JP2015089902A - ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

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Shiori Naganami
紫織 長南
山崎 純明
Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
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Susumu Yoshino
進 吉野
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Yuki Sasaki
有希 佐々木
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Abstract

【課題】静電荷像現像用トナーとして用いる、乳化性に優れたポリエステル樹脂の提供。【解決手段】カルボン酸成分と式(1)のロジンジオールとの重合体であり、酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が1質量%以下であり、且つ樹脂中の前記ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%以下であるポリエステル樹脂である。(R1及びR2は、それぞれ独立に水素又はメチル基、L1〜L3は、それぞれ独立に、二価の連結基、A1及びA2はロジンエステル基)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法に関する。
特許文献1には、「酸成分がジカルボン酸類、ポリオール成分がロジングリシジルエステル、エーテル化ジフェノール類およびフェニル核を有しないジオール類、架橋成分が3価以上のポリカルボン酸類および(又は)3価以上のポリオール類である非線状ポリエステル樹脂を含有する電子写真トナー組成物」が提案されている。
また、特許文献2には、「ロジン(R)とエポキシ基含有化合物(E)との反応生成物(P)と結着用樹脂(Q)とを含有することを特徴とする電子写真トナ−用樹脂組成物。」が提案されている。
特開昭62−226161号公報 特開2006−292820号公報
本発明の課題は、乳化性に優れたポリエステル樹脂を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
カルボン酸成分と下記一般式(1)で表されるロジンジオールを含むアルコール成分との重合体であり、
酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が1質量%以下であり、且つ樹脂中の前記ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%以下であるポリエステル樹脂。

(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、またはメチル基を表す。L、LおよびLは、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとLまたはLとLで環を形成してもよい。AおよびAはロジンエステル基を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記一般式(1)で表されるロジンジオールが、ロジン2molに対し2官能エポキシ化合物1.01mol以上1.2mol以下の範囲の比率で、ロジンと2官能エポキシ化合物とを反応させた化合物である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
請求項3に係る発明は、
水酸基価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、且つ酸価と水酸基価との差分が10mgKOH/g以下である請求項1又は請求項2に記載のポリエステル樹脂。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナー。
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
請求項6に係る発明は、
請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項8に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項9に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
請求項1に係る発明によれば、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸又は当該ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%を超えた場合に比べ、乳化性に優れたポリエステル樹脂が提供される。
請求項2に係る発明によれば、一般式(1)で表わされるロジンジオールが、ロジン化合物と2官能のエポキシ化合物とを2:1.00のモル比で反応させた反応体である場合に比べ、乳化性に優れたポリエステル樹脂が提供される。
請求項3に係る発明によれば、水酸基価が上記範囲外、又は酸価と水酸基価との差分が上記範囲外の場合に比べ、乳化性に優れたポリエステル樹脂が提供される。
請求項4に係る発明によれば、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸又は当該ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%を超えたポリエステル樹脂を含む場合に比べ、定着性に優れた静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項5、6、7、8、又は9に係る発明によれば、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸又は当該ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%を超えたポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、定着性に優れた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法が得られる。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[ポリエステル樹脂]
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、カルボン酸成分と一般式(1)で表されるロジンジオール(以下単に「ロジンジオール」とも称する)を含むアルコール成分との重合体である。そして、本実施形態に係るポリエステル樹脂は、酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が1質量%以下であり、且つ樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%以下である。
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、上記組成により、乳化性に優れる。この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推測される。
ポリエステル樹脂は、例えば、トナーを代表とする樹脂製品の原料として有用である。原料としてのポリエステル樹脂は、樹脂を乳化した乳化液(ポリエステル樹脂粒子分散液)として使用されることが多い。ポリエステル樹脂の乳化性が悪化すると、乳化液中の樹脂粒子の粒径及び分布も悪化し、樹脂製品の性能に影響を及ぼすこととなる。
ところで、ポリエステル樹脂の酸価は、乳化性に寄与する物性値である。具体的には、ポリエステル樹脂の酸価を10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下にすると、ポリエステル樹脂の乳化性が高まる。
しかしながら、ロジンジオールをアルコール成分として使用するポリエステル樹脂は、上記範囲の酸価を有していても、乳化性が低いことがわかってきた。
ここで、通常、酸価の測定は、JIS K0070に従った中和滴定法により行う。この中和滴定法では、ポリエステル樹脂の酸価は、樹脂の乳化性に影響がある高分子量成分のみならず、低分子量成分(モノマー)も含めた上での酸価として測定される。このため、高分子量成分に由来する酸価が低くても、低分子量成分(モノマー)に由来する酸価が高ければ、ポリエステル樹脂の酸価が上記範囲内となると考えられる。このため、ポリエステル樹脂が上記範囲の酸価を有していても、乳化性が低いことがあると考えられる。
ロジンジオールをアルコール成分として使用するポリエステル樹脂の場合、ロジンジオールに由来する構造単位から、ロジンエステル基が遊離し、ロジン骨格を有するカルボン酸(つまりロジン)が樹脂中に含まれると考えられる。また、ロジンと2官能エポキシ化合物を反応させたロジンジオールを使用する場合、未反応のロジンが残存し、その未反応のロジン(ロジン骨格を有するカルボン酸)が樹脂中に含まれると考えられる。このため、ポリエステル樹脂の酸価が上記範囲内であっても、高分子量成分に由来する酸価が低く、低分子量成分(モノマー)に由来する酸価が高い状態となっていると考えられる。無論、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分であるジカルボン酸の未反応物も樹脂中に過剰に残存すると、上記状態になると考えられる。
これ対して、ロジンジオールをアルコール成分として使用するポリエステル樹脂において、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が1質量%以下であり、且つ樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸を1質量%とする。そして、この組成のポリエステル樹脂の酸価を10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下とする。つまり、乳化性に影響する高分子量成分(例えば分子量5000以上100000以下)に由来する酸価を上記範囲又はそれに近い範囲とする。これにより、ロジンジオールをアルコール成分として使用するポリエステル樹脂でも、酸価を上記範囲内とすれば、乳化性が高まると考えられる。
以上から、本実施形態に係るポリエステル樹脂は、乳化性に優れると考えられる。そして、本実施形態に係るポリエステル樹脂を静電荷像現像用トナーの結着樹脂に適用した場合、定着性に優れたに優れた静電荷像現像用トナーとなる。
ここで、本実施形態に係るポリエステル樹脂は、水酸基価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、且つ酸価と水酸基価との差分が10mgKOH/g以下であることも好ましい。酸価、水酸基価、及び酸価と水酸基価との差分を上記範囲内とすることにより、より乳化性が高まる。
ここで、酸価と水酸基価との差分が10mgKOH/g以下とは、カルボキシル基を持つ中分子量成分(オリゴマー)、及びカルボン酸モノマーが少なく、乳化性に影響する高分子量成分(例えば分子量5000以上100000以下)に由来する酸価が上記範囲又はそれに近い範囲であることを示す。これは、カルボン酸とアルコールが1:1で均等に反応した場合、高分子鎖末端のカルボン酸基と水酸基の数は等しくなり、この場合酸価と水酸基価も等しくなる。実際にはロジンの脱離によるモノカルボン酸の影響、及び各モノマー同士の反応優位性の差により反応は均一ではないが、差分が小さいほど理想状態であるモノマー同士が均一に反応した状態と近いと考えられるためである。
以下、本実施形態に係るポリエステル樹脂の詳細について説明する。
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、カルボン酸成分とアルコール成分との重合体である。
−カルボン酸成分−
カルボン酸成分には、例えば、ジカルボン酸、又はジカルボン酸ジエステルを含む。つまり、ポリエステル樹脂を直接エステル化法により合成する場合、カルボン酸成分には、ジカルボン酸を含み、ポリエステル樹脂をエステル交換法により合成する場合、ジカルボン酸ジエステルを含む。
なお、カルボン酸成分には、ジカルボン酸又はジカルボン酸ジエステル以外の他のカルボン酸又は他のカルボン酸エステルを含んでいてもよい。
・ジカルボン酸
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、樹脂に架橋構造を付与する場合、エチレン性不飽和二重結合を持つ不飽和ジカルボン酸も挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸トラウマチン酸、それらの酸の無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸、それらの酸の無水物等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびイタコン酸が好ましく、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸がより好ましい。
これらカルボン酸の中でも、ポリエステル樹脂をトナー用として適用する場合、トナーの耐久性、定着性および着色剤の分散性の観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
これらカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。但し、不飽和ジカルボン酸は、製造安定性の観点から、不飽和ジカルボン酸以外のジカルボン酸と共に併用することがよい。具体的には、例えば、不飽和ジカルボン酸は、全ジカルボン酸に対して5モル%以上80モル%以下で併用することがよく、好ましくは10モル%以上70モル%以下、より好ましくは25モル%以上60モル%以下で併用する。
ここで、カルボン酸成分に対するジカルボン酸の含有量は、80モル%以上100%以下が好ましく、90モル%以上100モル%以下がより好ましい。
・ジカルボン酸ジエステル
ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸ジエステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル;それらの酸の無水物等が挙げられる。
ジカルボン酸ジエステルとしては、樹脂に架橋構造を付与する場合、エチレン性不飽和二重結合を持つ不飽和ジカルボン酸ジエステルも挙げられる。不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸トラウマチン酸等の不飽和カルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが挙げられる、不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸ジエステルとしては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびイタコン酸から選択される不飽和カルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが好ましく、フマル酸、マレイン酸、および無水マレイン酸から選択される不飽和カルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステルがより好ましい。
これらカルボン酸ジエステルの中でも、ポリエステル樹脂をトナー用として適用する場合、トナーの耐久性、定着性および着色剤の分散性の観点から、芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ましい。
これらカルボン酸ジエステルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。但し、不飽和ジカルボン酸ジエステルは、製造安定性の観点から、不飽和ジカルボン酸以外のジカルボン酸ジエステルと共に併用することがよい。具体的には、例えば、不飽和ジカルボン酸ジエステルは、全ジカルボン酸ジエステルに対して5モル%以上80モル%以下で併用することがよく、好ましくは10モル%以上70モル%以下、より好ましくは25モル%以上60モル%以下で併用する。
ここで、カルボン酸成分に対するジカルボン酸ジエステルの含有量は、80モル%以上100%以下が好ましく、90モル%以上100モル%以下がより好ましい。
・他のカルボン酸又は他のカルボン酸エステル
他のカルボン酸としては、3価以上のカルボン酸が挙げられ、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族カルボン酸、これらの無水物が挙げられる。
他のカルボン酸エステルとしては、3価以上のカルボン酸エステルが挙げられ、例えば、上記例示した3価以上のカルボン酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが挙げられる。
−アルコール成分−
アルコール成分は、ロジンジオールを含む。なお、アルコール成分は、ロジンジオール以外の他のアルコールを含んでいてもよい。
・ロジンジオール
ロジンジオールは、下記一般式(1)で表されるロジンジオールである。

一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、またはメチル基を表す。L、LおよびLは、それぞれ独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとLまたはLとLで環を形成してもよい。AおよびAはロジンエステル基を表す。
、LおよびLで表される鎖状アルキレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられる。
、LおよびLで表される環状アルキレン基としては、例えば、炭素数3以上7以下の環状アルキレン基が挙げられる。
、LおよびLで表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基が挙げられる。
鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基の置換基の例としては、炭素数1以上8以下のアルキル基、アリール基などが挙げられ、直鎖、分岐または環状のアルキル基が望ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるロジンジオールは、1分子中に2個のロジンエステル基を含有する。
なお、ロジンエステル基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
一般式(1)で表されるロジンジオールは公知の方法によって合成される。具体的には、例えば、ロジンと2官能エポキシ化合物との反応により合成される。
以下に、ロジンジオールの合成スキームを一例として示す。

ロジンとは、樹木から得られる樹脂酸の総称であり、主成分は3環性ジテルペン類の1種であるアビエチン酸とその異性体類を含む天然物由来の物質である。具体的な成分としては、例えば、アビエチン酸の他にパラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸などがあり、本実施形態で用いるロジンはこれらの混合物である。ロジンは採取方法による分類では、原料をパルプとするトールロジン、原料を生松脂とするガムロジン、および原料を松の切り株とするウッドロジンの3種に大別される。
ロジンは入手が容易であることからガムロジンやトールロジンが望ましい。これらのロジン類は精製することが望ましく、未精製のロジン類から樹脂酸の過酸化物から生起したと考えられる高分子量物や、未精製のロジン類に含まれていた不ケン化物を除去することにより精製ロジンが得られる。精製方法は特に限定されず、公知の各種精製方法を選択してもよい。具体的には蒸留、再結晶、抽出等の方法が挙げられる。工業的には蒸留による精製を行うことが望ましい。蒸留は、通常、200℃以上300℃以下、6.67kPa以下の圧力で蒸留時間を考慮して選択される。再結晶は、例えば、未精製ロジンを良溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、この溶液に貧溶媒を添加することにより行う。良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類、低級アルコール等のアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられ、貧溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等の炭化水素溶媒が挙げられる。抽出は、例えば、アルカリ水を用いて未精製のロジンをアルカリ水溶液となし、これに含まれる不溶性の不ケン化物を、有機溶媒を用いて抽出したのち、水層を中和することで精製ロジンを得る方法である。
ロジンは、不均化ロジンでもよい。不均化ロジンとは、主成分としてアビエチン酸を含むロジンを不均化触媒の存在下で高温加熱することによって、分子内の不安定な共役二重結合を消失させたもので、主成分として、デヒドロアビエチン酸とジヒドロアビエチン酸との混合物である。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの保持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物、リン含有化合物等の各種公知のものが挙げられる。該触媒の使用量はロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下、望ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下、望ましくは150℃以上290℃以下である。なおデヒドロアビエチン酸量を制御する方法としては例えば、不均化ロジンからエタノールアミン塩として結晶化する方法(J.Org.Chem.,31,4246(1996))により単離したデヒドロアビエチン酸を上述の範囲となるように添加しても良い。
ロジンは、水素化ロジンでもよい。水素化ロジンとは、主成分としてテトラヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸を含み、公知の水素化反応により分子内の不安定な共役二重結合を消失させて得られる。水素化反応は水素化触媒の存在下に通常10Kg/cm2以上200Kg/cm2以下、望ましくは50Kg/cm2以上150Kg/cm2以下の水素加圧下で、未精製ロジンを加熱することにより行なう。水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの保持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものを例示しうる。該触媒の使用量は、ロジンに対して通常0.01質量%以上5質量%以下、望ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下であり、反応温度は100℃以上300℃以下、望ましくは150℃以上290℃以下である。
これらの不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、または水素化処理の前後において、上記精製工程を設けても良い。
ロジンは、ロジンを重合して得られる重合ロジン、ロジンに不飽和カルボン酸を付加させた不飽和カルボン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンでも良い。なお、不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。当該不飽和カルボン酸変性ロジンは、原料ロジン100重量部に対し、不飽和カルボン酸を通常1質量部以上30質量部以下程度用いて変性したものである。
ロジンは上記ロジンのうち精製ロジン、不均化ロジン、水素化ロジンが望ましく、これらを単独で用いても、いずれかの混合物でもよい。
一方、2官能エポキシ化合物は、1分子中にエポキシ基を2個含むものであり、芳香族ジオールのジグリシジルエーテル、芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル、脂環式ジオールのジグリシジルエーテル、脂環式エポキシド等が挙げられる。
芳香族ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールAの誘導体類;ビスフェノールF、ビスフェノールFのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールFの誘導体類;ビスフェノールS、ビスフェノールSのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールSの誘導体類;レソルシノール;t−ブチルカテコール;ビフェノール;等のジグリシジルエーテルが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエーテルの代表例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等のジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂肪族ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂環式ジオールのジグリシジルエーテルの代表例としては、例えば、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等の水添ビスフェノールAの誘導体類;シクロヘキサンジメタノール;等のジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂環式エポキシドの代表例としては、リモネンジオキサイドが挙げられる。
2官能エポキシ化合物は、例えば、ジオール成分とエピハロヒドリンの反応で得られるが、その量比によって重縮合させて、高分子量化してもよい。
ここで、ロジンと2官能エポキシ化合物との反応は、主としてロジンのカルボキシル基と2官能エポキシ化合物のエポキシ基との開環反応により進む。その際、反応温度としては両構成成分の溶融温度以上、または混合が実現される温度であることが望ましく、具体的には60℃以上200℃以下の範囲が一般的である。反応に際し、エポキシ基の開環反応を促進する触媒を加えてもよい。
触媒としては、エチレンジアミン、トリメチルアミン、2−メチルイミダゾールなどのアミン類、トリエチルアンモニウムブロマイド、トリエチルアンモニウムクロライド、ブチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどを挙げられる。
反応は種々の方法で行われ、例えば、一般的には回分式の場合は冷却管、撹拌装置、不活性ガス導入口、温度計等を備えた加熱する機能を有するフラスコにロジンと2官能エポキシ化合物を仕込み、加熱溶融し反応物をサンプリングすることによって反応進行を追跡する。反応の進行度は主として酸価の低下によって確認し、化学量論的な反応終点またはその近くに到達した時点をもって反応を完結する。
ロジンと2官能エポキシ化合物との反応比率は、ポリエステル樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量を低減する点から、モル比で、ロジン2molに対し、2官能エポキシ化合物1.01mol以上1.2mol以下の範囲であることが好ましく、1.03mol以上1.15mol以下がより好ましく、1.05mol以上1.1mol以下が更に好ましい。
ロジンと過剰の2官能エポキシ化合物とを反応させて、ロジンジオールを得ることで、未反応のロジン(ロジン骨格を有するカルボン酸)がロジンジオール中に残留し難くなり、ポリエステル樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が上記範囲内となり易くなる。
以下に、一般式(1)で表されるロジンジオールの例示化合物としては、例えば、特開2012−229413(その段落0059〜段落0065)に記載された例示化合物(1)〜(42)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらロジンジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、全アルコール成分に対するロジンジオールの含有量は、10モル%以上100モル%以下が望ましく、20モル%以上90モル%以下がより望ましい。
・他のアルコール
他のアルコールとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル-1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ダイマージオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAブチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
これら他のアルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ポリエステル樹脂の特性−
本実施形態に係るポリエステル樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、乳化性の点から、好ましくは10mgKOH/g以上20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上15mgKOH/g以下である。
酸価の測定は、JIS K0070(1992)に従った中和滴定法により行う。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、および、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出する。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の水酸基価は、乳化性の点から、10以上30以下がよく、好ましくは10mgKOH/g以上20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である。
水酸基価の測定は、JIS K0070(1992)に従った電位差滴定法により行う。即ち、ポリエステル樹脂に無水酢酸を加えて加熱し、ポリエステル樹脂の水酸基末端をアセチル化反応によりアセチル化し、残った無水酢酸を水で分解することで生成した酢酸の酸価を測定して算出する。
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、乳化性の点から、酸価及び水酸基価が上記範囲であり、且つ酸価と水酸基価との差分が10mgKOH/g以下であることがよく、好ましくは5mgKOH/g以下、である。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、40000以上150000以下であることが望ましく、45000以上100000以下よりが望ましく、50000以上90000以下がさらに望ましい。
重量平均分子量は、熱保管性の観点から、40000以上であることがよい。また、重量平均分子量は、低温定着性の観点から、150000以下であることがよい。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、上記観点から、2000以上7000以下がよく、3000以上6500以下が望ましく、3500以上6000以下がより望ましい。
本実施形態に係るトナー用ポリエステルの分子量分布(Mw/Mn)が12以上であることが好ましく、更には12.5以上20以下がより好ましく、14以上18以下が更に好ましい。
なお、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの測定は、「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行った。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の軟化温度は、トナーの定着性、保存性、および耐久性の観点から、80℃以上160℃以下が望ましく、90℃以上150℃以下がより望ましい。
軟化温度の測定は、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cmの試料を溶融流出させたときの流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度(FT1/2降下温度)として求めた。
本実施形態に係るポリエステル樹脂のガラス転移温度は、定着性、保存性、および耐久性の観点から、35℃以上80℃以下がよく、40℃以上70℃以下が望ましい。
また、熱保管性は、ガラス転移温度が55℃以上で確保されると考えられる。
ガラス転移温度の測定は、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱して行った。
軟化温度およびガラス転移温度は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整、または反応条件の選択により容易に調整される。
本実施形態に係るポリエステル樹脂において、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量は1質量%以下(好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下)であり、且つ樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量は1質量%以下(好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下)である。なお、これら含有量の下限値は0質量%が好ましいが、製造上、例えば、0.05質量%以上である。
ここで、ロジン骨格を有するカルボン酸は、ロジンジオールが有するロジンエステル基が遊離して生じるロジン、及びロジンジオールの合成時に発生した未反応のロジンである。一方、ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸は、ポリエステル樹脂の合成時に発生する未反応のカルボン酸である。なお、以下、これらカルボン酸を「未反応カルボン酸」と便宜上称することがある。
ロジン骨格を有するカルボン酸の含有量の測定方法は、次の通りである。ポリエルテル樹脂を必要最小量の良溶媒に溶解した後、貧溶媒を加えることで高分子成分を再沈させる。沈殿物をろ過により除去し、この溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にかけ、検出されたモノマーピークの面積値より含有量を算出する。
一方、ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量も、上記ロジン骨格を有するカルボン酸の含有量の測定方法と同様の方法により測定する。
−ポリエステル樹脂の合成−
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、カルボン酸成分及びアルコール成分を原料として、例えば、直接エステル化法又はエステル交換法により合成する。
具体的には、直接エステル法により合成する場合、カルボン酸を含むカルボン酸成分とロジンジオールを含むアルコール成分とを直接エステル化反応させて、重縮合反応を進行し、ポリエステル樹脂を合成する。
一方、エステル交換法により合成する場合、カルボン酸を含むカルボン酸成分とロジンジオールを含むアルコール成分とをエステル交換反応させることで、重縮合反応を進行し、ポリエステル樹脂を合成する。エステル交換法では、重縮合反応終了後、又は反応末期に、重縮合反応を進行させた重合体に対して、カルボン酸により、酸価付与処理を行う。
ここで、直接エステル化法では、カルボン酸成分としてカルボン酸を使用するため、未反応のカルボン酸が合成後のポリエステル樹脂に残留し易い傾向がある。また、中分子量成分(オリゴマー)が生成され易くなる傾向がある。これに対して、エステル交換法は、カルボン酸成分としてカルボン酸エステルを使用するため、未反応のカルボン酸が合成後のポリエステル樹脂に残留し難い。このため、合成後のポリエステル樹脂において、未反応のカルボン酸(ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸)の含有量を上記範囲内となり易くなる。また、中分子量成分(オリゴマー)も生成され難くなる。これに加え、酸化付与処理を行うことから、合成後のポリエステル樹脂において、乳化性に影響する高分子量成分に由来する酸価を上記範囲又はそれに近い範囲となり易くなる。なお。エステル交換法では、直接エステル法に比べ、ロジンジオールを含むアルコール成分の未反応分の残留も抑えられる。
また、直接エステル化法では、カルボン酸成分として複数種のカルボン酸を使用した場合、反応性の高いカルボン酸が高分子化に寄与し、反応性の低いカルボン酸が未反応のままとなり易く、合成後のポリエステル樹脂の高分子量成分中の酸由来成分に偏りが生じる傾向がある。これに対して、エステル交換法では、カルボン酸成分として複数種のカルボン酸を使用した場合、一旦、エステル交換反応させるため、全てのカルボン酸成分が高分子化に寄与し易く、合成後のポリエステル樹脂の高分子量成分中の酸由来成分に偏りが生じ難い。
さらに、直接エステル化法では、カルボン酸成分とアルコール成分との反応性に差異が生じ易く、例えば、ロジンジオールに由来する構成単位が少ない高分子量成分が生成される等、高分子量成分の組成にバラツキが生じる傾向がある。これに対して、エステル交換法では、一旦、エステル交換反応させるため、高分子量成分の組成にバラツキが生じ難い。
このため、本実施形態に係るポリエステル樹脂は、エステル交換法により合成することがよい。特に、エステル交換法により合成したポリエステル樹脂をトナー用として適用する場合、高分子量成分の組成のバラツキが少ないことから、ロジンジオールに由来する構成単位が少ない高分子量成分に起因する記録媒体との密着性の低下が抑えられ、その結果、最高定着温度の低下が改善され易くなる。また、疎水性が高い未反応のロジンジオールの残留も少なくなることから、トナー粒子中において、ポリエステル樹脂の低分子量成分と離型剤との相溶が抑制され、低温定着性が改善され易くなる。
但し、直接エステル化法であっても、次に示す合成条件により、合成後のポリエステル樹脂において、未反応のカルボン酸(ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸)の含有量を上記範囲内とし、乳化性に影響する高分子量成分に由来する酸価を上記範囲又はそれに近い範囲とすることもできる。
具体的には、カルボン酸成分を1種類または酸解離定数の近い数種類としてアルコール成分と均一に近い状態で反応させ、重合反応を減圧下で行い加水分解の因子となる水をできうる限り除去して、ポリエステル樹脂を合成する。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の合成では、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法または常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合反応を促進してもよい。また、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウムおよびマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いて、重縮合反応を促進してもよい。これら反応触媒の添加量はカルボン酸成分とアルコール成分の総量100質量部に対して、0.01質量部以上1.5質量部以下が望ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより望ましい。反応温度は180℃以上300℃以下の温度で行うことがよい。
なお、本実施形態に係るトナー用ポリエステルを加水分解すると、下記モノマーに分解する。ポリエステルはジカルボン酸とジオールの1:1縮合物なので、分解物から樹脂の構成成分が推定される。
−その他−
本実施形態に係るポリエステル樹脂は、変性されたポリエステル樹脂も包含する。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化又はブロック化したポリエステル樹脂を包含する。
[静電荷像現像用トナー]
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、上記本実施形態に係るポリエステル樹脂を含む。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、例えば、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を有している。
(トナー粒子)
トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤、離型剤およびその他添加剤と、を含んで構成される。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、非晶性樹脂が挙げられ、非晶性樹脂として上記本実施形態に係るトナー用ポリエステルが適用される。
結着樹脂としては、非晶性樹脂と共に結晶性樹脂を併用してもよい。
結着樹脂としては、上記本実施形態に係るトナー用ポリエステルと共に、当該本実施形態に係るトナー用ポリエステル以外のその他非晶性樹脂を併用してもよい。
但し、本実施形態に係るポリエステルの含有量は、全結着樹脂100質量部に対して、70質量部以上が望ましく、90質量部以上がより望ましい。
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温(例えば25℃)固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、加熱による粘度の変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結晶性ポリエステルが望ましい。
結晶性ポリエステルとしては、例えば、低温定着性を実現する観点から、脂肪族ジカルボン酸(その酸無水物および酸塩化物を含む)と脂肪族ジオールとの縮重合体であることがよい。
結晶性樹脂の含有量としては、全結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが望ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより望ましい。
なお、低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
その他非晶性樹脂としては、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が挙げられる。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μmがさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例中において「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
[ロジンジオールの合成]
(ロジンジオール(1)の合成)
ロジンとして蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン200部、2官能エポキシ化合物としてビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名jER828、三菱化学(株)製)89部(ロジン化合物2molに対する量:1.05mol、および反応触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)0.4部を、撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に仕込み、130℃に温度を上げ、ロジンの酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との開環反応を行った。同温度で4時間継続して行い、酸価が0.5mgKOH/gになった時点で反応を停止し、上記例示化合物で示されるロジンジオール(1)を得た。
(ロジンジオール(2))
2官能エポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名SR−NPG、阪本薬品工業(株)製)を使用した以外は、ロジンジオール(1)と同様にして、ロジンジオール(2)を得た。
(ロジンジオール(3))
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの量を85部(ロジン化合物2molに対する量:1.0mol)とした以外は、ロジンジオール(2)と同様にして、ロジンジオール(3)を得た。
[ポリエステル樹脂の合成]
(ポリエステル樹脂(1)の合成:エステル交換法)
−テレフタル酸エステルの合成−
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器にテレフタル酸ジメチル3モル部、及びプロピレングリコール6.66部、触媒として無水酢酸亜鉛1部を仕込み、窒素雰囲気下、200℃で7時間加熱してエステル化を行って、テレフタル酸エステルを合成した。
−コハク酸エステルの合成−
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器にコハク酸0.33モル部、及びプロピレングリコール6.66部、触媒として無水酢酸亜鉛1部を仕込み、窒素雰囲気下、200℃で7時間加熱してエステル化を行って、テレフタル酸エステルを合成した。
−ポリエステル樹脂(1)の合成−
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に、上記得られたテレフタル酸エステル及びコハク酸エステルの全部と、ロジンジオール(1)0.64モル部、及び、反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)3.3×10−3モル部とを仕込み、窒素雰囲気下、190℃で60分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、230℃において系の圧力を3kPaとして17時間反応を続けた後、カルボン酸(フマル酸)0.12モル部を添加し、酸価付与処理を行って、ポリエステル樹脂(1)を合成した。
(ポリエステル樹脂(2)の合成:エステル交換法)
ロジンジオール(1)をロジンジオール(2)に変更し、反応触媒(テトラ−n−ブチルチタネート)を無水酢酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、ポリエステル樹脂(1)と同様にして、ポリエステル樹脂(2)を合成した。
(ポリエステル樹脂(3)の合成:エステル交換法)
ロジンジオール(1)をロジンジオール(2)に変更し、コハク酸エステルをフマル酸エステル(コハク酸をフマル酸(和光純薬工業(株)製)0.35部に変更した以外はコハク酸エステルと同様にして合成したフマル酸エステル)に変更し、反応触媒(テトラ−n−ブチルチタネート)を無水酢酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、ポリエステル樹脂(1)と同様にして、ポリエステル樹脂(3)を合成した。
(ポリエステル樹脂(4)の合成:直接エステル化法)
・ロジンジオール(1): 0.64モル部
・テレフタル酸(和光純薬工業(株)製): 3モル部
・コハク酸(和光純薬工業(株)製): 0.3モル部
・プロピレングリコール: 3.3モル部
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に、上記各成分と共に、反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.5モル部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、目的の分子量、酸価に達したことを確認し、ポリエステル樹脂(4)を合成した。
(ポリエステル樹脂(5)の合成:エステル交換法)
ロジンジオール(1)をロジンジオール(2)に変更し、コハク酸の部数を0.42部に変更し、反応触媒を無水酢酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は、ポリエステル樹脂(1)と同様にして、ポリエステル樹脂(3)を合成した。
(比較ポリエステル樹脂(C1)の合成:直接エステル化法)
・ロジンジオール(1): 0.65モル部
・テレフタル酸(和光純薬工業(株)製): 3.2モル部
・ドデセニルコハク酸(東京化成工業(株)製): 0.2モル部
・フマル酸: 0.2モル部
撹拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に、上記各成分と共に、反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながら230℃で7時間重縮合反応させ、目的の分子量、酸価に達したことを確認し、比較ポリエステル樹脂(C1)を合成した。
(比較ポリエステル樹脂(C2)の合成:直接エステル化法)
ドデセニルコハク酸及びフマル酸に代えて、コハク酸0.5モル部を使用した以外は、比較ポリエステル樹脂(C1)と同様にして、比較ポリエステル樹脂(C2)を合成した。
(比較ポリエステル(C3)の合成:直接エステル化法
ロジンジオール(1)の代わりにロジンジオール(3)を用いた以外は、比較ポリエステル樹脂(C2)と同様にして、比較ポリエステル樹脂(C3)を合成した。
[樹脂粒子分散液の調製]
(樹脂粒子分散液(1)の調製)
ポリエステル樹脂(1): 100質量部を撹拌機を備えたリアクターに投入し、120℃で30分溶解、混合した後、95℃に加熱したイオン交換水800質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0質量部、1N NaOH水溶液を1.0質量部溶解した中和用水溶液をフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス内で10分振とうした後、室温水にてフラスコを冷却した。これにより樹脂粒子のメジアン径が250nm、固形分量が20質量%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
(樹脂粒子分散液(2)〜(5)の調製)
ポリエステル樹脂(1)に代えて、各々、ポリエステル樹脂(2)〜(5)を用いた以外は、樹脂粒子分散液(1)と同様にして、各々樹脂粒子分散液(2)〜(5)を調製した。
(比較樹脂粒子分散液(C1)〜(C3)の調製)
ポリエステル樹脂(1)に代えて、各々、比較ポリエステル樹脂(C1)〜(C3)を用いた以外は、樹脂粒子分散液(1)と同様にして、各々比較樹脂粒子分散液(C1)〜(C3)を調製した。
[着色剤粒子分散液の調製]
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・シアン顔料: 50質量部
(大日精化工業(株)社製、銅フタロシアニン、C.I.Pigment Blue15:3)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR): 5質量部
・イオン交換水: 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のサイアン着色剤粒子分散液(1)を得た。
[離型剤粒子分散液の調製]
(離型剤粒子分散液(1)の作製)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) : 2質量部
・イオン交換水: 800質量部
・パラフィンワックス(HNP−9日本精鑞社製): 200質量部
上記成分を混合し、120℃に加熱して、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径170nmの20質量%の離型剤分散液を得た。
[トナーの作製]
(トナー(1)の作製)
・樹脂粒子分散液(1): 315質量部
・着色剤粒子分散液(1): 40質量部
・離型剤粒子分散液(1): 40質量部
・ポリ塩化アルミニウム: 0.15質量部
・イオン交換水: 300質量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を105質量部追加して緩やかに撹拌した。その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3,000部中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行い、トナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)の粒径をコールターマルチサイザーII型で測定したところ、体積平均粒径D50vが5.9μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvが1.24であった。また、トナー粒子の形状係数SF1は126であった、
次に、得られたトナー粒子(1):100質量部に、シリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製)):0.5質量部を加え、高速混合機によって混合し、トナー(1)を得た。
(トナー(2)〜(5)の作製)
樹脂粒子分散液(1)に代えて、各々、樹脂粒子分散液(2)〜(5)を用いた以外は、トナー粒子(1)と同様にして、各々、トナー粒子(2)〜(5)を作製した。そして、得られた各トナー粒子(2)〜(5)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、各々、トナー(2)〜(5)を作製した。
(比較トナー(C1)〜(C3)の作製)
樹脂粒子分散液(1)に代えて、各々、比較樹脂粒子分散液(C1)〜(C3)を用いた以外は、トナー粒子(1)と同様にして、各々、比較トナー粒子(C1)〜(C3)を作製した。そして、得られた各比較トナー粒子(C1)〜(C3)を用いた以外は、トナー(1)と同様にして、各々、比較トナー(C1)〜(C3)を作製した。
[現像剤の作製]
(現像剤(1)の作製)
トナー(1): 7質量部と、フェライト粒子の表面をメチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆した体積平均粒径50μmのキャリア: 100質量部と、をタンブラーシェーカーミキサーで混合して現像剤(1)を作製した。
(現像剤(2)〜(5)の作製)
トナー(1)に代えて、各々、トナー(2)〜(5)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、各々、現像剤(2)〜(5)を作製した。
(比較現像剤(C1)〜(C3)の作製)
トナー(1)に代えて、各々、比較トナー(C1)〜(C3)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、各々、比較現像剤(C1)〜(C3)を作製した。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
得られた各現像剤(1)〜(5)を実施例1〜5とし、各比較現像剤(C1)〜(C3)を比較例1〜3として、以下の評価を行った。
(ポリエステル樹脂の組成及び物性)
各例の現像剤で使用した各ポリエステル樹脂(表中「PE樹脂」と表記)の組成及び物性について、既述の方法に従って、調べた。具体的には、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量(表1中「ロジン含有量」と表記)、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸(表1中「未反応カルボン酸含有量」と表記)の含有量、並びに、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調べた。結果を表1に示す。
(ポリエステル樹脂の乳化性)
各例の現像剤で使用した各ポリエステル樹脂の乳化性について、次のように評価した。 ポリエステル樹脂5gを溶媒に溶解させ中和後に水を滴下することで乳化させたラテックスの粒径をベックマンコールターにより測定した。評価基準は以下の通りである。
G1: 中位径が0.120μm以上0.190μm以下であり、粒径1μm以上の粒子が存在しない。
G2: 中位径が0.090μmを超え0.240μm以下であり、粒径1μm以上の粒子が存在しない。
G3: 中位径が0.090μmを超え0.240μm以下であり、粒径1μm以上の粒子が存在する。
G4: 中位径が1μm以上である。
(定着ラチチュード(定着可能温度域の幅))
各例の現像剤を、富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機(定着温度が可変である外部定着器にて定着するように改造したもの)に用いて、富士ゼロックス社製カラー用ペーパー(J紙)にトナー載り量13.5g/mとなるよう調整して、画像形成を行った。画出しした後、外部定着器を用い、Nip幅6.5mm下、定着速度180mm/secにて定着した。
なお、最低定着温度および最高定着温度の評価を行うため、外部定着器の定着ロールの設定温度を90℃から+5℃おきに高めながら、画像を定着させた。各定着温度において画像が形成された用紙における、定着トナー像のソリッド部の中央の内側に折り目を入れ、定着トナー像が破壊された部分をティッシュペーパーで拭き取り、白抜けした線幅を測定し、その線幅が0.5mm以下となる温度を最低定着温度(MFT)および最高定着温度とした。
また、得られた最低定着温度および最高定着温度から定着ラチチュード(定着可能温度域の幅)を算出した。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、ポリエステル樹脂の乳化性が高いことがわかる。
また、本実施例では、比較例に比べ、現像剤の定着性(定着ラチチュード)の評価が良好であることわかる。
1Y、1M、1C、1K、感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K、帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (9)

  1. カルボン酸成分と下記一般式(1)で表されるロジンジオールを含むアルコール成分との重合体であり、
    酸価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、樹脂中のロジン骨格を有するカルボン酸の含有量が1質量%以下であり、且つ樹脂中の前記ロジン骨格を有するカルボン酸以外のカルボン酸の含有量が1質量%以下であるポリエステル樹脂。


    (一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、またはメチル基を表す。L、LおよびLは、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、LとLまたはLとLで環を形成してもよい。AおよびAはロジンエステル基を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表されるロジンジオールが、ロジン2molに対し2官能エポキシ化合物1.01mol以上1.2mol以下の範囲の比率で、ロジンと2官能エポキシ化合物とを反応させた化合物である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 水酸基価が10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、且つ酸価と水酸基価との差分が10mgKOH/g以下である請求項1又は請求項2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を含む静電荷像現像用トナー。
  5. 請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  6. 請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  7. 請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  8. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  9. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項5に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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