JP2015200729A - 放射線硬化型樹脂組成物、その硬化物及びその用途 - Google Patents

放射線硬化型樹脂組成物、その硬化物及びその用途 Download PDF

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常俊 坂野
Tsunetoshi Sakano
常俊 坂野
林原 昌一
Shoichi Hayashibara
昌一 林原
英之 太田
Hideyuki Ota
英之 太田
栄一 西原
Eiichi Nishihara
栄一 西原
橋本 昌典
Masanori Hashimoto
昌典 橋本
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Abstract

【課題】
紫外線や電子線を照射することにより、可撓性、基材への接着性に優れた硬化物となる放射線硬化性樹脂組成物を提供する。なお当該放射線硬化性樹脂組成物は、液晶表示素子において塗工性、接着性に優れ、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどない為、液晶滴下工法用シール剤として好適である。
【解決手段】
(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物、(b)ラジカル重合開始剤、及び(c)分子内に下記式(1)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂を含有する放射線硬化型樹脂組成物。
【化1】
Figure 2015200729

【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線や電子線を照射することにより、可撓性、基材への接着性に優れた硬化物を提供することができる放射線硬化性樹脂組成物に関する。また当該放射線硬化性樹脂組成物は、液晶表示素子において塗工性、接着性に優れ、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどない為、液晶滴下工法用シール剤に好適である。
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造法として、より生産性の高い、 いわゆる液晶滴下方式が提案されている。従来の製造技術である液晶注入方式は、液晶注 入口を設けた空の液晶セルを作成し、液晶封入後封口剤にて封止する方式であり、液晶封 入に長時間かかることが欠点であった。一方、液晶滴下方式では、一方の基板に形成された液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより、液晶を封止した液晶表示セルが製造できるため、極めて短時間でセルの製造が可能に なり、ひいては大幅なコストダウンに繋がる。(特許文献1)しかし、液晶滴下工法は、液晶シール剤が未硬化の状態で液晶に接触するため、液晶表示セル製造時に液晶シール剤の成分が液晶に溶解して液晶の表示不良を起こし易いという問題点がある。
また、液晶表示素子のギャップは狭ギャップ化が進んでいるものの、未だギャップが5μm以上と厚いものも存在している。このようなセルギャップの厚い液晶表示素子に用いられる厚膜のシール剤が遮光性を有するもの(遮光シール剤)であると、滴下工法による液晶表示素子の製造において、紫外線を照射して遮光シール剤を光硬化させる際に、遮光シール剤内部の遮光性成分の紫外線吸収に加えて、遮光シール剤内部での光の散乱現象が起こり、紫外線照射面と逆側にあたる遮光シール剤には光が殆ど到達しないこととなり、遮光シール剤の光硬化が不充分となる。これを解決する手段として、環状エーテル基を有する硬化性化合物とカチオン開始剤とを含有するカチオン重合性のシール剤が提案されている。(特許文献2、3)しかしながら、カチオン硬化系は光照射後にイオン種を生成し、液晶中に溶解することで比抵抗の著しい低下を引き起こし、表示ムラを発生するという問題点がある。
特開2001−133794号公報 特開2006−313286号公報 特開2007−224235号公報
本発明は、紫外線や電子線を照射することにより、可撓性、基材への接着性に優れた硬化物を提供することができる。また、本発明は、塗工性、接着性に優れ、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどない為、液晶滴下工法用シール剤として非常に好適である。
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定構造を有するエポキシ樹脂とラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤とを含有する樹脂組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明に至った。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。
すなわち本発明は、
1)
(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物、(b)ラジカル重合開始剤、及び(c)分子内に下記式(1)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂を含有する放射線硬化型樹脂組成物、
Figure 2015200729
2)
上記成分(c)が、分子内に下記式(2)で表される構造を2以上有するエポキシ樹脂である上記1)に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
Figure 2015200729
[式(2)中、nは1〜10の整数を、tmは0〜8の整数を、*は結合位置を表す。ただし、tmは分子中にある全てのmの総和である。]
3)
上記成分(c)が、分子内に上記式(2)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂である上記1)に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
4)
成分(a)が、一分子中に、1つ以上の水素結合性官能基を有するラジカル重合反応性樹脂である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
5)
成分(a)の数平均分子量が、100〜3000であることを特徴とする上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
6)
上記成分(a)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
7)
上記成分(b)ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
8)
上記(b)ラジカル重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
9)
更に、(d)熱硬化剤を含有する上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
10)
上記成分(d)が有機酸ヒドラジドである上記9)に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
11)
更に、(e)シランカップリング剤を含有する上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
12)
更に、(f)無機フィラーを含有する上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物、
13)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、
14)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の樹脂組成物で構成される液晶滴下工法用シール剤、
15)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記14)に記載の液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
16)
上記14)に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、に関する。
本発明は、紫外線や電子線を照射することにより、可撓性、基材への接着性に優れた硬化物を提供することができる。また、本発明は、塗工性、接着性に優れ、かつ、液晶汚染を引き起こすことがほとんどない為、液晶滴下工法用シール剤として非常に好適である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物樹脂組成物は、成分(c)分子内に上記式(1)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂を含有する。
この構造を有するエポキシ樹脂は、様々な下地との密着性に優れ、また液晶との相溶性も低い為、特に液晶滴下工法用シール剤として好適である。
上記成分(c)としては、例えばエポリードGT301、GT302、GT401、GT402(株式会社ダイセル社製)等を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
また、成分(c)として好ましいものは、分子内に上記式(2)で表される構造を2以上有するエポキシ樹脂であり、具体例としては、エポリードGT301、エポリードGT401(株式会社ダイセル社製)等を挙げることができる。更に好ましくは、分子内に上記式(2)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂である。このエポキシ樹脂の具体例としては、エポリードGT401(株式会社ダイセル社製)等を挙げることができる。なお、エポリードGT301は、下記式(3)で表される構造を有するエポキシ樹脂であり、エポリードGT401は、下記式(4)で表される構造を有するエポキシ樹脂である。
Figure 2015200729
[式(4)中、lは1〜10の整数を表す。]
Figure 2015200729
[式(4)中、nは1〜10の整数を表す。]
上記式(3)中、lは1〜10の整数を表し、好ましくは2〜8、更に好ましくは3〜7、特に好ましくは5である。
上記式(3)中、sは、付加されるラクトン数によって決まる数であり、2s(式(3)中の2つのsの総和)の好ましい範囲は0〜8の整数であり、好ましくは0〜6、更に好ましくは0〜4、特に好ましくは0〜3である。
上記式(4)中、nは1〜10の整数を表し、好ましくは2〜8、更に好ましくは3〜7、特に好ましくは5である。
上記式(4)中、mは、付加されるラクトン数によって決まる数であり、4m(式(4)中の4つのmの総和)の好ましい範囲は0〜8の整数であり、好ましくは0〜6、更に好ましくは0〜4、特に好ましくは0〜3である。
上記成分(c)の含有量は、本発明の樹脂組成物全体100質量部中、好ましい下限が1質量部、好ましい上限が45質量部である。成分(c)の含有量が1質量部未満であると、得られる樹脂組成物が基板や下地膜に対する接着性に劣るものとなることがある。上記式(1)で表されるエポキシ樹脂の含有量が45質量部を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりすぎたり、基板との親和性が悪くなって接着性に劣るものとなったりすることがある。特に、液晶滴下工法用シール剤に用いた場合は、液晶中に溶出し、表示不良を引き起こす場合がある。上記成分(c)の含有量は、より好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜35質量部である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物を含有する。本発明に用いられる(a)ラジカル重合性化合物は、一分子中に(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を1つ以上含有していれば、特に特に限定されるものでは無く、目的用途に応じ適宜選択されるが、好ましくは(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートの様な(メタ)アクリロイル基、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピリジン、ビニルアセチレン、酢酸ビニル等のビニル基を官能基としてもつ化合物が挙げられる。また、1分子中にこれらの官能基を併せ持った構造のものでも良く、これらを2種以上混合して用いても良い。
上述の(メタ)アクリルエステルとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフロフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARADHX−220、HX−620等)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。特に好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等が挙げられる。
また、上述したエポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応により得られるものであり、エポキシ樹脂のエポキシ基に等量未満の(メタ)アクリル酸成分を反応させ意図的にエポキシ基を残した部分エポキシ(メタ)アクリレートも含まれる。エポキシ(メタ)アクリレートの原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールO型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールO型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールE型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加レゾルシンジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、トリスヒドロキシフェニルメタン、フルオログリシノール、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
上述のウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、ポリオールと有機ポリイソシアネート及び水酸基を有する(メタ)アクリレートの反応物が挙げられる。該ポリオール(B−1)としては、例えば、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリ(n≒2〜20)エトキシジオール、ビスフェノールAポリ(n≒2〜20)プロポキシジオール等のジオール化合物、これらジオール化合物と二塩基酸またはその無水物(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸あるいはこれらの無水物)との反応物であるポリエステルジオール等を挙げることができる。
該有機ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4'−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。また、該水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上術した(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物は、好ましくは一分子中に、1つ以上の水素結合性官能基を有することが好ましい。水素結合性官能基としては、例えば、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONK基、−NHOH基等の官能基を有するもの、又は、分子内に−NHCO−結合、−NH-結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基が挙げられる。水素結合は、水素結合性を有する官能基又は残基等を組成物中に含有することにより形成される。上述の水素結合性官能基を有する樹脂類は、分子内で水素結合を形成することから、各種基板表面に設置されている無機膜及び/又は有機膜界面と相互作用するため、より高い接着強度を呈することが可能となる。また、液晶滴下工法シール剤として用いた場合には、硬化前・硬化後共に、液晶中へ溶出しにくくなり液晶汚染を起こすことがない。
また、上記した(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物は、その数平均分子量が100〜3000であることが好ましい。数平均分子量が100より少ないと、液晶中へ拡散しやすく、表示ムラを引き起こしやすい。また、数平均分子量が3000より大きいと、樹脂組成物の粘度が高くなり、加工性等に影響を及ぼす場合がある。より好ましくは、数平均分子量が200〜2500であり、さらに好ましくは250〜2000である。
上記成分(a)としては、レゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である場合が特に好ましい本発明の態様である。レゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物は反応性が高く、また液晶との相溶性も低い為、高反応でありかつ液晶低汚染性である放射線硬化型樹脂組成物を製造することができる。
上記その他のラジカル重合性化合物の含有量は、本発明の樹脂組成物全体100質量部に対して、10質量部〜75質量部である。上記その他のラジカル重合性化合物の含有量が75質量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が基板や配向膜に対する接着性に劣るものとなることがある。上記その他のラジカル重合性化合物の含有量はより好ましは15質量部〜70質量部であり、更に好ましくは20〜65質量部である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、(b)ラジカル重合開始剤を含有する。上記ラジカル重合開始剤としては(メタ)アクリロイル基及び/またはビニル基を紫外線等の光で反応させるための光ラジカル重合開始剤、(メタ)アクリロイル基及び/またはビニル基を熱で反応させるための熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は紫外線や可視光の照射によって、ラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するものを使用することが好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。また例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACUREOXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等は市場から入手できる光ラジカル重合開始剤である。
上記光ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されないが、本発明の樹脂組成物全体100質量部に対して、好ましい下限が0.1質量部、好ましい上限が10質量部である。上記光ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を充分に硬化させることができないことがある。上記光ラジカル重合開始剤の含有量が10質量部を超えると、貯蔵安定性が低下することがある。上記光ラジカル重合開始剤の含有量は、更に好ましくは0.2〜8質量部であり、特に好ましくは0.3〜6質量部である。
上記熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001等(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。なお、本明細書中、上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記熱ラジカル重合開始剤として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発する為、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる為である。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジンなどの塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)などが挙げれる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
該熱ラジカル重合開始剤は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせろ時のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となる為、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定できる。
上記熱ラジカル重合開始剤の含有量は特に限定されないが、本発明の樹脂組成物全体100質量部に対して好ましい下限が0.01質量部、好ましい上限が10質量部である。上記熱ラジカル重合開始剤の含有量が0.01質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を充分に硬化させることができないことがある。上記熱ラジカル重合開始剤の含有量が10質量部を超えると、貯蔵安定性が低下することがある。
上記熱ラジカル重合開始剤の含有量は、更に好ましくは0.02〜8質量部であり、特に好ましくは0.03質量部〜8質量部である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、成分(d)熱硬化剤を含有しても良い。熱硬化剤は特に限定されるものではなく、多価アミン類、多価フェノール類、ヒドラジド化合物等を挙げることができ、例えば、多価アミン類としてはジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン、ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類等を挙げることができる。
成分(d)として特に好適に用いられるものは固形の有機酸ヒドラジドである。例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、1−ナフトエ酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等を挙げることができる。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。この熱硬化剤は、単独で用いても2種以上混合してもよい。硬化反応性と潜在性とのバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはマロン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドである。かかる(d)熱硬化剤を使用する場合の使用量としては、本発明の放射線硬化型樹脂組成物の総量を100質量部とした場合に、0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは1〜5質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、(e)シランカップリング剤を用いて、接着強度向上や耐湿信頼性向上を図ることができる。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。シランカップリング剤の液晶シール剤に占める含有量は、本発明の放射線硬化型樹脂組成物の総量を100質量部とした場合、0.05〜3質量部が好適である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、(f)無機フィラーを用いて接着強度向上や耐湿信頼性向上を図ることができる。無機フィラーとしては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が適当であり、好ましくは2μm以下である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定した。無機フィラーの液晶シール剤中の含有量は、本発明の液晶シール剤の全体を100質量部とした場合、通常1〜60質量部、好ましくは1〜40質量部である。無機フィラーの含有量が少なすぎる場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が多すぎる場合、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物には、さらに必要に応じて、成分(c)以外のエポキシ樹脂、硬化促進剤、有機フィラー、並びに顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤等の添加剤を配合することができる。
上記成分(c)以外のエポキシ樹脂としては、特に限定されることはないが、好ましくは2官能以上のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱化学社製)、エピクロン850(DIC社製)等が挙げられる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jERYX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鐵化学社製)等が挙げられる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−770(DIC社製)等が挙げられる。オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP7200(DIC社製)等が挙げられる。ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鐵化学社製)等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱化学社製)、エピクロン430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鐵化学社製)、エピクロン726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鐵化学社製)、等が挙げられる。上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。エポキシ樹脂のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鐵化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、放射線硬化型樹脂組成物の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
上記有機フィラーとしては、例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド微粒子、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系微粒子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系微粒子、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴム微粒子等が挙げられる。
この有機フィラーは、ゴム微粒子である場合が好ましい。ゴム微粒子としては、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、二トリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EP)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(Si、SR)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、多硫化ゴム(チオコール)等が挙げられ、単独のゴム微粒子でも良いし、2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。また2種以上を併用しても良い。これらのうち、好ましくは、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴムまたはシリコーンゴムであり、特に好ましくはアクリルゴムまたはシリコーンゴムである。
アクリルゴムを使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらのゴム微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。
該有機フィラーを含有する場合の含有量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、成分(a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合反応性樹脂に、成分(c)上記式(1)で表されるエポキシ樹脂、及び必要に応じ成分(c)以外のエポキシ樹脂を加熱混合し、そこへ成分(b)光ラジカル重合開始剤を添加し、溶解させる。その後、室温まで冷却し、成分(b)熱ラジカル重合開始剤、必要に応じて成分(d)熱硬化剤、成分(e)シランカップリング剤、成分(f)無機充填材、硬化促進剤、有機フィラー、並びに顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の放射線硬化型樹脂組成物を製造することができる。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、可撓性、基材への接着性に優れた硬化物を提供することができ、さらには液晶汚染性が極めて低い為、液晶滴下工法用シール剤として、極めて好適である。
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、またはスクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、必要に応じて、紫外線照射機により液晶シール剤部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500〜6000mJ/cm、より好ましくは1000〜4000mJ/cmの照射量である。その後、90〜130℃で1〜2時間熱硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100質量部に対し通常0.1〜4質量部、好ましくは0.5〜2質量部、更に、好ましくは0.9〜1.5質量部程度である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、液晶セルの製造工程を通して液晶に対して極めて汚染性が低く、基板への接着強度、室温での使用可能時間(ポットライフ)、塗布作業性、貼り合わせ性に優れる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。
本発明実施例における接着強度測定に用いるテストピースを表す図である。 左側が上から見た図であり、右側が断面図である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中特に断りがない限り、部は質量部を示す。
[参考合成例1]
[エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂の合成]
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌器を取り付けたフラスコにエチレンオキサイド付加ビスフェノールS(日華化学製;商品名SEO−2、融点183℃、純度99.5%)169g、エピクロルヒドリン370g、ジメチルスルホキシド185g、テトラメチルアンモニウムクロライド5gを加え撹拌下で溶解し、50℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム60gを100分かけて分割添加した後、更に50℃で3時間、後反応を行った。反応終了後水400gを加えて水洗を行った。ロータリーエバポレーターを用いて130℃で減圧下、油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを留去した。残留物にメチルイソブチルケトン450部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液10gを加え、1時間反応を行った後、水洗を3回行い、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下メチルイソブチルケトンを留去し、下記式(5)で表される液状エポキシ樹脂C212gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は238g/eq、25℃における粘度は113400mPa・sであった(室温に放置すると結晶化した)。
Figure 2015200729
[参考合成例2]
[レゾルシンジグリシジルエーテルの合成]
レゾルシン5500g、エピクロルヒドリン37000g、テトラメチルアンモニウムクロライド500gを加え撹拌下で溶解し70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム4000gを100分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間、後反応を行った。反応終了後、水15000gを加えて水洗した後、油層から、130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリンなどを留去した。残留物にメチルイソブチルケトン22200gを加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%水酸化ナトリウム水溶液1000gを加え、1時間反応を行った後、水5550gで水洗を3回行い、180℃で減圧下メチルイソブチルケトンを留去し、レゾルシンのジグリシジル化物10550gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は129g/eqであった。
[参考合成例3]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート(アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)395gを得た。
[参考合成例4]
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂58.4gをトルエン67.0gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1500ppmを加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸41.6gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド1500ppmを添加して、98℃で約50時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンのエポキシアクリレートを得た。
[参考合成例5]
[ビスフェノールFエポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDF−2001、エポキシ当量450g/eq)86.2gをトルエン66.7gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1500ppmを加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸41.6gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド1500ppmを添加して、98℃で約30時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、ビスフェノールFエポキシのエポキシアクリレートを得た。
[参考合成例6]
[ビスフェノールFエポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDF−8170C、エポキシ当量160g/eq)68.9gをトルエン66.7gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1500ppmを加え、60℃まで昇温した。その後、アクリル酸31.1gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド1500ppmを添加して、98℃で約30時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、ビスフェノールFエポキシのエポキシアクリレートを得た。
[参考合成例7]
[1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
下記表1に示す量の成分(a)、(b)等を用い、樹脂組成物の製造を行った。製造方下記表1に示す量の成分、(a)、(b)等を用い、液晶シール剤の製造を行った。製造方法は以下に示す通りである。
まず、成分(a)に成分(c)、必要に応じて添加するエポキシ樹脂B〜Eを加熱溶解混合する。光ラジカル重合開始剤を用いる場合には、この樹脂液に添加し加熱溶解し、室温まで冷却する。冷却後、必要に応じて添加する熱ラジカル重合開始剤、成分(d)、(e)、(f)、硬化促進剤、有機充填剤を添加し、3本ロールにより均一に分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過することによって、目的とする樹脂組成物を得た。
Figure 2015200729
実施例1〜5及び比較例1〜3の樹脂組成物について、粘度、接触液晶の比抵抗値、配向不良、接着強度を測定した。なお、各試験は下記の方法で実施した。結果を表2に示す。
[粘度]
25℃における粘度をE型粘度計(東機産業(株)製)で測定した。測定回転数は5rpmで行った。
[接着強度]
得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌した。これを配向膜PIA-5540 (日産化学工業社製)付きガラス基板(40mm×50mm×0.7mmt)のガラス基板上に図1に示す形状に印刷し、その液晶シール剤上にもう一枚のガラス基板を重ね、クリップで挟んで貼りあわせた。このとき貼りあわせ部の線幅は、1.0mmから1.2mmの範囲となるようにした。
これをメタルハライド式紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製;ユニキュアシステム型式UVX−02516S1AFL01)により2000mJ(100mW/cm2,20秒)の紫外線を照射した後、120℃のオーブンに1時間投入して硬化させ、開口部硬化サンプルとした。次いで、貼りあわせ部の線幅を株式会社ハイロックス製デジタルハイスコープシステムにて測定した。西進商事株式会社製ボンドテスターSS−25KPにて図1の押し込みポイントを垂直方向に押し込み、そのはがれ強度を5サンプル測定し、その平均値を接着強度とした。また、遮光部の硬化サンプルは、上記記載の紫外線硬化を、L/S=100/100のメタルスリット越しに紫外線照射した以外は、同様に行い、試験片を作成した。表2中、接着強度の単位はkgfである。
[液晶汚染性(作製直後の液晶表示むら評価)]
各実施例及び各比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤100質量部に対して平均粒径5μmのグラスファイバー(日本電気硝子社製)1質量部を遊星式撹拌装置によって分散させ均一な液とし、得られた液をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY-5E」)に充填し、脱泡処理を行った。次いで、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いてTN用配向膜PIA-5540(日産化学工業社製)付きITOガラス基板に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布し、更に中央部にも塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC-5015LA」)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布し、他方の基板を、真空貼り合わせ装置にて1Paの減圧下にて貼り合わせた。貼り合わせた後の基板の液晶部分を光が当たらないようマスクし、UV照射機に投入して100mW/cm2の紫外線を20秒照射してシール剤を仮硬化させた。その後、120℃のオーブンにて1時間シール剤を熱硬化させ、液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子に電圧を印加し、目視で観察した。シール剤部周辺に色むらが全く見られなかった場合を「◎」、ほとんど色むらがないがよく見ると僅かな色むらが見えた場合を「○」、少し薄い色むらが見えた場合を「△」、はっきりとした濃い色むらがあった場合を「×」として表示性能を評価した。
Figure 2015200729
表2から明らかなように、実施例1〜5に示される本発明の樹脂組成物と比較例1〜3に示される樹脂組成物とを対比すると、実施例1〜5の組成物は接着力に優れ、なお且つ低液晶汚染性であることが分かる。すなわち、本発明の樹脂組成物は、滴下工法用のシール剤として好適であることがわかる。
本発明の液晶表示セルの製造方法によれば、製造工程において、液晶シール剤の描画性に優れ、液晶が液晶シール剤へ差し込むことがないため、極めて安定に液晶表示セルを製造することができる。また、生産タクトの短縮も可能となるため、より一層の量産性向上を実現できる。

Claims (16)

  1. (a)(メタ)アクリロイル基及び/又はビニル基を有するラジカル重合性化合物、(b)ラジカル重合開始剤、及び(c)分子内に下記式(1)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂を含有する放射線硬化型樹脂組成物。
    Figure 2015200729
  2. 前記成分(c)が、分子内に下記式(2)で表される構造を2以上有するエポキシ樹脂である請求項1に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
    Figure 2015200729
    [式(2)中、nは1〜10の整数を、tmは0〜8の整数を、*は結合位置を表す。ただし、tmは分子中にある全てのmの総和である。]
  3. 前記成分(c)が、分子内に上記式(2)で表される構造を3以上有するエポキシ樹脂である請求項1に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  4. 成分(a)が、一分子中に、1つ以上の水素結合性官能基を有するラジカル重合反応性樹脂である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  5. 成分(a)の数平均分子量が、100〜3000であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  6. 前記成分(a)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  7. 前記成分(b)ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  8. 前記(b)ラジカル重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  9. 更に、(d)熱硬化剤を含有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  10. 前記成分(d)が有機酸ヒドラジドである請求項9に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  11. 更に、(e)シランカップリング剤を含有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  12. 更に、(f)無機フィラーを含有する請求項1乃至11のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の放射線硬化型樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の樹脂組成物で構成される液晶滴下工法用シール剤。
  15. 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項14に記載の液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  16. 請求項14に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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