JP5910270B2 - トナー用ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
多価カルボン酸成分と、
下記一般式(1)で表されるロジンジオールを含み、前記ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して80モル%以上100モル%以下である多価アルコール成分と、
の重縮合体であるトナー用ポリエステル樹脂である。
多価カルボン酸成分と、
下記一般式(1)で表されるロジンジオールと、前記ロジンジオールを除く、下記構造式(I)を有する芳香族アルコール、下記構造式(II)を有する芳香族アルコール及び下記構造式(III)を有する芳香族アルコールのうち少なくとも1種と、を含み、前記ロジンジオール及び前記芳香族アルコールの含有量が全多価アルコール成分に対して合計で80モル%以上100モル%以下であり、前記ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して10モル%以上80モル%以下である多価アルコール成分と、
の重縮合体であるトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項1又は2に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーである。
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、
像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法である。
請求項2に係る発明によれば、一般式(1)で表されるロジンジオールと、前記ロジンジオールを除く、構造式(I)を有する芳香族アルコール、構造式(II)を有する芳香族アルコール及び構造式(III)を有する芳香族アルコールのうち少なくとも1種と、を上記範囲で含むアルコールアルコール成分を重縮合成分として用いないトナー用ポリエステル樹脂に比べて、低温定着性及び耐熱性を両立するトナーが得られるトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項3に係る発明によれば、上記構成を有さないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーに比べて、低温定着性及び耐熱性を両立する静電荷像現像用トナーが得られる。
請求項4に係る発明によれば、上記構成を有さないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤に比べて、低温定着性及び耐熱性を両立する静電荷像現像剤が得られる。
請求項5〜8に係る発明によれば、上記構成を有さないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤を適用する場合に比べて、低温定着性が実現され、且つ、静電荷像現像用トナーの耐熱性の悪化に起因する画像欠陥が抑制された画像が得られるトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法が得られる。
本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、まず、第1の態様として、多価カルボン酸成分と、下記一般式(1)で表されるロジンジオール(以下、ビスフェノールA型ロジンジオールと称する)の含有量が、全多価アルコール成分に対して80モル%以上100モル%以下である多価アルコール成分と、の重縮合体が挙げられる。
また、第2の態様として、多価カルボン酸成分と、ビスフェノールA型ロジンジオールと、ビスフェノールA型ロジンジオールを除く、下記構造式(I)を有する芳香族アルコール、下記構造式(II)を有する芳香族アルコール及び下記構造式(III)を有する芳香族アルコール(以下、特定芳香族アルコールと称する)のうち少なくとも1種と、を含み、ビスフェノールA型ロジンジオール及び特定芳香族アルコールの含有量が全多価アルコール成分に対して合計で80モル%以上100モル%以下であり、ビスフェノールA型ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して10モル%以上80モル%以下である多価アルコール成分と、の重縮合体が挙げられる。
なお、上記「合計」とは、ビスフェノールA型ロジンジオール及び特定芳香族アルコールの総含有量を示す。
一方で、このようなポリエステル樹脂は、トナーとして用いた場合に低温定着性及び耐熱性を両立し難い傾向にあり、これらを両立するトナーを得るためには、ポリエステル樹脂の軟化温度を維持しつつ、ガラス転移温度を高くすることが考えられる。
これは、低温定着性がポリエステル樹脂の軟化温度に起因し、耐熱性がポリエステル樹脂のガラス転移温度に起因する傾向にあると考えられているためである。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
つまり、第1、第2の態様は、いずれの態様であったとしても、下記構造式(I)〜(III)のような2つの芳香環が直接又は2価の連結基を介して結合した構造を有するアルコールを含む多価アルコール成分を、重縮合成分として用いることとなる。
そして、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、第1、第2のいずれの実施形態においても、2つの芳香環が結合した構造を主鎖に有するトナー用ポリエステル樹脂となる。
その結果、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂には、多価アルコール成分に含まれた多価アルコールが有する芳香環同士に働く弱い相互作用が、複数箇所で生じることとなるため、ポリエステル樹脂全体のガラス転移温度が上昇すると考えられる。
一方で、上記相互作用は弱いため、ガラス転移温度以上の熱が加わると熱の作用によって相殺されて、上記相互作用が働かなくなる傾向にあることから、軟化温度は上昇が抑制され、維持される傾向にあると考えられる。
また、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、2つの芳香環が結合した構造を主鎖に有していることで樹脂同士の絡まりが抑制されており、ガラス転移温度を超えた場合に樹脂の分子鎖同士が容易に解離されるため、軟化温度は上昇が抑制され、維持される傾向にあると考えられる。
多価アルコール成分としては、まず、第1の態様の場合、以下の態様が考えられる。
(i)(a)ビスフェノールA型ロジンジオールの含有量が、全多価アルコール成分に対して80モル%以上100モル%以下であり、(b)特定芳香族アルコールを含まない、多価アルコール成分。
(ii)(a)ビスフェノールA型ロジンジオールと、(b)特定芳香族アルコールのうち少なくとも1種を含み、(a)ビスフェノールA型ロジンジオール及び(b)特定芳香族アルコールの含有量が全多価アルコール成分に対して合計で80モル%以上100モル%以下であり、(a)ビスフェノールA型ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して10モル%以上80モル%以下である多価アルコール成分。
ビスフェノールA型ロジンジオールは、下記構造式(I)を有し、1分子中に2個のロジンエステル基を有するアルコール化合物である。
なお、本実施形態において、ロジンエステル基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
一般式(3)中、Yは、オキシアルキレン基を表す。
オキシアルキレン基としては、炭素数が2以上7以下がよく、2以上5以下が望ましく、2がより望ましい。
nは、1以上の整数を表す。
L2及びL3の環状アルキレン基としては、例えば、炭素数3以上7以下の環状アルキレン基が挙げられる。
L2及びL3で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基が挙げられる。
(b)特定芳香族アルコールとしては、(b−1)ロジンエステル基を有する特定芳香族アルコールと、(b−2)ロジンエステル基を有さない特定芳香族アルコールが挙げられる。
ここで、エーテル化ジフェノールとは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールを示す。
エーテル化ジフェノールとしては、アルキレンオキサイドがエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2モル以上16モル以下であるものが望ましく、具体的には、例えば、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2付加物及びビスフェノールAエチレンオキサイドが挙げられる。
ビフェニル型アルコール化合物としては、4−ヒドロキシメチルビフェニル及び4−(1−ヒドロキシエチル)ビフェニルが挙げられる。
これらのなかでも、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2付加物及びビスフェノールAエチレンオキサイドが望ましく、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2付加物がより望ましい。
構造式(I)〜(III)を有さない多価アルコールは、当該構造を有さなければ、ロジンエステル基を有するものであっても、ロジンエステル基を有さないものであってもよい。
構造式(I)〜(III)を有さない多価アルコールとしては、例えば、以下の脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル-1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ダイマージオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ジオールとしては、ベンゼンジメタノール、サリチルアルコール及びホモバニリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの多価アルコールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ロジンジオールは、公知の方法によって合成され、例えば、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応により合成される。
以下に、ロジンジオールの合成スキームを一例として示す。
芳香族系ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、芳香族ジオール成分としてビスフェノールA、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールAの誘導体類、ビスフェノールF、ビスフェノールFのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールFの誘導体類、ビスフェノールS、ビスフェノールSのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールSの誘導体類、レソルシノール、t−ブチルカテコール、ビフェノールなどが挙げられる。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン系化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下が望ましく、さらに望ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下が望ましく、さらに望ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を狙いとするデヒドロアビエチン酸量になるように不均化触媒の存在下で高温加熱して調製した不均化ロジンに添加してもよい。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けてもよい。
但し、例示化合物(1)、(2)、(18)、(19)及び(38)は、ビスフェノールA型ロジンジオールを例示し、例示化合物(3)、(4)、(20)、(21)及び(39)は、ビスフェノールF型ロジンジオールを例示し、(43)〜(47)は、ビフェニル型ロジンジオールを例示する。
なお、以下の例示化合物において、nは1以上の整数を表す。
多価カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。これらの中では、トナーの耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点から芳香族カルボン酸化合物が望ましい。
本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分を原料として、公知慣用の製造方法によって調製される。その反応方法としては、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用してもよい。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合を促進してもよい。上記反応によっては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。これら反応触媒の添加量は多価カルボン酸と多価アルコールの総量100質量部に対して、0.01質量部以上1.5質量部以下が望ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより望ましい。反応温度は例えば180℃以上300℃以下の温度で行うことがよい。
以下に、ビスフェノールA型ロジンジオールと多価カルボン酸成分との反応スキームの一例を示す。
なお、ポリエステル樹脂を表す構造式のうち、点線で囲まれた部分が本実施形態に係るロジンエステル基に該当する。
本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、トナーの耐久性、耐オフセット性の観点から、4000以上1000000以下が望ましく、7000以上300000以下がより望ましい。
「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて測定する。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作成する。
なお、軟化点は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求める。
なお、ガラス転移温度は、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを昇温速度(10℃/min)で加熱して測定する。
なお、酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行う。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出する。
本実施形態に係るトナーは、上記本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂を含んで構成されている。
トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤、離型剤及びその他添加剤と、を含んで構成される。
そして、結着樹脂としては、非晶性樹脂が挙げられ、非晶性樹脂として上記本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂が適用される。
結着樹脂としては、非晶性樹脂と共に結晶性樹脂を併用してもよい。
結着樹脂としては、上記本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂と共に、当該本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂以外のその他非晶性樹脂を併用してもよい。
但し、本実施形態に係るトナー用ポリエステルの含有量は、全結着樹脂100質量部に対して、70質量部以上が望ましく、90質量部以上がより望ましい。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、低温定着性を実現する観点から、脂肪族ジカルボン酸(その酸無水物および酸塩化物を含む)と脂肪族ジオールとの縮重合体であることがよい。
結晶性樹脂の含有量としては、全結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが望ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより望ましい。
なお、本実施形態において低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
着色剤としては、例えば、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
離型剤の含有量が0.5質量%以上であれば、特にオイルレス定着において剥離不良の発生が防止される。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性が悪化することがなく、画質および画像形成の信頼性が向上する。
帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂(本実施形態に係るポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂)と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂(本実施形態に係るポリエステル樹脂)を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
なお、トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部程度である。
以下、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
トナー粒子の製造方法としては、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよいが、中でも、例えば、結着樹脂、必要に応じて着色剤、離型剤その他内添剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;により、トナー粒子を得ることがよい。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
次に、本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収納し、静電荷像現像剤により静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体にトナー像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤を適用する。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写体の表面も平滑であることが望ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー画像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー画像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
−ビスフェノールA型ロジンジオール(1)−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw340.41)113部、ロジン成分として蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン(Mw302.45)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ビスフェノールA型ロジンジオール(1)を得た。
なお、ビスフェノールA型ロジンジオール(1)は、例示化合物(1)に該当する。
2官能エポキシ化合物としてビフェニル型エポキシ(商品名YL6121H、三菱化学株式会社製)49部、不均化ロジン(荒川化学工業株式会社 KR−614)を87部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ビフェニル型ロジンジオール(1)を得た。
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールF型(商品名jER806、三菱化学株式会社製)49部、不均化ロジンを89部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ビスフェノールF型ロジンジオール(1)を得た。
2官能エポキシ化合物として1,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン(商品名:B20628、和光純薬工業(株)製)50部、不均化ロジン(荒川化学工業株式会社 KR−614)を87部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、比較ロジンジオール(1)を得た。
なお、比較ロジンジオール(1)は、上記例示化合物(7)に該当する。
−ポリエステル樹脂A−
多価アルコール成分としてビスフェノールA型ロジンジオール(1)を50部、酸成分としてテレフタル酸(和光純薬工業(株)製)10部、ドデセニルコハク酸(東京化成工業(株)製)30部、セバシン酸(和光純薬(株)製)10部及び架橋剤としてチタンジイソプロポキシビス(マツモトファインケミカル(株)製)1部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、目的とする分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル樹脂1を合成した。
ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量、ガラス転移温度及び軟化温度を、既述の方法で測定した。
結果を表1に示す。
表1、2に従って、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを変更した以外は、ポリエステル樹脂Aと同様にして、ポリエステル樹脂B〜I、比較ポリエステル樹脂A〜Eを合成した。
ポリエステル樹脂B〜I、比較ポリエステル樹脂A〜Eの重量平均分子量、ガラス転移温度及び軟化温度を、既述の方法で測定した。
結果を表1、2に示す。
(トナー粒子1の作製)
−配合量−
ポリエステル樹脂A 100質量部
マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57) 3質量部
−トナーの製造−
トナー粒子1(100質量部)にシリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製))0.5質量部を加え、高速混合機によって混合し、トナーを得た。
結果を表3に示す。
−帯電量−
作製した現像剤をフタ付きのガラス瓶に秤量し、トナーの帯電量(μC/g)をブローオフ帯電量測定装置で測定して帯電量を得た。
作製したトナーの低温定着性について、次のようにして調べた。
画像を40mm×50mmのソリッド画像とし、トナー量は1.5mg/cm2、記録紙はミラーコートプラチナ紙(坪量:127gsm)を使用し手評価した。ついで、DocuPrint C2220の定着機を定着温度が可変となるように改造し、定着温度を100℃から段階的に上昇させながら定着性を評価した。
そして、低温定着性は、離型不良による画像欠損のない良好な定着画像を定められた荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いをグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。
低温定着性は、最低定着温度が140℃以下で、許容範囲とする。
得られたトナーを温度53℃湿度50%の環境下において16時間放置した後、トナーの凝集塊が形成されたかどうかを目視で観察した。
評価基準は以下のようにした。
耐熱性は、△及び○で、許容範囲とする。
△:凝集塊がわずかに観察されたが、許容範囲内である。
×:凝集塊が多く観察され、許容範囲を超えている
ポリエステル樹脂1を表3に従って変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製し、実施例1と同様にして評価した。
結果を表3に示す。
2Y,2M,2C,2K,108 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32 搬送ロール(排出ロール)
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ,
P,300 記録媒体(被転写体)
Claims (8)
- 多価カルボン酸成分と、
下記一般式(1)で表されるロジンジオールを含み、前記ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して80モル%以上100モル%以下である多価アルコール成分と、
の重縮合体であるトナー用ポリエステル樹脂。
(一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、又はメチル基を表す。L1は下記構造式(I)を有する2価の連結基を表し、L2及びL3は、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。A1及びA2はロジンエステル基を表す)
- 多価カルボン酸成分と、
下記一般式(1)で表されるロジンジオールと、前記ロジンジオールを除く、下記構造式(I)を有する芳香族アルコール、下記構造式(II)を有する芳香族アルコール及び下記構造式(III)を有する芳香族アルコールのうち少なくとも1種と、を含み、前記ロジンジオール及び前記芳香族アルコールの含有量が全多価アルコール成分に対して合計で80モル%以上100モル%以下であり、前記ロジンジオールの含有量が全多価アルコール成分に対して10モル%以上80モル%以下である多価アルコール成分と、
の重縮合体であるトナー用ポリエステル樹脂。
- 請求項1又は2に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナー。
- 請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
- 請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、
像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
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