JP2012229420A - トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位とアルコール成分由来の繰り返し単位とを含み、前記ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位全体に占める直鎖脂肪族ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下であり、前記アルコール成分由来の繰り返し単位として、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位を少なくとも含むトナー用ポリエステル樹脂。
【選択図】なし
Description
即ち、請求項1に係る発明は、
ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位とアルコール成分由来の繰り返し単位とを含み、
前記ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位全体に占める直鎖脂肪族ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下であり、
前記アルコール成分由来の繰り返し単位として、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位を少なくとも含むトナー用ポリエステル樹脂である。
前記アルコール成分由来の繰り返し単位全体に占める前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分が、ジオールである請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分が、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応生成物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
前記ロジン残基の元となるロジンが、精製ロジンである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
前記ロジン残基の元となるロジンが、不均化処理をされた不均化ロジン及び水素添加処理をされた水素化ロジンの少なくとも一種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーである。
請求項7に記載のトナーを含む現像剤である。
請求項7に記載のトナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項8に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法である。
本実施形態のトナー用ポリエステル樹脂(以下、特定ポリエステルと称することがある)は、ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位とアルコール成分由来の繰り返し単位とを含み、前記ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位全体に占める直鎖脂肪族ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下であり、前記アルコール成分由来の繰り返し単位として、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位を少なくとも含むものである。
ここで、特許4505738号明細書に記載の電子写真トナー用樹脂組成物は、ロジン(R)とエポキシ基含有化合物(E)との反応生成物(P)と結着用樹脂(Q)とを含有するが、該反応生成物(P)は、ロジン(R)由来のカルボン酸とエポキシ基含有化合物(E)由来のエポキシ基との反応により、その分子中に水酸基を含む。電子写真トナー用樹脂組成物中に含まれる水酸基の量が多いとトナーの帯電性に悪影響を与えるおそれがあるため、電子写真トナー用樹脂組成物中に含有できる反応生成物(P)の量は制限される。すると、電子写真トナー用樹脂組成物中に十分なロジン残基を存在させることが困難な場合があり、特許4505738号明細書に記載の電子写真トナー用樹脂組成物を用いたとしても、ロジン残基由来の効果を享受できないことがある。
また、特開2007−137910号公報に記載のトナー用ポリエステルは、アルコール成分と、精製ロジンを含有したカルボン酸成分とを重縮合させて得られる。しかし、ロジンに含まれるカルボン酸は3級カルボン酸であるため低反応性であり、アルコール成分とロジンとの間でエステル化反応が起こりにくく樹脂中に未反応のロジンが残留しやすい。その結果、トナー用ポリエステル中に水分が取り込まれやすくなり、該トナー用ポリエステルを含むトナーの帯電性が悪化することがある。
本実施形態の特定ポリエステルは、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位を含有する。ロジン残基の元となるロジンは、嵩高い構造を有し、且つ、疎水性が高い性質のため、ロジン残基を含む本実施形態の特定ポリエステルは含水しにくい。それに加えて、ポリエステル樹脂の構造上、樹脂分子の末端にのみ水酸基又はカルボキシル基が存在するため、トナーの帯電性に悪影響を与えるおそれのある水酸基又はカルボキシル基の量を増やすことなく樹脂中のロジン残基の量を増やすことができる。さらに、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分をロジンと2官能エポキシ化合物とを反応させて得る場合に、2官能エポキシ化合物中のエポキシ基とロジン中のカルボキシル基との間で生ずるエポキシ基の開環反応は、アルコール成分とロジンとの間で生ずるエステル化反応よりも反応性が高いため、本実施形態の特定ポリエステル中に未反応のロジンが残留しにくい。そのため、本実施形態の特定ポリエステルを含むトナーは、帯電性に優れるものと推察される。
ロジン残基を含有するアルコール成分を用い、かつロジン残基を含有するアルコール成分と脂肪族ジオールを併用して用いたポリエステル樹脂を用いた場合、酸モノマーにテレフタル酸或いはイソフタル酸を用いて樹脂のガラス転移温度を予め定められた値に調製するが、上記バランスは必ずしも良くない。ロジン残基を含有するアルコール成分を用いながら上記バランスを良くするには、脂肪族ジオールを用いないかわりに酸モノマーに直鎖脂肪族ジカルボン酸を用いることが肝要である。
ジカルボン酸成分(酸モノマー)に直鎖脂肪族ジカルボン酸を主に用い、アルコール成分(アルコールモノマー)にロジン残基を含有するアルコール成分を主に用いて構成するポリエルテルはシャープメルト性に優れ、このポリエステル樹脂を結着樹脂に用いたトナーの低温定着性が良好となる。その理由は明確ではないが以下のように推察される。
ロジン自体がガラス転移温度(40℃以上50℃以下)を示す硬い成分であることから、樹脂中にロジン由来の残基を多く含むことにより、樹脂の耐熱性(対ブロッキング性)を高めることができる。一方、加熱されるとロジン以外の樹脂成分(直鎖脂肪族カルボン酸他)も流動するようになるので、樹脂全体として流動する。本実施形態でいうシャープメルト性とは、耐熱性を示す上限温度と流動する温度の差が小さいことをいう。今回の樹脂は耐熱性を示す上限温度側を高めることからシャープメルト性を示すと考えられる。
なお、本実施形態において「低温定着」とは、トナーを130℃以下で加熱して定着させることをいう。
ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分としては、例えば、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応生成物が挙げられ、特に、下記一般式(1)で表されるアルコール成分が好ましい。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン系化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下が好ましく、さらに好ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を狙いとするデヒドロアビエチン酸量になるように不均化触媒の存在下で高温加熱して調製した不均化ロジンに添加しても良い。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けても良い。
本実施形態の特定ポリエステルは、上述したアルコール成分とジカルボン酸成分を原料として、公知慣用の製造方法によって調製され、その反応方法としては、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用可能である。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合を促進することもできる。上記反応によっては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。これら反応触媒の添加量はアルコール成分とジカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01質量部以上1.5重量部以下が好ましく、0.05質量部以上1.0重量部以下がより好ましい。反応は180℃以上300℃以下の温度で行うことができる。
トナーの耐久性、耐ホットオフセットの観点から、本実施形態の特定ポリエステルの重量平均分子量は4,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上300,000以下がより好ましい。
本実施形態のトナーは、本実施形態の特定ポリエステルを含有し、必要に応じて着色剤、離型剤、外添剤等のその他の成分を含んでもよい。
本実施形態の特定ポリエステルをトナー用結着樹脂として用いることにより、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。本実施形態のトナーには、本実施形態の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、特定ポリエステル以外のポリエステル等の他の樹脂が併用されても良いが、本実施形態の特定ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが本実施形態の結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮するとアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
アルコール構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
本実施形態のトナーの形状係数SF1は110以上150以下の範囲であることが望ましく、120以上140以下の範囲であることがより望ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
混練粉砕法は、より詳細には、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する混錬工程と、前記混錬物を粉砕する粉砕工程とに分けられる。必要に応じて、混錬工程により形成された混錬物を冷却する冷却工程等、他の工程を有してもよい。
各工程について詳しく説明する。
混錬工程は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する。
混錬工程においては、トナー形成材料100質量部に対し、0.5質量部以上5質量部以下の水系媒体(例えば、蒸留水やイオン交換水等の水、アルコール類等)を添加することが望ましい。
スクリュー押出し機11は、スクリュー(図示せず)を備えたバレル12と、バレル12にトナーの原料であるトナー形成材料を注入する注入口14と、バレル12中のトナー形成材料に水系媒体を添加するための液体添加口16と、バレル12中でトナー形成材料が混錬されて形成された混錬物を排出する排出口18と、から構成されている。
ついで、送りスクリュー部SBにおいて、液体添加口16からバレル12に水系媒体を注入することにより、トナー形成材料に水系媒体を添加する。また図1では、送りスクリュー部SBにおいて水系媒体を注入する形態を示しているが、これに限られず、ニーディング部NBにおいて水系媒体が注入されてもよく、送りスクリュー部SB及びニーディング部NBの両方において水系媒体が注入されてもよい。すなわち、水系媒体を注入する位置及び注入箇所は、必要に応じて選択される。
最後に、ニーディング部NBにより溶融混錬されて形成された混錬物は、送りスクリュー部SCにより排出口18に輸送され、排出口18から排出される。
以上のようにして、図1に示したスクリュー押出機11を用いた混錬工程が行われる。
冷却工程は、上記混錬工程において形成された混錬物を冷却する工程であり、冷却工程では、混錬工程終了の際における混錬物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。上記平均降温速度で急冷すると、混錬工程終了直後の分散状態がそのまま保たれるため好ましい。なお上記平均降温速度とは、混錬工程終了の際における混錬物の温度(例えば図1のスクリュー押出し機11を用いた場合は、t2℃)から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、具体的には、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混錬物の供給量、混錬物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1から3mmの薄さであることが好ましい。
冷却工程により冷却された混錬物は、粉砕工程により粉砕され、粒子が形成される。粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
粉砕工程により得られた粒子は、必要に応じて、目的とする範囲の体積平均粒子径のトナー粒子を得るため、分級工程により分級を行ってもよい。分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
得られたトナー粒子は、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、既述の特定シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機粉末を添加付着してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行われ、段階を分けて付着される。
上記外添工程の後に、必要に応じて篩分工程を設けてもよい。篩分方法としては、具体的には、例えば、ジャイロシフター、振動篩分機、風力篩分機等が挙げられる。篩分することにより、外添剤の粗粉等が取り除かれ、感光体上の筋の発生、装置内のぼた汚れなどが抑制される。
次に、原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を融合する融合工程とを経て、トナー粒子を得る。なお、コア粒子と、このコア粒子を被覆するシェル層とを有するいわゆるコアシェル構造型のトナーを作製する場合には、凝集粒子形成工程を終えた後の原料分散液に、樹脂粒子分散液を添加して(トナー化した際にコア粒子となる)凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて(トナー化した際にシェル層となる)被覆層を形成する被覆層形成工程を実施し、その後に融合工程を実施する。なお、被覆層形成工程に用いる樹脂成分は、コア粒子を構成する樹脂成分と同一であっても異なっていてもよいが、通常は、非晶性樹脂が用いられる。
−乳化工程−
凝集粒子形成工程に用いる原料分散液を準備するために、乳化工程では、トナーを構成する主要な材料を、水系媒体中に分散させた乳化分散液を調製する。以下、樹脂粒子分散液や、着色剤分散液、離型剤分散液等について説明する。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.8μm以下であってもよく、0.03μm以上0.6μmであってもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒径が上記範囲内であれば前記欠点がない上、トナー間の組成偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。
着色剤分散液を調製する際の分散方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用してもよく、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用して着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して着色剤の有機溶剤分散液を調製したりしてもよい。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いてもよい。
離型剤分散液は、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を乳化分散する場合と同様、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の融解温度以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を分散させる。また、離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液及び離型剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融解温度付近(±20℃)の温度で、且つ、融解温度以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
なお、本実施形態において「室温」とは25℃をいう。
また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコアシェル構造を有するトナーが得られる。
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程および被覆層形成工程を経た後に実施される融合工程では、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
凝集粒子の融合工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液でトナー粒子に付着した分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などで洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が用いられる。
本実施形態の現像剤は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
次に、本実施形態の現像剤を用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
図2は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ね合わされて重ね合わせトナー像が形成される。
尚、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して重ね合わせトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図3は、本実施形態の現像剤を収納するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置(帯電ローラ)108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。尚、300は記録紙である。
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーとしたものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
<軟化温度の測定>
軟化温度の測定は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求めた。
「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
装置HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)と、カラムTSKgel SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2本)(東ソー(株)製)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
−特定ロジンジオール(1)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw340.41)113部、ロジン成分として蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン(Mw302.45)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(1)を得た。
アルコール成分として特定ロジンジオール(1)38mol部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド(商品名BA-P2 日本乳化剤(株)製)12mol部、酸成分としてセバシン酸(和光純薬工業(株)製)39mol部、イソフタル酸(和光純薬工業(株)製)11mol部、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.15mol部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、予め定められた分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル樹脂1を合成した。合成した特定ポリエステル樹脂1を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、1H−NMR測定を行い、特定ロジンジオール(1)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、セバシン酸、及び、イソフタル酸で仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
−特定ロジンジオール(30)の合成−
2官能エポキシ化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名EX−810、ナガセケムテックス(株)製,Mw174.19)70部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製,Mw300.44)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(30)を得た。
アルコール成分として特定ロジンジオール(30)25mol部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド(商品名BA-P2 日本乳化剤(株)製)25mol部、酸成分としてセバシン酸(和光純薬工業(株)製)30mol部、テレフタル酸(和光純薬工業(株)製)20mol部、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.15mol部を攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、予め定められた分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル樹脂2を合成した。合成した特定ポリエステル樹脂2を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、1H−NMR測定を行い、特定ロジンジオール(30)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、セバシン酸、及び、テレフタル酸で仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
合成例1の特定ポリエステル樹脂1の合成と同様の方法で、表2に示すモノマーを用いて特定ポリエステル3乃至11の合成を行った。分子量、酸価、ガラス転移温度、軟化温度の測定結果、ロジンの種類、及び、ジカルボン酸性分中の直鎖脂肪族ジカルボン酸の比率(即ち、ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位全体に占める直鎖脂肪族ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位の割合)を表2に示す。
なお、特定ポリエステル7の合成で用いた特定ロジンジオール(38)は、下記方法によって合成した。
−特定ロジンジオール(38)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw340.41)113部、ロジン成分として水素化ロジン(商品名パインクリスタルKE-604、荒川化学工業(株)製,Mw306.48)200部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物として挙げられた特定ロジンジオール(38)を得た。
〔実施例1〕
−トナー粒子1の製造−
下記混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した。その後、風力式分級機(ターボクラシファイアー(TC−15N),日清エンジニアリング社製)で細粒、粗粒を分級し、その中間サイズの粒子を得る過程を3回繰り返し、体積平均粒子径=7.0μmのマゼンタ色のトナー粒子1を得た。
マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57) 4部
ワックス(HNP-9、日本精蝋社製) 6部
トナー粒子1の100部に、シリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製))0.5部を加え、高速混合機によって混合し、トナー1を得た。
上記トナー1とメチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆した粒径40μmのフェライトよりなるキャリアを用い、キャリア100部に対して、トナー1を7部添加し、タンブラーシェーカーミキサーで混合して現像剤1を得た。
トナー1あるいは現像剤1を用いて定着性テスト、熱保管性テストを行った。その結果、いずれも良好な低温定着性が得られた。その結果を表3に示す。
<定着性(最低定着温度)>
現像剤を市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)に用いてトナー載り量4.5g/m2の3cm×4cmのソリッド画像出しを行い、未定着画像を得た。
ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を80℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。
トナー2gを上皿に怦量し、53℃50%RHに設定されたチャンバー内に24時間静置した。次にチャンバーから取り出したトナーを上皿から目開き44μのメッシュに乗せ、そのメッシュ越しにトナーを吸引をしながら振動をかけて、メッシュ上に残ったトナー量(凝集粗大トナー)を測定して熱保管性を評価した。
熱保管性=メッシュ上のトナー残量/2g×100 (%)
−判定基準−
0%以上15%未満:○
15%以上25%未満:△
25%以上100%:×
特定ポリエステル1、マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57)を表1に示す特定ポリエステル、顔料に変えたこと以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子2乃至8、トナー2乃至8、現像剤2乃至8を得た。次に、実施例1と同様の方法で定着性テスト、熱保管性テストを行い、いずれも良好な低温定着性が得られた。その結果を表3に示す。
表1に示すように特定ポリエステル3を特定ポリエステル9乃至11に変えたこと以外は実施例3と同様の方法でトナー粒子9乃至11、トナー9乃至11、現像剤9乃至11を得た。次に、実施例1と同様の方法で定着性テスト、熱保管性テストを行い、いずれも高い定着温度が必要であった。その結果を表3に示す。
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・特定ポリエステル樹脂1:100部
・酢酸エチル:100部
・イソプロピルアルコール:15部
5Lのセパラブルフラスコに酢酸エチル、イソプロピルアルコールを投入し、その後上記樹脂を徐々に投入して、スリーワンモーターで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に10%アンモニア水溶液を合計で3部となるようにスポイトで徐々に滴下し、更にイオン交換水230部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させ、更にエバポレータで減圧しながら脱溶剤を実施し、特定ポリエステル樹脂1からなる樹脂粒子分散液(1)を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、140nmであった。(樹脂粒子濃度はイオン交換水で調製して30%とした)
特定ポリエステル樹脂1を特定ポリエステル樹脂3に変えた以外は樹脂粒子分散液(1)の調製と同様の方法で樹脂粒子分散液(2)を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、150nmであった。(樹脂粒子濃度はイオン交換水で調製して30%とした)
加熱乾燥した三口フラスコに、デカンジカルボン酸 100mol%、ノナンジオール 100mol%と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.13mol%とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌・還流を行った。
その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(A)を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は22700で数平均分子量(Mn)は7100であった。
また、結晶性ポリエステル樹脂(A)の融解温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確な吸熱ピークを示し、吸熱ピーク温度は72.5℃であった。
・結晶性ポリエステル樹脂(A):90部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK (第一工業製薬):1.8部
・イオン交換水:210部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで110℃に加温して分散処理を1時間行い、中心径200nm, 固形分量30%の結晶性ポリエステル樹脂分散液(A)を得た。
・青色顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化製):50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK (第一工業製薬):5部
・イオン交換水:195部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が442nmで固形分量が20.0%の着色剤分散液1を得た。
・オレフィンワックス、(HNP-9、日本精蝋社製):90部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK (第一工業製薬):1.8部
・イオン交換水:210部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで110℃に加温して分散処理を1時間行い、中心径180nm, 固形分量30%の離型剤分散液1を得た。
−トナー粒子12の作製−
・樹脂粒子分散液(1):220部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(A):10部
・着色剤分散液1:25部
・離型剤分散液1:30部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で混合・分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)を60部追加した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで凍結乾燥を40℃設定で24時間継続してトナー粒子12を得た。
このときの粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均径D50は5.8μm、粒度分布係数GSDvは1.21であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は135でポテト状であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(2)に変えたこと以外は実施例9と同様の方法でトナー粒子13、トナー13、現像剤13を得た。次に、実施例1と同様の方法で定着性テスト、熱保管性テストを行い、いずれも良好な低温定着性が得られた。その結果を表3に示す。
2Y,2M,2C,2K 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32 搬送ロール(排出ロール)
108 帯電装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
P,300 記録紙(被転写体)
Claims (12)
- ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位とアルコール成分由来の繰り返し単位とを含み、
前記ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位全体に占める直鎖脂肪族ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下であり、
前記アルコール成分由来の繰り返し単位として、ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位を少なくとも含むトナー用ポリエステル樹脂。 - 前記アルコール成分由来の繰り返し単位全体に占める前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の割合が、50モル%以上100モル%以下である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分が、ジオールである請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 前記ロジン残基を含有するアルコール成分由来の繰り返し単位の元となるアルコール成分が、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応生成物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 前記ロジン残基の元となるロジンが、精製ロジンである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 前記ロジン残基の元となるロジンが、不均化処理をされた不均化ロジン及び水素添加処理をされた水素化ロジンの少なくとも一種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。
- 請求項7に記載のトナーを含む現像剤。
- 請求項7に記載のトナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。 - 請求項8に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
- 潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法。
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