本発明は、重付加あるいは重縮合反応で樹脂粒子を生成し、該樹脂粒子を凝集させて形成したトナー粒子中に、カルナウバワックスとケトン類からなる揮発性成分を4〜60ppm含有するトナーに関する。以下、本発明に係るトナーについて詳述する。
《重付加反応と重縮合反応》
本発明に係るトナーを構成する樹脂は、重付加あるいは重縮合反応により得られるものである。
ここで、重縮合反応とは複数の官能基を有する化合物が水やアルコールの様な低分子の化合物を放出しながら次々に縮合反応を繰り返して高分子を生成する反応のことをいう。通常、よく知られた重縮合反応の例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との反応により水を放出してポリアミド(66ナイロン)を生成するものや、エチレングリコールとテレフタル酸エステルからアルコールの脱離を伴ってポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を生成する反応が挙げられる。
一方、重付加反応とは官能基を有する化合物の官能基間で付加反応が行われることにより新しい結合を形成し、この反応を順次繰り返して高分子を生成する反応のことをいい、反応時に重縮合反応の様な低分子化合物の放出を伴わずに高分子を生成するものである。
また、重付加反応は前述の様に、官能基間の反応が逐次的に繰り返されるものであるので、ラジカル重合などの付加重合反応とは異なるものである。通常、よく知られた重付加反応の例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナートとテトラメチレングリコールからポリウレタンを生成するものが挙げられる。
《カルナウバワックス》
本発明に係るトナーは、カルナウバワックス(以下カルナバワックスともいう)を含有することを特徴とする。カルナウバワックスは、Pelmeria de carnaubaと呼ばれるパーム樹より得られたものを精製した天然ワックスで、光沢、乳化、撥水、防水等に優れた特性を有するものである。
カルナウバワックスは、前述したパーム樹の葉や茎部からワックス分を遊離させ、加熱溶解して夾雑物を除去して生成される。トナー用の離型剤として使用されるカルナウバワックスとしては、パーム樹の未だ開ききっていない若葉を切り出して乾燥し、叩解して葉脈からワックス分を分離させて得られる天然で得られる最高グレードのものや、パーム樹の開ききった葉や落葉、茎部を煮出し処理し夾雑物を除去して得られる低いグレードのカルナウバワックスを特許第2681097号公報に開示される品質改良法によるものや、分子蒸留法の繰返しにより精製されたものが用いられる。
本発明に係るトナーに用いられるカルナウバッワックスの物性として、酸価が10.0以下、好ましくは0.1〜8.0、より好ましくは0.4〜6.0である。カルナウバワックスの酸価が低い方が、トナー製造時において添加される金属塩と不溶物を生成することがないので、樹脂粒子の凝集性が安定して粒度分布がシャープになるという視点から好ましいものである。
また、カルナウバワックスのけん化価はが70〜95,好ましくは75〜90、より好ましくは78〜88である。前記範囲のけん化価を有することにより、カルナウバワックスはトナー粒子中で離型剤としての機能に加えて界面活性剤的な機能も発現することが可能になるので好ましい。
なお、これら酸価やけん化価等のカルナウバワックスの物性を測定する測定方法としては、基準油脂試験法や日本薬局方第13改訂版D−18に基づいたテスト方法に開示される通常よく知られた測定方法で行われる。
また、融点は、75〜90℃であり、好ましくは80〜88℃である。融点の測定方法も上記試験法によるものやDSCによるもの等通常よく知られた方法で行われる。
ブルックフィールド式回転粘度計による100℃における動粘度は、15〜35cpsで、20〜30cpsが好ましく、22〜28cpsがより好ましい。
ヨウ素価は、5〜14、好ましくは8〜12であり、JIS K 2235−1991による針入度は、1.0以下が好ましい。
また、本発明に係るトナーに使用されるカルナウバワックスは、パラフィン炭化水素組成を1〜3質量%、樹脂分組成を1.5〜5.5質量%、ベンゼン可溶成分を4〜12質量%含有するもので、これらの組成によりトナー画像の低温下でのすべり性を向上させる要因として機能する。これらの組成も上記基準油脂試験法や日本薬局方第13改訂版D−18に基づいて測定される。
カルナウバワックスの形態は、フレーク状や顆粒状或いは粉状のもの、あるいは乳化したエマルジョンタイプのものが挙げられるが、特にトナー製造上の観点からはフレーク状の形態を有するものが好ましい。また、粉体品は保存中に空気酸化を受けて溶解性が落ちる傾向を有していることからも、カルナウバワックス本来の性能を発現させる形態としてフレーク状のものが好ましい。
また、カルナウバワックスに後述する他のワックスを混合して用いるものであってもよい。
本発明では、カルナウバワックスの精製度合いにより、後述するトナー粒子における揮発性成分含有量を制御することが可能である。カルナウバワックスの精製方法としては、高真空で瞬時加熱して不純物を蒸発除去する分子蒸留法による精製が挙げられる。なお、本発明で使用されるカルナウバワックスに適用可能な分子蒸留法による具体的な精製技術としては、例えば、特開平11−209785号公報に開示されているものが挙げられる。
本発明に係るトナーに含有されるカルナウバワックスの含有割合は、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%である。具体的には、トナーをDSCで測定した時にカルナウバワックスによる吸熱量が4〜24J/g、好ましくは5〜15J/g、さらに好ましくは6〜12J/gである。
《揮発性成分》
また、本発明に係るトナーは、トナー粒子中にケトン類からなる揮発性成分を4〜60ppm含有することを特徴とする。ここで、ケトン類とは下記構造式(1)で表される化合物のことをいう。
式中、R1とR2は置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキル基、またはアルキレン基、あるいはフェニル基である。
本発明に係るトナーでは、ケトン類をカルナウバワックスに含有させてもよく、あるいはトナー粒子に直接添加してもよい。
本発明に係るトナーに含有される揮発性成分の定量方法として、ヘッドスペース方式のガスクロマトグラフによる定量方法が挙げられる。この方法は、通常のガスクロマトグラフで使用される内部標準法等の検出方法を使用して測定することが可能である。
ヘッドスペース方式のガスクロマトグラフによる定量方法では、トナーを開閉容器中に封入し、複写機等の熱定着時程度に加温し、容器中に揮発性成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入して揮発性成分量を測定するとともに、MS(質量分析)も行う。
以下、ヘッドスペース方式のガスクロマトグラフによる測定法について詳細に説明する。
〈ヘッドスペースガスクロマトグラフ測定方法〉
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料量は、0.01gまで秤量する(単位質量あたりの面積を算出するのに必要)。専用クリンパーを用いてバイアルにセプタムを用いてシールする。
2.試料の加温
170℃の恒温槽に試料を立てた状態で入れ、30分間加温する。
3.ガスクロマトグラフ分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコンオイルSE−30でコーティングした担体を内径3mm、長さ3mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。該分離カラムをガスクロマトグラフに装着し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にし、昇温速度15℃/分で260℃まで昇温させながら測定する。260℃に到達後5分間保持する。
4.試料の導入
バイアルビンを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで試料から発生したガス1mlを採取し、これを上記分離カラムに注入する。
5.計算
内部基準物質として使用した芳香族炭化水素化合物により、予め検量線を作製し、それぞれ各成分の濃度を求める。
6.機材
(1)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置
ヒューレットパッカード社製HP7694「Head Space
Sampler」
温度条件
トランスファーライン:200℃
ループ温度:200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(2)GC/MS条件
GC:ヒューレットパッカード社製HP5890
MS:ヒューレットパッカード社製HP5971
カラム:HP−624 30m×0.25mm
オーブン温度:40℃(3min)−15℃/min−260℃
測定モード:SIM
なお、揮発性成分の含有量は、トナーを170℃、30分間加熱した時の気相中の有機化合物の量をトルエンに換算した値をいう。
本発明に係るトナーにおけるケトン類からなる揮発性成分としては、ベンゾフェノンが1〜10ppm検出されることが好ましい。ベンゾフェノンは通常カルナウバワックス単体を分析しても検出されないもので、おそらく、カルナウバワックス中に残存する何らかの物質がトナー製造時の例えば凝集工程で生ずる熱等の作用で反応して生成されるものと推測される。
本発明に係るトナーでは、ケトン類からなる揮発性成分の含有量が4〜60ppmで、好ましくは6〜45ppmである。トナーに含有される揮発性成分の量は、カルナウバワックスの精製度合いにより制御することが可能である。具体的には、分子蒸留処理を繰り返し行うことによりカルナウバワックスの精製度合いが向上し、揮発性成分の含有量が低減する。
また、本発明に係るトナーは上記のケトン類からなる揮発性成分の他に、酢酸エチルやブタノール、キシレン等の樹脂粒子の製造工程等に起因する揮発性成分を有しており、全揮発性成分の含有量は20〜300ppmである。
具体的な測定結果としては、酢酸エチルが0.5〜24ppm、ブタノールが0.5〜28ppm、キシレンが0.1〜30ppm検出されることが好ましい。
《トナー形状》
本発明に係るトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.94〜0.98、より好ましくは0.96〜0.97である。
円形度=(相当円の周囲長)/(トナー粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(トナー粒子投影像の周囲長)
ここで、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することができる。この時、円相当径は下式で定義される。
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2
又、本発明のトナーの形状は、円相当径の平均値が、2.6〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることが好ましい。より好ましくは、円相当径の平均値が3.4〜6.6μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.040〜−0.020であるのがよい。
本発明者等は、質量が大きめで円形度が低い粒子に、ドット潜像上でくさびのように現像を行わせ、そのすきまを埋めるように小径で円形度の高い粒子を現像し、最密充填の状態になるように調整を行った。そうすると、例え、転写でチリが発生しても質量の小さな粒子からチリがでるので、ドットの輪郭はしっかりと残ることが判った。但し、粒子の円形度と円相当径は離散的に分布するのでは、効果が不十分であり、選択現像や選択転写を招来しやすくなるという問題点があった。
そこで、円相当径に対する円形度の傾きとして、連続的にそれらを変化させる概念を導き出すことで選択現像や選択転写の問題を解消するとともに、良好な定着性能を発現する範囲を見出した。
円相当径の傾きの測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000でトナー粒子の円相当径を測定し、それに対応する円形度との関係を、横軸:円相当径(μm)−縦軸:円形度として描き、その一次の相関(y=αx+b)をみれば、αが円相当径の傾きとなる。
この時、帯電の均一性、ハーフトーンの均一性を高める観点からR2(Rの2乗)は0.35〜0.95が好ましい。ここにおいてRは下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
R=A/B
式中、A、Bは各々下記式を表す。
A=nΣXY−(ΣXΣY)
B=(nΣX2−(ΣX)2)×((nΣY2)−(ΣY)2)
Xは円相当径(μm)、Yは円形度を表す。
また、円相当径の傾きを有するトナーを造るには、小粒径の球形トナー粒子にやや粒径の大きい異形のトナー粒子を混合しても良い。或いは、後述する樹脂粒子を会合してトナー粒子を造る方法においては、会合工程で凝集剤を添加した後、撹拌羽根形状を適宜選択し、撹拌強度を制御し、大きめの粒子に剪断力がかかり易い条件として、濾過、乾燥工程に移行する方法でもよい。好ましくは、トナー製造装置と前述のフロー式粒子像分析装置をインライン接続し、傾きαをモニタリングしつつ、適宜条件を調整しながら製造する。
好ましくは樹脂粒子と着色剤との凝集を停止させる停止剤を投入した後、例えば塩析剤の再添加や界面活性剤の追加により、トナー粒子をさらに0.2〜1.0μm成長させると、本発明の範囲内に入るよう制御することが可能である。
《結着樹脂》
次に、本発明に係るトナーを構成する結着樹脂について説明する。
本発明に用いられるトナーの構成材料である結着樹脂は、単量体を重付加あるいは重縮合反応させて樹脂を生成するものが好ましく、水系媒体中で樹脂粒子の分散液を形成し得る樹脂であるものが好ましい。
重付加あるいは重縮合により得られる具体的な樹脂としては、無定形のポリエステル樹脂やウレタン変性したポリエステル樹脂、ポリオール樹脂の他に、ポリウレタン樹脂やエポキシ樹脂が挙げられる。
ここで、無定形ポリエステルの無定形とは、X線回折により明瞭な結晶構造が認められないポリエステル分子が全構成分子の50モル%以上を占めるものをいう。さらに詳しくは、結晶化度が0.1未満である分子が50モル%以上占めるものを無定形ポリエステルという。
なお、ここでいう結晶化度は、密度、融解熱、X線回折、NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定され、結晶領域を質量比(百分率)で表す。
《無定形ポリエステル樹脂》
無定形のポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,6−ヘキサメチレンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族および脂環族ジカルボン酸を、また多価カルボン酸として他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
無定形のポリエステル樹脂に用いられる多価アルコール類としては、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等を例示できる。脂肪族多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオールおよびテトラオール類等を例示できる。脂環族多価アルコール類としては1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を例示できる。
芳香族多価アルコール類としては、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。さらに、ポリエステルポリオールとして、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクトン系ポリエステルポリオール類等を例示することができる。
本発明に使用されるポリエステル樹脂の好ましい例としては、例えば、アルコール成分がビスフェノールAプロピレンオキサイド:ビスフェノールAエチレンオキサイド=6:4〜8:2であり、酸成分がテレフタル酸:トリメリット酸:1,6−ヘキサメチレンジカルボン酸=8:1:1が挙げられる。
ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖し、トナー帯電特性の環境安定性を改善する目的において、単官能単量体がポリエステルに導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
《ウレタン変性ポリエステル樹脂》
本発明で使用される無定形のポリエステル樹脂は、トナー粒子に十分な強度を付与し解砕を防ぐ観点から、ウレタン変性ポリエステルと呼ばれる分子構造中にウレタン結合を有し変性されたものであってもよい。以下、ウレタン変性ポリエステルについて説明する。
ウレタン結合で変性されたポリエステルとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとしては、前述した多価カルボン酸類と多価アルコール類を重縮合させて得られ、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらにポリイソシアネートと反応させたものなどが挙げられる。
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネートの比率は、低温定着性や耐ホットオフセット性の見地から、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。イソシアネート基を有するプレポリマー中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
アミン類としては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、およびこれらのアミノ基をブロックしたもの等が挙げられる。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。
3価以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられ、アミノメルカプタンとしては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられ、アミノ酸としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。
また、これら、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール及びアミノメルカプタン及びアミノ酸のアミノ基をブロックしたものとしては、前記アミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。これらアミン類のうち好ましいものは、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のポリアミンとの混合物が挙げられる。
さらに、伸長停止剤を用いてウレタン変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
アミン類の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
本発明で使用されるウレタン変性ポリエステルは、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレタン変性ポリエステルの重量平均分子量は、耐ホットオフセット性の見地から、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。
ウレタン変性ポリエステルの数平均分子量は、後述するウレタン変性されていないポリエステルを併用する場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレタン変性ポリエステル単独の場合は、低温定着性やトナー画像の光沢性の見地から、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。
本発明では、ウレタン結合で変性されたポリエステル樹脂とウレタン結合で変性されていないポリエステルを併用して結着樹脂を形成することも可能である。ウレタン結合で変性されたポリエステル樹脂とウレタン結合で変性されていないポリエステルとを併用することにより、低温定着性やフルカラーの画像形成を行った時に光沢性が向上することが確認されており、単独使用した場合よりも好ましい結果が得られていることが確認されている。
ウレタン結合で変性された樹脂とウレタン結合で変性されていない樹脂とを併用してなる結着樹脂として、ウレタン結合で変性されていない樹脂成分は前述のポリエステル成分の他にポリオールとポリカルボン酸との重縮合物等が挙げられ、好ましいものもポリエステル樹脂の場合と同様である。また、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂としては、無変性のポリエステル樹脂の他にウレタン結合以外の化学結合で変性されているポリエステル樹脂も含まれる。
ウレタン結合で変性されたポリエステル樹脂とウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂とを併用してなる結着樹脂では、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましいので、ウレタン結合で変性されたポリエステル樹脂成分とウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂成分とは類似の組成からなることが好ましい。
ウレタン結合で変性されたポリエステル樹脂とウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂とを併用してなる結着樹脂では、両樹脂の質量比は、耐ホットオフセット性や耐熱保存性あるいは低温定着性の見地から、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。
また、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂のピークトップの分子量(分子量分布測定した時の極大ピークとなる分子量のこと)は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2500〜9500である。上記範囲にピークトップの分子量を有する時に良好な耐熱保存性と安定した低温定着性が発現されることが確認されている。重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは1.5〜4.5が好ましい。
また、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂の水酸基価は、耐熱保存性と低温定着性を両立させる視点から、5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。
また、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂の酸価は、トナーに良好な帯電性を付与させる視点から、通常1〜30、5〜20が好ましい。
《ポリオール樹脂、エポキシ樹脂》
次に、ポリエステル樹脂以外の重付加あるいは重縮合反応で得られる樹脂について説明する。ポリオール樹脂は、各種のタイプのものが使用できるが、本発明に用いられるものとして、エポキシ樹脂と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオールを用いることが好ましい。さらにまた、エポキシ樹脂は、数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。このポリオール樹脂は、良好な光沢、透明性を付与し、耐オフセット性に効果がある。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。エポキシ樹脂は、安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに、低分子量成分が20〜50質量%、高分子量成分が5〜40質量%であることが好ましい。この様な条件を満足するエポキシ樹脂が、安定した定着特性や良好な光沢性を発現可能であることが確認されている。
本発明で用いられる化合物として、具体的な2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。また、生成された付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(2)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
また、nとmは、繰り返し単位の数であり、各々1以上で、n+m=2〜6である。
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40質量%含有されることはカール発生防止の見地から好ましい。
また、n+mの値が2〜6の範囲の時に、光沢性と保存性に良好な性能が発現されることが確認されている。
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類の具体例としては、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。
また、2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジオプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられ、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
本発明で用いられる主鎖にエポキシ樹脂部とアルキレンオキサイド部を有するポリオール樹脂を得るためには、種々の原材料組み合わせが可能である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやジイソシアネート、ジアミン、ジチオール、多価フェノール、ジカルボン酸とを反応させる方法が挙げられる。このうち、2価のフェノールを反応させるのが反応安定性の点で最も好ましい。
また、ゲル化しない範囲で多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用するのも好ましい。ここで、多価フェノール類、多価カルボン酸類の量は、全量に対し15%以下、好ましくは10%以下である。
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール化合物が挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが挙げられる。
多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメット酸が挙げられる。
また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなり、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分5%以下)とすることが好ましい。
《着色剤》
本発明に係るトナーに使用可能な着色剤について説明する。
黒トナーの調製に用いられる黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが挙げられ、磁性粉としては、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択し併用することが可能である。また、トナー中の無機顔料の含有量は2〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%である。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合、所定の磁気特性を発現させる観点から、トナー中の含有量は20〜120質量%が好ましい。
本発明に係るトナーに使用される有機顔料及び染料は、従来公知のものを用いることが可能で、具体的な有機顔料と染料を以下に例示する。
マゼンタトナーに使用されるマゼンタまたはレッドの有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロートナーに使用されるオレンジまたはイエローの有機顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
シアントナーに使用されるグリーンまたはシアンの有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよく、また複数の染料の混合物として使用してもよい。
これらの有機顔料及び染料の使用量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部である。
《カルナウバワックスとともに使用される離型剤》
本発明に係るトナーに使用される離型剤としては、前述のカルナウバワックスに加えて、公知のもので水系媒体中に分散可能な性質を有するものを併用することも可能である。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、これらオレフィン系ワックスの変性物、ライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、高級アルコールワックス等が挙げられる。
カルナウバワックスとともに使用される離型剤としては、以下に記載の特定構造を有するエステル化合物をか、あるいはカルナウバワックスを離型剤として含有したトナーが、本発明の効果を確実に発現するものであることを確認した。
また、本発明のトナーを構成するカルナウバワックスとともに使用される好適な離型剤としては、下記一般式(3)で示される結晶性のエステル化合物からなるものが挙げられる。
一般式(3):R1−(OCO−R2)n
(式中、R1及びR2は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
特定のエステル化合物を示す一般式(3)において、R1及びR2は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。
炭化水素基R1の炭素数は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5とされる。
炭化水素基R2の炭素数は、1〜40とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26とされる。
また、一般式(3)において、nは1〜4の整数とされ、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4とされる。
このエステル化合物は、アルコールとカルボン酸との脱水縮合反応により好適に合成することができる。上記エステル化合物の具体例としては特開2002−214821号公報等に開示される化合物が挙げられる。
《荷電制御剤》
本発明に係るトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、アゾ系金属錯塩化合物のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料の他に、スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系化合物が挙げられる。
この中でも、アゾ系金属錯塩化合物が好ましく、例えば特開2002−351150号公報の段落0009〜12に開示のものが好ましい。
本発明では、荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、トナーの帯電性や、現像ローラとの静電引力特性、現像剤の流動性、あるいは良好な画像濃度を得る視点から、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部の範囲がよい。
また、本発明では、荷電制御剤をトナー粒子表面近傍に添加させることが好ましい。すなわち、トナー粒子表面近傍に添加することによりトナー粒子に帯電性を効果的に付与するとともに、トナー粒子表面に荷電制御剤を露出させない様に添加してトナーの流動性を確保することが可能である。
具体的な含有方法としては、例えばトナー粒子を構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。すなわち、トナー粒子の表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー粒子表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法が挙げられる。
樹脂粒子内への添加方法としては、結着樹脂とともに混練し、その分散径を調節するのが好ましいが、水系媒体中に乳化したときに、油相の分散相から水相側へ溶出したり、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでもよい。
《外添剤》
本発明では、トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するために外添剤を添加してもよく、具体的な外添剤として、一次粒子径50〜200nmを有するシリカ微粒子やチタン微粒子といった無機微粒子と、一次粒子径10〜25nmの疎水性シリカを併用することが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、前述のシリカ化合物やチタン化合物が挙げられ、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
この他に、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子よりなる高分子系微粒子が挙げられる。
この様なトナー粒子に流動性を付与する外添剤は、表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止できる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが表面処理剤として挙げられる。
《樹脂粒子の分散方法》
次に、本発明に係るトナーを製造する際に行われる樹脂粒子の水系媒体中への分散方法について説明する。
本発明で行われる樹脂粒子を水系媒体中に分散させてなる分散液を作製する方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
(1)ポリエステル樹脂やポリオール樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合は、以下の方法が挙げられる。
(a)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散体を製造する方法
(b)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(2)ビニル系樹脂の場合、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により樹脂粒子を生成し、得られた樹脂粒子の水性分散液を直接製造する方法
(3)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作製した樹脂を以下の方法で水系媒体中に分散させる方法。
(a)上記作製した樹脂を、機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分球することにより樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(b)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(c)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、または予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却して樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(d)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法
(e)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
上記の方法で併用される乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(S)、水溶性ポリマー(T)等が用いられる。また、乳化または分散の助剤として溶剤(U)、可塑剤(V)等を併用できる。具体的には、特開2002−284881号公報の段落0036〜62に開示のものが挙げられる。
《樹脂粒子の凝集方法》
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。前述した様に、本発明では、結着樹脂、着色剤、離型剤、あるいは荷電制御剤といったトナー成分を有機溶媒に溶解させ、この溶液を水系媒体中に機械的に粒子状の油相として分散させてトナー成分の微粒子分散液を生成し、該微粒子分散液中の微粒子を凝集させる工程を経てトナー粒子を形成する。
この様に、本発明では樹脂粒子を凝集させる工程を有するものであるが、本発明でいう凝集に使用される樹脂粒子には有機溶媒を含有した状態にあるものも含まれ、例えば、樹脂溶液の液滴もこの範疇に含まれるものである。
各トナー成分を水系媒体中で微粒子化させるための具体的な方法としては、トナー成分を有機溶剤に溶解させて、水系媒体で分散相となる油相を形成させる工程を経るものが挙げられる。
有機溶剤中に溶解させた溶解液を、通常のインぺラーによる攪拌や、必要に応じて加熱処理を行なったり、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザーなどによって溶解、分散し、水系媒体中で乳化、分散する。その際、ホモミキサー(特殊機化社製)、エバラマイルダー(荏原製作所製)、クレアミックス(エムテクニック社製)などの乳化装置が用いられる。
このときの乳化剤の濃度、トナー成分の有機溶剤に対する濃度や水系媒体とトナー成分を分散させた油性相の量比や乳化分散時の回転数、時間を制御することによって所望の液滴径と粒度分布にすることができる。好ましくは、目的のトナー粒子径の1/2〜1/100まで乳化分散するのが良い。
各トナー成分と有機溶剤の質量比は1:10から1:1の間で、水系媒体と溶解液を分散した油性相の質量比は10:1から1:1の間で適宜好ましく選択されるが、もちろんこの範囲外でも良い。
水系媒体としては水、水と一部混合可能、無限希釈可能なメタノール、エタノールなどのアルコール系やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系、酢酸エチルなどのエステル系などの有機溶剤も水と併用して用いることができる。
各トナー成分を溶解分散させるための有機溶剤としては、水に対して不溶性あるいは難溶性、部分溶解性で、トナー成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
トナー成分である油性相を水系媒体中で所望の粒径まで乳化、分散するための分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤として、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。具体的には特開2002−296839号公報に開示される、酸類や水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドあるいは酸クロライド類などの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン系やセルロース類等の高分子系保護コロイド形成化合物が挙げられる。
次に、乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。その際、減圧下で行なうことが加熱温度を下げることができ好ましい。これは、離型剤などのトナー成分が有機溶剤に溶解するのを防止し、加熱による乳化分散体の異常な凝集、会合、合一を防止するためである。
有機溶剤の除去工程は凝集工程の前に行なっても、凝集工程後に行なっても構わない。凝集工程の前に有機溶媒を除去すれば、凝集後の微粒子同士の融着、合一を促すことができる。
有機溶媒に溶解したものの別の処理法としては、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去する方法が挙げられる。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
凝集方法としては、水中で微粒子が荷電状態で分散している場合は、電解質などを投じて電気二重層を圧縮して粒子同士を凝集させる方法、高分子量の水溶性ポリマーを粒子同士に吸着させて凝集させる方法、用いている界面活性剤や分散剤と逆荷電の物質を投入して微粒子の表面電荷を中和させて凝集させる方法、吸着している界面活性剤や分散剤の対イオンを変化させたり、水系媒体に他の物質を投入して、水系媒体への界面活性剤や分散剤の溶解性を変化させて分散安定性を弱めて凝集させる方法などが採用される。
その際、先に述べた離型剤のエマルジョンや、極性基を有する樹脂微粒子とともに凝集させ、製造されるトナーに定着時の離型性を付与したり、摩擦帯電性を強化したり、ガラス転移点の高い樹脂微粒子を比較的トナーの外側に配置することにより、高温保存時のトナー同士のブロッキングを防止することができる。
用いられる凝集剤は、例えば、電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、りん酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化ストロンチウム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化ルビジウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム等に代表される一般的な無機あるいは有機の水溶性塩を用いることができる。
これら電解質の濃度は、1価の電解質を用いる場合0.01〜2.0モル/L、さらには0.1〜1.0モル/L、またさらには0.2〜0.8モル/Lの範囲が好ましい。さらに、多価の電解質を用いる場合、その添加量はより少ない量でよい。
界面活性剤であれば先に例示したもの、高分子系の凝集剤であれば、先に挙げた高分子保護コロイドを形成させるもののうち、特に超高分子量体のものが適当である。また、水系媒体に共存させて分散安定性を弱めて凝集させる物質としては、水溶性有機化合物であるエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
さらに、凝集後に分散液を加熱することにより、微粒子同士を融着させ、生成するトナーの形状を調節することができる。界面張力によって球状化するが、そのときの加熱温度、トナーの粘性、有機溶剤の存在などにより球形から不定形まで任意に粒子形状を整えることができる。
得られた凝集粒子の分散体は、乾燥雰囲気中に噴霧して、凝集粒子中に残存している非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。凝集粒子の分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流を一般に使用する。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。乾燥前に固液分離して洗浄水を加え、再分散(リスラリー)する操作を繰り返し行なえば、用いた分散剤、乳化剤をほとんど除去することができる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
一般に、凝集操作後の粒度分布は狭く、そのままトナーとして用いることができるが、粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行なわれた場合、所望の粒度分布に気流中で分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くこともできる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行なっても良いが、液体中で行なうことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は、再びトナー成分を有機溶剤に溶解させた液中に戻して粒子の形成に用いてもよい。その際、微粒子、または粗粒子は、ウェットの状態でも構わない。このときの分級操作で用いた分散剤は、得られた分散液から不必要な微粒子と同時に取り除くことができる。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
《画像形成》
次に、本発明に係るトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置を説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。34は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に有機光導電体(OPC)の感光体層を有し、矢印方向に所定の速度で回転する。
図1では、図示しない原稿読取装置により読み取られた情報に基づいて、半導体レーザ光源31から露光光が発せられる。露光光はポリゴンミラー32により、図1の紙面と垂直方向に振り分けられ、画像の歪みを補正するfθレンズ33を介して、感光体面上に照射され静電潜像を形成する。感光体ドラム34は、予め帯電器35により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器36により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写材38に転写器37の作用により転写される。更に感光体ドラム34と転写材38は分離器(分離極)39により分離されるが、現像像は転写材38に転写担持されて、定着器40へと導かれ定着される。
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器41にて清掃され、帯電前露光(PCL)42にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器35により、一様帯電される。
本発明に係るトナーは、前述した様に高いトナー粒子強度を有するとともに、強い負帯電性を得られるものであるので、特に、非磁性一成分系トナーを用いた画像形成に好適である。
図2は、非磁性一成分系現像剤に用いられる現像器36の一例を示す断面構成図で、34は感光体ドラム、102は現像ローラ、103は金属弾性ブレード、104は非磁性一成分トナー、105は撹拌羽根、106はリカバリープレート、107はシリコン樹脂を示す。なお、現像ローラ102はその表面がシリコン樹脂107で被覆されたものを用いるものである。
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。図3は、本発明に係るトナーを使用可能なデジタル画像形成装置を示す概略構成図である。
図3において、画像形成装置101は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての感光体ドラム34上に書き込みを行う書き込みユニット112を含む書き込み部Dと、感光体ドラム34及びその周囲に帯電器35、磁気ブラシ型現像装置からなる現像器36、転写器37、分離器39、クリーニング器41等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ122、124のための収納部Fを有している。
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台126と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部128とを主要素とする。
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット130、131、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)133、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)135等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源31、ポリゴンミラー(偏光器)32等からなる。
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写器37の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離器39の下流側にHで示してあるのは定着手段である。
定着手段Hは、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
また、Zは定着手段Hのためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
原稿載置台126上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部128によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット130、131およびレンズ133を経てCCD135上に結像され、読み取られる。
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源31が駆動され、感光体ドラム34上に露光が行われる。
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
本発明では、モノクロ画像だけではなく、フルカラーの画像形成にも適用可能で、例えば複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットでそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成してフルカラーのトナー画像形成を行う画像形成方法が挙げられる。
本発明に係るトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
図4は、本発明に係るトナーを用いた画像形成方法に使用される定着装置の代表的な一例を示す断面図で、図4中の定着装置40は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを有する。図4中のTは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げられる。
芯金81の肉厚は0.1〜15mmであり、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。特に、特開2001−51536号公報に開示される肉厚の薄い芯金よりなる定着ローラに好ましく適用される。
被覆層82を構成する具体的なフッ素樹脂は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げられる。被覆層82の厚みはフッ素樹脂を用いた場合50〜700μm、好ましくは70〜600μmである。
また、被覆層82用の弾性体として、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどが挙げられる。被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満、好ましくは60°未満である。また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mm、好ましくは0.1〜20mmである。
線状ヒータとして好適に使用される加熱部材75としては、ハロゲンヒーターが挙げられる。
加圧ローラー72は、芯金83の表面に弾性体からなる被覆層84を形成してなる。被覆層84を構成する弾性体は特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムやスポンジゴムが挙げられる。
被覆層84を構成する弾性体は、そのアスカーC硬度が40°〜80°であり、好ましくは45°〜75°、更に好ましくは50°〜70°である。また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜20mmである。芯金83を構成する材料は特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅等の金属やこれらの合金が挙げられる。
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)は、通常40〜350N、好ましくは50〜300N、更に好ましくは50〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば肉厚が0.3mmの鉄製の芯金よりなる加熱ローラーでは、当接荷重を250N以下とすることが好ましい。
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅を4〜10mmとすることが好ましく、また、当該ニップ面圧を0.6×105Pa〜1.5×105Paとすることが好ましい。
図4に示す定着装置における具体的な定着条件は、例えば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150〜210℃、定着線速が230〜900mm/secという条件で良好な定着性能が得られる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
樹脂溶液1(ポリエステル樹脂)の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物103部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物240部、テレフタル酸133部、1,6−ヘキサメチレンジカルボン酸16.5部、トリメリット酸16.5部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに1.33〜1.99Pa(10〜15mmHg)の減圧条件下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、ピークトップの分子量が9500、Mw/Mn=1.9の[ポリエステル(1)]を得た。
[ポリエステル(1)]280部を酢酸エチル1900部、n−ブタノール100部の混合溶媒に溶解、混合し、[樹脂溶液1]を得た。なお、樹脂溶液1中の樹脂成分のTgは44℃であった。
トナー1の作製
[樹脂溶液1](樹脂成分のTg44℃) 100000部
カーボンブラック含水ケーキ(含水ケーキ中の固形分50%) 12000部
荷電制御剤(スピロンブラックTRH 保土ケ谷化学社製) 1000部
カルナウバワックス(加藤洋行社製カルナバワックス1号(フレーク状))
10000部
上記材料をミリスチリルブチルケトン0.04部とキシレン200000部中でジルコニアビーズの充填されたボールミルを転動させることによって溶解分散し、分散相となる油相を調製した。
別途、
イオン交換水 700000部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1000部
を攪拌分散し連続相となる水相を調製した。水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌しながら油相を投入し、攪拌回転数を調整することにより体積平均粒径約1μmの油滴を作製した。その後、50℃で2時間減圧溜去して溶媒(酢酸エチル、ブタノール、キシレン)を除去し、黒灰色の乳濁液を得た。
インぺラーの備わった攪拌タンクに得られた分散液を移し、硫酸アルミニウム10000部をイオン交換水90000部に溶解した水溶液を低速で攪拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を70℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。
その後95℃で8時間攪拌し、トナーの円形度が0.963になったところで、40℃まで冷却し、攪拌を停止した。
その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを40℃にて8時間減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにヘキサメチルジシラザン処理を行い、乾燥、粉砕処理を施した、1次粒子径137nm)1.8質量部、さらに気相法で製造しオクチルメトキシシラン処理したシリカ粒子(1次粒子径14nm)0.3質量部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き50μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除くことにより、非磁性一成分系現像剤であるトナー1を得た。
ここで、トナーの円形度は、上記外添剤を添加した後も変化しないことを確認した。
また、前述したヘッドスペース方式のガスクロマトグラフ法により、トナー1中に含有される揮発性成分を定量した。
トナー2の作製
トナー1の製造工程においてミリスチリルブチルケトン0.04部をミリスチリルメチルケトン0.08部とした以外は同様にしてトナー2を作製した。
トナー3の作製
トナー1の製造工程において、カルナウバワックスを加藤洋行社製のカルナバワックス2号(フレーク状)に変更した他は、同様にしてトナー3を製造した。
トナー4の作製
トナー1の製造工程において、カルナウバワックスを加藤洋行社製のカルナバワックス3号(フレーク状)に変更した他は、同様にしてトナー4を製造した。
トナー5の作製
[樹脂溶液1]に代えて、以下に記載する手順で得られるポリオール樹脂を溶解した[樹脂溶液2]を用いた他は、トナー1と同様の製造方法により、トナー5を作製した。
樹脂溶液2(ポリオール樹脂)の作製
上記反応容器中に、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378部、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86部、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のジグリシジル化物191部、ビスフェノールF274部、p−クミルフェノール70部、キシレン200部を加えた。
窒素雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点109℃、Tg58℃の[ポリオール樹脂(1)]を得た。
上記[ポリオール樹脂(1)]1,000部を酢酸エチル1,900部、ブタノール100部の混合溶媒に溶解、混合し、[樹脂溶液2]を得た。
トナー6の作製
上記ポリオール樹脂(1)を用いた以外は、トナー2と同様の製造工程を経てトナー6を作製した。
トナー7の作製
トナー5の製造工程において、カルナウバワックスを加藤洋行社製のカルナバワックス2号に変更してトナー7を作製した。なお、50℃で減圧溜去したところを常圧で溜去した。
トナー8の作製
カルナウバワックスを加藤洋行社製のカルナウバワックス3号に変更した以外はトナー7と同様にしてトナー8を作製した。
比較用トナー1の作製
上記トナー1の製造工程でミリスチリルブチルケトンを0.4部とした以外は同様にして比較用トナー1を作製した。
比較用トナー2の作製
上記トナー2の製造工程でミリスチリルメチルケトンを0.8部とした以外は同様にして比較用トナー2を作製した。
比較用トナー3の作製
トナー3の製造工程で、ミリスチリルブチルケトンを0.4部とした以外は同様にして比較用トナー3を作製した。
比較用トナー4の作製
トナー4の製造工程でミリスチリルブチルケトンを0.4部とした以外は同様にして比較用トナー4を作製した。
比較用トナー5〜8の作製
上記トナー1、2の製造工程において、カルナウバワックスに代わり、オレフィン系ワックスであるポリプロピレンワックスを同量添加し、さらにミリスチリルブチルケトンあるいはミリスチリルメチルケトンを添加しない様にして、比較用のトナー5、6を作製し、同様に、トナー7、8の製造工程でポリプロピレンワックスを用いて比較用のトナー7、8を作製した。
得られた非磁性一成分系現像剤であるトナー1〜8と比較用トナー1〜8を表1に示す。
なお、表1に示す値は、水洗、ろ過工程及び減圧乾燥工程を終了した後に得られるトナーを測定して得られたものである。また、カルナウバワックスによるDSCの発熱量は8.8〜9.2J/gの範囲に入ることが測定により確認された。
評価は、図1に記載のデジタル露光を有する画像形成装置に図2の非磁性一成分系現像剤を使用する現像器を搭載してなる装置を用いて行った。また、画像形成に使用した定着装置の構成は図4に示す構成とした。
<極厚用紙における定着性>
ハート株式会社製の喪中はがき(厚さ0.4mm)500枚を用い、図1に記載の画像形成装置を評価機として使用して連続プリントを行った。はがきの枠部に相対濃度0.5のグレー枠をつけた。得られたプリントを下記の様にランク評価した。
◎:グレー枠上につけペンで文字を強く書いても全くトナーが剥落しない
○:グレー枠上につけペンで文字を強く書いた時にトナーが剥落するが、ボールペン使用時にはトナーの剥離がおきない
×:定着が不十分でグレー枠を手に持っただけで、トナーが剥落して手が汚れる。
<極厚用紙における微細ドットのチリ発生>
上記喪中はがきの490枚目〜495枚目を画像全面に10%網点画像を形成し、得られたドット画像をルーペで観察してドット周辺におけるチリの発生を観察した。
◎:チリをほとんど検知しない
○:微かにチリが存在するが、注視しなければ気づかない程度
×:チリを容易に検知する。
<オフセット印刷用紙への定着性>
大王製紙社製の文庫本用紙(60.2g紙、オフセット印刷用、中質:非塗工紙)250枚に印字を行い、片手親指で10回めくり、文字周辺のにじみ状汚れを目視及びルーペ(倍率10倍)で観察し、下記の様にランク評価を行った。
◎:にじみ状の汚れが全く発生していない
○:目視ではにじみ状の汚れが観察されないが、ルーペ観察で僅かに汚れを検知する程度で実用上問題がない
×:親指の跡が黒くにじんだ様に汚れている。
<画像形成時の臭気>
軽印刷業に従事する10人にモニターになってもらい、A4サイズ黒化面積率12%の画像を連続5000枚印字した時の定着部における臭気を評価した。
◎:10人中8人以上が臭気が気にならないと評価
○:10人中6人以上が多少においがあるものの不快ではないと評価
×:10人中5人以上が臭気による不快を訴えた。
<製本時の臭気>
10代〜50代の10人を無作為に選出し、モニター製本した画像出力物をめくって臭気の評価を行った。黒化面積率12%の画像をB6サイズに裁断し250枚(500頁)に製本した。
◎:10人中8人以上が臭気が気にならないと評価
○:10人中6人以上が多少においがあるものの不快ではないと評価
×:10人中5人以上が臭気による不快感を訴えた。
<トナーブリスタ発生の評価>
普通紙(64g/cm2)上のトナー付着量が1.6mg/cm2となる様に画像形成を行い、画像上に0.1μm〜0.5μm程度の孔、すなわち、トナーブリスタの有無を目視で観察し、下記の様にランク評価した。
◎:トナーブリスタの発生が全く見られない
○:4cm2あたり1〜2個のトナーブリスタが存在するが、実用上問題のないレベル
×:4cm2あたり3個以上の明瞭なトナーブリスタの存在が認められ、実用不可のレベル。
結果を表2に示す。
前記表2の結果から明らかな様に、本発明に係るトナーでは、招待状や喪中はがきの様な厚手の紙上に良好な定着強度を有するトナー画像が形成され、トナーに大きな負荷が加えられてもトナーが壊れないことが確認された。
また、オフセット印刷用の紙にトナー画像を形成した時に良好な定着強度を有するトナー画像が得られ、さらに、トナーブリスタの発生が見られないことが確認された。
一方、比較試料として用いられたトナーでは、厚手の用紙やオフセット印刷用用紙に画像形成を行うと、本発明に係るトナーで見出した定着強度が得られず、また、トナーブリスタの問題を有するものであることが確認された。