JP2017214462A - エポキシ樹脂、完全変性エポキシ樹脂及びそれらを含む硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェノール性水酸基を1以上有するフェノール化合物に、アルキレンカーボネート又はハロアルコール化合物を付加させ、さらにグリシジルエーテル化させたエポキシ樹脂、及びこのエポキシ樹脂を、カルボン酸、カルボン酸無水物又はフェノール化合物で変性した変性エポキシ樹脂、並びにそれらを含む硬化性組成物である。
【選択図】なし
Description
[1]下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
Ar1(−O−Y1−O−A1)n1 (1)
〔式中、
Ar1は、n1価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
n1は、1以上であり、
Y1は、独立に、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
A1は、独立に、G1、水素又は基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、
G1は、独立に、グリシジル又はメチルグリシジルであり、
R11は、独立に、水素又はメチルであり、
R21は、独立に、水素又は−C(=O)R41であり、R31は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R42であり、ここで、R41及びR42は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであり、あるいは、R21とR31は、一緒になって、−C(=O)−Y11−C(=O)−を形成しており、ここで、Y11は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
少なくとも1つのA1は、G1である〕
[2]n1が、1〜4であり、Y1が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンである、[1]の樹脂。
[3]下記式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂。
Ar2(−O−Y2−O−B1)n2 (2)
〔式中、
Ar2は、n2価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
n2は、1以上であり、
Y2は、独立に、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
B1は、独立に、水素又は基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、
R12は、独立に、水素又はメチルであり、
R22は、独立に、水素又は−C(=O)R43であり、R32は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R44であり、ここで、R43及びR44は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであり、あるいは、R22とR32は、一緒になって、−C(=O)−Y12−C(=O)−を形成しており、ここで、Y12は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
少なくとも1つのB1は、基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である〕
[4]n2が、1〜4であり、Y2が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンである、[3]の樹脂。
[5][1]又は[2]のエポキシ樹脂、及び、[3]又は[4]の完全変性エポキシ樹脂からなる群より選択される2種以上の樹脂からなる樹脂混合物であって、同じ骨格を有するエポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂は、G1の含有率、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率の合計100%に対する、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率が、0%超100%未満である、樹脂混合物。
[6]エポキシ樹脂又はその混合物であって、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化させて、エポキシ樹脂を得る工程、及び、場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂のグリシジル基又はメチルグリシジル基の少なくとも一部と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させて、エポキシ樹脂を得る工程
を含む製造方法により得られる、エポキシ樹脂又はその混合物。
[7]完全変性エポキシ樹脂又はその混合物であって、工程(1D):
(1D)[1]、[2]又は[6]に記載のエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させる工程を含む方法により得られる、完全変性エポキシ樹脂又はその混合物。
[8]エポキシ樹脂又はその混合物の製造方法であって、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化する工程、及び場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂のグリシジル基又はメチルグリシジル基の少なくとも一部と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させて、エポキシ樹脂を得る工程、
を含む製造方法。
[9]完全変性エポキシ樹脂又はその混合物の製造方法であって、工程(1C):
(1C)[1]、[2]又は[6]に記載のエポキシ樹脂及び[8]の製造方法により得られるエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上のエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させる工程
を含む製造方法。
[10](a)[1]、[2]又は[6]のエポキシ樹脂若しくはその混合物、(b)[8]の製造方法により得られるエポキシ樹脂若しくはその混合物、(c)[3]、[4]又は[7]の部分変性エポキシ樹脂若しくはその混合物、及び(d)[9]の製造方法により得られる部分変性エポキシ樹脂若しくはその混合物からなる群より選択される1種以上の樹脂若しくはその混合物と、熱硬化剤及び/又はラジカル開始剤とを含む、硬化性組成物。
[11]液晶滴下工法用シール剤である、[10]の硬化性組成物。
[12][10]又は[11]の硬化性組成物を硬化した、硬化物。
[13][10]又は[11]の硬化性組成物を硬化した硬化物でシールされた、液晶表示体。
(第一のエポキシ樹脂)
第一のエポキシ樹脂は、前記式(1)で表される。式(1)中、Ar1は、n1価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、n1は、1以上であり、Y1は、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、A1は、独立に、G1、水素又は基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1は、独立に、グリシジル又はメチルグリシジルであり、R11は、独立に、水素又はメチルであり、R21は、独立に、水素又は−C(=O)R41であり、R31は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R42であり、ここで、R41及びR42は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであり、あるいは、R21とR31は、一緒になって、−C(=O)−Y11−C(=O)−を形成しており、ここで、Y11は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、少なくとも1つのA1は、G1である。
n1は、1以上の整数である。n1は1〜4であるのが好ましい。
Ar1は、n1価の芳香族基又はヘテロ芳香族基である。Ar1が1価の芳香族基又はヘテロ芳香族基である場合(即ち、n1が1である場合)、Ar1は、置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール又は置換されていてもよい総原子数5〜30のヘテロアリールが挙げられる。
〔式中、R61は、独立に、水素、炭素原子数1〜4のアルキルであり、m2は、0又は1以上であり、*は、独立に、結合又はOHであり、*における結合の数は、Ar1の価数に一致する〕
式(1)中、Y1は、独立に、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンである。本明細書において、「独立に」とは、n1が2以上の場合、各場合において選択肢(例えば、Y1及びA1)が独立に定義されていることを意味する。すなわち、n1が2以上の場合、式(1)で定義された選択肢(例えば、Y1及びA1)は、異なっていても同一であってもよい。
式(1)中、A1は、独立に、G1、水素又は基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、少なくとも1つのA1は、G1である。
G1は、グリシジル基又はメチルグリシジル基である。合成が容易である点から、G1はグリシジル基であるのが好ましい。G1であるA1は、後述するヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基が、グリシジルオキシ基又はメチルグリシジルオキシ基に置き換えられた基に相当する。
水素であるA1は、後述するヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の水素原子に相当する。
基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であるA1は、エポキシ樹脂におけるエポキシ基と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物(以下、単に「変性化合物」ともいう。)とを反応させることにより形成される。エポキシ樹脂が基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であるA1を有することにより、エポキシ樹脂としての特性に加えて、変性化合物によって付与される更なる特性を有することができる。
式(1)中、少なくとも1つのA1は、G1である。式(1)が少なくとも1つのA1を有するため、式(1)で表されるエポキシ樹脂はエポキシ樹脂としての特性を有する。式(1)中、A1中のG1の数は、少なくとも1つのA1がG1である限り特に限定されず、エポキシ基の数による反応性を考慮して適宜設定できる。式(1)中のG1の数は、A1の数の10%以上となる数が好ましく、A1の数の50%以上となる数がより好ましく、A1の数の100%となる数もより好ましい。
(1−1)式(1)中、A1がG1からなるエポキシ樹脂(以下、「完全エポキシ化エポキシ樹脂(1−1)」ともいう)、
(1−2)式(1)中、A1が、G1及び水素からなるエポキシ樹脂(以下、「部分エポキシ化エポキシ樹脂(1−2)」ともいう)、
(1−3)式(1)中、A1が、G1及び基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31からなるエポキシ樹脂(以下、「部分変性エポキシ樹脂(1−3)」ともいう)、及び
(1−4)式(1)中、A1が、G1、水素及び基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31からなるエポキシ樹脂(以下、「部分エポキシ化エポキシ樹脂の部分変性樹脂(1−4)」ともいう)。
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、n1が、1〜4であり、Y1が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンであるのが好ましい。
式(1)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、100〜3,000g/eq.であるのが好ましく、100〜1,500g/eq.であるのがより好ましい。このような範囲であれば、接着性が良好であり、かつ液晶への汚染性が更に抑えられる。エポキシ当量は、エポキシ樹脂が混合物である場合、混合物の平均値として求められる。本発明において、エポキシ当量は、JISK7236:2001(ISO3001:1999に対応)に準拠して求められる。
第二のエポキシ樹脂は、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜5のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化させて、エポキシ樹脂を得る工程、及び場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂のグリシジル基又はメチルグリシジル基の少なくとも一部と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物(以下、単に「変性化合物」ともいう。)とを反応させて、部分変性エポキシ樹脂を得る工程
を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂である。
(第一の完全変性エポキシ樹脂)
第一の完全変性エポキシ樹脂は、前記式(2)で表される。式(2)中、Ar2は、n2価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、n2は、1以上であり、Y2は、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、B1は、独立に、水素又は基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、R12は、独立に、水素又はメチルであり、R22は、独立に、水素又は−C(=O)R43であり、R32は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R44であり、ここで、R43及びR44は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであるか、あるいは、R22とR32は、一緒になって、−C(=O)−Y12−C(=O)−を形成しており、ここで、Y12は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、少なくとも1つのB1は、基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である。
Ar2は、好ましいものを含め、Ar1で前記したとおりである。n2は、好ましいものを含め、n1で前記したとおりである。Y2は、好ましいものを含め、Y1で前記したとおりである。
B1は、独立に、水素又は基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である。水素であるB1は、水素であるA1において前記したとおりである。
完全変性エポキシ樹脂が少なくとも1つの基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32を有するため、式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂は、変性エポキシ樹脂としての特性を有する。
式(2)中、少なくとも1つのB1は、基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である。式(2)中、B1中の基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の数は、少なくとも1つのB1が基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である限り特に限定されず、完全変性エポキシ樹脂として要求される特性に応じて適宜設定できる。式(2)中の基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の数は、B1の数の10%以上となる数が好ましく、B1の数の50%以上となる数がより好ましく、B1の数の100%となる数もより好ましい。
(2−1)式(2)中、B1が、基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32からなるエポキシ樹脂(以下、「完全エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂(2−1)」ともいう)、及び
(2−2)式(2)中、B1が、水素及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32からなるエポキシ樹脂(以下、「部分エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂(2−2)」ともいう)。
式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂の25℃における粘度は、特に限定されないが、100〜3,000,000mPa・sであるのが好ましく、200〜2,000,000mPa・sであるのがより好ましく、300〜1,500,000mPa・sであるのが特に好ましい。このような範囲であれば、液晶に塗布した際に流動が生じにくく、液晶への汚染を抑えることができる。
式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂は、n2が、1〜4であり、Y2が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンであるのが好ましい。なお、式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂が完全エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂である場合、下記式(11)及び(12):
(式(11)及び式(12)中、「−(R3O)m−」は、−Y2−O−であり、ここで、Y2は式(2)で定義されたとおりであり、R1及びR2は、独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R4は水素原子であり、R5は水素原子又はメチル基である)で表される基を有するエポキシ樹脂を含まないのが好ましい。
第二の完全変性エポキシ樹脂は、(1D)第一のエポキシ樹脂及び第二のエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上のエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させることにより得られる。第二の完全変性エポキシ樹脂は、原料である第一のエポキシ樹脂及び第二のエポキシ樹脂のエポキシ官能数に応じて、多数の完全変性エポキシ樹脂、及び、それらの多量体が得られ得る。そして、異なる複数の成分を反応させるにあたっては、それらの配合比、反応条件を変化させることにより、得られる完全変性エポキシ樹脂又はその混合物の組成及び特性が大きく変化し得る。このように、第二の完全エポキシ樹脂は、完全変性エポキシ樹脂又はその混合物として得られる。ここで、第二の完全変性エポキシ樹脂の製造方法は、好ましいものを含め、後述するとおりである。
第一のエポキシ樹脂及び第一の完全変性エポキシ樹脂は、2種以上の樹脂からなる樹脂混合物であってもよい。樹脂混合物は、同じ骨格を有するエポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂を含むのが好ましい。樹脂混合物に含まれる同じ骨格を有するエポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂は、G1の含有率、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率の合計100%に対する、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率の合計(以下、「変性率」ともいう。)が、0%超100%未満であるのが好ましい。
なお、樹脂混合物は、2種以上の骨格を有する樹脂混合物であってもよい。
エポキシ樹脂の製造方法は、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化して、エポキシ樹脂を得る工程、及び場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させて、エポキシ樹脂を得る工程
を含む。ヒドロキシ基をエポキシ化する工程は、ヒドロキシ基をグリシジルオキシ基とする工程及びヒドロキシ基をメチルグリシジルオキシ基とする工程の少なくとも一方を含む。ヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化する工程を、ヒドロキシ基をエポキシ化する工程ともいう。
<分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物>
分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(以下、単に「フェノール化合物」ともいう)は、少なくとも1つのフェノール性水酸基を1つ有し、かつ少なくとも1つの芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
Ar3(−OH)n3 (3)
〔式中、Ar3は、Ar1と同義であり、n3は、n1と同義である〕
Ar3及びn3は、好ましいものを含め、式(1)で前記したとおりである。
下記式で表されるフェノールノボラックが好ましい。なお、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラックはDIC社、群栄化学社、昭和電工社、明和化成社などから様々な製品が市販されている。
置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物(以下、単に「アルキレンカーボネート」ともいう)における、炭素原子数1〜8のアルキレンは、好ましいものを含め、Y1で前記したとおりである。アルキレンカーボネートの置換基は、アリールの置換基において前記したとおりである。
置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物(以下、単に「ハロアルコール」ともいう)における、炭素原子数1〜8のアルキル部分は、好ましいものを含め、Y1で前記したとおりである。ハロアルコールの炭素原子数1〜8のアルキル部分の置換基は、前記したとおりである。ただし、ハロアルコールの炭素原子数1〜8のアルキル部分の置換基は、ハロゲンではない。
X−Y4−OH (5)
〔式中、Xは、ハロゲンであり、Y4は、Y1と同義である〕
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、臭素及び塩素が好ましい。Y4は、好ましいものを含め、式(1)で前記したとおりである。
Ar3(−O−Y5−OH)n3 (6)
〔式中、Ar3及びn3は、式(3)で定義されたとおりであり、Y5は、Y3又はY4である〕
工程(1B)により、工程(1A)で得られた、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部がエポキシ化される。工程(1B)において、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体におけるヒドロキシ基の一部又は全部がエポキシ化される。フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体の少なくとも1つのヒドロキシ基がエポキシ化されるのであれば、特に限定されないが、総ヒドロキシ基中、10〜100%がエポキシ化されるのが好ましく、20〜100%がエポキシ化されるのがより好ましく、50〜100%がエポキシ化されるのがさらに好ましく、75〜100%がエポキシ化されるのが特に好ましい。
エピクロロヒドリン法は、ヒドロキシアルキル付加体を、相関移動触媒の存在下、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンと反応させることにより、ヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基をエポキシ化する方法である。
酸化法は、ヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基をアリル化して、アリルエーテル化合物を得る工程と、アリルエーテル化合物のアリルオキシ基又は2−メチル−2−プロペニルオキシ基を酸化する工程とを含む方法である。本明細書において、ヒドロキシ基のアリル化には、ヒドロキシ基をアリルオキシ基又は2−メチル−2−プロペニルオキシ基とすることが含まれる。
工程(1C)により、工程(1B)で得られたエポキシ樹脂の一部のエポキシ基が、変性化合物により変性される。
カルボン酸は、分子中に1以上のカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されないが、モノカルボン酸が好ましい。このような化合物として、式:R41−COOH(式中、R41は、式(1)で定義されたとおりである)で表される化合物が挙げられる。カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、3−フェニルプロピオン酸、4−フェニルブチル酸等のアルキル基含有カルボン酸;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アトロパ酸、trans−2−ペンテン酸、trans−2−ヘキセン酸等のアルケニル基含有カルボン酸;安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、1以上の置換基(アルコキシ及びアルキルの少なくとも一方)で置換された安息香酸類等のアリール基含有カルボン酸が挙げられる。
カルボン酸は、1種でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
カルボン酸無水物は、好ましいものを含め、前記カルボン酸の2分子が脱水縮合した化合物である。このような化合物として、式:R41−C(=O)−O−C(=O)−R42(式中、R41及びR42は、式(1)で定義されたとおりである)で表される化合物が挙げられる。カルボン酸無水物の具体例として、無水酢酸等のアルキル基含有カルボン酸の無水物;無水(メタ)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸の無水物;無水安息香酸等のアリール基含有カルボン酸の無水物;無水コハク酸等のジカルボン酸の無水物;が挙げられる。カルボン酸無水物は、単独でも、複数の組み合わせで用いてもよい。
フェノール化合物は、分子中に1以上のフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、分子中に1つのフェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。フェノール化合物として、例えば、式(3)で表される化合物が挙げられる。
完全変性エポキシ樹脂の製造方法は、工程(1D):
(1D)前記エポキシ樹脂、工程(1A)及び(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂、並びに、工程(1A)、(1B)及び(1C)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上のエポキシ樹脂を、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物と反応させる工程を含む。
(1A’)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程
であるのが好ましい。
(a)式(1)で表されるエポキシ樹脂、(b)工程(1A)及び工程(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂又はその混合物、工程(1A)、工程(1B)及び工程(1C)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂又はその混合物、並びに、(c)式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂、及び(d)工程(1D)を含む製造方法により得られる完全変性エポキシ樹脂又はその混合物からなる群より選択される1種以上の樹脂(以下、「硬化成分」ともいう)と、熱硬化剤及び/又はラジカル開始剤とを含む硬化性組成物について説明する。硬化性樹脂組成物に含まれるベースオリゴマー成分となる樹脂は、エポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂である。例えば、式(1)で表されるエポキシ樹脂又は式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂を単独で用いてもよく、あるいは式(1)で表されるエポキシ樹脂の1種以上と式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂の2種以上とを混合して用いてもよい。また、硬化性組成物には、エポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂の原料成分、例えば、式(1)において、A1がいずれも水素である化合物を含みうる。さらに、エポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂の各製造工程で得られる生成物(例えば、エポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂の少なくとも一方の多量体)を、精製分離しなかったことにより含まれ得る成分が存在していてもよい。
熱硬化剤及び/又はラジカル開始剤は、硬化性組成物に含まれる化合物に応じて適宜選択できる。熱硬化剤及び/又はラジカル開始剤を用いることにより、硬化性組成物を熱硬化性組成物とすることができる。ラジカル開始剤を用いることにより、硬化性組成物を光硬化性組成物、熱硬化性組成物、並びに、光及び熱で硬化する硬化性組成物とすることができる。熱硬化剤とラジカル開始剤とを用いることにより、硬化性組成物を熱硬化性組成物、並びに、熱及び光で硬化する硬化性組成物とすることができる。
熱硬化剤は、特に限定されないが、アミン系熱硬化剤、例えば有機酸ジヒドラジド化合物、アミンアダクト、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、エポキシ変性ポリアミン、およびポリアミノウレア等が挙げられ、VDH(1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)、UDH(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド)及びLDH(オクタデカン−1,18−ジカルボン酸ジヒドラジド)等の有機酸ジヒドラジド;ADEKA社から、アデカハードナーEH5030S、味の素ファインテクノ社から、アミキュアPN−23、アミキュアPN−30、アミキュアMY−24、アミキュアMY−H等として市販されているアミンアダクトが好ましい。これらの熱硬化剤は、単独で用いても、複数で用いてもよい。熱硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂及び部分変性エポキシ樹脂の合計100重量部に対して、1〜40重量部であることが好ましく、5〜35重量部であることがより好ましい。
硬化性組成物は、前述の硬化成分を光ラジカル重合及び/又は熱ラジカル重合させる際のラジカル発生源としてラジカル開始剤を含有することができる。このようなラジカル開始剤として、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
<<光ラジカル重合開始剤>>
光ラジカル重合開始剤は、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、α−アシロキシムエステル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ベンゾインエーテル類及びアントラキノン類等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、液晶への溶解性が低く、また、それ自身で光照射時に分解物がガス化しないような反応性基を有するものが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性組成物は、光硬化の際、光への感度を高めるため、更に、光増感剤を含有してもよい。光増感剤は、硬化性の観点から、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。光増感剤として、具体的には、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物等が挙げられ、また上記光ラジカル重合開始剤の例として挙げたものにも、光増感剤として機能するものがある。光増感剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤は加熱によりラジカルを発生し、重合反応を開始させる。熱ラジカル重合開始剤は、特に限定されず、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始剤と併用してもよい。熱ラジカル重合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂及び部分変性エポキシ樹脂の合計100重量部に対して、0.1〜25重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。
硬化性組成物は、フィラー及びカップリング剤からなる群より選択される1以上の更なる成分を含むことができる。
(1)ヒドロキシアルキル付加体の合成
ビスフェノールA 114g(0.5mol)、炭酸エチレン 105g(1.2mol)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド) 200g、K2CO3 166g(1.2mol)をフラスコに入れ、100℃で2日攪拌した。室温まで冷却し、クロロホルム 1,000mlを加え、純水1,000mlで6回洗浄し、溶媒を留去し、ビスフェノールA−ヒドロキシアルキル付加体(6a)を得た。
ビスフェノールA−ヒドロキシアルキル付加体(6a) 100g(316mmol)、エピクロロヒドリン 347g(3.79mol)、BTMAC(塩化ベンジルトリメチルアンモニウム) 11.74g(63.2mmol)を三口フラスコに入れ、50torrの減圧下50℃で加熱還流しながら攪拌し、48%NaOHaq 84.25g(1mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間攪拌した。クロロホルム 500mlを加え、純水500mlで4回洗浄し、溶媒を留去し、エポキシ樹脂(1a) 124gを得た。なお、エポキシ樹脂(1a)は、下記式(1−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分としていた。また、エポキシ樹脂(1a)は、式(1)において、Ar1がフェニレン−イソプロピリデン−フェニレンであり、Y1がエチレンであり、n1が2であり、A1の2つがG1であり、G1がグリシジルであるエポキシ樹脂を含んでいた。なお、全ての実施例及び比較例において、各樹脂の多量体が存在していた。
エポキシ樹脂(1a) 114g(エポキシ基は0.5molである)、メタクリル酸 21.52g(0.25mol)、BDPPPE(ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル)134.6mg(0.25mmol)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)30mgをフラスコに入れ、100℃で5時間攪拌し、部分変性エポキシ樹脂(2a) 133gを得た。部分変性エポキシ樹脂(2a)は、下記式(1−3a)で表される部分変性エポキシ樹脂を主成分としていた。また、部分変性エポキシ樹脂(2a)は、式(1−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂と、式(1)において、Ar1がフェニレン−イソプロピリデン−フェニレンであり、Y1がエチレンであり、n1が2である骨格を有し、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1がグリシジルであり、R11が水素であり、R21が水素であり、R31が−C(=O)R42であり、R42が1−メチルビニルであるエポキシ樹脂と、後述する式(2−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂を含む、樹脂混合物であった。
エポキシ樹脂(1a) 114g(エポキシ基は0.5molである)、メタクリル酸 43.04g(0.5mol)、BDPPPE(ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル)134.6mg(0.25mmol)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)30mgをフラスコに入れ、100℃で22時間攪拌し、完全変性樹脂(3a) 133gを得た。完全変性樹脂(3a)は、下記式(2−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分としていた。即ち、完全変性樹脂(3a)は、式(2)において、Ar2がフェニレン−イソプロピリデン−フェニレンであり、Y2がエチレンであり、n2が2であり、B1の2つが基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、R12が水素であり、R22が水素であり、R32が−C(=O)R44であり、R44が1−メチルビニルである完全変性樹脂を含んでいた。
実施例1の(1)で得られた、ビスフェノールA−ヒドロキシアルキル付加体(6a) 250g(790mmol)、エピクロロヒドリン 867g(9.48mol)、BTMAC 29.34g(158mmol)を三口フラスコに入れ、50torrの減圧下50℃で加熱還流しながら攪拌し、48%NaOHaq 131.6g(1.58mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間攪拌した。クロロホルム 500mlを加え、純水1,500mlで4回洗浄し、溶媒を留去し、部分エポキシ化エポキシ樹脂(1b) 309gを得た。部分変性エポキシ樹脂(1b)は、上記式(1−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂及び下記式(1−2a)で表される部分エポキシ化エポキシ樹脂を主成分としていた。即ち、部分変性エポキシ樹脂(1b)は、上記式(1−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂と、式(1)において、Ar1、n1及びY1が実施例1と同じ骨格を有し、A1の1つが水素であり、A1の1つがG1であり、G1がグリシジルであるエポキシ樹脂とを含む樹脂混合物であった。
実施例4で得られた、部分エポキシ化エポキシ樹脂(1b) 136g(エポキシ基は0.5molである)、メタクリル酸28g(0.325mol)、BDPPPE 134mg(0.25mmol)BHT 34mgをセパラブルフラスコに入れ、100℃で8時間攪拌し、部分エポキシ化部分変性樹脂(2b)を得た。部分エポキシ化部分変性樹脂(2b)は、上記式(1−3a)で表される部分変性エポキシ樹脂、上記式(2−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂及び下記式(2−2a)で表される部分エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂を主成分としていた。部分エポキシ化部分変性エポキシ樹脂(2b)は、上記式(1−3a)で表される部分変性エポキシ樹脂と、上記式(2−1a)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂と、式(2)における、Ar2、n2及びY2が実施例1のAr1、n1及びY1と同じである骨格を有し、B1の1つが水素であり、B1の1つが基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、R12が水素であり、R22が水素であり、R32が−C(=O)R44であり、R44が1−メチルビニルである、部分エポキシ化エポキシ樹脂の完全変性樹脂とを含む樹脂混合物であった。
実施例1と同様の操作(即ち、原料化合物のモル比、反応時間、反応温度等を実施例1と同じにした)で、ヒドロキノンから下記式(1−1b)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1c)を得た。
実施例2と同様の操作で、エポキシ樹脂(1c)から、部分変性エポキシ樹脂(2c)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(2c)は、式(1)において、Ar1が1,4−フェニレンであり、n1及びY1は、実施例2と同じであり、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1がグリシジルであり、R11が水素であり、R21が水素であり、R31が−C(=O)R42であり、R42が1−メチルビニルであるエポキシ樹脂を主成分としていた。また、部分変性エポキシ樹脂(2c)は、式(1−1b)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂と、式(1)において、Ar1、n1及びY1が前記のとおりである骨格を有し、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1、R11、R21及びR31が前記のとおりであるエポキシ樹脂と、式(2)において、Ar2が1,4−フェニレンであり、n2、Y2及びB1は、実施例3と同じである完全変性エポキシ樹脂とを含む樹脂混合物であった。
実施例3と同様の操作で、エポキシ樹脂(1c)から、完全変性エポキシ樹脂(3c)を製造した。完全変性エポキシ樹脂(3c)は、式(2)において、Ar2が1,4−フェニレンであり、n2、Y2及びB1は、実施例3と同じである完全変性エポキシ樹脂を主成分としていた。
実施例1と同様の操作で、レゾルシノールから下記式(1−1c)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1d)を得た。
実施例2と同様の操作で、エポキシ樹脂(1d)から、部分変性エポキシ樹脂(2d)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(2d)は、式(1)において、Ar1が1,3−フェニレンであり、n1及びY1は、実施例2と同じであり、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1がグリシジルであり、R11が水素であり、R21が水素であり、R31が−C(=O)R42であり、R42が1−メチルビニルであるエポキシ樹脂を主成分としていた。また、部分変性エポキシ樹脂(2d)は、式(1−1c)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂と、式(1)において、Ar1、n1及びY1が前記のとおりである骨格を有し、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1、R11、R21及びR31が前記のとおりであるエポキシ樹脂と、式(2)において、Arが1,3−フェニレンであり、n2、Y2及びB1は、実施例3と同じである完全変性エポキシ樹脂とを含む樹脂混合物であった。
実施例3と同様の操作で、エポキシ樹脂(1d)から、完全変性エポキシ樹脂(3d)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(3d)は、式(2)において、Arが1,3−フェニレンであり、n2、Y2及びB1は、実施例3と同じである完全変性エポキシ樹脂を主成分としていた。
実施例1と同様の操作で、ビス(3,3’−ジヒドロキシフェフェノキシ)エタンから下記式(1−1d)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1e)を得た。
実施例1と同様の操作で、下記式(1−1e’)で表される化合物から下記式(1−1e)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1f)を得た。
実施例1と同様の操作で、トリス(4−ヒドロキシトリフェニル)メタンから下記式(1−1f)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1g)を得た。
実施例1と同様の操作で、下記式(1−1g’)で表される3官能フェノールノボラックから下記式(1−1g)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(1h)を得た。
実施例2において、変性化合物をメタクリル酸からアクリル酸に変更し、反応温度を100℃から110℃に変更したこと以外は同様の操作で、エポキシ樹脂(1c)から、部分変性エポキシ樹脂(2c−2)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(2c−2)は、式(1)において、Ar1が1,4−フェニレンであり、n1及びY1は、実施例2と同じであり、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1がグリシジルであり、R11が水素であり、R21が水素であり、R31が−C(=O)R42であり、R42がビニルであるエポキシ樹脂を主成分としていた。また、部分変性エポキシ樹脂(2c−2)は、式(1−1b)で表される完全エポキシ化エポキシ樹脂と、式(1)において、Ar1、n1及びY1が前記のとおりである骨格を有し、A1の1つがG1であり、A1の1つが基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、G1、R11、R21及びR31が前記のとおりであるエポキシ樹脂と、式(2)において、Ar2が1,4−フェニレンであり、n2及びY2は、実施例3と同じであり、B1の2つが基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、R12が水素であり、R22が水素であり、R32が−C(=O)R44であり、R44がビニルである完全変性エポキシ樹脂とを含む、樹脂混合物であった。
比較例1で用いたエポキシ樹脂(11a)(EXA850CRP、DIC株式会社製)は、以下のとおりである。
実施例2と同様の操作で、エポキシ樹脂(11a)から、部分アクリル変性エポキシ樹脂(12a)を製造した。部分アクリル変性エポキシ樹脂(12a)は、エポキシ樹脂(11a)、エポキシ樹脂(11a)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂、及び、エポキシ樹脂(11a)のグリシジル基の2つがメタクリル変性された樹脂を含み、エポキシ樹脂(11a)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂が主成分と考えられる。
実施例3と同様の操作で、エポキシ樹脂(11a)から、完全アクリル変性エポキシ樹脂(13a)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(13a)は、エポキシ樹脂(11a)のグリシジル基の100%がメタクリロイル変性されていた。
比較例4で用いたエポキシ樹脂(11c)(EX−203、ナガセケムテックス株式会社製)は以下のとおりである。
実施例2と同様の操作で、エポキシ樹脂(11c)から、部分アクリル変性エポキシ樹脂(12c)を製造した。部分アクリル変性エポキシ樹脂(12c)は、エポキシ樹脂(11c)、エポキシ樹脂(11c)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂、及び、エポキシ樹脂(11c)のグリシジル基の2つがメタクリル変性された樹脂を含み、エポキシ樹脂(11c)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂が主成分と考えられる。
実施例3と同様の操作で、エポキシ樹脂(11c)から、完全アクリル変性エポキシ樹脂(13c)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(13c)は、エポキシ樹脂(11c)のグリシジル基の100%がメタクリロイル変性されていた。
比較例7で用いたエポキシ樹脂(11d)(EX−201、ナガセケムテックス株式会社製)は以下のとおりである。
実施例2と同様の操作で、エポキシ樹脂(11d)から、部分アクリル変性エポキシ樹脂(12d)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(12d)は、グリシジル基とメタクリロイル基との合計100%に対して、メタクリロイル基の含有率が50%であった。部分アクリル変性エポキシ樹脂(12d)は、エポキシ樹脂(11d)、エポキシ樹脂(11d)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂、及び、エポキシ樹脂(11d)のグリシジル基の2つがメタクリル変性された樹脂を含み、エポキシ樹脂(11d)のグリシジル基の1つがメタクリル変性された樹脂が主成分と考えられる。
実施例3と同様の操作で、エポキシ樹脂(11d)から、完全アクリル変性エポキシ樹脂(13d)を製造した。部分変性エポキシ樹脂(13d)は、エポキシ樹脂(11d)のグリシジル基の100%がメタクリロイル変性されていた。
比較例10で用いたエポキシ樹脂(11e)は以下のとおりである。なお、比較例10で用いたエポキシ樹脂(11e)は、実施例12で用いられたフェノール化合物とエピクロロヒドリンとを反応させることにより製造した。
比較例11で用いたエポキシ樹脂(11f)(VG3101L、株式会社プリンテック製)は以下のとおりである。
比較例12で用いたエポキシ樹脂(11g)は、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BIP−PHBZ、旭有機材工業株式会社製)を用い、比較例10と同様に合成した。
比較例13で用いたエポキシ樹脂(11h)は、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル−4−メチルフェノール)(3−PC、旭有機材工業株式会社製)を用い、比較例10と同様に合成した。
(粘度)
E型粘度計(東機産業社製 RE105U)を用いて、25℃で、コーンロータの回転速度2.5rpmで粘度を測定した。
JISK7236:2001によりエポキシ当量を測定した。
以下の方法で、NI点の測定を行った。液晶の相転移温度であるNI点(Nematic−Isotropic point)の変化により、液晶へのエポキシ樹脂又は部分変性エポキシ樹脂の溶出性の評価を行える。液晶のNI点は液晶の各成分の混合組成により決定され、各配合で固有の値となる。一般的に、これら液晶に何らかの不純物(他成分)が混入することによりNI点は低下することが知られており、不純物混入具合をNI点より評価することができる。ここで、NI点変化が小さいことは、エポキシ樹脂及び部分変性エポキシ樹脂の液晶への汚染が低減されており、このようなエポキシ樹脂及び部分変性エポキシ樹脂は液晶溶出性に優れることを示す。
アンプル瓶にエポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂0.1gを入れ、液晶(MLC−11900−080、メルク社製)1gを加えた。この瓶を120℃オーブンに1時間投入し、その後室温で静置して室温(25℃)に戻ってから液晶部分を取り出し0.2μmフィルターによりろ過し、評価用の液晶サンプルとした。NI点の測定は、示差走査型熱量計(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris6)を使用した。評価用の液晶サンプル10mgをアルミニウム製サンプルパンに封入し、昇温速度5℃/分の条件で測定を行った。
Claims (13)
- 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
Ar1(−O−Y1−O−A1)n1 (1)
〔式中、
Ar1は、n1価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
n1は、1以上であり、
Y1は、独立に、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
A1は、独立に、G1、水素又は基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31であり、
G1は、独立に、グリシジル又はメチルグリシジルであり、
R11は、独立に、水素又はメチルであり、
R21は、独立に、水素又は−C(=O)R41であり、R31は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R42であり、ここで、R41及びR42は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであり、あるいは、R21とR31は、一緒になって、−C(=O)−Y11−C(=O)−を形成しており、ここで、Y11は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
少なくとも1つのA1は、G1である〕 - n1が、1〜4であり、Y1が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンである、請求項1に記載の樹脂。
- 下記式(2)で表される完全変性エポキシ樹脂。
Ar2(−O−Y2−O−B1)n2 (2)
〔式中、
Ar2は、n2価の芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
n2は、1以上であり、
Y2は、独立に、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
B1は、独立に、水素又は基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32であり、
R12は、独立に、水素又はメチルであり、
R22は、独立に、水素又は−C(=O)R43であり、R32は、独立に、置換されていてもよいアリール又は−C(=O)R44であり、ここで、R43及びR44は、独立に、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいアリールであるか、あるいは、R22とR32は、一緒になって、−C(=O)−Y12−C(=O)−を形成しており、ここで、Y12は置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンであり、
少なくとも1つのB1は、基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32である〕 - n2が、1〜4であり、Y2が、置換されていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレンである、請求項3に記載の樹脂。
- 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂、及び、請求項3又は4に記載の完全変性エポキシ樹脂からなる群より選択される2種以上の樹脂からなる樹脂混合物であって、同じ骨格を有するエポキシ樹脂及び完全変性エポキシ樹脂は、G1の含有率、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率の合計100%に対する、基:−CH2CR11(OR21)CH2O−R31の含有率及び基:−CH2CR12(OR22)CH2O−R32の含有率が、0%超100%未満である、樹脂混合物。
- エポキシ樹脂又はその混合物であって、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程と、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化させて、エポキシ樹脂を得る工程と、場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂のグリシジル基又はメチルグリシジル基の少なくとも一部と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させて、部分変性エポキシ樹脂を得る工程と、
を含む方法により得られる、エポキシ樹脂又はその混合物。 - 完全変性エポキシ樹脂又はその混合物であって、工程(1D):
(1D)請求項1、2又は6に記載のエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させる工程を含む方法により得られる、完全変性エポキシ樹脂又はその混合物。 - エポキシ樹脂又はその混合物の製造方法であって、工程(1A)、工程(1B)及び場合により工程(1C):
(1A)分子中に1以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物と、置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルキレンカーボネート化合物及び置換されてもよい炭素原子数1〜8のハロアルコール化合物からなる群より選択される1以上の化合物とを反応させて、フェノール化合物のヒドロキシアルキル付加体を得る工程と、
(1B)工程(1A)で得られたヒドロキシアルキル付加体のヒドロキシ基の少なくとも一部を、グリシジルオキシ化又はメチルグリシジルオキシ化する工程と、場合により、
(1C)工程(1B)で得られたエポキシ樹脂のグリシジル基又はメチルグリシジル基の少なくとも一部と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させて、部分変性エポキシ樹脂を得る工程と、
を含む、製造方法。 - 完全変性エポキシ樹脂又はその混合物の製造方法であって、工程(1D):
(1D)請求項1、2又は6に記載のエポキシ樹脂及び請求項8に記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上のエポキシ樹脂と、カルボン酸化合物、カルボン酸無水物及びフェノール化合物からなる群より選択される1以上の変性化合物とを反応させる工程
を含む、製造方法。 - (a)請求項1、2又は6に記載のエポキシ樹脂若しくはその混合物、(b)請求項8に記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂若しくはその混合物、(c)請求項3、4又は7に記載の完全変性エポキシ樹脂若しくはその混合物、及び(d)請求項9に記載の製造方法により得られる完全変性エポキシ樹脂若しくはその混合物からなる群より選択される1種以上の樹脂と、熱硬化剤及び/又はラジカル開始剤とを含む、硬化性組成物。
- 液晶滴下工法用シール剤である、請求項10に記載の硬化性組成物。
- 請求項10又は11に記載の硬化性組成物を硬化した、硬化物。
- 請求項10又は11に記載の硬化性組成物を硬化した硬化物でシールされた、液晶表示体。
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