JP5920163B2 - トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 Download PDF

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本発明は、トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
電子写真法のように、静電潜像を形成し、これを現像する工程を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。この方法による画像の形成は、感光体(潜像保持体)表面を全体に帯電させた後、この感光体表面に、画像情報に応じたレーザ光により露光して静電潜像を形成し、次いでこの静電潜像を、トナーを含む現像剤で現像してトナー像を形成し、最後にこのトナー像を記録媒体上に転写・定着することにより行われる。
例えば、耐水性、耐湿性、機械的物性において優れた性能を有し、且つ環境へ及ぼす負荷の小さいポリエステル樹脂を様々な分野へ提供するため、精製ロジン残基、不均化ロジン残基、又は水添ロジン残基を含む特定の化学式で示される化合物がアルコール成分の必須成分であるポリエステル樹脂が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、低温定着性及び保存性に優れ、臭気の発生も低減されるトナー用ポリエステルを提供するため、アルコール成分と、精製ロジンを含有したカルボン酸成分とを重縮合させて得られるトナー用ポリエステルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、良好な耐衝撃強度及び耐湿耐水性を有するデヒドロアビエチン酸重合体を提供するため、特定のデヒドロアビエチン酸重合体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特許4699559号明細書 特開2007−137910号公報 特開2011−162635号公報
本発明は、帯電性に優れるトナーの製造に供されるトナー用ポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
即ち、請求項1に係る発明は、
ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有するトナー用ポリエステル樹脂である。
(一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。L、L、Lはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとL又はLとLで環を形成してもよい。Aは、ロジンの残基を表わす。Aは炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の残基を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記一価のカルボン酸の炭素数が2以上12以下である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂である。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナーである。
請求項4に係る発明は、
請求項3に記載のトナーを含む現像剤である。
請求項5に係る発明は、
請求項3に記載のトナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
請求項4に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
請求項7に係る発明は、
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項4に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れるトナーの製造に供されるトナー用ポリエステル樹脂が得られる。
請求項2に係る発明によれば、一価のカルボン酸の炭素数が2以上12以下の範囲外である場合に比較して、トナーの熱保管性が向上する。
請求項3に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れるトナーが得られる。
請求項4に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れる現像剤が得られる。
請求項5に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れるトナーを収納するトナーカートリッジが得られる。
請求項6に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れる現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
請求項7に係る発明によれば、一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位を含有しない場合に比較して、帯電性に優れる現像剤を用いた画像形成装置が提供される。
本実施形態のトナーの製造に用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。 本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明のトナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
<トナー用ポリエステル樹脂>
本実施形態のトナー用ポリエステル樹脂(以下、特定ポリエステルと称することがある)は、ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有する樹脂である。
一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。L、L、Lはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとL又はLとLで環を形成してもよい。Aは、ロジンの残基を表わす。Aは炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の残基を表す。
一般式(1)で表されるジアルコール成分は、1分子中に1個のロジンの残基を含有するジアルコール化合物である(以下、特定ロジンジオールと称することがある)。一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。Aは、ロジンの残基を表わす。Aは炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の残基を表す。本実施形態において、ロジンの残基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。また、本実施形態において、一価のカルボン酸の残基とは、一価のカルボン酸に含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
ここで、特許4699559号明細書に記載のポリエステル樹脂は、精製ロジン残基、不均化ロジン残基、又は水添ロジン残基を含む特定の化学式で示される化合物(2価のアルコール)がアルコール成分の必須成分として用いられている。当該アルコール成分の両方の水酸基の近くには、嵩高いロジン残基が存在する。そのため、当該アルコール成分の水酸基は反応性に劣り、当該アルコール成分をポリエステル樹脂合成の単量体として使用すると当該アルコール成分が未反応単量体として樹脂中に残存しやすくなる場合がある。水酸基は親水性であるため、当該アルコール成分が未反応単量体として残存する樹脂をトナーの結着樹脂として用いた場合、帯電性の悪化の原因となることがある。一方、未反応単量体が樹脂中に残存すると当該樹脂のガラス転移温度低下の原因となる。
また、特開2007−137910号公報に記載のトナー用ポリエステルは、アルコール成分と、精製ロジンを含有したカルボン酸成分とを重縮合させて得られる。しかし、ロジンに含まれるカルボン酸は3級カルボン酸であるため低反応性であり、アルコール成分とロジンとの間でエステル化反応が起こりにくく樹脂中に未反応のロジンが残留しやすい。ロジンが未反応のまま残留すると、トナーの帯電性の悪化の原因となることがある。
本実施形態の特定ポリエステル樹脂は、特定ロジンジオール由来の繰り返し単位を含有する。特定ロジンジオールは分子中にロジンの残基と共に炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の残基を含むため、分子中に二つのロジンの残基を含む特許4699559号明細書で用いられるアルコール成分に比較して水酸基の周りが立体的に込み入っておらず、反応性に富む。その結果、ポリエステル樹脂中における、残存するアルコール成分の含有量が減少し、当該ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いるトナーの帯電性が向上すると推察される。
一般式(1)において、L、L、Lはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとL又はLとLで環を形成してもよい。
、L、Lで表される鎖状アルキレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられる。
、L、Lで表される環状アルキレン基としては、例えば、炭素数3以上7以下の環状アルキレン基が挙げられる。
、L、Lで表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基が挙げられる。
鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基の置換基の例としては炭素数1以上8以下のアルキル基、アリール基などが挙げられ、直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
一般式(1)で表わされる特定ロジンジオールは公知の方法によって合成することができ、例えば、2官能エポキシ化合物とロジンと炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸との反応により合成されてもよい。本実施形態で用いてもよいエポキシ基含有化合物は1分子中にエポキシ基を2個含む2官能エポキシ化合物であり、芳香族系ジオールのジグリシジルエーテル、芳香族系ジカルボン酸のジグリシジルエーテル、脂肪族系ジオールのジグリシジルエーテル、脂環式ジオールのジグリシジルエーテル、脂環式エポキシド等が挙げられる。
芳香族系ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、芳香族ジオール成分としてビスフェノールA、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールAの誘導体類、ビスフェノールF、ビスフェノールFのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールFの誘導体類、ビスフェノールS、ビスフェノールSのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールSの誘導体類、レソルシノール、t−ブチルカテコール、ビフェノールなどが挙げられる。
芳香族系ジカルボン酸のジグリシジルエーテルの代表例としては、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。
脂肪族系ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、脂肪族ジオール成分としてエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
脂環式ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、脂環式ジオール成分として水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等の水添ビスフェノールAの誘導体類、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
脂環式エポキシドの代表例としては、リモネンジオキサイドが挙げられる。
上記エポキシ基含有化合物は、例えば、ジオール成分とエピハロヒドリンの反応で得られるが、その量比によって重縮合させることができ高分子量化してもよい。
本実施形態において、ロジンと2官能エポキシ化合物と炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸との反応は、主として、ロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸のカルボキシル基と、2官能エポキシ化合物のエポキシ基と、の開環反応により進む。その際、反応温度としては構成成分の溶融温度以上、又は、均一な混合が可能な温度であることが好ましく、具体的には60℃以上200℃以下の範囲が一般的である。反応に際し、エポキシ基の開環反応を促進する触媒を加えてもよい。
使用される触媒としては、エチレンジアミン、トリメチルアミン、2−メチルイミダゾールなどのアミン類、トリエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルアンモニウムクロライド、ブチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
反応は種々の方法で行うことができ、一般的には回分式の場合は冷却管、撹拌装置、不活性ガス導入口、温度計等を備えた加熱用のフラスコにロジンと炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸と2官能エポキシ化合物を仕込み、加熱溶融し反応物をサンプリングすることによって反応進行が追跡される。反応の進行度は主として酸価の低下によって確認することができ、化学量論的な反応終点あるいはその近くに到達した時点をもって反応が完結される。
ロジンと炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸と2官能エポキシ化合物との反応比率は、2官能エポキシ化合物1モルに対してロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の合計モル数を1.5モル以上2.5モル以下の範囲で反応させることが好ましく、さらには2官能エポキシ化合物1モルに対してロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の合計モル数を1.8モル以上2.2モル以下の範囲で反応させることがより好ましく、1.85モル以上2.1モル以下の範囲で反応させることが特に好ましい。ロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の合計モル数が1.5モルよりも少ないと、2官能エポキシ化合物のエポキシ基が次工程のポリエステル製造工程で残存することとなり、架橋剤としての作用により分子量上昇を引き起こし、ゲル化の懸念がある。一方、ロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の合計モル数が2.5モルよりも多いと未反応のロジンや炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸が残存し、酸価上昇による帯電悪化を引き起こすことがある。
合成に用いられるロジン及び炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸のモル比(ロジンのモル数:炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸のモル数)は、1:1が望ましい。
本実施形態で用いるロジンとは樹木から得られる樹脂酸の総称であり、主成分は3環性ジテルペン類の1種であるアビエチン酸とその異性体類を含む天然物由来の物質である。具体的な成分としては、例えば、アビエチン酸の他にパラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸などがあり、本実施形態で用いるロジンはこれらの混合物である。ロジンは採取方法による分類では、原料をパルプとするトールロジン、原料を生松脂とするガムロジン、及び原料を松の切り株とするウッドロジンの3種に大別される。本実施形態で用いるロジンは入手が容易であることからガムロジン又はトールロジンが好ましい。
これらのロジン類は精製することが好ましく、未精製のロジン類から樹脂酸の過酸化物から生起したと考えられる高分子量物や、未精製のロジン類に含まれていた不ケン化物を除去することにより精製ロジンが得られる。精製方法は特に限定されず、公知の各種精製方法が選択される。具体的には蒸留、再結晶、抽出等の方法が挙げられる。工業的には蒸留による精製を行うことが好ましい。蒸留は、通常、200℃以上300℃以下、6.67kPa以下の圧力で蒸留時間を考慮して選択される。再結晶は、例えば、未精製ロジンを良溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、この溶液に貧溶媒を添加することにより行う。良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類、低級アルコール等のアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられ、貧溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。抽出は、例えば、アルカリ水を用いて未精製のロジンをアルカリ水溶液となし、これに含まれる不ケン化物を、有機溶媒を用いて抽出したのち、水層を中和することで精製ロジンを得る方法である。
本実施形態のロジンは、不均化ロジンでもよい。不均化ロジンとは、主成分としてアビエチン酸を含むロジンを不均化触媒の存在下で高温加熱することによって、分子内の不安定な共役二重結合を消失させたもので、主成分として、デヒドロアビエチン酸とジヒドロアビエチン酸との混合物である。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン系化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下が望ましく、さらに望ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下が望ましく、さらに望ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を狙いとするデヒドロアビエチン酸量になるように不均化触媒の存在下で加熱して調製した不均化ロジンに添加してもよい。
本実施形態のロジンは水素化ロジンでもよい。水素化ロジンとは、主成分としてテトラヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸を含み、公知の水素化反応により分子内の不安定な共役二重結合を消失させて得られる。水素化反応は水素化触媒の存在下に通常10Kg/cm2以上200Kg/cm2以下、望ましくは50Kg/cm2以上150Kg/cm2以下の水素加圧下で、未精製ロジンを加熱することにより行なう。水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものを例示しうる。該触媒の使用量は、ロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下、望ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下、望ましくは150℃以上290℃以下である。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けてもよい。
また、本実施形態のロジンはロジンを重合して得られる重合ロジン、ロジンに不飽和カルボン酸を付加させた不飽和カルボン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンでもよい。なお、不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。当該不飽和カルボン酸変性ロジンは、原料ロジン100質量部に対し、不飽和カルボン酸を通常1質量部以上30質量部以下程度用いて変性したものである。
本実施形態におけるロジンは上記ロジンのうち上記精製ロジン、不均化ロジン、水素化ロジンが好ましく、これらを単独で用いても、いずれかの混合物でもよい。精製ロジン、不均化ロジン、又は、水素化ロジンを用いることで、本実施形態の特定ポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂として用いた場合に熱保管性が向上する。また、不均化ロジンを用いることで、本実施形態の特定ポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂として用いた場合に帯電性が向上する。
本実施形態で用いる炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸としては、直鎖脂肪族カルボン酸、分岐脂肪族カルボン酸、脂環式脂肪族カルボン酸、芳香族環を含むカルボン酸等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
直鎖脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられる。
分岐脂肪族カルボン酸としては、例えば、2-メチルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t-ブチル酢酸、イソ吉草酸、2-エチル吉草酸、2-メチルカプロン酸、2-エチルカプロン酸が挙げられる。
脂環式脂肪族カルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサン酪酸、シクロヘキサン吉草酸、4-メチルシクロヘキサン酢酸、2-ノルボルナン酢酸、1−アダマンタン酢酸が挙げられる。
芳香族環を含むカルボン酸としては、例えば、フェニル酢酸、2−フェニルプロピオン酸、4−フェニル酢酸、5−フェニル吉草酸が挙げられる。
本実施形態で用いる一価のカルボン酸の炭素数は、2以上12以下が望ましく、5以上12以下がさらに望ましい。一価のカルボン酸の炭素数が2以上12以下であると、特定ポリエステルを結着樹脂として用いたトナーの熱保管性が向上する。
本実施形態で用いる一価のカルボン酸の望ましい具体例としては、カプリル酸、ラウリン酸、2-エチルカプロン酸が挙げられ、これらの中でも、カプリル酸がさらに望ましい。
以下に、本実施形態で好適に用いうる特定ロジンジオールの例示化合物を以下に示すが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
本実施形態において、ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。これらの中では、トナーの耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点、及び入手容易性の観点からイソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族カルボン酸が好ましい。
これらの芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸は単独で用いられても、2種以上が併用されていてもよい。また、本実施形態の効果を損なわない範囲で3価以上の芳香族カルボン酸も用いてもよい。3価以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。3価以上の芳香族カルボン酸としては、入手容易性、反応性の観点から無水トリメリット酸が好ましい。
本実施形態においては、ジアルコール成分として特定ロジンジオール以外のその他のジアルコール成分を併用してもよい。本実施形態における特定ロジンジオールの含有量は、帯電性の観点からジアルコール成分中5モル%以上100モル%以下が好ましく、8モル%以上80モル%以下がより好ましい。
前記特定ロジンジオール以外のアルコール成分として、脂肪族ジオール及びエーテル化ジフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種をトナー性能を落とさない範囲で用いてもよい。
脂肪族ジオールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールは単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
また、本実施形態において、脂肪族ジオールと共に、エーテル化ジフェノールを更に用いてもよい。エーテル化ジフェノールとは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールであり、該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2モル以上16モル以下であるものが好ましい。
また、本実施形態の効果を損なわない範囲で3価以上のポリオールも用いてもよい。3価以上のポリオールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。3価以上のポリオールとしては、入手容易性、反応性の観点からグリセリン、トリメチロールプロパンが好ましい。
本実施形態の特定ポリエステルは、前記酸成分、アルコール成分を原料として、公知慣用の製造方法によって調製される。その反応方法としては、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用可能である。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合を促進してもよい。上記反応によっては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。これら反応触媒の添加量は酸成分とアルコール成分の総量100質量部に対して、0.01質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。反応温度は180℃以上300℃以下の温度で行ってもよい。
トナーの定着性、保存性、及び耐久性の観点から本実施形態の特定ポリエステルの軟化温度は80℃以上160℃以下が好ましく、90℃以上150℃以下がより好ましい。本実施形態の特定ポリエステルのガラス転移温度は、定着性、保存性、及び耐久性の観点から35℃以上80℃以下が好ましく、40℃以上70℃以下がより好ましい。軟化温度及びガラス転移温度は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整、又は反応条件の選択により容易に調整される。
本実施形態の特定ポリエステルの酸価は、トナーの帯電性の観点から3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下とされるが、9mgKOH/g以上21mgKOH/g以下が好ましい。酸価が30mgKOH/gより大きいと含水しやすく、特に夏場環境において帯電が悪化し、酸価が3mgKOH/gより小さいと帯電が著しく悪化することがある。
本実施形態の特定ポリエステルはロジンの残基を含有するが、ロジンの残基は疎水性を示し嵩高い基である。また、一般にトナーの空気界面は疎水性を示すことから、本実施形態の特定ポリエステルを含有する本実施形態のトナー表面にはロジンの残基が露出しやすい。特に本実施形態の特定ロジンジオールを含有する特定ポリエステルは主鎖中ではなく、側鎖にロジンの残基を含有するため、自由度が高く、より表面に露出しやすい傾向がある。しかし、トナー表面に露出するロジンの残基の量が多いとトナーの帯電が悪化する場合がある。本実施形態においては、特定ポリエステルの酸価を3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下とすることで、トナーが望ましい帯電量となるように調整される。
トナーの耐久性、耐ホットオフセットの観点から、本実施形態の特定ポリエステルの重量平均分子量は4,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上300,000以下がより好ましい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂の分子量とは、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定し、算出した値をいう。
なお、本実施形態の特定ポリエステルは、変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルを包含する。
<トナー>
本実施形態のトナーは、本実施形態の特定ポリエステルを含有し、必要に応じて着色剤、離型剤、外添剤等のその他の成分を含んでもよい。
本実施形態の特定ポリエステルをトナー用結着樹脂として用いることにより、帯電性に優れたトナーが得られる。本実施形態のトナーには、本実施形態の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されてもよいが、本実施形態の特定ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含んでもよい。結晶性ポリエステル樹脂は溶融の際に非結晶性ポリエステル樹脂である本実施形態の特定ポリエステルと相溶してトナー粘度を著しく低下させることから、より低温定着性にすぐれたトナーが得られる。また結晶性ポリエステル樹脂のうち、芳香族結晶性樹脂は一般に後述の溶融温度範囲よりも高いものが多いため、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本実施形態のトナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上25質量%以下がより好ましい。2質量%以上あれば、溶融の際に非結晶性ポリエステル樹脂を低粘度化することができ、低温定着性の向上が得られ易い。また30質量%以下であれば、結晶性ポリエステル樹脂の存在に起因するトナーの帯電性の悪化が防止されるので、記録媒体への定着後の画像強度が得られ易い。
結晶性ポリエステル樹脂の溶融温度は、50℃以上90℃以下の範囲であることが好ましく、55℃以上90℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上90℃以下の範囲であることがより好ましい。溶融温度が50℃以上あれば、トナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性がよい。また、90℃以下であれば、低温定着性が向上する。
なお、本実施形態に係る「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;以下、「DSC」と略記することがある)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、結晶性ポリエステル樹脂は、その主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合は、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、下記において、「酸由来構成成分」とは、結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、結晶性ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
〔酸由来構成成分〕
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが本実施形態に係る結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮するとアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
酸由来構成成分としては、その他として2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含有していてもよい。
〔アルコール由来構成成分〕
アルコール構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量(重量平均分子量;Mw)は、樹脂の製造性、トナー製造の際の微分散化や、溶融時の相溶性の観点から、8,000以上40,000以下が好ましく、10,000以上30,000以下がさらに好ましい。8,000以上あれば、結晶性ポリエステル樹脂の抵抗の低下が抑制されるので、帯電性の低下が防止される。40,000以下であれば、樹脂合成のコストが抑えられ、また、シャープメルト性の低下が防止されるために低温定着性に悪影響を与えない。
本実施形態で用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
本実施形態のトナーにおける前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりすることも有効である。前記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
本実施形態で用いられる離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上であれば、特にオイルレス定着において剥離不良の発生が防止される。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性が悪化することがなく、画質および画像形成の信頼性が向上する。
本実施形態で用いられる帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。
本実施形態のトナーは、流動性の向上などを目的として、白色の無機粉末を外添剤として含有してもよい。適当な無機粉末としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に望ましい。かかる無機粉末のトナーに混合される割合は、通常、トナー100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下の範囲であり、望ましくは0.01質量部以上2.0質量部以下の範囲である。また、かかる無機粉末に、シリカ、チタン、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、アルミナ等の公知の材料を併用してもよい。また、クリーニング活剤として、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子粉末を添加してもよい。
−トナーの特性−
本実施形態のトナーの形状係数SF1は110以上150以下の範囲であることが望ましく、120以上140以下の範囲であることがより望ましい。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
SF1は、主に顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
本実施形態のトナーの体積平均粒子径は8μm以上15μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは9μm以上14μm以下の範囲であり、さらに望ましくは10μm以上12μm以下の範囲である。
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
本実施形態のトナーの製造方法は特に限定されず、公知である混練粉砕法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によってトナー粒子を作製し、必要に応じてトナー粒子に外添剤が外添されてトナーが得られる。
混練粉砕法は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬して混錬物を得た後、前記混錬物を粉砕することによりトナー粒子を作製する方法である。
混練粉砕法は、より詳細には、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する混錬工程と、前記混錬物を粉砕する粉砕工程とに分けられる。必要に応じて、混錬工程により形成された混錬物を冷却する冷却工程等、他の工程を有してもよい。
各工程について詳しく説明する。
−混錬工程−
混錬工程は、結着樹脂を含むトナー形成材料を混錬する。
混錬工程においては、トナー形成材料100質量部に対し、0.5質量部以上5質量部以下の水系媒体(例えば、蒸留水やイオン交換水等の水、アルコール類等)を添加することが望ましい。
混錬工程に用いられる混錬機としては、例えば、1軸押出し機、2軸押出し機等が挙げられる。以下、混錬機の一例として、送りスクリュー部と2箇所のニーディング部とを有する混錬機について図を用いて説明するが、これに限られるわけではない。
図1は、本実施形態のトナーの製造方法における混錬工程で用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。
スクリュー押出し機11は、スクリュー(図示せず)を備えたバレル12と、バレル12にトナーの原料であるトナー形成材料を注入する注入口14と、バレル12中のトナー形成材料に水系媒体を添加するための液体添加口16と、バレル12中でトナー形成材料が混錬されて形成された混錬物を排出する排出口18と、から構成されている。
バレル12は、注入口14に近いほうから順に、注入口14から注入されたトナー形成材料をニーディング部NAに輸送する送りスクリュー部SA、トナー形成材料を第1の混錬工程により溶融混錬するためのニーディング部NA、ニーディング部NAにおいて溶融混錬されたトナー形成材料をニーディング部NBに輸送する送りスクリュー部SB、トナー形成材料を第2の混錬工程により溶融混錬し混錬物を形成するニーディング部NB、及び形成された混錬物を排出口18に輸送する送りスクリュー部SCに分かれている。
またバレル12の内部には、ブロックごとに異なる温度制御手段(図示せず)が備えられている。すなわち、ブロック12Aからブロック12Jまで、それぞれ異なる温度に制御してもよい構成となっている。なお図1は、ブロック12A及びブロック12Bの温度をt0℃に、ブロック12Cからブロック12Eの温度をt1℃に、ブロック12Fからブロック12Jの温度をt2℃に、それぞれ制御している状態を示している。そのため、ニーディング部NAのトナー形成材料はt1℃に加熱され、ニーディング部NBのトナー形成材料はt2℃に加熱される。
結着樹脂を含むトナー形成材料を、注入口14からバレル12へ供給すると、送りスクリュー部SAによりニーディング部NAへトナー形成材料が送られる。このとき、ブロック12Cの温度がt1℃に設定されているため、トナー形成材料は加熱されて溶融状態へと変化した状態で、ニーディング部NAに送り込まれる。そして、ブロック12D及びブロック12Eの温度もt1℃に設定されているため、ニーディング部NAではt1℃の温度でトナー形成材料が溶融混錬される。結着樹脂は、ニーディング部NAにおいて溶融状態となり、スクリューによりせん断を受ける。
次に、ニーディング部NAにおける混錬を経たトナー形成材料は、送りスクリュー部SBによりニーディング部NBへと送られる。
ついで、送りスクリュー部SBにおいて、液体添加口16からバレル12に水系媒体を注入することにより、トナー形成材料に水系媒体を添加する。また図1では、送りスクリュー部SBにおいて水系媒体を注入する形態を示しているが、これに限られず、ニーディング部NBにおいて水系媒体が注入されてもよく、送りスクリュー部SB及びニーディング部NBの両方において水系媒体が注入されてもよい。すなわち、水系媒体を注入する位置及び注入箇所は、必要に応じて選択される。
上記のように、液体添加口16からバレル12に水系媒体が注入されることにより、バレル12中のトナー形成材料と水系媒体とが混合し、水系媒体の蒸発潜熱によりトナー形成材料が冷却され、トナー形成材料の温度が保たれる。
最後に、ニーディング部NBにより溶融混錬されて形成された混錬物は、送りスクリュー部SCにより排出口18に輸送され、排出口18から排出される。
以上のようにして、図1に示したスクリュー押出機11を用いた混錬工程が行われる。
−冷却工程−
冷却工程は、上記混錬工程において形成された混錬物を冷却する工程であり、冷却工程では、混錬工程終了の際における混錬物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。上記平均降温速度で急冷すると、混錬工程終了直後の分散状態がそのまま保たれるため好ましい。なお上記平均降温速度とは、混錬工程終了の際における混錬物の温度(例えば図1のスクリュー押出し機11を用いた場合は、t2℃)から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、具体的には、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混錬物の供給量、混錬物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1から3mmの薄さであることが好ましい。
−粉砕工程−
冷却工程により冷却された混錬物は、粉砕工程により粉砕され、粒子が形成される。粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
−分級工程−
粉砕工程により得られた粒子は、必要に応じて、目的とする範囲の体積平均粒子径のトナー粒子を得るため、分級工程により分級を行ってもよい。分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
−外添工程−
得られたトナー粒子は、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、既述の特定シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機粉末を添加付着してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行われ、段階を分けて付着される。
−篩分工程−
上記外添工程の後に、必要に応じて篩分工程を設けてもよい。篩分方法としては、具体的には、例えば、ジャイロシフター、振動篩分機、風力篩分機等が挙げられる。篩分することにより、外添剤の粗粉等が取り除かれ、感光体上の筋の発生、装置内のぼた汚れなどが抑制される。
乳化凝集法は、トナーを構成する原料を乳化して樹脂粒子等の原料粒子(乳化粒子)を形成して該原料粒子の凝集体(凝集粒子)を形成する凝集工程(凝集粒子分散液調製工程)と、凝集体を融合・合一させる融合・合一工程とを有してもよい。
(各原料の乳化方法)
凝集粒子分散液調製工程に用いる原料分散液を準備するために、トナーを構成する主要な材料を、水系媒体中に分散させた乳化分散液を調製する。以下、樹脂分散液や、着色剤分散液、離型剤分散液等について説明する。
−樹脂分散液−
樹脂分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.8μm以下であってもよく、0.03μm以上0.6μmであってもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒径が上記範囲内であれば前記欠点がない上、トナー間の組成偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
なお、樹脂粒子等、原料分散液中に含まれる粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
樹脂分散液やその他の分散液に用いられる分散媒としては、水系媒体であってもよい。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。
界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用されてもよい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤が挙げられる。
樹脂粒子が、ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有しているため自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成する。
ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルホン酸基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
ポリエステル樹脂の樹脂分散液を調製する場合は、転相乳化法を利用してもよい。なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を用いて樹脂分散液を調製する場合にも転相乳化法を利用してもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散安定化する方法である。
この転相乳化に用いられる有機溶剤としては例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が例示される。これらの溶剤は単一でも、また2種以上を併用して使用してもよい。
転相乳化に用いる有機溶媒の溶媒量に関しては、樹脂の物性により所望の分散粒径を得るための溶媒量が異なるため、一概に決定することは困難である。溶媒量が少ない場合には乳化性が不十分となり、樹脂粒子の粒径の大径化や粒度分布のブロード化等が発生する場合がある。
結着樹脂を水中に分散させる場合、必要に応じて樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を中和剤によって中和してもよい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−nプロピルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられ、これらから選ばれるところの1種または2種以上を使用してもよい。これらの中和剤を添加することによって、乳化の際のpHを中性に調節し、得られるポリエステル樹脂分散液の加水分解が防止される。
また、この転相乳化の際に分散粒子の安定化や水系媒体の増粘防止を目的として、分散剤を添加してもよい。該分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。分散剤は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下添加してもよい。
転相乳化の際の乳化温度は、有機溶剤の沸点以下でかつ、結着樹脂の溶融温度あるいはガラス転移温度以上であればよい。乳化温度が結着樹脂の溶融温度あるいはガラス転移温度未満の場合、樹脂分散液を調製することが困難となる。なお、有機溶剤の沸点以上で乳化する場合は、加圧密閉された装置で乳化を行えばよい。
樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は通常、5質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%以下であってもよい。含有量が前記範囲外にあると、樹脂粒子の粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
また、樹脂分散液の作製は、水系媒体と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
樹脂分散液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
−着色剤分散液−
着色剤分散液を調製する際の分散方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用してもよく、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用して着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して着色剤の有機溶剤分散液を調製したりしてもよい。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いてもよい。
また、原料分散液を調製する際に、着色剤分散液は、その他の粒子を分散させた分散液と共に一度に混合してもよいし、分割して多段回で添加混合してもよい。
着色剤分散液に含まれる着色剤の含有量は通常、5質量%以上50質量%以下であってもよく10質量%以上40質量%以下であってもよい。含有量が前記範囲外にあると、着色剤粒子の粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
−離型剤分散液−
離型剤分散液は、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の溶融温度以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を分散させる。トナー中に分散させるためには、体積平均粒径が150nm以上400nm以下程度であることが望ましい。また、離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
なお、樹脂や着色剤等を分散媒と混合して、乳化分散させる装置としては、例えば、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等も利用される。
なお、目的に応じて、樹脂分散液に、離型剤、内添剤、帯電制御剤、無機粉体等の成分を分散させておいてもよい。
また、結着樹脂、着色剤、離型剤以外のその他の成分(添加剤)の分散液を調製する場合、この分散液中に分散する粒子の体積平均粒径としては、通常1μm以下であればよく、0.01μm以上0.5μm以下であってもよい。体積平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすくなる場合がある。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
(凝集粒子分散液調製工程)
凝集粒子分散液調製工程においては、まず得られた樹脂分散液(非晶性ポリエステル樹脂分散液、及び、必要に応じて結晶性ポリエステル樹脂分散液)、着色剤分散液及び離型剤分散液等を混合して混合液とし、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、2.2以上6以下の範囲がより望ましく、2.4以上5以下の範囲がさらに望ましい。この際、凝集剤を使用することも有効である。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが狭い粒度分布を得る点から好ましい。
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで非晶性ポリエステル樹脂粒子を追添加することで、コア凝集粒子の表面を非晶性ポリエステル樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、結晶性ポリエステル樹脂が用いられた場合に、結晶性ポリエステル樹脂がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
(融合・合一工程)
融合・合一工程においては、前記凝集粒子分散液調製工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、非晶性ポリエステル樹脂の融解温度以上の温度に加熱して凝集粒子を融合・合一させてもよい。また、非晶性ポリエステル樹脂で被覆した場合には、該非晶性ポリエステル樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、結晶性樹脂の溶融温度近傍(溶融温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
乳化凝集法においても、混練粉砕法の場合と同様に、トナー粒子表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。
<現像剤>
本実施形態の現像剤は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂、マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル系樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲であり、望ましくは30μm以上100μm以下の範囲である。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前述の被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100以上30:100以下程度の範囲であることが好ましく、3:100以上20:100以下程度の範囲であることがより好ましい。
<画像形成装置および画像形成方法>
次に、本実施形態の現像剤を用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
尚、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して着脱可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。該プロセスカートリッジとしては、本実施形態の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱される本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。尚、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図中における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20内面に接する駆動ローラ22および支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に予め定められた張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の潜像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、潜像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ(1次転写手段)5Y、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内に収納されているイエロー現像剤は、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに予め定められた1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向かう静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性(+)の極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部(図示せず)によって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ね合わされて重ね合わせトナー像が形成される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が重ね合わされた中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、予め定められた2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性(−)の極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向かう静電気力が重ね合わせトナー像に作用され、中間転写ベルト20上の重ね合わせトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれ重ね合わせトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬送ロール(排出ロール)32により搬送され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
尚、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して重ね合わせトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図3は、本実施形態の現像剤を収納するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。尚、300は記録紙である。
図3で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
次に、トナーカートリッジについて説明する。
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーとしたものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しない現像剤供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
〔各種物性の測定方法〕
<軟化温度の測定>
軟化温度の測定は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cmの試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを予め定められた昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
<重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定>
装置HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー製)と、カラムTSKgel SuperHM−H (6.0mmID×15cm×2本)(東ソー製)とを用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
<酸価の測定>
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
<ロジンモノマー残存量の測定>
ロジンモノマー残存量とは、樹脂中に含まれる未反応の特定ロジンジオール、及びロジン(ガムロジン、不均化ロジン、水素化ロジン)を合わせた量のことをいう。測定はHPLCを用いて、検出波長254nmでロジンジオール、及びロジンの定量を行った。用いたカラムは株式会社島津製作所製Shim−pack CLC−ODSとした。
(ロジンジオールの合成)
−特定ロジンジオール(A)の合成−
2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製、Mw340.41)113部、ロジン成分として蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン(Mw302.45)100部、脂肪族カルボン酸としてカプリル酸(東京化成工業(株)製)48部、及び反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジン及びカプリル酸のカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、特定ロジンジオール(A)を得た。
−特定ロジンジオール(B)乃至(I)及びロジンジオール(J)の合成−
表1に従って2官能エポキシ化合物、ロジン、カルボン酸、触媒の種類、投入量を変更したこと以外は、特定ロジンジオール(A)と同様の方法で特定ロジンジオール(B)乃至(I)及びロジンジオール(J)を合成した。
表1において、1)乃至6)は以下の通りである。
1)ガムロジン:蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったもの。
2)不均化ロジン:商品名パインクリスタルKR614、荒川化学工業(株)製、Mw300.44。
3)水素化ロジン:蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジンを水素化処理したもの、Mw306.48。
4)水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル:商品名デナコールEX252、ナガセケムテックス(株)製、Mw352.51。
5)エチレングリコールジグリシジルエーテル:商品名デナコールEX810、ナガセケムテックス(株)製、Mw174.19。
6)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:商品名デナコールEX211、ナガセケムテックス(株)製、Mw216.27。
(ポリエステル樹脂の合成)
−ポリエステル樹脂(1)の合成−
アルコール成分として特定ロジンジオール(A)438部、酸成分としてテレフタル酸(和光純薬工業(株)製)83部、及び反応触媒としてテトラ-n-ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.7部を撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら210℃で7時間重縮合反応させ、目的の分子量、酸価に達したことを確認し、ポリエステル樹脂(1)を合成した。
−ポリエステル樹脂(2)乃至(9)、比較ポリエステル樹脂(1)、(2)の合成−
表2に従って、重縮合成分の種類及び添加量を変更したこと以外はポリエステル樹脂(1)と同様の方法でポリエステル樹脂(2)乃至(9)、比較ポリエステル樹脂(1)、(2)の合成を行った。
表2において、1)はヒ゛スフェノールAフ゜ロヒ゜レンオキサイト゛2モル付加物である。
[実施例1]
(トナー粒子1)
−トナー粒子1の製造−
下記混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した。その後、風力式分級機(ターボクラシファイアー(TC−15N),日清エンジニアリング社製)で細粒、粗粒を分級し、その中間サイズの粒子を得る過程を3回繰り返し、体積平均粒子径=8μmのマゼンタ色のトナー粒子1を得た。
(混合物組成)
特定ポリエステル樹脂1 100部
マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57) 3部
−トナー1の製造−
トナー粒子1の100部に、シリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製))0.5部を加え、高速混合機によって混合し、トナー1を得た。
−現像剤1の製造−
上記トナー1とメチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆した粒径50μmのフェライトよりなるキャリアを用い、キャリア100部に対して、トナー1を7部添加し、タンブラーシェーカーミキサーで混合して現像剤1を得た。なお、トナーとキャリアとを混合する際の環境条件を夏場環境(30℃、相対湿度85%)、冬場環境(5℃、相対湿度10%)とした。
(評価)
上記作製したトナー及び現像剤について、帯電性、最低定着温度、及び、熱保管性(ブロッキング、トナー保存性)を評価した。結果は表3に示す。
−帯電性−
東芝製ブローオフ帯電量測定機を用いて帯電量の測定を行った。その結果、夏場環境では−35.5μC/g、冬場環境では−55.0μC/gの帯電量を示し、両者の比率は0.65を示した。なお、両者の比率は1に近い程、夏場環境と冬場環境との間の帯電量の差が少ないことを示し、望ましい結果である。
−最低定着温度−
夏場環境下で作製した現像剤を、富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機(定着温度が可変である外部定着器にて定着するように改造したもの)に用いて、富士ゼロックス社製カラー用ペーパー(J紙)にトナー載り量13.5g/mとなるよう調整して、画像形成を行った。画出しした後、外部定着器を用い、Nip幅6.5mm下、定着速度180mm/secにて定着した。
なお、最低定着温度の評価を行うため、外部定着器の定着ロールの設定温度を90℃から+5℃おきに高めながら、画像を定着させた。各定着温度において画像が形成された用紙における、定着トナー像のソリッド部の中央の内側に折り目を入れ、定着トナー像が破壊された部分をティッシュペーパーで拭き取り、白抜けした線幅を測定し、その線幅が0.5mm以下となる温度を最低定着温度(MFT)とした。
−ブロッキング−
夏場環境下で作製した現像剤を、前記同様の富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機に用いて、28℃/85%RHの環境下で、富士ゼロックス社製カラー用ペーパー(J紙)10000枚に、画像密度1%のプリントテストチャートを形成した。
なお、定着温度は、前記で得られた最低定着温度(MFT)から30℃高い温度に設定した。
10000枚プリント後の画像ソリッド部の白筋の発生の様子を観察し、また現像器内のトナーの様子を目視で観察した。これら観察により、以下の判断基準により耐ブロッキング性を評価した。
評価結果は、Bで、使用に問題がないとする。
A:白筋の発生はなく、現像器内でブロッキングしたトナーがほとんど見られない。
B:白筋の発生は無いが、現像器内でブロッキングしたトナーがわずかに見られる。
C:白筋の発生はわずかで、現像器内でブロッキングしたトナーが若干見られる。
D:白筋の発生がはっきり見られ、現像器内でブロッキングしたトナーが見られる。
−トナー保存性−
上記のブロッキング評価において10000枚の画像形成を行った後、現像器の中に残ったトナーの表面を電子顕微鏡で観察した。100個のトナーを観察し、潰れたトナーの個数をカウントし、以下の判断基準によりトナー保存性を評価した。
評価結果は、Bで、使用に問題がないとする。
A:潰れたトナーが無い。
B:潰れたトナーが1個以上2個以下見られる。
C:潰れたトナーが3個以上5個以下見られる。
D:潰れたトナーが10個以上見られる。
[実施例2、3]
ポリエステル樹脂1を表3に示すポリエステル樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でトナー及び現像剤を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
結果を表3に示す。
[比較例1]
ポリエステル樹脂1を表3に示す比較ポリエステル樹脂1に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でトナー及び現像剤を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
結果を表3に示す。
[実施例4]
(トナー粒子4)
−非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作製−
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、(株)ユーロテック製)に、上述のように作製したポリエステル樹脂(4)を200部入れ、120℃の温度で加熱溶融させた。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度でキャビトロンに移送した。
回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30%の、ポリエステル樹脂(4)による非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
−着色剤粒子分散液の作製−
下記成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、(株)スギノマシン製)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤粒子分散液を得た。
・シアン顔料(Pigment Blue15:3、大日精化工業(株)製)
10部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2部
・イオン交換水 80部
−結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作製−
ドデカン二酸(東京化成工業(株)製)115部、ドデカンジオール(宇部興産(株)製)101部をフラスコに仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、反応系内が撹拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.02部投入した。更に生成する水を留去しながら同温度から6時間かけて200℃まで上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂を含む下記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が180nmになったところで回収した。
このようにして、固形分20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
・結晶性ポリエステル樹脂 50部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC,第一工業製薬(株)製) 2部
・イオン交換水 200部
−トナー粒子4の作製−
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 150部
・着色剤粒子分散液 25部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 50部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4部
・イオン交換水 100部
上記成分を、丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50(IKA社製)を用い、混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を70部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調製した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。
反応終了後、降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに30℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところでヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。
次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子4を得た。
トナー粒子4の体積平均粒径を既述の方法で測定したところ、5.9μmであった。
−トナー4の製造−
さらに、このトナー粒子4に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒径平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%になるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、トナー4を作製した。
−現像剤4の製造−
上記で作製したトナーを、ポリメタクリレート(綜研化学社製)を1%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5%になるよう加えた後、ボールミルで5分間撹拌・混合し、現像剤を調製した。
次に、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例5乃至9]
ポリエステル樹脂4を表3に示すポリエステル樹脂に変更したこと以外は、実施例4と同様の方法でトナー及び現像剤を作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。
結果を表3に示す。
[比較例2]
ポリエステル樹脂4を表3に示す比較ポリエステル樹脂2に変更したこと以外は、実施例4と同様の方法でトナー及び現像剤を作製し、実施例4と同様の方法で評価を行った。
結果を表3に示す。
1Y,1M,1C,1K,107 感光体(像保持体)
2Y,2M,2C,2K 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32 搬送ロール(排出ロール)
108 帯電装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ,
P,300 記録紙(被転写体)

Claims (7)

  1. ジカルボン酸成分由来の繰り返し単位と、下記一般式(1)で表されるジアルコール成分由来の繰り返し単位と、を含有するトナー用ポリエステル樹脂。

    (一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素、又はメチル基を表わす。L、L、Lはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとL又はLとLで環を形成してもよい。Aは、ロジンの残基を表わす。Aは炭素数が2以上18以下の一価のカルボン酸の残基を表す。)
  2. 前記一価のカルボン酸の炭素数が2以上12以下である請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含むトナー。
  4. 請求項3に記載のトナーを含む現像剤。
  5. 請求項3に記載のトナーを収納し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  6. 請求項4に記載の現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  7. 潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項4に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
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