JP3811453B2 - トナー用樹脂、及びトナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー用樹脂、及びこれを結着樹脂として含有するトナーに関する。特に、本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられ、低温定着性、非オフセット性、光沢性等に優れたトナーを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真印刷法および静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着が行われる。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧および加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブンまたはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好である必要がある。また、装置は加熱体である定着部を有し、装置内での温度が上昇するため、トナーがブロッキングしないことが必要である。最近では、省エネ化が必須となり、ヒートローラー方式において定着部の低温化が進んできた。そのため、トナーには、より低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきた。さらに、最近では、フルカラー電子写真システムの普及に伴い、光沢のある画像を形成することができるトナーが求められている。
【0003】
トナー用バインダー樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、透明性と定着性のバランスが取りやすく、かつ、透明性に優れ、フルカラートナーに好適な特性を有することから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
【0004】
しかし、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とするトナーについては、定着性を良好とするため、特開平4−12367号公報、特開昭59−128558号公報のようにモノマーによる定着性の改良が提案されているが、得られる樹脂は分子量が高く、目標とする定着性能が得られないという問題がある。
また、特開平7−140714号公報、特開2002−287427号公報、特開2002−202634号公報、特開平4−313760号公報のように軟化温度、分子量の異なるポリエステル樹脂をブレンドすることが提案されているが、この方法では定着性と非オフセット性のバランス調整が難しいことのほか、高分子量成分とビスフェノールA誘導体成分や不飽和脂肪酸の如きモノマー成分と光沢性とのバランス調整が難しいという問題がある。
さらに、特開平8−30027号公報には、低温定着性を良好とした樹脂が提案されているが、粉砕性とのバランスが充分でなく、長期耐刷性を目標とする耐久性が不足するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−12367号公報
【特許文献2】
特開昭59−128558号公報
【特許文献3】
特開平7−140714号公報
【特許文献4】
特開2002−287427号公報
【特許文献5】
特開2002−202634号公報
【特許文献6】
特開平4−313760号公報
【特許文献7】
特開平8−30027号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、低温定着性、非オフセット性、光沢性等に優れたトナーを提供することにある。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、モノマー構成の異なる3種類の樹脂を用いたトナーについて鋭意研究した結果、下記の如き構成を採用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を10〜60モル部含み軟化温度が150〜220℃である線状ポリエステル樹脂(A)と、線状ポリエステル樹脂(A)とは異なり、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を55〜100モル部含む線状ポリエステル樹脂(B)と、ビニル系樹脂(C)とを含有し、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、(線状ポリエステル樹脂(B)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)/(線状ポリエステル樹脂(A)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)が0.5〜10の範囲であるトナー用樹脂、及びこれを結着樹脂として含有するトナーを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における線状ポリエステル樹脂(A)、及び線状ポリエステル樹脂(B)には、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分が必須成分として含有される。
この成分を含有することによって、トナーの紙への定着性を優れたものとすることができる。炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分としては、必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノールからの成分であるのが好ましい。これらの成分はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上の併用であっても良い。
【0010】
線状ポリエステル樹脂(A)と線状ポリエステル樹脂(B)における、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分の含有量は、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、(線状ポリエステル樹脂(B)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)/(線状ポリエステル樹脂(A)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)が、0.5〜10の範囲となる条件を満たす必要がある。これは、0.5未満の場合には、トナーの非オフセット性が不良となる傾向にあるためである。好ましくは0.9以上であり、さらに好ましくは1以上である。また、10を超える場合においても、トナーの非オフセット性が不良となる傾向にあるためである。好ましくは7以下であり、さらに好ましくは6以下である。
【0011】
線状ポリエステル樹脂(A)は、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を10〜60モル部含有するのが好ましい。これは、10モル部以上とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは15モル部以上である。また、60モル部以下とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、55モル部以下である。
【0012】
線状ポリエステル樹脂(B)は、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を55〜100モル部含有するのが好ましい。これは、55モル部以上とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは60モル部以上である。また、100モル部以下とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、95モル部以下である。
【0013】
線状ポリエステル樹脂(A)や線状ポリエステル樹脂(B)の構成成分として有用な他のジオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール成分が挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上の混合で使用することができる。芳香族ジオール成分は、樹脂のガラス転移温度を上げる効果があるため、これを構成成分として使用すると、得られるトナーの耐ブロッキング性が向上する傾向にある。特に、ポリオキシプロピレンもしくはポリオキシエチレン単位の数nが2.1≦n≦8であるポリオキシプロピレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2.0≦n≦3.0であるポリオキシエチレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0014】
一方、これらの芳香族ジオール成分は、トナーの光沢性に悪影響を及ぼす可能性があるため、その使用量は、線状ポリエステル樹脂(A)では、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、10モル部以下であるのが好ましく、線状ポリエステル樹脂(B)では、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、50モル部以下であることが好ましい。
【0015】
さらに、有用な他のジオール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、水添ビスフェノールAなどを挙げることができる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上の混合で使用することができる。
【0016】
線状ポリエステル樹脂(A)や線状ポリエステル樹脂(B)の構成成分として有用なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの低級アルキルエステルなどからの成分を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸の低級アルキルエステルの具体例として、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等を挙げることができるが、ハンドリング性およびコストの点でテレフタル酸やイソフタル酸が好ましい。これらのジカルボン酸またはその低級アルキルエステルは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
他に有用なジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、またはそれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルまたはそれらの酸無水物からの成分が挙げることができる。これらのジカルボン酸成分は、トナーの定着性や耐ブロッキング性といった基本特性に関係するため、本発明の目的を損なわない範囲内において、要求性能に応じて適宜に使用することができる。
【0018】
線状ポリエステル樹脂(A)は、軟化温度が150〜220℃の範囲であるのが好ましい。これは、軟化温度を150℃以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは160℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。また、軟化温度を220℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは210℃以下であり、さらに好ましくは200℃以下である。
【0019】
また、線状ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度(以下Tgという)が50〜75℃の範囲であるのが好ましい。Tgを50℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にある。より好ましくは52℃以上である。Tgを75℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは73℃以下である。
【0020】
さらに、線状ポリエステル樹脂(A)は、重量平均分子量Mwが25,000〜100,000の範囲であるのが好ましい。重量平均分子量Mwを25,000以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは29,000以上である。重量平均分子量Mwを100,000以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは90,000以下である。
【0021】
また、線状ポリエステル樹脂(A)は、融点を持たないのが好ましい。線状ポリエステル樹脂(A)が融点を持たないことによって、トナーの定着性や光沢性が向上する傾向にある。
【0022】
さらに、線状ポリエステル樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以下とするのが好ましい。これによって、トナーの画像濃度が低下しにくくなる傾向にある。
【0023】
線状ポリエステル樹脂(B)は、Tgを40〜70℃の範囲とするのが好ましい。Tgを40℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にある。より好ましくは45℃以上である。Tgを70℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは67℃以下である。
【0024】
また、線状ポリエステル樹脂(B)は、軟化温度を70〜110℃の範囲とするのが好ましい。軟化温度を70℃以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上である。軟化温度を110℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは108℃以下であり、さらに好ましくは105℃以下である。
【0025】
さらに、線状ポリエステル樹脂(B)は、重量平均分子量Mwを2,000〜10,000の範囲とするのが好ましい。重量平均分子量Mwを2,000以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは3,000以上である。重量平均分子量Mwを10,000以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは9,500以下である。
【0026】
また、線状ポリエステル樹脂(B)は融点を持たないのが好ましい。線状ポリエステル樹脂(B)が融点を持たないことによって、トナーの定着性や光沢性が向上する傾向にある。
【0027】
さらに、線状ポリエステル樹脂(B)の酸価は、30mgKOH/g以下とするのが好ましい。これによって、トナーの画像濃度が低下しにくくなる傾向にある。より好ましくは、20mgKOH/g以下である。特に、トナー中の荷電制御剤(荷電制御樹脂)の分散性を高め、画像濃度の安定性を良好とするためには、線状ポリエステル樹脂(B)の酸価を線状ポリエステル樹脂(A)の酸価よりも高くするのが好ましい。
【0028】
さらに、本発明においては、線状ポリエステル樹脂(A)の軟化温度が、線状ポリエステル樹脂(B)の軟化温度よりも20℃以上高いのが好ましい。これによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。40℃以上高いのが好ましく、50℃以上高いのがより好ましい。
【0029】
線状ポリエステル樹脂(A)や線状ポリエステル樹脂(B)は、上述のジカルボン酸等の酸成分とジオール等のアルコール成分をエステル化反応またはエステル交換反応、および縮合反応を経て重合することによって得ることができる。重合に際しては、例えば、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、2硫化スズ、3酸化アンチモン、2酸化ゲルマンニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、180〜290℃の範囲とするのが好ましい。
【0030】
ビニル系樹脂(C)としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂等を挙げることができるが、中でも非オフセット性と帯電性を良好とする点から、スチレンアクリル系樹脂、(メタ)アクリル系系樹脂が好ましい。
【0031】
ビニル系樹脂(C)を構成するビニル系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジシクロスチレン等のスチレン系単量体や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体や、(メタ)アクリル酸、ケイヒ酸等の不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体や、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル系単量体や、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル系単量体を挙げることができる。
【0032】
これらは、1種類以上を適宜選択して使用することができるが、帯電性と粉砕性の点からスチレン系単量体が好ましく、中でもスチレンが好ましい。特に、スチレンのビニル系樹脂(C)における使用比率の上限を85質量%とすることによって、トナーの画像性をさらに向上させることができる。
【0033】
また、定着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体が好ましい。
【0034】
ビニル系樹脂(C)は、実質的にゲル分を有さないのが好ましい。このゲル分はTHF不溶分のことを意味する。ビニル系樹脂(C)がゲル分を有さないことによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。
【0035】
また、ビニル系樹脂(C)は、軟化温度が115〜180℃の範囲であるのが好ましい。これは、軟化温度を115℃以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは120℃以上である。また、軟化温度を180℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは170℃以下である。
【0036】
さらに、ビニル系樹脂(C)は、Tgが50〜70℃の範囲であるのが好ましい。Tgを50℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にある。より好ましくは52℃以上である。Tgを70℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは68℃以下である。
【0037】
また、ビニル系樹脂(C)は、重量平均分子量Mwが40,000〜400,000の範囲であるのが好ましい。重量平均分子量Mwを40,000以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは50,000以上である。重量平均分子量Mwを400,000以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは 60,0000以下である。
【0038】
さらに、ビニル系樹脂(C)の酸価は、40mgKOH/g以下とするのが好ましい。これによって、トナーの画像濃度が低下しにくくなる傾向にある。より好ましくは、30mgKOH/g以下である。
【0039】
ビニル系樹脂(C)は、上述のビニル系単量体を懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の方法で重合することによって得ることができる。重合時に使用する開始剤としては、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤等を挙げることができ、乳化剤、分散剤、分散助剤、そして溶剤などの重合助剤は、必要に応じて選択することができる。
【0040】
本発明のトナー用樹脂は、線状ポリエステル樹脂(A)を3〜50質量%、線状ポリエステル樹脂(B)を10〜96質量%、ビニル系樹脂(C)を1〜40質量%含有するのが好ましい。
これは、線状ポリエステル樹脂(A)を3質量%以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは、5質量%以上である。一方、50質量%以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは、45質量%以下である。
また、線状ポリエステル樹脂(B)を10質量%以上とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは、15質量%以上である。一方、96質量%以下とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは、92質量%以下である。
さらに、ビニル系樹脂(C)を1質量%以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは3質量%以上である。一方、40質量%以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは25質量%以下である。
【0041】
本発明のトナーは、上述のトナー用樹脂を結着樹脂として含有するものである。結着樹脂の80〜100質量%がこのトナー用樹脂からなるのが好ましく、その他環状オレフィン樹脂、エポキシ樹脂等と併用しても良い。
【0042】
本発明のトナーは、さらに、離型剤、着色剤、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等を含有することができるものである。
【0043】
離型剤としては、例えば、融点が60〜100℃の範囲であるものが好ましい。これは、融点が60℃以上のものを使用することによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは65℃以上である。また、融点が100℃以下のものを使用することによって、トナーの低温定着性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、95℃以下である。
【0044】
融点が60〜100℃の離型剤としては、ライスワックス(融点79℃)、カルナバワックス(融点83℃)、パラフィンワックス(融点60〜90℃)、蜜蝋(融点64℃)等を挙げることができる。
【0045】
これらは、必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができるが、なかでも25℃における針入度が3以下であるものが好ましい。これは、25℃における針入度が3以下であるものを使用すると、トナーの画像安定性が良好となる傾向にあるためである。
【0046】
離型剤は、上述の線状ポリエステル樹脂(A)や線状ポリエステル樹脂(B)の添加剤として、あらかじめ配合しておくことができ、離型剤の存在下でこれらポリエステル樹脂を重合することもできる。特に、アルコール成分を含有する離型剤の存在下で重合すると、アルコール成分の一部がモノマー成分と反応し、重合体成分と離型剤成分との相溶性が向上する。これによって、本発明のトナー中に含有される、離型剤成分の分散径をより小さくすることができ、トナーの非オフセット性が向上する傾向にある。
【0047】
25℃における針入度が3以下であり、アルコール成分を含有する離型剤成分としては、例えば、ライスワックスやカルナバワックス等を挙げることができ、中でもカルナバワックスが、定着性を良好とするの点で特に好ましい。
【0048】
また、本発明のトナーには、その他の離型剤を必要に応じて配合することができる。その他の離型剤としては、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
【0049】
これら離型剤は、本発明のトナー中に1〜10質量%の範囲で含有されるのが好ましい。これは、離型剤成分の含有量を1質量%以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは1.5質量%以上である。また、含有量が10質量%以下とすることによって、トナーの光沢性や画像安定性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは9質量%以下である。
【0050】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色剤は、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中に2〜10質量%程度の量で使用されるのが好ましい。
【0051】
本発明のトナーに使用できる荷電制御剤としては、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性もしくは電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性もしくは電子求引性の有機物質等が挙げられる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がないことが重要であり、例としてはサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。これらの荷電制御剤は、トナー中に0.5〜5質量%の量で使用するのが好ましい。これは、荷電制御剤を0.5質量%以上とすることによってトナーの帯電量が充分なレベルとなり、5質量%以下とすることによって荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にあるためである。
【0052】
本発明のトナーに使用できる流動改質剤などの添加剤としては、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられ、これらは内添剤または外添剤として使用される。これらの添加剤は、トナー中に0.05〜10質量%の量で使用できる。これらの添加剤の使用量を0.05質量%以上とすることによってトナーの性能改質効果が充分に得られる傾向にあり、10質量%を以下とすることによってトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
【0053】
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。これらの磁性体は、好ましくはトナー中に40〜60質量%の範囲で使用できる。磁性体の使用量を40質量%以上とすることによってトナーの帯電量が充分なレベルとなる傾向にあり、60質量%以下とすることによってトナーの定着性が良好となる傾向にある。また、2成分現像剤として用いる場合、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる。
【0054】
本発明のトナーは、例えば、上述のトナー用樹脂、および離型剤、着色剤、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造することができる。特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル系樹脂の軟化温度よりも高い温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
【0055】
本発明のトナーにおいては、Tgが45〜70℃範囲であるのが好ましい。Tgを45℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは47℃以上である。Tgを70℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは68℃以下である。
【0056】
また、本発明のトナーは、軟化温度が90〜140℃の範囲であるのが好ましい。軟化温度を90℃以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは95℃以上であり、さらに好ましくは、100℃以上である。軟化温度を140℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
【0057】
さらに、本発明のトナーは、120℃での溶融粘度が100〜5000PaSの範囲であるのが好ましい。溶融粘度を100PaS以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは200Pas以上である。溶融粘度を5000PaS以下とすることによって、トナーの定着性や光沢性が良好となる傾向にある。より好ましくは4600PaS以下である。
【0058】
また、本発明のトナーは、重量平均分子量Mwが8,000〜60,000の範囲であるのが好ましい。重量平均分子量Mwを8,000以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にある。より好ましくは、10,000以上である。重量平均分子量Mwを60,000以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは50,000以下である。
【0059】
さらに、本発明のトナーは、光沢度を10以上とするのが好ましい。光沢度を10以上とすることによってトナーの発色が良好となり、得られる画像の光沢性が良好となる傾向にある。より好ましくは、20以上さらに好ましくは30以上である。また、光沢度を40度以下とすることによって、過剰なトナーの発色を抑え、画質が良好となる傾向にあり好ましい。
【0060】
また、本発明のトナーは、平均粒径が7μm以下であるのが好ましい。これは、トナーの平均粒径が7μm以下であることによって、非オフセット性に優れるとともに、光沢性や解像度に優れた画像が得られる傾向にあるためである。
【0061】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。また、本実施例で示される樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
【0062】
・樹脂/トナー評価方法
1)軟化温度
島津製作所(株)製フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度。
【0063】
2)酸価
KOH溶液を用いた滴定法による測定値。
【0064】
3)重量平均分子量
重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製HCL−8200)を用いて以下の測定条件で行ったものである。
カラム条件 :G4000Hx1×G2000Hx1
オーブン温度:40℃
溶離剤 :テトラヒドロフラン
流速 :1ml/分
試料濃度 :0.4重量%
注入量 :100μl
検出器 :RI
【0065】
4)融点
示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時の吸熱ピークを融点とした。
【0066】
5)ガラス転移温度
示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度。
【0067】
6)溶融粘度
REOLOGICA社製レオメーターDynalyser DAR−100を用い、 サンプル1gを固め25mmφの平行平板にはさみこみ150℃の温度で厚さ0.5〜1.0mmに調整したのち、80℃〜250℃まで3℃/minで昇温、周波数1Hz、ストレイン1%の条件下で測定した。
【0068】
7)ゲル分率
樹脂サンプル0.5gを50gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、室温で72時間放置した後に、重量を測定したセライトを敷き詰めたろ過フィルターでろ過し、ろ過したフィルターごと不溶分を乾燥し重量を測定し、ろ過後のサンプル(THF不溶分)の重量を求め、樹脂サンプル量のTHF不溶分率(%)を算出し、これをゲル分率とした。
【0069】
8)非オフセット性の評価法
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度50mm/sに設定した温度変更可能であるプリンターを用いて印刷を行い、非オフセット性の評価を行った。また、定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて非オフセット性を判断した。
◎(非常に良好):オフセット発生温度が230℃以上
○(良好) :オフセット発生温度が220℃以上230℃未満
△(使用可能) :オフセット発生温度が200℃以上220℃未満
×(劣る) :オフセット発生温度が200℃未満
【0070】
9)定着性
非オフセット性の評価方法と同一条件でトナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とし、以下の基準で判定した。
◎(非常に良好):定着温度が120℃未満
○(良好) :定着温度が120℃以上130℃未満
△(使用可能) :定着温度が130℃以上160℃未満
×(劣る) :定着温度が160℃以上
【0071】
10)耐ブロッキング性
トナーを約5g秤量してサンプル瓶に投入し、これを50℃に保温された乾燥機に約24時間放置し、トナーの凝集程度を評価して耐ブロッキング性の指標とした。評価基準を以下の通りとした。
◎(良好) :サンプル瓶を逆さにするだけで分散する
○(使用可能):サンプル瓶を逆さにし、2〜3回叩くと分散する
×(劣る) :サンプル瓶を逆さにし、4〜5回以上叩くと分散する
【0072】
11)光沢度
150℃で画像をトナーに定着させ、日本電色工業株式会社製のグロスメーターPG−1を用いて測定を行い、入射角75度のときの測定値により、以下の基準で評価した。
◎(非常に良好):光沢度が30以上40以下
○(良好) :光沢度が20以上30未満
△(使用可能) :光沢度が10以上20未満
×(劣る) :光沢度が10未満
【0073】
製造例1 線状ポリエステル樹脂(A)の製造例
表1に示す仕込み組成のモノマー成分と、全酸成分に対して2000ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出し、エステル化反応が開始してから約7時間後、水の留出がなくなり、反応を終了した。次いで、反応系内の温度を下げて285℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を1.0mmHgとし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で反応系を常圧に戻し、加熱を停止し、窒素により加圧して約40分かけて反応物を取り出し、樹脂HA〜HGを得た。
このようにして得られた樹脂HA〜HGを液体ガスクロマトグラフィーにより組成分析した結果、表1に示す樹脂組成となっていた。また、樹脂の特性値を同じく表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0003811453
【0075】
製造例2 線状ポリエステル樹脂(B)の製造例
表2に示す仕込み組成のモノマー成分、添加剤と、全酸成分に対して1000ppmのジブチル錫オキサイドを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで、反応容器中の攪拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持した。反応系から水が留出し、エステル化反応が開始してから約8時間後、水の留出がなくなり、反応を終了した。次いで、反応系内の温度を下げて235℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を1.0mmHgとし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、サンプリングを繰り返しながら所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定の軟化温度を示した時点で反応系を常圧に戻し、加熱を停止し、窒素により加圧して約40分かけて反応物を取り出し、樹脂LA〜LCを得た。
このようにして得られた樹脂LA〜LCを液体ガスクロマトグラフィーにより組成分析した結果、表2に示す樹脂組成となっていた。また、樹脂の特性値を同じく表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0003811453
【0077】
製造例3 ビニル系樹脂(C)の製造例
撹拌機、温度計、還流凝縮機を備えた重合反応器に、脱イオン水200質量部とポリビニルアルコール0.2質量部を入れて攪拌し、ポリビニルアルコールを溶解させた後、表3に示されるモノマー成分と開始剤の混合物を投入した。攪拌回転数を200rpmに保ち、約10分間で重合反応器内の温度を80℃に昇温させ、80℃を維持できるように重合反応器の外壁温度をコントロールし、外壁温度が重合反応器内の温度よりも高くなった時点から約2時間反応を継続し、次いで重合反応器内の温度が90℃になるまで昇温し約1時間保持した。その後、重合反応器内の温度を40℃以下になるまで冷却し、樹脂を重合反応器から取り出し、脱イオン水で充分洗浄し、ビニル系樹脂M1〜M5を得た。得られた樹脂M1〜M5の特性値を表3に示す。
【0078】
【表3】
Figure 0003811453
【0079】
実施例1
上記で得られた樹脂を用いて、それぞれトナー化を行った。トナーの配合には、表4に示す量の線状ポリエステル樹脂(A)、線状ポリエステル樹脂(B)、ビニル系樹脂(C)とともに、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)5質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)5質量部、負帯電性の荷電制御剤(オリエント化学社製E−84)2質量部を使用し、ヘンシェルミキサーで30分間混合した。次いで、得られた混合物を2軸混練機で2回溶融混練した。溶融混練は内温を180℃に設定して行った。混練後、冷却してトナー塊を得、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、粒径を5μmとした。得られた微粉末に対して、0.25%のシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させ、最終的にトナー1〜12を得た。
得られたトナー1〜12について前述の評価方法を用いてトナー評価を行った。これらのトナーの評価結果を表4に示した。
【0080】
【表4】
Figure 0003811453
【0081】
比較例1
トナーの配合において表5で示す量の線状ポリエステル樹脂(A)、線状ポリエステル樹脂(B)、ビニル系樹脂(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてトナーC1を得た。
得られたトナーC1について実施例1と同じ評価方法を用いてトナー評価を行った。これらのトナーの評価結果を表5に示した。
【0082】
【表5】
Figure 0003811453
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、モノマー構成の異なる3種類の樹脂からなるトナー用樹脂を用いることにより、低温定着性、非オフセット性、光沢性等に優れたトナーを得ることが可能である。

Claims (7)

  1. 炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を10〜60モル部含み軟化温度が150〜220℃である線状ポリエステル樹脂(A)と、炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分を55〜100モル部含む線状ポリエステル樹脂であって該線状ポリエステル樹脂(A)とは異なる線状ポリエステル樹脂(B)と、ビニル系樹脂(C)とを含有し、全酸成分の合計量を100モル部とした場合に、(線状ポリエステル樹脂(B)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)/(線状ポリエステル樹脂(A)中における炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分のモル部)が0.5〜10の範囲であるトナー用樹脂。
  2. 線状ポリエステル樹脂(A)を3〜50質量%、線状ポリエステル樹脂(B)を10〜96質量%、ビニル系樹脂(C)を1〜40質量%含有する、請求項1記載のトナー用樹脂。
  3. 線状ポリエステル樹脂(A)の軟化温度が、線状ポリエステル樹脂(B)の軟化温度より20℃以上高い、請求項1〜2のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  4. ビニル系樹脂(C)の軟化温度が、115〜180℃の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  5. ビニル系樹脂(C)が、実質的にゲル分を有さない、請求項1〜4のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  6. 炭素数3〜10の脂肪族ジオール成分が、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも1種のジオールからの成分である、請求項1〜5のいずれかに記載のトナー用樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のトナー用樹脂を結着樹脂として含有するトナー。
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