JPH0813833B2 - 新規フラボノイド配糖体及びその製造方法 - Google Patents

新規フラボノイド配糖体及びその製造方法

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JPH0813833B2
JPH0813833B2 JP62035485A JP3548587A JPH0813833B2 JP H0813833 B2 JPH0813833 B2 JP H0813833B2 JP 62035485 A JP62035485 A JP 62035485A JP 3548587 A JP3548587 A JP 3548587A JP H0813833 B2 JPH0813833 B2 JP H0813833B2
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methanol
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indigo
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博史 神田
博 伊東
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株式会社太田胃散
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明はタデ科植物、殊に例えば藍(Polygonum Ti
nctorium Lour.)より単離される新規フラボノイド配糖
体及びその製造方法に関する。
詳しくは本発明は一般式(I) (式中のZはグルコピラノシル基を示す) で表わされるフラボノイド配糖体及びその製造方法に関
する。
それら物質は、優れた抗トロンビン様の生理活性を有
しているから、それら物質を有効成分として含有する抗
トロンビン様の生理作用を有する薬剤を製造することが
出来る。
フラボノイド類化合物は植物界に広く存在しており、
例えば、くだもの、野菜、堅果、種子、葉、花、樹皮等
に含有されているが、それらは全て、2−フェニール−
クロモン又は2−フェニルベンズピロンを基本とした化
合物とされている(Elliott Middleton Jr;Trends in P
harmacological Sciences Vol.5 p335 1984)。そのこ
とは薬用とし用いられる植物に於いても同様である。そ
して、それらフラボノイド類はマメ科、キク科、アヤメ
科、バラ科、クワ科、マキ科、ヒユ科等に分布してい
て、殊にマメ科に多いと云われている。
タデ科植物に於いても、これらフラボノイドの存在は
知られており、例えば、川崎等(Bot Mag Tokyo Vol.9
9,No.1053 p63−74 1986)はタデ科に属する28種類の生
薬の葉中より33種類のフラボノイドを分離している。し
かし、タデ科に関するフラボノイドの報告は少ない。
一方、これらフラボノイド類化合物の生理活性は極め
て多岐に亘っていて、既に、例えば、毛細血管抵抗性
(A.Szent−Gyorgyi,S.Rusznyak;Nature,138,p27,193
6)、心臓、特に冠状血管拡張作用(K.Bohm;Arzneimitt
er−Forsch.(Drug Res.),6 ,38 1956)、抗肝臓毒作
用(O.Eichler,Hahn;Arch.exper.Path.PharmaKol.,206,
674,1949)、消炎作用、抗アレルギー作用、抗出血作用
(Kuhnau.J.World Rev.Nutr.diet.24 117−191 1976)
(Gabor,M.:inhand book of Experimental pharmacolog
y:Anti−Inflammatory drugs(Vane,J.R and Ferreira,
S.H.,eds),p698−739,Springer−Verlag,New York 197
9),瀉下作用(H.oshio,M.miyamoto,Y.sanno,Y.kase,Y
akugaku Zasshi,95,484,1975)、鎮痙作用(M.Gabor;Th
e Anti−Inflammatory Action of Flavonoids.,Academi
ai Kiado,bud apest,1972)、抗ウイルス作用(Middlet
on,E.Jr and Drezewiecki,G:Biochem.Pharmacol.31,144
9−1453 1982)及びアラキドン酸代謝に対する作用、殊
にフォスフォリパーゼA2の阻害作用(Lee.TP.,MateeLia
no,M.T.and Middleton,E.Jr;Life Sci.31,2765−2774 1
982)等が報告されている。
アイは、タデ科の一年草で、古くから全草を染料とし
て用いているが、葉は藍葉、果実は藍実と呼ばれて漢方
では解熱・解毒に用いている。
ところで、この藍中に含有されるフラボノイド類化合
物に関しての成分的研究は少なく、これまで、ケンフェ
ロール−3−0−グリコシド類等に関する極めて限られ
たものに過ぎない。
今、タデ科の藍の含有する前記I式で示される新規フ
ラボノイド及びその配糖体が優れた血小板凝集制御作用
を有することが見出された。
近年、食生活の洋風化、医学薬学の進歩、平均寿命の
延長、老年人口の増大に伴い、虚血性心疾患、脳血管、
糖尿病などの血栓性疾患の重要性がますます高まってき
ている。そして近時、血栓の形成には血管内皮細胞の障
害、血小板の活性化、フィブリン形成、線溶系の破綻、
血液の変化、網内系の関与が重視されている。特に血栓
形成の開始時に重要なのは障害血管壁への血小板の粘
着、血小板内容物の放出、凝集反応である。
従って、それら疾患に対する血小板凝集制御作用を持
つ薬物の臨床的意義は極めて大きい。
血液の凝固は血漿中に存在しているフィブリノーゲン
がトロンビンの働きによってそのアルギニン−グリシン
結合が切断され、血漿に不溶のフィブリンを生成析出
し、フィブリンは更に、カルシウムイオンの存在で重合
固化し、凝固する現象である。この過程に於いて血小板
膜燐脂質からアラキドン酸が遊離される際にホスホリパ
ーゼの作用が必要である。このホスホリパーゼを活性化
するのがトロンビンである。所謂、この作用を阻害して
血小板凝集の抑制効果を発現する作用が抗トロンビン作
用、或は抗トロンビン様作用と呼ばれる。
本発明のフラボノイド配糖体、すなわち3,4′,5−ト
リヒドロキシ−6,7−(メチレンジオキシ)フラボン−
3−グルコピラノシドは、優れた抗トロンビン様作用を
示す。
本発明のフラボノイド配糖体は、藍の低級脂肪族アル
コールエキスをクロマトグラフィーに付し、そのメタノ
ール溶出画分をさらにクロマトグラフィーに付しクロロ
ホルム、メタノールで溶出して分離することによって製
造することができる。
この際、原料として用いる藍の低級脂肪族アルコール
エキスは、好ましくは藍の地上部を細切りしメタノール
などの低級アルコールで熱時抽出することにより調製さ
れる。
本発明のフラボノイド配糖体、すなわち3,4′,5−ト
リヒドロキシ−6,7−(メチレンジオキシ)フラボン−
3−グルコピラノシドの物性を示す。
性状:無色粉末状結晶、融点:294−297℃ 下記の構造式中に該当する核磁気共鳴スペクトルは下
記のとおりである。
13C−NMR(δ in DMSO−d6) C−2:156.6(s) C−3:133.2(s) C−4:177.8(s) C−5:151.6(s) C−6:140.3(s) C−7:153.7(s) C−8: 89.3(d) C−9:159.9(s) C−10:106.8(s) C−1(−O−CH2−O−):102.8(t) C−1′:120.6(s) C−2′,6′:130.8×2(d) C−3′,5′:115.0×2(d) C−4′:159.9(s) G−1″:100.7(d) −2″: 74.1(d) −3″: 76.3(d) −4″: 69.8(d) −5″: 77.4(d) −6″: 60.8(t) 1H−NMR(δ in DMSO−d6) C−1(−O−CH2−O−):6.16(2H.S) C−8(−H):6.86(1H.S) C−3′C−5′(−H):6.91(2H.d J=9) C−2′,C−6′(−H):8.08(2H.d J=9) C−5(−HO):12.40(1H.brS) この配糖体は、例えば、β−グリコシダーゼを用いて
加水分解すると、C−3位の核磁気共鳴スペクトルの糖
に基づくシグナルが消失する。又、C−2、C−3、C
−4に基づくカーボンシグナルにより、ケンフェロール
のそれに良く一致していることが判る。
以下、本発明の化合物の製造法を、実施例によって説
明するが、本発明はそれに限られるものではない。
実施例 アイの地上部を細切し、その2Kgを10Lのメタノールで
熱時抽出する。この操作を3回繰り返し、溶剤を除去し
て、200.9gの抽出物を得た。その60gをダイアイオンク
ロマトグラフィーDIAION HP−20で水、30%メタノー
ル、50%メタノール、70%メタノール、100%メタノー
ル及びクロロホルムで順次流下させ、70%メタノール抽
出部8.06g(以下、この抽出物をMeOH ext.と略称)を得
る。このうち、6.4gをクロロホルム、メタノールを展開
溶剤としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラ
ム径3.2cm、長さ50cm)を行い10画分を得る。うち、第
6−8画分を集め、639mgの物質を得た。これを常法で
クロロホルム、メタノール混液で再結晶し、200mgの無
色粉末状の結晶3,4′,5−トリヒドロキシ−6,7−(メチ
レンジオキシ)フラボン−3−グルコピラノシド(以下
このものをPt−1と略称する)を得た。
次いで、このものをβ−グリコシダーゼを用いて加水
分解して、3,4′,5−トリヒドロキシ−6,7−(メチレン
ジオキシ)フラボンを得た。
それらの分画を使用してその血小板凝集制御作用につ
き試験を行った。
実験例:血小板凝集抑制試験 実験には健康なヒトの血液を用いた。採血には前2週
間薬物使用歴のない被検者を選んだ。血小板凝集能の試
験は、Bornの比濁法を用い、調整した多血小板血漿(PR
P)の凝集能を測定した。即ち、30万個/mm3に調整した
PRP440μlを37Cに保ち、攪拌しながら被検薬物Pt−1
の溶液又は藍のメタノールエキスを加え、1分間インキ
ュベーションした後、凝集剤ADP50μl(最終濃度5μ
l)を加えて、凝集によって生じる透過光量の経時的変
化を凝集特性とし、これを電気信号に変えてチャート上
に描写した。次いで、Pt−1の濃度的効果を検討しIC50
(50%阻止濃度)を算出した。
第1図は、縦軸に透過率の百分率、横軸に時間を取
り、対照群、MeOH ext.群、Pt−1群に就いて行った試
験結果を示すものである。
その結果から明らかなように、Pt−1には対照に比較
し著しい血小板凝集制御作用が認められた。一方、MeOH
ext.はその効果が低かった。
第2図はPt−1の濃度を変化させ50%阻止有効濃度を
検討した結果で、縦軸は対照を基準としその透過率を百
分率で示し、横軸はPt−1の投与量をmg/mlで表した図
である。第2図に明らかにようにPt−1のIC50値は約4.
0×10-4Mであって、血小板凝集抑制剤として一般によく
知られているエタフェノン及びトラピシン(氏家新生
外、日薬理誌,81 493−498 1983)と殆ど同じである
か、その効果に匹敵したおり、極めて優れたものである
ことを示している。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、本発明のフラボノイド配糖体の効
果を示す説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中のZはグルコピラノシル基を示す) で表わされるフラボノイド配糖体。
  2. 【請求項2】藍の低級脂肪族アルコールエキスをクロマ
    トグラフィーに付し、そのメタノール溶出画分をさらに
    クロマトグラフィーに付しクロロホルム、メタノールで
    溶出して一般式 (式中のZはグルコピラノシル基を示す) で表わされるフラボノイド配糖体を分離することを特徴
    とするフラボノイド配糖体の製造方法。
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