JP2006276342A - トナー用結着樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリエステル樹脂本来の低温定着性を保ち、耐ホットオフセット性が良好で、広い定着温度幅を有し、さらには耐フィルミング性に優れるトナーを与えることのできるトナー用結着樹脂を提供する。
【解決手段】 少なくともアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを含むトナー用結着樹脂であって、該アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超えることを特徴とするトナー用結着樹脂。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくともアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを含むトナー用結着樹脂であって、該アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超えることを特徴とするトナー用結着樹脂。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法などにおいて、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる乾式トナー用の結着樹脂として好適に用いることのできる樹脂に関する。特に、本発明は、低温定着性および耐ホットオフセット性に優れ、広い定着温度幅を有するとともに、優れた耐フィルミング性を有するトナーを与えることのできる結着樹脂に関する。
電子写真法、静電記録法や静電印刷法などにおいて、静電荷像より恒久的な顕像を得るに際しては、光導電性感光体または静電記録体上に形成された静電荷像を予め摩擦により帯電させたトナーによって現像した後、定着を行う。定着は、光導電性感光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接定着させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、これを転写シート上に定着させることによって行われる。トナー像の定着は、溶剤蒸気との接触、加圧および加熱によって行われ、加熱方式としては電気オーブンによる無接触加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式とがある。
近年では、省エネルギー化の観点から、従来よりも低温定着性が求められている。このため、トナー用の結着樹脂には、低温定着性に優れるという点で、ポリエステル樹脂が使用されている。そして、ポリエステルの低温定着性と耐ホットオフセット性の向上を目的として、高分子量のビニル系共重合体を併用する結着樹脂が種々検討されている。
例えば、特開昭62−187862号公報では、ビスフェノール型ジオールと多価カルボン酸より合成される軟化点50〜150℃のポリエステル樹脂と、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.5以上で、かつ、Mwが10万以上のスチレン系重合体またはスチレン系単量体およびアクリル酸誘導体の共重合樹脂を使用したトナーが提案されている。しかし、本質的にスチレン系樹脂とポリエステル樹脂の相溶性が悪く、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスは十分なものではない。さらに、トナー混練時に、ポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂の混合性が悪く、樹脂中に顔料、添加剤を均一に分散できず、感光体にフィルミングが起き易いという欠点があった。
また、特開平8−171233号公報には、ポリエステル樹脂と、平均粒子径が1μm以下で、カルボキシル基を有するスチレンアクリルゲル微粒子とを含有し、該スチレンアクリルゲル微粒子のカルボキシル基の少なくとも一部が前記ポリエステル樹脂の水酸基と化学的に反応してエステル結合を形成することにより、前記ポリエステル樹脂との共重合体を形成している電子写真用トナーが開示されている。この技術では、ポリエステルとスチレンアクリルゲル粒子とを化学的に結合させることによりスチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂の相溶性を改良しているが、この共重合体は化学的に結合されているものであるためにポリエステル樹脂本来の低温定着性が発揮できないという欠点があった。
特開平9−292736号には、実施例において、ビニル系ポリマーをグラフトしたポリエステル樹脂と分子量ピークが3.5〜8×10万であるビニル樹脂を併用する例が開示されている。この方法では、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂の相溶性が良好であり、トナー化時に比較的均一な混合が可能となり、帯電安定性に優れたトナーが得られる。しかし、ポリエステル樹脂に本来定着性に劣るビニル系樹脂が結合されているため、ポリエステル樹脂の低温定着性が十分に発揮できないという欠点があった。
さらに、特開2004−226641号公報には、特定の線状ポリエステルとビニル系樹脂を組み合わせた例が開示されている。しかし、実施例に開示されているような重量平均分子量100万以下のビニル系樹脂では、耐ホットオフセット性および添加剤の分散性に課題を残していた。
したがって、本発明の目的は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、ポリエステル樹脂本来の低温定着性を保ち、耐ホットオフセット性が良好で、広い定着温度幅を有し、さらには耐フィルミング性に優れるトナーを与えることのできるトナー用結着樹脂を提供することにある。
本発明者らは、トナー用結着樹脂としてアクリル系熱可塑性重合体とポリエステル樹脂との組み合わせに着目し、アクリル系熱可塑性重合体の粘度について鋭意検討した結果、下記の如き構成を採用することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、少なくともアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを含むトナー用結着樹脂であって、該アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超えることを特徴とするトナー用結着樹脂を提供する。
本発明のトナー用結着樹脂によれば、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、広い定着温度幅を有するとともに、耐フィルミング性に優れたトナーを得ることができる。
以下に、本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、その思想と精神の範囲内においてさまざまな変形が可能であることは言うまでもないことである。
本発明に係る結着樹脂は、一定粘度以上のアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)を必須成分として含む。かかるアクリル系熱可塑性重合体をポリエステル樹脂と組み合わせて用いることにより、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、広い定着温度幅を有するとともに、耐フィルミング性に優れたトナーを与えることのできるトナー用結着樹脂を得ることができる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)は、還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超えるものである。この還元粘度が0.2L/gを超えることにより、耐ホットオフセット性が格段に向上するばかりか、離型剤としてワックスを使用する際に耐フィルミング性に優れたトナーが得られる。アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度が0.2L/g以下の場合、耐ホットオフセット性向上の効果が小さく、顔料分散性および耐フィルミング性の改良が十分ではないことがある。アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度の好ましい値はであり、最も好ましくは0.4L/g以上である。また、この還元粘度は、2.5L/g以下、特に2.0L/g以下であるのが好ましい。
アクリル系熱可塑性重合体(A)は、構成成分として単官能のアクリル酸アルキルエステルもしくはメタアクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)からの成分を含むのが好ましい。単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは構成単位としてエステル基を含有するため、ポリエステルとの相溶性が良好となり、ポリエステルと併用する効果が大きくなるからである。
単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が好ましく、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)は、単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜100質量部と、これと共重合可能な他のビニル単量体を必要に応じて50質量部以下とを含む合計100質量部を重合して得ることができる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)において、単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル単量体として、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジシクロスチレン等のスチレン系モノマー、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル、アクリル酸、メタアクリル酸、ケイヒ酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等のカルボン酸含有ビニル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの中から1種以上が選択される。
さらに、単官能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル単量体として、多官能性ビニル単量体を使用することもできる。多官能性ビニル単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらの中から1種以上が選択される。
アクリル系熱可塑性重合体(A)を製造するための重合法としては、乳化重合法による一段重合もしくは逐次多段重合が好ましい。ただし、特にこれに制限されることはなく、例えば、乳化重合後最外層重合体の重合時に、懸濁重合系に転換させる乳化懸濁重合によっても製造できる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)の製造においては、例えば、乳化重合法によって製造した重合体ラテックスを、各種凝固剤により分離回収し、あるいはスプレードライにより固形分を分離回収し、その重合体粉末を得ることができる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)の使用量は、トナー用結着樹脂の合計量を100質量部とした場合に、1〜25質量部であるのが好ましい。これは1質量部以上とすることで、トナーの耐オフセット性およびトナーの顔料分散性および耐フィルミング性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは3質量部以上である。一方、25質量部以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
本発明に使用できる、還元粘度が0.2L/gを超えるアクリル系熱可塑性重合体(A)の具体例としては、三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP−501A、P−530、P−530A、P−531、P−550、P−550A、P−551、P−551A、P−555、P−556A、P−501、P−700等を挙げることができる。
アクリル系熱可塑性重合体(A)の重量平均分子量Mwは80万以上であることが好ましい。重量平均分子量Mwを80万以上とすることで、還元粘度が0.2L/gを超える数値となり、耐ホットオフセット性および耐フィルミング性が得られる傾向にある。重量平均分子量Mwのさらに好ましい値は100万以上である。
アクリル系熱可塑性重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は40〜70℃の範囲であるのが好ましい。Tgを40℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは45℃以上である。また、Tgを70℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは65℃以下である。
アクリル系熱可塑性重合体(A)の粒子径は、0.001μm以上が好ましく、一方5μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(B)は、多価カルボン酸と多価ジオールを原料として用いて合成され、ビニル系共重合体により変性されていないポリエステルであるのが好ましい。ビニル系共重合体により変性されたポリエステルとしては、下記のようなものが挙げられる。
(1)特開平9−292736号公報に記載されているような、ビニル系ポリマーグラフトポリエステル
(2)特開平8−171233号公報に記載されているような、スチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂とを反応させて得られる共重合樹脂
(3)フマル酸、マレイン酸誘導体等を構成要素として含み、ビニル系単量体と共重合可能なポリエステルとビニル系単量体を重合して得られた共重合樹脂
(4)ポリエステルと化学結合可能な部位(例えば、グリシジル基等)を有するビニル系共重合体とポリエステルとを反応させて得られる共重合体
上記の如きビニル系共重合体により変性されたポリエステルを使用すると、ポリエステル本来の低温定着性が発揮できないため、好ましくない。
(2)特開平8−171233号公報に記載されているような、スチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂とを反応させて得られる共重合樹脂
(3)フマル酸、マレイン酸誘導体等を構成要素として含み、ビニル系単量体と共重合可能なポリエステルとビニル系単量体を重合して得られた共重合樹脂
(4)ポリエステルと化学結合可能な部位(例えば、グリシジル基等)を有するビニル系共重合体とポリエステルとを反応させて得られる共重合体
上記の如きビニル系共重合体により変性されたポリエステルを使用すると、ポリエステル本来の低温定着性が発揮できないため、好ましくない。
ポリエステル樹脂(B)の構成成分として有用なジオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール成分が挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上の組み合わせで使用することができる。芳香族ジオール成分は、樹脂のガラス転移温度を上げる効果があるため、これを構成成分として使用すると、得られるトナーの耐ブロッキング性が向上する傾向にある。特に、ポリオキシプロピレンもしくはポリオキシエチレン単位の数nが2.1≦n≦8であるポリオキシプロピレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2.0≦n≦3.0であるポリオキシエチレン(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
さらに、有用な他のジオール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどを挙げることができる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上の組み合わせで使用することができる。
ポリエステル樹脂(B)の構成成分として有用なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの低級アルキルエステルなどからの成分を挙げることができ、テレフタル酸もしくはイソフタル酸の低級アルキルエステルの具体例としてはテレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチル等を挙げることができるが、ハンドリング性およびコストの点でテレフタル酸やイソフタル酸が好ましい。これらのジカルボン酸またはその低級アルキルエステルは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
他に有用なジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、またはそれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルまたはそれらの酸無水物からの成分が挙げることができる。これらのジカルボン酸成分は、トナーの定着性や耐ブロッキング性といった基本特性に関係するため、本発明の目的を損なわない範囲内において、要求性能に応じて適宜に使用することができる。
本発明においては、ポリエステル樹脂(B)は3価以上の多価カルボン酸を使用した架橋ポリエステルであることが好ましい。
このような架橋ポリエステルは3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコールを使用することで製造可能である。3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコールは全酸成分に対して0〜30モル%の範囲で使用することが好ましく、さらに好ましくは0〜25モル%の範囲、より好ましくは0〜20モル%の範囲である。これは、3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコール(c)が、30モル%を超えるとポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなり、トナーの定着性や発色性が低下することがあるためである。3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上の多価アルコールとしては、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限されず、公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いて製造することができる。例えば、上記成分を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行う。次いで、常法に従って反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重合反応を実施するが、このとき150mmHg(20kPa)以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら縮重合を行う。
また、エステル化反応、エステル交換反応、縮重合時に用いる触媒としては、特に制限されず、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知の触媒を用いることができる。
重合温度、触媒量については特に限定されるものではないが、高温で副生物として発生する脂肪族ジオール成分を低減させるためには、比較的反応温度が低い領域でも反応する触媒を選択することが好ましい。例えば、三酸化アンチモン、チタンブトキサイド、そしてジブチルスズオキサイドが好適に使用される。
また、ポリエステル樹脂(B)には、離型剤を予め配合しておくことができ、離型剤の存在下でこれらのポリエステル樹脂を重合することもできる。特に、アルコール成分を含有する離型剤の存在下で重合すると、アルコール成分の一部がモノマー成分と反応し、重合体成分と離型剤成分との相溶性が向上する。これによって、本発明のトナー用結着樹脂中に含有される、離型剤成分の分散径をより小さくすることができ、得られるトナーの非オフセット性が向上する傾向にある。
ポリエステル樹脂(B)は、軟化温度が130℃未満であるのが好ましい。これは、軟化温度を130℃未満とすることによって、トナーの低温定着性が良好となる傾向にあるためである。好ましくは127℃以下であり、さらに好ましくは125℃以下である。
また、ポリエステル樹脂(B)は、ガラス転移温度が50〜75℃の範囲であるのが好ましい。Tgを50℃以上とすることによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にある。より好ましくは52℃以上である。Tgを75℃以下とすることによって、トナーの定着性が良好となる傾向にある。より好ましくは70℃以下である。
さらに、ポリエステル樹脂(B)の酸価は、10mgKOH/g以下とするのが好ましい。これによって、トナーの画像濃度が低下しにくくなる傾向にある。
本発明のトナー用結着樹脂は、アクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)を予め溶融ブレンド等の方法により、均一混合した後にトナー用結着樹脂として使用しても良く、またトナー作製時に(A)と(B)を粉体混合し、使用しても良い。
本発明のトナー用結着樹脂は、これに着色剤および荷電制御剤、離型剤、流動改質剤、磁性体等の種々の添加剤等を混合して、乾式トナーとして用いられる。トナーは、その結着樹脂の80〜100質量%がこのトナー用結着樹脂からなるのが好ましく、その他環状オレフィン樹脂、エポキシ樹脂等を併用しても良い。
本発明のトナー用結着樹脂を含むトナーにおいては、離型剤としてワックスを添加するのが好ましい。アクリル系熱可塑性重合体(A)はワックスをトナー中に良好に分散させる効果を有し、トナー用結着樹脂が離型剤としてワックスを含有する際にもフィルミングが生じることなく、ワックスの特性を十分に発揮することができる。
離型剤としては、例えば、融点が60〜100℃の範囲であるものが好ましい。これは、融点が60℃以上のものを使用することによって、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは65℃以上である。また、融点が100℃以下のものを使用することによって、トナーの低温定着性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、95℃以下である。
融点が60〜100℃の離型剤としては、ライスワックス(融点79℃)、カルナバワックス(融点83℃)、パラフィンワックス(融点60〜90℃)、蜜蝋(融点64℃)等を挙げることができる。これらは、必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができるが、なかでも25℃における針入度が3以下であるものが好ましい。これは、25℃における針入度が3以下であるものを使用すると、トナーの画像安定性が良好となる傾向にあるためである。
25℃における針入度が3以下であり、アルコール成分を含有する離型剤成分としては、例えば、ライスワックスやカルナバワックス等を挙げることができ、中でもカルナバワックスは定着性を良好にする点で特に好ましい。
また、本発明のトナーには、その他の離型剤を必要に応じて配合することができる。その他の離型剤としては、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。
これらの離型剤は、本発明のトナー中に1〜10質量%の範囲で含有されるのが好ましい。これは、離型剤成分の含有量を1質量%以上とすることによって、トナーの非オフセット性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは1.5質量%以上である。また、含有量が10質量%以下とすることによって、トナーの光沢性や画像安定性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは9質量%以下である。
本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーに使用できる着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料もしくは顔料などを挙げることができる。これらの染料や顔料はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色剤は、トナーの色調や画像濃度、熱特性の点から、トナー中に2〜10質量%程度の量で使用されるのが好ましい。
本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーに使用できる荷電制御剤としては、正帯電制御剤として4級アンモニウム塩や、塩基性もしくは電子供与性の有機物質等が挙げられ、負帯電制御剤として金属キレート類、含金属染料、酸性もしくは電子求引性の有機物質等が挙げられる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がないことが重要であり、例としてはサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。これらの荷電制御剤は、トナー中に0.5〜5質量%の量で使用するのが好ましい。これは、荷電制御剤を0.5質量%以上とすることによってトナーの帯電量が充分なレベルとなり、5質量%以下とすることによって荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にあるためである。
本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーに使用できる流動改質剤などの添加剤としては、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などが挙げられ、これらは内添剤または外添剤として使用される。これらの添加剤は、トナー中に0.05〜10質量%の量で使用できる。これらの添加剤の使用量を0.05質量%以上とすることによってトナーの性能改質効果が十分に得られる傾向にあり、10質量%を以下とすることによってトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等をはじめとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが、適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等が挙げられる。これらの磁性体は、好ましくはトナー中に40〜60質量%の範囲で使用できる。磁性体の使用量を40質量%以上とすることによってトナーの帯電量が十分なレベルとなる傾向にあり、60質量%以下とすることによってトナーの定着性が良好となる傾向にある。また、2成分現像剤として用いる場合、これはキャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを使用することができる。
本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーは、例えば、上述のトナー用樹脂、および離型剤、着色剤、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて無機粒子の外添処理等を行って製造することができる。特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル系樹脂の軟化温度よりも高い温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
また、本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナーは、平均粒径が7μm以下であるのが好ましい。これは、トナーの平均粒径が7μm以下であることによって、非オフセット性に優れるとともに、光沢性や解像度に優れた画像が得られる傾向にあるためである。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、これらの実施例における樹脂やトナーの評価方法は以下の通りである。
樹脂評価方法
1)軟化温度
島津製作所(株)製、フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出したときの温度。
1)軟化温度
島津製作所(株)製、フローテスターCFT−500を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、昇温速度3℃/分の等速昇温下で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出したときの温度。
2)酸価
KOH溶液を用いた滴定法による測定値。
KOH溶液を用いた滴定法による測定値。
3)ガラス転移温度
示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度。
示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートのベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度。
4)還元粘度
アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度は、サン電子工業(株)製、AVL−2C自動粘度計を使用して、溶媒にはクロロホルムを用い、25℃で測定した。測定においては、クロロホルム100mLにサンプル0.1gを溶かしたものを使用した。
アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度は、サン電子工業(株)製、AVL−2C自動粘度計を使用して、溶媒にはクロロホルムを用い、25℃で測定した。測定においては、クロロホルム100mLにサンプル0.1gを溶かしたものを使用した。
5)重量平均分子量
GPC法によりポリスチレン換算値を以下の条件下で求めた。
GPC法によりポリスチレン換算値を以下の条件下で求めた。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、高速GPC装置「CP8000」
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelG5000HXLとTSKgelG3000HXLを2本直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:クロロホルム
試料濃度:3mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
トナー評価方法
1)定着特性:最低定着温度
複写機「PAGEPREST N4−612II」(カシオ電子工業(株)製)を改造した装置を用い、未定着画像を画出し、定着温度領域のテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速30mm/sに設定したものである。熱ローラー設定温度を5℃ずつ下げながら、A4普通紙(大昭和製紙(株)製、BM64T)に印刷した定着画像に対しておもりによる摺擦及びテープ剥離を施し、下記式によって定着強度を算出した。この定着強度が80%を超える温度を最低定着温度とした。画像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD−917を使用した。
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelG5000HXLとTSKgelG3000HXLを2本直列に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:クロロホルム
試料濃度:3mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
トナー評価方法
1)定着特性:最低定着温度
複写機「PAGEPREST N4−612II」(カシオ電子工業(株)製)を改造した装置を用い、未定着画像を画出し、定着温度領域のテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速30mm/sに設定したものである。熱ローラー設定温度を5℃ずつ下げながら、A4普通紙(大昭和製紙(株)製、BM64T)に印刷した定着画像に対しておもりによる摺擦及びテープ剥離を施し、下記式によって定着強度を算出した。この定着強度が80%を超える温度を最低定着温度とした。画像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD−917を使用した。
定着強度(%)=摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前の定着画像の画像濃度×100
◎(良好):最低定着温度が120℃以下
○(使用可能):最低定着温度が130℃以下
×(劣る):最低定着温度が130℃を超える
2)定着特性:最高定着温度
上記最低定着温度の測定に準じて、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着機により定着処理を行い、紙の余白部分にトナー汚れが生じるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラーの設定温度を5℃ずつ上昇させながら200℃まで繰り返し、この定着画像について日本電色工業(株)製のグロスメーターPG−1を用い、入射角75度のときの光沢値を測定した。光沢度は設定温度の上昇に伴い増加するが、ある温度を境に低下する。このように光沢度が低下し始める設定温度をホットオフセット発生温度とみなし、光沢最大値を与える設定温度を最高定着温度とした。
◎(良好):最低定着温度が120℃以下
○(使用可能):最低定着温度が130℃以下
×(劣る):最低定着温度が130℃を超える
2)定着特性:最高定着温度
上記最低定着温度の測定に準じて、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着機により定着処理を行い、紙の余白部分にトナー汚れが生じるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラーの設定温度を5℃ずつ上昇させながら200℃まで繰り返し、この定着画像について日本電色工業(株)製のグロスメーターPG−1を用い、入射角75度のときの光沢値を測定した。光沢度は設定温度の上昇に伴い増加するが、ある温度を境に低下する。このように光沢度が低下し始める設定温度をホットオフセット発生温度とみなし、光沢最大値を与える設定温度を最高定着温度とした。
3)定着特性:定着温度幅
最高定着温度と最低定着温度の差を定着温度幅とし、以下の基準で判定した。
最高定着温度と最低定着温度の差を定着温度幅とし、以下の基準で判定した。
◎(良好):定着温度幅が50℃以上
○(使用可能):定着温度幅が40℃以上
×(劣る):定着温度が40℃未満
4)耐フィルミング性
フルカラープリンター(カシオ電子工業(株)製、N5300)を用いて、A4紙上にベタ画像を10万枚した後の感光体の汚染状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果、紙上の平均付着量は0.75mg/cm2となった。
○(使用可能):定着温度幅が40℃以上
×(劣る):定着温度が40℃未満
4)耐フィルミング性
フルカラープリンター(カシオ電子工業(株)製、N5300)を用いて、A4紙上にベタ画像を10万枚した後の感光体の汚染状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果、紙上の平均付着量は0.75mg/cm2となった。
◎(良好):感光体の汚れが認められない
○(使用可能):感光体にやや汚れが認められる
×(劣る):感光体の汚れが顕著である
1.アクリル系熱可塑性重合体(A)の製造例
製造例1
反応容器に窒素置換したイオン交換水300部を仕込み、乳化剤(花王(株)製、ラテムルASK)1部、過硫酸カリウム0.15部を仕込んだ。続いてメチルメタクリレート80部、ブチルアクリレート20部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間攪拌し、重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸凝析し、その後脱水、水洗、乾燥し、粉体状で重合体を回収した。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは270万であり、還元粘度は0.9L/gであった。この共重合体をアクリル系熱可塑性重合体(A)−1として使用した。
○(使用可能):感光体にやや汚れが認められる
×(劣る):感光体の汚れが顕著である
1.アクリル系熱可塑性重合体(A)の製造例
製造例1
反応容器に窒素置換したイオン交換水300部を仕込み、乳化剤(花王(株)製、ラテムルASK)1部、過硫酸カリウム0.15部を仕込んだ。続いてメチルメタクリレート80部、ブチルアクリレート20部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間攪拌し、重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸凝析し、その後脱水、水洗、乾燥し、粉体状で重合体を回収した。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは270万であり、還元粘度は0.9L/gであった。この共重合体をアクリル系熱可塑性重合体(A)−1として使用した。
製造例2
反応容器に窒素置換したイオン交換水260部を仕込み、乳化剤(花王(株)製、ラテムルASK)1部、過硫酸カリウム0.15部を仕込んだ。続いてメチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート2部、n−オクチルメルカプタン0.004部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間攪拌し、重合を完結させた。引き続いて、メチルメタクリレート44部およびブチルアクリレート14部からなる単量体混合物を2時間にわたり滴下し、滴下終了後2時間保持し、重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸凝析し、その後脱水、水洗、乾燥し、粉体状で重合体を回収した。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは130万であり、還元粘度は0.4L/gであった。この共重合体をアクリル系熱可塑性重合体(A)−2として使用した。
反応容器に窒素置換したイオン交換水260部を仕込み、乳化剤(花王(株)製、ラテムルASK)1部、過硫酸カリウム0.15部を仕込んだ。続いてメチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート2部、n−オクチルメルカプタン0.004部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間攪拌し、重合を完結させた。引き続いて、メチルメタクリレート44部およびブチルアクリレート14部からなる単量体混合物を2時間にわたり滴下し、滴下終了後2時間保持し、重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水溶液に添加し、重合体を酸凝析し、その後脱水、水洗、乾燥し、粉体状で重合体を回収した。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは130万であり、還元粘度は0.4L/gであった。この共重合体をアクリル系熱可塑性重合体(A)−2として使用した。
製造例3
反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、ポリビニルアルコール0.2部を入れて攪拌し、ポリビニルアルコールを溶解させた。続いて、メチルメタクリレート58部、ブチルアクリレート40部、メタクリル酸2部、アゾビスブチルニトリル0.2部を仕込み、80℃にて2時間攪拌し、その後90℃に昇温して1時間攪拌し、重合を完結させた。反応器を冷却後、共重合体を取り出し、脱イオン水で十分洗浄し、アクリル系熱可塑性重合体(A)−3を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは20万であり、還元粘度は0.1L/gであった。
反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、ポリビニルアルコール0.2部を入れて攪拌し、ポリビニルアルコールを溶解させた。続いて、メチルメタクリレート58部、ブチルアクリレート40部、メタクリル酸2部、アゾビスブチルニトリル0.2部を仕込み、80℃にて2時間攪拌し、その後90℃に昇温して1時間攪拌し、重合を完結させた。反応器を冷却後、共重合体を取り出し、脱イオン水で十分洗浄し、アクリル系熱可塑性重合体(A)−3を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは20万であり、還元粘度は0.1L/gであった。
2.ポリエステル樹脂(B)の製造例
表1に示される仕込み組成のモノマー成分と、全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔を備え付けた反応容器に投入した。次いで、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。次いで、反応系内の温度を230℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し、冷却して、樹脂(B)−1、樹脂(B)−2を得た。各ポリエステル樹脂(B)の特性値を表1に示す。
表1に示される仕込み組成のモノマー成分と、全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔を備え付けた反応容器に投入した。次いで、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。次いで、反応系内の温度を230℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を行った。反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し、冷却して、樹脂(B)−1、樹脂(B)−2を得た。各ポリエステル樹脂(B)の特性値を表1に示す。
実施例1〜5および比較例1
各実施例および比較例においては、結着樹脂として表2に示す組み合わせおよび配合量のアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)の合計93質量部と、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)3質量部、負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を予備混合し、得られた混合物を2軸混練機を用いて160℃で溶融混練し、粗粉砕後、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、平均粒径を5μmとした。得られた微粉末に対して、0.2質量%のシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させ、最終的にトナー1〜6を得た。このトナーを非磁性1成分乾式複写機に実装し、初期画像を得、その性能を評価した。
各実施例および比較例においては、結着樹脂として表2に示す組み合わせおよび配合量のアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)の合計93質量部と、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)3質量部、負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を予備混合し、得られた混合物を2軸混練機を用いて160℃で溶融混練し、粗粉砕後、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、平均粒径を5μmとした。得られた微粉末に対して、0.2質量%のシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合して付着させ、最終的にトナー1〜6を得た。このトナーを非磁性1成分乾式複写機に実装し、初期画像を得、その性能を評価した。
得られたトナー1〜6の評価結果を表3に示した。
(A)−4:三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP−530A
(A)−5:三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP−551A
(A)−5:三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンP−551A
以上の結果から理解されるように、アクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを使用した本発明のトナー用結着樹脂を用いたトナー1〜5はいずれも良好な低温定着性を発現すると同時に、耐ホットオフセット性に優れ、広い定着温度幅を示した。また、10万枚印刷後の感光体には目立った汚れもなく、トナー1〜3は耐フィルミング性に優れていることが示された。
これに対して、トナー6は、アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度が0.1L/gであるため、耐ホットオフセット性が不足し定着幅は35℃であった。また感光体汚れが顕著であり、耐フィルミング性に劣ることが示された。
本発明は、優れた電子記録用トナーを与えるトナー用結着樹脂を提供することができるので、産業上有用である。
Claims (4)
- 少なくともアクリル系熱可塑性重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを含むトナー用結着樹脂であって、アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超えることを特徴とするトナー用結着樹脂。
- アクリル系熱可塑性重合体(A)の還元粘度が0.3L/g以上である、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
- アクリル系熱可塑性重合体(A)が、構成成分として単官能のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルからの成分を、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
- 請求項1〜3に記載したトナー用結着樹脂を含むトナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005093870A JP2006276342A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | トナー用結着樹脂 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005093870A JP2006276342A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | トナー用結着樹脂 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006276342A true JP2006276342A (ja) | 2006-10-12 |
Family
ID=37211186
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005093870A Pending JP2006276342A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | トナー用結着樹脂 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006276342A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008095025A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Jsp Corp | 光拡散剤及びビニル系樹脂粒子の製造方法並びに光拡散シート |
-
2005
- 2005-03-29 JP JP2005093870A patent/JP2006276342A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008095025A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Jsp Corp | 光拡散剤及びビニル系樹脂粒子の製造方法並びに光拡散シート |
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