JP5393292B2 - 液晶滴下工法用液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents

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Description

本発明は、液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セルに関する。より詳しくは、液晶滴下工法による液晶表示セルの製造に好適な液晶シール剤及びそれを用いて製造された液晶表示セルに関する。
液晶表示セルの大型化に伴い、近年、液晶表示セルの製造法として、従来の液晶真空注入方式による液晶表示セルの製造方法から、より量産性の高い液晶滴下工法が導入されて、製造が行われてきている(特許文献1参照)。具体的には、液晶滴下工法とは、液晶基板に液晶シール剤の堰を塗布形成し(メインシール)、さらに最外周に一周、シール剤を塗布後(ダミーシール)、内部シールの内側に液晶を滴下し、その後、真空中で対向するもう一方の液晶基板を貼り合わせ、大気圧に開放することにより液晶が封止され、シール部をUV照射、加熱により硬化させることにより液晶表示セルを完成させる製造方法である。この製造法で液晶の封止に使用される液晶シール材は、従来の熱硬化型液晶シール剤ではなく、光熱硬化併用タイプの液晶シール剤が一般的に使用されている。従来の熱硬化型液晶シール剤が液晶滴下工法に使用されない理由は、従来の熱硬化型液晶シール剤で液晶滴下工法を行うと、加熱時の液晶の熱膨張と液晶シール剤の加熱による粘度低下と真空減圧下のために、シールがパンクし、液晶を封止することができないためである。
光熱硬化併用タイプの液晶シール剤の使用方法は、液晶基板にディスペンサー等で液晶シール剤の堰を塗布形成後、その堰の内側に液晶を滴下し、真空中で対向するもう一方の基板を貼り合わせた後、シール部に紫外線等の光を照射し、仮硬化させ、その後、約120℃約1時間で液晶シール剤を熱硬化させることにより、液晶セルを製造するものである。
しかし、光熱硬化併用タイプの場合、液晶シール剤に紫外線等の光を照射しなくてはいけないが、近年の液晶セルの狭額縁化に伴い、液晶シール部が配線又はブラックマトリックスによって遮光されるため、液晶シール剤に光が照射されない部分がでてきて、液晶シールの遮光による未硬化部分が加熱硬化工程時に液晶に差し込まれたり、液晶汚染が生じたりする問題が出てきた。そして、液晶セルの設計にあたっては、シール剤に光がなるべく多く照射されるように設計しなくてはいけないという制限が生じてきた。また、紫外線照射による液晶や配向膜の劣化が問題となるため、紫外線が液晶に当たらないように、紫外線照射工程時に遮光マスクにより液晶部を遮光する手間がかかったりしている。さらに、液晶ガラス基板サイズの大型化に伴い、紫外線照射装置が大型化することや、紫外線照射装置のランニングコストが増大化すること等、問題になってきている。
以上のことから、近年、紫外線照射を必要としない熱硬化のみで液晶表示セルを作成できる熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤の実現が望まれてきている。
現在までに、熱硬化型の液晶滴下工法用液晶シール剤の提案は、既に行われていた。例えば、特許文献2には、1分子中の水素結合性官能基数を分子量で除した値が3.5×10−4以上である硬化性樹脂100重量部に対して熱硬化剤を3〜40重量部含有する液晶滴下工法用熱硬化液晶シール剤が提案されている。この液晶シール剤を使用することにより、低液晶汚染になることが提案されている。しかし、熱硬化型の液晶滴下工法では、加熱による液晶の熱膨張と真空中での減圧封止のため、加熱により低粘度化した硬化途中の液晶シール剤の堰が破られて液晶が漏れてしまうという問題(シールパンクの問題)と、加熱により低粘度化した液晶シール剤の成分が、やはりNI点以上に加熱されることによりさらに流動しやすくなっている液晶に溶出し汚染してしまうという重大な問題があるが、これらの問題の解決方法は特許文献2では明示されていない。
また、特許文献3には、ゲル化剤が添加された液晶シール剤により、熱硬化のみの液晶滴下工法で、耐シールパンク、シール形状保持ができるとして提案されている。しかし、熱硬化の液晶滴下工法の問題点である加熱硬化時の液晶シール剤の液晶への汚染については、特許文献3には明示されていない。
特許文献4には熱硬化性樹脂からなる液晶シール剤を塗布後、さらにプレベークをした後、液晶滴下、真空貼り合わせを行う製造方法を提案されているが、液晶シール剤の樹脂組成についての明示はされていない。
特許文献5及び6には、Bステージ化処理として、プレベーク工程を行う熱硬化性の液晶滴下工法用液晶シール剤が提案されているが、80℃で20分間のBステージ化処理を必要とするため、工程時間が長くなってしまう欠点がある。20分間のBステージ化処理時間を短くするためには、処理温度を例えば100℃以上に上げれば良いが、記載の液晶シール剤では、100℃以上では、本硬化反応が進んでしまうため、好ましくない。以上、挙げたように、これらの問題を全て解決する加熱硬化型の液晶滴下シール剤は困難であり、いまだ熱硬化型液晶滴下工法は実現されていない。
その他、近年、基板の外形サイズを大きくしないで、より表示領域を大きくしたいという要望が強くなってきており、液晶シール外周部を狭くする狭額縁化や液晶シール幅を細くする等の液晶セルの設計がなされるようになってきている。そのため、シール幅が細く形成できシール形状が均一で乱れにくい液晶シール剤、シール幅が細くても接着強度が強い液晶シール剤が求められてきている。また、作業時間内で液晶シール剤の塗布条件の変化が小さいポットライフが長い液晶シール剤が求められている。
また、近年、液晶テレビ等の普及にともなって、動画の再生に対して、液晶の高速応答性を高めるために、液晶のセルギャップ(液晶が充填される2枚の基板の隙間)が狭くなってきている。液晶基板の真空貼り合わせ時に狭セルギャップ化が容易な液晶シール剤が求められてきている。
そして、液晶セルの高寿命化要望に対して、液晶シールの高湿条件化での劣化が問題となってきている。高温高湿試験後の液晶シールの接着強度の劣化が小さい液晶シール剤が求められてきている。
以上述べてきたように、熱硬化型の液晶滴下工法を実現し、真空貼り合わせ基板で加熱シールパンクせず、液晶汚染がなく、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール塗布性に優れ、室温でのポットライフが長く、狭セルギャップ化が容易な熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤が求められている。
特公平8−20627号公報 特許第3955038号明細書 特許第3976749号明細書 特開2005−92043号公報 特開2007−199710号公報 特開2007−224117号公報
本発明は、液晶シール部に紫外線照射を必要としない熱硬化の液晶滴下工法用液晶シール剤を提供することにある。さらに、液晶汚染性が低く、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール直線性に優れ、室温でのポットライフが長く、狭セルギャップ化が容易な熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤を提供することにある。
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、次の(1)〜(9)に関するものである。
(1)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(a)、多官能ヒドラジド化合物(b)、25℃で固体の平均粒子径が1〜5μmであるエポキシ樹脂粉末(c)、無機充填剤(d)、及び硬化促進剤(e)を必須成分として含有し、前記エポキシ樹脂粉末が液晶シール剤中に分散していることを特徴とする熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(2)エポキシ樹脂粉末(c)の軟化点が50〜120℃である(1)に記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(3)エポキシ樹脂粉末(c)が結晶性のエポキシ樹脂粉末である(1)又は(2)に記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(4)多官能ヒドラジド化合物(b)が下記一般式(1)で表されるイソシアヌル環骨格を有する多官能ヒドラジド化合物である(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
Figure 0005393292
[式中、R〜Rは各々独立して水素原子又は下記式(2)
Figure 0005393292
(式中、nは1〜6の整数を示す)で表される分子骨格を示す。但し、R〜Rが同時に水素原子又はいずれか2つが水素原子であることを除く。]
(5)無機充填剤(d)がアルミナ及び/又はシリカである(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(6)硬化促進剤(e)が下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環骨格を有する多価カルボン酸化合物である(1)乃至(5)のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
Figure 0005393292
[式中、T〜Tは各々独立して水素原子又は下記式(4)
Figure 0005393292
(式中、nは1〜6の整数を示す)で表される分子骨格を示す。但し、T〜Tが同時に水素原子又はいずれか2つが水素原子であることを除く。]
(7)ヒュームドシリカ及び/又は疎水性ヒュームドシリカを含有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(8)カップリング剤を含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
(9)前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
本発明の液晶シール剤により、液晶シール部への紫外線照射ををしなくても固形エポキシ樹脂がシールパンクを抑えることにより熱硬化型の液晶滴下工法が可能になり、さらに、エポキシ樹脂が固体であって液状でないためシール剤塗布時の液晶汚染性が低く、接着強度及び耐湿試験後の接着強度が強く、シール直線性に優れ、室温でのポットライフが長く、狭セルギャップの液晶セル製造が容易になることにより、高信頼性、高品質の液晶表示セル製造が歩留まり高く、生産することが可能になった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(a)はエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応により得られるものであり、エポキシ樹脂のエポキシ基が全て(メタ)アクリル化されたエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂のエポキシ基に等量未満の(メタ)アクリル酸成分を反応させ意図的にエポキシ基を残した部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂をも含む。(ここで「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、二官能以上の(メタ)アクリロイル基をもつ化合物が好ましい。また、1分子中に(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を併せ持った構造のものでも良い。この場合、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性および液晶汚染性の観点から適切に選択される。また、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、二官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物等が挙げられるが、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルであり、中でもレゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましい。(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、硬化性の観点から、エポキシ樹脂とアクリル酸の反応により得られるアクリル化エポキシ樹脂が好ましい。さらに好ましいのは、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアクリル酸付加物、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物である。
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(a)のその液晶シール剤中の含有量は、通常20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%である。含有量が20質量%より少ないと熱硬化時の反応が遅くなり、液晶滴下工法で液晶セル作成時にシールの堰が液晶の熱膨張とシール樹脂の加熱低粘度化により、シールパンクしてしまう。含有量が70質量%より多いと、十分な接着強度が得られない。
本発明の液晶シール剤は、25℃で固体の平均粒子径が1〜5μmであるエポキシ樹脂粉末(c)を含有する。エポキシ樹脂粉末は、室温で固体であり、平均粒子径が1〜5μmのエポキシ樹脂粉末(c)であれば、特に限定されるものではないが、二官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、多環エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。 かかるエポキシ樹脂粉末(c)は、結晶性のエポキシ樹脂粉末であること、もしくは、非結晶性の場合は軟化点が50〜120℃のエポキシ樹脂粉末であることが好ましい。例えば、イソシアヌレート型エポキシ樹脂としては1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、多環エポキシ樹脂としてはテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどが挙げられる。これらのエポキシ樹脂粉末は、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。また、平均粒子径が1〜5μmであるエポキシ樹脂粉末を得るには、ジェットミルやポールミルなどの方法で粉砕することで得ることができる。なお、平均粒子径が1μm以下であるとシールパンクを抑えられなくなり、5μm以上であると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となる。
エポキシ樹脂粉末の液晶シール剤中の含有量は、通常3〜30質量%、好ましくは4〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。エポキシ樹脂粉末含有量が3質量%より少ないと接着強度が弱くなり、エポキシ樹脂粉末含有量が30質量%より多いと硬化が遅くなり、シールパンクが発生しやすくなってしまう。
本発明の液晶シール剤は多官能ヒドラジド化合物(b)を含有する。多官能ヒドラジド化合物(b)とは、この場合、分子中に2個以上のヒドラジド基を有するものを指し、その具体例としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオジヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のバリンヒダントイン骨格を有するヒドラジド化合物、更には前記一般式(1)で表されるトリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアネヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。これらの多官能ヒドラジド化合物のうち好ましいのは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアネヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートが挙げられ、より好ましくはトリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアネヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル環骨格を有する多官能ヒドラジド化合物が挙げられ、さらに好ましくは、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
多官能ヒドラジド化合物(b)は、速硬化の潜在性硬化剤とするために、粒径を細かくして均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。硬化剤の粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製:LMS−30)により測定した。なお、平均粒径は小さすぎると凝集を起こしやすくなるため、極端に小さく(例えば、0.1μm以下)ならないように調製するのが好ましい。
本発明の液晶シール剤中、多官能ヒドラジド化合物(b)の配合比は、エポキシ樹脂(c)及び(メタ)アクリル化エポキシ樹脂である硬化性樹脂(a)の合計100重量部に対して5重量部〜70重量部程度である。(b)成分の量が5重量部より少ないと熱硬化反応が不十分となり、接着力、ガラス転移点が低くなる。一方、(b)成分の量が70重量部より多いと、硬化剤が残留して接着力が低下し、またポットライフも悪化する。
本発明の液晶シール剤は熱硬化反応の硬化性を促進するために、硬化促進剤(e)を含有する。硬化促進剤(e)としては、加熱時の熱硬化反応促進性が高いこと、液晶に対する汚染性が低いこと、常温保管時に液晶シール剤のポットライフを悪化させないものであれば限定されないが、例えば、前記一般式(3)で表されるイソシアヌル環骨格を有する多価カルボン酸やエポキシ樹脂アミンアダクト物などがあげられる。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの硬化促進剤のうち好ましいものは、トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートがあげられ、中でもトリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートが好ましい。
硬化促進剤(e)は、速硬化の潜在性硬化促進剤とするために、粒径を細かくして均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。また、小さすぎると室温保存安定性が悪くなるため、硬化促進剤の平均粒径の下限は通常1μm程度である。
本発明において、硬化促進剤(e)の液晶シール剤に占める含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜7質量%である。含有量が0.1質量%より少ないと硬化性が悪くなり、シールパンクが発生し、含有量が10質量%より多いと室温保存安定性が悪くなる。
本発明で使用される無機充填剤(d)としては、アルミナ、シリカ、タルク、クレー、ベントナイト、有機ベントナイト、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸塩等があげられ、単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。これらの無機充填剤のうち、特に好ましいのは、アルミナ及び/又はシリカである。
本発明で使用される無機充填剤(d)の平均粒径は、3μm以下が好ましい。平均粒径が3μmより大きいと、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成に支障が出る。無機充填剤の平均粒径の下限は通常0.01μm程度である。本発明で使用される無機充填剤の液晶シール剤中の含有量は、通常1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%である。無機充填剤の含有量が1質量%より少ない場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機充填剤の含有量が40質量%より多い場合、充填剤含有量が多すぎるため、シールがつぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
本発明の液晶シール剤には、ヒュームドシリカを添加しても良い。ヒュームドシリカの添加により、樹脂組成物のチキソ性が増加し、液晶シール剤の塗布性、作業性、シールパンク性を適宜調整することができる。本発明に使用されるヒュームドシリカとしては、四塩化珪素を原料として高温で加水分解することにより得られる無水非晶質シリカ微粒子を挙げることができる。また、ヒュームドシリカをヘキサメチルジシラザン、メチルクロロシラン類及びシリコーンオイル類等で表面処理をした疎水性ヒュームドシリカを添加しても良い。本発明で添加するヒュームドシリカ及び/又は疎水性ヒュームドシリカの平均一次粒子径は、0.07μm以下である。また、添加されるヒュームドシリカ及び/又は疎水性ヒュームドシリカの液晶シール剤中の含有量は、0.5〜10質量%程度が好ましい。
本発明の液晶シール剤は接着強度を向上させるために、カップリング剤を添加しても良い。用いるカップリング剤に特段の限定はないが、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上混合して用いても良い。これらのカップリング剤のうち好ましくはシラン系カップリング剤であり、更に好ましくはアミノシラン系カップリング剤又はエポキシシラン系カップリング剤である。カップリング剤を使用する事により耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない液晶シール剤が得られる。かかるカップリング剤の液晶シール剤に占める含有量は、0.05〜3質量%程度である。
本発明の液晶シール剤には、液晶シール剤の特性に影響を与えない範囲で有機充填剤を添加しても良い。有機充填剤としては、例えばポリマービーズ、コアシェルタイプのゴムフィラー等があげられる。これら充填剤は単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
添加される有機充填剤の平均粒径は、5μm以下であり、好ましくは2μm以下である。平均粒径が5μmより大きい場合は、セルギャップの形成が難しくなってしまう。また、添加できる有機充填剤の添加量は、無機充填剤(d)の重量の30質量%以下が好ましい。30質量%より多い場合では粘度が高くなりセルギャップの形成が難しくなってしまう。
本発明による液晶シール剤には、さらに必要に応じて、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル発生剤、有機溶媒、顔料、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。
本発明の液晶シール剤を得るには、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂(a)、必要に応じてカップリング剤や添加剤を溶解混合したものに、多官能ヒドラジド化合物(b)、エポキシ樹脂粉末(c)、無機充填剤(d)、硬化促進剤(e)及びヒュームドシリカ等のその他の任意成分を適宜加えて、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。混合が終わったあと異物を除くために、ろ過処理を施すことが好ましい。
本発明の液晶表示セルは、所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる基板から構成される。熱硬化型液晶滴下工法での液晶表示セルの製造方法は、まず、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加、混合する。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは3〜6μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100重量部に対し通常0.1〜4重量部、好ましくは0.5〜2重量部、更に、好ましくは0.9〜1.5重量部程度である。スペーサーを配合した液晶シール剤を、基板の一方にディスペンサー等により塗布して堰を形成した後(メインシール)、液晶封止基板を真空に保持するために、さらに最外周に一周、シール剤を塗布する(ダミーシール)。その後、内部シールの堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせた後、大気圧に開放することにより、ギャップ出しを行う。液晶封止基板を真空に保持するためのダミーシール剤は、液晶と接触せず、かつ、液晶セル完成後は切り落とされるため、液晶シール剤と同じものを使用しても、別のUV硬化型シール剤、可視光硬化型シール剤又は熱硬化型シール剤を使用しても良い。真空ギャップ形成後、ダミーシールにUV硬化型シール剤又は可視光硬化型シール剤を使用した場合、ダミーシール部に紫外線照射機又は可視光照射装置により紫外線又は可視光を照射させてダミーシール部を光硬化させる。ダミーシールに光硬化型シール剤を使用しなかった場合は、光照射工程は省かれる。ギャップ形成した基板を、90〜130℃で1〜2時間加熱させることにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
合成例1〔レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物の合成〕
レゾルシンジグリシジルエーテル樹脂をトルエンに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエンを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸を加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライドを添加して、98℃で約50時間攪拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、レゾルシンのエポキシアクリレートを得た。
実施例1、比較例1及び2
表1に記載のアクリル化エポキシ樹脂、シランカップリング剤を混合して樹脂液を得た。次に実施例1ではエポキシ樹脂粉末、無機充填剤、多官能ヒドラジド化合物、硬化促進剤、疎水性ヒュームドシリカを混合し、液晶シール剤を得た。比較例1ではエポキシ樹脂粉末、無機充填剤、多官能ヒドラジド化合物、疎水性ヒュームドシリカを混合し、液晶シール剤を得た。比較例2では無機充填剤、多官能ヒドラジド化合物、硬化促進剤、疎水性ヒュームドシリカを混合し、液晶シール剤を得た。
表1
実施例1 比較例1 比較例2 アクリル化エポキシ樹脂1 *1 60 60 60
アクリル化エポキシ樹脂2 *2 30 30 30
エポキシ樹脂粉末 *3 10 10 −
エポキシ樹脂(液体) *4 − − 10
多官能ヒドラジド化合物 *5 30 30 30
硬化促進剤 *6 11 − 11
無機充填剤 *7 25 25 25
シランカップリング剤 *8 1 1 1
疎水性ヒュームドシリカ *9 10 10 10
表1中の数値は重量部である。
*1:レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物(日本化薬株式会社製:合成例1)
*2:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの全アクリル化物(日本化薬株式会社製:R−167)
*3:テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンエポキシ樹脂の結晶性粉末(日本化薬株式会社製:GTR−1800、ジェットミルで平均粒子径:1.8μmに粉砕したもの)
*4:ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(日本化薬株式会社製:RE310S)
*5:トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート(HCIC)微粉砕品(株式会社日本ファインケム製:ジェットミルで平均粒径1.5μmに微粉砕したもの)
*6:トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート(C3−CIC酸)粉砕品(四国化成工業株式会社製:ジェットミルで平均粒径1.5μmに微粉砕したもの)
*7:球状アルミナ(シーアイ化成株式会社製:ナノテックアルミナSPC;一次平均粒径50nm)
*8:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ株式会社製:サイラエースS−510)
*9:疎水性ヒュームドシリカ(株式会社トクヤマ製:PM−20L;平均一次粒子径12nm)
評価用液晶セルの作成
実施例及び比較例の液晶シール剤各100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌脱泡を行い、シリンジに充填する。
ITO透明電極付きガラス基板に配向膜液(PIA−5540−05A;チッソ株式会社製)を塗布、焼成し、ラビング処理を施した。この基板に先にシリンジに充填した実施例及び比較例の液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、シールパターン及びダミーシールパターンの塗布を行い、次いで液晶(JC−5015LA;チッソ株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済みガラス基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させ評価用液晶テストセルを作成した。
作成した評価用液晶セルのシール形状および液晶配向乱れ(液晶汚染性の評価)を偏光顕微鏡にて観察した結果を表2に示す。また、作成した液晶セルのギャップは、液晶特性評価装置(OMS−NK3:中央精機株式会社製)を用いて測定した結果を表2に示す。シール形状、液晶配向乱れ及び液晶セルのギャップの評価は下記の4段階とした。
シール形状の評価
○:シールの直線性に乱れが無い。
△:シールの変形が認められるが、液晶の封止には問題が無いレベルである。
×:シールに液晶が差し込み、液晶の封止に問題が発生しうるレベルである。
××:シールが決壊しセルが形成できない。
液晶セルギャップの評価
○:セル内が均一に5μmのセルギャップとなっている。
△:セル内に5.5μm程度のギャップがでていない場所がある。
×:セル内に6μm以上のギャップがでていない場所がある。
××:シールが決壊しセルが形成出来ない。
液晶配向の評価
○:シール近傍に液晶の配向乱れがない。
△:シール近傍に僅かに液晶の配向乱れがある。
×:シール近傍に液晶の配向乱れがある。
××:シールが決壊しセルが形成出来ない。
表2
実施例1 比較例1 比較例2
シール形状 ○ × ××
液晶セルギャップ ○ ○ ××
液晶配向 ○ × ××
液晶シール剤接着強度テスト
液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせ、120℃オーブンに1時間投入して硬化させた。そのガラス片のせん断接着強度をボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)を使用して測定した。その結果を表3に示す。
液晶シール剤耐湿接着強度テスト
前記の液晶シール剤接着強度テストと同一の測定サンプルを作成する。その測定サンプルを121℃、2気圧、湿度100%の条件で、プレッシャークッカー試験機(TPC−411:タバイエスペック株式会社製)に20時間投入したサンプルをボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)を使用して測定した。その結果を表3に示す。
ポットライフ
R型粘度計(東機産業株式会社製)を使用して、得られた液晶シール剤の25℃における粘度変化を測定した。初期粘度に対する粘度増加率(%)を表3に示す。
表3
実施例1 比較例1 比較例2
初期粘度
(25℃/2rpm) 539Pa・s 480Pa・s 460Pa.s
ポットライフ
(対初期値粘度増)
25℃保管1日後 5% 5% 8%
接着強度(せん断強度)
120℃1h硬化後 50MPa 40MPa 35MPa
プレッシャークッカー試験後 40MPa 10MPa 10MPa
表2、3に示されるように、本発明による実施例の液晶シール剤は、エポキシ樹脂が固体であるためシールパンクを抑制することで熱硬化の液晶滴下工法に適用でき、さらにシール剤の液晶に対する汚染性を抑え、初期及び耐湿接着性に優れ、且つ粘度変化が少なく作業性良好なシール剤である。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル化エポキシ樹脂(a)、多官能ヒドラジド化合物(b)、25℃で固体の平均粒子径が1〜5μmであるエポキシ樹脂粉末(c)、無機充填剤(d)、及び硬化促進剤(e)を必須成分として含有し、前記エポキシ樹脂粉末が液晶シール剤中に分散していることを特徴とする熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  2. エポキシ樹脂粉末(c)の軟化点が50〜120℃である請求項1に記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  3. エポキシ樹脂粉末(c)が結晶性のエポキシ樹脂粉末である請求項1又は2に記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  4. 多官能ヒドラジド化合物(b)が下記一般式(1)で表されるイソシアヌル環骨格を有する多官能ヒドラジド化合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
    Figure 0005393292
    [式中、R〜Rは各々独立して水素原子又は下記式(2)
    Figure 0005393292
    (式中、nは1〜6の整数を示す)で表される分子骨格を示す。但し、R〜Rが同時に水素原子又はいずれか2つが水素原子であることを除く。]
  5. 無機充填剤(d)がアルミナ及び/又はシリカである請求項1乃至4のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  6. 硬化促進剤(e)が下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環骨格を有する多価カルボン酸化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
    Figure 0005393292
    [式中、T〜Tは各々独立して水素原子又は下記式(4)
    Figure 0005393292
    (式中、nは1〜6の整数を示す)で表される分子骨格を示す。但し、T〜Tが同時に水素原子又はいずれか2つが水素原子であることを除く。]
  7. ヒュームドシリカ及び/又は疎水性ヒュームドシリカを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  8. カップリング剤を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱硬化型液晶滴下工法用液晶シール剤。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
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