JP2006307984A - リニアソレノイド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 摺動コア20の先端側に、摺動コア20の外周を覆って摺動コア20と径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、ヨーク17のカップ底部と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製のリングコア23を設ける。このリングコア23は、摺動コア20とともに径方向へ移動可能に設けられる。これによって、摺動コア20の先端が非固定で、摺動コア20と挿入凹部22との間に組付隙間αが介在しても、摺動コア20とヨーク17のカップ底部とがリングコア23を介して磁気結合され、組付隙間αによる磁束低下を無くすことができ、リニアソレノイド2の性能を高く保つことができる。
【選択図】 図1
Description
本発明の背景技術を図11を参照して説明する。図11は、油圧電磁制御弁を示すものであり、この油圧電磁制御弁は、スプール弁1と、このスプール弁1を駆動するリニアソレノイド2とから構成される。
リニアソレノイド2は、コイル13、プランジャ14、磁気固定子15で構成される。ここで、磁気固定子15は、磁気回路を構成する部品であり、コイル13の外周を覆う略カップ形状を呈した磁性体製のヨーク17と、ステータコア21とからなる。
このステータコア21は、磁力によってプランジャ14を軸方向へ吸引する磁気吸引コア18と、プランジャ14の周囲を覆ってプランジャ14を直接摺動させる筒形状を呈した摺動コア20と、磁気吸引コア18と摺動コア20の間の磁気を遮断する磁気遮断部19とを一体的に設けたものである。
そして、コイル13の供給電流値を可変することでプランジャ14を軸方向へ駆動して、スプール弁1のスプール4を軸方向へ変位させるものである(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、ステータコア21の軸方向の一端側を非固定にしたリニアソレノイド2が提案されている。
図11のリニアソレノイド2は、その具体的な一例を示すものであり、ヨーク17のカップ開口部からステータコア21を差し入れ、ヨーク17のカップ開口部においてステータコア21を固定し、ステータコア21の固定部分から離れた側の摺動コア20の先端側を非固定にした構成を採用している。
摺動コア20の自由端(非固定の端)は、図11(b)に示すように、ヨーク17のカップ底部に設けられた挿入凹部22の内側に組み入れられる。このため、ステータコア21の製品バラツキや組付時の軸ズレ等により、摺動コア20の自由端が、挿入凹部22に当たって変形を招く可能性がある。摺動コア20に変形が生じると、その内側を直接摺動するプランジャ14の摺動性が阻害されてしまう。
そこで、摺動コア20の自由端と、挿入凹部22との径方向間に、ステータコア21の製品バラツキや組付時の軸ズレを吸収する十分な組付隙間αを設けることが要求される。 しかし、組付隙間αを介して磁気回路が構成されるため、組付隙間αが大きくなるほど磁気伝達効率が低下して、プランジャ14の磁気吸引性能が低下する不具合があった。
即ち、ステータコア21の一端が非固定のリニアソレノイド2は、ステータコア21の自由端と、隣接する磁気回路部品との間に大きな組付隙間αが要求されるため、プランジャ14の磁気吸引性能が犠牲になる不具合があった。
請求項1の手段のリニアソレノイドは、ステータコアにおける軸方向の非固定側(自由端)に、自由端側のステータコアの外周を覆ってステータコアと径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、ステータコアに隣接する磁気回路部品と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製のリングコアが設けられている。
このように、ステータコアの軸方向の一方のみで固定され、ステータコアの軸方向の他方が非固定(自由端)の構造を採用することで、ステータコアの自由端と、隣接する磁気回路部品との間に組付隙間が介在しても、ステータコアの自由端側と、隣接する磁気回路部品とがリングコアを介して磁気結合され、結果的に組付隙間による磁束低下を防ぐことができる。
即ち、ステータコアの自由端と、隣接する磁気回路部品との間に組付隙間が介在しても、リングコアによって磁束低下を防ぐことができ、リニアソレノイドの性能を高く保つことができる。
請求項2の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアの外周には、径方向隙間が設けられ、ステータコアの非固定側の径方向の変位に伴ってリングコアも径方向へ変位可能に設けられている。
これによって、ステータコアの製品バラツキや組付時の軸ズレ等により、ステータコアの自由端側が径方向に偏心しても、ステータコアの自由端側に変形が生じる不具合を回避することができ、プランジャの摺動不良の発生を回避することができる。
請求項3の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアは、軸方向付勢部材によって隣接する磁気回路部品に押し付けられている。
軸方向付勢部材がなくても、コイルが通電されると、リングコアは隣接する磁気回路部品に磁気吸引されて接触するものであるが、予め軸方向付勢部材によって隣接する磁気回路部品に押し付けられることにより、コイルが非通電の時もリングコアが磁気回路部品に接触するため、コイルの通電からリングコアが磁気回路部品に接触するまでの応答時間を短縮することができる。
また、軸方向付勢部材によって隣接する磁気回路部品にリングコアが押し付けられることにより、リングコアと磁気回路部品の接触が確実となり、信頼性を向上することができる。
請求項4の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアと磁気回路部品との接触部は、リングコアあるいは磁気回路部品の一方に設けられた環状凸部である。
このように設けられることにより、リングコアも径方向へ変位しても、リングコアと磁気回路部品との接触箇所および接触面積を一定にできる。この結果、接触箇所および接触面積の変化による磁束の偏心発生および磁束量変化を防ぐことができる。
請求項5の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアには、内径側と外径側を連通した呼吸溝が設けられている。
リングコアに呼吸溝を形成するのは容易であるため、呼吸溝の形成コストを削減することができる。
請求項6の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアと、このリングコアに隣接する固定部材とが、回転規制手段によって係合して、リングコアの回転が規制されている。
これにより、呼吸溝を特定の位置(任意の位置)に確実に設定できる。即ち、異物の排出性を高めるために、呼吸溝を確実に地方向に向けたり、呼吸溝を通る呼吸通路の通路長を任意の長さに設定することができる。
請求項7の手段のリニアソレノイドにおけるステータコアの非固定側は、摺動コアの端部であり、リングコアとステータコアの非固定側の径方向隙間は、地方向の隙間より、天方向の隙間が小さく設けられている。
(1)これにより、天方向側における摺動コアとリングコアとの受け渡し磁束が強くなる。
(2)一方、天方向側におけるプランジャと摺動コアの摺動隙間は、プランジャに加わる重力によって大きくなり、天方向側におけるプランジャと摺動コアとの受け渡し磁束が弱くなる。
上記(1)により、上記(2)の不具合をキャンセルすることができる。この結果、プランジャの径方向に均一に磁束が発生し、磁気偏心によるプランジャの摺動抵抗の増加を防ぐことができる。
請求項8の手段のリニアソレノイドにおけるリングコアは、径方向付勢部材によって地方向へ付勢される。
これによって、リングコアとステータコアの非固定側の径方向隙間は、地方向の隙間より、天方向の隙間が小さくなる。
請求項9の手段のリニアソレノイドは、軸方向付勢部材と径方向付勢部材とが、共通部品で設けられる。
これによって、部品点数を抑えることができ、組付工数および製造コストを抑えることができる。
請求項10の手段のリニアソレノイドにおける軸方向付勢部材は、リニアソレノイドの内外をシールするシール材を利用したものである。
これによって、部品点数を抑えることができ、組付工数および製造コストを抑えることができる。
請求項11の手段のリニアソレノイドは、ヨークのカップ開口部からステータコアを差し入れ、ヨークのカップ開口部においてステータコアを固定した構成を採用するものであり、ステータコアの固定部分から離れた側の摺動コアの先端側にリングコアを設けて、摺動コアとヨークのカップ底部との磁束の受け渡しを行うものである。
そして、ステータコアにおける軸方向の非固定側には、ステータコアの外周を覆ってステータコアと径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、ステータコアに隣接する磁気回路部品と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製のリングコアが設けられている。
実施例1に示す油圧電磁制御弁は、例えば、自動変速機の油圧制御装置に搭載されるものである。具体的に、実施例1に示す油圧電磁制御弁は、外部と油密にシールされた油圧コントローラのケースの内部においてオイル中に配置されるものであり、スプール弁1と、このスプール弁1を駆動するリニアソレノイド2とを備える。
スプール弁1は、スリーブ3、スプール4およびバネ5(リターンスプリング)を備える。
スリーブ3は、略円筒形状を呈するものであり、中心にはスプール4を軸方向へ摺動自在に支持する挿通穴6が形成され、径方向にはオイルポート7が形成されている。
なお、オイルポート7は、図示しないオイルポンプのオイル吐出口に連通して入力圧が供給される入力ポート、油圧電磁制御弁で調圧した出力圧が出力される出力ポート、低圧側に連通する排出ポート、呼吸用のドレーンポート等である。
このスプール4のリニアソレノイド2側の端部には、リニアソレノイド2の内部にまで延びるシャフト11が当接しており、そのシャフト11の先端は、後述するプランジャ14の端面に当接して、プランジャ14がスプール4を軸方向へ駆動するように設けられている。
リニアソレノイド2は、コイル13、プランジャ14、磁気固定子15、コネクタ16を備える。
コイル13は、通電されると磁力を発生して、プランジャ14と磁気固定子15を通る磁束ループを形成させるものであり、樹脂性のボビン13aの周囲に、絶縁被覆が施された導線(エナメル線等)を多数巻回したものである。
このプランジャ14は、磁気固定子15の内周面(具体的には、後述するステータコアの内周面)と直接摺動するものである。
また、プランジャ14は、上述したようにスプール4側の端面がスプール4のシャフト11の先端と当接しており、スプール4に伝わるバネ5の付勢力によってスプール4とともにプランジャ14も図1右側に付勢されている。
なお、プランジャ14の内部には、図示されないが軸方向に貫通する呼吸孔(あるいは呼吸溝)が形成されている。
なお、吸引部18bの内部には、図示されないが軸方向に貫通する呼吸孔(あるいは呼吸溝)が形成されている。
磁気吸引コア18の一部には、プランジャ14の端部が侵入可能な吸引凹部18cが設けられ、磁気吸引コア18とプランジャ14の一部が軸方向に交差するように設けられている。なお、吸引凹部18cの外周面にはテーパ18dが形成されており、プランジャ14のストローク量に対して磁気吸引力が変化しない特性に設けられている。
この摺動コア20は、その内周面においてプランジャ14が直接摺動するものであり、プランジャ14と径方向の磁束の受け渡しを行うものである。
リニアソレノイド2は、ヨーク17のカップ開口部からステータコア21を差し入れ、ヨーク17のカップ開口部においてステータコア21を固定し、ステータコア21の固定部分から離れた側の摺動コア20の先端側(図1右端側)を非固定にした構成を採用している。
このように、摺動コア20の図1右端側を非固定にした状態で、ヨーク17のカップ底部に形成された挿入凹部22の内側に摺動コア20を組み入れると、ステータコア21の製品バラツキや組付時の軸ズレ等により、摺動コア20の先端側が挿入凹部22に当たって摺動コア20の変形を招く可能性がある。摺動コア20に変形が生じると、その内側を直接摺動するプランジャ14の摺動性が阻害されてしまう。
しかし、組付隙間αを介して磁気回路が構成されるため、組付隙間αが大きくなるほど磁気の伝達効率が低下して、プランジャ14の磁気吸引性能が低下してしまう。即ち、組付隙間αによってプランジャ14の磁気吸引性能が犠牲になる不具合がある。
上記の不具合を解決するために、実施例1のリニアソレノイド2は、次の技術を採用している。
摺動コア20の先端側(ステータコア21における軸方向の非固定側の一例)には、摺動コア20の外周を覆って摺動コア20と径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、ヨーク17(ステータコア21に隣接する磁気回路部品の一例)のカップ底部と接触してヨーク17と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製(例えば、鉄などの強磁性材料)のリングコア23が設けられている。
ここで、リングコア23は、ステータコア21とヨーク17の固定を妨げないように、ボビン13aとヨーク17のカップ底部との軸方向隙間より僅かに薄く設けられている。このように設けられても、コイル13が通電されて磁束が生じると、リングコア23は隣接するヨーク17のカップ底部に磁気吸引されて当接する。
実施例1のリニアソレノイド2は、上述したように、摺動コア20の先端側(自由端側)に磁性体製のリングコア23を設けて、摺動コア20と径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、摺動コア20に隣接するヨーク17のカップ底部と軸方向の磁束の受け渡しを行う。
このため、ステータコア21が図1左側のみで固定され、ステータコア21の図1右端(摺動コア20の図1右端)が非固定の構造を採用し、摺動コア20の自由端と、隣接するヨーク17の挿入凹部22との間に組付隙間αが介在しても、摺動コア20の自由端側と、ヨーク17のカップ底部とがリングコア23を介して磁気結合され、組付隙間αによる磁束低下を無くすことができる。
即ち、摺動コア20の自由端と、隣接するヨーク17との間に、摺動コア20の変形を防ぐ組付隙間αが介在する構造であっても、リングコア23によって磁束低下を無くすことができ、リニアソレノイド2の性能を高く保つことができる。この結果、油圧電磁制御弁の性能を高く保つことができる。
実施例2は、ボビン13aとリングコア23との間に、軸方向付勢部材24を圧縮した状態で配置して、軸方向付勢部材24によってリングコア23を隣接するヨーク17のカップ底部に押し付けるものである。
なお、軸方向付勢部材24は、耐油性に優れたゴム(弾性樹脂)や、皿バネ(テーパ座金)、ウエーブワッシャなど、圧縮されると復元力でリングコア23を付勢するものである。
さらに、軸方向付勢部材24によってリングコア23がヨーク17のカップ底部に押し付けられることにより、リングコア23とヨーク17のカップ底部の接触が確実となり、リニアソレノイド2の信頼性を向上することができる。
なお、リングコア23は軸方向付勢部材24によってヨーク17のカップ底部に押し付けられるが、軸方向付勢部材24によるリングコア23の固定力は強固なものではなく、摺動コア20の径方向の変化に伴ってリングコア23も追従して径方向に変化可能なものである。
リングコア23とヨーク17のカップ底部とは、リングコア23あるいはヨーク17のカップ底部の一方に設けられた環状凸部25によって、摺動コア20の外周において環状に接触する。
具体的に、この実施例3では、図3に示すように、環状凸部25は、ヨーク17のカップ底部に設けられている。
このような環状凸部25を設けることにより、摺動コア20の自由端の径方向変位に伴ってリングコア23が径方向へ変位しても、リングコア23とヨーク17のカップ底部との接触箇所および接触面積を一定にできる。この結果、接触箇所および接触面積の変化による磁束の偏心発生および磁束量変化を防ぐことができる。
ここで、プランジャ14の図4右端と、ヨーク17のカップ底部との間で形成されるプランジャ先端室βの容積は、プランジャ14が軸方向へ変位することで変化する。そこで、リニアソレノイド2には、プランジャ先端室βとリニアソレノイド2の外部とを連通する呼吸通路26が設けられている。呼吸通路26は、コネクタ16の付け根部分から、コイル13の外側とヨーク17の内側を通ってプランジャ先端室βに通じるオイル通路である。
そこで、実施例4では、図5に示すように、リングコア23に、内径側と外径側を連通した呼吸溝27を形成した。
リングコア23に呼吸溝27を形成するのは容易であるため、呼吸溝27を形成するコストを削減することができる。
実施例4で示した呼吸溝27は、異物の排出性を高めるために呼吸溝27を地方向に向けたり、あるいは呼吸溝27を通る呼吸通路26の通路長を任意の長さに設定するために特定の方向に向けることが要求される。
例えば、油圧電磁制御弁は、オイル中に混入する異物がプランジャ14側に侵入するのを防ぐ目的で呼吸通路26の通路長を長くするために、リングコア23の呼吸溝27の位置を、呼吸通路26の外部開口(コネクタ16の付け根部分)とは異なった側に配置する要求がある。
回転規制手段28は、凸部と凹部の嵌まり合いによってリングコア23の回転を規制するものであり、この実施例5では、図6に示すように、ボビン13a(隣接する固定部材の一例)の軸方向先端の呼吸通路26の外部開口側(図6中下側)に回転規制凸部28aを設けるとともに、図7に示すように、リングコア23における呼吸溝27とは異なる側に回転規制凹部28bを設けて、回転規制凸部28aと回転規制凹部28bとを嵌め合せることで、リングコア23の呼吸溝27を呼吸通路26の外部開口(コネクタ16の付け根部分)とは異なった側に向けている。
この実施例の油圧電磁制御弁は、車両搭載時において、軸方向(プランジャ14の摺動方向)が水平方向(傾斜していても良い)に向いて設置されるものである。
一方、プランジャ14と摺動コア20との間には、微細な摺動隙間が形成されている。このため、プランジャ14には天方向から地方向への重力が加わり、プランジャ14と摺動コア20の地方向の摺動隙間A1が小さくなり、天方向の摺動隙間A2が大きくなる。 すると、プランジャ14と摺動コア20の径方向の磁束の受け渡し量は、地方向が増え、逆に天方向が減り、結果的にプランジャ14に偏心負荷が加わってしまう。
これによって、上記の不具合(重力により天方向におけるプランジャ14と摺動コア20の磁束の受け渡し量が減る不具合)をキャンセルすることができる。
この結果、プランジャ14の径方向に均一に磁束が発生し、磁気偏心によるプランジャ14の摺動抵抗の増加を防ぐことができる。
この実施例7は、径方向付勢部材29によってリングコア23を地方向へ付勢することで、摺動コア20とリングコア23の地方向の径方向隙間B1よりも、天方向の径方向隙間B2を小さくしたものである。
また、この実施例7の径方向付勢部材29は、実施例2で示した軸方向付勢部材24を兼ねるものである。即ち、軸方向付勢部材24と径方向付勢部材29とが共通部品であり、リングコア23を地方向に付勢するとともに、リングコア23をヨーク17のカップ底部に付勢するものである。
ボビン13a側に向くリングコア23の内周には、ボビン13aの方向に径が広がるテーパ面30が形成されている。このテーパ面30は、軸心から偏心しており、一方のテーパ幅が広く、他方のテーパ幅が狭く設けられている。
径方向付勢部材29は、ゴム製の環状弾性体(例えば、Oリング)であり、ボビン13aのテーパ面30に組み付けを行い、テーパ幅が広い面を天側、狭い側を地側に配置することで、弾性体の反力により軸方向付勢部材24を兼ねる径方向付勢部材29がリングコア23を地方向に付勢するとともに、リングコア23をヨーク17のカップ底部に付勢する。
なお、上記実施例5に示した回転規制手段28を用いて、リングコア23の組み込まれる天地方向を規制することが好ましい。
上記の各実施例では、油圧電磁制御弁がリニアソレノイド2ごと油圧コントローラのケースの内部に配置される例を示した。
これに対して、この実施例8は、油圧電磁制御弁のうちのスプール弁1は油圧コントローラのケース内に挿入配置されるものであるが、リニアソレノイド2が油圧コントローラの外部に配置されて大気中に晒されるタイプである。
そこで、リニアソレノイド2が大気中に晒される従来のタイプでは、図10(a)に示すように、ボビン13aの両端に配置した第1、第2シール材(Oリング等)31、32によって、リニアソレノイド2の内部のオイルが外部に漏れないようにしている。
具体的には、フランジ部18aとボビン13aとの間に挟まれた第1シール材31によって、リングコア23をヨーク17のカップ底部に付勢するものである。
なお、リングコア23に近い第2シール材32は、ボビン13aとヨーク17の径方向隙間をシールして、第1シール材31の軸方向付勢力を喪失しないように設けられている。また、ボビン13aの図10(b)右端とヨーク17のカップ底部との軸方向間には隙間が設けられて、ボビン13aの端がヨーク17のカップ底部に当接することによってリングコア23の軸方向の圧縮力が喪失しないように設けられている。
これによって、部品点数を抑えることができ、リニアソレノイド2の組付工数および製造コストを抑えることができる。即ち、油圧電磁制御弁のコストを抑えることができる。
上記の実施例では、自動変速機の油圧制御装置に用いられる油圧電磁制御弁に本発明を適用する例を示したが、自動変速機以外の他の油圧電磁制御弁に本発明を適用しても良い。また、油圧電磁制御弁以外の電磁弁に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、バルブ(実施例ではスプール弁1)を駆動するリニアソレノイド2に本発明を適用する例を示したが、バルブ以外の被駆動体を直接あるいは間接的に駆動するリニアソレノイド2に本発明を適用しても良い。
13 コイル
14 プランジャ
17 ヨーク(ステータコアに隣接する磁気回路部品)
18 磁気吸引コア
19 磁気遮断部
20 摺動コア
21 ステータコア
23 リングコア
24 軸方向付勢部材
25 環状凸部
27 呼吸溝
28 回転規制手段
29 径方向付勢部材
31 第1シール材(リニアソレノイドの内外をシールするシール材)
α 組付隙間(ステータコアの非固定側と隣接する磁気回路部品との隙間)
A1 地方向の摺動隙間
A2 天方向の摺動隙間
B1 地方向の径方向隙間
B2 天方向の径方向隙間
Claims (11)
- 磁気吸引コア、磁気遮断部、摺動コアが一体に設けられた磁性体製のステータコアと、前記摺動コアの内周面で直接摺動する磁性体製のプランジャとを備え、
前記ステータコアの軸方向の一方のみで固定され、前記ステータコアの軸方向の他方が非固定の構造を採用するリニアソレノイドにおいて、
前記ステータコアにおける軸方向の非固定側には、
前記ステータコアの外周を覆って前記ステータコアと径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、前記ステータコアに隣接する磁気回路部品と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製のリングコアが設けられていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアの外周には、径方向隙間が設けられ、
前記ステータコアの非固定側の径方向の変位に伴って前記リングコアも径方向へ変位可能に設けられていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1または請求項2に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアは、軸方向付勢部材によって隣接する前記磁気回路部品に押し付けられていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアと前記磁気回路部品との接触部は、前記リングコアあるいは前記磁気回路部品の一方に設けられた環状凸部であることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアには、内径側と外径側を連通した呼吸溝が設けられていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項5に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアと、このリングコアに隣接する固定部材とが、回転規制手段によって係合して、前記リングコアの回転が規制されていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のリニアソレノイドにおいて、
前記ステータコアの非固定側は、前記摺動コアの端部であり、
前記リングコアと前記ステータコアの非固定側の径方向隙間は、地方向の隙間より、天方向の隙間が小さく設けられていることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項7に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記リングコアは、径方向付勢部材によって地方向へ付勢されることを特徴とするリニアソレノイド。 - 請求項3に記載の前記軸方向付勢部材と、請求項8に記載の前記径方向付勢部材とは、共通部品であることを特徴とするリニアソレノイド。
- 請求項3に記載のリニアソレノイドにおいて、
前記軸方向付勢部材は、前記リニアソレノイドの内外をシールするシール材を利用したものであることを特徴とするリニアソレノイド。 - 略円柱形状を呈した磁性体製のプランジャと、
通電により磁力を発生するコイルと、
このコイルの外周を覆う略カップ形状を呈した磁性体製のヨークと、
前記コイルの発生した磁力によって前記プランジャを軸方向へ吸引する磁性体製の磁気吸引コア、前記プランジャの周囲を覆って前記プランジャを直接摺動させる筒形状を呈して前記プランジャと径方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製の摺動コア、前記磁気吸引コアと前記摺動コアの磁気を遮断する磁気遮断部を備え、前記磁気吸引コア、前記摺動コアおよび前記磁気遮断部が一体に設けられたステータコアとを具備し、
前記ヨークのカップ開口部から前記ステータコアを差し入れ、前記ヨークのカップ開口部において前記ステータコアを固定した構成を採用するリニアソレノイドにおいて、
前記ステータコアの固定部分から離れた側の前記摺動コアの先端側には、
前記摺動コアの外周を覆って前記摺動コアと径方向の磁束の受け渡しを行うとともに、前記ヨークのカップ底部と軸方向の磁束の受け渡しを行う磁性体製のリングコアが設けられていることを特徴とするリニアソレノイド。
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