JP6131993B2 - メイラード反応阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、植物エキスを有効成分として含有する新規なメイラード反応阻害剤に関する。
メイラード反応は、還元糖のカルボニル基と蛋白質又はアミノ酸のアミノ基が非酵素的に縮合する反応で、シッフ塩基を経由して、アマドリ転移産物を生成する前期反応と、その後、アマドリ転移産物が分解され、さらに脱水、酸化、縮合、転移等の過程を経て、終末糖化産物群(AGE)へと変化する後期反応とに分けられる。食品の加工、貯蔵の際に起こる褐変反応として食品科学の分野では古くからよく知られる現象である。
この反応は生体内でも起こっており、AGEが加齢に依存して種々の生体組織に蓄積すること、また、糖尿病合併症、アルツハイマーや動脈硬化などの加齢関連疾患で、AGEの蓄積が有意に増加していることが報告されている。さらに、メイラード反応は、加齢に伴って生じる白内障や軟骨の弾力低下、皮膚の老化の原因となり、特に常時高血糖状態である糖尿病患者においてその進行が早いことが報告されている。
このため、メイラード反応を阻害する物質は、生体内の様々な加齢関連疾患の抑制や糖尿病合併症を抑制し得ると考えられ、そのような物質を求めて種々の研究がされている。
例えば、アミノグアニジンは強力なメイラード反応阻害剤として知られている(例えば、特許文献1参照)。一方でこの化合物は強い副作用を有することが知られている。また、メイラード反応阻害作用を有する植物素材がいくつか知られているが、十分満足のいく効果は得られていない(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
平均寿命の延びや少子高齢化の進行に伴い、健康を維持しつつ長生きするために、抗加齢いわゆるアンチエイジングへの関心が高まっている中、優れたアンチエイジング効果を有し、かつ安全性の高い機能性食品や化粧品素材等の開発が切望されている。
特開昭62−142114 特開平11−106336 特開2004−250445
本発明は、植物エキスを有効成分として含有する新規なメイラード反応阻害剤を提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該メイラード反応阻害剤を含有する経口剤、外用剤および飲食品を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の植物エキスが優れたメイラード反応阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明として、例えば下記のものを挙げることができる。
(1)ピンポンノキ属(Sterculia)に属する植物、チャンチンモドキ属(Choerospondias)に属する植物、マンゴー属(Mangifera)に属する植物、ウルシ属(Rhus)に属する植物、フクギ属(Garcinia)に属する植物、クロモジ属(Lindera)に属する植物、イヌタデ属(Persicaria)に属する植物、ギシギシ属(Rumex)に属する植物、ミズヒキ属(Antenoron)に属する植物、アブラギリ属(Aleurites)に属する植物、アカシア属(Acacia)に属する植物、ヒシ属(Trapa)に属する植物、エウゲニア属(Eugenia)に属する植物、ナツフジ属(Millettia)に属する植物、ミズキ属(Cornus)に属する植物、ビンロウ属(Areca)に属する植物、ヤマモモ属(Myrica)に属する植物からなる植物群から選択される1種又は2種以上の植物のエキスを有効成分として含有するメイラード反応阻害剤(以下、「本発明阻害剤」という)。
(2)上記(1)のメイラード反応阻害剤を含有する経口剤(以下、「本発明経口剤」という)。
(3)上記(1)のメイラード反応阻害剤を含有する飲食品(以下、「本発明飲食品」という)。
(4)上記(1)のメイラード反応阻害剤を含有する外用剤(以下、「本発明外用剤」という)。
(5)上記(1)のメイラード反応阻害剤を含有する老化抑制用組成物(以下、「本発明組成物」という)。
(6)上記(1)のメイラード反応阻害剤を含有する、糖尿病合併症の予防又は治療用組成物。
本発明阻害剤は、優れたメイラード反応阻害作用を有し、老化に伴って生じる現象、例えば、白内障、軟骨の弾力低下、皮膚の老化(皮膚の弾力低下、しわやたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成、肌のくすみの原因となる色素沈着等)の抑制に有用である。また、本発明阻害剤は、食経験があり、副作用が少ない植物のエキスを有効成分として含有し、安全性が高いものである。
また、本発明阻害剤は、メイラード反応が関与することが知られている糖尿病合併症の予防又は治療用組成物として用いることもできる。
植物エキス
本発明に係る植物エキスは、ピンポンノキ属(Sterculia)に属する植物、チャンチンモドキ属(Choerospondias)に属する植物、マンゴー属(Mangifera)に属する植物、ウルシ属(Rhus)に属する植物、フクギ属(Garcinia)に属する植物、クロモジ属(Lindera)に属する植物、イヌタデ属(Persicaria)に属する植物、ギシギシ属(Rumex)に属する植物、ミズヒキ属(Antenoron)に属する植物、アブラギリ属(Aleurites)に属する植物、アカシア属(Acacia)に属する植物、ヒシ属(Trapa)に属する植物、エウゲニア属(Eugenia)に属する植物、ナツフジ属(Millettia)に属する植物、ミズキ属(Cornus)に属する植物、ビンロウ属(Areca)に属する植物、ヤマモモ属(Myrica)に属する植物からなる植物群から選択される植物からの抽出エキスである。
本発明に係るピンポンノキ属(Sterculia)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ヤツデアオギリ(Sterculia foetida L.)、ピンポンノキ(Sterculia nobilis Smith)、ハンタイカイ(Sterculia scaphigera Wall.)を挙げることができ、中でもヤツデアオギリ(Sterculia foetida L.)が好ましい。
本発明に係るチャンチンモドキ属(Choerospondias)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、チャンチンモドキ(Choerospondias axillaris (Roxb.) Burtt et Hill)が好ましい。
本発明に係るマンゴー属(Mangifera)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、マンゴー(Mangifera indica L.)、ニオイマンゴー(Mangifera odorata Griff.)、ビンジャイマンゴー(Mangifera caesia Jack.)、ウママンゴー(Mangifera foetida Lour.)を挙げることができ、中でもマンゴー(Mangifera indica L.)が好ましい。
本発明に係るウルシ属(Rhus)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ヌルデ(Rhus javanica L.)、ハゼノキ(Rhus succedanea L.)、ナンヨウハゼノキ(Rhus taitensis Guill.)、ウルシ(Rhus verniciflua Stokes)、ヤマウルシ(Rhus trichocarpa Miq.)を挙げることができ、中でもヌルデ(Rhus javanica L.)が好ましい。
本発明に係るフクギ属(Garcinia)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、マンゴスチン(Garcinia mangostana L.)、ゴラカ(Garcinia cambogia Desr.)、ムムンジン(Garcinia dioica Blume)、グルグル(Garcinia atroviridis Griff. ex T. Anderson)、オオバノマンゴスチン(Garcinia dulcis (Roxb.) Kurz)、インドマンゴスチン(Garcinia indica Choisy)、フクギ(Garcinia subelliptica Merr.)、タマゴノキ(Garcinia xanthochymus Hook. f. ex T. Anders.)を挙げることができ、中でもマンゴスチン(Garcinia mangostana L.)が好ましい。
本発明に係るクロモジ属(Lindera)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、クロモジ(Lindera umbellata Thunb.)、アメリカクロモジ(Lindera benzoin (L.)Blume)、テンダイウヤク(Lindera strychnifolia (Sieb. et Zucc.) F. Vill.)、ヤマコウバシ(Lindera glauca Blume)、ダンコウバイ(Lindera obtusiloba Blume)、シロモジ(Lindera triloba (Sieb.et Zucc.)Blume)を挙げることができ、中でもクロモジ(Lindera umbellata Thunb.)が好ましい。
本発明に係るイヌタデ属(Persicaria)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、アイ(Persicaria tinctoria (Lour.) H. Gross)、ヤナギタデ(Persicaria hydropiper (L.) Spach)、オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia (L.) S. F. Gray)、オオケタデ(Persicaria orientalis (L.) Assenov)、ツルソバ(Persicaria chinensis (L.) Nakai)、ミゾソバ(Persicaria thunbergii (Sieb. et Zucc.) H. Gross)を挙げることができ、中でもアイ(Persicaria tinctoria (Lour.) H. Gross)が好ましい。
本発明に係るギシギシ属(Rumex)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、キブネダイオウ(Rumex nepalensis Spreng.)、スイバ(Rumex acetosa L.)、ヒメスイバ(Rumex acetosella L.)、ギシギシ(Rumex japonicus Houtt.)、ナガバギシギシ(Rumex crispus L.)を挙げることができ、中でもキブネダイオウ(Rumex nepalensis Spreng.)が好ましい。
本発明に係るミズヒキ属(Antenoron)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ミズヒキ(Antenoron filiforme (Thunb.) Roberty et Vautier)、シンミズヒキ(Antenoron neofiliforme (Nakai) Hara)を挙げることができ、中でもミズヒキ(Antenoron filiforme (Thunb.) Roberty et Vautier)が好ましい。
本発明に係るアブラギリ属(Aleurites)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ククイノキ(Aleurites moluccana (L.) Willd.)、アブラギリ(Aleurites cordata (Thunb) R.Br. ex Steud.)、シナアブラギリ(Aleurites fordii Hemsl.)、カントンアブラギリ(Aleurites montana (Lour.) Wils.)を挙げることができ、中でもククイノキ(Aleurites moluccana (L.) Willd.)が好ましい。
本発明に係るアカシア属(Acacia)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、アセンヤクノキ(Acacia catechu Willd.)、リウコフロエアアカシア(Acacia leucophloea Willd.)、ミモサアカシア(Acacia decurrens Willd.)、モリシマアカシア(Acacia mearnsii De Wild.)、アラビアゴムノキ(Acacia senegal (L.) Willd.)を挙げることができ、中でもアセンヤクノキ(Acacia catechu Willd.)、リウコフロエアアカシア(Acacia leucophloea Willd.)が好ましい。
本発明に係るヒシ属(Trapa)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ツノナシビシ(Trapa acornis Nakano)、ヒメビシ(Trapa incisa Sieb. et Zuc.)、ヒシ(Trapa japonica Flerov)、トウビシ(Trapa bispinosa Roxb.)、トラパ・ナタンス(Trapa natans L.)、オニビシ(Trapa natans L.var.japonica Nakai )を挙げることができ、中でもヒシ(Trapa japonica Flerov)、トウビシ(Trapa bispinosa Roxb.)、オニビシ(Trapa natans L.var.japonica Nakai )が好ましい。
本発明に係るエウゲニア属(Eugenia)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ピタンガ(Eugenia uniflora L.)、タイワンアデク(Eugenia formosana Hayata),セイロンアデク(Eugenia spicata Lam.)を挙げることができ、中でもピタンガ(Eugenia uniflora L.)が好ましい。
本発明に係るナツフジ属(Millettia)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ムラサキナツフジ(Millettia reticulata Benth.)、ミレッティア・ニティダ(Millettia nitida Benth.)を挙げることができ、中でもムラサキナツフジ(Millettia reticulata Benth.)が好ましい。
本発明に係るミズキ属(Cornus)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、サンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.)、セイヨウサンシュユ(Cornus mas L.)、ヤマボウシ(Cornus kousa Buerg. ex Hance)、ミズキ(Cornus controversa Hemsl.)を挙げることができ、中でもサンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.)が好ましい。
本発明に係るビンロウ属(Areca)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、ビンロウジュ(Areca catechu L.)が好ましい。
本発明に係るヤマモモ属(Myrica)に属する植物としては、特に限定されないが、例えば、シロコヤマモモ(Myrica cerifera L.)、ヤマモモ(Myrica rubra Sieb. et Zucc.)、カロライナヤマモモ(Myrica carolinensis Mill.)を挙げることができ、中でもシロコヤマモモ(Myrica cerifera L.)が好ましい。
上記の植物の中で、ヤツデアオギリ、チャンチンモドキ、マンゴー、ヌルデ、マンゴスチン、クロモジ、アイ、キブネダイオウ、ミズヒキ、ククイノキ、アセンヤクノキ、リウコフロエアアカシア、ヒシ、ピタンガ、ムラサキナツフジ、サンシュユ、ビンロウジュ、シロコヤマモモからなる植物群から選ばれる植物からの抽出エキスが特に好ましい。
植物エキスの製造方法
本発明に係る植物エキスの製造には、上記植物の各部位、例えば、花、花穂、果皮、果実、果肉、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子、虫えい、心材、地上部、地下部又は全草を用いることができる。
本発明に係る植物エキスの製造方法は、特に限定されず、例えば、通常用いられる方法により製造することができる。具体的には、植物の各部位をそのまま又は適当な大きさに切断し、搾汁又は溶媒で抽出することにより製造することができる。抽出溶媒としては、例えば、水、各種有機溶媒、あるいはそれらの混合溶媒を用いることができる。抽出のための有機溶媒としては、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、クロロホルム、酢酸エチル、n−ヘキサンを挙げることができる。抽出溶媒の中で、特に水、メタノール、エタノールが好ましい。また、これらの溶媒を一種又は二種以上混合して用いることもできる。
抽出溶媒の使用量は、用いる植物原料や抽出溶媒等により異なるが、重量比で、1:2〜1:30(植物原料:抽出溶媒)の範囲内が適当であり、1:3〜1:20の範囲内が好ましく、1:5〜1:10の範囲内がより好ましい。抽出時間は、1時間〜15日の範囲内が適当である。抽出温度は、5〜100℃の範囲内が適当である。抽出方法については特に制限されず、バッチ抽出、カラムを用いた連続抽出等、任意の方法を適用することができる。
得られた植物エキスは、そのままの状態で用いることもできるが、必要に応じ、その活性に影響のない範囲内で更に精製処理を加えてもよい。このような精製処理は、通常の方法によって行えばよく、例えば、植物エキスを常法によりろ過することにより行うことができる。その後、得られたろ液を減圧濃縮、凍結乾燥して、本発明に係る植物エキスとすることができる。
本発明阻害剤、本発明組成物
本発明阻害剤は、上記のようにして得られた植物エキスを1種又は2種以上含有するものである。本発明阻害剤は、例えば、上記のようにして得られた植物エキスを、そのまま又は担体として使用することのできる素材と混合し、次いで、常法により粉末状、塊状、液状などの各種形態に加工することにより製造することができる。
本発明組成物は、本発明阻害剤を含有するものである。本発明組成物は、例えば、本発明阻害剤をそのまま用いることもできるし、又は、本発明阻害剤と、担体として使用することのできる素材とを混合し、次いで、常法により粉末状、塊状、液状などの各種形態に加工することにより製造することができる。
本発明阻害剤及び本発明組成物には、任意に医薬上又は食品上許容される添加物を配合することができる。かかる添加剤としては、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、酸化防止剤、賦形剤、界面活性剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、保湿剤、色素を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を適当量使用することができる。
本発明阻害剤及び本発明組成物における植物エキスの配合量は、特に限定されず、0.01重量%(以下、単に「%」という)以上、好ましくは、0.05〜50%である。
本発明阻害剤及び本発明組成物は、常法により、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ドロップ錠、トニック、ローション、軟膏、クリーム等の剤型に適宜調製することができる。
本発明阻害剤及び本発明組成物の摂取量は、含有されている植物エキスの種類、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、植物エキスの重量として、0.1〜100gの範囲内とするのが適当であり、1〜60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取量は、1回で摂取してもよく、また、2〜4回に分割して摂取してもよい。
本発明阻害剤及び本発明組成物は、優れたメイラード反応阻害作用を有するため、老化に伴って生じる現象、例えば、白内障、軟骨の弾力低下、皮膚の老化(皮膚の弾力低下、しわやたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成、肌のくすみの原因となる色素沈着等)の抑制に用いることができる。また、本発明阻害剤は、メイラード反応が関与することが知られている、糖尿病合併症(例えば、心筋梗塞、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症)の予防又は治療に用いることもできる。
経口剤
本発明経口剤は、本発明阻害剤を含有する、経口摂取が可能な組成物を意味する。本発明経口剤は、本発明阻害剤をそのまま又は必要に応じて、経口剤を製造する際に用いられる医薬上又は食品上許容される添加剤とを適量配合したものを、常法により製剤化することにより得ることができる。かかる添加剤としては、賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、調味料、香料、滑沢剤等を挙げることができる。
本発明経口剤の製剤化に際して、他の生理機能を有する素材を配合することもできる。
本発明経口剤の剤型は特に限定されず、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤を挙げることができる。
本発明経口剤における本発明阻害剤の含有量としては、含有されている本発明に係る植物エキスの種類、剤型等に合わせて適宜調製すればよいが、例えば、製剤全量中、本発明阻害剤を固形分換算で、0.5〜60%、好ましくは3〜50%、特に好ましくは5〜10%の範囲内で配合すれば良い。
本発明経口剤の摂取量は、含有されている本発明に係る植物エキスの種類、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、本発明に係る植物エキスの重量として、0.1〜100gの範囲内とするのが適当であり、1〜60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取量は、1回で摂取してもよく、また、2〜4回に分割して摂取してもよい。
外用剤
本発明外用剤は、本発明阻害剤を含有する、外用で使用することが可能な組成物を意味する。
本発明外用剤は、本発明阻害剤をそのまま又は必要に応じて、外用剤を製造する際に用いられる医薬上、化粧上又は食品上許容される添加剤とを適量配合したものを常法により製剤化することにより得ることができる。かかる添加剤としては、軟膏用基材、アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、精製水、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、色素、ビタミン類、アミノ酸類等を挙げることができる。
さらに、本発明阻害剤を、公知の医薬部外品、化粧品に配合して本発明外用剤として用いることもできる。
本発明外用剤には、本発明阻害剤のほか、老化抑制効果を高めるための成分を更に配合したり、他の生理機能を有する素材を配合することもできる。かかる成分としては、例えば、紫外線防止剤、酸化防止剤、保湿剤、細胞賦活剤、血流促進剤を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を適当量使用することができる。
本発明外用剤の具体的な使用態様としては、特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パックを挙げることができる。
本発明外用剤における本発明阻害剤の含有量としては、含有されている本発明に係る植物エキスの種類、剤型等に合わせて適宜調製すればよいが、例えば、製剤全量中、固形分換算で、0.0001〜30%、好ましくは0.001〜25%、特に好ましくは0.5〜20%の範囲で配合すればよい。
本発明外用剤の使用量は、含有されている本発明に係る植物エキスの種類、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、植物エキスの重量として、0.1〜100gの範囲内とするのが適当であり、1〜60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの使用量は、1回で使用してもよく、また、2〜4回に分割して使用してもよい。
飲食品
本発明飲食品は、本発明阻害剤と公知の食材又は飲食品とを混合して、常法により、食品に加工することにより得ることができる。
本発明飲食品の形態は特に限定されず、例えば、粉末状、塊状、液状、シロップ状、ゼリー状を挙げることができる。
本発明飲食品には、食品上許容される他の成分を配合することができる。かかる成分としては、例えば、栄養素、賦形剤、増量剤、甘味料、香味剤、着色剤、防腐剤、乳化剤、可溶化剤、多価アルコール、有機酸、無機酸、水溶性高分子を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を適当量使用することができる。
本発明飲食品の種類としては、例えば、飲料(清涼飲料、乳飲料、ジュース、茶類等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)、練製品(畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、竹輪等)、惣菜(オムレツ、卵焼、ハンバーグ、コロッケ、ミーとボール、酢の物、酢豚、サラダ、餃子、しゅうまい、ロールキャベツ、豆腐、筑前煮、煮豆、ひじき煮、唐揚、天ぷら、フライ、茶碗蒸、胡麻和え、サラダ、カレー、シチュー、スープ、チャーハン、おにぎり、餅、ふりかけ、味噌汁等)、麺類(うどん、そうめん、そば、スパゲッティ、マカロニ、ラーメン等)、調理パン(ハンバーガー、ホットドッグ、サンドイッチ等)、パン(食パン、フランスパン等)、菓子(ケーキ、クッキー、ウエハース、クレープ、ヨーグルト、プリン、キャンディー、ガム、アイスクリーム、キャラメル、チョコレート、ドーナツ、せんべい、ようかん、ういろう、もなか、まんじゅう、大福餅、おはぎ、団子、甘納豆、中華まん等)を挙げることができる。この他、マヨネーズ、サラダドレッシング等も挙げることができる。
本発明飲食品への本発明阻害剤の添加量は、添加剤の有無や食品の種類等により異なるが、含有されている本発明に係る植物エキスの固形分換算で0.01〜50%の範囲内とするのが適当であり、0.1〜30%の範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。
本発明飲食品の摂取量は、摂取者の性別、年齢、体重等によって異なる。かかる摂取量は、成人1日当り、本発明に係る植物エキスの重量として、0.1〜100gの範囲内とするのが適当であり、1〜60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの使用量は、1回で使用してもよく、また、2〜4回に分割して使用してもよい。
以下に参考例、抽出例、試験例、実施例を掲げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明が下記実施例に限定されないことは言うまでもない。
参考例1 ケイシエキス(50%エタノール抽出)の製造
ケイシ粉末(前忠株式会社製)5gを50%エタノール100mLに浸漬し、常温で5日間静置した後、濃縮、凍結乾燥し、ケイシエキスを得た。
抽出例1 各植物エキス(メタノール抽出)の製造
表1に記載の番号1〜19の各植物を風乾後、60℃で一晩乾燥させた。ブレンダーにて粉砕後、得られた粉砕物 100gをメタノール500mLに浸漬し、常温で一週間静置した。得られた抽出液をろ過して得られたろ液はロータリーエバポレーターでメタノールを留去して乾固し、番号1〜19の各植物エキスを得た。
Figure 0006131993
試験例1 メイラード反応阻害活性の測定
参考例1、抽出例1で得られた各植物エキスはジメチルスルホキシド(DMSO)に30mg/mLとなるように溶解した。なお、参考例1のケイシエキスを陽性対照として用いた。また、陰性対照には、検体の代わりにDMSOを用いた。
各検体はDMSOで、試験溶液中の植物エキスの最終濃度が10、5、2.5、1.25、0.625μg/mLとなるように調製した。各検体20μL、100mMリン酸バッファー500μL、蒸留水180μL、2Mグルコース溶液100μL、4mg/mL BSA溶液200μLを1.5mLマイクロテストチューブ(アズワン社製)に入れて混合し、試験溶液とした。その後、試験溶液及び陰性対照を60℃下30時間インキュベートした。
次に、この反応液1mLへトリクロロ酢酸(TCA)100mLを添加し、4℃下、15000rpmで4分間遠心分離した。上清を除去後、残った沈殿物を0.25N 水酸化ナトリウム−PBS溶液1mLにて溶解した。得られた試験溶液を、蛍光プレートリーダー(インフィニットM200FAL、552−82631、TECAN社製)を用いて、励起波長360nm、蛍光波長440nmにて蛍光測定した。
ブランク1として、陰性対照と同組成の溶液であって、インキュベートしていないものを用いた。また、試験溶液と同組成の溶液であって、インキュベートしていないものをブランク2とした。
メイラード反応阻害活性(%)は、以下の数式に従い算出した。
Figure 0006131993
横軸に試料の濃度(mg/mL)、縦軸にメイラード反応阻害活性(%)をとった対数グラフを作成し、50%阻害活性を示す濃度(IC50)を算出した。その結果を表2に示す。
表2に示したとおり、本発明に係る植物エキスは、強力なメイラード反応阻害作用が報告されているケイシのIC50と同等またはそれ以上の阻害活性を示し、優れたメイラード反応阻害作用を有することが示された。
Figure 0006131993
抽出例2 アセンヤクノキおよびヌルデの植物エキスの製造
表1および2に記載の番号4(ヌルデ、虫えい)および番号12(アセンヤクノキ、心材)について、各植物を風乾後、60℃で一晩乾燥させ、ブレンダーにて粉砕した。得られた粉砕物 2gおよび30mLの各抽出溶媒(99.5%エタノール、70%含水エタノールまたは水)を50mL容のスクリューキャップ付試験管に入れて攪拌した後、80℃で30分間静置した。得られた抽出液をろ過して得られたろ液はロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、表3に記載の番号20〜25の各植物エキスを得た。
試験例2 メイラード反応阻害活性の測定
抽出例2で得られた各植物エキスは、試験例1の方法に従って、メイラード反応阻害活性を測定した。ただし、各植物エキスはDMSOの代わりに各抽出溶媒に溶解し、検体調製には、DMSOの代わりに各抽出溶媒を用いた。試料溶液中の植物エキスの最終濃度は10、5、2、0.2、0.1μg/mLとなるよう調製した。また、陽性対照として、アセンヤクノキ(心材)およびヌルデ(虫えい)のメタノール抽出エキスを用い、陰性対照として、検体の代わりに抽出溶媒を用いた。
その結果を表3に示す。
表3に示したとおり、本発明に係る植物エキスは、試験例2で用いたいずれの溶媒で抽出したエキスであっても、優れたメイラード反応阻害作用を有することが示された。
Figure 0006131993
抽出例3 ヒシ属の植物エキスの製造
ヒシ(Trapa japonica Flerov)の果実、トウビシ(Trapa bispinosa Roxb.)の果実および果皮、オニビシ(Trapa natans L.var.japonica Nakai )の果実および果皮について、抽出例2と同様の方法に従って植物エキスの製造を行い、各植物エキスを得た。
試験例3 メイラード反応阻害活性の測定
試験例2と同様の方法に従って、表4に記載の番号26〜37の各植物エキスについてメイラード反応阻害活性の測定を行った。ただし、陽性対照として、ヒシ(果実)のメタノール抽出エキスを用いた。
その結果を表4に示す。
表4に示したとおり、本発明に係る植物エキスは、優れたメイラード反応阻害作用を有することが示された。
Figure 0006131993
次に、本発明阻害剤を含有する経口剤、外用剤、飲食品の実施例を示す。
実施例1 経口剤(錠剤)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って錠剤を製造する。
Figure 0006131993
実施例2 経口剤(顆粒剤)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って顆粒剤を製造する。
Figure 0006131993
実施例3 経口剤(ソフトカプセル剤)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従ってソフトカプセル剤を製造する。
Figure 0006131993
実施例4 外用剤(クリーム)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従ってクリームを製造する。
Figure 0006131993
実施例5 外用剤(化粧水)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って化粧水を製造する。
Figure 0006131993
実施例6 飲食品(飲料)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って飲料を製造する。
Figure 0006131993
実施例7 飲食品(キャンデー)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従ってキャンディーを製造する。
Figure 0006131993

Claims (1)

  1. マンゴスチン(Garcinia mangostana L.)のエキスを有効成分として含有する肌のくすみや色素沈着抑制用組成物。
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