JP4984995B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
これに対し、トナーの定着温度を低下させる方法として、結着樹脂に結晶性樹脂を用いることが数多く提案されている(例えば、特許文献1〜5等参照)。また、過剰な温度、混練エネルギーを必要としない、上述した湿式製法によるトナー粒子の作製技術も盛んに検討されている。
上記に関しては、造粒時の着色剤の初期凝集抑制手段として、トナー中に特定構造の1価と2価のアニオン界面活性剤を含有させる(例えば、特許文献9参照)方法が提案されている。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、結晶性樹脂を含む結着樹脂、界面活性剤及び着色剤を含み、
前記結晶性樹脂の含有量が3〜15質量%の範囲、トナーの酸価が10〜30mgKOH/gの範囲であり、かつ、XPS(X線光電子分光分析)による存在元素強度合計中の前記界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をA、アルコール系溶媒による処理後のXRF(蛍光X線分析)による存在元素強度合計中の前記界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をBとしたとき、A/Bが0.01〜0.3の範囲である静電荷像現像用トナーである。
請求項2に係る発明によれば、さらに画質や、転写性、耐久性及び流動性等に優れた静電荷像現像用トナーを得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、内部に含まれる結晶性樹脂の分散性・相溶性・内包性に優れ、かつ、粒子形状均一性、強度を有する静電荷像現像用トナーをより有効に得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、内部に含まれる結晶性樹脂の分散性・相溶性・内包性に優れ、かつ、粒子形状均一性、強度を有する静電荷像現像用トナーをより有効に得ることができる。
請求項5に係る発明によれば、低温定着が可能であると共に、耐久性に優れ高画質画像を安定して形成することができる静電荷現像剤を提供できる。
請求項6に係る発明によれば、低温定着が可能であると共に、内部に含まれる結晶性樹脂の分散性・相溶性・内包性に優れ、かつ、粒子形状均一性、強度を有するトナー静電荷現像用トナーの供給を容易にし、上記特性の維持性を高めることができる。
請求項7に係る発明によれば、低温定着が可能であると共に、耐久性に優れ高画質画像を安定して形成することができる静電荷現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高めることができる。
請求項8に係る発明によれば、低温定着が可能であると共に、長期にわたる画像形成においても高画質画像を安定して得ることができる。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、結晶性樹脂を含む結着樹脂、界面活性剤及び着色剤を含み、前記結晶性樹脂の含有量が3〜15質量%の範囲、酸価が10〜30mgKOH/gの範囲であり、かつ、XPS(X線光電子分光分析)による存在元素強度合計中の界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をA、XRF(蛍光X線分析)による存在元素強度合計中の界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をBとしたとき、A/Bが0.01〜0.3の範囲であることを特徴とする。
これに対し、本発明では、トナーの酸価、結晶性樹脂の量、及び、特定の測定法により得られる硫黄元素の量比を規定することにより、これらの問題を解決することが可能となった。
なお、酸価の測定方法は、JIS K0070に準拠した方法による。詳細については後述する。
上記範囲のより好ましい範囲は4〜14質量%の範囲であり、さらに好適には5〜12質量%の範囲である。
湿式造粒法の場合、硫黄は、着色剤、離型剤、非晶性樹脂及び結晶性樹脂などのトナー構成材料の分散に用いられる界面活性剤や、造粒中の増粘を抑制し高温での粒子安定性を確保するために添加される界面活性剤などに由来する。特に、凝集剤を用いた湿式造粒法では低pH側における凝集工程が含まれることが多く、凝集工程での増粘抑制には界面活性剤などの親水成分を有する低分子量材料が必要であり、さらに、低pHで解離するスルフォン酸系の活性剤が必要である。
なお、前記トナー表面近傍とは、トナー粒子表面から深さ1〜10nmの範囲程度を意味し、前記トナー内部とは、トナー粒子表面から深さ10〜1000nmの範囲程度を意味する。すなわち、A/Bはトナーにおける表面付近と内部との硫黄元素の存在割合の比を示すものである。
A/Bは0.05〜0.27の範囲とすることが望ましく、0.07〜0.25の範囲とすることがより好適である。
前記XPS測定は、従来より公知のX線光電子分光分析装置(JPS9000MX、日本電子(株)社製)を用いて測定できる。また、測定条件は、加速電圧10kV、電流値30mAである。また、トナー粒子表面に添加剤処理が施されている場合は、イオンエッチング処理を行うことが必要である。具体的には、加速電圧400V、真空度1〜10−2Pa、Ar雰囲気下で、180秒間イオンエッチングを行う(トナー粒子表面からの深さが1〜10nmの範囲程度)ことが必要である。
まず、トナー粒子を溶解させないが膨潤させるメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール、もしくは、該アルコールとイオン交換水との混合溶液(これらをアルコール系溶媒という)中にトナー粒子を分散・混合させた後、固液分離して、表面および表面近傍に存在する活性剤由来の硫黄元素を除去した後(アルコール系溶媒による処理)、従来より公知の蛍光X線分析装置(島津製作所(株)社製のXRF−1500)を用いて測定することができる。測定条件としては、加速電圧40kV、電流値70mAである。
前記ナトリウム量は0.002〜0.015atm%の範囲とすることがより望ましく、0.003〜0.012atm%の範囲とすることがさらに好適である。
本実施形態におけるトナーは、結晶性樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを含む。
本実施形態におけるトナーに用いられる結着樹脂は、特に制限されないが、重付加反応あるいは重縮合反応により合成されたものであることが、低温定着性、保存安定性の点で好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中では、溶融粘度調整が比較的容易で、組み合わせて用いる結晶性樹脂との相溶性、離型剤の内包性の観点からポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
結晶性樹脂は、融点を有するため特定温度における粘度の低下が大きく、定着時にトナーが加熱された際に、結晶性樹脂分子が熱的に活動を開始してから定着可能領域までの温度差を小さくすることができるため、更に優れた低温定着性を付与することができる。トナー粒子中の結晶性樹脂の好ましい含有量は前述の通りである。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、トナー中の顔料の分散性が良くない場合がある。また、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒子
径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなる場合がある。また、乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒子径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない場合がある。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。一方、必要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を持つジオール成分、スルホン酸基を持つジオール成分等の構成成分が挙げられる。
具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
高分子量成分としては、重量平均分子量Mwが30000〜200000の範囲のものが望ましく、30000〜100000の範囲のものであることがより好適であり、35000〜80000の範囲であるものがさらに好適である。この範囲に分子量を制御することで、結晶性樹脂とより効率的に相溶し、また一旦相溶した結晶性樹脂の分離を抑制することができる。
結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させることができ、親水性極性基を有する化合物を用いることができる。具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。また結着樹脂がビニル系樹脂の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類、オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体、スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル等が挙げられる。
架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類、ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類、ピロール、チオフェン等の不飽和複素環化合物類、ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類、ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ、1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
本実施形態に用いられる着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などを1種又は2種以上を併せて使用することができる。
これに対して、着色剤粒子の平均粒径、粗大粒子、微小粒子が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。
なお、着色剤粒子の体積平均粒径も、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD2000A)等を用い測定することができる。なお着色剤の添加量は、トナー粒子全体に対し、1〜20質量%の範囲に設定するのが好ましい。
なお着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
本実施形態では、必要に応じて離型剤を用いることができる。
用いられる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系、石油系のワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらの離型剤粒子は、トナーの作製に際して、その他の樹脂粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
なお、トナー中に分散含有される離型剤の平均分散径は、TEM(透過型電子顕微鏡)写真を、画像解析装置(ニレコ社製、Luzex画像解析装置)で解析し、100個のトナー粒子中の離型剤の分散径(=(長径+短径)/2)の平均値を計算することで求めら、標準偏差はこのとき得られた個々の分散径を元に求めた。
ここで露出率はXPS(X線光電子分光)測定により求めた。XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施した。ここで、C1Sスペクトルのピーク分離法によってトナー表面の離型剤量を定量した。ピーク分離法は、測定されたC1Sスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。分離のベースとなる成分スペクトルには、トナーの作製に用いた離型剤、結着樹脂、結晶性樹脂を単独に測定して得られたC1Sスペクトルを用いる。
本発明のトナーは、公知のトナー製造方法により作製することができるが、いわゆる湿式製法、すなわち、水若しくは有機溶媒中、またはそれらの混合溶媒中で、結着樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を造粒する造粒工程と、該トナー粒子を洗浄・乾燥する洗浄・乾燥工程とを経て製造されることが、前述のトナー表面近傍及びトナー内部の元素組成をコントロールする上で好ましい。
前記乳化凝集法により作製する場合、既述したように、分散液作製工程と、凝集工程と、融合合一工程とを少なくと経て作製されるものであるが、凝集工程を経て形成された凝集粒子(コア粒子)の表面に樹脂粒子を付着させたコア/シェル構造を有する凝集粒子を形成する付着工程を設けてもよい。
例えば結晶性樹脂粒子の形成は、水系媒体と結晶性樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行うことができる。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成することができる。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用することもできる。さらに、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、結晶性樹脂粒子の分散液を作製することができる。あるいは、高温中で溶剤に溶融した樹脂に徐々に水を滴下し、W/OエマルションからO/Wエマルションへ転相させる(転相乳化法)ことで水中に樹脂を粒子として分散させ、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製することもできる。
なお、非晶性樹脂の場合も、上記に準じて非結晶性樹脂粒子の分散液を作製することができる。
また、分散液作製工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.01〜1.0μmの範囲が望ましく、0.03〜0.6μmがより望ましく、0.03〜0.4μmがさらに望ましい。
なお、分散液作製工程で着色剤を混入させておく場合、樹脂と着色剤との混合は、樹脂の有機溶剤溶解液に、着色剤あるいは着色剤の有機溶剤分散液を混合することで行うこともできる。
凝集工程においては、非晶性樹脂等を分散させた樹脂粒子分散液と、着色剤を分散させた着色剤分散液と、離型剤を分散させた離型剤分散液とを混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、加熱は、非晶性樹脂のガラス転移温度をやや下回る温度で実施する。好ましい温度範囲は、5〜25℃下回る範囲である。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
無機粒子分散液は前述の着色剤分散液等と同様にして作製することができ、無機粒子の分散平均粒径は100〜500nmの範囲とすることが好ましい。
この場合、凝集粒子を形成する際の分散樹脂粒子の平均径をr(μm)、加熱前の一次凝集体の平均径をR(μm)、含有する界面活性剤量をP(pph)、更に界面活性剤に混合する無機酸性薬剤量をQ(pph)としたとき、下記式(1)及び式(2)の関係を満たすように調整することが望ましい。
0.025<(r/R)×P<1.000 ・・・ 式(1)
0.012<Q/P<0.147 ・・・ 式(2)
また、前記無機酸性薬剤は、界面活性剤を樹脂粒子に均一に作用させるため添加される。Q/Pが0.012以下となると、界面活性剤が解離し、安定であるため分散樹脂粒子への付着量が減少するため、凝集構造・分散構造が不均一になる場合がある。Q/Pが0.147以上となると、界面活性剤の凝集や樹脂粒子の分解などを引き起こす場合がある。
0.030<(r/R)×P<0.900 ・・・ 式(1’)
0.015<Q/P<0.135 ・・・ 式(2’)
前記硫酸エステル塩系の界面活性剤としては、オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート、等を挙げることができ、前記スルホン酸塩系の界面活性剤としては、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ジフェニルエーテルスルフォン酸塩、等を挙げることができる。
しかしながら、本実施形態のトナーは、トナー中の離型剤の分散性・相溶性に優れる上に、結着樹脂として非晶性樹脂を用いるために、付着工程を実施してシェル層を設けなくても離型剤等の帯電性や保管性に悪影響を及ぼす成分のトナー表面への露出を抑制できると共に、十分な強度も得ることができる。このため乳化凝集法を用いる場合は、付着工程を省いても特に支障を来たすことがないため、トナーの製造をより簡略化することができる。
凝集工程、あるいは、凝集工程および付着工程を経た後に実施される融合合一工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを所望の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
なお、ナトリウムの存在割合を前記望ましい範囲とするためには、pHを6.0〜8.0の範囲とすることが好ましく、6.5〜7.5の範囲とすることがより好ましい。
なお、融合は、非晶性樹脂のガラス転移温度(必要により結晶性樹脂の融点)以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合合一工程、或いは、融合合一工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合合一工程、あるいは融合合一工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
凝集粒子の融合合一工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、既述したような種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
本実施形態のトナーの体積平均粒径D50vは3〜7μmの範囲が好ましい。3μmを下回ると帯電性が不十分となり周囲への飛散が起こって画像かぶりを引き起こす場合があり、7μmを超えると画像の解像度が低下し、高画質を達成することが困難となる場合がある。体積平均粒径D50vは5〜6.5μmの範囲がより好ましい。
一方、個数平均粒度分布指標GSDpは1.20〜1.30の範囲であることが好ましい。GSDpが1.30を超えると小粒径トナーの比率が高くなり小径トナーの付着力が大きいため、静電気的制御が困難となりやすく、2成分現像剤を用いる場合はキャリア上に残留しやすくなる場合がある。一方、1.20に満たないと、実使用上大きな問題には少ないものの、上記現像性低下や転写剤上のトナー粒子の充填率が低下する場合があり、ドット濃度などが低下する場合がある。
体積平均粒度分布指標GSDvは1.20〜1.25の範囲であること、個数平均粒度分布指標GSDpは1.21〜1.25の範囲であることがより好ましい。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2〜50μmの範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2の式によって求められる。
平均円形度は0.950〜0.970の範囲であることがより好ましい。
また、静電荷像現像用トナーの夏場(28℃、85%RH)における帯電量と、冬場(10℃、30%RH)における帯電量との比率は0.5〜1.5が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。この比率が、前記の範囲を外れると、トナーの環境依存性が強くなり、帯電性の安定性に欠け、実用上好ましくない場合がある。
本発明の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)は、本発明のトナーを含むものであり、目的に応じて他の成分を配合することができる。
具体的には、本発明のトナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。トナー濃度は1〜10質量%の範囲とすることが好ましい。
本実施形態では、キャリアには特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された芯材が樹脂層で被覆されたキャリア(樹脂被覆キャリア)等の公知のキャリアを使用することができる。
被覆層を形成する被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。
次に、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた本発明の画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いるものである。
以下、本発明の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
上記によりトナーをリサイクルして使用する場合、トナー粒子の強度が高いこと及び離型剤のトナー内部の分散性が良好で表面に多く露出しないことが必要であるが、本発明のトナーは、十分な強度を有しているため、長期に渡って使用しても画質の劣化を招くことがない。
図2は、本発明の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙である。
本実施形態に用いられる感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた公知の感光体が利用できるが、有機感光体を用いることが好ましい。この場合、感光体の最表面を構成する層、例えば保護層が、架橋構造を有する樹脂を含むものであることが好ましい。架橋構造を有する樹脂としてはフェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン系樹脂が利用できるが、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が最も好ましい。
F−[D−Si (R2)(3−a) Qa ]b ・・・ (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、Dは可とう性サブユニット、R2は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基、Qは加水分解性基を表わし、aは1〜3の整数、bは1〜4の整数を表わす。
なお、一般式(I)中のDで示される可とう性サブユニットとしては、−(CH2)n−基を必ず含み、これに−COO−、−O−、−CH=CH−、−CH=N−基を組み合わせた2価の直鎖基であってもよい。なお、−(CH2)n−基のnは1〜5の整数を表す。また、Qで表される加水分解性基としては、−OR基(但し、Rはアルキル基を表す)を表す。
一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R1はアル
キレン基、Zは、−O−、−S−、−NH−、又は、−COO−、mは1〜4の整数を示
す。Xは、−O−、又は、−S−を表し、nは0または1を示す。
一般式(I)、(II)で示される化合物のさらに好ましいものとして、有機基Fが特
に下記一般式(III)で示されるものを用いたものを挙げることができる。
また、フェノール誘導体は、メチロール基を含むものも利用でき、例えば、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーとの混合物が挙げられる。
なお、本明細書においては、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる場合がある。このため、塩基性触媒を利用した場合は、触媒を利用した反応終了後に、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。
本発明に用いられる架橋構造を有するフェノール系樹脂としては、上述したような公知のフェノール系樹脂を更に架橋反応させたものであってもよく、ノボラック型のようにフェノール系樹脂自体が架橋構造を有しているものであってもよい。なお、前者の場合は、レゾール型フェノール樹脂を用いることがより好ましい。
特に、トナーとして本発明のトナーのように結晶性樹脂を含むものは吸湿性があるため、表面層として吸水性・ガスバリア性でやや劣る前記シロキサン系樹脂の表面層を有する感光体と組み合わせて用いるよりも長期に渡り高画質を安定して得られるという点でより好ましく用いられる。
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(トナー、樹脂の酸価)
トナー、樹脂の酸価(AV)は以下のようにして測定した。基本操作はJIS K−0070−1992に準ずる。
試料としては、予めトナー、樹脂のTHF不溶成分を除去して使用するか、上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶成分を使用した。試料の粉砕品1.5gを精秤し、300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液100mlを加え溶解させた。自動滴定装置GT−100(ダイアインスツルメンツ社製)を用いて、0.1mol/lのKOHのエタノール溶液により電位差滴定を行った。この時のKOH溶液の使用量をA(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。これらの値から、下記式(3)により酸価を計算した。式(3)中、wは精秤した試料量、fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(A−B)×f×5.61}/w ・・・ 式(3)
樹脂の分子量分布は以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒子径は、レーザー回折粒度測定器(島津製作所製、SALD2000A)で測定した。
トナー、結晶性ポリエステル樹脂の融点、トナー及び非晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された各極大ピークより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
なお、測定には示差走査熱量計(DSC−7、パーキンエルマー社製)を用い、サンプルはアルミニウム製パンを、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
(非晶性ポリエステル樹脂分散液)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと、テレフタル酸と、フマル酸と、n−ドデセニルコハク酸と、トリメリット酸とを、各々表1に示す組成で投入し、さらにこれらの酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、フマル酸)の合計モル数100に対して0.05モルのジブチル錫オキサイドを入れた。次いで、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12〜20時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)〜(6)を合成した。組成詳細を表1に示す。
加熱乾燥した3口フラスコに、1,9−ノナンジオールが46モル%と、ドデカンジカルボン酸が54モル%となるように入れ、触媒として、ドデカンジカルボン酸のモル数100に対して0.05モルのジブチル錫オキサイドを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で2時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。
その後、前記非晶性樹脂分散液の作製と同様に、高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)にて、同様の条件にて、結晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。分散液中の体積平均粒子径は0.15μmであった。
・フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE):25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK):2部
・イオン交換水:125部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は0.12μm、着色剤粒子濃度は24%であった。
・パラフィンワックス(日本精鑞HNP0190:100部
・アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR):2部
・イオン交換水:300部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が200nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20%)を調製した。
(トナー(1))
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1):150部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(3):150部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液:70部
・着色剤分散液:50部
・離型剤分散液:60部
・硫酸アルミニウム(和光純薬社製):0.5部
・界面活性剤水溶液(ペレックスNBL(35%有効成分)、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、花王(株)社製):65部
・0.3M硝酸水溶液:76部
・イオン交換水:300部
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
得られたトナー粒子100部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサーで混合して外添し、トナー(1)を得た。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を20部とし、pHを8.0とした以外は、同様にしてトナー(2)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を10部とし、pHを7.0とした以外は、同様にしてトナー(3)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、界面活性剤の量を3.2部とした以外は、同様にしてトナー(4)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.02、Q/Pは0.01であった。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、界面活性剤の量を163部とした以外は、同様にしてトナー(5)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは1.08、Q/Pは0.15であった。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を5部とし、pHを6.0とした以外は、同様にしてトナー(6)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
トナー(1)の製造において、表2に示す各分散液を用い、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を40部とし、pHを9.0とした以外は、同様にしてトナー(7)を作製した。
なお、このときの条件は、(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
トナー(1)の製造において、各々表2に示す各分散液を用いた以外はトナー(1)に準じてトナー粒子の作製、外添剤処理を行い、トナー(8)〜(12)を得た。
なお、このときの条件も、すべて(r/R)×Pは0.4、Q/Pは0.06であった。
これらの結果をまとめて表3に示す。
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径:50μm)100部とポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、重量平均分子量:95000)2.5部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後、冷却し、目開き105μmの篩を用いて分級することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。
このフェライトキャリアと、上記トナー(1)〜(12)とを各々混合し、トナー濃度が7質量%である二成分系の現像剤(1)〜(12)を作製した。
(感光体1)
円筒状のAl基板をセンタレス研磨装置により研磨し、十点平均表面粗さRzを0.6μmとした。洗浄工程としてこのシリンダーを脱脂処理、2%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、更に純水洗浄を順に行った。次に、陽極酸化処理工程として10%硫酸溶液によりシリンダー表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm2)を形成した。水洗後、1質量%酢酸ニッケル溶液80℃に20分間浸漬して封孔処理を行った。更に純水洗浄、乾燥処理を行った。このようにして、アルミニウムシリンダー表面に7μmの陽極酸化膜を形成した。
次に、下記構造のベンジジン化合物(下記化合物1)2部、および、高分子化合物(下記化合物2、粘度平均分子量:39,000)2.5部をクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コ−ティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行なって膜厚20μmの電荷輸送層を形成し感光体1を得た。なお、構造式中「Me」はメチル基を表す。
下記に示す構成材料にメチルアルコール5部と、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5部とを加え、室温で攪拌することにより24時間保護基の交換反応を行った。−構成材料−
・下記化合物3:2部
・メチルトリメトキシシラン:2部
・テトラエトキシシラン:0.5部
・コロイダルシリカ:0.4部
・Me(MeO)2Si−(CH2)4−SiMe(OMe)2:0.5部
・(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジメトキシシラン:0.1部
・ヘキサメチルシクロトリシロキサン:0.3部
下記化合物4を5部、レゾール型フェノール樹脂(PL−4852、群栄化学社製)を7部、メチルフェニルポリシロキサンを0.03部、及びイソプロパノールを20部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬コーティング法で前記感光体1の電荷輸送層上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、膜厚3μmの保護層を形成し感光体3を得た。
富士ゼロックス製プリンターDocuCentre Color 400CP改造機(感光体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを備え、回収ボックス内のトナーを現像器内部に戻すリサイクルシステムを有する装置)を用い、表4に示すように感光体と現像剤とを組み合わせて、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下で5000枚の画像形成テストし、次いで低温低湿(10℃、15%RH)の環境下にて5000枚の画像形成テストした後、低温定着性、転写性、感光体表面ディフェクトを評価した。
結果を表に示す。
なお、感光体2、感光体3を用いた場合についてのみリサイクルシステムの確認のため、リサイクルシステムを作動させて、更に高温高湿(28.5℃/湿度85%RH)環境下で100000枚の画像形成テストを実施し、テスト後の感光体上のフィルミングの有無を50倍のルーペを用いて目視にて観察した。
(低温定着性)
低温定着性は、画像形成テスト前に、定着器の温度制御を外部電源コントロールにて行い、定着温度が100〜140℃の範囲を5℃間隔で定着し、得られる画像が一定の反射濃度(用紙C2紙、富士ゼロックス社製、X−Rite404濃度計で濃度1.5〜1.8)となるように画像を形成し、このようにして得られた画像の折り曲げによる画像欠陥を官能評価して判定した。なお、プロセススピードは160mm/s、250mm/sの2水準で実施した。
◎:いずれのプロセススピード、画像濃度でも110℃以下で問題なし(画像欠陥目視で認められない)
○:250mm/s、高画像濃度で、110℃において若干の画像欠陥認められる(実使用上問題ない)
△:実用上問題ないが、高画像濃度、低温部(110〜135℃)で画像欠陥が認められる。
×:低温部(110〜135℃)で画像欠陥多く実用に耐えないレベル(135℃以上では定着し画像欠陥見られない)。
転写性は、500枚(初期)、以後1000枚、2000枚と 1000枚毎に、ベタ画像の未定着サンプルを、トナー載り量が各々0.3、0.6、0.9、1.2、1.5g/m2として採取し、そのトナー載り量と、転写後の感光体上のトナー残留質量とを測定して転写率を求め、以下の基準により判定した。
◎:いずれの重量でも5000枚まで良好で変化なし(転写率85〜95%)。
○+:実使用上大きな問題とはならない(転写率80〜84%)であるが、5000枚時点で初期より低下している。
○-:高トナー載り量(1.5g/m2)時点のみ1000枚時点で低下あり(転写率80〜84%)。
△+:中〜高トナー載り量(0.9、1.2、1.5g/m2)で1000枚以降で低下あり(転写率80〜84%)。
△-:全トナー載り量領域で1000枚以降で低下あり(転写率80〜84%)。
×:初期で全領域より低下(転写率70%以下)。
テスト後の感光体上のフィルミングの有無を50倍のルーペを用いて目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:フィルミングは確認されない。
○+:ルーペでフィルミングは確認されるが、画像への影響は見られない。
○-:目視で確認されるが、画像への影響は見られない。
△:画像への影響は見られるものの、実用上問題ない。
×:実用上問題あり。
以上の結果をまとめて表4に示す。
一方、前記構成のいずれかを満足しない比較例では、何らかの特性で問題が生じた。
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)
Claims (8)
- 結晶性樹脂を含む結着樹脂、界面活性剤及び着色剤を含み、
前記結晶性樹脂の含有量が3〜15質量%の範囲、トナーの酸価が10〜30mgKOH/gの範囲であり、かつ、XPS(X線光電子分光分析)による存在元素強度合計中の前記界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をA、アルコール系溶媒による処理後のXRF(蛍光X線分析)による存在元素強度合計中の前記界面活性剤に由来する硫黄元素の存在割合をBとしたとき、A/Bが0.01〜0.3の範囲であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 体積平均粒径D50vが3〜7μmの範囲、体積平均粒度分布指標GSDvが1.18〜1.28の範囲、個数平均粒度分布指標GSDpが1.20〜1.30の範囲であり、かつ、平均円形度が0.940〜0.980の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 水あるいは有機溶媒中、またはそれらの混合溶媒中で、前記結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子を造粒し、該トナー粒子を洗浄、乾燥して製造されることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を作製する分散液作製工程と、前記各分散液を攪拌混合し凝集粒子とする凝集工程と、前記結着樹脂のガラス転移温度または前記結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を一体化する融合合一工程とを有し、少なくとも前記分散液作製工程及び凝集工程のいずれかにおいて、硫酸エステル塩系の界面活性剤及びスルホン酸塩系の界面活性剤のうちの1種以上の前記界面活性剤を用いる製造工程を経て製造されることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- トナーを含み、該トナーが請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする静電荷像現像剤。
- トナーが少なくとも収められ、該トナーが請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするトナーカートリッジ。
- 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
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