JP4993477B2 - トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー Download PDF

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Description

本発明は、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法、およびトナーに関するものである。
電子写真印刷法及び静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着を行う。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧及び加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブン或いはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
最近では、省エネ化が特に要求されるようになってきており、その結果、ヒートローラー方式において、定着部の低温化が進んできた。そのため、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきている。また、ヒートローラー方式においては、いわゆるオフセット現象が発生するため、耐オフセット性が要求されるのが前提である。従って、耐オフセット性を維持しつつ、例えば定着温度140℃以下の条件でも紙への定着を示すといった低温定着性を発現させる必要があり、より広いワーキングレンジ、例えば定着温度幅が50℃以上を有するトナーが要求されるようになってきている。
トナー用結着樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、透明性と定着性のバランスを取りやすいことから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
従来、ポリエステル樹脂の定着温度幅を拡大させる方法として、三官能以上のモノマーを使用した三次元架橋構造を有する非線状ポリエステル樹脂を用いる方法が検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された非線状ポリエステル樹脂は、耐高温オフセット性に優れ、高い最高定着温度を発現することができるものの、低温定着性のレベルがまだ十分ではなかった。
そこで、低温定着性を改良する手段として、2価のカルボン酸化合物と、2価のアルコール化合物からなる線状ポリエステル樹脂を使用することが検討されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、三次元構造を有しない線状ポリエステル樹脂は、低温定着性に優れるという反面、耐高温オフセット性に劣るため広い定着温度幅が得られないという問題があった。
そこで、線状ポリエステル樹脂に不飽和基を導入し、重合開始剤などにより反応、架橋させる検討が行われている(例えば、特許文献3〜6参照)。
特許文献3では、イソフタル酸と無水マレイン酸等の2価のカルボン酸およびビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等の2価のアルコールからなる不飽和ポリエステル樹脂を、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを用いることで架橋反応する技術が記載されている。これにより得られる架橋ポリエステル樹脂を用いたトナーは、良好な定着性と裏汚れ現象が発生しないという特徴を有するが、有機過酸化物を樹脂に対して0.5〜20質量%と多量に使用するため、多量の分解物が樹脂中に残り、保存性が悪いという問題があった。
また、特許文献4では、フマル酸とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等からなる不飽和ポリエステル樹脂を架橋反応させることによって、架橋された部分と架橋されていない部分を含むトナー用樹脂を得ることが記載されている。しかしながら、特許文献4に記載されているトナーは、耐久性が悪いという問題がある。
特許文献5には、数平均分子量が1,000〜4,000であって不飽和二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂を加熱または重合開始剤の存在下においてさらに硬化させてなるトナー用樹脂が記載されている。しかし、特許文献5に記載されているトナーは、定着幅が十分でなかった。
また、特許文献6には、溶融開始温度が50℃以上100℃未満の飽和ポリエステル樹脂と、不飽和ポリエステル樹脂の架橋体とからなるトナーが記載されている。ここに記載されているトナーは、広い非オフセット幅を与えるものであるが、140℃以下の低温領域での画像定着強度は十分なものではなかった。また、材料分散性が悪いという問題があった。
以上、述べたように、耐高温オフセット性に優れ、50℃以上の広い定着幅を有し、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を発現し、耐久性、材料分散性、保存性を有するトナーを与えるトナー用ポリエステル樹脂は、これまでなかった。
特開昭57−109825号公報 特開平4−12367号公報 特開平3−135578号公報 特開平6−130722号公報 特開昭59−49551号公報 特開平8−152743号広報
本発明の目的は、プリンターまたは複写機に好適なトナーを提供することにあり、特に、耐高温オフセット性に優れるため広い定着温度幅を有し、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を与える低温定着性を有し、耐久性、材料分散性、保存性に優れるトナー、およびこれに用いられるトナー用ポリエステル樹脂を提供することにある。
前記課題を解決するための第1の発明は、不飽和二重結合の含有量が12モル%以上100モル%以下である不飽和ポリエステル樹脂(1)と、不飽和二重結合の含有量が0.5モル%以上12モル%未満である不飽和ポリエステル樹脂(2) とを含有する不飽和ポリエステル樹脂を架橋反応させて得られるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法であって、前記不飽和ポリエステル樹脂(1)と前記不飽和ポリエステル樹脂(2)の軟化温度の差が20℃以上である、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法である。
また、第2の発明は、本発明の製造方法により得られたトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を溶融混練して得られるトナーである。
本発明によれば、耐高温オフセット性に優れるため広い定着温度幅を有し、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を与える低温定着性を有し、耐久性、材料分散性、保存性に優れたトナーを得ることが可能である。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法では、不飽和二重結合含有量が12モル%以上100モル%以下の不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和二重結合含有量が0.5モル%以上12モル%未満の不飽和ポリエステル樹脂(2)とを含有する不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応を行う。
本発明では、不飽和二重結合含有量が12モル%以上100モル%以下の不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和二重結合含有量が0.5モル%以上12モル%未満の不飽和ポリエステル樹脂との架橋反応により、不飽和ポリエステル樹脂(1)からなる成分を多く含んだTHFに溶解しない架橋密度の高い架橋成分と、不飽和ポリエステル樹脂(2)からなる成分を多く含んだTHFに溶解する架橋密度の低い架橋成分及び、未反応の不飽和ポリエステル樹脂(2)を含むものである。
不飽和ポリエステル樹脂(1)からなる成分を多く含んだTHFに溶解しない架橋成分THF不溶分は、高度に架橋しているため、トナーに高い弾性率を付与し、耐高温オフセット性を与える作用を奏する。
不飽和ポリエステル樹脂(2)からなる成分を多く含んだTHFに溶解する架橋成分は、未反応の不飽和ポリエステル樹脂とTHF不溶分との相溶性を良好にし、トナーの材料分散性、トナーの耐久性が良好となる。
さらに、未反応の不飽和ポリエステル樹脂(2)が含まれていることでトナーに低温定着性が良好となる。
また、不飽和ポリエステル樹脂(1)の不飽和二重結合含有量が12モル%未満の場合、架橋密度が低くなり、トナーの弾性率、耐高温オフセット性が不十分となる。不飽和二重結合の含有量が100モル%を超えるとトナーの保存性が低下する。なお下限値は13モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。また上限値は50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(2)の不飽和二重結合含有量が、0.5モル%未満の場合は、トナー耐久性が低下し、12モル%を越える場合は低温定着性が不十分となる。なお下限値は1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましい。また上限値は10モル%以下が好ましく、8モル%以下がより好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(1)の不飽和二重結合の含有量は、不飽和二重結合を有する構成成分がカルボン酸化合物である場合には、不飽和ポリエステル樹脂(1)を構成する酸成分100モル%中、12モル%以上100モル%以下であり、不飽和二重結合を有する構成成分がアルコール化合物である場合には、不飽和ポリエステル樹脂(1)を構成する酸成分100モル%に対して、12モル%以上100モル%以下である。また、両者を併用する場合には、両者の合計が12モル%以上100モル%以下である。
不飽和ポリエステル樹脂(1)は、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物以外にも、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる成分を構成成分として含有してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂(2)の不飽和二重結合の含有量は、不飽和二重結合を有する構成成分がカルボン酸化合物である場合には、不飽和ポリエステル樹脂(2)を構成する酸成分100モル%中、0.5モル%以上12モル%未満であり、不飽和二重結合を有する構成成分がアルコール化合物である場合には、不飽和ポリエステル樹脂(2)を構成する酸成分100モル%に対して、0.5モル%以上12モル%未満である。また、両者を併用する場合には、両者の合計が0.5モル%以上12モル%で未満ある。
なお、不飽和二重結合とは炭素間二重結合であり、不飽和ポリエステル樹脂とは、これをポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するものである。不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するためには、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物を用いて重縮合反応をさせ、これらの化合物をポリエステル樹脂の構成成分として取り込めばよい。
不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物の例としては、特に制限されないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル誘導体、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸およびこれらのエステル誘導体等が挙げられる。また、不飽和二重結合を有するアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
また、THF可溶分とは、ポリエステル樹脂をTHF還流下で溶解させたときにTHFに溶出してくる成分であり、THF不溶分とは、同条件下でTHFに溶出しない成分である。
THF不溶分に組み込まれた不飽和ポリエステル樹脂(1)の比率((THF不溶分に組み込まれた不飽和ポリエステル樹脂(1)/THF不溶分)×100))は10%以上90%以下であることが好ましい。THF不溶分に組み込まれた不飽和ポリエステル樹脂(1)の比率が10%以上の場合、耐高温オフセット性が良好になる傾向にある。
またTHF不溶分に組み込まれた不飽和ポリエステル樹脂(1)の比率90%以下である場合、材料分散性が良好になる傾向にある。この下限値は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることが特に好ましい。また、この上限値は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下が特に好ましい。
トナー用ポリエステル樹脂中のTHF不溶分の含有量は、特に制限されないが、トナーの結着樹脂中、5質量%以上であることが好ましい。THF不溶分が5質量%以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にある。THF不溶分の含有量の下限値は7質量%以上が特に好ましい。
またこのTHF不溶分の含有量の上限値は、特に制限されないが、40質量%以下であることが好ましい。THF不溶分が40質量%以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。THF不溶分の含有量の上限値は35質量%以下が特に好ましい。
トナー用ポリエステル樹脂中のTHF可溶分の含有量は、特に制限されないが、トナーの結着樹脂中、95質量%以下であることが好ましい。THF可溶分が95質量%以下の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にある。THF可溶分の含有量の上限値は93量%以下が特に好ましい。またこのTHF可溶分の含有量の下限値は、特に制限されないが、60質量%以上であることが好ましい。THF可溶分が60質量%以上の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。THF可溶分の含有量の下限値は65質量%以上が特に好ましい。
THFに溶解する架橋成分が生成していることは、架橋反応前の不飽和ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分布曲線と、架橋反応後のポリエステル樹脂のTHF可溶分のゲルパーミエーション分布曲線を比較することにより確認することができる。
すなわち、架橋反応によってTHFに溶解する架橋成分が生成するため、架橋反応後のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分布曲線は、架橋反応前のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分布曲線よりも高分子量側に裾をひき、架橋反応後のTHF可溶分の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、架橋反応前のTHF可溶分の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)よりも大きくなる。
THF可溶分の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、特に制限されないが、4以上であることが好ましい。THF可溶分のMw/Mnが4以上であるということは、THF可溶分の分子量分布が大きいことを意味し、THFに溶解する架橋密度の低い架橋成分を含有していることを意味する。
Mw/Mnが4以上である場合に、トナーの耐久性が良好になる傾向にある。Mw/Mnの下限値は、6以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、40以上であることが特に好ましい。また、THF可溶分のMw/Mnの上限値は、特に制限されないが、5,000以下が好ましく、4,000以下がより好ましく、3,000以下が特に好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量10万における検出強度とピーク分子量における検出強度との比が0.04以上であるTHF可溶分が、THFに溶解する架橋密度の低い架橋成分を含有する例として好ましい。THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量10万における検出強度とピーク分子量における検出強度との比が0.04以上である場合に、THF不溶分を均一に分散させる効果を奏し、トナーの耐久性がより一層良好となる傾向にある。THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量10万における検出強度とピーク分子量における検出強度との比の上限値は、低温定着性が良好となる傾向にあることから、0.2以下が好ましく、0.15以下がより好ましい。
また、未反応の不飽和ポリエステル樹脂が存在していることは、架橋反応前の不飽和ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量と架橋反応後のポリエステル樹脂のTHF可溶分のゲルパーミエーションにおけるピーク分子量を比較することにより確認することができる。
すなわち、不飽和ポリエステル樹脂が未反応のまま多量に残存すれば、架橋反応後のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量は、架橋反応前のピーク分子量とほぼ同じとなる。また、未反応のポリエステル樹脂が残存していることは、架橋反応後のTHF可溶分中の不飽和二重結合含有量を定量することでも確認することができる。
本発明で得られるトナー用ポリエステル樹脂の軟化温度は、特に制限されないが、100〜180℃であることが好ましい。トナー用ポリエステル樹脂の軟化温度が100℃以上の場合にこれを用いたトナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にあり、180℃以下の場合に低温定着性が良好になる傾向にある。この下限値は、110℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。また、この上限値は、170℃以下が好ましく、160℃以下が特に好ましい。
また、本発明で得られるトナー用ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと略す)は、特に制限されないが、50〜70℃の範囲であることが好ましい。このTgが50℃以上の場合に、これを用いたトナーの保存性が良好となる傾向にあり、70℃以下の場合に、これを用いたトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。このTgの下限値は、52℃以上がより好ましい。また、この上限値は65℃以下であることが好ましい。
また、本発明で得られるトナー用ポリエステル樹脂の酸価は、特に制限されないが、50mgKOH/g以下であることが好ましい。トナー用ポリエステル樹脂の酸価が50mgKOH/g以下の場合に、これを用いたトナーの定着画像濃度が良好となる傾向にある。この酸価の上限値は、40mgKOH/g以下がより好ましい。また、この酸価の下限値は、特に制限されないが、1mgKOH/g以上が好ましい。
また、本発明で得られるトナー用ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量の上限値は、低温定着性の観点から、11,000以下が好ましく、10,000以下がさらに好ましく、8,000以下が特に好ましい。このピーク分子量の下限値は特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、2,000以上が好ましい。
次に、ポリエステル樹脂を架橋反応させて得られるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
架橋反応の形態は、特に制限されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂(1)中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応や、ポリエステル樹脂中の多価カルボン酸基、多価アルコール基、多価エポキシ基、または多価イソシアネート基の縮合反応、重付加反応、またはエステル交換反応等による分子間結合の形成等が挙げられる。
中でも、ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応が好ましい。
ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応は、熱反応、光反応、酸化還元反応等により発生する活性種により進行させることができる。このうち、熱反応が好ましく、特に、ラジカル反応が好ましい。ラジカル反応としては、特に制限されず、ラジカル反応開始剤を用いてもよいし、ラジカル反応開始剤を用いなくてもよい。特に、架橋反応を有効に起こさせるという点からは、ラジカル反応開始剤を使用する方法が好ましい。
ラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、アゾ化合物や有機過酸化物が用いられる。中でも開始剤効率が高く、シアン化合物副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
これらの中でも、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤が特に好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高い反応開始剤が、特に好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量は、特に制限されないが、不飽和ポリエステル樹脂(1)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。ラジカル反応開始剤の使用量が、0.01質量部以上の場合に架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、10質量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましい。
架橋反応の方法としては、特に制限されないが、例えば、以下の(i)または(ii)の方法が挙げられ、任意に選ぶことができる。
(i)ポリエステル樹脂の重合と同時に架橋反応を行う方法
(ii)一旦、ポリエステル樹脂を重合した後に、架橋反応を行う方法
中でも、一旦、ポリエステル樹脂を重合した後に、架橋反応を行う方法(ii)が好ましい。
ポリエステル樹脂を重合した後に架橋反応を行う場合、重合直後の溶融状態にあるポリエステル樹脂を架橋反応させてもよいし、重合後、冷却して固体状のポリエステル樹脂を得た後に、再度溶融させて、架橋反応を行ってもよい。
ポリエステル樹脂を重合した後に架橋反応を行う場合において、架橋反応開始剤を添加する方法は、特に制限されない。例えば、重合直後の溶融状態にあるポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を添加して架橋反応を行ってもよいし、冷却した固体状のポリエステル樹脂を再溶融させて後に架橋反応開始剤を添加して架橋反応を行ってもよいし、冷却した固体状のポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を添加してから再溶融させて架橋反応を行ってもよい。
溶融状態のポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を添加する場合には、予め架橋反応開始剤を希釈剤に分散させた混合物を調製し、この混合物を溶融状態のポリエステル樹脂に添加することが好ましい。
架橋反応開始剤としてラジカル反応開始剤を使用する場合、この方法は特に好ましい。架橋反応開始剤を希釈剤で希釈して添加することによって、ラジカル反応開始剤の自己誘発分解を抑制できる傾向にあり、ポリエステル樹脂製造時に高い安全性が確保できることと、自己誘発分解によるラジカル反応開始剤の無駄な消費が抑えられ、ラジカル反応開始剤の使用量を低減させることが可能となる傾向にある。
希釈剤として用いられる化合物は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂の構成成分として用いられる酸化合物、アルコール化合物を用いてもよいし、低分子量のポリエステル樹脂を希釈剤として用いてもよい。その他にも、多価カルボン酸ポリアルキルエステル、リン酸エステル、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアルキレングリコール、シリコーンオイル、離型剤等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、離型剤が特に好ましい。希釈剤は、トナー用ポリエステル樹脂中に残存することになるが、離型剤はトナーの添加剤として使用されものであるため、トナー用ポリエステル樹脂中に残存してもトナー性能に悪影響を及ぼさないからである。さらに、予めトナー用ポリエステル樹脂に離型剤が含有されることによって、トナー化時に添加される場合よりも、離型剤の分散性が良好となる傾向にあるからである。
ラジカル反応開始剤の希釈剤として離型剤を用いる場合には、不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものを用いることが好ましい。不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものとしては、炭化水素系の離型剤が好ましく、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;またはこれらのブロック化合物などが挙げられる。
これらの中では、ラジカル反応開始剤との混合が容易であり、トナーの低温定着性をさらに高めることができる傾向にあることから、離型剤の融点は120℃以下であることが好ましい。融点が120℃以下の離型剤としては、パラフィンワックスが最も好ましく、日本精鑞社製HNPシリーズ:例えばHNP−3(融点64℃)、HNP−5(融点62℃)、HNP−9、10(融点75℃)、HNP−11(融点68℃)、HNP−12(融点67℃)、HNP−51(融点77℃)、SPシリーズ:例えば、SP−0165(融点74℃)、SP−0160(融点71℃)、SP−0145(融点62℃)、HNP−3(融点64℃)、FTシリーズ:FT−0070(融点72℃)、FT−0165(融点73℃)等が挙げられる。
架橋反応開始剤の希釈率(架橋反応開始剤と離型剤の混合比率)は、特に制限されないが、架橋反応開始剤/離型剤(質量比)=0.1/99.9〜50/50の範囲であることが好ましい。この比が0.1/99.9以上である場合に架橋反応を効率よく起こさせることができる傾向にあり、また50/50以下である場合に自己誘発分解を抑制できる傾向にある。
架橋反応を行う時間は、用いるラジカル反応開始剤の10時間半減期温度を考慮して設定することが好ましいが、ポリエステル樹脂の熱分解反応を考慮すると、0.5分〜10分の範囲が好ましい。
架橋反応を行う温度は、用いるラジカル反応開始剤の10時間半減期温度を考慮して設定することが好ましいが、ポリエステル樹脂の粘度、熱分解反応、架橋反応性を考慮すると、100℃〜250℃の範囲が好ましい。
架橋反応を行う装置については、ポリエステル樹脂の重縮合工程と同様の装置を用いてもよいが、ポリエステル樹脂と架橋反応開始剤を短時間で均一に混合するという観点から、溶融混合装置が好ましい。
溶融混合装置としては、特に制限されないが、例えば、単軸押出機、2軸押出機、連続密閉式混合機、ギア押出機、ディスク押出機およびロールミル押出機、スタティックミキサー等の連続溶融混合装置;バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー及びハーケミキサー等のバッチ密閉式溶融混合装置が挙げられる。
これらの中でも、短時間で効率よくポリエステル樹脂中に架橋反応開始剤を分散させることが可能なことから、連続溶融混合装置が好ましい。
また、重合直後の溶融状態にあるポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を添加して架橋反応を行う場合には、溶融混合装置は重縮合反応釜に連結されていることが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とを含有するトナー用ポリエステル樹脂を架橋反応させる場合には、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)の混合と架橋反応とを同時に行ってもよいし、予め不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とを混合した後に、架橋反応を行ってもよい。
得られる樹脂の均一性という観点からは、予め不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とを混合した後に、架橋反応を行う方法が好ましい。
さらに不飽和ポリエステル樹脂(1)は、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物以外にも、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる成分を構成成分として含有してもよい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(2)の構成成分としては、特に制限されず、前述の不飽和ポリエステル樹脂(1)の構成成分として例示した成分を用いることができる。例えば、不飽和ポリエステル樹脂(1)の構成成分として例示した、不飽和結合を有する2価のカルボン酸化合物、不飽和結合を有さない2価のカルボン酸化合物、不飽和結合を有する2価のアルコール化合物、不飽和結合を有さない2価のアルコール化合物、3価のカルボン酸化合物、3価のアルコール化合物、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物等を用いることができる。なお、不飽和ポリエステル樹脂(2)におけるこれらの構成成分の含有量の好ましい範囲は、前述の不飽和ポリエステル樹脂(1)の構成成分の好ましい範囲に記載した範囲と同様である。
しかしながら、ポリエステル樹脂の構成成分の種類については、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とでは、好ましい構成成分が異なる傾向にある。例えば、不飽和ポリエステル樹脂(2)においては、2価のアルコール成分として、保存性の面からは、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が好ましく、また、低温定着性の面からはネオペンチルグリコールが好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とを含有するトナー用ポリエステル樹脂を架橋反応させる場合には、不飽和ポリエステル樹脂(1)の構成成分としては、架橋反応を効率よく進行させるため、1,4−シクロヘキサンジメタノールから導かれる構成単位を含有することが好ましく、不飽和ポリエステル樹脂(2)としては、ネオペンチルグリコールから導かれる構成単位、前述のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物から導かれる構成単位、および不飽和二重結合を有する構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含有することが好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(2)においては、炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物から導かれる構成成分を含むことが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂(2)が、炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物を構成成分として含む場合に、トナー化時に添加する離型剤の分散性が良好となり、耐高温オフセット性がさらに良好となり、定着幅がより一層拡大する傾向にある。
炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば以下のものが挙げられ、いずれも工業的に入手することができる。
(i)炭素数30以上のポリエチレンの片末端に水酸基を有する化合物。例えば、東洋ペトロライト社製ユニリンシリーズのうち数平均分子量が438以上のもの。
(ii)炭素数30以上のポリエチレンの片末端にカルボキシル基を有する化合物。例えば、東洋ペトロライト社製ユニシッドシリーズのうち数平均分子量が438以上のもの。
(iii)数平均分子量(Mn)=1000(炭素数約70)のポリプロピレンをベースとして、片末端をマレイン酸変性したもの。
不飽和ポリエステル樹脂(1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量(Mp)は、特に制限されないが12,000以上が好ましく、14,000以上がより好ましく、16,000以上がさらに好ましく、20,000以上が特に好ましい。また、不飽和ポリエステル樹脂(1)のピーク分子量(Mp)の上限値は、特に制限されないが、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、200,000以下が特に好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量の上限値は、低温定着性の観点から、11,000以下が好ましく、10,000以下がさらに好ましく、8,000以下が特に好ましい。また、不飽和ポリエステル樹脂(2)のピーク分子量の下限値は特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、2,000以上が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)のピーク分子量の差は、特に限定されないが、2,000以上であることが好ましい。ピーク分子量の差が2,000以上である場合に、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好になる傾向にある。
さらに、不飽和ポリエステル樹脂(2)は不飽和二重結合の含有量が少なく、未反応のままTHF可溶分に残りやすい傾向にある。したがって、不飽和ポリエステル樹脂(2)のピーク分子量を不飽和ポリエステル樹脂(1)よりも小さく設定することで、未反応の不飽和ポリエステル樹脂(2)が低い温度でシャープに溶融し、トナーの低温定着性がさらに良好となる傾向にある。このピーク分子量の差の下限値は、3,000以上がより好ましく、4,000以上が特に好ましい。また、ピーク分子量の差の上限値は、特に制限されないが、20,000以下であることが好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(1)の質量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、15,000以上であることが望ましい。不飽和ポリエステル樹脂(1)のMwが15,000以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好となる傾向にある。不飽和ポリエステル樹脂(1)のMwの上限値は、特に制限されないが、トナーの低温定着性の観点から、1,000,000以下であることが好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、4,500以上であることが望ましい。不飽和ポリエステル樹脂(1)のMnが4,500以上の場合に、定着温度140℃以下でも十分な定着強度が得られる傾向にある。不飽和ポリエステル樹脂(1)のMnの上限値は、特に制限されないが、トナーの低温定着性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(2)のMwは、特に制限されないが、12,000以下であることが、トナーの低温定着性の観点から好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(2)のMwの上限値は、11,000以下が特に好ましい。また、不飽和ポリエステル樹脂(2)のMwの下限値は、特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、4,000以上が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(2)のMnは、特に制限されないが、3,500以下であることが、トナーの低温定着性の観点から好ましい。不飽和ポリエステル樹脂(2)のMnの上限値は、3,000以下が特に好ましい。不飽和ポリエステル樹脂(2)のMnの下限値は、特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、1,000以上が好ましい。
また、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)の配合比率は、1/99〜30/70(質量比)であることが好ましい。この配合比率が上記範囲内である場合に、不飽和二重結合の含有量が少ない(2)が架橋反応せずにTHF可溶分に残りやすいため、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。この配合比率は、1/99〜25/75であることがより好ましく、1/99〜20/80であることがさらに好ましく、1/99〜15/85であることが特に好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)の軟化温度の差は、特に制限されないが、20℃以上であることが好ましい。軟化温度の差が20℃以上である場合に、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好になる傾向にある。この軟化温度の差の下限値は、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、軟化温度の差の上限値は、特に制限されないが、150℃以下であることが好ましい。
次に、不飽和ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
不飽和ポリエステル樹脂(1)または不飽和ポリエステル樹脂(2)の製造方法については、特に制限されず、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物、不飽和二重結合を有さないカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さないアルコール化合物から導かれる成分を重合反応釜に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、不飽和ポリエステル樹脂を製造する。
不飽和ポリエステル樹脂の不飽和二重結合の含有量を好ましい範囲とするためには、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物の仕込み組成を、不飽和二重結合含有量の好ましい範囲となるよう設定すればよい。この不飽和二重結合の含有量は、クロロホルム−dに溶解させた樹脂サンプルをNMRに試供し、各モノマー成分に由来する1Hの積分比から求められる樹脂組成(mol%)により確認することができる。
樹脂組成のNMR測定の測定条件は以下のとおりである。
装置:日本電子(株)製、EXcalibur 270 超伝導FT−NMR
マグネット JNM−GSX270型 超伝導マグネット
スペクトロメーター JNM−EX270型
観測周波数 1H 270MHz
溶媒 クロロホルム−d
温度 35℃
ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃〜290℃の範囲が好ましい。また、不飽和ポリエステル樹脂(2)に関しては、触媒を使用しなくても合成可能である。
また、カルボン酸化合物及びアルコール化合物と、離型剤成分を一緒に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造すること、すなわち離型剤成分を内添することも可能である。
また、ポリエステル重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
次に、本発明の発明のトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を溶融混練して得られるトナーについて説明する。
トナー用ポリエステル樹脂の含有量については、特に制限されないが、磁性粉を含有する磁性トナーの場合にはトナー全量中40〜60質量%であることが好ましく、磁性粉を含まない非磁性トナーの場合にはトナー全量中80〜95質量%であることが好ましい。
本発明のトナーは、本発明のポリエステル樹脂以外にも、所望に応じて、環状オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂等の樹脂を結着樹脂として含有してもよい。
離型剤としては、特に制限されないが、例えば、融点が60〜130℃の範囲の離型剤が好ましい。離型剤の融点が60℃以上の場合に、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、130℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。離型剤の融点の下限値は、65℃以上がより好ましくは、また上限値は、110℃以下がより好ましく、90℃以下が特に好ましい。
離型剤の種類としては、特に制限されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック化合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、および脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類の一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;また、植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
離型剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.1〜10質量%が好ましい。離型剤の含有量が0.1質量%以上の場合に、特に定着オイルの塗布量を減らした場合もしくは全く使用しない場合でも離型効果が十分発現する傾向にあり、10質量%以下の場合に、トナーの透明性が良好となり、彩度や、現像時の耐久性が良好となる傾向にある。
着色剤としては、特に制限されず、公知の顔料、染料等を用いることができる。例えば、モノクロトナーの場合は、カーボンブラック、ニグロシン、スーダンブラックSM、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げられる。カラートナーの場合には、例えば、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド128、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド13、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド48・2、C.I.ディスパースレッド11、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー94、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15・3等が挙げられる。着色剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、帯電安定性、熱特性の点から、トナー全量中0.1〜15質量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量の下限値は1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。
本発明のトナーは、前述のポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を含有するものであるが、必要に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の各種添加剤を含有してもよい。
荷電制御剤としては、特に制限されないが、例えば、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性または電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性または電子求引性の有機物質等が挙げられる。またサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、カリックスアレーン化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スルホン酸基を有するビニル系重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.25〜5質量%であることが好ましい。この含有量が0.25質量%以上の場合に、トナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下の場合に、荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
流動改質剤としては、特に制限されないが、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられる。
流動性改質剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.05〜10質量%であることが好ましい。この含有量が0.05質量%以上の場合に、トナーの流動性改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%以下の場合に、トナーの耐久性が良好となる傾向にある。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等の、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
これらの磁性体の含有量は、特に制限されないが、磁性トナーの場合には、トナー全量中40〜60質量%であることが好ましい。磁性体の含有量が40質量%以上の場合に、トナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、60質量%以下の場合に、トナーの定着性が良好となる傾向にある。
また、2成分現像剤として用いる場合には、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを利用することができる。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは、上述のトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤、並びに所望に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の添加剤を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて流動改質剤の外添処理等を行って製造することができる。
特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル樹脂の軟化温度よりも高くなるような温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
なお、本発明において、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)とを含有するトナー用ポリエステル樹脂の架橋反応を、トナーの溶融混練工程において行ってもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。また、本実施例で示される樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
(1)樹脂評価方法
1)軟化温度
フローテスターCFT−500(島津製作所(株)製)を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、予熱時間5分、昇温速度3℃/分で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を軟化温度とした。
2)酸価
試料約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した。(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=f)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)={(B−C)×0.02×56.11×f}/A
3)ガラス転移温度
示差走差熱量計(DSC測定装置)、DSC−60(島津製作所(株)製)を用い、測定試料10mgを精秤してこれをアルミパンに入れ、リファレンスとしてアルミナを入れたアルミパンを用い、昇温速度5℃/分で測定した時、チャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
4)ピーク分子量(Mp)、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、得られた溶出曲線のピーク値に相当する保持時間から、ピーク分子量(Mp)を標準ポリスチレン換算により求めた。なお、溶出曲線のピーク値とは、溶出曲線が極大を示す点であり、極大値が2点以上ある場合は、溶出曲線が最大値を与える点のことである。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、HLC8020
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:THF
試料濃度:4mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
検量線作成用標準ポリスチレン試料:東洋ソーダ工業(株)製TSK standard、A−500(分子量5.0×102)、A−2500(分子量2.74×103)、F−2(分子量1.96×104)、F−20(分子量1.9×105)、F−40(分子量3.55×105)、F−80(分子量7.06×105)、F−128(分子量1.09×106)、F−288(分子量2.89×106)、F−700(分子量6.77×106)、F−2000(分子量2.0×107)。
5)テトラヒドロフラン(THF)不溶分
内径3.5cmの円筒状のガラスろ過器1GP100(柴田化学社製)に、セライト545(キシダ化学社製)を約2g入れ、セライト545の層の高さが変化しなくなるまで、ガラスろ過器をコルク台に軽くたたきつけた。この操作を4回繰り返して、セライト545の層の高さがフィルター面から2cmとなるように、ガラスろ過器へセライト545を充填した。このセライト545が充填されたガラスろ過器を105℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量した(Yg)。次いで、サンプル約0.5gを三角フラスコ内に入れて精秤し(Xg)、次いでTHF50mlを加え、70℃のウォーターバスにて3時間加熱して、THF還流下でサンプルを溶解させた。
この溶液を上記セライト545が充填されたガラスろ過器へ投入し、吸引ろ過した。THF不溶分を捕捉したガラスろ過器を80℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量し(Zg)、以下の式に従って、THF不溶分を算出した。
THF不溶分=(Z−Y)/X ×100 (質量%)
(2)トナー評価方法
1)定着特性:耐高温オフセット性
複写機「PAGEPREST N4−612 II」(カシオ電子工業社製)を改造した装置を用い、未定着画像を画出し、定着温度領域のテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速30mm/分に設定したものである。熱ローラー設定温度を5℃ずつ上昇させ、A4普通紙(大昭和製紙製:BM64T)の上部に印刷した1%の印字比率のベタ画像がローラーに付着し、紙の下余白部分を汚すかどうかを目視にて確認し、汚れの生じない最高の設定温度を最高定着温度とし、以下の基準で判定した。
◎+(極めて良好):最高定着温度が200℃以上
◎(非常に良好) :最高定着温度が190℃以上200℃未満
○+(良好) :最高定着温度が180℃以上190℃未満
○(使用可能) :最高定着温度が170℃以上180℃未満
×(劣る) :最高定着温度が170℃未満
2)定着特性:最低定着温度
上記の測定に準じて、複写・定着処理を前記熱ローラーの設定温度を5℃ずつ低下させながら100℃まで繰り返し、この定着画像について擦り試験を行い、定着率が90%を超える温度を最低定着温度とした。
定着率は、上記定着温度幅評価に使用した印刷用紙を用い、印刷部分を折り曲げて加重5kg/cm2をかけた後、セロハンテープ(日東電工包装システム社製、品番:N.29)を貼って剥がし、この操作の前後における印刷部分の光量をマクベス光量計にて測定し、その測定値から定着率を算出した。
定着率(%)=(セロハンテープ剥離試験後の光量)/(試験前の光量)×100(%)
◎+(極めて良好):最低定着温度が120℃以下
◎(非常に良好):最低定着温度が120℃を超えて以上130℃以下
○+(良好) :最低定着温度が130℃を超えて140℃以下
○(使用可能) :最低定着温度が140℃を超えて150℃以下
×(劣る) :最低定着温度が150℃を超える
3)定着特性:定着温度幅
最高定着温度と最低定着温度の差を定着温度幅とし、以下の基準で判定した。
◎(非常に良好):定着温度幅が70℃以上
○+(良好) :定着温度幅が60℃以上70℃未満
○(使用可能) :定着温度幅が50℃以上60℃未満
×(劣る) :定着温度幅が50℃未満
4)トナー保存性
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを45℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
○(使用可能):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
×(劣る) :サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩くと分散する
5)耐久性
評価機として、SPEEDIA N5300(カシオ電子工業社製)を使用し、2%の印字比率の未定着画像を画出した以外は定着特性の評価方法と同じ条件で印刷を5,000枚行った後、帯電部材の汚染の有無および定着画像の欠損の有無について観察を行った。
◎(非常に良好):部材の汚染は全くなく、画像欠損は全く発生していない
○+(良好) :わずかに部材の汚染はあるが、画像欠損は全く発生していない
○(使用可能):部材汚染があり、画像欠損もわずかに発生しているが、問題ないレベル
×(劣る) :部材汚染がひどく、画像欠損も目立つレベル
6)材料分散性
トナー溶融混練物をミクロトーム(ミクローム社製HM 330)を用いて切断し、1〜3μm程度の観察用薄片を作製した。この観察用薄片を、金属顕微鏡((株)ニコン製エクリプスME600L)を用いて観察した。観察視野(500μm×500μm)中の着色されていない部分の大きさを材料分散性の判定基準とした。この着色されていない部分は、バインダー樹脂由来の過度に高密度化されたTHF不溶分である。このような未着色部分には着色剤が存在しておらず、未着色部分が多い、またはその部分のサイズが大きいということは材料分散性が悪いということを示す。
◎(非常に良好) :観察視野中に未着色部分が全く存在しない
○+(良好) :観察視野中に5〜10μm以下の大きさの未着色部分が存在する
○(使用可能) :観察視野中に10〜20μmの大きさの未着色部分が1〜2個存在する
×(劣る) :観察視野中に10〜20μmの大きさの未着色部分が3個以上存在する。または20μmの大きさの未着色部分が1個存以上存在する
合成例1
表1に示される仕込み組成のモノマー成分と、全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンと、全酸成分に対して2000ppmのヒンダードフェノール化合物(旭電化工業(株)製AO−60)とを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を継続した。次いで、反応系内の温度を225℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで反応を行った。そして、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し冷却して、ポリエステル樹脂(1a)を得た。ポリエステル樹脂(1a)の特性値を表1に示す。
合成例2
表1に示される仕込み組成のモノマー成分と、全酸成分に対して1000ppmのジブチル錫オキサイドとを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。次いで、反応系内の温度を220℃に保ち、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら反応を継続した。反応の進行とともに、サンプリングして軟化温度を測定するという作業を繰り返しながら、所望の軟化温度を示すまで反応を行った。所定の軟化温度を示した時点で反応物を取り出し、冷却してポリエステル樹脂(2a)を得た。ポリエステル樹脂(2a)の特性値を表1に示す。
実施例1
パラフィンワックス(商品名SP−160:日本精鑞社製):0.9質量部を70℃に加熱して溶融させ、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン0.1質量部を添加し、得られた混合物(パラフィンワックス/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン=90/10)を冷却、粉砕して、架橋反応開始剤Iを調整した。
ポリエステル樹脂(1a)15質量部、ポリエステル樹脂(2a)85質量部、および架橋反応開始剤Iを1質量部混合した後、2軸押出機PCM−30(池貝工業(株)社製)に供給して架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−1)を得た。架橋反応は、外温設定180℃、約3分の平均滞留時間の条件を用いて、2軸押出機中で行った。ポリエステル樹脂(3a−1)の物性を表3に示す。
THF可溶分のNMR組成分析において、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)の共通構成成分であるエチレングリコールの比率から、ポリエステル樹脂(3a−1)のTHF可溶分に残ったポリエステル樹脂(1a)は2.4質量%、THF可溶分に残ったポリエステル樹脂(2a)は76.3質量%であった。この数値と各ポリエステル樹脂の配合量から、ポリエステル樹脂(3a−1)において、THF不溶分に取り込まれたポリエステル樹脂(1a)は12.6質量%、THF不溶分に取り込まれたポリエステル樹脂(2a)は8.7質量%と算出された。その結果、THF不溶分中のポリエステル樹脂(1a)の比率は59.2%であった。
また、架橋反応前のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)の混合物)の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は4.4であり、架橋反応後のポリエステル樹脂(3a−1)のTHF可溶分の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は46であった。架橋反応の前後でMw/Mnが4.4から46へ変化していることから、架橋反応によってTHFに可溶な架橋成分が生成していることが確認された。
また、架橋反応前のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)の混合物)のピーク分子量は5,970であり、架橋反応後のポリエステル樹脂(3a−1)のTHF可溶分のピーク分子量は5,770であった。架橋反応の前後でピーク分子量が変化しないことから、THF可溶分はほぼ未反応の不飽和ポリエステル樹脂であることが確認された。
得られたポリエステル樹脂(3a−1)93質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)3質量部、および負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を予備混合し、2軸押出機を用いて160℃で溶融混練し、粗粉砕後、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、平均粒径を5μmの微粉末を得た。得られた微粉末に対して、0.2質量%となるようにシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合し付着させ、トナー1を得た。このトナーを非磁性1成分乾式複写機に実装し、その性能を評価した。トナー1の評価結果を表5に示す。
実施例2
仕込みモノマー組成を表1のように変更すること以外は、合成例2と同様の方法でポリエステル樹脂(2b)を得た。ポリエステル樹脂(2b)の特性値を表1に示す。
表2に示す配合とすること以外は、実施例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−2)を得た。ポリエステル樹脂(3a−2)の特性値を表3に示す。
THF可溶分のNMR組成分析において、不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和ポリエステル樹脂(2)の共通構成成分であるエチレングリコールの比率から、ポリエステル樹脂(3a−2)において、THF可溶分に残ったポリエステル樹脂(1a)は2.6質量%、THF可溶分に残ったポリエステル樹脂(2b)は82.4質量%であった。この数値と各ポリエステル樹脂の配合量から、ポリエステル樹脂(3a−2)において、THF不溶分に取り込まれたポリエステル樹脂(1a)は12.4質量%、THF不溶分に取り込まれたポリエステル樹脂(2b)は2.6質量%と算出された。その結果、THF不溶分中のポリエステル樹脂(1a)の比率は84.1%であった。
また、架橋反応前のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2b)の混合物)の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は4.3であり、架橋反応後のポリエステル樹脂(3a−2)のTHF可溶分の質量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は165.9であった。架橋反応の前後でMw/Mnが4.3から165.9へ変化していることから、架橋反応によってTHFに可溶な架橋成分が生成していることが確認された。
また、架橋反応前のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2b)の混合物)のピーク分子量は5,690であり、架橋反応後のポリエステル樹脂(3a−2)のTHF可溶分のピーク分子量は5,570であった。架橋反応の前後でピーク分子量が変化しないことから、THF可溶分はほぼ未反応の不飽和ポリエステル樹脂であることが確認された。
ポリエステル樹脂(3a−1)の代わりに、ポリエステル樹脂(3a−2)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナー2を得た。トナー2の評価結果を表5に示す。
比較例1
仕込みモノマー組成を表1のように変更すること以外は、合成例2と同様の方法でポリエステル樹脂(2c)を得た。ポリエステル樹脂(2c)の特性値を表1に示す。
表2に示す配合とすること以外は、実施例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−3)を得た。ポリエステル樹脂(3a−3)の特性値を表3に示す。
また、表4にポリエステル樹脂(3a−3)のTHF不溶分の分析結果を示す。
ポリエステル樹脂(3a−1)の代わりに、ポリエステル樹脂(3a−3)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナー3を得た。トナー3の評価結果を表5に示す。
比較例2
仕込みモノマー組成を表1のように変更すること以外は、合成例2と同様の方法でポリエステル樹脂(2d)を得た。ポリエステル樹脂(2d)の特性値を表1に示す。
表2に示す配合とすること以外は、実施例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−4)を得た。ポリエステル樹脂(3a−4)の特性値を表3に示す。
また、表4にポリエステル樹脂(3a−4)のTHF不溶分の分析結果を示す。
ポリエステル樹脂(3a−1)の代わりに、ポリエステル樹脂(3a−4)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナー4を得た。トナー4の評価結果を表5に示す。
比較例3
表2に示す配合とすること以外は、実施例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−5)を得た。ポリエステル樹脂(3a−5)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−1)の代わりに、ポリエステル樹脂(3a−5)を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナー5を得た。トナー5の評価結果を表5に示す。
Figure 0004993477
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実施例1〜2の結果から理解されるように、不飽和二重結合の含有量が12モル%以上100モル%以下である不飽和ポリエステル樹脂(1)と不飽和二重結合の含有量が0.5モル%以上12モル%未満である不飽和ポリエステル樹脂(2)を架橋反応させて得られたポリエステル樹脂を含むトナーは、低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好であり、その結果広い定着温度幅を示し、材料分散性、耐久性、保存性に優れていた。
トナー3(比較例1)は、不飽和二重結合の含有量が17.2モルの不飽和ポリエステル樹脂(2c)を用いているため、架橋反応後のTHF可溶分は49.5質量%であり、未反応のポリエステル樹脂の量が減少していた。その結果最低定着温度が155℃と劣っていた。また、最高定着温度が200℃であったが、定着幅は45℃と劣っていた。
トナー4(比較例2)は、不飽和二重結合を含有しないポリエステル樹脂(2d)を用いているため、THF不溶分中の不飽和ポリエステル樹脂(1)の比率が100%であり、材料分散性が大きく劣っていた。
トナー5(比較例3)は、不飽和ポリエステル樹脂(1)を使用しなかったため、架橋反応が非効率なためTHF不溶分が得られず、その結果、耐高温オフセット性が大きく劣っていた。

Claims (2)

  1. 不飽和二重結合の含有量が12モル%以上100モル%以下である不飽和ポリエステル樹脂(1)と、不飽和二重結合の含有量が0.5モル%以上12モル%未満である不飽和ポリエステル樹脂(2)とを含有する不飽和ポリエステル樹脂を架橋反応させて得られるトナー用ポリエステル樹脂の製造方法であって、前記不飽和ポリエステル樹脂(1)と前記不飽和ポリエステル樹脂(2)の軟化温度の差が20℃以上である、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られたトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を溶融混練して得られるトナー
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