JP5267701B2 - トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Description
ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有し、酸価が3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、重量平均分子量Mwが1.5万以上9.5万以下であるトナー用ポリエステル樹脂である。
前記一般式(1)で表されるジアルコール成分が、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応生成物である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
前記ロジンが、精製処理された精製ロジン、不均化処理された不均化ロジン、又は、水素添加処理された水素化ロジンである請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーである。
請求項4に記載のトナーを含む現像剤である。
請求項4に記載のトナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項5に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項5に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
本実施形態のトナー用ポリエステル樹脂(以下、特定ポリエステルと称することがある)は、ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有し、酸価を3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下としたものである。
また、特開2007−137910号公報に記載のトナー用ポリエステルは、アルコール成分と、精製ロジンを含有したカルボン酸成分とを重縮合させて得られる。しかし、ロジンに含まれるカルボン酸は3級カルボン酸であるため低反応性であり、アルコール成分とロジンとの間でエステル化反応が起こりにくく樹脂中に未反応のロジンが残留しやすい。その結果、トナー用ポリエステル中に水分が取り込まれやすくなり、該トナー用ポリエステルを含むトナーの帯電性が悪化することがある。
一方、本実施形態の特定ポリエステルを含むトナーは、帯電性に優れる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
本実施形態の特定ポリエステルは、特定ロジンジオール由来の繰り返し単位を含有する。特定ロジンジオールに含有されるロジンエステル基の元となるロジンは、嵩高い構造を有し、且つ、疎水性が高い性質のため、ロジンエステル基を含む本実施形態の特定ポリエステルは含水しにくい。それに加えて、ポリエステル樹脂の構造上、樹脂分子の末端にのみ水酸基又はカルボキシル基が存在するため、トナーの帯電性に悪影響を与えるおそれのある水酸基又はカルボキシル基の量を増やすことなく樹脂中のロジンエステル基の量を増やすことができる。さらに、特定ロジンジオールをロジンと2官能エポキシ化合物とを反応させて得る場合に、2官能エポキシ化合物中のエポキシ基とロジン中のカルボキシル基との間で生ずるエポキシ基の開環反応は、アルコール成分とロジンとの間で生ずるエステル化反応よりも反応性が高いため、本実施形態の特定ポリエステル中に未反応のロジンが残留しにくい。そのため、本実施形態の特定ポリエステルを含むトナーは、帯電性に優れるものと推察される。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン系化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下が好ましく、さらに好ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を狙いとするデヒドロアビエチン酸量になるように不均化触媒の存在下で高温加熱して調製した不均化ロジンに添加しても良い。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けても良い。
ルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。例えば、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、
シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸、分岐鎖
を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸等の脂肪族ジ
カルボン酸;それらの酸の無水物及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エ
ステル等が挙げられる。これらの中では、トナーの耐久性、定着性及び着色剤の分散性の
観点、及び入手容易性の観点からイソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族カルボン酸が好ましい。
脂肪族ジオールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールは単独で用いても、二種以上を併用しても良い。
また、本実施形態において、脂肪族ジオールと共に、エーテル化ジフェノールを更に用いても良い。エーテル化ジフェノールとは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールであり、該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2モル以上16モル以下であるものが好ましい。
本実施形態のトナーは、本実施形態の特定ポリエステルを含有し、必要に応じて着色剤、離型剤、外添剤等のその他の成分を含んでもよい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
本実施形態のトナーの形状係数SF1は110以上150以下の範囲であることが望ましく、120以上140以下の範囲であることがより望ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
混練粉砕法は、より詳細には、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する混錬工程と、前記混錬物を粉砕する粉砕工程とに分けられる。必要に応じて、混錬工程により形成された混錬物を冷却する冷却工程等、他の工程を有してもよい。
各工程について詳しく説明する。
混錬工程は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する。
混錬工程においては、トナー形成材料100質量部に対し、0.5質量部以上5質量部以下の水系媒体(例えば、蒸留水やイオン交換水等の水、アルコール類等)を添加することが望ましい。
スクリュー押出し機11は、スクリュー(図示せず)を備えたバレル12と、バレル12にトナーの原料であるトナー形成材料を注入する注入口14と、バレル12中のトナー形成材料に水系媒体を添加するための液体添加口16と、バレル12中でトナー形成材料が混錬されて形成された混錬物を排出する排出口18と、から構成されている。
ついで、送りスクリュー部SBにおいて、液体添加口16からバレル12に水系媒体を注入することにより、トナー形成材料に水系媒体を添加する。また図1では、送りスクリュー部SBにおいて水系媒体を注入する形態を示しているが、これに限られず、ニーディング部NBにおいて水系媒体が注入されてもよく、送りスクリュー部SB及びニーディング部NBの両方において水系媒体が注入されてもよい。すなわち、水系媒体を注入する位置及び注入箇所は、必要に応じて選択される。
最後に、ニーディング部NBにより溶融混錬されて形成された混錬物は、送りスクリュー部SCにより排出口18に輸送され、排出口18から排出される。
以上のようにして、図1に示したスクリュー押出機11を用いた混錬工程が行われる。
冷却工程は、上記混錬工程において形成された混錬物を冷却する工程であり、冷却工程では、混錬工程終了の際における混錬物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。上記平均降温速度で急冷すると、混錬工程終了直後の分散状態がそのまま保たれるため好ましい。なお上記平均降温速度とは、混錬工程終了の際における混錬物の温度(例えば図1のスクリュー押出し機11を用いた場合は、t2℃)から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、具体的には、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混錬物の供給量、混錬物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1から3mmの薄さであることが好ましい。
冷却工程により冷却された混錬物は、粉砕工程により粉砕され、粒子が形成される。粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
粉砕工程により得られた粒子は、必要に応じて、目的とする範囲の体積平均粒子径のトナー粒子を得るため、分級工程により分級を行ってもよい。分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
得られたトナー粒子は、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、既述の特定シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機粉末を添加付着してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行われ、段階を分けて付着される。
上記外添工程の後に、必要に応じて篩分工程を設けてもよい。篩分方法としては、具体的には、例えば、ジャイロシフター、振動篩分機、風力篩分機等が挙げられる。篩分することにより、外添剤の粗粉等が取り除かれ、感光体上の筋の発生、装置内のぼた汚れなどが抑制される。
本実施形態の現像剤は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
次に、本実施形態の現像剤を用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
図2は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ね合わされて重ね合わせトナー像が形成される。
尚、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して重ね合わせトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図3は、本実施形態の現像剤を収納するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。尚、300は記録紙である。
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーとしたものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
<軟化温度の測定>
軟化温度の測定は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求めた。
「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
装置HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー製)と、カラムTSKgel SuperHM−H (6.0mmID×15cm×2本)(東ソー製)とを用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
−特定ロジンジオール(1)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw340.41)113部、ロジン成分として蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン(Mw302.45)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(1)を得た。
アルコール成分として特定ロジンジオール(1) 300部、酸成分としてテレフタル酸(和光純薬工業(株)製)53部、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.3部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、所定の分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル1を合成した。合成した特定ポリエステル1を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、1H−NMR測定を行い、特定ロジンジオール(1)、及びテレフタル酸で仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
−特定ロジンジオール(30)の合成−
2官能エポキシ化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名EX−810、ナガセケムテックス(株)製,Mw174.19)58部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製,Mw300.44)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(30)を得た。
アルコール成分として特定ロジンジオール(30) 250部、酸成分としてテレフタル酸(和光純薬工業(株)製)42部、ドデセニルコハク酸無水物(東京化成工業(株)製)17部及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.3部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、所定の分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル2を合成した。合成した特定ポリエステル2を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、1H−NMR測定を行い、特定ロジンジオール(30)、テレフタル酸、及びドデセニルコハク酸で仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
合成例1の特定ポリエステル1の合成と同様の方法で、表2及び表3に示すモノマーを用いて特定ポリエステル3乃至21の合成を行った。分子量、酸価、ガラス転移温度、軟化温度の測定結果、及び、ロジンの種類を表2及び表3に示す。
―特定ロジンジオール(18)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw370)250部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名ロンチ゛スR、荒川化学工業(株)製、Mw343.6)440部、及び反応触媒としてトリフェニルホスフィン0.8部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(18)を得た。
次に、上記特定ロジンジオール(18)198部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物(日本乳化剤(株)製)100部、酸成分としてコハク酸(東京化成工業(株)製)59部、無水トリメリット酸(和光純薬工業(株)製)9部、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.3部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、所定の分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル22を合成した。合成した特定ポリエステル22を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、1H-NMR測定を行い、特定ロジンジオール(18)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、コハク酸、無水トリメリット酸で仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
合成例22の特定ポリエステル22の合成と同様の方法で表4及び表5に示すモノマーを用いて特定ポリエステル23乃至26、比較用ポリエステル3及び4の合成を行った。分子量、酸価、ガラス転移温度、軟化温度の測定結果、ロジンの種類を表4及び表5に示す。
合成例22のビスフェノールAジグリシジルエーテルと不均化ロジンの仕込み量を表6のように変えたこと以外は合成例22と同様の方法で特定ポリエステル27及び28、比較用ポリエステル5及び6の合成を行った。分子量、酸価、ガラス転移温度、軟化温度の測定結果、ロジンの種類を表4及び表5に示す。但し、比較用ポリエステル6は反応途中で急激な粘度上昇によりゲル化が起こり、目的樹脂は得られなかった。
−トナー粒子1の製造−
下記混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した。その後、風力式分級機(ターボクラシファイアー(TC−15N),日清エンジニアリング社製)で細粒、粗粒を分級し、その中間サイズの粒子を得る過程を3回繰り返し、体積平均粒子径=8μmのマゼンタ色のトナー粒子1を得た。
特定ポリエステル1 100部
マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57) 3部
トナー粒子1の100部に、シリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製))0.5部を加え、高速混合機によって混合し、トナー1を得た。
上記トナー1とメチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆した粒径50μmのフェライトよりなるキャリアを用い、キャリア100部に対して、トナー1を7部添加し、タンブラーシェーカーミキサーで混合して現像剤1を得た。なお、トナーとキャリアとを混合する際の環境条件を夏場環境(30℃、相対湿度85%)、冬場環境(5℃、相対湿度10%)とした。
東芝製ブローオフ帯電量測定機を用いて帯電量の測定を行った。その結果、夏場環境では−35.0μC/g、冬場環境では−55.7μC/gの帯電量を示し、両者の比率は0.63を示した。なお、両者の比率は1に近い程、夏場環境と冬場環境との間の帯電量の差が少ないことを示し、望ましい結果である。
さらに電子写真複写機(商品名:A−color、富士ゼロックス(株)製)によってコピーテストを行い、複写3000枚後も良好な画像が得られた。
特定ポリエステル1、マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57)を表1に示す特定ポリエステル、顔料に変えたこと以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子2乃至4、トナー2乃至4、現像剤2乃至4を得た。次に、実施例1と同様の方法で帯電量測定、及び、コピーテストを行い、いずれも良好な画像が得られた。帯電量測定結果を表7に示す。
特定ポリエステル1を特定ポリエステル5乃至21に変えたこと以外は実施例3と同様の方法でトナー粒子5乃至21、トナー5乃至21、現像剤5乃至21を得た。次に、実施例1と同様の方法で帯電量測定、及び、コピーテストを行い、いずれも良好な画像が得られた。帯電量測定結果を表7に示す。
−比較トナー粒子1の製造−
下記混合物を実施例1と同様の方法で粉砕、分級し、体積平均粒子径=8μmのマゼンタ色の比較トナー粒子1を得た。
・ポリエステル樹脂1’(テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノール=83部/162部/14部、ガラス転移温度62℃、Mw1.2万、Mn0.35万、酸価12mgKOH/g、軟化温度120℃): 73部
・特定ロジンジオール(1): 27部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57): 3部
実施例1と同様の方法で比較トナー1、比較現像剤1を得た。帯電性測定結果を表7に示す。
−比較トナー粒子2の製造−
下記混合物を実施例1と同様の方法で粉砕、分級し、体積平均粒子径=8μmのマゼンタ色の比較トナー粒子2を得た。
・ポリエステル樹脂2’(下記製造法による): 100部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57): 3部
アルコール成分としてビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物20部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物207部、カルボン酸成分として、テレフタル酸50部、無水トリメリット酸19部、精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン225部、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、ポリエスエル樹脂2’(ガラス転移温度52℃、Mw0.9万、Mn0.28万、酸価25mgKOH/g、軟化温度109℃)を得た。
実施例1と同様の方法で比較トナー2、比較現像剤2を得た。帯電性測定結果を表7に示す。
特定ポリエステル1を特定ポリエステル22乃至28、比較用ポリエステル3乃至5に変えたこと以外は実施例3と同様の方法でトナー粒子22乃至28、比較トナー粒子3乃至5、トナー22乃至28、比較トナー3乃至5、現像剤22乃至28、比較現像剤3乃至5を得た。帯電性測定結果を表8に示す。
2Y,2M,2C,2K 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32 搬送ロール(排出ロール)
108 帯電装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ,
P,300 記録紙(被転写体)
Claims (8)
- ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有し、酸価が3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、重量平均分子量Mwが1.5万以上9.5万以下であるトナー用ポリエステル樹脂。
(一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。L1、L2、L3はそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有しても良い鎖状アルキレン基、置換基を有しても良い環状アルキレン基、置換基を有しても良いアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、L1とL2又はL1とL3で環を形成しても良い。A1、A2はロジンエステル基を表わす。) - 前記一般式(1)で表されるジアルコール成分が、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応生成物である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 前記ロジンが、精製処理された精製ロジン、不均化処理された不均化ロジン、又は、水素添加処理された水素化ロジンである請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。
- 請求項4に記載のトナーを含む現像剤。
- 請求項4に記載のトナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項5に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項5に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
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