JP5001691B2 - トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナー Download PDF

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Description

本発明は、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法およびトナーに関する。
電子写真印刷法もしくは静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着を行う。定着の方式については、現像によって得られたトナー像を加圧お呼び加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブンあるいはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
最近では、省エネ化が特に要求されるようになってきており、その結果、ヒートローラー方式において、定着部の低温化が進んできた。そのため、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきている。また、ヒートローラー方式においては、いわゆるオフセット現象が発生するため、耐高温オフセット性が要求されるのが前提である。従って、耐高温オフセット性を維持しつつ、例えば、定着温度140℃以下の条件でも紙への定着を示すといった低温定着性を発現させる必要があり、より広いワーキングレンジ、例えば、50℃以上の定着温度幅を有するトナーが要求されるようになってきている。
トナー用結着樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、透明性と定着性のバランスを取りやすいことから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
従来、ポリエステル樹脂の定着温度幅を拡大させる方法として、3官能以上のモノマーを使用した三次元架橋構造を有する非線状ポリエステル樹脂を用いる方法が検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された非線状ポリエステル樹脂は、耐高温オフセット性に優れ、高い最高定着温度を発現することができるものの、低温定着性のレベルがまだ十分ではなかった。
そこで、低温定着性を改良する手段として、2価のカルボン酸化合物と、2価のアルコール化合物からなる線状ポリエステル樹脂を使用することが検討されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、三次元構造を有しない線状ポリエステル樹脂は、低温定着性に優れるという反面、耐高温オフセット性に劣るため広い定着温度幅が得られないという問題があった。
そこで、線状ポリエステル樹脂に不飽和基を導入し、重合開始剤などにより反応させ、架橋させることの検討が行われている(例えば、特許文献3〜6参照)。
特許文献3では、イソフタル酸と無水マレイン酸等の2価のカルボン酸およびビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等の2価のアルコールからなる不飽和ポリエステル樹脂を、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを用いることで架橋反応させる技術が記載されている。これにより得られる架橋ポリエステル樹脂を用いたトナーは、良好な定着性と裏汚れ現象が発生しないという特徴を有するが、有機過酸化物をポリエステル樹脂に対して0.5〜20質量部と多量に使用するため、多量の分解物がポリエステル樹脂中に残り、保存性が悪いという問題があった。
また、特許文献4では、フマル酸とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等からなる不飽和ポリエステル樹脂を架橋反応させることによって、架橋された部分と架橋されていない部分を含むトナー用ポリエステル樹脂を得ることが記載されている。しかしながら、特許文献4に記載されているトナーは、耐久性が悪いという問題がある。
特許文献5には、数平均分子量が1,000〜4,000であって不飽和二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂を加熱または重合開始剤の存在下においてさらに硬化させてなるトナー用ポリエステル樹脂が記載されている。しかし、特許文献5に記載されているトナーは、定着温度幅が十分でなかった。
また、特許文献6には、溶融開始温度が50℃以上100℃未満の飽和ポリエステル樹脂と、不飽和ポリエステル樹脂の架橋体とからなるトナーが記載されている。ここに記載されているトナーは、広い非オフセット温度幅を与えるものであるが、140℃以下の低温領域での画像定着強度は十分なものではなかった。また、材料分散性が悪いという問題もあった。
以上に述べたように、耐高温オフセット性に優れ、50℃以上の広い定着温度幅を有し、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を発現し、保存性、耐久性、材料分散性を有するトナーを与えるトナー用ポリエステル樹脂は、これまでなかった。
特開昭57−109825号公報 特開平4−12367号公報 特開平3−135578号公報 特開平5−249739号公報 特開昭59−49551号公報 特開平8−152743号広報
本発明の目的は、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を与える低温定着性を有し、耐高温オフセット性に優れ、50℃以上の広い定着温度幅を有し、保存性、耐久性、材料分散性に優れたトナーおよびこれに用いられるポリエステル樹脂を製造する方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するものであって、下記1〜6からなる。
1.不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を、架橋反応開始剤を用いて架橋反応させることによりトナー用ポリエステル樹脂を製造する方法において、離型剤に溶解または分散させた架橋反応開始剤を用いて架橋反応を行うことを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
2.不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量が15,000未満であるポリエステル樹脂(1)を少なくとも1種含む、上記1に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
3.不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が、2種以上のポリエステル樹脂を含む、上記1または2に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
4.2種以上のポリエステル樹脂が、架橋反応の前に溶融混合装置により溶融混合される、上記3に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
5.離型剤に溶解または分散させた架橋反応開始剤の、架橋反応開始剤と離型剤との質量比率が0.1/99.9〜50/50である、上記1〜4のいずれかに記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
6.上記1〜5のいずれかに記載した製造方法によって得られたトナー用ポリエステル樹脂を用いたトナー。
本発明によれば、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を与える低温定着性を有し、耐高温オフセット性に優れ、70℃以上の広い定着温度幅を有し、保存性、耐久性、材料分散性に優れたトナーを得ることができる。
以下、本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、本発明の精神とその実施の範囲内において様々な変形が可能であることを理解されたい。
まず、本発明に有用な不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂(以下においては、不飽和ポリエステル樹脂ということもある)について説明する。
ここで、不飽和二重結合とは炭素間二重結合であり、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂はこれをポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するものである。不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するためには、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物を用いて重縮合反応をさせ、それらの化合物をポリエステル樹脂の構成成分として取り込めばよい。
不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物の例としては、特に制限されないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびそれらのエステル誘導体、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸およびそれらのエステル誘導体等が挙げられる。また、不飽和二重結合を有するアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種を用いるのが特に好ましい。
ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、特に制限されないが、不飽和二重結合を有する構成成分がカルボン酸化合物である場合には、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部中1〜50モル部であることが好ましく、不飽和二重結合を有する構成成分がアルコール化合物である場合には、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部に対して1〜50モル部であることが好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が1〜50モル部であることが好ましい。不飽和二重結合の含有量が1モル部以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にあり、また後述する架橋反応が有効に起こる傾向にある。不飽和二重結合の含有量が50モル部以下の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にあり、また後述する架橋反応においてテトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)に可溶な架橋成分を生成する傾向にある。この含有量の下限値は3モル部以上がより好ましく、5モル部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は45モル部以下がより好ましく、40モル部以下がさらに好ましく、35モル部以下が特に好ましく、30モル部以下が最も好ましい。
ポリエステル樹脂は、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物以外にも、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる成分を構成成分として含有していてもよい。
不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、メタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、マロン酸、リノレイン酸等のジカルボン酸;これらのジカルボン酸のアルキルエステル(モノメチルエステル、ジメチルエステル、モノエチルエステル、ジエチルエステル、モノブチルエステル、ジブチルエステル等);これらのジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの2価カルボン酸化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、ハンドリング性およびコストの点でテレフタル酸、イソフタル酸、またはそれらのアルキルエステルが好ましい。特に、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物との反応性が高く、トナーの耐久性が良好となる傾向にあることから、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部中50モル部以上であることが好ましい。この含有量が50モル部以上の場合に、ポリエステル樹脂の製造安定性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は、55モル部以上がより好ましく、60モル部以上がさらに好ましく、65モル部以上が特に好ましく、70モル部以上が最も好ましい。また、上限値は、特に制限されないが、99モル部以下が好ましく、97モル部以下がより好ましく、95モル部以下が特に好ましい。
また、不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の2価の芳香族アルコール;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどの2価の脂肪族アルコール;1,2‐シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、スピログリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの2価の脂環式アルコール等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中では、2価の脂肪族アルコール化合物および/または2価の脂環式アルコール化合物が好ましい。ポリエステル樹脂が2価の脂肪族アルコール化合物および/または2価の脂環式アルコール化合物を構成成分として含有する場合に、トナーの低温定着性が特に良好となる傾向にある。2価の脂肪族アルコール化合物の中では、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。また、2価の脂環式アルコール化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部に対して80モル部以上が好ましい。この含有量が80モル部以上の場合に、ポリエステル樹脂の製造安定性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は90モル部以上がより好ましく、95モル部以上が特に好ましい。また、上限値は、特に制限されないが、150モル部以下が好ましく、140モル部以下がより好ましく、130モル部以下がさらに好ましく、120モル部以下が特に好ましい。
また、2価の脂肪族アルコール化合物および/または2価の脂環式アルコール化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部に対して50モル部以上が好ましい。この含有量が50モル部以上の場合に、トナーの低温定着性が良好になる傾向にある。この含有量の下限値は、60モル部以上がより好ましく、70モル部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、特に制限されないが、150モル部以下が好ましい。
ポリエステル樹脂は、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物から導かれる構成成分、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる構成成分以外に、1価のカルボン酸化合物および/または1価のアルコール化合物から導かれる構成成分、3価以上のカルボン酸化合物および/または3価以上のアルコール化合物から導かれる構成成分を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
1価のカルボン酸化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部中0.1〜10モル部であることが好ましい。また、1価のアルコール化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部に対して0.1〜10モル部であることが好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が0.1〜10モル部であることが好ましい。1価のカルボン酸化合物および/または1価のアルコール化合物から導かれる構成成分の含有量が、0.1モル部以上の場合に、ポリエステル樹脂の分子量を制御できる傾向にあり、また10モル部以下の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は、0.2モル部以上がより好ましく、0.5モル部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、9モル部以下がより好ましく、8モル部以下が特に好ましい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部中0.1〜30モル部であることが好ましい。また、3価以上のアルコール化合物から導かれる構成成分の含有量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル部に対して0.1〜30モル部であることが好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が0.1〜30モル部であることが好ましい。3価以上のカルボン酸化合物および/または3価以上のアルコール化合物から導かれる構成成分の含有量が0.1モル部以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好となる傾向にあり、また30モル部以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。この含有量の下限値は、0.5モル部以上がより好ましく、1モル部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、25モル部以下がより好ましく、10モル部以下が特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるもではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のカルボン酸化合物およびアルコール化合物を一緒に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180〜290℃の範囲が好ましい。
また、カルボン酸化合物およびアルコール化合物と、離型剤成分を一緒に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造すること、すなわち離型剤成分を内添することも可能である。
また、ポリエステル樹脂の重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
本発明においては、不飽和ポリエステル樹脂は、単独で用いてもよいし、二重結合含有量の異なるポリエステル樹脂や飽和ポリエステル樹脂を含有していてもよい。
次に、不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応について説明する。
不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応は、ポリエステル樹脂の分子間に化学結合を形成させる反応である。
不飽和ポリエステル樹脂を架橋反応させると、その一部は、THFに溶解しない架橋密度の高い架橋成分(THF不溶分)に変化し、またその一部は、THFに溶解する架橋密度の低い架橋成分に変化し、残りは未反応のまま残存する。その結果、架橋反応させて得られた樹脂は、THF不溶分(THFに溶解しない架橋成分)とTHF可溶分(THFに溶解する架橋成分および未反応のポリエステル樹脂)を含有することとなる。そして、THF不溶分は、高密度に架橋しているため、トナーにさらに高い弾性を付与する作用を奏し、トナーの耐高温オフセット性が更に良好になる傾向にある。ただし、THF不溶分は、高密度に架橋しているためトナー材料を分散させるのが難しく、材料分散性が良好になるように架橋反応が過度に進みすぎないよう制御することが必要である。
なお、THFに溶解する架橋成分が生成していることは、架橋反応前のポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記する)分布曲線と架橋反応後のポリエステル樹脂のTHF可溶分のGPC分布曲線を比較することにより確認することができる。すなわち、架橋反応によってTHFに溶解する架橋成分が生成するため、架橋反応後のGPC分布曲線は、架橋反応前のGPC分布曲線よりも高分子量側に裾をひき、架橋反応後の分子量分布(Mw/Mn)は、架橋反応前の分子量分布(Mw/Mn)よりも大きくなる。ポリエステル樹脂を有効に架橋反応させるためには、ポリエステル樹脂の構成成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を含有することが好ましい。
THF可溶分の含有量は、特に制限されないが、トナーの結着樹脂中95質量%以下であることが好ましい。THF可溶分が95質量%以下の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にある。THF可溶分の含有量の上限値は、93質量%以下が特に好ましい。また、このTHF可溶分の含有量の下限値は、特に制限されないが、60質量%以上であることが好ましい。THF可溶分が60質量%以上の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。THF可溶分の含有量の下限値は、65質量%以上が特に好ましい。
THF不溶分の含有量は、特に制限されないが、トナーの結着樹脂中5質量%以上であることが好ましい。THF不溶分が5質量%以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好になる傾向にある。THF不溶分の含有量の下限値は、7質量%以上が特に好ましい。また、このTHF不溶分の含有量の上限値は、特に制限されないが、40質量%以下であることが好ましい。THF不溶分が40質量%以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。THF不溶分の含有量の上限値は、35質量%以下が特に好ましい。
架橋反応の形態は、特に制限されないが、例えば、ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応や、ポリエステル樹脂中の多価カルボン酸基、多価アルコール基、多価エポキシ基、または多価イソシアネート基の縮合反応、重付加反応、またはエステル交換反応等による分子間結合の形成等が挙げられる。
中でも、ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応が好ましい。
次に、架橋反応開始剤について説明する。
ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応は、熱反応、光反応、酸化還元反応等により発生する活性種により進行させることができる。なかでも、熱反応が好ましく、特にラジカル反応が好ましい。ラジカル反応としては、特に制限されず、ラジカル反応開始剤を用いてもよいし、ラジカル反応開始剤を用いなくてもよい。特に、架橋反応を有効に起こさせるという点からは、ラジカル反応開始剤を使用する方法が好ましい。
ラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、アゾ化合物や有機過酸化物が用いられる。中でも、開始剤効率が高く、シアン化合物副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
これらの中でも、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤が特に好ましい。水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤の好ましい例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド等が挙げられる。
ラジカル反応開始剤の使用量は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。ラジカル反応開始剤の使用量が0.01質量部以上の場合に、架橋反応が進行し易くなる傾向にあり、10質量部以下の場合に、臭気が良好となる傾向にある。この使用量は、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましい。
次に、架橋反応開始剤の溶解または分散について説明する。
本発明においては、架橋反応開始剤を高濃度で使用しないよう、架橋反応開始剤を希釈剤に溶解または分散させて希釈する。
希釈剤中の架橋反応開始剤の分散状態については、特に制限されないが、希釈剤中に架橋反応開始剤がエマルションのように微分散していてもよく、分子レベルで均一に分散していてもよい。
架橋反応開始剤としてラジカル反応開始剤を使用する場合、ラジカル反応開始剤を希釈剤で希釈して添加することによって、ラジカル反応開始剤の自己誘発分解を抑制できる傾向にあり、ポリエステル樹脂製造時に高い安全性が確保できることと、自己誘発分解によるラジカル反応開始剤の無駄な消費が抑えられ、ラジカル反応開始剤の使用量を低減させることが可能となる傾向にある。
不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応において、架橋反応開始剤として高濃度のラジカル反応開始剤を架橋反応に用いると、過度に高密度に架橋されたTHF不溶分が生成しやすい傾向にある。過度に高密度に架橋されたTHF不溶分は、トナー製造時に着色剤などの材料分散性不良を引き起こし、トナーの耐高温オフセット性、現像性を悪化させる。
希釈された架橋反応開始剤を用いることにより、THF不溶分の過度な高密度化を抑制することでTHF不溶分のサイズを小さくでき、トナーの材料分散性が良好になる傾向にある。
架橋反応開始剤の希釈剤としては、離型剤が特に好ましい。希釈剤は、トナー用ポリエステル樹脂中に残存することになるが、離型剤はトナーの添加剤として使用されものであるため、トナー用ポリエステル樹脂中に残存してもトナー性能に悪影響を及ぼさないからである。さらに、予めトナー用ポリエステル樹脂に離型剤が含有されることによって、トナー化時に添加される場合よりも、離型剤の分散性が良好となる傾向にあるからである。
架橋反応開始剤の希釈剤として離型剤を用いる場合には、不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものを用いることが好ましい。不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものとしては、炭化水素系の離型剤が好ましく、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;またはそれらのブロック化合物などが挙げられる。
これらの中では、架橋反応開始剤との混合が容易であり、トナーの低温定着性をさらに高めることができる傾向にあることから、離型剤の融点が120℃以下であるものが好ましい。融点が120℃以下の離型剤としては、パラフィンワックスが最も好ましく、日本精鑞社製HNPシリーズ:例えば、HNP−3(融点64℃)、HNP−5(融点62℃)、HNP−9、10(融点75℃)、HNP−11(融点68℃)、HNP−12(融点67℃)、HNP−51(融点77℃)、SPシリーズ:例えば、SP−0165(融点74℃)、SP−0160(融点71℃)、SP−0145(融点62℃)、HNP−3(融点64℃)、FTシリーズ:FT−0070(融点72℃)、FT−0165(融点73℃)等が挙げられる。
離型剤で希釈された架橋反応開始剤の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱により液化した離型剤に液体の架橋反応開始剤を混合する方法、液体の離型剤に固体の架橋反応開始剤を溶解させ混合する方法、固体の離型剤に液体の架橋反応開始剤を染み込ませる方法などが挙げられる。それらの中でも、架橋反応開始剤の均一性、分散性の観点から、液化した離型剤に液体である架橋反応開始剤を混合する方法や、液化した離型剤に固体である架橋反応開始剤を溶解させる方法などが好ましい。
架橋反応の方法としては、特に制限されないが、例えば、以下の(i)または(ii)の方法が挙げられ、任意に選ぶことができる。
(i)ポリエステル樹脂の重合と同時に架橋反応を行う方法
(ii)一旦ポリエステル樹脂を重合した後に、架橋反応を行う方法
中でも、一旦ポリエステル樹脂を重合した後に、架橋反応を行う方法(ii)が好ましい。
ポリエステル樹脂を重合した後に架橋反応を行う場合、重合直後の溶融状態にあるポリエステル樹脂を架橋反応させてもよいし、重合後、冷却して固体状のポリエステル樹脂を得た後に、再度溶融させて、架橋反応を行ってもよい。
架橋反応を行う装置としては、ポリエステル樹脂の重縮合工程と同様の装置を用いてもよいが、ポリエステル樹脂と架橋反応開始剤を短時間で均一に混合するという観点から、溶融混合装置が好ましい。
溶融混合装置としては、特に制限されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、連続密閉式混合機、ギア押出機、ディスク押出機およびロールミル押出機、スタティックミキサー等の連続溶融混合装置;バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサーおよびハーケミキサー等のバッチ密閉式溶融混合装置が挙げられる。
これらの中でも、短時間で効率よくポリエステル樹脂中に架橋反応開始剤を分散させることが可能なことから、連続溶融混合装置が好ましい。
また、重合直後の溶融状態にあるポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を添加して架橋反応を行う場合には、溶融混合装置は重縮合反応釜に連結されていることが好ましい。
連続溶融混合装置としては、公知のものを使用することができ、例えば、以下のものを工業的に入手することができる。
(1)緑機械工業(株)製 スルザーミキサーSMX型(SMX−15A:6エレメント、12エレメント) 配管25A (内径:27.2mm)のもの。
(2)東京日進ジャバラ(株)製 NSミキサー(WB−15A:24エレメント) 配管 15A(内径16.1mm)のもの。
(3)ノリタケカンパニー(株)製スタティックミキサー(15A:24エレメント)内径5mmのもの。
(4)(株)池貝製二軸押出機(PCM−29:L/D=30)
(5)(株)池貝製二軸押出機(PCM−30:L/D=40)
(6)東芝機械(株)製二軸押出機(TEM−37−SS−16/7V:L/D=64)
(7)(株)日本製鋼所製二軸押出機(TEX30α−63BV−14V:L/D=64)
(8)(株)プラスチック工学研究所製二軸押出機(BTN−32:L/D=64)
次に、前記2の製造方法の発明について説明する。
この方法では、GPCにおけるピーク分子量が15,000未満であるポリエステル樹脂(1)の少なくとも1種を含む、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が用いられる。
トナー用結着樹脂としてピーク分子量が15,000未満であるポリエステル樹脂(1)を用いることにより、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。これは、ポリエステル樹脂(1)が低い温度でシャープに溶融するためと考えられる。
本発明において、GPCにおけるピーク分子量(Mp)とは、GPC測定にて得られた溶出曲線のピーク値から求めた分子量である。GPC測定の条件は、以下の通りである。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、HLC8020
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結したもの
オーブン温度:40℃
溶離液:THF
得られた溶出曲線のピーク値に相当する保持時間から、標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、ピーク分子量(Mp)を求めた。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、東洋ソーダ工業(株)製TSKstandard、A−500(分子量5.0×102)、A−2500(分子量2.74×103)、F−2(分子量1.96×104)、F−20(分子量1.9×105)、F−40(分子量3.55×105)、F−80(分子量7.06×105)、F−128(分子量1.09×106)、F−288(分子量2.89×106)、F−700(分子量6.77×106)、F−2000(分子量2.0×107)を用いた。
なお、溶出曲線のピーク値とは、溶出曲線が極大を示す点であり、極大値が2点以上ある場合は、溶出曲線が最大値を与える点のことである。溶離液については、特に制限されず、THF以外にもポリエステル樹脂を溶解せしめる溶媒、例えば、クロロホルム等を使用することも可能である。
次に、ポリエステル樹脂(1)について説明する。
ポリエステル樹脂(1)のピーク分子量は、低温定着性が得られる傾向にあることから、15,000未満であることが好ましい。このポリエステル樹脂(1)のピーク分子量の上限値は、14,000以下が好ましく、13,000以下が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂(1)のピーク分子量の下限値は、特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、2,000以上が好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)のMwは、特に制限されないが、15,000以下であることが、トナーの低温定着性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂(1)のMwの上限値は、14,000以下が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂(1)のMwの下限値は、特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、4,000以上が好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)のMnは、特に制限されないが、7,000以下であることが、トナーの低温定着性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂(1)のMnの上限値は、6,000以下が特に好ましい。ポリエステル樹脂(1)のMnの下限値は、特に制限されないが、トナーの保存性の観点から、1,000以上が好ましい。
ポリエステル樹脂(1)の軟化温度は、特に制限されないが、80〜130℃であることが好ましい。ポリエステル樹脂(1)の軟化温度の下限値は、85℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂(1)の軟化温度の上限値は、125℃以下が好ましく、120℃以下が特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)は、特に制限されないが、40〜70℃の範囲であることが好ましい。ポリエステル樹脂(1)のTgが40℃以上の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にあり、70℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(1)のTgの下限値は、45℃以上がより好ましく、またこの上限値は65℃以下であることがより好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)の酸価は、特に制限されないが、50mgKOH/g以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂(1)の酸価が50mgKOH/g以下の場合に、トナーの定着画像濃度が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(1)の酸価の上限値は、40mgKOH/g以下がより好ましい。また、ポリエステル樹脂(1)の酸価の下限値は、特に制限されないが、1mgKOH/g以上が好ましい。
ポリエステル樹脂(1)の構成成分としては、特に制限されず、前述のポリエステル樹脂の構成成分として例示した成分を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂の構成成分として例示した、不飽和二重結合を有する2価のカルボン酸化合物、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物、不飽和二重結合を有する2価のアルコール化合物、不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物、3価のカルボン酸化合物、3価のアルコール化合物、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物等を用いることができる。なお、ポリエステル樹脂(1)におけるこれらの構成成分の含有量の好ましい範囲は、前述のポリエステル樹脂の構成成分の好ましい範囲に記載した範囲と同様である。
しかしながら、ポリエステル樹脂(1)の構成成分の種類については、2価のアルコール成分として、保存性の面からはポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が好ましく、また低温定着性の面からはネオペンチルグリコールが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(1)においては、炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物から導かれる構成成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂(1)が、炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物を構成成分として含む場合に、トナー化時に添加する離型剤の分散性が良好となり、耐高温オフセット性がさらに良好となり、定着温度幅がより一層拡大する傾向にある。
炭素数30以上の1価のカルボン酸化合物および/または炭素数30以上の1価のアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、以下のものが挙げられ、これらはいずれも商業的に入手することができる。
(i)炭素数30以上のポリエチレンの片末端に水酸基を有する化合物。例えば、東洋ペトロライト社製ユニリンシリーズのうち、数平均分子量が438以上のもの。
(ii)炭素数30以上のポリエチレンの片末端にカルボキシル基を有する化合物。例えば、東洋ペトロライト社製ユニシッドシリーズのうち、数平均分子量が438以上のもの。
(iii)数平均分子量(Mn)=1000(炭素数約70)のポリプロピレンをベースとして、片末端をマレイン酸変性したもの。
本発明においては、トナーを構成する結着樹脂として結晶性のポリエステル樹脂を使用することも可能であるが、トナーの定着性が良好となる傾向にあることから、ポリエステル樹脂(1)は、融点を持たない非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、本発明における不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂として、ポリエステル樹脂(1)を単独で用いることもできる。また、複数のポリエステル樹脂を混合して用いる場合には、複数の種類のポリエステル樹脂(1)を混合して用いることもでき、ポリエステル樹脂(1)を少なくとも1種含有すればGPCにおけるピーク分子量が15,000以上であるポリエステル樹脂と混合して使用することもできる。
次に、前記3の製造方法の発明について説明する。
この発明は、前記1の製造方法において、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が、2種以上のポリエステル樹脂を含むことを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法である。
本発明において2種以上のポリエステル樹脂は、不飽和二重結合が全てのポリエステル樹脂に含有されていてもよく、少なくとも1種のポリエステル樹脂に不飽和二重結合が含有されていてもよい。THF不溶分の過度な高密度化を抑制できトナーの材料分散性が良好になる傾向にあることから、不飽和二重結合は少なくとも2種のポリエステル樹脂に含有されていることが好ましい。
2種以上のポリエステル樹脂を用いる場合には、少なくともGPCにおけるピーク分子量が15,000未満であるポリエステル樹脂(1)と、GPCにおけるピーク分子量が15,000以上であるポリエステル樹脂(2)の2種を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂(1)はトナーの低温定着性に寄与し、ポリエステル樹脂(2)はトナーの耐高温オフセット性に寄与するため、低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好となる傾向にある。
ここで、ポリエステル樹脂(2)について説明する。
ポリエステル樹脂(2)のピーク分子量(Mp)は、15,000以上が好ましく、16,000以上がより好ましく、17,500以上がさらに好ましく、20,000以上が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂(2)のピーク分子量(Mp)の上限値は、特に制限されないが、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、200,000以下が特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(2)の質量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、15,000以上であることが望ましい。ポリエステル樹脂(2)のMwが15,000以上の場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(2)のMwの上限値は、特に制限されないが、トナーの低温定着性の観点から、1,000,000以下であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(2)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、7,000以上であることが望ましい。ポリエステル樹脂(2)のMnが7,000以上の場合に、定着温度140℃以下でも十分な定着強度が得られる傾向にある。ポリエステル樹脂(2)のMnの上限値は、特に制限されないが、トナーの低温定着性の観点から、100,000以下であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂(2)は、直鎖状のポリエステル樹脂であってもよく、3価以上のカルボン酸化合物または3価以上のアルコール化合物による分枝状のポリエステル樹脂または網目状のポリエステル樹脂であってもよい。また、直鎖状のポリエステル樹脂と分枝状または網目状のポリエステル樹脂との混合物であってもよい。
ポリエステル樹脂(2)の軟化温度は、特に制限されないが、130〜230℃であることが好ましい。ポリエステル樹脂(2)の軟化温度が130℃以上である場合に、トナーの耐高温オフセット性が良好となる傾向にあり、230℃以下である場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(2)の軟化温度の下限値は、特に制限されないが、135℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましく、145℃以上であることがよりさらに好ましく、150℃以上であることが特に好ましく、155℃以上であることがさらに特に好ましく、160℃以上であることが最も好ましい。また、ポリエステル樹脂(2)の軟化温度の上限値は、220℃以下であることがより好ましく、210℃以下が特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(2)のTgは、特に制限されないが、45〜80℃の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂(2)のTgが45℃以上の場合に、トナーの保存性が良好となる傾向にあり、80℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(2)のTgの下限値は50℃以上がより好ましく、また上限値は75℃以下がより好ましい。
また、ポリエステル樹脂(2)の酸価は、特に制限されないが、10mgKOH/g以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂(2)の酸価が10mgKOH/g以下の場合に、トナーの定着画像濃度が良好となる傾向にある。ポリエステル樹脂(2)の酸価の上限値は、8mgKOH/g以下がより好ましい。また、ポリエステル樹脂(2)の酸価の下限値は、特に制限されないが、0.1mgKOH/g以上が好ましい。
ポリエステル樹脂(2)の構成成分としては、特に制限されず、前述のポリエステル樹脂の構成成分として例示した成分を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂の構成成分として例示した、不飽和二重結合を有する2価のカルボン酸化合物、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物、不飽和二重結合を有する2価のアルコール化合物、不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物、3価のカルボン酸化合物、3価のアルコール化合物、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物等を用いることができる。なお、ポリエステル樹脂(2)におけるこれらの構成成分の含有量の好ましい範囲は、前述のポリエステル樹脂の構成成分の好ましい範囲に記載した範囲と同様である。特に、2価のアルコール化合物としては、架橋反応が有効に起こる傾向にあることから、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
本発明においては、トナーを構成する結着樹脂として結晶性のポリエステル樹脂を使用することも可能であるが、トナーの定着性が良好となる傾向にあることから、ポリエステル樹脂(1)およびポリエステル樹脂(2)は、共に融点を持たない非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の軟化温度の差は、特に制限されないが、20℃以上であることが好ましい。軟化温度の差が20℃以上である場合に、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好になる傾向にある。この軟化温度の差の下限値は、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、軟化温度の差の上限値は、特に制限されないが、150℃以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の混合比率は、特に制限されないが、1/99〜99/1(質量比)であることが好ましい。この混合比率が上記比率の範囲内である場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。この混合比率は、99/1〜50/50であることがより好ましく、99/1〜60/40であることがさらに好ましく、99/1〜70/30であることがさらに好ましく、99/1〜80/20であることが特に好ましく、95/5〜80/20であることが最も好ましい。
ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の相溶性パラメータ(SP値)の差は、特に制限されないが、1(cal/cm31/2以下であることが好ましい。SP値の差が1(cal/cm31/2以下である場合に、ポリエステル樹脂の混合性が良好となり、低温定着性と保存性のバランスをとりやすい傾向にある。このSP値の差は、0.8(cal/cm31/2以下であることがより好ましく、0.6(cal/cm31/2以下であることがさらに好ましく、0.4(cal/cm31/2以下であることが特に好ましい。このSP値は、公知のFedorsの方法によって計算したものであり、ポリエステル分子鎖の末端は相溶性に及ぼす影響が少ないことから、末端基(水酸基、カルボキシル基など)を無視して計算した値である。
ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)を含むポリエステル樹脂を架橋反応させる場合には、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の混合と架橋反応とを同時に行ってもよいし、予めポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)とを混合した後に、架橋反応を行ってもよい。
次に、前記4の製造方法の発明について説明する。
この発明は、前記1の製造方法において、2種以上のポリエステル樹脂が、架橋反応の前に溶融混合装置により溶融混合されることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法である。
まず、2種以上のポリエステル樹脂の溶融混合について説明する。
2種以上のポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂を架橋反応させる場合には、トナーの材料分散性をさらに良好にできる傾向にあることから、予め2種類以上のポリエステル樹脂を溶融混合した後に、架橋反応を行う方法が好ましい。
2種以上のポリエステル樹脂の溶融混合は、特に制限はされないが、ポリエステル樹脂をより均一に混合できる傾向にあることから、前述した溶融混合装置を用いて行うのが好ましい。
溶融混合工程の後の架橋反応の方法については、特に制限はされないが、2種以上のポリエステル樹脂の溶融混合を行った後、樹脂を一旦冷却し、固体状のポリエステル樹脂に架橋反応開始剤を混合し、架橋反応を行ってもよいし、2種以上のポリエステル樹脂の溶融混合を行い、ポリエステル樹脂が溶融状態で架橋反応開始剤を添加し、架橋反応を行ってもよい。
特に、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)を用いる場合には、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)は120〜230℃で溶融混合するのが好ましい。溶融温度が120℃以上の場合に、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)の混合性が良好になり、トナーの材料分散性が良好になる傾向にあり、230℃以下の場合に、架橋反応開始剤添加時に架橋反応開始剤の分解速度が抑えられ、効率よく架橋反応が行われる傾向にある。
不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂の溶融温度の下限値は、130℃以上がさらに好ましく、140℃以上が特に好ましい。
不飽和二重結合の溶融温度の上限値は、220℃以下がさらに好ましく、210℃以下がより好ましく、190℃以下が特に好ましい。
ポリエステル樹脂を重合した後に架橋反応を行う場合において、架橋反応開始剤を添加する方法としては、以下の方法が挙げられ、任意に用いることができる。
1)溶融状態にあるポリエステル樹脂に固体の架橋反応開始剤を添加
2)溶融状態にあるポリエステル樹脂に液体の架橋反応開始剤を添加
3)固体状のポリエステル樹脂に固体の架橋反応開始剤を添加
4)固体状のポリエステル樹脂に液体の架橋反応開始剤を添加
次に、前記5の製造方法の発明について説明する。
この発明は、前記1の製造方法において、離型剤で希釈された架橋反応開始剤の希釈率(架橋反応開始剤と離型剤との質量比率)が0.1/99〜50/50であることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法である。
離型剤で希釈された架橋反応開始剤の希釈率について説明する。
離型剤で希釈された架橋反応開始剤の希釈率とは、架橋反応開始剤と離型剤との質量比率のことである。架橋反応開始剤の希釈率が0.1/99.9以上である場合に架橋反応を効率よく起こさせることができる傾向にあり、また50/50以下である場合に自己誘発分解を抑制できる傾向にある。
さらに、離型剤で希釈された架橋反応開始剤の希釈率が上記範囲にある場合、架橋反応装置内における離型剤の離型効果が作用により、THF不溶分の滞留が抑制され、THF不溶分が過度に高密度化しにくくなる傾向にあるため、トナーの材料分散性がより良好になる傾向にある。架橋反応開始剤の希釈率の上限値は、20/80がさらに好ましく、10/90がより好ましく、5/95が特に好ましい。
次に、前記6のトナーの発明について説明する。
この発明は、前記1〜5の製造方法によって得られたトナー用ポリエステル樹脂を用いたトナーである。
本発明のトナーは、前記1〜5の製造方法によって製造されたトナー用ポリエステル樹脂、離型剤および着色剤を溶融混練して得られるトナーである。
離型剤としては、特に制限されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック化合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類および脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類の一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;また植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
離型剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.1〜10質量部が好ましい。離型剤の含有量が0.1質量部以上の場合に、特に定着オイルの塗布量を減らした場合もしくは全く使用しない場合でも離型効果が十分発現する傾向にあり、10質量部以下の場合に、トナーの透明性が良好となり、彩度や現像時の耐久性が良好となる傾向にある。
着色剤としては、特に制限されず、公知の顔料、染料等を用いることができる。例えば、モノクロトナーの場合は、カーボンブラック、ニグロシン、スーダンブラックSM、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などが挙げられる。カラートナーの場合には、例えば、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド128、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド13、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド48・2、C.I.ディスパースレッド11、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー94、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15・3等が挙げられる。着色剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、帯電安定性、熱特性の点から、トナー全量中0.1〜15質量部の範囲が好ましい。着色剤の含有量の下限値は、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下が特に好ましい。
本発明のトナーは、前述のポリエステル樹脂、離型剤および着色剤を含有するものであるが、必要に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の各種添加剤を含有していてもよい。
荷電制御剤としては、特に制限されないが、例えば、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性または電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性または電子求引性の有機物質等が挙げられる。また、サリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、カリックスアレーン化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スルホン酸基を有するビニル系重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.25〜5質量部であることが好ましい。この含有量が0.25質量部以上の場合に、トナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、5質量部以下の場合に、荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
流動改質剤としては、特に制限されないが、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられる。
流動性改質剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.05〜10質量部であることが好ましい。この含有量が0.05質量部以上の場合に、トナーの流動性改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量部以下の場合に、トナーの耐久性が良好となる傾向にある。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤のいずれの現像剤としても使用できる。
磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等の、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。
これらの磁性体の含有量は、特に制限されないが、磁性トナーの場合には、トナー全量中40〜60質量部であることが好ましい。磁性体の含有量が40質量部以上の場合に、トナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、60質量部以下の場合に、トナーの定着性が良好となる傾向にある。
また、2成分現像剤として用いる場合には、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを利用することができる。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは、上述のトナー用ポリエステル樹脂、離型剤および着色剤、並びに所望に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の添加剤を混合した後、二軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて流動改質剤の外添処理等を行って製造することができる。
特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル樹脂の軟化温度よりも高くなるような温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
なお、本発明においては、ポリエステル樹脂(1)とポリエステル樹脂(2)とを含有するトナー用ポリエステル樹脂の架橋反応を、トナーの溶融混練工程において行ってもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の実施の態様はこれに限定されるものではない。また、本実施例で示されるポリエステル樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
(1)ポリエステル樹脂評価方法
1)軟化温度
フローテスターCFT−500(島津製作所(株)製)を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、予熱時間5分、昇温速度3℃/分で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を軟化温度とした。
2)酸価
試料約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコール10mlを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分間加熱しポリエステル樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロホルム20ml、フェノールフタレイン数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=f)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)={(B−C)×0.02×56.11×f}/A
3)ガラス転移温度
示差走差熱量計(DSC測定装置)DSC−60(島津製作所(株)製)を用い、測定試料10mgを精秤してこれをアルミパンに入れ、リファレンスとしてアルミナを入れたアルミパンを用い、昇温速度5℃/分で測定した時、チャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
4)ピーク分子量(Mp)、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC法により、得られた溶出曲線のピーク値に相当する保持時間から、ピーク分子量(Mp)を標準ポリスチレン換算により求めた。なお、溶出曲線のピーク値とは、溶出曲線が極大を示す点であり、極大値が2点以上ある場合は、溶出曲線が最大値を与える点のことである。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、HLC8020
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:THF
試料濃度:4mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
検量線作成用標準ポリスチレン試料:東洋ソーダ工業(株)製TSK standard、A−500(分子量5.0×102)、A−2500(分子量2.74×103)、F−2(分子量1.96×104)、F−20(分子量1.9×105)、F−40(分子量3.55×105)、F−80(分子量7.06×105)、F−128(分子量1.09×106)、F−288(分子量2.89×106)、F−700(分子量6.77×106)、F−2000(分子量2.0×107)。
5)テトラヒドロフラン(THF)不溶分
内径3.5cmの円筒状のガラスろ過器1GP100(柴田化学社製)に、セライト545(キシダ化学社製)を約2g入れ、セライト545の層の高さが変化しなくなるまで、ガラスろ過器をコルク台に軽くたたきつけた。この操作を4回繰り返して、セライト545の層の高さがフィルター面から2cmとなるように、ガラスろ過器へセライト545を充填した。このセライト545が充填されたガラスろ過器を105℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量した(Yg)。次いで、サンプル約0.5gを三角フラスコ内に入れて精秤し(Xg)、次いでTHF50mlを加え、70℃のウォーターバスにて3時間加熱して、THF還流下でサンプルを溶解させた。この溶液を上記セライト545が充填されたガラスろ過器へ投入し、吸引ろ過した。THF不溶分を捕捉したガラスろ過器を80℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量し(Zg)、以下の式に従ってTHF不溶分を算出した。
THF不溶分={(Z−Y)/X}×100(質量%)
(2)トナー評価方法
1)定着特性:耐高温オフセット性
複写機「PAGEPREST N4−612 II」(カシオ電子工業社製)を改造した装置を用い、未定着画像を画出し、定着温度領域のテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速30mm/分に設定したものである。熱ローラー設定温度を5℃ずつ上昇させ、A4普通紙(大昭和製紙製:BM64T)の上部に印刷した1%の印字比率のベタ画像がローラーに付着し、紙の下余白部分を汚すかどうかを目視にて確認し、汚れの生じない最高の設定温度を最高定着温度とし、以下の基準で判定した。
◎+(極めて良好):最高定着温度が200℃以上
◎(非常に良好) :最高定着温度が190℃以上200℃未満
○+(良好) :最高定着温度が180℃以上190℃未満
○(使用可能) :最高定着温度が170℃以上180℃未満
×(劣る) :最高定着温度が170℃未満
2)定着特性:最低定着温度
上記の測定に準じて、複写、定着処理を前記熱ローラーの設定温度を5℃ずつ低下させながら100℃まで繰り返し、この定着画像について擦り試験を行い、定着率が90%を超える温度を最低定着温度とした。
定着率は、上記定着温度幅評価に使用した印刷用紙を用い、印刷部分を折り曲げて加重5kg/cm2をかけた後、セロハン(登録商標)テープ(日東電工包装システム社製、品番:N.29)を貼って剥がし、この操作の前後における印刷部分の光量をマクベス光量計にて測定し、その測定値から定着率を算出した。
定着率(%)={(セロハン(登録商標)テープ剥離試験後の光量)/(試験前の光量)}×100(%)
◎+(極めて良好):最低定着温度が120℃以下
◎(非常に良好) :最低定着温度が120℃を超えて以上130℃以下
○+(良好) :最低定着温度が130℃を超えて140℃以下
○(使用可能) :最低定着温度が140℃を超えて150℃以下
×(劣る) :最低定着温度が150℃を超える
3)定着特性:定着温度幅
最高定着温度と最低定着温度の差を定着温度幅とし、以下の基準で判定した。
◎(非常に良好):定着温度幅が70℃以上
○+(良好) :定着温度幅が60℃以上70℃未満
○(使用可能) :定着温度幅が50℃以上60℃未満
×(劣る) :定着温度幅が50℃未満
4)トナー保存性
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを45℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
○(使用可能):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
×(劣る) :サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩くと分散する
5)耐久性
評価機としてSPEEDIA N5300(カシオ電子工業社製)を使用し、2%の印字比率の未定着画像を画出した以外は定着特性の評価方法と同じ条件で印刷を5,000枚行った後、帯電部材の汚染の有無および定着画像の欠損の有無について観察を行った。
◎(非常に良好):部材の汚染は全くなく、画像欠損は全く発生していない
○+(良好) :わずかに部材の汚染はあるが、画像欠損は全く発生していない
○(使用可能):部材汚染があり、画像欠損もわずかに発生しているが、問題ないレベル
×(劣る) :部材汚染がひどく、画像欠損も目立つレベル
6)材料分散性
トナー溶融混練物をミクロトーム(ミクローム社製HM 330)を用いて切断し、1〜3μm程度の観察用薄片を作製した。この観察用薄片を、金属顕微鏡((株)ニコン製エクリプスME600L)を用いて観察した。観察視野中の未着色部分の大きさを材料分散性の判定基準とした。この未着色部分は、結着樹脂由来の過度に高密度化されたTHF不溶分である。このような未着色部分には着色剤が存在しておらず、未着色部分が多い、またはその部分のサイズが大きいということは材料分散性が悪いということを示す。
◎(非常に良好):未着色部分が全く存在しない
○+(良好) :5μm以下の大きさの未着色部分が存在する
○(使用可能) :5〜10μm程度の大きさの未着色部分が存在する
×(劣る) :10μm以上の大きさの未着色部分が存在する
合成例1
酸成分としてテレフタル酸90モル部およびフマル酸10モル部、アルコール成分としてエチレングリコールを45モル部およびネオペンチルグリコールを60モル部、また全酸成分に対して1000ppmのトリブチルスズオキシドを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を行い、反応物を取り出し冷却して、ポリエステル樹脂(1a)を得た。ポリエステル樹脂(1a)の特性値を表1に示す。
合成例2
モノマー組成を表1のように変更した以外は合成例1と同様の方法でポリエステル樹脂の合成を行い、ポリエステル樹脂(1b)を得た。
合成例3
酸成分としてテレフタル酸80モル部およびフマル酸20モル部、アルコール成分としてエチレングリコールを80モル部および1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル部、また全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンと、全酸成分に対して2000ppmのヒンダードフェノール化合物(旭電化工業(株)製AO−60)とを合成例1と同様の反応容器に投入した。次いで、昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を継続した。次いで、反応系内の温度を225℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで反応を行った。そして、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し冷却して、ポリエステル樹脂(2a)を得た。ポリエステル樹脂(2a)の特性値を表1に示す。
実施例1
離型剤(日本精鑞(株)製SP−0160)98質量部を75℃に加熱し溶融させ、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン2質量部を添加し、得られた混合物を冷却し、粉砕して、離型剤で希釈された架橋反応開始剤(I)を調製した。
ポリエステル樹脂(1b)85質量部とポリエステル樹脂(a)15質量部を二軸押出機((株)池貝製PCM−29:L/D=30)に供給し、外温設定180℃、約1.5分の滞在時間で溶融混合し、冷却後粉砕した。
この粉砕物に離型剤で希釈された架橋反応開始剤(I)を5質量部混合し、二軸押出機に供給し、外温設定180℃、約3分の滞在時間で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−1)を得た。ポリエステル樹脂(3a−1)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−1)96質量部、着色剤としてキナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部および負帯電性の荷電制御剤LR−147(日本カートリット社製)1質量部を混合し、二軸押出機を用いて外温設定160℃、滞在時間1分として溶融混練し、粗粉砕後、ジェットミル型粉砕機で微粉砕し、分級機で平均粒径5μmの微粉末を得た。得られた微粉末に対して、0.2質量部となるようにシリカ(日本エアロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合し付着させ、トナー1を得た。このトナーを非磁性1成分乾式複写機に実装し、その性能を評価した。トナーの評価結果を表4に示す。
実施例2
離型剤(日本精鑞(株)製SP−0160)90質量部を75℃に加熱し溶融させ、ジクミルパーオキサイド10質量部を添加し、得られた混合物を冷却、粉砕して、離型剤で希釈された架橋反応開始剤(II)を調製した。
ポリエステル樹脂(1b)をポリエステル樹脂(1a)とし、離型剤で希釈された架橋反応開始剤(I)を離型剤で希釈された架橋反応開始剤(II)を1質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−2)を得た。ポリエステル樹脂(3a−2)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−2)94質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス2質量部および負帯電性の荷電制御剤LR−147(日本カートリット社製)1質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂(3a−2)のトナー化を行い、トナー2を得た。トナー2の評価結果を表4に示す。
実施例3
ポリエステル樹脂(1a)85質量部とポリエステル樹脂(2a)15質量部を二軸押出機((株)池貝製PCM−30:L/D=40)を用いて架橋反応を行った。この二軸押出機は前半部と後半部にニーディングディスクを設け、中央部から架橋反応開始剤を添加できるように改造したものである。前半部では外温設定150℃、約2分間の滞在時間で、ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)を溶融混合し、中央部から75℃で溶融させた離型剤で希釈された架橋反応開始剤(II)を1質量部添加し、後半部では外温設定180℃、約2分間の滞在時間で、ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)の混合体と離型剤で希釈された架橋反応開始剤(II)を混合しながら架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−3)を得た。ポリエステル樹脂(3a−3)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−3)のトナー化を実施例2と同様の方法で行い、トナー3を得た。トナー3の評価結果を表4に示す。
実施例4
スタティックミキサー(緑機械工業(株)製スルザーミキサーSMX−15A)を用いて約3分間の滞在時間と外温設定200℃で、ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)の溶融混合を行ったこと以外は実施例2と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−4)を得た。ポリエステル樹脂(3a−4)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−4)のトナー化を実施例2と同様の方法で行い、トナー4を得た。トナー4の評価結果を表4に示す。
実施例5
ポリエステル樹脂(1a)とポリエステル樹脂(2a)の溶融混合を行わなかった以外は実施例3と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−5)を得た。ポリエステル樹脂(3a−5)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−5)のトナー化を実施例2と同様の方法で行い、トナー5を得た。トナー5の評価結果を表4に示す。
実施例6
ポリエステル樹脂(1a)85質量部とポリエステル樹脂(2a)15質量部の代わりにポリエステル樹脂(1a)100質量部を用い、離型剤で希釈された架橋反応開始剤(II)2.5質量部を用いて、実施例5と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−6)を得た。ポリエステル樹脂(3a−6)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−6)95.5質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス0.5質量部および負帯電性の荷電制御剤LR−147(日本カートリット社製)1質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂(3a−6)のトナー化を行い、トナー6を得た。トナー6の評価結果を表4に示す。
比較例1
架橋反応開始剤として離型剤で希釈していないジクミルパーオキサイド0.1質量部を用いたこと以外は実施例5と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−7)を得た。ポリエステル樹脂(3a−7)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−7)を93質量部、カルナバワックスを3質量部としたこと以外は実施例2と同様の方法でトナー化を行い、トナー7を得た。トナー7の評価結果を表4に示す。
比較例2
架橋反応開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(架橋反応開始剤と希釈剤との質量比率)=75/25)を0.4質量部用いたこと以外は比較例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−8)を得た。ポリエステル樹脂(3a−8)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−8)のトナー化を比較例1と同様の方法で行い、トナー8を得た。トナー8の評価結果を表4に示す。
比較例3
ポリエステル樹脂(1a)85質量部とポリエステル樹脂(2a)15質量部の代わりにポリエステル樹脂(1a)100質量部を用い、離型剤で希釈されていないジクミルパーオキサイド0.25質量部を用いて、比較例1と同様の方法で架橋反応を行い、ポリエステル樹脂(3a−9)を得た。ポリエステル樹脂(3a−9)の特性値を表3に示す。
ポリエステル樹脂(3a−9)のトナー化を比較例1と同様の方法で行い、トナー9を得た。トナー9の評価結果を表4に示す。
Figure 0005001691
Figure 0005001691
Figure 0005001691
Figure 0005001691
トナー1〜6(実施例1〜6)の結果から理解されるように、離型剤で希釈された架橋反応開始剤を用いて架橋反応を行って得られたポリエステル樹脂を用いたトナーは、低温定着性と耐高温オフセット性のバランスが良好であり、その結果70℃以上の広い定着温度幅を示し、保存性、耐久性、材料分散性も良好であった。
トナー7〜9(比較例1〜3)は、離型剤で希釈されていない架橋反応開始剤を用いて架橋反応を行っているため、定着温度幅は60〜65℃程度になり、材料分散性が劣っていた。
本発明は、定着温度140℃以下でも十分な定着強度を与える低音定着性を有し、対抗音オフセット製に優れ、70℃以上の広い定着温度幅を有し、保存性、耐久性、材料分散性に優れたトナーを与えるので、産業上有用である。

Claims (6)

  1. 不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を、架橋反応開始剤を用いて架橋反応させることによりトナー用ポリエステル樹脂を製造する方法において、離型剤に溶解または分散させた架橋反応開始剤を用いて架橋反応を行うことを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク分子量が15,000未満であるポリエステル樹脂(1)を少なくとも1種含む、請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂が、ピーク分子量が異なる2種以上のポリエステル樹脂を含む、請求項1または2に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 2種以上のポリエステル樹脂が、架橋反応の前に溶融混合装置により溶融混合される、請求項3に記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 離型剤に溶解または分散させた架橋反応開始剤の、架橋反応開始剤と離型剤との質量比率が0.1/99.9〜50/50である、請求項1〜4のいずれかに記載のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載した製造方法によって得られたトナー用ポリエステル樹脂を用いたトナー。
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