JP6295705B2 - トナー用ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
特許文献1には、少なくとも1つの二酸、酸エステルまたはジエステルと;少なくとも1つのジオールとの重縮合生成物を含み、少なくとも1つの二酸、酸エステルまたはジエステルが、ロジン二酸、ロジン酸エステルまたはロジンジエステルを含むか、または、少なくとも1つのジオールが、ロジンジオールを含む、ポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献2には、ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有し、酸価が3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であるトナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
(一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。L、L、Lはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有しても良い鎖状アルキレン基、置換基を有しても良い環状アルキレン基、置換基を有しても良いアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとL又はLとLで環を形成しても良い。A、Aはロジンエステル基を表わす。)
特許文献3には、下記化学式で示される化合物(但し、式中Xは、脂肪族または芳香族であり、Yは、精製ロジン残基、不均化ロジン残基、又は水添ロジン残基であり、n=0〜1である。)がアルコール成分の必須成分であるポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献4には、少なくとも、多価カルボン酸と、ロジンを含む芳香族多価アルコールと、ロジンを含む脂肪族多価アルコールと、の重縮合体である静電荷像現像トナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
特開2012−149254号公報 特開2012−229413号公報 特開2011−246650号公報 特開2013−064059号公報
本発明は、トナーの破壊を抑制するトナー用ポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、
脂肪族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、下記一般式(1)で表される多価アルコールを全多価アルコール成分に対して2モル%以上15モル%以下で含む多価アルコール成分と、の重縮合体であり、
前記下記一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する総炭素数C1と、前記脂肪族多価カルボン酸の有する総炭素数C2と、が以下の関係式(A)を満たすトナー用ポリエステル樹脂。
関係式(A): 0.5<C1/C2≦3
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素又はメチル基を表わす。Lは、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、又は該鎖状アルキレン基とエステル基若しくはエーテル基とを組み合わせた2価の基を表わし、L及びLは、各々独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらを組み合わせた2価の基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、LとLと又はLとLとで環を形成してもよい。A及びAは、ロジンをエステル化反応した後の残基であるロジンエステル基を表わす。
請求項2に係る発明は、
前記脂肪族多価カルボン酸が、全多価カルボン酸成分に対して1モル%以上30モル%以下含まれる請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項3に係る発明は、
前記脂肪族多価カルボン酸が、炭素数4以上6以下の脂肪族多価カルボン酸である請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項4に係る発明は、
前記多価アルコール成分に含まれる、前記一般式(1)で表される多価アルコール以外のアルコールが、炭素数が5以下の多価アルコールである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナーである。
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項8に係る発明は、
請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
請求項9に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項6に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法である。
請求項1に係る発明によれば、関係式(A):0.5<C1/C2≦3を満たさないトナー用ポリエステル樹脂に比べ、トナーの破壊を抑制するトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項2に係る発明によれば、脂肪族多価カルボン酸を全多価アルコール成分に対して1モル%以上30モル%以下含まない多価カルボン酸成分の重縮合体であるトナー用ポリエステル樹脂に比べ、トナーの破壊を抑制するトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項3に係る発明によれば、脂肪族多価カルボン酸が、炭素数が4以上6以下の範囲外の脂肪族多価カルボン酸であるトナー用ポリエステル樹脂に比べ、トナーの破壊を抑制するトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項4に係る発明によれば、多価アルコール成分に含まれる、一般式(1)で表される多価アルコール以外の多価アルコールが、炭素数が5より大きい多価アルコールであるトナー用ポリエステル樹脂に比べ、トナーの破壊を抑制するトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項5に係る発明によれば、一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、が式(1):0.5<C1/C2≦3を満たさないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーに比べ、トナーの破壊を抑制する静電荷像現像用トナーが得られる。
請求項6に係る発明によれば、一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、が式(1):0.5<C1/C2≦3を満たさないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、トナーの破壊を抑制する静電荷像現像剤が得られる。
請求項7、8、9、及び10に係る発明によれば、一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、が式(1):0.5<C1/C2≦3を満たさないトナー用ポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーを適用する場合に比べ、トナーの破壊に起因する画像欠陥が抑制された画像が得られるトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法が得られる。
本実施形態に係るトナーの製造に用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明のトナー用ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法について、一例である実施形態を示し詳細に説明する。
[トナー用ポリエステル樹脂]
本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、脂肪族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、下記一般式(1)で表される多価アルコール(以下、「特定ロジンジオール」と称する場合がある)を全多価アルコール成分に対して50モル%以下含む多価アルコール成分と、の重縮合体であり、前記下記一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、前記脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、が以下の関係式(A)を満たす。
関係式(A): 0.5<C1/C2≦3
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素又はメチル基を表わす。Lは、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、又は該鎖状アルキレン基とエステル基若しくはエーテル基とを組み合わせた2価の基を表し、L及びLは、各々独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらを組み合わせた2価の基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、LとLと又はLとLとで環を形成してもよい。A及びAはロジンエステル基を表わす。
ロジンジオールを重縮合成分とするポリエステル樹脂は、ロジンジオールが嵩高いロジン構造を側鎖に規則的に有するため、分子間の凝集力が弱く、脆くなる傾向にある。
そのため、ロジンジオールと芳香族多価カルボン酸との重縮合体である樹脂を適用した静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある)は、衝突などによる機械的負荷(例えば、キャリアとの撹拌による負荷)が付与されることにより、破壊され易い。
そこで、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、炭素数C1及びC2が上記関係式(A)を満たす、上述のような多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合体とした上でトナーに適用し、衝突などによる機械的負荷が付与されたときのトナーの破壊を抑制する。
その理由は定かではないか、以下に示す理由によるものと考えられる。
ポリエステル樹脂を含むトナーは、ポリエステル樹脂が脆性を有する場合に破壊され易い。ポリエステル樹脂の脆性は、例えば、樹脂同士の絡み合い、樹脂鎖の柔軟性、結晶化した部分の存在等により制御されると考えられる。
ここで、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、重縮合成分である多価カルボン酸成分に脂肪族多価カルボン酸を含んでいるため、該多価カルボン酸成分と、特定ロジンジオールを含む多価アルコール成分とを重縮合すると、嵩高い2つの側鎖ロジンが連結された主鎖に、脂肪族多価カルボン酸の構造を有する樹脂となる。
そのため、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、主鎖に柔軟な構造を有することとなり、樹脂鎖の柔軟性が向上し、樹脂同士の絡み合いが抑制されると考えられる。
そして、嵩高いロジン構造の連結部が柔軟になるため、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、ロジン構造に起因して樹脂の排除体積が大きくなることを抑制するから、樹脂間の凝集力が向上し、脆性が弱まると考えられる。
特に、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、特定ロジンジオールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、の割合(C1/C2)が0.5より大きく2未満であって、つまり、炭素数の差の小さい脂肪鎖を主鎖に有するポリエステル樹脂である。そのため、側鎖にロジンのような嵩高い構造が付されたポリエステル樹脂であっても、樹脂全体の凝集力が向上する傾向にあり、脆性が弱まると考えられる。
これは、炭素数C1、C2が、上記関係式を満たすことによる柔軟性に加え、エステル基がほぼ一定の間隔で配置されることにより、樹脂間の水素結合による凝集力の効果を得ることができるためであると考える。
なお、上記割合(C1/C2)は、特定ロジンジオール及び脂肪族多価カルボン酸が複数種類用いられている場合、各特定ロジンジオール及び各脂肪族多価カルボン酸の全組合せにおいて、上記範囲内となる。
以上より、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、トナーの破壊を抑制する。
なお、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂は、トナーの破壊を抑制することにより、画像背景部の汚れや、転写性の低下を抑制すると考えられる。
ここで、特定ロジンジオールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、の割合(C1/C2)は、0.5以上2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下がより好ましい。
が表す2価の基の有する炭素数C1は、3以上15以下が好ましく、3以上10以下がより好ましく、4以上10以下がさらに好ましい。
また、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2は、2以上8以下が好ましく、4以上6以下がさらに好ましい。
なお、特定ロジンジオールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1とは、Lが表す2価の基の総炭素数を意味しており、Lが表す2価の基が、例えば、分岐、又は炭素原子を含む置換基を有している場合、分岐している鎖の炭素数や、置換基の炭素を含めた炭素数の総数を意味する。
また、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2も、上記炭素数C1と同様に、脂肪族多価カルボン酸の総炭素数(つまり、多価カルボン酸のカルボキシル基の炭素も含む総炭素数)を意味しており、脂肪族多価カルボン酸が、例えば、分岐、又は炭素原子を含む置換基を有している場合、分岐している鎖の炭素数や、置換基の炭素を含めた炭素数の総数を意味する。
以下、本実施形態に係るトナー用ポリエステル樹脂(以下、「特定ポリエステル樹脂」と称する場合がある)を得るためのモノマー成分、多価カルボン酸成分、及び多価アルコール成分について、詳細に説明する。
<多価カルボン酸成分>
特定ポリエステル樹脂を得るために用いられる多価カルボン酸成分について説明する。
多価カルボン酸成分は、脂肪族多価カルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分は、以下に示すような、脂肪族構造を含む脂肪族多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよい。
また、多価カルボン酸成分は、トナーの低温定着性をより優れたものとしうる観点から、以下に示すような、芳香族構造を含む芳香族多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種と、以下に示すような、脂肪族構造を含む脂肪族多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含むことが好ましい。
脂肪族多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物;及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル;等が挙げられる。
これらの脂肪族ジカルボン酸は単独で用いられても、2種以上を併用してもよい。
脂肪族多価カルボン酸は、重縮合したときに脂肪族構造の鎖長が長い箇所が部分結晶化し、重縮合体中に結晶ドメインが発生することを抑制し、トナーの破壊を抑制する観点から、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2が4以上6以下であることが好ましく、炭素数C2が4以上6以下の脂肪族ジカルボン酸であることがより好ましい。
炭素数C2が4以上6以下の脂肪族ジカルボン酸として具体的には、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、フマル酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸がさらに好ましく、コハク酸が特に好ましい。
脂肪族多価カルボン酸は、全多価カルボン酸成分に対して、1モル%以上30モル%以下含まれることが好ましい。
脂肪族多価カルボン酸が、全多価カルボン酸成分に対して上記範囲内で含まれることにより、重縮合したときに脂肪族構造の鎖長が長い箇所が部分結晶化し、重縮合体中に結晶ドメインが発生することを抑制し、トナーの破壊を抑制すると考えられる。
脂肪族多価カルボン酸は、全多価カルボン酸成分に対して、3モル%以上25モル%以下含まれることがより好ましく、4モル%以上20モル%以下含まれることがさらに好ましい。
芳香族多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;それらの酸の無水物;及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル;等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族多価カルボン酸は、トナーに適用した際の、トナーの耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点、及び入手容易性の観点から、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で用いられても、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態の効果を損なわない範囲で、多価カルボン酸成分として3価以上の芳香族カルボン酸も用いてもよい。
3価以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
3価以上の芳香族カルボン酸としては、入手容易性、反応性の観点から無水トリメリット酸が好ましい。
<多価アルコール成分>
多価アルコール成分について説明する。
多価アルコール成分は、特定ロジンジオールと、特定ロジンジオール以外の多価アルコールと、を含む。
多価アルコール成分は、全多価アルコール成分に対して、特定ロジンジオールを50モル%以下含む。
特定ロジンジオールは、定着性と帯電性とのバランスをとる観点から、全多価アルコール成分に対して、2モル%以上40モル%以下含むことが好ましく、4モル%以上15モル%以下含むことがより好ましい。
(特定ロジンジオール)
次に、特定ポリエステル樹脂を得るために用いられる多価アルコール成分の1つである、特定ロジンジオールについて説明する。
上記一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素又はメチル基を表わす。Lは、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、又は該鎖状アルキレン基とエステル基若しくはエーテル基とを組み合わせた2価の基を表し、L及びLは、各々独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらを組み合わせた2価の基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、LとLと又はLとLとで環を形成してもよい。A及びAはロジンエステル基を表わす。
ここで、ロジンエステル基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
で表される鎖状アルキレン基としては、炭素数1以上15以下の鎖状アルキレン基が挙げられ、中でも、置換基としてメチル基を有するものが好ましい。
としては、鎖状アルキレン基とエステル基若しくはエーテル基とを組み合わせた2価の基であることが好ましい。中でも、Lとしては、メチレン基、エーテル基、及び総炭素数4以上10以下のアルキレン基を組み合わせた2価の基が好ましく、メチレン基、エーテル基、及び総炭素数2以上5以下のアルキレン基を組み合わせた2価の基がより好ましく、以下に示す2価の基が特に好ましい。
以下に示す2価の基の中でも、1、2、3、及び5に示す構造が好ましく、メチル基を置換基として有する1及び5が特に好ましい。
なお、nは、2以上の整数を表す。

前記L及びLで表される鎖状アルキレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられる。
前記L及びLで表される環状アルキレン基としては、例えば、炭素数3以上7以下の環状アルキレン基が挙げられる。
前記L及びLで表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基が挙げられる。
及びLとして好ましくは鎖状アルキレン基であり、より好ましくは炭素数1以上2以下の鎖状アルキレン基である。
前記鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基に導入される置換基の例としては、炭素数1以上8以下のアルキル基、アリール基などが挙げられ、直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
次に、特定ロジンジオールの合成方法について具体的に説明する。
特定ロジンジオールは公知の方法、例えば、エポキシ化合物とロジンの反応により合成する。
本実施形態で用いてもよいエポキシ化合物は、1分子中にエポキシ基を2個含む2官能エポキシ化合物であり、一般式(1)におけるLとなるよう、脂肪族系ジオールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
このように、多官能のエポキシ化合物を用いて特定ロジンジオールを合成していることで、例えば、かかる特定ロジンジオールに由来する繰り返し単位を含む特定ポリエステル樹脂は、更に帯電性に優れたトナーを得る。これは、エポキシ化合物の反応性が、汎用の他官能アルコールの反応性よりも高いため、ロジンの有する反応性の低いカルボン酸を効率的に反応させられるためである。その結果、逆反応や副反応も抑制される。
これは、エポキシ化合物の反応性が、汎用の他官能アルコールの反応性よりも高いため、ロジンの有する反応性の低いカルボン酸を効率的に反応させられるためである。その結果、逆反応や副反応も抑制される。
脂肪族系ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジグリシジルエーテルが挙げられる。
中でも、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどのジグリシジルエーテルが好ましいものとして挙げられる。
上記エポキシ基含有化合物は、例えば、ジオール成分とエピハロヒドリンの反応で得られる。
ロジンと2官能エポキシ化合物との反応は、主としてロジンのカルボキシル基と2官能エポキシ化合物のエポキシ基との開環反応により進む。その際、反応温度としては両構成成分の溶融温度以上、又は混合が実現される温度であることが好ましく、具体的には60℃以上200℃以下の範囲が一般的である。反応に際し、エポキシ基の開環反応を促進する触媒を加えてもよい。
触媒としては、エチレンジアミン、トリメチルアミン、2−メチルイミダゾールなどのアミン類、トリエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルアンモニウムクロライド、ブチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどを挙げられる。
反応は種々の方法で行われ、例えば、一般的には回分式の場合は冷却管、撹拌装置、不活性ガス導入口、温度計等を備えた加熱する機能を有するフラスコに目的とする割合でロジンと2官能エポキシ化合物を仕込み、加熱溶融し反応物をサンプリングすることによって反応進行を追跡する。反応を進行度は主として酸価の低下によって確認され、例えば、化学量論的な反応終点又はその近くに到達した時点をもって反応を完結する。
ロジンと2官能エポキシ化合物との反応比率は、特に制限されないが、2官能エポキシ化合物1モルに対してロジンを1.5モル以上2.5モル以下の範囲で反応させることが望ましい。
次に、一般式(1)であらわされる特定ロジンジオール中のロジンについて説明する。
ロジンとは樹木から得られる樹脂酸の総称であり、主成分は3環性ジテルペン類の1種であるアビエチン酸とその異性体類を含む天然物由来の物質である。具体的な成分としては、例えば、アビエチン酸の他にパラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸などがあり、本実施形態で用いるロジンはこれらの混合物である。ロジンは採取方法による分類では、原料をパルプとするトールロジン、原料を生松脂とするガムロジン、及び原料を松の切り株とするウッドロジンの3種に大別される。ロジンは入手が容易であることからガムロジン及びトールロジンのしょうなくとも一方が好ましい。
これらのロジン類は精製することが好ましく、例えば、未精製のロジン類から樹脂酸の過酸化物から生起したと考えられる高分子量物や、未精製のロジン類に含まれていた不ケン化物を除去することにより精製ロジンを得られる。精製方法は特に限定されず、公知の各種精製方法を選択する。具体的には蒸留、再結晶、抽出等の方法が挙げられる。工業的には蒸留による精製を行うことが好ましい。蒸留は、通常、200℃以上300℃以下、6.67kPa以下の圧力で蒸留時間を考慮して選択される。再結晶は、例えば、未精製ロジンを良溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、この溶液に貧溶媒を添加することにより行う。良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類、低級アルコール等のアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられ、貧溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。抽出は、例えば、アルカリ水を用いて未精製のロジンをアルカリ水溶液となし、これに含まれる不溶性の不ケン化物を、有機溶媒を用いて抽出したのち、水層を中和することで精製ロジンを得る方法である。
ロジンは、不均化ロジンでもよい。不均化ロジンとは、主成分としてアビエチン酸を含むロジンを不均化触媒の存在下で高温加熱することによって、分子内の不安定な共役二重結合を消失させたもので、主成分として、デヒドロアビエチン酸とジヒドロアビエチン酸との混合物である。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン系化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下が好ましく、さらに好ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を上述の範囲となるように添加してもよい。
ロジンは、水素化ロジンでもよい。水素化ロジンは、例えば、主成分としてテトラヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸を含み、公知の水素化反応により分子内の不安定な共役二重結合を消失させて得られる。水素化反応は水素化触媒の存在下に通常10Kg/cm2以上200Kg/cm2以下、好ましくは50Kg/cm2以上150Kg/cm2以下の水素加圧下で、未精製ロジンを加熱することにより行なう。水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものを例示しうる。該触媒の使用量は、ロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下、好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上290℃以下である。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けても良い。
ロジンは、ロジンを重合して得られる重合ロジン、ロジンに不飽和カルボン酸を付加させた不飽和カルボン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンでもよい。なお、不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。当該不飽和カルボン酸変性ロジンは、原料ロジン100質量部に対し、不飽和カルボン酸を通常1質量部以上30質量部以下程度用いて変性したものである。
ロジンの中でも、反応性を均一化し、残留モノマーや副反応を抑制した均質な特定ポリエステル樹脂を得るために、精製処理された精製ロジン、不均化処理された不均化ロジン、又は、水素添加処理された水素化ロジンを用いることが好ましい。これらを単独で用いても、いずれかの混合物でもよい。
均質な特定ポリエステル樹脂は、トナーの帯電性の制御がより容易になるといった利点を有する。
また、これらロジンを適用すると、トナーの相溶解がより高まり、その結果、高速での低温定着時や低圧力定着したときの画像光沢の均一性がより向上し易くなる。
以下に、特定ロジンジオールの例示化合物を以下に示すが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。

なお、上記特定ロジンジオールの例示化合物において、nは1以上3以下の整数を表す。
(その他の多価アルコール)
本実施形態では、多価アルコール成分として、特定ロジンジオールと、特定ロジンジオール以外の多価アルコール(その他の多価アルコール)と、を併用する。
その他の多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル-1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ダイマージオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAブチレンオキサイド付加物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
また、本実施形態においては、脂肪族ジオールと共に、エーテル化ジフェノールを更に用いてもよい。エーテル化ジフェノールとは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールであり、該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2モル以上16モル以下であるものが望ましい。
多価アルコール成分に含まれる、その他の多価アルコールは、重縮合体となった場合に、鎖長が長い箇所の部分結晶化を抑制する観点から、炭素数が5以下であることが好ましく、総炭素数が4以下であることがより好ましい。
また、その他の多価アルコールとしては、脂肪族ジオールが好ましい。
ここで、その他の多価アルコールの総炭素数とは、その他の多価アルコールが、例えば、側鎖又は置換基を有する場合、側鎖又は置換基の炭素も含めた炭素数を示す。
(特定ポリエステル樹脂の合成)
特定ポリエステル樹脂は、脂肪族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、ロジンジオールを全多価アルコール成分に対して50モル%以下含む多価アルコール成分と、を原料として、公知慣用の重縮合によって得られる。
その反応方法としては、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用される。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合を促進してもよい。上記反応によっては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガン、ゲルマニウムより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。これら反応触媒の添加量は酸成分とアルコール成分の総量100質量部に対して、0.01質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。反応温度は180℃以上300℃以下の温度が好ましい。
特定ロジンジオールに含有されるロジンエステル基の元となるロジンは、嵩高い構造を有し、且つ、疎水性が高い性質のため、ロジンエステル基を含む特定ポリエステル樹脂は含水しにくい。それに加えて、特定ポリエステル樹脂の構造上、樹脂分子の末端にのみ水酸基又はカルボキシル基が存在するため、トナーの帯電性に悪影響を与えるおそれのある水酸基又はカルボキシル基の量を増やすことなく樹脂中のロジンエステル基の量を増やし得る。更に、特定ロジンジオールをロジンと2官能エポキシ化合物とを反応させて得る場合に、2官能エポキシ化合物中のエポキシ基とロジン中のカルボキシル基との間で生ずるエポキシ基の開環反応は、アルコール成分とロジンとの間で生ずるエステル化反応よりも反応性が高いため、特定ポリエステル樹脂中に未反応のロジンが残留しにくい。
以下に、特定ポリエステル樹脂の合成スキームの一例を示す。下記合成スキームにおいては、2官能のエポキシ化合物とロジンとを反応させて特定ロジンジオールが合成され、この特定ロジンジオールとジカルボン酸とを脱水重縮合させることで特定ポリエステル樹脂の重縮合体が合成される。なお、特定ポリエステル樹脂を表す構造式のうち、点線で囲まれた部分がロジンエステル基に該当する。

なお、特定ポリエステル樹脂の重縮合体を加水分解すると下記のモノマーに分解する。かかる特定ポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールの1:1縮合物であるため、分解物から樹脂の構成成分が推定される。

〔特定ポリエステル樹脂の物性〕
トナーに適用した際の、トナーの定着性、保存性、及び耐久性の観点から、本実施形態に係る特定ポリエステル樹脂の軟化温度は80℃以上160℃以下が好ましく、90℃以上150℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る特定ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、トナーの結着樹脂として用いた場合の、トナーの定着性、保存性、及び耐久性の観点から35℃以上80℃以下が好ましく、40℃以上70℃以下がより好ましい。
軟化温度及びガラス転移温度は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整、又は反応条件の選択により容易に調整される。
また、特定ポリエステル樹脂の軟化温度、及びガラス転移温度については、実施例に記載されている方法により求められる。
本実施形態に係る特定ポリエステル樹脂の酸価は、トナーに適用した際の、トナーの帯電性の観点から、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が好ましく、3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましい。
また、トナーに適用した際の、トナーの耐久性、耐ホットオフセットの観点から、本実施形態に係る特定ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は4,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上300,000以下がより好ましく、20,000以上90,000以下が更に好ましい。
なお、特定ポリエステル樹脂の酸価、重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mnは、実施例に記載されている方法により求められる。
なお、本実施形態に係る特定ポリエステル樹脂は、変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルを包含する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する)は、前述した特定ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有し、必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤、外添剤等を含んで構成される。
なお、本実施形態に係るトナーには、特定ポリエステル樹脂以外に、特定ポリエステル樹脂に起因する効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、特定ポリエステル樹脂とは異なるポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されてもよい。
トナーを構成する結着樹脂中の特定ポリエステル樹脂の含有量は、60質量%以上が好ましく、80質量%がより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりすることも有効である。
着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
(離型剤)
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上であれば、特にオイルレス定着において剥離不良の発生が防止される。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性が悪化することがなく、画質及び画像形成の信頼性が向上する。
(帯電制御剤)
帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。
(外添剤)
本実施形態に係るトナーは、流動性の向上などを目的として、無機粉末をトナー粒子の外添剤として含有してもよい。
適当な無機粉末としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に望ましい。かかる無機粉末のトナーに混合される割合は、通常、トナー100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下の範囲であり、望ましくは0.01質量部以上2.0質量部以下の範囲である。また、かかる無機粉末に、シリカ、チタン、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、アルミナ等の公知の材料を併用してもよい。また、クリーニング活剤として、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子粉末を添加してもよい。
〔トナーの特性〕
本実施形態に係るトナーの形状係数SF1は110以上150以下の範囲であることが望ましく、120以上140以下の範囲であることがより望ましい。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
本実施形態に係るトナーの体積平均粒子径は4μm以上15μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4μm以上10μm以下の範囲であり、更に望ましくは4μm以上8μm以下の範囲である。
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
〔トナーの製造方法〕
本実施形態に係るトナーの製造方法は特に限定されず、公知である混練粉砕法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によってトナー粒子を作製し、必要に応じてトナー粒子に外添剤が外添されてトナーが得られる。
混練粉砕法は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬して混錬物を得た後、前記混錬物を粉砕することによりトナー粒子を作製する方法である。
混練粉砕法は、より詳細には、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する混錬工程と、前記混錬物を粉砕する粉砕工程とに分けられる。必要に応じて、混錬工程により形成された混錬物を冷却する冷却工程等、他の工程を有してもよい。
各工程について詳しく説明する。
−混錬工程−
混錬工程は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する。
混錬工程においては、トナー形成材料100質量部に対し、0.5質量部以上5質量部以下の水系媒体(例えば、蒸留水やイオン交換水等の水、アルコール類等)を添加することが望ましい。
混錬工程に用いられる混錬機としては、例えば、1軸押出し機、2軸押出し機等が挙げられる。以下、混錬機の一例として、送りスクリュー部と2箇所のニーディング部とを有する混錬機について図を用いて説明するが、これに限られるわけではない。
図1は、本実施形態に係るトナーの製造方法における混錬工程で用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。
スクリュー押出し機11は、スクリュー(図示せず)を備えたバレル12と、バレル12にトナーの原料であるトナー形成材料を注入する注入口14と、バレル12中のトナー形成材料に水系媒体を添加するための液体添加口16と、バレル12中でトナー形成材料が混錬されて形成された混錬物を排出する排出口18と、から構成されている。
バレル12は、注入口14に近いほうから順に、注入口14から注入されたトナー形成材料をニーディング部NAに輸送する送りスクリュー部SA、トナー形成材料を第1の混錬工程により溶融混錬するためのニーディング部NA、ニーディング部NAにおいて溶融混錬されたトナー形成材料をニーディング部NBに輸送する送りスクリュー部SB、トナー形成材料を第2の混錬工程により溶融混錬し混錬物を形成するニーディング部NB、及び形成された混錬物を排出口18に輸送する送りスクリュー部SCに分かれている。
またバレル12の内部には、ブロックごとに異なる温度制御手段(図示せず)が備えられている。すなわち、ブロック12Aからブロック12Jまで、それぞれ異なる温度に制御してもよい構成となっている。なお図1は、ブロック12A及びブロック12Bの温度をt0℃に、ブロック12Cからブロック12Eの温度をt1℃に、ブロック12Fからブロック12Jの温度をt2℃に、それぞれ制御している状態を示している。そのため、ニーディング部NAのトナー形成材料はt1℃に加熱され、ニーディング部NBのトナー形成材料はt2℃に加熱される。
結着樹脂を含むトナー形成材料を、注入口14からバレル12へ供給すると、送りスクリュー部SAによりニーディング部NAへトナー形成材料が送られる。このとき、ブロック12Cの温度がt1℃に設定されているため、トナー形成材料は加熱されて溶融状態へと変化した状態で、ニーディング部NAに送り込まれる。そして、ブロック12D及びブロック12Eの温度もt1℃に設定されているため、ニーディング部NAではt1℃の温度でトナー形成材料が溶融混錬される。結着樹脂は、ニーディング部NAにおいて溶融状態となり、スクリューによりせん断を受ける。
次に、ニーディング部NAにおける混錬を経たトナー形成材料は、送りスクリュー部SBによりニーディング部NBへと送られる。
ついで、送りスクリュー部SBにおいて、液体添加口16からバレル12に水系媒体を注入することにより、トナー形成材料に水系媒体を添加する。また図1では、送りスクリュー部SBにおいて水系媒体を注入する形態を示しているが、これに限られず、ニーディング部NBにおいて水系媒体が注入されてもよく、送りスクリュー部SB及びニーディング部NBの両方において水系媒体が注入されてもよい。すなわち、水系媒体を注入する位置及び注入箇所は、必要に応じて選択される。
上記のように、液体添加口16からバレル12に水系媒体が注入されることにより、バレル12中のトナー形成材料と水系媒体とが混合し、水系媒体の蒸発潜熱によりトナー形成材料が冷却され、トナー形成材料の温度が保たれる。
最後に、ニーディング部NBにより溶融混錬されて形成された混錬物は、送りスクリュー部SCにより排出口18に輸送され、排出口18から排出される。
以上のようにして、図1に示したスクリュー押出機11を用いた混錬工程が行われる。
−冷却工程−
冷却工程は、上記混錬工程において形成された混錬物を冷却する工程であり、冷却工程では、混錬工程終了の際における混錬物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。上記平均降温速度で急冷すると、混錬工程終了直後の分散状態がそのまま保たれるため好ましい。なお上記平均降温速度とは、混錬工程終了の際における混錬物の温度(例えば図1のスクリュー押出し機11を用いた場合は、t2℃)から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、具体的には、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混錬物の供給量、混錬物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1から3mmの薄さであることが好ましい。
−粉砕工程−
冷却工程により冷却された混錬物は、粉砕工程により粉砕され、粒子が形成される。粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
−分級工程−
粉砕工程により得られた粒子は、必要に応じて、目的とする範囲の体積平均粒子径のトナー粒子を得るため、分級工程により分級を行ってもよい。分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
−外添工程−
得られたトナー粒子は、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、既述の無機粉末を外添してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行われ、段階を分けて付着される。
−篩分工程−
上記外添工程の後に、必要に応じて篩分工程を設けてもよい。篩分方法としては、具体的には、例えば、ジャイロシフター、振動篩分機、風力篩分機等が挙げられる。篩分することにより、外添剤の粗粉等が取り除かれ、感光体上の筋の発生、装置内のぼた汚れなどが抑制される。
本実施形態に係るトナーにおいて、特定ポリエステル樹脂がトナー中に偏りなく存在していることが好ましい。トナーがこのような形態をとるためには、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によってトナーを作製することが好ましい。
乳化凝集法は、トナーを構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)を形成する乳化工程と、該樹脂粒子を含む凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有してもよい。
具体的な工程について以下に示す。
−乳化工程−
例えば、樹脂粒子分散液の作製は、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。
更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
ここで、樹脂粒子分散液の調製にあたり、結着樹脂として、特定ポリエステル樹脂と公知の結着樹脂とを併用する場合は、既述の割合で混合した状態で1つの樹脂粒子分散液を調製してもよいし、別々の樹脂を含む樹脂粒子分散液を2液調製して、これを後の凝集工程にて混合してもよい。なお、混合順序等の混合条件は特に制限されない。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水であることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、更に望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm未満では、樹脂粒子が分散液中で安定な粒子となるため、該樹脂粒子の凝集が困難となる場合がある。また1.0μmを超えると、樹脂粒子の凝集性が向上しトナー粒子を作製することが容易となるが、トナーの粒子径分布が広がってしまう場合がある。
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。上記処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm未満では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれにくくなる。また、500nmを超える場合には、トナー中の離型剤の分散状態が不十分となる場合がある。
着色剤分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒子径は1μm以下であればよいが、80nm以上500nm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の着色剤の分散が良好で望ましい。
−凝集工程−
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、離型剤や着色剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
−融合工程−
融合工程においては、凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。トナー粒子に外添剤を外添しない場合には、得られたトナー粒子をトナーとして用いてもよい。
−外添工程−
得られたトナー粒子には、混練粉砕法の場合と同様に、既述の無機粉末を外添してもよい。無機粉末の外添方法についても、混練粉砕法の場合と同様である。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤(以下「現像剤」と称する)は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係るトナーは、そのまま一成分現像剤として、又は二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いてもよい。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
前記二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が好ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成装置及び画像形成方法>
次に、本実施形態に係る現像剤を用いた本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を本実施形態に係る現像剤を収納し、該現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置により、潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を本実施形態に係る現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態に係る画像形成方法が実施される。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。該プロセスカートリッジとしては、本実施形態に係る現像剤を収納し、潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱される本実施形態に係るプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図中における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20内面に接する駆動ローラ22及び支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に予め定められた張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の潜像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、潜像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ(1次転写手段)5Y、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
なお、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内に収納されているイエロー現像剤は、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに予め定められた1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向かう静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性(+)の極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部(図示せず)によって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ね合わされて重ね合わせトナー像が形成される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が重ね合わされた中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、予め定められた2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性(−)の極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向かう静電気力が重ね合わせトナー像に作用され、中間転写ベルト20上の重ね合わせトナー像が記録紙P上に転写される。なお、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれ重ね合わせトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬送ロール(排出ロール)32により搬送され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して重ね合わせトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図3は、本実施形態に係る現像剤を収納するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107と共に、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び除電露光のための開口部117を、取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体と共に画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙である。
図3で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
次に、トナーカートリッジについて説明する。
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態に係るトナーとしたものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しない現像剤供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換する。
以下、実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例中において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
〔各種物性の測定方法〕
<軟化温度の測定>
軟化温度の測定は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cmの試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求めた。
<ガラス転移温度の測定>
「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
<酸価の測定>
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
<重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定>
「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
〔合成例1〕
−ロジンジオール1(例示化合物の(7))の合成−
2官能エポキシ化合物としてプロピレングリコールジグリシジル(試薬、和光純薬工業(株)製)90質量部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール1を得た。
〔合成例2〕
−ロジンジオール2(例示化合物の(9))の合成−
2官能エポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジル(試薬、東京化成工業製)100質量部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.2質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール2を得た。
〔合成例3〕
−ロジンジオール3(例示化合物の(6))の合成−
2官能エポキシ化合物としてエチレングリコールジグリシジル(試薬、東京化成工業(株)製)80質量部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.2質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール3を得た。
〔合成例4〕
−ロジンジオール4(例示化合物の(16))の合成−
2官能エポキシ化合物としてプロピレングリコールジグリシジル(試薬、和光純薬工業(株)製)90質量部、ロジン成分として水添ロジン(商品名ハイペールCH、荒川化学工業(株)製)205質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール4を得た。
〔合成例5〕
−ロジンジオール5(例示化合物の(4))の合成−
2官能エポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジル(試薬、東京化成工業(株)製)100質量部、ロジン成分として精製ロジン(商品名パインクリスタルKR65 荒川化学工業(株)製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール5を得た。
〔合成例6〕
−ロジンジオール6(例示化合物の(6))の合成−
2官能エポキシ化合物としてエチレングリコールジグリシジル(試薬、東京化成工業(株)製)80質量部、ロジン成分として低不均化率ロジン(商品名パインクリスタルKR65、荒川化学工業(株)とパインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)を等モル比で混合し、不均化率をパインクリスタルKR614の1/2に低下させたもの)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール6を得た。
〔合成例7〕
−ロジンジオール7(例示化合物の(15))の合成−
2官能エポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジル(試薬、東京化成工業(株)製)100質量部、ロジン成分として水添ロジン(商品名ハイペールCH、荒川化学工業(株)製)205質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール7を得た。
〔合成例8〕
−ロジンジオール8(比較ロジンジオール)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジル(試薬、東京化成工業(株)製)115質量部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.2質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール8を得た。
〔合成例9〕
−ロジンジオール9(比較ロジンジオール)の合成−
2官能エポキシ化合物としてテレフタル酸ジグリシジル(商品名デナコールEX711ナガセケムテックス(株)エポキシ当量(g/eq))105質量部、ロジン成分として水添ロジン(商品名ハイペールCH、荒川化学工業(株)製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール9を得た。
〔合成例10〕
−ロジンジオール10(比較ロジンジオール)の合成−
2官能エポキシ化合物としてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(商品名EX920、ナガセケムテックス製)130質量部、ロジン成分として不均化ロジン(商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業製)200質量部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4質量部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。
同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、ロジンジオール10を得た。
〔合成例A〕
−特定ポリエステル樹脂1の合成−
多価カルボン酸成分として、テレフタル酸(TPA)80g、コハク酸6g、多価アルコール成分として、ロジンジオール1を60g、ネオペンチルグリコール40g 及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート0.1gを攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で9時間重縮合反応させ、目的とする分子量、酸価に達したことを確認し、特定ポリエステル樹脂1を合成した。重量平均分子量および、ガラス転移温度を測定した(表に記載)。
〔その他のポリエステル樹脂の合成〕
合成例Aにおける特定ポリエステル樹脂1の合成と同様の方法で、下記表1、2に記載の成分を用いて、特定ポリエステル樹脂及び比較用ポリエステル樹脂を合成した。
ここで、特定ポリエステル樹脂及び比較用ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の総量が1molとなるよう、表1、2のモル分率から算出した成分量で作製した。
また、テトラ−n−ブチルチタネートは、特定ポリエステル樹脂2〜15、比較用ポリエステル樹脂1〜5の全てにおいて、0.1g使用した。
得られたポリエステル樹脂の物性を前述の方法にて測定し、結果を表1、2に併記した。なお、表1、2中の「C1/C2」は、特定ロジンジオールにおけるLが表す2価の基の有する炭素数C1と、脂肪族多価カルボン酸の有する炭素数C2と、を示す。
[実施例1]
<トナー1の作製>
(特定ポリエステル樹脂粒子分散液1の作製)
特定ポリエステル樹脂1:100質量部を、撹拌機を備えたリアクターに投入し、120℃で30分溶解、混合した後、95℃に加熱したイオン交換水800質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0質量部、1N NaOH水溶液を1.0質量部溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス内で10分振とうした後、室温(25℃)の水にてフラスコを冷却した。これにより樹脂粒子のメジアン径が250nm、固形分量が20質量%の特定ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。
(着色剤粒子分散液1の作製)
・サイアン顔料:50質量部
(大日精化工業(株)社製、銅フタロシアニン、C.I.Pigment Blue15:3)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):5質量部
・イオン交換水:200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のサイアン着色剤粒子分散液1を得た。
(離型剤粒子分散液1の作製)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):2質量部
・イオン交換水:800質量部
・パラフィンワックス(HNP−9日本精鑞社製):200質量部
上記成分を混合し、120℃に加熱して、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径170nmの20質量%の離型剤粒子分散液1を得た。
(トナー粒子1の作製)
・ポリエステル樹脂粒子分散液1(高分子量樹脂粒子分散液):200質量部
・着色剤分散液1:62質量部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液):15質量部
・離型剤粒子分散液1:77質量部
まず、pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料のうち、ポリエステル樹脂粒子分散液1、アニオン性界面活性剤、及びイオン交換水250質量部を入れ、130rpmで15分間攪拌しながら、界面活性剤をポリエステル樹脂粒子分散液になじませた。これに着色剤分散液1および離型剤分散液1を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを4.8に調製した。ついで、ウルトラタラックスにより3000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%硝酸水溶液13質量部を滴下した。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようにした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数5000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。
ついで、上記原料混合物をマントルヒーターにて25℃に加温しながら500rpmで攪拌した。10分攪拌後、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて一次粒径が形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.1℃/分で43℃まで昇温した。凝集粒子の成長はコールターマルチサイザーを用いて随時確認するが、その凝集速度によって、凝集温度や攪拌の回転数を変えた。
一方、凝集粒子被覆用として、ポリエステル樹脂粒子分散液1を160質量部に対し、イオン交換水118質量部、アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液)8.2質量部を加えて混合し、予めpH3.8に調整し、被覆用樹脂粒子分散液とした。上記凝集工程で凝集粒子が5.2μmに成長したところで、予め調製した被覆用樹脂粒子分散液を加え、攪拌しながら20分間保持した。その後、被覆した凝集粒子の成長を停止させるために、EDTAを1.5pph添加した後、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料混合物のpHを7.6に制御した。ついで、凝集粒子を融合させるために、pHを7.6に調整しながら昇温速度1℃/minで85℃まで昇温した。85℃に達してからは、融合を進めるためにpHを7.6もしくはそれ未満に調整し、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、粒径の成長を停止させる為に、氷水を注入して降温速度10℃/分で急冷した。
ついで、得られた粒子を洗浄する目的で、15μmメッシュで一度篩分した。その後、固形分に対しておよそ10倍量のイオン交換水(30℃)を加え、20分攪拌した後、一旦濾過を行った。さらにろ紙上に残った固形分をスラリーに分散して、30℃のイオン交換水で4回繰り返し洗浄を行い、乾燥させ、体積平均粒径6.5μmのトナー粒子1を得た。
トナー粒子1の体積平均粒度分布指標GSDvは1.24であり、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は129であった。
<現像剤1の作製>
得られたトナー粒子1を用いて、以下のようにして現像剤1を作製した。
トナー粒子1:50質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5質量部を添加し、サンプルミルで混合してトナー1を得た。
更に、キャリアとして、ポリメチルメタアクリレート樹脂(Mw:80000、綜研化学社製)を1質量%被覆した平均粒径35μmのフェライトキャリアを用い、これにトナー濃度が5質量%になるようにトナー1を秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤1を作製した。
<評価>
得られた現像剤1について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
−トナー破壊−
得られた現像剤を以下の条件で撹拌した。
富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor500改造機と転写用紙としては富士ゼロックス(株)製S紙を用いて、以下の条件下でトナーの強度を評価した。
画像濃度が2%で連続50,000枚のプリントを行った後、現像機内でのトナーのつぶれ、破壊、凝集の有無の目視確認を行い以下の基準で評価を行った。
トナー評価の結果、トナーつぶれ、トナーの破壊、凝集がなく実用上問題のないレベルB(○)であった。撹拌後のトナーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
評価基準は、以下のようにした。
A(◎):トナーのつぶれ、破壊がなく問題ないレベル
B(○):トナーのつぶれ、破壊がわずかに認められるが問題ないレベル
C(△):トナーのつぶれ、破壊、凝集が多少観察されるが実用上問題のないレベル
D(×+):トナーのつぶれ、破壊が認められ、実用上の画質に影響を与えるレベル。
E(×):トナーのつぶれ、破壊、凝集が顕著で実用上大きな問題となるレベル
C(△)以上であれば、実用上の問題がない。
−定着性の評価−
定着性を評価することにより、トナーが破壊することに起因する、定着ローラや紙送りローラ等の部材へのトナーの転移(「オフセット現象」と言われる。)が起きて、画像の汚れが起きる現象について、確認した。
定着性の評価は、具体的には、富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機に現像剤を装填し、28℃/85%RHの環境下で、富士ゼロックス社製カラー用紙(J紙)に画像密度1%のプリントテストチャートで10000枚の画像形成を行った。画像の表面を目視で観察し、紙送り用ロールのマーク筋の有無を下記基準により評価した。結果を表1、2に示す。
A(○):ロールマークの筋が全く見えない。
B(△):ロールマークの筋が9000枚までは見えないが、10000枚目で僅かに見える。
C(×+):ロールマークの筋が5000枚から僅かに見える
D(×):ロールマークの筋が5000枚からはっきり見える。
B(△)以上であれば、実用上の問題がない。
[実施例2〜15、比較例1〜5]
<現像剤2〜15、比較現像剤1〜5>
特定ポリエステル樹脂粒子分散液1と同様の方法で、表1、2の組成分に従って、特定ポリエステル樹脂2〜15、比較用ポリエステル樹脂1〜5を作製した。
ここで、特定ポリエステル樹脂及び比較用ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の総量が1molとなるよう、表1、2のモル分率から算出した成分量で作製した。
また、テトラ−n−ブチルチタネートは、特定ポリエステル樹脂2〜15、比較用ポリエステル樹脂1〜5の全てにおいて、0.1g使用した。
そして、これらのポリエステル樹脂を適用した特定ポリエステル樹脂粒子分散液2〜15、比較用ポリエステル樹脂粒子分散液1〜5を、特定ポリエステル樹脂粒子分散液1と同様にして作製し、現像剤1と同様にして、現像剤2〜15、比較現像剤1〜5を作製した。
なお、特定ポリエステル樹脂粒子分散液2〜15、比較用ポリエステル樹脂粒子分散液1〜5は、以下のようにして作製されたものである。
(特定ポリエステル樹脂粒子分散液2〜15、比較用ポリエステル樹脂粒子分散液1〜5の作製)
特定ポリエステル樹脂1に代えて、それぞれ特定ポリエステル樹脂2〜15、又は比較用ポリエステル樹脂1〜5に変更した以外は、特定ポリエステル樹脂粒子分散液1と同様にして、特定ポリエステル樹脂粒子分散液1〜15、比較用ポリエステル樹脂粒子分散液1〜5を作製した。
得られた現像剤2〜15、比較現像剤1〜5について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、2に示す。
上記結果から、実施例に相当する現像剤は、比較例に相当する現像剤に比べ、トナーの破壊が抑制されていることが分かる。
1Y,1M,1C,1K,107 感光体(像保持体)
2Y,2M,2C,2K, 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32 搬送ロール(排出ロール)
108 帯電装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ,
P,300 記録紙(記録媒体)

Claims (10)

  1. 脂肪族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と、下記一般式(1)で表される多価アルコールを全多価アルコール成分に対して2モル%以上15モル%以下で含む多価アルコール成分と、の重縮合体であり、
    前記下記一般式(1)で表される多価アルコールにおけるLが表す2価の基の有する総炭素数C1と、前記脂肪族多価カルボン酸の有する総炭素数C2と、が以下の関係式(A)を満たすトナー用ポリエステル樹脂。
    関係式(A): 0.5<C1/C2≦3

    〔一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素又はメチル基を表わす。Lは、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、又は該鎖状アルキレン基とエステル基若しくはエーテル基とを組み合わせた2価の基を表わし、L及びLは、各々独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらを組み合わせた2価の基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、LとLと又はLとLとで環を形成してもよい。A及びAは、ロジンをエステル化反応した後の残基であるロジンエステル基を表わす。〕
  2. 前記脂肪族多価カルボン酸が、全多価カルボン酸成分に対して1モル%以上30モル%以下含まれる請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  3. 前記脂肪族多価カルボン酸が、炭素数4以上6以下の脂肪族多価カルボン酸である請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  4. 前記多価アルコール成分に含まれる、前記一般式(1)で表される多価アルコール以外のアルコールが、炭素数が5以下の多価アルコールである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナー。
  6. 請求項5に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  7. 請求項5に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  8. 請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  9. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  10. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項6に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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