JP2014037399A - 抗糖化剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全かつ効率的にAGEsの毒性を抑えることができる、抗糖化剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、菱の実抽出物を有効成分として含有する抗糖化剤およびその製造方法を提供する。本発明の抗糖化剤は、例えば、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化症、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患または症状の予防および治療に用いられ得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗糖化剤およびその製造方法に関し、より詳細には、生体に対して優れた安全性を有する抗糖化剤およびその製造方法に関する。
終末糖化産物(Advanced Glycation End-product(s);AGE(s))は、グルコースなどの還元糖のカルボニル基と、タンパク質のアミノ基との非酵素的な反応から始まる一連の反応(メイラード反応)により不可逆的に生じる高分子架橋物質である。これらの反応は、生体内で長期間にわたりゆっくり進行する。例えば、糖尿病の臨床検査項目の1つとして挙げられているヘモグロビンA1C(HbA1c)は、赤血球のタンパク質であるヘモグロビンの糖化物であり、広義には、AGEsの1種である。
AGEsは、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病による血管合併症の原因物質である。また、AGEsは、血管内皮細胞に存在する特異的な受容体(RAGE)に結合して糖尿病性血管症の発症に関連することも知られている。現在、わが国において、糖尿病の潜在患者数が2200万人にのぼり、特に中高年の4.5人に1人が糖尿病予備軍であるとの報告を考慮すると、体内のAGEsを低減することは、今後の糖尿病合併症の発症・進行を予防する上で非常に重要である。さらに、AGEsは、アテローム性動脈硬化、アルツハイマー病、慢性関節リウマチなどの種々の衰弱性疾患の発症にも関与している。
AGEsは、グルコースだけではなく、グルコースの自動酸化および分解産物などの種々の糖から生成される。このうち、生体内ではその存在比から、グルコース由来AGE(AGE−1)が最も多く生成されている。また、グリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)は、AGEレセプター(RAGE)との結合能力が高く、上記合併症の発症および進展に強く関与することが知られている(非特許文献1および2)。このように、糖尿病の予防および治療を目的として、AGEs、特に、AGE−2はその役割が注目されており、研究が続けられている。
一方で、AGEsは、食品中にも存在する。そもそも、AGEsは、食品化学の研究において発表された非酵素的糖化反応(メイラード反応)による褐変において注目された物質である。AGEsは、煮る・蒸すなどの調理方法ではほとんど生成されず、逆に焼く・炒める・揚げるなどの調理方法では多く生成されることが分かっている。また、AGEsは、コーラ、味噌、および醤油のような食品または食材に多く含まれていることも知られている。このように、人間は、生活上、常に多量のAGEsを食品(特に加工食品)から摂取している。食材としてAGEsを取り込むことに関してはほとんど害がないと考えられているが、腎臓を悪くしている場合は注意が必要であり、また無害の食品性AGEsが体内に吸収された後、有害性のAGE(例えばAGE−2)に転換される可能性がある。また、一方でカルボキシメチルリジン(CML)は、AGEsの代表的代謝物として、血中総AGEs量の推定に広く用いられている。
このようにAGEsは生体内でも生成され、また生体外からも摂取される。このため、生体内での過剰なAGEsの蓄積を抑制するために、種々の薬剤が提案されている。例えば、AGE生成抑制剤として、従来からアミノグアニジン、ピリドキサミン誘導体などが知られている。さらに特許文献1には、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オンが開示されている。
生体内で確立されたAGE架橋を破壊する物質も検討されており、例えば、N−臭化フェナシルチアゾリウム(PTB)などが知られている。最近では、1,4−ベンゼン−ビス[4−メチレンアミノフェノキシイソ酪酸]などの7種の化合物が報告されている(例えば、特許文献2)。しかし、これらのAGE分解効果は、必ずしも充分とはいえない。
近年の研究では、ビタミンB6が、AGE形成阻害作用を有することが見出され、そのAGE阻害剤としての利用が期待されている。
ところで、AGEsは、加齢と共にその蓄積が認められること、およびAGEsがコラーゲンとコラーゲンとの間の結合物質として働くことが知られており、これにより、皮膚の老化に関与すると考えられている。アミノグアニジンを投与することにより、加齢に伴う様々な体内組織の老化現象を抑制することができたことが報告され(非特許文献3)、アミノグアニジンは、欧米では、アンチエイジング物質として汎用されている。しかし、アミノグアニジンは、毒性を有することが米国の第III相臨床試験で明らかとなっており、その使用および用量に大きな制限が加えられている。
その他のAGE形成阻害剤としては、アミノグアニジンの誘導体であるOPB−9195、LR−90、ALT−946、天然化合物およびその類縁体であるチアミン(ビタミンB)、チアミンピロリン酸、ベンフォチアミンなど幾つかの化合物が知られている(非特許文献4〜9)が、いずれも実用化には至っていない。
このような背景から、副作用の問題が少ない天然物由来の糖化阻害剤の開発が期待されている。例えば、生活習慣病の予防食品として有用な抗糖化食品群として、レモン、レモン皮、発酵米ぬか、赤唐辛子、りんご皮、アボガド、発芽玄米、玉ねぎ皮、バナナ皮、クコの実、りんご、黒大豆、キウイ皮、黒米、黒こしょう、シナモン、わかめ、かいわれ、緑茶、白ゴマ、およびピーナッツ皮からなる群から選択される食品からの抽出物の1種または2種以上を主成分として含有する、アミノリン脂質の糖化抑制物質などが知られている(特許文献3)。その他、カモミール、桜の花エキスなども抗糖化物質として市販されている。
特開2004−300153号公報 特表2004−529126号公報 特開2007−223977号公報
Yamagishi S.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002年, 290巻, 973-978頁 Okamoto T.ら, FASEB J., 2002年, 16巻, 1928-1930頁 Li Y.M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1996年, 93巻, 3902-3907頁 Price D.L.ら, J. Biol. Chem., 2001年, 276巻, 48967-48972頁 Rahbar S.ら, Mol. Cell. Biol. Res. Commun., 2000年, 3巻, 360-366頁 Forbes J.M.ら, Diabetologia., 2001年, 44巻, 108-114頁 La Selvaら, Diabetologia, 1996年, 39巻, 1263-1268頁 Booth A.A.ら, J. Biol. Chem., 1997年, 2729巻, 5430-5437頁 Stracke H.ら, Nat. Med., 2003年, 9巻, 294-299頁
本発明は上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、生体に対し安全であり、かつ効率的にAGEsの毒性を抑えることができる、抗糖化剤およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、菱の実抽出物を有効成分として含有する抗糖化剤を提供する。
1つの実施態様では、上記菱の実抽出物が、水、親水性有機溶媒および含水有機溶媒からなる群から選択される溶媒で抽出された抽出物である。
1つの実施態様では、上記溶媒が水である。
1つの実施態様では、上記菱の実抽出物が乾燥抽出物である。
本発明はまた、抗糖化剤の製造方法を提供し、菱の実を、水、親水性有機溶媒および含水有機溶媒からなる群より選択される溶媒中に浸漬し、抽出液を得る工程、ならびに上記抽出液から不溶性画分を除いて上清および/または可溶性画分を回収する工程を包含する方法を提供する。
1つの実施態様では、上記方法はさらに、上記上清および/または可溶性画分を乾燥する工程を包含する。
本発明によれば、安全かつ効率的にAGEsの毒性を抑え、および/または生体内での過剰なAGEsの蓄積を抑制する抗糖化剤およびその製造方法を提供することができる。上記抗糖化剤は、飲食品、医薬品、化粧品、石鹸、皮膚塗布剤、点鼻剤、坐剤、点眼剤などの種々の分野に利用することができる。
実施例1で得られた抗糖化剤について、種々の濃度で添加した際のグルコース由来AGE(AGE−1)分解率を、上記AGE−1の蛍光強度から算出した結果によって示したグラフである。 実施例1で得られた抗糖化剤について、種々の濃度で添加した際のグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)分解率を、上記AGE−2の蛍光強度から算出した結果によって示したグラフである。 実施例1で得られた抗糖化剤について、種々の濃度で添加した際のグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)分解率を、ELISA法から算出した結果によって示したグラフである。 実施例2で得られた抗糖化剤について、種々の濃度で添加した際のグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)分解率を、ELISA法から算出した結果によって示したグラフである。 菱の実抽出物の投与による、食事摂取後の血中カルボキシメチルリジン(CML)濃度の増加抑制作用を示したグラフである。 菱の実抽出物の投与による、食事摂取後の血中AGE−2濃度の低減作用を示したグラフである。
本明細書中において、「菱」とは、ヒシ科(Trapaceae)ヒシ属(Trapa)に属する水生の一年草をいう。「菱」としては、オニビシ(Trapa natans)、ヒシ(Trapa japonica)、ヒメビシ(Trapa incisa)、トウビシ(Trapa bicornis)などの種が挙げられるが、特に限定されることなく、抽出の材料としては、任意の種が用いられ得る。オニビシは、大形種であって収穫される実が他の種類の菱と比較して大きいため、抽出の材料として特に好適である。
菱の実は、略三角形の外観形体を有する。実の大きさは種類に依存するが、オニビシの場合、例えば、最長辺が5cm程度、厚さが1cm程度である。抽出に用いる菱の実は、収穫直後のものであっても、菱の実にとって通常の保管条件下および期間の間、乾燥または保管されたものであってもよい。通常、菱の実は硬質の外殻を備え、その内部に果肉、種子を含有するため、後述のように、例えば、そのまま使用することができる。
本発明の抗糖化剤は、菱の実抽出物を有効成分として含有する。
本明細書中で「菱の実抽出物」とは、菱の実中に含まれる成分またはこれらの混合物であって、菱の実を溶媒で抽出することにより得ることができる物質をいい、必ずしも溶媒を用いた抽出操作を経たものだけではなく、菱の実から任意の人為的操作を通じて分離された物質を包含している。
菱の実抽出物は、例えば、以下のようにして得ることができる。
菱の実は、例えば、必要に応じて、破砕処理前に、実の表面に付着した汚れ等を除くために水などで洗浄してもよい。または、外殻を取り除くことなく適度の大きさに粉砕して使用してもよい。粉砕は、例えば、当該周知の粉砕機または摩砕機を使用して所定のサイズまたはメッシュまで微粉末化または微粒化される。特に破砕処理後の物質が凝集するような場合、超音波処理を行って、そのような凝集を回避しておいてもよい。
菱の実は溶媒中で浸漬かつ抽出され、調製液の形態に調製される。
この浸漬に用いられ得る溶媒としては、水、親水性有機溶媒、または含水有機溶媒が挙げられる。親水性有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノールなどが挙げられる。含水有機溶媒としては、含水アルコール(例えば、含水メタノールまたは含水エタノール)、含水アセトンなどが挙げられる。含水アルコールにおけるアルコールの濃度は特に限定されない。
本発明における抽出物としては、菱の実の粉砕物を圧搾抽出することにより得られる搾汁、抽出溶媒による粗抽出物、ならびに粗抽出物を各種クロマトグラフィー(分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなど)、限外濾過などで濃縮または精製して得られた抽出物画分などが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。
本発明における抽出物としては、菱の実の粉砕物から、水、アルコール、またはこれらの混合液を用いて得られた抽出物が用いられ得る。好ましくは、菱の実の粉砕物から、水を用いて得られた抽出物が用いられ得る。水としては、水道水、純水、イオン交換水、蒸留水、イオン添加水などが挙げられるが、特に限定されない。
抽出に供する菱の実に対して用いる溶媒の容量、抽出処理の温度および時間などについては特に制限はない。抽出溶媒に水を用いる場合、方法としては、熱水抽出法および冷水抽出法が挙げられる。熱水抽出法としては、上記材料を熱水に浸漬する方法または蒸気で蒸す方法が挙げられる。熱水の温度は、好ましくは40℃〜100℃、より好ましくは70℃〜100℃であり、熱水処理の時間は、好ましくは10分〜120分、より好ましくは20分〜60分である。熱水処理の場合には、所定の圧力に設定された高圧処理を併用してもよい。蒸気で蒸す場合には、沸騰した湯を用いて蒸し、蒸す時間は、好ましくは10分〜120分、より好ましくは30分〜60分である。冷水抽出法としては、冷水あるいは他の成分を加えた水溶液に上記材料を浸漬する方法が挙げられる。冷水の温度は、好ましくは0℃〜40℃、より好ましくは10℃〜40℃であり、処理時間は、好ましくは10分〜240分、より好ましくは60分〜120分である。
抽出液からは、遠心分離、濾過などの適切な分離手段により沈殿物および/または不溶性画分を除き、上清および/または可溶性画分を回収できる。さらに、上記抽出後の沈殿物または不溶性画分について再度同様の抽出処理を行って、さらなる上清および/または可溶性画分を回収することもできる。本発明においては、このような上清および/または可溶性画分を上記菱の実抽出物として使用することができる。
回収した上清および/または不溶性画分は、そのまま使用することができるが、それぞれが乾燥工程に供されてもよく、あるいは、一旦、一つに集められて、一緒に乾燥工程に供されてもよい。乾燥法としては、公知の任意の方法が用いられるが、例えば、風乾法、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法などが挙げられる。菱の実抽出物に、例えば、賦形剤(例えば、デキストリン、トレハロース)を添加したものをスプレードライなどして乾燥できる。
このようにして、菱の実抽出物を得ることができる。菱の実抽出物は、液状、固形またはペーストのいずれの形態を有していてもよい。
さらに、菱の実抽出物は、シリカゲルカラム、ODSカラム、イオン交換樹脂、限外濾過膜分子ふるいなどの適切なカラムを用いて、抽出物中に含まれる抗糖化剤作用を有する成分を一層精製および/または濃縮することもできる。
上記のようにして得られた菱の実抽出物は、終末糖化産物(AGEs)に対する吸着性または結合性および終末糖化産物分解活性を有する。「終末糖化産物(AGEs)」とは、グルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基とが非酵素的に反応し、シッフ塩基、およびアマドリ転移化合物を経て不可逆的に形成される架橋物質の総称である。AGEsは、反応性に富むグリセルアルデヒド、グリコールアルデヒドなどのアルデヒド、およびメチルグリオキサール、グリオキサール、3-デオキシグルコソンのような各種中間代謝産物から、あるいはアマドリ転移化合物の酸化的分解、グルコースの自動酸化、脂質の過酸化などによっても生じ得る。生体内に存在するタンパク質(例えば、赤血球膜蛋白、アルブミン、リポプロテイン、アンチトロンビン、トロンボモジュリンなどの血中血漿タンパク質、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの細胞外基質構成タンパク質など)、核酸などが糖化することにより機能障害が生ずると考えられている。
菱の実抽出物を経口摂取した場合、生体外由来(例えば、食物性)および生体内のAGEsを吸着して、腸管からの吸収を阻害し得る。例えば、生体外からの食物性AGEsから体内で転換されるグルコース由来終末糖化産物であるAGE(AGE−1)量、グリセルアルデヒド由来終末糖化産物であるAGE(AGE−2)量、およびAGEsの代表的代謝物であるカルボキシメチルリジン(CML)量を減じ得る。また、生体内で既に生成したAGE−1およびAGE−2を分解し得る。
菱の実抽出物は、経口、経管、経皮、経粘膜投与などによる体内への導入によって、抗糖化剤として、ならびに終末糖化産物が関与する疾患、例えば、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化症、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患および/または症状の予防および治療に用いられ得る。
本発明の抗糖化剤は、上記菱の実抽出物を含有するか、あるいは当該抽出物からなる。
本発明の抗糖化剤は、当該抽出物以外に、抗糖化剤作用を奏する他の薬剤成分および/または当該技術分野の当業者に周知の他の添加剤を含有していてもよく、あるいは当該抽出物からなるものであってもよい。本発明において、他の薬剤成分および/または他の添加剤の含有量は、上記菱の実抽出物が有する抗糖化作用を阻害しない範囲において、当該技術分野の当業者により、任意の量が設定され得る。
菱の実抽出物は、抗糖化剤に含有させ得る。「抗糖化剤」とは、終末糖化産物への結合、または終末糖化産物の分解などにより体内での終末糖化産物の蓄積を抑制し得る因子である。このような抗糖化剤は、飲食品、医薬品、化粧品、石鹸、皮膚塗布剤、点鼻剤、坐剤、点眼剤などに配合され得る。
本発明の抗糖化剤は、飲食品のための添加剤および医薬品の素材として用いられ得る。例えば、本発明の抗糖化剤は、飲食品組成物(例えば、経口用サプリメントのような健康食品)および医薬品組成物の構成成分として使用し得る。これらの飲食品組成物および医薬品組成物は、特に、例えば、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化症、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患および/または症状の予防または治療のために用いられ得る。
飲食品組成物は、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、マルチトール、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル類、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料、保存料などをさらに適宜含有し得る。このような飲食品は、用途に応じて、粉末、顆粒、カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴、ガムなどにも加工され得る。飲食品組成物(例えば、経口用サプリメント)の製造は、当業者が通常用いる方法によって行われ得る。飲食品組成物への抗糖化剤の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。飲食品組成物全量に対して、抗糖化剤を、例えば、0.1質量%〜100質量%、より好ましくは1質量%〜50質量%(菱の実抽出物の質量を基準)で含有し得る。
飲食品組成物は、そのままの形態で摂取することができ、水、エタノール、またはこれらの組合せなどの溶媒に溶かすまたは懸濁させるなどしても摂取することができ、食事の前後、または食間に経口摂取することができる。飲食品組成物を飲食品に添加して、摂取することもできる。
飲食品組成物が添加される飲食品としては、例えば、在宅用糖尿病食、流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品、ダイエット食品、あるいは炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品、乳飲料、清涼飲料、酒類などが挙げられるが、これらに限定されない。飲食品組成物の飲食品への添加または加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家禽、家畜またはペット用の飼料への添加も可能である。
医薬品組成物は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分をさらに適宜含み得る。これらの医薬品組成物は、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液剤などの剤型で経口的あるいは経管的に投与することができる。医薬品組成物の製造は当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。医薬品組成物の投与量は、肥満の程度、患者の体重、投与形態などに応じて適宜選定することができる。医薬品組成物全量に対して、抗糖化剤を、例えば、1質量%〜100質量%、好ましくは20質量%〜80質量%(菱の実抽出物の質量を基準)で含有し得る。
医薬品組成物は、そのままの形態で投与することができ、水などの溶媒に溶かすまたは懸濁させるなどしても投与することができる。投与は1日に1回または複数回に分けて行われ得る。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1:オニビシ由来菱の実熱水抽出物1)
オニビシの実(福岡県柳川市産)を充分に清浄水で洗浄した後、ミキサーで粉砕した。次いで、この粉砕した実に該実の質量の5倍の質量に相当する純水を加え、5分間超音波処理した。超音波処理後、これを95℃以上に加熱して沸騰させ、その後加熱を1時間続けた。次いで、これを室温まで冷却した。これを3000rpmにて20分間遠心分離し、生じた上清を採取し、凍結乾燥した。
(実施例2:オニビシ由来菱の実熱水抽出物2)
2kgのオニビシの実(福岡県柳川市産)に2Lの純水を加え、ブレンダー(型式:HBB908;トランスゲイト株式会社)で粉砕した。次いで、この粉砕した菱の実と純水の混合物を95℃にて1時間加熱し、その後、加熱した混合物をフィルター(ミラクロス;コスモ・バイオ株式会社)を用いて濾過した。濾過後得られた残渣に2Lの純水を加え、再度、フィルターを用いて濾過した。それぞれの濾過により得られた濾液を混合し、混合した濾液を吸引濾過した。吸引濾過によって得られた濾液を、エバポレーター(東京理科器械株式会社)を用いて濃縮し、次いでディープフリーザー(型式:DF−140D;株式会社ダイレイ)を用いて−55℃に凍結させた。凍結によって得られた濾液凍結物を、凍結乾燥器(型式:FDU−12AS;アズワン株式会社)を用いて凍結乾燥し、約80gの固形物(抽出物)を得た。
(実施例3:ヒメビシ由来菱の実熱水抽出物)
ヒメビシの実(福岡県柳川市産)を出発材料に用いた以外は、実施例1と同様にして、抽出物を得た。
(実施例4:菱の実抽出物のAGE結合作用の検討)
被験物質として、実施例1で得られた菱の実抽出物を用いて、グルコース由来AGE(AGE−1)およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)との相互作用(解離定数)を調べた。
AGE−1を以下のように調製した(以下に示す試薬は全てシグマアルドリッチ社から購入):
(1)360mgのDL−グルコースと39mgのジエチレントリアミン五酢酸(キレート剤)をそれぞれ秤量し、50mLのファルコンチューブに移した;
(2)当該ファルコンチューブに0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を20mL添加して、ボルテックスミキサーにて溶解した;
(3)当該ファルコンチューブにヒト血清アルブミン(HSA)を500mg添加し、ボルテックスミキサーにて溶解した;
(4)溶解後、当該溶液をクリーンベンチ内でポアサイズ0.22μmのフィルターに通すことによって無菌溶液とした;
(5)パラフィルムにて50mLファルコンチューブの蓋を重ねて密封し、当該ファルコンチューブを37℃にて1週間インキュベートした;そして
(6)PD−10カラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)にかけて、未反応のDL−グルコースを除いた。その結果を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で確認した。得られたAGE−1を用いた。
AGE−2を以下のように調製した(以下に示す試薬は全てシグマアルドリッチ社から購入):
(1)180mgのDL−グリセルアルデヒドと39mgのジエチレントリアミン五酢酸(キレート剤)をそれぞれ秤量し、50mLのファルコンチューブに移した;
(2)当該ファルコンチューブに0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を20mL添加して、ボルテックスミキサーにて溶解した;
(3)当該ファルコンチューブにHSAを500mg添加し、ボルテックスミキサーにて溶解した;
(4)溶解後、当該溶液をクリーンベンチ内でポアサイズ0.22μmのフィルターに通すことによって無菌溶液とした;
(5)パラフィルムにて50mLファルコンチューブの蓋を重ねて密封し、当該ファルコンチューブを37℃にて1週間インキュベートした;そして
(6)PD−10カラムにかけて、未反応のDL−グリセルアルデヒドを除いた。その結果をHPLCで確認した。得られたAGE−2を用いた。
分子間相互作用定量QCM装置「AFFINIXQ」(型番:QCM2000;株式会社イニシアム)の専用センサーチップに、100μg/mLのグルコース由来AGE(AGE−1)あるいはグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)を1μL滴下し、充分に風乾した後、超純水で当該チップを洗浄した。チップを装置に装着し、試験容器に入れた8mLの超純水にチップを浸漬させた。実施例1で得られた被験物質の凍結乾燥物を超純水で1mg/mLとなるように溶解し、この被験物質溶液8μLを取り、試験容器内の超純水に添加した。装置のディスプレイ上でチップ上のグルコース由来AGE(AGE−1)あるいはグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)と被験物質との結合が安定になったことを確認し、被験物質溶液8μLをさらに添加した。この操作を2〜4回繰り返し、グルコース由来AGE(AGE−1)あるいはグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)と被験物質との相互作用に基づき、平衡曲線を作成した。装置に内蔵した専用測定解析ソフトウェアで結果を解析し、グルコース由来AGE(AGE−1)あるいはグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)の解離定数を算出した。
菱の実抽出物の結果を表1に示す。
Figure 2014037399
表1に示されるように、菱の実抽出物は、グルコース由来AGE(AGE−1)およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)に対する結合活性を有することがわかる。菱の実抽出物がグルコース由来AGE(AGE−1)およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)に結合することにより、グルコース由来AGE(AGE−1)およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)の毒性を抑えると考えられる。
(実施例5:蛍光強度法による、菱の実抽出物のAGE−1分解作用の検討)
10mg/mLのグルコース由来AGE(AGE−1)含有溶液に、実施例1で得られた菱の実抽出物を添加し、37℃にて5日間インキュベーションした。当該含有溶液と同体積の0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加したものをコントロールとした。
上記インキュベーション後にグルコース由来AGE(AGE−1)が分解したか否かを、AGE−1の蛍光を最大励起波長(Ex)370nmおよび消光波長(Em)450nmにて測定することによって確認した。
コントロールの蛍光強度から各添加濃度の蛍光強度を減算後、コントロールの蛍光強度に対する割合を求め、AGE−1分解率(%)を算出した。
結果を図1に示す。図1においては、縦軸にAGE−1分解率(%)を表し、横軸に実施例1の菱の実の濃縮エキスの添加濃度(mg/mL)を表す。
(実施例6:蛍光強度法による、菱の実抽出物のAGE−2分解作用の検討)
100μg/mLのグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)含有溶液に、実施例1で得られた菱の実抽出物を添加し、37℃にて5日間インキュベートした。当該含有溶液と同体積の0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加したものをコントロールとした。
上記インキュベート後にグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)が分解したか否かを、AGE−2の蛍光を最大励起波長(Ex)370nmおよび消光波長(Em)450nmにて測定することによって確認した。
コントロールの蛍光強度から各添加濃度の蛍光強度を減算後、コントロールの蛍光強度に対する割合を求め、AGE−2分解率(%)を算出した。
結果を図2に示す。図2においては、縦軸にAGE−2分解率(%)を表し、横軸に実施例1の菱の実の濃縮エキスの添加濃度(mg/mL)を表す。
図1および2に示されるように、実施例1の菱の実抽出物の添加量に依存して、AGE−1およびAGE−2分解率の上昇が見られた。菱の実抽出物を所定期間にわたってグルコース由来AGE(AGE−1)あるいはグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)とインキュベートすることにより、既に形成されているグルコース由来AGE(AGE−1)が50〜60%、グリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)がほぼ100%分解されていたことが分かる。
(実施例7:ELISA法による、菱の実抽出物のAGE−2分解作用の検討1)
菱の実抽出物のAGE−2分解作用を、他の測定方法を用いて確認した。100μg/mLのグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)含有溶液に、実施例1で得られた菱の実抽出物を添加し、37℃にて10日間インキュベートした。当該含有溶液と同体積の0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加したものをコントロールとした。
上記インキュベーション後にAGEが生成したか否かを、AGE検出キットとしてGlycelaldehyde由来AGE ELISA キット(for human)(商品番号:AGH−0001;株式会社アップウェル)を用いて確認した。
結果を、コントロール(被験物質を混和しないサンプル)を100%とし、コントロールに対するグリセルアルデヒド由来AGE生成率として百分率で表した。
結果を図3に示す。図3においては、縦軸にAGE−2分解率(%)を表し、横軸は実施例1の菱の実の濃縮エキスの添加濃度(mg/mL)を表す。
蛍光強度による図2の結果と同様、ELISA法においても、実施例1の菱の実抽出物の添加量に依存して、AGE−2分解率の上昇が見られた。菱の実抽出物を所定期間にわたってグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)とインキュベートすることにより、既に形成されているグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)がほぼ100%分解されていたことが分かる。
AGE−2が50%分解され得る実施例1の菱の実抽出物濃度(IC50)は、ELISA法では、0.62mg/mLであった。
(実施例8:ELISA法による、菱の実抽出物のAGE−2分解作用の検討2)
AGE−2分解作用における菱の実抽出物の最小有効濃度を検討するために、菱の実抽出物の濃度をより詳細に振り分け、各濃度(1mg/mL、2mg/mL、5mg/mLおよび10mg/mL)におけるAGE−2分解作用を、ELISA法を用いて確認した。実施例4と同様の方法で精製したグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)にPBSを加え、100μg/mLとなるように調製した。次いで、調製したAGE−2含有溶液に、実施例2で得られた菱の実抽出物を、上記所定の各濃度になるように添加し、37℃にて5日間インキュベートした。なお、菱の実抽出物を添加した。当該含有溶液と同体積の0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加したものをコントロールとした。
上記インキュベートにより得られた各溶液を3000rpmにて10分間遠心分離した。遠心分離によって得られた上清を、Glycelaldehyde由来AGE ELISA キット(for human)(商品番号:AGH−0001;株式会社アップウェル)を用いて発色させ、プレートリーダ(Multiskan JX;製品番号:51118230;サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて波長455nmの吸光度を測定した。
結果を、コントロール(被験物質を混和しないサンプル)を100%とし、コントロールに対するグリセルアルデヒド由来AGE生成率として百分率で表した。
結果を図4に示す。図4においては、縦軸にAGE−2分解率(%)を表し、横軸は実施例2の菱の実の濃縮エキスの添加濃度(mg/mL)を表す。
実施例7と同様、実施例2の菱の実抽出物を用いた場合においても、その添加量に依存してAGE−2分解率の上昇が見られた。また、当該抽出物の濃度が2mg/mLの場合、既に形成されているグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)がほぼ100%分解されていたことが分かる。このことから、本実施例における当該抽出物の最小有効濃度は2mg/mLであり、天然物から得られた抽出物として、菱の実抽出物は、非常に高いAGE−2分解作用を有することがわかる。
AGE−2が50%分解され得る実施例2の菱の実抽出物濃度(IC50)は、ELISA法では、0.67mg/mLであった。
(実施例9:菱の実抽出物の投与による血中CML濃度の増加抑制作用の検討)
菱の実抽出物の投与による生体内でのAGEs分解作用を検討するために、食事摂取とともに菱の実抽出物を投与した場合の、AGEsの1種であるカルボキシメチルリジン(CML)の濃度を測定した。被験候補者として、任意の健常な(投薬等治療中の者を除く)成人男女34名(平均年齢21.9±3.21歳、男性31名および女性3名)を対象とした。これら被験候補者のうち、実施前検診(身長、体重、血圧、血液検査、および問診)により、健康面で実施に適切と診断された31名を被験者として選抜した。
菱の実抽出物としては、菱の実茶2.5gに対し熱湯150mLを加え、保温したまま30分間静置し、その後菱の実茶を取り除いた菱の実抽出液を用いた。
各被験者について、実施12時間前から水以外の摂取を中止し、実施1時間前から水の摂取も中止した。被験者31名を任意に2つの群(以下、「菱の実抽出物群」および「対照群」という)に分け、各群の被験者全員について事前採血を行い、それぞれ血中CML濃度を測定した。血中CML濃度を、CircuLex CML/Nε−(Carboxymethyl)lysine ELISA Kit(CY−8066;CycLex社)を用いて測定した。次いで、菱の実抽出物群の被験者には菱の実抽出物150mL、対照群の被験者には水150mLをそれぞれ食事(商品名:メガマック;日本マクドナルド社製;754kcal)とともに経口投与した(食事摂取時間15分間)。食事摂取後3時間経過時に、各群の被験者全員について採血を行い、血中CML濃度を測定した。事前採血および食事摂取後3時間経過時の血中CML濃度(μg/mL)の測定の結果を図5に示す。
図5の結果から明らかなように、対照群の被験者では、食事摂取後3時間経過時の血中CML濃度が事前採血時の当該濃度と比較して24.8%も増加していたが、一方で、菱の実抽出物群の被験者では、食事摂取後3時間経過時の血中CML濃度が事前採血時の当該濃度と比較して0.41%程度しか増加しなかった。菱の実抽出物を投与することにより、食事摂取による血中CML濃度の増加が抑制されたことからも、菱の実抽出物が、食事摂取による生体内AGEsの増加の抑制に作用したことがわかる。
(実施例10:菱の実抽出物の投与による血中AGE−2濃度の低減作用の検討)
血中CML濃度を測定する替わりに血中AGE−2濃度測定した以外は、実施例9と同様にして、菱の実抽出物の投与による生体内でのAGEs分解作用を検討した。血中AGE−2濃度の測定には、実施例7と同様、Glycelaldehyde由来AGE ELISA キット(for human)(商品番号:AGH−0001;株式会社アップウェル)を用いた。なお、この測定方法では、グリセルアルデヒド化したアルブミンを測定するため、グリセルアルデヒド化していないアルブミンを予め取り除いた。事前採血および摂食後3時間経過時の血中AGE−2の濃度(μg/mL)の測定の結果を図6に示す。
図6の結果から明らかなように、対照群と比較して、菱の実抽出物群では、食事摂取後3時間経過時の血中AGE−2濃度が一層低減していたことがわかる。菱の実抽出物を投与することにより、食事摂取による血中AGE−2濃度の増加が抑制されたことからも、菱の実抽出物が、食事摂取による生体内AGEsの増加の抑制に作用したことがわかる。
以上より、実施例1および2で得られた菱の実抽出物は、グルコース由来AGE(AGE−1)、およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)を分解することで生体内での過剰なAGEsの蓄積を抑制し、および/またはグルコース由来AGE(AGE−1)およびグリセルアルデヒド由来AGE(AGE−2)と結合してAGE−1およびAGE−2の毒性を抑えるものであり、優れた抗糖化効果を有する抗糖化剤として有用であることがわかる。
本発明によれば、終末糖化産物(AGEs)に結合し、AGEsを分解し得る物質が提供される。本発明の抗糖化剤は、例えば、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化症、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患や症状の予防および治療に用いられ得る。さらに、本発明の抗糖化剤は、食物由来であるので、服用による副作用の懸念もなく、安全であり、例えば飲食品、医薬品、化粧品、石鹸、皮膚塗布剤、点鼻剤、坐剤、点眼剤などに配合され得る。

Claims (6)

  1. 菱の実抽出物を有効成分として含有する、抗糖化剤。
  2. 前記菱の実抽出物が、水、親水性有機溶媒および含水有機溶媒からなる群から選択される溶媒で抽出された抽出物である、請求項1に記載の抗糖化剤。
  3. 前記溶媒が水である、請求項2に記載の抗糖化剤。
  4. 前記菱の実抽出物が、乾燥抽出物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗糖化剤。
  5. 抗糖化剤の製造方法であって、
    菱の実を、水、親水性有機溶媒および含水有機溶媒からなる群より選択される溶媒中に浸漬し、菱の実の抽出液を得る工程;ならびに
    該抽出液から不溶性画分を除いて上清および/または可溶性画分を回収する工程;
    を包含する、方法。
  6. さらに前記上清および/または可溶性画分を乾燥する工程を包含する、請求項5に記載の方法。
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