JP2006267298A - 静電荷現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷現像用現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷現像用現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結着樹脂として非晶質ポリエステル樹脂を利用し、いわゆる乳化重合凝集法によりトナーを作製する場合において、従来よりも界面活性剤の使用量を抑えることによりトナーの粒度分布をシャープにし、長期に渡って、カブリが無く解像度に優れた画質の画像を形成することができる静電荷現像用トナー。
【解決手段】1種以上の微粒子を含む原料分散液中で、凝集工程と融合工程とを経て作製され、微粒子が、1種以上の多価カルボン酸と2種以上の多価アルコールとを共重合することにより合成された非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子である静電荷現像用トナーにおいて、多価カルボン酸が、スルホン酸基を有する多価カルボン酸であり、多価アルコールの少なくとも2種が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物である静電荷現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法を用いて画像を形成する複写機等に用いられる静電荷現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷現像用現像剤及び画像形成方法に関するものである。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を画像として可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。この方法は、電子写真においては帯電・露光により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像してトナー像を形成し、このトナー像を、記録媒体上に転写、定着する工程を経て画像を形成するものである。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。トナーは、通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、及びワックス等の離型剤とともに溶融混練し、冷却した後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕法で製造される。このトナーは、流動性やクリーニング性を改善するために、必要に応じて無機微粒子や有機微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
一方、近年、高度な情報化社会の進展において、さまざまな手法で構築された情報ドキュメントを、より高い画質の画像で提供することの要請が高まっており、種々の画像形成法において高画質化の研究が進められている。電子写真法を用いる画像形成法においても、この要求は例外では無く、特に電子写真法においては、カラー画像形成における、より高精細な画像を実現するために、トナーの小径化とシャープな粒度分布の達成が求められている。
例えば、デジタルフルカラー複写機やプリンター等の画像形成装置においては、色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後に、オリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像を、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各現像剤を用いる減色混合作用で現像する。
この方法では、従来の白黒機に比べて、多量の現像剤を転写させる必要があることと、より小径のドットに対応させる必要がある。それゆえ、この方法で利用されるトナーにおいては、帯電の環境依存性を含む均一帯電性、均一帯電持続性、粒度分布のシャープネス、トナー強度を確保することがますます重要になる。 また、これらの画像形成装置には、高速化や省エネルギー化なども求められることを考慮すると、トナーには一層の低温定着性が要求さなる。これらのことからも、粒度分布がシャープで小粒子径のトナーが求められている。
しかし、粉砕・分級操作を経てトナーを作製する従来の混練粉砕法において、トナーを小粒径化しようとする場合、経済的、性能的に現実に提供できる粒子径は約8μm程度までである。
現在、種々の方法による小粒径トナーを製造する方法が検討されているが、粉砕分級法では従来の粒度分布をそのまま保ったまま単に小粒子径化しただけであり、その粒度分布特性の改良は困難であった。このため、混練粉砕法により小径化したトナーを作製した場合、粒度分布における微粉側成分のトナーの存在により、キャリア汚染、感光体汚染、トナー飛散を起こすなどの問題が顕著になり、高画質と高信頼性とを同時に実現することは困難であった。
近年、トナー粒子の形状及び内部構造を意図的に制御することが可能な手段として、特に湿式法によるトナーの作製が盛んに行われている。具体的には、トナー粒子形状の制御が可能な湿式球形化法、表面構造の制御が可能な懸濁造粒法、内部構造まで制御可能な懸濁重合または乳化重合凝集法等が検討されている。特に、トナー粒子形状及び内部構造を意図的に制御することが可能な手段としては、乳化重合凝集法が提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
乳化重合凝集法は、一般に乳化重合等により作製した樹脂分散液に、溶媒に着色剤を分散させて作製した着色剤分散液等を混合し、次いで、この混合液中で、トナー粒子径に相当する凝集粒子を形成し、これを加熱することによって融合合一してトナー粒子を形成する方法である。
より具体的なプロセスは次のようなものである。まず、イオン性界面活性剤を用いて乳化重合等により得た樹脂分散液と、反対極性のイオン性界面活性剤で分散された顔料の分散液とを混合した混合液中で、ヘテロ凝集を生じさせることにより、トナー粒子径の大きさの凝集粒子を形成する。次いで、多量のイオン性界面活性剤を添加して凝集粒子の粒径成長を停止させる。続いて、凝集粒子を、これを構成する樹脂のガラス転移点以上に加熱して凝集粒子を融合合一する融合工程を経てトナー粒子が形成される。
この乳化重合凝集法では、加熱温度条件を選択することにより、トナー粒子形状を不定形から球形まで制御することが可能である。乳化重合凝集法は、トナーの粒度分布をシャープ化でき、かつ、小粒径化が可能であるという特徴を有し、特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するトナーを得るための有力な手法として検討されている。
しかしながら、トナーの作製に際して、分散液中の各種原料成分からなる粒子や凝集粒子を安定化させるに、大量の界面活性剤の使用が避けられないため、融合工程を終えた後のトナー粒子を含む溶液(以下、「トナースラリー」と略す場合がある)中には界面活性剤が残存してしまう。
トナー粒子に界面活性剤が残留すると、トナーを低帯電、低抵抗にしてカブリの発生を招き、特に高温高湿下での悪影響が大きく、トナーの安定な現像性、転写性が達成されない。それゆえ、高精細な画像の形成に適した粒度分布がシャープで、かつ、小粒径のトナーを得ることができるという乳化重合凝集法の利点が損なわれることになる。また、トナー粒子表面の界面活性剤による汚染により、トナーの流動性、保存性等が低下し、信頼性の低下にもつながる。したがって、トナー粒子に界面活性剤を残留させないようにすることが要求される。
ところで、トナースラリー中に残留している大量の界面活性剤は、分離し難いため、乳化重合凝集法を利用したトナーの作製プロセスにおいては、融合工程を経て得られたトナー粒子を洗浄する洗浄工程が必要不可欠となっている。
しかし、従来実施されている洗浄工程は、その多くが水洗浄によるものであるため、トナー粒子表面に付着する界面活性剤を完全に除去することは不可能であった。また、トナー粒子表面に付着する界面活性剤の付着量を出来る限り減少させようとすると、洗浄に必要な水量が莫大になる上に、洗浄水量の増加はコストにも影響する。
このような水洗浄以外の洗浄方法としては、アルカリ洗浄を利用した方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法によれば、確かにアルカリによりトナー粒子表面に付着した界面活性剤の洗浄水への溶解度が高まり、洗浄性が高まると予想される。しかし、トナー粒子表面に余剰のアルカリ成分が残留するため、トナー粒子表面が不安定化し、帯電レベル低下、粒度分布の拡大などの問題が出てくる。結局、これらの問題を解決するには、アルカリ洗浄後に、水洗浄を追加で実施することが必要となってくるため、工程、時間、コストの面にも問題がある。
一方、乳化重合凝集法に対して、懸濁重合、懸濁造粒、湿式球形化等のトナー製造方法においても、分散剤として界面活性剤を利用する方法が知られている(例えば、特許文献4等参照)。しかしながら、これらの方法で用いられる分散剤は少量であり、殆どがトナー粒子表面に付着している。このため、トナー粒子の洗浄工程を経たトナー粒子の内部や表面には、上述したような帯電特性の悪化等のような問題を招く程に界面活性剤が残留することは無い。
また、近年多用されているトナー用の樹脂(結着樹脂)は、低温定着性や定着強度などの観点から、従来のスチレン−アクリル共重合体に代表されるビニル系高分子よりも、ポリエステル樹脂が好ましく使用されている。特に、ポリエステル樹脂は、カラートナー用の樹脂として、透明性の観点からも、より好ましく用いられている。
乳化重合凝集法を利用してトナーを作製する場合にも、トナー用の樹脂としてポリエステル樹脂を用いることができる。このようなポリエステル樹脂は、例えば、スルホン酸基等も有する多価カルボン酸と、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等のような多価アルコールとから合成することができる(例えば、特許文献5等)。
しかしながら、トナー粒子に付着した界面活性剤を洗浄除去するために、上述したアルカリ洗浄を利用した場合、トナーに含まれるポリエステル樹脂自身の加水分解を招いてしまう。このため、トナーの帯電レベル低下や、強度低下、粒度分布の拡大などの問題が生じる。
特開昭63−282752号公報 特開平6−250439号公報 特開平5−142847号公報 特開平5−313416号公報 特開平5−94043号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、結着樹脂として非晶質ポリエステル樹脂を利用し、いわゆる乳化重合凝集法によりトナーを作製する場合において、従来よりも界面活性剤の使用量を抑えることによりトナーの粒度分布をシャープにし、長期に渡って、カブリが無く解像度に優れた画質の画像を形成することができる静電荷現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷現像用現像剤及び画像形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するためには、上述したように洗浄工程の最適化という手法は困難であると考え、洗浄処理の対象となる融合工程後のトナースラリーに含まれる界面活性剤自体の量を抑制することが重要であると考えた。
一方、乳化重合凝集法では、樹脂微粒子を分散させた樹脂微粒子分散液に加えて、着色剤や離型剤を微粒子状に分散させた着色剤分散液や、離型剤分散液等、トナーを構成する各成分毎に微粒子分散液を調整し、これら微粒子分散液を混合して原料分散液を調整し、続いて、原料分散液中で各種の微粒子を凝集させて凝集粒子を形成後、これを融合して、トナー粒子を含むトナースラリーを得る。
ここで、各種の微粒子分散液には、微粒子の分散安定性を確保するために界面活性剤が利用される。
それゆえ、トナースラリー中に含まれる界面活性剤の量を従来よりも抑制するためには、微粒子分散液を調整するで、界面活性剤の使用量を抑制することが重要であり、特に、原料分散液中を調整する際に、他の分散液よりも相対的に使用量が多い樹脂微粒子分散液中に含まれる界面活性剤量を低減することが重要である。一方、樹脂微粒子には、凝集粒子を形成するまでは、樹脂微粒子分散液や原料分散液中で安定して分散していることが必要であり、凝集粒子を形成する際には、凝集性が必要である。
従って、本発明者らは、樹脂微粒子分散液調整時の界面活性剤の使用量をゼロ乃至極少量としても凝集前の分散安定性が確保でき、且つ、凝集時の凝集性も両立させることができる樹脂成分からなる樹脂微粒子を用いることが必要であると考え、以下の本発明を見出した。
すなわち、本発明は、
<1>
1種以上の微粒子を含む原料分散液中で、前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを経て作製され、
前記微粒子の少なくとも1種が、1種以上の多価カルボン酸と2種以上の多価アルコールとを共重合することにより合成された非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子である静電荷現像用トナーにおいて、
前記多価カルボン酸の少なくとも1種が、スルホン酸基を有する多価カルボン酸であり、
前記多価アルコールの少なくとも2種が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物であり、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする静電荷現像用トナーである。
・式(1) 10/90≦BPA(EO)/BPA(PO)≦90/10
〔但し、式(1)中、BPA(EO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の総モル量を表し、BPA(PO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の総モル量を表す。〕
<2>
前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いる前記多価カルボン酸および前記多価アルコール全量に対する前記スルホン酸基を有する多価カルボン酸の割合が、0.1〜5mol%の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の静電荷現像用トナーである。
<3>
前記凝集工程と、前記融合工程とを少なくとも経て<1>または<2>に記載の静電荷現像用トナーを作製する静電荷現像用トナーの製造方法である。
<4>
前記原料分散液が、1種類の微粒子を含む微粒子分散液を2種類以上混合して調整され、前記微粒子分散液の少なくとも1種が界面活性剤を含む<3>に記載の静電荷現像用トナーの製造方法であって、
前記樹脂微粒子を分散させた樹脂微粒子分散液が、界面活性剤を含まないことを特徴とする<3>に記載の静電荷現像用トナーの製造方法である。
<5>
トナーを含む静電荷現像用現像剤において、前記トナーが<1>または<2>に記載の静電荷現像用トナーであることを特徴とする静電荷現像用現像剤
<6>
潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
前記現像剤が、<5>に記載の静電荷現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
以上に説明したように本発明によれば、結着樹脂として非晶質ポリエステル樹脂を利用し、いわゆる乳化重合凝集法によりトナーを作製する場合において、従来よりも界面活性剤の使用量を抑えることによりトナーの粒度分布をシャープにし、長期に渡って、カブリが無く解像度に優れた画質の画像を形成することができる静電荷現像用トナー、その製造方法、これを用いた静電荷現像用現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
<静電荷現像用トナー>
本発明の静電荷現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、1種以上の微粒子を含む原料分散液中で、前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを経て作製され、前記微粒子の少なくとも1種が、1種以上の多価カルボン酸と2種以上の多価アルコールとを共重合することにより合成された非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子である静電荷現像用トナーにおいて、前記多価カルボン酸の少なくとも1種が、スルホン酸基を有する多価カルボン酸であり、前記多価アルコールの少なくとも2種が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物であり、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 10/90≦BPA(EO)/BPA(PO)≦90/10
但し、式(1)中、BPA(EO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の総モル量を表し、BPA(PO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の総モル量を表す。
本発明のトナーに用いられるポリエステル樹脂は、一般的にジカルボン酸などの多価カルボン酸とジオールなどの多価アルコールとを脱水縮合させて共重合することにより合成される。
ここで、本発明においては、多価カルボン酸として、スルホン酸基を有する多価カルボン酸を用いることによって、非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子を分散させた樹脂微粒子分散液を調整する際の界面活性剤の使用量を大幅に低減乃至はゼロにしても、樹脂微粒子分散液中や、凝集工程に用いられる凝集処理前の原料分散液中での樹脂微粒子の分散安定性が、従来と同様に界面活性剤を多量に用いた場合と同様に維持できる。
特に、凝集工程において、樹脂微粒子分散液やその他の微粒子分散液を混合した後に、pH調整剤を添加して原料分散液のpHを3.5前後の酸性領域になるように調整すると、非晶質ポリエステル樹脂が本来有するカルボキシル基は、水素の解離が抑えられるため、非晶質ポリエステル樹脂の疎水性が増す。このため、他の微粒子とヘテロ凝集して凝集粒子を形成する前に、樹脂微粒子同士のみで凝集してしまい、トナーの作製自体が不可能となる。
しかし、本発明に用いられる非晶質ポリエステル樹脂は、合成に際してスルホン酸基を含む多価カルボン酸を用いるため、樹脂中にはカルボキシル基以外にもスルホン酸基が含まれる。このスルホン酸基は、pHが1.5程度のより低いpH領域まで水素が解離したままであるため、樹脂微粒子表面を親水性状態に保つことができる。それゆえ、凝集粒子を形成するための凝集処理を行なうまでは、原料分散液中で樹脂微粒子同士が凝集することなく安定して存在できる。
なお、非晶質ポリエステル樹脂中に含まれるスルホン酸基の量が、少ない場合には、樹脂微粒子分散液や原料分散液のpHが低い場合に、樹脂微粒子が充分な親水性を発揮することができず、分散安定性が低下し易くなる。このため、樹脂微粒子分散液を調整する際に、分散安定性を確保するためにある程度の界面活性剤を使用することが必要となる場合がある。
しかし、非晶質ポリエステル樹脂中にスルホン酸基が含まれない場合と比べれば、例え少量であっても非晶質ポリエステル樹脂中にスルホン酸基が導入されることにより、樹脂微粒子分散液を調整する際の界面活性剤の使用量を大幅に低減することができる。それゆえ、トナーの帯電が低下することを防止でき、カブリの発生を防止することができる。
このような観点からは、非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いる多価カルボン酸および多価アルコール全量に対するスルホン酸基を有する多価カルボン酸の割合は、0.1mol%以上であることが好ましく、0.3mol%以上であることがより好ましい。この場合、樹脂微粒子分散液を調整する際に、界面活性剤を用いなくても、樹脂微粒子の分散安定性を十分に確保することができるため、結果的にトナースラリー中の界面活性剤の総量も低減することができる。
なお、0.1mol%未満の場合には、従来と比べれば界面活性剤を抑制できるものの、少量であっても使用しなければならなくなる場合がある。
一方、非晶質ポリエステル樹脂中に含まれるスルホン酸基の量が、多い場合には、樹脂微粒子自体の親水性が増すため、樹脂微粒子分散液や原料分散液中での樹脂微粒子の分散安定性は向上させることができる。しかし、最終的に得られるトナーの親水性も向上するため、特に高湿環境下において、空気中の水分がトナーに吸着し、帯電低下や転写性の悪化を招く場合がある。
このような観点からは、非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いる多価カルボン酸および多価アルコール全量に対するスルホン酸基を有する多価カルボン酸の割合は、5mol%以下であることが好ましく、4.5mol%以下であることがより好ましい。5mol%を超える場合には、上述したように帯電低下や転写性の悪化を招く場合がある。
一方、樹脂微粒子分散液や原料分散液中における樹脂微粒子の分散安定性の確保・向上のために、スルホン酸基を導入した非晶質ポリエステル樹脂を用いると、凝集工程において、凝集粒子の形成を阻害してしまう。このため、樹脂微粒子の分散安定性を確保すると共に、凝集工程における凝集性も両立させることが必要である。
本発明者らは、この点について鋭意検討した結果、非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いる多価アルコールとして、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の双方を用いることが有効であることを見出した。さらに、同時に画像の解像度向上・高精細化に寄与するシャープな粒度分布も得られることが判った。
これは、非晶質ポリエステル樹脂に含まれるスルホン酸基が、pH変動による樹脂の親水性−疎水性の度合いを制御し、低pH領域での樹脂微粒子の分散安定性を確保しているのに対してビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を所定の比率で用いることで、原料分散液のpHの影響を受けずに、凝集性の制御が可能であるためである。
この、作用メカニズムについては、以下のように推定される。
すなわち、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が親水性を司る一方、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が疎水性を司るため、非晶質ポリエステル樹脂の合成に際して両者を所定の比率で用いれば、非晶質ポリエステル樹脂の親水性と疎水性とのバランスを制御することができる。加えて、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の双方共に、非イオン性であるため、親水性と疎水性とのバランスの制御は、pH変動による影響を受けることが無い。
従って、非晶質ポリエステル樹脂の合成に際して用いるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物との比率を調整することにより、原料分散液中のpH変動によらず、樹脂微粒子同士やその他の微粒子と樹脂微粒子との緩やかな凝集性と、トナーとした際のシャープな粒度分布とが確保できるものと考えられる。
なお、上述したような観点からは、非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物との比率は、下式(1)を満たすことが必要である。
・式(1) 10/90≦BPA(EO)/BPA(PO)≦90/10
但し、式(1)中、BPA(EO)は、記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いたビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の総モル量を表し、BPA(PO)は、非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の総モル量を表す。
式(1)に示す値「BPA(EO)/BPA(PO)」はいわゆるモル比であり、好ましくは、20/80≦BPA(EO)/BPA(PO)≦90/10、より好ましくは、25/75≦BPA(EO)/BPA(PO)≦85/15である。
90/10<BPA(EO)/BPA(PO)では、非晶質ポリエステル樹脂の親水性が強まり、凝集が進みにくくなるため、トナーの粒径制御が困難になる。一方、10/90>BPA(EO)/BPA(PO)では非晶質ポリエステル樹脂の疎水性が強まり、凝集速度が速まるため、均一な凝集粒子を形成できなくなる結果、シャープな粒度分布が得られなくなる。
また、非晶質ポリエステル樹脂の合成に際して用いられるビスフェノールAエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物双方のビスフェノールA成分の使用量は特に限定されないが、上記効果を有効に発現させるためには、合成に用いられる多価アルコール成分の全量に対して、50mol%以上が好ましく、60mol%以上であることがより好ましい。
なお、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのビスフェノールAへの付加量は特に限定されないが、ビスフェノールA1molに対して、通常1molあるいは2molの付加が好ましい。
−結着樹脂(非晶質ポリエステル樹脂)−
次に、本発明に用いられる非晶質ポリエステル樹脂の原料、製造方法、物性や、これを用いた樹脂微粒子分散液についてより詳細に説明する。
本発明に用いられる非晶質ポリエステル樹脂の合成に際しては、1種以上の多価カルボン酸と、2種以上の多価アルコールとが用いられる。ここで、前者については、スルホン酸基を有する多価カルボン酸が必ず用いられ、必要に応じて、その他の多価カルボン酸が併用できる。
また、後者については、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の2種類が必ず用いられ、必要に応じて、その他の多価アルコールが併用できる。
スルホン酸基を有する多価カルボン酸としては特に限定されず、公知のものが利用できる。例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も利用することができる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
その他、ポリエステル樹脂を構成する上記必須成分以外の多価カルボン酸および多価アルコールは、特に限定されず既知のものを使用することができる。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。
これらの多価カルボン酸は、必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することもできる。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物以外の多価アルコールとしては、公知のものが利用でき、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール類等が利用できる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。
これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られた非晶質ポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/または、モノアルコールを加えて、重合体の末端基のヒドロキシル基、および/または、カルボキシル基をエステル化し、非晶質ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。
モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
非晶質ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、合成に利用するモノマーの種類によって使い分けて製造することができる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
非晶質ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させる。
重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸成分またはアルコール成分とを縮合させておいてから、主成分と共に重縮合させるとよい。
非晶質ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
本発明のトナーに使用される非晶質ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜500000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜100000であり、数均分子量(Mn)は2000〜10000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜50であることが好ましく、更に好ましくは1.8〜30である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす場合がある。
一方、上記範囲より重量平均分子量及び数平均分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温での定着性が悪化し、定着時に多大な熱エネルギーが必要となる場合がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性を両立し得ることが容易となる。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
本発明のトナーの製造方法の詳細については後述するが、上述の非晶質ポリエステル樹脂は、トナーの製造に際し、微粒子状に分散させた樹脂微粒子分散液ととして用いられる。
この樹脂微粒子分散液は、水系媒体と、ポリエステル樹脂及び必要に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。その際、非晶質ポリエステル樹脂の軟化点以上の温度に加熱することで、ポリマー液の粘性を下げて樹脂微粒子分散液を形成することができる。
なお、樹脂微粒子分散液の調整に際しては、従来の結着樹脂であれば、分散剤として界面活性剤が1〜5重量%程度使用する必要があるが、上述の非晶質ポリエステル樹脂であれば、実質的に界面活性剤は不要であり、非晶質ポリエステル樹脂中に含まれるスルホン酸基の導入量が少なく、界面活性剤の使用が望ましい場合でも0.5重量%以下の少量の使用でよい。
樹脂微粒子分散液を形成する際に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。非晶質ポリエステル樹脂の微粒子の大きさとしては、その平均粒径(体積平均粒径D50v)で0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。0.005μm以下では水中にほとんど溶解してしまうため、樹脂微粒子分散液の作製が困難になり、また、0.5μm以上では所望の粒径である3.0〜7.5μmの粒子を得ることが困難になる。
なお、樹脂微粒子の平均粒径は、例えばドップラー散乱型粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックUPA9340)やレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定できる。
また、分散時の非晶質ポリエステル樹脂の溶融粘度が高いと所望の粒径まで小さくならないため、大気圧以上に加圧可能な分散装置を用いて温度を上げ、樹脂の粘度を下げた状態で分散することで、所望の粒径の樹脂微粒子分散液を得ることができる。
なお、本発明のトナーには、結着樹脂として、必要であれば、非晶質ポリエステル樹脂以外の結着樹脂も併用でき、例えば、結晶性ポリエステル樹脂等の公知の結着樹脂が利用できる。但し、これらの結着樹脂を用いる場合には、樹脂微粒子分散液を調整する際に、分散剤として界面活性剤を多量に使用しなければならないため、全結着樹脂に対する非晶質ポリエステル樹脂以外の結着樹脂の割合は40重量%以下とすることが好ましい。
−着色剤−
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤を用いることができる。
イエロー顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が好ましく用いられる。
マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、ナフトール系顔料としては、ピグメントレッド31、146、147、150、176、238、269などが挙げられ、キナクリドン系顔料としては、ピグメントレッド122、202、209などが挙げられ、この中でも特に製造性、帯電性の観点からピグメントレッド185、238、269、122が好ましい。
シアン顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が好ましく用いられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料なども用いられる。また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等を挙げることができ、特にカーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックは比較的分散性が良いため、特に特別な分散を必要としないが、カラー着色剤と同様の製造方法で製造されることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤はトナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することができる。
黒色着色剤として磁性体などを用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%で添加することができる。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
なお、本発明のトナーの作製に際しては、着色剤は、これを微粒子状に分散っせた着色剤分散液として用いられる。ここで、着色剤分散液中に分散させる着色剤微粒子の分散剤としては、一般的には界面活性剤が用いられる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が好適にあげられる。
これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、離型剤分散液など、他の分散液に用いられる分散剤と同極性であることが好ましい。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類等があげられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類等があげられる。
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類等があげられる。
用いられる分散剤の添加量は、着色剤に対して、2重量%以上30重量%以下であることが好ましく、5重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。分散剤が少なすぎると着色剤微粒子の粒径が小さくならない場合や、着色剤分散液の保存安定性が低下する場合がある。一方、多すぎる場合には、トナー中に残留する分散剤の量が多くなり、トナーの帯電性や粉体流動性が低下する場合がる。
着色剤分散液の作製に際して用いられる水系分散媒は、蒸留水、イオン交換水など、金属イオンなどの不純物が少ないものであることが好ましい。また、消泡や表面張力調整の目的でアルコールなどを添加することもできる。また、粘度調整のために、ポリビニルアルコールやセルロース系ポリマーなどを添加することもできる。
−離型剤−
本発明のトナーには、定着性や画像保存性を向上させる目的で離型剤を含有させてもよい。
用いられる離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大吸熱ピークが60〜120℃にあり、かつ、140℃において1〜50mPa・sの溶融粘度を有する物質であることが好ましい。融点が60℃未満では離型剤の変化温度が低すぎ、耐ブロッキング性が劣ったり、画像形成装置内の温度が高まった時に現像性が悪化したりする場合がある。また融点が120℃を超える場合には、ワックスの変化温度が高すぎ、高温での定着を行えばいいが、省エネルギーの観点で望ましくない場合がある。
また、50mPa・sより高い溶融粘度ではトナーからの溶出が弱く、定着剥離性が不十分となってしまう場合がある。
離型剤の粘度は、E型粘度計によって測定される。測定に際しては、オイル循環型恒温槽の備えられたE型粘度計(東京計器製)を用いる。測定には、コーン角1.34度を有したコーンプレート/カップの組み合わせのプレートを用いる。カップ内に資料を投入し、循環装置の温度を140℃にセットし、空の測定カップとコーンを測定装置にセットし、オイルを循環させながら恒温に保つ。温度が安定したところで測定カップ内に資料を1g入れ、コーンを静止状態で10分間静置させる。安定後、コーンを回転させ測定を行う。コーンの回転速度は60rpmとする。測定は3回行い、その平均値を粘度ηとする。前記離型剤は示唆走査熱量計により測定されるDSC曲線で吸熱開始温度が40℃以上であることが望ましい。より好ましくは50℃以上である。40℃より低いと複写機内やトナーボトル内でトナーの凝集が発生してしまう場合がある。
吸熱開始温度はワックスを構成する分子量分布のうち、低分子量のものやその構造のもつ極性基の種類、量で左右される。一般に高分子量化すれば融点とともに吸熱開始温度も上昇するが、このやり方ではワックス本来の低溶融温度と、低粘度をそこなってしまう。よってワックスの分子量分布のうち、これら低分子量のものだけを選別してのぞくことが有効であるが、この方法として、分子蒸留、溶剤分別、ガスクロマトグラフ分別等の方法がある。
また、極大吸熱ピークが50℃を下回ると定着時にオフセットを生じやすくなる。逆にピークが140℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性が得られず光沢性が損なわれる。DSCの測定は例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いて行われる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットして昇温速度10℃/minで測定を行う。
本発明のトナーに用いることのできる離型剤の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
なお、本発明のトナーの作製に際しては、離型剤は、これを微粒子状に分散させた離型剤分散液として用いられる。
離型剤分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、離型剤の融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で微粒子状に分散させることにより作製される。なお、離形剤分散液の粒子径は、例えばドップラー散乱型粒度分布測定装置やレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
本発明のトナーに用いられる離型剤は、離型剤分散液中の離型剤に対する分散剤の割合が1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2重量%以上10重量%以下である。分散剤の割合が少なすぎると離型剤が充分に分散されずに保存安定性が劣る場合がある。分散剤の割合が多すぎると、トナーの帯電性とくに環境安定性が悪化する場合がある。なお、分散剤としては、上述した着色剤に用いることができる分散剤として列挙したものの中から、離型剤の種類に対して最適なものを選択できる。
−トナー製造方法−
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーの製造方法は、1種以上の微粒子を含む原料分散液中で、前記微粒子を凝集(但し、当該凝集とは、凝集によって一旦形成された凝集粒子に微粒子を付着させる場合も含む)させて凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程と含むいわゆる乳化重合凝集法を利用した方法である。
凝集工程に用いられる原料分散液の調整には、少なくとも上述した非晶質ポリエステル樹脂を含有する樹脂微粒子を分散させた樹脂微粒子分散液が用いられるが、この他には、着色剤分散液が用いられ、さらに、必要に応じて離型剤離型剤分散液等、各種微粒子分散液が用いられる。
本発明のトナーの製造に際しては、凝集工程、融合工程以外の他の工程を組み合わせて実施してもよく、凝集工程を実施した後の凝集粒子を含む原料分散液中に、樹脂微粒子分散液を更に添加混合して、凝集工程で得られた凝集粒子(以下、「コア凝集粒子」と称す場合がある)を核にして、その表面に更に樹脂微粒子を付着させた凝集粒子(以下、「付着凝集粒子」と称す場合がある)を形成する第2の凝集工程(以下、「付着工程」と称す)を設けてもよい。
付着工程においては、樹脂微粒子以外にも離型剤微粒子、着色剤微粒子等も組み合わて凝集粒子表面に付着させてもよい。なお、付着工程で、凝集粒子表面に付着させる微粒子については、以下、「追加微粒子」と記す場合がある。
なお、付着工程を設ける場合には、コア凝集粒子の形成に用いる樹脂微粒子、あるいは、付着凝集粒子の形成に用いる樹脂微粒子(追加微粒子)の少なくとも一方が、上述の非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子であればよく、双方が非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子であることが特に好ましい。
以下、凝集工程、付着工程、融合工程等、本発明のトナーの製造方法の各工程についてより詳細に説明する。
−凝集工程−
凝集工程においては、各種の微粒子分散液を混合して原料分散液を調整後、そのpHを好ましくは2〜5程度、より好ましくは、2.5〜4程度の酸性領域に調整する。続いて、pH調整後の原料分散液を、樹脂微粒子分散液に用いた結着樹脂のガラス転移温度付近の温度でかつガラス転移温度以下の温度にて加熱して凝集し凝集粒子を形成する。
なお、凝集粒子を形成させるために、凝集剤を原料分散液に添加することができる。用いられる凝集剤は、各種微粒子分散液の分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤や、一般の無機金属化合物又はその重合体等の無機金属塩が挙げられる。
無機金属塩を構成する金属元素は、周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂微粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。
好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。
一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上で、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。この価数と添加量で、材料同士の凝集力を変化させることで、トナーの粘弾性を制御することができる点で、また、粒子の安定性を向上させ、粒度分布をシャープにできる点で、本発明のトナーの作製に際しては、凝集工程において、凝集剤を用いることが好ましい。
本発明のトナー中に含まれる、アルミ、亜鉛、カルシウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素は、そのトナーの作製過程において凝集剤として添加されたものであることが好ましい。凝集剤の添加量は、凝集剤の種類や価数によって変動するが、おおむね、0.05から0.1重量%である。なお、凝集剤は、トナーの製造過程において、水系媒体中に流出したり、粗粉を形成するなどにより、添加量すべてがトナー中に残留するわけではない。
−付着工程−
凝集工程を実施した後には、後述する融合工程が実施されるが、その前に付着工程を実施することもできる。
付着工程において、コア凝集粒子が形成された原料分散液に対して樹脂微粒子分散液等の微粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、追加微粒子を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布をよりシャープにすることができ、高画質化に寄与する。また、付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や離型剤などの内添物のトナー表面への露出を低減でき、結果としてトナーの帯電性や寿命を向上させることができる。従って、離型剤を使用するときには、樹脂微粒子を主体とした追加微粒子を添加することが好ましい。
この方法を用いれば、融合工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状の制御を容易に行うことができる。
−融合工程−
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子を含む懸濁液のpHを5〜10の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させ合一させる。
加熱温度としては、非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上であれば問題は無いが、よりガラス転移温度や融点の高い結着樹脂も併用している場合はこれらの温度で加熱する(なお、以下の説明においては、結着樹脂が2種類以上用いられている場合であっても、非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度が最も高いものと仮定して説明する)。
また加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.2〜10時間程度行えばよい。その後、前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度以下まで降温して、融合させた粒子を固化する際、降温速度によって粒子形状及び表面性が変化する場合がある。例えば、早い速度で降温した場合には球形化及び表面が平滑化しやすく、逆にゆっくり降温した場合は、粒子形状が不定形化し、粒子表面に凹凸が生じやすい。そのため、少なくとも0.5℃/分以上の速度で、好ましくは1.0℃/分以上の速度で降温するのが好ましい。
−洗浄、乾燥工程等−
融合工程を終了した後には、トナースラリーに含まれるトナー粒子を洗浄し乾燥してトナーを得る。トナーの帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄を施すことが好ましく、洗浄度合いはろ液の伝導度でモニターするのが一般的で、最終的に、伝導度が30mS以下となるようにすることが好ましい。
洗浄時に酸やアルカリでイオンを中和する工程を含んでも良く、酸による処理はpHを4.0以下に、アルカリによる処理はpHを8.0以上にすることが好ましい。また、洗浄後の固液分離は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。
さらに、乾燥も、特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられ、最終的なトナーの水分率は1重量%以下、好ましくは0.7重量%以下になるように乾燥する。
なお、本発明のトナーの作製に際しては、界面活性剤を含まない(あるいは含まれていたとしても従来と比べると少量しか含まれない)樹脂微粒子分散液を用いるため、融合工程を経て得られたトナースラリー中に残留する界面活性剤量を従来よりも少なくすることができる。このため、従来と同程度の洗浄を実施しても、洗浄、乾燥工程等を経て得られるトナー中に残留する界面活性剤の量を少なくすることができる。
−添加剤−
本発明のトナーには、無機微粒子や有機微粒子からなる添加剤を内添および/または外添することができる。これら添加剤の補強効果によりトナーの貯蔵弾性率が大きくなり、耐オフセット性や定着器からの剥離性を向上できる場合がある。また、添加剤は着色剤や離型剤などの内添物の分散性を向上させる場合がある。
無機微粒子としては、シリカ、疎水化処理シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、アルミナ処理コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカなどを単独もしくは併用して用いることができ、なかでもOHP透明性とトナー中の分散性の観点からコロイダルシリカを用いることが好ましい。その粒径は、5から50nmであることが好ましい。
また、粒径の異なる微粒子を併用することも可能である。前記無機微粒子はトナー製造時に直接添加することもできるが、分散性を高めるためにあらかじめ超音波分散機などを用いて水など水溶性媒体へ分散されたものを用いることが好ましい。分散においては、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基などを用いて分散性を向上させることもできる。
本発明のトナーには、その他、帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の体積平均粒径としては、1μm以下であることが必要であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。
前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い場合がある。
一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、体積平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記種々の添加剤分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、その他、着色剤分散液や離型剤分散液の作製と同様の装置など、それ自体公知の分散装置が挙げられ、適宜最適なものを選択して用いることができる。
また、洗浄、乾燥工程を経て得られたトナーには、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等として、無機微粒子および/または有機微粒子を外添することができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられる。これらの無機粒子は、その表面が疎水化されたものであることが好ましく、帯電性、粉体特性、保存性などのトナー諸特性や、現像性や転写性といったシステム適性を制御するために用いられる。
有機微粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。これらの粒子は転写性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は0.05から1.0μm程度であることが好ましい。
さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ユニリンなどの高級アルコールなどがあげられる。これらは一般にクリーニング性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は、0.1から5.0μm程度であることが好ましい。
本発明のトナーには、前記無機微粒子のなかでも少なくとも2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は30nm〜200nmの、さらに好ましくは30nm〜180nmの体積平均粒径を有することが好ましい。
トナーが小粒径化することによって、感光体(潜像担持体)との非静電的付着力が増大するため、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こされ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因となるため、体積平均粒径が30nm〜200nmの大径の外添剤を添加し、転写性を改善させることが好ましい。
体積平均粒径が30nmより小さいと、初期的なトナーの流動性は良好であるが、トナーと感光体との非静電的付着力を十分に低減できず転写効率が低下し画像のぬけや、画像の均一性を悪化させてしまい、また経時による現像機内でのストレスによって微粒子がトナー表面に埋め込まれ、帯電性が変化しコピー濃度の低下や背景部へのカブリ等の問題を引き起こす場合がある。また、体積平均粒径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離しやすく、また流動性の悪化を招く場合がある。
具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、特に、疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。特にシリカと酸化チタンとを組合わせて利用することが好ましい。また、体積平均粒径80から500nmの有機微粒子を併用することも転写性向上には好ましい。
外添剤として用いられる無機微粒子等を疎水化処理する疎水化剤としては公知の材料が挙げられ、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイルやポリマーコーティング処理などが挙げられる。これらの疎水化剤を単独又は組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、シラン系カップリング剤とシリコーンオイルを好ましく用いることができる。シラン系カップリング剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等いずれのタイプも使用することができる。
具体例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、トリメチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3.4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン等や、それらの一部の水素原子をフッ素原子に変えた、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラん、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシランなどのフッ素系シラン化合物、水素原子の一部をアミノ基で置換したアミノ系シラン化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
疎水化処理された外添剤粒子を用いると高湿度下での帯電量を向上させる事ができ、結果として帯電の環境安定性を向上させる事ができる。本発明のトナーでは、少なくとも1種以上の外添剤にシリコーンオイル系処理が施されたものが含まれていることが好ましい。
外添剤粒子の疎水化処理法としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の溶媒で混合希釈した処理剤を、ブレンダー等で強制的に攪拌させた外添剤粒子に滴下したり、スプレーしたりして充分に混合し、必要に応じて洗浄、濾過を行った後、加熱乾燥させ、乾燥後凝集物をブレンダーや乳鉢等で解砕して処理する方法や、外添剤粒子を処理剤の溶媒溶液に浸析した後、乾燥させる、あるいは、外添剤粒子を水中に分散してスラリー状にした上で処理剤溶液を滴下し、その後、外添剤粒子を沈降させて加熱乾燥して解砕する方法や、外添剤粒子へ直接処理剤を噴霧する方法等、従来公知の方法を用いることができる。
前記処理剤の外添剤粒子への付着量は、外添剤粒子に対して0.01〜50重量%であることが好ましく、0.1〜25重量%がより好ましい。付着量は、処理の段階で処理剤の混合量を増やしたり、処理後の洗浄工程数を変える等の方法によって処理量を変えることができる。
また、処理剤の付着量は、XPS(X線光電子分光法)や元素分析により定量することができる。処理剤の付着量が少ないと高湿度下で帯電性が低下する場合が有り、処理量が多すぎると低湿度下で帯電が過剰になりすぎたり、遊離した処理剤が現像剤の粉体流動性を悪化させる場合がある。
前記外添剤は、トナー粒子と共にサンプルミルやヘンシェルミキサーなどで機械的衝撃力を加えられてトナー粒子表面に付着又は固着させられる。
(静電荷現像用現像剤)
本発明の静電荷現像用現像剤(以下、「現像剤」と称す場合がある)としては、トナーのみからなる一成分現像剤やトナーとキャリアからなる二成分現像剤が挙げられるが、帯電の維持性や安定性に優れる二成分現像剤が好ましい。キャリアとしては、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ましく、窒素含有樹脂で被膜されたキャリアであることがさらに好ましい。
前述の窒素含有樹脂としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル等を含むアクリル系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。またこれらの共重合樹脂でもかまわない。
キャリアの被膜樹脂としては前記窒素含有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また前記窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよい。また前記窒素含有樹脂を微粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散して使用してもよい。特にウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂は負帯電性が高く、また樹脂硬度が高いため被膜樹脂の剥がれなどによる帯電量の低下を抑制することができ好ましい。一般にキャリアは適度な電気抵抗値を有することが必要であり、具体的には109〜1014Ωcm程度の電気抵抗値が求められている。
例えば、鉄粉キャリアのように電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、スリーブからの電荷注入によりキャリアが感光体の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを介して逃げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする等の問題が生じる場合がある。
一方、絶縁性の樹脂を厚く被覆してしまうと電気抵抗値が高くなりすぎ、キャリア電荷がリークしにくくなり、その結果エッジの効いた画像にはなるが、反面大面積の画像面では中央部の画像濃度が非常に薄くなるというエッジ効果という問題が生じる場合がある。そのためキャリアの抵抗調整のために樹脂被覆層中に導電性微粉末を分散させることが好ましい。
導電性微粉末の具体例としては、金、銀、銅のような金属や;カーボンブラック;更に酸化チタン、酸化亜鉛のような半導電性酸化物;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズやカーボンブラック、金属で覆ったもの等が挙げられる。この中でも製造安定性、コスト、導電性の良さからカーボンブラックが好ましい。
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を微粒子化し被膜樹脂の融点以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。上記方法により形成される樹脂被膜層の平均膜厚は、通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。
キャリアに用いられる芯材(キャリア芯材)としては、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。
キャリア芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。前記二成分現像剤における本発明の電子写真用トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
(画像形成方法)
次に、本発明の現像剤を用いた本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、本発明の現像剤を用いて画像を形成することができる公知の電子写真法であれば特に限定されない。具体的には、潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を紙等の記録体表面に転写する転写工程と、記録体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含むものであることが好ましく、ここで、前記現像剤として、本発明の現像剤が用いられる。
前記現像剤は、前記のように一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。一成分系の場合には、本発明のトナーがそのまま用いられ、二成分系の場合には、本発明のトナーとキャリアとを混合した二成分現像剤が用いられる。
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用でき、潜像担持体表面から、記録媒体表面へのトナー像の転写が、中間転写体を介して行なわれるいわゆる中間転写工程等、他の工程を有していてもよい。
前記潜像担持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器あるいは接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロール(現像剤担持体)と接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される(転写工程)。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、これらにより本発明が限定されるものではない。
以下の実施例におけるトナーの作製の概要は次の通りである。まず、下記の樹脂微粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液をそれぞれ調製し、これらを所定の割合で攪拌・混合しながら、金属塩凝集剤を添加しイオン的に中和させて凝集粒子を形成する。
次いで、無機水酸化物を添加して原料分散液中のpHを弱酸性から中性域に調製した後、樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合する。融合処理後、充分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得る。以下、それぞれの調整方法を説明する。
[分子量の測定]
以下に説明するトナーの作製に用いた非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量および数平均分子量は以下の条件で行った。
測定装置としては、東ソー(株)HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSK gei,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。
測定条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
−非晶質ポリエステル樹脂分散液の調製−
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、酸成分(多価カルボン酸類)およびアルコール成分(多価アルコール類)として、以下の表1に示す材料組成比(モル比)にて各材料を投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジブチルスズオキサイドを0.04モル投入して、窒素ガス気流下約195℃で約6時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に上げて約6.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間攪拌反応させて、淡黄色透明で線状非晶質ポリエステル樹脂(1)〜(10)を得た。
Figure 2006267298
ついで、得られた非晶質ポリエステル樹脂(1)〜(10)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水80重量%、非晶質ポリエステル樹脂の濃度が20重量%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転し、非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)〜(10)を得た。
なお、非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)〜(10)の作製に際しては、スルホン酸基を含むカルボン酸を用いずに合成した非晶質ポリエステル樹脂分散液(4)およびスルホン酸基を含むカルボン酸をモル比で0.1しか用いなかった非晶質ポリエステル樹脂分散液(9)についてのみ界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を分散液全量に対して各々5重量%、0.5重量%となるように添加し、これ以外は、界面活性剤を用いずに調整したが、いずれの分散液においても樹脂微粒子の分散安定性は良好であった。
得られた非晶質ポリエステル樹脂(1)〜(10)の分子量および樹脂微粒子分散液(1)〜(10)の体積平均粒径、pH、および、樹脂微粒子分散液中の界面活性剤量を表2に示す。なお、表2中に示す体積平均粒径(体積平均粒径D50v)はマイクロトラックUPAにて測定した。
Figure 2006267298
−着色剤分散液の調製−
シアン顔料20重量部(大日精化社製:ECB−301)、アニオン界面活性剤2重量部(第一工業製薬社製:ネオゲンSC、有効成分として、着色剤に対して10重量%)、イオン交換水78重量部を用い、上記成分をすべて投入した時に液面の高さが容器の高さの1/3程度になるような大きさのステンレス容器に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で5分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。
続けて、得られた分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータルしこみ量と装置の処理能力から換算して25パス相当おこなった。その後イオン交換水を加えて、固形分濃度を15.0重量%に調整した。
得られた着色剤分散液の平均粒径をマイクロトラックUPAにて測定したところ、体積平均粒径D50vは115nmであった。
−離型剤分散液の調製−
・カルナバワックス(融点81℃):45重量部
・カチオン性界面活性剤(ネオゲン RK、第一工業製薬):5重量部
・イオン交換水:200重量部
以上の成分を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、その後イオン交換水を加えて、固形分濃度を25.0重量%に調整した。
得られた離型剤分散液の平均粒径をマイクロトラックUPAにて測定したところ、体積平均粒径D50vは200nmであった。
−実施例1−
・イオン交換水:410重量部
・非晶質ポリエステル樹脂分散液(1):450重量部
以上の成分を、温度計、pH計、攪拌機、を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、攪拌回転数150rpmにて、30分間保持した。
その後、
・着色剤分散液:50重量部(着色剤濃度15重量%)
・離型剤分散液:60重量部(離型剤濃度25重量%)
以上の成分を投入し、5分間保持した。そのまま、1.0重量%硝酸水溶液を添加し、pHを2.7に調整した。
続いて、攪拌機、マントルヒーターをはずし、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて、3000rpmで分散しながら、
・ポリ塩化アルミニウム:0.33重量部
・0.1重量%硝酸水溶液:37.5重量部
以上の成分からなる溶液を、全量の1/2を添加した後、分散回転数を5000rpmにして、残りの1/2を1分間かけて添加し、分散回転数を6500rpmにして、6分間分散した。
反応容器に、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、42℃まで、0.5℃/分で昇温し、42℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら、10分ごとに、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定した。
コア凝集粒子の体積平均粒径D50vが5.0μmとなったところで、非晶質ポリエステル樹脂分散液(1):200重量部を3分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。
その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、3時間目でほぼ球形化したので、1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させて、トナー粒子を含むトナースラリーを得た。
その後、トナースラリーをろ過して得られたトナー粒子を、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ上になったトナー粒子を取り出して、粒子重量の10倍量のイオン交換水中に投入し、スリーワンモータで攪拌し充分にケーキ状のトナー粒子がほぐれたところで、1.0重量%硝酸水溶液でpHを3.8に調整して10分間保持した。
その後、再度ろ過、通水洗浄し、ろ液の伝導度が10mS以下となったところで、通水を停止し、固液分離した。得られたケーキ状になったトナー粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナーを得た。
得られたトナー100重量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5重量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0重量部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで45秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を調整した。
−実施例2−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(2)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(2)を得た。
−実施例3−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(3)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(3)を得た。
−実施例4−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(8)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(8)を得た。
−実施例5−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(9)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(9)を得た。
−実施例6−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(10)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(10)を得た。
−比較例1−
実施例1において、非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(4)へ変更した以外は同様の操作にて原料分散液を調整した。
但し、原料分散液調整後にそのpHを2.7に調整した段階で、分散している樹脂微粒子が凝集しゲル状となってしまったため、原料分散液に対してアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、有効成分量60重量%)3.5重量部を室温下で追加で投入し、30分攪拌を行った後、pHを2.7に調整した。これ以外は、実施例1と同様の操作にてトナー化を行い、トナー(4)を得た。
−比較例2−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(5)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(5)を得た。
−比較例3−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(6)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(6)を得た。
−比較例4−
実施例1において非晶質ポリエステル樹脂分散液(1)を非晶質ポリエステル樹脂分散液(7)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(7)を得た。
以上のようにして得られたトナーの平均粒径および粒度分布を表3に示す。
ここで、表3において、平均粒径分布指標(D84v/D50v,D50p/D16p)はそれぞれ、1.0が単分散であり、数値が大きくなるほど、分布が広がることを意味する。また、トナーの粒度分布において、D84v/D50vは粗粉側の分布、D50p/D16pは微粉側の分布を示している。
Figure 2006267298
なお、本明細書において、表3等に示される体積平均粒径D50vや数平均粒径D50p、平均粒度分布指標等は、例えばコールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等を用いて測定することができる。
具体的には、まず、これら測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積平均粒径D16v、数平均粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積平均粒径D84v、数平均粒径D84pと定義する。次に、これらを組合わせて、表3に示すような各種の体積平均粒度分布指標や、数平均粒度分布指標を算出することができる。
[キャリアの製造]
・フェライト粒子(体積平均粒径50μm):100重量部
・トルエン:14重量部
・パーフルオロオクチルエチルメタクリレート/メタクリレート共重合体(共重合比(モル比):15/85):2重量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット社製):0.2重量部
まず、以上の成分のうち、フェライト粒子を除く成分を10分間サンドミルにて攪拌させ、分散した被覆液を秤量し、次にこの被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、攪拌しながら、60℃にて−20mmHgまで減圧し30分混合した後、昇温/減圧させ90℃/−720mmHgで30分間攪拌乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは1000V/cm印可電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
[現像剤の調整]
上記キャリア100重量部に対して、実施例及び比較例で得られた各トナー8重量部をV型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212ミクロンの振動ふるいにより粗大粒子を除去して現像剤(1)〜(10)を得た。
[画像評価方法]
室温32℃、湿度75%の環境室にて、得られた各現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre Color 400改造機の現像器にセットし、連続50000枚のプリントアウトを行い、得られた画像の背景部カブリおよび文字画像のシャープ度を評価した。なお、用紙としては、富士ゼロックスオフィイスサプライ社製、C2紙を用い、4ポイントおよび6ポイントの漢字等を含む和文文字を含む画像を形成した。
カブリの評価は目視にて行い、限度見本との比較により以下のG1〜G5の5段階評価を行った。通常G2以下であれば画質上の問題はないと判断できる。
G1:かぶりが全く見られない。
G2:ルーペによりカブリが観察されるが、実使用上問題ない。
G3:目視により確認できる。お客様によっては問題となる。
G4:目視により容易に観察される。
G5:かぶりが賢著に観察される。
−シャープ度−
文字画像のシャープ度は大きさの異なる和文文字の目視による判読性から評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
○:4ポイント和文文字が判読可能
△:6ポイント和文文字が判読可能
×:6ポイント和文文字の判読困難あるいは判読不能
評価結果を表4に示す。
Figure 2006267298
表3および表4より、次の事項が明らかである。すなわち、実施例1〜3では、得られたトナーの粒度分布が極めてシャープであり、また、画質においても初期から50000枚プリント後においてもカブリ、文字のシャープ度ともに良好な状態を維持している。
一方の比較例1では、非晶質ポリエステル樹脂がスルホン酸基を含まないため、凝集工程において、pHを酸性領域に調整した際に原料分散液のゲル化が生じてしまい、このゲル化を防ぐために界面活性剤を原料分散液に追加投入して、トナーを作製した。しかし、得られたトナーの粒度分布は広く、そのため、初期から画質面で問題が生じた。
比較例2、3では、非晶質ポリエステル樹脂の作製に用いたビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、同プロピレンオキサイド付加物の比率を変更を行っているが、両者それぞれ凝集工程において粒度分布をシャープに制御することが困難であった。また、50000枚プリント後ではカブリ・シャープ度共に悪化が見られた。
比較例4では、非晶質ポリエステル樹脂の作製にビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、同プロピレンオキサイド付加物のうち、前者しか用いなかった。このため、非晶質ポリエステル樹脂の親水性が大きく成り過ぎ、粒度分布をシャープに制御することが困難であった。このため初期からシャープ度が悪く、また、50000枚プリント後ではカブリにも悪化が見られた。

Claims (6)

  1. 1種以上の微粒子を含む原料分散液中で、前記微粒子を凝集させて凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱することにより融合する融合工程とを経て作製され、
    前記微粒子の少なくとも1種が、1種以上の多価カルボン酸と2種以上の多価アルコールとを共重合することにより合成された非晶質ポリエステル樹脂を含む樹脂微粒子である静電荷現像用トナーにおいて、
    前記多価カルボン酸の少なくとも1種が、スルホン酸基を有する多価カルボン酸であり、
    前記多価アルコールの少なくとも2種が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物であり、且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする静電荷現像用トナー。
    ・式(1) 10/90≦BPA(EO)/BPA(PO)≦90/10
    〔但し、式(1)中、BPA(EO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の総モル量を表し、BPA(PO)は、前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いた前記ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の総モル量を表す。〕
  2. 前記非晶質ポリエステル樹脂の合成に用いる前記多価カルボン酸および前記多価アルコール全量に対する前記スルホン酸基を有する多価カルボン酸の割合が、0.1〜5mol%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  3. 前記凝集工程と、前記融合工程とを少なくとも経て請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーを作製する静電荷現像用トナーの製造方法。
  4. 前記原料分散液が、1種類の微粒子を含む微粒子分散液を2種類以上混合して調整され、前記微粒子分散液の少なくとも1種が界面活性剤を含む請求項3に記載の静電荷現像用トナーの製造方法であって、
    前記樹脂微粒子を分散させた樹脂微粒子分散液が、界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項3に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  5. トナーを含む静電荷現像用現像剤において、前記トナーが請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーであることを特徴とする静電荷現像用現像剤
  6. 潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、
    前記現像剤が、請求項5に記載の静電荷現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
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