JP2010083973A - トナー用架橋ポリエステル樹脂および製造方法 - Google Patents

トナー用架橋ポリエステル樹脂および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】120℃以下でも十分な定着強度を発現できる低温定着性を有し、耐高温オフセット性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】
THF不溶分を含み、該THF不溶分が下記(1)、(2)式を満足するトナー用架橋ポリエステル樹脂
17%≦Mlong≦40%・・・(1)
10%≦Mshort≦23%・・・(2)
(Mlong:T2long(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も遅い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
(Mshort:T2short(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も早い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、トナー用架橋ポリエステル樹脂に関するものである。
電子写真印刷法及び静電荷現像法により画像を得る方法においては、感光体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像したのち、定着を行う。定着方式については、現像によって得られたトナー像を加圧及び加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブン或いはフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーは、まず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
最近では、省エネ化が特に要求されるようになってきており、その結果、ヒートローラー方式において、定着部の低温化が進んできた。そのため、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、つまり低温定着性が強く求められるようになってきている。また、ヒートローラー方式においては、いわゆるオフセット現象が発生するため、耐高温オフセット性が要求されるのが前提である。従って、耐高温オフセット性を維持しつつ、例えば定着温度120℃以下の条件でも紙への定着を示すといった低温定着性を発現させる必要があり、より広いワーキングレンジ、例えば定着温度幅が90℃以上を有するトナーが要求されるようになってきている。
トナー用結着樹脂は、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られているが、最近では、透明性と定着性のバランスを取りやすいことから、ポリエステル樹脂が特に注目されている。
トナー用ポリエステル樹脂の定着性を改良する手段として、線状ポリエステル樹脂に不飽和基を導入し、重合開始剤などにより反応、架橋させる検討が行われている。
例えば、特許文献1では、フマル酸とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等からなる不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を架橋反応させることによって、架橋された部分と架橋されていない部分を含むトナー用樹脂を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、ピーク分子量が12000以上の不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂と、ピーク分子量が12000未満のポリエステル樹脂を架橋反応させて得られる架橋ポリエステル樹脂が記載されている。
特開平6−130722号公報 WO2007−034813号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法によって得られる架橋ポリエステル樹脂を用いたトナーは、一種類の不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を用いており定着幅が狭いという問題があり、特許文献2においては、溶融混合が不十分で架橋反応が不均一であるため、低温領域での定着強度が低いという問題があった。
本発明の目的は、120℃以下でも十分な定着強度を発現できる低温定着性を有し、耐高温オフセット性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂を得ることにある。
本発明の要旨は、THF不溶分を含み、該THF不溶分が下記(1)、(2)式を満足するトナー用架橋ポリエステル樹脂にある。
17%≦Mlong≦40%・・・(1)
10%≦Mshort≦23%・・・(2)
(Mlong:T2long(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も遅い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
(Mshort:T2short(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も早い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
本発明によれば、120℃以下でも十分な定着強度を発現できる低温定着性を有し、耐高温オフセット性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂を得ることが可能となる。
本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂は、THF(テトラヒドロフラン)に溶解しない架橋密度の高い架橋成分である「THF不溶分」を含有する。
該THF不溶分は、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を架橋反応して得られるものであり、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性の双方をより顕著に発現させるためには、1〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%である。
さらに、該THF不溶分は、下記(1)、(2)式を満足することが必要である。
17%≦Mlong≦40%・・・(1)
10%≦Mshort≦23%・・・(2)
本発明では、THF不溶部の分子鎖は3つの不均一な運動成分を有すると推定され、分子運動の遅い方より次の3つに分類される。
(I)架橋点や分子鎖の絡み合いにより分子鎖の運動が拘束された分子鎖部。(架橋が密な部分)
(II)架橋点間もしくは絡み合い点間の分子鎖部。(架橋が疎な部分)
(III)分子鎖末端や枝分かれ先の分子鎖部。(ゲル分子末端部)
該THF不溶分を120℃でパルスNMRを測定すると、自由誘導減衰曲線(FID)を非線形最小二乗法で解析することで、上記3成分に由来する3つの緩和曲線の和で近似することができる。
Mlongは、上記(III)のゲル分子末端部に該当し、T2longをもつプロトンの割合を表す。
T2longは、120℃でパルスNMR(25MHz)により得られるFIDを3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も遅い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間であり、得られる3つのスピンスピン緩和時間の中で最も長い緩和時間である。T2は分子運動の速さと相関があり、T2が長いと分子運動が速いことを示し、Mlongは分子運動の速い部分の割合を示す。
低温での耐オフセット性を得るためには、架橋成分が運動性の早い部分を含んでいる必要があり、本発明では、Mlongが(1)式を満足することが必要である。
Mlongが17%より少ない場合、低温での耐オフセット性が悪くなる。
また、Mlongが40%を超えた場合、耐高温オフセット性が悪くなる。
また、Mshortは、上記(I)の架橋が密な部分に該当し、T2shortをもつプロトンの割合を表す。
T2shortは、120℃でパルスNMR(25MHz)により得られるFIDを3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も早い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間であり、得られる3つのスピンスピン緩和時間の中で最も短い緩和時間である。T2(スピンスピン緩和時間)が短いと分子運動が遅いことを示し、Mshortは分子運動の遅い部分の割合を示す。
本発明では、低温での定着強度を得るためには、Mshortが(2)式を満足することが必要である。
Mshortが10%より少ない場合、定着強度が悪くなる。また、Mshortが23%を超える場合、定着強度と耐低温オフセット性が悪化する。
なお、T2は、公知のパルスNMRにより測定可能であり、T2の測定は粘弾性体を測定するにはソリッドエコー法が望ましい。
測定温度は120℃で行い、自由誘導減衰曲線(FID)を非線形最小二乗法で解析することで、上記三成分に由来する三つの緩和曲線の和でに近似することができ、三成分由来のT2とそのT2をもつプロトンの割合Mがそれぞれ得られる。
またMlong、Mshortが(1)、(2)式を満足するためには、軟化温度の異なる2種類の不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を、せん断エネルギー0.05kWh/kg以上で溶融混合した後に、架橋反応開始剤を用いて架橋反応させることによって得られる。
溶融混合する際のせん断エネルギーが0.05kWh/kgよりも小さい場合、Mshortは減少し、同時にMlongは増加し、結果として耐低温オフセット性と定着強度を悪化させる。この下限値は、0.1kWh/kgであることが特に好ましい。また、この上限値は10kWh/kgであることが好ましい。
せん断エネルギーを0.05kWh/kg以上とするための溶融混合装置としては、例えば、2軸押出機、単軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー混練機、射出成型機、スタティックミキサーと供給ポンプ等の溶融混合装置が挙げられ、2軸押出機、単軸押出機を用いることが好ましい。
なお、せん断エネルギーは、溶融混合装置の電力値と樹脂吐出量を測定し、下記(3)式により算出される。
せん断エネルギー(kWh/kg)=溶融混合装置の電力値(kWh)/1時間あたりの樹脂吐出量(kg)・・・(3)
次に本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂の製造方法の一例を示す。
本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂は、軟化温度の異なる2種類の不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を、せん断エネルギー0.05kWh/kg以上で溶融混合した後に、架橋反応開始剤を用いて架橋反応させることによって得られる。
不飽和二重結合の架橋反応の形態は、特に制限されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応が好ましい。
ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合をラジカル付加反応、カチオン付加反応、またはアニオン付加反応等によって反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応は、熱反応、光反応、酸化還元反応等により発生する活性種により進行させることができる。このうち、熱反応が好ましく、特に、ラジカル反応が好ましい。
ラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、アゾ化合物や有機過酸化物が用いられる。中でも開始剤効率が高く、シアン化合物副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。
中でも、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤が特に好ましく、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高い反応開始剤が特に好ましい。
架橋反応に用いる開始剤の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましい。
開始剤の使用量が0.01質量部未満の場合、不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応が進行せず、トナーの耐高温オフセット性が悪化する。 開始剤の使用量が5質量部を超える場合、不飽和ポリエステル樹脂の架橋反応が過剰に進行し、トナーの耐高温オフセット性が悪化する。この上限値は、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以下であることが特に好ましい。
架橋反応を行う時間は、用いるラジカル反応開始剤の10時間半減期温度を考慮して設定することが好ましいが、ポリエステル樹脂の熱分解反応を考慮すると、0.5分〜10分の範囲が好ましい。
架橋反応を行う温度は、用いるラジカル反応開始剤の10時間半減期温度を考慮して設定することが好ましいが、ポリエステル樹脂の粘度、熱分解反応、架橋反応性を考慮すると、100℃〜250℃の範囲が好ましい。
また、不飽和二重結合の架橋反応を行う場合の開始剤の添加方法としては、予め架橋反応開始剤を希釈剤に分散させた混合物を調製し、この混合物をポリエステル樹脂に添加することが好ましい。
架橋反応開始剤を希釈剤で希釈することによって、架橋反応の進行を緩やかにすることができ、THF不溶分の調整が容易になる傾向にある。
希釈剤として用いられる化合物は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂の構成成分として用いられる酸化合物、アルコール化合物を用いてもよいし、低分子量のポリエステル樹脂を希釈剤として用いてもよい。その他にも、多価カルボン酸ポリアルキルエステル、リン酸エステル、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアルキレングリコール、シリコーンオイル、離型剤等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、離型剤が特に好ましい。希釈剤は、トナー用ポリエステル樹脂中に残存することになるが、離型剤はトナーの添加剤として使用されものであるため、トナー用ポリエステル樹脂中に残存してもトナー性能に悪影響を及ぼさないからである。さらに、予めトナー用ポリエステル樹脂に離型剤が含有されることによって、トナー化時に添加される場合よりも、離型剤の分散性が良好となる傾向にあるからである。
ラジカル反応開始剤の希釈剤として離型剤を用いる場合には、不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものを用いることが好ましい。不飽和二重結合の架橋反応を阻害しないものとしては、炭化水素系の離型剤が好ましく、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;またはこれらのブロック化合物などが挙げられる。
これらの中では、ラジカル反応開始剤との混合が容易であり、トナーの低温定着性をさらに高めることができる傾向にあることから、離型剤の融点は120℃以下であることが好ましい。融点が120℃以下の離型剤としては、パラフィンワックスが最も好ましい。
架橋反応開始剤の希釈率(架橋反応開始剤と離型剤の混合比率)は、特に制限されないが、架橋反応開始剤/離型剤(質量比)=0.1/99.9〜50/50の範囲であることが好ましい。この比が0.1/99.9以上である場合に架橋反応を効率よく起こさせることができる傾向にあり、また50/50以下である場合に自己誘発分解を抑制できる傾向にある。
なお、不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するものである。不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するためには、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物を用いて重縮合反応をさせ、これらの化合物をポリエステル樹脂の構成成分として取り込めばよい。
不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物の例としては、特に制限されないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル誘導体、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸およびこれらのエステル誘導体等が挙げられる。また、不飽和二重結合を有するアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されず、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物、不飽和二重結合を有さないカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さないアルコール化合物から導かれる成分を重合反応釜に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、不飽和ポリエステル樹脂を製造する。
不飽和ポリエステル樹脂の重合に際しては、チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃〜290℃の範囲が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂は、エステル化反応後の縮合反応によって軟化温度を調整することができる。例えば、180℃〜290℃の反応温度で反応容器内を減圧し、高真空化で反応を進めることで、軟化温度を上げることができる。反応の終点は、反応容器からサンプリングした樹脂の軟化温度を測定するか、反応容器の攪拌翼に取り付けたトルクメーター指示値を軟化温度に換算することで決定することができる。
なお、不飽和ポリエステル樹脂は、線状構造が好ましく、不飽和ポリエステル樹脂を線状構造とするためには、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物以外に、不飽和二重結合を有さない2価のカルボン酸化合物および不飽和二重結合を有さない2価のアルコール化合物から導かれる成分を主要な構成成分として反応を行えばよい。
さらに、線状構造を保つことができる程度に、1価のカルボン酸化合物および/または1価のアルコール化合物から導かれる構成成分、3価以上のカルボン酸化合物および/または3価以上のアルコール化合物から導かれる構成成分を構成成分として含有してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、軟化温度の低いポリエステル樹脂と、軟化温度の高いポリエステル樹脂共に、不飽和二重結合を有する構成成分がカルボン酸化合物である場合には、該カルボン酸化合物がポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル%中、1〜50モル%であることが好ましく、不飽和二重結合を有する構成成分がアルコール化合物である場合には、該アルコール化合物がポリエステル樹脂を構成する酸成分100モル%に対して、1〜50モル%であることが好ましい。また、両者を併用する場合には、両者の合計が1〜50モル%であることが好ましい。不飽和ポリエステル樹脂の不飽和二重結合の含有量を好ましい範囲とするためには、上述の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物の仕込み組成を、不飽和二重結合含有量の好ましい範囲となるよう設定すればよい。
さらに本発明では、Mlongを40%以下とするためには、ピーク分子量が、12,000以上の軟化温度の高いポリエステル樹脂を架橋反応に用いることが好ましい。
また本発明では、軟化温度の高い不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂と軟化温度の低い不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂の配合比率を、1/99(質量比)以上とすることが好ましい。この配合比率が上記比率の範囲内である場合に、Mshortが10%以上になりやすく、トナーの低温定着性と耐高温オフセット性が良好となる傾向にある。
さらに配合比率の上限値は、20/80(質量比)であることが好ましい。20/80を超えた場合、Mlongが17%を超える傾向にある。
次に、本発明の製造方法により得られたトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を含むトナーについて説明する。
トナー用ポリエステル樹脂の含有量については、特に制限されないが、磁性粉を含有する磁性トナーの場合にはトナー全量中40〜60質量%であることが好ましく、磁性粉を含まない非磁性トナーの場合にはトナー全量中80〜95質量%であることが好ましい。
該トナーは、本発明の製造方法によるポリエステル樹脂以外にも、所望に応じて、環状オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂等の樹脂を結着樹脂として含有してもよい。
離型剤としては、特に制限されないが、例えば、融点が60〜130℃の範囲の離型剤が好ましい。離型剤の融点が60℃以上の場合に、トナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、130℃以下の場合に、トナーの低温定着性が良好となる傾向にある。
離型剤の種類としては、特に制限されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック化合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、および脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類の一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。
離型剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中0.1〜10質量%が好ましい。
着色剤としては、特に制限されず、公知の顔料、染料等を用いることができる。着色剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、帯電安定性、熱特性の点から、トナー全量中0.1〜15質量%の範囲が好ましい。
該トナーは、前述のポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤を含有するものであるが、必要に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の各種添加剤を含有してもよい。
また、2成分現像剤として用いる場合には、キャリアと併用して用いられる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを使用することができる。
次に、該トナーの製造方法について説明する。
該トナーは、上述のトナー用ポリエステル樹脂、離型剤、および着色剤、並びに所望に応じて、荷電制御剤、流動改質剤、磁性体等の添加剤を混合した後、2軸押出機などで溶融混練し、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じて流動改質剤の外添処理等を行って製造することができる。
特に、混練工程においては、押出機のシリンダー内温度がポリエステル樹脂の軟化温度よりも高くなるような温度で混練するのが好ましい。また、上記工程において、微粉砕〜分級後にトナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。なお、評価は以下の方法に従った。
(Mlong、T2long、Mshort、T2short)
サンプルとなるゲルは以下の方法により架橋ポリエステル樹脂より分離した。
容量300mlのビーカーに、架橋ポリエステル樹脂15g、THFを200mL加え、スターリングバーで3時間よくかき混ぜた。その後、上澄み液を取り除き、さらにTHFを200mL加え、さらに3時間よくかき混ぜた。そして、ひだ折ろ紙に、混合液を展開してろ過を行った。ろ過をおこなっているところに約100mlのTHFを添加し、可溶分を洗い流すことを3回繰り返した。
ろ紙にたまったTHF不溶分をシャーレに移し、真空乾燥機に入れて、60℃で3時間乾燥させてゲル分を得た。
パルスNMRの測定条件
パルスNMR装置は、水素核測定周波数25MHzのJNM−MU25(日本電子((株))製)を用いた。測定にはソリッドエコー法を用いた。90゜パルス幅は2μs、90゜パルス間隔は8μs、繰り返し時間は1s、積算回数は64回である。FIDのポイント数は2000点であり、FID取り込み時間は3msである。
サンプルは粉砕し10mmのサンプル管に400mg入れて測定に供した。測定温度は120℃である。サンプル管を投入後、温度が均一になるように20分以上おいた後測定を行った。FIDを最小二乗法でフィッティングさせMlong、T2long、Mshort、T2shortを得た。フィッティングにおいて、最も短いT2を求める際にはワイブルパラメータに2を使用し、それ以外のT2を求めるには、ワイブルパラメータ1を使用した。サンプル管を90゜回転させ4回測定し、4回測定の平均値を測定値とした。
(軟化温度)
フローテスターCFT−500D(島津製作所(株)製)を用い、1mmφ×10mmのノズルにより、荷重294N(30Kgf)、予熱時間5分、昇温速度3℃/分で測定した時、サンプル1.0g中の1/2が流出した温度を軟化温度とした。
(THF不溶分)
内径3.5cmの円筒状のガラスろ過器1GP100(柴田化学社製)に、セライト545(キシダ化学社製)を約2g入れ、セライト545の層の高さが変化しなくなるまで、ガラスろ過器をコルク台に軽くたたきつけた。この操作を4回繰り返して、セライト545の層の高さがフィルター面から2cmとなるように、ガラスろ過器へセライト545を充填した。このセライト545が充填されたガラスろ過器を105℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量した(Yg)。次いで、サンプル約0.5gを三角フラスコ内に入れて精秤し(Xg)、次いでTHF50mlを加え、70℃のウォーターバスにて3時間加熱して、THF還流下でサンプルを溶解させた。
この溶液を上記セライト545が充填されたガラスろ過器へ投入し、吸引ろ過した。THF不溶分を捕捉したガラスろ過器を80℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量し(Zg)、以下の式に従って、THF不溶分を算出した。
THF不溶分=(Z−Y)/X ×100 (質量%)
(ピーク分子量)
GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めた。
装置:東洋ソーダ工業(株)製、HLC8020
カラム:東洋ソーダ工業(株)製、TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結に連結
オーブン温度:40℃
溶離液:THF
試料濃度:2mg/10mL
濾過条件:0.45μmテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで試料溶液を濾過
流速:1mL/分
注入量:0.1mL
検出器:RI
検量線作成用標準ポリスチレン試料:東洋ソーダ工業(株)製TSK stAndArd、A−500(分子量5.0×10)、A−2500(分子量2.74×10)、F−2(分子量1.96×10)、F−20(分子量1.9×10)、F−40(分子量3.55×10)、F−80(分子量7.06×10)、F−128(分子量1.09×10)、F−288(分子量2.89×10)、F−700(分子量6.77×10)、F−2000(分子量2.0×10)。

(トナー評価方法)
・定着特性:耐高温オフセット性
複写機「PAGEPREST N4−612 II」(カシオ電子工業社製)を用い定着ローラーの温度を変え、未定着画像を画出し、定着温度領域のテストを行った。ここで用いた定着ローラーは、シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーであり、ニップ幅3mm、線速25mm/秒に設定したものである。
熱ローラー設定温度を5℃ずつ上昇させ、A4普通紙(大昭和製紙製:BM64T)の上部に印刷した1%の印字比率のベタ画像がローラーに付着し、紙の下余白部分を汚すかどうかを目視にて確認し、汚れの生じない最高の設定温度を最高定着温度とし、以下の基準で判定した。
非常に良好:最高定着温度が200℃以上
良好 :最高定着温度が190℃以上200℃未満
劣る :最高定着温度が190℃未満
・定着特性:耐低温オフセット性
上記の測定に準じて、複写・定着処理を前記熱ローラーの設定温度を5℃ずつ低下させながら90℃まで繰り返し、A4普通紙(大昭和製紙製:BM64T)の上部に印刷した1%の印字比率のベタ画像がローラーに付着し、紙の下余白部分を汚すかどうかを目視にて確認し、汚れの生じない最低の設定温度を耐低温オフセット温度とし、以下の基準で判定した。
非常に良好 :耐低温オフセット性が110℃未満
良好 :耐低温オフセット性が110℃以上120℃未満
劣る :耐低温オフセット性が120℃以上
・定着特性:120℃定着強度
定着強度は、上記の測定に準じて、複写・定着処理を前記熱ローラーの設定温度を120℃とし、幅評価に使用した印刷用紙を用い、印刷部分を折り曲げて加重5kg/cm2をかけた後、セロハンテープ(日東電工包装システム社製、品番:N.29)を貼って剥がし、この操作の前後における印刷部分の光量をマクベス光量計にて測定し、その測定値から定着率を算出した。
定着強度(%)=(セロハンテープ剥離試験後の光量)/(試験前の光量)×100(%)
非常に良好 :定着強度が95%以上
良好 :定着強度が90%以上
劣る :定着強度が90%未満
(実施例1)
(軟化温度の低いポリエステル樹脂)
酸成分としてテレフタル酸90モル部およびフマル酸10モル部、アルコール成分としてエチレングリコール45モル部およびネオペンチルグリコールを60部と、全酸成分に対して1000ppmのジブチル錫オキサイドとを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。
次いで、反応系内の温度を220℃に保ち、反応容器内を減圧し、反応を継続した。反応の進行とともに、サンプリングして軟化温度を測定するという作業を繰り返しながら、軟化温度103℃に到達した時点で反応物を取り出し、冷却して軟化温度の低いポリエステル樹脂(樹脂A)を得た。樹脂Aの特性値を表1に示す。
(軟化温度の高いポリエステル樹脂)
酸性分としてテレフタル酸80モル部およびフマル酸20モル部、アルコール成分として1,4−シクロヘキシルジメタノール40モル部およびエチレングリコール80モル部、また全酸成分に対して1500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。次いで昇温を開始し、反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまでエステル化反応を継続した。次いで、反応系内の温度を270℃とし、反応容器内を減圧し、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所望の軟化温度となる値を示すまで反応を行った。そして、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出し冷却して、軟化温度の高いポリエステル樹脂(樹脂a)を得た。樹脂aの仕込み組成、軟化温度、特性値を表1に示す。
(架橋反応開始剤I)
次に、パラフィンワックス(商品名SP−160:日本精鑞社製):1.35質量部を70℃に加熱して溶融させ、パーヘキサ25B(日本油脂((株))製:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン90%含有物)0.15質量部を添加し、得られた混合物(パラフィンワックス/2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン=90/10)を冷却、粉砕して、架橋反応開始剤Iを調整した。
(架橋反応)
樹脂A:0.85kg、樹脂a:0.15kgを2軸押出機PCM−30(池貝工業(株)社製)に供給して溶融混合を行った。溶融混合は、外温設定180℃、押出機回転数100rpm、吐出量2.4kg/時、約1分の平均滞留時間の条件を用いて、2軸押出機中で行った。溶融混合装置の電力値は0.5kWhであり、溶融混合のせん断エネルギーは0.2kWh/kgであった。
得られた溶融混合体100質量部に、架橋反応開始剤Iを1.0質量部混合した後、2軸押出機PCM−30(池貝工業(株)社製)に供給して架橋反応を行った。架橋反応は、外温設定180℃、押出機回転数50rpm、吐出量1.2kg/時、約3分の平均滞留時間の条件を用いて、2軸押出機中で行った。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は9%であった。
(トナー化)
得られた架橋ポリエステル樹脂93質量部、キナクリドン顔料(クラリアント社製E02)3質量部、カルナバワックス(東洋ペトロライド社製)3質量部、および負帯電性の荷電制御剤(日本カーリット社製LR−147)1質量部を予備混合し、2軸押出機を用いて160℃で溶融混練し、粗粉砕後、ジェットミル微粉砕機で微粉砕し、分級機でトナーの粒径を整え、平均粒径を5μmの微粉末を得た。得られた微粉末に対して、0.2質量%となるようにシリカ(日本アエロジル社製R−972)を加え、ヘンシェルミキサーで混合し付着させ、トナーを得た。このトナーを非磁性1成分乾式複写機に実装し、その性能を評価した。トナーの評価結果を表2に示す。
(実施例2)
架橋反応で架橋反応開始剤Iを1.5質量部とした以外は実施例1と同等の方法で架橋ポリエステル樹脂を得た。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は19%であった。
得られた架橋ポリエステル樹脂を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナーを得た。トナーの評価結果を表2に示す。
(実施例3)
架橋反応で架橋反応開始剤Iを2.0質量部とした以外は実施例1と同等の方法で架橋ポリエステル樹脂を得た。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は28%であった。
得られた架橋ポリエステル樹脂を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナー3を得た。トナー3の評価結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリエステル樹脂A:0.85kgおよびポリエステル樹脂a:0.15kgをそれぞれ200℃に加熱して溶融状態とし、ギヤポンプを用い、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂aを配合比がA/a=85/15(質量比)となるように溶融混合用スタティックミキサー(商品名スルザーミキサーSMX-15A:6エレメント:緑機械工業(株)製)へ供給して、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂aを溶融混合した。吐出量3kg/時、ギヤポンプの電力値は0.01kWhであり、溶融混合のせん断エネルギーは0.003kWh/kgであった。
続いて、得られた混合ポリエステル樹脂に対し、フィーダーを用いて実施例1で得られた架橋反応開始剤Iを、樹脂100質量部に対し、1.5質量部となるよう投入し、反応用スタティックミキサー(商品名スルザーミキサーSMX-15A:12エレメント:緑機械工業(株)製)で、上記混合ポリエステル樹脂と架橋反応開始剤を混合させながら架橋反応を行い、架橋ポリエステル樹脂を得た。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は20%であった。
得られた架橋ポリエステル樹脂を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナーを得た。トナーの評価結果を表2に示す。
(比較例2)
樹脂A:0.85kg、樹脂a:0.15kg、架橋反応開始剤Iを1.5質量部を粉末状態のまま溶融せずに混合した後、2軸押出機PCM−30(池貝工業(株)社製)に供給して架橋反応を行った。架橋反応は、外温設定180℃、押出機回転数50rpm、吐出量1.2kg/時、約3分の平均滞留時間の条件を用いて、2軸押出機中で行ない、架橋ポリエステル樹脂を得た。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は22%であった。
得られた架橋ポリエステル樹脂を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナーを得た。トナーの評価結果を表2に示す。
(比較例3)
酸成分としてフマル酸100モル部、アルコール成分としてポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100モル部とした以外は合成例1と同様にして合成を行い、軟化温度の低いポリエステル樹脂Bを得た。樹脂Bの特性値を表1に示す。
つづいて樹脂B:1.0kg、架橋反応開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを0.008kg混合した後、2軸押出機PCM−30(池貝工業(株)社製)に供給して架橋反応を行った。架橋反応は、外温設定180℃、押出機回転数50rpm、吐出量1.2kg/時、約3分の平均滞留時間の条件を用いて、2軸押出機中で行った。得られた架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分は33%であった。
得られた架橋ポリエステル樹脂を用いること以外は、実施例1と同様の方法でトナー化を行い、トナーを得た。トナーの評価結果を表2に示す。
Figure 2010083973
Figure 2010083973
溶融混合にスタティックミキサーを用い、せん断エネルギー0.003kWh/kgと低い条件で得た、比較例1の架橋ポリエステル樹脂は、THF不溶分中に占めるMlongが下限値未満、Mshortが上限値を超えており、これを含むトナーは、120℃での定着強度が低位であり、低温定着性が大きく劣っていた。
また、溶融混合を行わずに架橋反応を行った、比較例2の架橋ポリエステル樹脂は、Mlongが下限値未満、Mshortが上限値を超えており、トナーの120℃での定着強度が低位であり、低温定着性が大きく劣っていた。
また樹脂Bのみを、架橋反応開始剤であるベンゾイルパーオキサイドと混合し、架橋反応を行った比較例3の架橋ポリエステル樹脂は、THF不溶分中に占めるMlongが上限値を超え、Mshortが下限値未満となり、これを含むトナーは、低温定着性が劣ると共に、耐高温オフセット性が著しく低位であり、工業的利用価値が極めて低いものである。

Claims (2)

  1. THF不溶分を含み、該THF不溶分が下記(1)、(2)式を満足するトナー用架橋ポリエステル樹脂。
    17%≦Mlong≦40%・・・(1)
    10%≦Mshort≦23%・・・(2)
    (Mlong:T2long(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も遅い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
    (Mshort:T2short(120℃でパルスNMR(25MHz)により得られる自由誘導減衰曲線を3つの緩和曲線の和で近似した時の緩和が最も早い緩和曲線由来のスピンスピン緩和時間)をもつプロトンの割合。)
  2. 軟化温度の異なる2種類の不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を、せん断エネルギー0.05kW/Kg以上で溶融混合した後に、架橋反応開始剤を用いて架橋反応させて得られる、請求項1記載のトナー用架橋ポリエステル樹脂の製造方法。
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