JP4269488B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無段変速機の変速比を制御する装置に関し、特に車両の運転状態に基づいて変速を実行する自動変速モードと運転者の選択操作によって変速比を設定する手動変速モードとを選択することのできる無段変速機の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関を動力源とする車両に無段変速機を搭載することの利点は、無段変速機の変速比を無段階に設定できることにより、内燃機関の回転数を最適燃費での運転状態となる回転数に設定できることにある。したがって無段変速機の変速比の制御は、一般的には、車速やアクセル開度などの運転状態に基づいておこなう必要があるので、電子制御装置などを用いた自動変速制御によっておこなわれる。
【0003】
しかしながら車両には多様な運転状態に対応するために大きな加速力や制動力が要求され、駆動力の選択の自由度が高いことが望まれる。そこで、従来、無段変速機の変速比を車両の運転状態に基づいて設定する自動変速モードに加えて、運転者の選択操作に基づいて変速を実行する手動変速モードを可能にした変速制御装置が開発されている。この種の装置で設定される手動変速モードは、従来の一般的な手動変速機を搭載した車両で得られる走行特性に近い走行特性を得るように構成されている。そのため、アクセルペダルを踏み込むなどの加速操作あるいはアクセルペダルを戻してエンジンブレーキを効かせる減速操作に応じて、比較的鋭敏に加速力や制動力が生じるように変速特性が設定されている。
【0004】
このような変速特性は、従来の手動変速機が有段式の変速機であることが要因となって不可避的に生じる面もあり、必ずしもすべての点で好ましいものとは言い得ない。すなわち、ハイギヤを選択した状態でアクセルペダルを踏み込んでも、変速比がハイギヤに維持されることにより、駆動力が不足し、これが原因で運転性が悪化することがある。このような不都合を解消するために、特開平9−203460号公報に記載された変速制御装置のように、手動変速モードにおいても変速比が自動的に変化するように構成することが考えられる。
【0005】
すなわちこの公報に記載された変速制御装置は、車速とエンジンの負荷とに基づいて目標変速比を連続的に設定する自動変速モードと、手動操作に基づく信号によって変速段を設定するマニュアルモードとを選択できるように構成され、さらにそのマニュアルモードではアクセルペダルの操作に基づいて目標変速比が変更されるようになっている。したがって、マニュアルモードにおいても、アクセル操作に応じて変速比が変化するために、例えばハイギヤを選択している状態でアクセルペダルを踏み込んだ場合には、ローギヤ側への変速が生じるので、駆動力の不足を回避することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、手動変速機を搭載した車両では、ハイギヤを選択している状態でアクセルペダルを踏み込むなどの加速操作をおこなっても、駆動力が特には大きくないために直ちにエンジンの回転数が上昇することはなく、またローギヤを選択している状態でアクセルペダルを戻すなどの減速操作をおこなうと、エンジンの回転を強制的に引き上げることによるエンジンブレーキが効く。このように、手動変速機ではアクセル操作に関連する所定の挙動があり、これがいわゆるダイレクト感として運転者に感受されている。
【0007】
これに対して上記の公報に記載された制御装置では、マニュアルモードにおいてもアクセル操作に応じて変速が生じるので、例えばハイギヤ側の変速段を選択している状態でアクセルペダルを踏み込むと、いわゆるダウンシフトが生じて駆動力が大きくなるが、それに合わせてエンジン回転数が上昇し、手動変速機では生じない車両の挙動が体感される場合が生じる。また、ローギヤ側の変速段を選択している状態でアクセルペダルを戻すと、いわゆるアップシフトが生じて変速比が小さくなるので、エンジンブレーキ力が小さくなり、またエンジン回転数の上昇が緩和され、これも手動変速機にはない挙動として体感される。
【0008】
このように、上記の公報に記載された従来の装置では、手動操作に基づいて変速比を設定する変速モードであるにも拘わらず、手動変速機とは異なる自動変速機での挙動が運転者に体感されることがあり、そのため、上述した手動変速機でのダイレクト感もしくはこれに近似した感触が得られず、これが運転性を損なう要因となる可能性があった。
【0009】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、駆動力の不足を回避しつつ手動変速機でのダイレクト感に近似した走行感触を得られる手動変速モードの可能な無段変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、この発明は、手動変速モードにおいても加減速操作に応じて変速を生じさせるように構成するとともに、手動変速モードでの変速速度を自動変速モードでの変速速度より遅くしたことを特徴とした無段変速機の変速制御装置である。より具体的には、請求項1の発明は、車両の運転状態に応じて無段変速機の変速比が制御される自動変速モードと、運転者が選択した所定の変速比となるよう無段変速機の変速比が制御されるとともに、加減速操作に基づいて無段変速機の変速比が変更される手動変速モードとを選択可能な無段変速機の変速制御装置において、前記手動変速モードが選択されているときの加減速操作に伴う変速速度を、前記自動変速モードが選択されているときの変速速度に比べて、変速が体感されない程度の速度として予め定めた遅い速度に遅くする変速速度制御手段を備えていることを特徴とする変速制御装置である。
【0011】
したがって請求項1の発明では、手動操作に基づいて変速比が変更される手動変速モードにおいて、アクセルペダルの操作などの加減速操作に応じて変速が生じるが、その変速速度が、車両の運転状態に応じて変速が生じる自動変速モードでの変速速度より遅い。そのため、手動変速モードでの変速を体感しにくくなり、もしくは体感されないので、手動変速機で得られるいわゆるダイレクト感に近い走行感触を得ることができ、またハイギヤを選択している状態での加速操作によって変速比が増大するので、駆動力の不足が回避され、その結果、車両の全体としての運転性が良好になる。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記手動変速モードが選択され、かつ運転者がハイギヤ側の所定の変速比を選択しているときにのみ、加減速操作に基づいて無段変速機の変速比が変更されるよう構成されていることを特徴とする変速制御装置である。
【0013】
したがって請求項2の発明では、請求項1の発明による作用に加えて、手動変速モードでの加減速操作に基づく変速は、ハイギヤ側の変速比が選択されている場合に限って生じる。例えば、ハイギヤ側の所定の変速比が選択されている状態で加速操作されることにより変速比がローギヤ側の所定の変速比に変更され、そのため、駆動力が増大して運転性が維持される。また、ローギヤ側の所定の変速比が選択されている場合には、加減速操作に基づく変速が生じないので、いわゆる手動変速モードでのダイレクト感が良好になる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、請求項1もしくは2の構成に加えて、前記手動変速モードにおける加減速操作に基づく変速比の変更幅が、運転者により選択される変速比がハイギヤ側ほど大きくなるよう構成されていることを特徴とする変速制御装置である。
【0015】
したがって請求項3の発明では、請求項1の発明による作用もしくは請求項2の発明による作用に加えて、手動変速モードで加減速操作された場合の変速比の変化幅が、選択されている変速比がハイギヤ側ほど大きくなる。したがってハイギヤ側の変速比が選択されている状態で加速操作をおこなうと、ローギヤ側の変速比が選択されている場合に比較して、変速比が大きく変化し、その結果、駆動力が確保されて運転性が良好になる。また、ローギヤ側の変速比が選択されている状態では、加減速操作に伴う変速幅が小さいので、いわゆるダイレクト感が維持され、この点においても車両の運転性が良好になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明が対象とする車両の動力伝達系統の一例を説明すると、図6において、動力源1が変速機構2に連結され、その変速機構2の出力軸3がディファレンシャル4を介して左右の駆動輪5に連結されている。ここで、動力源1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータなどの電動機、さらにはこれら内燃機関と電動機とを組み合わせた装置など、車両に使用可能な種々の動力源を含む。以下の説明では、動力源1として、燃料をシリンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミングを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能ないわゆる直噴ガソリンエンジン、あるいはスロットル開度を電気的に自由に制御できる電子スロットルバルブを備えたガソリンエンジンを採用した例を説明する。
【0017】
このエンジン1は電気的に制御できるように構成されており、その制御のためのマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(E−ECU)6が設けられている。この電子制御装置6は、少なくともエンジン1の出力を制御するように構成されており、その制御のためのデータとして出力軸回転数(エンジン回転数)NE とアクセル開度PAなどの要求駆動量とが入力されている。
【0018】
この要求駆動量は、要は、エンジン1の出力の増大・減少のための信号であり、運転者が操作するアクセルペダルなどの加減速操作装置7の操作量信号やその操作量を電気的に処理して得た信号を採用することができ、またそれ以外に、車速を設定車速に維持するためのクルーズコントロールシステム(図示せず)などからの要求駆動量信号を含む。
【0019】
また、変速機構2は、流体伝動機構8と、前後進切換機構9と、無段変速機(CVT)10とから構成されている。その流体伝動機構8は、要は、オイルなどの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間でトルクを伝達するように構成された装置であって、一例として、一般の車両に採用されているトルクコンバータを挙げることができる。また、この流体伝動機構8は、直結クラッチ11を備えている。すなわち直結クラッチ11は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの機械的手段で直接連結するように構成されたクラッチであって、緩衝をおこなうためのコイルスプリングなどの弾性体からなるダンパー12を備えている。なお、車両が停止している状態であってもエンジン1を駆動させ続けるために流体伝動機構8を設けている場合には、車両の状態に基づいて自動的に断続される自動クラッチを、上記の流体伝動機構8に置換して使用することができる。
【0020】
その流体伝動機構8の入力部材がエンジン1の出力部材に連結され、また流体伝動機構8の出力部材が前後進切換機構9の入力部材に連結されている。この前後進切換機構9は、一例としてダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、特には図示しないが、サンギヤとキャリヤとのいずれか一方を入力要素とし、かつ他方を出力要素とするとともに、リングギヤを選択的に固定するブレーキ手段と、サンギヤおよびキャリヤならびにリンクギヤの3要素のうちのいずれか2つの回転要素を選択的に連結して遊星歯車機構の全体を一体化するクラッチ手段とを備えている。すなわちそのクラッチ手段を係合させることにより前進状態を設定し、また前記ブレーキ手段を係合させることにより後進状態を設定するように構成されている。
【0021】
図6に示してある無段変速機10は、その入力側の部材の回転数と出力側の部材の回転数との比率すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させることのできる機構であり、ベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機などを採用することができる。そのベルト式無段変速機10の一例を図7を参照して簡単に説明すると、駆動側プーリー(プライマリープーリー)20と、従動側プーリー(セカンダリープーリー)21と、これらのプーリー20,21に巻き掛けられたベルト22とを備えている。これらのプーリー20,21のそれぞれは、固定シーブ23,24と、その固定シーブ23,24に対して接近・離隔する可動シーブ25,26とからなり、可動シーブ25,26を固定シーブ23,24に対して接近する方向に押圧する油圧アクチュエータ27,28が設けられている。
【0022】
上記の駆動側プーリー20が入力軸29に取り付けられ、その入力軸29と平行に配置された出力軸30に従動側プーリー21が取り付けられている。そして、従動側プーリー21における油圧アクチュエータ28には、アクセル開度PAに代表される要求駆動力に応じた油圧が供給され、トルクを伝達するのに必要な張力をベルト22に付与するようになっている。また、駆動側プーリー20の油圧アクチュエータ27には、入力軸29の回転数を目標入力回転数に一致させるための変速比となるように、油圧が給排されている。すなわち、各プーリー20,21における溝幅(固定シーブ23,24と可動シーブ25,26との間隔)を変化させることにより、各プーリー20,21に対するベルト22の巻き掛け半径が大小に変化して変速が実行されるようになっている。
【0023】
したがって図7に示す無段変速機10では、駆動側プーリー20に対するベルト22の巻き掛け半径が最小でかつ従動側プーリー21に対するベルト22の巻き掛け半径が最大の状態で、最低速側の変速比(最大変速比)γmax が設定され、また、これとは反対に駆動側プーリー20に対するベルト22の巻き掛け半径が最大でかつ従動側プーリー21に対するベルト22の巻き掛け半径が最小の状態で、最高速側の変速比(最小変速比)γmin が設定される。
【0024】
上記の変速機構2における直結クラッチ11の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制御および前後進切換機構9での前後進の切り換えならびに無段変速機10での変速比の制御は、基本的には、車速やアクセル開度などで表される車両の走行状態に基づいて制御されるようになっている。その制御のためにマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御装置(T−ECU)13が設けられている。
【0025】
この電子制御装置13は、前述したエンジン用の電子制御装置6とデータ通信可能に連結される一方、制御のためのデータとして車速SPDや変速機構2の出力回転数No 、入力回転数NINなどのデータが入力されている。また、変速機構2を停止状態(パーキングポジション:P)、後進状態(リバースポジション:R)、中立状態(ニュートラルポジション:N)、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定して通常の走行をおこなう自動前進状態(ドライブポジション:D)、エンジン1のポンピングロスを制動力とする状態(ブレーキポジション:B)ならびに所定値以上の高速側の変速比の設定を禁止する状態(SDポジション)の各状態(ポジション)を選択するレンジ切換装置14が設けられており、このレンジ切換装置14が電子制御装置13に電気的に連結されている。
【0026】
上記の変速機構2は、自動変速モードと手動変速モードとを選択できるように構成されており、そのモードの選択をおこなうためのモード選択装置15が設けられている。このモード選択装置15は、人為的に操作されて信号を電子制御装置13に出力する装置であって、前記のレンジ切換装置14に設けられたシフトレバーを移動させることにより動作させられるスイッチやステアリングホイールに設けられた押しボタンスイッチ(それぞれ図示せず)などによって構成されている。
【0027】
このモード選択装置15によって選択される自動変速モードは、車両の運転状態に応じて無段変速機10の変速比が制御される変速の態様であり、その制御の一例を簡単に説明すると、自動変速モードでは、アクセル開度などの要求駆動量と車速などの走行条件とに基づいて要求駆動力が演算され、その要求駆動力に基づいて要求出力が求められる。その要求出力を最適燃費の運転状態で発生させるための回転数が目標出力回転数(無段変速機10に対しては目標入力回転数)として求められ、実際の入力回転数がその目標入力回転数となるように無段変速機10の変速比が制御される。また、要求出力とエンジン回転数とに基づいて目標出力トルクが算出され、エンジン1のスロットル開度や燃料量がその目標出力トルクを出力するように制御される。
【0028】
これに対して手動変速モードは、人為的な操作によって選択された所定の変速比となるように無段変速機10の変速比が制御される変速の態様である。その選択される所定の変速比は、無段変速機10で設定できる最大変速比γmax と最小変速比γmin との間で予め定めた変速比であり、その例を図2に線図で示してある。この図2に示す例は、前進6速の6つのギヤ段を選択できるように構成した例であり、第1速(1st)は無段変速機10で設定可能な最大変速比γmaxとされている。また第2速(2nd)、第3速(3rd)、第4速(4th)および第5速(5th)のそれぞれは、互いに所定の間隔をあけた変速比として定められている。そして、最もハイギヤ側の第6速(6th)は、第5速の変速比から最小変速比γmin までの間のある程度の幅を持った変速比のギヤ段として定められている。
【0029】
すなわち第1速ないし第5速のいずれかのギヤ段を選択した場合には、それぞれに割り当てられた特定の変速比が設定されるとともに、車両の運転状態が変化してもその変速比が維持される。これに対して第6速のギヤ段は、これが選択された場合、その変速比幅の中のいずれかの変速比が設定され、かつ車両の運転状態(例えばアクセル開度PA)が変化することに応じて変速比が変更されるようになっている。なお、この第6速での変速比の変更は、前述した自動変速モードでの変速と同様に、要求駆動力に基づいて求められる目標入力回転数となるように無段変速機10の変速比を変更する制御であってよい。
【0030】
手動変速モードでは、このように人為的操作で変速比を選択する必要があるので、その変速比の選択をおこなうシフト装置16が、前記電子制御装置13およびモード選択装置15に接続して設けられている。このシフト装置16は、上記のモード選択装置15によって手動変速モードが選択された場合に有効化される(アクティブにされる)装置であって、上記の第1速ないし第6速のそれぞれに対応して設けられた6つのスイッチ、あるいは現在の変速比に対してアップシフトさせるスイッチおよびダウンシフトさせるスイッチ、さらにはハイギヤ側の変速比を順次禁止するダウンレンジスイッチおよび現在の変速比に対してハイギヤ側の変速比を順次許可するアップレンジスイッチなどによって構成することができる。
【0031】
また、シフト装置16を構成するこの種のスイッチは、シフトレバーを備えた前記レンジ切換装置14にシフトレバーによって操作されるように設けてもよく、あるいは前記モード選択装置15と併せてステアリングホイールに設けてもよく、その他、センターコンソールやインストルメントパネルなどに設けてもよい。
【0032】
上記の無段変速機10での変速は、上述したように車両の運転状態の変化や人為的な変速操作に基づいて生じるが、図7に示すベルト式の無段変速機10ではその駆動側プーリー20における油圧アクチュエータ27に油圧を給排することにより、変速が実行されるので、変速速度は、先ずは、その油圧系統の特性によって制限を受ける。また、フィードバック制御によって変速比を制御する場合には、オーバーシュートを避けるために変速速度を抑制する必要があり、この点でも変速速度が制約を受ける。これに対して、変速の応答遅れを防ぐために、変速速度は速いことが要求され、また変速過渡では変速速度を速くしてもオーバーシュートを生じない場合があり、その点では変速速度を速くすることができる。
【0033】
このように変速速度には各種の制約要因と可及的に速くすることに対する要求とがあるが、この発明の変速制御装置は、これに加えて、自動変速モードと手動変速モードとで変速速度を異ならせるように構成されている。具体的には、手動変速モードにおいて、車両の運転状態の変更により変速が生じる場合、その変速速度が、自動変速モードでの変速速度より遅くなるように構成されている。
【0034】
図1はその変速速度を設定するための制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、先ず、アクセル開度PAおよび車速SPDが読み込まれる(ステップS1)。ついで手動変速モードが選択されているか否かが判断される(ステップS2)。これは、前述したモード選択装置15から出力される信号に基づいて判断することができる。
【0035】
手動変速モードが選択されていることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、変速ギヤ段が決定される(ステップS3)。すなわち前述した第1速ないし第6速のうちシフト装置16によって選択されている変速比が、そのシフト装置16からの出力信号に基づいて決定される。
【0036】
さらに、現時点で前記シフト装置16を操作することによる変速が実行されている最中か否かが判断される(ステップS4)。人為的操作に基づいて変速が実行されていることによりステップS4で肯定的に判断された場合には、変速速度ガード値として、第1変速速度が設定される(ステップS5)。この変速速度ガード値は、変速速度の上限を規定する値であり、特別な事情がない限りその変速速度ガード値で定まる速度で変速が実行される。
【0037】
これに対して人為的操作に基づく変速が実行されていないことによりステップS4で否定的に判断された場合には、変速速度ガード値として、第2変速速度が設定される(ステップS6)。すなわち手動変速モードが選択されていて、しかも人為的操作に基づく変速中でない場合には、第2変速速度が設定され、手動変速モードにおける車両の運転状態に基づく変速が、その第2変速速度で実行される。そして、その第2変速速度は前記第1変速速度より遅い速度である。なお、手動変速モードにおけるこのような変速は、図2に示すシフトパターンを備えている場合には、第6速が選択されている場合に生じる。
【0038】
すなわち手動変速モードでの変速は、シフト装置16を操作してギヤ段を変更する場合と、第6速が選択されていて、かつ車両の運転状態が変化した場合とで生じるが、前者の人為的操作による場合には、運転者が変速を意図しているので、可及的に速い速度で変速を生じさせ、手動変速機での変速に近似した変速応答性を達成する。これに対して第6速での変速は、手動変速モードでありながら自動的に変速比が変化する変速であるから、運転者が手動変速モードを選択している意図とは異なる変速となり、したがって例えばアクセルペダルが踏み込まれることによる要求駆動力をある程度満たしつつ、エンジン回転数が急激に増大するなどの変速を実感させない程度のゆっくりとした変速で変速を生じさせる。言い換えれば、第2変速速度はこのような変速を生じさせる速度として設定されている。
【0039】
なお、自動変速モードが選択されていることによりステップS2で否定的に判断された場合には、変速速度ガード値として第3変速速度が設定される(ステップS7)。この第3変速速度は自動変速モードでの変速速度を規定する値であり、より具体的には、アクセルペダルなどの加減速操作装置7による加減速操作をおこなったことに伴う変速が、応答遅れ感を生じさせず、かつショックを生じさせない程度の速度で生じるように第3変速速度が設定されている。したがってこの第3変速速度は、手動変速モードでの第2変速速度より速い速度であり、人為的操作に基づく変速の際の速度を規定する第1変速速度と同等もしくは近似した速度である。
【0040】
したがってこのような変速を実行するこの発明に係る変速制御装置によれば、手動変速モードで加速操作をおこなった場合、上記の第6速が選択されていれば、変速比が第6速の変速比幅の中で低速側の変速比に変化し、すなわちダウンシフトが生じ、その結果、駆動力が確保される。また、その変速はダウンシフトが体感もしくは知覚されない程度のゆっくりした速度で実行されるので、手動変速モードであることによるいわゆるダイレクト感が損なわれることがない。
【0041】
なお、上記の例では、最もハイギヤ側の第6速が所定の変速比幅を持った前進6段のギヤ段を選択できるように構成した例を示したが、この発明で採用することのできるシフトパターン(あるいはギヤ段列)は、例えば図3に示すように、ハイギヤ側の第5速と第6速とが所定の変速比幅を持ち、かつ第5速に対して第6速の変速比幅が広いシフトパターン(あるいはギヤ段列)であってもよい。
【0042】
あるいは図4に示すように、第1速ないし第6速のすべてのギヤ段が所定の変速比幅を持ち、それぞれのギヤ段において車両の運転状態の変更に伴って変速が生じるように構成してもよい。その場合においても、ハイギヤ側ほど変速比幅を広くする。こうすることにより、加速要求があった場合の駆動力の確保が、より確実になり、もしくは要求に即した駆動力を得ることが容易になる。
【0043】
さらに、複数のギヤ段に変速比幅を持たせる場合、図5に示すように、隣接するギヤ段での変速比を一部、オーバーラップさせるようにしてもよい。そしてまた、選択できるギヤ段は、第6速に限られないのであって、それより多くてもよく、あるいは反対に少なくてもよい。
【0044】
ここで、上記の具体例とこの発明の関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS6の機能的手段が、この発明における変速速度制御手段に相当する。また、前述した図2あるいは図3に示すシフトパターン(あるいはギヤ段列)を備えている変速制御装置が、請求項2における変速制御装置に相当する。さらに、図3ないし図5に示すいずれかのシフトパターン(あるいはギヤ段列)を備えている変速制御装置が、請求項3における変速制御装置に相当する。
【0045】
なお、上記の具体例では、ベルト式の無段変速機を例にとって説明したが、この発明は、これ以外の形式の無段変速機を備えた車両の変速制御装置に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、手動操作に基づいて変速比が変更される手動変速モードにおいて、アクセルペダルの操作などの加減速操作に応じて変速が生じるが、その変速速度が、車両の運転状態に応じて変速が生じる自動変速モードでの変速速度より遅いため、手動変速モードでの変速を体感しにくくなり、もしくは体感されない。その結果、手動変速機で得られるいわゆるダイレクト感に近い走行感触を得ることができ、またハイギヤを選択している状態での加速操作によって変速比が増大するので、駆動力の不足が回避され、車両の全体としての運転性を良好なものとすることができる。
【0047】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明による効果に加えて、手動変速モードでの加減速操作に基づく変速は、ハイギヤ側の変速比が選択されている場合に限って生じ、例えば、ハイギヤ側の所定の変速比が選択されている状態で加速操作されることにより変速比がローギヤ側の所定の変速比に変更され、そのため、駆動力が増大して運転性を維持することができる。また、ローギヤ側の所定の変速比が選択されている場合には、加減速操作に基づく変速が生じないので、いわゆる手動変速モードでのダイレクト感を良好なものとすることができる。
【0048】
さらに、請求項3の発明によれば、請求項1の発明による効果もしくは請求項2の発明による効果に加えて、手動変速モードで加減速操作された場合の変速比の変化幅が、選択されている変速比がハイギヤ側ほど大きくなり、したがってハイギヤ側の変速比が選択されている状態で加速操作をおこなうと、ローギヤ側の変速比が選択されている場合に比較して、変速比が大きく変化し、その結果、駆動力が確保されて運転性を良好なものとすることができる。また、ローギヤ側の変速比が選択されている状態では、加減速操作に伴う変速幅が小さいので、いわゆるダイレクト感が維持され、この点においても車両の運転性を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る変速制御装置で実行される制御例を示すフローチャートである。
【図2】 手動変速モードで選択することのできるギヤ段の一例を示す線図である。
【図3】 手動変速モードで選択することのできるギヤ段の他の例を示す線図である。
【図4】 手動変速モードで選択することのできるギヤ段の更に他の例を示す線図である。
【図5】 手動変速モードで選択することのできるギヤ段のまた更に他の例を示す線図である。
【図6】 この発明で対象とする車両の駆動系統およびその制御系統を模式的に示すブロック図である。
【図7】 その無段変速機の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機構、 6…電子制御装置、 7…加減速操作装置、 10…無段変速機、 13…電子制御装置、 14…レンジ切換装置、 15…モード選択装置、 16…シフト装置。

Claims (3)

  1. 車両の運転状態に応じて無段変速機の変速比が制御される自動変速モードと、運転者が選択した所定の変速比となるよう無段変速機の変速比が制御されるとともに、加減速操作に基づいて無段変速機の変速比が変更される手動変速モードとを選択可能な無段変速機の変速制御装置において、
    前記手動変速モードが選択されているときの加減速操作に伴う変速速度を、前記自動変速モードが選択されているときの変速速度に比べて、変速が体感されない程度の速度として予め定めた遅い速度に遅くする変速速度制御手段を備えていることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 前記手動変速モードが選択され、かつ運転者がハイギヤ側の所定の変速比を選択しているときにのみ、加減速操作に基づいて無段変速機の変速比が変更されるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  3. 前記手動変速モードにおける加減速操作に基づく変速比の変更幅が、運転者により選択される変速比がハイギヤ側ほど大きくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の無段変速機の変速制御装置。
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