JPH07238953A

JPH07238953A - クラッチカバー組立体

Info

Publication number: JPH07238953A
Application number: JP6028141A
Authority: JP
Inventors: Norihisa Uenohara; 範久植之原
Original assignee: Daikin Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Exedy Corp
Priority date: 1994-02-25
Filing date: 1994-02-25
Publication date: 1995-09-12
Also published as: KR0146977B1; KR950025302A; US5513735A; DE19506516A1

Abstract

(57)【要約】【目的】複数の磨耗調整機構のばらつきを少なくす
る。【構成】このクラッチカバー組立体は、クラッチカバ
ー１０と、プレッシャープレート１１と、支持機構１２
と、ダイヤフラムスプリング１３と、複数の磨耗調整機
構１４と、同期機構としてのリングプレート２７とを備
えている。支持機構１２は、プレッシャープレート１１
の押圧面と反対側に移動可能に配置されている。ダイヤ
フラムスプリング１３は、支持機構１２を介してプレッ
シャープレート１１をフライホイール２側に押圧する部
材である。複数の磨耗調整機構１４はプレッシャープレ
ート１１の複数個所に配置され、それぞれクラッチディ
スク６の摩耗量に応じて支持機構１２をダイヤフラムス
プリング１３側に移動させる機構である。リングプレー
ト２７は、複数の磨耗調整機構１４をそれぞれ同期して
作動させるための機構である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クラッチカバー組立
体、特に摩擦部材の磨耗にかかわらず押圧荷重特性を維
持するための機構を備えたクラッチカバー組立体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】クラッチカバー組立体は、一般に、エン
ジンのフライホイールに装着され、フライホイールとの
間でクラッチディスクを挟持してエンジンの駆動力を変
速機側に伝達するために用いられている。このようなク
ラッチカバー組立体及びクラッチディスクでは、長寿命
化の要請がある。そこで、クラッチディスクにおいて
は、フェーシングをリベット等を用いずにクッショニン
グプレートに固定することによりフェーシングの有効使
用厚みを増加させるようにしている。

【０００３】また、クラッチカバー組立体においては、
特開昭６３−２７０９２号公報に示されるように、フェ
ーシングが磨耗した場合にダイヤフラムスプリングのセ
ット荷重を初期荷重に自動的に復帰できるようにしたも
のが提供されている。このクラッチカバー組立体は、ダ
イヤフラムスプリングとプレッシャープレートとの間に
配置されたファルクラムリングと、フェーシングの磨耗
に応じてファルクラムリングをダイヤフラムスプリング
側に移動させる磨耗調整機構とを有している。磨耗調整
機構は円周方向の複数個所に配置されており、それぞれ
は、プレッシャープレートの溝内に配置された半径方向
外方に移動可能なスライド部材と、前記スライド部材を
半径方向外方に付勢する付勢部材とを有している。前記
支持部材と前記スライド部材とは互いに当接するくさび
面を有しており、フェーシングの磨耗が生じた後にダイ
ヤフラムスプリングの押圧が解除されると、前記スライ
ド部材が前記支持部材を半径方向外方に押して、ファル
クラムリングがダイヤフラムスプリングの押圧部側に移
動する。その結果、ダイヤフラムスプリングの押圧姿勢
は変化せず、ダイヤフラムスプリングのセット荷重は初
期荷重に維持される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
複数の磨耗調整機構が円周状に配置されているが、スラ
イド部材の引っ掛かり等によって、それぞれの磨耗調整
機構が均一に作用しない場合がある。この場合には、ダ
イヤフラムスプリングを支持する部分の高さにばらつき
が生じるので、ダイヤフラムスプリングが傾く場合があ
り、クラッチ切れ不良の原因となる。

【０００５】本発明の目的は、複数の磨耗調整機構のば
らつきを少なくすることにある。本発明の他の目的は、
簡単な構成で複数の磨耗調整機構のばらつきを少なくす
ることにある。本発明のさらに他の目的は、磨耗調整機
構を含む周囲の構造を軽量化し、コストを下げることに
ある。

【０００６】本発明のさらに他の目的は、クラッチ接続
時の衝撃を簡単な構成で緩和することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係るクラッチカ
バー組立体は、出力側回転体に連結された摩擦部材を入
力側回転体に押圧あるいは押圧解除するためのものであ
り、皿状クラッチカバーと、プレッシャープレートと、
支持機構と、押圧部材と、複数の磨耗調整機構と、同期
機構とを備えている。

【０００８】皿状クラッチカバーは入力側回転体に外周
部が固定される。プレッシャープレートはクラッチカバ
ー内に配置され、一側面に摩擦部材を押圧するための押
圧面を有している。支持機構は、プレッシャープレート
の押圧面と反対側に、プレッシャープレートと相対回転
不能にかつ軸方向に移動可能に配置されている。押圧部
材は、支持機構を介してプレッシャープレートを入力側
回転体側に押圧する部材である。複数の磨耗調整機構は
プレッシャープレートの複数個所に配置され、それぞれ
摩擦部材の摩耗量に応じて支持機構をプレッシャープレ
ートから押圧部材側に移動させる機構である。同期機構
は、複数の磨耗調整機構をそれぞれ同期して作動させる
ための機構である。

【０００９】前記各磨耗調整機構は、円周方向に移動自
在に配置され支持機構の一部に当接して支持機構を移動
させる移動部材と、移動部材をその移動方向に付勢する
付勢部材とを有しているのが好ましく、さらに同期機構
は、移動部材を同期して移動させるための連結部材であ
るのが好ましい。前記移動部材は円周状に配置されてお
り、前記連結部材は、各磨耗調整機構の移動部材が固定
されたリング状のプレート部材であるのが好ましい。

【００１０】前記リング状プレート部材は複数の部材に
分割されているのが好ましい。前記リング状プレート
は、その一部を切り起こして円周方向に延びるように形
成された複数の保持部を有し、前記付勢部材は、保持部
に保持され、移動部材をその移動方向に付勢するための
ばねであるのが好ましい。前記支持機構は、プレッシャ
ープレートの外周部を覆うように配置された円環状の板
金製プレート部材と、プレート部材のプレッシャープレ
ート側に固定された複数のカム部材と、プレート部材の
押圧部材側に配置され押圧部材を支持する突起部を有す
る円環状の支持部材とを有しているのが好ましい。

【００１１】前記円環状の支持部材は皿ばねであるのが
好ましい。

【００１２】

【作用】本発明に係るクラッチカバー組立体では、押圧
部材が支持機構を押圧すると、プレッシャープレートが
摩擦部材を入力側回転体に押し付ける。このクラッチ連
結状態において、摩擦部材が磨耗するとプレッシャープ
レートが入力側回転体側に移動する。すると、磨耗調整
機構が磨耗量に応じて支持機構をプレッシャープレート
から押圧部材側に移動させる。その結果、押圧部材の押
圧姿勢は変化することなく、押圧部材の押圧荷重が初期
の荷重に維持される。

【００１３】ここで、複数の磨耗調整機構は同期機構に
よって同期して作動する。このため、支持機構の高さの
ばらつきが抑えられ、押圧部材の傾きが少なくなる。前
記各磨耗調整機構が、円周方向に移動自在に配置され支
持機構の一部に当接して支持機構を移動させる移動部材
と、移動部材をその移動方向に付勢する付勢部材とを含
み、さらに同期機構が、移動部材を同期して移動させる
ための連結部材である場合は、簡単な構成で複数の磨耗
調整機構を同期させることができる。

【００１４】前記移動部材が円周状に配置されており、
前記連結部材が、各磨耗調整機構の移動部材が固定され
たリング状のプレート部材である場合は、安価で簡単な
構成で複数の磨耗調整機構を同期させることができる。
前記リング状プレート部材が複数の部材に分割されてい
る場合は、構成が簡単になるとともに、製造コストが安
価になる。

【００１５】前記リング状プレートが、その一部を切り
起こして円周方向に延びるように形成された複数の保持
部を有し、前記付勢部材が、保持部に保持され、移動部
材をその移動方向に付勢するためのばねの場合は、ばね
をプレッシャープレートから離隔して配置することが容
易になり、ばねが高温になるのを抑えることができるの
で、ばねの長寿命化が図れる。

【００１６】前記支持機構が、プレッシャープレートの
外周部を覆うように配置された円環状の板金製プレート
部材と、プレート部材のプレッシャープレート側に固定
された複数のカム部材と、プレート部材の押圧部材側に
配置され押圧部材を支持する突起部を有する円環状の支
持部材とで構成されている場合は、製造が簡単になると
ともに軽量化が図れる。

【００１７】前記円環状の支持部材が皿ばねの場合は、
摩擦部材がクッショニングプレートを含んでいない場合
でもクラッチ接続時の衝撃を緩和できる。

【００１８】

【実施例】本発明の一実施例が採用されたクラッチを図
１に示す。クラッチは、エンジン側のクランクシャフト
１に連結されたフライホイール２から、トランスミッシ
ョン側から延びるメインドライブシャフト３にトルクを
伝達または遮断するための装置である。図の左側にはエ
ンジン（図示せず）が配置され、図の右側にはトランス
ミッション（図示せず）が配置されている。

【００１９】このクラッチは、主に、フライホイール２
に固定されたクラッチカバー組立体５と、クラッチディ
スク６を含むクラッチディスク組立体とから構成されて
いる。クラッチディスク組立体の中心は、メインドライ
ブシャフト３にスプライン嵌合している。メインドライ
ブシャフト３の回りには、レリーズ装置７が軸方向移動
自在に配置されている。

【００２０】本発明の一実施例としてのクラッチカバー
組立体５を図２に詳細に示す。この図において、クラッ
チカバー組立体５は、クラッチカバー１０と、プレッシ
ャープレート１１と、プレッシャープレート１１のクラ
ッチカバー１０側に配置された支持機構１２と、支持機
構１２を介してプレッシャープレート１１をフライホイ
ール２側に押圧するためのダイヤフラムスプリング１３
とを備えている。さらに、このクラッチカバー組立体５
は、磨耗調整機構１４を備えている。

【００２１】クラッチカバー１０は概ね皿状の部材であ
り、外周端がフライホイール２に固定されている。クラ
ッチカバー１０の外周壁には、図３に示すように、円周
方向に等間隔で開口１０ａが形成されている。各開口１
０ａに対応する位置には、複数の鋼帯からなり円周接線
方向に延びるストラッププレート１５が配置されてい
る。ストラッププレート１５の一端はクラッチカバー１
０にリベット１６によって固定され、他端は支持機構１
２の一部に固定されている。ストラッププレート１５
は、プレッシャープレート１１をクラッチカバー１０と
ともに回転させるとともに、ダイヤフラムスプリング１
３による押圧が解除されたときに、プレッシャープレー
ト１１をクラッチディスク６から引き離すための部材で
ある。

【００２２】プレッシャープレート１１は概ね円環状の
部材であり、クラッチカバー１０内に配置されている。
プレッシャープレート１１は、フライホイール２との間
でクラッチディスク６を挟持するための押圧面１１ａを
フライホイール２側に有している。また、プレッシャー
プレート１１のダイヤフラムスプリング１３側の側面外
周部には、環状の段差部１１ｂが形成されている。ま
た、プレッシャープレート１１の外周部には、クラッチ
カバー１０の開口１０ａに向かって突出する固定部１１
ｃが一体形成されている。

【００２３】支持機構１２は、板金製のプレート部材か
らなるベースカバー２０と、ベースカバー２０に固定さ
れた複数のカム部材２１と、ベースカバー２０とダイヤ
フラムスプリング１３との間に配置された支持プレート
２２とを有している。ベースカバー２０は円環状に形成
され、プレッシャープレート１１の外周部を覆うように
配置されている。また、ベースカバー２０は円周方向外
方に突出するフランジ２０ａを有しており、このフラン
ジ２０ａに磨耗調整機構１４の一部が係止され、またス
トラッププレート１５の他端が固定されている。複数の
カム部材２１はプレッシャープレート１１の段差部１１
ｂに収納されており、図４に展開して示すように、ベー
スカバー２０側に突出して形成された突起部２１ａがベ
ースカバー２０の孔に係合している。また、カム部材２
１はプレッシャープレート１１側に傾斜面２１ｂを有し
ている。支持プレート２２は板金製プレート材で円環状
に形成されており、その半径方向中間部には、ダイヤフ
ラムスプリング１３側に突出する支持部２２ａを有して
いる。この支持部２２ａにダイヤフラムスプリング１３
が支持されている。ここで、支持プレート２２は、図６
に示すように、皿ばねとなっている。なお、図６はクラ
ッチレリーズ時の状態を示している。

【００２４】このような支持機構１２では、ベースカバ
ー２０が板金製であるので、加工が容易であり、しかも
軽量化が図れる。また、ここでは、ベースカバー２０と
は別の支持プレート２２を用いてダイヤフラムスプリン
グ１３を支持しているので、ベースカバー２０に孔を形
成してカム部材２１を係合して固定でき、固定するため
のピン等の部材が不要となる。

【００２５】ダイヤフラムスプリング１３は、クラッチ
カバー１０と同心に配置されている。また、ダイヤフラ
ムスプリング１３は、図１に示すように、その外周端部
がクラッチカバー１０に支持されており、支持プレート
２２を介してプレッシャープレート１１をフライホイー
ル２側に押圧している。ここでは、レリーズ装置７によ
ってダイヤフラムスプリング１３の内周端をトランスミ
ッション側に引くと、ダイヤフラムスプリング１３と支
持プレート２２とが離れ、プレッシャープレート１１の
フライホイール２に対する押圧が解除される。

【００２６】磨耗調整機構１４は、プレッシャープレー
ト１１の段差部１１ｂ内に配置された付勢機構２５と、
支持機構１２のダイヤフラムスプリング１３側への突出
量をクラッチディスク６の磨耗量に応じて規制する規制
機構２６とを含んでいる。また、プレッシャープレート
１１の段差部１１ｂ内には、図４に示すように、複数の
磨耗調整機構１４を同期して作動させるための複数のリ
ングプレート２７が円周方向に移動自在に配置されてい
る。

【００２７】次に、図４及び図５を用いて付勢機構２５
について説明する。付勢機構２５は、複数のカム部材２
１に対応して配置されたテーパブロック３０と、カム部
材２１とテーパブロック３０との円周方向隙間に配置さ
れたばね３１とを有している。テーパブロック３０は、
カム部材２１の傾斜面２１ｂに接触するくさび面３０ａ
を有しており、その一端面に形成された突起部３０ｂが
リングプレート２７の孔に係合している。複数のリング
プレート２７は全周にわたって隙間なく配置されてお
り、その一部にはベースカバー２０側に切り起こされた
切り起こし部２７ａが形成されている。そして、この切
り起こし部２７ａにばね３１が装着されている。ばね３
１の一端は切り起こし部２７ａの一部に当接し、他端は
カム部材２１の端面に当接している。このような構成に
より、テーパブロック３０は、リングプレート２７を介
してばね３１によりカム部材２１側に付勢されている。
すなわち、複数のカム部材２１は常に上方に移動させら
れるような力を受けている。また、ばね３１は切り起こ
し部２７ａに支持されているので、ばね３１が直接プレ
ッシャープレート１１に接触せず、プレッシャープレー
ト１１からの熱の影響を受けにくい。このため、熱によ
るばねの特性変化を抑えることができる。

【００２８】規制機構２６は、図２に示すように、プレ
ッシャープレート１１の固定部１１ｃに設けられてい
る。固定部１１ｃには、軸方向に貫通する複数の孔１１
ｄが形成されている。規制機構２６は、主に、ウェッジ
カラー３５と、ウェッジ３６と、ボルト３７とから構成
されている。ウェッジカラー３５は円筒状に形成され、
孔１１ｄに軸方向にスライド自在に挿入されている。ウ
ェッジカラー３５には軸方向にスリット３５ａが形成さ
れており、径方向に拡縮可能である。ウェッジカラー３
５は、フライホイール２から離れるにしたがって縮径す
るテーパ状の内周面を有している。クラッチディスク６
がプレッシャープレート１１とフライホイール２とに挟
持された状態においては、ウェッジカラー３５の一端は
フライホイール２表面に当接している。また、ウェッジ
３６は、ウェッジカラー３５の内周面に嵌合するテーパ
状の外周面を有しており、内部にねじ孔を有している。
このねじ孔内に、ボルト３７がねじ止めされている。ボ
ルト３７はベースカバー２０のフランジ２０ａに形成さ
れた孔を貫通しており、その頭部がフランジ２４ａのク
ラッチカバー２０側に係止している。フランジ２４ａが
ボルト頭部に係止されることにより、支持機構１２の軸
方向外方（図２上方）への移動が規制されている。

【００２９】なお、クラッチカバー１０には、ボルト３
７の頭部に対応する部分に孔が形成されている。次に動
作について説明する。クラッチ接続時においては、ダイ
ヤフラムスプリング１３が支持機構１２を介してプレッ
シャープレート１１をフライホイール２側に押圧してお
り、これによりクラッチディスク６がプレッシャープレ
ート１１とフライホイール２との間に挟持されている。
ここでは、フライホイール２からの動力はクラッチディ
スク６を介してトランスミッション側に伝達される。

【００３０】レリーズ操作によってダイヤフラムスプリ
ング１３と支持機構１２との接触が解除されると、ベー
スカバー２０に、ストラッププレート１５によってベー
スカバー２０をダイヤフラムスプリング１３側に引き上
げようとする力が作用する。この力は、ベースカバー２
０のフランジ２０ａを介してボルト３７の頭部に作用
し、さらにウェッジ３６を介してウェッジカラー３５に
作用する。ここで、ウェッジ３６とウェッジカラー３５
とはテーパ接触しているので、ウェッジ３６がダイヤフ
ラムスプリング１３側に引っ張られると、ウェッジカラ
ー３５が径方向外側に拡張される。そのため、ウェッジ
カラー３５がプレッシャープレート１１に対して固定さ
れた状態となる。これにより、プレッシャープレート１
１がクラッチディスク６から離れ、クラッチの接続が解
除される。

【００３１】クラッチディスク６が磨耗すると、ダイヤ
フラムスプリング１３の押圧力によって、支持機構１２
及びプレッシャープレート１１がフライホイール２側に
移動する。このとき、規制機構２６のウェッジカラー３
５の一端がフライホイール２表面に当接しているので、
ウェッジカラー３５，ウェッジ３６及びボルト３７はフ
ライホイール２に対して移動しない。この結果、ベース
カバー２０のフランジ２０ａとボルト頭部との間に、磨
耗に対応する隙間が生じる。

【００３２】このような状況でレリーズ操作が行われる
と、ダイヤフラムスプリング１３とベースカバー２０と
の接触が解除されるので、ばね３１の付勢力によってテ
ーパブロック３０がカム部材２１を押し上げる方向に移
動する。この結果、カム部材２１、ベースカバー２０及
び支持プレート２２がダイヤフラムスプリング１３側に
移動し、ベースカバー２０のフランジ２０ａが、ボルト
３７の頭部に当接する。フランジ２０ａがボルト３７の
頭部に当接した後は、前述と同様に規制機構２６の動作
によってボルト３７がプレッシャープレート１１に対し
て固定されているので、ベースカバー２０の移動は停止
する。そして、プレッシャープレート１１がフライホイ
ール２から引き離される。

【００３３】以上のような動作によって、ベースカバー
２０を含む支持機構１２が、クラッチディスク６の磨耗
量だけダイヤフラムスプリング１３側に移動し、停止す
ることになる。ここでは、ベースカバー２０のフランジ
２０ａが規制機構２６のボルト頭部に当接しているた
め、支持機構１２（支持プレート２１）の軸方向高さが
初期高さに位置している。このため、クラッチディスク
６が磨耗した場合でもセット時のダイヤフラムスプリン
グ１３の押圧姿勢は変化せず、セット荷重が初期の荷重
に維持される。

【００３４】ここで、前述の磨耗調整動作において、複
数のリングプレート２７は全周にわたって隙間なく配置
されているので、ばね３１の付勢力によって複数のリン
グプレート２７が同期して円周方向に移動する。すなわ
ち、複数のカム部材２１は同量だけダイヤフラムスプリ
ング１３側に移動させられる。したがって、ベースカバ
ー２０及び支持プレート２２は傾くことなく均一の高さ
となる。このため、ダイヤフラムスプリング１３におけ
るレバー部の高さのばらつきが抑えられ、クラッチの切
れ不良を少なくすることができる。

【００３５】〔変形例〕（ａ）前記実施例では、支持機構１２において、ベース
カバー２０と支持プレート２２とを別部材で形成した
が、これらを同じ部材で構成してもよい。（ｂ）前記実施例では、本発明をプルタイプのクラッチ
装置に適用したが、プッシュタイプのクラッチ装置にも
同様に適用できる。

【００３６】

【発明の効果】以上のように本発明に係るクラッチカバ
ー組立体では、複数の磨耗調整機構は同期機構によって
同期して作動するので、磨耗調整後において、押圧部材
の支持高さのばらつきが抑えられ、押圧部材の傾きが少
なくなる。各磨耗調整機構を、円周方向に移動する移動
部材と、移動部材をその移動方向に付勢する付勢部材と
で構成し、さらに同期機構を、移動部材を同期して移動
させるための連結部材とした場合は、簡単な構成で複数
の磨耗調整機構を同期させることができる。

【００３７】前記移動部材を円周状に配置し、連結部材
を、各磨耗調整機構の移動部材が固定されたリング状の
プレート部材とした場合は、安価で簡単な構成で複数の
磨耗調整機構を同期させることができる。前記リング状
プレート部材を分割された複数の部材とした場合は、構
成が簡単になるとともに、製造コストが安価になる。

【００３８】前記リング状プレートの一部を切り起こし
部を形成し、この切り起こし部にばねを装着した場合
は、ばねをプレッシャープレートから離隔して配置する
ことが容易になり、熱によるばねの特性の劣化を抑える
ことができる。押圧部材を支持する支持機構を、プレッ
シャープレートの外周部を覆うように配置された円環状
の板金製プレート部材と、プレート部材のプレッシャー
プレート側に固定された複数のカム部材と、プレート部
材の押圧部材側に配置され押圧部材を支持する突起部を
有する円環状の支持部材とで構成した場合は、製造が簡
単になるとともに軽量化が図れる。

【００３９】前記円環状の支持部材が皿ばねの場合は、
摩擦部材がクッショニングプレートを含んでいない場合
でもクラッチ接続時の衝撃を緩和できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例が採用されたクラッチの縦断
面概略図。

【図２】本発明の一実施例としてのクラッチカバー組立
体の縦断面部分図。

【図３】前記クラッチカバーの平面部分図。

【図４】支持機構及び磨耗調整機構の断面展開部分図。

【図５】磨耗調整機構の平面部分図。

【図６】支持プレートのレリーズ時の状態を示す断面
図。

【符号の説明】

５クラッチカバー組立体６クラッチディスク１０クラッチカバー１１プレッシャープレート１２支持機構１３ダイヤフラムスプリング１４磨耗調整機構２０ベースカバー２１カム部材２２支持プレート２６規制機構２７リングプレート３０テーパブロック３１ばね

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】出力側回転体に連結された摩擦部材を入力
側回転体に押圧あるいは押圧解除するためのクラッチカ
バー組立体であって、前記入力側回転体に外周部が固定される皿状クラッチカ
バーと、前記クラッチカバー内に配置された、一側面に前記摩擦
部材を押圧するための押圧面を有するプレッシャープレ
ートと、前記プレッシャープレートの前記押圧面と反対側に、前
記プレッシャープレートと相対回転不能にかつ軸方向に
移動可能に配置された支持機構と、前記支持機構を介して前記プレッシャープレートを前記
入力側回転体側に押圧する押圧部材と、前記プレッシャープレートの複数個所に配置され、それ
ぞれ前記摩擦部材の摩耗量に応じて前記支持機構を前記
プレッシャープレートから前記押圧部材側に移動させる
複数の摩耗調整機構と、前記複数の磨耗調整機構をそれぞれ同期して作動させる
ための同期機構と、を備えたクラッチカバー組立体。
【請求項２】前記各磨耗調整機構は、円周方向に移動自
在に配置され前記支持機構の一部に当接して前記支持機
構を移動させる移動部材と、前記移動部材をその移動方
向に付勢する付勢部材とを含み、前記同期機構は、前記移動部材を同期して移動させるた
めの連結部材である、請求項１に記載のクラッチカバー
組立体。
【請求項３】前記移動部材は円周状に配置されており、前記連結部材は、前記各磨耗調整機構の移動部材が固定
されたリング状のプレート部材である、請求項２に記載
のクラッチカバー組立体。
【請求項４】前記リング状プレート部材は複数の部材に
分割されている、請求項３に記載のクラッチカバー組立
体。
【請求項５】前記リング状プレートは、その一部を切り
起こして円周方向に延びるように形成された複数の保持
部を有し、前記付勢部材は、前記保持部に保持され、前記移動部材
をその移動方向に付勢するためのばねである、請求項３
又は４に記載のクラッチカバー組立体。
【請求項６】前記支持機構は、前記プレッシャープレー
トの外周部を覆うように配置された円環状の板金製プレ
ート部材と、前記プレート部材のプレッシャープレート
側に固定された複数のカム部材と、前記プレート部材の
前記押圧部材側に配置され前記押圧部材を支持する突起
部を有する円環状の支持部材とを有している、請求項２
ないし５のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
【請求項７】前記円環状の支持部材は皿ばねである、請
求項６に記載のクラッチカバー組立体。