JPWO2011061910A1 - 新規熱ラジカル発生剤、その製造方法、液晶シール剤及び液晶表示セル - Google Patents

新規熱ラジカル発生剤、その製造方法、液晶シール剤及び液晶表示セル Download PDF

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Abstract

本発明は、下記一般式(1)で示されるテトラフェニルエタン誘導体、その製造方法、該テトラフェニルエタン誘導体のラジカル発生剤としての用途、該テトラフェニルエタン誘導体を含む液晶シール剤、特に液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤に関するものであり、該ラジカル発生剤は、発泡することなく、熱ラジカル発生性能に優れ、液晶シール剤に使用した時、得られる液晶シール剤は、液晶汚染が無く、ポットライフが長く、シールの形成性、セルギャップの形成性も良好と言う特徴を有する。下記一般式(1)中、Y1又はY2は各々独立して水素原子、フェニル、又は珪素原子を示し、R1〜R6は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X1〜X4は各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す。但し、Y1又はY2にそれぞれ結合するR1〜R3又はR4〜R6はY1又はY2が水素原子の場合は存在せず、且つY1、Y2のいずれもが水素原子の場合を除く。

Description

本発明は、新規シリルベンゾピナコール、その熱ラジカル発生剤としての用途、それを含む液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セルに関する。
従来、加熱によりラジカル重合性化合物をラジカル重合により硬化させるためのラジカル発生剤としてはアゾ化合物、有機過酸化物、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、ベンゾピナコール類等が知られており、広く使用されている。
熱開裂により最もラジカルを発生するとされるアゾ化合物や有機過酸化物は、接着剤、封止剤およびギャップ形成剤、成型材料などの製品にラジカル発生剤として使用される。しかしながら、上記ラジカル発生剤はラジカル発生時に窒素または二酸化炭素などのガスの発生を伴うことから、そのガスにより上記の製品の特性が大きく損なわれることが懸念されている。例えば損なわれるおそれのある特性としては、接着強度の低下、耐熱強度の低下、成型物の形状不良などが挙げられる。その他のラジカル発生剤として、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、ベンゾピナコール類等が挙げられる。これらにおいては加熱時の発泡は少ないが、ラジカル発生能が劣り、所望の性能(反応性及び硬化性)が得られない問題があった。
特許文献1では紫外線と熱の両者を用いて硬化させる系において、光の当たらない陰影部を硬化させるために、熱ラジカル発生剤としてベンゾピナコールを使用することが開示されている。また特許文献2ではコンタクトレンズ、各種レンズや歯科材料のような成型物の作成においてイニファータータイプのラジカル発生剤が有効であることが開示され、その例としてベンゾピナコールが挙げられている。さらに特許文献3ではフラットパネルディスプレイ用の封止剤に使用される熱ラジカル発生剤としてベンゾピナコールが挙げられている。
特許文献1及び3ではさらにベンゾピナコールを化学修飾させた化合物が挙げられている。該化合物はさらに所望の効果を発揮すると記載されている。しかし、ベンゾピナコールは三級アルコールであり、且つ水酸基がフェニル基の立体障害の影響で反応性に乏しく安定な誘導体を得るうえで適切なものは報告されていない。
また、熱ラジカル発生剤の使用分野の1つとして、液晶表示セル用の液晶シール剤が挙げられる。
液晶表示セルの大型化に伴い、近年、液晶表示セルの製造法として、従来の液晶真空注入方式による液晶表示セルの製造方法よりも量産性の高い液晶滴下工法が導入され、大型の液晶表示セルの製造が行われてきている(特許文献4参照)。液晶滴下工法とは、液晶基板に液晶シール剤の堰を塗布形成し(メインシール)、さらに最外周に一周、シール剤を塗布後(ダミーシール)、内部シールの内側に液晶を滴下し、その後、真空中で対向するもう一方の液晶基板を貼り合わせ、大気圧に開放することにより液晶が封止され、シール部をUV照射及び加熱により硬化させることにより液晶表示セルを完成させる製造方法である。この製造法で液晶の封止に使用される液晶シール材は、従来の熱硬化型液晶シール剤ではなく、光熱硬化併用タイプの液晶シール剤が一般的に使用されている。従来の熱硬化型液晶シール剤(熱硬化性液晶シール剤とも言う)が液晶滴下工法に使用されない理由は、従来の熱硬化型液晶シール剤で液晶滴下工法を行うと、真空減圧下において加熱が行われるため、加熱時の液晶の熱膨張と液晶シール剤の加熱による粘度低下が起き、シールがパンクし、液晶を封止することができないためである。
光熱硬化併用タイプの液晶シール剤の使用方法は、液晶基板にディスペンサー等で液晶シール剤の堰を塗布形成後、その堰の内側に液晶を滴下し、真空中で対向するもう一方の基板を貼り合わせた後、シール部に紫外線等の光を照射し、仮硬化させ、その後、約120℃約1時間で液晶シール剤を熱硬化させることにより、液晶セルを製造するものである。
しかし、光熱硬化併用タイプの場合、液晶シール剤に紫外線等の光を照射しなくてはいけないが、近年の液晶セルの狭額縁化に伴い、下記のような問題が発生している。
即ち、液晶シール部が配線又はブラックマトリックスによって遮光され、液晶シール剤に光が照射されない部分ができるため、未硬化部分が発生する。その未硬化部分が加熱硬化工程時に液晶によって差し込まれたり、又は、液晶汚染が生じたりする問題が出てきた。そのため、液晶セルの設計にあたっては、シール剤に光がなるべく多く照射されるような設計にしなくてはならないという制限が生じてきた。また、紫外線照射による液晶や配向膜の劣化が問題となるため、紫外線が液晶に当たらないように、紫外線照射工程時に遮光マスクにより液晶部を遮光する必要が生じている。さらに、液晶ガラス基板サイズの大型化に伴い、紫外線照射装置が大型化し、紫外線照射装置のランニングコストが増大化する等が問題になってきている。
以上のことから、近年、液晶滴下工法において、紫外線照射を必要とせず、かつ、熱硬化のみで液晶表示セルを作成できる熱硬化型液晶シール剤(液晶滴下工法用熱硬化型液晶シール剤)の実現が望まれてきている。
現在までに、液晶滴下工法用の熱硬化型液晶シール剤の提案は、既に行われていた。例えば、特許文献5には、1分子中の水素結合性官能基数を分子量で除した値が3.5×10−4以上である硬化性樹脂100重量部に対して熱硬化剤を3〜40重量部含有する液晶滴下工法用熱硬化液晶シール剤が提案されている。この液晶シール剤を使用することにより、低液晶汚染になることが開示されている。しかし、該熱硬化型液晶シール剤を用いた液晶滴下工法では、前記した加熱により低粘度化した硬化途中の液晶シール剤の堰が破られて液晶が漏れてしまうという問題(シールパンクの問題)と、加熱により低粘度化した液晶シール剤の成分が、やはりNI点(等方相から液晶相へ転移する温度)以上に加熱されることにより、通常よりもさらに流動しやすくなっている液晶中に溶出し、液晶を汚染してしまうという重大な問題が、十分に解決されているとは言い難い。
また、特許文献6では、ゲル化剤が添加された液晶シール剤により、熱硬化のみの液晶滴下工法で、耐シールパンク、シール形状保持ができるとしている。しかし、熱硬化の液晶滴下工法の問題点である加熱硬化時の液晶シール剤の液晶への汚染について、解決されていない。
特許文献7には熱硬化性樹脂からなる液晶シール剤を塗布後、プレベークをし、その後、液晶滴下、真空貼り合わせを行う製造方法が提案されている。しかし、具体的な液晶シール剤の樹脂組成について明示されていない。
特許文献8及び9には、Bステージ化(半硬化状態)処理としてプレベーク工程を行う熱硬化性の液晶滴下工法用液晶シール剤が提案されている。この方法は80℃で20分間のBステージ化処理を必要とするため、工程時間が長くなってしまう欠点がある。また、20分間のBステージ化処理時間を短くするため、処理温度を例えば100℃以上に上げると、記載の液晶シール剤では、硬化反応が進んでしまうため好ましくない。
特許文献7には、熱開裂型ラジカル発生剤、不飽和二重結合を有する化合物を含む熱硬化性化合物及び重付加型の熱硬化剤を含有することを特徴とする液晶シール剤が提案されている。そして、そこには、液晶基板の大気圧貼り合わせで、一部UV照射する液晶表示素子の作製について記載されている。しかしながら、液晶基板の真空減圧貼り合わせでUV照射することなく熱硬化のみによる液晶表示素子の作製については記載が無い。
以上、挙げたように、液晶滴下工法における熱硬化性シール剤での全て問題を解決する加熱硬化型の液晶滴下シール剤はなく、未だ、熱硬化のみでの液晶滴下工法は実現されていない。
その他、近年、基板の外形サイズを大きくしないで、より表示領域を大きくしたいという要望が強くなってきている。そのため、液晶シール外周部を狭くする狭額縁化や液晶シール幅を細くする等の液晶セルの設計がなされるようになってきている。その結果、シール幅が細く形成でき、かつ、シール形状が均一で乱れにくい液晶シール剤、更には、シール幅が細くても接着強度が強い液晶シール剤が求められてきている。また、作業時間内で液晶シール剤の塗布条件の変化が小さいポットライフが長い液晶シール剤が求められている。
また、近年、液晶テレビ等の普及にともなって、動画の再生に対して、液晶の高速応答性を高めるために、液晶のセルギャップ(液晶が充填される2枚の基板の隙間)が狭くなってきている。液晶基板の真空貼り合わせ時に狭セルギャップ化が容易な液晶シール剤が求められてきている。
そして、液晶セルの高寿命化要望に対して、液晶シールの高湿条件化での劣化が問題となってきている。高温高湿試験後の液晶シールの接着強度の劣化が小さい液晶シール剤が求められてきている。
以上述べてきたように、熱硬化型の液晶滴下工法を実現し、基板の真空貼り合わせで、加熱により、シールパンクせず、そして液晶汚染がなく、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール塗布性に優れ、室温でのポットライフが長く、狭セルギャップ化が容易な液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤が求められている。
特開昭57−53508号公報 特開平11−21304号公報 特開2006−10870号公報 特公平8−20627号公報 特許第3955038号公報 特許第3976749号公報 特開2005−92043号公報 特開2007−199710号公報 特開2007−224117号公報
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、加熱時に発泡せず、より高活性な新規熱ラジカル発生剤を開発することである。
また、本発明の第2の目的は、紫外線照射を必要としない液晶滴下工法用の熱硬化性液晶シール剤を提供することにある。さらに、液晶汚染性が低く、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール直線性に優れ、室温でのポットライフが長く、狭セルギャップ化が容易な液晶滴下工法用熱硬化型液晶シール剤(以下液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤ともいう)を提供することにある。
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ベンゼン環上に置換基を有しても良いベンゾピナコールの水酸基の少なくとも1つをシリル化させることにより、加熱時に発泡せず、より高活性な新規熱ラジカル発生剤が得られること、更に、該熱ラジカル発生剤を利用することにより、前記目的の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、次の(1)〜(20)に関するものである。
(1)下記一般式(1’)
Figure 2011061910

(式中、Y’又はY’は各々独立して水素原子、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す。但し、Y’又はY’にそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY’又はY’が水素原子の場合は存在せず、且つY’及びY’が水素原子の場合を除き、更に、Y’及びY’が珪素原子で、R〜Rの全てがメチル基であり、X〜Xの全てが水素原子である場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体。
(2) 一般式(1’)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R’−又はR’−はジ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基、若しくはトリ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基であり、X〜Xのいずれもが水素原子である上記(1)に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
(3) 一般式(1’)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R’−又はR’−はトリメチルシリル、トリエチルシリル又はt−ブチルジメチルシリルであり、X〜Xのいずれもが水素原子である上記(1)又は(2)に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
(4) 下記式(2)
Figure 2011061910

で表される1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
(5)(a)下記一般式(1)
Figure 2011061910

(式中、Y又はYは各々独立して水素原子、フェニル、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン原子を示す。但し、Y又はYにそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY又はYが水素原子の場合は存在せず、且つY及びYのいずれもが水素原子の場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体、(b)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物の何れか一方若しくは両者、(c)熱硬化剤、および(d)無機充填剤を含有することを特徴とする液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤。
(6) (a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体が上記(1)〜(4)又は後記(20)のいずれか一項に記載のテトラフェニルエタン誘導体である上記(5)に記載の液晶シール剤。
(7) (a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体が平均粒径5μm以下の固体粉末である上記(5)又は(6)に記載の液晶シール剤。
(8) (c)熱硬化剤の融点又は軟化点が100℃以上である潜在性硬化剤である上記(5)〜(7)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(9) (d)無機充填剤がアルミナ及び/又はシリカである上記(5)〜(8)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(10) (d)無機充填剤の平均粒径が10〜2000nmである上記(5)〜(9)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(11) (e)硬化促進剤を含有することを特徴とする上記(5)〜(10)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(12)(f)カップリング剤を含有することを特徴とする上記(5)〜(11)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(13)(a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を、液晶シール剤の総量に対して0.1〜10質量%、(b)エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物を、液晶シール剤の総量に対して、30〜75質量%、(c)熱硬化剤を(b)成分100質量部に対して、5〜60質量部、および(d)無機充填剤を、液晶シール剤の総量に対して、1〜30質量%の範囲で含有する上記(5)〜(12)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(14) (a)一般式(1)において、Y又はYのいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R−又はR−はジ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基、若しくはトリ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基であり、X〜Xのいずれもが水素原子であるテトラフェニルエタン誘導体、(b)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物の何れか一方若しくは両者、(c)熱硬化剤として融点又は軟化点が100℃以上である潜在性硬化剤、(d)無機充填剤及び、(e)硬化促進剤又は(f)カップリング剤のいずれか一方若しくは両者を含有することを特徴とする上記(5)〜(13)の何れか一項に記載の液晶シール剤。
(15) 上記(5)〜(14)の何れか一項に記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
(16) 上記(5)に記載された一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を有効成分として含むラジカル発生剤。
(17) 上記(5)に記載された一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体の、熱硬化性液晶シール剤製造のための上記(16)に記載のラジカル発生剤としての用途。
(18) 上記(5)に記載された一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を含むラジカル硬化性樹脂組成物を熱硬化させた硬化物。
(19) 下記一般式(3)
Figure 2011061910

(式中、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す)
で表されるベンゾピナコールとシリル化剤を反応させる下記式(1’)
Figure 2011061910

(式中、Y’又はY’は各々独立して水素原子、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す。但し、Y’又はY’にそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY’又はY’が水素原子の場合は存在せず、且つY’及びY’のいずれもが水素原子の場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体の製造方法。
(20) 一般式(1’)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子であり、珪素原子の場合、R〜R又はR〜Rは各々独立して炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基である上記(1)に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
本発明で使用する一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体(ベンゾピナコール誘導体ともいう)は、熱ラジカル発生剤として有用であり、加熱時の発泡がなく、且つ反応速度を速めることが可能である。従って、発泡による物性の劣化のおそれがない熱ラジカル発生剤として、幅広く種々の用途、例えば接着剤、封止剤、及びギャップ形成剤、成型材料などの製造に用いることが可能であり、物性(硬化物性、接着強度、形状安定性等)の優れた製品を得ることができる。特に、液晶滴下工法で使用する熱硬化性液晶シール剤用の熱ラジカル発生剤として優れている。
上記本発明で使用する一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体を熱ラジカル発生剤として用いる熱硬化性液晶シール剤は、液晶シール部への紫外線照射を必要としない液晶滴下工法用の熱硬化性の液晶シール剤(以下本発明の液晶シール剤ともいう)として最適である。該液晶シール剤は、液晶汚染性が低く、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール直線性に優れ、室温でのポットライフが長い等の優れた性質を有することから、狭セルギャップの液晶セルの製造が容易である。その結果、歩留まり高く、高信頼性、高品質の液晶表示セルの製造が可能になる。又、本発明の液晶シール剤の硬化物でシールされた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。
また、前記一般式(1’)で表されるテトラフェニルエタン誘導体は本発明者らにより合成された新規な化合物である。
本発明の1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタンのNMR(プロトン)スペクトル(溶媒:DMSO−d6)である。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下の説明においては、便宜上、一般式(1)で説明するが、一般式(1’)の範囲に入らない場合の説明を除き、いずれの説明も、一般式(1)を一般式(1’)と読み替えることにより、同様に一般式(1’)に対しても適用されるものとする。また、Y及びYの説明に付いても、それぞれをY’及びY’と読み替え、Y’及びY’の範囲に含まれないものを除くことで、同様に適用されるものとする。
本発明の一般式(1)において、Y及びYはそれぞれ独立に、水素原子、フェニル基またはたは珪素原子を示し、少なくとも何れか一方は水素原子以外の基である。好ましいのは一方が水素原子で、他方が珪素原子の場合である。
本発明の一般式(1)において、R〜Rにおける炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基(以下単にC1〜C4アルキル基ともいう)としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル等を挙げることができる。また、X〜Xにおけるハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
一般式(1)のY又はYが水素原子以外の基の場合、R−又はR−は、フェニル基又は1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されたフェニル基、又は、ジC1〜C4アルキルシリル基又はトリC1〜C4アルキルシリル基が好ましく、より好ましくは、ジC1〜C4アルキルシリル基又はトリC1〜C4アルキルシリル基であり、更に好ましくはトリC1〜C4アルキルシリル基である。
一般式(1)のR−、R−におけるジ又はトリ炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキルシリル基において、2個又は3個の炭素数1〜4アルキル基は同一でも異なってもよく、該シリル基としては例えばジメチルシリル、ジエチルシリル、メチルエチルシリル等のジC1〜C4アルキルシリル基:又は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル等のトリC1〜C4アルキルシリル基;が挙げられる。これらの中で、トリC1〜C4アルキルシリル基が好ましく、より好ましくはトリメチルシリル基である。
〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を表し、好ましいのは、X〜Xの全てが水素原子の場合である。
一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体における好ましい化合物としては、1−ヒドロキシ−2−ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン又は1, 2−ビス{ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ}−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを挙げることができ、1−ヒドロキシ−2−ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンがより好ましく、より好ましくは、1−ヒドロキシ−2−トリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
なお、上記テトラフェニルエタンにおけるジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシは、シリル基上の2又は3個のアルキル基が、同じでも、異なっても良い。例えば、トリ(C1〜C4アルキル)シロキシとしては、トリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ又はt−ブチルジメチルシロキシ等を含む。
該テトラフェニルエタン誘導体の好ましい化合物としては、具体的には、例えば、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、が挙げられる。好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンが挙げられる。
これらの中で、本発明においては、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン又は1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンがより好ましく、式(2)で表される1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタンが更に好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体は一般式(3)で表されるベンゾピナコールを各種シリル化剤によりシリル化した構造を特徴としている。
本発明の一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体は一般式(3)で表されるベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジンなどの塩基性触媒下に加熱させる方法により合成して得ることができる。
シリル化剤としては、ジC1〜C4アルキルシリル化又はトリC1〜C4アルキルシリル化、フェニルジC1〜C4アルキルシリル化できるものであれば何れでも良く、トリ(C1〜C4アルキル)シリル化剤が好ましい。好ましいものとしては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルジメチルシラン(TBMS)などが挙げられる。
これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量(シリル化当量)としては式(3)で表されるベンゾピナコールの水酸基1当量に対して1.0〜5.0倍当量が好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍当量である。少な過ぎると反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。また、多過ぎると回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になってしまう。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミンなどが挙げられる。塩基性触媒は反応時に発生する塩化水素をトラップし、反応系を塩基性下に保ったり、水酸基の水素原子を引き抜き、より反応を促進させる効果がある。使用量としては対象化合物の水酸基1当量に対して、塩基性基の当量で、0.5倍当量以上あればよく、溶媒として用いてもよい。通常は、対象化合物の水酸基1当量に対して塩基性触媒の塩基性基の当量で、1〜5倍当量である。
溶媒としてはヘキサン、エーテル、トルエンなどの非極性有機溶媒は反応に関与しないため優れている。またピリジン、ジメチルホルムアルデヒド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)及びアセトニトリルなどの極性溶媒も好ましい。使用量としては溶質の重量濃度が5〜40質量%になる程度が好ましい。さらに好ましくは10〜30質量%が好ましい。少な過ぎると反応が遅く、熱による分解が促進され収率が落ちてしまう。また、多過ぎると副生成物が多くなり、収率が落ちてしまう。
反応温度は、シリル基を一般式(3)のベンゾピナコールの水酸基の一つに導入する場合、80℃以下が好ましく、反応時間は2.5時間以内、好ましくは2時間以内が好ましい。ベンゾピナコール誘導体、例えば一般式(3)のベンゾピナコール又は生成した目的化合物は加熱により熱分解を起こすため低温で反応させるのが好ましいが三級アルコールのため反応性に乏しいことから80℃以下で短時間に反応させることにより高収率で目的物が得られる。反応効率なども考慮すると、50〜80℃程度が好ましい。反応時間は30分〜2.5時間程度であり、好ましくは30分〜2時間程度である。
シリル基を一般式(3)のベンゾピナコールの水酸基の両方に導入する場合は、より高温、例えば75〜100℃程度の温度が好ましいが、収率は低下すると考えられる。
本発明の一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体はラジカル発生剤として使用できる。具体的には、熱ラジカル発生剤や光ラジカル発生剤として種々の分野で使用でき、本発明において特に熱ラジカル発生剤として用いるのが好ましい。
本発明の熱ラジカル発生剤は他の光ラジカル発生剤では達成困難な用途にも用いることができる。例えば、光の当たらない部分の硬化や強いエネルギーを照射すると問題のある部分の硬化に使用することが出来る。具体的には、精密機器の封止剤における熱ラジカル発生剤として、分解の懸念される低分子物質の共存するエリアの硬化のための熱ラジカル発生剤として、更には、熱反応による有機合成などのための熱ラジカル発生剤として使用出来る。更に、本発明の熱ラジカル発生剤はラジカル発生時に発泡を伴わず、少量でも硬化速度を損なわないため硬化物の形態の保持や物性の向上が期待できる。本発明における、上記一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体のラジカル発生剤としての使用量は硬化対象の重合モノマー等の種類や使用分野によって異なってよく、添加量は適宜選択して差し支えない。
本発明の熱ラジカル発生剤の好ましい使用分野の1つは、ラジカル硬化性樹脂組成物における熱ラジカル発生剤としての使用である。この場合における、該組成物の総量に対する本発明の熱ラジカル発生剤(一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体)の含量は、特に限定されないが、通常0.1〜10質量%程度である。残部はラジカル重合性樹脂及び必要に応じて含んでも良い添加物である。該樹脂組成物を熱硬化することにより、該樹脂組成物の硬化物を得ることが出来、該硬化物は、発泡による濁りが生じないことから透明性が良く、かつ接着性、耐湿接着性などに優れる。なお、ラジカル硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂又は(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。特に、有用なラジカル硬化性樹脂組成物の1つとして、熱硬化性シール剤を挙げることが出来、その中でも、液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤が最適である。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤は、(a)前記一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体、(b)エポキシ樹脂、及び/又は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物、(c)熱硬化剤、および(d)無機充填剤を必須成分として含有する。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤は、硬化性を向上させるために(a)一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体を熱ラジカル発生剤として含有する。以下一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体を簡略化のため、(a)成分又は熱ラジカル発生剤(a)とも記載する。
一般に熱ラジカル発生剤とは、加熱によりラジカルを解離発生する化合物を指し、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、ベンゾピナコール類等が挙げられる。しかし、アゾ化合物や有機過酸化物は加熱によりラジカル発生する際に同時に窒素や二酸化炭素などが発生し、発泡する。そのため硬化物中に気泡が含まれ、それが硬化物性、接着強度を低下させる原因となる。またベンゾイン誘導体、ベンゾピナコールなどは加熱時に発泡することはないが、液晶パネル製造時に用いられる、シール剤の熱硬化温度90〜130℃程度の温度においては十分に熱開裂が起こらず所望の硬化度が得られない問題があった。
そこで、本発明者らは種々検討の結果、ベンゾピナコールに化学修飾することでより高活性で液晶汚染の少ない熱ラジカル発生剤が得られることを見出した。そして、合成法の容易さからピナコールの水酸基の少なくとも一つがエーテル結合となったベンゾピナコール誘導体がより好ましいことを見出した。エーテル結合としては、例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル基、シリルエーテル基等が挙げられる。これらの中で、活性などの点からフェニルエーテル基又はシリルエーテル基が好ましく、前記一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体がより好ましい。
本発明に用いられる好ましい一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体(a)としては、1−ヒドロキシ−2−ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン又は1, 2−ビス{ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ}−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを挙げることができ、1−ヒドロキシ−2−ジ又はトリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンがより好ましく、更に好ましくは、1−ヒドロキシ−2−トリ(C1〜C4アルキル)シロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。具体的な化合物例は前記した通りである。
該熱ラジカル発生剤(a)(一般式(1)で表されるテトラフェニルエタン誘導体(a))は、粒径を細かくして均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また、(a)成分の粒径は際限なく細かくしても差し支えないが、通常その下限は平均粒径として0.1μm程度である。
本発明の液晶シール剤中における(a)熱ラジカル発生剤の含有量は該液晶シール剤の総量に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜7質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。含有量が少な過ぎると硬化性が悪くなりシールパンクが発生し、含有量が多すぎると液晶汚染性が強くなる傾向にある。
本発明において、本発明の効果が達成される限り、上記(a)成分以外のラジカル発生剤を併用しても良いが、通常、ラジカル発生剤として、上記(a)成分を単独で使用するのが好ましい。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤に含有される、エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物(b)は硬化性樹脂として用いる。ここで「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物(b)は、いずれも液晶に対する汚染性、溶解性が低く、樹脂粘度が低いものが好ましい。
該エポキシ樹脂として好ましくは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、その他の二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。これらのうち液晶汚染性及び粘度の観点から、より好ましいものはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテルであり、中でもレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
該エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物{以下便宜上「(メタ)アクリル化エポキシ樹脂」ともいう)は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応により得られる化合物であり、エポキシ樹脂のエポキシ基の全てに(メタ)アクリル酸を付加した化合物又はエポキシ樹脂のエポキシ基に当量未満の(メタ)アクリル酸を反応させ、意図的にエポキシ基を残した化合物(以下部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂ともいう)の何れであってもよい。
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂としては二官能以上の(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が好ましい。また、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂におけるエポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性および液晶汚染性の観点から適切に選択される。
本発明においては、通常、エポキシ樹脂に含まれる全エポキシ基に対して、50〜100%、好ましくは70〜100%、より好ましくは80〜100%の割合で、(メタ)アクリル酸を付加した(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が好ましい。通常、(メタ)アクリル酸の中では、安価である点等から、アクリル酸が使用されることが多い。そのため、エポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸を付加した化合物を用いるのが好ましい。
該(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては特に限定されるものではないが、二官能以上のエポキシ樹脂が好ましい。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、その他の二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はレゾルシンジグリシジルエーテルであり、中でもレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
従って、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びレゾルシンジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一種と(メタ)アクリル酸との反応で得られる(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が好ましく、レゾルシンジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応で得られる(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が更に好ましい。
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂としては、硬化性の観点からエポキシ樹脂とアクリル酸の反応により得られるアクリル化エポキシ樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物及びレゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
上記した(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
好ましい態様においては上記好ましい(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が、前記液晶シール剤中における(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の全量を占める場合である。
本発明の液晶シール剤中におけるエポキシ樹脂及び/又は(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(b)(以下単に硬化性樹脂(b)ともいう)の含有量は、液晶シール剤の総量に対して、通常30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%である。含有量が少なすぎると熱硬化時の反応が遅くなり、液晶滴下工法で液晶セル作成時にシール剤の堰が液晶の熱膨張とシール剤の加熱低粘度化によりシールパンクしてしまう。含有量が多すぎると、十分な接着強度が得られない。
硬化性樹脂(b)として、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の両者を併用する態様は、本発明のシール剤における好ましい態様の一つである。
また、特にエポキシ樹脂と(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を併用する場合において、硬化性樹脂(b)中のエポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂(b)の総量に対して、通常、3〜40質量%、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜30質量%程度、更に好ましくは8〜30質量%である。また、場合により、5〜20質量%も好ましく、8〜15質量%が更に好ましい場合もある。残部は(メタ)アクリル化エポキシ樹脂である。具体的に記載すると、(メタ)アクリル化エポキシの含量は、硬化性樹脂(b)の総量に対して、60〜97質量%、好ましくは70〜95質量%、更に好ましくは70〜92質量%である。エポキシ樹脂含有量が少な過ぎると接着強度が弱くなり、エポキシ樹脂含有量が多すぎると硬化が遅くなりシールパンクが発生しやすくなる恐れがある。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤は熱硬化剤(c)を含有する。熱硬化剤(c)としては、従来使用されている熱硬化剤が何れも使用出来るが、本発明においては潜在性を有する熱硬化剤(以下潜在性硬化剤ともいう)が好ましい。潜在性硬化剤とは常温固体の融点又は軟化点が100℃以上の化合物で、室温では樹脂成分と反応せず、硬化剤としての作用を示さないが、100℃以上の加熱、通常100〜150℃程度、好ましくは110〜130℃程度により徐々に溶解又は融解することにより樹脂成分と反応し、硬化剤としての作用を示すものをいう。
なお、本発明における融点又は軟化点は、示差走査熱量計(DSC)を用いた熱分析により測定した。具体的には、示差走査熱量計(EXSTAR6000 セイコーインスツル株式会社製)を使用し、昇温5℃/分で測定した。
上記潜在性硬化剤としてはポリヒドラジド化合物、ポリアミン化合物、イミダゾール誘導体、尿素誘導体などが挙げられる。好ましくはポリヒドラジド化合物であり、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する化合物である。ジ〜テトラヒドラジド化合物が好ましく、より好ましくはジ又はトリヒドラジド化合物である。
ポリヒドラジド化合物としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオジヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するヒドラジド化合物;トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアネヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等のビス又はトリス(ヒドラジノカルボニルC1〜C3アルキル)イソシアヌレートが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。ビス又はトリス(ヒドラジノカルボニルC1〜C3アルキル)イソシアヌレートはジ又はトリヒドラジド化合物として好ましいものの1つである。
これらのポリヒドラジド化合物のうち好ましくは、ジ又はトリカルボン酸のジ又はトリヒドラジドであり、より具体的には、カルボン酸の炭素を除いて、C4〜C8脂肪族又は芳香族ジカルボン酸のジヒドラジド、又は、ビス又はトリス(ヒドラジノカルボニルC1〜C3アルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。より好ましくは、C4〜C8アルキレンジカルボン酸のジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、トリス(ヒドラジノカルボニルC1〜C3アルキル)イソシアヌレートからなる群から選択される少なくとも1つである。
好ましいポリヒドラジドとして、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
より好ましくはアジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
該熱硬化剤(c)は、速硬化の潜在性硬化剤とするために粒径を細かくして均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となる。そのため該粒径は4μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。その粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製:LMS−30)により測定した。なお、平均粒径は小さすぎると凝集を起こしやすくなるため、極端に小さく(例えば、0.1μm以下に)ならないように調製するのが好ましい。
本発明の液晶シール剤中、熱硬化剤(c)の含有量は、エポキシ樹脂及び/又は(メタ)アクリル化エポキシ樹脂である硬化性樹脂(b)100質量部に対して通常5質量部〜60質量部程度であり、好ましくは10質量部〜40質量部である。熱硬化剤(c)が5質量部より少ないと熱硬化反応が不十分となり、接着力、ガラス転移点が低くなる。一方、熱硬化剤(c)が60質量部より多いと硬化剤が残留して接着力が低下し、また、ポットライフも悪化する。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤は無機充填剤(d)を含有する。該無機充填剤(d)としては、アルミナ、シリカ(球状シリカ又はヒュームドシリカなど)、タルク、クレー、ベントナイト、有機ベントナイト、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸塩等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。これらの無機充填剤のうち、特に好ましいのはアルミナ及び/又はシリカである。
該無機充填剤(d)の平均粒径は3μm以下が好ましい。
平均粒径が大きすぎると、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成に支障が出る。無機充填剤(d)の平均粒径の下限は通常0.01μm程度である。
本発明の液晶シール剤中における無機充填剤(d)の含有量は、通常1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。含有量が少なすぎる場合、ガラス基板に対する接着強度が低下してしまう。又、充填剤含有量が多すぎる場合、粘度が高すぎて塗布性が悪くなってしまう。
本発明の液晶シール剤には熱硬化反応の硬化性を促進するために、硬化促進剤(e)を含有する。
硬化促進剤(e)としては、加熱時の熱硬化反応促進性が高いこと、液晶に対する汚染性が低いこと、常温保管時に液晶シール剤のポットライフを悪化させないものであれば特に限定されない。
例えば、イソシアヌル環骨格を有する多価カルボン酸や、エポキシ樹脂アミンアダクト物、イミダゾール誘導体、尿素誘導体などが挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用しても良い。好ましい硬化促進剤として尿素化合物硬化促進剤又はイソシアヌル環骨格含有多価カルボン酸硬化促進剤を挙げることが出来る。具体的には、脂肪族ジメチルウレア(商品名:UCAT3503N サンアプロ株式会社製)(シクロヘキサン環上にメチル基及び2個のジメチルウレア基が連続した位置に置換した化合物)、芳香族ジメチルウレア(商品名:UCAT3502T サンアプロ株式会社製)(トルエンの2及び3位に2個のジメチルウレア基が置換した化合物)、トリス(カルボキシC1−C3アルキル)イソシアヌレートが挙げられる。トリス(カルボキシC1−C3アルキル)イソシアヌレートとしては例えば、トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。中でもトリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートが好ましい。
該硬化促進剤(e)は、速硬化の潜在性硬化促進剤とするために、粒径を細かくして均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となる。そのため平均粒径は、4μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。平均粒径としての下限は通常0.1μm程度である。
本発明の液晶シール剤中における硬化促進剤(e)の含有量は、該液晶シールの総量に対して、0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
含有量が少なすぎると硬化性が悪くなりシールパンクが発生し、含有量が多すぎると室温保存安定性及びシールの直線性が悪くなる。
本発明の液晶シール剤には接着強度を向上させるためにカップリング剤(f)を添加しても良い。該カップリング剤(f)に特段の限定はない。
該カップリング剤(f)としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルホスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート等のジルコニウム系カップリング剤;Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のアルミニウム系カップリング剤;が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
これらのカップリング剤のうち、好ましくはシランカップリング剤であり、更に好ましくはアミノシランカップリング剤又はエポキシシランカップリング剤である。
該カップリング剤を使用する事により耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない液晶シール剤が得られる。本発明の液晶シール剤中に該カップリング剤を含有する場合、その含有量は0.05〜3質量%程度である。
本発明の液晶シール剤には、硬化性の更なる向上のためにポリチオール化合物(g)を含有しても良い。該ポリチオール化合物としては分子中に2個以上のチオール基を有する化合物が好ましく、例えば、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、ヒドロキシエチルチオメチルートリス(メルカプトエチルチオ)メタン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(4−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(6−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(6−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(6−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(6−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(6−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(6−メルカプトバレレート)、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、4,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4’−ビス(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,4,4’−トリ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラ(メルカプトメチル)フェニルスルフィド、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
これらのポリチオール化合物のうち、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が好ましく、さらに好ましくは、液晶汚染性及び室温保存安定性の観点から、2級チオール構造を持つ1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が特に好ましい。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤中に該ポリチオール化合物(g)を含有する場合、その含有量は通常0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%である。含有量が少なすぎると硬化性が悪くなりシールパンクが発生しやすくなり、含有量が多すぎると室温保存安定性が悪くなりやすい。
本発明の液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤には、液晶シール剤の特性に影響を与えない範囲で有機充填剤(h)を添加しても良い。該有機充填剤(h)としては、例えば、シリコーンゴム微粒子、アクリルゴム微粒子、コアシェルタイプのアクリル微粒子等が挙げられる。これら有機充填剤は単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
添加してもよい有機充填剤の平均粒径は、通常5μm以下であり、好ましくは2μm以下である。平均粒径が大きすぎる場合はセルギャップの形成が難しくなる。ただし、有機充填剤がシリコーンゴム粉末の場合には平均粒径が大きくてもセルギャップ形成ができるため、シリコーンゴム粉末の好ましい平均粒径は15μm以下である。
また、本発明の液晶シール剤中に該有機充填剤を含有する場合、その含有量は該液晶シール剤の総量に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。下限は0質量%でも良い。通常、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上含む方が好ましい。多すぎる場合、粘度が高くなりセルギャップの形成が難しくなる。本発明の液晶シール剤中に該有機充填剤を含有する態様は好ましい態様の一つである。
また、有機充填剤として、シリコーンゴム微粒子と他の有機充填剤、例えば(メタ)アクリル樹脂微粒子、好ましくはコアシェルタイプの(メタ)アクリル微粒子を併用する態様も本発明の好ましい態様の1つである。その場合、シリコーンゴム微粒子を、他の有機充填剤1質量部に対して、通常1〜10質量部の割合、好ましくは3〜7質量部の割合で使用するのが好ましい。
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、光ラジカル重合開始剤、有機溶媒、顔料、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。
次ぎに本発明のシール剤に付いての好ましい態様のいくつかを記載する。
1.前記「課題を解決するための手段」に記載した(5)〜(14)の何れか一項に記載した発明において、硬化性樹脂(b)が、エポキシ樹脂及び(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の併用である態様。
2.硬化性樹脂(b)の総量に対して、エポキシ樹脂の含量が3〜40質量%であり、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の含量が60〜97質量%である上記1に記載の態様。
3.上記1又は2において、硬化促進剤(e)を含む態様(上記1における(5)〜(14)のうちの(11)〜(14)に記載した発明)の場合において、硬化促進剤の含量が、本発明のシール剤の総量に対して、0.5〜15質量%、好ましくは1〜8質量%である態様。
4.硬化促進剤(e)がイソシアヌル環骨格含有多価カルボン酸硬化促進剤である上記3に記載の態様。
5.硬化促進剤(e)がトリス(カルボキシC1−C3アルキル)イソシアヌレートである上記4に記載の態様。
6.上記1〜5の何れか一項に記載のカップリング剤(f)を含む態様(上記1における(5)〜(14)のうちの(12)〜(14)に記載した発明)の場合において、カップリング剤(f)の含量が、本発明のシール剤の総量に対して、0.05〜3質量%である上記1〜5の何れか一項に記載の態様。
7.カップリング剤(f)がシランカップリング剤である上記6に記載の態様。
8.更に、ポリチオール化合物(g)を、本発明のシール剤の総量に対して、0.1〜10質量%含有する上記1〜7の何れか一項に記載の態様。
9.更に、有機充填剤(h)を、本発明のシール剤の総量に対して、1〜40質量%の範囲内で含有する上記1〜8の何れか一項に記載の態様。
本発明の液晶シール剤を得るには、前記のエポキシ樹脂及び/又は(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(b)、必要に応じてカップリング剤や添加剤等を溶解混合し、そこに前記の熱硬化剤(c)、前記の熱ラジカル発生剤(a)、前記の無機充填剤(d)、前記の硬化促進剤(e)及びその他の任意成分を適宜加えて、通常の混合装置、例えば、3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合すれば良い。混合が終わったあと異物を除くためにろ過処理を施すことが好ましい。
本発明の液晶表示セルは、所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。
ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等から構成される。熱硬化型液晶滴下工法での液晶表示セルの製造方法は、まず、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加、混合する。スペーサーとしては、例えば、グラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等が挙げられる。その径は目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは3〜6μmであり、その使用量は、液晶シール剤100質量部に対し通常0.1〜4質量部、好ましくは0.5〜2質量部、更に好ましくは0.9〜1.5質量部程度である。
スペーサーを配合した液晶シール剤を、基板の一方にディスペンサー等により塗布して堰を形成した後(メインシール)、液晶封止基板を真空に保持するために、さらに最外周に一周、シール剤を塗布する(ダミーシール)。その後、内部シールの堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせた後、大気圧に開放することにより、ギャップ出しを行う。液晶封止基板を真空に保持するためのダミーシール剤は、液晶と接触せず、かつ、液晶セル完成後は切り落とされるため、液晶シール剤と同じものを使用しても、別のUV硬化型シール剤、可視光硬化型シール剤又は熱硬化型シール剤を使用しても良い。真空ギャップ形成後、ダミーシールに光硬化型シール剤であるUV硬化型シール剤又は可視光硬化型シール剤を使用した場合、紫外線照射機又は可視光照射装置により紫外線又は可視光をダミーシール部に照射してダミーシール部を硬化させる。ダミーシールに光硬化型シール剤を使用しなかった場合は、光照射工程は省かれる。ギャップ形成した基板を、90〜130℃で1〜2時間加熱させ、その後ダミーシール部を切り落とすことにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。
このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
また実施例中において特に断りの無い限り、部は質量部、%は質量%を意味する。
実施例A
〔1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンの合成〕(シリル化ベンゾピナコール)
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
HPLC−MASS(高速液体クロマトグラフィー質量分析)にて438の分子イオンピークを得た。さらにNMRスペクトル(溶媒DMSO−d6)から化学シフト値として、水酸基プロトン5.8ppm(1H)、シロキシメチルプロトン0.0ppm(9H)、フェニルプロトン7.1ppm(16H)、7.4ppm(4H)が得られ、目的物と同定した。該NMRスペクトルを図1に示した。
なお、ベンゾピナコール誘導体は二つの三級アルコールのうち一つが反応すると大きな立体障害によりもう一方の水酸基の反応性がさらに落ちるため、上記反応で選択的に片方にシリル基が導入されたと考えられる。
実験例1
本発明の熱ラジカル発生剤の効果を見る目的でサンプルの120℃におけるゲル化タイム(120℃のホットプレート上で硬化する時間)と発泡試験を実施した。
(試験方法)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリル酸付加体(日本化薬株式会社製:R93100)10部に対して、熱ラジカル発生剤として試験例1(本発明)では本発明の1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、試験例2(比較用)ではベンゾピナコール、試験例3(比較用)ではt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(化薬アクゾ株式会社製:カヤエステルO)をそれぞれ0.1部混合したものを三本ロールにて混練し、それぞれのサンプルを調整した。
得られたサンプルを120℃のホットプレート上に置き硬化する時間(120℃におけるゲル化タイム)及び硬化物の発泡による濁りの有無を目視で観察した。その結果を表Aに示す。なお、硬化時間は、ガラス棒をサンプルに接触させ、サンプルが糸を引かなくなるまでの時間を測定した。
なお発泡による濁りの有無の評価基準は下記の通りである。
発泡による濁りの有無の評価
○:硬化物には発泡による濁りもなく透明である。
△:硬化物が発泡によりやや白濁が感じられ透明度もやや低下している。
×:硬化物全体に発泡による白濁が明らかに認められ、透明度も明らかに低下している。
表A
試験例1 試験例2 試験例3
ゲルタイム 7sec 23sec 4sec
濁りの有無 ○ ○ ×
表Aに示されるように、本発明の熱ラジカル発生剤(試験例1)は、硬化速度が速く、発泡が無く、濁りを生じないので、透明性を必要とする様々な用途にも適用できる。
一方、比較対象とした試験例2においては、透明性では問題は無いが硬化時間が長く作業性に問題があり、試験例3は硬化時間の点では優れるが、発泡による濁りが生じるため、透明性が劣るため、透明性を必要とする用途には不適であり、更に、発泡による硬化物の物性の低下が懸念される。
実施例1、2、比較例1、2
後記表1に記載のアクリル化エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、シランカップリング剤を混合して樹脂液を得た。
得られた樹脂液に無機充填剤、熱硬化剤、硬化促進剤、シリル化ベンゾピナコール、ポリチオール化合物、シリコーンゴム粉末(有機充填剤)及びコアシェルアクリル微粒子(有機充填剤)を、それぞれ表1に記載の配合量で配合して、3本ロールにより混練し、実施例1及び2の液晶シール剤を得た。
上記実施例1の組成において、シリル化ベンゾピナコールの代わりに、ベンゾピナコールを表1に記載の量で用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の液晶シール剤を得た。
また、実施例1の組成において、シリル化ベンゾピナコールの代わりに、有機過酸化物を表1に記載の量で用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例2の液晶シール剤を得た。
参考合成例1〔レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物の合成〕
レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂140部をトルエン160部に溶解させた。これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.48部を加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸100部(レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂のエポキシ基の100%当量)を加えて更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.96部を添加して、98℃で約50時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、レゾルシンのエポキシアクリレート241部を得た。
表1
実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
アクリル化エポキシ樹脂 *1 16 16 16 16
エポキシ樹脂 *2 4 4 4 4
無機充填剤 *3 1.25 1.25 1.25 1.25
シリコーンゴム粉末 *4 9 9 9 9
シランカップリング剤 *5 0.3 0.3 0.3 0.3
シランカップリング剤 *6 0.05 0.05 0.05 0.05
熱硬化剤 *7 2.8 2.8 2.8 2.8
シリル化ベンゾピナコール*8 0.5 0.5 − −
ベンゾピナコール *9 − − 0.5 −
有機過酸化物 *10 − − − 0.5
ポリチオール化合物 *11 0.2 0.2 0.2 0.2
硬化促進剤 *12 1 0.5 1 1
アクリル微粒子 *13 2 2 2 2
表1中の数値は重量部である。
*1:レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物(参考合成例1で得られた化合物)
*2:レゾルシンジグリシジルエーテル(日本化薬株式会社製、商品名:RGE−HH)
*3:球状シリカ(信越化学工業株式会社製、商品名:X−24−9163A;一次平均粒径110nm)
*4:シリコーンゴム粉末(信越化学工業株式会社製、商品名:KMP−598;一次平均粒径13μm)
*5:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ株式会社製、商品名:サイラエースRTMS−510)
*6:N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM603)
*7:トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート微粉砕品(株式会社日本ファインケム製、商品名:HCICをジェットミルで平均粒径1.5μmに微粉砕したもの)
*8:1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン(実施例Aと同様にして得た化合物(シリル化ベンゾピナコール)をジェットミルで平均粒径1.9μmに微粉砕したもの)
*9:ベンゾピナコール微粉砕品(東京化成工業株式会社製ベンゾピナコールをジェットミルで平均粒径1.9μmに微粉砕したもの)
*10:t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(化薬アクゾ株式会社製、商品名:カヤエステルRTMO)
*11:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製、商品名:カレンズRTMMT PE1)
*12:トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート粉砕品(四国化成工業株式会社製、商品名:C3−CIC酸をジェットミルで平均粒径1.5μmに微粉砕したもの)
*13:コアシェルアクリル微粒子(ガンツ化成株式会社製、商品名:F351S;平均粒径0.3μm)
評価用液晶セルの作成
実施例1、2又は比較例1、2の液晶シール剤各100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌脱泡を行い、シリンジに充填する。ITO透明電極付きガラス基板に配向膜液(商品名:PIA−5540−05A、チッソ株式会社製)を塗布、焼成し、ラビング処理を施した。この基板に先にシリンジに充填した実施例及び比較例の各液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、シールパターン及びダミーシールパターンの塗布を行い、次いで液晶(商品名:JC−5015LA、チッソ株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済みガラス基板に面内スペーサ(商品名:ナトコスペーサKSEB−525F、ナトコ株式会社製、貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、真空貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。その後、大気開放してギャップ形成した後、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させ評価用液晶テストセルを作成した。
作成した評価用液晶セルのシール形状および液晶配向乱れを偏光顕微鏡にて観察した結果を表2に示す。また、作成した液晶セルのギャップは、液晶特性評価装置(商品名:OMS−NK3、中央精機株式会社製)を用いて測定した結果を表2に示す。シール形状、液晶配向乱れ及び液晶セルのギャップの評価は下記の4段階とした。
シール形状の評価
○:シールの直線性に乱れが無い。
△:シールの変形が認められるが、液晶の封止には問題が無いレベルである。
×:シールに液晶が差し込み、液晶の封止に問題が発生しうるレベルである。
××:シールが決壊しセルが形成できない。
液晶セルギャップの評価
○:セル内が均一に5μmのセルギャップとなっている。
△:セル内に5.5μm程度のセルギャップとなっている場所がある。
×:セル内に6μm以上のセルギャップとなっている場所がある。
××:シールが決壊しセルが形成出来ない。
液晶配向の評価
○:シール近傍に液晶の配向乱れがない。
△:シール近傍に僅かに領域に配向乱れがある。
×:シール近傍から幅広い領域にかけて配向乱れがある。
××:シールが決壊しセルが形成出来ない。
表2
実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
シール形状 ○ ○ ○ ××
液晶セルギャップ ○ ○ ○ ××
液晶配向 ○ △ × ××
液晶シール剤接着強度テスト
実施例1、2又は比較例1、2の各液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせ、120℃オーブンに1時間投入して硬化させた。そのガラス片のせん断接着強度をボンドテスター(商品名:SS−30WD、西進商事株式会社製)を使用して測定した。その結果を下記表3に示す。
液晶シール剤耐湿接着強度テスト
前記の液晶シール剤接着強度テストと同一の測定サンプルを作成する。その測定サンプルを121℃、2気圧、湿度100%の条件で、プレッシャークッカー試験機(商品名:TPC−411、タバイエスペック株式会社製)に20時間投入したサンプルをボンドテスター(商品名:SS−30WD:西進商事株式会社製)を使用して測定した。その結果を下記表3に示す。
ポットライフ
R型粘度計(東機産業株式会社製)を使用して、得られた液晶シール剤の25℃における粘度変化を測定した。初期粘度に対する粘度増加率(%)を下記表3に示す。
表3
実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
初期粘度Pa・s(25℃) 185 165 180 150
ポットライフ
(対初期値粘度増)
25℃保管1日後 3% 3% 3% 8%
接着強度(MPa) 78 62 58 38
耐湿後接着強度(MPa) 58 45 40 15
表2、3に示されるように、シリル化ベンゾピナコールをラジカル発生剤として使用する本発明の実施例の液晶シール剤は、比較例1のベンゾピナコールをラジカル発生剤として使用したものに比しても、液晶配向の点、接着強度及び耐湿後接着強度の点何れにおいても、顕著に優れている。
以上から、本発明のテトラフェニルエタン誘導体は、熱によるラジカル発生性能が高く、発泡も無いことから、ラジカル硬化性樹脂組成物における、ゲルタイムの短い、発泡のない熱ラジカル発生剤として有用である。また、発泡による透明性の低下やその他の硬化物の物性の低下等も無いことから、透明度が高く、物性の良好な樹脂硬化物を得ることが出来る。また、該テトラフェニルエタン誘導体を、液晶シール剤における熱ラジカル発生剤として使用した場合、該シール剤は、液晶の汚染性も少なく、ポットライフが長く、シールの形成性、セルギャップの形成性も良いことから作業性も良好であり、更に、接着強度及び耐湿後接着強度共に優れているという特徴を有する。従って、特に、液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤として適している。

Claims (20)

  1. 下記一般式(1’)
    Figure 2011061910

    (式中、Y’又はY’は各々独立して水素原子、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す。但し、Y’又はY’にそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY’又はY’が水素原子の場合は存在せず、且つY’及びY’が水素原子の場合を除き、更に、Y’及びY’が珪素原子で、R〜Rの全てがメチル基であり、X〜Xの全てが水素原子である場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体。
  2. 一般式(1’)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R’−又はR’−はジ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基、若しくはトリ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基であり、X〜Xのいずれもが水素原子である請求項1に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
  3. 一般式(1)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R’−又はR’−はトリメチルシリル、トリエチルシリル又はt−ブチルジメチルシリルであり、X〜Xのいずれもが水素原子である請求項1に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
  4. 下記式(2)
    Figure 2011061910

    で表される1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである請求項1に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
  5. (a)下記一般式(1)
    Figure 2011061910

    (式中、Y又はYは各々独立して水素原子、フェニル、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン原子を示す。但し、Y又はYにそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY又はYが水素原子の場合は存在せず、且つY及びYのいずれもが水素原子の場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体、(b)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物の何れか一方若しくは両者、(c)熱硬化剤、および(d)無機充填剤を含有することを特徴とする液晶滴下工法用熱硬化性液晶シール剤。
  6. (a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体が請求項1〜4の何れか一項に記載のテトラフェニルエタン誘導体である請求項5に記載の液晶シール剤。
  7. (a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体が平均粒径5μm以下の固体粉末である請求項5に記載の液晶シール剤。
  8. (c)熱硬化剤の融点又は軟化点が100℃以上である潜在性硬化剤である請求項5に記載の液晶シール剤。
  9. (d)無機充填剤がアルミナ及び/又はシリカである請求項5に記載の液晶シール剤。
  10. (d)無機充填剤の平均粒径が10〜2000nmである請求項5に記載の液晶シール剤。
  11. (e)硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項5に記載の液晶シール剤。
  12. (f)カップリング剤を含有することを特徴とする請求項5に記載の液晶シール剤。
  13. (a)一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を、液晶シール剤の総量に対して0.1〜10質量%、(b)エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物を、液晶シール剤の総量に対して、30〜75質量%、(c)熱硬化剤を(b)成分100質量部に対して、5〜60質量部、および(d)無機充填剤を、液晶シール剤の総量に対して、1〜30質量%の範囲で含有する請求項5に記載の液晶シール剤。
  14. (a)一般式(1)において、Y又はYのいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子を示し、珪素原子の場合、R−又はR−はジ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基、若しくはトリ(炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル)シリル基であり、X〜Xのいずれもが水素原子であるテトラフェニルエタン誘導体、(b)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物の何れか一方若しくは両者、(c)熱硬化剤として融点又は軟化点が100℃以上である潜在性硬化剤、(d)無機充填剤及び、(e)硬化促進剤又は(f)カップリング剤のいずれか一方若しくは両者を含有することを特徴とする請求項5に記載の液晶シール剤。
  15. 請求項5に記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
  16. 請求項5に記載された一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を有効成分として含むラジカル発生剤。
  17. 一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体の、熱硬化性液晶シール剤製造のための請求項16に記載のラジカル発生剤としての用途。
  18. 請求項5に記載された一般式(1)のテトラフェニルエタン誘導体を含むラジカル硬化性樹脂組成物を熱硬化させた硬化物。
  19. 下記一般式(3)
    Figure 2011061910

    (式中、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す)
    で表されるベンゾピナコールとシリル化剤を反応させる下記式(1’)
    Figure 2011061910

    (式中、Y’又はY’は各々独立して水素原子、又は珪素原子を示し、R〜Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示し、X〜Xは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、又はハロゲン基を示す。但し、Y’又はY’にそれぞれ結合するR〜R又はR〜RはY’又はY’が水素原子の場合は存在せず、且つY’及びY’のいずれもが水素原子の場合を除く)で表されるテトラフェニルエタン誘導体の製造方法。
  20. 一般式(1’)において、Y’又はY’のいずれか一方は水素原子で、他方が珪素原子であり、珪素原子の場合、R〜R又はR〜Rは各々独立して炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基である請求項1に記載のテトラフェニルエタン誘導体。
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