JP2023101257A - エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

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宏記 鈴木
Hiroki Suzuki
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Abstract

【課題】取扱い性、硬化時間の制御性等がバランス良く優れたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物であって、該式(1)で表されるエポキシ樹脂に由来する低重合体を50.0重量%以下含有するエポキシ樹脂組成物(A)。このエポキシ樹脂組成物(A)100質量部と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物(B)。このエポキシ樹脂組成物(B)の硬化物。TIFF2023101257000013.tif42140(上記式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、取扱い性、硬化時間の制御性等がバランス良く優れたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、電気特性等に優れた硬化物を与えるために電気・電子部品の封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、複合材料、接着剤及び塗料等の幅広い分野に利用されている。
炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの複合材料に使用されるエポキシ樹脂は、取扱い性や炭素繊維への含浸性などの観点から低粘度であること、そして、生産性向上の観点から硬化反応性に優れ、且つ硬化物の強度・弾性率などの機械物性に優れることが必要とされている。
また電気・電子部品に使用されるエポキシ樹脂ついても、製品の薄型化に伴い、取扱いの簡便さから低粘度であり、生産性向上の観点から硬化反応性に優れたエポキシ樹脂が求められている。
従来、液状エポキシ樹脂としては、一般的には、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルが最も多く使用されているが、近年の炭素繊維強化樹脂(CFRP)や電気・電子部品の成形性や加工性の発達に伴い、それらに使用するエポキシ樹脂にも、これまで以上の特性の向上が要求されており、従来のビスフェノールA型ジグリシジルエーテルでは、粘度、反応性、硬化物の機械物性において不十分であった。
一方、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルの他に、液状のエポキシ樹脂において機械特性に優れたものとして、例えば特許文献1には、スルホンアミド骨格を持つジグリシジル化合物が知られている。
特開昭62-84071号公報
特許文献1に記載の方法で作成したスルホンアミド骨格を持つジグリシジル化合物(以下、「スルホンアミド骨格を持つエポキシ樹脂」と称する場合がある。)は液状であるとはいえ、常温(25℃)付近では粘度が十分に低いとは言えず、取扱い性が不十分であった。また、本発明者らによる検討により、特許文献1に記載の方法で作成したスルホンアミド骨格を持つエポキシ樹脂には、スルホンアミド骨格を持つエポキシ樹脂由来のオリゴマー成分が多く含まれており、これがポットライフ(硬化時間の制御性)に悪影響を与えることが判明した。
本発明は上記従来技術の問題点を解決し、取扱い性、硬化時間の制御性等がバランス良く優れたエポキシ樹脂組成物と、このエポキシ樹脂組成物と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物、及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、スルホンアミド骨格を持つエポキシ樹脂において、そのエポキシ樹脂由来の低重合体が特定の割合で存在するエポキシ樹脂組成物は、取扱い性に優れ、硬化時間の制御性等がバランス良く優れることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]~[7]の通りである。
[1] 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物であって、該式(1)で表されるエポキシ樹脂に由来する低重合体を50.0重量%以下含有するエポキシ樹脂組成物(A)。
Figure 2023101257000001
(上記式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。)
[2] 前記式(1)で表されるエポキシ樹脂に由来する低重合体が、下記式(2)で表される低重合体である、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物(A)。
Figure 2023101257000002
(上記式(2)中、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、n、m及びlはそれぞれ独立して0~3を表す。ただし、n、m及びlのいずれか一つは1以上である。また、A~Aはそれぞれ独立して下記式(3)又は(4)で表される基を表し、式(3),(4)において、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、x及びyは結合位置を表す。)
Figure 2023101257000003
[3] 50℃でのE型粘度が100Pa・s以下である、[1]又は[2]にエポキシ樹脂組成物(A)。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物(A)と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物(B)。
[5] 前記エポキシ樹脂組成物(A)100重量部に対し、前記硬化剤0.1~300重量部を含む、エポキシ樹脂組成物(B)。
[6] 前記硬化剤が、多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つである、[4]又は[5]に記載のエポキシ樹脂組成物(B)。
[7] [4]~[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物(B)を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、粘度が低く、流動性が高いので取扱い性にも優れ、また、そのエポキシ樹脂組成物と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、ポットライフに優れ、硬化時間の制御性にも優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、このエポキシ樹脂組成物(A)と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物(B)及びその硬化物は、機械物性にも優れることから、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に使用できることが期待される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
なお、本実施形態のエポキシ樹脂は、繰り返し構造を含むものと単分子構造のものとがあるが、当業界ではいずれのエポキシ化合物も「エポキシ樹脂」や「エポキシ樹脂組成物」と表現され、販売されることがある。また、当業界では、本実施形態のエポキシ樹脂と異なるエポキシ樹脂を更に含む混合物を「エポキシ樹脂組成物」と表現することもあるが、単に「エポキシ樹脂」と呼称することもある。
〔エポキシ樹脂組成物(A)〕
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)は、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(1)」と略記することがある)を含み、該エポキシ樹脂(1)に由来する低重合体(以下、「エポキシ樹脂(1)の低重合体」と称す場合がある。)を含むエポキシ樹脂組成物であって、当該低重合体を50.0質量%以下含むことを特徴とするものである。
Figure 2023101257000004
(上記式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。)
[化学構造]
エポキシ樹脂(1)を表す上記式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。R~Rは取扱い性の観点から、それぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、より好ましくは水素原子である。
[エポキシ樹脂(1)の低重合体]
エポキシ樹脂(1)の低重合体とは、上記エポキシ樹脂(1)が重合した重合体であり、エポキシ樹脂(1)に由来する繰り返し単位数が2~10である低重合体のことである。この繰り返し単位数として、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~5である。エポキシ樹脂(1)の低重合体としては、具体的には、下記式(2)で表される重合体が挙げられる。
Figure 2023101257000005
(上記式(2)中、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、n、m及びlはそれぞれ独立して0~3を表す。ただし、n、m及びlのいずれか一つは1以上である。また、A~Aはそれぞれ独立して下記式(3)又は(4)で表される基を表し、式(3),(4)において、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、x及びyは結合位置を表す。)
Figure 2023101257000006
[エポキシ樹脂(1)とエポキシ樹脂(1)の低重合体の含有割合]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)は、エポキシ樹脂(1)がエポキシ樹脂組成物(A)100質量%中に50.0~99.9質量%存在することが好ましく、且つエポキシ樹脂(1)の低重合体が、エポキシ樹脂組成物(A)100質量%中に0.1~50.0質量%、特に0.1~40質量%存在することが好ましい。より好ましくは、エポキシ樹脂(1)のエポキシ樹脂組成物(A)100質量%中の存在割合が60.0~99.9質量%であり、且つエポキシ樹脂(1)の低重合体のエポキシ樹脂組成物(A)100質量%中の存在割合が0.1~40.0質量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)に含まれるエポキシ樹脂(1)の低重合体は、後述のその他の成分と違いエポキシ基が3つ以上存在し、硬化時に架橋反応を起こすことが出来るため、硬化物の機械物性や耐熱性に与える影響が無い、もしくは軽微であるが、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)はエポキシ樹脂(1)の低重合体を含むことで、硬化時の架橋形成による増粘に影響を与える。つまりエポキシ樹脂(1)の低重合体の含有量が少なくなるほど硬化に時間が掛かり、硬化反応性に劣る傾向にある為、0.1質量%以上であることが好ましい。また、エポキシ樹脂(1)の低重合体の含有量が50.0質量%を超えると多官能成分が増える為、硬化速度が速すぎてポットライフに劣ることから、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)100質量%中のエポキシ樹脂(1)の低重合体の含有量は50.0質量%以下とする。
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)が、後述のその他の成分を含まない場合、エポキシ樹脂(1)とエポキシ樹脂(1)の低重合体との合計がエポキシ樹脂組成物(A)の100質量%となる。
なお、エポキシ樹脂組成物(A)中のエポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体及び後述のその他の成分の含有量は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
このような含有割合でエポキシ樹脂(1)とエポキシ樹脂(1)の低重合体を含む本発明のエポキシ樹脂組成物(A)を製造するには、後述の本発明のエポキシ樹脂組成物(A)の製造方法において、以下のような操作を行えばよい。
すなわち、例えば、反応に用いるエピハロヒドリンの量を増やしたり、反応温度を20℃以上150℃以下の範囲内で低めに設定したりすることで、エポキシ樹脂組成物(A)中のエポキシ樹脂(1)の含有割合を上げ、エポキシ樹脂(1)の低重合体の含有割合を下げることができる。
また、一方で、反応に用いるアルカリ金属水酸化物の量を増やしたり、反応温度を20℃以上150℃以下の範囲内で高めに設定したりすることで、エポキシ樹脂組成物(A)中のエポキシ樹脂(1)の含有割合を下げ、エポキシ樹脂(1)の低重合体の含有割合を上げることができる。
[その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)には、更に、エポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体以外のその他の成分(以下、単に「その他の成分」と称す。)を含んでいても良く、エポキシ樹脂組成物(A)中のその他の成分の含有量は15.0質量%以下であることが好ましく、その他の成分を含む場合は、エポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体と、その他の成分の合計が100質量%となるものである。
その他の成分とは、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)の製造の過程で副生するエポキシ基が一つしか付加していない成分や、塩素含有有機成分、特定困難な成分(分析不可能な成分)などが挙げられ、その含有量はより好ましくは10.0質量%以下である。その他の成分の含有量が多いと、硬化反応時に架橋構造を構築できない成分が多く存在することになるため、硬化物の機械物性や熱物性を大きく低下させるという問題が生じる。
[エポキシ当量]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)は、エポキシ当量が114g/当量以上であることが好ましい。一方、粘度が良好な範囲として取り扱い性を良好なものとする観点から、エポキシ当量は300g/当量以下であることが好ましく、200g/当量以下であることがより好ましい。
なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
[E型粘度]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)は取扱い性の観点から、50℃でのE型粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、30Pa・s以下であることが更に好ましい。一方、50℃でのE型粘度の下限値については特に制限はないが、通常、0.5Pa・s以上である。
[エポキシ樹脂組成物(A)の製造方法]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)の製造方法は特に制限されないが、通常、下記式(5)で表されるヒドロキシベンゼンスルホンアミド化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得ることができる。また、本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂組成物は、下記式(5)で表されるヒドロキシベンゼンスルホンアミド化合物とエピハロヒドロリンとを反応させて得られ、エポキシ当量が114~300g/当量であるものである。
Figure 2023101257000007
(前記式(5)中、R~Rは前記式(1)におけるものと同義である。)
原料として用いる上記式(5)で表されるヒドロキシベンゼンスルホンアミド化合物は、特に限定されないが、そのヒドロキシ基とスルホンアミド基の合計の活性水素1当量当たり、通常0.8~30当量であり、好ましくは0.9~20当量、より好ましくは1~10当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限以上であると反応を制御しやすく、適切な粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。なお、この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
次いで、この溶液を攪拌しながら、これに原料のヒドロキシベンゼンスルホンアミド化合物のヒドロキシ基とスルホンアミド基の合計の活性水素1当量当たり通常0.5~3.0当量、好ましくは0.7~2.0当量、より好ましくは0.9~1.5当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液の状態で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応のスルホンアミド基と生成したエポキシ化合物が反応しにくく、反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物の量が上記上限以下であると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。ここで用いられるアルカリ金属水酸化物としては、通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられる。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は、好ましくは20~150℃であり、より好ましくは20~100℃であり、更に好ましくは30~90℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすく、かつ反応を制御しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物を低減しやすいために好ましい。
この反応において、必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油相と水相に分離し、水分を除いて油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、好ましくは0.1~8時間、より好ましくは0.1~7時間、更に好ましくは0.5~6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加する。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常1~15時間である。反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂組成物(A)を得ることができる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒、及び水を使用してもよい。
なお、上記のようにして得られたエポキシ樹脂組成物(A)の全塩素含有量を低減する必要がある場合には再処理して十分に全塩素含有量が低下した精製エポキシ樹脂組成物(A)を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂組成物(A)を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液を加え、好ましくは20~120℃、より好ましくは30~110℃、更に好ましくは30~100℃の温度で、好ましくは0.1~15時間、より好ましくは0.3~12時間、更に好ましくは0.5~10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂組成物(A)を得ることができる。このとき、粗製エポキシ樹脂組成物(A)を溶解する有機溶媒は単一溶媒でも良いし、2種以上の混合溶媒であっても良い。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると反応を制御しやすいために好ましい。
〔エポキシ樹脂組成物(B)〕
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂組成物(A)と硬化剤とを含むものである。また、本発明のエポキシ樹脂組成物(B)には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂(エポキシ化合物)、硬化促進剤、その他の成分等を適宜配合することができる。
[硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)に用いる硬化剤は、エポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)における硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)100質量部に対して好ましくは0.1~300質量部であり、より好ましくは250質量部以下であり、更に好ましくは200質量部以下であり、特に好ましくは150質量部以下である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物(B)において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対して好ましくは0.1~100質量部であり、より好ましくは80質量部以下であり、更に好ましくは60質量部以下である。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)において、硬化剤としては多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
多官能フェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン類;及びこれらの化合物の芳香環に結合した水素原子がハロゲン基、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、硫黄、リン、珪素等のヘテロ元素を含む有機置換基等の非妨害性置換基で置換されたもの等が挙げられる。更に、これらのフェノール類やフェノール、クレゾール、アルキルフェノール等の単官能フェノール類とアルデヒド類の重縮合物であるノボラック類、レゾール類等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系化合物の例としては、脂肪族の一級、二級、三級アミン、芳香族の一級、二級、三級アミン、環状アミン、グアニジン類、尿素誘導体等があり、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-5-ノネン、ジメチル尿素、グアニル尿素等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系化合物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イミダゾール系化合物の例としては、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、イミダゾール類は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本発明においては硬化剤に分類するものとする。
アミド系化合物の例としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、SbF 、BF 、AsF 、PF 、CFSO 2-、B(C 等のアニオン成分とヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物等が挙げられる。特に、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩が好ましい。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物を用いる場合は、エポキシ樹脂組成物(B)中の全エポキシ基に対する硬化剤中の官能基(多官能フェノール類の水酸基、アミン系化合物のアミノ基又は酸無水物系化合物の酸無水物基)の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。イミダゾール系化合物を用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.5~10質量部の範囲で用いることが好ましい。アミド系化合物を用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分とアミド系化合物との合計量に対して0.1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。カチオン重合開始剤を用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対し、0.01~15質量部の範囲で用いることが好ましい。有機ホスフィン類を用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分と有機ホスフィン類との合計量に対して0.1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)には以上に挙げた硬化剤の他、例えば、メルカプタン系化合物、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等も硬化剤として用いることができる。これらの硬化剤は1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[他のエポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)には、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)以外のエポキシ樹脂(本明細書において、「他のエポキシ樹脂」と称することがある。)を用いることができる。
他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、その他の多官能フェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、上記芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(本発明のエポキシ化合物に該当するものを除く。)、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。以上に挙げた他のエポキシ樹脂は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[溶剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)は取扱い性に優れるため、エポキシ樹脂組成物(B)において溶剤を必須に用いる必要はないが、粘度を調整したい場合等には溶剤を用いてもよい。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
用いることのできる溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
[その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)には以上に挙げた成分以外に、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては例えば、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に該当するものを除く。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。以上に挙げたその他の成分はエポキシ樹脂組成物(B)の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
[硬化物]
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物(B)を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。また、硬化の程度は完全硬化の状態であっても、半硬化の状態であってもよいが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として、通常、5~95%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物(B)を硬化させてなる硬化物とする際のエポキシ樹脂組成物(B)の硬化方法は、エポキシ樹脂組成物(B)中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、80~200℃で60~180分の加熱条件が挙げられる。硬化反応を十分に進行させたい場合には、80~160℃で10~30分の一次加熱と、一次加熱温度よりも40~120℃高い120~200℃で60~150分の二次加熱との二段処理で行うことが好ましい。
硬化物を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ樹脂組成物(B)の硬化反応を進行させればよい。エポキシ樹脂組成物(B)が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5質量%以下の溶剤を残留させてもよい。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)及びエポキシ樹脂組成物(B)は、取扱い性、ポットライフ、即ち、硬化時間の制御性等がバランス良く優れたものである。本発明のエポキシ化合物及びエポキシ化合物含有組成物はこれらの優れた効果を奏するため、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[実施例1]
攪拌装置、還流冷却管及び温度計を備えた容量5Lの4つ口フラスコに4-ヒドロキシベンゼンスルホンアミド(東京化成株式会社製)252gと、エピクロルヒドリン2830g(ヒドロキシ基とスルホンアミド基の合計の活性水素当たり7.0当量)を仕込み、系内を減圧窒素置換した。この混合物に50.0質量%テトラメチルアンモニウムクロリド水溶液16g加えた後、攪拌しながら90℃まで昇温し、8時間攪拌した。攪拌後、加熱を止めてこの混合物を室温で一晩放置した。翌日、この混合物を攪拌しながら40℃まで加熱し、48.5質量%水酸化ナトリウム(ヒドロキシ基とスルホンアミド基の合計の活性水素当たり1.2当量)水溶液437gを、30分間掛けてゆっくり滴下した。滴下後、40℃で1時間保持して反応を完了した。この混合物を水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した後、生成物から過剰のエピクロルヒドリンを120℃減圧下で留去して、粗エポキシ樹脂組成物を得た。
この粗エポキシ樹脂組成物をメチルイソブチルケトン(MIBK)671gとジメチルスルホキシド(DMSO)75gに溶解し、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液14gを加え、40℃で1時間反応させた。反応液にリン酸水素ナトリウムを加えて過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩とDMSOを除去した。次いで、加温減圧下でMIBKを完全に除去することにより目的のエポキシ樹脂組成物(A-1)を400g得た。
このエポキシ樹脂組成物(A-1)を用い、以下に示す方法によりエポキシ当量、組成、取り扱い性及びポットライフを評価した。これらの結果を表-1に示す。また以下に示す方法により樹脂板を作成し、硬化物の機械物性及び耐熱性を評価した。その結果を表-2に示す。
[エポキシ当量]
「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定した。
[エポキシ樹脂組成物(A-1)の組成:LC分析]
エポキシ樹脂組成物(A-1)中のエポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体及びその他の成分の割合については、JIS K0124に基づき、以下の装置及び条件によるLC分析を行い、エポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体及びその他の成分で表されるLCチャートの各Areaの面積%を、エポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(1)の低重合体及びその他の成分の割合(質量%)とした。
装置:Waters社製 ACQUITY UPLC H-Class
カラム:Waters社製 Waters Acquity UPLC HSS T3(カラム寸法2.1mm×150mm)
溶離液:アセトニトリル/0.1%ギ酸水=20/80を8分で100/0にするグラジエント分析
流速:0.5ml/min
検出器:UV(254nm)
温度:40℃
試料濃度:1.0%
インジェクション量:1μl
ピーク面積の解析ソフト:Waters社製 MassLynx
[取扱い性:E型粘度]
東機産業株式会社製の粘度計(商品名RE-85U)を用い、JIS-Z8803に従ってエポキシ樹脂組成物(A-1)の50℃でのE型粘度(単位:Pa・s)を測定し、以下の基準で評価した。
○:100Pa・s以下
×:100Pa・s超過又はトルクオーバーによりE型粘度が測定不能
[ポットライフ:ゲル化時間]
エポキシ樹脂組成物(A-1)と4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(東京化成株式会社製 4,4’-DDS)を混合(エポキシ樹脂組成物(A-1)のエポキシ基1モルに対して4,4’-ジアミノジフェニルスルホンが1.0モルとなるように混合)し、固体成分濃度が40質量%になるようにアセトンを加えて溶解し、10分間室温で熟成した。調製した溶液を0.5mL採取し、株式会社井元製作所社製 ゲル化試験機「IMC-A0E2型」を用いて180℃におけるゲル化時間を測定した。ゲル化時間の結果から以下の基準でポットライフを評価した。
○:ゲル化時間が300秒(5分)以上
×:ゲル化時間が300秒(5分)未満
[エポキシ樹脂組成物(B-1)の製造]
エポキシ樹脂組成物(A-1)50質量部とビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製 jER(登録商標)828)50質量部と4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(東京化成株式会社製 4,4’-DDS)を混練(エポキシ樹脂組成物(A-1)のエポキシ基1モルに対して4,4’-ジアミノジフェニルスルホンの混合物が1.0モルとなるように混合)し、エポキシ樹脂組成物(B-1)を得た。
[樹脂板(硬化物)の作成]
ガラス板の片面に離型PETフィルムを貼り付けたものを2枚用意し、その内の1枚を、フィルムを貼り付けた側が上にくるように置いた。この上にシリコン製チューブをU字型にセットし、またガラス板の四隅に金属製スペーサーを置いた上で、もう1枚のフィルム付ガラス板をフィルム側が向かい合うようにして重ね合わせ、小型万力で2枚のガラス板を固定して硬化物作成用の型を準備した。なお樹脂板の厚みは金属スペーサーの厚みとシリコンチューブの径を変えることで、曲げ試験用に厚さ4mm、耐熱性試験用に厚さ2mmの硬化物作成用の型を作り分けした。次にエポキシ樹脂組成物(B-1)をホットプレート上で120℃に加熱し、固体を溶解してから減圧下で脱泡した後、準備した型の中に流し入れ、セーフベンドライヤー中、180℃で120分間加熱して硬化させることで樹脂板を得た。
[機械物性評価:曲げ試験]
厚さ4mmの樹脂板を長さ100mm、幅10mmに切り出し、切り出した面をサンドペーパー#1200で処理して試験片を作製した。この試験片について、インストロン社製 精密万能試験機「INSTRON 5582型」を使用し、JIS K7161に準じて、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具で曲げ試験を行い、曲げ強度、破断曲げ度及び曲げ弾性率を測定した。
[耐熱性:ガラス転移温度]
厚さ2mmの樹脂板を長さ50mm、幅10mmに切り出して試験片を作製した。この試験片について、動的粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 EXSTAR DMS6100)を用い、周波数1Hz、温度範囲30~280℃、昇温速度2℃/分、両持ち曲げモードの測定条件で測定を行い、温度-tanδ曲線が極大値を示すときの温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[比較例1]
エポキシ樹脂組成物(A-1)の代わりに、特開昭62-84071号公報に記載されている4-ヒドロキシベンゼンスルホンアミドを原料にした実施例に従い合成したエポキシ樹脂組成物(A-2)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ当量、組成、取扱い性及びポットライフを評価した。これらの結果を表-1に示す。またエポキシ樹脂組成物(A-1)の代わりにエポキシ樹脂組成物(A-2)を用いてエポキシ樹脂組成物(B-2)を作製したこと以外は、実施例1と同様に硬化物を作成し、機械物性及び耐熱性を評価した。これらの結果を表-2に示す。
Figure 2023101257000008
Figure 2023101257000009
[評価結果]
表-1に示すように実施例1のエポキシ樹脂組成物(A-1)は流動性及びゲル化時間が好ましい範囲にあり、取扱い性及びポットライフが良好であることが分かる。一方、比較例1では取扱い性及びポットライフに劣ることが分かる。また、表-2より、硬化物の機械物性及び耐熱性は実施例1と比較例1で同等であることが分かる。
つまり、本発明のエポキシ樹脂組成物(A)及びエポキシ樹脂組成物(B)によれば、硬化物にした時の機械物性や耐熱性を損なうことなく、取扱い性及びポットライフ、即ち、硬化時間の制御性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供できることが分かる。
本発明のエポキシ樹脂組成物(A)及びエポキシ樹脂組成物(B)は、取扱い性、硬化時間の制御性等がバランス良く優れたものである。本発明のエポキシ樹脂組成物(A)及びエポキシ樹脂組成物(B)はこれらの優れた効果を奏するため、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物であって、該式(1)で表されるエポキシ樹脂に由来する低重合体を50.0重量%以下含有するエポキシ樹脂組成物(A)。
    Figure 2023101257000010
    (上記式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。)
  2. 前記式(1)で表されるエポキシ樹脂に由来する低重合体が、下記式(2)で表される低重合体である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物(A)。
    Figure 2023101257000011
    (上記式(2)中、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、n、m及びlはそれぞれ独立して0~3を表す。ただし、n、m及びlのいずれか一つは1以上である。また、A~Aはそれぞれ独立して下記式(3)又は(4)で表される基を表し、式(3),(4)において、R~Rは前記式(1)におけるものと同義であり、x及びyは結合位置を表す。)
    Figure 2023101257000012
  3. 50℃でのE型粘度が100Pa・s以下である、請求項1又は2にエポキシ樹脂組成物(A)。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物(A)と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物(B)。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物(A)100重量部に対し、前記硬化剤0.1~300重量部を含む、エポキシ樹脂組成物(B)。
  6. 前記硬化剤が、多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項4又は5に記載のエポキシ樹脂組成物(B)。
  7. 請求項4~6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物(B)を硬化させてなる硬化物。
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