JPH07317803A - 摩擦クラッチ - Google Patents

摩擦クラッチ

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JPH07317803A
JPH07317803A JP7071717A JP7171795A JPH07317803A JP H07317803 A JPH07317803 A JP H07317803A JP 7071717 A JP7071717 A JP 7071717A JP 7171795 A JP7171795 A JP 7171795A JP H07317803 A JPH07317803 A JP H07317803A
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force
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disc
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    • F16D13/70Pressure members, e.g. pressure plates, for clutch-plates or lamellae; Guiding arrangements for pressure members
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 解離運動距離全体にわたって可能な限り低い
一定の解離力を有する安価な摩擦クラッチを提供する。 【構成】 ケーシングに対して回動不能で軸方向シフト
可能なプレッシャプレートを備えた摩擦クラッチが、少
なくとも1つの蓄力器を有し、該蓄力器を介してプレッ
シャプレート3が、該プレッシャプレートと対応プレッ
シャプレート6との間に緊定可能なクラッチディスク8
に向かって負荷可能であり、クラッチディスクの摩擦ラ
イニングの摩耗を補償する後調節手段12が設けられ、
さらにプレッシャプレートをシフトさせるための操作手
段と、第1の蓄力器4に対して並列的に配置された第2
の蓄力器31とが設けられ、該第2の蓄力器は摩擦クラ
ッチ内に、該蓄力器が摩擦クラッチの解離時に解離動作
の少なくとも部分範囲にわたって該解離動作を助成する
力を生ぜしめるように、緊張されて取り付けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーシングに対して回
動不能であるがしかしながら操作手段を用いて軸方向に
おいて制限されてシフト可能であるプレッシャプレート
を備えた摩擦クラッチ、特に自動車用の摩擦クラッチで
あって、少なくとも1つの第1の蓄力器が設けられてお
り、該蓄力器を介してプレッシャプレートが、該プレッ
シャプレートとはずみ車のような対応プレッシャプレー
トとの間において緊定可能なクラッチディスクに向かっ
て負荷可能であり、少なくとも摩擦ライニングの範囲に
おける摩耗を補償することができる後調節手段が設けら
れている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】このような形式の摩擦クラッチは例え
ば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4239289号
明細書及び該明細書に記載された先行技術によって公知
である。
【0003】このような後調節可能な摩擦クラッチを使
用することによって、高い圧着力にもかかわらず、極め
て低い最大解離力を得ることが望まれており、この場合
この解離力は摩擦クラッチの耐用寿命にわたって、つま
りクラッチライニングの摩耗過程にわたって、可能な限
り一定に保たれることが望まれている。
【0004】比較的低い最大解離力を得るため、もしく
は低い解離力経過を得るために、多くの場合複数の皿ば
ねが使用され、これらの皿ばねは、少なくとも解離運動
距離の主な部分にわたって、力の下降もしくは逓減的な
力・運動距離経過を有している。しかしながらこのよう
なばねを使用することによって、多くの場合解離力経過
において、過剰な高まりもしくは最大値が発生すること
になる。つまりこの場合、もたらされる解離力は、解離
運動距離にわたってまず初めに最大値に向かって上昇
し、次いで再び最小値に向かって下降し、この際におけ
る力最大値と力最小値との間の差異は著しく大きなもの
になることがある。この場合力最大値と力最小値との間
の比は、1.5〜2.5の間の値又はそれを上回るよう
な値を想像することができる。
【0005】解離力経過におけるこのような変動は、多
くの場合不都合であり、つまり解離力経過における過剰
な高まりは多くの使用例のために著しい欠点を有してい
る。例えばこのような過剰な高まりはより大きな解離力
を必要とし、このことはまた、サーボモータの使用時に
おけるより高い出力を意味し、ひいてはより大きな構造
スペースを必要とする。つまり操作手段もしくは解離系
は、解離力経過に過剰な高まりが存在していることに基
づいて、相応により形状安定的にもしくはより大型に構
成されねばならない。このことはまた、これらの部材の
弾性度に基づく損失を、摩擦クラッチの解離系もしくは
操作系において許容可能な程度に減じるためにも、必要
なことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ゆえに本発明の課題
は、上に述べた欠点を回避すべく冒頭に述べた形式の摩
擦クラッチを改良して、解離運動距離全体にわたって、
許容することができる可能な限り低い解離力を、もしく
は解離運動距離の主な部分にわたって可能な限り一定の
解離力を、もしくは相応な解離力経過を有する摩擦クラ
ッチを提供することである。この場合特に、最大可能な
解離運動距離にわたって、許容不能なもしくは不都合な
力上昇の存在していることは、回避されることが望まし
い。つまり操作力の経過における過剰な高まりは可能な
限り回避されることが望まれており、言い換えればこの
過剰な高まりは、許容可能な程度に減じられることが望
まれている。すなわち、場合によっては存在する解離力
最大値と解離力最小値との間における比は、可能な限り
1.5のよりも低く押さえられることが望ましい。さら
に本発明による摩擦クラッチは、単純かつ改善された機
能を有し、しかも安価に製造できることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】摩擦クラッチの本発明に
よる構成によれば、摩擦クラッチが、少なくともクラッ
チディスクの摩擦ライニングの摩耗を自動的に補償する
後調節手段を有しており、この後調節手段が、第1の蓄
力器によって、プレッシャプレートに実質的に等しいま
まのつまり変わらない負荷を加えるようになっており、
この場合、第1の蓄力器に対して並列的に配置された少
なくとも1つの第2の蓄力器が設けられており、この第
2の蓄力器は摩擦クラッチ内に次のように、すなわち該
第2の蓄力器が摩擦クラッチの解離時に解離動作の少な
くとも部分範囲にわたって該解離動作を助成する力を生
ぜしめるように、緊張されて取り付けられている。
【0008】
【発明の効果】本発明のように構成されていると、解離
運動距離全体にわたって、許容することができる可能な
限り低い解離力を、もしくは解離運動距離の主な部分に
わたって可能な限り一定の解離力を有する摩擦クラッチ
が得られる。この場合特に、最大可能な解離運動距離に
わたって、許容不能なもしくは不都合な力上昇が回避さ
れており、過剰な高まりは、許容可能な程度に減じられ
ることができる。しかも本発明による摩擦クラッチは、
単純かつ改善された機能を有し、かつ安価に製造するこ
とができる。
【0009】冒頭に述べた形式の摩擦クラッチの本発明
による別の構成によれば、第1の蓄力器に対して並列的
に配置された少なくとも1つの第2の蓄力器が設けられ
ており、該第2の蓄力器が、摩擦クラッチの解離動作を
助成する力を生ぜしめるようになっており、この場合付
加的に、摩擦クラッチの摩擦ライニングの間に、摩擦ク
ラッチの解離動作を同様に助成するライニングばねが設
けられている。このような構成では、ある程度の間隔を
おいて、例えば手によって後調節される、摩擦ライニン
グの摩耗のための補償手段が設けられていてもよい。し
かしながらこの場合、このように構成された摩擦クラッ
チにおいても、自動的に後調節を行う補償手段が使用さ
れると、特に有利である。
【0010】冒頭に述べた形式の摩擦クラッチの本発明
による別の構成では、プレッシャプレートを摩擦クラッ
チの閉鎖方向に負荷する第1の皿ばねと、少なくとも摩
擦ライニングの摩耗を補償するために働き、かつ第1の
皿ばねと共働する後調節手段と、第1の皿ばねに対して
並列的に有効な少なくとも1つの第2の皿ばねとが設け
られており、この場合第2の皿ばねは次のように、すな
わち該第2の皿ばねが摩擦クラッチの解離時に解離動作
の少なくとも部分範囲にわたって該解離動作を助成する
力を生ぜしめるように、緊張されて取り付けられてい
る。摩擦クラッチのこのような構成では、後調節手段は
手によって操作可能である。しかしながら、後調節手段
が自動的に後調節されるようになっていると、特に有利
である。
【0011】本発明による摩擦クラッチの構造及び機能
のために特に有利な構成では、第2の蓄力器もしくは第
2の皿ばねが、摩擦クラッチの解離のために必要な解離
運動距離の少なくとも部分範囲にわたって、上昇するつ
まり正の力・運動距離経過を有している。
【0012】本発明のさらに別の有利な構成では、第2
の蓄力器が皿ばねによって形成されており、この場合こ
の皿ばねが次のように、すなわち該皿ばねが摩擦クラッ
チの解離動作中に主として下降するつまり逓減的な力・
運動距離経過を有していると、有利である。第1の蓄力
器として皿ばねを使用すると、同様に、本発明による摩
擦クラッチの機能のために有利な構成を得ることができ
る。
【0013】本発明の別の有利な構成では、第1の蓄力
器が皿ばね状の部材もしくは皿ばねによって形成されて
おり、該皿ばねがリング状のベース体を有しており、該
ベース体から半径方向内側に向かって、摩擦クラッチの
ための操作手段として働く舌片が延びている。第2の蓄
力器は、その形状に関しては同様に構成されているが、
しかしながらそのばね特性は、第1の蓄力器に比べて弱
く構成されている。
【0014】本発明による摩擦クラッチの機能及び構成
のために特に有利な構成では、第1の蓄力器が、解離運
動距離の少なくとも1部分にわたって、下降する力・運
動距離経過を有している。摩擦クラッチの解離時には、
プレッシャプレートが所定の運動距離だけシフトされる
ようになっていて、該運動距離が作用的に見て、2つの
区分に分割されており、この場合第1の区分において
は、プレッシャプレートからクラッチディスクに加えら
れる負荷力が取り去られ、かつ第2の区分においては、
クラッチディスクとプレッシャプレート及び対応プレッ
シャプレートとの間における軸方向の遊びが生ぜしめら
れるようになっており、さらに第2の蓄力器が少なくと
も第1の区分において、上昇するつまり正の力・運動距
離経過を有している。クラッチディスクに作用する負荷
力を徐々に取り去ることは、個々の部材の弾性率に基づ
いて徐々に行われる。第1の区分にわたる負荷力の取り
去りは、特に、摩擦ライニングの間におけるライニング
ばね、クラッチケーシングの弾性度、クラッチケーシン
グの弾性度、及び第1の蓄力器の場合によっては設けら
れている皿ばね舌片の弾性度を相応に設計することによ
って、変化可能であり、つまりその都度の使用例に合わ
せることが可能である。摩擦ライニングの間におけるラ
イニングばねの代わりに、該ライニングばねの代わりに
働くばねを、別の箇所に設けることが可能である。ライ
ニングばねの代わりに働くこのようなばねは、作用的に
例えば、第1の蓄力器とプレッシャプレートとの間に設
けることが可能である。本発明の有利な構成では、第2
の蓄力器は次のように、すなわち該第2の蓄力器が少な
くとも、第1の区分全体にわたって有効であるように、
設計されかつ配置されもしくは緊張されて取り付けられ
ている。この場合、第2の蓄力器が少なくとも、第2の
区分の部分範囲にわたっても有効であると、特に有利で
ある。この場合有利には、第2の蓄力器が少なくともほ
ぼ、皿ばねによって形成されている第1の蓄力器の正弦
状の特性線の逓減的な力・運動距離経過の最小値に至る
まで、有効である。
【0015】第2の蓄力器の設計のため及び摩擦ライニ
ングの構成のために、本発明の特に有利な構成では、第
2の蓄力器が、摩擦クラッチの操作手段とケーシングと
の間において作用するように緊張されている。しかしな
がら別の有利な構成では、第2の蓄力器と第1の蓄力器
とがそれぞれ皿ばねによって形成されている場合には、
第2の蓄力器が、ケーシングと第1の蓄力器との間にお
いて作用するように緊張されて配置されている。この場
合第2の蓄力器である第2の皿ばねが、その外縁部を介
してケーシングに軸方向で支持されており、かつ半径方
向さらに内側に位置している範囲で、第2の皿ばねを、
つまり第2の皿ばねの操作舌片を負荷するようになって
いる。この場合さらに、両方の皿ばねの間における支持
が少なくともほぼ、解離支承部のための第2の皿ばねの
負荷直径の範囲おいて行われるようになっていると、特
に有利である。
【0016】第2の蓄力器は有利には、摩擦クラッチの
係合状態において、緊張された状態に保持されており、
この状態において第2の蓄力器が、第1の蓄力器によっ
てもたらされる軸方向力に比べて、比較的小さな力を、
摩擦クラッチの軸方向において作用するようになってい
る。このために本発明の有利な構成では、第2の蓄力器
が、正弦状の力・運動距離特性線を有しており、かつ摩
擦クラッチの係合状態において、少なくともほぼその力
最小値にプレロードをかけられている。摩擦クラッチの
機能のためにはしかしながら、摩擦クラッチの係合状態
において第2の蓄力器が、なおある程度の規定された力
を、解離方向においてもたらすようになっていると、有
利である。
【0017】いわゆるサーボばね(Servofeder)として
働く第2の蓄力器は、有利には摩擦クラッチに次のよう
に取り付けられている。すなわちこの場合、摩擦クラッ
チの解離動作もしくは解離操作にわたって、この第2の
蓄力器が弛緩され、この場合まず初めにこの第2の蓄力
器の力は、解離方向もしくは軸方向において増大し、か
つある一定の部分解離運動距離の後で再び減少し、そし
てプレッシャプレートもしくは摩擦クラッチの操作手段
における解離運動距離の後で、つまり解離力が最小値に
なった後で、第2の蓄力器もしくはサーボばねがもはや
まったくもしくは実質的にほとんど軸方向力をもたらさ
ないようになっている。解離動作がさらに続くと、完全
な解離運動距離が得られるまで、単に主皿ばねである第
1の蓄力器だけが、緊張されて変形される。解離運動距
離全体の最後の区分においては、つまり、第1の蓄力器
によってもたらされる力が、克服されねばならない。
【0018】本発明の特に有利な構成では、解離動作も
しくは解離運動距離の開始時に、つまり摩擦クラッチの
係合時に、サーボばねは、なお小さな力を解離方向にお
いて有している。したがってサーボばねは解離方向にお
ける正の力を、完全に係合された摩擦クラッチと、解離
運動距離の、完全に弛緩されたサーボ蓄力器に相当する
ポイントとの間において、常に生ぜしめる。しかしなが
らまたサーボ蓄力器の弛緩を、例えばケーシングに設け
ることができる適当なストッパによって、制限すること
も可能であり、このようになっていると、サーボ蓄力器
は、摩擦クラッチが完全に解離された状態において、少
なくともわずかに緊張された状態を保つことができる。
【0019】多くの使用例のためには、摩擦クラッチの
係合状態においてサーボ蓄力器が、摩擦クラッチの係合
方向における力を生ぜしめるようになっていると、有利
である。このために本発明の有利な構成では、サーボ蓄
力器が負の力最小値を有している。摩擦クラッチがこの
ように設計されている場合には、サーボばねはケーシン
グに対しても第1の蓄力器もしくは第1の主皿ばねに対
しても、軸方向においては堅く、しかしながら旋回可能
に保持されている。これによって摩擦クラッチの解離動
作の開始時には、サーボ蓄力器もしくはサーボ皿ばねの
強制的な連行が行われる。
【0020】摩擦クラッチの解離時にクラッチディスク
から伝達可能なトルクの逓増的な取り去りを、達成する
ために、本発明の特に有利な構成では、クラッチディス
クがライニングばねを有している。このライニングばね
は例えば、摩擦ライニングの間に設けられているばねセ
グメントによって形成されている。このライニングばね
は、摩擦クラッチの係合動作中に、クラッチディスクか
ら伝達可能なトルクを徐々に形成する。第1の蓄力器に
直列的に配置されたこのようなばねは、摩擦クラッチの
解離動作時にこの解離動作を助成するためにも働く。そ
してこのような助成作用は、サーボ蓄力器によってもた
らされる作用をも補足する。
【0021】
【実施例】次に図面につき本発明の実施例を説明する。
【0022】図1及び図2に示された摩擦クラッチ1
は、ケーシング2と、該ケーシングに回動不能に結合さ
れていて軸方向において制限されてシフト可能なプレッ
シャプレート3とを有している。軸方向で見てプレッシ
ャプレート3とケーシング2との間には圧着皿ばね4が
緊張されており、この圧着皿ばね4は、ケーシング2に
よって保持されたリング状の旋回支承部5を中心にして
旋回可能であり、かつプレッシャプレート3を、ケーシ
ング2に堅く結合された例えばはずみ車のような対応プ
レッシャプレート6に向かって負荷し、これによってク
ラッチデイスク8の摩擦ライニング7がプレッシャプレ
ート3の摩擦面と対応プレッシャプレート6の摩擦面と
の間において緊定される。
【0023】プレッシャプレート3は、周方向に向けら
れたもしくは接線方向に向けられた板ばねの形の枢着手
段を介してケーシング2と回動不能に結合されている。
図示の実施例ではクラッチデイスク8はいわゆるライニ
ングばねセグメント10を有しており、これらのライニ
ングばねセグメント10は、摩擦クラッチの係合時にお
ける逓増的なトルク形成を保証する。この場合ライニン
グばねセグメント10は、両方の摩擦ライニング7の相
互に向かっての制限された軸方向のシフトを介して、摩
擦ライニング7に作用する軸方向力の逓増的な上昇を可
能にする。
【0024】図示の実施例では皿ばね4は、圧着力をも
たらすリング状のベース体4aを有しており、このベー
ス体4aからは半径方向内側に向かって操作舌片4bが
延びている。皿ばね4はこの場合次のように、すなわ
ち、皿ばね4が半径方向においてさらに外側に位置して
いる範囲でつまり外側の縁部範囲で、旋回支承部5を中
心にして旋回可能であり、かつ半径方向内側に位置して
いる範囲でプレッシャプレート3を負荷するように、取
り付けられている。旋回支承部5は旋回支持11を有し
ており、この旋回支持11は、ここでは、ケーシング2
においてセンタリングされたワイヤリングによって形成
されている。操作皿ばね4は、ケーシング2に対してセ
ンタリングされていて、回動を防止されている。
【0025】摩擦クラッチ1は、プレッシャプレート
3、対応プレッシャプレート6及び摩擦ライニング7の
摩擦面における軸方向における摩耗を補償する後調節手
段12を有しており、この後調節手段12は、圧着皿ば
ね4とプレッシャプレート3との間に設けられている摩
耗補償装置13と、摩耗を検出するセンサ装置14とか
ら成っている。両方の装置13,14は少なくともほぼ
等しい直径上に設けられている。さらに両装置13,1
4は軸方向において互いに上下に配置されている。
【0026】摩耗センサとして有効な装置14は、周方
向において有利には均等に分配配置された複数の摩耗セ
ンサ15を有している。これらの摩耗センサ15はそれ
ぞれ、軸方向においてシフト可能な部材16を有してお
り、この部材16は、図示の実施例ではブシュもしくは
スリーブ16によって形成されている。センサ部材とし
て働くこのようなスリーブ16は、図示の実施例ではピ
ン17によって形成されているプレッシャプレート3の
軸方向の突出部に受容されている。ピン17は軸方向に
延びていて、プレッシャプレート3の孔18において堅
く受容されている。スリーブ16は、ピン17と摩擦結
合を介して連結されている。このためにスリーブ16は
長手方向にスリットを有していて、半径方向においてば
ね弾性的であってもよく、この場合スリーブ16の弛緩
された状態において、スリーブ16の内径は、ピン17
の外径よりも小さく、この結果スリーブ16は半径方向
において緊張させられてピン17に受容されており、こ
れによってスリーブ16とピン17との間には、スリー
ブ16のプレロードによって規定された摩擦抵抗が軸方
向において与えられている。スリーブ16は、半径方向
のカラーによって形成されたストッパ19を有してお
り、このストッパ19は少なくとも、摩擦ライニング7
において摩耗が生じた場合に、軸方向においてケーシン
グ2に支持される。ストッパカラー19はケーシング2
の、プレッシャプレート3とは反対の側に設けられてい
る。ピン17とスリーブ16とは、カバーであるケーシ
ング2の底部範囲に設けられた開口を貫いて延びてい
る。さらにピン17及び有利にはスリーブ16も、皿ば
ね4に設けられた開口を貫いて延びている。摩擦クラッ
チの係合時及び摩擦ライニング7における摩耗発生時
に、センサ部材16はそのストッパ19でケーシング2
に接触し、これによって、プレッシャプレート3が生じ
たライニング摩耗に相応してセンサ部材16に対して軸
方向にシフトされることが保証される。
【0027】摩耗補償装置13は、皿ばね4によって負
荷される補償部材を有しており、この補償部材は、横断
面U字形に構成された金属薄板リング20の形をしてい
る。この金属薄板リングである補償リング20は、摩擦
クラッチ1の係合状態において皿ばね4によって負荷さ
れ、皿ばね4によってもたらされる軸方向力をプレッシ
ャプレート3に伝達する。
【0028】補償リング20とプレッシャプレート3と
の間には、補正装置(Ausgleichseinrichtung)21が設
けられており、この補正装置21は摩擦クラッチ1の解
離時及びライニング摩耗時に、補償リング22の自動的
な後調節を可能にし、かつクラッチの係合時にロック作
用を生ぜしめる。これによって、摩擦クラッチ1の係合
段階中に補償リング20がプレッシャプレート3に対す
る規定された軸方向位置を維持することが保証される。
この規定された位置は、解離動作中にしかかつ発生した
ライニング摩耗に相応してしか変化することができな
い。
【0029】後調節装置として働く補正装置21は、有
利には全周にわたって均一に分配配置された複数対のラ
ンプもしくは傾斜面22,23(図2)を有しており、
これらの傾斜面22,23は周方向に延びていて、か
つ、摩擦クラッチ1の軸方向で見て、高さの差異を補正
する。図示の実施例では、一方の傾斜面22は直接補償
リング20に一体成形されている。このために補償リン
グ20の、軸方向に延びている外側の縁部範囲24は、
相応な一体成形部もしくは切欠きを備えている。他方の
傾斜面23はプレッシャプレート3に直接一体成形され
ている。この他方の傾斜面23は、突子もしくは軸方向
の突出部によって形成されており、これらの突出部は、
プレッシャプレート3の、ケーシング2に向けられた側
に設けられている。図示の実施例では、対をなして対応
配置された傾斜面22,23は互いに直接的に支持し合
っている。乗り上げ斜面である傾斜面22,23は互い
に緊張させられている。このために図2に示されている
ように、コイルばね25の形の複数の蓄力器が設けられ
ており、これらの蓄力器は、摩擦クラッチ1の周方向で
見て、補償リング20とプレッシャプレート3との間に
おいて緊縮されている。
【0030】後調節リングとして働く補償リング20
は、プレッシャプレート3に対して回動可能であり、つ
まり回動時に両方のランプもしくは傾斜面22,23が
互いに乗り上げるようになっている。補償リング20の
このような回動を可能にするために、補償リング20に
は、周方向に延びている縦長の切欠き26が設けられて
おり、これらの切欠き26を貫いてピン17が軸方向に
延びている。
【0031】摩擦クラッチ1の回転軸線に対して垂直な
平面に対する傾斜面22,23のくさび角度もしくは傾
斜角度27は、次のように、すなわち傾斜面22,23
が互いに押し付けられた場合に生じる摩擦によって、両
傾斜面22,23の間における滑りが阻止されるよう
に、選択されている。傾斜面22,23の範囲における
材料に応じて、この角度27は例えば4〜15゜の間の
値、有利には4〜8゜の間の値である。補償リング20
と回動不能である傾斜面22は、次のように、すなわち
この傾斜面22の傾斜角度の先端が、摩耗補償装置13
の後調節を生ぜしめる、プレッシャプレート3に対する
補償リング20の回転方向28を示すように、配置され
ている。
【0032】傾斜面22,23の蓄力器であるコイルば
ね25による緊張と傾斜角度27とは、次のように、す
なわち後調節リング20に作用する軸方向力が、摩耗セ
ンサ15のために必要なシフト力よりも小さくなるよう
に、調和させられている。
【0033】プレッシャプレート3と、特にケーシング
2のような軸方向において固定の部材との間に、プレッ
シャプレート3の解離運動を制限するストッパが設けら
れていない場合には、次のように構成されていると有利
である。すなわちこの場合、後調節リング20に作用す
る前記軸方向力が、プレッシャプレート3をケーシング
2と回動不能にしかしながら軸方向シフト可能に結合す
る板ばね部材に対して次のように、すなわち摩耗補償装
置13の後調節機能が保証されるように、設定されてい
ると、有利である。このために有利な構成では、ケーシ
ング2とプレッシャプレート3との間に設けられた板ば
ね部材が、摩擦クラッチ2の解離状態において実質的に
もはや軸方向のプレロードを有していないか、もしくは
この場合になお残っている板ばね部材の軸方向における
プレロードが、後調節リング20に対して作用する軸方
向の後調節力よりも小さい。
【0034】しかしながら多くの使用例のためには、プ
レッシャプレート3の解離運動距離(Ausrueckweg)
は、少なくとも1つのストッパ29によって有利には一
定の運動距離に制限される。このストッパ29は、発生
した摩耗に相応してプレッシャプレート3に対して同様
にシフトされる。この場合このストッパは、センサ装置
14に直接一体に組み込まれていてもよい。このことは
例えば、センサ部材もしくはスリーブ16にストッパ輪
郭29を設けることによって行うことも可能であり、こ
のようなストッパ輪郭29は、摩擦クラッチ1の解離時
に、規定された運動距離の後でカバーであるケーシング
2に当接する。このようなストッパ29はプレッシャプ
レート3のほぼ1.5〜3mmの解離運動距離30の後
で、クラッチケーシング2の開口に隣接するクラッチケ
ーシング範囲に接触する。使用例に応じて、ストッパ2
9によって制限されるプレッシャプレート3の解離運動
距離は、より小さな値を有することも又はより大きな値
を有することもできる。さらに、プレッシャプレート3
の解離運動距離を制限するストッパ手段は固有の手段に
よって形成されていてもよい。このような手段は、例え
ば米国特許第4207972号明細書によって公知であ
る。
【0035】さらに皿ばね4を設計する場合に考慮しな
くてはならないことは次のことである。すなわちこの場
合皿ばね4によってもたらされる、プレッシャプレート
3のための圧着力は、摩耗センサ16のために必要なシ
フト力だけ及び、ケーシングとプレッシャプレート3と
の間において場合によっては緊張させられている板ばね
の緊張力だけ、高められねばならない。このような板ば
ね部材もしくはケーシング2とプレッシャプレート3と
の間のトルク伝達手段は、例えば米国特許第46154
24号明細書によって公知である。
【0036】有利にはプレッシャプレート3とケーシン
グ2との間における、特に板ばねのようなトルク伝達部
材は、軸方向において次のように、すなわちトルク伝達
部材が、摩擦クラッチ1の解離時にプレッシャプレート
3をケーシング2に向かってシフトするように、プレロ
ードをかけられている。このようになっていると、実質
的に解離段階全体にわたってもしくは、場合によっては
設けられている制限手段(ストッパ)29が有効になる
まで、補償リング20は確実に皿ばね4に接触している
ことができる。図1から分かるように、後調節手段12
は次のように構成されている。すなわち傾斜面22,2
3の間の接触範囲と、補償部材20と皿ばねとの間のリ
ング状の支持範囲と、補償部材20とセンサ部材16と
の間の支持箇所もしくは接触箇所とが、軸方向で見て少
なくともほぼ互いに上下に配置されており、つまり少な
くともほぼ等しい直径上に設けられている。図示の実施
例では、センサ部材16のストッパ範囲19,29もま
た少なくともほぼ上に述べた直径上に設けられている。
【0037】ストッパもしくは運動距離制限手段29を
使用する場合には、摩擦クラッチの解離運動距離は舌片
先端4cの範囲において有利には次のように、すなわち
摩擦クラッチの解離時に皿ばね4が小さな値だけ補償リ
ング20から持ち上げられるように、選択される。こと
ことはつまり次のことを意味している。すなわちこの場
合、摩擦クラッチの解離時において、皿ばね4によるプ
レッシャプレート負荷部の直径範囲における皿ばね運動
距離(Tellerfederweg)は、プレッシャプレート3の、
運動距離制限手段29によって決定された上昇運動距離
(Abhubweg)30よりも大きい。
【0038】摩擦クラッチ1は付加的な蓄力器31を有
しており、この蓄力器31は皿ばね状の部材によって形
成されている。皿ばね状の部材31はリング状のベース
体32を有していて、このベース体32からは半径方向
内側に向かって舌片33の形のアームが延びている。皿
ばね状の部材31は半径方向外側においてケーシング2
に旋回可能に支持もしくは保持されている。半径方向内
側において皿ばね状の部材31は、舌片33を介して皿
ばね4に枢着的に支持されている。このために図示の実
施例では、皿ばね4の舌片4bの範囲にリベット35が
設けられており、これらのリベット35はヘッド36の
形の支持範囲を有していて、これらのヘッド36におい
て、皿ばね状の部材31の舌片33が軸方向に支持され
ている。
【0039】摩擦クラッチ1の、対応プレッシャプレー
ト6に取り付けられた状態において、皿ばね状の部材3
1は、規定された運動距離だけ軸方向にプレロードをか
けられており、つまりこの場合有利には次のように、す
なわち皿ばね状の部材31が少なくともほぼそのばね力
最小値にプレロードをかけられるようになっている。こ
のばね力最小値は、正弦状の構成を備えた力・運動距離
経過を有する皿ばね状の部材31において与えられてい
る。摩擦クラッチ1の係合状態において、皿ばね状の部
材31によって皿ばね4に加えられる軸方向力は有利に
はほぼ0であることが望ましい。この場合、サーボばね
として働く皿ばね状の部材31が摩擦クラッチ1の係合
時に、解離方向37によっておいて小さな力を皿ばね4
に加えるようになっていると、特に有利である。摩擦ク
ラッチ1の操作を助成するサーボばね31は、これによ
って、皿ばね舌片4bによって形成された摩擦クラッチ
1の操作手段の解離方向37における正の力を、常に有
することになる。
【0040】摩擦クラッチ1の解離動作時に、サーボば
ねもしくは皿ばね状の部材31は、解離運動距離にわた
って弛緩され、この場合、サーボばね31によって解離
方向37において皿ばね4に加えられる力は、まず初め
増大し、ほぼ解離力経過の最小値が得られる部分解離距
離を過ぎた後で、このサーボ力は再び減少する。解離動
作中に皿ばね状の部材31は、完全に弛緩された状態を
占めることができる。舌片先端4cの範囲における解離
運動が続いている際には、主皿ばね4だけがその円錐度
を変えられる。すなわち、この際にもたらされる解離力
もしくはこの場合になお存在する解離力経過は、主とし
て皿ばね4によって規定される。
【0041】次に、図3及び図4に示された線図に示さ
れている、トラックにおける使用例のための特性線との
関連において、上に述べた摩擦クラッチ1の作用形式を
詳しく説明する。
【0042】特性線40は、皿ばね4の円錐度に関連し
てかつ、プレッシャプレート3に場合によっては作用す
る特に板ばね部材のような持上げ手段もしくは上昇手段
(Abhubmittel)の考慮下で生じる合成された軸方向力
経過を示しており、つまり半径方向における間隔が、旋
回支承部5と半径方向さらに内側に位置しているプレッ
シャプレート3における支持直径38に相当している、
完全に弛緩された状態からの2つの支持の間における皿
ばね4の変化時に生じる軸方向経過を示している。横座
標には、両支持の間における相対的な軸方向運動距離が
示され、かつ縦座標には、皿ばね4と、ケーシング2と
プレッシャプレート3との間において場合によっては設
けられている板ばね部材とによって生ぜしめられる合力
が示されている。ポイント41は、閉鎖された摩擦クラ
ッチ1における皿ばね4の取付け状態を、つまり、相応
な取付け状態のために皿ばね4が最大圧着力をプレッシ
ャプレート3に加える状態を再現している。そしてこの
ポイント41は、皿ばね4の円錐状の取付け状態の変化
によって、特性線40に沿って上方に向かって又は下方
に向かってシフトされることができる。
【0043】特性線42は、ライニングばねセグメント
10によってもたらされる軸方向の拡開力、つまり両方
の摩擦ライニング7の間において作用する拡開力を示し
ている。この特性線にはさらに、ライニングばね弾性と
同様な形式で有効であるすべてのばね作用、例えばケー
シング弾性度、旋回支承部の弾性度、又は皿ばねとプレ
ッシャプレート支持との間における弾性手段又はこれに
類したもののようなすべてのばね作用が含まれている。
この軸方向の拡開力は、皿ばね4からプレッシャプレー
ト3に加えられる軸方向力に抗して作用する。この場
合、ばねセグメント10の最大可能な弾性変形のために
必要な軸方向力が、少なくとも、摩擦クラッチ1の係合
状態において皿ばね4からプレッシャプレート3に加え
られる力に相当していると、有利である。摩擦クラッチ
1の解離時には、ばねセグメント10は、運動距離43
にわたって弛緩する。皿ばね4とばねセグメント10と
は作用的に見て直列に接続されている。プレッシャプレ
ート3の相応な軸方向におけるシフトにも相当するこの
運動距離43にわたって、摩擦クラッチ1の解離動作は
ばね10によって助成され、つまりこの場合、ライニン
グばねセグメント10が設けられていない場合における
取付けポイントに相当するであろう最大解離力よりも、
小さな最大解離力がもたらされるだけでよい。ポイント
44が超過されると、摩擦ライニング7は解放され、こ
の場合皿ばね4の徐々に低下する特性線範囲に基づい
て、この際になおもたらされる解離力は、ポイント41
に相当するであろう解離力に対して著しく減じられてい
る。特性線45による解離力経過から分かるように、皿
ばね4とプレッシャプレート3との間における支持直径
38に関連した、摩擦クラッチ1のための解離力は、ば
ね31のサーボ助成なしに、まず初め上昇し、次いで、
横軸に位置しているポイント46が得られるまで、再び
減じられる。摩擦クラッチ1の解離動作中に正弦曲線状
の特性線40の最小値つまり谷ポイント46が超過され
ると、皿ばね4によって加えられる力は再び増大する。
【0044】特性線45によって示された力経過と、ポ
イント44,46,47を通る特性線区分とから分かる
ように、付加ばねである皿ばね状の部材31が設けられ
ていないと、プレッシャプレート3の軸方向における上
昇による摩擦ライニング7の解放後に、解放力経過にお
ける著しい力変化が生じる。
【0045】図4には、特性線45によって示された力
経過と、ポイント44,46,47を通る特性線区分と
に相応する解離力経過48が、舌片先端4cの範囲にお
ける操作直径4dに関連して示されている。
【0046】舌片先端4cの範囲においてもしくは、例
えば解離軸受39のための支持直径の範囲において必要
なもしくは可能な、摩擦クラッチ1のための解離運動距
離は、プレッシャプレート3の、図3から分かる可能な
軸方向のシフト運動距離50に対して、皿ばね4のレバ
ー比だけ相応に増大されている。この皿ばね比もしくは
レバー比は、皿ばね4とプレッシャプレート3もしくは
補償リング20との間における支持直径38と旋回支承
部5との間における半径方向の間隔に対する、操作直径
もしくは支持直径4dと旋回支承部5との間における半
径方向の間隔の比に、相当している。この伝達比は、多
くの場合3:1〜6:1の間の値であるが、しかしなが
ら幾つかの使用例のためにはそれよりも大きくても又は
小さくてもよい。図1に示されている図示の実施例で
は、この伝達比は6である。
【0047】舌片先端4cの範囲における操作直径4d
に関する、可能な全解離運動距離49にわたる解離力の
経過48は、同様に前記伝達比に相応して、図3に示さ
れた伝達比に対して減じられている。
【0048】図3において、ポイント44までの特性線
45の経過は、摩擦クラッチの解離のためにプレッシャ
プレート3と皿ばね4との間の接触直径38の範囲にお
いてばねセグメント10の弛緩運動距離43にわたって
もたらされる力経過に相当している。この力経過は、ポ
イント41,44の間において特性線40で示された力
経過と、ばねセグメント10の力経過42との間におけ
る差異に相当している。
【0049】図3におけるポイント44は、全解離運動
距離50の次のポイント、つまりクラッチディスク8も
しくは摩擦ライニング7の解放が少なくともほぼ保証さ
れているポイントに相当している。つまりポイント44
は摩擦クラッチ1における次のような操作状態、すなわ
ち摩擦ライニング7が、摩擦ライニング7はもはやまっ
たくもしくは実質的に、プレッシャプレート3の摩擦面
と対応プレッシャプレート6の摩擦面との間において緊
定されていない操作状態を、再現している。つまりポイ
ント44は摩擦クラッチ1の次のような状態、すなわち
対応プレッシャプレート6からクラッチディスク8に実
質的にまったくトルクが伝達され得ない状態を、再現し
ている。摩擦クラッチ1のこの操作状態において、ライ
ニングばねセグメント10は弛緩されている。解離方向
においてこのポイント44を過ぎた後で、さらに空隙運
動距離51がプレッシャプレート3によって進まれるこ
とができる。
【0050】後調節手段12とライニングばねセグメン
ト10とによって本発明による摩擦クラッチ1では、解
離力経過が汎用の摩擦クラッチに対して極めて強く低下
させられ得るのにもかかわらず、両方の線図、特に図4
の特性線48による解離力経過から分かるように、全解
離力運動距離49にわたって見て解離力最大値52と解
離力最小値53との間には、なお著しく大きな差異もし
くは力のばらつきが存在している。図示の実施例では、
解離力最大値52と解離力最小値53との間における比
は、ほぼ1.7である。しかしながらこの数値は、摩擦
クラッチの設計に応じてもっと大きな値であってもよ
い。線図から分かるように、解離力は解離力運動距離に
わたって見て、まず初め規定のレベルに上昇し、その後
で再び最小値に下降する。解離力最大値52と解離力最
小値53との間において多くの場合になお存在してい
る、解離力経過における大きな力の変化は、欠点と見な
すことができる。それというのはこの場合、係合運動距
離及び解離運動距離を正確に配量することは困難であ
る。このことは、足によって操作される摩擦クラッチに
おいても言えるし、特にまたサーボモータを介して操作
される摩擦クラッチにおいて言えることである。さら
に、摩擦クラッチ1を操作するために、例えば電動機の
ようなサーボモータを使用する場合には、このサーボモ
ータは、ポイント52に相当する力最大値に合わせて設
計されねばならず、この結果サーボモータは、その構造
が比較的大型であり、かつ著しく大きな出力もしくは高
いエネルギ消費を有することになる。
【0051】上に述べたような欠点を排除するために、
もしくは必要な解離運動距離49にわたって所望の解離
力経過を得るために、皿ばね状の部材31が設けられて
おり、この皿ばね状の部材31は、図示の実施例では図
4における特性線54で示されているような力・運動距
離経過を生ぜしめる。図4に示されている力経過54で
は、皿ばね31によってリベット35のヘッド36に加
えられる力負荷は、同じ作用を生ぜしめる、直径4dの
範囲における力負荷に、換算された。つまり相応なレバ
ー比が考慮された。図4から明らかなように、サーボ皿
ばねとも呼ばれる皿ばね状の部材31は、全解離運動距
離49の部分範囲55にわたって、摩擦クラッチ1の解
離動作を助成する力を生ぜしめる。皿ばね4と皿ばね状
の部材31とは、この場合横軸に対して逆向きの力・運
動距離経過を有している。摩擦クラッチ1の係合状態に
おいて、皿ばね状の部材31は少なくともほぼ緊張され
た状態にあり、この状態は力最小値56にほぼ相当して
いる。この場合、この緊張された状態において皿ばね状
の部材31が、なお残留力を、つまり解離方向つまり図
1の矢印37の方向において正の力を生ぜしめるように
なっていると、有利である。運動距離55にわたって皿
ばね状の部材31は弛緩し、この場合まず初めに、この
皿ばね状の部材31によってもたらされる軸方向力は増
大し、つまり最大値57に達するまで増大する。この最
大値57を越えると、皿ばね状の部材31によってもた
らされる軸方向力は再び減少する。ポイント58に達す
ると、皿ばね状の部材は完全に弛緩する。この状態にお
いて皿ばね状の部材31はケーシング2によって保持さ
れる。しかしながら皿ばね状の部材31は、該部材31
が残留プレロードを有するように、その弛緩をストッパ
によって制限されることもできる。すなわち皿ばね状の
部材31は、ポイント58に至るまでに完全に弛緩され
なくともよい。このために例えばケーシング2に、適当
なストッパを設けることが可能である。図1には、皿ば
ね状の部材31のためのこのようなストッパ2aが概略
的に示されている。解離方向においてポイント58が越
えられると、皿ばね状の部材31はその弛緩された位置
に留まり、これに対して皿ばね4はさらに旋回されるこ
とができる。このために、皿ばね状の部材31の内側の
範囲つまり舌片先端と、皿ばね4の、軸方向で見て対向
して位置している範囲との間には、適当な遊び36aが
設けられている。
【0052】特性線48と特性線54とを重畳すること
によって生じる力経過は、符号59で示されている。こ
の経過は、解離動作の開始において生じる。図3には、
存在するレバー比の考慮下で図4における経過59に相
当する経過60が、示されている。
【0053】特に図4から明らかなように、解離力経過
のレベルは、皿ばね状の部材31の使用によってほぼ実
現されることができる。このような皿ばね状の部材31
の使用によって、解離力経過を直線的にすることつまり
均等化すること及び同時に小さな力の範囲内にシフトさ
せることが、可能である。すなわち皿ばね状の部材31
を使用することによって、解離力経過における過剰な高
まりを回避することができる。さらに、図4の斜線で示
された領域によって再現されている作業もしくはエネル
ギが省かれる。つまり摩擦クラッチ1を本発明のように
構成することによって、摩擦クラッチを操作するために
小型のサーボモータを使用することが可能になる。
【0054】図1及び図2に示された個々の部材の相対
ポジションは、摩擦クラッチの新しい状態に相当してい
る。特に摩擦ライニング7の軸方向における摩耗が生じ
た場合に、プレッシャプレート3のポジションは対応プ
レッシャプレート6に向かってシフトし、これによって
まず初めに円錐度が変化し、ひいては、摩擦クラッチ1
の係合状態において皿ばねによってもたらされる圧着力
の変化が、つまり有利には増大の方向で、生じる。この
変化によって、プレッシャプレート3は、ケーシング2
に軸方向において支持される摩耗センサ16に対するそ
の軸方向ポジションを変化させる。補償リング20に作
用する皿ばね力に基づいて、この補償リング20は、ラ
イニング摩耗に起因する対応プレッシャプレート3の軸
方向シフトに追従し、これによって補償リング20は、
軸方向において摩耗センサ16から、ほぼライニング摩
耗に相当する値だけ、上昇する。補償リング20は係合
動作中にプレッシャプレート3に対するその軸方向位置
を維持する。なぜならば補償リング20は皿ばね4によ
ってプレッシャプレート3に向かって負荷され、かつ摩
耗補償装置13は係合動作中に、セルフロック作用を生
ぜしめる、つまり軸方向におけるロック体として働くか
らである。摩擦クラッチ1の解離時にプレッシャプレー
トは、例えば軸方向において緊張された板ばねによっ
て、ケーシング2に向かって負荷され、運動距離制限手
段29がケーシング2に接触するまで、シフトされる。
プレッシャプレート3の上昇運動距離(Abhubweg)に相
当するこの解離運動距離に至るまで、プレッシャプレー
ト3に対する補償リング20の軸方向ポジションは維持
されたままである。解離動作がさらに続くと、プレッシ
ャプレート3は軸方向において留まり、これに対して補
償リング20が回転によって軸方向において、負荷直径
38の範囲における皿ばね4の解離運動に追従する。こ
の追従運動は、補償リング20のストッパ範囲が再び摩
耗センサ16の対応ストッパ範囲に接触するまで続く。
皿ばね4がさらに解離方向において旋回されると、この
皿ばね4は後調節リングとも呼ばれる補償リング20か
ら上昇する。それというのは補償リング20は、既に述
べたように、摩耗センサ16によってプレッシャプレー
ト3に対して軸方向において引き留められるからであ
る。解離動作中に補償リング20に対して皿ばね4がこ
のように、少なくともわずかに上昇することは、後調節
手段12の機能にとって特に有利である。
【0055】後調節手段を本発明のように構成すること
によって、解離手段4bの範囲における過剰な運動距離
の場合にも又はプレッシャプレート3の軸方向振動時に
も、後調節手段12の移動調節が行われ得ないことが、
保証される。
【0056】本発明による後調節手段12によって、摩
擦クラッチの全耐用寿命にわたって、皿ばね4と皿ばね
状の部材31とが、実質的に等しい特性線範囲にわたっ
て働くことが保証される。摩擦クラッチの係合状態にお
いて、この両方のばね4,31は、実質的に一定なまま
の緊張状態を有しているので、プレッシャプレート3に
作用する圧着力及び解離力経過は、摩擦クラッチの耐用
寿命にわたって同様に実質的に等しいままである。
【0057】解離力経過を最適化する皿ばね状の部材3
1の本発明による使用は、図示の実施例に制限されるも
のではない。このような皿ばね状の部材31は、少なく
ともライニング摩耗を補償する後調節手段を有している
摩擦クラッチにおいて、有利な形式で一般的に使用する
ことが可能である。このような摩擦クラッチは、例えば
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4239389号明細
書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4239291号
明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第430650
5号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第432
2677号明細書並びにこれらの明細書に記載された先
行技術によって、公知である。
【0058】皿ばね状の部材31は、摩擦クラッチの係
合状態において、次のような緊張された状態を有するこ
とも可能である。すなわちこの場合皿ばね状の部材31
は、負のばね力最小値を有しており、つまり摩擦クラッ
チ1の係合状態において、係合方向の力を皿ばね4に対
して加える。図1に示されているような構成において
は、皿ばね4に向かっての皿ばね状の部材31のスナッ
プ作用(Durchschnappen)を回避するために、舌片33
と皿ばね4との間に、空隙36aを満たす適当なスペー
サ手段が設けられる必要がある。しかしながらまたこの
場合に、主皿ばね4と皿ばね状の部材31との間に、有
利にはリベットヘッド36における皿ばね状の部材31
の支持もしくは空隙36aの範囲に、蓄力器を設けるこ
とも可能である。この付加的な蓄力器が設けられている
と、皿ばね状の部材31の舌片33はリベットヘッドも
しくは支持36に向かって負荷されるもしくは緊張され
る。皿ばね状の部材31の完全に弛緩されたポジション
に相当する解離運動距離が越えられると、しかしながら
前記付加的な蓄力器は圧縮されるか、又は皿ばね状の部
材31は付加的に旋回されねばならない。そしてこのこ
とはまた、この運動距離範囲において解離力が高められ
ることを意味している。
【0059】解離運動距離49の最終範囲において解離
力が過剰に高まることが不都合な場合には、経過を均等
化するもしくは一直線化するいわゆる補償ばね(Kompen
sationsfeder)を使用することが可能である。このよう
な補償ばねは、ドイツ連邦共和国特許出願P43175
86.4によって提案されている。
【0060】摩擦ライニングの摩耗を自動的に補償もし
くは補正する後調節手段を備えた本発明のように構成さ
れた摩擦クラッチでは、摩擦クラッチの搬送及び/又は
組立てのために、後調節手段をその出発ポジションつま
り引き戻されたポジションにおいて保持する手段を設け
ることが必要である。搬送中又は組立て中における不都
合な後調節を阻止するこのような手段は、摩擦クラッチ
の組立て後に除去することが可能であり、又はこのよう
な手段の作用を、摩擦クラッチの運転時に、例えばトル
ク伝達によって又は摩擦クラッチの最初の操作によっ
て、中断させることが可能である。このような手段は先
行技術において記載されている。そしてこの手段によっ
て、後調節手段の少なくとも1つの部材、例えばリング
20及び/又は皿ばね4及び/又はプレッシャプレート
3は、ケーシング2に対して、規定された角度ポジショ
ンもしくは軸方向ポジションを、摩擦クラッチ1の組立
て前に確実に有することができ、これによって後調節手
段12は、摩擦クラッチの新規状態に相当する状態を占
めることができる。
【0061】図3及び図4に示されている線図に表され
ている特性線は、共働する個々のばね部材の間における
多くの調和可能性のうちの1つだけを示している。つま
りその他の解離力経過を得ることも可能であり、この場
合解離運動距離にわたって負の力を生ぜしめることも可
能である。すなわち、解離運動距離全体にわたって見る
と、解離運動距離の少なくとも部分範囲にわたって、図
4に示されている解離力経過例えば59は、少なくとも
部分的に横軸の下を延びている。この場合この範囲にお
いては摩擦クラッチは、強制的に開放されねばならない
が、しかしながらこのことは、設計及び、これに関連し
た例えば電動機であるサーボモータを用いた小さな力に
基づいて、難無く達成することができる。また、摩擦ク
ラッチ1の係合状態においてサーボばね31が摩擦クラ
ッチの係合方向において力をもたらすようになっている
設計も可能である。この場合摩擦クラッチの解離時に
は、解離運動距離の少なくともわずかな部分範囲にわた
って、サーボばねはその力に抗して強制的に旋回され、
この部分範囲を越えた後で、サーボばねによってもたら
される力の作用方向は逆転し、この結果サーボばねは、
摩擦クラッチの解離動作を助成する力をもたらす。
【0062】図1に示された摩擦クラッチが属している
引張り構造形式(gezogene Bauart)の摩擦クラッチで
は、摩擦クラッチの耐用寿命にわたって主皿ばね4はシ
フトせず、この結果主皿ばね4とサーボばね31との間
の関係は、耐用寿命にわたって実質的に変化しない。こ
れに対して、図5〜図8に示されていて力センサを備え
た後調節手段を有する押圧構造形式(gedrueckte Bauar
t)の摩擦クラッチでは、摩擦クラッチ内部における皿
ばねのポジションは一定ではない。それというのは、こ
の場合皿ばねは、摩擦クラッチの耐用寿命にわたって見
ると、クラッチケーシングに対して、軸方向にシフトす
るからである。このような場合のためには、サーボばね
の作用を摩擦クラッチの耐用寿命にわたって実質的に一
定に保つために、サーボばねのための相応な運動距離補
正を保証する処置が設けられていなくてはならない。
【0063】図5及び図6に示された摩擦クラッチ10
1は、ケーシング102とプレッシャプレート103
と、該ケーシング102とプレッシャプレート103と
の間において緊張された圧着皿ばね104とを有してい
る。この皿ばね104は、半径方向外側の範囲でプレッ
シャプレート103を負荷し、これによってクラッチデ
ィスク108の摩擦ライニング107は、プレッシャプ
レート103と、ケーシング102に堅く結合された対
応プレッシャプレートとの間において緊定される。摩擦
クラッチの操作時もしくは皿ばね104の旋回時に、皿
ばね104は、2腕状のレバーのように、半径方向さら
に内側に位置している旋回範囲105を中心にして旋回
させられる。操作皿ばねとも呼ぶことができる皿ばね1
04は、ケーシング102とは反対の側つまりプレッシ
ャプレート103に向けられた側において、プレロード
をかけられた皿ばね106の形の蓄力器によって負荷さ
れ、この場合皿ばね106は、操作皿ばね104とケー
シング102との間に軸方向で緊張されて配置されてい
る。皿ばね106によってもたらされる軸方向力は、こ
の場合次のように寸法設定されている。すなわちこの場
合該軸方向力は、摩擦クラッチ101の解離動作中に通
常生じる解離力、つまり摩擦クラッチ101の操作のた
めに皿ばね舌片111の先端110に作用する解離力よ
りも、大きく設定されている。図示の実施例では支持皿
ばね106は、半径方向内側に設けられた舌片106a
を介して操作皿ばね104を旋回支承部105の半径方
向高さにおいて負荷する。操作皿ばね104に作用す
る、力センサばねとして働く支持皿ばね106によって
次のことが保証される。すなわちこの場合、摩擦クラッ
チ101の通常の解離運動距離106を越えてもしくは
皿ばね104の通常の旋回角度を越えて、該皿ばね10
4は、ケーシング側の支持109に向かって負荷され、
これによって該支持109に、規定された軸方向力で接
触している。
【0064】皿ばね104のための、ケーシング側のリ
ング状の支持109は、後調節手段112の構成部分で
あり、この後調節手段112には力センサばね106も
属している。この後調節手段112は、図示されていな
い対応プレッシャプレートのもしくはプレッシャプレー
ト103の摩擦ライニング107及び/又は摩擦面にお
いて生じる摩耗に相応して、皿ばね104を軸方向にシ
フトさせる。
【0065】後調節手段112は、リング状の部材11
3の形のばね負荷された後調節部材を有しており、この
後調節部材もしくはリング状の部材113は、摩耗補正
リングを形成している。この摩耗補正リングは、周方向
に延びていて軸方向に隆起している複数の乗り上げラン
プを有しており、これらの乗り上げランプは、リング状
の部材113の全周にわたって分配配置されており、ケ
ーシング102によって保持された対応乗り上げランプ
と共働する。後調節手段112は、同様に乗り上げラン
プを有している別のリング状の部材114を有してお
り、この場合乗り上げランプは、ケーシング102によ
って保持された対応乗り上げランプと共働する。
【0066】リング状の部材114には、皿ばね104
とケーシング102との間において作用するように緊張
されて配置されているサーボばね131が軸方向におい
て支持されている。半径法方向内側においてサーボばね
131は、皿ばね104の舌片111に軸方向で支持さ
れている。
【0067】両方のリング113,114は、後調節回
転方向において周方向に蓄力器115,116によって
負荷されている。両方のリング113,114は、作用
的に見て直列に配置されており、この場合支持リング1
13は、リング114のための回動防止部材もしくはブ
レーキとして働く。このために、図6に示されているよ
うに、リング113,114には、適当なストッパもし
くは突子113a,114aが設けられている。リング
114と、該リングとケーシング102との間において
緊張されたコイルばね116の形の蓄力器とは、摩耗に
よって操作皿ばね104が軸方向にシフトした場合に、
サーボばね131の後調節を保証する。皿ばね104に
おいてこのような軸方向のシフトが生じた場合には、ま
ず初めにリング113が、特に摩擦ライニング107に
おける摩耗に関連した値だけ、回動する。この運動は、
摩擦クラッチ101の解離動作中に行われ、この結果サ
ーボばね131は、この際に該サーボばねによってもた
らされる軸方向力に基づいて、まず初めにリング114
が回動することを防止する。この段階においてリング1
13のストッパ113aは、リング114のストッパ1
14aから持ち上がる。摩擦クラッチの係合時に、皿ば
ね104は再び、図4に示されたような角度位置を占
め、この場合サーボ皿ばね131は、このサーボ皿ばね
によってもたらされる軸方向力が極めて小さいかもしく
は実質的に0であるような緊張された状態を有してお
り、これによってリング114はばね116のプレロー
ドに基づいて、ストッパ114aがストッパ113aに
接触するまで、回動させられることができる。これによ
ってサーボ皿ばね131は、再びその本来の緊張された
状態にもたらされ、かつ同時に相応に軸方向において後
調節される。
【0068】センサ蓄力器と後調節リング113とを備
えた後調節手段の正確な作用形式に関しては、ドイツ連
邦共和国特許出願公開第4239291号明細書及びド
イツ連邦共和国特許出願公開第4239289号明細書
に記載されている。したがって本明細書においては、後
調節動作もしくは後調節手段112の作用に関する詳し
い記載は省く。
【0069】図7及び図8に示されたいわゆる押圧式の
摩擦クラッチの構成では、リング114によって引き受
けられる機能が、サーボばね231を形成する部材に一
体に組み込まれている。この部材231は、主として同
様に、半径方向内側のアームもしくは舌片のリング状の
ベース体を備えた皿ばねを有している。サーボ力蓄力器
231の後調節のために必要な傾斜面214は、この部
材に直接一体成形されている。このために皿ばね状のサ
ーボ力蓄力器231には、アーム214の形の半径方向
外側の範囲が設けられており、これらのアーム214
は、該アームが直接、サーボ力蓄力器231を後調節す
るために必要な傾斜面を形成するように、構成されてい
る。対応傾斜面は、図5及び図6との関連において既に
述べたように、ケーシング202によって保持されてお
り、つまりケーシング202に一体成形されている。ア
ーム214は同時に、リング213の対応ストッパ21
3aと共働するストッパ214aとして働く。後調節リ
ング213及びサーボばね231は、また、コイルばね
215,216の形の蓄力器によって後調節方向に負荷
されている。後調節は、図5及び図6との関連において
記載されたのと同様な形式で行われる。しかしながらリ
ング114の代わりに、皿ばね状の蓄力器231が、ケ
ーシング202及び操作皿ばね204に対して回動され
るようになっていてもよい。
【0070】図9に示されたクラッチ装置は、ケーシン
グ202を備えた摩擦クラッチ201と、該摩擦クラッ
チに回動不能に結合されているがしかしながら軸方向に
おいて制限されてシフト可能なプレッシャプレート20
3とを有している。軸方向においてプレッシャプレート
203とケーシング202との間には、圧着皿ばね20
4が緊張されてされて配置されており、この圧着皿ばね
204は、ケーシング202によって保持されたリング
状の旋回支承部205を中心にして旋回可能であり、か
つプレッシャプレート203を、ケーシング202と堅
く結合された対応プレッシャプレート206に向かって
負荷している。これによって、クラッチディスク208
の摩擦ライニング207はプレッシャプレート203の
摩擦面と対応プレッシャプレート206の摩擦面との間
のおいて緊定される。プレッシャプレート203は、周
方向にもしくは接線方向に方向付けられた板ばね209
を介して、ケーシング202と回動不能に結合されてい
る。クラッチディスク208はいわゆる板ばねセグメン
ト210を有しており、これらの板ばねセグメント21
0は、摩擦クラッチ201の係合時における逓増的なト
ルク消滅を保証する。この場合板ばねセグメント210
は、摩擦ライニング207が互いに向かって制限されて
軸方向にシフトすることによって、摩擦ライニング20
7に作用する軸方向力の逓増的な上昇を可能にする。
【0071】旋回支承部205は2つの旋回支持21
1,212を有しており、両旋回支持211,212の
間には皿ばね204が軸方向に保持されており、つまり
旋回可能に緊定されている。図5との関連において記載
されたのと同様な形式で、皿ばね204の、プレッシャ
プレート203に向けられた側に設けられている旋回支
持211は、軸方向においてケーシング202に向かっ
て負荷される。このために旋回支持211は、皿ばねも
しくは皿ばね状の部材213の一部である。
【0072】ケーシング側の旋回支持212は、後調節
手段216を介してケーシング2に支持されている。こ
の後調節手段216は次のこと、すなわちプレッシャプ
レート203に向かってもしくは対応プレッシャプレー
ト206に向かって旋回支持211,212が軸方向に
シフトした場合に、旋回支持212とケーシング202
との間もしくは旋回支持212と皿ばね204との間に
不都合な遊びが発生することを、確実に阻止している。
摩擦クラッチ201もしくはクラッチ装置はさらに補正
手段220を有しており、この補正手段220によって
次のことが保証される。すなわちこの場合、皿ばね舌片
204aによって形成された、摩擦クラッチ201の解
離手段は、軸方向において遊びなしに操作され、かつこ
の際に一定の運動距離だけシフトすることができる。補
正手段220は、解離軸受を有する解離装置220aと
舌片先端204cとの間において有効である。摩擦クラ
ッチ201もしくは後調節手段216及び補正手段22
0の作用形式及び可能な実施例は、既に述べた先行技
術、特にドイツ連邦共和国特許出願公開第432267
7号明細書に開示されている。摩擦クラッチ201の解
離動作を助成するサーボ皿ばね231は、ケーシング2
02と、摩擦クラッチ201の操作時に軸方向において
シフト可能な補正手段220の部材230との間におい
て、作用するように配置されている。この部材230
は、皿ばね舌片先端204bの軸方向における操作運動
距離を制限するために働くリングの1構成部材である。
サーボ皿ばね231の半径方向内側の範囲は、このリン
グ230に旋回可能に支承され、かつ軸方向に支持され
ている。サーボ皿ばね231の半径方向外側の範囲は、
ケーシング202に対して軸方向に支持され、かつ旋回
可能に支承されている。図9に示されているように、サ
ーボ皿ばね231は摩擦クラッチ201の操作時にその
円錐度を変化し、この結果、図3及び図4に示された線
図との関連において記載されたように、摩擦クラッチ2
01の解離動作を助成するサーボ力を、少なくとも解離
運動距離の部分範囲にわたって生ぜしめる。つまりサー
ボ皿ばね231は、解離動作中に軸方向力を部材230
に対して加え、この際にこの部材はこの軸方向力を同様
に操作手段もしくは皿ばね舌片先端204bに伝達す
る。部材230と皿ばね204との間には、皿ばね20
4の軸方向におけるシフトを補償する補正リング230
aが設けられている。
【0073】図面との関連において記載されたように、
摩擦クラッチの解離動作もしくは操作動作を助成するサ
ーボばねは、有利には摩擦クラッチに一体に組み込まれ
ている。本発明のように構成されたサーボばねもしくは
サーボ皿ばねはしかしながら、摩擦クラッチの外部に配
置することも可能である。例えばこのようなサーボばね
は、摩擦クラッチと共働する解離系の任意の箇所に設け
られていてもよい。この場合「解離系」というのは、摩
擦クラッチのための操作力を導入して、該操作力を例え
ば皿ばね舌片4bのような摩擦クラッチの操作手段に伝
達するユニットもしくは部材を意味している。解離系は
つまり例えば、以下に記載の部材、すなわち主シリンダ
(Geberzylinder)、従シリンダ(Nehmerzylinder)、
解離軸受、ハイドロリック式もしくはニューマチック式
のサーボ装置、電動機、伝達ロッドもしくは伝達導体も
しくはボーデンケーブル、操作レバー及び/又は操作ペ
ダルのような部材のうちの少なくとも2つの部材を有し
ていることができる。
【0074】本発明は、図示及び記載の実施例に制限さ
れるものではなく、種々様々な実施例及び/又は記載の
先行技術との関連において記載された特徴もしくはエレ
メントによって形成され得るバリエーションをも有して
いる。さらに、図面との関連において記載された個々の
特徴もしくは作用形式それ自体もまた、独立した発明を
形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による摩擦クラッチを示す断面図であ
る。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1に示された個々のばね部材及び後調節部材
が共働する様子を示す種々の特性線が示されている線図
である。
【図4】図1に示された個々のばね部材及び後調節部材
が共働する様子を示す種々の特性線が示されている線図
である。
【図5】本発明による押圧式の摩擦クラッチを示す断面
図である。
【図6】本発明による押圧式の摩擦クラッチを示す図で
ある。
【図7】本発明による押圧式の摩擦クラッチの別の実施
例を示す断面図である。
【図8】本発明による押圧式の摩擦クラッチの別の実施
例を示す図である。
【図9】本発明による摩擦クラッチのさらに別の実施例
を示す図である。
【符号の説明】
1,101,201 摩擦クラッチ、 2,102,2
02 ケーシング、3,103,203 プレッシャプ
レート、 4,104,204 皿ばね、5,105,
205 旋回支承部、 6,106,206 対応プレ
ッシャプレート、 7,107,207 摩擦ライニン
グ、 8,108 クラッチディスク、 10 ライニ
ングばねセグメント、 11 旋回支持、 12,11
2後調節手段、 13 摩耗補償装置、 14 センサ
装置、 15 摩耗センサ、 16 スリーブ(センサ
部材)、 17 ピン、 18 孔、 19 ストッ
パ、 20 補償リング(後調節リング)、 21 補
正装置、 22,23傾斜面、 24 縁部範囲、 2
5 コイルばね、 26 切欠き、 27傾斜角度、
28 回転方向、 29 ストッパ、 30 解離運動
距離、 31,131,231 皿ばね状の部材(蓄力
器)、 32 ベース体、 33舌片、 35 リベッ
ト、 36 ヘッド、 37 解離方向、 38 支持
直径、 113,114 リング

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングに対して回動不能であるがし
    かしながら軸方向において制限されてシフト可能なプレ
    ッシャプレートを備えた摩擦クラッチであって、少なく
    とも1つの第1の蓄力器が設けられており、該蓄力器を
    介してプレッシャプレートが、該プレッシャプレートと
    はずみ車のような対応プレッシャプレートとの間におい
    て緊定可能なクラッチディスクに向かって負荷可能であ
    り、少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングの摩
    耗を補償する後調節手段が設けられており、さらに、プ
    レッシャプレートをシフトさせるための操作手段と、第
    1の蓄力器に対して並列的に配置された少なくとも1つ
    の第2の蓄力器とが設けられており、この場合第2の蓄
    力器は摩擦クラッチ内に次のように、すなわち該第2の
    蓄力器が摩擦クラッチの解離時に解離動作の少なくとも
    部分範囲にわたって該解離動作を助成する力を生ぜしめ
    るように、緊張されて取り付けられていることを特徴と
    する摩擦クラッチ。
  2. 【請求項2】 ケーシングに対して回動不能であるがし
    かしながら軸方向において制限されてシフト可能なプレ
    ッシャプレートを備えた摩擦クラッチであって、第1の
    皿ばねが設けられており、該皿ばねを介してプレッシャ
    プレートが、該プレッシャプレートとはずみ車のような
    対応プレッシャプレートとの間において緊定可能なクラ
    ッチディスクに向かって負荷可能であり、少なくともク
    ラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償するため
    の後調節手段が設けられており、該後調節手段を用い
    て、第1の皿ばねによるプレッシャプレートの力負荷が
    調節可能であり、さらに、プレッシャプレートをシフト
    させるための操作手段と、第1の皿ばねに対して並列的
    に配置された少なくとも1つの第2の皿ばねとが設けら
    れており、この場合第2の皿ばねは次のように、すなわ
    ち該第2の皿ばねが摩擦クラッチの解離時に解離動作の
    少なくとも部分範囲にわたって該解離動作を助成する力
    を生ぜしめるように、緊張されて取り付けられているこ
    とを特徴とする摩擦クラッチ。
  3. 【請求項3】 ケーシングに対して回動不能であるがし
    かしながら軸方向において制限されてシフト可能なプレ
    ッシャプレートを備えた摩擦クラッチであって、少なく
    とも1つの第1の蓄力器が設けられており、該蓄力器を
    介してプレッシャプレートが、該プレッシャプレートと
    はずみ車のような対応プレッシャプレートとの間におい
    て緊定可能なクラッチディスクに向かって負荷可能であ
    り、少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングにお
    ける摩耗を補償するための後調節手段が設けられてお
    り、さらに、プレッシャプレートをシフトさせるための
    操作手段と、第1の蓄力器に対して並列的に配置された
    少なくとも1つの第2の蓄力器とが設けられており、こ
    の場合第2の蓄力器が、摩擦クラッチの解離動作を助成
    する力をもたらすようになっており、さらにクラッチデ
    ィスクの摩擦ライニングの間に、摩擦クラッチの解離動
    作を同様に助成するライニングばねが設けられているこ
    とを特徴とする摩擦クラッチ。
  4. 【請求項4】 第2の蓄力器が、摩擦クラッチの解離の
    ために必要な解離運動距離の少なくとも部分範囲にわた
    って、上昇する力・運動距離経過を有している、請求項
    1から3までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  5. 【請求項5】 第2の蓄力器が皿ばねによって形成され
    ている、請求項1、3及び4のいずれか1項記載の摩擦
    クラッチ。
  6. 【請求項6】 第1の蓄力器が皿ばねによって形成され
    ている、請求項1、3及び5のいずれか1項記載の摩擦
    クラッチ。
  7. 【請求項7】 第1の蓄力器がリング状のベース体を有
    しており、該ベース体から半径方向内側に向かって、摩
    擦クラッチのための操作手段として働く舌片が延びてい
    る、請求項1から6までのいずれか1項記載の摩擦クラ
    ッチ。
  8. 【請求項8】 第1の蓄力器が、解離運動距離の少なく
    とも1部分にわたって、下降する力・運動距離経過を有
    している、請求項1から7までのいずれか1項記載の摩
    擦クラッチ。
  9. 【請求項9】 摩擦クラッチの解離時にプレッシャプレ
    ートが、所定の解離運動距離を進むようになっていて、
    該解離運動距離が2つの区分に分割されており、この場
    合第1の区分においては、プレッシャプレートからクラ
    ッチディスクに加えられる負荷力が取り去られ、かつ第
    2の区分においては、クラッチディスクとプレッシャプ
    レート及び対応プレッシャプレートとの間における軸方
    向の遊びが生ぜしめられるようになっており、さらに第
    2の蓄力器が少なくとも第1の区分において、上昇する
    正の力・運動距離経過を有している、請求項1から8ま
    でのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  10. 【請求項10】 第2の蓄力器が少なくとも、第1の区
    分全体にわたって有効である、請求項9記載の摩擦クラ
    ッチ。
  11. 【請求項11】 第2の蓄力器が少なくとも、第2の区
    分の部分範囲にわたっても有効である、請求項9又は1
    0記載の摩擦クラッチ。
  12. 【請求項12】 第2の蓄力器が、摩擦クラッチの操作
    手段とケーシングとの間において作用するように緊張さ
    れている、請求項1から11までのいずれか1項記載の
    摩擦クラッチ。
  13. 【請求項13】 第2の蓄力器が、ケーシングと第1の
    蓄力器との間において作用するように緊張されている、
    請求項1から12までのいずれか1項記載の摩擦クラッ
    チ。
  14. 【請求項14】 第2の蓄力器が摩擦クラッチの係合状
    態において、緊張された状態にあり、この状態において
    第2の蓄力器が、摩擦クラッチの軸方向において作用す
    る力を実質的に生ぜしめないようになっている、請求項
    1から13までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  15. 【請求項15】 第2の蓄力器が摩擦クラッチの係合状
    態において、緊張された状態にあり、この状態において
    第2の蓄力器が、摩擦クラッチの軸方向において比較的
    小さな力を生ぜしめるようになっている、請求項1から
    14までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  16. 【請求項16】 第2の蓄力器が、正弦状の力・運動距
    離特性線を有しており、かつ摩擦クラッチの係合状態に
    おいて、少なくともほぼその力最小値にプレロードをか
    けられている、請求項1から15までのいずれか1項記
    載の摩擦クラッチ。
  17. 【請求項17】 摩擦クラッチの係合状態において、緊
    張された第2の蓄力器が解離方向における力を生ぜしめ
    るようになっている、請求項1から6までのいずれか1
    項記載の摩擦クラッチ。
  18. 【請求項18】 クラッチディスクがライニングばね装
    置を有している、請求項1から17までのいずれか1項
    記載の摩擦クラッチ。
  19. 【請求項19】 第2の蓄力器を形成する皿ばねが、ケ
    ーシングに旋回可能に支承されている、請求項1から1
    8までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  20. 【請求項20】 皿ばねが、半径方向外側の範囲で旋回
    可能に支承されている、請求項19記載の摩擦クラッ
    チ。
  21. 【請求項21】 皿ばねが、半径方向内側の範囲で、摩
    擦クラッチの操作手段を解離方向において負荷してい
    る、請求項2及び5から20までのいずれか1項記載の
    摩擦クラッチ。
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