペプチドのヘテロ二量体化は、第1及び第2のFc領域のFc界面に、対になった突起-空洞(「ノブ-イン-ア-ホール」)、静電相互作用、または、鎖交換の1つ以上を提供することで増強され、例えば、改変していない界面と比較して、ホモ多量体に対するヘテロ多量体の大きな比率を形成する。幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または、409の1つ以上から選択した位置に、対になったアミノ酸置換を含む。例えば、第1の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)は、(例えば、空洞またはホールに対応する)T366S、L368A、または、Y407Vから選択した対になったアミノ酸置換を含むことができ、そして、第2の免疫グロブリン鎖定常領域は、(例えば、突起またはノブに対応する)T366Wを含む。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子の第1及び第2の重鎖ポリペプチド、例えば、第1及び第2の重鎖定常領域(例えば、第1の及び第2のFc領域)の界面を改変せずに、例えば、変異させないで、例えば、改変していない界面、例えば、天然に存在する界面と比較して、ヘテロ二量体化を増やす。ある実施形態では、第1及び第2の重鎖ポリペプチドのヘテロ二量体化は、第1及び第2のFc領域のFc界面に、対になった突起-空洞(「ノブ-イン-ア-ホール」)を提供しても増強されない。
幾つかの実施形態では、CH1鎖、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、及び、カッパ軽鎖定常部(VLκ)の1つ以上(例えば、全部)は改変させずに、例えば、変異させないで、例えば、改変していない界面、例えば、天然に存在する界面と比較して、ヘテロ二量体化を増やす。幾つかの実施形態では、CH1鎖、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、及び、カッパ軽鎖定常部(VLκ)の1つ以上(例えば、全部)は、天然に存在する。
幾つかの実施形態では、重鎖可変領域(VH、例えば、FR1、FR2、FR3、及び、任意に、CDR1~2)は、IMGT(登録商標)に記載の生殖細胞系列ファミリー、the International ImMunoGeneTics(Lefranc,M.-P.,”IMGT、the International ImMunoGeneTics database” Nucl.Acids Res.,29,207-209(2001)、及び、Scaviner,D.,Barbie,V.,Ruiz,M. and Lefranc,M.-P.,”Protein displays of the human immunoglobulin heavy,kappa and lambda variable and joining regions”, Exp. Clin. Immunogenet.,16,234-240(1999))、または、それらと実質的に同一のアミノ酸配列に由来する。
幾つかの実施形態では、軽鎖可変領域(VLカッパまたはラムダ、例えば、FR1、FR2、FR3、及び、任意に、CDR1~2)は、IMGTに記載の生殖細胞系列ファミリー、または、それらと実質的に同一のアミノ酸配列に由来する。
実施形態では、多重特異性抗体分子は、複数(例えば、2、3、または、それ以上)の結合特異性(または、機能性)を含む。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、二重特異性(または、二機能性)分子、三重特異性(または、三機能性)分子、または、四重特異性(または、四機能性)分子である。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する第1の結合特異性、及び、第2のエピトープに対する第2の結合特異性を含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じポリペプチドにある。他の実施形態では、第1及び第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるポリペプチドにある。幾つかの実施形態では、第1のエピトープは、第1の抗原、例えば、第1のポリペプチドにあり、かつ、第2のエピトープは、第2の抗原、例えば、第2のポリペプチドにある。幾つかの実施形態では、抗原、または、ポリペプチドは、表2、4、5a、17、及び、18の抗体が認識する抗原、例えば、表2、4、5a、17、及び、18に開示したラムダ及びカッパ抗体が認識する第1の及び第2の抗原から選択する。ラムダ及びカッパ抗体の例示的な対を、表5a及び18に示す。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する第1の結合特異性を含み、第1のエピトープは、腫瘍抗原、例えば、膵臓、肺、または、大腸の腫瘍抗原にある。幾つかの実施形態では、第1のエピトープは、PD-L1、HER3、TROP2、メソテリン、IGF-1R、または、CA19-9から選択した抗原にある。他の実施形態では、第1のエピトープは、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、DLL4、または、HGFから選択した抗原にある。さらに他の実施形態では、第1のエピトープは、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、MAGE-A3、gpA33、NY-ESO-1、ANG2、RSPO3、HER2、CEACAM5、または、CEAから選択した抗原にある。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、第2のエピトープに対する第2の結合特異性を含み、第2のエピトープは、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞、または、骨髄性細胞の抗原にある。幾つかの実施形態では、第2のエピトープは、CD3、PD-1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4、VISTA、TIGIT、PD-L1、B7-H3、4-1BB、または、ICOSから選択する。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、腫瘍抗原、例えば、メソテリンの第1のエピトープと、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、または、NKP46から選択した抗原の第2のエピトープとに結合する。幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、メソテリンとPD-L1に結合する。幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、メソテリンとPDL1に結合し、かつ、サイトカイン(例えば、IL2)をさらに含む。幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、メソテリン、PDL1、及び、NKp30に結合し、かつ、サイトカイン(例えば、IL2)をさらに含む。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、複数(例えば、2つ以上)の結合特異性(または、機能性)を含む。幾つかの実施形態では、第1の結合特異性は、がん細胞に選択的に局在しており、例えば、それは腫瘍標的化部分を含み、そして、第2(または、第3または第4)の結合特異性は、免疫細胞エンゲージャー(例えば、NK細胞エンゲージャー、B細胞エンゲージャー、樹状細胞エンゲージャー、または、マクロファージ細胞エンゲージャーの1つ、2つ、3つ、または、すべてから選択した)、及び/または、サイトカイン分子の一方または双方を含む。例示的な腫瘍標的化部分、免疫細胞エンゲージャー、及び、サイトカイン分子を、詳細な説明に記載している。
特に定義がされていない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または同等の方法及び材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法及び材料を、以下に記載する。本願で引用したすべての刊行物、特許出願、特許、及び、その他の参考文献は、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。何らかの矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び、実施例は、例示的なものにすぎず、限定を意図するものではない。
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
多重特異性抗体分子であって、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、前記第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含む前記第1の抗原結合ドメイン、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、前記第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む前記第2の抗原結合ドメインを含み、
1)前記第1のHCVRSは、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、
2)前記LLCVRSは、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、
3)前記第2のHCVRSは、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有しており、または
4)前記KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、前記多重特異性抗体分子。
(項目2)
1)前記第1のHCVRSが、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目1に記載の多重特異性抗体分子。
(項目3)
2)前記LLCVRSが、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目2に記載の多重特異性抗体分子。
(項目4)
3)前記第2のHCVRSが、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目2または3に記載の多重特異性抗体分子。
(項目5)
4)前記KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目2~4のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目6)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目2~5のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目7)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目2~6のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目8)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目2~7のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目9)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目2~8のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目10)
以下の前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、前記第2の重鎖生殖細胞系、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目2~9のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目11)
2)前記LLCVRSが、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目1に記載の多重特異性抗体分子。
(項目12)
1)前記第1のHCVRSが、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目11に記載の多重特異性抗体分子。
(項目13)
3)前記第2のHCVRSが、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目11または12に記載の多重特異性抗体分子。
(項目14)
4)前記KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目11~13のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目15)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目11~14のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目16)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目11~15のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目17)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目11~16のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目18)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目11~17のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目19)
以下の前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、前記第2の重鎖生殖細胞系、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目11~18のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目20)
3)前記第2のHCVRSが、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目1に記載の多重特異性抗体分子。
(項目21)
1)前記第1のHCVRSが、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目20に記載の多重特異性抗体分子。
(項目22)
2)前記LLCVRSが、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目20または21に記載の多重特異性抗体分子。
(項目23)
4)前記KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目20~22のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目24)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目20~23のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目25)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目20~24のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目26)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目20~25のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目27)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目20~26のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目28)
以下の前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、前記第2の重鎖生殖細胞系、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目20~27のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目29)
4)前記KLCVRSが、表6の第4欄、表8bの第6欄、または、表5bの第5欄から選択したカッパ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目1に記載の多重特異性抗体分子。
(項目30)
1)前記第1のHCVRSが、表7の第3欄、表8bの第2欄、または、表5bの第2欄から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目29に記載の多重特異性抗体分子。
(項目31)
2)前記LLCVRSが、表7の第4欄、表8bの第3欄、または、表5bの第3欄から選択したラムダ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目29または30に記載の多重特異性抗体分子。
(項目32)
3)前記第2のHCVRSが、表6の第3欄、表8bの第5欄、または、表5bの第4欄から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、または、100%の配列同一性を有する、項目29~31のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目33)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目29~32のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目34)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表7、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目29~33のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目35)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目29~34のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目36)
前記第2の重鎖生殖細胞系配列、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列、及び、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列を、表6、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目29~35のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目37)
以下の前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、前記第2の重鎖生殖細胞系、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列の少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または、すべて)を、表8b、または、表5bの単一の列から選択する、項目29~36のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目38)
前記第1の重鎖生殖細胞系配列、前記ラムダ軽鎖生殖細胞系配列、前記第2の重鎖生殖細胞系配列、及び、前記カッパ軽鎖生殖細胞系配列を、表8bまたは表5bの単一の列から選択する、項目1~37のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目39)
多重特異性抗体分子であって、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、前記第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含む前記第1の抗原結合ドメイン、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、前記第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含む、前記第2の抗原結合ドメインを含み、
前記多重特異性抗体分子が、アクセサリー部分をさらに含み、前記アクセサリー部分は、
1)前記アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)前記アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)前記アクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)前記アクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、
から選択した特性を有する、前記多重特異性抗体分子。
(項目40)
前記多重特異性抗体分子が、アクセサリー部分をさらに含み、前記アクセサリー部分は、
1)前記アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)前記アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)前記アクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)前記アクセサリー部分を、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、
から選択した特性を有する、項目1~38のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目41)
前記アクセサリー部分が、前記多重特異性抗体分子のa、b、c、または、dのポリペプチドと融合している、項目39または40に記載の多重特異性抗体分子。
(項目42)
前記アクセサリー部分が、以下のいずれか、例えば、前記多重特異性抗体分子の前記HCP1、第1のHCVRS、LLCP、LLCVRS、HCP2、第2のHCVRS、KLCP、または、KLCVRS、例えば、前記多重特異性抗体分子のHCP1、第1のHCVRS、LLCP、LLCVRS、HCP2、第2のHCVRS、KLCP、または、KLCVRSのC末端またはN末端と融合している、項目39から41のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目43)
前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、前記アクセサリー部分が、前記第1のHCCRS、例えば、前記第1のHCCRSのC末端と融合している、項目39~41のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目44)
前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、前記アクセサリー部分が、前記第2のHCCRS、例えば、前記第2のHCCRSのC末端と融合している、項目39~41のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目45)
前記LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、前記アクセサリー部分が、前記LLCCRS、例えば、前記LLCCRSのC末端と融合している、項目39~41のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目46)
前記KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、前記アクセサリー部分が、前記KLCCRS、例えば、前記KLCCRSのC末端と融合している、項目39~41のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目47)
第1のアクセサリー部分と、第2のアクセサリー部分とを含み、前記第1または第2のアクセサリー部分は、
1)前記第1または第2のアクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100kDaの分子量を有する、
2)前記第1または第2のアクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または、100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む、
3)前記第1または第2のアクセサリー部分が、免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、抗原提示細胞(APC)、または、NK細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む、または、
4)前記第1または第2のアクセサリー部分が、免疫細胞エンゲージャー(例えば、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト抗CD40抗体分子、または、PD-1結合部分、例えば、PDL-1、または、抗PD-1抗体分子のPD-1結合配列)、サイトカイン分子(例えば、IL-2分子)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、TGF-βアンタゴニスト)、酵素、毒素、または、標識薬剤の1つ以上から選択する、
から選択した特性を有する、項目39~46のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目48)
前記第1及び第2のアクセサリー部分が同じである、項目47記載の多重特異性抗体分子。
(項目49)
前記第1及び第2のアクセサリー部分が相違している、項目47記載の多重特異性抗体分子。
(項目50)
i)前記第1のアクセサリー部分が、前記HCP1または前記HCP2、例えば、前記HCP1または前記HCP2のC末端と融合しており、及び
ii)前記第2のアクセサリー部分が、前記LLCPまたは前記KLCP、例えば、前記LLCPまたは前記KLCPの前記C末端と融合している、
項目47~49のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目51)
i)前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、前記第1のアクセサリー部分が、前記第1のHCCRS、例えば、前記第1のHCCRSの前記C末端と融合しており、及び
ii)前記LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、前記第2のアクセサリー部分が、前記LLCCRS、例えば、前記LLCCRSの前記C末端と融合している、
項目47~50のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目52)
i)前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、CH1、CH2、及び、CH3配列)を含み、前記アクセサリー部分が、前記第2のHCCRS、例えば、前記第2のHCCRSの前記C末端と融合しており、及び
ii)前記KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、前記アクセサリー部分が、前記KLCCRS、例えば、前記KLCCRSの前記C末端と融合している、
項目47~50のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目53)
多重特異性抗体分子であって、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、前記第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含み、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、前記第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含み、
1)前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでいない、及び
2)前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでいない、前記多重特異性抗体分子。
(項目54)
i)a)前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)前記LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)前記KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでいない、及び
2)前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を促進する前記変異を含んでいない、
項目1~52のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目55)
前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍に促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP1と前記LLCPとの対合と比較して、前記HCP1と前記LLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍に促進する前記変異を含んでいない、項目53または54に記載の多特異的抗体分子。
(項目56)
前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍に促進する前記変異を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)であって、前記変異を伴わない前記HCP2と前記KLCPとの対合と比較して、前記HCP2と前記KLCPとの優先的対合を、少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または、50倍に促進する前記変異を含んでいない、項目53~55のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目57)
多重特異性抗体分子であって、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、前記第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含み、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、前記第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含み、
1)前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び
2)前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、前記多重特異性抗体分子。
(項目58)
i)a)前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)前記LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)前記KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び
2)前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでおらず、または、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異(例えば、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、
項目1~56のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目59)
前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRS、前記LLCCRS、前記第2のHCCRS、及び、前記KLCCRSのいずれにおいても変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列、または、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列)を含んでいない、項目57または58に記載の多重特異性抗体分子。
(項目60)
多重特異性抗体分子であって、
i)第1の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインであって、前記第1の抗原結合ドメインが、
a)i)b)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分な第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含む、第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、及び
b)i)a)と対になると、前記第1の抗原結合ドメインを、前記第1の抗原に結合できるようにするに十分なラムダ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)、及び、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)を含み、及び
ii)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、前記第2の抗原結合ドメインが、
a)ii)b)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分な第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)、及び、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含む、第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、及び
b)ii)a)と対になると、前記第2の抗原結合ドメインを、前記第2の抗原に結合できるようにするに十分なカッパ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)、及び、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含み、
1)前記第1のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、前記LLCCRSが、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び
2)前記第2のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、前記KLCCRSが、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む、前記多重特異性抗体分子。
(項目61)
i)a)前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第1のCH1配列)を含み、
i)b)前記LLCPが、ラムダ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含み、
ii)a)前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)(例えば、第2のCH1配列)を含み、及び
ii)b)前記KLCPが、カッパ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含み、
1)前記第1のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、前記LLCCRSが、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、及び
2)前記第2のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、または、前記KLCCRSが、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む、
項目1~59のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目62)
i)前記第1のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、
ii)前記LLCCRSが、天然に存在するラムダ軽鎖定常領域配列を含み、
iii)前記第2のHCCRSが、天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、及び
iv)前記KLCCRSが、天然に存在するカッパ軽鎖定常領域配列を含む、
項目60または61に記載の多重特異性抗体分子。
(項目63)
前記HCP1が、前記KLCPよりも優先的に前記LLCPに結合する、項目1~62のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目64)
前記LLCPが、前記HCP2よりも前記HCP1に優先的に結合する、項目1~63のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目65)
前記HCP2が、前記LLCPよりも前記KLCPに優先的に結合する、項目1~64のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目66)
前記KLCPが、前記HCP1よりも前記HCP2に優先的に結合する、項目1~65のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目67)
前記HCP1が、前記KLCPよりも前記LLCPに対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、前記HCP1と前記LLCPとの間の結合でのK は、前記HCP1と前記KLCPとの間の結合でのK の50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)項目1~66のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目68)
前記LLCPが、前記HCP2よりも前記HCP1に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、前記LLCPと前記HCP1との間の結合でのK は、前記LLCPと前記第1のHCP2との間の結合でのK の50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)項目1~67のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目69)
前記HCP2が、前記LLCPよりも前記KLCPに対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、前記HCP2と前記KLCPとの間の結合でのK は、前記HCP2と前記LLCPとの間の結合でのK の50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)項目1~68のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目70)
前記KLCPが、前記HCP1よりも前記HCP2に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する(例えば、前記KLCPと前記HCP2との間の結合でのK は、前記KLCPと前記第HCP1との間の結合でのK の50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、または、0.01%未満である)項目1~69のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目71)
前記KLCPの存在下での前記HCP1と前記LLCPとの間の前記結合率が、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である、項目1~70のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目72)
前記HCP2の存在下での前記HCP1と前記LLCPとの間の前記結合率が、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である、項目1~71のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目73)
前記LLCPの存在下での前記HCP2と前記KLCPとの間の前記結合率が、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である、項目1~72のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目74)
前記HCP1の存在下での前記HCP2と前記KLCPとの間の前記結合率が、少なくとも75、80、90、95、98、99、または、99.5%である、項目1~73のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目75)
前記HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPが、予め選択した条件下、例えば、水性緩衝液にて、例えば、pH7で、生理食塩水にて、例えば、pH7で存在し、または、生理学的条件下で、
i)前記HCP1の少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、前記LLCPと複合体を形成し、または、相互作用し、
ii)前記LLCPの少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、前記HCP1と複合体を形成し、または、相互作用し、
iii)前記HCP2の少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、前記KLCPと複合体を形成し、または、相互作用し、または、
iv)前記KLCPの少なくとも70、75、80、90、95、98、99、99.5、または、99.9%が、前記HCP2と複合体を形成し、または、相互作用する、項目1~74のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目76)
前記HCP1が、前記HCP2と複合体を形成し、または、相互作用する、項目1~75のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目77)
前記HCP1が、前記HCP1の第2の分子よりも、HCP2に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目78)
前記HCP2が、前記HCP2の第2の分子よりも、HCP1に対して大きな親和性、例えば、実質的に大きな親和性を有する、項目1~77のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目79)
前記HCP1が、HCP1-HCP2:HCP1-HCP1の対合の比率を増加させる配列要素であって、前記配列要素が存在しない、例えば、天然に存在する配列が前記配列要素を置き換える場合に認められる比率と比較して同比率を増加させる配列要素を含む、項目1~78のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目80)
前記HCP2が、HCP1-HCP2:HCP2-HCP2の対合の比率を増加させる配列要素であって、前記配列要素が存在しない、例えば、天然に存在する配列が前記配列要素を置き換える場合に認められる比率と比較して同比率を増加させる配列要素を含む、項目1~79のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目81)
前記配列要素が、天然の定常領域配列ではない、項目79または80に記載の多重特異性抗体。
(項目82)
前記配列要素が、CH3に配置されている、項目79または80に記載の多重特異性抗体。
(項目83)
HCP1及びHCP2の一方または双方を選択して、ヘテロ二量体化(例えば、HCP2-HCP2)とは対照的に、自己二量体化(例えば、HCP1-HCP1)を最小にする、項目1~82のいずれか1項に記載の多重特異性抗体。
(項目84)
HCP1及びHCP2が、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールとの対のメンバーである、項目1~83のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目85)
HCP1-HCP2の対合を、静電相互作用で促進する、項目1~83のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目86)
HCP1-HCP2の対合を、鎖交換で促進する、項目1~83のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目87)
HCP1及びHCP2が、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対のメンバーではない、項目1~83のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目88)
前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、前記第1のHCCRSが、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目89)
前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、前記第2のHCCRSが、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目90)
i)前記HCP1が、第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、前記第1のHCCRSが、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、及び
ii)前記HCP2が、第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含み、前記第2のHCCRSが、変異(例えば、天然に存在する重鎖定常領域配列に対する変異)を含んでいない、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目91)
前記HCP1が、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列を含み、前記第1のCH2ドメイン配列、及び、前記第1のCH3ドメイン配列が、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目92)
前記HCP2が、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列を含み、前記第2のCH2ドメイン配列、及び、前記第2のCH3ドメイン配列が、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない、項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目93)
i)前記HCP1が、第1のCH2ドメイン配列、及び、第1のCH3ドメイン配列を含み、前記第1のCH2ドメイン配列、及び、前記第1のCH3ドメイン配列が、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない、及び
ii)前記HCP2が、第2のCH2ドメイン配列、及び、第2のCH3ドメイン配列を含み、前記第2のCH2ドメイン配列、及び、前記第2のCH3ドメイン配列が、変異(例えば、天然に存在するCH2ドメイン配列、または、天然に存在するCH3ドメイン配列に対する変異)を含んでいない、
項目1~76のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目94)
前記HCP1が、インビボ、または、インビトロのいずれかで、ラムダ抗体として生じる抗体に由来する、項目1~93のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目95)
前記HCP2が、インビボ、または、インビトロのいずれかで、カッパ抗体として生じる抗体に由来する、項目1~94のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目96)
前記HCP1及びLLCPが、表18(例えば、表18にて対合した)、または、表5a(例えば、表5aにて対合した)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む、項目1~95のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目97)
前記HCP2及びKLCPが、表18(例えば、表18にて対合した)、または、表5a(例えば、表5aにて対合した)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む、項目1~96のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目98)
前記HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPが、表18(例えば、表18での単一の区画)、または、表5a(例えば、表5aでの単一の列)から選択したアミノ酸配列、または、それらの機能的変異体、または、断片を含む、項目1~97のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目99)
前記第1または第2の抗原が、腫瘍抗原、例えば、膵臓、肺、または、大腸腫瘍抗原である、項目1~98のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目100)
前記第1または第2の抗原を、PD-L1、HER3、TROP2、メソテリン、IGF-1R、または、CA19-9から選択する、項目1~99のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目101)
前記第1または第2の抗原を、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、DLL4、または、HGFから選択する、項目1~100のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目102)
前記第1または第2の抗原を、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、MAGE-A3、gpA33、NY-ESO-1、ANG2、RSPO3、HER2、CEACAM5、または、CEAから選択する、項目1~101のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目103)
前記第1または第2の抗原が、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞、または、骨髄性細胞の抗原である、項目1~102のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目104)
前記第1または第2の抗原を、CD3、PD-1、LAG-3、TIM-3、CTLA
-4、VISTA、TIGIT、PD-L1、B7-H3、4-1BB、または、ICOSから選択する、項目1~103のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目105)
前記第1の抗原が、腫瘍抗原、例えば、メソテリンであり、かつ、前記第2の抗原が、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、または、NKP46から選択した抗原であり、または、前記第2の抗原が、腫瘍抗原、例えば、メソテリンであり、かつ、前記第1の抗原が、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、または、NKP46から選択した抗原である、項目1~104のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目106)
前記第1の抗原が、IGF1Rであり、かつ、前記第2の抗原が、HER3であり、または、前記第2の抗原が、IGF1Rであり、かつ、前記第1の抗原が、HER3である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目107)
前記第1の抗原が、メソテリンであり、かつ、前記第2の抗原が、PD-L1であり、または、前記第2の抗原が、メソテリンであり、かつ、前記第1の抗原が、PD-L1である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目108)
前記第1の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第2の抗原が、IL12βであり、または、前記第2の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第1の抗原が、IL12βである、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目109)
前記第1の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第2の抗原が、TRAILR2であり、または、前記第2の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第1の抗原が、TRAILR2である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目110)
前記第1の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第2の抗原が、CD221であり、または、前記第2の抗原が、CTLA4であり、かつ、前記第1の抗原が、CD221である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目111)
前記第1の抗原が、PD1であり、かつ、前記第2の抗原が、TRAILR2であり、または、前記第2の抗原が、PD1であり、かつ、前記第1の抗原が、TRAILR2である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目112)
前記第1の抗原が、PD1であり、かつ、前記第2の抗原が、PDL1であり、または、前記第2の抗原が、PD1であり、かつ、前記第1の抗原が、PDL1である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目113)
前記第1の抗原が、PD1であり、かつ、前記第2の抗原が、PDL1であり、または、前記第2の抗原が、PD1であり、かつ、前記第1の抗原が、PDL1である、項目1~105のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目114)
IL-2分子、または、CD40アゴニスト、例えば、CD40Lポリペプチド、または、アゴニスト性抗CD40抗体分子をさらに含む、項目1~113のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
(項目115)
項目1~114のいずれか1項に記載のHCP1、LLCP、HCP2、または、KLCPの1つ、2つ、3つ、または、すべてをコードする核酸。
(項目116)
項目115に記載の核酸を含むベクター。
(項目117)
項目114に記載の核酸、または、項目116に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目118)
項目117に記載の細胞を培養し、それにより、HCP1、LLCP、HCP2、または、KLCPの1つ、2つ、3つ、または、すべてを製造することを含む、HCP1、LLCP、HCP2、または、KLCPの1つ、2つ、3つ、または、すべてを作製する方法。
(項目119)
HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPを含む多特異性抗体分子、例えば、項目1~114のいずれか1項に記載の多特異性抗体分子を作製する方法であって、
HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPの会合に適した条件下で、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPを組み合わせ、
それにより、HCP1、LLCP、HCP2、及び、KLCPを含む多重特異性抗体分子を作製する、ことを含む、前記方法。
(項目120)
前記方法が、適切に対を形成したカッパ/ラムダ多重特異性抗体分子を高収率で製造する、項目118または119に記載の方法。
(項目121)
項目1~88のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子を含む製剤。
(項目122)
多重特異性抗体分子の製剤であって、前記多重特異性抗体分子の少なくとも50、60、70、80、90、95、98、99、または、99.9%が、
第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)と複合体を形成し、または、相互作用するラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)、及び
第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)と複合体を形成し、または、相互作用するカッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)を含み、
前記HCP1が、前記HCP2と複合体を形成し、または、相互作用する、前記製剤。
(項目123)
前記多特異性抗体分子が、項目1~114のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子を含む、項目122に記載の製剤。
(項目124)
前記製剤が、医薬として許容される製剤であり、例えば、医薬として許容される希釈剤または賦形剤を含む、項目121から123のいずれか1項に記載の製剤。
(項目125)
項目1~114のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子、及び、医薬として許容される希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
(項目126)
対象に多重特異性抗体分子を提供する方法であって、
項目1~114のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子を含む医薬製剤を前記対象に提供する、ことを含む前記方法。
(項目127)
処置を必要とする対象を処置する方法であって、項目1~114のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子の有効量、または、項目125に記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与する、ことを含む前記方法。
A~Dは、軽鎖シャッフリングの概略図である。 パパインで開裂した二重特異性抗体の概略図であり、ヒンジ領域における開裂位置を点線で示している。実施形態では、CH2-CH3ドメイン(ホール修飾を有する)であるFc定常部に連結した第1の重鎖可変領域-CH1に、ヘテロ二量体化したハイブリッドVLλ-CLλを含む第1の結合特異性と、CH2-CH3ドメイン(ノブ修飾を有する)であるFc定常部に連結した第2の重鎖可変領域-CH1にヘテロ二量体化したハイブリッドVLκ-CLκを含む第2の結合特異性とを有する多重特異性抗体分子。2つのFab断片を、パパイン処理した後に放出する。 A~Cは、NanoBiT(登録商標)タンパク質:タンパク質相互作用システム(ACS Chem Biol.2016 Feb 19;11(2):400-8)を利用して、1:1:1のモル比で混合した、重鎖ポリペプチド(HCP2)に対する、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)と、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)との競合を示す。HCP2は、C末端融合として、LgBiTを有しており、KLCPは、C末端融合として、SmBiTを有しており、そして、LLCPは、天然軽鎖である。HCP2及びKLCPが、Fab領域を形成すると、LgBiT及びSmBiTは、完全に機能的なNanoLucドメインを作り出す(図3A)。HCP2及びLLCPが、Fab領域を形成すると、NanoLucは、完全でなくなり、かつ、不活性である(図3B)。CH1親和性で精製したHCP2についてのLLCPとKLCPの1:1:1の競合は、HCP2/KLCP機能性NanoLuc、及び、HCP2/LLCP非機能性NanoLuc Fab領域をもたらす(図3C)。 A~Cは、NanoBiT(登録商標)タンパク質:タンパク質相互作用システムを利用して、1:1:1のモル比で混合した、重鎖ポリペプチド(HCP1)に対する、ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)と、カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)との競合を示す。HCP1は、C末端融合として、LgBiTを有しており、LLCPは、C末端融合として、SmBiTを有しており、そして、KLCPは、天然軽鎖である。HCP1及びLLCPが、Fab領域を形成すると、LgBiT及びSmBiTは、完全に機能的なNanoLucドメインを作り出す(図4A)。HCP1及びKLCPが、Fab領域を形成すると、NanoLucは完全でなくなり、かつ、不活性である(図4B)。CH1親和性で精製したHCP1についてのLLCPとKLCPの1:1:1の競合は、HCP1/LLCP機能性NanoLuc、及び、HCP1/KLCP非機能性NanoLuc Fab領域をもたらす(図4C)。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対を含む。ある実施形態では、第1のFabは、IGF1Rに結合し、かつ、第2のFabは、HER3に結合する(例えば、例2に記載の多重特異性分子1)。ある実施形態では、第1のFabは、メソテリンに結合し、かつ、第2のFabは、PD-L1に結合する(例えば、例3に記載の多重特異性分子2)。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA-4に結合し、かつ、第2のFabは、IL12βに結合する(例えば、例4に記載の多重特異性分子3)。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA-4に結合し、かつ、第2のFabは、TRAILR2に結合する(例えば、例5に記載の多重特異性分子4)。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA-4に結合し、かつ、第2のFabは、CD221に結合する(例えば、例6に記載の多重特異性分子5)。ある実施形態では、第1のFabは、PD-1に結合し、かつ、第2のFabは、TRAILR2に結合する(例えば、例7に記載の多重特異性分子6)。ある実施形態では、第1のFabは、PD-1に結合し、かつ、第2のFabは、PDL1に結合する(例えば、例8に記載の多重特異性分子7)。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合したポリペプチド、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対を含む。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA4に結合し、第2のFabは、IL12βに結合しており、そして、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合したポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体(例えば、例10に記載の多重特異性分子9)を含む。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合したポリペプチド、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、例えば、ノブとホールの対のような対の突起/空洞を含んでいない(例えば、Fcドメインは、天然に存在するFcドメインである)。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA4に結合し、第2のFabは、IL12βに結合しており、そして、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合したポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含む(例えば、例9に記載の多重特異性分子8)。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合した第1のポリペプチド、ラムダ軽鎖ポリペプチドに会合する重鎖ポリペプチドのC末端に結合した第2のポリペプチド、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対を含む。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA4に結合し、第2のFabは、IL12βに結合しており、第1のポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含み、そして、第2のポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含む(例えば、例12に記載の多重特異性分子11)。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合した第1のポリペプチド、ラムダ軽鎖ポリペプチドに会合する重鎖ポリペプチドのC末端に結合した第2のポリペプチド、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対を含んでいない(例えば、Fcドメインは、天然に存在するFcドメインである)。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA4に結合し、第2のFabは、IL12βに結合しており、第1のポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含み、そして、第2のポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含む(例えば、例11に記載の多重特異性分子10)。 本発明の例示的な多重特異性抗体分子の概略図である。多重特異性抗体分子は、カッパ軽鎖ポリペプチドを含む第1のFab、ラムダ軽鎖ポリペプチドを含む第2のFab、カッパ軽鎖ポリペプチドのC末端に結合した第1のポリペプチド、カッパ軽鎖ポリペプチドに会合する重鎖ポリペプチドのC末端に結合した第2のポリペプチド、及び、Fcドメインを含み、Fcドメインは、対になった突起/空洞、例えば、ノブとホールの対を含む。ある実施形態では、第1のFabは、CTLA4に結合し、第2のFabは、TRAILR2に結合しており、第1のポリペプチドは、インターロイキン2、または、それらの断片、または、変異体を含み、そして、第2のポリペプチドは、scFvを含む(例えば、例13に記載の多重特異性分子12)。 多重特異性分子1のゲル。 多重特異性分子3のゲル。 多重特異性分子4のゲル。 多重特異性分子5のゲル。 多重特異性分子6のゲル。 多重特異性分子7のゲル。 多重特異性分子8のゲル。 多重特異性分子9のゲル。 多重特異性分子1のサイズ排除クロマトグラム。 多重特異性分子3のサイズ排除クロマトグラム。 多重特異性分子8のサイズ排除クロマトグラム。 多重特異性分子9のサイズ排除クロマトグラム。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子2の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子1の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子3の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子8の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子9の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子11の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子10の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。 カッパ/ラムダ選択分析を終えた後の多重特異性分子12の還元試料のゲル。レーン1は、ロードであり、レーン2は、KappaSelectカラムのフロースルーであり、レーン3は、KappaSelectカラムの溶出であり、レーン4は、LambdaFabSelectカラムのフロースルーであり、そして、レーン5は、LambdaFabSelectカラムの溶出である。これらの比率は、ノブとホールが3:1~1:3であるトランスフェクションにおいて使用したDNA比率を示す。 パパインで開裂した多特異性分子3のインタクト質量分析。 パパインで開裂した多特異性分子4のインタクト質量分析。 パパインで開裂した多特異性分子5のインタクト質量分析。 パパインで開裂した多特異性分子6のインタクト質量分析。 パパインで開裂した多特異性分子7のインタクト質量分析。
本明細書では、多重特異性抗体分子(本明細書では、「多重機能性抗体分子」とも称する)を開示しており、多重特異性抗体分子は、ラムダ軽鎖ポリペプチドと、カッパ軽鎖ポリペプチドとを含む。実施形態では、多重特異性抗体分子は、複数(例えば、2つ以上)の結合特異性(または、機能性)を含む。幾つかの実施形態では、第1の結合特異性は、がん細胞に選択的に局在しており、例えば、それは腫瘍標的化部分を含み、そして、第2(または、第3または第4)の結合特異性は、免疫細胞エンゲージャー(例えば、NK細胞エンゲージャー、B細胞エンゲージャー、樹状細胞エンゲージャー、または、マクロファージ細胞エンゲージャーの1つ、2つ、3つ、または、すべてから選択した)、及び/または、サイトカイン分子の一方または双方を含む。ある実施形態では、多重特異性分子は、二重特異性(または、二機能性)分子、三重特異性(または、三機能性)分子、または、四重特異性(または、四機能性)分子である。したがって、本明細書では、とりわけ、ラムダ軽鎖ポリペプチドと、カッパ軽鎖ポリペプチドとを含む多重特異的分子(例えば、多重特異性抗体分子)、それらをコードする核酸、前述した分子の製造方法、及び、前述した分子を使用する、障害、例えば、がんを処置する方法を提供する。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1の重鎖可変領域(第1の結合特異性を有する第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または、双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべてを含む重鎖ポリペプチド)、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または、双方)の1つ、2つ、3つ、または、すべてを含む重鎖ポリペプチド)、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ軽鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLλ)、ラムダ軽鎖定常部(VLλ)、または、双方)、及び
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ軽鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLκ)、ラムダ軽鎖定常部(VLκ)、または、双方)、を含む。
実施形態では、第1及び第2の重鎖ポリペプチドは、ヘテロ二量体化を増強するFc界面を形成する。その例を図1Aに示しており、CH2-CH3ドメイン(ノブ修飾を有する)であるFc定常部に連結した第1の重鎖可変領域にヘテロ二量体化したハイブリッドVLλ-CLλを含む第1の結合特異性と、CH2-CH3ドメイン(ホール修飾を有する)であるFc定常部に連結した第2の重鎖可変領域にヘテロ二量体化したハイブリッドVLκ-CLκを含む第2の結合特異性とを有する多重特異性抗体分子を記載している。
幾つかの実施形態では、本明細書では、多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子を生成するための新規な方法を開示している。本明細書に開示した二重特異性分子を生成する方法は、文献でよく報告されている軽鎖交換を回避しながら、安定な抗体を産生する。軽鎖交換またはシャッフリングは、単一のカッパ、及び、単一のラムダ軽鎖を有する抗体を産生するときに遭遇する一般的な問題である。軽鎖シャッフリングの概略図を、図1A~1Dに示している。図1A~図1Dに示すように、産物のわずか25%だけが、所望の立体配置であり(図1A)、そして、その他の75%の産物では、軽鎖に誤対合がある(図1B-1D)。本明細書に開示した多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子を製造する方法は、カッパ及びラムダ軽鎖を有する抗体、例えば、ヒト抗体を使用して、安定な多重特異性、例えば、二重特異性抗体分子を製造する。
特定の用語を、以下に定義する。
本明細書で使用する、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つ以上、例えば、少なくとも1つを指す。本明細書で用語「含む(comprising)」と共に使用する場合の用語「a」及び「an」の使用は、「1つ(one)」を意味し得るが、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、及び「1つ、または、1を超える(one or more than one)」の意味とも符合する。
本明細書で使用する、「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、一般的には、測定の本質または精度を考慮して、測定された量について許容可能な程度の誤差のことを意味する。例示的な誤差の程度は、所与の値の範囲の20パーセント(%)以内、一般的には、10%以内、より一般的には、5%以内である。
本明細書で使用する「抗体分子」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖、または、それらの断片のこと指す。抗体分子は、抗体(例えば、全長抗体)、及び、抗体断片を含む。ある実施形態では、抗体分子は、全長抗体の抗原結合あるいは機能的断片、または、全長免疫グロブリン鎖を含む。例えば、全長抗体は、免疫グロブリン(Ig)分子(例えば、IgG抗体)であり、免疫グロブリン(Ig)分子は、天然に存在するものであるか、または、通常の免疫グロブリン遺伝子断片組換えプロセスによって形成される)。実施形態では、抗体分子とは、抗体断片などの免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な抗原結合部分のことを指す。抗体断片、例えば、機能的断片は、抗体の一部、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab)、可変断片(Fv)、ドメイン抗体(dAb)、または、一本鎖可変断片(scFv)である。機能的抗体断片は、インタクト(例えば、全長)抗体によって認識されるものと同じ抗原に結合する。用語「抗体断片」または「機能的断片」は、可変領域からなる単離した断片、例えば、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、または、軽鎖及び重鎖がペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)に連結している組換え一本鎖ポリペプチド分子も含む。幾つかの実施形態では、抗体断片は、抗原結合活性を持たない抗体の部分、例えば、Fc断片、または、単一のアミノ酸残基を含んでいない。抗体分子の例として、全長抗体、及び、抗体断片、例えば、dAb(ドメイン抗体)、一本鎖、Fab、Fab’、及びF(ab’)断片、及び、一本鎖可変断片(scFv)がある。
本明細書で使用する、例えば、抗体分子、サイトカイン分子、受容体分子で使用する用語「分子」は、修飾されていない(例えば、天然に存在する)分子の機能、及び/または、活性の少なくとも1つが残存している限りは、全長の天然に存在する分子、ならびに、変異体、例えば、機能的変異体(例えば、切断型、断片、変異(例えば、実質的に類似の配列)、または、それらの誘導体化形態)を含む。
用語「機能的変異体」は、天然に存在する配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、あるいは、実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされており、そして天然に存在する配列の1つ以上の活性を有することができる、ポリペプチドのことを指す。
本明細書において第1の配列と第2の配列(例えば、核酸配列、または、タンパク質配列に関して)との関係に関連して用いられる「由来」とは、プロセスに制限を課すものではなく、構造的類似性のみを指す。実施形態では、誘導配列は、本明細書の他の場所に記載した相同性または配列同一性のレベルによって、参照配列と異なる。
本明細書で使用する「免疫グロブリン可変ドメイン配列」とは、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列のことを指す。例えば、この配列は、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含み得る。例えば、この配列は、1つ、2つ、または、それ以上の個数のN末端またはC末端アミノ酸を含んでいても、含んでいなくともよく、あるいは、タンパク質構造の形成と適合可能な他の変更を含み得る。
本明細書で使用する「ラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)」は、同族重鎖可変領域と組み合わせた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介して、HCP1と複合体を形成するのに十分な軽鎖(LC)配列を含むポリペプチドのことを指す。ある実施形態では、それは、CH1領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、LLCPは、LC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、及び、CH1、または、そのエピトープの特異的結合を媒介し、かつ、HCP1と複合体を形成するのに十分な、それらに由来する配列を含む。LLCPは、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する(一方で、KLCPは、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する)。本明細書の他の箇所に記載したように、LLCPは、HCP2に対するよりも、HCP1に対して大きな親和性を有する。
本明細書で使用する「カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)」は、同族重鎖可変領域と組み合わせた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介して、HCP2と複合体を形成するのに十分な軽鎖(LC)配列を含むポリペプチドのことを指す。ある実施形態では、それは、CH1領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、KLCPは、LC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、及びCH1、または、そのエピトープの特異的結合を媒介し、かつ、HCP2と複合体を形成するのに十分なそれらに由来する配列を含む。KLCPは、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する(一方で、LLCPは、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する)。
本明細書で使用する用語「重鎖ポリペプチド1(HCP1)」は、同族のLLCPと組み合わせた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介して、HCP1と複合体を形成するのに十分な重鎖(HC)配列、例えば、HC可変領域配列を含むポリペプチドのことを指す。ある実施形態では、それは、CH1領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、それは、CH2、及び/または、CH3領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、HCP1は、HC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、CH1、CH2、及び、CH3、または、それらに由来する十分な配列を含み、(i)そのエピトープの特異的結合を媒介し、かつ、LLCPと複合体を形成し、(ii)本明細書に記載したようにして、KLCPとは対照的に、優先的にLLCPと複合体を形成し、及び、(iii)本明細書に記載したようにして、HCP1の別の分子とは対照的に、優先的にHCP2と複合体を形成する。HCP1は、そのLLCPと共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する(一方で、KLCPは、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する)。
本明細書で使用する用語「重鎖ポリペプチド2(HCP2)」は、同族のLLCPと組み合わせた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介して、HCP1と複合体を形成するのに十分な重鎖(HC)配列、例えば、HC可変領域配列を含むポリペプチドのことを指す。ある実施形態では、それは、CH1領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、それは、CH2、及び/または、CH3領域の全部または断片を含む。ある実施形態では、HCP1は、HC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、CH1、CH2、及び、CH3、または、それらに由来する十分な配列を含み、(i)そのエピトープの特異的結合を媒介し、かつ、KLCPと複合体を形成し、(ii)本明細書に記載したようにして、LLCPとは対照的に、優先的にKLCPと複合体を形成し、及び、(iii)本明細書に記載したようにして、HCP2の別の分子とは対照的に、優先的にHCP1と複合体を形成する。HCP2は、そのKLCPと共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する(一方で、LLCPは、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する)。
実施形態では、抗体分子は、単一特異性であり、例えば、単一のエピトープに対する結合特異性を含む。幾つかの実施形態では、抗体分子は、多重特異性であり、例えば、それは複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、そして、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。幾つかの実施形態では、抗体分子は、二重特異性抗体分子である。本明細書で使用する「二重特異性抗体分子」は、1つを超える個数(例えば、2つ、3つ、4つ、または、それ以上)のエピトープ、及び/または、抗原に対して特異性を有する抗体分子のことを指す。
本明細書で使用する用語「多重特異性抗体分子」は、同一でない2つのエピトープに対して特異性を有する抗体分子、例えば、第1のエピトープに特異的な第1の可変領域、及び、第2のエピトープに特異的な第2の可変領域を有し、第1及び第2のエピトープが同一ではない抗体分子のことを指す。多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子を含む。
本明細書で使用する「抗原」(Ag)は、例えば、特定の免疫細胞、及び/または、抗体産生の活性化に関与する免疫応答を誘発することができる分子のことを指す。ほとんどすべてのタンパク質またはペプチドを含むあらゆる巨大分子を、抗原とすることができる。また、抗原は、ゲノム組換え体、または、DNAに由来することができる。例えば、免疫応答を惹起することができるタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含むあらゆるDNAが、抗原をコードする。実施形態では、抗原が、遺伝子の全長ヌクレオチド配列だけでコードされる必要はなく、また、抗原が、遺伝子によってコードされる必要も全くない。実施形態では、抗原は、合成することができ、または、生物学的試料、例えば、組織試料、腫瘍試料、細胞、または、その他の生物学的成分を含む流体から誘導することができる。本明細書で使用する「腫瘍抗原」、または、互換的に「がん抗原」とは、がん、例えば、がん細胞、または、免疫応答を誘発することができる腫瘍微小環境に存在しているか、あるいは、それらと関連しているあらゆる分子を含む。本明細書で使用する「免疫細胞抗原」は、免疫応答を誘発することができる免疫細胞に存在しているか、あるいは、それらと関連するあらゆる分子を含む。
抗体分子の「抗原結合部位」または「結合部分」とは、抗原結合に関与する抗体分子、例えば、免疫グロブリン(Ig)分子の一部のことを指す。実施形態では、抗原結合部位は、重(H)鎖、及び、軽(L)鎖の可変(V)領域のアミノ酸残基で形成されている。重鎖及び軽鎖の可変領域内にある3つの非常に多様なストレッチ、別名、超可変領域は、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれている、よく保存がされた隣接ストレッチの間に配置されている。FRは、免疫グロブリンの超可変領域の間、及び、それに隣接して天然に認められるアミノ酸配列である。実施形態では、抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域、及び、重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間で互いに関連して配置されており、結合した抗原の三次元表面に相補的な抗原結合表面を形成する。重鎖及び軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれている。フレームワーク領域、及び、CDRは、例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、及び、Chothia,C.etal.,(1987) J.Mol.Biol.196:901-917で定義されており、また、記載がされている。各可変鎖(例えば、可変重鎖、及び、可変軽鎖)は、一般的には、アミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRと4つのFRが、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及び、FR4のアミノ酸の並びで構成されている。
本明細書で使用する重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの優先的対合は、無関係の重鎖ポリペプチド、または、無関係の軽鎖ポリペプチドよりも、重鎖ポリペプチド、及び、軽鎖ポリペプチドが、互いに優先的に結合する条件のことを指す。ある実施形態では、重鎖ポリペプチドは、重鎖ポリペプチドが無関係の軽鎖ポリペプチドに結合する場合よりも、大きな親和性で軽鎖ポリペプチドに結合する。ある実施形態では、軽鎖ポリペプチドは、軽鎖ポリペプチドが無関係の重鎖ポリペプチドに結合する場合よりも、大きな親和性で重鎖ポリペプチドに結合する。
本明細書で使用する競合ポリペプチド(例えば、第2の重鎖ポリペプチド、または、第2の軽鎖ポリペプチド)の存在下での第1の重鎖ポリペプチドと第1の軽鎖ポリペプチドとの間の結合率とは、あらゆる競合ポリペプチドが不存在の下での第1の重鎖ポリペプチドと第1の軽鎖ポリペプチドとの間の結合量に対する、競合ポリペプチドの存在下での第1の重鎖ポリペプチドと第1の軽鎖ポリペプチドとの間の結合量のことを指す。(後者を100%とした)。ある実施形態では、第1の重鎖ポリペプチド、第1の軽鎖ポリペプチド、及び、競合ポリペプチドが、1:1:1で存在するときに結合率を測定した。ある実施形態では、第1の重鎖ポリペプチド、第1の軽鎖ポリペプチド、及び、競合ポリペプチドが、1:1:1で存在するときに結合率を測定し、競合ポリペプチドは、第2の軽鎖ポリペプチドである。ある実施形態では、結合率は、本明細書に記載したアッセイ、例えば、NanoBiTアッセイで測定した。
本明細書で使用する「がん」は、あらゆる種類の発がん過程、及び/または、がん性増殖を含むことができる。実施形態では、がんは、原発腫瘍、ならびに、転移性組織、または、悪性形質転換細胞、組織、もしくは、臓器を含む。実施形態では、がんは、がんのすべての病理組織学的病期、及び、がんの病期、例えば、侵襲性/重症度の病期を含む。実施形態では、がんは、再発がん、及び/または、抵抗性がんを含む。用語「がん」及び「腫瘍」は、互換的に使用することができる。例えば、双方の用語は、固形腫瘍、及び、液体腫瘍を含む。本明細書で使用する用語「がん」または「腫瘍」は、前悪性、ならびに、悪性のがん、及び、腫瘍を含む。
本明細書で使用する「免疫細胞」とは、例えば、感染症及び外来物質から保護するために、免疫系において機能するあらゆる様々な細胞のことを指す。実施形態では、この用語は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、及び、単球を含む。先天的白血球として、食細胞(例えば、マクロファージ、好中球、及び、樹状細胞)、肥満細胞、好酸球、好塩基球、及び、ナチュラルキラー細胞がある。先天的白血球は、より大きな病原体に接触をして攻撃し、または、微生物を飲み込んで死滅させることで、病原体を同定及び排除し、そして、適応的免疫応答の活性化における媒介物質となる。適応的免疫系の細胞は、特殊なタイプの白血球、別名、リンパ球である。B細胞及びT細胞は、重要な種類のリンパ球であり、そして、骨髄の造血幹細胞に由来する。B細胞は、体液性免疫応答に関与しているのに対して、T細胞は、細胞性免疫応答に関与している。用語「免疫細胞」は、免疫エフェクター細胞を含む。
本明細書で使用する用語「免疫エフェクター細胞」は、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞のことを指す。免疫エフェクター細胞の例として、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞、及び、ガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NK T)細胞、及び、肥満細胞があるが、これらに限定されない。
用語「エフェクター機能」または「エフェクター応答」とは、細胞の特殊化した機能のことを指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性、または、サイトカインの分泌を含むヘルパー活性とし得る。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、腫瘍標的化部分を含む。本明細書で使用する「腫瘍標的化部分」とは、がん細胞での標的を認識し、または、それと会合をする、例えば、標的に結合する結合剤のことを指す。腫瘍標的化部分を、抗体分子、受容体分子(例えば、全長受容体、受容体断片、または、それらの融合物(例えば、受容体-Fc融合物))、または、がん抗原(例えば、腫瘍、及び/または、間質抗原)に結合するリガンド分子(例えば、全長リガンド、リガンド断片、または、それらの融合物(例えば、リガンド-Fc融合物)とすることができる。実施形態では、腫瘍標的化部分は、標的腫瘍に特異的に結合し、例えば、標的腫瘍に優先的に結合する。例えば、腫瘍標的化部分が、抗体分子である場合、それは、約10nM未満の解離定数で、がん抗原(例えば、腫瘍抗原、及び/または、間質抗原)に結合する。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、免疫細胞エンゲージャーを含む。「免疫細胞エンゲージャー」とは、免疫細胞、例えば、免疫応答に関与する細胞を、結合、及び/または、活性化する1つ以上の結合特異性のことを指す。実施形態では、免疫細胞は、NK細胞、B細胞、樹状細胞、及び/または、マクロファージ細胞から選択する。免疫細胞エンゲージャーを、抗体分子、受容体分子(例えば、全長受容体、受容体断片、または、それらの融合物(例えば、受容体-Fc融合物))、または、免疫細胞抗原(例えば、NK細胞抗原、B細胞抗原、樹状細胞抗原、及び/または、マクロファージ細胞抗原)に結合するリガンド分子(例えば、全長リガンド、リガンド断片、または、それらの融合物(例えば、リガンド-Fc融合物)とすることができる。実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、標的免疫細胞に特異的に結合し、例えば、標的免疫細胞に優先的に結合する。例えば、免疫細胞エンゲージャーが抗体分子である場合、それは、約10nM未満の解離定数で、免疫細胞抗原(例えば、NK細胞抗原、B細胞抗原、樹状細胞抗原、及び/または、マクロファージ細胞抗原)に結合する。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、サイトカイン分子を含む。本明細書で使用する「サイトカイン分子」とは、サイトカインの全長、断片、または、変異体、受容体ドメイン、例えば、サイトカイン受容体二量体化ドメインをさらに含むサイトカイン、または、サイトカイン受容体のアゴニスト、例えば、天然に存在するサイトカインの少なくとも1つの活性を惹起するサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)のことを指す。幾つかの実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、または、インターフェロンガンマ、または、それらの断片もしくは変異体、または、前述したサイトカインのあらゆる組み合わせから選択する。このサイトカイン分子は、単量体、または、二量体とすることができる。実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体二量体化ドメインをさらに含むことができる。他の実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体、例えば、IL-2、IL-15Ra、または、IL-21Rから選択したサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)のアゴニストである。
本発明の組成物及び方法は、特定の配列、または、それと実質的に同一もしくは類似の配列、例えば、特定の配列と、少なくとも85%、90%、95%が同一、または、それ以上である配列を有するポリペプチド及び核酸を含む。アミノ酸配列に関連する用語「実質的に同一」とは、本明細書では、i)同一である、または、ii)第2のアミノ酸配列で整列したアミノ酸残基の保存的置換である、十分または最小数のアミノ酸残基を含む第1のアミノ酸のことを指すために使用しており、第1及び第2のアミノ酸配列は、共通の構造ドメイン、及び/または、共通の機能的活性を持つことができるようになる。例えば、参照配列、例えば、本明細書で提供した配列と、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列。
ヌクレオチド配列に関連する用語「実質的に同一」とは、本明細書では、第2の核酸配列で整列したヌクレオチドと同一である、十分または最小数のヌクレオチドを含む第1の核酸のことを指すために使用しており、第1及び第2のヌクレオチド配列は、共通の機能的活性を有するポリペプチドをコードし、または、共通の構造ポリペプチドドメイン、または、共通の機能的ポリペプチド活性をコードする。例えば、参照配列、例えば、本明細書で提供した配列と、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を有するヌクレオチド配列。
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語を、本明細書では、互換的に用いる)の計算を、以下のように行う。
2つのアミノ酸配列、または、2つの核酸配列の一致率を決定するために、これらの配列を、最適な比較目的のために、整列させる(例えば、最適なアラインメントのために、第1及び第2のアミノ酸の一方または双方または核酸配列にギャップを導入でき、非相同配列を、比較目的のために、無視することができる)。好ましい実施形態では、比較目的で整列した参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、60%、さらにより好ましくは、少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列でのある位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドが、第2の配列での対応する位置にあるものと同じである場合、分子は、その位置で同一である(本明細書で使用するアミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と等価である)。
それら2つの配列間の一致率は、それら2つの配列の最適アラインメントのために導入される必要があるギャップの数と各ギャップの長さとを考慮した、配列が共有する同一の位置の数の関数である。
2つの配列の間での配列の比較、及び、一致率の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列の間での一致率は、Needleman and Wunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズム、すなわち、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれており、Blossum62マトリックス、または、PAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6、または、4のギャップ重量と、1、2、3、4、5、または、6の長さ重量と、を使用する同アルゴリズムを用いて決定する。さらに別の好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列の間での一致率は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラム、すなわち、NWSgapdna.CMPマトリックスと、40、50、60、70、または、80のギャップ重量、及び、1、2、3、4、5、または、6の長さ重量と、を使用する同プログラムを用いて決定する。特に好ましいパラメータのセット(及び、特に断りの無い限りは、使用すべきもの)は、ギャップペナルティが12であり、ギャップ拡張ペナルティが4であり、及び、フレームシフトギャップペナルティが5である、Blossum 62スコアリングマトリックスである。
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列の間の一致率は、E.Meyers及びW.Miller((1989)CABIOS、4:11~17)のアルゴリズム、すなわち、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれており、PAM120ウェイト残基テーブル、ギャップ長ペナルティが12であり、そして、ギャップペナルティが4である同アルゴリズムを用いて決定することができる。
本明細書に記載した核酸配列、及び、タンパク質配列は、公共のデータベースに対して検索を行って、例えば、その他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するための「クエリー配列」として使用することができる。このような検索は、Altschul et al.,(1990) J.Mol.Biol.215:403-10.のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行できる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実行をして、本発明の核酸(例えば、配列番号1)分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行をして、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップ付きのアライメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res. 25:3389-3402.に記載されているようにして、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST、及び、NBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
本発明の分子は、追加の保存的、または、非必須アミノ酸置換を有し得るものであり、同置換が、それらの機能に実質的な影響を及ぼすことがないことは理解される。
用語「アミノ酸」は、アミノ官能基と酸官能基の双方を含み、かつ、天然に存在するアミノ酸のポリマーに含まれることが可能である、天然または合成に関係なく、すべての分子を含むことを意図している。アミノ酸の例として、天然に存在するアミノ酸、それらの類似体、誘導体、及び、同族体、変種側鎖を有するアミノ酸類似体、及び、上記したいずれかのすべての立体異性体がある。本明細書で使用する用語「アミノ酸」は、D-またはL-光学異性体、及び、ペプチド模倣物の双方を含む。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されることである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び、芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸がある。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び、「タンパク質」(一本鎖の場合)は、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを指すために、本明細書では互換的に使用する。ポリマーは、直鎖または分岐鎖とし得るものであり、それらは、修飾アミノ酸を含み得るものであり、そして、それらは、非アミノ酸によって妨げられ得る。また、これらの用語は、修飾されているアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または、標識成分との結合などのあらゆる他の操作も含む。ポリペプチドは、天然の供給源から単離することができ、真核生物もしくは原核生物の宿主から組換え技術で産生することができ、または、合成手順の産物とすることができる。
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または、「ポリヌクレオチド配列」、及び、「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用する。それらは、デオキシリボヌクレオチド、または、リボヌクレオチドのいずれか、または、それらの類似体のいずれかである、あらゆる長さのポリマー形態のヌクレオチドのことを指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれかとし得るものであり、そして、一本鎖の場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖とし得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド、及び、ヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって妨げられ得る。ポリヌクレオチドは、標識成分との結合などによって、重合後にさらに修飾し得る。核酸は、組換えポリヌクレオチド、または、ゲノム、cDNA、半合成、または、合成起源のポリヌクレオチドであり得るものであり、それらのいずれもが、天然には存在しないか、あるいは、非天然の配置で別のポリヌクレオチドに連結している。
本明細書で使用する用語「単離した」は、その当初の、または、天然の環境(例えば、それが天然に存在する場合は、自然の環境)から取り出された物質のことを指す。例えば、生きている動物に存在している天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然系において共存する物質の一部または全部から、人間の介入によって分離をした、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドを単離する。そのようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部とし得る、及び/または、そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、組成物の一部とし得る、そして、さらに、そのようなベクターまたは組成物を単離するものであり、それは、自然界に見出される環境の一部ではない。
本発明の様々な態様を、以下にさらに詳細に説明する。本明細書を通して、さらなる定義を示す。
抗体分子
ある実施形態では、抗体分子は、抗原、例えば、免疫エフェクター細胞、腫瘍抗原、または、間質抗原に結合する。幾つかの実施形態では、抗原は、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトの抗原である。その他の実施形態では、抗体分子は、免疫細胞抗原、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト免疫細胞抗原に結合する。例えば、抗体分子は、がん抗原、または、免疫細胞抗原のエピトープ、例えば、直鎖状または立体配座エピトープに特異的に結合する。
ある実施形態では、抗体分子は、単一特異性抗体分子であり、そして、単一のエピトープに結合する。例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を有する単一特異性抗体分子は、その各々が同じエピトープに結合する。
ある実施形態では、抗体分子は、多重特異性抗体分子であり、例えば、それは、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、かつ、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または、多量体タンパク質のサブユニット)にある。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複する。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複しない。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または、多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、第3、第4、または、第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体分子、または、四重特異性抗体分子である。
ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つ以下の抗原に対して特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列とを特徴とする。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または、多量体タンパク質のサブユニット)にある。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複する。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは、重複しない。ある実施形態では、第1及び第2のエピトープは異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または、多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。ある実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対して結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列とを含む。ある実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体とを含む。ある実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはその断片と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはその断片とを含む。ある実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有するscFv、または、Fab、または、それらの断片と、第2のエピトープに対して結合特異性を有するscFv、またはは、Fab、または、それらの断片とを含む。
ある実施形態では、抗体分子は、ダイアボディ、及び、一本鎖分子、ならびに、抗体の抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab’)、及び、Fv)を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書ではVHと略記する)と、軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書ではVLと略記する)とを含むことができる。ある実施形態では、抗体分子は、重鎖及び軽鎖を含み、または、それらからなる(本明細書では半抗体と称する)。別の例では、抗体分子は、2つの重(H)鎖可変ドメイン配列と、2つの軽(L)鎖可変ドメイン配列とを含み、それにより、Fab、Fab’、F(ab’)、Fc、Fd、Fd’、Fv、一本鎖抗体(例えば、scFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディ(Dab)(二価及び二重特異性)、及び、キメラ(例えば、ヒト化)抗体などの2つの抗原結合部位を形成し、それらは、全抗体、または、組換えDNA技術を用いてデノボ合成した抗体の修飾によって生成し得る。これらの機能的抗体断片は、それらのそれぞれの抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持している。抗体及び抗体断片は、あらゆるクラスの抗体に由来することができ、同クラスとして、IgG、IgA、IgM、IgD、及び、IgEがあるが、これらに限定されず、また、あらゆるサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4)の抗体に由来することができる。抗体分子の調製物は、モノクローナルまたはポリクローナルとすることができる。また、抗体分子は、ヒト、ヒト化、CDRグラフト、または、インビトロで生成した抗体とすることができる。抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、または、IgG4から選択した重鎖定常領域を有することができる。また、抗体は、例えば、カッパまたはラムダから選択した軽鎖を有することができる。用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書では、用語「抗体」と互換的に使用する。
抗体分子の抗原結合断片の例として、(i)Fab断片、VL、VH、CL、及び、CH1ドメインからなる一価の断片、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域にてジスルフィド架橋で連結した2つのFab断片を含む二価の断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるダイアボディ(dAb)断片、(vi)ラクダ科動物またはラクダ化した可変ドメイン、(vii)一本鎖Fv(scFv)、例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;及び、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883)を参照されたい、(viii)単一ドメイン抗体がある。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を用いて得られるものであり、そして、これらの断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングする。
抗体分子は、インタクトな分子、ならびに、その機能的断片を含む。抗体分子の定常領域を改変して、例えば、変異して、抗体の特性を変更する(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または、補体機能の1つ以上を加える、または、減らす)ことができる。
抗体分子を、単一ドメイン抗体とすることができる。単一ドメイン抗体は、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体を含むことができる。例として、重鎖抗体、軽鎖を当初から含んでいない抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、改変した抗体、及び、抗体に由来するもの以外の単一ドメインスカフォールドがあるが、これらに限定されない。単一ドメイン抗体は、技術分野にあるいずれのものでもよく、または、今後のあらゆる単一ドメイン抗体とし得る。単一ドメイン抗体は、あらゆる種に由来し得るものであり、その種として、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギ、及び、ウシがあるが、これらに限定されない。本発明の別の態様では、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠いた重鎖抗体として知られている天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、WO 9404678に開示されている。明確にするために、当初より軽鎖を欠いている重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、本明細書では、それを、四本鎖免疫グロブリンの従来のVHと区別するために、VHH、または、ナノボディとしている。そのようなVHH分子は、Camelidae種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、及び、グアナコで産生した抗体から誘導することができる。Camelidae以外のその他の種は、当初より軽鎖を欠いている重鎖抗体を産生し得るものであり、そのようなVHHは、本発明の範囲内である。
VH及びVL領域は、「フレームワーク領域」(FRまたはFW)と命名した保存が進んだ領域が点在する「相補性決定領域」(CDR)と命名した超可変の領域に細分することができる。
フレームワーク領域及びCDRの範囲は、幾つかの方法によって正確に定義されている(Kabat, E.A., et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S.Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242;Chothia, C. et al.(1987)J. Mol. Biol. 196:901-917;及び、the AbM definition used by Oxford Molecular’s AbM antibody modeling software.一般的には、例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains. In:Antibody Engineering Lab Manual(Ed.: Duebel, S. and Kontermann, R., Springer-Verlag, Heidelbergを参照されたい)。
本明細書で使用する用語「相補性決定領域」及び「CDR」は、抗原特異性、及び、結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の配列のことを指す。一般的に、各重鎖可変領域には、3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)が、また、各軽鎖可変領域には、3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)がある。
所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム), Al-Lazikani et al., (1997)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム)に記載のものを含めて、幾つかの公知のスキームのいずれかを使用して決定することができる。本明細書では、「Chothia」ナンバースキームに従って定義したCDRを、「超可変ループ」と呼ぶことがある。
例えば、Kabatでは、重鎖可変ドメイン(VH)でのCDRアミノ酸残基には、31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)、及び、95~102(HCDR3)の番号が付与されており、また、軽鎖可変ドメイン(VL)でのCDRアミノ酸残基には、24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)、及び、89~97(LCDR3)の番号が付与されている。Chothiaでは、VHでのCDRアミノ酸には、26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)、及び、95~102(HCDR3)の番号が付与されており、また、VLでのアミノ酸残基には、26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)、及び、91~96(LCDR3)の番号が付与されている。
各VH及びVLは、一般的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向けて、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置した3つのCDR、及び、4つのFRを含む。
抗体分子を、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体とすることができる。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成の抗体分子の調製物のことを指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性と親和性とを示す。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術によって、または、ハイブリドーマ技術を使用しない方法(例えば、組換え法)で作製することができる。
抗体は、組換え的に生成させることができ、例えば、ファージディスプレイ、または、組み合わせ的方法で生成させることができる。
抗体を作製するためのファージディスプレイ、及び、組み合わせ的方法は、技術分野において公知である(例えば、Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.国際公開第WO 92/18619号;Dower et al.国際公開第WO 91/17271号;Winter et al.国際公開第WO 92/20791号;Markland et al.国際公開第WO 92/15679号;Breitling et al.国際公開第WO93/01288号;McCafferty et al.国際公開第WO 92/01047号;Garrard et al.国際公開第WO 92/09690号;Ladner et al.国際公開第WO 90/02809号;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370-1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81-85;Huse et al.(1989)Science 246:1275-1281;Griffths et al.(1993)EMBO J 12:725-734;Hawkins et al.(1992)J Mol Biol 226:889-896;Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628;Gram et al.(1992)PNAS 89:3576-3580;Garrad et al.(1991)Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133-4137;及び、Barbas et al.(1991)PNAS 88:7978-7982、に記載の通りであり、これら文献の全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する)。
ある実施形態では、抗体は、完全ヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を産生するように遺伝子操作したマウスで作製した抗体)、または、非ヒト抗体、例えば、齧歯類(マウス、または、ラット)、ヤギ、霊長類(例えば、サル)、ラクダ抗体である。好ましくは、非ヒト抗体は、齧歯類(マウス、または、ラット抗体)である。齧歯類抗体を産生する方法は、技術分野で公知である。
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系よりもむしろ、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを用いて作製することができる。目的の抗原で免疫処置したこれらのトランスジェニックマウスの脾細胞を使用して、ヒトタンパク質由来のエピトープに対して特異的親和性を有するヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを生産する(例えば、Wood et al.国際出願第WO 91/00906号、Kucherlapati et al. PCT公開第WO 91/10741号;Lonberg et al.国際出願第WO 92/03918号;Kay et al.国際出願第92/03917号;Lonberg, N. et al.1994 Nature 368:856-859;Green, L.L. et al.1994 Nature Genet.7:13-21;Morrison, S.L. et al. 1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855;Bruggeman et al.1993 Year Immunol 7:33-40;Tuaillon et al.1993 PNAS 90:3720-3724;Bruggeman et al.1991 Eur J Immunol 21:1323-1326を参照されたい)。
抗体分子を、可変領域、または、その一部、例えば、CDRが、非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて生成することができる。キメラ抗体、CDRグラフト抗体、及び、ヒト化抗体は、本発明の範囲内である。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて生成され、次いで、例えば、可変フレームワーク、または、定常領域において修飾を施して、ヒトにおける抗原性を減少させる抗体分子は、本発明の範囲内である。
「実質的にヒト」タンパク質は、中和抗体応答、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を実質的に惹起しないタンパク質である。HAMAは、例えば、抗体分子を繰り返し投与する場合に、例えば、慢性または再発性の疾患病態の処置において、幾つかの状況において問題を招く。HAMA応答は、血清からの抗体クリアランスを増大するものであり(例えば、Saleh et al.,Cancer Immunol.Immunother.,32:180-190(1990)を参照されたい)、また、潜在的なアレルギー反応(例えば、LoBuglio et al.,Hybridoma,5:5117-5123(1986)を参照されたい)が故に、反復抗体投与を潜在的に無効にしかねない。
キメラ抗体は、技術分野において公知の組換えDNA技術で作製することができる(Robinson et al.,国際特許公開第PCT/US86/02269号;Akira, et al.,欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M.,欧州特許出願第171,496号;Morrison et al.,欧州特許出願第173,494号;Neuberger et al.,国際出願第WO 86/01533号;Cabilly et al.米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.,欧州特許出願第125,023号;Better et al.(1988 Science 240:1041-1043);Liu et al.(1987)PNAS 84:3439-3443;Liu et al., 1987, J. Immunol.139:3521-3526;Sun et al.(1987)PNAS 84:214-218;Nishimura et al., 1987, Canc. Res. 47:999-1005;Wood et al.(1985)Nature 314:446-449;及び、Shaw et al., 1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559を参照されたい)。
ヒト化抗体またはCDRグラフト抗体は、ドナーCDRで置換した(重、及び/または、軽免疫グロブリン鎖の)少なくとも1つ、または、2つ、しかし、一般的には、3つすべてのレシピエントCDRを有する。抗体は、非ヒトCDRの少なくとも一部と置換し得る、あるいは、一部のCDRだけを、非ヒトCDRと置換し得る。必要なことは、抗原への結合に必要とする個数のCDRを交換することである。好ましくは、ドナーは、齧歯類抗体、例えば、ラットまたはマウス抗体であり、そして、レシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークである。一般的には、CDRを提供する免疫グロブリンを「ドナー」と称し、そして、フレームワークを提供する免疫グロブリンを「アクセプター」と称する。ある実施形態では、ドナー免疫グロブリンは、非ヒト(例えば、齧歯類)である。アクセプターフレームワークは、天然に存在する(例えば、ヒトの)フレームワークまたはコンセンサスフレームワーク、あるいは、それらと、約85%以上、好ましくは、90%、95%、99%以上が同一の配列である。
本明細書で使用する用語「コンセンサス配列」とは、関連配列のファミリーにおいて最も頻繁に存在するアミノ酸(または、ヌクレオチド)から形成した配列のことを指す(例えば、Winnaker,From Genes to Clones(Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany 1987)を参照されたい)。タンパク質のファミリーにおいて、コンセンサス配列での各位置は、ファミリーにおいて、その位置に最も頻繁に存在するアミノ酸が占有している。2つのアミノ酸が同じ頻度で出現する場合は、どちらのものでも、コンセンサス配列に含めることができる。「コンセンサスフレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列でのフレームワーク領域のことを指す。
抗体分子は、技術分野で公知の方法でヒト化することができる(例えば、Morrison, S.L., 1985, Science 229:1202-1207, Oi et al.,による、1986, BioTechniques 4:214,及び、Queen et al.による、US5,585,089、US5,693,761、及び、US5,693,762を参照されたく、また、これら全文献の内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する)。
ヒト化またはCDRグラフト抗体分子は、CDRグラフティングまたはCDR置換で生産することができ、免疫グロブリン鎖の1つ、2つ、または、すべてのCDRを置換することができる。例えば、米国特許第5,225,539号;Jones et al. 1986 Nature 321:552-525;Verhoeyan et al. 1988 Science 239:1534;Beidler et al. 1988 J. Immunol. 141:4053-4060;Winter US5,225,539を参照されたく、また、これら全文献の内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するために使用され得るCDRグラフティング方法(1987年3月26日に出願した英国特許出願第GB 2188638A号;Winter US5,225,539)を記載しており、それらの内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
特定のアミノ酸が、置換、欠失、または、付加されているヒト化抗体分子も、本発明の範囲内である。ドナーからアミノ酸を選択するための基準は、US5,585,089、例えば、US5,585,089の第12~16欄、例えば、5,585,089の第12~16列に記載されており、その内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。抗体をヒト化するための他の技術は、1992年12月23日に公開されたPadlan et al.EP519596 A1に記載されている。
抗体分子を、一本鎖抗体とすることができる。一本鎖抗体(scFV)を遺伝子操作することができる(例えば、Colcher、D.et al.,(1999)Ann N Y Acad Sci 880:263-80;及び、Reiter,Y.(1996)Clin Cancer Res 2:245-52を参照されたい)。一本鎖抗体を、二量体化または多量体化して、同じ標的タンパク質の異なるエピトープに対する特異性を有する多価抗体を作製することができる。
さらに他の実施形態では、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及び、IgEの重鎖定常領域、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4の(例えば、ヒトの)重鎖定常領域から選択した重鎖定常領域を有する。その他の実施形態では、抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダの(例えば、ヒトの)軽鎖定常領域から選択した軽鎖定常領域を有する。定常領域を、改変して、例えば、変異させて、抗体の特性に修飾を施す(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の個数、エフェクター細胞機能、及び/または、補体機能の1つ以上を加える、または、減らす)ことができる。ある実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有しており、そして、補体を定着させることができる。別の実施形態では、抗体は、Fc受容体に結合する能力が低下しているか、または、それを全く有していない。例えば、それは、アイソタイプまたはサブタイプ、断片またはその他の変異体であり、Fc受容体への結合を支持しておらず、例えば、それは、変異誘発、または、欠失したFc受容体結合領域を有する。
抗体定常領域を改変する方法は、技術分野で公知である。改変した機能を有する抗体、例えば、細胞のFcR、または、補体のC1成分などのエフェクターリガンドに対する改変した親和性は、抗体の定常部分の少なくとも1つのアミノ酸残基を、異なる残基で置換することによって、生成することができる(例えば、EP 388,151 A1、米国特許第5,624,821号、及び、米国特許第5,648,260号を参照されたく、また、これらの文献の全内容を本明細書の一部を構成するものとして援用する)。マウスまたは他の種の免疫グロブリンに適用して、これらの機能を低下させる、あるいは、排除するような場合にも、同様のタイプの改変を説明することができる。
抗体分子は、別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化、あるいは、連結することができる。本明細書で使用する「誘導体化」抗体分子とは、修飾が施されたものである。誘導体化の方法として、蛍光部分、放射性ヌクレオチド、毒素、酵素、または、ビオチンなどの親和性リガンドの添加があるが、これらに限定されない。したがって、本発明の抗体分子は、免疫接着分子を含む、本明細書に記載した抗体の誘導体化形態、及び、その他の修飾形態を含むことを意図している。例えば、抗体分子は、別の抗体(例えば、二重特異性抗体、または、ダイアボディ)、検出可能な作用物質、細胞傷害性作用物質、医薬品、及び/または、抗体または抗体部分と別の分子(ストレプトアビジンコア領域、または、ポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介することができるタンパク質またはペプチドの1つ以上の他の分子実体に対して、(化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合、または、その他で)機能的に連結することができる。
あるタイプの誘導体化抗体分子を、(例えば、二重特異性抗体を作製するために、タイプが同じの、または、タイプが異なる)2つ以上の抗体を架橋して生成させる。適切な架橋剤として、適切なスペーサー(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、または、ホモ二官能性(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)で分離した2つの別個の反応性の基を有するヘテロ二官能性のものがある。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company,Rockford,Illから入手可能である。
多重特異性抗体分子
実施形態では、多重特異性抗体分子は、2つ以上の抗原結合部位を含むことができ、そこでは、異なる部位が、異なる抗原に対して特異的である。実施形態では、多重特異性抗体分子は、同じ抗原の2つ以上(例えば、2つ、または、それ以上)のエピトープに結合することができる。実施形態では、多重特異性抗体分子は、標的細胞(例えば、がん細胞)に対して特異的な抗原結合部位と、免疫エフェクター細胞に対して特異的な異なる抗原結合部位とを含む。ある実施形態では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体分子は、5つの異なる構造群、(i)二重特異性免疫グロブリンG(BsIgG)、(ii)追加の抗原結合部分を付加したIgG、(iii)二重特異性抗体断片、(iv)二重特異性融合タンパク質、及び、(v)二重特異性抗体コンジュゲート、に分類することができる。
BsIgGは、各抗原に対して一価であるフォーマットである。BsIgGフォーマットの例として、crossMab、DAF(ツー-イン-ワン)、DAF(フォー-イン-ワン)、DutaMab、DT-IgG、ノブ-イン-ホール、共通LC、ノブ-イン-ホールアセンブリ、チャージペア、Fabアーム交換、SEEDbody、トリオマブ、LUZ-Y、Fcab、κλ-ボディ、直交Fabがあるが、これらに限定されない。Spiess et al. Mol. Immunol. 67(2015):95-106を参照されたい。BsIgGの例として、抗CD3アームと、抗EpCAMアームとを含む、カツマキソマブ(Fresenius Biotech、Trion Pharma、Neopharm)、及び、CD3及びHER2を標的とするエルツマキソマブ(Neovii Biotech、Fresenius Biotech)がある。幾つかの実施形態では、BsIgGは、ヘテロ二量体化のために遺伝子操作した重鎖を含む。例えば、「ノブ-イン-ホール」手法、SEEDプラットフォーム、一般的な重鎖(例えば、κλ-ボディでの)、及び、ヘテロ二量体Fc領域の使用を介し、重鎖をヘテロ二量体化のために遺伝子操作することができる。Spiess et al. Mol. Immunol. 67(2015):95-106を参照されたい。BsIgGでのホモ二量体の重鎖の対形成を回避するために用いた手法は、ノブ-イン-ホール、デュオボディ、azymetric、電荷対、HA-TF、SEEDボディ、及び、異なるプロテインA親和性を含む。同文献を参照されたい。
BsIgGは、異なる宿主細胞における成分抗体の別々の発現と、その後のBsIgGへの精製/組み立てとによって、産生することができる。また、BsIgGは、単一の宿主細胞における成分抗体の発現でも産生することができる。BsIgGは、アフィニティークロマトグラフィーを使用して、例えば、プロテインA、及び、連続的pH溶出を使用して、精製することができる。
追加の抗原結合部分を付加したIgGは、二重特異性抗体分子のその他のフォーマットである。例えば、単一特異性IgGは、例えば、重鎖または軽鎖のいずれかのN末端またはC末端で、追加の抗原結合単位を単一特異性IgGに付加することで、二重特異性を有するように遺伝子操作することができる。追加の抗原結合単位の例として、単一ドメイン抗体(例えば、可変重鎖、または、可変軽鎖)、遺伝子操作したタンパク質スカフォールド、及び、対になった抗体可変ドメイン(例えば、一本鎖可変断片、または、可変断片)がある。同文献を参照されたい。付加したIgGフォーマットの例として、二重可変ドメインIgG(DVD-Ig)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L、H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、zybody、及び、DVI-IgG(フォー-イン-ワン)がある。Spiess et al. Mol. Immunol. 67(2015):95-106を参照されたい。IgG-scFvの例として、MM-141(Merrimack Pharmaceuticals)があり、このものは、IGF-1R及びHER3に結合する。DVD-Igの例として、IL-1α及びIL-1βに結合するABT-981(AbbVie)、及び、TNF及びIL-17Aに結合するABT-122(AbbVie)がある。
二重特異性抗体断片(BsAb)は、抗体定常ドメインの一部または全部を欠いた二重特異性抗体分子のフォーマットである。例えば、幾つかのBsAbは、Fc領域を欠いている。実施形態では、二重特異性抗体断片は、単一の宿主細胞でのBsAbの効率的な発現を可能にするペプチドリンカーで連結した重鎖領域と軽鎖領域とを含む。二重特異性抗体断片の例として、ナノボディ、ナノボディ-HAS、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scDiabody、scDiabody-CH3、ダイアボディ-CH3、トリプルボディ、ミニ抗体、ミニボディ、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2、F(ab’)2-scFv2、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、4価HCAb、scDiabody-Fc、Diabody-Fc、タンデムscFv-Fc、及び、イントラボディがあるが、これらに限定されない。同文献を参照されたい。例えば、BiTEフォーマットは、タンデムscFvを含み、成分scFvは、T細胞のCD3と、がん細胞の表面抗原とに結合する。
二重特異性融合タンパク質は、その他のタンパク質に連結した抗体断片を含むことで、例えば、さらなる特異性、及び/または、機能性を付加する。二重特異性融合タンパク質の例は、immTACであり、このものは、HLA提示ペプチドを認識する親和性成熟T細胞受容体に連結した抗CD3 scFvを含む。実施形態では、ドック-アンド-ロック(DNL)法は、高い原子価を有する二重特異性抗体分子を生成するために使用することができる。また、アルブミン結合タンパク質、または、ヒト血清アルブミンへの融合は、抗体断片の血清半減期を延ばすことができる。同文献を参照されたい。
CDRグラフトしたスカフォールド
実施形態では、抗体分子は、CDRグラフトしたスカフォールドドメインである。実施形態では、スカフォールドドメインは、フィブロネクチンドメイン、例えば、フィブロネクチンIII型ドメインに基づいている。フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインの全体的な折り畳みは、最小の機能的抗体断片、すなわち、抗体重鎖の可変ドメインの折り畳みに密接に関連している。Fn3の端部には3つのループがあり、BC、DE、及び、FGループの位置は、抗体のVHドメインのCDR1、2、及び、3の位置にほぼ対応している。Fn3は、ジスルフィド結合を持たないので、Fn3は、抗体、及び、それらの断片とは異なり、還元条件下で安定である(例えば、WO 98/56915、WO 01/64942、WO 00/34784を参照されたい)。Fn3ドメインに、(例えば、本明細書に記載したCDRまたは超可変ループを使用して)修飾を施したり、あるいは、改変を加えたりして、例えば、本明細書に記載した抗原/マーカー/細胞に結合するドメインを選択することができる。
実施形態では、スカフォールドドメイン、例えば、折り畳みドメインは、抗体、例えば、モノクローナル抗体の重鎖可変ドメインに由来する3つのベータ鎖を欠失させて作製した「ミニボディ」スカフォールドに基づく(例えば、Tramontano et al.,1994,J Mol.Recognit.7:9、及び、Martin et al.,1994,EMBO J.13:5303-5309を参照されたい)。この「ミニボディ」を使用して、2つの超可変ループを提示することができる。実施形態では、スカフォールドドメインは、V様ドメインであり(例えば、Coia et al.,WO 99/45110を参照されたい)、あるいは、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持された74残基の6本鎖ベータシートサンドイッチである(例えば、McConnell and Hoess,1995,J Mol.Biol.250:460を参照されたい)。例えば、テンダミスタチンのループに、(例えば、CDRまたは超可変ループを使用して)修飾を施したり、あるいは、改変を加えたりして、例えば、本明細書に記載したマーカー/抗原/細胞に結合するドメインを選択することができる。別のスカフォールドドメインの例として、CTLA-4の細胞外ドメインに由来するベータ-サンドイッチ構造がある(例えば、WO 00/60070を参照されたい)。
その他のスカフォールドドメインの例として、T細胞受容体、MHCタンパク質、細胞外ドメイン(例えば、フィブロネクチンIII型リピート、EGFリピート)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、クニッツドメイン、エコチン、BPTIなど)、TPRリピート、トリフォイル構造、ジンクフィンガードメイン、DNA結合タンパク質、特に、単量体DNA結合タンパク質、RNA結合タンパク質、酵素、例えば、プロテアーゼ(特に、不活性化したプロテアーゼ)、RNase、シャペロン、例えば、チオレドキシン、及び、熱ショックタンパク質、及び、細胞内シグナル伝達ドメイン(SH2、及び、SH3ドメインなど)があるが、これらに限定されない。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用する、US 20040009530、及び、US 7,501,121を参照されたい。
実施形態では、スカフォールドドメインは、例えば、以下の基準、(1)アミノ酸配列、(2)幾つかの相同ドメインの配列、(3)三次元構造、及び/または、4)pHの範囲、温度、塩分、有機溶媒、酸化剤濃度にわたる安定性データ、の1つ以上によって評価、及び、選択をする。実施形態では、スカフォールドドメインは、小さく安定なタンパク質ドメイン、例えば、100、70、50、40、または、30個未満のアミノ酸のタンパク質である。ドメインは、1つ以上のジスルフィド結合を含み得るものであり、あるいは、金属、例えば、亜鉛をキレート化し得る。
本明細書で定義する多重機能性分子の構造の例を、以下に記載する。Weidle U et al.(2013)The Intriguing Options of Multispecific Antibody Formats for Treatment of Cancer. Cancer Genomics & Proteomics 10:1-18(2013);及び、Spiess C et al.(2015)Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies. Molecular Immunology 67:95-106に、例示的な構造がさらに記載されており、これら各々の文献の全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する)。
ヘテロ二量体化抗体分子
ヘテロ二量体化二重特異性抗体は、天然のIgG構造に基づいており、2つの結合アームは、異なる抗原を認識する。定義された一価(及び、同時)抗原結合を可能にするIgG由来フォーマットは、軽鎖の誤対合(例えば、一般的な軽鎖)を最小限に抑える技術と組み合わせて、強制重鎖ヘテロ二量体化で生成する。強制重鎖ヘテロ二量体化は、例えば、ノブ-イン-ホール、または、鎖交換遺伝子操作ドメイン(SEED)を使用して得ることができる。
ノブ-イン-ホール
US5,731,116、US7,476,724、及び、Ridgway,J.et al.(1996)Prot. Engineering 9(7):617-621に記載されたノブ-イン-ホールは、(1)一方または双方の抗体のCH3ドメインを変異させてヘテロ二量体化を促進すること、及び、(2)ヘテロ二量体化を促進する条件下で変異抗体を組み合わせること、と広く関連している。「ノブ」または「突起」は、一般的には、親抗体での小さなアミノ酸を、より大きなアミノ酸で置換して作り出される(例えば、T366YまたはT366W)ものであり、「ホール」または「空洞」は、親抗体での大きい残基を、より小さいアミノ酸で置換して作り出される(例えば、Y407T、T366S、L368A、及び/または、Y407V)ものである。ある実施形態では、ノブを含む重鎖ポリペプチドは、Eu付番方式に従って番号を付与したT366W、及び、S354Cの置換を含む。ある実施形態では、ホールを含む重鎖ポリペプチドは、Eu番号付けシステムに従って番号を付与したT366S、L368A、Y407V、及び、Y349Cの置換を含む。ある実施形態では、本明細書に開示した多重特異性抗体分子は、第1の重鎖ポリペプチドと、第2の重鎖ポリペプチドとを含み、第1の重鎖ポリペプチドは、Eu番号付けシステムに従って番号を付与したT366W、及び、S354Cの置換を含み、かつ、第2の重鎖ポリペプチドは、Eu番号付けシステムに従って番号を付与したT366S、L368A、Y407V、及び、Y349Cの置換を含む。
鎖交換遺伝子操作ドメイン(SEED)
SEEDは、優先的にヘテロ二量体化する非同一鎖を作製するためのIgG1とIgAとの間の配列交換に基づく。SEED CH3ドメインにおけるヒトIgA及びIgGに由来する交互配列は、AG及びGAと称する、非対称であるが、相補的な2つのドメインを生成する。このSEED設計は、AGとGA SEED CH3ドメインとのホモ二量体化を嫌う一方で、AG/GAヘテロ二量体の効率的な生成を可能にする。
一般的な軽鎖及びCrossMab
二重特異性IgGの均質な調製物を作製するためには、軽鎖の誤対合を避けなければならない。これを達成するための1つの方法として、共通の軽鎖原理、すなわち、1本の軽鎖を共有するが、依然として別々の特異性を有する、2つのバインダーを組み合わせることがある。別の選択肢は、二重特異性抗体の半分のFabでのCH1及びCLドメインを交換することで、非特異的なL鎖の誤対合を回避するCrossMab技術である。そのようなクロスオーバー変異体は、結合特異性と親和性とを保持するが、2つのアームを、非常に異なるものにして、L鎖の誤対合を防止する。
抗体をベースにした融合物
抗体のNまたはC末端に結合した追加の結合実体を含む、様々なフォーマットを生成することができる。一本鎖、または、ジスルフィド安定化FvまたはFabを有するこれらの融合物は、各抗原に対して二価の結合特異性を有する四価の分子の生成をもたらす。scFv及びscFabとIgGとの組み合わせは、3つ以上の異なる抗原を認識することができる分子の生成を可能にする。
抗体-Fab融合物
抗体-Fab融合物は、第1の標的に対する従来の抗体と、抗体重鎖のC末端と融合した第2の標的に対するFabとを含む二重特異性抗体である。通常、抗体とFabは、共通の軽鎖を有する。抗体融合物は、(1)標的融合物のDNA配列を遺伝子操作すること、及び、(2)標的DNAを適切な宿主細胞にトランスフェクトして、融合タンパク質を発現すること、で産生することができる。Coloma,J.et al.,(1997)Nature Biotech 15:159に記載されているように、抗体-scFv融合物は、CH3ドメインのC末端と、scFvのN末端との間を、(Gly)-Serリンカーで連結し得る。
抗体-scFv融合物
抗体-scFv融合体は、従来の抗体と、抗体重鎖のC末端と融合した独特の特異性のscFvとを含む二重特異性抗体である。このscFvは、scFvの重鎖を介して、直接に、または、リンカーペプチドを介してC末端と融合することができる。抗体融合物は、(1)標的融合物のDNA配列を遺伝子操作すること、及び、(2)標的DNAを適切な宿主細胞にトランスフェクトして、融合タンパク質を発現すること、で産生することができる。Coloma,J.et al.,(1997)Nature Biotech 15:159に記載されているように、抗体-scFv融合物は、CH3ドメインのC末端と、scFvのN末端との間を、(Gly)-Serリンカーで連結し得る。
可変ドメイン免疫グロブリンDVD
関連フォーマットは、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD)であり、このものは、さらに短いリンカー配列の近傍のVドメインのN末端にある第2の特異性箇所のVH及びVLドメインから構成されている。
Fc含有実体(ミニ抗体)
Fc含有実体、別名、ミニ抗体は、scFvを、定常重領域ドメイン3のC末端(CH3-scFv)、及び/または、異なる特異性を有する抗体のヒンジ領域(scFv-ヒンジ-Fc)を融合することで生成することができる。三価の実体も生成することができ、これは、IgGのCH3ドメインのC末端と融合したジスルフィド安定化可変ドメイン(ペプチドリンカーは無い)を有する。
Fc含有多重特異性分子
幾つかの実施形態では、本明細書で開示した多重特異性分子は、免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc領域)を含む。例示的なFc領域を、IgG1、IgG2、IgG3、または、IgG4の重鎖定常領域、より具体的には、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、または、IgG4の重鎖定常領域から選択することができる。
幾つかの実施形態では、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)を、改変して、例えば、変異させて、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の個数、エフェクター細胞機能、または、補体機能の1つ以上を加える、または、減らす。
他の実施形態では、第1及び第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、第1及び第2のFc領域)の界面を、改変して、例えば、変異させて、例えば、遺伝子操作をしていない界面、例えば、天然に存在する界面と比較して、二量体化を加減する。例えば、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の二量体化は、第1及び第2のFc領域のFc界面に、例えば、遺伝子操作していない界面と比較して、ホモ多量体に対するヘテロ多量体の比率を大きくするように、対になった突出-空洞(「ノブ-イン-ホール」)、静電相互作用、または、鎖交換の1つ以上を提供することで増強することができる。
幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または、409の1つ以上から選択した位置に対になったアミノ酸置換を含む。例えば、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)は、(例えば、空洞またはホールに対応する)T366S、L368A、または、Y407V、及び、(例えば、突起またはノブに対応する)T366Wから選択した対になったアミノ酸置換を含むことができる。
幾つかの実施形態では、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)を改変しないで、例えば、変異しないで、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または、補体機能の1つ以上を加える、または、減らす。幾つかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または、409の1つ以上から選択した位置に対になったアミノ酸置換を含まない。例えば、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)は、(例えば、空洞またはホールに対応する)T366S、L368A、または、Y407V、及び、(例えば、突起またはノブに対応する)T366Wから選択した対になったアミノ酸置換を含まない。
その他の実施形態では、多重特異性分子は、半減期延長剤、例えば、ヒト血清アルブミン、または、ヒト血清アルブミンに対する抗体分子を含む。
非隣接ポリペプチドを含む多重特異性分子
ある実施形態では、多重特異性分子は、単一のポリペプチド鎖ではない。
ある実施形態では、抗体分子は、2つの完全重鎖と、2つの完全軽鎖とを含む。ある実施形態では、少なくとも2つ、または、少なくとも3つの非隣接ポリペプチド鎖を有する多重特異性分子は、例えば、本明細書に記載したような、少なくとも2つの非隣接ポリペプチド鎖に第1及び第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、第1及び第2のFc領域)を含む。
実施形態では、多重特異性分子は、二重特異性または二重機能性分子であり、第1及び第2のポリペプチド(i)及び(ii)は、不連続であり、例えば、2本の別々のポリペプチド鎖である。幾つかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド(i)及び(ii)は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または、409の1つ以上から選択した位置での対になったアミノ酸置換を含む。例えば、第1の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、第1のFc領域)は、(例えば、空洞またはホールに対応する)T366S、L368A、または、Y407Vから選択したアミノ酸置換を、また、第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、第2のFc領域)は、(例えば、突起またはノブに対応する)T366Wを含むことができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチドは、ヘテロ二量体での第1及び第2のFc領域の第1及び第2のメンバーである。
実施形態では、多重特異性分子は、二重特異性または二重機能性分子であり、第1及び第2のポリペプチド(i)及び(ii)は不連続であり、例えば、2本の別々のポリペプチド鎖である。幾つかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド(i)及び(ii)は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または409の1つ以上から選択した位置での対になったアミノ酸置換を含まない。
幾つかの実施形態では、第1のポリペプチドは、N-ツゥ-C(N-to-C)に由来する以下の立体配置、
(a)第1の抗原ドメインの第1の部分、例えば、Fab分子の第1のVH-CH1であって、任意にリンカーを介して、第1の免疫グロブリン定常領域(例えば、CH3領域に連結したCH2)(例えば、第1のFc領域)に連結した第1の抗原、例えば、がん抗原、例えば、固形腫瘍、間質抗原、または、血液学的抗原に結合する、第1の抗原ドメインの第1の部分、
(b)第2の抗原ドメインの第1の部分、例えば、Fab分子の第1のVH-CH1であって、任意にリンカーを介して、第1の免疫グロブリン定常領域(例えば、CH3領域に連結したCH2)(例えば、第1のFc領域)に連結した第2の抗原、例えば、がん抗原、例えば、固形腫瘍、間質抗原、または、血液学的抗原に結合する、第2の抗原ドメインの第1の部分、
(c)第3のポリペプチドは、N-ツゥ-C(N-to-C)に由来する以下の立体配置、第1の抗原ドメインの第2の部分、例えば、Fabの第1のVL-CLを有しており、VLは、カッパサブタイプであり、かつ、第1の抗原、例えば、がん抗原、例えば、固形腫瘍、間質抗原、または、血液学的抗原(例えば、第1のVH-CH1によって結合した同じがん抗原)に結合している、第3のポリペプチド、
(d)第4のポリペプチドは、N-ツゥ-C(N-to-C)に由来する以下の立体配置、第2の抗原ドメインの第2の部分、例えば、Fabの第2のVL-CLを有しており、VLは、ラムダサブタイプであり、かつ、第2の抗原、例えば、がん抗原、例えば、固形腫瘍、間質抗原、または、血液学的抗原(例えば、第2のVH-CH1によって結合した同じがん抗原)(例えば、この立体配置の例を図1Aに示している)に結合している、第4のポリペプチドを有する。
実施形態では、第1の免疫グロブリン定常領域(例えば、第1のCH2-CH3領域)は、例えば、本明細書に記載したように、突起またはノブを含む。実施形態では、第1の免疫グロブリン定常領域(例えば、第1のCH2-CH3領域)は、本明細書に記載したように、突起またはノブを含んでいない。
実施形態では、第2の免疫グロブリン定常領域(例えば、第2のCH2-CH3領域)は、空洞またはホールを含む。実施形態では、第1及び第2の免疫グロブリン定常領域は、二重特異性分子のヘテロ二量体化を促す。実施形態では、第2の免疫グロブリン定常領域(例えば、第2のCH2-CH3領域)は、空洞またはホールを含んでいない。実施形態では、第1及び第2の免疫グロブリン定常領域は、二重特異性分子のヘテロ二量体化を促さない。
腫瘍特異的標的化部分
特定の実施形態では、本明細書で開示した多重特異性抗体分子は、腫瘍標的化部分を含む。腫瘍標的化部分は、抗体分子(例えば、本明細書に記載の抗原結合ドメイン)、受容体もしくは受容体断片、または、リガンドもしくはリガンド断片、または、それらの組み合わせから選択することができる。幾つかの実施形態では、腫瘍標的化部分は、腫瘍細胞(例えば、腫瘍細胞の表面に存在する分子、例えば、抗原)と会合する、例えば、それに結合する。特定の実施形態では、腫瘍標的化部分は、例えば、本明細書で開示した多重特異性分子を、がん(例えば、がん、または、腫瘍細胞)に向かわせる。幾つかの実施形態では、がんは、血液癌、固形癌、転移癌、または、それらの組み合わせから選択する。
幾つかの実施形態では、多重特異性分子、例えば、腫瘍標的化部分は、固形腫瘍抗原または間質抗原に結合する。固形腫瘍抗原または間質抗原は、固形腫瘍、または、その転移性病変に存在することができる。幾つかの実施形態では、固形腫瘍は、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌)、乳癌、大腸癌、肺癌(例えば、小細胞、または、非小細胞肺癌)、皮膚癌、卵巣癌、または、肝臓癌のうちの1つ以上から選択する。ある実施形態では、固形腫瘍は、線維性、または、線維形成性の固形腫瘍である。例えば、固形腫瘍抗原または間質抗原は、腫瘍、例えば、限定的腫瘍灌流、圧迫血管、または、線維性腫瘍間質のうちの1つ以上を有することを特徴とするクラスの腫瘍に存在することができる。
特定の実施形態では、固形腫瘍抗原を、メソテリン、ガングロシド2(GD2)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、前立腺特異的抗原(PSA)、癌胎児性抗原(CEA)、ロンキナーゼ、c-Met、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャンネル2、サイクリン-B1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、SAP-1、サバイビン、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メラン-A/MART-1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、MC1R、β-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、p53、Ras、TGF-B受容体、AFP、ETA、MAGE、MUC-1、CA-125、BAGE、GAGE、NY-ESO-1、β-カテニン、CDK4、CDC27、αアクチニン-4、TRP1/gp75、TRP2、gp100、メラン-A/MART1、ガングリオシド、WT1、EphA3、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD20、MART-2、MART-1、MUC1、MUC2、MUM1、MUM2、MUM3、NA88-1、NPM、OA1、OGT、RCC、RUI1、RUI2、SAGE、TRG、TRP1、または、TSTAの1つ以上から選択する。幾つかの実施形態では、固形腫瘍抗原を、メソテリン、GD2、PMSA、PSCA、CEA、ロンキナーゼ、または、c-Metから選択する。幾つかの実施形態では、固形腫瘍抗原は、メソテリンである。
サイトカイン分子
特定の実施形態では、本明細書で開示した多重特異性抗体分子は、サイトカイン分子をさらに含むことができる。
サイトカインは、免疫応答の媒介物質であるタンパク質性シグナル伝達化合物である。それらは、増殖、分化、及び、細胞生存/アポトーシスを含む多くの異なる細胞機能を制御し、また、サイトカインは、ウイルス感染症、及び、自己免疫疾患を含む幾つかの病態生理学的プロセスにも関与している。サイトカインは、先天的(単球、マクロファージ、樹状細胞)免疫系と、適応的(T細胞、及び、B細胞)免疫系との双方の様々な細胞によって、様々な刺激を受けながら、合成される。サイトカインは、炎症誘発性性と抗炎症性の2つのグループに分類される。IFNガンマ、IL-1、IL-6、及び、TNF-アルファを含む炎症誘発性サイトカインは、主に、先天的免疫細胞、及び、Th1細胞に由来する。IL-10、IL-4、IL-13、及び、IL-5を含む抗炎症性サイトカインは、Th2免疫細胞から合成する。
本開示は、とりわけ、例えば、免疫調節性(例えば、前炎症性)サイトカイン、及び、その変異体、例えば、その機能的変異体などの1つ以上のサイトカイン分子を含むように遺伝子操作したものを含む、多重特異性(例えば、二重、三重、四重特異性)タンパク質を提供する。したがって、幾つかの実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキン、または、その変異体、例えば、その機能的変異体である。幾つかの実施形態では、インターロイキンは、炎症誘発性インターロイキンである。幾つかの実施形態では、インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、または、インターフェロンガンマから選択する。幾つかの実施形態では、インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)である。幾つかの実施形態では、サイトカイン分子は、炎症誘発性サイトカインである。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示した多重特異性分子は、サイトカイン分子を含む。実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカインの全長、断片、または、変異体、サイトカイン受容体ドメイン、例えば、サイトカイン受容体二量体化ドメイン、または、サイトカイン受容体のアゴニスト、例えば、サイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)を含む。
幾つかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、または、インターフェロンガンマ、または、それらの断片もしくは変異体、または、前述したサイトカインのいずれかの組み合わせから選択する。サイトカイン分子は、単量体または二量体とすることができる。実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体二量体化ドメインをさらに含むことができる。
他の実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体のアゴニスト、例えば、IL-15RaまたはIL-21Rから選択したサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)である。
免疫細胞エンゲージャー
特定の実施形態では、本明細書で開示した多重特異性抗体分子は、免疫細胞エンゲージャーを含むことができる。
本明細書で開示した多重特異性分子の免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞、例えば、免疫エフェクター細胞への結合、及び/または、その活性化を媒介することができる。幾つかの実施形態では、免疫細胞は、NK細胞、B細胞、樹状細胞、または、マクロファージ細胞エンゲージャー、または、それらの組み合わせから選択する。幾つかの実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、NK細胞エンゲージャー、B細胞エンゲージャー、樹状細胞エンゲージャー、または、マクロファージ細胞エンゲージャー、または、それらの組み合わせのうちの1つ、2つ、3つ、または、すべてから選択する。免疫細胞エンゲージャーは、免疫系のアゴニストとすることができる。幾つかの実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、抗体分子、リガンド分子(例えば、免疫グロブリン定常領域、例えば、Fc領域をさらに含むリガンド)、小分子、ヌクレオチド分子を含むことができる。
ナチュラルキラー細胞エンゲージャー
ナチュラルキラー(NK)細胞は、抗体非依存的に腫瘍及びウイルス感染細胞を認識して破壊する。NK細胞の調節は、NK細胞表面の受容体を活性化及び阻害することによって媒介される。活性化受容体の1つのファミリーは、NKp30、NKp44、及び、NKp46を含む天然の細胞傷害性受容体(NCR)である。これらNCRは、がん細胞をヘパラン硫酸が認識して腫瘍標的化を開始する。NKG2Dは、活性化キラー(NK)細胞に対して刺激性及び共刺激性の先天的免疫応答の双方を提供し、細胞傷害活性をもたらす受容体である。DNAM1は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、及び、NK細胞によって媒介される細胞間接着、リンパ球シグナル伝達、細胞傷害性、及び、リンホカイン分泌に関与する受容体である。DAP10(別名、HCST)は、KLRK1と会合して、リンパ系細胞及び骨髄系細胞において活性化受容体KLRK1-HCSTを形成する膜貫通アダプタータンパク質であり、この受容体は、MHCクラスI鎖関連MICA、及び、MICB、及び、U(任意に、L1)6結合タンパク質(ULBP)などの細胞表面リガンドを発現する標的細胞に対する細胞傷害性の誘発において主要な役割を果たしており、KLRK1-HCST受容体は、腫瘍に対する免疫監視において役割を果たし、そして、腫瘍細胞の細胞溶解に必要とされており、実際、KLRK1リガンドを発現しない黒色腫細胞は、NK細胞によって媒介される免疫監視から逃れる。CD16は、IgGのFc領域に対する受容体であり、このものは、複合体化した、または、凝集したIgG、さらには、単量体IgGと結合し、それによって、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、及び、食作用などのその他の抗体依存性応答を媒介する。
幾つかの実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、ウイルス性赤血球凝集素(HA)であり、HAとは、インフルエンザウイルスの表面に認められる糖タンパク質のことである。このものは、上気道や赤血球の細胞など、細胞膜にシアル酸が存在する細胞にウイルスを結合させる。HAは、少なくとも18種類の抗原を持っている。これらのサブタイプには、H1からH18までの名称が付けられている。NCRは、ウイルスタンパク質を認識することができる。NKp46は、センダイウイルス及びニューカッスル病ウイルスを含む、インフルエンザのHA、及び、パラミクソウイルスのHA-NAと相互作用できる、ことが示されている。NKp46の他に、NKp44も、異なるインフルエンザサブタイプのHAと機能的に相互作用することができる。
本開示は、とりわけ、NK細胞への結合、及び/または、NK細胞の活性化を媒介する1つ以上のNK細胞結合剤を含むように遺伝子操作している多重特異性(例えば、二重、三重、四重特異性)タンパク質を提供する。したがって、幾つかの実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp30、NKp40、NKp44、NKp46、NKG2D、DNAM1、DAP10、CD16(例えば、CD16a、CD16b、または、双方)、CRTAM、CD27、PSGL1、CD96、CD100(SEMA4D)、NKp80、または、CD244(別名、SLAMF4または2B4)に結合する(例えば、活性化する)抗原結合ドメイン、または、リガンドから選択する。幾つかの実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp30またはNKp46に結合する(例えば、活性化する)抗原結合ドメイン、または、リガンドから選択する。
その他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、ウイルスHAであるNKp44またはNKp46のリガンドである。ウイルス血球凝集素(HA)は、ウイルスの表面にある糖タンパク質である。HAタンパク質は、ウイルス膜と細胞膜との融合に寄与するシアル酸糖部分を介して、ウイルスの細胞膜への結合を可能にする(例えば、Eur J Immunol. 2001 Sep;31(9):2680-9 ”Recognition of viral hemagglutinins by NKp44 but not by NKp30”;及び、Nature.2001 Feb 22;409(6823):1055-60”Recognition of hemagglutinins on virus-infected cells by NKp46 activates lysis by human NK cells”を参照されたい。各文献の全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。)。
その他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、MICA、MICB、または、ULBP1から選択するNKG2Dのリガンドである。
その他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NECTIN2またはNECL5から選択したDNAM1のリガンドである。
さらにその他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKG2DのアダプターであるDAP10のリガンドである(例えば、Proc Natl Acad Sci US A 2005 May 24;102(21):7641-7646;及び、Blood、15 September 2011 Volume 118, No.11を参照されたい。各文献の全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。)。
その他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD16のリガンドであり、このものは、CD16a/bリガンド、例えば、抗体Fc領域をさらに含むCD16a/bリガンドである(例えば、Front.Immunol.2013;4:76は、CD16を介して、抗体がどのようにして、Fcを用いてNK細胞を誘発するかを論じており、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。)。
B細胞、マクロファージ、及び、樹状細胞エンゲージャー
概して、B細胞、別名、Bリンパ球は、リンパ球サブタイプの白血球の一種である。それらは、抗体を分泌することによって、適応的免疫系の体液性免疫成分において機能する。加えて、B細胞は、抗原を提示し(それらは、プロ抗原提示細胞(APC)としても分類されている)、そして、サイトカインを分泌する。マクロファージは、食作用を介して、細胞片、外来物質、微生物、がん細胞を貪食して消化する白血球の一種である。食作用以外に、それらは、非特異的防御(先天的免疫)において重要な役割を果たし、そして、リンパ球のようなその他の免疫細胞を動員することで特異的防御機構(適応的免疫)を開始するのを補助する。例えば、それらは、T細胞に対する抗原提示体として重要である。炎症を増大させ、そして、免疫系を刺激すること以外に、マクロファージは、重要な抗炎症的役割を果たし、そして、サイトカインの放出を通して、免疫反応を減少させることもできる。樹状細胞(DC)は、抗原物質の処理において機能し、そして、それを免疫系のT細胞に対して、細胞表面に提示する抗原提示細胞である。
本開示は、とりわけ、例えば、B細胞、マクロファージ、及び/または、樹状細胞への結合、及び/または、それらの活性化を媒介するB細胞、マクロファージ、及び/または、樹状細胞エンゲージャーの1つ以上を含むように遺伝子操作をした多重特異性(例えば、二重、三重、四重特異性)タンパク質を提供する。
したがって、幾つかの実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、CD40リガンド(CD40L)もしくはCD70リガンド、CD40もしくはCD70に結合する抗体分子、OX40に対する抗体分子、OX40リガンド(OX40L)、Toll様受容体のアゴニスト(例えば、本明細書に記載した、例えば、TLR4、例えば、構成的に活性なTLR4(caTLR4)、または、TLR9アゴニスト)、41BB、CD2、CD47、または、STINGアゴニスト、または、それらの組み合わせの1つ以上から選択するB細胞、マクロファージ、及び/または、樹状細胞エンゲージャーを含む。
幾つかの実施形態では、B細胞エンゲージャーは、CD40L、OX40L、または、CD70リガンド、または、OX40、CD40、もしくは、CD70に結合する抗体分子である。
幾つかの実施形態では、マクロファージエンゲージャーは、CD2アゴニストである。幾つかの実施形態では、マクロファージエンゲージャーとは、CD40L、または、CD40に結合する抗原結合ドメインもしくはリガンド、Toll様受容体(TLR)アゴニスト(例えば、本明細書に記載のもの)、例えば、TLR9またはTLR4(例えば、caTLR4(構成的に活性なTLR4)、CD47、または、STINGアゴニストに結合する抗原結合ドメインである。幾つかの実施形態では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチド、例えば、環状ジ-GMP(cdGMP)、または、環状ジ-AMP(cdAMP)である。幾つかの実施形態では、STINGアゴニストを、ビオチン化する。
幾つかの実施形態では、樹状細胞エンゲージャーは、CD2アゴニストである。幾つかの実施形態では、樹状細胞エンゲージャーは、OX40L、41BB、TLRアゴニスト(例えば、本明細書に記載のもの)(例えば、TLR9アゴニスト、TLR4(例えば、caTLR4(構成的に活性なTLR4))、CD47、または、STINGアゴニストの1つ以上に結合する、リガンド、受容体アゴニスト、または、抗体分子である。幾つかの実施形態では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチド、例えば、環状ジ-GMP(cdGMP)、または、環状ジ-AMP(cdAMP)である。幾つかの実施形態では、STINGアゴニストを、ビオチン化する。
その他の実施形態では、免疫細胞エンゲージャーは、B細胞、マクロファージ、及び/または、樹状細胞の1つ以上への結合、または、それらの活性化を媒介する。例示的なB細胞、マクロファージ、及び/または、樹状細胞エンゲージャーは、CD40リガンド(CD40L)またはCD70リガンド、CD40またはCD70に結合する抗体分子、OX40に対する抗体分子、OX40リガンド(OX40L)、Toll様受容体アゴニスト(例えば、TLR4、例えば、構成的に活性なTLR4(caTLR4)、または、TLR9アゴニスト)、41BBアゴニスト、CD2、CD47、または、STINGアゴニスト、または、それらの組み合わせの1つ以上から選択することができる。
幾つかの実施形態では、B細胞エンゲージャーは、CD40L、OX40L、または、CD70リガンド、または、OX40、CD40、もしくは、CD70に結合する抗体分子の1つ以上から選択する。
その他の実施形態では、マクロファージ細胞エンゲージャーは、CD2アゴニスト、CD40L、OX40L、抗体分子、OX40、CD40、もしくは、CD70に結合する同抗体分子、Toll様受容体アゴニスト、もしくは、その断片(例えば、TLR4、例えば、構成的に活性なTLR4(caTLR4))、CD47アゴニスト、または、STINGアゴニストの1つ以上から選択する。
その他の実施形態では、樹状細胞エンゲージャーは、CD2アゴニスト、OX40抗体、OX40L、41BBアゴニスト、Toll様受容体アゴニスト、もしくは、その断片(例えば、TLR4、例えば構成的に活性なTLR4(caTLR4))、CD47アゴニスト、または、STINGアゴニストの1つ以上から選択する。
さらに他の実施形態では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチド、例えば、環状ジ-GMP(cdGMP)、環状ジ-AMP(cdAMP)、または、それらの組み合わせを含み、任意に、2’、5’、または、3’、5’リン酸結合を含む。
Toll様受容体
Toll様受容体(TLR)は、Drosorphila Tollタンパク質と同種である進化的に保存された受容体であり、かつ、高度に保存された構造モチーフ、別名、専ら、微生物病原体によって発現する、病原体関連微生物パターン(PAMP)、または、壊死細胞もしくは死滅細胞から放出される内因性分子である危険関連分子パターン(DAMP)を認識する。PAMPは、リポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン(PGN)、及び、リポペプチド、ならびに、フラジェリン、細菌DNA、及び、ウイルス二本鎖RNAなどの様々な細菌細胞壁成分を含む。DAMPは、熱ショックタンパク質のような細胞内タンパク質、ならびに、細胞外マトリックス由来のタンパク質断片を含む。対応するPAMPまたはDAMPによるTLRの刺激は、AP-1、NF-κB、及び、インターフェロン調節因子(IRF)などの転写因子の活性化をもたらすシグナル伝達カスケードを開始する。TLRによるシグナル伝達は、適応的免疫応答を指示するインターフェロン(IFN)、炎症誘発性サイトカイン、及び、エフェクターサイトカインの産生を含む、様々な細胞応答をもたらす。TLRは、数多くの炎症性、及び、免疫性障害に関係しており、そして、がんにおいて役割を果たす(Rakoff-Nahoum S.& Medzhitov R.,2009.Toll-like receptors and cancer. Nat Revs Cancer 9:57-63.)。
TLRは、ロイシンリッチリピート(LRR)を含む細胞外ドメインと、Toll/IL-1受容体(TIR)ドメインと称する保存領域を含む細胞質テールとを特徴とするI型膜貫通タンパク質である。10個のヒト、及び、12個のマウスTLR、すなわち、ヒトにおいてTLR1~TLR10、そして、マウスにおいてTLR1~TLR9、TLR11、TLR12、及び、TLR13が特徴付けられており、TLR10の相同体は偽遺伝子である。TLR2は、細菌性リポタンパク質、リポマンナン、及び、リポテイコ酸などのグラム陽性細菌由来の種々のPAMPの認識に必須である。TLR3は、ウイルス由来の二本鎖RNAに関与している。TLR4は、主に、リポ多糖によって活性化される。TLR5は、細菌性フラジェリンを検出し、また、TLR9は、非メチル化CpG DNAに対する応答に必要である。最後に、TLR7及びTLR8は、小さな合成抗ウイルス分子を認識し、そして、一本鎖RNAが、それらの天然リガンドであると報告されている。TLR11は、尿路病原性E.coliと、Toxoplasma gondii由来のプロフィリン様タンパク質とを認識する、ことが報告されている。TLRの特異性のレパートリーは、TLRが互いにヘテロ二量体化する能力によって明らかに広がっている。例えば、TLR2とTLR6との二量体は、ジアシル化リポタンパク質に対する応答に必要とされており、一方で、TLR2とTLR1とは、トリアシル化リポタンパク質を認識するために相互作用する。また、TLRの特異性は、LPSに応答してTLR4と複合体を形成するMD-2とCD14のような様々なアダプター分子及びアクセサリー分子による影響も受ける。
TLRシグナル伝達は、少なくとも2つの異なる経路、炎症性サイトカインの産生をもたらすMyD88依存性経路、及び、IFN-βの刺激及び樹状細胞の成熟に関連するMyD88非依存性経路からなる。このMyD88依存性経路は、TLR3以外のすべてのTLRに共通している(Adachi O. et al.、1998. Targeted disruption of the MyD88 gene results in loss of IL-1- and IL-18-mediated function. Immunity.9(1):143-50)。PAMPまたはDAMPによる活性化の際に、TLRはヘテロまたはホモ二量体化して、細胞質TIRドメインを介して、アダプタータンパク質の動員を誘導する。個々のTLRは、異なるアダプター分子の使用によって、異なるシグナル伝達応答を誘導する。TLR4及びTLR2シグナル伝達は、MyD88依存性経路に関与しているアダプターTIRAP/Malを必要とする。TLR3は、アダプターTRIF/TICAM-1を介して、MyD88とは無関係に、二本鎖RNAに応答してIFN-βの産生を誘発する。TRAM/TICAM-2は、機能がTLR4経路に限定されるMyD88非依存性経路に関与する別のアダプター分子である。
TLR3、TLR7、TLR8、及び、TLR9は、ウイルス核酸を認識し、そして、I型IFNを誘導する。I型IFNの誘導をもたらすシグナル伝達メカニズムは、活性化したTLRに応じて異なる。それらは、抗ウイルス防御、細胞増殖、及び、免疫調節において重要な役割を果たすことが知られている転写因子のファミリーであるインターフェロン調節因子、IRFと関係している。3つのIRF(IRF3、IRF5、及び、IRF7)は、ウイルス媒介TLRシグナル伝達の直接的トランスデューサーとして機能する。TLR3及びTLR4は、IRF3及びIRF7を活性化し、一方で、TLR7及びTLR8は、IRF5及びIRF7を活性化する(Doyle S. et al.,2002.IRF3 mediates a TLR3/TLR4-specific antiviral gene program. Immunity.17(3):251-63)。さらに、TLR9リガンドCpG-Aで刺激したI型IFN産生は、PI(3)K及びmTORによって媒介される、ことが示されている(Costa-Mattioli M.& Sonenberg N.2008.RAPping production of typeI interferon in pDCs through mTOR. Nature Immunol.9:1097-1099)。
TLR-9
TLR9は、DNA分子での非メチル化CpG配列を認識する。CpG部位は、細菌ゲノムまたはウイルスDNAと比較して、脊椎動物ゲノムでは比較的に稀である(約1%)。TLR9は、Bリンパ球、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び、形質細胞様樹状細胞などの免疫系の数多くの細胞によって発現される。TLR9は、エンドソーム区画で細胞内発現を受け、そして、CpGモチーフに富むDNAに結合することで、ウイルス及び細菌感染の免疫系を警告するように機能する。TLR9シグナルは、炎症促進反応を開始させる細胞の活性化をもたらし、その結果、I型インターフェロン及びIL-12などのサイトカインを産生する。
TLRアゴニスト
TLRアゴニストは、1つ以上のTLR、例えば、ヒトTLR-1、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10の1つ以上をアゴナイズする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載した補助剤は、TLRアゴニストである。幾つかの実施形態では、TLRアゴニストは、ヒトTLR-9を特異的にアゴナイズする。幾つかの実施形態では、TLR-9アゴニストは、CpG部分である。本明細書で使用するCpG部分とは、配列:5’-C-ホスフェート-G-3’、すなわち、唯一のホスフェートによって分離されているシトシンとグアニンとを有する直鎖状ジヌクレオチドである。
幾つかの実施形態では、CpG部分は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または、それ以上の個数のCpGジヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、CpG部分は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または、30個のCpGジヌクレオチドからなる。幾つかの実施形態では、CpG部分は、1~5、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、5~10、5~20、5~30、10~20、10~30、10~40、または、10~50個のCpGジヌクレオチドを有する。
幾つかの実施形態では、TLR-9アゴニストは、合成ODN(オリゴデオキシヌクレオチド)である。CpG ODNは、特定の配列(CpGモチーフ)に関連して、非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する短い合成一本鎖DNA分子である。ゲノム細菌DNAに認められる天然ホスホジエステル(PO)骨格とは対照的に、CpG ODNは、部分的または完全に、ホスホロチオエート化(PS)骨格を有する。CpG ODNには3つの主要なクラス、すなわち、クラスA、B、及び、Cがあり、それらは、それらの免疫刺激活性において異なる。CpG-A ODNは、PO中心CpG含有パリンドロームモチーフ、及び、PS修飾3’ポリGストリングを特徴とする。それらは、pDCから大量のIFN-αの産生を誘導するが、TLR9依存性NF-κBシグナル伝達、及び、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-6)産生の弱い刺激物質である。CpG-B ODNは、1つ以上のCpGジヌクレオチドを有する完全なPS骨格を含む。それらは、B細胞及びTLR9依存性NF-κBシグナル伝達を強く活性化するが、IFN-α分泌は弱く刺激する。CpG-C ODNは、クラスAとBの双方の機能を兼ね備えている。それらは、完全なPS骨格と、CpG含有パリンドロームモチーフとを含む。CクラスCpG ODNは、pDCから強力なIFN-α産生と、B細胞刺激とを誘導する。
多重特異性抗体分子の例
カッパ及びラムダ多重特異性抗体分子の例を、表17及び18に提供する。
Figure 0007274413000001
Figure 0007274413000002
Figure 0007274413000003
Figure 0007274413000004
Figure 0007274413000005
核酸
また、本発明は、本明細書に記載したように、抗体分子の重鎖及び軽鎖可変領域ならびにCDRまたは超可変ループをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を特徴とする。例えば、本発明は、本明細書に開示した抗体分子の1つ以上から選択した抗体分子の重鎖及び軽鎖可変領域のそれぞれをコードする第1及び第2の核酸を特徴とする。核酸は、本明細書の表に記載したヌクレオチド配列、または、それらと実質的に同一の(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一である)配列、または、本明細書の表に記載した配列と、3、6、15、30、または、45個未満のヌクレオチドが異なる配列を含むことができる。
特定の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したアミノ酸配列を有する重鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、または、3つをコードするヌクレオチド配列、または、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、1つ以上の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含むことができる。その他の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、または、3つをコードするヌクレオチド配列、または、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、1つ以上の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含むことができる。さらに別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したアミノ酸配列を有する重鎖及び軽鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、4つ、5つ、または、6つをコードするヌクレオチド配列、または、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、1つ以上の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含むことができる。
特定の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したヌクレオチド配列を有する重鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、または、3つをコードするヌクレオチド配列、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、本明細書に記載したストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる配列)を含むことができる。別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したヌクレオチド配列を有する軽鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、または、3つをコードするヌクレオチド配列、または、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、本明細書に記載したストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる配列)を含むことができる。さらに別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載したヌクレオチド配列を有する重鎖及び軽鎖可変領域に由来するCDRまたは超可変ループの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つをコードするヌクレオチド配列、または、それらと実質的に相同な配列(例えば、それらと、少なくとも約85%、90%、95%、99%、または、それ以上が同一であり、及び/または、本明細書に記載したストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる配列)を含むことができる。
別の態様では、本願は、本明細書に記載した核酸を含む宿主細胞、及び、ベクターを特徴としている。核酸は、同じ宿主細胞または別個の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別個のベクターに存在し得るものであり、その詳細は後述する。
ベクター
本明細書に記載した抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを、本明細書では、さらに提供する。ある実施形態では、ベクターは、本明細書に記載した抗体分子をコードするヌクレオチドを含む。ある実施形態では、ベクターは、本明細書に記載したヌクレオチド配列を含む。それらベクターは、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージ、または、酵母人工染色体(YAC)を含むが、これらに限定されない。
数多くのベクター系を、使用することができる。例えば、あるクラスのベクターは、DNA要素、例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、MMTV、または、MOMLV)、または、SV40ウイルスなどの動物ウイルスに由来するDNA要素を利用する。別のクラスのベクターは、セムリキ森林熱ウイルス、東部馬脳炎ウイルス、及び、フラビウイルスなどのRNAウイルスに由来するRNA要素を利用する。
加えて、それらの染色体にDNAを安定に組み込んだ細胞は、トランスフェクトした宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することで選択し得る。マーカーは、例えば、栄養要求性宿主に対する原栄養性、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、または、銅などの重金属に対する耐性などを提供し得る。選択マーカー遺伝子は、発現させるDNA配列に直接に連結するか、あるいは、同時形質転換によって同じ細胞に導入することができる。mRNAの最適合成のために、追加の要素も必要とし得る。これらの要素として、スプライスシグナル、ならびに、転写プロモーター、エンハンサー、及び、終結シグナルがある。
構築物を含む発現ベクターまたはDNA配列を、発現のために調製すると、発現ベクターを、トランスフェクトするか、あるいは、適切な宿主細胞に導入し得る。このことを達成するために、例えば、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、レトロウイルス形質導入、ウイルストランスフェクション、遺伝子銃、脂質ベースのトランスフェクション、または、その他の従来技術などの様々な技術を使用し得る。プロトプラスト融合の場合、細胞を培地で増殖させ、そして、適切な活性についてスクリーニングをする。
得られたトランスフェクト細胞を培養し、そして、産生した抗体分子を回収するための方法及び条件は、当業者に公知であり、そして、使用する特定の発現ベクター、及び、哺乳動物宿主細胞に応じて、本明細書に基づいて、変更または最適化し得る。
細胞
別の態様では、本願は、本明細書に記載した核酸を含む宿主細胞及びベクターを特徴とする。核酸は、同じ宿主細胞または別個の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別個のベクターに存在し得る。宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、または、原核細胞、例えば、E.coliとすることができる。例えば、哺乳動物細胞を、培養した細胞または細胞株とすることができる。哺乳動物細胞の例として、リンパ球細胞株(例えば、NSO)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞、及び、トランスジェニック動物由来の細胞、例えば、乳腺上皮細胞がある。
また、本発明は、本明細書に記載した抗体分子をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
ある実施形態では、宿主細胞を、抗体分子をコードする核酸を含むように遺伝子操作している。
ある実施形態では、宿主細胞を、発現カセットを使用することで遺伝子操作している。語句「発現カセット」は、そのような配列と適合性のある宿主において、遺伝子の発現に影響を及ぼすことができるヌクレオチド配列のことを指す。そのようなカセットとして、プロモーター、イントロンを有する、または、持たないオープンリーディングフレーム、及び、終結シグナルがある。発現を実現ならしめるために必要で、または、役立つ、さらなる因子も、例えば、誘導性プロモーターなどのために使用し得る。
また、本発明は、本明細書に記載のベクターを含む宿主細胞を提供する。
細胞は、真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞、または、ヒト細胞とし得るが、これらに限定されない。適切な真核細胞として、ベロ細胞、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞、HEK293細胞、BHK細胞、及び、MDCKII細胞があるが、これらに限定されない。適切な昆虫細胞として、Sf9細胞があるが、これに限定されない。
多重特異性分子を生成する方法
多重特異性抗体分子は、宿主系において、例えば、少なくとも1つ以上の成分の組換え発現によって産生することができる。宿主系の例として、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、または、昆虫細胞、例えば、SF9もしくはS2細胞)、及び、原核細胞(例えば、E.coli)がある。ある実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、安定な哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞である。二重特異性抗体分子は、異なる宿主細胞における成分の別々の発現、及び、その後の精製/組み立てによって産生することができる。あるいは、抗体分子は、単一の宿主細胞における成分の発現によって産生することができる。二重特異性抗体分子の精製は、例えば、プロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィー、及び、連続的pH溶出などの種々の方法により行うことができる。その他の実施形態では、親和性タグ、例えば、ヒスチジン含有タグ、mycタグ、または、ストレプトアビジンタグを、精製に使用することができる。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示した二重特異性抗体を生成するための方法は、ラムダサブタイプの軽鎖を有するヒト抗体を生成すること、カッパサブタイプの軽鎖を有するヒト抗体を生成すること、双方の抗体アームのDNAで細胞をトランスフェクトすること、プロテインA樹脂で抗体を精製すること、KappaSelect及びLambdaFabSelect樹脂を使用して、ラムダ及びカッパ軽鎖の双方の存在を確認すること、パパインを用いてFabアームを開裂して正確なラムダ及びカッパ重鎖及び軽鎖対合を分析すること、及び、質量分析を実行すること、を含む。多重特異性分子を作製及び試験するための実験条件を、以下の実施例に提供する。
使用及び併用療法
本明細書に記載した方法は、本明細書に記載した多重特異性分子、例えば、本明細書に記載した医薬組成物を使用することで、対象におけるがんを処置することを含む。また、対象におけるがんの症状を軽減または改善するための方法、ならびに、がんの増殖を阻害するための方法、及び/または、1つ以上のがん細胞を死滅させるための方法も提供する。実施形態では、本明細書に記載した方法は、本明細書に記載した医薬組成物を投与した対象において、腫瘍の大きさを縮小し、及び/または、がん細胞の数を減らす。
実施形態では、がんは、血液癌である。実施形態では、血液癌は、白血病またはリンパ腫である。本明細書で使用する「血液癌」とは、造血組織またはリンパ組織の腫瘍、例えば、血液、骨髄、または、リンパ節に影響を及ぼす腫瘍のことを指す。血液悪性腫瘍の例としては、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性単球性白血病(AMoL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年骨髄単球性白血病(JMML)、または、大顆粒リンパ球性白血病)、リンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(例えば、古典的ホジキンリンパ腫、または、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫)、菌状息肉腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL))、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前立腺Bリンパ芽球性リンパ腫、または、マントル細胞性リンパ腫)、または、T細胞非ホジキンリンパ腫(菌状息肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、または、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫))、原発性中枢神経系リンパ腫、セザリー症候群、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症)、慢性骨髄増殖性腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、または、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍があるが、これらに限定されない。
実施形態では、がんは、固形癌である。固形癌の例として、卵巣癌、直腸癌、胃癌、精巣癌、肛門部のがん、子宮癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸のがん、食道のがん、黒色腫、カポジ肉腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部のがん、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮癌、子宮頸部扁平上皮癌のがん、卵管のがん、子宮内膜のがん、膣のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、外陰部のがん、陰茎のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂のがん、脊髄軸腫瘍、中枢神経系(CNS)の原形質、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、上記したがんの転移性病変、または、それらの組み合わせ、があるが、これらに限定されない。
実施形態では、多重特異性分子(または、医薬組成物)を、処置または予防する疾患に適した方法で投与する。投与の量及び頻度は、患者の病態、及び、患者の疾患の種類及び重症度などの要因で決定する。適切な投与量を、臨床試験で決定し得る。例えば、「有効量」または「治療量」を示す場合、投与する医薬組成物(または、多重特異性分子)の正確な量は、腫瘍の大きさ、感染または転移の程度、年齢、体重、及び、対象の病態の個人差を考慮して、医師が決定することができる。実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物を、10~10細胞/体重kg、例えば、10~10細胞/体重kgにおいて、これらの範囲内にあるすべての整数の用量で投与することができる。実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物は、これらの用量で、複数回投与することができる。実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物は、免疫療法に記載されている注入技術を用いて投与することができる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照されたい)。
実施形態では、多重特異性分子、または、医薬組成物を、対象に非経口投与する。実施形態では、細胞を、対象に対して、静脈内、皮下、腫瘍内、結節内、筋肉内、皮内、または、腹腔内に投与する。実施形態では、細胞を、腫瘍またはリンパ節に、直接に投与、例えば、注射する。実施形態では、細胞を、注入して投与し(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照されたい)、または、静脈内プッシュで投与する。実施形態では、細胞を、注射可能なデポー製剤として投与する。実施形態では、対象は、哺乳動物である。実施形態では、対象は、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、または、マウスである。実施形態では、対象は、ヒトである。実施形態では、対象は、小児の対象、例えば、18歳未満、例えば、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1歳、または、それ未満の年齢の小児である。実施形態では、対象は、成人、例えば、少なくとも18歳、例えば、少なくとも19、20、21、22、23、24、25、25~30、30~35、35~40、40~50、50~60、60~70、70~80、または、80~90歳の年齢の成人である。
併用療法
本明細書で開示した多重特異性分子は、第2の治療剤または手順と組み合わせて使用することができる。
実施形態では、多重特異性分子、及び、第2の治療剤または手順を、対象ががんと診断された後、例えば、がんが対象から排除される前に、投与/実施する。実施形態では、多重特異性分子、及び、第2の治療剤または手順を、一斉に、または、同時に、投与/実施する。例えば、第1の処置の送達は、第2の処置の開始時に依然として続いており、例えば、それら投与処置に重複がある。他の実施形態では、多重特異性分子、及び、第2の治療剤または手順を、順次に、投与/実施する。例えば、第1の処置の送達は、第2の処置の送達が始まる前に終了する。
実施形態では、併用療法は、いずれかの薬剤単独を用いた単独療法よりも効果的な処置をもたらすことができる。実施形態では、第1の処置と第2の処置との組み合わせは、(例えば、症状、及び/または、がん細胞において、顕著に軽減するなど)第1の処置または第2の処置単独よりも効果的である。実施形態では、併用療法は、単独療法として投与された場合に同様の効果を得るために通常必要とされる第1または第2の処置の用量と比較して、低用量の第1または第2の処置の使用を可能にする。実施形態では、併用療法は、部分的相加効果、全体的相加効果、または、相加効果よりもさらに大きな効果を有する。
ある実施形態では、多重特異性分子を、治療法、例えば、がん療法(例えば、抗癌剤、免疫療法、光線力学療法(PDT)、外科手術、及び/または、放射線の1つ以上)と組み合わせて投与する。用語「化学療法」、「化学療法剤」、及び、「抗癌剤」は、本明細書では互換的に使用する。多重特異性分子の投与、及び、治療、例えば、がん治療は、連続的(重複の有無にかかわらず)、または、一斉にすることができる。多重特異性分子の投与は、治療(例えば、がん治療)の過程において、連続的または断続的とすることができる。本明細書に記載した特定の治療法は、がん性、及び、非がん性疾患を処置するために使用することができる。例えば、PDTの有効性は、本明細書に記載した方法及び組成物を用いて、がん性及び非がん性病態(例えば、結核)において増強することができる(例えば、Agostinis、P.et al.(2011)CA Cancer J.Clin.61:250-281で概説されている)。
抗がん療法
その他の実施形態では、多重特異性分子を、低分子量または小分子量の化学療法剤と組み合わせて投与する。低分子量または小分子量の化学療法剤の例として、13-シス-レチノイン酸(イソトレチノイン、ACCUTANE(登録商標))、2-CdA(2-クロロデオキシアデノシン、クラドリビン、LEUSTATIN(商標))、5-アザシチジン(アザシチジン、VIDAZA(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU、ADRUCIL(登録商標))、6-メルカプトプリン(6-MP、メルカプトプリン、PURINETHOL(登録商標))、6-TG(6-チオグアニン、チオグアニン、THIOGUANINE TABLOID(登録商標))、アブラキサン(パクリタキセルタンパク質-結合型)、アクチノマイシン-D(COSMEGEN(登録商標))、アリトレチノイン(PANRETIN(登録商標))、オールトランスレチノイン酸(ATRA、トレチノイン、VESANOID(登録商標))、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン、HMM、HEXALEN(登録商標))、アメトプテリン(メトトレキサート、メトトレキセートナトリウム、MTX、TREXALL(商標)、RHEUMATREX(登録商標))、アミホスチン(ETHYOL(登録商標))、アラビノシルシトシン(Ara-C、シタラビン、CYTOSAR-U(登録商標))三酸化ヒ素(TRISENOX(登録商標))、アスパラギナーゼ(Erwinia L-アスパラギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、ELSPAR(登録商標)、KIDROLASE(登録商標))、BCNU(カルムスチン、BiCNU(登録商標))、ベンダムスチン(TREANDA(登録商標))、ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))、ブレオマイシン(BLENOXANE(登録商標))、ブスルファン(BUSULFEX(登録商標)、MYLERAN(登録商標))、カルシウムロイコボリン(シトロボラム因子、フォリン酸、ロイコボリン)、カンプトテシン-11(CPT-11、イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標))、カルムスチンウエハ(カルムスチンインプラントを有するプロリフェプロスパン20、GLIADEL(登録商標)ウエハ)、CCI-779(テムシロリムス、TORISEL(登録商標))、CCNU(ロムスチン、CeeNU)、CDDP(シスプラチン、PLATINOL(登録商標)、PLATINOL-AQ(登録商標))、クロラムブシル(リューケラン)、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標))、ダカルバジン(DIC、DTIC、イミダゾールカルボキサミド、DTIC-DOME(登録商標))、ダウノマイシン(ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ルビドマイシン、CERUBIDINE(登録商標))、デシタビン(DACOGEN(登録商標))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標))、DHAD(ミトキサントロン、NOVANTRONE(登録商標))、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、RUBEX(登録商標))、エピルビシン(ELLENCE(商標))、エストラムスチン(EMCYT(登録商標))、エトポシド(VP-16、エトポシドホスフェート、TOPOSAR(登録商標)、VEPESID(登録商標)、ETOPOPHOS(登録商標))、フロクスリジン(FUDR(登録商標))、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、フルオロウラシル(クリーム)(CARAC(商標)、EFUDEX(登録商標)、FLUOROPLEX(登録商標))、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ヒドロキシウレ(HYDREA(登録商標)、DROXIA(商標)、MYLOCEL(商標))、イダルビシン(IDAMYCIN(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イクサベピロン(IXEMPRA(商標))、LCR(ロイロクリスチン、ビンクリスチン、VCR、ONCOVIN(登録商標)、VINCASAR PFS(登録商標))、L-PAM(L-サルコリシン、メルファラン、フェニルアラニンマスタード、ALKERAN(登録商標))、メクロレタミン(塩酸メクロレタミン、マスタチン、ナイトロジェンマスタード、MUSTARGEN(登録商標))、メスナ(MESNEX(商標))、マイトマイシン(マイトマイシン-C、MTC、MUTAMYCIN(登録商標))、ネララビン(ARRANON(登録商標))、オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ONXAL(商標))、ペガスパルガーゼ(PEG-L-アスパラギナーゼ、ONCOSPAR(登録商標))、PEMETREXED(ALIMTA(登録商標))、ペントスタチン(NIPENT(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ストレプトゾシン(ZANOSAR(登録商標))、テモゾロマイド(TEMODAR(登録商標))、テニポシド(VM-26、VUMON(登録商標))、TESPA(チオホスファミド、チオテパ、TSPA、THIOPLEX(登録商標))、トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチン、VLB、ALKABAN-AQ(登録商標)、VELBAN(登録商標))、ビノレルビン(酒石酸ビノレルビン、NAVELBINE(登録商標))、及び、ボリノスタット(ZOLINZA(登録商標))があるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、多重特異性分子を、生物製剤と共に投与する。がんの処置に有用な生物製剤は、技術分野において公知であり、そして、本発明の分子は、例えば、そのような既知の生物製剤と組み合わせて投与し得る。例えば、FDAは、乳癌の処置のために、以下の生物製剤、HERCEPTIN(登録商標)(トラツヅマブ、Genentech Inc., South San Francisco, Calif.,、HER2陽性乳癌において抗腫瘍活性を有するヒト化モノクローナル抗体)、FASLODEX(登録商標)(フルベストラント、AstraZeneca Pharmaceuticals, LP, Wilmington, Del.、乳癌の処置のため使用するエストロゲン受容体拮抗薬)、ARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca Pharmaceuticals, LP、エストロゲンを作る上で必要な酵素であるアロマターゼをブロックする非ステロイド性アロマターゼ阻害剤)、Aromasin(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer Inc., New York, N.Y.、乳癌の処置に用いる不可逆的なステロイド性アロマターゼ不活性化剤)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis Pharmaceutical, East Hanover, N.J.、乳癌の処置についてFDAの承認を受けた非ステロイド性アロマターゼ阻害剤)、及び、NOLVADEX(登録商標)(タモキシフェン、AstraZeneca Pharmaceuticals, LP、乳癌の処置についてFDAの承認を受けた非ステロイド性抗エストロゲン薬)を承認している。本発明の結合分子を組み合わせ得るその他の生物製剤として、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ、Genentech Inc.、血管新生を阻害するように設計した最初のFDA承認療法)、及び、ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec,Cambridge,Mass.、B細胞リンパ腫の処置について現在承認されている放射性標識モノクローナル抗体)がある。
加えて、FDAは、大腸癌の治療薬として以下の生物製剤、AVASTIN(登録商標)、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ、ImClone Systems Inc.,New York, N.Y.;及び、Bristol-Myers Squib,New York, N.Y.,は、表皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクローナル抗体である)、GLEEVEC(登録商標)(イマチニブメシレート、プロテインキナーゼ阻害剤)、及び、ERGAMISOL(登録商標)(塩酸レバミゾール、Janssen Pharmaceutical Products,LP,Titusville,N.J.、DukesステージCの大腸癌患者での外科的切除後の5-フルオロウラシルとの併用するアジュバント処置として、1990年にFDAから承認を受けた免疫調節剤)を承認している。
肺癌の処置のための生物製剤の例として、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブHCL、OSI Pharmaceuticals Inc., Melville,N.Y.、ヒト上皮成長因子受容体1(HER1)経路を標的とするように設計した小分子)がある。
多発性骨髄腫の処置のための生物製剤の例として、VELCADE(登録商標)ベルケイド(ボルテゾミブ、Millennium Pharmaceuticals,Cambridge Mass.、プロテアソーム阻害剤)がある。追加の生物製剤として、THALIDOMID(登録商標)(サリドマイド、Clegene Corporation,Warren,N.J.、免疫調節剤であり、かつ、骨髄腫細胞の増殖及び生存、ならびに、抗血管新生を阻害する能力を含む複数の作用が認められる)がある。
追加の癌治療用抗体の例として、3F8、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アラシズマブペゴール、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MABCAMPATH(登録商標))、アルツモマブペンテテート(HYBRI-CEAKER(登録商標))、アナツモマブマフェナトックス、アンルキンヅマブ(IMA-638)、アポリズマブ、アルシツモマブ(CEA-SCAN(登録商標))、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標))、ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標)、LYMPHOSTAT-B(登録商標))、ベシレソマブ(SCINTIMUN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カンツヅマブメルタンシン、カプロマブペンデチド(PROSTASCINT(登録商標))、カツマキソマブ(REMOVAB(登録商標))、CC49、セツキシマブ(C225、ERBITUX(登録商標))、シタツズマブボガトックス、シクツムマブ、クリバツズマブテトラキセタン、コナツムマブ、デセツズマブ、デノスマブ(PROLIA(登録商標))、デツモマブ、エクロメキシマブ、エデコロマブ(PANOREX(登録商標))、エロツズマブ、エピツモマブシツキセタン、エプラツズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN(登録商標))、エタラシズマブ、ファレツズマブ、フィギツムマブ、フレゾリムマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブベドチン、イブリツモマブ(イブリツモマブチウキセタン、ZEVALIN(登録商標))、イゴボマブ(INDIMACIS-125(登録商標))、インテツムマブ、イノツズマブオゾガミシン、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ(CEA-CIDE(登録商標))、レクサツムマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ネシツムマブ、ニモツズマブ(THERACIM(登録商標)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(VERLUMA(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、オララツムマブ、オポルツズマブモナトックス、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標))、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標))、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラムシルムマブ、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、リロツムマブ、リツキシマブ(MABTHERA(登録商標)、RITUXAN(登録商標))、ロバツムマブ、サツモマブペンデチド、シブロツズマブ、シルツキシマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン(AFP-CIDE(登録商標))、タプリツモマブパプトックス、テナツモマブ、TGN1412、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標))、ザルツムマブ(HUMAX-EGFR(登録商標))、及び、ザノリムマブ(HUMAX-CD4(登録商標))があるが、これらに限定されない。
その他の実施形態では、多重特異性分子を、ウイルス性がん治療剤薬と組み合わせて投与する。ウイルス性がん治療剤として、ワクシニアウイルス(vvDD-CDSR)、癌胎児性抗原発現麻疹ウイルス、組換えワクシニアウイルス(TK欠失プラスGM-CSF)、セネカバレイウイルス-001、ニューカッスルウイルス、コクサッキーウイルスA21、GL-ONC1、EBNA1 C末端/LMP2キメラタンパク質発現組換え改変ワクシニアアンカラワクチン、癌胎児性抗原発現麻疹ウイルス、G207腫瘍溶解ウイルス、p53を発現する改変ワクシニアウイルスアンカラワクチン、OncoVEX GM-CSF改変単純ヘルペス1ウイルス、鶏痘ウイルスワクチンベクター、組換えワクシニア前立腺特異抗原ワクチン、ヒトパピローマウイルス16/18 L1ウイルス様粒子/AS04ワクチン、MVA-EBNA1/LMP2 Inj.ワクチン、四価HPVワクチン、四価ヒトパピローマウイルス(タイプ6、11、16、18)組換えワクチン(GARDASIL(登録商標))、組換え鶏痘-CEA(6D)/TRICOMワクチン、組換えワクシニア-CEA(6D)-TRICOMワクチン、組換え改変ワクシニアアンカラ-5T4ワクチン、組換え鶏痘-TRICOMワクチン、腫瘍溶解性ヘルペスウイルスNV1020、HPV LI VLPワクチンV504、ヒトパピローマウイルス二価(タイプ16及び18)ワクチン(CERVARIX(登録商標))、単純ヘルペスウイルスHF10、Ad5CMV-p53遺伝子、組換えワクシニアDF3/MUC1ワクチン、組換えワクシニア-MUC-1ワクチン、組換えワクシニア-TRICOMワクチン、ALVAC MART-1ワクチン、ヒトプレプロエンケファリン(NP2)を発現する複製欠損型単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)ベクター、野生型レオウイルス、3型レオウイルスDearing(REOLYSIN(登録商標))、腫瘍溶解性ウイルスHSV1716、エプスタイン-バーウイルス標的抗原をコードする組換え改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベースのワクチン、組換え鶏痘-前立腺特異的抗原ワクチン、組換えワクシニア前立腺特異的抗原ワクチン、組換えワクシニア-B7.1ワクチン、rAd-p53遺伝子、Ad5-デルタ24RGD、HPVワクチン580299、JX-594(チミジンキナーゼ欠失ワクシニアウイルスとGM-CSF)、HPV-16/18 L1/AS04、鶏痘ウイルスワクチンベクター、ワクシニアチロシナーゼワクチン、MEDI-517 HPV-16/18 VLP AS04ワクチン、単純ヘルペスウイルスTK99UNのチミジンキナーゼを含むアデノウイルスベクター、HspE7、FP253/フルダラビン、ALVAC(2)メラノーママルチ-抗原治療用ワクチン、ALVAC-hB7.1、カナリアポックス-hIL-12メラノーマワクチン、Ad-REIC/Dkk-3、rAd-IFN SCH 721015、TIL-Ad-INFg、Ad-ISF35、及び、コクサッキーウイルスA21(CVA21、CAVATAK(登録商標))があるが、これらに限定されない。
その他の実施形態では、多重特異性分子を、ナノ医薬品と組み合わせて投与する。がんナノ医薬品の例として、ABRAXANE(登録商標)(パクリタキセル結合アルブミンナノ粒子)、CRLX101(直鎖状シクロデキストリン系ポリマーに結合したCPT)、CRLX288(生分解性ポリマーポリ(乳酸-コ-グリコール酸)に結合したドセタキセル)、シタラビンリポソーム(リポソームAra-C、DEPOCYT(商標))、ダウノルビシンリポソーム(DAUNOXOME(登録商標))、ドキソルビシンリポソーム(DOXIL(登録商標)、CAELYX(登録商標))、カプセル封入ダウノルビシンクエン酸リポソーム(DAUNOXOME(登録商標))、及び、PEG抗VEGFアプタマー(MACUGEN(登録商標))があるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、多重特異性分子を、パクリタキセル、または、パクリタキセル製剤、例えば、TAXOL(登録商標)、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、
ABRAXANE(登録商標))と組み合わせて投与する。パクリタキセル製剤の例として、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標)、Abraxis Bioscienceが販売している)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン、Protargaが販売している)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX、Cell Therapeuticが販売している)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)、ANG105(3分子のパクリタキセルに結合したAngiopep-2、ImmunoGenが販売している)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル、Li et al.,Biopolymers(2007)87:225-230を参照されたい)、及び、グルコース結合パクリタキセル(例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート、Liu et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2007)17:617-620を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
がんを処置するためのRNAi剤、及び、アンチセンスRNA剤の例として、CALAA-01、siG12D LODER(Local Drug EluteR)、及び、ALN-VSP02があるが、これらに限定されない。
その他のがん治療薬として、サイトカイン類(例えば、アルデスロイキン(IL-2、インターロイキン-2、PROLEUKIN(登録商標))、アルファインターフェロン(IFN-アルファ、インターフェロンアルファ、INTRON(登録商標)A(インターフェロンアルファ-2b)、ROFERON-A(登録商標)(インターフェロンアルファ-2a))、エポエチンアルファ(PROCRIT(登録商標))、フィルグラスチム(G-CSF、顆粒球-コロニー刺激因子、NEUPOGEN(登録商標))、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、サルグラモスティム、LEUKINE(商標))、IL-11(インターロイキン-11、オプレベルキン、NEUMEGA(登録商標))、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)(PEGインターフェロン、PEG-INTRON(商標))、及び、ペグフィルグラスチム(NEULASTA(商標)))、ホルモン療法剤(例えば、アミノグルテチミド(CYTADREN(登録商標))、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、ビカルタミド(CASODEX(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フルオキシメステロン(HALOTESTIN(登録商標))、フルタミド(EULEXIN(登録商標))、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、ゴセレリン(ZOLADEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、ロイプロリド(ELIGARD(商標)、LUPRON(登録商標)、LUPRON DEPOT(登録商標)、VIADUR(商標))、メゲストロール(酢酸メゲストロール、MEGACE(登録商標))、ニルタミド(ANANDRON(登録商標)、NILANDRON(登録商標))、オクトレオチド(酢酸オクトレオチド、SANDOSTATIN(登録商標)、SANDOSTATIN LAR(登録商標))、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、ロミプロスチム(NPLATE(登録商標))、タモキシフェン(NOVALDEX(登録商標))、及び、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、ホスホリパーゼA2阻害剤(例えば、アナグレリド(AGRYLIN(登録商標)))、生物学的応答調節剤(例えば、BCG(THERACYS(登録商標)、TICE(登録商標))、及び、ダルベポエチンアルファ(ARANESP(登録商標))、標的治療薬(例えば、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、ダサチニブ(SPRYCEL(商標))、デニロイキンジフティトックス(ONTAK(登録商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、メシル酸イマチニブ(STI-571、GLEEVEC(商標))、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、及び、SU11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)))、免疫調節剤及び抗血管新生剤(例えば、CC-5013(レナリドマイド、REVLIMID(登録商標))、及び、サリドマイド(THALOMID(登録商標)))、グルココルチコステロイド(例えば、コルチゾン(ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、ALA-CORT(登録商標)、HYDROCORT ACETATE(登録商標)、ヒドロコルトンリン酸塩LANACORT(登録商標)、SOLU-CORTEF(登録商標))、デカドロン(デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、DEXASONE(登録商標)、DIODEX(登録商標)、HEXADROL(登録商標)、MAXIDEX(登録商標))、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、DURALONE(登録商標)、MEDRALONE(登録商標)、MEDROL(登録商標)、M-PREDNISOL(登録商標)、SOL-MEDROL(登録商標))、プレドニゾロン(DELTA-CORTEF(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、PEDIAPRED(登録商標)、PRELONE(登録商標))、及び、プレドニゾン(DELTASONE(登録商標)、LIQUID PRED(登録商標)、METICORTEN(登録商標)、ORASONE(登録商標))、及び、ビスホスホネート類(例えば、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、及び、ゾレドロン酸(ZOMETA(登録商標)))があるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、多重特異性分子を、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤)と組み合わせて使用する。チロシンキナーゼ阻害剤の例として、上皮成長因子(EGF)経路阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤)、血管内皮成長因子(VEGF)経路阻害剤(例えば、VEGF、VEGFトラップ、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)阻害剤(例えば、VEGFR-1阻害剤、VEGFR-2阻害剤、VEGFR-3阻害剤)に対する抗体)、血小板由来増殖因子(PDGF)経路阻害剤(例えば、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害剤(例えば、PDGFR-β阻害剤))、RAF-1阻害剤、KIT阻害剤、及び、RET阻害剤があるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、AHCM剤と組み合わせて使用する抗癌剤を、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキシニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、XL228、AEE788、AG-490、AST-6、BMS-599626、CUDC-101、PD153035、ペリチニブ(EKB-569)、バンデタニブ(ザクティマ)、WZ3146、WZ4002、WZ8040、ABT-869(リニファニブ)、AEE788、AP24534(ポナチニブ)、AV-951(チボザニブ)、アキシボタニブ、BAY 73-4506(レゴラフェニブ)、アラニン酸ブリバニブ(BMS-582664)、ブリバニブ(BMS-540215)、セジラニブ(AZD2171)、CHIR-258(ドビチニブ)、CP 673451、CYC116、E7080、Ki8751、マシチニブ(AB1010)、MGCD-265、モテサニブ二リン酸(AMG-706)、MP-470、OSI-930、塩酸パゾパニブ、PD173074、トシル酸nソラフェニブ (Bay 43-9006)、SU 5402、TSU-68(SU6668)、バタラニブ、XL880(GSK1363089、EXEL-2880)からなる群から選択する。選択したチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、または、ソラフェニブから選ぶ。ある実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブである。
ある実施形態では、多重特異性分子を、抗血管新生剤、または、血管標的化剤、もしくは、血管破壊剤の1つ以上と組み合わせて投与する。抗血管新生剤の例として、VEGF阻害剤(例えば、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、VEGF受容体阻害剤(例えば、イトラコナゾール)、細胞増殖抑制剤、及び/または、内皮細胞の遊走阻害剤(例えば、とりわけ、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、血管新生刺激剤(例えば、スラミン)があるが、これらに限定されない。血管標的剤(VTA)または血管破壊剤(VDA)を、中枢壊死を引き起こすがん腫瘍の血管系(血管)を損傷するように設計する(例えば、Thorpe,P.E.(2004)Clin. Cancer Res. Vol. 10:415-427で検討されている)。VTAを、小分子とすることができる。小分子VTAの例として、微小管不安定化薬(例えば、コンブレタスタチンA-4リン酸二ナトリウム(CA4P)、ZD6126、AVE8062、Oxi4503)及び、バジメザン(ASA404)があるが、これらに限定されない。
免疫チェックポイント阻害剤
その他の実施形態では、本明細書に記載の方法は、多重特異性分子と組み合わせた免疫チェックポイント阻害剤の使用を含む。この方法は、インビボでの治療プロトコルにおいて使用することができる。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、チェックポイント分子を阻害する。チェックポイント分子の例として、CTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、TIM3、LAG3、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14、または、CD270)、BTLA、KIR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、及び、A2aRがあるが、これらに限定されない。例えば、本明細書の一部を構成するものとして援用する、Pardoll. Nat.Rev.Cancer 12.4(2012):252-64を参照されたい。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、または、ピジリズマブなどの抗PD-1抗体である。ニボルマブ(別名、MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、または、BMS-936558)は、PD1を特異的に阻害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。例えば、US8,008,449、及び、WO2006/121168を参照されたい。ペムブロリズマブ(別名、ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475、または、KEYTRUDA(登録商標);Merck)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。例えば、Hamid,O.et al.,(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44、US8,354,509、及び、WO2009/114335を参照されたい。ピジリズマブ(別名、CT-011、または、Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。例えば、WO2009/101611を参照されたい。ある実施態様では、PD-1の阻害剤は、それらと実質的に同一又は類似の配列、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、又は、ピジリズマブの配列と、少なくとも85%、90%、95%、または、それ以上が同一である配列を有する抗体分子である。さらなる抗PD1抗体、例えば、AMP514(Amplimmune)は、例えば、US 8,609,089、US 2010028330、及び/または、US 20120114649に記載されている。
幾つかの態様では、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン、例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリンのFc領域)と融合したPD-1リガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)の細胞外/PD-1結合部分を含むイムノアドヘシンである。実施形態では、PD-1阻害剤は、AMP-224(例えば、WO2011/066342、及び、WO2010/027827に記載されたB7-DCIg)、B7-H1とPD-1との間の相互作用をブロックするPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、例えば、抗体分子である。幾つかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、または、MDX-1105である。幾つかの実施態様では、抗PD-L1抗体は、MSB0010718C(別名、A09-246-2、Merck Serono)であり、このものは、PD-L1に結合するモノクローナル抗体である。ヒト化抗PD-L1抗体の例は、例えば、WO2013/079174に記載されている。ある実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体、例えば、YW243.55.S70である。このYW243.55.S70抗体は、例えば、WO2010/077634に記載されている。ある実施形態では、PD-L1阻害剤は、MDX-1105(別名、BMS-936559)であり、このものは、例えば、WO2007/005874に記載されている。ある実施形態では、PD-L1阻害剤は、MDPL3280A(Genentech/Roche)であり、このものは、PD-L1に対するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。例えば、米国特許第7,943,743号、及び、米国特許公開第20120039906号を参照されたい。ある実施態様では、PD-L1の阻害剤は、それらと実質的に同一又は類似の配列、例えば、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、または、MDX-1105の配列と、少なくとも85%、90%、95%、または、それ以上が同一である配列を有する抗体分子である。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L2阻害剤、例えば、AMP-224(このものは、PD1とB7-H1との間の相互作用をブロックするPD-L2 Fc融合可溶性受容体であり、例えば、WO2010/027827、及び、WO2011/066342を参照されたい)である。
ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3阻害剤、例えば、抗LAG-3抗体分子である。実施形態では、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(別名、BMS986016、Bristol-Myers Squibb)である。BMS-986016、及び、その他のヒト化抗LAG-3抗体は、例えば、US2011/0150892、WO2010/019570、及び、WO2014/008218に記載されている。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、米国特許第8,552,156号、WO2011/155607、EP2581113、及び、米国公開第2014/044728号に記載されているTIM-3阻害剤、例えば、抗TIM3抗体分子である。
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体分子である。抗CTLA4抗体の例として、トレメリムマブ(PfizerのIgG2モノクローナル抗体、かつては、チシリムマブ、CP-675,206として知られている)、及び、イピリムマブ(別名、MDX-010、CAS番号477202-00-9)がある。抗CTLA-4抗体のその他の例は、例えば、米国特許第5,811,097号に記載されている。
以下の実施例は、例示目的のものであり、また、決して限定を意図するものではない。
方法
1.NanoBiT構築物のプラスミドの構築
タンパク質配列をコードするDNAを、Cricetulus griseusでの発現のために最適化し、合成を行い、そして、Gatewayクローニングを用いて、pcDNA3.4-TOPO(Life Technologies A14697)にクローニングをした。使用した核酸配列を、表1に示す。
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2.NanoBiT構築物の発現と精製
これらのプラスミドを、ExpiCHO細胞(Life Technologies A29127)に同時トランスフェクトした。トランスフェクションは、重鎖と軽鎖と競合軽鎖を1:1:1の比率で有する多重特異性構築物について、1リットル当たり1mgの総DNAを用いて行った。ExpiCHOトランスフェクションを、製造業者の指示に従って行った。ExpiCHO細胞を、トランスフェクションをした後に、5%COを用いて、32℃で、7日間、増殖させた。これらの細胞を、3000×gで遠心分離してペレット化した。その上清に、CaptureSelect CH1-XLアフィニティー樹脂(GE 2943452010)を添加し、そして、室温で、1~3時間、インキュベートした。その樹脂を、フリットフィルタープレート(Nuncフリットディープウェルフィルタープレート278011)に充填し、3×1mLのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Life Technologies 14190-144)で洗浄した。結合したタンパク質を、20mM クエン酸塩、100mM NaCl、pH2.9で、カラムから溶出した。溶出画分を、1M Tris-HCl、pH 8.0を用いて中和した。表2は、すべてのNanoBiT構築物についてのアミノ酸配列を示す。
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3.NanoBiT競合アッセイ
まず、競合するラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)の存在下で、NanoBiTアッセイを実施して、重鎖ポリペプチド(HCP2)と、その同種カッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP)との間の結合を試験した。図3A~3Cに示したように、LgBiTは、HCP2のC末端と融合し、かつ、SmBiTは、KLCPのC末端と融合した。競合するLLCPは、未修飾の鎖として示した。HCP2及びKLCPが、Fabを形成すると、LgBiT及びSmBiTは、ルシフェラーゼ活性を有する完全に機能的なNanoLucドメインを生成する(図3A)。HCP2及びLLCPが、Fabを形成すると、NanoLucは完全ではなく、そして、不活性である(図3B)。HCP2に対するLLCPとKLCPの1:1:1の競合は、機能的NanoLucを有するHCP2/KLCP Fabと、非機能的NanoLucを有するHCP2/LLCP Fabとをもたらす(図3C)。各試験では、競合する軽鎖が存在しないポジティブコントロールと、競合する軽鎖がSmBiT融合を持たない同じKLCPであるネガティブコントロールとを用いた。ポジティブコントロールは、100%の対合を示したのに対して、ネガティブコントロールは、50%の対合を示した。ポジティブコントロール及びネガティブコントロールについての発光示度数(それぞれ、100%及び50%)と、競合する軽鎖の存在下での各試験対についての発光示度数とを比較して、各試験対についての対合率を定量化した。
競合するカッパ鎖ポリペプチド(KLCP)の存在下で、同様のNanoBiTアッセイを用いて、重鎖ポリペプチド(HCP1)とラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP)との間の結合を試験した(図4A~4C)。このアッセイでは、LgBiTを、HCP1のC末端に融合させ、かつ、SmBiTを、LLCPのC末端に融合させた。競合するKLCPは、未修飾軽鎖として発現した。HCP1、LLCP、及び、KLCPを、1:1:1で発現させると、機能的NanoLucを有するHCP1/LLCP Fabと、非機能的NanoLucを有するHCP1/KLCP Fabとを形成する(図4C)。同様に、競合する軽鎖の存在下における各試験対についての発光示度数を、ポジティブコントロール(競合する軽鎖は存在せず、100%の対合)と、ネガティブコントロール(競合する軽鎖は、SmBiT融合を持たない同じLLCPであり、50%の対合)と比較して、各試験対についての対合率を決定した。
NanoBiT競合アッセイを、96ウェルプレートで、1μg/mLのタンパク質の100μLを用いて行った。製造業者の指示に従って、Promega Nano-Glo(N1110)アッセイシステムで、5×ストック溶液を調製した。各ウェルに、20μlの5×NanoLucストック溶液を入れ、そして、プレートの発光を、SpectraMax i3xプレートリーダーを用いて直ちに読み取った。
4.多重特異性分子の発現と精製
これらのプラスミドを、Expi293細胞(Life Technologies A 14527)、または、ExpiCHO細胞(Life Technologies A 29127)のいずれかに同時トランスフェクトした。ノブとホール重鎖とを1:1の比率で有し、かつ、軽鎖と重鎖とを3:2の比率で有する多重特異性構築物について、1mgの総DNAを用いて、トランスフェクションを行った。これら鎖の発現において起こり得る不均衡を確認するために、ノブとホール重鎖DNAとを3:1~1:3の範囲の様々な比率を用いて、軽鎖と重鎖とを3:2という同じ比率として、トランスフェクションを行った。Expi293細胞におけるトランスフェクションは、総DNAに対して3:1の比率で、直鎖状25,000Daポリエチレンイミン(PEI、Polysciences Inc 233966)を用いて行った。DNA及びPEIを、それぞれ、50mLのOptiMem(Life Technologies 31985088)培地に添加し、そして、滅菌濾過した。DNA及びPEIを、10分間混合し、そして、1.8~2.8×10細胞/mLの細胞密度と、少なくとも95%の生存率を示すExpi293細胞に添加した。ExpiCHOトランスフェクションは、製造業者の指示に従って行った。Expi293細胞を、トランスフェクションの後に5~7日間、37℃、8%COの加湿インキュベーターで増殖させ、そして、ExpiCHO細胞を、5%CO、32℃で、14日間増殖させた。これらの細胞を、18,000×gで遠心分離してペレット化し、そして、上清を、0.2μmのメンブランに通して濾過した。プロテインA樹脂(GE 17-1279-03)を、濾過した上清に添加し、そして、室温で、1~3時間、インキュベートした。この樹脂を、カラムに充填し、3×10カラム容量のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Life Technologies 14190-144)で洗浄した。結合したタンパク質を、20mMクエン酸塩、100mM NaCl、pH2.9で、カラムから溶出した。必要に応じて、DPBSのランニング緩衝液を用いて、Superdex 200カラムで、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて、タンパク質をさらに精製した。
表4は、多重特異的構築物に特有の配列を含む。また、表2に記載した軽鎖配列の幾つかを用いて、多重特異性構築物を発現した。合計で12個の多重特異性分子が、上記のように発現した。これらの分子のアミノ酸配列を、表5aに示す。表5bは、多重特異性分子についての対応する生殖細胞系配列を示す。
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5.カッパ/ラムダは、鎖対合の樹脂分析を選択する。
KappaSelect(GE 17-5458-01)、または、LambdaFabSelect(GE 17-5482-01)樹脂のいずれかの100μLと、1mgのタンパク質とをインキュベートして、二重特異性構築物のカッパ及びラムダ軽鎖対合を分析した。1~3時間インキュベートした後、この樹脂を、カラムに充填し、3×10カラム容量のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Life Technologies 14190-144)で洗浄した。結合したタンパク質を、100mMクエン酸、pH2.46で、カラムから溶出した。200mM Bond-Breaker TCEP(Thermo Scientific 77720)で還元した試料のゲルを使用して、ロード画分、フロースルー画分、溶出画分の内容物を分析して、様々な鎖の同定を可能にした。鎖対合の定量的評価のために、ロード画分とフロースルー画分でのタンパク質の量を、NanoDropを用いて、280nmでの吸光度で評価した。
KappaSelect樹脂は、カッパ抗体の定常軽鎖に結合する親和性樹脂である。KappaSelectからの溶出物は、ラムダ及びカッパ軽鎖の双方を有する分子を含み、3つの可能性がある(図1A、1B、及び1D)。このLambdaFabSelect樹脂は、ラムダ抗体の定常軽鎖に結合する親和性樹脂である。LambdaFabSelectからの溶出物は、ラムダ及びカッパ軽鎖の双方を有する分子を含み、3つの可能性がある(図1A、1C、及び1D)。
6.鎖対合の分析のための質量分析
多重特異性分子における鎖対合の特徴付けを行うために、精製した試料を、製造業者の指示に従って、固定化パパイン(Thermo Scientific 20341)で消化した。パパインは、ヒンジ領域の後で開裂して(図2)、2つのFabアームが生じる。消化した分子を質量分析計にかけ、測定したインタクトな質量に基づいて、2つのFabアームの同定を可能にした。このMS分析は、異なる立体配置の識別(図1Aと図1D)と、軽鎖交換の程度の特徴付けとを可能にする。
結果
例1
重鎖、軽鎖、競合軽鎖が1:1:1の比率において、DNAを用いて、細胞を同時トランスフェクトすることで、NanoBiTベースの構築物を発現した。表3は、重鎖(第2欄)、軽鎖(第3欄)、及び、競合軽鎖(第4欄)の個々の組み合わせを示している。表3の第1欄は、各配列の組み合わせについての識別子を記載している。それらの分子を精製し、そして、Nano-Glo試薬を用いて発光アッセイを行った。ポジティブコントロール、及び、ネガティブコントロールを記載している。ポジティブコントロールは、100%の完全対合を示しており、また、ネガティブコントロールは、50%の完全対合を示している。これらの数値を用いて、試験構築物の対合を定量した。
表6は、競合するラムダ軽鎖の存在下での重鎖及びカッパ軽鎖についての対合率を示す(75%以上の対合率を有する配列の組合せのみを記載した)。表7は、競合するカッパ軽鎖の存在下での重鎖及びラムダ軽鎖についての対合率を示す(75%以上の対合率を有する配列の組合せのみを記載した)。表6及び表7の第1欄に記載の識別子は、表3の第1欄に記載の識別子に対応している。加えて、表6及び7は、それぞれの配列の組み合わせにおいて用いた重鎖(第3欄)、軽鎖(第4欄)、及び、競合軽鎖(第5欄)に対応する生殖細胞系列配列をも提供している。
表8aは、表6及び表7を編集したものであり、そこには、双方向において成功した試料が記載してある。表8aの各列は、重鎖/カッパ軽鎖の対、及び、重鎖/ラムダ軽鎖の対(ID番号で表示してある)を示しており、NanoBiTアッセイでは、これらの2つの対の間での軽鎖の交換は少ない。表8bは、表8aに記載の重鎖/軽鎖の対に対応する生殖細胞系列配列を示している。表8a及び8bに記載の識別子は、表3の第1欄の識別子に対応している。
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例2
多重特異性分子1は、α-IGF1Rアームと、α-HER3アームとを含む。このα-IGF1Rアームは、配列番号179のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号118のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-HER3アームは、配列番号178のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号145のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子1の構成を、図5に示す。
配列番号86、配列番号54、配列番号87、及び、配列番号27のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子1を発現させた。多重特異性分子1を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図11に示す。図19は、多重特異性分子1のサイズ排除クロマトグラムを示す。多重特異性分子1を用いたKappaSelect及びLambdaFabSelect分析を行い、図24に示した。ゲルは、KappaSelect及びLambdaFabカラムからのフロースルーにおいて少量のタンパク質を示している。この分析の定量結果を表9に示しており、カッパ鎖について85%の忠実度と、ラムダ鎖についての85%の忠実度とを与えている。これらの結果は、同じFabアームを有するID284及びID409のNanoBiTデータと相関しており、それぞれ、84%と90%の忠実度を示している。
Figure 0007274413000144
例3
多重特異性分子2は、α-メソテリンアームと、α-PDL1アームとを含む。このα-メソテリンアームは、配列番号164のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号165のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-PDL1アームは、配列番号166のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号167のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子2の構成を、図5に示す。
配列番号82、配列番号83、配列番号84、及び、配列番号85のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子2を発現させた。多重特異性分子2を用いたKappaSelect及びLambdaFabSelect分析を行い、図23に示した。ゲルは、KappaSelect及びLambdaFabカラムからのフロースルーにおいて少量のタンパク質を示している。この分析の定量結果を表9に示している。KappaSelectについて忠実度は88%であり、また、LambdaFabSelectカラムについての忠実度は86%である。
例4
多重特異性分子3は、α-CTL4アームと、α-IL12βアームとを含む。このα-CTLA4アームは、配列番号168のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-IL12βアームは、配列番号170のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号163のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子3の構成を、図5に示す。
配列番号78、配列番号15、配列番号91、及び、配列番号72のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子3を発現させた。多重特異性分子3を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図12に示す。図20は、多重特異性分子3のサイズ排除クロマトグラムを示す。多重特異性分子3を用いたKappaSelect及びLambdaFabSelect分析を行い、図25に示した。ゲルは、KappaSelectまたはLambdaFabSelectカラムにおいてタンパク質を示しておらず、このことは適切な軽鎖の対合を示唆している。多重特異性分子3のパパイン開裂の質量分析データを、図31に示しており、また、表10にまとめている。このデータは、適切に対合したFabのみを示しており、これらのカッパ及びラムダ鎖について誤対合がないことをさらに説明している。これらの結果は、同じFabアームを有するID242及びID501のNanoBiTデータとも相関しており、いずれも、100%の鎖忠実度を示している。
Figure 0007274413000145
例5
多重特異性分子4は、α-CTL4アームと、α-TRAILR2アームとを含む。このα-CTLA4アームは、配列番号168のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-TRAILR2アームは、配列番号177のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号148のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子4の構成を、図5に示す。
配列番号78、配列番号15、配列番号81、及び、配列番号57のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子4を発現させた。多重特異性分子4を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図13に示す。多重特異性分子4のパパイン開裂の質量分析データを、図31に示しており、また、表11にまとめている。このデータは、1つの不適切なFab対合を示すものであり、カッパ重鎖とラムダ軽鎖とが対になっている。このことは、多重特異性分子4と同じFabアームを有するID237及びID421のNanoBiTデータとも相関しており、競合するカッパ軽鎖を有するラムダ重鎖の一方向において鎖忠実度が認められる。
Figure 0007274413000146
例6
多重特異性分子5は、α-CTL4アームと、α-CD221アームとを含む。このα-CTLA4アームは、配列番号168のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-TRAILR2アームは、配列番号180のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号136のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子5の構成を、図5に示す。
配列番号78、配列番号15、配列番号88、及び、配列番号45のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子5を発現させた。多重特異性分子5を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図14に示す。多重特異性分子5のパパイン開裂の質量分析データを、図33に示しており、また、表12にまとめており、そこには、カッパ軽鎖と対になったラムダ重鎖で対合している1つの不適切なFabが存在する。
Figure 0007274413000147
例7
多重特異性分子6は、α-PD1アームと、α-TRAILR2アームとを含む。このα-PD1アームは、配列番号181のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号182のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-TRAILR2アームは、配列番号177のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号148のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子6の構成を、図5に示す。
配列番号89、配列番号90、配列番号81、及び、配列番号57のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子6を発現させた。多重特異性分子6を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図15に示す。多重特異性分子6のパパイン開裂の質量分析データを、図34に示しており、また、表13にまとめており、そこには、カッパ軽鎖と対になったラムダ重鎖で対合している1つの不適切なFabが存在する。
Figure 0007274413000148
例8
多重特異性分子7は、α-PD1アームと、α-PDL1アームとを含む。このα-PD1アームは、配列番号181のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号182のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-PDL1アームは、配列番号166のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号167のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子7の構成を、図5に示す。
配列番号89、配列番号90、配列番号84、及び、配列番号85のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子7を発現させた。多重特異性分子7を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図16に示す。多重特異性分子7のパパイン開裂の質量分析データを、図35に示しており、また、表14にまとめており、そこには、カッパ軽鎖と対になったラムダ重鎖で対合している1つの不適切なFabが存在する。
Figure 0007274413000149
例9
多重特異性分子8は、α-CTLA4アーム、α-IL12βアーム、及び、IL-2ポリペプチドを含む。このIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームのラムダ軽鎖のC末端に融合する。α-CTLA4アームは、配列番号171のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-IL12βアームは、融合したIL-2ポリペプチドと一緒に、配列番号172のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号173のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子8の2本の重鎖は、ノブ-イン-ホール変異を含んでいない。多重特異性分子8の構成を、図7に示す。
配列番号73、配列番号15、配列番号74、及び、配列番号75のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子8を発現させた。多重特異性分子8を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図17に示す。図21は、多重特異性分子8のサイズ排除クロマトグラムを示す。KappaSelect及びLambdaFabSelect分析を、多特異性分子8を用いて行い、図26に示した。KappaSelect及びLambdaFabSelectのフロースルー画分は、いずれも、タンパク質を含んでおらず、このことは、良好な鎖忠実度を示唆している。
例10
多重特異性分子9は、α-CTLA4アーム、α-IL12βアーム、及び、IL-2ポリペプチドを含む。このIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームのラムダ軽鎖のC末端に融合する。α-CTLA4アームは、配列番号168のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-IL12βアームは、融合したIL-2ポリペプチドと一緒に、配列番号170のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号173のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子8とは違って、多重特異性分子9の2本の重鎖は、ノブ-イン-ホール変異を含む。多重特異性分子9の構成を、図6に示す。
配列番号78、配列番号15、配列番号91、及び、配列番号75のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子9を発現させた。多重特異性分子9を精製し、そして、最終産物のSDS-PAGEゲルを、図18に示す。図22は、多重特異性分子9のサイズ排除クロマトグラムを示す。KappaSelect及びLambdaFabSelect分析を、多特異性分子9を用いて行い、図27に示した。KappaSelect及びLambdaFabSelectのフロースルー画分は、いずれも、タンパク質を含んでおらず、このことは、良好な鎖忠実度を示唆している。
例11
多重特異性分子10は、α-CTLA4アーム、α-IL12βアーム、及び、2つのIL-2ポリペプチドを含む。第1のIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームのラムダ軽鎖のC末端に融合する。第2のIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームの重鎖のC末端に融合する。α-CTLA4アームは、配列番号171のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-IL12βアームは、融合した2つのIL-2ポリペプチドと一緒に、配列番号175のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号173のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子10の2本の重鎖は、ノブ-イン-ホール変異を含んでいない。多重特異性分子10の構成を、図9に示す。
配列番号73、配列番号15、配列番号77、及び、配列番号75のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子10を発現させた。KappaSelect及びLambdaFabSelect分析を、多特異性分子10を用いて行い、図29に示した。KappaSelectのフロースルー画分は、タンパク質を含んでいなかったが、LambdaFabSelectのフロースルー画分は、主に、カッパ重鎖(ノブ)と、カッパ軽鎖とからなるタンパク質を含んでいた。このことは、鎖忠実度の問題としてよりも、カッパ片の発現が、ラムダ鎖の発現よりも大きいものであった、ことを示唆している。
例12
多重特異性分子11は、α-CTLA4アーム、α-IL12βアーム、及び、2つのIL-2ポリペプチドを含む。第1のIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームのラムダ軽鎖のC末端に融合する。第2のIL-2ポリペプチドは、α-IL12βアームの重鎖のC末端に融合する。α-CTLA4アームは、配列番号168のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号106のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-IL12βアームは、融合した2つのIL-2ポリペプチドと一緒に、配列番号174のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号173のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子10とは違って、多重特異性分子11の2本の重鎖は、ノブ-イン-ホール変異を含む。多重特異性分子11の構成を、図8に示す。
配列番号78、配列番号15、配列番号76、及び、配列番号75のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子11を発現させた。KappaSelect及びLambdaFabSelect分析を、多特異性分子11を用いて行い、図28に示した。KappaSelectのフロースルー画分は、タンパク質を含んでいなかったが、LambdaFabSelectのフロースルー画分は、主に、カッパ重鎖(ノブ)と、カッパ軽鎖とからなるタンパク質を含んでいた。このことは、鎖忠実度の問題としてよりも、カッパ片の発現が、ラムダ鎖の発現よりも大きいものであった、ことを示唆している。このことは、多重特異性分子10で認められたことと符合しており、同分子10は、ノブ-イン-ホール変異が無いこと以外は同じである。
例13
多重特異性分子12は、α-CTLA4アーム、α-TRAILR2アーム、scFv標的アーム、及び、IL-2ポリペプチドを含む。このIL-2ポリペプチドは、α-CTLA4アームのカッパ軽鎖のC末端に融合する。scFvは、α-CTLA4アームの重鎖のC末端に融合する。α-CTLA4アームは、融合したIL-2ポリペプチド、及び、scFvと一緒に、配列番号169のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号176のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。α-TRAILR2アームは、配列番号177のアミノ酸配列の第1の鎖と、配列番号148のアミノ酸配列の第2の鎖とを含む。多重特異性分子12の2本の重鎖は、ノブ-イン-ホール変異を含む。多重特異性分子12の構成を、図10に示す。
配列番号79、配列番号80、配列番号81、及び、配列番号57のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトすることで、多重特異性分子12を発現させた。KappaSelect及びLambdaFabSelect分析を、多特異性分子12を用いて行い、図30に示した。それらの比率は、トランスフェクションの際に使用したDNAの比率を示しており、カッパ:ラムダは、3:1~1:3で変化する。すべての事例において、KappaSelect及びLambdaFabSelectカラムのフロースルーのいずれにも、タンパク質が認められる。KappaSelectフロースルーでのタンパク質は、カッパ重鎖、ラムダ重鎖、及び、ラムダ軽鎖から構成されている。LambdaFabSelectフロースルーでのタンパク質は、カッパ重鎖と軽鎖から構成されており、ラムダ鎖の比率が増加するにつれて減少する。これらのデータは、多重特異性分子4のデータと符合しており、同分子4は、同じFab成分を有しており、そして、カッパ重鎖と対になるラムダ軽鎖のみを示し、かつ、その逆を示さない。

Claims (16)

  1. 第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体分子であって、
    i)第1の抗原結合ドメインが、
    a)第1の重鎖可変領域配列(HCVRS)及び第1の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含む、インビボ又はインビトロのいずれかでλ抗体として生じる抗体に由来する第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)、ここで、第1のHCCRSは第1のCH1配列である、及び
    b)λ軽鎖可変領域配列(LLCVRS)及びλ軽鎖定常領域配列(LLCCRS)を含む、λ軽鎖ポリペプチド(LLCP)、
    を含み、第1のHCVRSとLLCVRSが対合するとき、第1の抗原結合ドメインが第1の抗原に結合し、及び
    ii)第2の抗原結合ドメインが、
    a)第2の重鎖可変領域配列(HCVRS)及び第2の重鎖定常領域配列(HCCRS)を含む、インビボ又はインビトロのいずれかでκ抗体として生じる抗体に由来する第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)、ここで、第2のHCCRSは第2のCH1配列である、及び
    b)κ軽鎖可変領域配列(KLCVRS)及びκ軽鎖定常領域配列(KLCCRS)を含む、κ軽鎖ポリペプチド(KLCP)、
    を含み、第2のHCVRSとKLCCRSが対合するとき、第2の抗原結合ドメインが第2の抗原に結合し、
    1)前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRSにおける変異であって前記HCP1と前記LLCPとの対合を促進する前記変異を含まないか、又は前記多重特異性抗体分子が、前記LLCCRSにおける変異であって前記HCP1と前記LLCPとの対合を促進する前記変異を含まず、そして
    2)前記多重特異性抗体分子が、前記第2のHCCRSにおける変異であって前記HCP2と前記KLCPとの対合を促進する前記変異を含まないか、又は、前記多重特異性抗体分子が、前記KLCCRSにおける変異であって前記HCP2と前記KLCPとの対合を促進する前記変異を含まず、
    前記KLCPが前記HCP1に対合せず、そして前記LLCPが前記HCP2に対合せず
    前記HCP1が前記HCP2と複合体を形成するか又は相互作用し;
    前記HCP1が、HCP1の第2の分子よりもHCP2に対して大きな親和性を有し;
    前記HCP2が、HCP2の第2の分子よりもHCP1に対して大きな親和性を有し;そして
    HCP1とHCP2が異なる配列を含む、
    前記多重特異性抗体分子。
  2. )前記多重特異性抗体分子が前記第1のHCCRSにおける変異を含まないか、又は前記多重特異性抗体分子が前記LLCCRSにおける変異を含まず、及び前記多重特異性抗体分子が前記第2のHCCRSにおける変異を含まないか、又は前記多重特異性抗体分子が前記KLCCRSにおける変異を含まない、
    )前記多重特異性抗体分子が、前記第1のHCCRS、前記LLCCRS、前記第2のHCCRS、及び前記KLCCRSのいずれにおいて変異を含まない、
    )前記第1のHCCRSが天然に存在する重鎖定常領域配列を含むか、又は前記LLCCRSが天然に存在するλ軽鎖定常領域配列を含み、及び前記第2のHCCRSが天然に存在する重鎖定常領域配列を含むか、又は前記KLCCRSが天然に存在するκ軽鎖定常領域配列を含む、
    )前記第1のHCCRSが天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、前記LLCCRSが天然に存在するλ軽鎖定常領域配列を含み、前記第2のHCCRSが天然に存在する重鎖定常領域配列を含み、及び前記KLCCRSが天然に存在するκ軽鎖定常領域配列を含む、
    )前記第1のHCCRSが変異を含まない、及び/又は前記第2のHCCRSが変異を含まない、あるいは
    )前記HCP1が、第1のCH2ドメイン配列及び第1のCH3ドメイン配列を含み、前記第1のCH2ドメイン配列及び前記第1のCH3ドメイン配列が、変異を含まない、及び/又は前記HCP2が、第2のCH2ドメイン配列及び第2のCH3ドメイン配列を含み、前記第2のCH2ドメイン配列及び前記第2のCH3ドメイン配列が、変異を含まない、
    請求項1に記載の多重特異性抗体分子。
  3. (1)前記HCP1が、HCP1-HCP2:HCP1-HCP1の対合の比率を増加させる配列要素であって、前記配列要素が存在しない場合に認められる比率と比較して同比率を増加させる配列要素を含み、及び/又は前記HCP2が、HCP1-HCP2:HCP2-HCP2の対合の比率を増加させる配列要素であって、前記配列要素が存在しない場合に認められる比率と比較して同比率を増加させる配列要素を含み、前記配列要素が天然の定常領域配列ではないか、又は前記配列要素がCH3に配置されている、
    (2)HCP1及びHCP2の一方又は双方を選択して、ヘテロ二量体化とは対照的に、自己二量体化を最小にする、
    (3)HCP1及びHCP2が、対になった突起/空洞のメンバーである、あるいは
    (4)HCP1-HCP2の対合を、静電相互作用又は鎖交換によって促進する、
    請求項1又は2に記載の多重特異性抗体分子。
  4. (1)第1のHCVRS及びLLCVRSが:それぞれ配列番号403及び404の配列;それぞれ配列番号407及び408の配列;それぞれ配列番号411及び412の配列;それぞれ配列番号415及び416の配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    (2)第2のHCVRS及びKLCVRSが:それぞれ配列番号401及び402の配列;それぞれ配列番号405及び406の配列;それぞれ配列番号409及び410の配列;それぞれ配列番号413及び414の配列;それぞれ配列番号417及び418の配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、あるいは
    (3)第1のHCVRS、LLCVR、第2のHCVRS、及びKLCVRSが:それぞれ配列番号403、404、401、及び402の配列;それぞれ配列番号403、404、405、及び406の配列;それぞれ配列番号403、404、409、及び410の配列;それぞれ配列番号403、404、413、及び414の配列;それぞれ配列番号403、404、417、及び418の配列;それぞれ配列番号407、408、401、及び402の配列;それぞれ配列番号407、408、405、及び406の配列;それぞれ配列番号407、408、409、及び410の配列;それぞれ配列番号407、408、413、及び414の配列;それぞれ配列番号407、408、417、及び418の配列;それぞれ配列番号411、412、401、及び402の配列;それぞれ配列番号411、412、405、及び406の配列;それぞれ配列番号411、412、409、及び410の配列;それぞれ配列番号411、412、413、及び414の配列;それぞれ配列番号411、412、417、及び418の配列;それぞれ配列番号415、416、401、及び402の配列;それぞれ配列番号415、416、405、及び406の配列;それぞれ配列番号415、416、409、及び410の配列;それぞれ配列番号415、416、413、及び414の配列;それぞれ配列番号415、416、417、及び418の配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項1~のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
  5. (1)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せが、腫瘍抗原である、
    (2)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せを、PD-L1、HER3、TROP2、メソテリン、IGF-1R、及びCA19-9から選択する、
    (3)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せを、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、DLL4、及びHGFから選択する、
    (4)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せを、PD-L1、HER3、TROP2、VEGF-A、EGFR、MUC1、MAGE-A3、gpA33、NY-ESO-1、ANG2、RSPO3、HER2、CEACAM5、及びCEAから選択する、
    (5)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せが、免疫エフェクター細胞の抗原である、
    (6)前記第1の抗原、第2の抗原、又はそれらの組合せを、CD3、PD-1、LAG-3、TIM-3、CTLA-4、VISTA、TIGIT、PD-L1、B7-H3、4-1BB、及びICOSから選択する、
    (7)前記第1の抗原が腫瘍抗原であり、かつ前記第2の抗原が、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、及びNKP46から選択した抗原であるか、又は前記第2の抗原が腫瘍抗原であり、かつ前記第1の抗原が、NKP30、PD-L1、CD3、NKG2D、CD47、4-1BB、及びNKP46から選択した抗原である、あるいは
    (8)前記第1の抗原がIGF1Rであり、かつ前記第2の抗原がHER3であるか、又は前記第2の抗原がIGF1Rであり、かつ前記第1の抗原がHER3である、
    前記第1の抗原がメソテリンであり、かつ前記第2の抗原がPD-L1であるか、又は前記第2の抗原がメソテリンであり、かつ前記第1の抗原がPD-L1である、
    前記第1の抗原がCTLA4であり、かつ前記第2の抗原がIL12βであるか、又は前記第2の抗原がCTLA4であり、かつ前記第1の抗原がIL12βである、
    前記第1の抗原がCTLA4であり、かつ前記第2の抗原がTRAILR2であるか、又は前記第2の抗原がCTLA4であり、かつ前記第1の抗原がTRAILR2である、
    前記第1の抗原がCTLA4であり、かつ前記第2の抗原がCD221であるか、又は前記第2の抗原がCTLA4であり、かつ前記第1の抗原がCD221で ある、
    前記第1の抗原がPD1であり、かつ前記第2の抗原がTRAILR2であるか、又は前記第2の抗原がPD1であり、かつ前記第1の抗原がTRAILR2である、
    前記第1の抗原がPD1であり、かつ前記第2の抗原がPDL1であるか、又は前記第2の抗原がPD1であり、かつ前記第1の抗原がPDL1である、又は
    前記第1の抗原がPD1であり、かつ前記第2の抗原がPDL1であるか、又は前記第2の抗原がPD1であり、かつ前記第1の抗原がPDL1である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
  6. (1)前記第1のHCVRSが、配列番号184、186、187、189、193、194、195、196、及び198、からなる群から選択した第1の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、又は100%の配列同一性を有しており、
    (2)前記LLCVRSが、配列番号207、208、209、210、211、及び212からなる群から選択したλ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、又は100%の配列同一性を有しており、
    (3)前記第2のHCVRSが、配列番号183~198、及び213からなる群から選択した第2の重鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、又は100%の配列同一性を有しており、又は、
    (4)前記KLCVRSが、配列番号199~212からなる群から選択したκ軽鎖生殖細胞系配列と、少なくとも75、80、85、90、95、98、又は100%の配列同一性を有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
  7. (1)前記第1の重鎖生殖細胞系配列及び前記λ軽鎖生殖細胞系配列が:それぞれ配列番号184及び207;それぞれ配列番号186及び210;それぞれ配列番号187及び211;それぞれ配列番号187及び212;それぞれ配列番号189及び211;それぞれ配列番号193及び209;それぞれ配列番号194及び210;それぞれ配列番号195及び207;それぞれ配列番号196及び211;又はそれぞれ配列番号198及び208である、
    (2)前記第2の重鎖生殖細胞系配列及び前記κ軽鎖生殖細胞系配列が:それぞれ配列番号183及び205;それぞれ配列番号184及び207;それぞれ配列番号185及び206;それぞれ配列番号186及び210;それぞれ配列番号187及び211;それぞれ配列番号187及び212;それぞれ配列番号188及び202;それぞれ配列番号189及び211;それぞれ配列番号190及び205;それぞれ配列番号191及び200;それぞれ配列番号191及び204;それぞれ配列番号192及び205;それぞれ配列番号193及び201;それぞれ配列番号193及び204;それぞれ配列番号193及び209;それぞれ配列番号194及び201;それぞれ配列番号195及び207;それぞれ配列番号196及び199;それぞれ配列番号196及び211;それぞれ配列番号197及び203;それぞれ配列番号198及び205;それぞれ配列番号198及び208;又はそれぞれ配列番号213及び201である、あるいは
    (3)それらの組合せである、
    請求項に記載の多重特異性抗体分子。
  8. 前記多重特異性抗体分子がアクセサリー部分をさらに含み、前記アクセサリー部分は、以下の特性:
    (1)前記アクセサリー部分が、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100kDaの分子量を有する;
    (2)前記アクセサリー部分が、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、又は100個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む;
    (3)前記アクセサリー部分が、免疫細胞の活性を調節する能力を有するポリペプチドを含む;及び
    (4)前記アクセサリー部分が、免疫細胞エンゲージャー、サイトカイン分子、サイトカインアンタゴニスト、酵素、毒素、及び標識薬剤の1つ以上から選択される、
    から選択した特性を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
  9. (1)前記アクセサリー部分が、前記多重特異性抗体分子の前記HCP1、第1のHCVRS、LLCP、LLCVRS、HCP2、第2のHCVRS、KLCP、又はKLCVRSのいずれかと融合している、
    (2)前記アクセサリー部分が前記第1のHCCRSと融合している、
    (3)前記アクセサリー部分が前記第2のHCCRSと融合している、
    (4)前記アクセサリー部分が前記LLCCRSと融合している、
    (5)前記アクセサリー部が前記KLCCRSと融合している、
    (6)前記多重特異性抗体分子が、第1のアクセサリー部分及び第2のアクセサリー部分 を含み、前記第1及び第2のアクセサリー部分は、同じであるか又は相違する、
    (7)前記多重特異性抗体分子が、第1のアクセサリー部分及び第2のアクセサリー部分 を含み、前記第1のアクセサリー部分は、前記HCP1又はHCP2と融合しており、かつ、前記第2のアクセサリー部分は、 前記LLCP又はKLCPと融合している、
    (8)前記多重特異性抗体分子が、第1のアクセサリー部分及び第2のアクセサリー部分 を含み、i)前記第1のアクセサリー部分は、前記第1のHCCRSと融合しており、かつ、ii)前記第2のアクセサリー部分は、前記LLCCRSと融合している、あるいは
    (9)前記多重特異性抗体分子が、第1のアクセサリー部分及び第2のアクセサリー部分 を含み、i)前記第1のアクセサリー部分は、前記第2のHCCRSと融合しており、かつ、ii)前記第2のアクセサリー部分は、前記KLCCRSと融合している、
    請求項に記載の多重特異性抗体分子。
  10. (1) HCP1及びLLCPが:それぞれ配列番号178及び145のアミノ酸配列;それぞれ配列番号166及び167のアミノ酸配列;それぞれ配列番号170及び163のアミノ酸配列;それぞれ配列番号177及び148のアミノ酸配列;それぞれ配列番号180及び136のアミノ酸配列;それぞれ配列番号172及び173のアミノ酸配列;それぞれ配列番号170及び173のアミノ酸配列;それぞれ配列番号175及び173のアミノ酸配列;又はそれぞれ配列番号174及び173のアミノ酸配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    (2) HCP2及びKLCPが:それぞれ配列番号179及び118のアミノ酸配列;それぞれ配列番号164及び165のアミノ酸配列;それぞれ配列番号168及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号181及び182のアミノ酸配列;それぞれ配列番号171及び106のアミノ酸配列;又はそれぞれ配列番号169及び176のアミノ酸配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、あるいは
    (3) HCP1、LLCP、HCP2、及びKLCPが:それぞれ配列番号178、145、179、及び118のアミノ酸配列;それぞれ配列番号166、167、164、及び165のアミノ酸配列;それぞれ配列番号170、163、168、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号177、148、168、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号180、136、168、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号177、148、181、及び182のアミノ酸配列;それぞれ配列番号166、167、181、及び182のアミノ酸配列;それぞれ配列番号172、173、171、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号170、173、168、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号175、173、171、及び106のアミノ酸配列;それぞれ配列番号174、173、168、及び106のアミノ酸配列;又はそれぞれ配列番号177、148、169、及び176のアミノ酸配列、に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項1~のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子をコードする配列を含むポリヌクレオチド。
  12. 請求項11に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
  13. 請求項1~10のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子を含む製剤。
  14. 請求項1~10のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子、及び、医薬として許容される希釈剤又は賦形剤を含む、医薬組成物。
  15. 処置を必要とする対象を処置する方法において使用するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子の有効量、又は請求項14に記載の医薬組成物の有効量の使用。
  16. 処置を必要とする対象を処置する方法において使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の多重特異性抗体分子、又は請求項14に記載の医薬組成物。
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