JP4049028B2 - 変速機のシフト操作装置 - Google Patents

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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のシフト操作装置に関し、特に、運転者のシフト操作状況を検知した信号に応じて、変速機のシフトポジションを切替えるシフト操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される自動変速機の中には、トルクコンバータなどの流体継手と歯車式変速機構とから構成される有段式の自動変速機や、油圧によって有効径を変化させる2つのプーリとそれらプーリに巻き掛けらた金属ベルトとから構成される無段式の自動変速機がある。
【0003】
有段式の自動変速機は、エンジンと、トルクコンバータ等の流体継手を介して接続される。有段式の自動変速機は、複数の動力伝達経路を有してなる変速機構(歯車式変速機構)から構成され、たとえば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切替えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切替えを行なうように構成される。有段式の自動変速機においては、摩擦要素である、クラッチ要素やブレーキ要素やワンウェイクラッチ要素が、所定の状態に係合および解放されることにより、ギヤ段が決定される。
【0004】
無段式の自動変速機も、エンジンとトルクコンバータ等の流体継手を介して接続される。たとえばベルト式無段変速機は、金属ベルトと一対のプーリとを用いて、油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的に無段の変速を実現する。詳しくは、無端金属ベルトが、入力軸に取付けられた入力側プーリおよび出力軸に取付けられた出力側プーリに巻き掛けられて使用される。入力側プーリおよび出力側プーリは、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブをそれぞれ備え、溝幅を変えることで、無端金属ベルトの入力側プーリおよび出力側プーリに対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸と出力軸との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0005】
このようないずれのタイプの自動変速機においても、一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるスライド式のシフトレバーが設けられ、シフトレバーのスライド操作に基づいて変速ポジション(たとえば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定されている。
【0006】
最近では、こうしたスライド式のシフトレバーによるシフト操作装置のみならず、いわゆるシフト・バイ・ワイア方式のシフト操作装置も知られている。こうした方式のシフト操作装置では、運転者のシフト操作をセンサやスイッチ(センサ類)によって検出し、その検出信号に応じて複数のポジションの中の1つのポジションを選択する構成となっている。さらに、このようなシフト・バイ・ワイア方式の場合には、シフトレバーはスライド式に限定されるものではなく、いわゆるジョイスティック方式の操作子やプッシュボタン方式の操作子の採用も提案されている。このジョイスティック方式の操作子では、運転者が前後左右にレバーを傾動させることでシフト操作が行われるようになっている。またそのレバーは、非操作時には、ばねの付勢力などによって中央の中立位置に自然復帰するように構成されている。このため、操作後に運転者がレバーから手を離してしまえば、そのレバーは中央の中立位置に復帰してしまい、外見上は現在の操作状況の確認が不能となる。
【0007】
また、プッシュボタン方式の操作子を採用した場合にあっても、運転者の操作後に、操作子(プッシュボタン)の状態が操作前の状態に自動復帰する構成となることがあり、同様に外見上は現在の操作状況の確認が不能となる。これらに限らず、例えばタッチパネル方式などのような他の方式の操作子も含め、運転者の操作後に操作子の状態が操作前の状態に自動復帰するタイプの操作子(以下、「モーメンタリ式の操作子」という)では、シフト操作部の外見上からは操作状況を確認できなくなることがある。このため、そうしたモーメンタリ式の操作子をシフト操作部に採用した場合には、ポジションの切替え手順と操作手順との不一致とも相まって、運転者が違和感を抱く可能性がある。
【0008】
特開2002−264684号公報(特許文献1)は、シフト・バイ・ワイア方式のシフト操作装置の採用により生じる運転者の違和感を回避し得る車両のシフト操作装置を開示する。このシフト操作装置は、変速機のシフトレンジを機械的に切り替えるべく作動されるレンジ切替機構と、そのレンジ切替機構を作動させるアクチュエータと、運転者によるシフト操作部の操作状況を検出する操作レンジ検出回路と、レンジ切替機構の作動状態を検出する実レンジ検出回路と、それら両検出回路の検出信号に応じてアクチュエータを駆動制御して変速機のシフトレンジを切り替える制御部とを備える車両のシフト操作装置であって、操作レンジ検出回路の検出信号に応じて運転者のシフトレンジの操作状況を提示する操作レンジ提示部を備え、その操作レンジ提示部は、操作レンジ検出回路の検出信号に対応しない提示態様での提示を許容して操作状況を提示する。
【0009】
特許文献1に開示されたシフト操作装置によると、運転者によるシフト操作部の操作がなされると、両検出回路の検出信号に基づき把握される、その操作状況とレンジ切替機構の作動状態とに応じてアクチュエータが駆動され、レンジ切替機構の作動による変速機のシフトレンジ切替が行われる。また、操作レンジ検出回路の検出信号に応じて把握されるシフト操作部の操作状況が、操作レンジ提示部に提示されるようになっている。こうした操作レンジ提示部を設けることで、運転者は自分自身の行なった操作状況を確実に認識できるようになる。特に、外見からは操作状況の判断の困難な「モーメンタリ方式」の操作子をシフト操作部に採用した場合には、こうした操作レンジ提示部を設けなければ、運転者に操作状況を的確に認識させることは困難となる。こうした構成では、運転者のシフト操作部の操作(操作ポジション)に変速機のポジション設定(実ポジション)が必ず同期して切り替えられるとは限らない。このシフト操作装置によると、操作レンジ提示部には、操作レンジ検出回路の検出信号に対応しない提示態様での提示が許容されており、状況に応じて操作状況の提示態様を、運転者のシフト操作に拘束されることなく柔軟に設定可能となっている。このため、通常は運転者自身の操作状況を的確に認識させながらも、そのままの提示態様を保持すれば運転者に違和感を生じさせかねない状況にあれば、操作レンジ提示部の提示態様を柔軟に変更して、運転者の違和感を回避、もしくは低減し得るようにシフト操作装置を構成することが可能になる。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−264684号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたシフト操作装置によると、以下のような問題がある。モーメンタリタイプの操作子を用いて運転者が行なったシフト操作を検出回路が検出する。このときに、モーメンタリタイプの操作子がそのポジション位置にあるのかを確定させるための時間が一律に設定されてしまうと、モーメンタリタイプの操作子を用いてシフト操作する際の環境(操作装置の周囲の温度、車速、運転者が要求するポジション位置、動力伝達装置による動力伝達状態等々)により、運転者の要求とは異なるシフトポジションを確定する可能性がある。さらにこのように確定されると、その確定にしたがって動力伝達機構が制御されるので、運転者の意図しない状況に陥ることがあり得る。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モーメンタリ機能を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる、変速機のシフト操作装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るシフト操作装置は、変速機のシフト操作装置であって、複数のシフト位置に到達する経路と、運転者により経路を移動するように操作されるモーメンタリ式の可動部とを備える。可動部は、運転者による非操作時には予め定められた中立位置に保持される。このシフト操作装置は、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、変速機に対する制御信号を出力するための出力手段とを含む。経路は、中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、中立位置と第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置とを備える。第1のシフト位置にあると認識されると変速機による動力伝達状態が第1の状態に設定され、第2のシフト位置にあると認識されると変速機による動力伝達状態が第1の状態とは異なる第2の状態に設定される。シフト操作装置はさらに、経路における可動部の移動方向に応じて、認識時間を設定するための設定手段を含む。
【0014】
第1の発明によると、このシフト操作装置の経路には、中立位置と、第1のシフト位置(たとえば前進走行ポジション)と、中立位置と第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置(たとえばニュートラルポジション)とを備え、可動部はモーメンタリ式であるので、第2のシフト位置に可動部が位置する可能性として以下の2種類がある。すなわち、運転者が変速機による動力伝達状態を第2の状態とする要求に基づく操作をして第2のシフト位置に可動部が位置する場合(第1の場合)と、運転者が変速機による動力伝達状態を第1の状態とする要求に基づく操作をした後に、モーメンタリ機能により、可動部が、運転者による操作がなくなったので中立位置に戻る際に第2のシフト位置に可動部が位置する場合(第2の場合)とである。このとき、第2の場合には、第2のシフト位置を通過するだけであって、運転者が第2のシフト位置に基づく第2の状態を要求しているのではない。このように、可動部が同じ第2のシフト位置にある場合であっても、運転者が第2の状態を要求している場合とそうではない場合とが混在する。そのため、設定手段により、経路における可動部の移動方向に応じて、認識時間を設定する。これにより、第1の場合における、第2のシフト位置を認識する時間と、第2の場合における、第2のシフト位置を認識する時間とを別々に設定できるので、可動部が第2のシフト位置に保持される時間に基づいて、運転者の要求を適切に認識できる。その結果、モーメンタリ機能を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる、変速機のシフト操作装置を提供することができる。
【0015】
第2の発明に係るシフト操作装置においては、第1の発明の構成に加えて、設定手段は、可動部が中立位置から第1のシフト位置への方向へ移動する第1の移動方向の場合と、可動部が第1のシフト位置から中立位置への方向へ移動する第2の移動方向の場合とで、第2のシフト位置を認識するための認識時間が異なるように設定するための手段を含む。
【0016】
第2の発明によると、第1の場合(可動部が中立位置から第1のシフト位置への方向へ移動する第1の移動方向の場合)は、第2の場合(可動部が第1のシフト位置から中立位置への方向へ移動する第2の移動方向の場合)とは異なり、第2のシフト位置を認識させたいので、第2のシフト位置を認識するための認識時間を短くすれば第2のシフト位置であることを早急に認識するので、運転者の要求に適切に応答して、シフト位置を的確に認識できる。逆に、第2の場合は、第1の場合とは異なり、中立位置に戻るための単なる通過であって第2のシフト位置を認識させたくないので、第2のシフト位置を認識するための認識時間を長くすれば第2のシフト位置であることを認識しないので(単なる通過として認識して)、運転者の要求に適切に応答して、シフト位置を的確に認識できる。
【0017】
第3の発明に係るシフト操作装置においては、第2の発明の構成に加えて、設定手段は、第1の移動方向の場合の方が、第2の移動方向の場合よりも、第2のシフト位置を認識するための認識時間を短く設定するための手段を含む。
【0018】
第3の発明によると、第1の場合(第1の移動方向の場合)は、第2の場合(第2の移動方向の場合)とは異なり、第2のシフト位置を認識させたいので、第2のシフト位置を認識するための認識時間を短く設定して第2のシフト位置であることを早急に認識させることができる。逆に、第2の場合は、第1の場合とは異なり、中立位置に戻るための単なる通過であって第2のシフト位置を認識させたくないので、第2のシフト位置を認識するための認識時間を長く設定して第2のシフト位置であることを認識させないことができる。これにより、第1の場合には、運転者は可動部を第2のシフト位置に短い時間保持するだけで、変速機による第2の状態にすることができる。また、このシフト操作装置の作動油の油温が低く可動部が第1のシフト位置から中立位置に戻る速度が遅くても、第2のシフト位置は単なる通過として認識することができる。
【0019】
第4の発明に係るシフト操作装置は、以下に示す構成以外は、第1の発明に係るシフト変速装置と同様の構成を有する。このシフト操作装置は、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、変速機に対する制御信号を出力するための出力手段と、可動部が第1のシフト位置から中立位置への方向に移動された場合には、第2シフト位置の認識を禁止するための禁止手段とを含む。
【0020】
第4の発明によると、可動部が第1のシフト位置から中立位置への方向に移動された場合は、中立位置に戻るための単なる通過であって第2のシフト位置を認識させたくないので、禁止手段により第2シフト位置の認識が禁止される。これにより、このシフト操作装置の作動油の油温が低く可動部が第1のシフト位置から中立位置に戻る速度が遅くても、第2のシフト位置は認識されないので、単なる通過として認識することができる。
【0021】
第5の発明に係るシフト操作装置は、以下に示す構成以外は、第1の発明に係るシフト変速装置と同様の構成を有する。このシフト操作装置は、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、変速機に対する制御信号を出力するための出力手段と、シフト操作装置の温度状態を検知するための検知手段と、温度状態に応じて、第2のシフト位置の認識時間を変更するための変更手段とを含む。
【0022】
第5の発明によると、可動部が第1のシフト位置から中立位置への方向に移動された場合は、中立位置に戻るための単なる通過である。このときに、このシフト操作装置の作動油の油温によって、可動部が第1のシフト位置から第2のシフト位置を経由して中立位置に戻る速度が異なる。変更手段は、この温度状態に応じて、第2のシフト位置であると認識する認識時間を変更する。このとき、温度が低いと、認識時間が長くなるように変更される。これにより、作動油の油温が低くて可動部が第1のシフト位置から第2のシフト位置を経由して中立位置に戻る速度が遅くても、第2のシフト位置は単なる通過として認識することができる。
【0023】
第6の発明に係るシフト操作装置においては、第5の発明の構成に加えて、変更手段は、温度が低いと第2のシフト位置の認識時間が長くなるように変更するための手段を含む。
【0024】
第6の発明によると、作動油の油温が低くて可動部が第1のシフト位置から第2のシフト位置を経由して中立位置に戻る速度が遅くても、温度が低いと認識時間が長くなるように変更されているので、第2のシフト位置は単なる通過として認識することができる。
【0025】
第7の発明に係るシフト操作装置は、以下に示す構成以外は、第1の発明に係るシフト変速装置と同様の構成を有する。このシフト操作装置は、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、変速機に対する制御信号を出力するための出力手段とを含む。経路は、中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、中立位置と第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである第3のシフト位置とを備える。第1のシフト位置にあると認識されると変速機による動力伝達状態が第1の状態に設定され、第2のシフト位置にあると認識されると変速機による動力伝達状態が第1の状態とは異なる第2の状態に設定され、第3のシフト位置にあると認識されると変速機による動力伝達状態が第1の状態と同等であって第2の状態の状態とは異なる第3の状態に設定される。シフト操作装置はさらに、第3のシフト位置が設定されている場合と、第3のシフト位置が設定されていない場合とで、第2のシフト位置を認識するための認識時間が異なるように設定するための設定手段を含む。
【0026】
第7の発明によると、このシフト操作装置の経路には、中立位置と、第1のシフト位置(たとえば前進走行ポジション)と、中立位置と第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置(たとえばニュートラルポジション)と、第3のシフト位置(たとえば前進走行ポジションでエンジンブレーキ作動ポジション)を備え、可動部はモーメンタリ式であるので、第2のシフト位置に可動部が位置するときの車両の状態として、第3のシフト位置に関して以下の2種類がある。すなわち、車両の状態が、第3のシフト位置に対応した変速機による動力伝達状態である第3の状態(エンジンブレーキを作動させた前進走行状態)である場合と、そうではない状態とである。第3の状態であるときに、運転者が可動部を、第2のシフト位置を経由させて第1のシフト位置(前進走行状態に対応)保持させるときには第2のシフト位置は単なる経由である。このような場合と、そうではない場合とで、第2のシフト位置を認識するための認識時間が異なるように設定する。このため、第2のシフト位置を認識する時間を、車両の状態が第3の状態の場合と、そうではない場合とで、別々に設定できるので、可動部が第2のシフト位置に保持される時間に基づいて、運転者の要求を適切に認識できる。その結果、モーメンタリ機能を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる、変速機のシフト操作装置を提供することができる。
【0027】
第8の発明に係るシフト操作装置においては、第7の発明の構成に加えて、設定手段は、第3のシフト位置が設定されている場合の方が、第3のシフト位置が設定されていない場合よりも、第2のシフト位置を認識するための認識時間を長く設定するための手段を含む。
【0028】
第8の発明によると、車両の状態が、第3のシフト位置に対応した変速機によるエンジンブレーキを作動させた前進走行状態である場合と、そうではない状態とで、第2のシフト位置を認識する時間を変更する。エンジンブレーキを作動させた前進走行状態の場合には、運転者は、第2のシフト位置の認識を要求しているわけではないので、第2のシフト位置を認識するための認識時間を長く設定するので、第2のシフト位置は単なる通過として認識することができる。
【0029】
第9の発明に係るシフト操作装置は、以下に示す構成以外は、第1の発明に係るシフト変速装置と同様の構成を有する。このシフト操作装置は、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、変速機に対する制御信号を出力するための出力手段と、シフト操作装置が搭載された車両の車速を検知するための検知手段と、車速に応じて、第2のシフト位置の認識時間を変更するための変更手段とを含む。
【0030】
第9の発明によると、通常、高車速状態においては、車両の走行安定性のために、変速機による動力伝達状態の変化が要求されにくく、低車速状態においては、変速機による動力伝達状態の変化が要求されやすい。このため、車速に応じて、可動部がシフト位置に予め定められた認識時間を変更して、運転者の要求に対応させる。その結果、モーメンタリ機能を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる、変速機のシフト操作装置を提供することができる。
【0031】
第10の発明に係るシフト操作装置においては、第9の発明の構成に加えて、変更手段は、車速が低いと第2のシフト位置であることを認識する認識時間が短くなるように変更するための手段を含む。
【0032】
第10の発明によると、変速機による動力伝達状態の変化が要求されやすい低車速状態において、特に、第2のシフト位置であることが早急に認識でき、運転者の要求に適切に応答することができる。また、高車速時よりも低車速時の方が、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識時間が短く設定されるので、変速機による動力伝達状態の変化が要求されやすい低車速状態において、運転者の要求に適切に応答することができる。
【0033】
第11の発明に係るシフト操作装置においては、第1〜10のいずれかの発明の構成に加えて、第1の状態は前進走行状態であって、第2の状態はニュートラル状態であり、第12の発明に係るシフト操作装置においては、第7または8の発明の構成に加えて、第1の状態は前進走行状態であって、第2の状態はニュートラル状態であって、第3の状態は前進走行状態であってエンジンブレーキ作動状態であるものである。
【0034】
第11および第12の発明によると、運転者の要求に応じて、前進走行状態、ニュートラル状態、前進走行状態であってエンジンブレーキ作動状態を、的確に認識することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0036】
なお、以下に示す本発明の実施の形態に係るシフト操作システムが搭載される車両のパワートレーンは、特に限定されない。たとえば、自動変速機は、歯車式の変速機構を有する自動変速機であってもよいし、ベルト式無段変速機などの自動変速機であってもよい。
【0037】
さらに、たとえば、車両の駆動源としてエンジンと電気モータ(モータジェネレータ)とを搭載して、エンジン動力は遊星歯車機構を使用した動力分割機構により、車両の駆動力と発電機駆動力とに分割するハイブリッド方式のパワートレーンであってもよい。発電した電力はモータ駆動に直接使用されたり、インバータで直流に変換されて高電圧バッテリを充電したりする。このような動力分割機構として使用される遊星歯車機構において、エンジン回転力は、プラネタリーキャリアに入力され、その回転力は、サンギヤにより発電機に、リングギヤによってモータおよび出力軸に伝達される。このような構成を有するパワートレーンにおいては、遊星歯車機構に接続されたモータジェネレータを制御することにより、エンジン回転数を無段階に制御する無段変速機として機能させることができるものである。このようなハイブリッド車両(HV)や電気自動車(EV)においては、ブレーキポジションでは、前進走行状態で回生制動状態となりモータジェネレータにより回生発電される。
【0038】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係るシフト操作システムについて説明する。図1に、本発明の第1の実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図を示す。図1に示すように、シフト操作システム100は、シフトコントロールECU(Electronic Control Unit)1000と、シフト切替装置1100と、シフト表示装置1200と、ECT_ECU(Electronic Controlled Automatic Transmission)2000と、自動変速機2100と、車両情報検知部3000とを含む。
【0039】
シフトコントロールECU1000は、シフト切替装置1100、シフト表示装置1200、ECT_ECU2000および車両情報検知部3000と接続され、シフト切替装置1100にて操作された運転者の要求に基づいて、ECT_ECU2000に変速制御信号を送信するとともに、シフト表示装置1200にシフト表示情報を出力する。車両情報検知部3000は、車両のブレーキ信号や、車両の車速などの情報を検知し、シフトコントロールECU1000に送信する。
【0040】
ECT_ECU2000は、シフトコントロールECU1000から入力された変速制御信号に基づいて、自動変速機2100を制御する。
【0041】
図2〜図5を参照して、図1に示すシフト切替装置1100について説明する。本実施の形態に係るシフト操作システム100のシフト切替装置1100は、モーメンタリ方式のシフトレバーを有するものである。
【0042】
図2に示すように、シフト切替装置1100は、シフトレバー1102と、シフトレバー1102が摺動される第1の溝1104と、シフトレバー1102が摺動される第2の溝1106と、シフトレバー1102が摺動される第3の溝1108と、シフトレバー1102が摺動される第4の溝1110とから構成される。
【0043】
第1の溝1104に沿ってシフトレバー1102がその終端(下端)まで到達して、予め定められた時間以上、シフトレバー1102が運転者により保持されることによりブレーキポジションに設定される。このとき、シフトレバー1102は、矢印1126で示すように移動される。
【0044】
第2の溝1106に沿ってシフトレバー1102がその終端(右端)まで到達して、予め定められた時間以上、シフトレバー1102が運転者により保持されることによりニュートラルポジションに設定される。このとき、シフトレバー1102は、矢印1120で示すように移動される。
【0045】
第2の溝1106に沿ってシフトレバー1102がその終端(右端)まで到達して、さらに第3の溝1108に沿ってシフトレバー1102がその終端(上端)まで到達して、予め定められた時間以上、シフトレバー1102が運転者により保持されることにより後進走行ポジションに設定される。このとき、シフトレバー1102は、矢印1122で示すように移動される。
【0046】
第2の溝1106に沿ってシフトレバー1102がその終端(右端)まで到達して、さらに第4の溝1110に沿ってシフトレバー1102がその終端(下端)まで到達して、予め定められた時間以上、シフトレバー1102が運転者により保持されることにより前進走行ポジションに設定される。このとき、シフトレバー1102は、矢印1124で示すように移動される。
【0047】
また、パーキングポジションボタン1112を押すことにより、パーキングポジションに設定される。
【0048】
図2に示すシフト切替装置1110のシフトレバー1102は、運転者がシフトレバー1102から手を離している状態の中立位置にあることを示す。すなわち、図2に示すように、中立位置にあるシフトレバー1102を、矢印1120のように動かすことにより自動変速機2100がニュートラル状態となるニュートラルポジションに、矢印1122のように動かすことにより自動変速機2100が後進走行状態となる後進走行ポジションに、矢印1124のように動かすことにより前進走行ポジションに、矢印1126のように動かすことにより自動変速機2100が前進走行状態となる前進走行ポジションであってエンジンブレーキ作動状態となるブレーキポジションに設定される。
【0049】
図3に、中立位置からのニュートラルポジション位置を経由する場合の3つのパターンについて説明する。図3に示すように、中立位置から前進走行ポジション位置、ニュートラルポジション位置および後進走行ポジション位置に移動する場合には、いずれの場合もニュートラルポジション位置を経由する。
【0050】
図4に示すように、前進走行ポジション位置から中立位置に戻る場合(運転者が前進走行ポジションへのシフト操作を終えた後シフトレバー1102から手を離した場合)、矢印1125で示すように、前進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置を経由して中立位置にシフトレバー1102が戻る。
【0051】
図5に示すように、後進走行ポジション位置から中立位置に戻る場合(運転者が後進走行ポジションへのシフト操作を終えた後シフトレバー1102から手を離した場合)、矢印1123で示すように、後進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置を経由して中立位置にシフトレバー1102が戻る。
【0052】
図2〜図5に示したように、シフトレバー1102はモーメンタリ方式のシフトレバーであって、運転者がシフトレバー1102から手を離した状態では、常に中立位置に存在する。たとえば運転者がニュートラルポジションの状態から前進走行ポジションの状態にシフトしたい場合には、図2の矢印1124に示すようにシフトレバー1102をニュートラルポジション位置を経由して第2の溝1106および第4の溝1110を経由してシフトレバー1102を第4の溝1110の下端に予め定められた時間以上、保持してからシフトレバー1102を離す。
【0053】
予め定められた時間以上、前進走行ポジション位置にシフトレバー1102が保持されていることにより運転者の前進走行ポジションへのシフト要求が認識される。その後、運転者がシフトレバー1102から手を離すと図4の矢印1125に示すように、シフトレバー1102は、前進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置を経由して中立位置に戻る。
【0054】
図6を参照して、図1に示すシフト表示装置1200について説明する。図6に示すように、シフト表示装置1200は、シフトの操作方向を示す矢印表示部1220と、自動変速機2100がニュートラル状態であることを示すニュートラルポジションランプ1202と、自動変速機2100が前進走行状態であることを示す前進走行ポジションランプ1204と、自動変速機2100が後進走行状態であることを示す後進走行ポジションランプ1206と、自動変速機2100が前進走行状態であってエンジンブレーキ作動状態であることを示すブレーキポジションランプ1208と、パーキング状態であることを示すパーキングポジションランプ1210とを含む。
【0055】
ニュートラルポジションランプ1202、前進走行ポジションランプ1204、後進走行ポジションランプ1206、ブレーキポジションランプ1208およびパーキングポジションランプ1210のいずれか1つのみが点灯している。この図6に示すシフト表示装置1200を運転者が目視にて確認することにより、現在の車両のシフトポジション状態を知ることができる。
【0056】
図7に、シフト操作システムにおけるニュートラルポジション位置経由前の状態とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップを示す。図7に示すように、ニュートラルポジション経由前のシフトレバーの位置またはポジション位置により、ニュートラルポジションの認識時間が異なる。
【0057】
ニュートラルポジション位置経由前にシフトレバー1102が中立位置にあった場合のニュートラルポジション認識時間がTN(1)と、ニュートラルポジション位置経由前のシフトレバー1102の位置が前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置の場合のニュートラルポジション認識時間TN(2)とがそれぞれ別々に設定される。
【0058】
なお、ニュートラルポジション認識時間TN(1)は、ニュートラルポジション認識時間TN(2)よりも小さく設定されている。これは、中立位置からニュートラルポジション位置にシフトレバー1102が運転者により移動されたときは、ニュートラルポジションであることをすぐに認識したいことに対して、前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置を経由して中立位置にシフトレバー1102が自動的に戻るときにはニュートラルポジションであることを認識するようにさせたくないためである。そのため、前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置から中立位置への戻りの場合には、ニュートラルポジション認識時間が長く設定されている。
【0059】
図8を参照して、第1の実施の形態に係るシフト操作システムのシフトコントロールECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0060】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)1000にて、シフトコントロールECU1000は、シフトレバー1102の位置を検知する。S1002にて、シフトコントロールECU1000は、シフトレバー1102の位置を記憶する。S1004にて、シフトコントロールECU1000は、シフトレバー1102がニュートラルポジション位置にあるか否かを判断する。シフトレバー1102がニュートラルポジション位置にある場合には(S1004にてYES)、処理はS1006へ移される。もしそうでないと(S1004にてNO)、処理はS1008へ移される。
【0061】
S1006にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマをスタートさせる。S1008にて、シフトコントロールECU1000は、ニュートラルポジション以外のポジションを認識する。その後、処理はS1024へ移される。
【0062】
S1010にて、シフトコントロールECU1000は、記憶されたシフトレバー1102の位置が中立位置であるか否かを判断する。記憶されたシフトレバー1102の位置が中立位置であると(S1010にてYES)、処理はS1012へ移される。もしそうでないと(S1010にてNO)、処理はS1020へ移される。
【0063】
S1012にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(1)であるか否かを判断する。加算タイマ値がTN(1)であると(S1012にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S1012にてNO)、処理はS1016へ移される。
【0064】
S1016にて、シフトコントロールECU1000は、シフトレバー1102がニュートラルポジション位置にあるか否かを判断する。シフトレバー1102がニュートラルポジション位置にあると(S1016にてYES)、処理はS1012へ移される。シフトレバー1102がニュートラルポジション位置にないと(S1016にてNO)、処理はS1018に移される。
【0065】
S1018にて、シフトコントロールECU1000は、ニュートラルポジション以外のポジションを認識する。その後、処理はS1024へ移される。
【0066】
S1020にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(2)であるか否かを判断する。加算タイマ値がTN(2)であると(S1020にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S1020にてNO)、処理はS1022へ移される。
【0067】
S1022にて、シフトコントロールECU1000は、シフトレバー1102がニュートラルポジション位置であるか否かを判断する。シフトレバー1102がニュートラルポジション位置であると(S1022にてYES)、処理はS1020へ移される。もしそうでないと(S1022にてNO)、処理はS1008へ移される。
【0068】
S1024にて、シフトコントロールECU1000は、ECT_ECU2000に変速指令を出力する。また、シフト表示装置1200にポジションを表示するよう出力する。
【0069】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト操作システムの動作について説明する。
【0070】
[中立位置からニュートラルポジション位置]
以下、シフトレバー1102が中立位置にある場合に運転者がニュートラルポジションへの変更を要求した場合についてシフト操作システムの動作について説明する。このとき運転者は図2および図3に示す矢印1120に示すようにシフトレバー1102を第2の溝1106に沿ってニュートラルポジション位置まで移動させてシフトレバー1102をその位置で保持する。
【0071】
シフトレバー1102の位置が検知される(S1000)と、シフトレバーの位置が記憶される(S1002)。このとき、シフトレバー1102の位置は中立位置として記憶される。シフトレバーが図2および図3に示す矢印1120に従ってニュートラルポジション位置まで移動されると(S1004にてYES)、加算タイマがスタートされる(S1006)。記憶されたシフトレバー1102の位置が中立位置であるため(S1010にてYES)、加算タイマ値がTN(1)になると(S1012にてYES)、ニュートラルポジションであると認識される(S1014)。
【0072】
その後、ECT_ECU2000にニュートラルポジションに変速指令が出力され、シフト表示装置1200のニュートラルポジションランプ1202を点灯するように表示出力が行なわれる(S1024)。
【0073】
このとき、ニュートラルポジション認識時間は、図7に示すように、ニュートラルポジション位置経由前のシフトレバー1102の位置が中立位置である場合やポジション位置が前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置である場合に対応させてそれぞれ設定されており、ニュートラルポジション認識時間TN(1)が短く設定されている。そのため、運転者が短い時間シフトレバー1102をニュートラルポジション位置に保持するだけでニュートラルポジションを認識することができる。
【0074】
[前進走行ポジション位置または後進走行ポジション位置から中立位置への移動]
以下、図4に示す矢印1125または図5に示す矢印1123のように前進走行ポジション位置から中立位置へまたは後進走行ポジション位置から中立位置へシフトレバー1102が移動する場合のシフトレバー操作システムの動作について説明する。
【0075】
シフトレバーの位置が検知され(S1000)、シフトレバーの位置が記憶される(S1102)。このとき、前進走行ポジション位置または後進走行ポジション位置が記憶される。すなわち、運転者が中立位置からシフトレバー1102を前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置に移動させて一定時間以上シフトレバー1102を保持した後に、シフトレバー1102から手を離す。シフトレバー位置が前進走行ポジションや後進走行ポジションと記憶され、運転者がシフトレバー1102から手を離すとシフトレバーは中立位置に戻る。
【0076】
シフトレバーが中立位置に戻る途中でニュートラルポジション位置になると(S1104にてYES)、加算タイマがスタートする(S1106)。記憶されたシフトレバーの位置は中立位置ではないため(S1010にてNO)、加算タイマ値がTN(2)にならない限りニュートラルポジションであると認識されない。
【0077】
すなわち、図7に示すように、ニュートラルポジション認識時間TN(2)は長く設定してあるため加算タイマ値がTN(2)になる前にシフトレバーがニュートラルポジション位置から中立位置に移動するため(S1020にてNO、S1022にてNO)ニュートラルポジション以外の前進走行ポジションや後進走行ポジションが認識されたままの状態であって、ニュートラルポジションが認識されることはない。
【0078】
すなわち、これが、図4や図5に示す前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置に設定した後、ニュートラルポジション位置を経由して中立位置に移動する場合のシフト操作システムの動作である。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト操作システムによると、シフト切替装置の経路には、中立位置と前進走行ポジション位置と、中立位置と前進走行ポジション位置と後進走行ポジション位置と、中立位置と前進走行ポジション位置または後進走行ポジション位置との間に設けられたニュートラルポジション位置とがある。シフトレバーはモーメンタリ式であるので、ニュートラルポジション位置にシフトレバーが位置する可能性として、ニュートラルポジションを要求する場合と、前進走行ポジションや後進走行ポジションを要求した後に自動的にシフトレバーが中立位置に戻る場合とがある。このような場合、ニュートラルポジション位置の経由する前のシフトレバーの位置を予め記憶しておいて、それが中立位置である場合にはより短いニュートラルポジション認識時間とし、ニュートラルポジション位置経由前のシフトレバーの位置が前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置である場合にはより長いニュートラルポジション認識時間と設定する。これにより、前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置から中立位置への戻りの場合にはニュートラルポジションであることを認識しにくくなる。一方、中立位置からニュートラルポジション位置へ移動させたい場合には、ニュートラルポジションを短い時間で認識することができる。その結果、モーメンタリ方式を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる。
【0080】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るシフト操作システムについて説明する。本実施の形態に係るシフト操作システムは、前述の第1の実施の形態に係るシフト操作システムのシフト切替装置1100に代えて、図9に示すシフト切替装置1101を有する点が特徴である。それ以外の構造については前述の第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0081】
図9に示すように、本実施の形態に係るシフト操作システムのシフト切替装置1101は、前述の第1の実施の形態に係るシフト切替装置1100とは異なり、シフトレバー1102をアップシフト用溝1132に沿って矢印1136に示すように移動させることにより自動変速機2100をアップシフトさせることができるとともに、シフトレバー1102をダウンシフト用溝1134に沿って矢印1138に示すように移動させることにより自動変速機2100をダウンシフトさせる機能を有する。エンジンブレーキ機能は、ダウンシフトさせることにより発現される。
【0082】
また、このシフト切替装置1100には、自動変速機2100のシフト位置を、たとえばファーストを「1」として、セカンドを「2」、…として表示する表示部1140をさらに有する。
【0083】
本実施の形態に係るシフト操作システムにおいても、前述の第1の実施の形態と同様にして、中立位置からニュートラルポジション位置へシフトレバーが移動された場合のニュートラルポジション認識時間と、前進走行ポジション位置または後進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置へシフトレバーが移動された場合のニュートラルポジション認識時間とを異ならせて設定したため、モーメンタリ機能を有するシフト操作装置において、運転者の要求に適切に応答することができる。
【0084】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係るシフト操作システムについて説明する。本実施の形態に係るシフト操作システムは、前述の第1の実施の形態に係るシフト操作システムおよび第2の実施の形態に係るシフト操作システムとは異なり、シフト切替装置の温度によって、ニュートラルポジション認識時間を変更する。
【0085】
図10に本実施の形態に係るシフト操作システム102の制御ブロック図を示す。なお、図10に示す制御ブロック図の中で、前述の図1に示した制御ブロック図と同じ要素については同じ参照符号を付してある。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0086】
図10に示すように、本実施の形態に係るシフト操作システム102は、前述の第1の実施の形態に係るシフト操作システム100の構成に加えてシフト切替装置温度推定部1300をさらに含む。シフト切替装置温度推定部1300は、たとえば車両に設けられたオートエアコンの室内温度センサにより実現することができる。
【0087】
シフト切替装置1100は図2〜図5に示すように複数の溝を有し、その溝部をシフトレバー1102が摺動するため作動油が充填されている。この作動油は通常の作動油と同様に温度が高いと粘性が低く、温度が低いと粘性が高く、温度が低い場合にそのシフトレバー1102の移動が遅くなる。
【0088】
この状態を図11に示す。図11に示すように、横軸にシフト切替装置1100の雰囲気温度として、縦軸に前進走行ポジション位置または後進走行ポジション位置から中立位置に移動する場合のニュートラルポジション位置の経由時間を示す。シフト切替装置1100の雰囲気温度が低いほどシフト切替装置1100内に充填された作動油の温度が低く粘性が高いため、ニュートラルポジション位置を経由する時間が長くなる。
【0089】
そのため、図12に示すように、シフト切替装置1100の雰囲気温度が低いほどニュートラルポジション認識時間TN(2)を長く、シフト切替装置1100の雰囲気温度が高いほどニュートラルポジション認識時間TN(2)を短く設定する。
【0090】
このようにして、シフト切替装置1100の雰囲気温度に基づいてニュートラルポジション認識時間TN(2)を設定することにより、シフトレバーが前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置から中立位置へ移動された場合は中立位置に戻るための単なる通過としてニュートラルポジション位置が認識される。このときに、シフト切替装置1100の作動油の油温が低いとそのニュートラルポジション位置の経由時間が長くなるためニュートラルポジション認識時間TN(2)を長くしておくことにより、たとえ油温が低く作動油の粘性が高いためシフトレバーの移動速度が遅い場合、すなわち前進走行ポジション位置や後進走行ポジション位置からニュートラルポジション位置を経由して中立位置に戻る速度が遅い場合であっても、ニュートラルポジション位置は単なる通過として認識し、ニュートラルポジションへの変速が認識されることはない。
【0091】
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係るシフト操作システムについて説明する。本実施の形態に係るシフト操作システムは、ニュートラルポジション位置経由前のポジション位置がブレーキポジション位置であるかブレーキポジション位置以外であるかにより、ニュートラルポジション認識時間を変更した点が特徴である。なお、本実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図は、前述の第1の実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図(図1)と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0092】
図13を参照して、ニュートラルポジション位置経由前のシフトレバー1102のポジション位置と、ニュートラルポジション認識時間との関係を示すマップについて説明する。ニュートラルポジション位置経由前のシフトレバー1102のポジション位置がブレーキポジション位置である場合にはニュートラルポジション認識時間がTN(3)と、ブレーキポジション位置以外の場合にはニュートラルポジション認識時間がTN(4)と設定される。このとき、ニュートラルポジション認識時間TN(3)は、ニュートラルポジション認識時間TN(4)よりも長く設定される。このように設定することにより、ブレーキポジション位置から前進走行ポジション位置にポジション位置を変更するとき、ニュートラルポジションを認識することがないようにできる。
【0093】
図14に本実施の形態に係るシフト操作システムのシフトコントロールECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図14に示すフローチャートの中で、前述の図8に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0094】
S2000にて、シフトコントロールECU1000は、記憶されたシフトレバーの位置がブレーキポジション位置であるか否かを判断する。記憶されたシフトレバーの位置がブレーキポジション位置であると(S2000にてYES)、処理はS2002へ移される。もしそうでないと(S2000にてNO)、処理はS2004へ移される。
【0095】
S2002にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(3)であるか否かを判断する。加算タイマ値TN(3)であると(S2002にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S2002にてNO)、処理はS1016へ移される。
【0096】
S2004にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(4)であるか否かを判断する。加算タイマ値がTN(4)であると(S2004にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S2004にてNO)、処理はS2022へ移される。
【0097】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト操作システムの動作について説明する。
【0098】
[ニュートラルポジション位置経由前がブレーキポジション位置]
たとえば車両の運転者が、ブレーキポジション状態から前進走行ポジション状態に変更する場合の動作について説明する。すなわち、エンジンブレーキを作動させた状態から、エンジンブレーキの作動を解除させる場合である。
【0099】
シフトレバーの位置が検出され(S1000)、シフトレバーの位置が記憶される(S1002)。このときブレーキポジション位置と記憶される。ブレーキポジション位置から前進走行ポジション位置にシフトレバー1102が移動されるとその途中でシフトレバー1102がニュートラルポジション位置であると判定され(S1004にてYES)、加算タイマがスタートする(S1006)。記憶されたシフトレバーの位置がブレーキポジション位置であるので(S2000にてYES)、加算タイマがTN(3)になるまでニュートラルポジションであると認識されない。すなわち、ニュートラルポジション認識時間TN(3)は、より長く設定されているため、ニュートラルポジションであることが認識されにくくなっている。
【0100】
これにより、ブレーキポジション位置から前進走行ポジション位置にポジション位置を変更する場合にニュートラルポジション位置を経由する場合であっても、不要なニュートラルポジションを認識することはない。
【0101】
[ニュートラルポジション位置経由前がブレーキポジション位置以外の場合]
記憶されたシフトレバー1102の位置がブレーキポジション位置ではないため(S2000にてNO)、加算タイマ値がTN(4)になると(S2004にてYES)、ニュートラルポジションであると認識する(S1014)。このとき、ニュートラルポジション認識時間TN(4)は、より短く設定されているため、ブレーキポジション位置以外からニュートラルポジション位置を経由した際にはより早くニュートラルポジションであることが認識される。
【0102】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト操作システムによると、ニュートラルポジションであることを認識する時間を、ブレーキポジション位置からニュートラルポジション位置を経由している場合と、そうではない場合とで別々のニュートラルポジション認識時間を設定できるので、シフトレバーがニュートラルポジション位置に保持される時間に基づいて、運転者の要求を適切に認識できる。
【0103】
<第5の実施の形態>
以下、本発明の第5の実施の形態に係るシフト操作システムについて説明する。本実施の形態に係るシフト操作システムは、車両の走行状態に応じてニュートラルポジション認識時間を設定することに特徴がある。本実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図は、前述の第1の実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図(図1)と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0104】
すなわち、図1に示す制御ブロック図において、車両情報検知部3000から車速がシフトコントロールECU1000に入力される。
【0105】
図15を参照して、本実施の形態に係るシフト操作システムが搭載された車両の走行状態とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップについて説明する。
【0106】
車両走行状態が走行時であるとニュートラルポジション認識時間がTN(5)と、車両走行状態が停止時であるとニュートラルポジション認識時間がTN(6)と設定される。このとき、ニュートラルポジション認識時間TN(5)は、ニュートラルポジション認識時間TN(6)よりも長く設定されている。
【0107】
図16を参照して、本実施の形態に係るシフト操作システムのシフトコントロールECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図16に示すフローチャートの中で、前述の図1に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0108】
S3000にて、シフトコントロールECU1000は、車速を検知する。この処理は、車両情報検知部3000からシフトコントロールECU1000に入力された車速信号に基づいて行なわれる。
【0109】
S3002にて、シフトコントロールECUは、検知した車速がしきい値α(α>0)よりも大きいか否かを判断する。検知した車速がしきい値αよりも大きい場合には(S3002にてYES)、処理はS3004へ移される。もしそうでないと(S3002にてNO)、処理はS3006へ移される。
【0110】
S3004にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(5)であるか否かを判断する。加算タイマ値がTN(5)であると(S3004にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S3004にてNO)、処理はS1016へ移される。
【0111】
S3006にて、シフトコントロールECU1000は、加算タイマ値がTN(6)であるか否かを判断する。加算タイマ値がTN(6)であると(S3006にてYES)、処理はS1014へ移される。もしそうでないと(S3006にてNO)、処理はS1022へ移される。
【0112】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト操作システムの動作について説明する。
【0113】
[車両が走行時の場合]
以下、車両が走行時におけるシフト操作システムの動作について説明する。
【0114】
車速が検知され(S3000)、シフトレバー1002がニュートラルポジション位置になると(S1004にてYES)、加算タイマがスタートされ(S1006)、車速がしきい値αよりも大きいため(S3002にてYES)、加算タイマ値がTN(5)になるまで(S3004にてYES)、ニュートラルポジションであることが認識されない(S1014)。
【0115】
このとき、ニュートラルポジション認識時間TN(5)はより長い時間に設定されているため、車両の走行時においてはニュートラルポジション位置であることが認識されにくく設定されている。そのため、車両の走行時においては、車両の走行安定性などにより自動変速機による動力伝達状態の変化が要求されにくいため、このようにニュートラルポジション認識時間TN(5)をより長く設定しておき、ニュートラルポジションを認識されにくくしておくことができる。
【0116】
[車両が停止時の場合]
以下、車両が停止時の場合における変速操作システムの動作について説明する。
【0117】
車速が検知され(S3000)、車速がしきい値α以下であるため(S3002にてNO)、加算タイマがTN(6)になると(S3006にてYES)、ニュートラルポジションであると認識される(S1014)。車両が停止状態におけるニュートラルポジション認識時間は、より短い時間に設定されているため、加算タイマ値がTN(6)でタイムアップしやすく(S3006にてYES)、ニュートラルポジションが認識されやすい(S1014)。
【0118】
これは、停止時や低車速状態においては変速機による動力伝達状態の変化が要求されるため、このようにニュートラルポジション認識時間を短く設定しておいて運転者が短い時間ニュートラルポジション位置にシフトレバー1102を保持することによりニュートラルポジションを認識させるようにすることができる。
【0119】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト操作システムによると、車両の走行状態(車速)に基づいてニュートラルポジションの認識時間を変更するようにした。その結果、通常は高速の車両の状態においては車両の走行安定性のために自動変速機による動力伝達状態の変化が要求されにくいため、ニュートラルポジションが要求される可能性も低くニュートラルポジション認識時間を長く設定し、低車速や停止状態においては変速機による動力伝達状態の変化が要求されやすいためニュートラルポジションの認識時間を短く設定しておきニュートラルポジションであることの認識を容易に行なわせるようにすることができる。
【0120】
<その他の実施の形態>
以下、上述した実施の形態を組合せた実施の形態について説明する。
【0121】
たとえば、第6の実施の形態として、第4の実施の形態と第5の実施の形態を組合せるようにしてもよい。すなわち、ニュートラルポジション位置経由前のポジション位置がブレーキポジション位置であるか否かによりニュートラルポジションの認識時間を変更することともに、車速に基づいてニュートラルポジションの認識時間を変更するようにして、ニュートラルポジションの認識を制御する。
【0122】
また、第7の実施の形態として、第3の実施の形態から第5の実施の形態に係るシフト操作システムを第2の実施の形態において説明したシフト切替装置1101(図9)に適用するようにしてもよい。
【0123】
さらに、上述した第1の実施の形態に係るシフト操作システムから第7の実施の形態に係るシフト操作システムの任意の組合せによるシフト操作システムを実現するようにしてもよい。ただし、相反する条件を含む組合せは認められない。
【0124】
さらに、ニュートラルポジション認識時間を予め定められた条件を満足すると変更するようにするのではなく、予め定められた条件のときには、ニュートラルポジションを認識させない(ニュートラルポジションの認識を禁止する)ようにしてもよい。
【0125】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図である。
【図2】 図1のシフト切替装置のシフトレバー操作方向を示す図(その1)である。
【図3】 図1のシフト切替装置のシフトレバー操作方向を示す図(その2)である。
【図4】 図1のシフト切替装置のシフトレバー操作方向を示す図(その3)である。
【図5】 図1のシフト切替装置のシフトレバー操作方向を示す図(その4)である。
【図6】 図1のシフト表示装置を示す図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係るシフト操作システムにおける、ニュートラルポジション位置経由前の状態とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップを示す図である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態に係るシフト操作システムで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】 本発明の第2の実施の形態に係るシフト切替装置のシフトレバー操作方向を示す図である。
【図10】 本発明の第3の実施の形態に係るシフト操作システムの制御ブロック図である。
【図11】 本発明の第3の実施の形態に係るシフト操作システムにおける、シフト切替装置の雰囲気温度とニュートラルポジション位置の経由時間との関係と示す図である。
【図12】 本発明の第3の実施の形態に係るシフト操作システムにおける、温度とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップを示す図である。
【図13】 本発明の第4の実施の形態に係るシフト操作システムにおける、ニュートラルポジション位置経由前の状態とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップを示す図である。
【図14】 本発明の第4の実施の形態に係るシフト操作システムで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図15】 本発明の第5の実施の形態に係るシフト操作システムが搭載された車両の走行状態とニュートラルポジション認識時間との関係を表わすマップを示す図である。
【図16】 本発明の第5の実施の形態に係るシフト操作システムで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100,102 シフト操作システム、1000 シフトコントロールECU、1100 シフト切替装置、1200 シフト表示装置、1300 シフト切替装置温度推定部、2000 ECT_ECU、2100 自動変速機、3000 車両情報検知部。

Claims (5)

  1. 変速機のシフト操作装置であって、複数のシフト位置に到達する経路と、運転者により前記経路を移動するように操作されるモーメンタリ式の可動部とを備え、前記可動部は、運転者による非操作時には予め定められた中立位置に保持され、前記シフト操作装置は、
    前記可動部が前記シフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、
    前記認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、前記変速機に対する制御信号を出力するための出力手段とを含み、
    前記経路は、前記中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、前記中立位置と前記第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置とを備え、前記第1のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が第1の状態に設定され、前記第2のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が前記第1の状態とは異なる第2の状態に設定され、前記シフト操作装置はさらに、
    前記経路における前記可動部の移動方向に応じて、前記認識時間を設定するための設定手段を含み、
    前記設定手段は、前記可動部が前記中立位置から前記第1のシフト位置への方向へ移動する第1の移動方向の場合と、前記可動部が前記第1のシフト位置から前記中立位置への方向へ移動する第2の移動方向の場合とで、前記第1の移動方向の場合の方が、第2の移動方向の場合よりも、前記第2のシフト位置を認識するための認識時間を短くなるように設定するための手段を含む、変速機のシフト操作装置。
  2. 変速機のシフト操作装置であって、複数のシフト位置に到達する経路と、運転者により前記経路を移動するように操作されるモーメンタリ式の可動部とを備え、前記可動部は、運転者による非操作時には予め定められた中立位置に保持され、前記シフト操作装置は、
    前記可動部が前記シフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、
    前記認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、前記変速機に対する制御信号を出力するための出力手段と、
    前記シフト操作装置の温度状態を検知するための検知手段とを含み、
    前記経路は、前記中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、前記中立位置と前記第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置とを備え、前記第1のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が第1の状態に設定され、前記第2のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が前記第1の状態とは異なる第2の状態に設定され、前記シフト操作装置はさらに、
    前記温度状態に応じて、前記第2のシフト位置の認識時間を変更するための変更手段を含み、
    前記変更手段は、温度が低いと前記第2のシフト位置の認識時間が長くなるように変更するための手段を含む、変速機のシフト操作装置。
  3. 変速機のシフト操作装置であって、複数のシフト位置に到達する経路と、運転者により前記経路を移動するように操作されるモーメンタリ式の可動部とを備え、前記可動部は、運転者による非操作時には予め定められた中立位置に保持され、前記シフト操作装置は、
    前記可動部が前記シフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、
    前記認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、前記変速機に対する制御信号を出力するための出力手段とを含み、
    前記経路は、前記中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、前記中立位置と前記第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである第3のシフト位置とを備え、前記第1のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が前進走行状態に設定され、前記第2のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態がニュートラル状態に設定され、前記第3のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が前進走行状態であってエンジンブレーキ作動状態に設定され、前記シフト操作装置はさらに、
    前記第3のシフト位置が設定されている場合と、前記第3のシフト位置が設定されていない場合とで、前記第2のシフト位置を認識するための認識時間が異なるように設定するための設定手段を含み、
    前記設定手段は、前記第3のシフト位置が設定されている場合の方が、前記第3のシフト位置が設定されていない場合よりも、前記第2のシフト位置を認識するための認識時間を長く設定するための手段を含む、変速機のシフト操作装置。
  4. 変速機のシフト操作装置であって、複数のシフト位置に到達する経路と、運転者により前記経路を移動するように操作されるモーメンタリ式の可動部とを備え、前記可動部は、運転者による非操作時には予め定められた中立位置に保持され、前記シフト操作装置は、
    前記可動部が前記シフト位置に予め定められた認識時間の間保持されることにより、運転者が要求するシフト位置を認識するための認識手段と、
    前記認識されたシフト位置に対応する動力伝達状態になるように、前記変速機に対する制御信号を出力するための出力手段と、
    前記シフト操作装置が搭載された車両の車速を検知するための検知手段とを含み、
    前記経路は、前記中立位置と、複数のシフト位置の1つである第1のシフト位置と、複数のシフト位置の1つである、前記中立位置と前記第1シフト位置との間に設けられた第2のシフト位置とを備え、前記第1のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態が前進走行状態に設定され、前記第2のシフト位置にあると認識されると前記変速機による動力伝達状態がニュートラル状態に設定され、前記シフト操作装置はさらに、
    前記車速に応じて、前記第2のシフト位置の認識時間を変更するための変更手段を含み、
    前記変更手段は、車速が低いと前記第2のシフト位置であることを認識する認識時間が短くなるように変更するための手段を含む、変速機のシフト操作装置。
  5. 前記第1の状態は前進走行状態であって、前記第2の状態はニュートラル状態である、請求項1または2に記載の変速機のシフト操作装置。
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