JP2001235018A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP2001235018A
JP2001235018A JP2000043620A JP2000043620A JP2001235018A JP 2001235018 A JP2001235018 A JP 2001235018A JP 2000043620 A JP2000043620 A JP 2000043620A JP 2000043620 A JP2000043620 A JP 2000043620A JP 2001235018 A JP2001235018 A JP 2001235018A
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speed
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Atsushi Tabata
淳 田端
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速モードの切り換えの際の変速比の急激な
変化を抑制してドライバビリテイを向上させる。 【解決手段】 変速比を運転状態に基づいて設定する自
動変速モードと、手動操作に基づいて変速比を変更可能
な手動変速モードとを選択することのできる無段変速機
の変速制御装置であって、自動変速モードから手動変速
モードへの切り換え直後の変速の変速速度を、自動変速
モードから手動変速モードへの切り換え直後以外の手動
操作に基づく通常の変速の際の変速速度より遅くする変
速速度抑制手段(ステップS4)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両などで使用
される無段変速機の変速制御装置に関し、特に走行状態
に基づいて変速比が設定される自動変速モードと変速比
を手動操作に基づいて変更できる手動変速モードとを選
択可能な無段変速機の変速制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は、入力部材と出力部材との
間に設けられている伝動機構の状態を変化させることに
より、これら入力部材と出力部材との回転数の比率を連
続的に、すなわち無段階に変更できるように構成された
動力伝達装置であり、ベルト式無段変速機やトロイダル
式無段変速機などが従来知られている。この種の無段変
速機を搭載した車両では、走行中に変速比を適宜に変更
することにより、無段変速機の入力側の回転数すなわち
エンジン回転数を燃費が最小となる回転数に設定できる
ので、車両の燃費を向上させることができる。
【0003】燃費を重視した無段変速機の制御は、要求
駆動力や車速などの車両の運転状態に基づいて自動的に
実行することになるが、その制御は飽くまでも燃費を重
視した制御となるので、必ずしも運転者の意図した加速
力や制動力を得ることができない。そこで、変速比の制
御の自由度を高めて意図した加速力や制動力を得るため
に、手動操作に基づいて無段変速機の変速比を変更する
ように構成した制御装置が、従来、開発されている。そ
の一例が特開昭61−115733号公報に記載されて
いる。この公報に記載された装置は、シフトレバーの操
作ストロークをポテンショメータで検出し、そのシフト
レバーのハイポジション側からローポジション側へのス
トローク量が多いほど、無段変速機による最小トルク比
を大きく設定するように構成されている。ここで、トル
ク比は、無段変速機の変速比に相当する比率もしくは変
速比に応じて増減する比率である。したがって上記の公
報に記載された装置では、変速比を走行状態に基づいて
自動的に設定するDレンジと変速比を手動操作によって
設定するMレンジとを選択できることに加えて、Mレン
ジでは変速比の下限値を任意に設定でき、またそれに伴
って変速を生じさせるように構成されている。
【0004】また、特開平9−53712号公報には、
手動操作に基づいて設定される変速比を、ステップ的あ
るいは段階的に区分しておき、手動による変速操作をお
こなった場合には、変速比をそれらのいずれかにステッ
プ的に変更するように構成した無段変速機が記載されて
いる。またその無段変速機では、手動での変速の応答性
を重視し、手動操作に基づく変速の変速速度を、いわゆ
る自動変速モードでの変速速度より速くするように構成
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のいわゆ
る手動変速モードの可能な無段変速機では、変速モード
の切り換え操作と併せて変速比の下限値もしくは変速比
を選択する操作をおこなうことになるが、いわゆる自動
変速モードから手動変速モードへの切り換え操作と変速
比を増大させるいわゆるダウンシフト操作とが同時ある
いは連続して実行された場合に、そのダウンシフト操作
に応じて速い変速速度で変速を実行すると、運転者が意
図していない急激なダウンシフトが生じ、その結果、減
速感が大きくなってドライバビリテイが低下する可能性
がある。
【0006】また反対に、手動変速モードから自動変速
モードへ切り換えた場合、その時点の走行状態あるいは
運転状態に基づいて定まる自動変速モードでの変速比
が、手動変速モードでの手動操作に基づいて設定されて
いる変速比より小さい(高速側の)変速比の場合があ
り、そのような場合に自動変速モードへの切り換えに伴
ってその切り換えと同時もしくは直後に速い変速速度で
アップシフトをおこなうと、急激なアップシフトとな
り、その結果、駆動トルクが急激に低下していわゆる空
走感が生じ、ドライバビリテイが低下する可能性があ
る。
【0007】この発明は、上記の技術的課題に着目して
なされたものであり、無段変速機の変速モードを自動変
速モードと手動変速モードとの間で切り換えた場合のド
ライバビリテイを向上させることのできる変速制御装置
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、この発明は、無段変速機の変速モ
ードを切り換えた直後に変速比もしくはその変速比の目
標値の変更が生じる場合に、その変化速度を、変速モー
ドの切り換えから時間が経過した後に変速比やその目標
値の変更が生じる場合の変化速度に対して抑制するよう
に構成したことを特徴とするものである。より具体的に
は、請求項1の発明は、変速比を運転状態に基づいて設
定する自動変速モードと、手動操作に基づいて変速比を
変更可能な手動変速モードとを選択することのできる無
段変速機の変速制御装置において、自動変速モードから
手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速速度を、
自動変速モードから手動変速モードへの切り換え直後以
外の手動操作に基づく通常の変速の際の変速速度より遅
くする変速速度抑制手段を備えていることを特徴とする
変速制御装置である。
【0009】したがって請求項1の発明では、自動変速
モードから手動変速モードに切り換えられた場合、その
直後の変速が緩やかな速度で実行されるので、減速時に
はその減速度が急激には大きくならず、ドライバビリテ
イが良好な状態に維持される。
【0010】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
における前記変速速度抑制手段が、自動変速モードから
手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速幅が大き
いほど、その変速の変速速度を遅くするように構成され
ていることを特徴とする変速制御装置である。
【0011】したがって請求項2の発明では、自動変速
モードから手動変速モードへの切り換え直後に、変速比
を大きく変更するなどの変速幅が大きい変速が生じる場
合であっても、変速速度が抑制されてゆっくり変速が進
行するので、過剰な減速感が防止され、ドライバビリテ
イが向上する。
【0012】請求項3の発明は、請求項1もしくは2の
発明における前記変速速度抑制手段が、自動変速モード
から手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速速度
を、前記自動変速モードから手動変速モードへの切り換
え時点から予め定めた所定時間の間、前記通常の変速の
際の変速速度より遅くするように構成されていることを
特徴とする変速制御装置である。
【0013】したがって請求項3の発明では、自動変速
モードから手動変速モードへの切り換え直後には変速速
度が遅くされるが、所定時間の経過後は、通常の変速の
際の変速速度に戻されるので、変速の全体に要する時間
が短縮され、変速の遅れ感が防止される。
【0014】請求項4の発明は、請求項1もしくは2の
発明における前記変速速度抑制手段が、自動変速モード
から手動変速モードへの切り換え直後の変速で変更され
る変速比に関する目標値の変更量を、前記自動変速モー
ドから手動変速モードへの切り換えから予め定めた所定
時間の間、低下させるように構成されていることを特徴
とする変速制御装置である。
【0015】したがって請求項4の発明では、自動変速
モードから手動変速モードへの切り換え直後に、変速比
の目標値の変更に伴って変速比が変更される場合であっ
ても、その変速速度が遅くされて急激なダウンシフトが
生じないので、過剰な減速感が生じることが回避され、
また、変速速度の抑制は変速モードの切り換え直後の所
定時間に限られので、制御の遅れが防止され、ひいては
ドライバビリテイが向上する。
【0016】請求項5の発明は、請求項1ないし4のい
ずれかの発明において、前記手動変速モードでは変速比
の下限値が手動操作によって設定され、かつ手動変速モ
ードでの走行状態に基づく変速比がその下限値より小さ
くならないように制御するように構成されていることを
特徴とする変速制御装置である。
【0017】したがって請求項5の発明では、車速の増
大や要求駆動量の低下などの走行状態もしくは運転状態
の変更が生じても、変速比が手動操作で設定された下限
値以下に低下しないので、登坂時には駆動力を確保で
き、また降坂時には動力源ブレーキ力を確保できるな
ど、駆動性能を良好に維持でき、さらに要求駆動量が増
大するなどの走行状態もしくは運転状態の変更が生じた
場合には、変速比が増大する方向に制御されるので、要
求駆動量に応じた動力性能を確保でき、総じてドライバ
ビリテイが良好になる。
【0018】また、請求項6の発明は、変速比を運転状
態に基づいて設定する自動変速モードと、手動操作に基
づいて変速比を変更可能な手動変速モードとを選択する
ことのできる無段変速機の変速制御装置において、手動
変速モードから自動変速モードへの切り換え直後の変速
の変速速度を、手動操作に基づく変速の際の変速速度よ
り遅くする変速速度抑制手段を備えていることを特徴と
する変速制御装置である。
【0019】したがって請求項6の発明では、手動変速
モードから自動変速モードに切り換えることに伴ってそ
の直後に変速が生じるとしても、その変速速度が遅くさ
れるので、手動変速モードで規制されていた変速比の低
下が可能となっても急激にアップシフトが生じることが
なく、その結果、いわゆる空走感が回避されてドライバ
ビリテイが向上する。
【0020】請求項7の発明は、請求項6の発明におけ
る前記変速速度抑制手段が、自動変速モードから手動変
速モードへの切り換え直後の変速の変速幅が大きいほ
ど、その変速の変速速度を遅くするように構成されてい
ることを特徴とする変速制御装置である。
【0021】したがって請求項7の発明では、手動変速
モードから自動変速モードへの切り換え直後に、変速比
を大幅に低下させるなどの変速幅が大きい変速が生じる
場合であっても、変速速度が抑制されてゆっくり変速が
進行するので、空走感がより的確に防止され、ドライバ
ビリテイが向上する。
【0022】請求項8の発明は、請求項6の発明におけ
る前記変速速度抑制手段が、前記手動変速モードから自
動変速モードへの切り換え直後の変速速度を、その手動
変速モードから自動変速モードへの切り換えに伴う変速
による変速比に関する目標値が相対的に小さいほど遅く
するように構成されていることを特徴とする変速制御装
置である。
【0023】したがって請求項8の発明では、手動変速
モードから自動変速モードへの切り換え直後に、変速比
が変更される場合、その変更の速度は、変速比の目標値
が小さい値の場合に、より遅くされ、したがって変速モ
ードの切り換えの直後に急激なアップシフトが生じない
ので、空走感が生じることが回避され、ひいてはドライ
バビリテイが向上する。
【0024】請求項9の発明は、請求項6ないし8のい
ずれかの発明における前記変速速度抑制手段が、前記手
動変速モードから自動変速モードへの切り換え時点から
予め定めた所定時間の間、変速速度を遅くするように構
成されていることを特徴とする変速制御装置である。
【0025】したがって請求項9の発明では、手動変速
モードから自動変速モードへの切り換えに伴って変速が
生じる場合、その変速の変速速度を抑制する期間が、変
速モードの切り換え時点から所定時間の間に制限される
ので、変速の全体に要する時間が短縮され、制御の遅れ
が回避される。
【0026】さらに、請求項10の発明は、請求項6な
いし8のいずれかの発明における前記変速速度抑制手段
が、前記手動変速モードから自動変速モードへの切り換
え直後の変速比に関する目標値の変更量を、前記手動変
速モードから自動変速モードへの切り換え時点から予め
定めた所定時間の間、低下させるように構成されている
ことを特徴とする変速制御装置である。
【0027】したがって請求項10の発明では、手動変
速モードから自動変速モードへの切り換え直後に、変速
比の目標値の変更に伴って変速比が変更される場合であ
っても、その変速速度が遅くされて急激なアップシフト
が生じないので、空走感が生じることが回避され、ま
た、変速速度の抑制は変速モードの切り換え直後の所定
時間に限られので、制御の遅れが防止され、ひいてはド
ライバビリテイが向上する。
【0028】そして、請求項11の発明は、請求項6な
いし10のいずれかの発明において、前記手動変速モー
ドでは変速比の下限値が手動操作によって設定され、か
つ手動変速モードでの走行状態に基づく変速比がその下
限値より小さくならないように制御するように構成され
ていることを特徴とする変速制御装置である。
【0029】したがって請求項11の発明では、車速の
増大や要求駆動量の低下などの走行状態もしくは運転状
態の変更が生じても、変速比が手動操作で設定された下
限値以下に低下しないので、登坂時には駆動力を確保で
き、また降坂時には動力源ブレーキ力を確保できるな
ど、駆動性能を良好に維持でき、さらに要求駆動量が増
大するなどの走行状態もしくは運転状態の変更が生じた
場合には、変速比が増大する方向に制御されるので、要
求駆動量に応じた動力性能を確保でき、総じてドライバ
ビリテイが良好になる。
【0030】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。先ずこの発明が対象とする車両の動力伝達
系統の一例を説明すると、図13において、動力源1が
変速機構2に連結され、その変速機構2の出力軸3がデ
ィファレンシャル4を介して左右の駆動輪5に連結され
ている。ここで、動力源1は、ガソリンエンジンやディ
ーゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータなどの電
動機、さらにはこれら内燃機関と電動機とを組み合わせ
た装置など、車両に使用可能な種々の動力源を含む。以
下の説明では、動力源1として、スロットル開度を電気
的に制御する電子スロットルバルブを備え、かつ燃料を
シリンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミ
ングを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能な
いわゆる直噴ガソリンエンジンを採用した例を説明す
る。
【0031】このエンジン1は電気的に制御できるよう
に構成されており、その制御のためのマイクロコンピュ
ータを主体とする電子制御装置(E−ECU)6が設け
られている。この電子制御装置6は、少なくともエンジ
ン1の出力を制御するように構成されており、その制御
のためのデータとして出力軸回転数(エンジン回転数)
NE とアクセル開度θなどの要求駆動量とが入力されて
いる。
【0032】この要求駆動量は、要は、エンジン1の出
力の増大・減少のための信号であり、運転者が操作する
アクセルペダルなどの加減速操作装置7の操作量信号や
その操作量を電気的に処理して得た信号を採用すること
ができ、またそれ以外に、電子スロットルバルブの開度
制御信号や、車速を設定車速に維持するためのクルーズ
コントロールシステム(図示せず)などからの要求駆動
量信号を含む。
【0033】また、変速機構2は、流体伝動機構8と、
歯車変速機構9と、無段変速機(CVT)10とから構
成されている。その流体伝動機構8は、要は、オイルな
どの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間で
トルクを伝達するように構成された装置であって、一例
として、一般の車両に採用されているトルクコンバータ
を挙げることができる。また、この流体伝動機構8は、
直結クラッチ11を備えている。すなわち直結クラッチ
11は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの
機械的手段で直接連結するように構成されたクラッチで
あって、緩衝をおこなうためのコイルスプリングなどの
弾性体からなるダンパー12を備えている。
【0034】その流体伝動機構8の入力部材がエンジン
1の出力部材に連結され、また流体伝動機構8の出力部
材が歯車変速機構9の入力部材に連結されている。この
歯車変速機構9は、複数の歯車を有し、それらの歯車に
よって形成されるトルクの伝達経路を変更することによ
り、入力部材と出力部材との回転数の比率すなわち変速
比を適宜に変更し、また出力部材を入力部材に対して反
対方向に回転させるように構成されている。この歯車変
速機構9として、例えば、シングルピニオン型遊星歯車
機構やダブルピニオン型遊星歯車機構もしくはラビニョ
型遊星歯車機構を用いた機構、あるいは常時噛み合って
いる複数対のギヤ対を同期連結機構(シンクロナイザ
ー)によって選択的に出力部材や入力部材に連結するよ
うに構成された機構などを採用することができる。
【0035】なお、この歯車変速機構9は、次ぎに説明
する無段変速機10で設定できる変速比の幅が小さいこ
と、および無段変速機10ではその出力部材を入力部材
に対して反対方向に回転させるいわゆる後進機能がない
ことを補うために設けられている。したがって無段変速
機10で設定可能な変速比が、車両に対する要求を満た
す場合には、歯車変速機構9として後進機能のみを備え
た機構を採用してもよい。
【0036】図13に示してある無段変速機10は、そ
の入力部材の回転数と出力部材の回転数との比率すなわ
ち変速比を無段階に(連続的に)変化させることのでき
る機構であり、前述したベルト式無段変速機やトロイダ
ル式無段変速機などを採用することができる。
【0037】上記の変速機構2における直結クラッチ1
1の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制
御および歯車変速機構9での変速比の制御ならびに無段
変速機10での変速比の制御は、基本的には、車両の走
行状態に基づいて制御されるようになっている。その制
御のためにマイクロコンピュータを主体として構成され
た電子制御装置(T−ECU)13が設けられている。
【0038】この電子制御装置13は、前述したエンジ
ン用の電子制御装置6とデータ通信可能に連結される一
方、制御のためにデータとして車速Vや変速機構2の出
力回転数No などのデータが入力されている。また、変
速機構2を停止状態(パーキング:P)、後進状態(リ
バース:R)、中立状態(ニュートラル:N)、車両の
走行状態に応じて変速比を自動的に設定する自動前進状
態(ドライブ:D)すなわち自動変速モード、変速状態
を手動操作で設定可能な手動状態(マニュアル:M)す
なわち手動変速モードの各状態を選択するシフト装置1
4が設けられており、このシフト装置14が電子制御装
置13に電気的に連結されている。また、シフト装置1
4によって手動変速モードを選択した場合には、変速比
幅(変速レンジ)を適宜に設定することができるように
構成されており、その変速レンジを選択するレンジ選択
機構15が設けられている。
【0039】シフト装置14は、運転席の近傍のフロア
ーやインストルメントパネルあるいはステアリングコラ
ムに設けられたシフトレバーもしくはシフトアームもし
くはダイヤルさらにはスティックなどの手動操作部材
(それぞれ図示せず)によって上述した各変速状態を選
択し、かつその選択された各変速状態に応じた信号を出
力するように構成されている。その一例を挙げると、シ
フトレバーによって上記の各変速状態を選択するように
構成された装置が一般的であり、そのシフト装置におけ
るシフトポジションの配列の一例を図14に示してあ
る。
【0040】図14におけるP,R,N,Dの各符号
は、パーキングポジジョン、リバースポジション、ニュ
ートラルポジション、ドライブポジションのそれぞれを
示しており、これらの各ポジションが直線的に配列さ
れ、図示しないシフトレバーを直線的に移動させること
により、これらの各シフトポジションを選択できるよう
になっている。これらの各ポジションの配列方向に対し
て直交する方向に、ドライブポジションから屈曲した位
置にマニュアル(M)ポジションが設けられている。こ
のマニュアルポジションにはスイッチSM が設けられて
おり、シフトレバーをこのマニュアルポジションに移動
させることによりそのスイッチSM がオン動作させら
れ、手動変速モードが選択されたことを示す信号(M信
号)を出力するようになっている。
【0041】このマニュアルポジションを挟んで、前記
パーキングないしドライブの各ポジションの配列方向と
平行な方向に、アップポジション(+)とダウンポジシ
ョン(−)とが設けられている。これらのアップポジシ
ョンとダウンポジションとのそれぞれには、シフトレバ
ーによってオン動作させられるスイッチSU ,SD が設
けられており、そのアップスイッチSU は、オン動作さ
せられることにより、設定可能な変速比の下限値すなわ
ち高速側の変速比の限界値を低下させて変速比幅を増大
させる信号(アップ信号)を出力し、またダウンスイッ
チSD は、これとは反対に、オン動作させられることに
より、設定可能な変速比の下限値すなわち高速側の変速
比の限界値を増大させて変速比幅を減少させる信号(ダ
ウン信号)を出力するように構成されている。したがっ
てこれらのアップスイッチSU およびダウンスイッチS
D が、レンジ選択機構15を構成している。
【0042】そのアップスイッチSU と同等の機能を備
えた第2のアップスイッチSU2と、ダウンスイッチSD
と同等の機能を備えた第2のダウンスイッチSD2とが、
図15に示すように、ステアリングホイール16に設け
られ、前記レンジ選択機構15を構成している。より具
体的には、ステアリングホイール16の左右のハブに相
当する部分の表面側に第2のダウンスイッチSD2が配置
され、その反対側すなわち裏面側に第2のアップスイッ
チSU2が配置され、これらのスイッチSU2,SD2を運転
者が指によってオン動作させ得るように構成されてい
る。これらのアップスイッチSU ,SU2およびダウンス
イッチSD ,SD2は、オン動作させられている間、信号
を出力し続け、そのオン動作の期間の長さに応じて変速
比の下限値の変化量を決めるようになっている。なお、
これらのスイッチSU ,SU2,SD,SD2が信号を出力
するのは、手動変速モードが選択されている状態に限ら
れ、したがって前記マニュアルポジションに配置されて
いるスイッチSM が、アップスイッチSU ,SU2および
ダウンスイッチSD ,SD2を有効化するスイッチとなっ
ている。
【0043】また、上記の無段変速機10および電子制
御装置13は、変速比幅を決める変速比の下限値を手動
操作によって変更する速度を所定の範囲で任意に設定で
きるように構成されており、そのための変速比変化速度
調整機構17が前記電子制御装置13に電気的に接続し
て設けられている。この変速比変化速度調整機構17
は、例えば図16に示すように、スライドノブ18の移
動位置に応じた信号を出力するポテンショメータに類似
する機構によって構成されている。したがって変速比の
変化速度を速くした場合には、前記のアップスイッチS
U ,SU2もしくはダウンスイッチSD ,SD2を操作して
いる継続時間が短くても変速比の下限値が大きく変化
し、また反対に変速比の変化速度を遅くした場合に、前
記のアップスイッチSU ,SU2もしくはダウンスイッチ
SD ,SD2を操作している継続時間が長くても変速比の
下限値の変化量が小さくなる。
【0044】ここで、上記の無段変速機10で設定され
る変速比幅(変速レンジ)について簡単に説明する。ベ
ルト式無段変速機においては、ベルトを巻き掛けてある
入力側および出力側のプーリの溝幅を機構上定まる範囲
で増減でき、したがってその範囲で変速比を変化させる
ことができる。またトロイダル式の無段変速機において
は、入力側のディスクと出力側のディスクとの間に挟ま
れたパワーローラの傾動角度が機構上、所定の範囲に制
限され、それに伴って各ディスクのパワーローラとの接
触位置の半径が、機構上、所定の範囲に制限され、した
がってその範囲で変速比を変化させることができる。こ
れを車速Vと無段変速機10の入力回転数NINとの関係
で示せば図17のとおりである。
【0045】図17において、γmax で示す線が、最も
低速側の変速比すなわち機構上定まる変速比の上限値お
よびそれに伴う入力回転数NINの上限値を示し、またγ
minで示す線が、最も高速側の変速比すなわち機構上定
まる変速比の下限値およびそれに伴う入力回転数NINの
下限値を示している。また、図17における下側の水平
な線は、エンジン1のアイドリング状態での入力回転数
NINを示し、また上側の水平な線は、エンジン1の上限
回転数で規定される入力回転数NINを示している。した
がって、無段変速機10での変速比は、機構上規定され
る上記の上限変速比γmax と下限変速比γmin との間で
変化させることができる。そしてその制御は、各車速ご
とに、最適燃費線などに基づいて決定される入力回転数
(エンジン回転数)となるように、プーリの溝幅やパワ
ーローラの傾斜角度を調整することによりおこなわれ
る。
【0046】手動変速モードでは、機構上定まる変速比
幅すなわち上記のγmax とγmin とを限界値とした変速
比の幅のうちで、高速側の変速比である下限値が、手動
操作に基づいて選択される。すなわち例えば図17に破
線で示すように変速比の下限値が変更される。したがっ
てその場合には、無段変速機10の入力回転数NINが図
17の破線で示す回転数以下とならないように、プーリ
の溝幅やパワーローラの傾斜角度すなわち変速比が制御
される。
【0047】したがってこの発明に係る上記の無段変速
機の変速制御装置では、手動変速モードで上記のアップ
スイッチSU ,SU2あるいはダウンスイッチSD ,SD2
を操作することにより、変速比の下限値が大小に変化す
る。これは、高速側の変速比を制限し、低速側の変速比
を機構上定まる値に維持することによる変速比幅の変更
となる。そのため、例えばダウンスイッチSD ,SD2を
操作して変速比の下限値を増大させた場合には、車速が
増大したりアクセル開度などの要求駆動量が低下しても
変速比の低下が制限されて相対的に大きい変速比に設定
されるので、加速時には大きい駆動力を得ることがで
き、また減速時にはエンジンブレーキ力(動力源ブレー
キ力)が大きくなって制動性能が向上する。
【0048】このように手動変速モードでは、車両の走
行状態もしくは運転状態で決まる変速比の幅が、スイッ
チ操作によって変更され、それに伴って車両の走行性能
が変化する。したがってそのようにして変更された無段
変速機10の制御状態を運転者に告知するために、表示
装置19が設けられている。この表示装置19は前述し
た電子制御装置13によって制御されるように構成さ
れ、したがってその電子制御装置13に接続されてい
る。
【0049】図18はその表示装置19の一例を模式的
に示しており、手動変速モードで設定される変速比の下
限値を第1の表示部20に数値によってデジタル表示
し、また前記変速比変化速度調整機構17で設定された
変速比変化速度を第2の表示部21に矢印の長さによっ
て表示するようになっている。なお、図18において符
号22は、シフトレバーを模した形状のアイコンであ
る。これらの各表示部20,21,22は、手動変速モ
ードが選択されている場合にのみ点灯するように構成さ
れている。さらにこれらの表示部20,21,22は、
走行中における運転者の視線の移動が可及的に少なくな
る位置、例えばインストルメントパネルやメータパネル
などに設けられている。
【0050】この発明に係る変速制御装置ECUは、前
述した各電子制御装置6,13を統合した構成として表
すことができ、そしてその制御のための入力信号と出力
信号とをまとめて示せば、図19のとおりである。先
ず、入力信号の例を挙げれば、車両加速度センサからの
信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッシ
ョンスイッチからの信号、クランク位置信号、デフォッ
ガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速
信号、無段変速機(CVT)油温、シフトポジション、
サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキスイ
ッチアッパスイッチからの信号、フットブレーキスイッ
チロアスイッチからの信号、触媒(排気浄化触媒)温
度、アクセル開度、オートクルーズスイッチからの信
号、Mポジションスイッチからの信号、ダウン(−)ス
イッチからの信号、アップ(+)スイッチからの信号、
レーダクルーズスイッチからの信号、フューエルリッド
信号、入力回転数センサからの信号、スノーモードスイ
ッチからの信号などである。
【0051】また、出力信号の例を挙げると、点火信
号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータへの信号、減速
装置に対する信号、CVTソレノイドへの信号、CVT
ライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアク
チュエータへの信号、レンジインジケータへの信号、警
報音信号、電子スロットル弁への信号、スノーモードイ
ンジケータへの信号、可変バルブタイミング装置(VV
T)への信号、ステアシフトマチックインジケータへの
信号、変速比変化速度インジケータへの信号などであ
る。ここでスノーモードとは、発進時のタイヤスリップ
を防止するために駆動トルクを低下させるべく変速比を
ある程度小さい値に制限する変速モードである。
【0052】上述したようにこの発明に係る変速制御装
置では、シフト装置14で選択する変速モードを自動変
速モードから手動変速モードに切り換えると、すなわち
シフトレバーなどの操作部材をDポジションからMポジ
ションに移動させると、前記アップおよびダウンの各ス
イッチSU ,SU2,SD ,SD2が動作可能な状態(アク
ティブ状態)になり、これらのスイッチSU ,SU2,S
D ,SD2を手動でオン操作することにより、変速比幅の
下限値を変更することが可能になる。また、シフトレバ
ーをMポジションからDポジションに移動させることに
より手動変速モードから自動変速モードに変更すれば、
Mポジションに配置されているスイッチSM がオフにな
るので、変速比の下限値を変更する上記のスイッチSU
,SU2,SD ,SD2が機能しなくなる。すなわちオン
操作しても信号を出力しない。また、これと同時に上記
のスイッチSU ,SU2,SD ,SD2をオン操作すること
による変速比の下限値の設定が解除され、前記γmin を
下限値としかつγmax を上限値とした変速比幅が設定さ
れる。
【0053】上述したように、変速比の下限値を設定も
しくは変更するためのスイッチSU,SU2,SD ,SD2
は、シフトレバーをMポジションに移動させてスイッチ
SMをオン状態とすることにより有効化されて信号を出
力するから、例えばダウンスイッチSD (もしくはSD
2)をオン操作したまま自動変速モードから手動変速モ
ードに変速モードを変更したり、手動変速モードに切り
換えると同時にダウンスイッチSD (もしくはSD2)を
オン操作したりすると、手動変速モードに切り替わった
と同時にそのダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオ
ン信号を出力し、手動変速モードでの変速比の下限値が
増大方向に変更される。この発明に係る制御装置は、そ
のような変速モードの切り換えと同時もしくは直後の変
速比の下限値の変更を以下のように制御する。
【0054】図1はその変速モードの切り換えと同時も
しくは直後の変速比の下限値の変更制御を含む制御ルー
チンを示すフローチャートであって、先ず、入力信号の
処理(ステップS1)をおこなった後に、シフト装置1
4で設定されているシフトポジションがDポジションか
らMポジションに切り換えられたか否かが判断される
(ステップS2)。すなわち自動変速モードから手動変
速モードに切り換えられたか否かが判断される。これ
は、シフト装置14から出力される信号に基づいて判断
することができる。
【0055】自動変速モードから手動変速モードに切り
換えられたことによりステップS2で肯定的に判断され
た場合には、ダウンスイッチSD (もしくはSD2)が同
時にオン状態となっているか否かが判断される(ステッ
プS3)。このステップS3で肯定的に判断された場
合、すなわち手動変速モードへの切り換えと同時にダウ
ンスイッチSD (もしくはSD2)がオン信号を出力して
いる場合には、その時点から予め定めた所定時間Tm 秒
の間、変速比の下限値の変化速度(すなわちこの発明に
おける変速比に対する目標値の変化量)が、低下させら
れる(ステップS4)。
【0056】手動変速モードでの変速比下限値の変化速
度は、変速の遅れや過剰な駆動トルクの変化を生じない
などの乗り心地やドライバビリティを考慮して予め設定
されており、また前述した変速比変化速度調整機構17
によって、その予め設定されている変速比下限値の変化
速度が任意に変更される。このようにして設定された変
速比変化速度すなわち変速速度は、手動変速モードが設
定されている状態で前記のダウンスイッチSD (もしく
はSD2)もしくはアップスイッチSU (もしくはSU2)
がオン操作された場合に実行される変速比の変化速度で
ある。上記のステップS4では、その変速速度が低下さ
せられる。変速速度の低下量は、上記の任意に変更され
る変速比下限値の変化速度が大きいほど、すなわち変速
の変速幅が大きいほど大きくされ、変速速度が遅く(小
さく)される。このようにして低下させられた変速速度
およびその低下継続時間Tm は、これと同時にダウンシ
フトが生じたとしても急激な減速感が生じない程度の変
速速度であり、また時間である。
【0057】このようにして所定時間Tm の間、変速速
度を低下した後、スイッチ操作に基づく変速比幅(レン
ジ)の設定がおこなわれる(ステップS5)。すなわち
手動変速モードにおける通常の変速制御が実行される。
したがって上記の所定時間Tm 秒が経過した後は、スイ
ッチ操作に基づく変速比下限値の変化速度が、上記の低
下制御がおこなわれない速度に設定される。より具体的
には、上記の所定時間Tm を超えて継続的にオン操作さ
れている場合の変速速度および上記の所定時間Tm を経
過後に新たにいずれかのスイッチSU ,SU2,SD ,S
D2がオン操作された場合の変速速度が、上記の低下制御
がおこなわれない速度に設定される。
【0058】一方、上記のステップS3で否定的に判断
された場合、すなわち自動変速モードから手動変速モー
ドに切り換えられたものの、ダウンスイッチSD (もし
くはSD2)がオン操作されていない場合には、手動変速
モードでの変速比の下限初期値の設定制御が実行される
(ステップS6)。手動変速モードへの切り換え初期の
変速比の下限値を設定する場合、変速操作性や車両の動
力性能などを考慮して設定することが好ましく、その例
を挙げると、図2のとおりである。
【0059】すなわち図2の(A)は、自動変速モード
での変速比幅を示しており、機構上定まる上限値γmax
と下限値γmin との間で、変速比が走行状態もしくは運
転状態に基づいて設定される。これに対して(B)に示
す例は、手動変速モードへの切り換え初期の変速比の下
限値を、その変速モードの切り換え直前の変速比γdmに
設定する例である。また(C)に示す例は、手動変速モ
ードへの切り換え初期の変速比の下限値を、その変速モ
ードの切り換え直前の変速比γdmより所定値Δγ1 、大
きい変速比に設定する例である。さらに(D)に示す例
は、手動変速モードへの切り換え初期の変速比の下限値
を、機構上定まる下限値γmin に設定し、変速比幅を自
動変速モードでの変速比幅と同じに設定する例である。
そして(E)に示す例は、手動変速モードへの切り換え
初期の変速比の下限値を、機構上定まる下限値γmin よ
り所定値Δγ2 、大きい変速比に設定する例である。ス
テップS6の制御では、図2の(B)ないし(E)に示
すいずれかの変速比の下限初期値が設定される。
【0060】また、図1に示すステップS2で否定的に
判断された場合、すなわち自動変速モードから手動変速
モードへの切り換えが判断されなかった場合、Mポジシ
ョンが選択されているか否かが判断される(ステップS
7)。既にMポジションが選択されていて手動変速モー
ドが設定されている場合には、このステップS7で肯定
的に判断される。その場合、Mポジション制御すなわち
手動変速モードでの変速制御が実施される(ステップS
8)。
【0061】すなわち手動変速モードでは、前述したダ
ウンスイッチSD (もしくはSD2)がオン操作されるこ
とにより変速比の下限値が徐々に(連続的かつ無段階
に)増大する。その場合の変速比下限値の変化速度(す
なわち変速速度)は前述した変速比変化速度調整機構1
7で設定した速度である。また、その変速比下限値の変
更は、ダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオン操作
されている間、継続する。したがってダウンスイッチS
D (もしくはSD2)をオン操作している時間が長いほ
ど、変速比の下限値の変化幅が大きくなる。
【0062】また反対にアップスイッチSU (もしくは
SU2)がオン操作されることにより変速比の下限値が徐
々に(連続的かつ無段階に)低下する。その場合の変速
比下限値の変化速度(すなわち変速速度)は前述した変
速比変化速度調整機構17で設定した速度である。ま
た、その変速比下限値の変更は、アップスイッチSU
(もしくはSU2)がオン操作されている間、継続する。
したがってアップスイッチSU (もしくはSU2)をオン
操作している時間が長いほど、変速比の下限値の変化幅
が大きくなる。なお、これらのダウンスイッチSD (も
しくはSD2)あるいはアップスイッチSU (もしくはS
U2)をオン操作することにより変化するのは変速比の下
限値であって、上限値は機構上定まる上限値γmax に維
持される。また、前述した直結クラッチ11の係合・解
放の制御も、Mポジション制御として実行される。
【0063】さらに、走行中の変速は、アクセル開度や
車速などの車両の走行状態もしくは運転状態に基づい
て、変速比がその下限値以下とならない範囲で実行され
る。したがって、変速比の下限値を手動操作によって大
きい値に設定している場合には、登坂時に駆動力を確保
でき、また降坂時には動力源ブレーキ力を確保できるな
ど、駆動性能を良好に維持でき、さらに要求駆動量が増
大するなどの走行状態もしくは運転状態の変更が生じた
場合には、変速比が増大する方向に制御されるので、要
求駆動量に応じた動力性能を確保でき、総じてドライバ
ビリテイが良好になる。
【0064】上記のステップS7で否定的に判断された
場合、すなわちMポジションが選択されていない場合に
は、Dポジションが選択されているか否かが判断される
(ステップS9)。Dポジションが選択されていないこ
とによりこのステップS9で否定的に判断された場合に
は、車両が前進走行する状態ではないので、特に制御を
おこなうことなくリターンする。また反対にDポジショ
ンが選択されていることによりステップS9で肯定的に
判断された場合には、自動変速モードでの変速制御すな
わちDポジション制御が実施される(ステップS1
0)。このDポジション制御は、前記の機構上定まる変
速比の上下限値γmax ,γmin との間で、車両の走行状
態もしくは運転状態に基づいて変速比を自動的に設定す
る制御である。また、前記直結クラッチ11の係合・解
放の制御も併せて実行される。
【0065】上記の自動変速モードから手動変速モード
への切り換えと同時もしくは直後に変速比の下限値を増
大させるダウンシフトが生じ、その下限値の変化速度を
低下させる制御を実行した場合のタイムチャートを図3
に示してある。自動変速モードが設定されている状態で
ダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオン操作され
(t1 時点)、その直後のt2 時点にDポジションから
Mポジションに切り換えられてスイッチSM がオンとな
り、M信号が出力された場合、t1 時点から信号確認の
ための所定時間が経過したt3 時点では、Mポジション
(すなわち手動変速モード)が選択されたことを確認す
るための所定時間が未だ経過していないので、ダウンス
イッチSD (もしくはSD2)がオン操作されたことの判
断が成立していない。
【0066】DポジションからMポジションに切り換え
られたt2 時点から信号確認のための所定の時間が経過
したt4 時点に、手動変速モードに切り換えられたこと
の判断が成立し、それに伴ってアップおよびダウンの各
スイッチSU ,SU2,SD ,SD2が有効化されるので、
その時点でオン操作されているダウンスイッチSD (も
しくはSD2)から出力されているダウン信号が受容され
る。すなわちt4 時点に、自動変速モードから手動変速
モードへの切り換えと変速比下限値を増大させるダウン
シフトとの両方の判断が同時に成立する。
【0067】その結果、t4 時点からTm 秒が経過する
t5 時点までの間、変速比下限値の変化速度が低下され
る。これを図3に実線で示してあり、この間の変速比下
限値の変化勾配が小さい値に設定される。Tm 秒が経過
したt5 時点においてもダウンスイッチSD (もしくは
SD2)がオン操作され続けていてダウン信号が出力され
ているので、変速比下限値が増大し続けるが、t5 時点
以降は、変速比下限値の変化速度すなわち変速速度の低
下制御が終了し、変速速度が通常の速度に復帰する。図
3に実線で示してあるように、変速比下限値の変化速度
の勾配が、t5時点以前より大きくなる。そして、t6
時点にダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオフ操作
されてダウン信号の出力が停止し、変速比下限値がその
時点の値に保持される。
【0068】したがって、自動変速モードから手動変速
モードへの切り換えと同時に変速比下限値の増大に伴っ
てダウンシフトが生じるとしても、Tm 秒の間は、ダウ
ンシフトの変速速度が抑制されるので、急な減速感が生
じることが防止される。また、Tm 秒が経過した後は、
通常の変速速度に復帰されるので、制御の遅れが防止さ
れる。
【0069】その後、t7 時点にアップスイッチSU
(もしくはSU2)がオン操作されると、信号の確認のた
めに所定の時間が経過したt8 時点にアップ信号が受容
されて変速比下限値が低下し始め、アップスイッチSU
(もしくはSU2)がオフ操作されてアップ信号の出力が
停止するt9 時点まで、変速比下限値が低下し続ける。
その後、そのt9 時点の変速比下限値が維持される。な
お、その場合の変速速度すなわち変速比下限値の低下速
度は、前述した変速比変化速度調整機構17によって運
転者が設定した速度である。
【0070】図3には、比較のために手動変速モードが
設定されている状態での手動操作による変速の変速速度
すなわち通常の変速の場合の変速比下限値の変化を破線
で示してある。通常の変速の場合には、ダウンシフトお
よびアップシフトのいずれであっても、前述した変速比
変化速度調整機構17によって運転者が設定した速度で
変速比下限値が変化する。そのため、スイッチSU ,S
U2,SD ,SD2をオン操作している時間が同じであって
も、変速比下限値の変化幅が、上記の手動変速モードへ
の切り換えと同時もしくは直後の変速の場合より大きく
なる。
【0071】ところで、上記の図1および図3に示す例
は、自動変速モードから手動変速モードへの切り換えと
ダウンシフトとのいわゆる同時制御の際に変速比下限値
を、通常の変速の際とは異なって制御する例であるが、
減速感に直接影響するのは、実際の変速比の変化である
から、変速比下限値の変更制御と変速比の変化速度とを
分けて制御してもよい。この例を次に説明する。
【0072】図4はその制御例を示すフローチャートで
あって、前記の図1に示すフローチャートにおけるステ
ップS4とステップS5とを変更したものである。すな
わち自動変速モードから手動変速モードへの切り換えと
同時もしくはその直後にダウンスイッチSD (もしくは
SD2)がオン操作されてステップS3で肯定的に判断さ
れた場合には、変速比下限値がそのダウンスイッチSD
(もしくはSD2)がオン操作されることに伴うダウン信
号に基づいて増大方向に変更制御される(ステップS4
A)。また、これと同時に変速比の変化速度を所定時間
Tm 秒の間、低下させる制御が実行される(ステップS
5A)。すなわち、ダウンスイッチSD(もしくはSD
2)をオン操作することによって増大させられる変速比
の下限値より小さい変速比で走行している場合には、そ
の変更された変速比下限値を目標値としてダウンシフト
が生じるが、そのダウンシフトの際の変速比の変化速度
が、Tm 秒の間は、通常の変速の場合の変速速度より低
下させられ、変速比がゆっくり変化する。図4における
他の制御ステップは図1に示すフローチャートと同様で
あるから、その説明を省略する。
【0073】図4に示す制御のうち変速モードを手動変
速モードに変更した際のいわゆる同時変速における変速
比下限値および変速比の変更の状態を図5にタイムチャ
ートで示してある。この図5は、前述した図3と同様
に、ダウンスイッチSD (もしくはSD2)がオン操作さ
れている状態でDポジションからMポジションに切り換
えられた場合の例を示しており、Mポジションへの切り
換えとオン操作されているダウンスイッチSD (もしく
はSD2)の有効化とが同時に成立したt4 時点に変速比
下限値が増大され始め、ダウンスイッチSD (もしくは
SD2)をオフ操作してダウン信号が出力されなくなるt
6 時点まで継続される。その変速比下限値の増大速度す
なわち変速比目標値の変化速度は、例えば通常の変速操
作を想定して予め定められた速度となる。したがって変
速比下限値の到達する値は、ダウン信号が出力され続け
ている継続時間とその変速比下限値の変化速度との積で
求まる値である。
【0074】これに対して変速モードの切り換えと同時
もしくはその直後に、変速比下限値の変更に伴って変速
が生じる場合、その変速速度は、いわゆる通常の変速の
際の変速速度に対して、Tm 秒間、低下させられる。す
なわちTm 秒間はゆっくり変速比が変化させられる。そ
して、そのTm 秒が経過したt5 時点から、変速比下限
値に到達するまでの間では、変速比が通常の変速におけ
ると同様の変速速度に設定される。
【0075】比較のために、通常の変速をおこなった場
合の変速比の変化を破線で示してあり、通常の変速の際
には一定の速度で変速比が変化する。したがって通常の
変速の場合には、上記の変速モードの切り換えとのいわ
ゆる同時変速の場合に比べて変速の全体に要する時間が
短くなる。
【0076】このように図4および図5に示すように、
変速モードの切り換えとのいわゆる同時変速を実行した
場合、変速比の目標値が通常の変速の場合と同様にある
程度急速に変更されても、実際の変速比は、変速開始当
初のTm 秒の間、ゆっくり変化する。そのため、変速比
の急な増大が防止されて過剰な減速感が生じることがな
い。また、Tm秒の経過後は、実際の変速比は、通常の
変速におけると同様に変化するため、変速全体に要する
時間が短縮され、変速の遅れ感が防止される。
【0077】つぎに、上述した例とは反対に手動変速モ
ードから自動変速モードに切り換えられた場合の変速比
下限値の変更およびそれに伴う変速の制御について説明
する。図6はその制御を含む制御ルーチンの一例を示す
フローチャートであって、DポジションからMポジショ
ンへの切り換えの有無が判断され(ステップS21)、
その判断結果が否定的であった場合、Mポジションから
Dポジションへの切り換え、すなわち手動変速モードか
ら自動変速モードへの切り換えの有無が判断される(ス
テップS22)。これらステップS21およびステップ
S22のいずれの判断もシフト装置14からの出力信号
に基づいて判断することができる。
【0078】手動変速モードから自動変速モードへ切り
換えられたことによりステップS22で肯定的に判断さ
れ場合には、Dポジション復帰制御が実行される(ステ
ップS23)。この制御は、具体的には、手動変速モー
ドで設定されていた変速比下限値を、Dポジションでの
下限値すなわち機構上定まる最も小さい変速比γminに
変更する制御およびその変速比下限値の変更に伴うアッ
プシフト制御を含んでいる。そして、これらの変速比下
限値の変化速度や変速比の変化速度(すなわち変速速
度)が、手動変速モードにおいてスイッチSU ,SU2,
SD ,SD2を手動操作して生じる変速速度より遅く設定
される。なお、そのように変速速度を低下させる期間
は、自動変速モードへの切り換え直後に生じる変速が継
続している期間であってもよく、あるいは当初の所定時
間の間に限ってもよい。
【0079】具体的に説明すると、変速モードを自動変
速モードに変更することに伴って変速比下限値を低下さ
せる場合、それと併せて変速が生じる場合があり、もし
くはアップシフトの生じることが予想されるので、変速
比の変化速度すなわち変速速度がその時点の変速比下限
値に応じて設定される。その例を図7に示してあり、手
動変速モードから自動変速モードに切り換えることに伴
う変速比下限値の変化速度が、図7に破線で示す手動変
速モード(M時)での手動操作に基づく変速比下限値の
変化速度より遅い範囲で、自動変速モードへの切り換え
直前における変速比下限値(現変速比下限値)が大きい
ほど、すなわち変速比下限値が低速側に設定されていて
変速比の目標値が相対的に、より小さいほど、変速比下
限値の変化速度が遅く(小さく)される。また、他の例
を図8に示してあり、手動変速モードから自動変速モー
ドに切り換えることに伴う変速比下限値の変化速度が、
図8に破線で示す手動変速モード(M時)での手動操作
に基づく変速比下限値の変化速度より遅い範囲で、自動
変速モードに切り換えることに伴う変速比下限値の変化
幅が大きいほど、変速比下限値の変化速度が遅く(小さ
く)される。また、自動変速モード(Mポジション)か
ら手動変速モード(Dポジション)への切り換えに伴う
変速比下限値の変化速度よりも遅くされる。手動操作に
基づかない変速による違和感を回避するためである。
【0080】したがって手動変速モードから自動変速モ
ードへの切り換えに伴って変速比下限値が低下させら
れ、それに併せてアップシフトが生じるとしても、その
時点の変速比下限値が大きい場合や変速比下限値の変更
幅が大きい場合には、そのアップシフトの変速速度が、
手動変速モードでの通常の手動操作に基づく変速の際の
変速速度より低下(抑制)されるので、変速比の急な低
下が防止され、駆動トルクの低下やそれに起因する空走
感を回避できる。
【0081】また、上記のステップS23におけるDポ
ジション復帰制御として、変速比下限値の変化速度に替
えて、変速比変化速度を制御することとしてもよい。し
たがってこの場合、変速比下限値は、変速モードの切り
換えによって直ちに変更され、変速比の変化速度が制御
される。
【0082】その例を図9および図10に示してある。
先ず図9に示す例は、手動変速モードから自動変速モー
ドに切り換えることに伴う変速比の変化速度が、図9に
破線で示す手動変速モード(M時)での手動操作に基づ
く変速比の変化速度より遅い範囲で、自動変速モードへ
の切り換え直前における変速比(現変速比)が大きいほ
ど、すなわち変速比が低速側に設定されているほど、変
速比の変化速度が遅く(小さく)される。また、図10
に示す例では、手動変速モードから自動変速モードに切
り換えることに伴う変速比の変化速度が、図10に破線
で示す手動変速モード(M時)での手動操作に基づく変
速比の変化速度より遅い範囲で、自動変速モードに切り
換えることに伴う変速比の変化幅が大きいほど、変速比
の変化速度が遅く(小さく)される。また、自動変速モ
ード(Mポジション)から手動変速モード(Dポジショ
ン)への切り換えに伴う変速比の変化速度よりも遅くさ
れる。手動操作に基づかない変速による違和感を回避す
るためである。
【0083】したがって手動変速モードから自動変速モ
ードへの切り換えに伴って変速比下限値が低下させら
れ、それに併せてアップシフトが生じるとしても、その
時点の変速比(現変速比)が大きい場合や変速比の変更
幅が大きい場合には、そのアップシフトの変速速度が、
低下(抑制)されるので、変速比の急な低下が防止さ
れ、過剰な減速感が生じない。
【0084】ところで、MポジションからDポジション
への切り換えが検出されないことによりステップS22
で否定的に判断された場合には、Mポジションが選択さ
れているか否かが判断される(ステップS24)。既に
Mポジションが選択されていることによりこのステップ
S24で肯定的に判断された場合には、手動変速モード
用(M用)変速比変化速度が設定される(ステップS2
5)。その手動変速モード用変速比変化速度とは、手動
変速モードにおいてアクセル開度や車速などの車両の走
行状態もしくは運転状態に基づいて変速を実行する際の
変速比の変化速度である。
【0085】その一例を図11に示してあり、乾燥路面
などを走行している通常の手動変速モード(Mノーマ
ル)での変速比変化速度は、Dポジションでの通常の変
速の際の変速比変化速度や、DポジションおよびMポジ
ションに関わらず路面摩擦係数の小さい低μ路走行時の
変速比変化速度より速い(大きい)変速速度に設定され
る。これは、手動変速モードはよりスポーティな走行を
期待して選択されることを考慮したものである。また一
方、目標変速比(変速後の変速比)が大きいほど、ある
いは現変速比(現時点の変速比)が大きいほど、変速比
変化速度が遅く(小さく)される。すなわち手動変速モ
ードであることにより変速比変化速度が大きくされるも
のの、その傾向は、低速側の変速比ほど、抑制される。
これは、例えば減速走行時に、大きい変速比に変更され
て急激にエンジンブレーキ(動力源ブレーキ)が効いた
り、それに伴ってドライバビリティが低下したりするこ
とを防止するためである。
【0086】また、Mポジション変速比変化速度の他の
設定例を図12に示してある。ここに示す例は、手動に
よるスイッチ操作でカットされる変速比幅に応じて変速
比変化速度を変更する例であり、乾燥路面などを走行し
ている通常の手動変速モード(Mノーマル)での変速比
変化速度は、Dポジションでの通常の変速の際の変速比
変化速度やDポジションおよびMポジションに関わらず
路面摩擦係数の小さい低μ路走行時の変速比変化速度よ
り速い(大きい)変速速度に設定される。すなわち自動
的に設定可能な変速比の幅が広い場合には、変速速度が
速く設定される。これは、手動変速モードはよりスポー
ティな走行を期待して選択されることを考慮したもので
ある。また一方、スイッチ操作によってカットされる高
速側の変速比の幅が広いほど、変速比変化速度が遅く
(小さく)される。すなわち手動変速モードであること
により変速比変化速度が大きくされるものの、その傾向
は、変速比をより大きくするように変更する場合には、
抑制される。すなわち自動的に設定可能な変速比の幅が
狭い場合には、変速速度が遅く設定される。これは、例
えば減速走行時に、大きい変速比に変更されて急激にエ
ンジンブレーキ(動力源ブレーキ)が効いたり、それに
伴ってドライバビリティが低下したりすることを防止す
るためである。
【0087】手動変速モードでの変速比変化速度を上記
のように設定した後、Mポジション制御が実施される
(ステップS26)。具体的には、前述したスイッチS
U 、SU2,SD ,SD2をオン操作することにより変速比
下限値が変更され、その結果設定される変速比幅の中
で、走行状態あるいは運転状態に基づいて変速比が徐々
に(連続的かつ無段階に)変更される。
【0088】また、Mポジションが選択されていないこ
とによりステップS24で否定的に判断された場合に
は、Dポジションが選択されているか否かが判断される
(ステップS27)。このステップS27で否定的に判
断された場合には、前進走行状態ではないので、特に制
御をおこなうことなくリータンし、また肯定的に判断さ
れた場合には、D用(自動変速モード用)変速比変化速
度が設定される(ステップS28)。これは、図11も
しくは図12に示すように、通常状態(ノーマル)と低
μ路走行時とのそれぞれに応じて一定の変速比変速度を
設定することにより実行される。そして、Dポジション
制御が実行される(ステップS29)。すなわち走行状
態もしくは運転状態に応じて、変速比がその設定された
変速速度で変更される。なお、その変速比幅は、機構上
定まる最大値γmax と最小値γminとを限界値とした変
速比幅である。
【0089】そしてまた、前述したステップS21で肯
定的に判断された場合、すなわちDポジションからMポ
ジションへの切り換えが検出された場合には、手動変速
モードでの変速比の下限初期値の設定制御が実行される
(ステップS30)。これは、図1に示すステップS6
と同様の制御であり、したがってその説明を省略する。
【0090】ここで上述した各具体例とこの発明との関
係を説明すると、図1におけるステップS4および図4
におけるステップS5Aの機能的手段が、請求項1ない
し3の発明における変速速度抑制手段に相当し、また図
1におけるステップS4の機能的手段が、請求項4の発
明における変速速度抑制手段に相当し、さらに図1にお
けるステップS8を含む制御を実行するよう構成されて
いる変速制御装置が、請求項5の発明に係る変速制御装
置に相当する。また、図6におけるステップS23の機
能的手段が、請求項6ないし10の発明における変速速
度抑制手段に相当し、特に図8に基づく変速速度の制御
をおこなうステップS23の機能的手段が、請求項7の
発明における変速速度抑制手段に相当し、また、図7に
基づく変速速度の制御をおこなうステップS23の機能
的手段が、請求項8の発明における変速速度抑制手段に
相当する。そして、図6におけるステップS26を含む
制御を実行するよう構成されている変速制御装置が、請
求項11の発明に係る変速制御装置に相当する。
【0091】なお、上記の具体例では、変速比を無段階
にかつ連続的に変更できる無段変速機における変速比も
しくはその下限値を連続的に変更するように構成した例
を示したが、この発明ではその連続する変速比を細かく
区分してステップ的に変速比やその下限値を変更できる
ように構成した無段変速機の変速制御装置にも適用する
ことができる。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、自動変速モードから手動変速モードに切り換え
られた場合、その直後の変速が変速速度を抑制するよう
に構成してあるので、減速時にはその減速度が急激には
大きくならず、そのためドライバビリテイを向上させる
ことができる。
【0093】また、請求項2の発明によれば、自動変速
モードから手動変速モードへの切り換え直後に、変速比
を大きく変更するなどの変速幅が大きい変速が生じる場
合であっても、変速速度を抑制してゆっくり変速が進行
するように構成してあるので、過剰な減速感が防止さ
れ、ドライバビリテイを向上させることができる。
【0094】請求項3の発明によれば、自動変速モード
から手動変速モードへの切り換え直後では変速速度を抑
制するが、所定時間の経過後は、通常の変速の際の変速
速度に戻すように構成してあるので、変速の全体に要す
る時間が短縮され、変速の遅れ感を防止することができ
る。
【0095】請求項4の発明によれば、自動変速モード
から手動変速モードへの切り換え直後に、変速比の目標
値の変更に伴って変速比が変更される場合であっても、
その変速速度を抑制して急激なダウンシフトが生じない
ように構成してあるので、過剰な減速感が生じることを
回避でき、また、変速速度の抑制は変速モードの切り換
え直後の所定時間に限られので、制御の遅れを防止で
き、ひいてはドライバビリテイを向上させることができ
る。
【0096】請求項5の発明によれば、車速の増大や要
求駆動量の低下などの走行状態もしくは運転状態の変更
が生じても、変速比が手動操作で設定された下限値以下
に低下しないように構成してあるので、登坂時には駆動
力を確保でき、また降坂時には動力源ブレーキ力を確保
できるなど、駆動性能を良好に維持でき、さらに要求駆
動量が増大するなどの走行状態もしくは運転状態の変更
が生じた場合には、変速比が増大する方向に制御される
ので、要求駆動量に応じた動力性能を確保でき、総じて
ドライバビリテイを向上させることができる。
【0097】また、請求項6の発明によれば、手動変速
モードから自動変速モードに切り換えることに伴ってそ
の直後に変速が生じるとしても、その変速速度を抑制す
るように構成してあるので、手動変速モードで規制され
ていた変速比の低下が可能となっても急激にアップシフ
トが生じることがなく、その結果、いわゆる空走感を回
避してドライバビリテイを向上させることができる。
【0098】請求項7の発明によれば、手動変速モード
から自動変速モードへの切り換え直後に、変速比を大き
く変更するなどの変速幅が大きい変速が生じる場合であ
っても、変速速度を抑制してゆっくり変速が進行するよ
うに構成してあるので、空走感がより的確に防止され、
ドライバビリテイを向上させることができる。
【0099】請求項8の発明によれば、手動変速モード
から自動変速モードへの切り換え直後に、変速比が変更
される場合、その変更の速度は、変速比の目標値が相対
的に小さい値の場合に、より遅くされ、したがって変速
モードの切り換えの直後に急激なアップシフトが生じな
いように構成してあるので、空走感が生じることを回避
され、ひいてはドライバビリテイを向上させることがで
きる。
【0100】請求項9の発明によれば、手動変速モード
から自動変速モードへの切り換えに伴って変速が生じる
場合、その変速の変速速度を抑制する期間を、変速モー
ドの切り換えから所定時間の間に制限するように構成し
てあるので、変速の全体に要する時間が短縮され、変速
制御の遅れを回避することができる。
【0101】さらに、請求項10の発明によれば、手動
変速モードから自動変速モードへの切り換え直後に、変
速比の目標値の変更に伴って変速比が変更される場合で
あっても、その変速速度を抑制して急激なアップシフト
が生じないように構成してあるので、空走感が生じるこ
とを回避でき、また、変速速度の抑制は変速モードの切
り換え直後の所定時間に限られので、変速制御の遅れを
防止でき、ひいてはドライバビリテイを向上させること
ができる。
【0102】そして、請求項11の発明によれば、車速
の増大や要求駆動量の低下などの走行状態もしくは運転
状態の変更が生じても、変速比が手動操作で設定された
下限値以下に低下しないように構成してあるので、登坂
時には駆動力を確保でき、また降坂時には動力源ブレー
キ力を確保できるなど、駆動性能を良好に維持でき、さ
らに要求駆動量が増大するなどの走行状態もしくは運転
状態の変更が生じた場合には、変速比が増大する方向に
制御されるので、要求駆動量に応じた動力性能を確保で
き、総じてドライバビリテイを向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る変速制御装置による自動変速
モードから手動変速モードへの切り換えと同時にダウン
シフト操作された場合の変速比下限値の変化速度の制御
例を示すフローチャートである。
【図2】 図1の制御で設定される手動変速モードへの
切換時点の変速比幅の数例を自動変速モードでの変速比
幅と対比して示す説明図である。
【図3】 図1の制御を実行した場合の変速比下限値の
変化の一例を示すタイムチャートである。
【図4】 この発明に係る変速制御装置による自動変速
モードから手動変速モードへの切り換えと同時にダウン
シフト操作された場合の変速比の変化速度の制御例を示
すフローチャートである。
【図5】 図4に示す制御を実行した場合の変速比下限
値および実変速比の変化の一例を示すタイムチャートで
ある。
【図6】 この発明に係る変速制御装置による手動変速
モードから自動変速モードへの切り換えに伴う変速比下
限値の復帰制御の一例を説明するためのフローチャート
である。
【図7】 図6に示す制御で実行される変速比下限値の
変化速度の設定例を示す図である。
【図8】 図6に示す制御で実行される変速比下限値の
変化速度の他の設定例を示す図である。
【図9】 図6に示す制御で実行される変速比の変化速
度の設定例を示す図である。
【図10】 図6に示す制御で実行される変速比の変化
速度の他の設定例を示す図である。
【図11】 自動変速モードおよび手動変速モードのそ
れぞれで自動的に実行される変速の変速速度の例を示す
図である。
【図12】 自動変速モードおよび手動変速モードのそ
れぞれで自動的に実行される変速の変速速度の他の例を
示す図である。
【図13】 この発明で対象とする無段変速機を有する
車両の駆動系統および制御系統の一例を模式的に示すブ
ロック図である。
【図14】 そのシフト装置におけるシフトポジション
の一例を示す図である。
【図15】 ステアリングホイールに設けたアップスイ
ッチおよびダウンスイッチの例を示す模式図である。
【図16】 変速比変化速度調整機構の一例を模式的に
示す図である。
【図17】 無段変速機で設定される変速比と車速に対
する入力回転数との関係を示す図である。
【図18】 手動変速モードでの変速比下限値および変
速比変化速度の表示例を模式的に示す図である。
【図19】 この発明に係る変速制御装置に対する入出
力信号を例示するブロック図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機構、 6…電子制御装置、
7…加減速操作装置、 10…無段変速機、 13…
電子制御装置、 14…シフト装置、 15…レンジ選
択機構、 SU ,SU2…アップスイッチ、 SD ,SD2
…ダウンスイッチ。
フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA06 MA12 MA18 NA01 NB01 PA19 PA33 RA24 SA32 SB02 TB11 VA32Z VA48Z VA62Z VA68Z VA70Z VA74W VA76W VB04Z VC01Z VC07Z VC10Z VD02Z VD11Z VD17Z VD18Z VE10Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速比を運転状態に基づいて設定する自
    動変速モードと、手動操作に基づいて変速比を変更可能
    な手動変速モードとを選択することのできる無段変速機
    の変速制御装置において、 自動変速モードから手動変速モードへの切り換え直後の
    変速の変速速度を、自動変速モードから手動変速モード
    への切り換え直後以外の手動操作に基づく通常の変速の
    際の変速速度より遅くする変速速度抑制手段を備えてい
    ることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記変速速度抑制手段が、自動変速モー
    ドから手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速幅
    が大きいほど、その変速の変速速度を遅くするように構
    成されていることを特徴とする請求項1に記載の無段変
    速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変速速度抑制手段が、自動変速モー
    ドから手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速速
    度を、前記自動変速モードから手動変速モードへの切り
    換え時点から予め定めた所定時間の間、前記通常の変速
    の際の変速速度より遅くするように構成されていること
    を特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の変
    速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記変速速度抑制手段が、自動変速モー
    ドから手動変速モードへの切り換え直後の変速で変更さ
    れる変速比に関する目標値の変化量を、前記自動変速モ
    ードから手動変速モードへの切り換え時点から予め定め
    た所定時間の間、低下させるように構成されていること
    を特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の変
    速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記手動変速モードでは変速比の下限値
    が手動操作によって設定され、かつ手動変速モードでの
    走行状態に基づく変速比がその下限値より小さくならな
    いように制御するように構成されていることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の無段変速機の変
    速制御装置。
  6. 【請求項6】 変速比を運転状態に基づいて設定する自
    動変速モードと、手動操作に基づいて変速比を変更可能
    な手動変速モードとを選択することのできる無段変速機
    の変速制御装置において、 手動変速モードから自動変速モードへの切り換え直後の
    変速の変速速度を、手動操作に基づく変速の際の変速速
    度より遅くする変速速度抑制手段を備えていることを特
    徴とする無段変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】 前記変速速度抑制手段が、自動変速モー
    ドから手動変速モードへの切り換え直後の変速の変速幅
    が大きいほど、その変速の変速速度を遅くするように構
    成されていることを特徴とする請求項6に記載の無段変
    速機の変速制御装置。
  8. 【請求項8】 前記変速速度抑制手段が、前記手動変速
    モードから自動変速モードへの切り換え直後の変速速度
    を、その手動変速モードから自動変速モードへの切り換
    えに伴う変速による変速比に関する目標値が相対的に小
    さいほど遅くするように構成されていることを特徴とす
    る請求項6に記載の無段変速機の変速制御装置。
  9. 【請求項9】 前記変速速度抑制手段が、前記手動変速
    モードから自動変速モードへの切り換え時点から予め定
    めた所定時間の間、変速速度を遅くするように構成され
    ていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに
    記載の無段変速機の変速制御装置。
  10. 【請求項10】 前記変速速度抑制手段が、前記手動変
    速モードから自動変速モードへの切り換え直後の変速比
    に関する目標値の変更量を、前記手動変速モードから自
    動変速モードへの切り換え時点から予め定めた所定時間
    の間、低下させるように構成されていることを特徴とす
    る請求項6ないし8のいずれかに記載の無段変速機の変
    速制御装置。
  11. 【請求項11】 前記手動変速モードでは変速比の下限
    値が手動操作によって設定され、かつ手動変速モードで
    の走行状態に基づく変速比がその下限値より小さくなら
    ないように制御するように構成されていることを特徴と
    する請求項6ないし10のいずれかに記載の無段変速機
    の変速制御装置。
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