JP4513623B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した機器、特にカラー複写機に使用される電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)に関する。
電子写真プロセスとしては、従来から多数の方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。電子写真プロセスにおいては、光導電性物質を利用した感光体上に種々の手段により電気的に潜像を形成し、この潜像を、トナーを用いて現像し、感光体上のトナー潜像を、中間転写体を介して又は介さずに、紙等の被転写フィルムにトナー画像を転写した後、この転写画像を加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体上に残ったトナーは必要により種々の方法でクリーニングされ、前記複数の工程が繰り返される。
近年、電子写真分野の技術進化により、このような電子写真プロセスは複写機、プリンターのみならず、印刷用途にも使用されるようになり、装置の高速化、高信頼性はもとより、複写物が印刷物同等の高画質、色相を有することがますます厳しく要求されてきている。特に近年は省エネが重要となっており、電子写真プロセスにおいては、最も電力消費が多い定着工程での消費電力削減が大きな課題となっている。
例えば、結晶性樹脂を用いることで低温定着性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。結晶性樹脂は融点を持ち、融点以上の温度では完全に熔融するため、低温定着性向上には有効な方法である。しかし、結晶性樹脂は、温度に対してシャープに熔融するものの、融点と凝固点にヒステリシスがあるため、固化する時には時間がかかることが知られている。そのため、固化に対して不利な条件が重なると問題が発生する場合がある。
特に、夏場に、室温が30℃を超え、坪量256g/m2以上のキャストコート紙などの熱容量が大きい記録媒体に、トナー重量(TMA)で10g/m2以上のカラーイメージの隣に白地部が隣接しているような画像を形成し(この状態では、画像に大きな段差が生じている)、連続で10枚以上のプリントをおこなうような場合、室温が高くて冷却されにくく、記録媒体自体も熱容量が大きく冷却されるまでに時間がかる。連続複写のため記録媒体が冷却される前に次の熱せられた記録媒体が排出されるため、前にプリントされたトナー層が充分に固化する前に、次に排出される記録媒体が画像をこするため、大きな段差がある画像部分でコスレによる傷(以降コスレ傷という場合がある)が発生してしまう。坪量の大きな記録媒体は硬いものが多いため、画像に傷がつきやすい。
一方、従来、トナーは混練粉砕法を用いて製造されていた。混練粉砕法は、結着樹脂と着色剤や離型剤などの添加剤を熔融混練した後粉砕するものであるため、粉砕されたトナー表面に着色剤や離型剤が露出し、帯電性や寿命に悪影響を与える場合がある。また、低温定着性への要求から用いられる離型剤の融点が低温化され、またオイルレス定着への要求から必要となる離型剤添加量も増加したため、熔融混練時に離型剤が溶け出し、混練中の系の粘度を低下させ、結果添加剤の分散性が悪化し、帯電性や寿命などに加えて、色や濃度といった画質にまで悪影響を与える場合があった。このような事情から、近年では熔融混練粉砕法に替えて、湿式製法によるトナー作製が増加してきている。湿式製法では、重合性モノマー、有機溶剤や界面活性剤がトナー中に残留しやすいことから、トナー中の残留モノマーや有機溶剤量に着目した技術が開示されている。
例えば、少なくとも、結着樹脂、着色剤および荷電制御剤を非水溶性有機溶剤に溶解ないし分散させて着色樹脂溶液とし、この着色樹脂溶液を水性分散液中で乳化分散させた後、非水溶性有機溶剤を除去することによって製造される静電潜像現像用トナーにおいて、トナー中の残存有機溶剤量が5〜100ppmであり、かつトナー中の残存水分量が0.05〜1.0質量%とすることで、帯電性能が周囲の環境に左右されず安定しており、しかも耐熱性に優れた静電潜像現像用トナーを得る技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、少なくともポリマーを有機溶剤中に溶解させて調整されたポリマー溶液を、水と混合することにより乳化させて粒子を形成させ、次いで粒子を凝集させることにより、機械強度が強く、低温定着性に優れ、粒度分布がシャープでかつ微細であるトナーを、効率よく製造する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、自己水分散性熱可塑性樹脂(P)を、前記自己水分散性熱可塑性樹脂(P)を溶解しないが膨潤させることが可能な沸点100℃未満の有機溶剤(S)で膨潤させることにより膨潤体を製造する第1工程と、前記膨潤体を水性媒体中に粒子状に分散させて初期水性分散体を製造する第2工程と、前記初期水性分散体から前記有機溶剤(S)を除去することにより前記自己水分散性熱可塑性樹脂(P)の粒子が前記水性媒体中に分散した分散体を製造する第3工程とからなることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子水性分散体の製造方法を用いることで、樹脂粒子内に残存する残留溶剤が極めて少ない熱可塑性樹脂粒子水性分散体及び残存溶剤が極めて少ない電子写真用トナーを得る技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、生分解性樹脂と着色剤を有機溶剤に溶解あるいは分散させて着色液を製造する工程、乳化剤および/または分散安定剤の存在下で、前記着色液と水性媒体を混合することにより前記着色液の粒子が前記水性媒体中に分散した水性分散液を製造する工程、前記粒子中の有機溶剤を除去することにより着色樹脂粒子を生成させる工程、前記着色樹脂粒子を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程を順次行うことによりトナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。これにより、生分解性樹脂を用いても、小粒径トナーを高収率で生産でき、さらに、流動性が良好であり、高品質且つ高解像度の印刷を行うことが可能なトナーを製造できる。
しかしながら、いずれの技術も、トナー中の残溶剤量を減らして、トナー特性への影響を無くすことが目的であり、残溶剤を積極的に利用するものではなく、また、結晶性樹脂の固化に関しては記載されていない。
また、少なくともポリエステル樹脂及び有機溶剤からなる樹脂溶液を水性媒体中に乳化させ、その後、有機溶剤を除去することにより樹脂粒子を形成させ、更に、前記樹脂粒子を凝集させてトナー粒子を製造する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記ポリエステル樹脂の定荷重押し出し形細管式レオメーターによるT1/2温度が120〜160℃の範囲であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が12以上であり、前記樹脂粒子の50%体積平均粒径が1μmを越えて6μm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。これにより、生産性が良好で、かつオイルレスのヒートローラー定着方式において良好な定着性を有し、しかも粒度分布が良好で、優れた品質の現像画像が得られるトナーを製造できる。
特許文献7では、トナー製造工程中に樹脂中に溶剤を残すことで、トナーの形状を制御する技術が開示されている。樹脂中に残留する溶剤を積極的に利用したものであるが、やはり、トナー化後は溶剤を完全に除去することが記載されており、トナー化後の残溶剤を積極的に利用するものではなく、また、結晶性樹脂の固化に関しては記載されていない。
さらに、DSCによる第一の昇温過程での吸熱ピーク(P1)が50〜130℃にあり、DSCによる第一の冷却過程での発熱ピーク(P2)が30〜110℃にあり、P1≧P2が成立する結晶性物質と無定形高分子とを含有する樹脂粒子を水系媒体中で融着させて得られるトナーを用いることで、省エネに対応した定着器を使用してもオフセットが発生させない技術が開示されている(例えば、特許文献8参照。)。
この中で、結晶性樹脂の再結晶化温度に関して記載があるものの、融点と再結晶化温度にヒステリシスがあることは従来公知の事象であり、また、再結晶化温度を制御する手法はなんら開示されていない。
また、1,6−ヘキサンジオールを60モル%以上含有したアルコール成分と、フマル酸を60モル%以上含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られた、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である結晶性ポリエステル樹脂であって、テトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量が1500〜10000であり、軟化点(Tm)が50〜120℃である結晶性ポリエステル樹脂を用いることで、再結晶化を早くし、低温定着性を獲得しつつ紙凝集性を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献9参照。)。
この方法によれば、結晶性を高めることで再結晶化が早くなり紙凝集性が改善されるとされるが、確かに、結晶性を高めることは紙凝集性改善に有効な方法ではあるが、坪量の大きな記録媒体を用いた場合の高TMA画像のコスレ傷防止に対しては充分なものではない。
特公昭42−23910号公報 特開平1-35454号公報 特開平7-325429号公報 特開2000-250256号公報 特開2003-231757号公報 特開2004-177554号公報 特開2002-351139号公報 特開2001-42564号公報 特開2004-226569号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、低温定着性を有し、坪量の大きな記録媒体を用いた場合における、トナー重量の高い画像でのコスレ傷の発生を防止可能な電子写真用トナーを提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、定着後の結晶性樹脂の挙動に着目して検討した結果、結晶性樹脂の固化が遅いことだけがコスレ傷の発生の原因ではなく、結晶性樹脂もその一部はアモルファス状態にあるため、樹脂自体の硬度が低いこともコスレ傷の発生に関係していることを見出した。従って、定着後に画像表面だけでも硬度を上げることが出来れば、傷の発生を防止できる。本発明は、特定の金属元素の存在下で特定の溶剤を残留させることで、結晶性樹脂の固化を早め、かつ、固化後の画像強度を高めることができるようにした。
即ち、本発明の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、乳化凝集法により製造されたトナー粒子と、外添剤と、を含有する電子写真用トナーであって、ケトン系溶剤としてアセトン、メチルエチルケトン又はジエチルケトンを、アルコール系溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールをそれぞれ10〜100ppm含有し、前記ケトン系溶剤及び前記アルコール系溶剤の合計が20〜150ppmであり、前記トナー粒子が、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素を元素組成比換算で0.05〜0.30%含有する電子写真用トナーである。
本発明の電子写真用トナーは前記ケトン系溶剤がメチルエチルケトンであり、前記アルコール系溶剤がイソプロパノールであってもよい。
また、本発明の電子写真用現像剤は、本発明の電子写真用トナーを含むものである。
また、本発明の電子写真用トナーの製造方法は、樹脂粒子を分散させた分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する凝集工程と、前記凝集粒子分散液を加熱して、前記凝集粒子を融合する融合工程とを含むものである。
本発明によれば、低温定着性を有し、坪量の大きな記録媒体を用いた場合における、トナー重量の高い画像でのコスレ傷の発生を防止可能な電子写真用トナーを提供することができる。
以下、本発明の電子写真用トナーについて詳細に説明する。本発明の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有するトナー粒子と、外添剤と、を含有する電子写真用トナーであって、ケトン系溶剤及びアルコール系溶剤をそれぞれ10〜100ppm含有し、前記ケトン系溶剤及び前記アルコール系溶剤の合計が20〜150ppmであり、前記トナー粒子が、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素を元素組成比換算で0.05〜0.30%含有するものである。
本発明の電子写真用トナーによれば、坪量の大きな記録媒体を用いた場合における、トナー重量の高い画像でのコスレ傷の発生を防止することが可能となるが、この効果を発現させるメカニズムは以下のように推定される。
まず、トナー中にケトン系溶剤とアルコール系溶剤とが残留していることが必要であるが、通常、湿式製法でトナーを作製すると、トナー化工程や乾燥工程での熱により、ほとんどの溶剤が揮発してしまう。また、水系媒体中でトナーを作製する場合、ケトン系溶剤やアルコール系溶剤は水への溶解性があるため、トナー化工程中に水系媒体中へ溶剤が移行し、やはりトナー中にはほとんど溶剤が残留しない。
本発明では、溶剤を残留させるための手法として、結晶性ポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸モノマーとジアルコールモノマーとの重縮合樹脂であり、生成されるエステル結合を含めて、ケトン系溶剤とアルコール系溶剤と分子構造が似ており、相溶性が高い。また、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性を出すために立体障害がほとんど無く、エステル結合を遮蔽するものがないため、溶剤と相互作用しやすい。これらの効果が合わさり、溶剤が残留しやすくなる。
また、本発明に係るトナー粒子は、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素を含む。この金属元素が、樹脂、ケトン系溶剤及びアルコール系溶剤と、それぞれイオン的結合を結び、溶剤を残留しやすくしている。この相乗効果で溶剤が残留しやすくなっていると推測される。
このようなトナーを定着すると、定着時の熱により、トナー中の溶剤の一部が揮発し、その揮発熱により、特にトナー層表面近傍の温度が下げられ、固化が促進される。このとき、溶剤の揮発により、溶剤と相互作用していた金属元素の電荷が余るが、今度は樹脂とイオン結合を形成し、トナー層の強度を上げる。
さらに、記録媒体が完全に冷却されるまでは、その間も結晶化が促進される。結晶化には、分子が再配列するための時間と、分子が運動できる状態、例えば、溶剤中での溶解状態や熱による溶融状態、が必要であり、溶剤による溶解状態のほうがより分子運動しやすく、トナー層に残留した溶剤が、このような状態を作り出しているものと推測される。
これらの理由から、コスレ傷の発生を防止できるものと考えられる。
本発明では、ケトン系溶剤及びアルコール系溶剤の両方がトナー中に含まれていることが必要である。ケトン系溶剤のみが含まれている場合では樹脂の溶解性が高く、トナーのフィルミングやベトツキの原因となってしまう。アルコール系溶剤のみが含まれている場合では、樹脂への溶解性が低く内部まで浸透しにくいため、トナー化工程中に水系へ移行し、トナー中にほとんど残留させることが出来ない。混合溶剤状態であるがゆえの適度な溶解性が作用しているものと推測される。
本発明に用いられるケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどが挙げられるが、なかでも樹脂との相溶性、水への溶解性と沸点の関係から、メチルエチルケトンが好ましい。ケトン系以外の溶剤、例えば、テトラヒドロフラン(THF)は水への溶解性が高く、トナー中に残留させることが難しい。トルエンやキシレンは、水への溶解性が低すぎトナー製造工程で粒度分布を悪化させる場合がある。
本発明に用いられるアルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられるが、沸点の関係から、イソプロパノールが好ましい。
ケトン系溶剤及びアルコール系溶剤は、その沸点が、(結晶性ポリエステル樹脂の融点-5℃)から(結晶性ポリエステル樹脂の融点+20℃)にあることが好ましい。溶剤の沸点が高すぎると定着時に揮発しにくく、沸点が低すぎるとトナー化工程中の熱により揮発してしまう。
また、トナー中での残留量は、それぞれ10〜100ppmであることが必要であり、30〜80ppmが好ましく、35〜70ppmがさらに好ましい。また、ケトン系溶剤及びアルコール系溶剤の合計量が20〜150ppmであることが必要であり、50〜120ppmが好ましく、60〜100ppmがさらに好ましい。
それぞれの溶剤量が少ない場合には、定着時の揮発効果が得られないことがある。ケトン系溶剤が多い場合には、樹脂の溶解性が高く、トナーのフィルミングやベトツキの原因となることがある。アルコール系溶剤が多い場合には、吸湿性が悪化し帯電性能が低下するおそれがある。また、その合計量が少なすぎると定着時の揮発効果が得られず、多い場合には、トナーのベトツキや帯電性を悪化させることがある。
本発明の電子写真用トナー中の溶剤含有量は、ガスクロマトグラフを用い、下記方法により測定することができる。
1.3点検量線の作成
(1)メチルエチルケトン(以下「MEK」と称す)、イソプロピルアルコール(以下「IPA」と称す)をそれぞれ100mlメスフラスコに0.3g、1.0g、3.0g精秤し、脱イオン水で希釈して100mlにあわせる。
(2)各検量線サンプルを2mlホールピペットで分取し、ヘッドスペースサンプラー用のバイアル瓶に移し、キャップを閉める。
(3)下記のヘッドスペースサンプラー及びガスクロマトグラフ測定条件で測定し、(1)で精秤した重量/mlを横軸に、各ピーク面積を縦軸にして検量線を作成し、原点を通る直線の関係式をつくる。
2.残溶剤量測定
トナー3gをイソプロピルアルコール6gに加え、10分撹拌の後、10℃で24時間放置した。放置後の上澄み液を残溶剤量測定用のサンプルとした。
上記サンプルをホールピペットで2ml分取し、ヘッドスペースサンプラー用のバイアル瓶に移し、検量線用サンプルと同時に以下の条件で、ガスクロマトグラフ測定を行う。
ヘッドスペースサンプラー設定条件
・測定機器:ヘッドスペースサンプラーHS−40(パーキンエルマー社製)
・オーブン温度:60℃
・ニードル温度:100℃
・トランスファー温度:120℃
ガスクロマトグラフ測定条件
・ガスクロマトグラフ本体:GC2010((株)島津製作所製)
・カラム:Quadrex社製 キャピラリカラムS2010
(内径0.25mm、膜厚1μm、長さ15m)
・キャリアガス:窒素
・インジェクション温度:150℃
・検出器温度:200℃
・カラム温度:55℃×5分→昇温速度10℃/分→200℃
上記条件で測定して得られた測定サンプルのMEK、IPAそれぞれのピーク面積を(1)で作成した検量線の式に当てはめ、残溶剤量を算出する。得られた残溶剤量をトナー中の溶剤含有量とした。
本発明に係るトナー粒子には、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素を、元素組成比換算で0.05〜0.30%含むことが必要であり、0.06〜0.25%が好ましく、0.07〜0.20%がさらに好ましい。前述のごとく、これら金属原子がトナー中に溶剤をトラップすると共に、定着後には、樹脂の架橋剤として樹脂強度を向上させる。トナー中に溶剤を含まない状態で、金属元素がトナー粒子中に多量に含まれると、金属イオン架橋により樹脂の強度は上昇するが、熔融粘度も上昇し、定着画像グロスの低下や、低温定着性を損なう場合がある。
本発明によれば、溶剤を含まない状態よりも、多くの金属元素を含有させることができる。
金属元素の含有量が少ないと、架橋強度が充分でなく、本発明の効果が得られないことがある。含有量が多い場合には、画像グロスの低下や低温定着性の悪化が生ずることがある。
本発明において、トナー粒子中の金属元素の含有量とは下記方法により測定された値をいう。
トナー20gをテトラヒドロフラン(以下「THF」と称す)200gに溶解し、遠心分離にて沈殿物を分離し、上澄み液からなるTHF可溶分を採取する。40℃の防爆型乾燥機でTHFを除去した後、さらに40℃の真空乾燥機にてTHFを充分に除去して得られた乾固物を乳鉢で解砕して、乾固物6gを、加圧成型器を用いて、荷重10t、加圧時間1分間の条件で加圧成型して測定用試料を調整する。測定装置には、蛍光X線分析装置(株)島津製作所の蛍光X線(XRF−1500)を使用し、測定条件は管電圧40KV、管電流90mA、測定時間30分とした。
上記方法により測定された金属元素の含有量には、トナーの外添剤に含まれる金属元素は含まれず、トナー粒子中に含有される金属元素のみが定量される。また、トナー粒子中にアルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される2種以上の金属元素が含有されている場合、金属元素の含有量とはアルミニウム、亜鉛及びカルシウムの含有量の合計をいう。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。本発明において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂と呼ぶ。
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。直鎖型のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸由来構成成分の95モル%以上用いることが好ましく、98モル%以上用いることがより好ましい。
その他のモノマーとしては、特に限定は無く、例えば、高分子データハンドブック : 基礎編」(高分子学会編 : 培風館)に記載されているようなモノマー成分である、従来公知の2価又のカルボン酸と、2価のアルコールがある。これらのモノマー成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが好ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、トナー母粒子を粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能である。このようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸の含有量は0.1から2.0モル%であることが好ましく、0.2から1.0モル%であることが好ましい。含有量が2モル%よりも多いと、帯電性が悪化する。尚、本発明において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)をそれぞれ1単位(モル)したときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール由来構成成分としては脂肪族ジアルコールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられ、中でも炭素数6から10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコールを、アルコール由来構成成分の95モル%以上用いることが好ましく、98モル%以上用いることがより好ましい。
その他のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド又は(及び)プロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールや、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価のアルコールも使用することができる。
前記ポリエステル樹脂は、前記のモノマー成分の中から任意の組合せで、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は組み合せて用いることができる。
前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、直接重縮合の場合は通常1/1程度、エステル交換法の場合は、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなど真空下で脱留可能なモノマー過剰に用いる場合が多い。前記ポリエステル樹脂の製造は、通常、重合温度180〜250℃の間でおこなわれ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。
重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と供に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、及び、アミン化合物等が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。この中で、帯電性の観点からスズ系触媒、チタン系触媒が好ましく、中でも、ジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂の融点は50〜120℃が好ましく、さらに好ましくは60〜110℃である。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる。また、120℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない。
尚、本発明において、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
トナー中に溶剤を残留させる方法としては、溶剤を含んだ樹脂を用いてトナー化する方法、トナー作製工程中に溶剤を添加する方法、トナー作製後に溶剤雰囲気下でトナーに吸着させる方法、いずれも利用することができるが、特に、生産性と効果の観点で、溶剤を含んだ樹脂を用いてトナー化する方法が好ましい。
なかでも、特開昭63−282749号公報や特開平6−250439号公報で開示されているような、乳化重合により樹脂粒子を、水系媒体に着色剤を分散した着色剤分散液を、必要に応じて水系媒体に離型剤を分散した離型剤分散液を、それぞれ調整し、それらを混合して加熱などの方法により凝集粒子を形成させた後、加熱により融合させてトナーを製造する乳化凝集方法において、溶剤を含んだ樹脂を用いる方法が、トナーの粒度分布や形状制御、ワックス内包化などの観点で好ましい。
以下、乳化凝集法を例に本発明の電子写真用トナーの製造方法について説明する。また、樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を例に説明する。
乳化凝集法は、少なくとも樹脂粒子を分散させた分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程(凝集工程)と、前記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合する工程(融合工程)を含む製造方法である(以下、前記製造方法を「凝集融合法」と称することがある)。
また、凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子分散液中に、粒子を分散させた粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けたものであってもよい。
前記付着工程では、前記凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、前記粒子分散液を添加混合して、前記凝集粒子に前記粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本明細書では「追加粒子」と記す場合がある。
前記追加粒子としては、前記樹脂粒子の他に離型剤粒子、着色剤粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。前記粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、前記粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる電子写真用トナーの粒度分布をシャープにすることができ、高画質化に寄与する。
また前記付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や離型剤などの内添物のトナー表面露出を低減でき、結果として帯電性や寿命を向上させることができることや、融合工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にすることができる、もしくは、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質を改善できる点で有利である。
従って、離型剤を使用するときには、樹脂粒子を主体とした追加粒子を添加することが好ましい。この方法を用いれば、融合工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
融合・粒子形成工程を終了した後は、トナー粒子を洗浄し乾燥してトナーを得る。トナーの帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄を施すことが好ましく、洗浄度合いはろ液の伝導度でモニターするのが一般的で、最終的に、伝導度が30mS以下となるようにすることが好ましい。洗浄時に酸やアルカリでイオンを中和する工程を含んでも良く、酸による処理はpHを4.0以下に、アルカリによる処理はpHを8.0以上にすることが好ましい。
また、洗浄後の固液分離は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに、乾燥も、特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられ、最終的なトナーの水分率は1質量%以下、好ましくは0.7質量%以下になるように乾燥する。
前記乳化凝集法に、結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合、結晶性ポリエステル樹脂を乳化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程と、該乳化粒子(液滴)の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を該結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で融合させ熱合一させる合一工程とを有する。または、前記凝集工程と合一工程の替わりに、該結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で凝集させることにより凝集と合一とを同時に行う、いわゆる会合工程としても構わない。
前記乳化工程において、前記結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系媒体と、ポリエステル樹脂及び必要に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。その際、結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度に加熱することで、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。
また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘のため、分散剤を使用することもできる。以下、かかる乳化粒子の分散液のことを、「樹脂粒子分散液」という場合がある。
前記乳化粒子を形成する際に用いる乳化機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。0.005μm以下では水中にほとんど溶解してしまうため、粒子作製が困難になり、また0.5μm以上では所望の粒径である3.0〜7.5μmのトナー粒子を得ることが困難になる。なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、例えばドップラー散乱型粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックUPA9340)やレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定できる。
また、乳化時の樹脂の熔融粘度が高いと所望の粒径まで小さくならないため、大気圧以上に加圧可能な乳化装置を用いて温度を上げ、樹脂粘度を下げた状態で乳化することで、所望の粒径の樹脂粒子分散液を得ることができる。
前記乳化工程において、樹脂中に溶剤を残留させるために、あらかじめ樹脂をケトン系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤で溶解させた後、樹脂中の溶剤残留量が5質量%程度になるまで40℃のオーブン中で乾燥させる。このとき真空を併用しても良い。得られた溶剤を含んだ樹脂を、前記乳化方法により乳化することで、溶剤を含んだ樹脂粒子分散液を得ることができる。
前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。前記分散剤の使用量としては、前記ポリエステル樹脂(結着樹脂)100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
尚、前記乳化工程において、前記ポリエステル樹脂に、スルホン酸基を有するジカルボン酸を共重合させておく(即ち、酸由来構成成分中に、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分が好適量含まれる)と、界面活性剤等の分散安定剤を減らすことができる、或いは使用しなくても乳化粒子を形成できる。
前記凝集工程においては、得られた乳化粒子を、前記ポリエステル樹脂の融点付近の温度でかつ融点以下の温度にて加熱して凝集し凝集体を形成する。乳化粒子の凝集体の形成は、攪拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。前記pHとしては、2〜5が好ましく、2.5〜4がより好ましい。
前記凝集工程において凝集体を形成させるために、凝集剤を用いることが好ましい。用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤や、一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂粒子分散液中に溶解して得られるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。
好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。
一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上で、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。この価数と添加量で、材料同士の凝集力を変化させることで、トナーの粘弾性を制御することができる点で、また、粒子の安定性を向上させ、粒度分布をシャープにできる点で、本発明のトナーには凝集剤が添加されていることが好ましい。
本発明のトナー中に含まれる、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素は、凝集剤として添加されたものであることが好ましい。凝集剤の添加量は、凝集剤の種類や価数によって変動するが、おおむね、0.05から0.1質量%である。
前記凝集剤は、トナー化工程中に、水系媒体中に流出したり、粗粉を形成するなどにより、添加量すべてがトナー中に残留するわけではない。特にトナー化工程時に、樹脂中の溶剤量が多い場合には、溶剤と凝集剤が相互作用して、水系媒体中に流出しやすいため、残溶剤量に合わせて適宜調節される。
前記合一工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを5〜10の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集体を融合させ合一させる。加熱温度としては、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以上であれば問題は無い。また加熱の時間としては、合一が十分に為される程度行えばよく、0.2〜10時間程度行えばよい。その後、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化温度以下まで降温して、粒子を固化する際、降温速度によって粒子形状及び表面性が変化する。
例えば、早い速度で降温した場合には球形化及び表面が平滑化しやすく、逆にゆっくり降温した場合は、粒子形状が不定形化し、粒子表面に凹凸が生じやすい。そのため、少なくとも0.5℃/分以上の速度で、好ましくは1.0℃/分以上の速度で前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化温度以下まで降温するのが好ましい。
また、凝集工程と合一工程とを同時に行う前記会合工程では、前記ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱しながら凝集工程と同様にpHや凝集剤の添加により粒子を成長させ、所望の粒径になったところで合一工程の場合と同様に、少なくとも1℃/分の速度で前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化温度以下まで降温して、結晶化と同時に粒子成長を停止させる。また降温の前後でpH調整を行ってもよい。このように会合工程をとることで凝集工程と合一工程とを同時に行うことができるため、工程の簡略化の面では好ましいが、前述のコアシェル構造を作ることが難しくなる。
本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂と共に、非晶性樹脂を併用することが好ましい。前述の通り、結晶性ポリエステル樹脂は、その一部はアモルファス状態であるため、非晶性樹脂と比較して室温での樹脂強度が低いため、現像中の外添剤の埋め込みや、フィルミングといった寿命に関わる特性が劣る場合がある。
非晶性樹脂としては、非晶性ビニル系樹脂や非晶性ポリエステル系樹脂が好ましく用いられるが、中でも結晶性ポリエステル樹脂と相溶性の高い、非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂と同様のモノマーを利用し、同様の方法を用いて得ることができるが、帯電性や定着性の観点から、ビスフェノールA系のジアルコールと、フタル酸系のジカルボン酸を主体としたものであることが好ましい。
具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸が主として用いられる。非晶性ポリエステル樹脂は、分子内に架橋構造を有してもよい。架橋構造を形成させるモノマーとしては、ベンゼントリカルボン酸ナフタレントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどの酸モノマーや、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価以上のアルコールモノマーが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂も、結晶性ポリエステル樹脂と同様の方法で、樹脂粒子分散液を得ることができる。
前記乳化凝集法で非晶性ポリエステル樹脂を併用する場合は、前記結晶性樹脂の一部を非晶性樹脂におきかえるか、追加粒子として添加するか、あるいは、両方を併用しても良い。なかでも、追加粒子として添加し非晶性ポリエステル樹脂のシェル構造を作製することが、トナー寿命の観点から好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、結着樹脂中の50から97質量%であることが好ましく、70から95質量%であることがより好ましい。非晶性樹脂が少ないと、特に高速機領域で寿命が低下する場合がある。非晶性樹脂が多すぎると、低温定着性の効果が得られない。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、イエロー顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G 、ベンジジンイエローG 、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG 等を挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が好ましく用いられる。
マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC 、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ、ナフトール系顔料としては、ピグメントレッド31、146、147、150、176、238、269などが挙げられ、キナクリドン系顔料としては、ピグメントレッド122、202、209などが挙げられ、この中でも特に製造性、帯電性の観点からピグメントレッド185、238、269、122が好ましい。
シアン顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が好ましく用いられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR 、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG 、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB 、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG 等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料なども用いられる。また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。
黒色トナーに用いられる黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等を挙げることができ、特にカーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックは比較的分散性が良いため、特に特別な分散を必要としないが、カラー着色剤と同様の製造方法で製造されることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤はトナー構成固体分総重量に対して4〜15質量%の範囲で添加することができる。黒色着色剤として磁性体などを用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240質量%で添加することができる。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
本発明の着色剤分散液に用いられる分散剤は、一般的には界面活性剤である。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が好適にあげられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、離型剤分散液など、他の分散液に用いられる分散剤と同極性であることが好ましい。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類等があげられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類等があげられる。
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類等があげられる。
用いられる分散剤の添加量は、着色剤に対して、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。分散剤が少なすぎると粒径が小さくならない場合や、分散液の保存安定性が低下する場合がある。一方、多すぎる場合には、トナー中に残留する分散剤の量が多くなり、トナーの帯電性や粉体流動性が低下する場合がる。
用いられる水系分散媒は、蒸留水、イオン交換水など、金属イオンなどの不純物が少ないものであることが好ましい。また、消泡や表面張力調整の目的でアルコールなどを添加することもできる。また、粘度調整のために、ポリビニルアルコールやセルロース系ポリマーなどを添加することもできる。
本発明のトナーには、定着性や画像保存性を向上させる目的で離型剤を含有させることが好ましい。
用いられる離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大吸熱ピークが60〜120℃にあり、かつ140℃において1〜50mPasの溶融粘度を有する物質であることが好ましい。融点が60℃未満ではワックスの変化温度が低すぎ、耐ブロッキング性が劣ったり、複写機内温度が高まった時に現像性が悪化したりする。120℃を超える場合には、ワックスの変化温度が高すぎ、高温での定着を行えばいいが、省エネルギーの観点で望ましくない。また、50mPasより高い溶融粘度ではトナーからの溶出が弱く、定着剥離性が不十分となってしまう。
本発明に用いられる離型剤の粘度は、E型粘度計によって測定される。測定に際しては、オイル循環型恒温槽の備えられたE型粘度計(東京計器製)を用いる。
粘度の測定には、コーン角1.34度を有したコーンプレート/カップの組み合わせのプレートを用いる。カップ内に試料を投入し、循環装置の温度を140℃にセットし、空の測定カップとコーンを測定装置にセットし、オイルを循環させながら恒温に保つ。温度が安定したところで測定カップ内に試料を1g入れ、コーンを静止状態で10分間静置させる。安定後、コーンを回転させ測定を行う。コーンの回転速度は60rpmとする。測定は3回行い、その平均値を粘度ηとする。
前記離型剤は示差走査熱量計により測定されるDSC曲線で吸熱開始温度が40℃以上であることが望ましい。より好ましくは50℃以上である。40℃より低いと複写機内やトナーボトル内でトナーの凝集が発生してしまう。
吸熱開始温度はワックスを構成する分子量分布のうち、低分子量のものやその構造のもつ極性基の種類、量で左右される。一般に高分子量化すれば融点とともに吸熱開始温度も上昇するが、このやり方ではワックス本来の低溶融温度と、低粘度をそこなってしまう。よってワックスの分子量分布のうち、これら低分子量のものだけを選別してのぞくことが有効であるが、この方法として、分子蒸留、溶剤分別、ガスクロマトグラフ分別等の方法がある。
また、極大吸熱ピークが50℃を下回ると定着時にオフセットを生じやすくなる。逆にピークが140℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性が得られず光沢性が損なわれる。
DSCの測定は例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いて行われる。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットして昇温速度10℃/minで測定を行う。
前記離型剤の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
前記離型剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、分散液を作成することができる。なお、前記離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばドップラー散乱型粒度分布測定装置やレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
離型剤分散液中の離型剤に対する分散剤の割合が1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2質量%以上10質量%以下である。分散剤の割合が少なすぎると離型剤が充分に分散されずに保存安定性が劣る場合がある。分散剤の割合が多すぎると、トナーの帯電性とくに環境安定性が悪化する場合がある。分散剤としては、前記着色剤にもちいることができる分散剤と同様のものから、ワックスの種類に対して最適なものを選択できる。
本発明のトナーには、無機もしくは有機の粒子を添加することができる。前記粒子の補強効果によりトナーの貯蔵弾性率が大きくなり、耐オフセット性や定着器からの剥離性を向上できる場合がある。また、前記粒子は着色剤や離型剤などの内添物の分散性を向上させる場合がある。
前記無機粒子としては、シリカ、疎水化処理シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、アルミナ処理コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカなどを単独もしくは併用して用いることができ、なかでもOHP透明性とトナー中の分散性の観点からコロイダルシリカを用いることが好ましい。
粒子の粒径は、5から50nmであることが好ましい。また、粒径の異なる粒子を併用することも可能である。前記粒子はトナー製造時に直接添加することもできるが、分散性を高めるためにあらかじめ超音波分散機などを用いて水など水溶性媒体へ分散されたものを用いることが好ましい。分散においては、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基などを用いて分散性を向上させることもできる。
本発明のトナーには、上記成分の他、帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の体積平均粒径としては、1μm以下であることが必要であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる電子写真用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記体積平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記種々の添加剤分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、その他、着色剤分散液や離型剤分散液の作製と同様の装置など、それ自体公知の分散装置が挙げられ、適宜最適なものを選択して用いることができる。
また、本発明のトナーは、その帯電量が絶対値で10〜70μC/gの範囲にあるのが好ましく、15〜50μC/gの範囲がより好ましい。前記帯電量が、10μC/g未満であると、背景部汚れが発生し易くなり、70μC/gを越えると、画像濃度の低下が発生し易くなる。
また、30℃、80RH%の高湿度下と10℃、20RH%の低湿度下での帯電量の比率は0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.7〜1.2の範囲がより好ましい。前記比率が範囲内にあると環境に影響されることなく鮮明な画像を得ることができる。
帯電量は外添剤の寄与も大きいが、未外添時の帯電量が重要であることは言うまでもない。また、着色剤分散液や離型剤分散液などに使用される界面活性剤量をトータルで減らすとともに、残留した界面活性剤やイオンなどを充分に洗浄することが必要で、洗浄ろ液の伝導度が0.01mS/cm以下となるように洗浄することが好ましい。また、トナーの乾燥も重要であり、水分量が0.5質量%以下となるように乾燥することが好ましい。
さらにまた、本発明のトナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、2〜30の範囲にあるのが好ましく、3〜20の範囲がより好ましい。前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、30を越えると、光透過性、着色性が十分でなく、特にフィルム上に電子写真用トナーを現像または定着させた場合において、光透過により映し出される画像が、不鮮明で暗い画像になるか、不透過で発色しない投影画像となり、2未満であると、高温定着時におけるトナーの粘度低下が顕著になり、オフセット現象が発生し易くなる。一方、前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、前記数値範囲内にあると、光透過性、着色性が十分である上、高温定着時における電子写真用トナーの粘度低下を防止し、オフセット現象の発生を効果的に抑制することができる。
本発明のトナーには、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等の外添剤として、無機粒子および有機粒子等が含有される。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられる。これらの無機粒子は、その表面が疎水化されたものであることが好ましく、帯電性、粉体特性、保存性などのトナー諸特性や、現像性や転写性といったシステム適性を制御するために用いられる。
有機粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。これらの粒子は転写性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は0.05から1.0μmであることが好ましい。
さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ユニリンなどの高級アルコールなどがあげられる。これらは一般にクリーニング性を向上させる目的で添加され、その1次粒径は、0.1から5.0μmのものが用いられる。
本発明のトナーには、前記無機粒子のなかでも少なくとも2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は30nm〜200nmの、さらに好ましくは30nm〜180nmの平均1次粒子径を有することが好ましい。
トナーが小粒径化することによって、感光体との非静電的付着力が増大するため、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こされ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因となるため、体積平均1次粒子径が30nm〜200nmの大径の外添剤を添加し、転写性を改善させることが好ましい。
体積平均1次粒子径が30nmより小さいと、初期的なトナーの流動性は良好であるが、トナーと感光体との非静電的付着力を十分に低減できず転写効率が低下し画像のぬけや、画像の均一性を悪化させてしまい、また経時による現像機内でのストレスによって粒子がトナー表面に埋め込まれ、帯電性が変化しコピー濃度の低下や背景部へのカブリ等の問題を引き起こす。
また、体積平均1次粒子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離しやすく、また流動性の悪化にもつながる。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、特に、疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。特にシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、粒径80から500nmの有機粒子を併用することも転写性向上には好ましい。
外添剤を疎水化処理する疎水化剤としては公知の材料が挙げられ、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイルやポリマーコーティング処理などが挙げられる。これらの疎水化剤を単独又は組み合わせて用いることができる。これらの中でも、シラン系カップリング剤とシリコーンオイルを好ましく用いることができる。シラン系カップリング剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等いずれのタイプも使用することができる。
その具体例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、トリメチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3.4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン等や、それらの一部の水素原子をフッ素原子に変えた、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシランなどのフッ素系シラン化合物、水素原子の一部をアミノ基で置換したアミノ系シラン化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。疎水化処理された粒子を用いると高湿度下での帯電量を向上させる事ができ、結果として帯電の環境安定性を向上させる事ができる。本発明のトナーでは、少なくとも1種の外添剤にシリコーンオイル系処理が施されたものが含まれていることが好ましい。
粒子の疎水化処理法としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤で混合希釈した処理剤を、ブレンダー等で強制的に攪拌させた粒子に滴下したり、スプレーしたりして充分に混合し、必要に応じて洗浄、濾過を行った後、加熱乾燥させ、乾燥後凝集物をブレンダーや乳鉢等で解砕して処理する方法や、粒子を処理剤の溶剤溶液に浸析した後、乾燥させる、あるいは、粒子を水中に分散してスラリー状にした上で処理剤溶液を滴下し、その後粒子を沈降させて加熱乾燥して解砕する方法や、粒子へ直接処理剤を噴霧する方法等、従来公知の方法を用いることができる。
前記処理剤の粒子への付着量は、粒子に対して0.01〜50質量%であることが好ましく、0.1〜25質量%がより好ましい。付着量は、処理の段階で処理剤の混合量を増やしたり、処理後の洗浄工程数を変える等の方法によって変えることができる。また、処理剤の付着量は、XPSや元素分析により定量することができる。処理剤の付着量が少ないと高湿度下で帯電性が低下する場合が有り、処理量が多すぎると低湿度下で帯電が過剰になりすぎたり、遊離した処理剤が現像剤の粉体流動性を悪化させる場合がある。
前記外添剤は、トナー粒子と共にサンプルミルやヘンシェルミキサーなどで機械的衝撃力を加えられてトナー粒子表面に付着又は固着させられる。
本発明のトナーを用いた現像剤としては、トナーのみからなる一成分現像剤やトナーとキャリアとからなる二成分現像剤が挙げられるが、帯電の維持性や安定性に優れる二成分現像剤が好ましい。キャリアとしては、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ましく、窒素含有樹脂で被膜されたキャリアであることがさらに好ましい。
前述の窒素含有樹脂としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル等を含むアクリル系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。またこれらの共重合樹脂でもかまわない。
キャリアの被膜樹脂としては前記窒素含有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また前記窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよい。また前記窒素含有樹脂を粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散して使用してもよい。特にウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂は負帯電性が高く、また樹脂硬度が高いため被膜樹脂の剥がれなどによる帯電量の低下を抑制することができ好ましい。
一般にキャリアは適度な電気抵抗値を有することが必要であり、具体的には109〜1014Ωcm程度の電気抵抗値が求められている。例えば鉄粉キャリアのように電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、スリーブからの電荷注入によりキャリアが感光体の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを介して逃げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする等の問題が生じる。一方、絶縁性の樹脂を厚く被覆してしまうと電気抵抗値が高くなりすぎ、キャリア電荷がリークしにくくなり、その結果エッジの効いた画像にはなるが、反面大面積の画像面では中央部の画像濃度が非常に薄くなるというエッジ効果という問題が生じる。そのためキャリアの抵抗調整のために樹脂被覆層中に導電性微粉末を分散させることが好ましい。
導電性微粉末の具体例としては、金、銀、銅のような金属や;カーボンブラック;更に酸化チタン、酸化亜鉛のような半導電性酸化物;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズやカーボンブラック、金属で覆ったもの等が挙げられる。この中でも製造安定性、コスト、導電性の良さからカーボンブラックが好ましい。
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を粒子化し被膜樹脂の融点以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。
上記方法により形成される樹脂被膜層の平均膜厚は、通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。
前記キャリアにおいて用いられる芯材(キャリア芯材)としては、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キャリア芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。
前記二成分現像剤における本発明の電子写真用トナーと前記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は特に指定しない限り質量基準を表すものとする。
本発明のトナーの作製方法としては、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これらを所定の割合で攪拌・混合しながら、金属塩凝集剤を添加しイオン的に中和させて凝集粒子を形成する。次いで、無機水酸化物を添加して系中のpHを弱酸性から中性域に調製した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合及び合一する。反応終了後、充分な洗浄、固液分離乾燥の工程を経て所望のトナー粒子を得て、該トナー粒子に外添剤を加えることにより製造される。以下、それぞれの調整方法を説明する。
[分子量分布の測定]
分子量分布は以下の条件で行った。
東ソー(株)HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSK gei, SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
−結晶性ポリエステル樹脂(1)の調製−
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、1,8−オクタンジカルボン酸を4.9モル、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチルを0.1モル、1,6−ヘキサンジオールを4.8モル、エチレングリコールを0.22モル、を入れた後、容器内を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、ジブチルスズオキシドを0.04モル投入し、窒素ガス気流下約180℃で約5時間撹拌反応させた後、チタンテトラブトキサイドを0.02モル加えて、温度230℃、反応容器内圧力10.0mmHgの減圧下で、4時間追加反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点は、65℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、重量平均分子量(Mw)が16000、数平均分子量(Mn)が7300、JIS−K0070に従ってアセトン−トルエン混合溶液を用いて測定した酸価が8KOHmg/g、であった。
−非晶性ポリエステル樹脂(1)の調整−
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を1.5モルと、ビスフェノールAトリメチレンオキサイド2モル付加物を1.8モルと、シクロヘキサンジメタノールを1.1モルと、エチレングリコールを0.62モルと、テレフタル酸を4.0モルとイソフタル酸1.0モルを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジブチルスズオキサイドを0.04モル投入して、窒素ガス気流下約195℃で約6時間撹拌反応させ、さらに温度を約240℃に上げて約6.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間攪拌反応させて、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。DSC法によるTgが56℃、スチレン換算GPC法による、Mwが11300、Mnが4400、Mw/Mnが2.6、JIS−K0070に従ってアセトン−トルエン混合溶液を用いて測定した酸価が12KOHmg/g、粘弾性測定によるG’’が10000Paになる温度が約100℃であった。
−着色剤分散液(1)の調製−
シアン顔料20部(大日精化社製:ECB−301)、アニオン界面活性剤2部(第一工業製薬社製:ネオゲンSC、有効成分として、着色剤に対して10%)、イオン交換水78部を用い、上記成分をすべて投入した時に液面の高さが容器の高さの1/3程度になるような大きさのステンレス容器に投入し、ホモジナイザー(LKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で5分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータルしこみ量と装置の処理能力から換算して25パス相当おこなった。その後イオン交換水を加えて、固形分濃度を16.5%に調整した。得られた着色剤分散液の体積平均粒径(D50)をマイクロトラックUPAにて測定したところ115nmであった。
−着色剤分散液(2)の調製−
着色剤分散液(1)の調整で、顔料をマゼンタR122顔料(大日精化社製:ECR−186Y)に変更した以外は同様にして着色剤分散液(2)を調整した。D50は121nmであった。
−着色剤分散液(3)の調製−
着色剤分散液(1)の調整で、顔料をイエローY74顔料(クラリアントジャパン社製:Hansa Brill.Yellow 5GX03)に変更した以外は同様にして着色剤分散液(3)を調整した。D50は138nmであった。
−着色剤分散液(4)の調製−
着色剤分散液(1)の調整で、顔料をカーボンブラック(キャボット社製:リーガル330)に変更した以外は同様にして着色剤分散液(4)を調整した。D50は105nmであった。
−離型剤分散液の調製−
ポリアルキレンワックス 270部
(日本精鑞社製、HNP−9、融点78℃、180℃粘度2.5mPa・s)
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 8.4部
(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
イオン交換水 720部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で、分散圧力500kg/cm2で、仕込み量と分散能力から換算して10パスに相当する時間分散処理し、離型剤分散液を得た。離型剤粒子の体積平均粒径D50は225nmであった。その後イオン交換水を加えて固形分濃度を25.8質量%に調整した。
−非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整−
ついで、得られた非晶性ポリエステル樹脂(1)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水79%、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)が1%(有効成分として)、非晶性樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径290nmの非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)200部(固形分濃度100%)を蒸留水800部中に入れ、85℃に加熱後、アンモニアにてpH9.0に調整し、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)0.4部(有効成分として)を加え、85℃に加熱しながら、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて、8000rpmで7分間分散し、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。体積平均粒径は260nmであった。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)の1.2:1(質量比)混合溶剤に溶解した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が95%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散処理した。その後、エバポレータで1時間脱溶剤処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を、メチルエチルケトンに溶解した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が95%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散処理した。その後、エバポレータで1時間脱溶剤処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールの1.2:1(質量比)混合溶剤に溶解した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が93%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散処理した。その後、エバポレータで1時間脱溶剤処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールの1.4:1(質量比)混合溶剤に溶解した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が90%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散した後、水浴で40℃に加熱しながらエバポレータで2時間処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(6)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールの1.2:1(質量比)混合溶剤に溶解した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が91%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散した後、水浴で40℃に加熱しながらエバポレータで2時間処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(6)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
−追加粒子(1)の調整−
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)(非晶性ポリエステル樹脂濃度20%)150部とアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、有効成分量60%)1.5部(有効成分として0.9部)とを混合した後、1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを4.0にして、追加粒子(1)を調整した。
[実施例1]
イオン交換水 410部
結晶性ポリエステル樹脂分散液(4) 160部 (結晶性ポリエステル樹脂濃度20%)
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 340部 (非晶性ポリエステル樹脂濃度20%)
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、有効成分量60%) 2.5部 (有効成分として1.5部)
を、温度計、pH計、攪拌機、を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、攪拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後、
着色剤分散液(1) 50部(着色剤濃度15%)
離型剤分散液 60部(離型剤濃度25%)
を投入し、5分間保持した。そのまま、1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを2.7に調整した。
攪拌機、マントルヒーターをはずし、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて、3000rpmで分散しながら、
ポリ塩化アルミニウム 0.33部
0.1%硝酸水溶液 37.5部
の混合溶液を、そのうちの1/2を添加した後、分散回転数を5000rpmにして、残りの1/2を1分間かけて添加し、分散回転数を6500rpmにして、6分間分散した。
反応容器に、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、42℃まで、0.5℃/分で昇温し、42℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら、10分ごとに、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて、アイソトンを希釈液として測定濃度10%で粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで、追加粒子(1)150部を3分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、2時間目でほぼ球形化したので、1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させた。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ状になった粒子を取り出し、粒子質量の10倍量のイオン交換水中に投入し、スリーワンモータで攪拌し充分に粒子がほぐれたところで、1.0%硝酸水溶液でpHを3.8に調整して10分間保持した。その後再度ろ過、通水洗浄し、ろ液の伝導度が10mS以下となったところで、通水を停止し、固液分離した。得られたケーキ状になった粒子をサンプルミルで解砕して、25℃のオーブン中で24時間乾燥した。得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、25℃のオーブン中で12時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、体積平均粒径(D50)が5.7μm、GSD(vol)upが1.22、GSD(pop)downが1.24で、ルーゼックス(株式会社ニレコ製、FT)による形状観察により求めた形状係数SF1は120、トナー粒子に含有されるアルミニウム、亜鉛及びカルシウムの合計のイオン量(元素組成比換算)は0.15%であった。また、トナー中のメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールの量をガスクロマトグラフを用いて上述の方法に基づき測定した
なお、GSD(vol)up、及びGSD(pop)downは下記方法により求めた。
粒度分布は、コールターマルチサイザーIIを用いて測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(分割数:1.26〜50.8μmまでを16チャンネルに、logスケールで0.1間隔となるように分割する。具体的には、チャンネル1が1.26μm以上1.59μm未満、チャンネル2が1.59μm以上2.00μm未満、チャンネル3が2.00μm以上2.52未満・・・、とし、左側の下限数値のlog値が(log1.26=)0.1、(log1.59=)0.2、(log2.00=)0.3、・・・、1.6となるように分割した。)に対して、体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を引いて、累積16%となる粒径を体積D16(vol)、数D16(pop)、累積50%となる粒径を体積D50(vol)、数D50(pop)、累積84%となる粒径を体積D84(vol)、数D84(pop)と定義する。体積粒度分布指数GSD(vol)は、(D84(vol)/D16(vol))1/2として算出される。数平均粒度分布指数GSD(pop)は、(D84(pop)/D16(pop))1/2として算出される。GSD(vol)upは、(D84(vol)/D50(vol))1/2、GSD(pop)downは、(D50(pop)/D16(pop))1/2として算出される。
形状係数SF1は、下記式に基づいて算出された。
SF1=((トナー粒子径の絶対最大長)2/(トナー粒子の投影面積))×(π/4)×100
トナー粒子径の絶対最大長及びトナー粒子の投影面積はルーゼックスFTにより求めた。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで45秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を調整した。
[実施例2]
実施例1において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)へ変更した以外は同様の操作にて粒子を作製した。粒子の洗浄を実施例1と同様におこなった後、得られたケーキ状になった粒子をサンプルミルで解砕して、25℃のオーブン中で24時間乾燥した。得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、再度、25℃のオーブン中で24時間乾燥した。実施例1と同様にして外添剤ブレンド、篩分をおこない、トナー(2)を得た。
[実施例3]
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(6)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(3)を得た。
[比較例1]
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(4)を得た。
[比較例2]
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(5)を得た。
[比較例3]
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(6)を得た。
[比較例4]
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(7)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を100部と、イソプロピルアルコールを100部とを、攪拌機、冷却管を備えたフラスコにいれ、75℃の温浴で加熱し、30分間混合攪拌した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が90%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散した後、水浴で40℃に加熱しながらエバポレータで1時間処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(7)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(7)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(7)を得た。
[比較例5]
比較例3のトナーを、25℃のオーブン中で5時間真空乾燥してトナー(8)を得た。
[比較例6]
−結晶性ポリエステル樹脂分散液(8)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)を100部と、トルエンを100部とを、攪拌機、冷却管を備えたフラスコにいれ、90℃の温浴で加熱し、30分間混合攪拌した後、45℃の防爆乾燥機内で固形分濃度が90%になるまで乾燥した。さらに40℃の真空乾燥機中で固形分濃度が99.5%になるまで乾燥した。この樹脂を用いて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調整と同様の方法で分散した後、水浴で50℃に加熱しながらエバポレータで6時間処理して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(8)を得た。エバポレータ処理中に水分が蒸発し固形分濃度が上がってしまうため、適宜中断して蒸留水を添加し固形分を20%に調整した。エバポレータ処理時間は蒸留水添加の時間を含まないものである。
実施例2において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を、結晶性ポリエステル樹脂分散液(8)へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(9)を得た。
[実施例4]
実施例1において、ポリ塩化アルミニウムの添加量を0.33部から0.60部に、0.1%硝酸水溶液の添加量を37.5部から68部に、分散時間を6分から8分へ変更した以外は同様の操作にてトナー(10)を得た。
[実施例5]
実施例1において、ポリ塩化アルミニウムの添加量を0.33部から0.16部に、0.1%硝酸水溶液の添加量を37.5部から18.0部に変更した以外は同様の操作にてトナー(11)を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜6に用いられるトナー及びトナー粒子の特性を表1にまとめて示す。
Figure 0004513623
[キャリアの製造]
フェライト粒子(体積平均粒径35μm) 100部
トルエン 14部
パーフルオロオクチルエチルメタクリレート/メタクリレート共重合体(共重合比:15/85) 2部
カーボンブラック(VXC72:キャボット社製) 0.2部
まずフェライト粒子を除く上記成分を10分間サンドミルにて攪拌させ、分散した被覆液を秤量し、次にこの被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ、攪拌しながら、60℃にて−20mmHgまで減圧し30分混合した後、昇温/減圧させ90℃/−720mmHgで30分間攪拌乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは1000V/cm印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
[現像剤の調整]
上記キャリア100部に対して、実施例及び比較例の各トナー8部をV型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して各現像剤を得た。
[補給用トナーの調整]
上記キャリア2部に対して、実施例及び比較例の各トナー10部をV型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して各補給用トナーを得た。
[画像評価方法]
室温32℃、湿度75%の環境室にて、得られた現像剤を、DocuCentre Color 500 CP改造機の現像器に、補給用トナーをトナーカートリッジにそれぞれセットし、用紙上の各単色ベタ画像の現像トナー量を4.0g/m2に調整した。用紙にミラーコートプラチナ256GSMを用い、用紙のほぼ中心部に、5cm×5cmのプロセスブラック画像(実測現像トナー量11g/m2)を作製し、連続複写50枚のプリントをおこない、40枚目の画像に、蛍光灯の光を反射させて、傷の有無を目視にて評価した。
[画像評価結果]
実施例1のトナーを用いた画像は、うっすらと傷らしきものがあったが注意しないとわからないレベルであり特に問題とはしなかった。実施例2と実施例3のトナーを用いた画像には傷は観られなかった。一方、比較例1のトナーを用いた画像は、2本の傷が確認された。比較例2と比較例3のトナーを用いた画像では、41枚目のプリントへわずかではあるが付着が観られた。容易に剥離できたものの、傷の有無以前に実使用上問題となる結果であった。比較例4のトナーは、画像に1本の傷が確認された。また、軽微ではあるがカブリトナーが観察された。比較例5のトナーは、41枚目のプリントへわずかではあるが付着が観られた。容易に剥離できたものの、傷の有無以前に実使用上問題となる結果であった。比較例6のトナーは、微粉側の粒度分布が悪く、また、41枚目のプリントへわずかではあるが付着が観られた。容易に剥離できたものの、傷の有無以前に実使用上問題となる結果であった。

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを含有し、乳化凝集法により製造されたトナー粒子と、外添剤と、を含有する電子写真用トナーであって、
    ケトン系溶剤としてアセトン、メチルエチルケトン又はジエチルケトンを、アルコール系溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールをそれぞれ10〜100ppm含有し、前記ケトン系溶剤及び前記アルコール系溶剤の合計が20〜150ppmであり、
    前記トナー粒子が、アルミニウム、亜鉛及びカルシウムから選択される少なくとも1種の金属元素を元素組成比換算で0.05〜0.30%含有する電子写真用トナー。
  2. 前記ケトン系溶剤がメチルエチルケトンであり、前記アルコール系溶剤がイソプロパノールである請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナーを含む電子写真用現像剤。
  4. 樹脂粒子を分散させた分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する凝集工程と、前記凝集粒子分散液を加熱して、前記凝集粒子を融合する融合工程とを含む、請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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