JP2006285195A - 静電荷現像用トナー - Google Patents
静電荷現像用トナー Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006285195A JP2006285195A JP2005316448A JP2005316448A JP2006285195A JP 2006285195 A JP2006285195 A JP 2006285195A JP 2005316448 A JP2005316448 A JP 2005316448A JP 2005316448 A JP2005316448 A JP 2005316448A JP 2006285195 A JP2006285195 A JP 2006285195A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- group
- compound
- mol
- toner
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 CC(C)(*C(C)(C)O)C1C=CC(C(*)(*)c2ccc(C(C)(C)*C(C)(C)O)cc2)=CC1 Chemical compound CC(C)(*C(C)(C)O)C1C=CC(C(*)(*)c2ccc(C(C)(C)*C(C)(C)O)cc2)=CC1 0.000 description 1
- XMSHSYASMISRGG-UHFFFAOYSA-N Cc(cc(CP(c(cccc1)c1-c1ccccc1O)(O)=O)cc1C)c1O Chemical compound Cc(cc(CP(c(cccc1)c1-c1ccccc1O)(O)=O)cc1C)c1O XMSHSYASMISRGG-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
【課題】 良好なる定着特性、保存安定性、環境安定性を実現でき、またカラー画像の色再現性にも優れた静電荷画像用トナーバインダーに好適に使用出来るポリエステル樹脂とそれを用いた静電荷現像用トナーを提供する。
【解決手段】 酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、その他のカルボン酸0〜50モル%、3官能以上の多価カルボン酸0〜15モル%であり、グリコール成分が、化1に示すビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物5〜100モル%、その他のグリコール0〜95モル%、3官能以上の多価アルコール0〜15モル%であり、少なくともアルミニウム化合物を含有する触媒の存在下に共重合した共重合ポリエステル樹脂をバインダーとして含有してなる静電荷現像用トナー。
【化1】
(式中、R1、R2は水素またはメチル基であり、R3はエチレン、1,2−プロピレン基
のいずれかであり、m、nはそれぞれ1以上であると同時に2≦m+n≦8である。)
【選択図】 なし
【解決手段】 酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、その他のカルボン酸0〜50モル%、3官能以上の多価カルボン酸0〜15モル%であり、グリコール成分が、化1に示すビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物5〜100モル%、その他のグリコール0〜95モル%、3官能以上の多価アルコール0〜15モル%であり、少なくともアルミニウム化合物を含有する触媒の存在下に共重合した共重合ポリエステル樹脂をバインダーとして含有してなる静電荷現像用トナー。
【化1】
(式中、R1、R2は水素またはメチル基であり、R3はエチレン、1,2−プロピレン基
のいずれかであり、m、nはそれぞれ1以上であると同時に2≦m+n≦8である。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、主としてアルミニウム化合物からなる重合触媒を用いた静電荷現像用共重合ポリエステル樹脂をバインダー成分として含む静電荷現像用トナーに関する。さらに、本発明は、熱定着を伴う記録機器、主として複写機、レーザープリンタ、LEDプリンタ等の電子写真方式のプリンタ、印刷機器、あるいはイオンフロー、イオンインジェクション、放電記録等の静電記録方式を用いたプリンタ、強誘電体の自発分極により形成される静電潜像を用いるプリンタ、印刷機器類において、静電荷による潜像を現像するに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。さらに詳しくは、主としてアルミニウム化合物からなる重合触媒を使用しているため、安価で、重金属を含まず、さらに、カラー画像記録品位に優れた静電荷現像用トナー樹脂を提供することが出来る。
電子写真方式、静電記録方式等において静電潜像を現像し、最終的に記録紙あるいはフィルム等の基材に転写されて画像を形成する粉体をトナーと称する。かかる静電荷像現像用トナーとしては、バインダー樹脂に着色剤、電荷制御剤、等を加えて混練した後に粉砕、さらに分級し、必要に応じて流動性改質剤等を外添する、いわゆる粉砕法によって作製される粒子が用いられる。バインダー樹脂としては、スチレン・アクリル共重合系樹脂が主として使用されてきたが、近年では高速化、カラー化などに伴い低温定着性と画像表面光沢と強靭性に優れるポリエステル樹脂が用いられる傾向にある。主に用いられているポリエステル樹脂は主として、フマル酸、マレイン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸類とビスフェノ−ル構造を有するジオ−ル類との縮重合により得られる不飽和ポリエステル樹脂が知られている。かかる不飽和ポリエステル樹脂を用いたトナーに関する提案は、例えば特許文献1等に見ることができる。最近では、特許文献2、3等に例示されるように、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族多価カルボン酸とエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、前述のビスフェノール構造を有する芳香族ジオール等からなる飽和ポリエステル樹脂に関する特許提案も多数なされてきている。ポリエステル樹脂は定着後の画像表面の光沢に優れるため、発色が良く、広い色再現域を実現する。
また、トナーの主成分に用いられるポリエステル樹脂は、重合触媒の存在下で重合、製造されている。例えば、ジブチルスズオキシドや酸化ジブチルスズなどスズ化合物を重合触媒に用いたもの(特許文献4〜6)、テトラブチルチタネートなどのチタン化合物を重合触媒として用いたもの(特許文献7)および三酸化アンチモンなどアンチモン化合物を重合触媒として用いたもの(特許文献8)などが知られている。
しかしながら、このような共重合ポリエステル樹脂の製造に関しては、重合触媒種によって、次のような問題点が残されていた。
(1)チタン化合物を重合触媒として使用した場合、共重合ポリエステル樹脂の着色があり、耐熱性が劣るため樹脂の着色が著しく、顔料や樹脂を溶融混練するトナー製造方法では、カラートナー用樹脂の透明性を著しく低下させ、発色性に劣るという問題がある。
(2)ゲルマニウム化合物は上記重合触媒として有効に使用可能であるが、希少物質であり、地球資源に限界がある。また、ゲルマニウム化合物は価格が著しく高く、トナーを安価に提供できないという問題がある。
(3)スズ化合物やアンチモン化合物も共重合ポリエステル樹脂の着色の問題がある。さらにどちらも重金属に分類されるものであり、使用せずに重合することが望まれる。
(1)チタン化合物を重合触媒として使用した場合、共重合ポリエステル樹脂の着色があり、耐熱性が劣るため樹脂の着色が著しく、顔料や樹脂を溶融混練するトナー製造方法では、カラートナー用樹脂の透明性を著しく低下させ、発色性に劣るという問題がある。
(2)ゲルマニウム化合物は上記重合触媒として有効に使用可能であるが、希少物質であり、地球資源に限界がある。また、ゲルマニウム化合物は価格が著しく高く、トナーを安価に提供できないという問題がある。
(3)スズ化合物やアンチモン化合物も共重合ポリエステル樹脂の着色の問題がある。さらにどちらも重金属に分類されるものであり、使用せずに重合することが望まれる。
一般に乾式電子写真方式、静電記録方式において記録紙の静電潜像を現像したトナーは加熱定着される。加熱の方法としてはヒートロールを用いることが一般的である。ヒートロールの材質としては離型性が高く、かつ、弾力性のあるシリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられている。しかしながら、かかるゴムロールは熱容量が大きいために、あらかじめ余熱が必要であり、機器の電源を入れてからしばらくの間は使用する事ができない。また、同じ理由で、ヒーターの保温のために常に電流を通じる必要があるため、省電力上問題が大きい。かかる問題に対処するために、一部の機種においては耐熱性のフィルム等を介してサーマルヘッド等にて加熱する方式が提案され、実用化されている。
加熱されることによりトナー粒子は溶融し、記録紙に定着されるが、溶融したトナー樹脂は記録紙のみならず熱源側にも一部付着し、熱源表面を汚染する。この現象はオフセット現象と称され、汚染された熱源にてさらに定着処理を継続すると汚染が後続の記録紙に転移し記録画像の品位が著しく低下する。かかるオフセット現象は、前述した耐熱フィルムとサーマルヘッドを組み合わせた定着方式では特に顕著である。かかるオフセット現象を防止するためにトナーのバインダー樹脂の改良がなされている。バインダー樹脂の分子量分布を広げる事、一部架橋ないしゲル化させることにより、かかるオフセット現象が軽減される事が知られている。
トナーの構成成分における改良に関しても多数の提案がなされている。トナーはバインダー樹脂に着色剤、電荷制御剤、場合によっては磁性粉等を混練分散し、ジェットミル等により粉砕分級の後流動化剤等を外添することにより製造されるが、かかる成分にさらに特定のワックス類を配合する事によりオフセット現象を低減させることが提案されている。例えば特許文献9、10にはアミドワックス、ケトンワックス、特定のアルキルケテンダイマー等をオフセット防止剤として配合する事が提案されている。
以上のような状況の中で、高価な触媒を用いることなく重合され、しかも着色が少ないトナー用バインダー樹脂が求められているのに加えて、オフセット現象等も併せて解決することのできる静電荷現像用トナー粒子の開発要求が高まっている。
静電荷現像用トナーの従来技術としては例えば以下のようなものが例示される。特許文献11〜21等にはアルキルないしアルケニル置換コハク酸を同様にポリエステル樹脂の共重合成分に導入する事により定着特性の改良が可能であるとの主旨の提案がなされている。特に、特許文献20、21は、耐熱フィルムとサーマルヘッドを組み合わせた定着方法における定着特性の改良を主眼に提案されたものである。かかる手段により定着特性は幾分改良されるが、ダイマー酸共重合を行った場合と同様にガラス転移温度の低下が著しく、多くを共重合することはできない。
特許文献22、23には多価カルボン酸成分としてシクロヘキセンジカルボン酸(シクロヘキシレンジカルボン酸)の無水物ないしシクロヘキサンジカルボン酸無水物と、ビスフェノール構造を有する多価アルコールから常圧重合法により得られるポリエステル樹脂を用いた電子写真用トナー組成物に関する提案がある。かかる提案は、トナー用ポリエステル樹脂として主として使用されている、フマル酸、マレイン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸類とビスフェノ−ル構造を有するジオ−ル類との縮重合により得られる不飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高め、トナーの保存安定性を改善することを主たる目的としていると考えられる。かかる脂環族多価カルボン酸や脂肪族系多価カルボン酸に加えることにより、ガラス転移温度低くし、溶融粘度の低下を制御し、耐ブロッキング特性と低温定着を両立させる提案がある。
本発明は、良好なる定着特性、保存安定性、環境安定性を実現でき、またカラー画像の色再現性にも優れた静電荷画像用トナーに好適に使用出来るポリエステル樹脂とそれを用いた静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、こうした問題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、その他のカルボン酸0〜50モル%、3官能以上の多価カルボン酸0〜15モル%であり、グリコール成分が、化1に示すビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物5〜100モル%、その他のグリコール0〜95モル%、3官能以上の多価アルコール0〜15モル%であり、少なくともアルミニウム化合物を含有する触媒の存在下に共重合した共重合ポリエステル樹脂をバインダーとして含有してなる静電荷現像用トナーである。
(式中、R1、R2は水素またはメチル基であり、R3はエチレン、1,2−プロピレン基のいずれかであり、m、nはそれぞれ1以上であると同時に2≦m+n≦8である。)
また、上記記載のトナー用バインダー樹脂である。
また、上記記載のトナー用バインダー樹脂である。
アルミニウム化合物からなる重合触媒を用いて、共重合ポリエステル樹脂の成分の一つであるビスフェノールAおよび/またはビスフェノールF成分を含有する共重合ポリエス
テル樹脂を製造し静電荷現像用トナーのバインダーとすることにより、バインダーに起因する着色が少なくオフセット現象等も併せて解決することができる。
テル樹脂を製造し静電荷現像用トナーのバインダーとすることにより、バインダーに起因する着色が少なくオフセット現象等も併せて解決することができる。
本発明において、静電荷現像用トナーのバインダー樹脂に用いるポリエステル樹脂の組成は酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、その他のカルボン酸0〜50モル%、3官能以上の多価カルボン酸0〜15モル%であり、グリコール成分が、化2に示すビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物5〜100モル%、その他のグリコール0〜95モル%、3官能以上の多価アルコール0〜15モル%である。ここで0モル%とは任意の成分であることを示す。
(式中、R1、R2は水素またはメチル基であり、R3はエチレン、1,2−プロピレン基のいずれかであり、m、nはそれぞれ1以上であると同時に2≦m+n≦8である。)
本発明における共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分として用いる化1(化2)はビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、全グリコール成分に対し、5〜100モル%、好ましくは15〜95モル%、さらに好ましくは25〜95モル%含まれるものである。5モル%以下では、上記ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物の持つ低温定着性を発現できる所定の溶融粘度を得ることができないことがある。アルキレンオキサイド部分はエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイドが好ましい。
本発明の静電荷現像用ポリエステル樹脂において、共重合ポリエステル樹脂に使用する酸成分は、芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。芳香族ジカルボン酸が50モル%未満では、樹脂のガラス転移温度が低くなり、たとえば45℃の高温下でのブロッキングを抑制することができない場合がある。
本発明の静電荷現像用ポリエステル樹脂に共重合する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、塗膜物性および溶解性の面からテレフタル酸およびイソフタル酸を併用することが特に好ましい。
ポリエステル樹脂に共重合するその他のジカルボン酸は0〜50モル%であり、好ましくは、0〜30モル%である。その他のジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、不飽和二重結合を有するジカルボン酸などが挙げられる。これらジカルボン酸は必須ではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸は共重合することにより、耐ブロッキング特性と低温定着特性を両立させることができる。
本発明の静電荷現像用ポリエステル樹脂に共重合する飽和脂肪族ジカルボン酸や不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アルキルないしアルケニル置換コハク酸などが挙げられる。本発明の静電荷現像用ポリエステル樹脂に共重合する脂環族ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボンを共重合することにより、ガラス転移点温度を低下させることなく溶融粘度あるいは軟化点を低下させることができ、耐ブロッキング特性と低温定着性を両立できる。このうちフマル酸、無水マレイン酸、アルキルないしアルケニル置換コハク酸またはその酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に共重合するグリコール成分としては、一般式(化1)で示されるビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物および/またはプロピレンオキサイド付加物以外のその他のグリコールを0〜95モル%の範囲で通常併用して使用する。
その他のグリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル、8−メチル−1,8−オクタンジオールなどのアルキレングリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノー
ルなどの脂環族グリコール類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類などが挙げられる。ポリエステルの重合性やトナー特性の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが好ましい。
ルなどの脂環族グリコール類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類などが挙げられる。ポリエステルの重合性やトナー特性の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが好ましい。
また、3官能以上の多価カルボン酸としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3',4'ービフェニルテトラカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。なお、これらの酸無水物または低級アルキルエステル化合物を用いてもよい。
また、3官能以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
多価カルボン酸または、多価アルコールは、それぞれ、全カルボン酸成分または、全アルコール成分に対し、0〜15モル%用いると溶融粘度の温度依存性が緩やかになり、加熱定着ロールへの耐ホットオフセット性に優れるという利点がある。
多価カルボン酸または、多価アルコールは、それぞれ、全カルボン酸成分または、全アルコール成分に対し、0〜15モル%用いると溶融粘度の温度依存性が緩やかになり、加熱定着ロールへの耐ホットオフセット性に優れるという利点がある。
ポリエステル分子末端の極性基を封鎖し、トナー帯電特性の環境安定性を改善する目的において単官能単量体がポリエステルに導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ−シャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル、等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコ−ル、芳香族アルコ−ル、脂環族アルコ−ル等のモノアルコ−ルを用いることができる。
不飽和二重結合を含有するジカルボン酸を共重合する場合には、ラジカル重合禁止剤を添加することが好ましい。主には共重合ポリエステル樹脂を重合する際に二重結合開裂によるゲル化防止のために用いられるものであるが、ポリエステル樹脂の貯蔵安定性を高めるために重合後に添加しても良い。ラジカル重合禁止剤としてはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、無機化合物系酸化防止剤など公知のものが例示できる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4,4’−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4− ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシルホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイトなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−βナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチルアミン、2,2,
4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリンポリマーなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン、2−メルカプトベンチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルイソプロピルキサンテートなど、又はそれらの誘導体が挙げられる。
4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリンポリマーなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン、2−メルカプトベンチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルイソプロピルキサンテートなど、又はそれらの誘導体が挙げられる。
ニトロ化合物系酸化防止剤としては、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロソジフェニルアミン、p−ニトロソジメチルアニリン、1−クロロ−3− ニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、ニトロベンゼン、2−ニトロ−5−シアノチオフェンなど、又はそれらの誘導体が挙げられる。
無機化合物系酸化防止剤としては、FeCl3、Fe(CN)3、CuCl2、CoCl3、Co(ClO4)3、Co(NO3)3、Co2(SO4)3等が挙げられる。
本発明に用いるラジカル重合禁止剤としては、上記の酸化防止剤の中で、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が熱安定性の点で好ましく、融点が120℃以上で分子量が200以上のものがより好ましく、融点が170℃以上のものがさらに好ましい。具体的には、フェノチアジン、4,4’−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などである。
またラジカル重合禁止剤の添加量は、共重合ポリエステル樹脂100重量部に対し0.001〜0.5重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.01〜0.1重量部である。0.001重量部未満ではポリエステル重合時の熱安定性が低く二重結合開裂によるゲル化の恐れがあり高分子量のポリエステルを製造するのが困難になる場合があり、0.5重量部を越えると硬化塗膜の物性等に悪影響を与える可能性がある。
本発明において共重合ポリエステルは、常圧または加圧下で2価以上の多価カルボン酸と2価以上のグリコールを直接エステル化して重合する直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールをエステル交換してから重合するエステル交換法や少量のキシレンを添加して常圧で脱水反応を行う方法など公知の方法さらには、減圧装置を装備していない反応釜を用いる特殊例として特開平6−220359の実施例1で開示されているように常圧下、100℃を超えない温度で縮合水を除去した後、温度を上げて重合する方法などで合成される。
本発明の静電荷現像用ポリエステル樹脂は、耐ブロッキング特性を満足するためガラス転移点温度は45〜75℃が好ましく、より好ましくは45〜70℃である。45℃未満では45℃の環境下でトナーがブロッキングを起こす可能性がある。75℃を超えると耐ブロッキング特性は良好であるが、トナーの溶融粘度が高くなり低温定着特性が著しく悪化する場合がある。また、ポリエステル樹脂は、重量平均分子量5,000〜50,000が好ましく、より好ましくは6,000〜35,000である。分子量が低すぎるとトナーが脆くなり、キャリアを含む現像剤中で、トナーの破損や、キャリア汚染を引き起こすことがある。また、あまりに分子量が高すぎると、溶融粘度が高くなり低温定着特性が劣化することがある。酸価は帯電量と環境安定性の観点から0.2〜30mgKOH/gが好ましい。
本発明の静電荷現像用トナーのバインダーは1種類のポリエステル樹脂でもよく、耐ブロッキング特性と低温定着特性と耐ホットオフセット特性を満足させるために2種類以上のブレンドでも使用できる。特に結晶性ポリエステル樹脂を併用することは低温定着特性の観点で非常に望ましい。上記の結晶性ポリエステル樹脂の添加量は、トナー用バインダー樹脂中0〜10質量%の範囲であることが好ましい。該結晶性ポリエステル樹脂の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、70〜130℃であることが好ましい。より好ましくは80〜125℃であることがよい。融点が70℃未満の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が130℃を超える場合は、低温定着性が悪化してしまうことがある。
また、本発明の静電荷現像用トナーに用いるポリエステル樹脂において、スルホン酸金属塩基を含むジカルボン酸やグリコールを5モル%以下の範囲で使用しても良い。スルホン酸金属塩基を含むジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などの金属塩を挙げることができる。スルホン酸金属塩基を含むグリコールとしては、2−スルホ-1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−ヘ
キサンジオールなどの金属塩が挙げられる。金属塩としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Feなどの塩が挙げられる。
キサンジオールなどの金属塩が挙げられる。金属塩としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Feなどの塩が挙げられる。
本発明の静電荷現像用トナーに用いるバインダー樹脂は少なくともアルミニウム化合物を含有する触媒の存在下に重合した共重合ポリエステル樹脂を用いる。アルミニウム化合物としては、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用できる。
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
本発明においてアルミニウム化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜1.0モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.5モル%である。
このようにアルミニウム成分の添加量は、使用する多価カルボン酸およびジオールの種類やその組合せ、さらには重合方法によって大きく触媒活性が変動するため広い範囲が求められる。このことは他の重合触媒でも同様の傾向を示す。特に減圧下で重合を実施しない場合は重合触媒量を大幅に増加する必要がある。本発明における重合触媒は十分な触媒活性を示すため、その結果、得られるポリエステルの熱安定性や熱酸化安定性、耐加水分解性が優れ、アルミニウムに起因する異物の発生や着色が抑制される。
このようにアルミニウム成分の添加量は、使用する多価カルボン酸およびジオールの種類やその組合せ、さらには重合方法によって大きく触媒活性が変動するため広い範囲が求められる。このことは他の重合触媒でも同様の傾向を示す。特に減圧下で重合を実施しない場合は重合触媒量を大幅に増加する必要がある。本発明における重合触媒は十分な触媒活性を示すため、その結果、得られるポリエステルの熱安定性や熱酸化安定性、耐加水分解性が優れ、アルミニウムに起因する異物の発生や着色が抑制される。
以下に、アルミニウム化合物のとして、塩基性酢酸アルミニウムを用いた同溶液の調製方法の具体例を示す。
塩基性酢酸アルミニウムの水溶液の調製例としては、下記の通りである。すなわち、塩基性酢酸アルミニウムに水を加え室温で十分拡散させた後、室温〜100℃で溶解させることで水溶液を得る。この場合の温度は低い方が好ましく、加熱時間は短い方が好ましい。水溶液の濃度は、10〜30g/lが好ましく、とくに15〜20g/lが好ましい。
塩基性酢酸アルミニウムの水溶液の調製例としては、下記の通りである。すなわち、塩基性酢酸アルミニウムに水を加え室温で十分拡散させた後、室温〜100℃で溶解させることで水溶液を得る。この場合の温度は低い方が好ましく、加熱時間は短い方が好ましい。水溶液の濃度は、10〜30g/lが好ましく、とくに15〜20g/lが好ましい。
さらに、触媒添加時のヒートショックを抑制するために、塩基性酢酸アルミニウム水溶液を同エチレングリコール溶液にすることが好ましい態様である。すなわち、上述の水溶液に対してエチレングリコールを加える。エチレングリコールの添加量は水溶液に対して容量比で0.5〜5.0倍量が好ましい。より好ましくは0.8〜2.0倍量である。該溶液を攪拌することで均一な水/エチレングリコール混合溶液を得た後、該溶液を加熱し、水を留去することでエチレングリコール溶液を得ることができる。温度は70℃以上が好ましく、130℃以下が好ましい。より好ましくは80〜120℃で加熱攪拌して水を留去することが好ましい。さらに好ましくは、減圧下および/または窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で加熱し、水を留去し触媒溶液を調製することである。
上記エチレングリコールは一例であって、他のアルキレングリコールも同様にして使用できる。
上記エチレングリコールは一例であって、他のアルキレングリコールも同様にして使用できる。
上述の塩基性酢酸アルミニウムは水やグリコールなどの溶媒に可溶化したもの、とくに水および/またはエチレングリコールに可溶化したものを用いることが触媒活性や得られる共重合ポリエステルの異物低減の観点からも好ましい。
本発明において重合触媒を構成するリン化合物としては、特に限定はされないが、リン酸ならびにトリメチルリン酸、トリエチルリン酸、フェニルリン酸、トリフェニルリン酸等のリン酸エステル、亜リン酸ならびにトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'-ビフェニレンジホスファイト等の亜リン酸エステルなどが挙げられる。
本発明においてより好ましいリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を用いることで触媒活性の向上効果が見られるとともに、ポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記式(化3)〜(化8)で表される構造を有する化合物のことを言う。
本発明においてホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明におけるリン化合物としては、下記式(化9)〜(化14)で表される化合物が好ましい。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
また、本発明におけるリン化合物としては、下記一般式(化15)〜(化17)で表される化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
(式(化15)〜(化17)中、R1、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
本発明におけるリン化合物としては、上記式(化15)〜(化17)中、R1、R4、R5、R6が芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。
本発明においてリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物がとくに好ましい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると本発明の課題であるポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明においてリンの金属塩化合物としては、下記一般式(化18)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
(式(化18)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアル
コキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
コキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3O-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記一般式(化18)で表される化合物の中でも、下記一般式(化19)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
(式(化19)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3O-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記式(化19)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明においてリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物がとくに好ましい。これらのリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果がとくに高まることに加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が大きく見られる。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとアルミニウム化合物との錯体形成が容易になり、ポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとアルミニウム化合物との錯体形成が容易になり、ポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明においてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式(化20)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
(式(化20)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明においてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。
本発明において好ましいリン化合物としては、化学式(化21)であらわされるリン化合物が挙げられる。
(式(化21)中、R1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
また、更に好ましくは、化学式(化21)中のR1,R2,R3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
これらのリン化合物の具体例を以下に示す。
また、本発明においてリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。
本発明においてリン化合物は、フェノール部を同一分子内に有するリン化合物であることが好ましい。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果が高まることに加えて、ポリエステルの重合時にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を用いることで触媒活性を高める効果がより大きく、従ってポリエステルの生産性に優れる。
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記一般式(化28)〜(化30)で表される化合物が好ましい。
(式(化28)〜(化30)中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4,R5,R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合していてもよい。)
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記式(化31)〜(化34)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式(化31)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
上記の式(化33)にて示される化合物としては、SANKO-220(三光株式会社製)があり、使用可能である。
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化35)で表される特定のリンの金属塩化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
((式(化35)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4O-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(化36)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
(式(化36)中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
上記式(化35)または(化36)の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明の特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化37)で表されるP-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
((式(化37)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(化38)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
(式(化38)中、R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
本発明においてP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、下記一般式(化39)で表される特定のリン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物が好ましい。
(上記式(化39)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記一般式(化39)の中でも、下記一般式(化40)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が高く好ましい。
(上記式(化40)中、R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3、R4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
本発明において特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。
本発明においてフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の中でも、本発明でとくに望ましい化合物は、化学式(化41)、(化42)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
上記の化学式(化41)にて示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が市販されており、また化学式(化42)にて示される化合物としてはIrganox1425(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が市販されており、使用可能である。
本発明で使用することが好ましいその他のリン化合物としては、下記する(化43)、(化44)で表される連結基(X)を有するホスホン酸系化合物あるいは(化45)で表される連結基(X)を有さないホスホン酸系化合物などが挙げられる。
(式(化43)中、R1は炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、該芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。Xは連結基であり、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、あるいは置換基を含有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素(直鎖状あるいは分岐構造あるいは脂環構造であってもかまわない)、−O−、−OCH2−、−SO2−、−CO−、−COCH2−、−CH2OCO−、−NHCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHSO2−、−NHC3H6OCH2CH2O−から選ばれる。また、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。)
式(化43)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基、から選ばれる1種もしくは2種以上である。
式(化43)で表されるリン化合物には次のようなものが挙げられる。具体的には、ベンジルホスホン酸、ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−ナフチルメチルホスホン酸、1−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ナフチルメチルホスホン酸、2−ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、4−フェニル,ベンジルホスホン酸、4−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−フェニル,ベンジルホスホン酸、2−フェニル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4-クロル,ベンジルホスホン酸、4-クロル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4-クロル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸、4−メチル,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メチル,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ニトロ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸、4−アミノ,ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−アミノ,ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メチル, ベンジルホスホン酸、2−メチル, ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メチル, ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸、10−アンスラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、10−アンスラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−メトキシフェニル-,エトキシ-)メチルホスホン酸、(4−メトキシフェニル-,エトキシ-)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−メトキシフェニル-,エトキシ-)メチルホスホン酸ジメチルエステル、(フェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸、(フェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(フェニル-,クロル-)メチルホスホン酸、(フェニル-,クロル-)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(フェニル-,クロル-)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル)-イミノホスホン酸、(4−クロルフェニル)-イミノホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロルフェニル)-イミノホスホン酸ジエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル-,ジフェニル-)メチルホスホン酸、(4−ヒドロキシフェニル-,ジフェニル-)メチルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ヒドロキシフェニル-,ジフェニル-)メチルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロルフェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸、(4−クロルフェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸モノメチルエステル、(4−クロルフェニル-,ヒドロキシ-)メチルホスホン酸ジメチルエステル、その他、複素環を含有するリン化合物としては、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−ベンゾフラニルメチルホスホン酸、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(5−メチル)ベンゾフラニルメチルホスホン酸などが挙げられる。上記の連結基を有するリン化合物は、重合活性の点で好ましい態様である。
本発明で使用することが好ましい連結基(X)を有するその他の化合物としては式(化44)で表されるリン化合物が挙げられる。
[式(化44)中、R0は、水酸基、C1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR4(R4は、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基を表す(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)。R1はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を表す。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、C1〜C4の炭化水素基、水酸基またはアルコシキル基を有するC1〜C4の炭化水素基を表す。mは1〜5の整数を表し、R0が複数個の場合、同一置換基あるいは異なる置換基の組合せであってもかまわない。nは0あるいは1〜5の整数を表す。]
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がベンゼンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、6−ヒドロキシベンジルホスホン酸などのベンゼン環に水酸基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、2−n-ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−n-ブチルベンジルホスホン酸モノメチルエステル、2−n-ブチルベンジルホスホン酸、3−n-ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−n-ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−n-ブチルベンジルホスホン酸、4−n-ブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−n-ブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−n-ブチルベンジルホスホン酸、2,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸、3,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−n-ジブチルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキルを導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、2−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−カルボキシベンジルホスホン酸、3−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−カルボキシベンジルホスホン酸、4−カルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−カルボキシベンジルホスホン酸、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジカルボキシベンジルホスホン酸、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−メトキシカルボニルベンジルホスホン酸、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジメトキシカルボニルベンジルホスホン酸などのベンゼン環にカルボキル基あるいはカルボン酸エステル基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノメチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、2,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、3,5−ジ(2−メトキシエトキシ)ベンジルホスホン酸などのベンゼン環にアルキレングリコール基あるいはモノアルコキシ化アルキレングリコール基を導入したベンジルホスホン酸類が挙げられる。
(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がベンゼンであるリン化合物としては、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がナフタレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(4−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルモノエチルホスホン酸、2−(6−ヒドロキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−n−ブチル)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−カルボキシ)ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシカルボニル)ナフチルメチルホスホン酸、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)]ナフチルメチルホスホン酸、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸モノエチルエステル、2−(6−メトキシエトキシ)ナフチルメチルホスホン酸などのナフタレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノアルコキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がナフタレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がビフェニルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸、 4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニル)ベンジルホスホン酸などのビフェニル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がビフェニルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルオキシ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルエーテルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニチオエーテルであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルチオ)ベンジルホスホン酸などのジフェニルチオエーテル環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルチオエーテルであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルスルホンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルスルホニル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルスルホン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルスルホンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルメタンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンジル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンジル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルメタンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルジメチルメタンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシフェニルジメチルメチル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルメタン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルジメチルメタンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルケトンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−n−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ブチルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−カルボキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシカルボニルベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−ヒドロキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−ヒドロキシメトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸モノエチルエステル、4−(4−メトキシエトキシベンゾイル)ベンジルホスホン酸などのジフェニルケトン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がジフェニルケトンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がアンスラセンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−ヒドロキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−n−ブチル)アンスリルイルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(10−カルボキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(10−カルボキシ)9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−ヒドロキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシエトキシ)アンスリルメチルホスホン酸、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、9−(2−メトキシカルボニル)アンスリルメチルホスホン酸などのアンスラセン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がアンスラセンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がフェナントレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−n−ブチル)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−カルボキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−ヒドロキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシエトキシ)フェナントリルメチルホスホン酸、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(7−メトキシカルボニル)フェナントリルメチルホスホン酸などのフェナントレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がフェナントレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
本発明において式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がピレンであるリン化合物としては次のようなものが挙げられる。すなわち、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−n-ブチル)ピレニリルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−n-ブチル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−n-ブチル)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−カルボキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−ヒドロキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシエトキシ)ピレニルメチルホスホン酸、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルルメチルホスホン酸ジエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸モノエチルエステル、1−(5−メトキシカルボニル)ピレニルメチルホスホン酸などのピレン環にアルキル基、カルボキキシル基、カルボン酸エステル基、アルキレングリコール基、モノメトキシアルキレングリコール基などが導入されたホスホン酸類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
式(化44)で表されるリン化合物の内、置換基を有する芳香環構造がピレンであるリン化合物は、上述した単一置換基種に限定されるものではなく、上述した置換基、ヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基の混成されたものも使用できる。
上記一連の芳香環に導入されるヒドロキシル基、アルキル基、カルボキシル基、カルボキシエステル基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基などの置換基は、ポリエステルの重合時のアルミニウム原子との錯体形成に深く関わるものと推定される。また、ポリエステル形成時の官能基であるカルボキシル基あるいは水酸基と類似のものも含まれており、ポリエステルマトリックス中に溶解または取り込まれやすいため、重合活性、異物低減などに特に有効であると考えられる。
芳香環構造(R1)に結合したR0が水素原子である未置換基に比べ、本発明のC1〜C10のアルキル基、−COOH基あるいは−COOR4(R4は、C1〜C4のアルキル基を表す)、アルキレングリコール基あるいはモノアルコキシアルキレングリコール基(モノアルコキシはC1〜C4を、アルキレングリコールはC1〜C4のグリコールを表す)で置換されたリン化合物は、触媒活性を改善するだけでなく、異物低減効果の点で好ましい。
芳香環構造に結合した置換基は、C1〜C10のアルキル基、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールなどが挙げられる。異物低減効果の点でより好ましくは、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールである。その理由は不明であるが、ポリエステルおよび触媒の媒体であるアルキレングリコールとの相溶性が改善されることによると推測している。
芳香環構造に結合した置換基は、C1〜C10のアルキル基、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールなどが挙げられる。異物低減効果の点でより好ましくは、カルボキシルおよびカルボキシルエステル基、アルキレングリコールおよびモノアルコキシアルキレングリコールである。その理由は不明であるが、ポリエステルおよび触媒の媒体であるアルキレングリコールとの相溶性が改善されることによると推測している。
本発明において使用することが好ましい連結基(X)を持たないリン化合物(化45)は次のようなものである。
(R1は炭素数6〜50の芳香環構造あるいは炭素数4〜50の複素環構造を表し、該芳香環構造あるいは複素環構造は置換基を有していてもよい。R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を有していてもよい。)
式(化45)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基から選ばれる1種もしくは2種以上である。また、前記(化45)の芳香環構造がベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンから選ばれる。および前記複素環構造がフラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフタランおよびフタリドから選ばれる。また、上記式(化45)中のR2およびR3の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
式(化45)で表されるリン化合物の芳香環構造および複素環構造の置換基が、炭素数1〜50の炭化水素基(直鎖状であっても脂環構造、分岐構造、芳香環構造であってもよく、これらがハロゲン置換されたものであってもよい)または水酸基またはハロゲン基または炭素数1〜10のアルコキシル基またはアミノ基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)あるいはニトロ基あるいはカルボキシル基あるいは炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸エステル基あるいはホルミル基あるいはアシル基あるいはスルホン酸基、スルホン酸アミド基(炭素数1〜10のアルキルあるいはアルカノール置換されていてもかまわない)、ホスホリル含有基、ニトリル基、シアノアルキル基から選ばれる1種もしくは2種以上である。また、前記(化45)の芳香環構造がベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンから選ばれる。および前記複素環構造がフラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフタランおよびフタリドから選ばれる。また、上記式(化45)中のR2およびR3の少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
本発明で使用できる式(化45)で表されるリン化合物としては、下記のリン化合物などが挙げられる。すなわち、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メトキシ)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メトキシ)-フェニルホスホン酸、(4−クロル)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−クロル,)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−クロル)- フェニルホスホン酸、(5−クロル,)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−クロル,)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−クロル,)-フェニルホスホン酸、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(3−ニトロ,5−メチル)-フェニルホスホン酸、(4−ニトロ)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ)-フェニルホスホン酸、(5−ニトロ)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(5−ニトロ)- フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(5−ニトロ)-フェニルホスホン酸、(6−ニトロ)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(6−ニトロ)-フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(6−ニトロ)-フェニルホスホン酸、(4−ニトロ,6−メチル)-フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)- フェニルホスホン酸モノエチルエステル、(4−ニトロ,6−メチル)-フェニルホスホン酸、その他、式(化44)で表されるリン化合物において、上述のベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ジフェニルケトン、アントラセン、フェナントレンおよびピレンなどの芳香環構造を有するそれぞれの構造式から連結基であるメチレン鎖すなわち、−CH2−を取り除いたリン化合物群、さらに複素環含有リン化合物として、5−ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−ベンゾフラニルホスホン酸、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸ジエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸モノエチルエステル、5−(2−メチル)ベンゾフラニルホスホン酸などが挙げられる。上述の連結基を有しないリン化合物は、前述の連結基を有するリン化合物に比べ重合活性は若干劣る場合もあるが、本発明の触媒調製法を使用した場合、共重合ポリエステル重合触媒として使用することは可能である。
リン化合物は、ポリエステルの熱安定剤としては知られていたが、これらの化合物を従来の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合を大きく促進することはこれまで知られていなかった。実際に、ポリエステル重合の代表的な触媒であるアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物あるいはゲルマニウム化合物を重合触媒としてポリエステルを溶融重合する際に、本発明におけるリン化合物を添加しても、実質的に有用なレベルまで重合が促進されることは認められない。
本発明においてリン化合物の使用量としては、得られる共重合ポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜2.0モル%が好ましく、0.005〜1.0モル%であることがさらに好ましい。リン化合物の添加量が0.001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合があり、2.0モル%を超えて添加すると逆に共重合ポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向は、アルミニウムの使用量等により変化する。
また一方で、本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて、アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1種を第2金属含有成分として共存させることが好ましい態様である。これらの第2金属含有成分を共存することは上述のリン化合物を共存する場合と比べて、重合時に留出するグリコール成分への混入がより抑えられるため好ましい。ジカルボン酸とビスフェノールAあるいはFなどのアルキレンオキサイド付加物が、特にプロピレンオキサイドのような第2級グリコールを形成する場合、理由は不明であるが、上述の第2金属含有成分、特に、リチウム化合物を触媒系に共存させることは触媒活性を飛躍的に高め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。また、上述の第2金属含有成分、特に、リチウム化合物を触媒系に共存させることは重合温度が例えば240〜260℃のように低く抑える必要がある場合、その添加量を増やすことで重合活性を持たせることができるため好ましい態様である。さらに、上記アルミニウム化合物/アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属系に少量のリン化合物を添加することでも好ましい触媒活性が発現可能になる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物を添加する場合、その使用量M(モル%)は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、1×10-6以上1.0モル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×10-6〜0.5モル%であり、さらに好ましくは1×10-5〜0.3モル%であり、特に好ましくは、1×10-5〜0.1モル%である。アルカリ金属、アルカリ土類金属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、着色、耐加水分解性の低下等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物の使用量Mが1.0モル%以上になると熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、並びに耐加水分解性の低下が製品加工上問題となる場合が発生する。Mが1×10-6未満では、添加してもその効果が明確ではない。
本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて使用することが好ましい第2アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、このうちLi,Na,Mgないしその化合物から選択される少なくとも1種の使用がより好ましい。中でも、本発明の樹脂組成としてはLiが最も好ましい元素である。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解しにくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなければならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなるとともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向があり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物として好適なものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、及び酸化物である。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ましい。
本発明のアルミニウム化合物、リン化合物およびアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属などの重合触媒系を構成する各成分を複数種配合したものも使用可能であることはいうまでもない。
本発明における重合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物などの他の重合触媒を、これらの成分の添加が前述のようなポリエステル樹脂の特性に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際には有効である。
本発明においてリン化合物を併用することにより、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られる。
以下に、アルミニウム化合物として、塩基性酢酸アルミニウムを用いた場合の、同溶液の調製方法の具体例を示す。
(1)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液の調製例
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;アルドリッチ社製)を20g/lの濃度で蒸留水に分散させ、攪拌下95℃で2時間加熱処理をして溶解させた。該水溶液に対して、等量(容量比)のエチレングリコールを共にフラスコへ仕込み、減圧(133Pa)下、70〜90℃で数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;アルドリッチ社製)を20g/lの濃度で蒸留水に分散させ、攪拌下95℃で2時間加熱処理をして溶解させた。該水溶液に対して、等量(容量比)のエチレングリコールを共にフラスコへ仕込み、減圧(133Pa)下、70〜90℃で数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
(2)リン化合物のエチレングリコール溶液の調製例
リン化合物としてIrganox 1222(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら液温160℃で12時間加熱し、30g/lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
リン化合物としてIrganox 1222(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら液温160℃で12時間加熱し、30g/lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液/リン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例
上記アルミニウム化合物の調製例1および上記リン化合物の調製例1で得られたそれぞれのエチレングリコール溶液をフラスコに仕込み、アルミニウム原子とリン原子がモル比で1:2となるように室温で混合し、5時間攪拌して触媒溶液を調製した。
上記アルミニウム化合物の調製例1および上記リン化合物の調製例1で得られたそれぞれのエチレングリコール溶液をフラスコに仕込み、アルミニウム原子とリン原子がモル比で1:2となるように室温で混合し、5時間攪拌して触媒溶液を調製した。
(4)アルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液の調製例
アルカリ金属化合物として酢酸リチウム・2H2Oおよび酢酸ナトリウム(ナカライ(株)製、試薬特級)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら室温で30g/lのアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
アルカリ金属化合物として酢酸リチウム・2H2Oおよび酢酸ナトリウム(ナカライ(株)製、試薬特級)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら室温で30g/lのアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
(5)アルカリ土類金属化合物のエチレングリコール溶液の調製例
アルカリ土類金属化合物として酢酸マグネシウム・4H2O(ナカライ(株)製、試薬特級)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら室温で30g/lのアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
アルカリ土類金属化合物として酢酸マグネシウム・4H2O(ナカライ(株)製、試薬特級)をエチレングリコールと共にフラスコへ仕込み、窒素置換下攪拌しながら室温で30g/lのアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
本発明における重合触媒の別の態様として、上記アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液/リン化合物のエチレングリコール溶液にアルカリ金属化合物のエチレングリコール溶液を併用して使用することも可能であることはいうまでもない。
本発明の静電荷像現像用トナーに配合される着色剤、電荷制御剤、流動性改質剤などは特に限定されず、公知既存のものを必要に応じて用いることができる。着色剤としては染料、顔料、あるいはカ−ボンブラック等を用いればよい。これら染料、顔料、カ−ボンブラック等は、単独で用いられてもよく、あるいは必要に応じて併用されてもよい。特に分光透過特性の観点からは染料を用いることが好ましい。
着色に顔料を用いる場合にはイエロ−着色にはベンジジン系、アゾ系、イソシンドリン系顔料が、マゼンタ着色にはアゾレ−キ系、ロ−ダミンレ−キ系、キナクリドン系、ナフトール系、ジケトピロロピロール系顔料が、シアン着色にはフタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料が好ましく用いられる。黒色のトナーを得る場合に、カ−ボンブラック等を使用することは差し支えない。カ−ボンブラックとしては、サ−マルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファ−ネスブラック、ランプブラック等を用いることができる。着色に染料を用いる場合には、イエロ−着色にはアゾ系、ニトロ系、キノリン系、キノフタロン系、メチン系染料が、マゼンタ着色にはアントラキノン系、アゾ系、キサンテン系染料が、シアン着色にはアントラキノン系、フタロシアニン系、インドアニリン系染料が好ましく用いられる。
本発明のトナー用バインダー樹脂は、上記のポリエステル樹脂をそのままトナー用バインダー樹脂とすることが出来るが、ローラーへのオフセットを防ぐ性能をより高める目的等で、ワックス特にポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを含有しても良い。上記のワックスの添加量は、トナー用バインダー樹脂中0〜10質量%の範囲であることが好ましい。該ワックスの示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、70〜130℃であることが好ましい。より好ましくは80〜125℃であることがよい。融点が70℃未満の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が130℃を超える場合は、低温定着性が悪化してしまう。これらワックス類の融点は70〜130℃が好ましい。
上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
さらに、本発明のトナー用バインダー樹脂には、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、蜜蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用バインダー樹脂中0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
本発明においては、ワックスとして、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックス、特に、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスが好ましく用いられるが、必要に応じて一種または二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
帯電調整剤としては、ニグロシン、4級アンモニウム塩や含金属アゾ染料をはじめとする公知の帯電調整剤を適宜選択して使用することができ、その使用量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して、通常用いられる0.1〜10質量部である。
本発明のトナーはトナーの流動性を向上させるために、無機あるいは有機の微粉体をトナー粒子に外添させてもよい。トナーの外添加剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることができる。疎水処理されたシリカや酸化チタンが好適に用いられる。
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物および/またはシリコーンオイルで化学的に処理することによって付与される。ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理することが好ましい。外添剤の含有量は、未処理トナー100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
本発明における静電荷像現像用トナーの製法は特に限定されず、バインダー樹脂に着色剤、電荷制御剤等を混合し加熱ニーダー、エクストルーダーなどの混練機を用い溶融、混練した後、冷却後、ジェットミル等にて粉砕し、分級することで平均粒子径5〜15μmの粉体に流動性改質剤等を外添するいわゆる粉砕法を用いる事ができる。また他の手法として溶剤とバインダー樹脂からなる溶液に着色剤、電荷制御剤等を混合分散した後に溶液を水系に導入し懸濁ないし粗乳化させ、分級乾燥させるようなウエットプロセスによるトナー化手法を用いる事ができる。
本発明において特にポリエステル樹脂がイオン性基を含有した場合においては、ポリエステル樹脂が水分散性(自己乳化性)を発現する。この場合、ポリエステル樹脂を水系に乳化分散し、得られた分散体に含まれるポリエステル樹脂微粒子を使用し、顔料の水分散体やワックス類の水分散体を水中で緩凝集させることによりトナーに適する大きさに成長させ、熱融着することによって形状を制御されたトナーを得る方法を例示することができる。
本発明の静電荷現像用トナーはその重量平均粒子径が5〜10μmの範囲にあることが好ましい。5μm未満であると粉体流動性が悪化する場合があり、10μmを超えると画像品位が劣化するおそれがある。重量平均粒子径の測定はコールター社製、COULTER COUNTER MODEL TA II型を用いて、行なうものとする。
本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
[樹脂特性評価方法]
1、重量平均分子量および数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、カラムは昭和電工製 Shodex KF800P、KF80M、KF802、KF801を用い、溶媒にはTHFを用い、サンプル濃度0.02g/10ml、ディテクターには島津RID6Aを用い、フローレート1.0ml/分、35℃、インジェクション容積0.5μlの条件にて測定した。
1、重量平均分子量および数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、カラムは昭和電工製 Shodex KF800P、KF80M、KF802、KF801を用い、溶媒にはTHFを用い、サンプル濃度0.02g/10ml、ディテクターには島津RID6Aを用い、フローレート1.0ml/分、35℃、インジェクション容積0.5μlの条件にて測定した。
2、ガラス転移温度
本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgをアルミパンにいれ、蓋を押さえて密封し、予め170℃程度まで昇温し、5分間保持した後、10℃まで降温し、樹脂の熱履歴を統一させた後、液体窒素を用いて−40℃まで冷却し、130℃まで10℃/分で昇温し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgをアルミパンにいれ、蓋を押さえて密封し、予め170℃程度まで昇温し、5分間保持した後、10℃まで降温し、樹脂の熱履歴を統一させた後、液体窒素を用いて−40℃まで冷却し、130℃まで10℃/分で昇温し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
3、溶融粘度が10000poiseになる温度(Ta)
島津製作所製フローテスターCFT−500Cを用いて、2℃刻みでポリエステル樹脂の溶融粘度を測定し、縦軸に溶融粘度の対数、横軸に温度を取ったプロットより求めた。
島津製作所製フローテスターCFT−500Cを用いて、2℃刻みでポリエステル樹脂の溶融粘度を測定し、縦軸に溶融粘度の対数、横軸に温度を取ったプロットより求めた。
4、酸価
COOH基当量について、樹脂1.0gをクロロホルム30mlに溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用い、0.1NのKOH溶液にて滴定した。
COOH基当量について、樹脂1.0gをクロロホルム30mlに溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用い、0.1NのKOH溶液にて滴定した。
5、共重合ポリエステル樹脂の組成
重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
6、ポリエステルに不溶なアルミニウム系異物の評価法
溶融重合上がりのポリエステル30gおよびパラクロロフェノール/テトラクロロエタン(3/1:重量比)混合溶液300mlを攪拌機付き丸底フラスコに投入し、該ペレットを混合溶液に100〜105℃、2時間で攪拌・溶解した。該溶液を室温になるまで放冷し、直径47mm/孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(Advantec社製PTFEメンブレンフィルター、品名:T100A047A)を用い、全量を0.15MPaの加圧下、有効ろ過直径37.5mmで異物をろ別した。
異物評価は、以下のように濾過時間で行った。
〇:ろ過時間5時間未満
△:ろ過時間5時間〜24時間
×:ろ過時間1日以上
上記ろ過時間が1日を超えた場合は、ポリエステルに不溶性の微細な異物含有量が多くなり、例えば、重合工程でのポリエステルのろ過時のフィルター詰まりが多くなるという課題に繋がり好ましくない。
溶融重合上がりのポリエステル30gおよびパラクロロフェノール/テトラクロロエタン(3/1:重量比)混合溶液300mlを攪拌機付き丸底フラスコに投入し、該ペレットを混合溶液に100〜105℃、2時間で攪拌・溶解した。該溶液を室温になるまで放冷し、直径47mm/孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルター(Advantec社製PTFEメンブレンフィルター、品名:T100A047A)を用い、全量を0.15MPaの加圧下、有効ろ過直径37.5mmで異物をろ別した。
異物評価は、以下のように濾過時間で行った。
〇:ろ過時間5時間未満
△:ろ過時間5時間〜24時間
×:ろ過時間1日以上
上記ろ過時間が1日を超えた場合は、ポリエステルに不溶性の微細な異物含有量が多くなり、例えば、重合工程でのポリエステルのろ過時のフィルター詰まりが多くなるという課題に繋がり好ましくない。
7、共重合ポリエステル樹脂の(1)透明性、(2)着色の程度
(1)および(2)は共重合ポリエステル樹脂をほぼ同一厚みの板状のまま目視判定した。
(1)樹脂の透明性
○:ほとんど透明
△:やや濁りあり
×:著しく濁りあり
(2)樹脂の着色の程度
○:ほとんど着色なし
△:やや着色あり
×:著しく着色あり
(1)および(2)は共重合ポリエステル樹脂をほぼ同一厚みの板状のまま目視判定した。
(1)樹脂の透明性
○:ほとんど透明
△:やや濁りあり
×:著しく濁りあり
(2)樹脂の着色の程度
○:ほとんど着色なし
△:やや着色あり
×:著しく着色あり
[トナー評価方法]
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により各種条件下で印刷テストをおこない、画像濃度、カブリ、環境安定性、最低定着温度、高温ホットオフセット温度を評価した。
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により各種条件下で印刷テストをおこない、画像濃度、カブリ、環境安定性、最低定着温度、高温ホットオフセット温度を評価した。
8、画像濃度評価
画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度測定を行い、画像中の5mm丸(5φ)の濃度を測定した。評価結果は以下のような基準で、耐久初期の値との差を評価した。
◎:優れている(0.05未満)
○:良好 (0.05−0.1未満)
△:問題なし (0.1−0.5未満)
×:問題あり (0.5以上)
画像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度測定を行い、画像中の5mm丸(5φ)の濃度を測定した。評価結果は以下のような基準で、耐久初期の値との差を評価した。
◎:優れている(0.05未満)
○:良好 (0.05−0.1未満)
△:問題なし (0.1−0.5未満)
×:問題あり (0.5以上)
9、カブリ評価
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、温度23℃、相対湿度20%で1日放置した。その後、印字比率6%のテストチャートを用いて、100枚の画出しを行い、テストチャート上の白地部のカブリにて画質評価した。カブリは、リフレクトメーター(東京電色社製)により測定した、定着画像の白地部分の白色度と、転写材の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。カブリレベルは以下の基準によって判断した。
◎:カブリ0.2%未満
○:カブリ0.2〜0.5%未満
△:カブリ0.5〜1.0%未満
×:カブリ1.0〜3.0%未満
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、温度23℃、相対湿度20%で1日放置した。その後、印字比率6%のテストチャートを用いて、100枚の画出しを行い、テストチャート上の白地部のカブリにて画質評価した。カブリは、リフレクトメーター(東京電色社製)により測定した、定着画像の白地部分の白色度と、転写材の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。カブリレベルは以下の基準によって判断した。
◎:カブリ0.2%未満
○:カブリ0.2〜0.5%未満
△:カブリ0.5〜1.0%未満
×:カブリ1.0〜3.0%未満
10、環境安定性評価
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、温度23℃、相対湿度20%で1日放置した。続いて、印字比率6%のテストチャートを用いて、100枚の画出しを行い、最終画像の5mm丸(5φ)の濃度(OD)を測定した。その後、評価用トナーを取り出し、温度23℃、相対湿度80%の高温高湿槽に1日放置した。高温高湿槽から評価用トナーを出した直後、再び温度23℃、相対湿度20%に設置し、印字比率6%のテストチャートを用いて、1000枚の画出しを行った。このとき、ODと同濃度に回復するまでに要する枚数を記録することにより、トナーの、環境変動による影響の受けやすさを評価した。ODと同濃度に回復するまでに要する枚数が、
◎:100枚未満
○:100〜300枚未満
△:500〜1000枚未満
×:1000枚流しても、ODまで回復しない。
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、温度23℃、相対湿度20%で1日放置した。続いて、印字比率6%のテストチャートを用いて、100枚の画出しを行い、最終画像の5mm丸(5φ)の濃度(OD)を測定した。その後、評価用トナーを取り出し、温度23℃、相対湿度80%の高温高湿槽に1日放置した。高温高湿槽から評価用トナーを出した直後、再び温度23℃、相対湿度20%に設置し、印字比率6%のテストチャートを用いて、1000枚の画出しを行った。このとき、ODと同濃度に回復するまでに要する枚数を記録することにより、トナーの、環境変動による影響の受けやすさを評価した。ODと同濃度に回復するまでに要する枚数が、
◎:100枚未満
○:100〜300枚未満
△:500〜1000枚未満
×:1000枚流しても、ODまで回復しない。
11、最低定着温度評価
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、定着機の電源を切り未定着画像を得た後、外部定着器を用いて、定着温度を変えて定着画像を得た。得られた画像上に10g/cm2の荷重をかけて5回摺擦した時の、摺擦前後の濃度を測定することにより、濃度低下率を測定した。その濃度低下率が10%以下となる温度を最低定着温度とした。評価結果は以下の基準で判定した。
◎:非常に優れている(130℃未満)
○:優れている (130−140℃未満)
△:問題なし (140−150℃未満)
×:問題あり (150℃以上)
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、定着機の電源を切り未定着画像を得た後、外部定着器を用いて、定着温度を変えて定着画像を得た。得られた画像上に10g/cm2の荷重をかけて5回摺擦した時の、摺擦前後の濃度を測定することにより、濃度低下率を測定した。その濃度低下率が10%以下となる温度を最低定着温度とした。評価結果は以下の基準で判定した。
◎:非常に優れている(130℃未満)
○:優れている (130−140℃未満)
△:問題なし (140−150℃未満)
×:問題あり (150℃以上)
12、高温ホットオフセット温度評価
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、定着機の電源を切り未定着画像を得た後、外部定着器を用いて、定着温度を変えて定着画像を得た。定着温度を変更して、定着ローラーにトナーがオフセットするのを目視により判定し、発生した温度を高温オフセット発生温度とした。結果を表5に示す。評価結果は以下の基準で判定した。
○:良好 (220℃未満では未発生)
△:問題なし(200−220℃未満で若干発生するが、実用上問題なし)
×:問題あり(200℃未満でもはっきりと発生し、実用上問題あり)
評価用トナー500gを東芝製プレシオ5560に入れ、定着機の電源を切り未定着画像を得た後、外部定着器を用いて、定着温度を変えて定着画像を得た。定着温度を変更して、定着ローラーにトナーがオフセットするのを目視により判定し、発生した温度を高温オフセット発生温度とした。結果を表5に示す。評価結果は以下の基準で判定した。
○:良好 (220℃未満では未発生)
△:問題なし(200−220℃未満で若干発生するが、実用上問題なし)
×:問題あり(200℃未満でもはっきりと発生し、実用上問題あり)
[トナー粒子評価方法]
13、重量平均粒子径
コールター社製、形式COULTER COUNTER MODEL TA II型を用いて、行った。
13、重量平均粒子径
コールター社製、形式COULTER COUNTER MODEL TA II型を用いて、行った。
[共重合ポリエステル樹脂の合成例]
共重合ポリエステル樹脂の合成:A−1〜A−8
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分、グリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(1)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液の調製例、(2)リン化合物のエチレングリコール溶液の調製例、(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”のいずれかで記述したものを選択して使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重合反応を行った。その後真空を破壊し、窒素雰囲気中で225℃まで冷却し無水トリメリット酸を添加し30分間付加反応を行った。なお、共重合ポリエステル樹脂A−7は無水トリメリット酸の一部(8モル%)をエステル化反応時に各成分と同時に投入し、分岐構造となるようにした(表1では[分岐]と記載)。得られた共重合ポリエステル樹脂の1H−NMRによる分析結果および各特性を表1に示す。
共重合ポリエステル樹脂の合成:A−1〜A−8
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分、グリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(1)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液の調製例、(2)リン化合物のエチレングリコール溶液の調製例、(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”のいずれかで記述したものを選択して使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重合反応を行った。その後真空を破壊し、窒素雰囲気中で225℃まで冷却し無水トリメリット酸を添加し30分間付加反応を行った。なお、共重合ポリエステル樹脂A−7は無水トリメリット酸の一部(8モル%)をエステル化反応時に各成分と同時に投入し、分岐構造となるようにした(表1では[分岐]と記載)。得られた共重合ポリエステル樹脂の1H−NMRによる分析結果および各特性を表1に示す。
共重合ポリエステル樹脂の合成:A−9〜A−10
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分とグリコール成分および重合触媒を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重合反応を行った。得られた共重合ポリエステル樹脂の1H−NMRによる分析結果および各特性を表1に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分とグリコール成分および重合触媒を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重合反応を行った。得られた共重合ポリエステル樹脂の1H−NMRによる分析結果および各特性を表1に示す。
共重合ポリエステル樹脂の合成:A−11〜A−24
表2の酸成分、グリコール成分を用いる以外は、合成例A−1と同様に実施した。また、アルミニウム化合物/リン化合物系の他に、アルミニウム化合物/アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属種、さらにリン化合物を配合した触媒種についても実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表2および3に示す。
表2の酸成分、グリコール成分を用いる以外は、合成例A−1と同様に実施した。また、アルミニウム化合物/リン化合物系の他に、アルミニウム化合物/アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属種、さらにリン化合物を配合した触媒種についても実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表2および3に示す。
比較共重合ポリエステル樹脂の合成:B−1〜B−3
触媒種をアルミニウム系からアンチモン系、チタン系、スズ系単独系にそれぞれ変更する以外は合成例A−1と同様にして実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表3に示す。
触媒種をアルミニウム系からアンチモン系、チタン系、スズ系単独系にそれぞれ変更する以外は合成例A−1と同様にして実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表3に示す。
チタン化合物系触媒の樹脂の着色は著しく、一方、アルミニウム化合物/リン化合物あるいはアルミニウム化合物/アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物などの複合触媒系のそれは、該チタン系触媒に比べ透明であり着色も抑制されたものであった。アルミニウム化合物単独系触媒の場合、複合系のそれに比べて重合活性がやや低い以外は同様の外観を示した。また、アンチモン系重合触媒は着色に加えて濁っていた。
比較共重合ポリエステル樹脂の合成:B−4、B−5
表3の酸成分、グリコール成分を用いる以外は、合成例A−1と同様に実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表3に示す。これらの共重合ポリエステルは、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物を含まない比較樹脂である。
表3の酸成分、グリコール成分を用いる以外は、合成例A−1と同様に実施した。得られた共重合ポリエステル樹脂の分析結果および各特性を表3に示す。これらの共重合ポリエステルは、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物を含まない比較樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂の合成:CC−1
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に酸成分としてドデカン二酸(宇部興産製)、エチレングリコールをグリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”で記述したものを使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重量平均分子量が12000になるまで重合反応を行った。融点82℃の結晶性ポリエステルを得た。
1H−NMRによる分析結果はドデカン二酸/エチレングリコール=100/100(モル比)であり、酸価0.3mgKOH/g、重量平均分子量12000、数平均分子量5400、融点82℃の白色結晶性樹脂であった。
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に酸成分としてドデカン二酸(宇部興産製)、エチレングリコールをグリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”で記述したものを使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重量平均分子量が12000になるまで重合反応を行った。融点82℃の結晶性ポリエステルを得た。
1H−NMRによる分析結果はドデカン二酸/エチレングリコール=100/100(モル比)であり、酸価0.3mgKOH/g、重量平均分子量12000、数平均分子量5400、融点82℃の白色結晶性樹脂であった。
結晶性ポリエステル樹脂の合成:CC−2
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分としてセバシン酸、エチレングリコールをグリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”で記述したものを使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重量平均分子量が15000になるまで重合反応を行った。融点75℃の結晶性ポリエステルを得た。
1H−NMRによる分析結果は、セバシン酸/エチレングリコール=100/100(モル%)で酸価0.2mgKOH/g、重量平均分子量15000、数平均分子量6200、融点75℃の白色結晶性樹脂であった。
撹拌機、コンデンサー、温度計を装備したステンレス製反応釜に表1に記載の各成分モル%になるように酸成分としてセバシン酸、エチレングリコールをグリコール成分および重合触媒(ただし、アルミニウム系重合触媒は前記した“(3)アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物の調製例”で記述したものを使用)を仕込み、140℃から220℃まで昇温しながら、4時間かけてエステル化反応を行った。次いで、系内を徐々に減圧していき、60分かけ133.3Paまで減圧し、さらに133.3〜40.0Paの減圧下、255℃にて、重量平均分子量が15000になるまで重合反応を行った。融点75℃の結晶性ポリエステルを得た。
1H−NMRによる分析結果は、セバシン酸/エチレングリコール=100/100(モル%)で酸価0.2mgKOH/g、重量平均分子量15000、数平均分子量6200、融点75℃の白色結晶性樹脂であった。
[トナー特性評価]
(実施例1)ポリエステル樹脂A−1を100重量部、カルナバワックス(加藤洋行社製)5.0重量部及びカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)5.0重量部をヘンシェルミキサーで分散混合した後、2軸押出し混練機(池上鉄工社製:PCM−30)で溶融混練し、トナー組成物を得た。ハンマーミルにて粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック社製:IDS2型)にて微粉砕、分級し平均粒子径6.8μmのトナーを得た。次いで、トナー100重量部に対して疎水性シリカ(アエロジル社製:R−972)0.8重量部を混合して、ヘンシェルミキサーにより疎水性シリカが外添されたトナーを得た。このトナーを用いて、画像濃度、カブリ、環境安定性、最低定着温度、高温ホットオフセットの評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例1)ポリエステル樹脂A−1を100重量部、カルナバワックス(加藤洋行社製)5.0重量部及びカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)5.0重量部をヘンシェルミキサーで分散混合した後、2軸押出し混練機(池上鉄工社製:PCM−30)で溶融混練し、トナー組成物を得た。ハンマーミルにて粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック社製:IDS2型)にて微粉砕、分級し平均粒子径6.8μmのトナーを得た。次いで、トナー100重量部に対して疎水性シリカ(アエロジル社製:R−972)0.8重量部を混合して、ヘンシェルミキサーにより疎水性シリカが外添されたトナーを得た。このトナーを用いて、画像濃度、カブリ、環境安定性、最低定着温度、高温ホットオフセットの評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例2〜10、13〜20、27)ポリエステル樹脂を変更した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作成し、評価を行った。配合を表4に、結果を表5に示す。
(実施例11、12)カルナウバワックスに代えて結晶性ポリエステル樹脂(CC−1、CC−2)を混合した以外は実施例1と同等の方法でトナーを作成し、評価を行った。結果を表5に示す。
(実施例21)顔料を銅フタロシアニン系シアン色顔料ヘリオゲンブルーS7084[BASF社]5重量部を混合した以外は実施例1と同様にトナーを作成し、評価をおこなった。配合を表4に、結果を表5に示す。
(実施例22〜25)触媒種をアルミニウム化合物/アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物、さらにはリン化合物を配合した触媒系のポリエステル樹脂を用いる以外は、実施例1と同等の方法でトナーを作成し、評価を行った。配合を表4に、結果を表5に示す。
(実施例26)触媒種をアルミニウム化合物としてアルミニウムアセチルアセトネート、リン化合物としてIrganox1425としたポリエステル樹脂を用いる以外は、実施例1と同等の方法でトナーを作成し、評価を行った。配合を表4に、結果を表5に示す。
(比較例1)ポリエステル樹脂B−1 100重量部、カルナバワックス(加藤洋行社製)5.0重量部及びカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)5.0重量部をヘンシェルミキサーで分散混合した後、2軸押出し混練機(池上鉄工社製:PCM−30)で溶融混練し、トナー組成物を得た。ハンマーミルにて粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック社製:IDS2型)にて微粉砕、分級し平均粒子径6.4μmのトナーを得た。次いで、トナー100重量部に対して疎水性シリカ(アエロジル社製:R−972)0.8重量部を混合して、ヘンシェルミキサーにより疎水性シリカが外添されたトナーC−28を得た。このトナーを用いて、画像濃度、カブリ、環境安定性、最低定着温度、高温ホットオフセットの評価を行った。結果を表5に示す。
(比較例2〜5)ポリエステル樹脂を変更した以外は比較例1と同等の方法でトナーを作成し、評価を行った。配合を表4に、結果を表5に示す。
アルミニウム化合物からなる重合触媒を用いて、共重合ポリエステル樹脂の成分の一つであるビスフェノールAおよび/またはビスフェノールF成分を含有する共重合ポリエステル樹脂を製造し静電荷現像用トナーのバインダーとすることにより、バインダーに起因する着色が少なくオフセット現象等も併せて解決することができる。
Claims (13)
- 酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、その他のジカルボン酸0〜50モル%、3官能以上の多価カルボン酸0〜15モル%であり、グリコール成分が、化1に示すビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物5〜100モル%、その他のグリコール0〜95モル%、3官能以上の多価アルコール0〜15モル%であり、少なくともアルミニウム化合物を含有する触媒の存在下に共重合した共重合ポリエステル樹脂をバインダーとして含有してなる静電荷現像用トナー。
- 触媒が、さらにリン化合物を含有する請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
- 触媒が、さらにアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
- ポリエステル樹脂のガラス転移温度が45〜75℃であり、酸価が0.2〜30mgKOH/gであり、重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- アルミニウム化合物が、カルボン酸含有化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- リン化合物が、芳香族ホスホン酸およびその誘導体であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物がリチウム化合物である請求項3〜6のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- さらに、ワックス類および/または結晶性ポリエステル樹脂の少なくとも一種以上が含有されている請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- ワックス類が、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線の吸熱ピークに関して、60〜130℃に最大吸熱ピークを有することを特徴とする請求項8に記載の静電荷現像用トナー。
- 結晶性ポリエステル樹脂が、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線の吸熱ピークに関して、60〜85℃に最大吸熱ピークを有することを特徴とする請求項8または9に記載の静電荷現像用トナー。
- 重量平均粒子径が5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- さらに、疎水化処理されたシリカまたは疎水化された酸化チタンを外添剤として含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
- 請求項1〜12のいずれかに記載のトナー用バインダー樹脂。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005316448A JP2006285195A (ja) | 2005-03-11 | 2005-10-31 | 静電荷現像用トナー |
PCT/JP2006/304857 WO2006095901A1 (ja) | 2005-03-11 | 2006-03-13 | 共重合ポリエステル樹脂及びその製造方法、並びに共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005068992 | 2005-03-11 | ||
JP2005316448A JP2006285195A (ja) | 2005-03-11 | 2005-10-31 | 静電荷現像用トナー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006285195A true JP2006285195A (ja) | 2006-10-19 |
Family
ID=37407145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005316448A Pending JP2006285195A (ja) | 2005-03-11 | 2005-10-31 | 静電荷現像用トナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006285195A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009265490A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Dic Corp | 電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物及び電子写真トナー |
JP2010224255A (ja) * | 2009-03-24 | 2010-10-07 | Kao Corp | トナー |
JP2012072308A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Unitika Ltd | ポリエステル樹脂水性分散体 |
CN103012762A (zh) * | 2011-09-27 | 2013-04-03 | 富士施乐株式会社 | 聚酯树脂、调色剂、显影剂、调色剂盒、处理盒、成像装置以及成像方法 |
US8568950B2 (en) | 2011-04-15 | 2013-10-29 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Polyester resin for toner, electrostatic-image-developing toner, electrostatic image developer, toner cartridge, process cartridge, image forming apparatus, and image forming method |
US8628902B2 (en) | 2011-04-15 | 2014-01-14 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Polyester resin for toner, toner, developer, toner cartridge, process cartridge, and image forming apparatus |
EP2725062A4 (en) * | 2011-12-27 | 2015-05-20 | Toray Industries | THERMOPLASTIC RESIN COMPOSITION AND ARTICLES THEREOF |
JPWO2015118893A1 (ja) * | 2014-02-04 | 2017-03-23 | 株式会社リコー | トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、及び画像形成装置 |
JP2017072758A (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 花王株式会社 | 電子写真用トナー及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-10-31 JP JP2005316448A patent/JP2006285195A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009265490A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Dic Corp | 電子写真トナー用ポリエステル樹脂組成物及び電子写真トナー |
JP2010224255A (ja) * | 2009-03-24 | 2010-10-07 | Kao Corp | トナー |
JP2012072308A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Unitika Ltd | ポリエステル樹脂水性分散体 |
US8568950B2 (en) | 2011-04-15 | 2013-10-29 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Polyester resin for toner, electrostatic-image-developing toner, electrostatic image developer, toner cartridge, process cartridge, image forming apparatus, and image forming method |
US8628902B2 (en) | 2011-04-15 | 2014-01-14 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Polyester resin for toner, toner, developer, toner cartridge, process cartridge, and image forming apparatus |
CN103012762A (zh) * | 2011-09-27 | 2013-04-03 | 富士施乐株式会社 | 聚酯树脂、调色剂、显影剂、调色剂盒、处理盒、成像装置以及成像方法 |
EP2725062A4 (en) * | 2011-12-27 | 2015-05-20 | Toray Industries | THERMOPLASTIC RESIN COMPOSITION AND ARTICLES THEREOF |
US9574065B2 (en) | 2011-12-27 | 2017-02-21 | Toray Industries, Inc. | Thermoplastic resin composition and its molded product |
JPWO2015118893A1 (ja) * | 2014-02-04 | 2017-03-23 | 株式会社リコー | トナー用ポリエステル樹脂、トナー、現像剤、及び画像形成装置 |
JP2017072758A (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 花王株式会社 | 電子写真用トナー及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006285195A (ja) | 静電荷現像用トナー | |
US8802342B2 (en) | Crystalline resins for toners | |
KR101489179B1 (ko) | 결정성 폴리에스테르 수지 및 이를 사용한 토너용 결착 수지 분산물 | |
US20100151377A1 (en) | Toner and manufacturing method of toner | |
JP5465471B2 (ja) | ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂、およびトナー | |
KR20020061109A (ko) | 에스테르 왁스 및 당해 왁스를 사용한 토너 | |
JP5648804B2 (ja) | 電子写真用透明トナーおよびその製造方法 | |
JP4390643B2 (ja) | トナー用ポリエステル | |
JP4993477B2 (ja) | トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー | |
JPH1160703A (ja) | トナー用ポリエステル樹脂、その製造方法およびそれを用いたトナー | |
JP2018016813A (ja) | トナー用ポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP3633137B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの定着方法 | |
JPH11305485A (ja) | 静電荷像現像トナ−用ポリエステル樹脂 | |
JP4671363B2 (ja) | トナー用バインダー樹脂組成物、その製造方法、およびトナー | |
JP2015010199A (ja) | トナー用ポリエステル樹脂の製造方法、トナー用ポリエステル樹脂およびトナー | |
JP4368541B2 (ja) | 電子写真用トナー | |
JP2005208362A (ja) | 静電荷像現像用緑色トナー | |
JP2010204318A (ja) | ケミカルトナー用ポリエステル樹脂およびその製造方法 | |
JPH11305484A (ja) | 静電荷像現像トナ−用ポリエステル樹脂 | |
KR102157563B1 (ko) | 토너용 결합제 수지, 토너 및 그의 제조 방법 | |
CN104252104B (zh) | 具有改善的定影性能的调色剂 | |
JP2010054852A (ja) | トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー用ポリエステル樹脂並びにトナー | |
JP5311572B2 (ja) | ケミカルトナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびケミカルトナー用ポリエステル樹脂 | |
JP4021999B2 (ja) | トナー用ポリエステル樹脂およびトナー | |
JPH1010776A (ja) | 静電荷像現像用トナー |