JP6465740B2 - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Description
熱硬化法では、加熱による液晶の膨張により硬化途中の低粘度化した液晶シール剤から液晶が漏れてしまう問題と低粘度化した液晶シール剤の成分が液晶に溶解してしまう問題が解決困難である。また、特許文献3、特許文献4には、部分アクリル化エポキシアクリレートと加熱によりラジカルが発生する有機過酸化物と熱硬化剤からなる液晶シール剤で、加熱硬化型液晶シール剤があげられているが、この液晶シール剤を液晶滴下工法に使用した場合、加熱時に接触している液晶に有機過酸化物が溶出して不良が発生してしまう。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
1)
平均粒子径A[μm]の熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)、平均粒子径B[μm]のフィラー(c)及び硬化性化合物(d)を含有し、
A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
0.5μm ≦ A ≦ 3μm ・・・ (I)
0.005×A ≦ B ≦ 0.3×A ・・・ (II)
2)
上記(a)が、有機酸ヒドラジド化合物である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記(b)が、有機酸及び/又はイミダゾールである上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
4)
上記(c)が、シリカ及び/又はアルミナである上記1)及至3)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)及び/又は(b)の含有量が0.1質量部以上30質量部未満である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(c)の含有量が1質量部以上20質量部未満である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
上記硬化性化合物(d)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
上記硬化性化合物(d)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
9)
更に熱ラジカル重合開始剤(e)を含有する上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
更にシランカップリング剤(f)を含有する、上記1乃至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
11)
更にエポキシ樹脂(g)を含有する、上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
12)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
13)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、に関する。
A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
0.5μm ≦ A ≦ 3μm ・・・ (I)
0.005×A ≦ B ≦ 0.3×A ・・・ (II)
[数式(I)に関して]
数式(I)は、平均粒子径の大きい熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)の、平均粒子径を規定している。すなわち、熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)の平均粒子径は、0.5μm以上3μm以下である。平均粒子径が小さいと、保存安定性が悪くなる傾向がある。従って、0.5μm未満である場合、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、平均粒子径が大きすぎると、液晶表示セルのギャップより大きくなりギャップ不良を起こす可能性がある。平均粒子径の更に好ましい範囲は、1μm以上3μm以下であり、特に好ましくは、1μm以上2μm以下である。
[数式(II)に関して]
数式(II)は、熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)とフィラー(c)の平均粒子径の関係を示したものである。すなわち、フィラー(c)の平均粒子径は、熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)の平均粒子径の1000分の5以上1000分の300以下である。フィラー(c)の平均粒子径がこの範囲である場合には、フィラー(c)の粒子は熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)の粒子との静電引力が強まり、熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)の表面に引き寄せられ、熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)と硬化性化合物(d)の間に効率よく入り込む。フィラー(c)の平均粒子径は、更に好ましくは、1000分の5以上1000分の200以下であり、特に好ましくは、1000分の8以上1000分の100以下である。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2 ,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
有機フィラーとしては、例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド微粒子、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系微粒子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系微粒子、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴム微粒子等が挙げられる。このうち好ましいものはゴム微粒子であって、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、二トリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム( EPM、EP)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(SI、SR)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、多硫化ゴム(チオコール)などが挙げられる。これら固形成分(I)は2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、好ましくは、シリコーンゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、アクリルゴムである。
ただし、平均粒子径は上記数式(II)を満たすもの、又は、解砕工程を経て、上記数式(II)を満たすものとしたものに限られる。また、無機フィラーは様々の方法によって表面処理をされたものでも良いが、未処理のものが好ましい。
このフィラー(c)としては、シリカ又はアルミナが好ましく、特に好ましくはフュームドシリカ、フュームドアルミナである。
フィラー(c)の液晶シール剤中の含有量としては、本願発明の液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜20質量部である場合が好ましく、2〜15質量部である場合がより好ましく、3〜10質量部である場合が更に好ましい。
本願発明では、上記数式(II)を満たす有機フィラー又は無機フィラーが存在すればその効果を奏する為、その他に数式(II)を満たさない有機フィラー又は無機フィラーを添加しても良い。
この硬化性化合物(d)は、光又は熱によって重合反応するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物である場合が特に好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、レゾルシン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、例えばレゾルシンジグリシジルエーテル等である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
したがって、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性化合物であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
また、硬化性化合物(d)の液晶滴下工法用液晶シール剤中に占める含有率としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、30〜90質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80質量部程度である。
一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物としては、KAYARADRTMPET−30、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DPEA−12、GPO−303、TMPTA、THE-330、TPA−320、TPA−330、D−310,D−330、RP−1040、UX−5000、DPHA−40H(以上、日本化薬株式会社製)、NKエステルRTMA−9300、A−9300−1CL、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMM−3LM−N、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH(以上、新中村化学工業株式会社)、SR295、SR350、SR355、SR399、SR494、CD501、SR502、CD9021、SR9035、SR9041(以上、サートマー社製)等を挙げることができる。これらのうち、モル平均分子量が800以上である場合が好ましく、例えばKAYARADRTMDPCA−20、DPCA−30、DPEA−12が好ましい。また、分子内にC1−C4アルキレンオキサイド(−O−R−O−)を含有する硬化性化合物である場合が好ましく、KAYARADRTMDPEA−12が特に好ましい。
上記熱ラジカル重合開始剤(e)として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジエトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
光重合開始剤を用いる場合の液晶シール剤総量中の含有率は、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
ラジカル重合防止剤は、成分(d)を合成する際に添加する方法や、液晶シール剤の製造時において成分(d)に溶解させる方法があるが、より有効な効果を得る為には液晶シール剤の製造時において成分(d)に溶解させるほうが好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。
[熱ラジカル重合開始剤の合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成工業株式会社製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業株式会社製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
下記表1に示す割合で硬化性化合物(d)、エポキシ樹脂(g)、光重合開始剤、を90℃で加熱溶解させた後、室温まで冷却し、シランカップリング剤(f)、熱硬化剤(a)、硬化促進剤(b)、フィラー(c)、熱ラジカル重合開始剤(e)を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤実施例1、2、比較例1〜3を調製した。
得られた液晶シール剤の25℃における粘度変化を測定した。25℃50RH%の条件下で72時間放置した後の粘度測定を行い、初期粘度に対する粘度増加率を表1に示す。粘度はE型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。
透明電極付き基板に配向膜液(PIA−5540−05A;チッソ株式会社製)を塗布、焼成し、ラビング処理を施した。この基板に得られた液晶シール剤を貼り合せ後の線幅が1mmとなるようにメインシールおよびダミーシールをディスペンスし、次いで液晶(JC−5015LA;チッソ株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済み基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、シールパターン枠内のみマスクをしてUV照射機により50mJ/cm2の紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃1時間熱硬化させ評価用液晶テストセルを作成した。
◎:液晶の配向乱れがシールから0.2mm未満である。
○:液晶の配向乱れがシールから0.2mm以上0.4mm未満である。
△:液晶の配向乱れがシールから0.4mm以上0.6mm未満である。
×:液晶の配向乱れがシールから0.6mm以上である。
Claims (12)
- 平均粒子径A[μm]の熱硬化剤(a)及び/又は硬化促進剤(b)、平均粒子径B[μm]のフィラー(c)、硬化性化合物(d)、及びエポキシ樹脂(g)を含有し、前記(g)がビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、
A[μm]及びB[μm]が、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たす液晶滴下工法用液晶シール剤。
0.5μm≦A≦3μm・・・(I)
0.005×A≦B≦0.3×A・・・(II)
- 前記(a)が、有機酸ヒドラジド化合物である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(b)が、有機酸及び/又はイミダゾールである請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(c)が、シリカ及び/又はアルミナである請求項1及至3に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(a)及び/又は(b)の含有量が0.1質量部以上30質量部未満である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 液晶シール剤の総量を100質量部としたときの(c)の含有量が1質量部以上20質量部未満である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記硬化性化合物(d)が(メタ)アクリル化エポキシ樹脂である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記硬化性化合物(d)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に熱ラジカル重合開始剤(e)を含有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液
晶滴下工法用液晶シール剤。 - 更にシランカップリング剤(f)を含有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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