JP2001221338A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP2001221338A
JP2001221338A JP2000028283A JP2000028283A JP2001221338A JP 2001221338 A JP2001221338 A JP 2001221338A JP 2000028283 A JP2000028283 A JP 2000028283A JP 2000028283 A JP2000028283 A JP 2000028283A JP 2001221338 A JP2001221338 A JP 2001221338A
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Atsushi Tabata
淳 田端
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手動変速操作の操作性を損なうことなく、手
動変速モードへの切り換え時の変速比の下限値を設定す
ることのできる変速制御装置を提供する。 【解決手段】 変速比を運転状態に基づいて設定する自
動変速モードと、その自動変速モードで設定される変速
比の範囲の下限値を手動操作に基づいて設定する手動変
速モードとに切り換える変速モード切換手段と、前記手
動変速モードにおいて前記下限値を変更して変速比幅を
任意に設定する下限値変更手段とを備えた無段変速機の
変速制御装置において、前記自動変速モードから手動変
速モードに切り換えられた時点の前記下限値の初期値
を、前記自動変速モードで設定可能な最低変速比よりも
大きい値の変速比に設定する初期値設定手段(ステップ
S4)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両などで使用
される無段変速機の変速制御装置に関し、特に変速比を
手動操作によって変更することが可能な無段変速機の変
速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は、入力部材と出力部材との
間に設けられている伝動機構の状態を変化させることに
より、これら入力部材と出力部材との回転数の比率を連
続的に、すなわち無段階に変更できるように構成された
動力伝達装置であり、ベルト式無段変速機やトロイダル
式無段変速機などが従来知られている。この種の無段変
速機を搭載した車両では、走行中に変速比を適宜に変更
することにより、無段変速機の入力側の回転数すなわち
エンジン回転数を燃費が最小となる回転数に設定できる
ので、車両の燃費を向上させることができる。
【0003】燃費を重視した無段変速機の制御は、要求
駆動力や車速などの車両の運転状態に基づいて自動的に
実行することになるが、その制御は飽くまでも燃費を重
視した制御となるので、必ずしも運転者の意図した加速
力や制動力を得ることができない。そこで、変速比の制
御の自由度を高めて意図した加速力や制動力を得るため
に、手動操作に基づいて無段変速機の変速比を変更する
ように構成した制御装置が、従来、開発されている。そ
の一例が特開昭61−115733号公報に記載されて
いる。この公報に記載された装置は、シフトレバーの操
作ストロークをポテンショメータで検出し、そのシフト
レバーのハイポジション側からローポジション側へのス
トローク量が多いほど、無段変速機による最小トルク比
を大きく設定するように構成されている。ここで、トル
ク比は、無段変速機の変速比に相当する比率もしくは変
速比に応じて増減する比率である。したがって上記の公
報に記載された装置では、変速比を走行状態に基づいて
自動的に設定するDレンジと変速比を手動操作によって
設定するMレンジとを選択できることに加えて、Mレン
ジでは変速比の下限値を任意に設定できるように構成さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動変速モ
ードであるDポジションと手動変速モードであるMポジ
ションとを切り換えるための操作系と、変速レンジを選
択するための操作系とを備えた自動変速機が近年知られ
ている。この種の自動変速機では、手動変速モードを選
択した後に、手動操作によって変速レンジを選択した場
合にはじめて、Dレンジから選択された変速レンジへと
切り換えることがおこなわれている。しかしながら、こ
うした変速比の範囲の切り換えを上記の無段変速機に適
用するとすれば、無段変速機では選択できる変速比が連
続していて極めて多数であることから、実用の点で以下
に述べる不都合が生じる。
【0005】すなわち、手動変速モードは、前述したよ
うに自動変速モードでは得られない駆動力や制動力を人
為的に設定するために選択される変速モードであるか
ら、手動変速モードを選択した時点において直ちに自動
変速モードとは異なる動力性能を達成できることが望ま
しい。しかしながら、上記の変速比の範囲の切り換えに
あっては、自動変速モードであるDポジションから手動
変速モードであるMポジションに切り換えた時点では、
自動変速モードでの最低変速比(最も高速側の変速比)
が車両の走行状態もしくは運転状態に基づいて設定され
ることがあり、そのため、手動変速モードに切り換えた
にも関わらず、意図した動力性能が得られない可能性が
ある。例えば登坂時においては、車速の増大に伴うアッ
プシフトとその後の駆動力の不足によるダウンシフトと
が繰り返し生じる頻繁な変速を防止するために、車速が
ある程度上昇してもアップシフトを抑制することが望ま
れるが、上記のようにMポジションに切り換えただけで
自動変速モードでの最低変速比までアップシフト可能で
あれば、登坂時に頻繁に変速比が増減し、ドライバビリ
ティが悪化する可能性がある。また、同様に、降坂時に
は、エンジンブレーキ(駆動力源ブレーキ)を効かせる
ために、所定の大きい変速比に維持することが望まれる
が、上記のようにMポジションに切り換えただけで自動
変速モードでの最低変速比までアップシフト可能であれ
ば、Mポジションに切り換えることによって直ちにエン
ジンブレーキを効かせることができず、Mポジションへ
の切り換えと同時に更に、最低変速比を増大させるシフ
ト操作が必須となり、変速操作性やドライバビリティが
悪化する可能性がある。
【0006】この発明は上記の技術的課題に着目してな
されたものであり、手動変速操作の操作性を損なうこと
なく、手動変速モードへの切り換え時の変速比の下限値
を設定することのできる変速制御装置を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、この発明は、自動変速モードから
手動変速モードの切り換えた時点に設定される変速比幅
が、自動変速モードで設定されている変速比幅よりも低
速用変速比の幅となるように変速比の下限値を設定する
よう構成されていることを特徴とするものである。より
具体的には、請求項1の発明は、変速比を運転状態に基
づいて設定する自動変速モードと、その自動変速モード
で設定される変速比の範囲の下限値を手動操作に基づい
て設定する手動変速モードとに切り換える変速モード切
換手段と、前記手動変速モードにおいて前記下限値を変
更して変速比幅を任意に設定する下限値変更手段とを備
えた無段変速機の変速制御装置において、前記自動変速
モードから手動変速モードに切り換えられた時点の前記
下限値の初期値を、前記自動変速モードで設定可能な最
低変速比よりも大きい値の変速比に設定する初期値設定
手段を備えていることを特徴とする変速制御装置であ
る。
【0008】したがって、請求項1の発明では、自動変
速モードから手動変速モードに切り換えることにより、
設定可能な変速比の下限値すなわち最も大きい値の変速
比が、自動変速モードで自動的に設定される変速比下限
値より大きくなる。そのため、車速の増大や駆動力源負
荷の低下などによる、変速比を低下させる要因が生じて
も、自動変速モードによるほどには変速比が低下しない
ので、意図した駆動性能を得ることができる。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
における前記初期値設定手段が、前記初期値を、前記自
動変速モードから手動変速モードへの切換直前の自動変
速モードで設定されていた変速比に応じた値の変速比に
設定するように構成されていることを特徴とする変速制
御装置である。
【0010】したがって請求項2の発明では、自動変速
モードから手動変速モードに切り換えることにより、変
速比を増大させ、もしくは変速比の低下を抑制できるの
で、手動変速モードでの変速操作を特におこなわなくて
も意図した駆動力や制動力を得ることができ、手動変速
操作の操作性が更に向上する。
【0011】請求項3の発明は、請求項2の発明におけ
る前記初期値設定手段が、前記初期値を、前記自動変速
モードから手動変速モードへの切換直前の自動変速モー
ドで設定されていた変速比に設定するように構成されて
いることを特徴とする変速制御装置である。
【0012】したがって請求項3の発明では、自動変速
モードから手動変速モードに切り換えることにより、そ
の切り換え操作の直前の変速比が、最低変速比として設
定され、その変速比より小さい値の変速比にアップシフ
トすることがないので、駆動力や制動力の低下が抑制さ
れ、意図した駆動性能が得られる。
【0013】請求項4の発明は、請求項2の発明におけ
る前記初期値設定手段が、前記初期値を、前記自動変速
モードから手動変速モードへの切換直前の自動変速モー
ドで設定されていた変速比より大きい値の変速比に設定
するように構成されていることを特徴とする変速制御装
置である。
【0014】したがって請求項4の発明では、自動変速
モードから手動変速モードに切り換えた場合、その切り
換え直前の変速比より大きい値の変速比を下限値とした
変速比幅が設定されるので、制動力あるいは駆動力が増
大し、自動変速モードから手動変速モードに切り換える
意図に即した駆動性能を得ることができ、さらには自動
変速モードから手動変速モードに切り換える操作に加え
て変速操作する必要性が低減され、手動変速操作の操作
性が向上する。
【0015】また、請求項5の発明は、上記の請求項1
ないし4のいずれかの発明における前記下限値変更手段
が、前記下限値を変更する手動操作の継続時間に応じて
下限値を変更するように構成されていることを特徴とす
る変速制御装置である。
【0016】したがって請求項5の発明では、単一の操
作を継続しているだけで前記下限値を連続的に変更で
き、同一操作を繰り返す必要がないので、手動変速操作
の操作性が向上し、また手動変速モードでの変速比を段
階的すなわちステップ的に変化させるように構成されて
いる場合には、単一操作を継続することにより下限値が
変化して、段階的に設定される変速比で構成される変速
比幅が変更されるので、手動変速操作の操作性が向上す
る。
【0017】さらに、請求項6の発明は、上記の請求項
1ないし5のいずれかの発明において、前記手動操作に
基づく前記下限値の変更を所定の禁止条件の成立に基づ
いて禁止した場合に、前記下限値を変更する手動操作が
再度実行されたことが判断されるまで、前記下限値の変
更を禁止する禁止手段を更に備えていることを特徴とす
る変速制御装置である。
【0018】したがって請求項6の発明では、手動操作
による前記下限値の変更が一旦禁止されると、下限値を
変更する手動操作が新たに実行されるまでは、変速比の
下限値が変更されないので、変速比の下限値が不意に変
更されることが防止され、違和感を回避することができ
る。
【0019】そして、請求項7の発明は、請求項1ない
し6のいずれかの発明において、前記下限値を変更する
ための互いに異なる複数の手動操作が同時に実行された
ことが判断された場合に、それらの複数の手動操作が解
除されたことが判断されるまで前記下限値を、前記複数
の手動操作が同時に実行されたことが判断される直前の
値に固定する固定手段を更に備えていることを特徴とす
る変速制御装置である。
【0020】したがって請求項7の発明では、前記下限
値を変更する複数の手動操作が同時におこなわれた場合
には、変速比の下限値が直前の値に固定されて、それら
の手動操作に基づく前記下限値の変更が実行されないの
で、下限値を変更する複数の同時操作が誤操作であるこ
とを運転者が認識することができ、また何らかの故障に
より下限値を変更する複数の手動操作が同時におこなわ
れていると判断されている場合には、その故障が生じて
いる限り、変速比の下限値が直前の値に固定されるの
で、故障などによる変速が防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。先ずこの発明が対象とする車両の動力伝達
系統の一例を説明すると、図7において、動力源1が変
速機構2に連結され、その変速機構2の出力軸3がディ
ファレンシャル4を介して左右の駆動輪5に連結されて
いる。ここで、動力源1は、ガソリンエンジンやディー
ゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータなどの電動
機、さらにはこれら内燃機関と電動機とを組み合わせた
装置など、車両に使用可能な種々の動力源を含む。以下
の説明では、動力源1として、スロットル開度を電気的
に制御する電子スロットルバルブを備え、かつ燃料をシ
リンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミン
グを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能ない
わゆる直噴ガソリンエンジンを採用した例を説明する。
【0022】このエンジン1は電気的に制御できるよう
に構成されており、その制御のためのマイクロコンピュ
ータを主体とする電子制御装置(E−ECU)6が設け
られている。この電子制御装置6は、少なくともエンジ
ン1の出力を制御するように構成されており、その制御
のためのデータとして出力軸回転数(エンジン回転数)
NE とアクセル開度θなどの要求駆動量とが入力されて
いる。
【0023】この要求駆動量は、要は、エンジン1の出
力の増大・減少のための信号であり、運転者が操作する
アクセルペダルなどの加減速操作装置7の操作量信号や
その操作量を電気的に処理して得た信号を採用すること
ができ、またそれ以外に、電子スロットルバルブの開度
制御信号や、車速を設定車速に維持するためのクルーズ
コントロールシステム(図示せず)などからの要求駆動
量信号を含む。
【0024】また、変速機構2は、流体伝動機構8と、
歯車変速機構9と、無段変速機(CVT)10とから構
成されている。その流体伝動機構8は、要は、オイルな
どの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間で
トルクを伝達するように構成された装置であって、一例
として、一般の車両に採用されているトルクコンバータ
を挙げることができる。また、この流体伝動機構8は、
直結クラッチ11を備えている。すなわち直結クラッチ
11は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの
機械的手段で直接連結するように構成されたクラッチで
あって、緩衝をおこなうためのコイルスプリングなどの
弾性体からなるダンパー12を備えている。
【0025】その流体伝動機構8の入力部材がエンジン
1の出力部材に連結され、また流体伝動機構8の出力部
材が歯車変速機構9の入力部材に連結されている。この
歯車変速機構9は、複数の歯車を有し、それらの歯車に
よって形成されるトルクの伝達経路を変更することによ
り、入力部材と出力部材との回転数の比率すなわち変速
比を適宜に変更し、また出力部材を入力部材に対して反
対方向に回転させるように構成されている。この歯車変
速機構9として、例えば、シングルピニオン型遊星歯車
機構やダブルピニオン型遊星歯車機構もしくはラビニョ
型遊星歯車機構を用いた機構、あるいは常時噛み合って
いる複数対のギヤ対を同期連結機構(シンクロナイザ
ー)によって選択的に出力部材や入力部材に連結するよ
うに構成された機構などを採用することができる。
【0026】なお、この歯車変速機構9は、次ぎに説明
する無段変速機10で設定できる変速比の幅が小さいこ
と、および無段変速機10ではその出力部材を入力部材
に対して反対方向に回転させるいわゆる後進機能がない
ことを補うために設けられている。したがって無段変速
機10で設定可能な変速比が、車両に対する要求を満た
す場合には、歯車変速機構9として後進機能のみを備え
た機構を採用してもよい。
【0027】図7に示してある無段変速機10は、その
入力部材の回転数と出力部材の回転数との比率すなわち
変速比を無段階に(連続的に)変化させることのできる
機構であり、前述したベルト式無段変速機やトロイダル
式無段変速機などを採用することができる。
【0028】上記の変速機構2における直結クラッチ1
1の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制
御および歯車変速機構9での変速比の制御ならびに無段
変速機10での変速比の制御は、基本的には、車両の走
行状態に基づいて制御されるようになっている。その制
御のためにマイクロコンピュータを主体として構成され
た電子制御装置(T−ECU)13が設けられている。
【0029】この電子制御装置13は、前述したエンジ
ン用の電子制御装置6とデータ通信可能に連結される一
方、制御のためにデータとして車速Vや変速機構2の出
力回転数No などのデータが入力されている。また、変
速機構2を停止状態(パーキング:P)、後進状態(リ
バース:R)、中立状態(ニュートラル:N)、車両の
走行状態に応じて変速比を自動的に設定する自動前進状
態(ドライブ:D)すなわち自動変速モード、変速状態
を手動操作で設定可能な手動状態(マニュアル:M)す
なわち手動変速モードの各状態を選択するシフト装置1
4が設けられており、このシフト装置14が電子制御装
置13に電気的に連結されている。また、シフト装置1
4によって手動変速モードを選択した場合には、変速比
幅(変速レンジ)を適宜に設定することができるように
構成されており、その変速レンジを選択するレンジ選択
機構15が設けられている。
【0030】シフト装置14は、運転席の近傍のフロア
ーやインストルメントパネルあるいはステアリングコラ
ムに設けられたシフトレバーもしくはシフトアームもし
くはダイヤルさらにはスティックなどの手動操作部材
(それぞれ図示せず)によって上述した各変速状態を選
択し、かつその選択された各変速状態に応じた信号を出
力するように構成されている。その一例を挙げると、シ
フトレバーによって上記の各変速状態を選択するように
構成された装置が一般的であり、そのシフト装置におけ
るシフトポジションの配列の一例を図8に示してある。
【0031】図8におけるP,R,N,Dの各符号は、
パーキングポジジョン、リバースポジション、ニュート
ラルポジション、ドライブポジションのそれぞれを示し
ており、これらの各ポジションが直線的に配列され、図
示しないシフトレバーを直線的に移動させることによ
り、これらの各シフトポジションを選択できるようにな
っている。これらの各ポジションの配列方向に対して直
交する方向に、ドライブポジションから屈曲した位置に
マニュアル(M)ポジションが設けられている。このマ
ニュアルポジションにはスイッチSM が設けられてお
り、シフトレバーをこのマニュアルポジションに移動さ
せることによりそのスイッチSM がオン動作させられ、
手動変速モードが選択されたことを示す信号を出力する
ようになっている。
【0032】このマニュアルポジションを挟んで、前記
パーキングないしドライブの各ポジションの配列方向と
平行な方向に、アップポジション(+)とダウンポジシ
ョン(−)とが設けられている。これらのアップポジシ
ョンとダウンポジションとのそれぞれには、シフトレバ
ーによってオン動作させられるスイッチSU ,SD が設
けられており、そのアップスイッチSU は、オン動作さ
せられることにより、設定可能な変速比の下限値すなわ
ち高速側の変速比の限界値を低下させて変速比幅を増大
させる信号を出力し、またダウンスイッチSD は、これ
とは反対に、オン動作させられることにより、設定可能
な変速比の下限値すなわち高速側の変速比の限界値を増
大させて変速比幅を減少させる信号を出力するように構
成されている。したがってこれらのアップスイッチSU
およびダウンスイッチSD が、レンジ選択機構15を構
成している。
【0033】そのアップスイッチSU と同等の機能を備
えた第2のアップスイッチSU2と、ダウンスイッチSD
と同等の機能を備えた第2のダウンスイッチSD2とが、
図9に示すように、ステアリングホイール16に設けら
れ、前記レンジ選択機構15を構成している。より具体
的には、ステアリングホイール16の左右のハブに相当
する部分の表面側に第2のダウンスイッチSD2が配置さ
れ、その反対側すなわち裏面側に第2のアップスイッチ
SU2が配置され、これらのスイッチSU2,SD2を運転者
が指によってオン動作させ得るように構成されている。
これらのアップスイッチSU ,SU2およびダウンスイッ
チSD ,SD2は、オン動作させられている間、信号を出
力し続け、そのオン動作の期間の長さに応じて変速比の
下限値の変化量を決めるようになっている。なお、これ
らのスイッチSU ,SU2,SD ,SD2が信号を出力する
のは、手動変速モードが選択されている状態に限られ、
したがって前記マニュアルポジションに配置されている
スイッチSM が、アップスイッチSU ,SU2およびダウ
ンスイッチSD ,SD2を有効化するスイッチとなってい
る。
【0034】また、上記の無段変速機10および電子制
御装置13は、変速比幅を決める変速比の下限値を手動
操作によって変更する速度を所定の範囲で任意に設定で
きるように構成されており、そのための変速比変化速度
調整機構17が前記電子制御装置13に電気的に接続し
て設けられている。この変速比変化速度調整機構17
は、例えば図10に示すように、スライドノブ18の移
動位置に応じた信号を出力するポテンショメータに類似
する機構によって構成されている。したがって変速比の
変化速度を速くした場合には、前記のアップスイッチS
U ,SU2もしくはダウンスイッチSD ,SD2を操作して
いる継続時間が短くても変速比の下限値が大きく変化
し、また反対に変速比の変化速度を遅くした場合に、前
記のアップスイッチSU ,SU2もしくはダウンスイッチ
SD ,SD2を操作している継続時間が長くても変速比の
下限値の変化量が小さくなる。
【0035】ここで、上記の無段変速機10で設定され
る変速比幅(変速レンジ)について簡単に説明する。ベ
ルト式無段変速機においては、ベルトを巻き掛けてある
入力側および出力側のプーリの溝幅を機構上定まる範囲
で増減でき、したがってその範囲で変速比を変化させる
ことができる。またトロイダル式の無段変速機において
は、入力側のディスクと出力側のディスクとの間に挟ま
れたパワーローラの傾動角度が機構上、所定の範囲に制
限され、それに伴って各ディスクのパワーローラとの接
触位置の半径が、機構上、所定の範囲に制限され、した
がってその範囲で変速比を変化させることができる。こ
れを車速Vと無段変速機10の入力回転数NINとの関係
で示せば図11のとおりである。
【0036】図11において、γmax で示す線が、最も
低速側の変速比すなわち機構上定まる変速比の上限値お
よびそれに伴う入力回転数NINの上限値を示し、またγ
minで示す線が、最も高速側の変速比すなわち機構上定
まる変速比の下限値およびそれに伴う入力回転数NINの
下限値を示している。また、図11における下側の水平
な線は、エンジン1のアイドリング状態での入力回転数
NINを示し、また上側の水平な線は、エンジン1の上限
回転数で規定される入力回転数NINを示している。した
がって、無段変速機10での変速比は、機構上規定され
る上記の上限変速比γmax と下限変速比γmin との間で
変化させることができる。そしてその制御は、各車速ご
とに、最適燃費線などに基づいて決定される入力回転数
(エンジン回転数)となるように、プーリの溝幅やパワ
ーローラの傾斜角度を調整することによりおこなわれ
る。
【0037】手動変速モードでは、機構上定まる変速比
幅すなわち上記のγmax とγmin とを限界値とした変速
比の幅のうちで、高速側の変速比である下限値が、手動
操作に基づいて選択される。すなわち例えば図11に破
線で示すように変速比の下限値が変更される。したがっ
てその場合には、無段変速機10の入力回転数NINが図
11の破線で示す回転数以下とならないように、プーリ
の溝幅やパワーローラの傾斜角度すなわち変速比が制御
される。
【0038】したがってこの発明に係る上記の無段変速
機の変速制御装置では、手動変速モードで上記のアップ
スイッチSU ,SU2あるいはダウンスイッチSD ,SD2
を操作することにより、変速比の下限値が大小に変化す
る。これは、高速側の変速比を制限し、低速側の変速比
を機構上決まる値に維持することによる変速比幅の変更
となる。そのため、例えばダウンスイッチSD ,SD2を
操作して変速比の下限値を大きくした場合には、車速が
増大したりアクセル開度などの要求駆動量が低下しても
変速比の低下が制限されて相対的に大きい変速比に設定
されるので、加速時には大きい駆動力を得ることがで
き、また減速時にはエンジンブレーキ力(動力源ブレー
キ力)が大きくなって制動性能が向上する。
【0039】このように手動変速モードでは、車両の走
行状態もしくは運転状態で決まる変速比の幅が、スイッ
チ操作によって変更され、それに伴って車両の走行性能
が変化する。したがってそのようにして変更された無段
変速機10の制御状態を運転者に告知するために、表示
装置19が設けられている。この表示装置19は前述し
た電子制御装置13によって制御されるように構成さ
れ、したがってその電子制御装置13に接続されてい
る。
【0040】図12はその表示装置19の一例を模式的
に示しており、手動変速モードで設定される変速比の下
限値を第1の表示部20に数値によってデジタル表示
し、また前記変速比変化速度調整機構17で設定された
変速比変化速度を第2の表示部21に矢印の長さによっ
て表示するようになっている。なお、図12において符
号22は、シフトレバーを模した形状のアイコンであ
る。これらの各表示部20,21,22は、手動変速モ
ードが選択されている場合にのみ点灯するように構成さ
れている。さらにこれらの表示部20,21,22は、
走行中における運転者の視線の移動が可及的に少なくな
る位置、例えばインストルメントパネルやメータパネル
などに設けられている。
【0041】この発明に係る変速制御装置ECUは、前
述した各電子制御装置6,13を統合した構成として表
すことができ、そしてその制御のための入力信号と出力
信号とをまとめて示せば、図13のとおりである。先
ず、入力信号の例を挙げれば、車両加速度センサからの
信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッシ
ョンスイッチからの信号、クランク位置信号、デフォッ
ガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速
信号、無段変速機(CVT)油温、シフトポジション、
サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキスイ
ッチアッパスイッチからの信号、フットブレーキスイッ
チロアスイッチからの信号、触媒(排気浄化触媒)温
度、アクセル開度、オートクルーズスイッチからの信
号、Mポジションスイッチからの信号、ダウン(−)ス
イッチからの信号、アップ(+)スイッチからの信号、
レーダクルーズスイッチからの信号、フューエルリッド
信号、入力回転数センサからの信号、スノーモードスイ
ッチからの信号などである。
【0042】また、出力信号の例を挙げると、点火信
号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータへの信号、減速
装置に対する信号、CVTソレノイドへの信号、CVT
ライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアク
チュエータへの信号、レンジインジケータへの信号、警
報音信号、電子スロットル弁への信号、スノーモードイ
ンジケータへの信号、可変バルブタイミング装置(VV
T)への信号、ステアシフトマチックインジケータへの
信号、変速比変化速度インジケータへの信号などであ
る。ここでスノーモードとは、発進時のタイヤスリップ
を防止するために駆動トルクを低下させるべく変速比を
ある程度小さい値に制限する変速モードである。
【0043】上述したようにこの発明に係る変速制御装
置では、シフト装置14で選択する変速モードを自動変
速モードから手動変速モードに切り換えると、すなわち
シフトレバーなどの操作部材をDポジションからMポジ
ションに移動させると、前記アップおよびダウンの各ス
イッチSU ,SU2,SD ,SD2が動作可能な状態(アク
ティブ状態)になり、これらのスイッチSU ,SU2,S
D ,SD2を手動でオン操作することにより、変速比幅の
下限値を変更することが可能になる。その変速モードの
切り換え操作時の変速比の下限値を設定する制御は、図
1に示すようにして実行される。
【0044】図1はその制御ルーチンの一例を示してお
り、この制御ルーチンは、所定時間ごとに繰り返し実行
される。そして、先ず、入力信号の読み込みなどの処理
がおこなわれ(ステップS1)、ついで、図8に示すD
ポジションが選択されているか否かが判断される(ステ
ップS2)。これは、例えばシフトレバーをDポジショ
ンに移動させることによりシフト装置14から出力され
る信号に基づいて判断することができる。Dポジション
が選択されていないことによりステップS2で否定的に
判断された場合には、DポジションからMポジションに
切り換えられたか否かが判断される(ステップS3)。
すなわち自動変速モードから手動変速モードへの切り替
えが実行されたか否かが、シフト装置14から出力され
る信号に基づいて判断される。
【0045】自動変速モードから手動変速モードへの手
動による切換操作が実行されてステップS3で肯定的に
判断された場合、手動変速モードでの変速比下限値(下
限変速比)の初期値が設定される(ステップS4)。こ
の初期値とは、変速モードが自動から手動に切り換えら
れて前述したアップおよびダウンの各スイッチSU ,S
U2,SD ,SD2がアクティブになるものの、これらのス
イッチSU ,SU2,SD ,SD2が未だオン操作されてい
ない状態で設定される変速比の下限値であり、その時点
で、車両の走行状態あるいは運転状態に基づいて実際に
無段変速機10で設定される変速比の変化幅が、自動変
速モードにおける変速比幅より狭くなり、かつ低車速側
(相対的に大きい値)となる。
【0046】その例を図に基づいて説明すると、図2は
自動変速モードで設定される変速比幅と手動変速モード
で設定される変速比幅を説明するための模式図であっ
て、γmax は前述した図11について述べたように機構
上設定可能な最も大きい変速比(最低速側の変速比)を
示し、またγmin は機構上設定可能な最も小さい変速比
(最高速側の変速比)を示しており、さらにγdmは自動
変速モードから手動変速モードへの切換操作の直前に、
無段変速機10で実際に設定されていた変速比を示して
いる。この図2の(A)に示す変速比幅はDポジション
変速比範囲すなわち自動変速モードでの変速比幅であ
り、機構上許容できる最大値γmax と最小値γmin との
範囲で、車両の走行状態もしくは運転状態に基づいて変
速比が設定可能である。これに対してMポジションでの
変速比幅すなわち手動変速モードでの変速比の幅の第1
の例は、図2の(B)に示すように、変速比の下限値の
初期値γmi1 を、自動変速モードでの変速比幅に対して
所定値Δγ1 、増大させ、自動変速モードでの変速比幅
に対して低速側(ダウンシフト側)に変速比幅を減少さ
せた例である。
【0047】手動変速モードでの変速比制御では、上述
のようにして決められた変速比幅の中で変速比を制御す
る。このような制御は、変速制御装置に予め記憶させて
おいた自動変速モード用の変速マップもしくは手動変速
モード用の変速マップに基づき設定される変速比を前述
した変速比の下限値により制限することによりおこなわ
れる。したがって、この第1の例では、自動変速モード
から手動変速モードに切り換えた時点で設定されている
変速比γdmが、手動変速モードでの初期の変速比幅の中
に入っているので、手動変速モードに切り換えることに
よって直ちに変速(ダウンシフト)が生じることはない
が、車速が増大したり、アクセル開度などの要求駆動量
が低下したりしても、自動変速モードでの下限値γmin
に対して増大させられた下限値の初期値γmi1 までしか
変速比が低下しない。すなわち設定可能な変速比の下限
値が、自動変速モードでの下限値に対して増大させられ
るので、例えば減速走行している場合には動力源制動力
(エンジンブレーキ力)を大きくすることができる。こ
れは、自動変速モードから手動変速モードへの切換操作
によって得られるから、変速操作の操作性が良好にな
る。
【0048】なお、手動変速モードに切り換えることに
よって前述したアップスイッチSU,SU2およびダウン
スイッチSD ,SD2が有効化されるので、これらのスイ
ッチSU ,SU2,SD ,SD2をオン操作することによ
り、変速比の下限値が、変更される。すなわち変速比幅
を増減することができる。
【0049】自動変速モードから手動変速モードに切り
換えた際に設定される変速比の下限値の初期値を設定す
るための他の例は、その切り換え時点(切換操作の直
前)に設定されていた変速比γdmに応じて初期値を設定
する例である。図2の(C)はその一例を示しており、
自動変速モードから手動変速モードに切り換えた時点の
変速比γdmを手動変速モードでの変速比下限値の初期値
γmi2 とする例である。すなわちその初期値γmi2 を下
限値としてそれより大きい変速比が設定可能となる。
【0050】この第2の例では、自動変速モードから手
動変速モードに切り換えた時点で設定されていた変速比
γdmが、手動変速モードでの初期の変速比幅の下限値γ
mi2となるので、手動変速モードに切り換えることによ
って直ちに変速(ダウンシフト)が生じることはない
が、車速が増大したり、アクセル開度などの要求駆動量
が低下したりしても、自動変速モードでの下限値γmin
に対して増大させられた下限値の初期値γmi2 に変速比
が維持される。すなわち設定可能な変速比の下限値が、
自動変速モードでの下限値に対して増大させられるの
で、例えば減速走行している場合には動力源制動力(エ
ンジンブレーキ力)を大きくすることができる。また、
例えば登坂時に車速が増大してもアップシフトが生じな
いので、駆動力を維持することができる。このような作
用は、自動変速モードから手動変速モードへの切換操作
によって得られるから、変速操作の操作性が良好にな
る。なお、手動変速モードへの切り換えの後に、前述し
たアップスイッチSU ,SU2あるいはダウンスイッチS
D ,SD2をオン操作して変速比の下限値を変更できるこ
とは、上記の例と同様である。
【0051】さらに、手動変速モードへの切り換え時点
の変速比γdmに応じて手動変速モードでの下限値初期値
を設定する他の例は、ダウンシフトを生じさせる例であ
る。これを図2の(D)に示してある。すなわち自動変
速モードから手動変速モードに切換操作してスイッチS
M が信号を出力した際に、その時点に設定されていた変
速比γdmに対して所定値Δγ2 、増大させた変速比γmi
3 が、手動変速モードでの変速比下限値の初期値として
設定される。したがってその時点での車両の走行状態あ
るいは運転状態に基づいて設定可能な変速比は、その初
期値γmi3 から機構上可能な最大値γmax までの範囲の
変速比である。
【0052】この第3の例では、自動変速モードから手
動変速モードに切り換えた時点で設定されている変速比
γdmに対して所定値Δγ2 だけ大きい変速比が、手動変
速モードでの初期の変速比幅の下限値γmi3 となるの
で、手動変速モードに切り換えることによって直ちに変
速(ダウンシフト)が生じる。したがって、自動変速モ
ードから手動変速モードに切り換えることによって直ち
に変速比が大きくなるから、例えば減速時の動力源制動
力(エンジンブレーキ力)や登坂時の駆動力が増大し、
要求する動力性能が達成される。このような作用は、自
動変速モードから手動変速モードへの切換操作によって
得られるから、変速操作の操作性が良好になる。なお、
手動変速モードへの切り換えの後に、前述したアップス
イッチSU,SU2あるいはダウンスイッチSD ,SD2を
オン操作して変速比の下限値を変更できることは、上記
の各例と同様である。
【0053】図1に示すステップS4では、これら図2
の(B)ないし(D)に示すいずれかの変速比幅の設定
すなわち変速比下限値の設定がおこなわれる。その状態
で走行している場合、図1に示すルーチンを再度実行す
ることにより、ステップS2およびステップS3のいず
れでも否定的に判断され、ステップS5に進んでMポジ
ションすなわち手動変速モードが選択されているか否か
が判断される。このステップS5で否定的に判断された
場合、すなわちパーキングあるいはリバースもしくはニ
ュートラルのいずれかのポジションが選択されている場
合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜
ける。また反対にMポジションが選択されていてステッ
プS5で肯定的に判断された場合には、Mポジション制
御が実施される(ステップS6)。このMポジション制
御は、レンジ切換機構15を構成しているアップスイッ
チSU ,SU2あるいはダウンスイッチSD ,SD2が手動
操作されたことに伴う出力信号によって変速比の下限値
を変更する制御である。具体的には後述する。
【0054】一方、Dポジションが選択されて自動変速
モードとなっていることによりステップS2で肯定的に
判断された場合に、Dポジション制御が実施される(ス
テップS7)。すなわち、自動変速モード用の変速マッ
プに基づき、機構上許容される最大変速比γmax と最小
変速比γmin とを限界値とした変速比幅の中で、車速や
アクセル開度などの車両の走行状態(運転状態)に応じ
て所定の変速比が設定される。したがってこの自動変速
モードでの変速比制御(Dポジション制御)と手動変速
モードでの変速比制御(Mポジション制御)との顕著な
相違点は、使用可能な変速比幅の下限値が、手動操作で
変更できるか否かの点にある。
【0055】ここで手動変速モードでの変速制御である
Mポジション制御について説明する。図3はその制御ル
ーチンを示すフローチャートであって、先ず、入力信号
の処理(ステップS11)をおこなった後に、Mポジシ
ョンが選択されているか否かが判断される(ステップS
12)。Mポジションが選択されていないことによりこ
のステップS12で否定的に判断された場合には、特に
制御をおこなうことなくこのルーチンを抜け、また反対
にMポジションが選択されていることによりこのステッ
プS12で肯定的に判断された場合には、アップスイッ
チSU ,SU2とダウンスイッチSD ,SD2との両スイッ
チ同時オンが判断される(ステップS13)。すなわち
アップスイッチSU ,SU2とダウンスイッチSD ,SD2
とが共にオン操作されているか否か、あるいはそれと同
様の信号の出力状態となっているか否かが判断される。
【0056】このステップS13で否定的に判断された
場合には、フラグFb が“0”にセットされているか否
かが判断される(ステップS14)。このフラグFb
は、アップスイッチSU ,SU2とダウンスイッチSD ,
SD2とが同時にオン動作して信号を出力し、もしくはこ
れと同様の状態となっていて上記のステップS13で肯
定的に判断された場合に“1”にセットされ、また、い
ずれのスイッチSU ,SU2,SD ,SD2もオン動作され
ていない場合もしくはこれと同様の状態が生じている場
合に“0”にセットされるフラグである。
【0057】このフラグFb が“0”であることによ
り、すなわちいずれのスイッチSU ,SU2,SD ,SD2
も信号を出力していない状態が直前に成立していた場合
には、ダウンスイッチSD ,SD2がオンとなっているか
否か(オン信号を出力しているか否か)が判断される
(ステップS15)。ダウンスイッチSD ,SD2がオン
操作されていることによりステップS15で肯定的に判
断された場合には、変速比下限値が、前述した初期値か
ら徐々に(無段階かつ連続的に)増大させられる(ステ
ップS16)。
【0058】これに対してダウンスイッチSD ,SD2が
オン操作されていないことによりステップS15で否定
的に判断された場合には、アップスイッチSU ,SU2が
オン操作されているか否か(オン信号を出力しているか
否か)が判断される(ステップS17)。このステップ
S17で否定的に判断されれば、いずれのスイッチSU
,SU2,SD ,SD2もオン操作されていず、もしくは
オン信号を出力していないので、特に制御をおこなうこ
となくこのルーチンを抜ける。また反対にこのステップ
S17で肯定的に判断された場合には、変速比下限値
が、前述した初期値から徐々に(無段階かつ連続的に)
低下させられる(ステップS18)。
【0059】この変速比下限値の手動操作に基づく変更
の例を、図4を参照して具体的に説明する。自動変速モ
ードから手動変速モードに切り換えられることにより、
上述のようにして手動変速モードでの変速比の初期下限
値が設定され、その状態で、図4のt1 時点にダウンス
イッチSD (もしくはSD2)がオン操作されると、その
オン操作に伴うダウン信号の確認のための所定時間が経
過したt2 時点から、変速比下限値が増大し始める。こ
のような変速比下限値の変更は、ダウンスイッチSD
(もしくはSD2)がオン操作されている間、すなわちダ
ウン信号の出力が継続しているt3 時点までの間、継続
し、したがって変速比下限値が徐々に(無段階かつ連続
的に)増大する。そしてダウンスイッチSD (もしくは
SD2)がオフ操作されてダウン信号の出力が止まると、
その時点の変速比下限値が維持される。
【0060】その後のt4 時点にアップスイッチSU
(もしくはSU2)がオン操作されると、そのオン操作に
伴うアップ信号の確認のための所定時間が経過したt5
時点から、変速比下限値が減少し始める。このような変
速比下限値の変更は、アップスイッチSU (もしくはS
U2)がオン操作されている間、すなわちアップ信号の出
力が継続しているt6 時点までの間、継続し、したがっ
て変速比下限値が徐々に(無段階かつ連続的に)減少す
る。そしてアップスイッチSU (もしくはSU2)がオフ
操作されてアップ信号の出力が止まると、その時点の変
速比下限値が維持される。
【0061】手動変速モードで上記のスイッチSU ,S
U2,SD ,SD2をオン操作することにより下限変速比が
変化するが、この発明に係る上記の変速制御装置では、
変速比変化速度調整機構17を備えているので、その下
限変速比の変化の速度が遅速に適宜に設定される。そし
て、上述したように、アップあるいはダウンのいずれか
のスイッチSU ,SU2,SD ,SD2のオン操作の継続時
間に応じて変速比の下限値が変化するので、オン操作の
継続時間が同じであっても、設定してある変速比変化速
度が異なれば、最終的に設定される変速比下限値が異な
ることになる。
【0062】図4には変速比変化速度が相対的に遅い場
合と速い場合とを例示してあり、変速比変化速度を遅く
設定してある場合には図4に実線で示すように変速比下
限値が変化し、これに対して変速比変化速度を速く設定
してある場合には図4に破線で示すように変速比下限値
が変化する。変速比下限値の変化量は、その変化速度と
変化の継続時間との積で表されるから、結局、変速比変
化速度が速い場合には、変速比下限値の変化量が大きく
なる。
【0063】このようにして実行された結果としての変
速比下限値は、上述した表示装置19によってデジタル
表示され、また変速比下限値の変化速度が前述した矢印
の長さとして第2の表示部21に表示される。
【0064】ところで、アップおよびダウンの両スイッ
チが同時オンの場合には、図3に示すステップS13が
肯定的に判断される。このような両スイッチの同時オン
の状態は、運転者の誤操作によってアップスイッチSU
,SU2とダウンスイッチSD,SD2とが同時にオン操作
された場合や、アップおよびダウンのいずれか一方のス
イッチもしくはその電気系統のフェールによって常時オ
ン信号が出力され、その状態で他方のスイッチをオン操
作した場合に生じる。
【0065】このような両スイッチ同時オンの状態で
は、適正な制御を実行できないので、先ず、前記フラグ
Fb が“1”にセットされる(ステップS19)。そし
て、変速比の下限値が、その両スイッチ同時オンの判断
が成立した時点の値に固定される(ステップS20)。
このように変速比下限値を固定する制御は、アップおよ
びダウンの両方のスイッチSU ,SU2,SD ,SD2が共
にオフになり、その後に変速比下限値の変更指示が生じ
るまで継続される。
【0066】すなわち、フラグFb が“1”にセットさ
れると、図3に示すステップS14で否定的に判断さ
れ、その場合は、アップおよびダウンの両方のスイッチ
SU ,SU2,SD ,SD2が共にオフになったか否か、す
なわち両スイッチの同時オフが判断される(ステップS
21)。いずれか一方のスイッチSU ,SU2,SD ,S
D2がオン状態となっており、もしくはオン信号を出力し
ていれば、このステップS21で否定的に判断され、そ
の場合は特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜
ける。すなわち従前の状態もしくは制御が継続されるこ
とになり、上記のステップS20で実行された変速比下
限値の固定制御が継続される。
【0067】これに対して、アップおよびダウンの両方
のスイッチSU ,SU2,SD ,SD2が共にオフとなるこ
とにより、ステップS21で肯定的に判断されると、フ
ラグFb が“0”にセットされる(ステップS22)。
したがって上記のステップS14で肯定的に判断され、
アップスイッチSU ,SU2もしくはダウンスイッチSD
,SD2のいずれかがオン操作されて信号を出力した場
合には、それに応じた変速比下限値の変更が実行され
る。
【0068】上記の両スイッチ同時オンに伴う変速比下
限値の固定制御が、ダウン信号が出力されている途中に
実行され、その後に両スイッチ同時オンの状態が解消さ
れて変速比下限値を低下させるアップ信号が出力された
場合の例を、図5に示してある。
【0069】自動変速モードから手動変速モードに切り
換えられることにより、前述したようにして手動変速モ
ードでの変速比の初期下限値が設定され、その状態で、
図5のt11時点にダウンスイッチSD (もしくはSD2)
がオン操作されると、そのオン操作に伴うダウン信号の
確認のための所定時間が経過したt12時点から、変速比
下限値が増大し始める。このような変速比下限値の変更
は、ダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオン操作さ
れている間、すなわちダウン信号の出力が継続している
間、継続するから、変速比下限値が徐々に(無段階かつ
連続的に)増大する。
【0070】ダウン信号が出力されている途中のt13時
点にアップスイッチSU ,SU2がオン操作され、もしく
はそれと同様の状態になってアップ信号が出力される
と、信号の確認のための所定時間が経過したt14時点
に、アップおよびダウンの両スイッチの同時オンの状態
もしくは判断が成立する。その結果、変速比下限値を増
大させる制御がその時点で中止され、変速比下限値を増
大させている途中における変速比下限値γ14が維持され
る。すなわちダウン信号が出力され続けているとして
も、それ以上に変速比下限値を増大させず、その時点の
値に固定する。
【0071】その後、ダウンスイッチSD ,SD2のオン
操作が解除されることによりダウン信号が出力されなく
なると(t15時点)、アップ信号のみが出力されている
状態となるが、前述したように、一旦、両スイッチの同
時オンが成立した後は、両方のスイッチSU ,SU2,S
D ,SD2が共にオフになるまで、あるいはアップ信号お
よびダウン信号の両方が出力されなくなるまで、すなわ
ちt16時点まで、フラグFb が“1”に維持されて、手
動変速モードでの変速比下限値の変更制御が禁止され
る。したがってこのt15時点以降も、変速比下限値が上
記のγ14に固定される。
【0072】そして、アップスイッチSU ,SU2がオフ
操作され、あるいはこれと同様の状態になってアップ信
号の出力が止まると、アップおよびダウンのいずれの信
号も出力されていない状態となるので、手動操作による
変速比下限値の変更が可能な状態となる。すなわち図3
に示すフラグFb が“0”にセットされる。その状態で
のt17時点にアップスイッチSU ,SU2がオン操作され
てアップ信号が出力されると、その時点から信号の確認
のための所定時間が経過したt18時点に変速比下限値を
低下させる制御が開始され、アップスイッチSU (もし
くはSU2)がオン操作されている間、すなわちアップ信
号の出力が継続しているt19時点までの間、継続し、し
たがって変速比下限値が徐々に(無段階かつ連続的に)
低下する。そしてアップスイッチSU (もしくはSU2)
がオフ操作されてアップ信号の出力が止まると、その時
点の変速比下限値が維持される。
【0073】なお、このような変速比下限値の変更制御
における変速比変化速度は、前述した制御例で説明した
と同様に、変速比変化速度調整機構17で設定された速
度となり、したがって図5に実線および破線で示してあ
るように、変速比変化速度の遅速に応じて到達する変速
比下限値の値が相違することになる。
【0074】したがって上述した両スイッチ同時オンの
制御によれば、アップ信号およびダウン信号の両方が出
力されなくなるまで、変速比下限値を固定し、両方の信
号が出力されなくなった後に、手動操作に基づく変速比
下限値の変更を可能にするので、不用意な変速を防止す
ることができる。また、アップおよびダウンの両方のス
イッチSU ,SU2,SD ,SD2を共にオン操作した場合
には、変速比下限値を変更できないので、そのような操
作が誤操作であることを、変速が生じないことによって
運転者に認識させることができる。
【0075】ところで、変速比下限値を増大させると、
それより小さい変速比で走行していた場合にはダウンシ
フトが生じ、駆動トルクが変化するとともに、動力源
(エンジン)の回転数が増大する。その場合、走行路面
がスリップの生じ易いいわゆる低μ路であったり、動力
源回転数が機構上許容できる上限値を超えるような場合
には、変速比下限値を増大させる制御が禁止される。無
段変速機を対象とするこのような禁止制御は、無段変速
機で設定できる変速比が無段階に連続したものであるか
ら、一般的な有段式自動変速機での禁止制御とは異なる
制御が実行される。
【0076】その例を図6を参照して説明する。図6は
その禁止制御を含む制御ルーチンの一例を示すチャート
であって、入力信号の処理(ステップS31)の後、D
ポジションからMポジションに切り換えられた否かが判
断される(ステップS32)。自動変速モードから手動
変速モードへの切換操作が実行されたことによりステッ
プS32で肯定的に判断された場合には、変速比下限値
の初期値設定が実行される(ステップS33)。これ
は、前述した図1におけるステップS4について説明し
た制御である。
【0077】一方、DポジションからMポジションへの
切り換えが検出されないことにより、ステップS32で
否定的に判断された場合には、Mポジションが既に選択
されているか否か、すなわち既に手動変速モードになっ
ているか否かが判断される(ステップS34)。Mポジ
ションが既に選択されていることによりステップS34
で肯定的に判断された場合には、設定リジェクト処理が
発生したか否かが判断される(ステップS35)。この
設定リジェクト処理とは、タイヤスリップやエンジン1
のオーバーランなどを防止するために、手動操作に基づ
くダウンシフトすなわち変速比下限値の増大を規制する
制御であり、したがってこのステップS35の前段で、
ダウンスイッチSD ,SD2のオン操作の有無を判断する
こととしてもよい。
【0078】このステップS35で肯定的に判断された
場合、すなわち変速比下限値を増大させることが規制さ
れた場合には、リジェクト設定値に変速比下限値が設定
される(ステップS36)。このリジェクト設定値は、
車両の走行状態や運転状態あるいは動作状態に支障のな
い範囲で、スイッチ操作で指示された変速比下限値の目
標値に近い変速比である。
【0079】ついでMポジション制御が実行される(ス
テップS37)。これは、前記の図3を参照して説明し
た制御である。したがって変速比下限値の増大が規制さ
れている状態であっても、スイッチ操作による変速比下
限値の変更操作がおこなわれない限り、変速比下限値の
変更およびそれに伴う変速が生じない。また、ダウンス
イッチSD ,SD2を操作して変速比下限値を増大させる
としても、上記のように規制されている場合には、変速
比下限値が変更されない。一方、設定リジェクト処理が
発生していないことによりステップS35で否定的に判
断された場合には、スイッチ操作に基づく変速比下限値
が設定され(ステップS38)、その後、ステップS3
7に進んでMポジション制御が実行される。
【0080】また、Mポジションが選択されていないこ
とによりステップS34で否定的に判断された場合に
は、Dポジションが選択されているか否かが判断される
(ステップS39)。Dポジションが選択されていない
ことによりステップS39で否定的に判断された場合に
は、特に制御をおこなうことなくリターンし、またDポ
ジションが選択されていてステップS39で肯定的に判
断された場合には、Dポジション制御が実施される(ス
テップS40)。このステップS40のDポジション制
御は、図1のステップS7による制御と同様の制御であ
る。
【0081】したがってこの図6に示す制御によれば、
タイヤスリップやエンジン1のオーバーランなどが生じ
る可能性がある場合には、変速比下限値の増大制御が規
制されるものの、変速比の下限値が可能な範囲で増大さ
せられるから、スイッチ操作による変速の意図を可能な
限り満たすことができるうえに、変速比下限値を過剰に
増大させることがないので、手動変速操作の操作性が良
好になる。
【0082】なおここで、上述した具体例とこの発明と
の関係を簡単に説明すると、前述したシフト装置14が
この発明における変速モード切換手段に相当し、レンジ
選択機構15がこの発明における下限値変更手段に相当
する。また、図1に示すステップS4、図6に示すステ
ップS33の制御を実行する機能的手段が、請求項1な
いし4の発明における初期値設定手段に相当する。さら
に、図3に示すステップS16およびステップS18の
制御を実行する機能的手段が、請求項5の発明における
下限値変更手段に相当する。また、図6に示すステップ
S35およびステップS36の制御を実行する機能的手
段が、請求項6の発明における禁止手段に相当し、図3
に示すステップS20の制御を実行する機能的手段が、
請求項7の発明における固定手段に相当する。
【0083】また、上記の具体例では、変速比を無段階
にかつ連続的に変更できる無段変速機における変速比下
限値を連続的に変更するように構成した例を示したが、
この発明ではその連続する変速比を細かく区分してステ
ップ的に変速比およびその下限値を変更できるように構
成した無段変速機の変速制御装置にも適用することがで
きる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、自動変速モードから手動変速モードに切り換え
ることにより、設定可能な変速比の下限値すなわち最も
大きい値の変速比が、自動変速モードで自動的に設定さ
れる変速比下限値より大きくなる。そのため、車速の増
大や駆動力源負荷の低下などによる、変速比を低下させ
る要因が生じても、自動変速モードによるほどには変速
比が低下しないので、意図した駆動性能を得ることがで
きる。また、このような機能を、手動変速モードへの切
換操作のみによって得られるので、手動変速操作の操作
性が良好になる。
【0085】また、請求項2の発明によれば、請求項1
の発明と同様の効果に加えて、自動変速モードから手動
変速モードに切り換えることにより、変速比を増大さ
せ、もしくは変速比の低下を抑制できるので、手動変速
モードでの変速操作を特におこなわなくても意図した駆
動力や制動力を得ることができ、手動変速操作の操作性
が更に向上する。
【0086】請求項3の発明によれば、請求項1および
2の発明の効果に加え、自動変速モードから手動変速モ
ードに切り換えることにより、その切り換え操作の直前
の変速比が、最低変速比として設定され、その変速比よ
り小さい値の変速比にアップシフトすることがないの
で、駆動力や制動力の低下が抑制され、意図した駆動性
能が得られ、また手動変速操作の操作性が更に向上す
る。
【0087】請求項4の発明によれば、請求項1および
2の発明の効果に加え、自動変速モードから手動変速モ
ードに切り換えた場合、その切り換え直前の変速比より
大きい値の変速比を下限値とした変速比幅が設定される
ので、制動力あるいは駆動力が増大し、自動変速モード
から手動変速モードに切り換える意図に即した駆動性能
を得ることができ、さらには自動変速モードから手動変
速モードに切り換える操作に加えて変速操作する必要性
が低減され、手動変速操作の操作性を向上させることが
できる。
【0088】また、請求項5の発明によれば、上記の請
求項1ないし4のいずれかの発明の効果に加え、単一の
操作を継続しているだけで変速比下限値を連続的に変更
でき、同一操作を繰り返す必要がないので、手動変速操
作の操作性を向上させることができ、また手動変速モー
ドでの変速比を段階的すなわちステップ的に変化させる
ように構成されている場合には、単一操作を継続するこ
とにより下限値が変化して、段階的に設定される変速比
で構成される変速比幅が変更されるので、手動変速操作
の操作性が向上する。
【0089】さらに、請求項6の発明によれば、上記の
請求項1ないし5のいずれかの発明の効果に加え、手動
操作による前記下限値の変更が一旦禁止されると、下限
値を変更する手動操作が新たに実行されるまでは、変速
比の下限値が変更されないので、変速比の下限値が不意
に変更されることが防止され、違和感を回避することが
できる。
【0090】そして、請求項7の発明によれば、請求項
1ないし6のいずれかの発明の効果に加え、変速比下限
値を変更する複数の手動操作が同時におこなわれた場合
には、変速比の下限値が直前の値に固定されて、それら
の手動操作に基づく前記下限値の変更が実行されないの
で、下限値を変更する複数の同時操作が誤操作であるこ
とを運転者に認識させることができ、また何らかの故障
により下限値を変更する複数の手動操作が同時におこな
われていると判断されている場合には、その故障が生じ
ている限り、変速比の下限値が直前の値に固定されるの
で、故障などによる変速を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る変速制御装置による手動変速
モードでの変速比下限値の初期値設定制御の例を示すフ
ローチャートである。
【図2】 図1の制御で設定される手動変速モードへの
切換時点の変速比幅の数例を自動変速モードでの変速比
幅と比較して示す説明図である。
【図3】 この発明による変速制御装置によるスイッチ
操作での変速比下限値の変更制御およびそのスイッチ操
作が同時に生じた場合の制御の例を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図4】 この発明の変速制御装置におけるスイッチ操
作による変速比下限値の変化を示すタイムチャートであ
る。
【図5】 アップおよびダウンの両スイッチ同時オンの
場合の変速比下限値の変化を示すタイムチャートであ
る。
【図6】 この発明の変速制御装置でスイッチ操作によ
る変速比下限値がリジェクトされた場合の制御の例を説
明するためのフローチャートである。
【図7】 この発明で対象とする無段変速機を有する車
両の駆動系統および制御系統の一例を模式的に示すブロ
ック図である。
【図8】 そのシフト装置におけるシフトポジションの
一例を示す図である。
【図9】 ステアリングホイールに設けたアップスイッ
チおよびダウンスイッチの例を示す模式図である。
【図10】 変速比変化速度調整機構の一例を模式的に
示す図である。
【図11】 無段変速機で設定される変速比と車速に対
する入力回転数との関係を示す図である。
【図12】 手動変速モードでの変速比下限値および変
速比変化速度の表示例を模式的に示す図である。
【図13】 この発明に係る変速制御装置に対する入出
力信号を例示するブロック図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機構、 6…電子制御装置、
7…加減速操作装置、 10…無段変速機、 13…
電子制御装置、 14…シフト装置、 15…レンジ選
択機構。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速比を運転状態に基づいて設定する自
    動変速モードと、その自動変速モードで設定される変速
    比の範囲の下限値を手動操作に基づいて設定する手動変
    速モードとに切り換える変速モード切換手段と、前記手
    動変速モードにおいて前記下限値を変更して変速比幅を
    任意に設定する下限値変更手段とを備えた無段変速機の
    変速制御装置において、 前記自動変速モードから手動変速モードに切り換えられ
    た時点の前記下限値の初期値を、前記自動変速モードで
    設定可能な最低変速比よりも大きい値の変速比に設定す
    る初期値設定手段を備えていることを特徴とする無段変
    速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記初期値設定手段が、前記初期値を、
    前記自動変速モードから手動変速モードへの切換直前の
    自動変速モードで設定されていた変速比に応じた値の変
    速比に設定するように構成されていることを特徴とする
    請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記初期値設定手段が、前記初期値を、
    前記自動変速モードから手動変速モードへの切換直前の
    自動変速モードで設定されていた変速比に設定するよう
    に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無
    段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記初期値設定手段が、前記初期値を、
    前記自動変速モードから手動変速モードへの切換直前の
    自動変速モードで設定されていた変速比より大きい値の
    変速比に設定するように構成されていることを特徴とす
    る請求項2に記載の無段変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記下限値変更手段が、前記下限値を変
    更する手動操作の継続時間に応じて下限値を変更するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれかに記載の無段変速機の変速制御装置。
  6. 【請求項6】 前記手動操作に基づく前記下限値の変更
    を所定の禁止条件の成立に基づいて禁止した場合に、前
    記下限値を変更する手動操作が再度実行されたことが判
    断されるまで、前記下限値の変更を禁止する禁止手段を
    更に備えていることを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれかに記載の無段変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】 前記下限値を変更するための互いに異な
    る複数の手動操作が同時に実行されたことが判断された
    場合に、それらの複数の手動操作が解除されたことが判
    断されるまで前記下限値を、前記複数の手動操作が同時
    に実行されたことが判断される直前の値に固定する固定
    手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれかに記載の無段変速機の変速制御装置。
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