JP6197278B2 - マンゴスチン抽出物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い抗酸化活性を有するマンゴスチン抽出物およびその製造方法に関するものである。
活性酸素はさまざまな疾病や老化現象に関与している。例えば、活性酸素により細胞が傷つけられ、ガンの原因となったり、肌のシミやくすみの原因となるメラニン生成の原因となることが知られている。また、近年体の老化の原因となっているCML(カルボキシルメチルリジン)のような最終糖化生成物も体内での酸化によって生成していることがわかっている。
抗酸化作用を有する物質は上記さまざまな疾病等を改善する効果が期待されることから、抗酸化作用を有する物質を含有する食品や化粧品が、活性酸素の悪影響を防ぐために使用されている。
抗酸化作用をもつ物質は、ビタミンCやグルタチオン等が知られているが、抗酸化作用をもつ植物素材も多く知られており、たとえば、アムラ果実やアロニア果実などがある。また、成分としてはポリフェノールが知られている。
マンゴスチン(Garcinia mangostana L.)は、オトギリソウ科フクギ属に属する植物であり、果樹として東南アジアで栽培されている。その果実は美味で「果物の女王」と呼ばれている。果実を食するほか、プレザーブ、ドライフルーツなどの加工品にされたり、果皮を含めた全果実でジュースが製品化されている。マンゴスチンの果皮から抽出したエキスは、メイラード反応抑制作用とともに抗酸化作用を有することが知られている(特許文献1、2)。さらに、東南アジアで多く栽培されているため、資源性もあり、そのエキスは機能性食品や化粧料として有用な原料となることが考えられるが、機能性を発揮するためには、より高い抗酸化活性を有するエキスが望まれている。
特開平8−225783 特開2010−077123
本発明は、高い抗酸化活性(以下、「ORAC値」という。)を有するマンゴスチン抽出物およびその製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、生の果皮を短時間熱水処理した後に抽出処理を行って得られたマンゴスチン抽出物が、高いORAC値を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明として、下記のものを挙げることができる。
(1)抗酸化活性が3900−10000μmolTE/gであるマンゴスチン抽出物(以下、「本発明抽出物」ともいう。)。
(2)総ポリフェノール量が20−50重量%である、上記(1)に記載のマンゴスチン抽出物。
(3)熱水抽出物である、上記(1)または(2)に記載のマンゴスチン抽出物。
(4)生の果皮を短時間熱水処理する工程を含むことを特徴とする上記(1)−(3)のいずれかに記載のマンゴスチン抽出物の製造方法。
(5)上記(1)−(3)のいずれかに記載のマンゴスチン抽出物を含有する抗酸化剤(以下、「本発明抗酸化剤」という。)。
(6)上記(1)−(3)のいずれかに記載のマンゴスチン抽出物を含有する経口用組成物。
(7)上記(1)−(3)のいずれかに記載のマンゴスチン抽出物を含有する機能性食品。
(8)上記(1)−(3)のいずれかに記載のマンゴスチン抽出物を含有する化粧料組成物。
本発明抽出物は、高いORAC値を有することから、活性酸素が関与すると考えられる様々な症状、例えば、癌、糖尿病合併症、白内障、軟骨の弾力低下、皮膚の老化(皮膚の弾力低下、しわやたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成、肌のくすみの原因となる色素沈着等)や老化の抑制に有用である。
また、本発明抽出物は、食経験があり、副作用が少ない植物のエキスを有効成分として含有することから、安全性が高いものである。
本発明抽出物
本発明抽出物の製造には、マンゴスチン果皮を用いることができる。また、果皮以外の部位(仮種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根皮、根、種子、心材、地上部、地下部又は全草)が含まれていても問題はない。
本発明において「生の果皮を短時間熱水処理」するとは、マンゴスチンの生果皮あるいは、冷凍したものを解凍した果皮を60℃以上の熱水に5分以内の間、浸すことである。
本発明抽出物の製造は、生の状態の果皮または冷凍したものを解凍した果皮を短時間熱水処理する以外は、特に限定されず、通常用いられる方法により製造することができる。例えば、短時間熱水処理したマンゴスチンの果皮およびその他の部位をそのまま又は適当な大きさに切断し、必要に応じて乾燥し、搾汁又は溶媒で抽出することにより製造することができる。好ましい態様としては、短時間熱水処理した果皮を乾燥した後、抽出を行う。 抽出溶媒としては、例えば、水、各種有機溶媒、あるいはそれらの混合溶媒を用いることができる。抽出のための有機溶媒としては、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、クロロホルム、酢酸エチル、n−ヘキサンを挙げることができる。抽出溶媒の中で水が好ましく、特に熱水が好ましい。また、これらの溶媒を一種又は二種以上混合して用いることもできる。
抽出溶媒の使用量は、重量比で、1:2〜1:30(植物原料:抽出溶媒)の範囲内が適当であり、1:3〜1:10の範囲内が好ましく、1:5〜1:6の範囲内がより好ましい。抽出時間は、1時間〜15日の範囲内が適当である。抽出温度は、5〜100℃の範囲内が適当である。抽出方法については特に制限されず、バッチ抽出、カラムを用いた連続抽出等、任意の方法を適用することができる。
得られたマンゴスチン抽出物は、そのままの状態で用いることもできるが、必要に応じ、その活性に影響のない範囲内で更に精製処理を加えてもよい。このような精製処理は、常法に従って行えばよく、例えば、マンゴスチン抽出物を常法によりろ過することにより行うことができる。その後、得られたろ液を減圧濃縮、乾燥して、本発明抽出物とすることができる。
本発明において、抗酸化活性はORAC値で表す。ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity;活性酸素吸収能力)は、素材の抗酸化力を抗酸化物質Trolox(6−Hydroxy−2,5,7,8−tetramethylchroman−2−carboxylic acid)の量に換算して求めることができる。すなわちAAPHz(2,2’−azo−bis(2−amidinopropane)dihydrochloride)によって発生したペルオキシラジカルによる、フルオレセイン(FL)の分解過程を測定する方法である。このとき試料に抗酸化能があれば、フルオレセインの分解速度はおそくなるので、これを標準物質であるTroloxと比較することで、標準物質に換算した抗酸化力が算出される。
具体的には、以下の方法でORAC値を算出する。
本発明抽出物を、アセトン:水:酢酸=70:29.5:0.5の割合(容積比)で混ぜた溶液で溶解し、100倍以上(容積比)の水で薄めたものを検液とする。別にTroloxをリン酸カリウムバッファー(pH7.0)(溶液1)で溶解した液を調整する(溶液2)。さらに、FL Sodium salt(SIGMA社製)を溶液1で94.4nMとなるように溶解した液を調整する(溶液3)。96穴マイクロプレートのそれぞれのウェルに幾つかの濃度に調整した検液、Trolox溶液(溶液2)さらにBlankとして溶液1を20μl入れる。さらにそれぞれのウェルに溶液3を200μl入れて、蛍光マイクロプレートリーダーにてEx485nm、Em520nmで蛍光値を測定する(測定値1)。
AAPH120mgに予め37℃に温めておいた溶液1を15ml加える(溶液4)。それぞれのウェルに溶液4を75μlずつ分注し、2分ごとに45回、蛍光マイクロプレートリーダーにてEx485nm、Em520nmで蛍光値を測定する(測定値2)。
検体、およびTroloxの測定値2を測定値1で割ったものを合計し(計算値1、2)、同様に計算したBlankの値をそれぞれから引いた(計算値3、4)。計算値3、4について、各試験の濃度の数値をプロットして回帰式を算出し、Troloxの数値と比較して検体のORAC値を求める。
本発明抽出物のORAC値は、マンゴスチン抽出物1gあたり3900−10000μmolTE/gであり、4000−7000μmolTE/gが好ましい。
本発明抽出物の総ポリフェノール量は、特に制限されないが、20−50重量%であり、21−35重量%が好ましい。
本発明抗酸化剤
本発明抗酸化剤は、上記のようにして得られたマンゴスチン抽出物を含有するものである。本発明抗酸化剤は、例えば、上記のようにして得られた本発明抽出物を、そのまま又は担体として使用することのできる素材と混合し、次いで、常法により粉末状、塊状、液状などの各種形態に加工することにより製造することができる。
本発明抗酸化剤は、任意に医薬上又は食品上許容される添加物を配合することができる。かかる添加剤としては、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、酸化防止剤、賦形剤、界面活性剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、保湿剤、色素を挙げることができ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
本発明抗酸化剤及における植物エキスの配合量は、特に限定されず、0.01重量%(以下、単に「%」という)以上、好ましくは、0.05−50%である。
本発明抗酸化剤は、常法により、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ドロップ錠、トニック、ローション、軟膏、クリーム等の剤型に適宜調製することができる。
本発明抗酸化剤の摂取量は、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、本発明抽出物の重量として、0.1−100gの範囲内とするのが適当であり、1−60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取量は、1回で摂取してもよく、また、2−4回に分割して摂取してもよい。
本発明抗酸化剤は、優れた抗酸化作用を有するため、老化に伴って生じる現象、例えば、白内障、軟骨の弾力低下、皮膚の老化(皮膚の弾力低下、しわやたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成、肌のくすみの原因となる色素沈着等)の抑制に用いることができる。また、本発明抗酸化剤は、活性酸素が関与することが知られている糖尿病合併症(例えば、心筋梗塞、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症)の予防又は治療に用いることもできる。
本発明の経口用組成物、機能性食品および化粧料組成物は、本発明抽出物を含有するものである。
経口用組成物
本発明にかかる経口用組成物は、本発明抽出物を含有する、経口摂取が可能な組成物を意味する。本発明にかかる経口用組成物は、本発明抽出物をそのまま又は必要に応じて、経口剤を製造する際に用いられる医薬上又は食品上許容される添加剤とを適量配合したものを、常法により製剤化することにより得ることができる。かかる添加剤としては、賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、調味料、香料、滑沢剤等を挙げることができる。
本発明にかかる経口用組成物の製剤化に際して、他の生理機能を有する素材を配合することもできる。
本発明にかかる経口用組成物の剤型は特に限定されず、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤を挙げることができる。
本発明にかかる経口用組成物における本発明抽出物の含有量としては、剤型等に合わせて適宜調製すればよいが、例えば、製剤全量中、本発明抽出物を固形分換算で、0.5−60%、好ましくは3−50%、特に好ましくは5−10%の範囲内で配合すれば良い。
本発明にかかる経口用組成物の摂取量は、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、本発明抽出物の重量として、0.1−100gの範囲内とするのが適当であり、1−60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取量は、1回で摂取してもよく、また、2−4回に分割して摂取してもよい。
機能性食品
本発明にかかる機能性食品は、本発明抽出物と公知の食材又は飲食品とを混合して、常法により、食品に加工することにより得ることができる。
本発明にかかる機能性食品の形態は特に限定されず、例えば、粉末状、塊状、液状、シロップ状、ゼリー状を挙げることができる。
本発明にかかる機能性食品には、食品上許容される他の成分を配合することができる。かかる成分としては、例えば、栄養素、賦形剤、増量剤、甘味料、香味剤、着色剤、防腐剤、乳化剤、可溶化剤、多価アルコール、有機酸、無機酸、水溶性高分子を挙げることができる。これらを一種又は二種以上使用することができる。
本発明にかかる機能性食品の種類としては、例えば、飲料(清涼飲料、乳飲料、ジュース、茶類等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)、練製品(畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、竹輪等)、惣菜(オムレツ、卵焼、ハンバーグ、コロッケ、ミーとボール、酢の物、酢豚、サラダ、餃子、しゅうまい、ロールキャベツ、豆腐、筑前煮、煮豆、ひじき煮、唐揚、天ぷら、フライ、茶碗蒸、胡麻和え、サラダ、カレー、シチュー、スープ、チャーハン、おにぎり、餅、ふりかけ、味噌汁等)、麺類(うどん、そうめん、そば、スパゲッティ、マカロニ、ラーメン等)、調理パン(ハンバーガー、ホットドッグ、サンドイッチ等)、パン(食パン、フランスパン等)、菓子(ケーキ、クッキー、ウエハース、クレープ、ヨーグルト、プリン、キャンディー、ガム、アイスクリーム、キャラメル、チョコレート、ドーナツ、せんべい、ようかん、ういろう、もなか、まんじゅう、大福餅、おはぎ、団子、甘納豆、中華まん等)を挙げることができる。この他、マヨネーズ、サラダドレッシング等も挙げることができる。
本発明にかかる機能性食品への本発明抽出物の添加量は、添加剤の有無や食品の種類等により異なるが、含有されている本発明抽出物の固形分換算で0.01−50%の範囲内とするのが適当であり、0.1−30%の範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。
本発明にかかる機能性食品の摂取量は、摂取者の性別、年齢、体重等によって異なる。かかる摂取量は、成人1日当り、本発明抽出物の重量として、0.1−100gの範囲内とするのが適当であり、1−60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取回数は、1回で摂取してもよく、また、2回以上に分割して摂取してもよい。
化粧料組成物
本発明にかかる化粧料組成物は、本発明抽出物を含有する、外用で使用することが可能な組成物を意味する。
本発明にかかる化粧料組成物は、本発明抽出物をそのまま又は必要に応じて、外用剤を製造する際に用いられる医薬上又は食品上許容される添加剤とを適量配合したものを常法により製剤化することにより得ることができる。かかる添加剤としては、軟膏用基材、アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、精製水、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、色素、ビタミン類、アミノ酸類等を挙げることができる。
さらに、本発明抽出物を、公知の医薬部外品、化粧品に配合して本発明にかかる化粧料組成物として用いることもできる。
本発明にかかる化粧料組成物には、本発明抽出物のほか、老化抑制効果を高めるための成分を更に配合したり、他の生理機能を有する素材を配合することもできる。かかる成分としては、例えば、紫外線防止剤、酸化防止剤、保湿剤、細胞賦活剤、血流促進剤を挙げることができる。これらを1種又は2種以上使用することができる。
本発明にかかる化粧料組成物の具体的な使用態様としては、特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パックを挙げることができる。
本発明にかかる化粧料組成物における本発明抽出物の含有量としては、剤型等に合わせて適宜調製すればよいが、例えば、製剤全量中、固形分換算で、0.0001−30%、好ましくは0.001−25%、特に好ましくは0.5−20%の範囲で配合すればよい。
本発明にかかる化粧料組成物の使用量は、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、本発明抽出物の重量として、0.1−100gの範囲内とするのが適当であり、1−60gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの使用量は、1回で使用してもよく、また、2〜4回に分割して使用してもよい。
以下に参考例、実施例、試験例を掲げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明が下記実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1 マンゴスチン熱水抽出物の製造
マンゴスチン果実から生の果皮を分離し、6−8mmの幅にカットした。95℃下、2分間熱水に漬けた後、50−75℃の熱風で乾燥した。
前記の乾燥果皮2.4kgをカラム(φ14cm×60cm)に充填し、90℃の熱水を14.4リットル入れて抽出し、濃縮後、デキストリンを加えてスプレードライしてパウダー状の本発明抽出物を得た。
実施例2 マンゴスチン熱水抽出物の製造
実施例1と同様の方法で、本発明抽出物を製造した。ただし、乾燥前の熱水処理を95℃下、1分または3分間行った。
比較例1 マンゴスチン熱水抽出物の製造
実施例1と同様の方法で、マンゴスチン熱水抽出物を製造した。ただし、乾燥前の熱水処理を行わなかった。
試験例1 抗酸化活性(ORAC値)の測定
実施例1、2、比較例1の抽出物および市販のマンゴスチンエキスA−Dを、アセトン:水:酢酸=70:29.5:0.5の割合(容積比)で混ぜた溶液で溶解し、100倍以上(容積比)の水で薄めたものを検液とする。別にTroloxをリン酸カリウムバッファー(pH7.0)(溶液1)で溶解した液を調整する(溶液2)。さらに、FL Sodium salt(SIGMA社製)を溶液1で94.4nMとなるように溶解した液を調整する(溶液3)。96穴マイクロプレートのそれぞれのウェルに幾つかの濃度に調整した検液、Trolox溶液(溶液2)さらにBlankとして溶液1を20μl入れた。さらにそれぞれのウェルに溶液3を200μl入れて、蛍光マイクロプレートリーダーにてEx485nm、Em520nmで蛍光値を測定した(測定値1)。
AAPH120mgに予め37℃に温めておいた溶液1を15ml加える(溶液4)。それぞれのウェルに溶液3を75μlづつ分注し、2分ごとに45回、蛍光マイクロプレートリーダーにてEx485nm、Em520nmで蛍光値を測定した(測定値2)。
検体、およびTroloxの測定値2を測定値1で割ったものを合計し(計算値1、2)、同様に計算したBlankの値をそれぞれから引いた(計算値3、4)。計算値3、4について、各試験の濃度の数値をプロットして回帰式を算出し、Troloxの数値と比較して検体のORAC値を求めた。
実施例1のORAC値を表1に、実施例2、比較例1のORAC値を表2に示す。また、市販品A−DのORAC値を表3に示す。
試験例2 総ポリフェノール量の測定
実施例1、2、比較例1の抽出物100mgを水に溶解し、検体とした。別にカテキン水和物(ナカライテスク社製)5mgを50mlの水に溶解し、標準液とした。フェノール試薬はPhenol Reagent Solution(ナカライテスク社製)を使用し、飽和炭酸ナトリウム水溶液は、炭酸ナトリウム(無水)35gに水100mlを加えて溶解させ、一夜室温に放置し、No.2ろ紙で濾過した調整した。
予め水 8mlを加えた試験管(Φ18×18 mm)を2本用意し、一本の試験管に標準溶液 0.5 ml、もう一本の試験管に水 0.5 mlを加えた。続いて、各試験管にフェノール試薬 0.5 ml及び飽和炭酸ナトリウム溶液 1mlを加えて混合した。 室温で30分放置後、水を対照とし760 nmに於ける吸光度を測定し、標準液の吸光度をST、水に同様に操作した液の吸光度をBLとした。
予め水8 mlを加えた試験管(Φ18×18 mm)を2本用意し、各々の試験管に試料溶液0.5mlを加えた。一本の試験管にフェノール試薬 0.5 ml及び飽和炭酸ナトリウム溶液 1ml、他方の試験管に水0.5 ml及び飽和炭酸ナトリウム溶液1 mlを加えて混合した。 室温で30分放置後、水を対照とし760 nmに於ける吸光度を測定し、試料溶液の吸光度をSA、フェノール試薬を加えていない液の吸光度をCTとした。
含量は下記の式で算出した。
Figure 0006197278
結果を表1および表2に示す。

試験例3 メイラード反応阻害活性
実施例1、2、比較例1の抽出物を水に30mg/mLとなるように溶解した。各検体は水で、試験溶液中の抽出物の最終濃度が500、250、100、50、25μg/mLとなるように調製した。各検体20μL、100mMリン酸バッファー500μL、蒸留水180μL、2Mグルコース溶液100μL、4mg/mL BSA溶液200μLを1.5mLマイクロテストチューブ(アズワン社製)に入れて混合し、試験溶液とした。その後、試験溶液及び陰性対照を60℃下30時間インキュベートし、得られた試験溶液を、蛍光プレートリーダー(MTP−600F、CORONA ELECTRIC社製)を用いて、励起波長360nm、蛍光波長450nmにて蛍光測定した。なお、陰性対照には水を使用した。
ブランク1として、陰性対照と同組成の溶液であって、インキュベートしていないものを用いた。また、試験溶液と同組成の溶液であって、インキュベートしていないものをブランク2とした。
メイラード反応阻害活性(%)は、以下の数式に従い算出した。
Figure 0006197278
Figure 0006197278
Figure 0006197278
Figure 0006197278
実施例1および実施例2で製造した本発明抽出物のORAC値は比較例1で製造したマンゴスチン抽出物または市販品と比べて顕著に高いORAC値およびa値を示した。一方、総ポリフェノール量は市販品と本発明抽出物との間でほぼ同じであった。
次に、本発明阻害剤を含有する経口用組成物、機能性食品、化粧料組成物の調製例を示す。

調製例1 経口用組成物(錠剤)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って錠剤を製造する。
Figure 0006197278
調製例2 機能性食品(飲料)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って飲料を製造する。
Figure 0006197278
調製例2 化粧料組成物(化粧水)の調製
以下の配合割合に従い、各成分を混合して、常法に従って化粧水を製造する。
Figure 0006197278

Claims (1)

  1. マンゴスチン水抽出物の製造方法において、抽出工程の前に、生のマンゴスチン果皮を60℃以上5分以内の条件で熱水処理し、乾燥する工程を含むことを特徴とする、マンゴスチンの水抽出物の製造方法。
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