明細書
有機エレクト口ルミネッセンス表示装置及びその製造方法 技術分野
本発明は、 電子及びホールの注入によって発光する有機化合物材料のエレク トロルミネッセンス (以下、 E Lともいう) を利用した有機 E L材料の薄膜か らなる発光層を備えている有機 E L素子からなる複数の発光部が規則的に配置 された表示配列を有する有機 E L表示装置に関する。
背景技術
有機 E L素子の複数をマトリクス状に配列して構成される有機 E L表示装置 は、 低消費電力及び高表示品質並びに薄型化が可能なディスプレイとして注目 されている。
有機 E L素子は、 例えばインジウム錫酸化物いわゆる I T Oからなる透明電 極が形成されたガラス板などの透明基板上に、 有機電子輸送層、 有機発光層、 有機ホール輸送層などの少なくとも 1層の有機材料層、 及び金属電極が積層さ れた自発光素子として知られている。 透明電極の陽極に正、 金属電極の陰極に 負の電圧を加えることにより、 電荷が蓄積され、 続いて素子固有の障壁電圧ま たは発光閾値電圧を越えると、 電流が流れ初め、 この直流にほぼ比例した強度 で発光する。
有機 E L素子を用いた表示パネルとして、 有機 E L素子を単にマトリクス状 に配置した単純マトリクス型表示パネルと、 マトリクス状に配置した有機 E L 素子の各々にトランジスタからなる駆動素子を加えたァクティブマトリクス型
表示パネルがある。 ァクティブマトリクス型表示パネルは単純マトリクス型表 示パネルに比べて、 低消費電力であり、 また画素間のクロストークが少ないな どの利点を有し、 特に大画面ディスプレイや高精細度ディスプレイに適してい る。
アクティブマトリクス駆動方式の表示装置は、 発光部毎に、 例えばポリシリ コンからなる薄膜トランジスタ (TFT) を用いたスイッチングによって画素 毎に電流を供給して有機 EL素子を発光させるようにしたものである。 TFT には MOS— FET (Me t a l Ox i d e S em i c ondu c t o r F i e l d E f f e c t Tan s i s t o r) が用いられている。
MOS-F E Tでは例えばガラス基板上にポリシリコンからなる 2つの反転 伝導領域を形成し、 該反転伝導領域間の基板表面上に酸化物 S i〇2薄膜、 金 属ゲート電極を順に設け、 金属ゲート電極から印加される電界により、 伝導性 を制御するものである。 したがって、 ディスプレイ基板に高温処理を必要とす るポリシリコン基板などが必要であり、 その上に S iなど無機材料の成膜が必 要であるので、 高温プロセスがその製造に用いられる。
表示装置としては大型ディスプレイパネルに対する需要が多く、 低温ポリシ リコン基板が開発されている。しかし当該基板は製造時に低温とはいえ 500°C 程度の加熱処理を必要とする。 いずれにしても、 無機材料 TFTをアクティブ マトリクス駆動方式の有機 E L表示装置の大型ディスプレイパネルに用いると、 表示装置の高価格化は避けられない。
そこで、 対向する 1対の電極の間に成膜された有機材料からなる有機半導体 膜を備えた有機 T FTが提案されている。 この有機 T FTを用いて有機 EL素
子を駆動することができると考えられる。
しかし、 具体的な有機 T F T構造は提案されていない。 また、 有機 T F Tで 駆動する有機 E L素子に構造上不可欠な有機半導体材料、 有機材料層 1 5 bは 共に耐熱性、 耐溶剤性、 耐湿性などが非常に弱く、 実用的な有機 E L表示パネ ルを実現するのが困難であった。
発明の開示
そこで、 本発明の解決しょうとする課題には、 比較的低温で作成できる有機 薄膜トランジス夕及び有機 E L素子を共通の基板上に形成した有機 E L表示装 置を提供することがー例として挙げられる。
本発明の有機 E L表示装置は、 基板と、 前記基板上に形成されかつ各々が有 機 E L素子及び前記有機 E L素子に接続された有機薄膜トランジスタを含む複 数の発光部と、 を含む有機 E L表示装置であって、
前記有機 E L素子は、 対向する 1対の電極と、 前記 1対の電極の間に積層さ れた有機発光層を含む有機材料層と、 を有し、
前記有機薄膜トランジスタは、 対向するソース電極及びドレイン電極と、 前 記ソ一ス電極及びドレイン電極の間にチヤネルを形成できるように積層された 有機半導体膜と、 前記ソース電極及びドレイン電極の間の前記有機半導体膜に 電界を印加せしめるゲート電極と、 を有し、
さらに、 前記発光部内において、 前記ソース電極及びドレイン電極間の短絡 を防止するソースドレイン絶縁膜、 前記有機半導体膜を保護する保護絶縁膜、 及び前記有機 E L素子の一方の電極の緣部を覆う画素絶縁膜を備え、 前記ソー スドレイン絶縁膜、 前記保護絶縁膜及び前記画素絶縁膜の少なくとも 2つが同
一誘電体材料からなることを特徴とする。
本発明の有機 E L表示装置の製造方法は、 基板と、 前記基板上に形成されか つ各々が有機 E L素子及び前記有機 E L素子に接続された有機薄膜トランジス 夕を含む複数の発光部と、 を含む有機 E L表示装置の製造方法であつて、 対向するソース電極及びドレイン電極と、 前記ソース電極及びドレイン電極 の間にチャネルを形成できるように積層された有機半導体膜と、 前記ソース電 極及びドレイン電極の間の前記有機半導体膜に電界を印加せしめるゲート電極 と、 を有する有機薄膜トランジスタを形成する工程と、
対向する 1対の電極と、 前記 1対の電極の間に積層された有機発光層を含む 有機材料層と、 を有する前記有機 E L素子を形成する工程と、
前記発光部内において、 前記ソース電極及びドレイン電極間の短絡を防止す るソースドレイン絶縁膜、 前記有機半導体膜を保護する保護絶縁膜、 及び前記 有機 E L素子の一方の電極の縁部を覆う画素絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程 と、 を含み、
前記ソースドレイン絶縁膜、 前記保護絶縁膜及び前記画素絶縁膜の少なくと も 2つが同一の誘電体材料からなり、 前記 2つが同一工程で形成されることを 特徴とする。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明による実施形態の有機 E L表示装置の表示パネルの構成を示 すブロック図である。
図 2は、 本発明による実施形態の有機 E L表示装置の発光部を示す回路図で ある。
図 3は、 本発明による実施形態の有機 E L表示装置の発光部を示す表示側か ら見た平面図である。
図 4は、 図 3の線 ABの断面図である。
図 5は、 本発明による実施形態の有機 E L表示装置の発光部における有機薄 膜トランジスタの断面図である。
図 6は、 本発明による他の実施形態の有機 E L表示装置の表示パネルの発光 部を示す断面図である。
図 7〜14は、 本発明による実施形態の有機 EL表示装置の表示パネルの製 造工程における基板の概略部分拡大平面図である。
図 1 5は、 本発明による他の実施形態の有機 EL表示装置の表示パネルの発 光部を示す断面図である。
発明を実施するための形態
以下に、 本発明による実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図 1に、 ァクティブマトリクス駆動方式による実施形態の有機 EL表示装置 を示す。 表示装置は、 表示パネル 10 1と、 アドレスドライバ 1 10と、 デー 夕ドライバ 120と、 コントローラ 130と、 を有している。
表示パネル 1 0 1は、 図 1に示すように、 それぞれ所定間隔で平行に形成さ れている n本の走査ライン SL l〜SLnとそれぞれ所定間隔で平行に形成さ れている m本のデータライン DL l〜DLmとを備えており、 走査ライン及び データラインは所定間隔を隔てて互いに直角となるように形成されている。 さ らに、 表示パネル 10 1は、 それぞれが走査ライン及びデータラインとの各交 点に対応する部分に形成されている nxm個の発光部 102を備えている。 各
走査ラインの一端はアドレスドライバ 1 10に接続され、 各デ一タラインの一 端はデータドライバ 120に接続されている。
アドレスドライバ 1 10は、 走査ライン SL 1〜3し11に1本ずっ順に電圧 を印加する。
デ一夕ドライバ 120は、 発光部 102を発光させるためのデ一夕電圧を、 デ—タライン DL:!〜 DLmに印加する。
コントローラ 130は、 アドレスドライバ 1 10及びデータドライバ 120 に接続され、 予め供給された画像データに従って、 アドレスドライバ 1 10及 びデ一夕ドライバ 120の動作を制御する。
発光部 102は、 図 2に示すように、 選択用トランジスタのアドレス有機 T
FT 1 1と、 駆動用トランジスタのドライブ有機 TFT 12と、 コンデンサ 1
3と、 有機 EL素子 15と、 から構成されている。
図 2において、 アドレス有機 TFT 1 1のゲート電極 Gは、 アドレス信号が 供給される走査ライン SLに接続され、 アドレス有機 TFT1 1のドレイン電 極 Dはデータ信号が供給されるデータライン DLに接続されている。 アドレス 有機 TFT 1 1のソース電極 Sはドライブ有機 TFT 12のゲート電極 Gに接 続され、 コンデンサ 1 3の一方の端子に接続されている。 ドライブ有機 TFT
1 2のソース電極 Sはコンデンサ 1 3の他方の端子と共に電源ライン Vc c L に接続されている。 ドライブ有機 TFT 12のドレイン電極 Dは有機 EL素子 1 5の陽極に接続され、 有機 EL素子 1 5の陰極は共通電極 17に接続されて いる。
図 2に示す電源ライン Vc c L及び各有機 EL素子 1 5の陰極が接続された
共通電極 17は、 これらに電力を供給する電圧源 (図示せず) に接続されてい る。
この回路の発光制御動作について述べると、 先ず、 図 2においてアドレス有 機 TFT 1 1のゲート電極 Gにオン電圧が供給されると、 アドレス有機 T FT 1 1はソース電極 Sに供給されるデ一夕の電圧に対応した電流をソース電極 S からドレイン電極 Dへ流す。 アドレス有機 T FT 1 1のゲート電極 Gがオフ電 圧であるとアドレス有機 TFT 1 1はいわゆるカツトオフとなり、 アドレス有 機 TFT 1 1のドレイン電極 Dはオープン状態となる。 従って、 アドレス有機 TFT 1 1のゲート電極 Gがオン電圧の期間に、 コンデンサ 13は充電され、 その電圧がドライブ有機 TFT 12のゲート電極 Gに供給されて、 ドライブ有 機 TFT 12にはそのゲート電圧とソース電圧に基づいた電流がソース電極 S からドレイン電極 Dへ流れ、 有機 EL素子 1 5を発光せしめる。 また、 ァドレ ス有機 T FT 1 1のゲ一ト電極 Gがオフ電圧になると、 ァドレス有機 T F T 1 1はオープン状態となり、 ドライブ有機 TFT 12はコンデンサ 1 3に蓄積さ れた電荷によりゲート電極 Gの電圧が保持され、 次の走査まで駆動電流を維持 し、 有機 EL素子 1 5の発光も維持される。
本発明による有機 T F Tにより駆動する有機 E L素子からなる有機 E L表示 パネルの構造を図 3と図 4に示す。 図 3の平面図に示すように、 有機 EL表示 パネルは、 1つの発光部ごとに、 有機 EL素子 1 5、 これを駆動するために必 要な複数の有機 T FT例えば、 アドレス有機 TFT 1 1及びドライブ有機 TF T 12、 並びに、 データ電圧の保持に必要なコンデンサ 1 3を含む。 この構成 を走査ライン SL、データライン DL及び電源ライン Vc c Lの各交点近傍に、
配置することで画素の発光部を実現することができる。 図 4は図 3に示す線 A Bにおける断面を示す。
ァドレス有機 T F T 1 1及びドライブ有機 T F T 1 2の構造を図 5に示す。 図 5に示すように、 有機 T F Tは、 対向するソース電極 S及びドレイン電極 D と、 ソース電極及びドレイン電極の間にチャネルを形成できるように積層され た有機半導体からなる有機半導体膜 O S Fと、 ソース電極 S及びドレイン電極 Dの間の有機半導体膜〇 S Fに電界を印加せしめるゲ一ト電極 Gと、 を含み、 さらに、 ゲート電極 Gをソース電極 S及びドレイン電極 Dから絶縁するゲート 絶縁膜 G I Fを有している。
図 4に示すように、 少なくともゲート電極 Gとトランジスタ部を覆うように ゲート絶縁膜 G I Fが形成されている。 ゲート絶縁膜 G I Fにはトランジスタ 同士を配線するために必要なスル一ホール T Hが設けられている。 同一の誘電 体材料を、 ゲート絶縁膜 G I Fとして働きかつコンデンサ 1 3の誘電体として 働くように、 同時に成膜することができる。 よって、 図 4に示すように、 ゲ一 ト絶縁膜 G I Fとコンデンサ 1 3の誘電体が連続的に形成されている。
図 4に示すように、 ソース電極 S及びドレイン電極 Dの上には全面に渡って ソースドレイン絶縁膜 S D Iが形成されている。 有機 E L素子の共通電極 1 7 との短絡を防ぐためである。 ソースドレイン絶縁膜 S D Iは同様に有機半導体 膜〇 S Fも覆い、 有機半導体膜の有機半導体保護絶縁膜 0 S P Fとして機能す る。 さらに、 ソースドレイン絶縁膜 S D Iは有機 E L素子 1 5の画素電極 1 5 aのエッジ部分も覆い、 画素絶縁膜 P I Fとしても機能する。
ドライブ有機 T F T 1 2は画素電極 1 5 aへ接続される。 有機 E L素子の有
機材料層 1 5 bの膜厚は通常 0 . 1 / mオーダ一と非常に薄いので、 画素電極 1 5 aのエッジ部分は共通電極 1 7と短絡しやすい。 これを防止するために画 素電極 1 5 aのエッジ部分を覆う画素絶縁膜 P I Fを設けることが望ましい。 有機 E L素子 1 5は画素電極 1 5 a、 有機材料層 1 5 b及び共通電極 1 7か ら構成される。 有機材料層 1 5 bは、 通常、 ホール注入層、 ホール輸送層、 発 光層、 電子輸送層、 電子注入層など複#:の層で構成されるが、 少なくとも発光 層を含んでいればよい。 有機材料層 1 5 bはその発光色により画素毎に塗り分 けられる。 発光層以外の層で各色に共通する層がある場合、 その層は画素毎で はなく共通電極 1 7のように全面に形成してもよい。
画素電極 1 5 a、 共通電極 1 7の少なくとも一方は、 E L発光を外部に取り 出すために光の透過性を有しなければならない。
本発明による有機 E L表示装置に用いられる 3つの絶縁膜、 すなわちソース ドレイン絶縁膜 S D I、 画素絶縁膜 P I F、 有機半導体保護絶縁膜 O S P Fの うち任意の 2以上の膜を同時に形成することができる。 図 4の構造ではソース ドレイン絶緣膜 S D Iと画素絶縁膜 P I Fと有機半導体保護絶縁膜〇 S P Fを 3つ同時に形成している。 これら 2つの絶縁膜を同時に形成することもでき、 ソースドレイン絶縁膜 S D Iと画素絶縁膜 P I Fの同時形成の場合は図 6のよ うな構造となる。 有機半導体膜 O S Fを成膜する前にソースドレイン絶縁膜 S D Iと画素絶縁膜 P I Fの同時形成して、 そして、 有機半導体膜 O S Fを成膜 した後に有機半導体保護絶縁膜 O S P Fを形成する。
上記例では、 有機 E L素子を駆動するために最も単純な構成である 2トラン ジス夕の場合を示したが、 本発明は 3以上のトランジスタを用いた素子にも適
用できる。
以下に、 本発明による有機 E L表示装置の製造方法を説明する。
—ゲ一卜電極の形成一
図 7に示すように、 まず、 ガラス、 プラスチックなどの基板 1上に走査ライ ン S L、 ゲート電極 Gを含む下部配線パターンを形成する。 走査ライン S に 接続すべきァドレス有機 T F Tと電源ラインに接続すべきドライブ有機 T F T のゲ一卜電極 G及びコンデンサの一方の電極 1 3 aとなる領域が形成される。 コンデンサの電極 1 3 aの位置は後に接続されるべき電源ラインの直下の位置 に配置される。 電源ラインの直下にコンデンサを設けることにより、 画素面積 をより多く確保することができる。
走査ライン S Lゃゲ一ト電極の材料としては抵抗率が低いものが好ましく、 一般的には金属単体、 もしくは合金を用いる。 例えば、 A l, A g , C u , A u , C rなど、 及びこれらを含む合金を用いることができる。 膜の形成方法は どんな方法でも構わないが、例えばスパッタ法、 E B蒸着法、抵抗加熱蒸着法、 C V D法、 印刷法、 などを用いることができる。 パターン形成法も任意の方法 で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印刷法、 マスク蒸着法、 などを用 いることができる。
また、 抵抗率の点では金属より劣るがゲ一ト電極に導電性の高分子を用いる こともできる。 この場合パターン形成に印刷法など低コストな方法を用いるこ ともできる。
一ゲート絶縁膜の形成一
図 8に示すように、 下部配線パ夕一ン上にゲート絶縁膜 G I Fを所定のパタ
—ンで形成する。 ここで、 ゲート絶縁膜 G I Fと同一の誘電体材料で、 コンデ ンサの誘電体層 13 bを、 その電極 13 a上に同時に成膜する。 また、 ゲート 絶縁膜 G I Fには、 アドレス有機 TFTとドライブ有機 TFTのゲート電極 G とを接続させるためのスルーホール THが設けられる。 ここで、 ゲ一ト絶縁膜 G I F及びコンデンサの誘電体層 1 3 bの機能をそれぞれ達成するために薄く する、 さらには、 交差する電源ライン及び走査ラインの絶縁を確保するために 厚くする、 など個別に複数回にわけて部分的に膜厚の異なるゲー卜絶縁膜の所 定パターンを形成することができる。
ゲート絶縁膜 G I Fの材料としては金属酸化物、 金属窒化物、 金属弗化物な ど金属の化合物、 例えば、 A 1203、 S i〇2、 S i N、 S i ONなど、 もし くは絶縁性のポリマー、 例えばポリイミドなど、 を用いることができる。 膜の 形成方法はどんな方法でも構わないが、 例えばスパッタ法、 EB蒸着法、 抵抗 加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 スピンコート法などを用いることができる。 パターン形成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印刷 方法、 、 マスク蒸着法、 などを用いることができる。
一画素電極の形成一
図 9に示すように、 有機 EL素子の陽極としてほぼ矩形の画素電極 1 5 aを ゲート絶縁膜 G I F上に所定のパターンで形成する。
画素電極 1 5 aに光透過性が必要な場合、 電極材料として一般的には金属単 体や合金の非常に薄い半透過膜、金属酸化物などの透明電極を用いる。例えば、 Au, Pdなどの半透過膜、 I TOなどの透明電極を用いることができる。 光 透過性が必要でない場合、 材料としては一般的には金属単体、 もしくは合金を
用いる。 例えば、 A l , Ag, Cu, Au, C rなど、 及びこれらを含む合金 を用いることができる。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、例えばスパッタ法、 EB蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 などを用いることができる。 パターン形 成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印刷法、 マスク 蒸着法、 などを用いることができる。
一ソース電極及びドレイン電極の形成一
図 10に示すように、 アドレス有機 T FT及ドライブ有機 T FTのソース電 極 S及びドレイン電極 Dとともにデータライン DL及び電源ライン Vc c Lを、 画素電極 1 5 a又はゲート絶縁膜 G I F上に所定の配線パターンで形成する。 画素電極 15 aを挟んで互いに平行なデータライン DL及び電源ライン Vc c Lは走査ライン SLに直交するようにゲート絶縁膜 G I F上に形成される。 ここで、 電源ライン Vc c Lの一部は、 コンデンサの電極 1 3 a上の誘電体 層 13 bを挟持するコンデンサの他方の電極 13 cとして、同時に成膜される。 形成されたコンデンサ 1 3は電源ライン Vc c Lは電力供給を行うため他のラ インよりも幅が広く成膜されるので、その電源ライン直下に配置されるために、 画素電極を圧迫することなくコンデンサ 1 3の容量を十分確保できる。 また、 コンデンサ 1 3は、 ドライブ有機 TFT 12に対してアドレス有機 TFT 1 1 と反対側に配置されているために、 ドライブ有機 TFT 12及びアドレス有機 TFT 1 1の配線距離が、 コンデンサ 1 3をドライブ有機 T FT 12及びァド レス有機 TFT 1 1間に配置した場合より、 短くなる。 よって、 画素電極面積 の確保と電荷の移動速度の向上も期待できる。
電源ライン V c c Lに接続されるドライブ有機 T F Tのソース電極 S及びド レイン電極 Dは、 対応するゲ一卜電極に掛かるように形成され、 ドレイン電極 Dは画素電極 1 5 aに接続するように形成される。 データライン D Lに接続さ れるァドレス有機 T F Tのドレイン電極 D及びソース電極 Sは、 対応するゲ一 ト電極に掛かるように形成され、 ソース電極 Sはスルーホール T Hを介してド ライブ有機 T F Tのゲート電極に接続するように形成される。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては使用する有機半導体に対して効 率よくキャリアを注入でき、 かつ抵抗率が低いものが望ましいく、 例えば、 A u , P dなどが用いられる。 デ一夕ライン D L及び電源ライン V c c Lの材料 としては走査ライン S Lと同様のものが用いられる。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、例えばスパッタ法、 E B蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 C V D法、 印刷法、 などを用いることができる。 パターン形 成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印刷法、 マスク 蒸着法、 などを用いることができる。
抵抗率の点では金属より劣るがソース電極及びドレイン電極に導電性の髙分 子を用いることもできる。 この場合パターン形成に印刷法など低コストな方法 を用いることもできる。
また、 ソース電極及びドレイン電極の材料と画素電極 1 5 aの材料とを同一 にすることが可能で、 その場合、 画素電極 1 5 aとソ一ス電極及びドレイン電 極の形成を 1工程で行うことができる。 さらに、 材料に応じて個別に複数回に わけて上記の所定配線パターンを形成することができる。
なお、 本実施形態では画素電極 1 5 aの形成工程をソース電極及びドレイン
電極の形成工程よりも先に行ったが、 逆の順序で行ってもよい。
一有機半導体膜の形成一
図 1 1に示すように、 電源ライン Vc c Lに接続されるドライブ有機 TFT 並びにデータライン D Lに接続されるァドレス有機 T F Tのゲート電極の直上 のソース電極 S、 ドレイン電極 D及びゲート絶縁膜 G I Fに接続するように、 それぞれ有機半導体膜 OS Fが所定のパターンで形成される。
有機半導体膜 O S Fの材料としてはキヤリァの移動度が高い材料が好ましく、 低分子の有機半導体材料、 有機半導体ポリマーを用いることができる。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、例えばスパッ夕法、 EB蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 スピンコート法、 などを用いることがで さる。
パターン形成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング、 印刷 法、 マスク蒸着法、 などを用いることができる。
一共通絶縁膜 (ソースドレイン絶縁膜、 画素絶縁膜、 有機半導体保護絶縁膜) の形成—
図 12に示すように、 ソースドレイン絶縁膜 SD I、 画素絶縁膜 P I F及び 有機半導体保護絶縁膜〇 S P Fとして機能する共通絶縁膜を所定のパターン、 すなわち、 有機 EL素子 1 5の画素電極 1 5 aのエッジ部分までを覆い、 画素 電極 15 aを露出せしめるパターンで形成する。
共通絶縁膜材料としては金属酸化物、 金属窒化物、 金属弗化物など金属の化 合物、 例えば、 A 1203, S i〇2, S i N, S i ONなど、 もしくは絶縁性 のポリマー、 例えばポリイミドなど、 を用いることができる。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、例えばスパッタ法、 EB蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 スピンコート法などを用いることができ る。 パターン形成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印刷法、 マスク蒸着法、 などを用いることができる。
ただし、 中層の有機半導体膜 OS Fの材料は一般に耐熱性、 耐溶剤性、 耐湿 性が弱く、 有機半導体膜上に形成する共通絶縁膜の形成プロセスで半導体膜の 特性を損ねないようにしなければならない。
一有機材料層の形成一
図 13に示すように、 共通絶縁膜の開口を介して、 少なくとも発光層を含む 有機材料層 1 5 bを画素電極 1 5 a上に形成する。 有機材料層 1 5 bは発光層 の他にホール注入層、 ホール輸送層、 電子輸送層、 電子注入層などを含んでい てもよい。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、例えばスパッタ法、 EB蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 スピンコート法などを用いることができ る。
パターン形成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印 刷法、 マスク蒸着法、 などを用いることができる。
-共通電極の形成一
図 14に示すように、 有機材料層 1 5 b上に有機 EL素子 1 5の陰極として の共通電極 17を所定のパターンで形成する。
共通電極 17の材料としては金属単体、 もしくは合金を用いる。 例えば、 A 1 , Ag, Cu, Au, C rなど、 及びそれらの合金を用いることができる。
膜の形成方法はどんな方法でも構わないが、 前記有機材料層の形成工程で成 膜されたどの有機材料層をも劣化させないように、 例えばそれぞれの有機材料 層のガラス転移点以下の温度で、 スパッタ法、 EB蒸着法、 抵抗加熱蒸着法、 CVD法、 印刷法、 などを用いることができる。
パターン形成法も任意の方法で構わないが、 例えばフォトエッチング法、 印 刷法、 マスク蒸着法、 などを用いることができる。
他の実施形態一
図 1 5のように、 有機 TFT 1 1及び 12と有機 EL素子 1 5を重ねて配置 することもできる。 図 1 5と図 6で同一符号で示される部材は同一なので説明 は省略する。 この場合、 共通電極 17を光透過性材料で形成することが望まし レ^ この構造では、 有機 EL素子 15の面積を大きくできるので開口率が高ま るというメリットがある。
ァドレス有機 T F T 1 1及びドライブ有機 T FT 1 2を形成後、 画素電極 1 5 aとの接続部 19を除き、 有機半導体保護絶縁膜 OS PFとソースドレイン 絶縁膜 SD Iを兼ねた平坦化層 20を形成する。 有機 TFTによる凹凸がある と、 有機 EL素子の画素電極 1 5 aと共通電極 1 7が短絡しやすくなるため、 平坦化層 20はこの凹凸を滑らかに覆う必要がある。 また、 中層の有機半導体 材料は一般に耐熱性、 耐溶剤性、 耐湿性が弱いので、 平坦化層 20の形成プロ セスで半導体膜の特性を損ねないようにしなければならない。
平坦化層 20を形成後、 ドライブ有機 T FT 1 2と接続して画素電極 1 5 a を形成、 更に有機材料層 1 5 b、 共通電極 17を形成し、 本発明による有機 E L表示装置の表示パネルが完成する。
このように以上の実施形態によれば、 現実的な構造で有機 T F T駆動の有機 EL表示パネルを実現できる。 さらに、 製法上、 配線や絶縁膜などフォトリソ グラフイエ程など耐熱性、 耐溶剤性、 耐湿性が必要な部材は、 有機物の蒸着前 に予め形成しておくため、 フォトリソグラフイエ程など耐熱性、 耐溶剤性、 耐 湿性に弱い有機物からなる部材を傷めない。 また、 必要な絶縁膜のうち少なく とも 2つを同時に形成するので工程が簡略化できる。
なお、 以上の実施形態においては、 発光部内の有機 T FTとして、 いわゆる MI S (,me t a 1 i n s u l a t o r s emi c ondu c t o r; ,の有機薄膜トランジスタを用いたが、 MI S型に代えて S I T (s t a t i c i nduc t i on t r a n s i s t o r ) 型の有機薄膜トランジスタを用 いてもよい。